JP2003024098A - イヌリン測定キャリブレータ、精度管理用試料およびイヌリン測定方法 - Google Patents

イヌリン測定キャリブレータ、精度管理用試料およびイヌリン測定方法

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JP2003024098A
JP2003024098A JP2001219539A JP2001219539A JP2003024098A JP 2003024098 A JP2003024098 A JP 2003024098A JP 2001219539 A JP2001219539 A JP 2001219539A JP 2001219539 A JP2001219539 A JP 2001219539A JP 2003024098 A JP2003024098 A JP 2003024098A
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Shinsuke Kimata
木全  伸介
Katsuhiko Mizuguchi
水口  克彦
Shizuo Hattori
静夫 服部
Toshiyo Ogauchi
俊世 小河内
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間で、正確に、試料中のイヌリンを測定
する方法、イヌリン測定用キャリブレータ及びイヌリン
測定用精度管理用試料を提供する。 【解決手段】 イヌリンの加水分解で生成しえる物質を
イヌリン測定に誤差を与える程度まで含有しないイヌリ
ン製剤、特に、イヌリンに含まれるフラクトース、グル
コース、シュークロース、1−ケストース、ニストー
ス、フラクトフラノシルニストースの総含有量が10%
(w/w)以下であるイヌリン製剤を、キャリブレータ
および/または精度管理用試料に使用してキャリブレー
ションおよび/または精度管理を行ってイヌリンを測定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イヌリンを正確に
測定するための方法およびキャリブレータおよび/また
は精度管理用試料、さらに該測定方法あるいは該キャリ
ブレータおよび/または該精度管理用試料を用いて、腎
機能を正確に測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】腎機能の一指標である糸球体濾過値(G
FR:glomerular filtration rate)は、一般に、クレ
アチニン等の内因性物質、チオ硫酸ナトリウム・イヌリ
ン・放射性のEDTAやイオタラム酸等の外因性物質を
用いたクリアランス試験によって測定される。
【0003】クレアチニンクリアランスは、クレアチニ
ンが内因性物質であるため被験者への侵襲が少ないメリ
ットはあるが、測定の正確性に関して、尿細管からの分
泌があること、クレアチニン産生量が食事や運動等の影
響をうけること等の問題点の指摘がある。また、チオ硫
酸ナトリウムクリアランスは、チオ硫酸ナトリウムが、
強く陰性に帯電している近位尿細管腔において水素イオ
ンの多量分泌を促し、GFRに影響を与える可能性が指
摘されている。また、イオタラム酸をはじめとする放射
性物質を用いたクリアランスは、放射性物質の取り扱い
に資格を要すること、放射性負荷に対する配慮が必要で
あること等に問題点の指摘がある。
【0004】これらに対し、イヌリンは完全に糸球体に
より濾過されるのでクリアランス測定に理想的な物質と
されている。イヌリンクリアランスを測定する際には、
例えば、静脈注射により被験者にイヌリンを投与し、そ
の前後で経時的に単回または複数回採取した被験者の血
液および/または尿について、イヌリン濃度を下記に示
すいずれかの方法等で測定する。測定の際には、通常、
キャリブレーションおよび/または精度管理を行い、イ
ヌリン濃度既知のキャリブレータおよび/または精度管
理用試料中のイヌリンについても同様に下記に示すいず
れかの方法等で測定する。
【0005】イヌリンの測定方法については、従来、イ
ヌリンを強酸で加熱して産生するフルフラールをアンス
ロン等と反応させて発色させる方法が多用されてきた。
しかし、強酸での加熱操作が煩雑で危険性が高く、また
自動分析機等への適用が困難なことから迅速性、安全性
に欠ける点が指摘されている。また、反応が非特異的で
グルコース等他の糖類の影響を受けること等の正確性に
欠ける点が指摘されている。このことから、クリアラン
スに好適な物質としてのイヌリンの長所を損なうことに
なる。
