JP2003024350A - 口腔内衛生状態検査装置及び口腔内衛生状態検査方法 - Google Patents

口腔内衛生状態検査装置及び口腔内衛生状態検査方法

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JP2003024350A JP2001219337A JP2001219337A JP2003024350A JP 2003024350 A JP2003024350 A JP 2003024350A JP 2001219337 A JP2001219337 A JP 2001219337A JP 2001219337 A JP2001219337 A JP 2001219337A JP 2003024350 A JP2003024350 A JP 2003024350A
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尚子 山根
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三良 山田
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純也 末廣
Tetsuya Nishio
哲也 西尾
Ryuichi Yatsunami
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、専門知識を持たない一般の使用者
でも簡易かつ客観的に自らの口腔内の衛生状態を調べる
ことができる口腔内衛生状態検査装置を提供することを
目的とする。 【解決手段】 本発明の口腔内衛生状態検査装置は、内
部に測定のための電極を備え口腔内から採取されたサン
プルを含む試料を保持することができる測定セル1と、
電極に誘電泳動を行うための電圧を印加する電源部と、
試料液中の微生物数を算出する測定部6と、電源部と測
定部6を制御するための制御部7とを備え、制御部7が
電極に電圧を印加して試料液中の微生物を誘電泳動力に
よって該電極上に捕集し、測定部6が捕集後または捕集
中の電極間のインピーダンスを測定することで試料液中
の微生物数を定量的に算出し、口腔内の衛生状態の評価
を行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、口腔内の衛生状態
を検査し、う触や歯周病を予防するための口腔内衛生状
態検査装置、及びそのために使用する口腔内衛生状態検
査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】口腔内の衛生状態を左右し、う触や歯周
病の原因となるのは口腔内の細菌である。この口腔内の
細菌はほとんどがプラーク、すなわち歯垢内に局在して
いる。従って、口腔内からプラークを除去するプラーク
コントロールが、口腔内の衛生を保つためにはきわめて
重要で、口腔内の衛生状態はプラークの付着状況を知る
ことで評価できるものである。
【0003】ところで、従来、他人の手を借りずに簡易
に自らの口腔内の衛生状態を知る方法などはなく、口腔
内の衛生状態を検査するには歯科医などの専門技術を持
った専門家による診察が一般的であった。しかし、口腔
内の衛生状態を知るためだけに歯科医の所へ足を運んで
診察を受けるということは少なく、結果として、う触や
歯周病等の予防ができずに罹患してしまうことも多かっ
た。
【0004】こうしたことから、一般人が簡易的かつ客
観的に自らの口腔内の衛生状態を知るための方法とし
て、特開平07−069852号公報や、特開平08−
059513号公報などに代表される調査方法が提案さ
れた。この従来の技術は、色素を使ってプラークを染め
出すものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この特開平07−06
9852号公報や、特開平08−059513号公報で
提案された従来の技術を用いると、素人でもある程度簡
単に且つ客観的に自らの口腔内のプラーク付着状態を知
ることができる。しかし、色素によってプラーク以外に
口腔内全体が紅色に染色されるため、人と会合したり食
事時に検査されることはなく、用法が制限されるもので
あった。その上、染色は試薬を口に入れることで心理的
にも抵抗があり、手軽な気持ちで頻繁に検査することは
できないものであった。
【0006】また、プラークが付着し易い部位は口腔内
の奥の方や、奥歯の側面であるにもかかわらず、前歯の
唇側など染色状態が表からよく見える部分についてしか
明確に状況が分からないため、健康であると安易に素人
判断してしまう危険性もあった。
【0007】そして、この従来の技術は、染色を利用し
てプラークの存在を判定するため、プラークの付着状況
を定性的には把握できるが、定量的にプラーク付着状態
が把握できないといった問題があった。
【0008】そこで、これらの課題を解決するため本発
明は、専門知識を持たない一般の使用者でも簡易かつ客
観的に自らの口腔内の衛生状態を調べることができる口
腔内衛生状態検査装置を提供することを目的とする。
【0009】また、本発明は、専門知識を持たない一般
の使用者でも簡易かつ客観的に自らの口腔内の衛生状態
を調べることができる口腔内衛生状態検査方法を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の口腔内衛生状態検査装置は、内部に測定の
ための電極を備え口腔内から採取されたサンプルを含む
試料液を保持することができるセルと、電極に誘電泳動
を行うための電圧を印加する電源部と、試料液中の微生
物数を算出する測定部と、電源部と測定部を制御するた
めの制御部とを備え、制御部が電極に電圧を印加して試
料液中の微生物を誘電泳動力によって該電極上に捕集
し、測定部が捕集後または捕集中の電極間のインピーダ
ンスを測定することで試料液中の微生物数を定量的に算
出し、口腔内の衛生状態の評価を行うことを特徴とす
る。
【0011】これにより、専門知識を持たない一般の使
用者でも簡易かつ客観的に自らの口腔内の衛生状態を調
べることができる。
【0012】また、本発明の口腔内衛生状態検査方法
は、測定のための電極を備えたセル内に口腔内から採取
されたサンプルを含む試料液を導入し、電極に電圧を印
加して誘電泳動を行い、試料液中の微生物を誘電泳動力
によって電極上に捕集するとともに、電極間のインピー
ダンスを測定することで試料液中の微生物数を定量的に
算出し、口腔内の衛生状態を評価することを特徴とす
る。
【0013】これにより、専門知識を持たない一般の使
用者でも簡易かつ客観的に自らの口腔内の衛生状態を調
べることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】請求項1に記載された発明は、内
部に測定のための電極を備え口腔内から採取されたサン
プルを含む試料液を保持することができるセルと、電極
に誘電泳動を行うための電圧を印加する電源部と、試料
液中の微生物数を算出する測定部と、電源部と測定部を
制御するための制御部とを備え、制御部が電極に電圧を
印加して試料液中の微生物を誘電泳動力によって該電極
上に捕集し、測定部が捕集後または捕集中の電極間のイ
ンピーダンスを測定することで試料液中の微生物数を定
量的に算出し、口腔内の衛生状態の評価を行うことを特
徴とする口腔内衛生状態検査装置であるから、試薬であ
るとか特別な装置や訓練を必要とすることなく、簡易か
つ客観的に自らの口腔内の衛生状態を調べることができ
る。
【0015】請求項2に記載された発明は、誘電泳動に
よって試料中の微生物を電極上に捕集するときに、試料
液と電極の相対位置を変化させる流動促進手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の口腔内衛生状態検査装
置であるから、試料液中の微生物を効率よく電極上に集
めることができ、迅速な測定を行うことができる。
【0016】請求項3に記載された発明は、誘電泳動に
よって試料中の微生物を電極上に捕集する前に、測定部
が試料液の導電率を測定することを特徴とする請求項1
または2に記載の口腔内衛生状態検査装置であるから、
イオン濃度の高い試料液等の測定ミスを未然に防ぐこと
ができ、信頼性の高い判定結果を導き出すことができ
る。
【0017】請求項4に記載された発明は、試料液の導
電率を調整する導電率調整部を備えたことを特徴とする
請求項1〜3のいずれかに記載の口腔内衛生状態検査装
置であるから、最適な条件で誘電泳動と測定を行うこと
ができ、迅速で精度の高い測定を行うことができる。
【0018】請求項5に記載された発明は、測定部が試
料液の導電率を測定し、測定した導電率を基に測定結果
を補正することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
記載の口腔内衛生状態検査装置であるから、試料の性質
に寄らず常に正確な判定結果を導き出すことができる。
【0019】請求項6に記載された発明は、口腔内から
採取され液体に懸濁された試料を保持するセルと、試料
中のプラーク量を測定する測定部と、該測定部を制御す
る制御部を備え、測定部には、セル内に光束を入射する
光源と、該セル内で散乱した光を検出する光検出器と、
光源を発光するための電源回路と、光検出器で検出した
散乱光の光強度を検出する検出回路が設けられ、試料に
対して光束を入射させたときの散乱光量を検出回路が検
出することによって試料中のプラーク量を定量検出し、
口腔内の衛生状態の判定根拠にすることを特徴とする口
腔内衛生状態検査装置であるから、簡易な構造でありな
がら口腔内の衛生状態の高精度な判定をすることができ
る。
【0020】請求項7に記載された発明は、口腔内から
採取され液体に懸濁された試料を保持するセルと、試料
中のプラーク量を測定する測定部と、該測定部を制御す
る制御部を備え、測定部には、セル内に光束を入射する
光源と、該セル内を透過した光を検出する光検出器と、
光源を発光するための電源回路と、光検出器で検出した
透過光の光強度を検出する検出回路が設けられ、試料に
対して光束を入射させたときの透過光量を検出回路が検
出することによって試料中のプラーク量を定量検出し、
口腔内の衛生状態の判定根拠にすることを特徴とする口
腔内衛生状態検査装置であるから、簡易な構造でありな
がら口腔内の衛生状態の高精度な判定をすることができ
る。
【0021】請求項8に記載された発明は、口腔内から
採取された試料を保持するセルと、試料中のプラーク量
を測定する測定部と、該測定部を制御する制御部を備
え、測定部には、試料から発生する揮発性物質を検出す
る少なくとも1つ以上のガスセンサと、該ガスセンサで
検出した揮発性物質信号から該揮発物質量を検出する検
出回路が設けられ、試料から発生する揮発性物質量を検
出回路が検出することによってプラーク付着状況を推定
し、口腔内の衛生状態の判定根拠にすることを特徴とす
る口腔内衛生状態検査装置であるから、臨床的に問題と
なる口臭を直接調べることができ、実質的に十分な精度
で口腔内の衛生状態の判定をすることができる。
【0022】請求項9に記載された発明は、測定のため
の電極を備えたセル内に口腔内から採取されたサンプル
を含む試料液を導入し、電極に電圧を印加して誘電泳動
を行い、試料液中の微生物を誘電泳動力によって電極上
に捕集するとともに、電極間のインピーダンスを測定す
ることで試料液中の微生物数を定量的に算出し、口腔内
の衛生状態を評価することを特徴とする口腔内衛生状態
検査方法であるから、試薬であるとか特別な装置や訓練
を必要とすることなく、簡易かつ客観的に自らの口腔内
の衛生状態を調べることができる。
【0023】請求項10に記載された発明は、測定のた
めの電極を備えたセル内に口腔内から採取されたサンプ
ルを含む試料液を導入し、該セル内に光源から光束を入
射し、セル内の試料液で散乱した散乱光の光強度を検出
して試料中のプラーク量を検出し、口腔内の衛生状態の
判定根拠にすることを特徴とする口腔内衛生状態検査方
法であるから、試薬であるとか特別な装置や訓練を必要
とすることなく、簡易かつ客観的に自らの口腔内の衛生
状態を調べることができる。
【0024】請求項11に記載された発明は、セル内に
口腔内から採取された試料を保持し、ガスセンサで該試
料から発生する揮発性物質量を検出回路で検出すること
によってプラーク付着状況を推定し、口腔内の衛生状態
の判定根拠にすることを特徴とする口腔内衛生状態検査
方法であるから、臨床的に問題となる口臭を直接調べる
ことができ、実質的に十分な精度で口腔内の衛生状態の
判定をすることができる。
【0025】以下、本発明の実施の形態1〜4につい
て、図1〜図11と数式である(数1)〜(数8)を用
いて説明する。
【0026】(実施の形態1)本発明の実施の形態1に
おける口腔内衛生状態検査装置と口腔内衛生状態検査方
法について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は
本発明の実施の形態1における口腔内衛生状態検査装置
の全体横成図、図2は本発明の実施の形態1における電
極の説明図、図3(a)は電極間の電気的状態を等価回
路で示した説明図、図3(b)は電流と電圧の位相の差
を表した説明図、図4はインピーダンスのベクトル分解
を説明する説明図、図5はコンダクタンスの時間変化
図、図6は培養による微生物数測定とコンダクタンス変
化の傾きの相関図である。
【0027】図1において、1は測定セル、2は薄膜電
極、3は回転子、4はスターラー、5は泳動電源部、6
は測定部、7は制御部、8は表示部である。また、図2
において、10は電極基板、11は導電性薄膜、12は
対向する二つの電極の間に構成されるギャップである。
【0028】実施の形態1における測定セル1は円筒状
のガラス製容器であり、試料液を導入/排出するための
開口部が設けられている。また、測定セル1は試料液を
攪拌するための回転子3を備えており、回転子は測定セ
ル1に隣接して配置されるスターラー4と磁気力を介し
て結合され回転するため、磁力を遮ることがないガラス
を使用している。測定セル1の材料は、ガラス以外にも
プラスチックなどを用いることもできる。
【0029】測定セル1内には誘電泳動によって試料液
中の微生物を所定位置に移動させるために、電極基板1
0上に微小なギャップ12を介して、2つの極からなる
薄膜電極2が対向して入れ子状に設けられている。本実
施の形態1においては、薄膜電極2は図2に示すように
櫛歯状の電極が対向して配置されており、ギャップ12
間の間隔は5μmである。この薄膜電極2が本発明にお
ける測定のための電極を構成する。薄膜電極2は、導電
体をスパッタリングや蒸着やメッキ等の方法によって電
極基板2上に被覆して形成されたものである。
【0030】そして、微生物を所定位置に移動させるた
めに、この薄膜電極2に電圧を印加すると、薄膜電極2
の間に横成されるギャップ12付近の電界が最も強くな
る。詳細については後述するが、微生物はこの最も電界
が集中するこのギャップ12付近に向かって泳動され
る。
【0031】スターラー4と回転子3は、攪拌して試料
液と電極の相対位置を変化させるために設けたが、試料
液を電極上で流動させて相対位置を変化させる流動促進
手段であれば、必ずしもこのスターラー4と回転子5で
ある必要はない。例えば、ポンプを用いて測定セル1内
に水流を生成したり、また電極が可動機構上に取り付け
られ電極自身が回転したり振動したり平行移動したりし
てもよい。回転子3は様々な形態のものが選択可能であ
るが、実施の形態1では円筒形のものを使用している。
【0032】次に、泳動電源部5は誘電泳動を起こすた
めの交流電圧を電極基板2間に供給するものである。こ
こでいう交流というのは、正弦波のほか、ほぼ一定の周
期で流れの向きを変える電圧のことであり、この双方向
の電流の平均値が等しいものである。本実施の形態1に
おいては、誘電泳動のための交流電圧として周波数10
0kHz、ピーク間電圧(以下、ppと表す)5Vを印
加している。もちろん誘電泳動のための交流電圧の周波
数と電圧値は前述した値に限られるものではなく、広い
範囲から選択することができる。例えば、その値の範囲
は周波数で100Hzから50MHzである。しかし、
最も効率よく微生物を電極上に誘電泳動できる周波数
は、試料液の条件や微生物の種類によって変化する。
【0033】実施の形態1においては、詳細は後述する
が、口腔内の微生物を精製水に懸濁させた条件の試料液
に対して誘電泳動を行うのに適した周波数の一つとして
として100kHzという値を選択している。また、印
加電圧は高いほど誘電泳動力が強くなるが、あまり電圧
を高くすると、トラブルの原因となる電気分解や、ギャ
ップ12間に移動した微生物を電気的に破壊してしまう
等の現象が生じる。従って、印加電圧は、測定対象とな
る試料溶液の特徴にあわせて適宜調整するのがよい。ギ
ャップ12間の距離を基準にして20Vpp/μm程度
以下にしておくのが好適である。本実施の形態1では、
ギャップ12間の間隙を5μmとし、印加電圧を電極間
5Vppすなわち1Vpp/μmとしている。
【0034】制御部7は、図示しないマイクロプロセッ
サと、予め設定されたプログラムを保存するためのメモ
リ、タイマー、そして被験者が測定を指示するための測
定開始ボタン等の操作ボタンから構成され、予め設定さ
れたプログラムにしたがって泳動電源部5を制御して薄
膜電極2に誘電泳動のための電圧を印加する。また制御
部7は測定部6と信号の送受信を行い、適宜制御を行う
ことで測定動作全般の流れを管理する。さらに制御部7
は測定結果や動作状況等を表示部8に表示する。
【0035】測定部6は、図示しないマイクロプロセッ
サ、測定データや演算結果を一時的に保存するためのメ
モリ、そして電極に印加された電圧、電極間に流れてい
る電流、そして電圧と電流の位相の差(以後位相角とす
る)を測定するための回路などから構成され、電極のイ
ンピーダンス解析を行うための演算ができる。そして電
極のインピーダンス解析結果から試料液中の細菌数を算
出することができる。この算出方法については後述す
る。なお、測定部6のマイクロプロセッサやメモリは制
御部7のマイクロプロセッサやメモリと共用することが
できる。
【0036】表示部8はLCD等のディスプレィやプリ
ンター、スピーカー等で、評価結果としての口腔内の衛
生状態を試料液中の微生物数の形で表示する。表示部8
の表示が実施の形態1における口腔内衛生状態検査装置
の最終出力となる。本実施の形態1では使用者は評価結
果としての口腔内の衛生状態を試料液中の微生物数とい
う定量的な表示で知ることになるが、表示方法としては
たとえばバーグラフ等を用いて半定量的な表現で表示し
たり、さらに抽象的に○×表示を行ったり、視覚的な表
示に加えて(または代えて)音声やそのほかの伝達手段
を用いることも自由であり、これら多くの表示方法の中
から目的に応じて最適なものを選択すればよい。
【0037】さらに、口腔内の衛生状態を調べて自動的
に電動歯ブラシの動作モードを切り替えたり、入れ歯の
洗浄用薬剤の投入量を制御したり温度設定を変更するな
どのように、使用者が直接評価結果を知る必要がなく、
口腔内衛生状態検査装置に関連する制御を行う場合は、
表示部8に表示を行うことなくそのまま制御を行えばよ
い。
【0038】さて、ここで検査対象である口腔内の微生
物とプラークについて説明する。口腔内の主要な疾病、
例えばう触と歯周病はいずれも微生物が主な原因の疾病
である。この口腔内の微生物の多くはプラーク内に局在
している。プラークは口腔内の細菌が増殖によって局所
的に固まった状態のものであり、後述する多糖類などの
代謝物を除いてそのほとんどが微生物の固まりである。
プラーク1g中の微生物の数は、実に10の10乗個か
ら11乗個にも達する。このプラークを口腔内から除去
すること(以下、プラークコントロール)が、口腔内衛
生を進める上で最も重要なことであり、具体的にはブラ
ッシング法、いわゆる歯磨きがプラークコントロールの
主要な手段となる。
【0039】さて、う触の原因菌はストレプトコッカス
・ミュータンス(以下、SM菌とする)を中心とした菌
群、また歯槽膿漏などの歯周病はポルフィロモナス・ジ
ンジバリス(以下、PG菌とする)を中心としたいくつ
かの菌種によって引き起こされる。そして、これらの菌
はプラーク中に存在し、プラークを介して日和見的に疾
病を引き起こす。例えば、う触の原因菌であるSM菌は
口腔内の食物残査を栄養源としてガム状の多糖類膜を生
成しその中で活動する。SM菌は代謝によって酸を生成
し、これによって歯牙は溶解し、う触となる。
【0040】一方、PG菌は歯周ポケットといわれる歯
茎と歯牙間の隙間に生息し日和見的に炎症を引き起こ
す。炎症が慢性化すると歯槽膿漏などにつながる。歯周
ポケットは口腔内が健康な状態でも存在するが、プラー
クが堆積したり、堆積したプラークが古くなって歯石と
いわれる状態に移行し、多数の微生物がその中に常在す
るようになってだんだん深くなっていく。深くなった歯
周ポケットの奥は嫌気的な雰囲気となりPG菌等の格好
の住処となる。ここでPG菌の繁殖によってますます炎
症が進行するという悪循環が生じ、最終的に歯槽骨が破
壊され歯が抜けてしまう。
【0041】このように、あらゆる口腔内疾病はプラー
クの存在により発生することが明らかになっているが、
プラークコントロールを行うブラッシングは個人個人の
我流で行われているというのが実態である。上述した染
色による従来の技術では、プラークが確実に除去できて
いるか否かを定性的に、むしろ色彩の印象で判断をして
いるにすぎず、測定データに基づく判断ではない。従っ
て、口腔内疾病の効果的な予防を行うために、口腔内の
衛生状態を高精度に検査する装置が期待される所以であ
る。
【0042】続いて、本実施の形態1で利用する誘電泳
動についてその説明する。詳細な説明はさらに文献J.