【0006】そこで、これら問題点に対しイヌリンを簡
便でより正確に測定する方法として、種々の酵素法が開
発されてきた(特開昭62−205799号公報、臨床
化学第10巻64〜69ページ(1981)、臨床化学
第23巻164〜169ページ(1994)、特公昭
59−35592号公報)。これらの酵素法は、イヌリ
ンを一般にイヌリナーゼ等と呼ばれる酵素を用いて単糖
に分解し、生じたフラクトースを種々の方法で測定する
ものである。
【0007】酵素法では内因性グルコースの影響を受け
ずにイヌリン測定することが可能となり、また、臨床化
学 第23巻164〜169ページ(1994)に記載
のように反応時間を20分以上に設定可能な特定の自動
分析機への適用が可能となることが確認されている。し
かしながら、これらの酵素法においても、なお、反応時
間は予備加温時間も含めて26分以上を要する。その理
由は、主として、イヌリナーゼの酵素活性が、イヌリン
を短時間で完全に単糖に分解するには不十分であること
によると考えられる。
【0008】一方、前述のようにイヌリンは糸球体濾過
量の測定に好ましい物質であるが、我が国においては医
薬品としての使用は認められておらず、低カロリー食品
の補助材料として使用されているに過ぎない。このこと
から、これまで、イヌリンを正確に測定する際のキャリ
ブレータおよび/または精度管理用試料としての品質ま
で追求されたものはなかった。
【0009】ところで、イヌリン(単に「イヌリン」と
記載した場合、化学物質としてのイヌリンを意味する)
は、グルコースをターミナルとしてフラクトースがn=
2〜60で直鎖に結合した多糖類で定義される。一方、
我々が試薬あるいは製剤等として用いるイヌリン(以下
「イヌリン製剤」とよぶ)は、一般には、チコリなどの
塊茎より精製して得られるが、生化学実験講座4 糖質
の化学(上) p109-111(東京化学同人)に記
載のとおり、熱または溶解液pH等の影響により加水分
解されやすい物質であり、通常、フラクトース、グルコ
ース、シュークロース、さらには重合度の低い(10以
下)イヌロオリゴ糖を含有している。
【0010】イヌリンは、また、起源や製法の違いによ
り分子量や分布量が異なる。イヌリン分解酵素であるイ
ヌリナーゼは、末端から1単糖ずつ分解していくエキソ
型と糖鎖の真ん中を切断するエンド型の2タイプに大別
されるが、そのイヌリン分解反応に対する酵素活性は、
それぞれを単独で用いた場合あるいは組み合わせた場合
のいずれにおいても、イヌリンを短時間で完全に単糖に
分解するには不十分である。前述の各酵素法では、イヌ
リナーゼによる分解反応時間を長くしてこれらの懸念を
回避することができるが、反応時間を最長でも20分以
上延ばすことはできない最近主流の汎用自動分析機に適
用しようとする場合は、反応時間を短くして加水分解反
応を途中で(反応初期で)止めざるを得ない。
【0011】しかし、従来のイヌリン製剤をキャリブレ
ータおよび/または精度管理用試料に使用してキャリブ
レーションおよび/または精度管理を行ってイヌリン測
定する場合は、反応時間を長くすることができない汎用
自動分析機に適用させるため反応初期で加水分解を止め
ると、正確なイヌリン測定値が得られない問題があっ
た。特に、従来のイヌリン製剤は、その分解反応がイヌ
リナーゼのエキソ型・エンド型の比率による影響を受け
るため、エキソ型・エンド型の比率の異なるイヌリナー
ゼを用いる場合には単糖類への分解速度に影響し、一定
した測定値が得られない問題もあった。フラクトース定
量用の試薬等へ飛び込んだコンタミ成分や、キャリブレ
ータまたは精度管理用試料の添加物等に由来する種々の
化学物質が、イヌリナーゼのエキソ型・エンド型の活性
比率に影響を与える場合には、反応性差が拡大する要因
になりうる。加えて、イヌリナーゼのエキソ型、エンド
型比率にロット間差があると反応性差がさらに大きくな
ると考えられる。またさらには、注射用製剤として用い
るイヌリン製剤とキャリブレータとして用いるイヌリン
製剤に含有されるイヌリンの分子量または組成の違いが
イヌリン測定誤差の要因になる可能性がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記イヌリ
ン測定方法の問題点を解消し、短時間で、正確に、試料
中のイヌリンを測定する方法、イヌリン測定用キャリブ
レータ及び精度管理用試料を提供し、得られたイヌリン
測定値を用いて、より正確性の高いクリアランスの評価
方法を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討したところ、グルコース、フ