theor.Biol(1972)vo1.37,1−
13等を参照されたい。高周波の交流電圧を印加する
と、これによって発生する交流電界の作用により測定セ
ル1内の微生物は最も電場が強くかつ不均一な部分に泳
動される。上述したように、本実施の形態1においては
薄膜電極2のギャップ12が最も電場が強くかつ不均一
な部分に該当する。このときに微生物の誘電体微粒子と
しての双極子モーメントをμとすると、誘電泳動力Fは
電場Eとの間に(数1)の式1の関係が存在する。
【0043】
【数1】
【0044】さらに、微生物の細胞質の比誘電率をε
2、微生物を含んでいる液体の比誘電率をε1、微生物
を球体と見なしたときの半径をa、円周率をπとする
と、誘電泳動力Fは(数2)の式2のように書き換える
ことができる。
【0045】
【数2】
【0046】式2は誘電泳動による力が電位勾配、媒質
と誘電体微粒子としての微生物の比誘電率の差などの影
響を受けることを示している。
【0047】さて、図2に示すギャップ12は櫛歯状の
薄膜電極2が対向している部分である。ギャップ12付
近に浮遊する微生物は、ギャップ12間に生じるこのよ
うな電界作用によってギャップ12に引き寄せられ、電
気力線に沿って整列する。このとき、ギャップ12付近
の微生物の整列状態は、試料液体中に存在する微生物数
とギャップ12の間隔に依存するが、十分に微生物数が
多いときにはギャップ12が微生物が鎖状に繋がって架
橋されるほどになる。そして、当初からギャップ12付
近に浮遊していた微生物は直ちにギャップ12部分へ移
動し、ギャップ12から離れたところに浮遊していた微
生物は距離に応じて所定時間経過後にギャップ12部に
到達するため、所定の時間後にギャップ12付近の所定
領域に集まっている微生物の数は測定セル1内の微生物
数に比例する。この比例関係を基に試料中の微生物数を
算出することができる。
【0048】実施の形態1においては、誘電泳動を生じ
させるために交流の電界を用いているが、この交流印加
の条件下では、誘電率εは複素誘電率ε'で表され、導
電率σの影響を受ける。例えば、微生物を含んでいる液
体の複素誘電率は液体の導電率σ1との関係において
(数3)の式3のようになる。
【0049】
【数3】
【0050】今、微生物を含んでいる液体の導電率σ1
が高くなる方向に変化した場合について考えてみると、
複素誘電率で考えた式2に中の項(ε1−ε2)/(ε
1+2ε2)(claucius−Mossoti式と
呼ばれている)の値が非常に小さくなり、誘電泳動力F
の値は小さくなる。そして、その結果微生物を電極付近
に集めることができなくなり、測定感度は低下すること
になる。液体の導電率σ1を決定するのはほとんどが液
体中に溶解している導電性物質イオンであるので、液体
中からイオンを除去してやれば液体の導電率σ1は低下
し、その結果誘電泳動力Fが増大して感度が向上するこ
とになる。
【0051】ところで、本実施の形態1におけるギャッ
プ12の間隔は5μmに設定されているが、この値に限
定されるものではない。ギャップ12の間隔は測定対象
となる試料溶液中の微生物の種類や濃度に応じて調節さ
れるのが望ましく、実施の形態1では、口腔内の微生物
種を対象とした最適測定条件を本発明者らが鋭意検討し
た結果5μmという値を設定している。この値は試料溶
液の特徴に合わせて0.2〜300μmの範囲で適宜調
節されることが望ましい。
【0052】以下、試料の採取から試料液中の微生物の
測定、口腔内の衛生状態評価にいたるまでの一連の流
れ、手順を説明する。まず、口腔内から試料を得ること
が必要である。被験者の口腔内から得られる試料はいく
つかの種類が考えられる。それは、第1に唾液や唾液を
染みこませた布状のもの、第2に歯牙や舌や口腔内壁を
拭った布や綿棒、そして第3に歯間からピック状のもの
で掻き取られた試料などである。
【0053】試料はその由来によって様々な情報をもた
らす。例えば、第1の試料である唾液は、口腔内の総合
的な衛生状態を評価するに適した試料であるといえる。
唾液は口腔内に数カ所ある分泌線を出て口腔内を洗いな
がら広がっていく課程で口腔内の微生物を溶かし込む。
この唾液中の特定の細菌の数と、う触の間には相関関係
が存在することが従来から解明されており、サリバテス
トと呼ばれる一連のカリエスリスクテスト(う触危険度
テスト)中で、培養法による菌数計測が行われているこ
とからも分かるように、唾液内の微生物を調べることで
口腔内全体の衛生状態を評価することができる。
【0054】また、第2の試料の歯牙表面などを拭った
試料や歯間から得られた試料は、採取した局所部位の衛
生状態を反映している。上述したように歯牙表面や歯間
には微生物はプラークを形成して存在しているため、試
料採取部位にプラークが付着していた場合には試料中微
生物数は大変多いものになる。このため測定は比較的容
易である。
【0055】このように口腔内の衛生状態を評価するに
は、例えば唾液を用いても、歯牙表面などを拭った試料
を用いても、どちらでもよいが、実施の形態1において
は歯牙表面を綿棒で拭ったものを試料としている。具体
的に本実施の形態1での試料採取は、被験者自らが綿棒
を手に持ち測定部位の歯牙表面をこすることで行う。歯
牙表面をこする回数や力はあらかじめ決めておけばよ
い。特定の歯牙表面から試料採取を行えばその部位のみ
の衛生状態が、また全体的に採取を行うと口腔内の状態
が総合的に判定されることになる。もちろんサンプリン
グ部位が多くなるとそれだけ試料中の微生物の絶対数も
多くなっていくので、測定を行う前にどのパターンや条
件で評価を行うのかをあらかじめ決めておき、それに従
った試料採取を行う。実施の形態1における口腔内衛生
状態検査装置はいくつかのパターンでの測定評価に対応
したプログラムがあらかじめ内蔵されており、適宜被験
者が測定パターンを選択できるようになっている。以
下、歯牙表面を綿棒でふき取った一つの試料を測定する
場合を説明するが、前述したように試料の形態および試
料数は評価の目的にあわせて都度選択されるべきもので
ある。
【0056】さて、試料採取を行う一方で、口腔内衛生
状態測定装置は測定評価のための準備を行う。まず測定
セル1内には試料を懸濁させるための液体が満たされ
る。懸濁媒としては様々な液体を用いることが可能であ
る。例えば、水、油類、エタノール等のアルコール類、
アセトン、DIMSO、フラン、その他有機溶剤等およ
びこれらの混合物を懸濁媒として使用することができ
る。実施の形態1では、試料が水溶性のものであるこ
と、また入手が容易であることから懸濁媒に精製水を使
用している。水道水等も測定に供することは可能である
が、地域によって溶解物のばらつきが大きいこと、また
井戸を水源とするものの一部には導電率が非常に大きな
ものがあることから本実施の形態1では採用していな
い。
【0057】測定セル1内に懸濁媒としての精製水を満
たした後、図示しない電源部スイッチを投入する。電源
部が投入されると、制御部7は測定前の準備動作を行
う。まず、精製水が正常な状態であることを確認するた
めに、制御部7は泳動電源部5を制御して薄膜電極2に
周波数100kHz、電圧0.1Vppの交流を印加
し、これと同時に測定部6を制御して印加している電
圧、回路に流れている電流、そして位相角を測定する。
測定部6は、この結果を演算して精製水の導電率を算出
する。導電率算出の過程の詳細は省略するが、まず後述
するインピーダンス解析から薄膜電極2間の導電率を算
出し、ついでその値を精製水の導電率に換算する。薄膜
電極2間の導電率は精製水の導電率と比例するので、算
出された電極間導電率に電極形状で定まる係数をかける
だけで精製水の導電率を算出することができる。
【0058】ところで、上述したように試料液の導電率
があまりに高いと測定の精度が低下するので本実施の形
態1においては測定を行う試料液の導電率に一定の制限
として10mS/mという値を設けている。制限を設け
る理由は、一つにはイオンによる上述した誘電泳動の特
性を鑑み測定に一定の精度を確保するためであり、今ひ
とつは電極を電気分解によるダメージから保護するため
である。仮に測定試料が非常に大きな導電率を持ってい
ても、薄膜電極2が電気分解から守られるように最初に
印加される電圧は0.1Vppと低めに設定しておけ
ば、電極が電気分解でダメージを受けることはない。た
だ、10mS/mという値は限定的なものではなく、条
件に応じて適宜設定されるべきものである。
【0059】さて、精製水の導電率が10mS/m以下
であることが確認されると、制御部7は表示部8を制御
して測定準備が完了したことを被験者に知らせる。これ
により、測定動作のすべてが終了したことになる。
【0060】測定準備が完了すると、被験者は測定試料
としての歯牙表面を拭った綿棒を測定セル1内の精製水
に浸漬して、綿棒に付着した微生物を精製水に懸濁させ
る。このとき、綿棒をゆらしたり、壁面にこすりつけた
り、あるいは回転子3を回転させて測定セル1内に水流
を起こすなど懸濁を促進する処理をすることが望まし
い。これらによって測定用の試料液が作製される。
【0061】試料液ができると、被験者は図示しない測
定ボタンを押して装置に測定開始を指示する。測定開始
の指示を受け、制御部7は薄膜電極2に周波数100k
Hz、電圧0.1Vppの交流電圧を印加する。同時に
測定部6を制御して印加中の電圧、回路に流れている電
流、位相角を測定し、試料液の導電率を測定する。口腔
内の状態によっては試料液の導電率が10mS/mを超
過することがあるが、この場合、制御部7が試料液の導
電率が高すぎる旨のエラーメッセージを表示して、被験
者に対して、試料液を希釈して導電率を下げるか、また
は試料液を再度作製するか等の作業を促す。試料液の導
電率が10mS/m以下であることが確認されると、本
測定がスタートする。
【0062】まず、制御部7は測定電極に周波数100
kHz、5Vppの交流電圧を印加する。これとともに
電流と位相角の測定を始める。実施の形態1において
は、測定データは3秒おきに採取され、その度に演算さ
れて結果が測定部6内の図示しないメモリに蓄積されて
いく。以下、データが採取され演算されてからメモリに
蓄積されるまでの過程を説明する。
【0063】測定部6が収集するデータは印加された電
圧、電流、位相角の3つである。測定部6はこれら得ら
れた測定結果から、薄膜電極2間に想定される等価回路
を後述する抵抗と静電容量からなるCRの並列回路であ
るとみなしたときの抵抗成分の値を計算し、最終的に薄
膜電極2間の電導度を算出する(以下、薄膜電極2間の
電導度をコンダクタンスと表現する)。
【0064】コンダクタンスを求めるためには、まず薄
膜電極2間のインピーダンスを求め、このインピーダン
スに対して後述する位相角を加味した演算を行う。イン
ピーダンスは印加電圧と電流の除算で求めることができ
る。コンダクタンスの算出はやや複雑であるが、インピ
ーダンスを測定のための電圧と電流の位相の差を角周波
数の角度差で表現した値(以下、位相角という)を使っ
て複素平面上に極座標表現し、これを解析することで算
出することができる。以下、インピーダンスをZ、静電
容量をC、リアクタンスをx、レジスタンスをrとし
て、図3、図4と(数4)〜(数8)の式4〜8を用い
て詳細に説明する。
【0065】
【数4】
【0066】
【数5】
【0067】
【数6】
【0068】
【数7】
【0069】
【数8】
【0070】(数4)はCR並列等価回路の合成インピ
ーダンスを表す式4、(数5)はCR並列等価回路のレ
ジスタンス表す式5、(数6)はCR並列等価回路のリ
アクタンスを表す式6、(数7)はCR並列等価回路の
抵抗値を表す式7、(数8)はCR並列等価回路の静電
容量値を表す式8である。
【0071】図3(a)は電極間の電気的状態を等価回
路で示したものである。図3(a)において、50は薄
膜電極2の一方の極、51は薄膜電極の他方の極、52
は等価回路における等価的な静電容量成分を表すコンデ
ンサ、53は等価回路における抵抗成分を表す電気抵抗
である。また、図3(b)において、54は時間軸、5
5は波形の振幅を表す軸、56は印加される電圧波形、
57は回路を流れる電流の波形である。
【0072】測定開始直後のギャップ12の間には微生
物を含んだ試料液が存在しており、誘電泳動によって微
生物が電極間のギャップ12に移動する前には、試料液
を電極間誘電体として構成されるコンデンサ52と試料
液による電気抵抗R53が並列に電極50と51間を結
んでいると考えられる。そして、誘電泳動によって微生
物が移動した後は、後述するように微生物体が誘電体微
粒子としてふるまうために、コンデンサ52と抵抗R5
3の絶対値は変化するが、等価回路の接続形態は変わら
ない。以下、この等価回路をCR並列回路と呼ぶ。
【0073】このようなCR並列回路に交流電圧を印加
すると、回路に流れる電流57と印加した電圧56の間
に図3(b)に示すような位相の差が現れることが一般
に知られている。位相差を印加した電圧の周波数を角周
波数ωであらわしたときの角度差θを用いて複素平面上
に極座標表示すると、電圧、電流、位相角の間には図4
に示す関係がある。
【0074】インピーダンスZは測定される印加電圧と
電流の除算で得られ、図4に示されたベクトルの絶対値
に相当する。この時、インピーダンスZはZ=r+jx
(jは虚数単位)の形で表現することができ、レジスタ
ンスrはr=Zsinθとして図3(a)に示されたC
R並列回路の合成インピーダンスの電気抵抗成分、リア
クタンスxはx=Zcosθとして同回路の静電容量成
分の逆数に関連付けられる。
【0075】一方、図3(a)のCR等価回路の合成イ
ンピーダンスは(数4)の式4で表現され、式4をZ=
r+jxの関係からレジスタンスrとリアクタンスxに
分解して(数5)の式5と(数6)の式6を得る。式5
と式6を連立させて変形すると(数7)の式7と(数
8)の式8を得る。
【0076】式7及び式8に測定のための電圧値、その
時の電流値、電圧と電流の位相角の測定値から演算した
r、x、ωを代入することにより等価回路における電気
抵抗R53とコンデンサ52を知ることができる。得ら
れた電気抵抗成分の逆数をとることで電極間のコンダク
タンスを得ることができる。
【0077】このような演算で行って得られたコンダク
タンスの値は、測定を行った時間または測定を行った順
番を表す値と共にメモリに記録されて、一点のデータ採
取に関する作業が終了する。その後、予めプログラミン
グされた所定の回数のデータ数を採取し、測定部6は蓄
積されたコンダクタンスのデータ解析を行う。コンダク
タンスのデータ解析は、時間経過に伴うコンダクタンス
の変化の傾きの値を求めることである。
【0078】コンダクタンスの時間変化の傾きを求める
方法は、得られたデータに対して最小二乗法で求められ
る直線近似を行うのが最も簡単である。微生物の濃度が
高く、時間経過に伴ってコンダクタンスの変化の傾きが
次第に小さくなっていくような曲線の場合でも、採取し
たデータ全体ではなく、初期の一部のデータを取り出し
て接線で直線近似すればよい。データ全体では曲線であ
っても、必要なのは初期のコンダクタンス変化の傾きで
ある。このような微生物濃度が高い試料では、測定毎の
コンダクタンス変化が大きく、はっきりとしたノイズの
少ない測定結果を与えるので、初期の一部のデータだけ
でも十分な精度で傾きを算出することができる。
【0079】さて、なぜコンダクタンスの時間変化の傾
きを測定すれば微生物数を算出することができるかとい
うと、上述したように微生物は電気的には抵抗と静電容
量の並列接続された素子として等価的に表現することが
できるからである。これは微生物がイオンリッチで比較
的電気伝導率が大きな細胞壁と、リン脂質からなり電気
伝導率の小さな細胞膜に囲まれていることに起因する。
誘電泳動によりギャップ12に移動する微生物によって
ギャップ12が架橋されると、微生物を介して薄膜電極
2間に電流が流れるようになる。ギャップ12へ泳動さ
れる微生物の数が増え、微生物による架橋の数が増える
と薄膜電極2に流れる電流が増加するから、薄膜電極2
間のコンダクタンス変化を測定すればその値はギャップ
12付近に移動してきた微生物数、ひいては試料液中に
存在する微生物数に相関した測定結果を得ることができ
るのである。このようなコンダクタンスの時間変化の一
例を示したのが図5である。図5から、測定初期のコン
ダクタンスの時間変化の傾き(勾配)もコンダクタンス
の時間変化と同様に、微生物数に対応して増加している
のが分かる。
【0080】コンダクタンスの時間変化で微生物数を算
出する場合、過渡状態が経過して平衡状態になってから
コンダクタンスを測定することも考えられるが、この場
合どうしても時間が長くかかる。しかし、測定初期のコ
ンダクタンスの時間変化の傾き(勾配)で微生物数を算
出する場合は、比較的短時間で微生物数を算出できると
いう優れた特徴を有している。
【0081】さて、最終的に試料液中の微生物数を表示
するためには、コンダクタンスの時間変化の傾きと試料
中の微生物数の変換式が必要である。この変換式は、実
際に口腔内から得られた試料で作製した試料液を、本実
施の形態1で説明した口腔内衛生状態検査装置の測定系
と、培養法などの従来から微生物数の測定法として確立
している方法を用いて、双方の測定方法で同時に測定
し、従来の確定した方法で測定した微生物数とコンダク
タンスの時間変化の傾きの間の相関関係を回帰分析し、
その結果得られる関数をもちいる。発明者らは測定を繰
り返し、鋭意検討した結果、口腔内に存在する微生物の
種類には個人差があるが、上述した二つの測定方法の間
にはきわめて良好な相関関係が存在する、との知見を得
ている。その一例を図6に示す。図6のグラフによれ
ば、例えば、測定によってコンダクタンス変化の傾きが
0.1と出た場合には、試料液中の微生物数は1ml当
たり10の7乗近傍と算出することができる。このよう
な相関関係を変換式としてプログラミングし、測定部6
のメモリに記憶させることによって、微生物数が未知の
口腔内試料を測定する場合にも、コンダクタンスの時間
変化の傾きの値を代入することにより試料液中の微生物
数を算出できる。
【0082】さて、口腔内に関する個人の臨床的な性質
には差があり、微生物数が比較的多くても口腔内疾患に
全く縁がない人から、その反対に口腔内は比較的清潔で
あると思われるにも関わらず、う触等から逃れられない
という人まで様々である。しかし、どのような体質の人
であれ、歯牙表面のプラーク付着はない方が衛生的とい
う点では違いはない。そこで、実施の形態1で測定され
る微生物数は、歯科医師など専門家の指導によって1度
でよいから、正確に個々の被験者に応じた口腔内衛生状
態の評価をしてもらい、その後はその評価に従って微生
物数をカウントし健康増進を図るのが望ましい。
【0083】以上説明したように、試料液中の微生物数
を測定し表示部8に表示を行ってすべての測定動作が終
了する。被験者は試料液を捨て、再測定する場合は同様
の手順で次の測定を行えばよい。このように本実施の形
態1では、きわめて簡易な方法で、試薬であるとか特別
な装置や訓練を必要とすることなく、客観的に被験者自
らの口腔内の衛生状態を調べることが可能な機器を提供
することができる。
【0084】(実施の形態2)本発明の実施の形態2に
おける口腔内衛生状態検査装置と口腔内衛生状態検査方
法について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、
実施の形態1と重複する部分の説明については実施の形
態1に譲り説明を割愛する。図7は本発明の実施の形態
2における口腔内衛生状態検査装置の全体横成図であ
る。
【0085】図7において、40は測定セル、41は薄