ラクトース、シュークロース、イヌロオリゴ糖などを含
んだイヌリン製剤をキャリブレータおよび/または精度
管理用試料として用いた場合、反応時間を長くすること
ができない汎用自動分析機に適用する際に、イヌリン製
剤に含まれるグルコース、フラクトース、シュークロー
ス、イヌロオリゴ糖などの種類及び含量がイヌリン測定
値に大きな影響を与えていることを発見し、このことか
ら、イヌリン分解反応の反応初期において試料中の単
糖、及びグルコースを末端とする比較的重合度の小さい
糖がイヌリン分解反応に影響を与えていることを見出
し、本発明を完成させた。すなわち、本発明者らは、こ
の発見に基づき、イヌリン製剤に含まれる、イヌリンの
加水分解で生成しえる物質であるフラクトース、グルコ
ース、シュークロース、イヌロオリゴ糖等を、総量とし
て一定量以下とすることで、イヌリン分解の反応初期の
測定値の変動がなくなるため、反応時間を短くして加水
分解反応を途中で(反応初期で)止めることでき、キャ
リブレーションおよび精度管理を反応時間を長くするこ
とができない汎用自動分析機においても行うことができ
ることを見出した。また、このようなイヌリン製剤では
従来より少ないイヌリナーゼの量で、さらにエキソ型/
エンド型の比率の影響も少なく、キャリブレーションお
よび精度管理を行うことができることを見出した。従っ
て、本発明によれば、短時間で、正確に、試料中のイヌ
リンを測定でき、汎用自動分析機への適用も可能であ
る。
【0014】なお、本明細書において「正確」とは、イ
ヌリン標準品を測定した場合、測定値と標準値の差が許
容限界内であることである。また、許容限界とは試料マ
トリックスに起因するバイアスと分析条件に起因する誤
差を総じた範囲である。このことから、試料マトリック
スおよび分析条件により許容限界は異なる。また、誤差
の範囲は種々の方法により定義されるが、科学的あるい
は統計的に根拠のある手法に則り定義されたものであれ
ば特に限定されない。例えば、本発明のイヌリン製剤2
ロットを各々水溶液、緩衝液、血清、尿等から選ばれた
溶媒で調製し、該物質を試料として同時に測定する場
合、該物質測定の平均値の差を危険率5%のt検定で有
意差検定を行うことで判断することができる。また、試
料マトリックスの影響が考えられる場合は各溶媒に起因
するバイアスを測定し、該物質の平均値を該バイアスで
補正することができる。
【0015】すなわち本発明は、以下の通りである。 (1)イヌリンの加水分解で生成しえる物質をイヌリン
測定に誤差を与える程度まで含有しないイヌリン製剤を
キャリブレータおよび/または精度管理用試料として用
いることを特徴とするイヌリン測定方法。 (2)イヌリンの加水分解で生成しえる物質がフラクト
ース、グルコース、シュークロース、イヌロオリゴ糖か
ら選ばれる1つないしは複数の物質である、(1)記載
のイヌリン測定方法。 (3)イヌロオリゴ糖が1−ケストース、ニストース、
フラクトフラノシルニストースである(2)記載のイヌ
リン測定方法。 (4)フラクトース、グルコース、シュークロース、1
−ケストース、ニストース、フラクトフラノシルニスト
ースの総含有量が、10%(w/w)以下であるイヌリ
ン製剤をキャリブレータに使用してキャリブレーション
を行うことを特徴とするイヌリン測定方法。 (5)フラクトース、グルコース、シュークロース、1
−ケストース、ニストース、フラクトフラノシルニスト
ースの総含有量が、10%(w/w)以下であるイヌリ
ン製剤を精度管理用試料に使用して精度管理を行うこと
を特徴とするイヌリン測定方法。 (6)フラクトース、グルコース、シュークロース、1
−ケストース、ニストース、フラクトフラノシルニスト
ースの総含有量が、10%(w/w)以下であるイヌリ
ン製剤を精度管理用試料に使用して精度管理を行う
(4)記載のイヌリン測定方法。 (7)キャリブレーションを、キャリブレータ中のイヌ
リンをイヌリン分解酵素を用いて加水分解して単糖を得
る工程を含んで行う(4)または(6)に記載のイヌリ
ン測定方法。 (8)キャリブレーションを自動分析機を用いて行う
(7)記載のイヌリン測定方法。 (9)精度管理を、精度管理用試料中のイヌリンをイヌ
リン分解酵素を用いて加水分解して単糖を得る工程を含
んで行う(5)または(6)に記載のイヌリン測定方
法。 (10)精度管理を自動分析機を用いて行う(9)記載
のイヌリン測定方法。 (11)血液または尿中のイヌリンを測定する(1)〜
(10)のいずれかに記載のイヌリン測定方法。 (12)採取した血液または尿を測定する(1)〜(1
1)のいずれかに記載のイヌリン測定方法であって、当