膜電極、42は回転子、43はスターラー、44は泳動
電源部、45は測定部、46は制御部、47は表示部、
48は隔膜、49はイオン交換樹脂である。
【0086】実施の形態2の口腔内衛生状態検査装置
が、実施の形態1の口腔内衛生状態検査装置と最も異な
るところは測定セル40の構成であり、以下、実施の形
態2が実施の形態1と異なる部分について説明を行う。
実施の形態2における測定セル40内部は、隔膜48に
よって機能的に2室に分割されている。実施の形態2に
おける隔膜48はニトロセルロース製のメンブレンフィ
ルタであり、その細孔径は0.45μmである。隔膜4
8はイオンなどの微細なものは通すが、微生物が通過で
きない程度の細孔径を持つものであれば利用することが
可能である。また、実施の形態2においては隔膜48と
いう形で表現しているが、透過/非通過を選択的に可能
にするものであれば形状はとくに制限されるものではな
い。
【0087】本実施の形態2におけるイオン交換樹脂4
9は、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の混合物で
ある。陰イオン交換樹脂はOH型、陽イオン交換樹脂は
H型が用いられる。陰陽それぞれのイオン交換樹脂49
は、試料液中の陰陽イオンをOH-イオンとH+イオンに
交換することで試料液の導電率を低下させるものであ
る。実施の形態2におけるイオン交換樹脂49が、本発
明における試料液の導電率を調整する導電率調整部に相
当する。
【0088】以下、本実施の形態2における口腔内衛生
状態測定装置の一連の動作と手順を実施の形態1と異な
る点につき重点的に説明する。口腔内からの試料採取後
試料を精製水に懸濁させ試料液を作り、測定開始ボタン
を押すことによって制御部46まず試料液の導電率を測
定する過程までは実施の形態1と同様である。
【0089】実施の形態1においては、測定開始前の試
料液の導電率が10mS/mを越えていると判断した場
合には、エラーを表示して試料液を測定可能な導電率に
なるまで希釈するか、または試料を作製し直すことを行
わない限り測定を進めないような処理を行った。しか
し、本実施の形態2では10mS/mを越えていた場合
でも測定を継続する。なお、10mS/mという値は試
料と測定系の組み合わせによって適宜決定されるべきも
のである。
【0090】さて、制御部46は測定開始前の導電率が
10mS/mを越えていると判断した場合には、直ちに
測定を開始するのではなく、予めプログラムで設定され
ている所定時間測定開始時間を遅延する処理を行う。そ
して、所定時間経過後に再度試料液の導電率測定を行い
測定の可否の判断を行う。制御部46が測定開始を遅ら
せている間に、測定セル40内ではイオン交換樹脂49
によって試料液の導電率が低減される。以下、遅延処理
について説明する。
【0091】口腔内からの試料には多数の含有イオンが
含まれるが、その多くはナトリウムイオンと塩化物イオ
ンであり、この2つのイオンを例にあげて、導電率低減
に至る挙動を説明する。他にも陰陽イオンが試料液中に
は存在しているが、その挙動はこの2つのイオンと同様
である。
【0092】測定セル40内に満たされた精製水中に試
料が懸濁されると同時に、精製水中にナトリウムイオン
と塩化物イオンが溶解・拡散していく。濃度勾配によっ
て拡散したナトリウムイオンと塩化物イオンは、容易に
隔膜48を抜けてイオン交換樹脂49と相互作用し、イ
オン交換が生じる。ナトリウムイオンは陽イオン交換樹
脂のH+イオンと交換され、塩化物イオンは陰イオン交
換樹脂のOH-イオンと交換される。イオン交換によっ
て試料液中に放出されたH+イオンとOH-イオンは直ち
に結合して水分子となる。イオン交換樹脂49近傍のナ
トリウムイオンと塩化物イオンは、イオン交換によって
イオン交換樹脂49に捕捉されてしまい、イオン交換樹
脂付近のナトリウムイオンと塩化物イオンの濃度が低下
する。その結果測定セル40内でナトリウムイオンと塩
化物イオンの濃度の不均衡が生じるため、濃度勾配に従
って新たなナトリウムイオンと塩化物イオンがイオン交
換樹脂付近に移動してくる。その後同様のことが繰り返
され、測定セル40内のナトリウムイオンと塩化物イオ
ンの濃度は次第に低下していく。
【0093】イオン交換によって放出されるH+イオン
とOH-イオンは結合した後もほとんど解離することな
く、水分子として結合を保つため結果として測定セル4
0内の試料液の導電率は低下していく。イオン交換樹脂
近傍のイオンと樹脂とのイオン交換反応は瞬間的に終了
するため、ナトリウムイオンと塩化物イオンの初期濃度
が高いほど大きな濃度勾配が生じる。大きな濃度勾配は
それに比例した物質移動(移動するナトリウムイオンと
塩化物イオンの絶対量)を招くので、結局測定セル40
中のナトリウムイオンと塩化物イオンの初期濃度が大き
いほど急激に濃度低下、すなわち導電率の低下が生じ
る。このとき懸濁液中の微生物は、隔膜48を通過する
ことができないため測定セル40内の隔膜48で隔てら
れた電極側にとどまり測定の効率を低下させることがな
い。
【0094】さて、制御部46が測定開始を遅らせてい
る間に、この濃度調整が終わり、所定時間経過後に試料
液の導電率を再び測定したとき、測定開始条件を満たし
ていればそのまま測定を実行する。上述したように試料
液中のイオン濃度が高く、試料液の導電率が高いときに
はイオン濃度の変化が急激に起きるが、試料液の導電率
が10mS/m程度まで低下してくるとイオン濃度の変
化も緩慢になり、10mS/m以下では測定中の導電率
の変化は事実上無視できる程度になる。
【0095】実施の形態2では、試料液の導電率を変化
させる導電率調整部としてイオン交換樹脂49を使用し
たが、同様の目的を達成するための導電率調整部は他の
ものでもよい。例えば、透析を用いる調整である。試料
を懸濁した試料液を、半透膜を介して蒸留水などの低イ
オン濃度の液体と接触させる。すると、半透膜の内外で
のイオン濃度の勾配によって試料液中のイオンは半透膜
を介して蒸留水側に拡散していく。蒸留水の量が試料液
の量に対して十分に多いときには試料液中のイオンはほ
とんど蒸留水側に移行し、結果として試料液中のイオン
濃度が低下する。このとき、蒸留水を流すなどして、常
に試料液との間に大きなイオン濃度の勾配を保つような
工夫を行うことで、迅速に試料液中のイオンを除去する
ことができる。このように試料液中のイオン濃度を低下
させ、試料液の導電率を低減する口腔内衛生状態検査装
置は実施の形態2で説明したものに限られない。
【0096】ところで、実施の形態2においては、測定
部45は最終的に測定を行った試料液の導電率、すなわ
ち試料液の導電率が10mS/mを下回ったという判断
を行った後に測定した導電率をメモリに保持し、後述す
る微生物数算出時の補正のための準備を行う。誘電泳動
による微生物の電極への捕集と、インピーダンス変化を
用いたコンダクタンスの傾き算出までの過程は、実施の
形態1と同様であるので実施の形態1に説明を譲って割
愛する。
【0097】測定部45はコンダクタンスの傾きが得ら
れた後に、以下の考え方に従って試料液の初期導電率に
よるコンダクタンス変化の傾きに補正を加える。以下に
図8を用いて試料液の初期導電率によるコンダクタンス
変化の傾き補正(以下、傾き補正という)の説明を行
う。図8(a)は低イオン濃度における誘電泳動力と泳
動のための電圧の周波数の関係を説明するためのグラ
フ、図8(b)は高イオン濃度における誘電泳動力と泳
動のための電圧の周波数の関係を説明するためのグラ
フ、図9は印加周波数100kHzにおける資料導電率
と規格化された誘電泳動力との関係を表すグラフであ
る。
【0098】さて、すでに実施の形態1において(数
2)の式2を引用し試料液の導電率σ1と誘電泳動力F
の関係の説明を行った。この中の項(ε1−ε2)/
(ε1+2ε2)(claucius−Mossoti
式と呼ばれている)を周波数に対してプロットしたのが
図8(a)と図8(b)である。ここで、εは復素誘電
率であり、例えば(数3)の式3で表現されることは既
に説明したとおりである。上述した(ε1−ε2)/
(ε1+2ε2)の値は、誘電泳動力Fの大きさを表す
(数2)の式2の中の項であり、その値が正で大きいほ
ど誘電泳動力も強くなることが分かる。また、値が正の
時は誘電泳動力は引力として作用するが、値が負になる
と誘電泳動力は斥力として作用することもわかる。
【0099】図8(a)と図8(b)では試料液の導電
率が異なっており。導電率は図8(b)の方が図8
(a)より大である。図8(a),(b)の2つのグラ
フから分かるように、試料液の導電率が大きくなると誘
電泳動が引力として作用する周波数の範囲は狭くなり、
値も小さくなっていくことが分かる。本実施の形態2で
は、微生物数を電極上に移動させ測定するために引力を
使用していることから、試料液の導電率が大きくなると
感度が低下する。このときの試料液の導電率と、誘電泳
動力の強度の関係を印加周波数100kHzにおいてグ
ラフ化したものが図9である。図9のグラフの縦軸はイ
オン濃度が非常に小さな純度の高い水で生じると期待さ
れる誘電泳動力を1として導電率が変化した場合の誘電
泳動力を規格化したものである。以下、図9に点線で示
した値を例にして試料液の初期導電率によるコンダクタ
ンス変化の傾きの補正を説明する。
【0100】図9において、点線で示した導電率の値は
5.2mS/mである。このとき誘電泳動力は、イオン
濃度が非常に小さな純度の高い水で生じると期待される
値の、ちょうど半分の0.5になる。誘電泳動力が半分
になることで一定時間内に電極上に移動してくる微生物
数が減少し、コンダクタンス変化の傾きも半分になる。
従って、試料液の導電率の補正を行わないと、導電率の
影響で算出される微生物数が半分になり、最終的な口腔
内の衛生状態の判定結果が不正確になる。そこで、採取
されたデータから計算されるコンダクタンスをそのまま
プロットして得られる傾きに1/0.5を乗算して補正
を行う。これにより、試料液の導電率が高い条件下で測
定したにも関わらず、イオン濃度が非常に小さな純度の
高い水で測定したときと同じ傾きに換算することができ
る。このような方法により、10mS/m程度以下まで
の試料液で測定されたコンダクタンス変化の傾きであれ
ば、補正が可能である。試料液の導電率が10mS/m
を越えると、補正値がマイナスになってしまい計算結果
が不正になるが、この領域は現象的には誘電泳動力Fが
0であるかまたは斥力を及ぼす領域であり、予め試料液
の導電率を測定することによって、導電率が10mS/
mを越えている場合は測定を行わないようにすれば、計
算結果が不正になることはない。
【0101】実施の形態2で説明したように、試料液の
導電率を調整する機構とコンダクタンスの傾きの値を試
料液の初期導電率の値で補正することで、そのままでは
測定が不可能であるか、または評価結果が不正確になる
ような場合であっても正しい評価を行うことができる口
腔内衛生状態検査装置を提供することができる。
【0102】(実施の形態3)本発明の実施形態3の口
腔内衛生状態検査装置と口腔内衛生状態検査方法につい
て図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施の形
態1と重複する部分の説明については実施の形態1に譲
り説明を割愛する。図10は本発明の実施の形態3にお
ける口腔内衛生状態検査装置の全体横成図である。
【0103】図10において、21は口腔内試料を懸濁
させた試料液を保持するためのセル、22は光源、23
は光源側光学系、24は受光器、25受光側光学系、2
6は測定部、27は表示部、28は制御部、29は光源
からセル21内に入射した光束、30はセル21内の微
生物によって散乱された散乱光である。
【0104】実施の形態3のセル21は、試料液を導入
/排出するための開口部を有するとともに、測定のため
の光束29をセル21内に導入し散乱光を検出する透明
な開口部を有している。ここで透明な開口部というの
は、測定波長において光学的に透明と評価される開口部
という意味である。実施の形態3においては、セル21
は一般的なガラス製の容器を用いている。光源22は、
半導体レーザや発光ダイオード(LED)が小型で消費
電力も少ないため望ましい。しかし、受光器の検出波長
範囲と組み合わせることで、白熱電球、蛍光管、キセノ
ンやナトリウム等のガスを封入した発光管等でも使用可
能である。ただ、実施の形態3においては構成が簡単に
なるため、発振波長660nmの半導体レーザ(以下、
LDという)を使用している。またLDからの照射光は
セル21の中央部で、試料液深さのほぼ中央の部分を横
切るように設定されている。
【0105】実施の形態3における光源側光学系23
は、光源22としてLDを使用しているため光束29が
特定方向に強力に放出されるから、これをそのままセル
21に入射して測定すればよい。従って、とくに光学系
を設ける必要がないのであるが、実施の形態3ではビー
ムの断面形状を整えるためのシリンドリカルレンズや、
光束29の広がりを制御するコリメーターレンズを使用
している。光源22が白熱電球などの場合には、光源側
光学系23は上記の構成に加えて反射鏡やスリット、波
長の選択透過フィルタなどを設ける必要があり、やや複
雑なものになる。
【0106】受光器24は一般的なフォトダイオード
(以下PDとする)が使用される。受光器24に関して
は様々なタイプのものが広く知られており、使用可能な
受光器24は多い。上述したように受光器24は光源2
2側の特性に合わせて選択されればよい。また、このこ
とは受光側光学系25についても同様のことが言え、光
源22および受光器24の組み合わせによって様々な光
学系を使用可能である。実施の形態3においては、受光
側光学系25には詳細に図示しないがセル21内の光束
29からの散乱光30をPDに集光するためのレンズが
設けられている。
【0107】以上説明したセル21および光学系は、外
部からの迷光による測定誤差を避けるために、全体が外
部からの光を遮断することができる容器内に収納されて
いる。測定部26には図示しないマイクロプロセッサ、
メモリ、光源22用のLDドライバ回路、PDからの信
号を増幅して検出する検出回路等が備えられており、散
乱光30の強度を検出して微生物数を定量検出し、さら
にその結果を口腔内の衛生状態の評価へと換算すること
ができる。
【0108】表示部27は、本実施の形態3における最
終出力としての口腔内の衛生状態の評価結果を被験者に
知らしめるための表示を行う。表示の形態については既
に実施の形態1において説明を行ったので割愛する。ま
た、本実施の形態3における口腔内衛生状態検査装置の
評価結果を他の機器の制御のために用いる場合はとくに
表示を行う必要がない。一連の動作は制御部28によっ
て制御される。
【0109】さて、実施の形態3における一連の測定動
作と手順を以下に説明する。試料の採取については実施
の形態1と同様であるので割愛する。実施の形態3にお
ける試料の懸濁媒は、散乱光を測定するという原理上微
粒子やこまかな泡など光を散乱してバックグラウンドを
高めるノイズ成分が混入していないようにすることに注
意を払う必要がある。その組成については実施の形態1
で説明したような液体が使用可能である。また、実施の
形態1と異なり懸濁媒がイオンを含むものであっても測
定に支障がない。
【0110】実施の形態3においても、試料の性質上懸
濁が容易であるという理由で、懸濁媒に精製水を使用し
ている。イオンを含んでいても問題ないので、精製水で
なくとも一般の水道水も使用可能であるが、微粒子の混
入についてばらつきがあることが懸念されるため精製水
としている。さらには測定前に精製水を0.22〜0.
45μm径のフィルタで濾過することができれば測定の
精度を向上させる意味で望ましい。
【0111】試料の精製水への懸濁も実施の形態1に同
様である。図10にはセル21内を攪拌する機構を設け
てはいないが、攪拌や超音波振動など、試料の懸濁を助
けるような流動促進手段をセルに設けることが望ましい
のはいうまでもない。セル21内に試料液が準備される
と、被験者は図示しない装置の電源部スイッチを投入
し、やはり図示しない測定開始ボタンを押して装置に測
定開始を指示する。測定開始の指示を受け制御部28は
測定部26を制御して光源22を点灯させる。以下、制
御部は各部と連携しながらメモリ上にあらかじめ保存さ
れたプログラムに従ってスムーズに測定を進めていく。
【0112】光源22の点灯後、測定部26は受光器2
4からの信号を検出する。実施の形態3における光源2
2のLDの波長は660nmであり、測定対象の比較的
小さな細菌でも1μm程度の大きさであるから、光束2
9の通過する光路上にこれら微生物が存在すると光束2
9の一部が散乱される。散乱された光の一部は受光側光
学系25に備えられた図示しないレンズによって集光さ
れ受光器24に導かれる。受光器24としてのPDに入
射した散乱光はPDによって電気信号に変換され測定部
26によって検出される。
【0113】受光器24としてのPDからの出力電圧は
入射した散乱光量に応じて変化し、散乱光量は光束29
上に存在する微生物の数によって変化するため、PDの
出力電圧を検出することで測定部26は光路上に存在す
る微生物の数を測定することができる。
【0114】光路上の微生物数はセル21内に満たされ
た試料液中を浮遊している微生物の平均的な数を反映し
ており、光路上の微生物数から最終的に試料中の微生物
数を算出することが可能になる。ここで、光を散乱する
のは微生物ばかりではなく、口腔内に存在する食べカス
や懸濁時に混入した泡なども同様であり、これらは微生
物に対して非常に大きいので大きなノイズとして検出さ
れてしまう恐れがある。これを防ぐために実施の形態3
では、測定開始後から予め設定された所定時間連続して
測定を行い、散乱光の時間変化を監視する。時間経過と
ともに、食べかすなどの大きな浮遊物は迅速に沈降して
セル21の底部に堆積し、また気泡は浮力によって浮上
しセル上部の液面近傍へ移動するが、微生物は、ブラウ
ン運動の影響を受けて容易に沈降せず、また浮上するこ
ともないため一定時間経過後した後には散乱光はほぼ微
生物に依存したものだけになる。測定部26は散乱光が
一定時間大きな変動が無くなったことを確認した後、そ
の時点での値を測定結果として微生物数の算出を行う。
【0115】散乱光強度からの試料液中の微生物数の計
算は、実施の形態1で説明した方法と同様、本実施の形
態3で測定した試料液をそのまま培養法等の既に確立し
た微生物数の測定法で追試験し、それらの結果の相関性
を関数化またはテーブル化して演算/参照することによ
って算出する。微生物数を最終出力である衛生状態の評
価へ換算する部分も実施の形態1に同じであるので割愛
する。評価結果を表示部27に表示し、被験者にその結
果を知らしめることで一連の測定動作を終了する。
【0116】ここで、本実施の形態3では光束29が貫
くセル21内の光路上に存在する微生物に起因した散乱
光を測定することによって微生物数を算出し、最終的に
口腔内の衛生状態の評価結果に結びつける実施の形態を
説明したが、測定は散乱光だけでなく透過光によっても
行うことができる。上述したように、光束29が貫く光
路上に微生物が存在すると、光束29の一部は散乱され
る。光束29の一部が散乱されるということは散乱点以
降の光束29の強度は散乱光の分弱くなるということで
あり、つまりは散乱光が多ければ多いほど、すなわち試
料液中の微生物数が多ければ多いほど透過光の強度は低
下していく。
【0117】従って、散乱光と透過光の測定を行うこと
は同じ現象を表裏に評価することであり、測定系の構成
を変更すれば透過光を測定しても実施の形態3と全く同
様の考え方で試料液中の微生物が測定できる。光源22
と受光器24を直線上に対向して配置することで容易に
実現できる。散乱光の場合は微生物数が増加すればする
ほど受光部で検出される光量が増加し、透過光の場合は
減少する。透過光の減少分を散乱光の強度測定結果と同
様の取り扱いで処理すれば試料中の微生物数、ひいては
口腔内の衛生状態の評価を行うことができる。
【0118】このように口腔内から得られた試料を液体
に懸濁した試料に対し光を用いた測定を行うことでも口
腔内の衛生状態を評価する装置を実現することができ
る。
【0119】(実施の形態4)本発明の実施形態4の口
腔内衛生状態検査装置と口腔内衛生状態検査方法につい
て図面を参照しながら詳細に説明する。なお、前述した
他の実施の形態と重複する部分については説明を割愛す
る。図11は本発明の実施の形態4における口腔内衛生
状態検査装置の全体構成図である。
【0120】図11において、60は試料を収容するこ
とができる密閉可能なセル、61はセル60内に配置さ
れたガスセンサ、62は測定部、63は表示部、64は
制御部、65は口腔内から採取された試料を含む冶具で
ある。
【0121】セル60は内部にガスセンサ61を備え、
試料の出し入れをするための開閉部を備えている。セル
60は開閉部によって密閉され、測定時は外部との間に
空気の出入りができないようになっている。セル60は
それ自体が揮発性物質を含まないようにガラスの容器を
採用している。プラスチック等の材料でもよい。また、
本実施の形態4では採用していないが、より高感度な測
定を行うためには、セル60全体をヒーター等の手段で
加熱すると良い。加熱によって試料からの物質の揮発が
より活発になり、加熱していない時に比較してセル60
内の揮発性物質の濃度が高まることで結果的に高感度な
測定を実施することができる。
【0122】実施の形態4においては、ガスセンサ61
は、酸化スズなどを焼結した酸化物セラミックスからな
るセンサ本体と、図示しないがセンサ本体を加熱し測定
を安定して行うためのヒーターを備えている。セル60
内の揮発性物質にセンサ本体が感応すると、セラミック
スに接続された電極間の特性が変化し、電流の形でその
変化を外部に取り出すことができる。ガスセンサ61は
セル60内の揮発性物質に感応すればよく、他の構成の
このでも構わない。既に多数の方式、材料組成からなる
ガスセンサ61が提案されており、それらの中から本発
明の目的に適うものを適宜選択して使用することができ
る。さらに、ガスセンサ61に搭載されるセンサ本体は
1種類に限定されるものではなく、複数の種類のガスセ
ンサを同時に搭載し、同時に稼働させることもできる。
【0123】測定部62は、ガスセンサ61を使ってセ
ル60内の揮発性物質を測定するために必要な回路を備
えている。例えば、センサ本体を加熱するために用いる
ヒーター用の電源回路、センサを流れる電流を検出する
ための検出回路、電流値を基に演算を行うための演算回
路等である。こうした回路はプログラム的にマイクロプ
ロセッサで構成するのがよい。このほか、演算結果を一
時的に保存するためのメモリ等も設けられる。
【0124】制御部64と表示部63の構成とその動作
は、実施の形態1で既に説明した制御部7および表示部
8と基本的に同一であるので説明を省略する。口腔内か
ら採取された試料を含む冶具65は、本実施の形態4に
おいては実施の形態1同様の綿棒を用いている。
【0125】ここで、口腔内の衛生状態を評価するため
に口腔内から得られる試料中の揮発性物質を測定する意
味について説明する。口腔内から得られる試料中の揮発
性物質の種類や量は、口臭と密接に関係しており、口臭
は口腔内の微生物の代謝活動によって生じるものが多
く、口腔内の微生物の数や種類と関連している。口腔内
の衛生状態が微生物の存在によって評価できることは既
に説明した通りであり、このことから、口腔内から得ら
れる試料中の揮発性物質の種類や量は、プラーク、そし
て口腔内の衛生状態には密接な関係を有すことになる。
【0126】例えば、先に説明した歯周ポケットの深部
に生育するPG菌等の微生物は嫌気的な雰囲気を好む。
一般に嫌気性の微生物、特に嫌気性の細菌は、その代謝
に際して硫化水素やメルカプタン化合物などの臭気の強
烈な物質を生成することが多い。口腔内の衛生状態が損
なわれ、歯周病に罹患するとこれら歯周ポケット内に生
息する微生物によって口臭が著しく強まる。そこで、口
腔内から得られる試料中の揮発性物質の種類や量を調べ
ることで、プラークの付着状況が分かり、口腔内の衛生
状態を判定することが可能となる。歯槽膿漏や虫歯によ
り歯牙が損傷を受けるという口腔内の疾病的な弊害のほ
かに、試料中の揮発性物質の種類や量を調べることで、
口臭によって口腔内の衛生状態が分かり、疾病のほかに
口臭対策も可能になる。
【0127】さて、実施の形態4における試料の採取か
ら口腔内の衛生状態評価にいたるまでの一連の流れを説
明する。実施の形態4における試料の採取は実施の形態
1同様に綿棒を用いているので、手順は実施の形態1と
同じである。ただ、実施の形態4における試料は、唾液
よりも歯牙表面や歯牙と歯茎の境目をこすって採取した
プラークなどの方がより好ましい。それは本実施の形態
4における衛生状態の判定方法は、上述したように主に
歯牙と歯茎の境目の歯周ポケットに生息する微生物の分
析により適しているからである。試料を採取した後、被
験者は冶具をセル60内に投入して密閉する。そして図
示しない測定開始ボタンを押して制御部64に測定開始
を伝える。
【0128】制御部64は、測定開始の指示を受けて直
ちに測定部62を制御し、セル60内の揮発性物質量の
測定を開始する。実施の形態4において使用しているセ
ラミックス系のガスセンサ61は対象ガスの選択性がそ
れほど高くないため、いわばあらゆる揮発性物質につい
て検出が可能なものである。
【0129】測定部62は、ガスセンサ61からの信号
の強度を測定して口腔内のプラーク付着状況と衛生状態
を評価する。ガスセンサ61と口腔内の衛生状態評価の
間の換算は、予め専門家が指導した衛生状態の評価と、
本測定法によるガスセンサ61の信号強度の間の相関性
を表す関数を定め、その関数を予めプログラミングして
おくことで行う。算出された評価結果は表示部63に表
示されて被験者に報知される。本実施の形態4ではガス
センサを1種類使用した場合のみを説明したが、複数の
ガスセンサを併用してより詳細な解析を行って評価を行
うことも可能であるし、またセンサが1種類であって
も、特定のガス、例えば硫化水素やメルカプタン系の化
合物を選択的に測定して評価するのも望ましい。
【0130】このように、口腔内から得られた試料を密
閉容器に入れガスセンサを用いて試料からの揮発性物質
の測定を行うことで、実施の形態4の口腔内衛生状態検
査装置は疾病のほかに口臭も対策することが可能にな
る。
【0131】
【発明の効果】本発明の請求項1に記載された口腔内衛
生状態検査装置は、制御部が電極に電圧を印加して試料
液中の微生物を誘電泳動力によって該電極上に捕集し、
測定部が捕集後または捕集中の電極間のインピーダンス
を測定することで試料液中の微生物数を定量的に算出
し、口腔内の衛生状態の評価を行うから、試薬であると
か特別な装置や訓練を必要とすることなく、簡易かつ客
観的に自らの口腔内の衛生状態を調べることができる。
【0132】請求項2に記載された口腔内衛生状態検査
装置は、試料液と電極の相対位置を変化させる流動促進
手段を備えたから、試料液中の微生物を効率よく電極上
に集めることができ、迅速な測定を行うことができる。
【0133】請求項3に記載された口腔内衛生状態検査
装置は、誘電泳動によって試料中の微生物を電極上に捕
集する前に、測定部が試料液の導電率を測定するから、
イオン濃度の高い試料液等の測定ミスを未然に防ぐこと
ができ、信頼性の高い判定結果を導き出すことができ
る。
【0134】請求項4に記載された口腔内衛生状態検査
装置は、試料液の導電率を調整する導電率調整部を備え
たから、最適な条件で誘電泳動と測定を行うことがで
き、迅速で精度の高い測定を行うことができる。
【0135】請求項5に記載された口腔内衛生状態検査
装置は、測定部が試料液の導電率を測定し、測定した導
電率を基に測定結果を補正するから、試料の性質に寄ら
ず常に正確な判定結果を導き出すことができる。
【0136】請求項6に記載された口腔内衛生状態検査
装置は、試料に対して光束を入射させたときの散乱光量
を検出回路が検出することによって試料中のプラーク量
を定量検出し、口腔内の衛生状態の判定根拠にするか
ら、簡易な構造でありながら口腔内の衛生状態の高精度
な判定をすることができる。
【0137】請求項7に記載された口腔内衛生状態検査
装置は、試料に対して光束を入射させたときの透過光量
を検出回路が検出することによって試料中のプラーク量
を定量検出し、口腔内の衛生状態の判定根拠にするか
ら、簡易な構造でありながら口腔内の衛生状態の高精度
な判定をすることができる。
【0138】請求項8に記載された口腔内衛生状態検査
装置は、測定部に試料から発生する揮発性物質を検出す
る少なくとも1つ以上のガスセンサと、該ガスセンサで
検出した揮発性物質信号から該揮発物質量を検出する検
出回路が設けられ、試料から発生する揮発性物質量を検
出回路が検出することによってプラーク付着状況を推定
し、口腔内の衛生状態の判定根拠にするから、臨床的に
問題となる口臭を直接調べることができ、臨床的に問題
となる口臭を直接調べることができ、実質的に十分な精
度で口腔内の衛生状態の判定をすることができる。
【0139】請求項9に記載された口腔内衛生状態検査
方法は、セル内に口腔内から採取されたサンプルを含む
試料液を導入し、試料液中の微生物を誘電泳動力によっ
て電極上に捕集するとともに、電極間のインピーダンス
を測定することで試料液中の微生物数を定量的に算出
し、口腔内の衛生状態を評価するから、試薬であるとか
特別な装置や訓練を必要とすることなく、簡易かつ客観
的に自らの口腔内の衛生状態を調べることが可能とな
る。
【0140】請求項10に記載された口腔内衛生状態検
査方法は、セル内に口腔内から採取されたサンプルを含
む試料液を導入し、該セル内に光源から光束を入射し、
セル内の試料液で散乱した散乱光の光強度を検出して試
料中のプラーク量を検出し、口腔内の衛生状態の判定根
拠にするから、試薬であるとか特別な装置や訓練を必要
とすることなく、簡易かつ客観的に自らの口腔内の衛生
状態を調べることが可能となる。
【0141】請求項11に記載された口腔内衛生状態検
査方法は、セル内に口腔内から採取された試料を保持
し、ガスセンサで該試料から発生する揮発性物質量を検
出回路で検出することによってプラーク付着状況を推定
し、口腔内の衛生状態の判定根拠にするから、臨床的に
問題となる口臭を直接調べることができ、臨床的に問題
となる口臭を直接調べることができ、実質的に十分な精
度で口腔内の衛生状態の判定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における口腔内衛生状態
検査装置の全体横成図
【図2】本発明の実施の形態1における電極の説明図
【図3】(a)電極間の電気的状態を等価回路で示した
説明図 (b)電流と電圧の位相の差を表した説明図
【図4】インピーダンスのベクトル分解を説明する説明
【図5】コンダクタンスの時間変化図
【図6】培養による微生物数測定とコンダクタンス変化
の傾きの相関図
【図7】本発明の実施の形態2における口腔内衛生状態
検査装置の全体横成図
【図8】(a)低イオン濃度における誘電泳動力と泳動
のための電圧の周波数の関係を説明するためのグラフ (b)高イオン濃度における誘電泳動力と泳動のための
電圧の周波数の関係を説明するためのグラフ
【図9】印加周波数100kHzにおける資料導電率と
規格化された誘電泳動力との関係を表すグラフ
【図10】本発明の実施の形態3における口腔内衛生状
態検査装置の全体横成図
【図11】本発明の実施の形態4における口腔内衛生状
態検査装置の全体構成図
【符号の説明】
1,40 測定セル 2,41 薄膜電極 3,42 回転子 4,43 スターラー 5,44 泳動電源部 6,26,45,62 測定部 7,28,46,63 制御部 8,27,47,64 表示部 10 電極基板 11 導電性薄膜 12 ギャップ 20,21,60 セル 22 光源 23 光源側光学系 24 受光器 25 受光側光学系 29 光束 30 散乱光 48 隔膜 49 イオン交換樹脂 61 ガスセンサ 65 冶具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/48 G01N 33/483 E 4C052 33/483 33/50 G 33/50 21/03 Z // G01N 21/03 A61C 19/04 Z (72)発明者 有本 憲弘 愛知県名古屋市千種区日岡町1−31−1有 本ビル501 (72)発明者 山根 尚子 三重県三重郡菰野町大字菰野1422 (72)発明者 山田 三良 岐阜県岐阜市加納大右町14 (72)発明者 西川原 総生 愛知県海部郡蟹江町大字蟹江本町字海門8 (72)発明者 末廣 純也 福岡県糟屋郡新宮町桜山手2丁目18番8号 (72)発明者 西尾 哲也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 八浪 竜一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA28 CB07 CB21 FA11 FA34 FB05 GC30 2G046 AA18 BA09 BB01 BC01 BE01 BE04 DC14 DC16 DC17 DC18 EB01 FB02 FE39 2G057 AA01 AA02 AB01 AB04 AB06 AB07 AC01 AC03 AD02 AD07 BA01 BB01 DA04 EA06 2G059 AA05 AA06 BB12 CC16 DD12 DD16 EE01 EE02 FF04 GG01 GG02 GG10 HH02 HH06 JJ02 JJ11 JJ13 KK01 LL04 MM01 MM03 MM05 MM10 PP04 2G060 AA06 AD08 AE40 AF03 AF06 AF08 AF11 GA01 HA02 HC07 HC13 HC19 HC21 HC22 HD01 HD02 KA09 4C052 MM10 NN01 NN16

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に測定のための電極を備え口腔内から
    採取されたサンプルを含む試料液を保持することができ
    るセルと、前記電極に誘電泳動を行うための電圧を印加
    する電源部と、試料液中の微生物数を算出する測定部
    と、前記電源部と前記測定部を制御するための制御部と
    を備え、前記制御部が前記電極に電圧を印加して試料液
    中の微生物を誘電泳動力によって該電極上に捕集し、前
    記測定部が捕集後または捕集中の前記電極間のインピー
    ダンスを測定することで試料液中の微生物数を定量的に
    算出し、口腔内の衛生状態の評価を行うことを特徴とす
    る口腔内衛生状態検査装置。
  2. 【請求項2】誘電泳動によって試料中の微生物を電極上
    に捕集するときに、試料液と電極の相対位置を変化させ
    る流動促進手段を備えたことを特徴とする請求項1記載
    の口腔内衛生状態検査装置。
  3. 【請求項3】誘電泳動によって試料中の微生物を電極上
    に捕集する前に、前記測定部が試料液の導電率を測定す
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の口腔内衛
    生状態検査装置。
  4. 【請求項4】試料液の導電率を調整する導電率調整部を
    備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の口腔内衛生状態検査装置。
  5. 【請求項5】前記測定部が試料液の導電率を測定し、測
    定した導電率を基に測定結果を補正することを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の口腔内衛生状態検査
    装置。
  6. 【請求項6】口腔内から採取され液体に懸濁された試料
    を保持するセルと、試料中のプラーク量を測定する測定
    部と、該測定部を制御する制御部を備え、前記測定部に
    は、前記セル内に光束を入射する光源と、該セル内で散
    乱した光を検出する光検出器と、前記光源を発光するた
    めの電源回路と、前記光検出器で検出した散乱光の光強
    度を検出する検出回路が設けられ、試料に対して光束を
    入射させたときの散乱光量を前記検出回路が検出するこ
    とによって試料中のプラーク量を定量検出し、口腔内の
    衛生状態の判定根拠にすることを特徴とする口腔内衛生
    状態検査装置。
  7. 【請求項7】口腔内から採取され液体に懸濁された試料
    を保持するセルと、試料中のプラーク量を測定する測定
    部と、該測定部を制御する制御部を備え、前記測定部に
    は、前記セル内に光束を入射する光源と、該セル内を透
    過した光を検出する光検出器と、前記光源を発光するた
    めの電源回路と、前記光検出器で検出した透過光の光強
    度を検出する検出回路が設けられ、試料に対して光束を
    入射させたときの透過光量を前記検出回路が検出するこ
    とによって試料中のプラーク量を定量検出し、口腔内の
    衛生状態の判定根拠にすることを特徴とする口腔内衛生
    状態検査装置。
  8. 【請求項8】口腔内から採取された試料を保持するセル
    と、試料中のプラーク量を測定する測定部と、該測定部
    を制御する制御部を備え、前記測定部には、前記試料か
    ら発生する揮発性物質を検出する少なくとも1つ以上の
    ガスセンサと、該ガスセンサで検出した揮発性物質信号
    から該揮発物質量を検出する検出回路が設けられ、試料
    から発生する揮発性物質量を前記検出回路が検出するこ
    とによってプラーク付着状況を推定し、口腔内の衛生状
    態の判定根拠にすることを特徴とする口腔内衛生状態検
    査装置。
  9. 【請求項9】測定のための電極を備えたセル内に口腔内
    から採取されたサンプルを含む試料液を導入し、前記電
    極に電圧を印加して誘電泳動を行い、試料液中の微生物
    を誘電泳動力によって前記電極上に捕集するとともに、
    前記電極間のインピーダンスを測定することで試料液中
    の微生物数を定量的に算出し、口腔内の衛生状態を評価
    することを特徴とする口腔内衛生状態検査方法。
  10. 【請求項10】測定のための電極を備えたセル内に口腔
    内から採取されたサンプルを含む試料液を導入し、該セ
    ル内に光源から光束を入射し、前記セル内の試料液で散
    乱した散乱光の光強度を検出して試料中のプラーク量を
    検出し、口腔内の衛生状態の判定根拠にすることを特徴
    とする口腔内衛生状態検査方法。
  11. 【請求項11】セル内に口腔内から採取された試料を保
    持し、ガスセンサで該試料から発生する揮発性物質量を
    検出回路で検出することによってプラーク付着状況を推
    定し、口腔内の衛生状態の判定根拠にすることを特徴と
    する口腔内衛生状態検査方法。
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