該血液または尿がキャリブレータの調製に用いるイヌリ
ン製剤と同一の方法により精製されたイヌリン製剤を用
いて調製した注射剤を静脈内投与したものに由来するも
のである測定方法。 (13)採取した血液または尿を測定する(1)〜(1
1)のいずれかに記載のイヌリン測定方法であって、当
該血液または尿が精度管理用試料の調製に用いるイヌリ
ン製剤と同一の方法により精製されたイヌリン製剤を用
いて調製した注射剤を静脈内投与したものに由来するも
のである測定方法。 (14)採取した血液または尿を測定する(1)〜(1
1)のいずれかに記載のイヌリン測定方法であって、当
該血液または尿がキャリブレータの調製に用いるイヌリ
ン製剤および精度管理用試料の調製に用いるイヌリン製
剤と同一の方法により精製されたイヌリン製剤を用いて
調製した注射剤を静脈内投与したものに由来するもので
ある測定方法。 (15)キャリブレータが水性溶液、血清溶液、尿溶
液、血清様物質または尿様物質から選ばれるいずれか一
つである(1)〜(14)のいずれかに記載のイヌリン
測定方法。 (16)精度管理用試料が水性溶液、血清溶液、尿溶
液、血清様物質または尿様物質から選ばれるいずれか一
つである(1)〜(14)のいずれかに記載のイヌリン
測定方法。 (17)キャリブレータおよび精度管理用試料が水性溶
液、血清溶液、尿溶液、血清様物質または尿様物質から
選ばれるいずれか一つである(1)〜(14)のいずれ
かに記載のイヌリン測定方法。 (18)フラクトース、グルコース、シュークロース、
1−ケストース、ニストース、フラクトフラノシルニス
トースの総含有量が、10%(w/w)以下であるイヌ
リン製剤から調製されたイヌリン測定用のキャリブレー
タ。 (19)フラクトース、グルコース、シュークロース、
1−ケストース、ニストース、フラクトフラノシルニス
トースの総含有量が、10%(w/w)以下であるイヌ
リン製剤から調製されたイヌリン測定用の精度管理用試
料。 (20)水性溶液、血清溶液、尿溶液、血清様物質また
は尿様物質から選ばれるいずれか一つである(18)記
載のイヌリン測定用のキャリブレータ。 (21)水性溶液、血清溶液、尿溶液、血清様物質また
は尿様物質から選ばれるいずれか一つである(19)記
載のイヌリン測定用の精度管理用試料。 (22)キャリブレータが、平均分子量が3000〜5
000のイヌリンを含有する(1)〜(17)のいずれ
かに記載のイヌリン測定方法。 (23)精度管理用試料が、平均分子量が3000〜5
000のイヌリンを含有する(1)〜(17)のいずれ
かに記載のイヌリン測定方法。 (24)平均分子量が3000〜5000のイヌリンを
含有する(18)または (20)に記載のイヌリン測定用のキャリブレータ。 (25)平均分子量が3000〜5000のイヌリンを
含有する(19)または (21)に記載のイヌリン測定用の精度管理用試料。 (26)イヌリン測定時間が25分以内である、(1)
〜(17)、(22)ま たは(23)のいずれかに記載のイヌリン測定方法。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のキャリブレータおよび/
または精度管理用試料は、イヌリンの加水分解により生
成しえる物質をイヌリン測定に誤差を与える程度まで含
有しないものである必要がある。イヌリンの加水分解に
より生成しえる物質としては、フラクトース、グルコー
ス、シュークロース、およびイヌロオリゴ糖が例示され
るが、特に限定されない。イヌロオリゴ糖としては、1
−ケストース、ニストース、フラクトフラノシルニスト
ースが例示されるが特に限定されない。キャリブレータ
および/または精度管理用試料のイヌリンの加水分解に
より生成しえる物質の含有量は、イヌリン測定に誤差を
与えない範囲である必要があり、測定の許容誤差より判
断される。
【0017】本発明のキャリブレータおよび/または精
度管理用試料は、フラクトース、グルコース、シューク
ロース、1−ケストース、ニストース、フラクトフラノ
シルニストースの総含有量が、10%(w/w)以下で
あるのが好ましく、さらには5%(w/w)以下である
のが好ましい。ここでの総含有量とは、フラクトース、
グルコース、シュークロース、1−ケストース、ニスト
ース、フラクトフラノシルニストースを含むイヌリン製
剤全量に対するフラクトース、グルコース、シュークロ
ース、1−ケストース、ニストース、フラクトフラノシ
ルニストースの総重量%である。
【0018】本発明においてイヌリン製剤中のフラクト
ース、グルコース、シュークロース、1−ケストース、
ニストース、フラクトフラノシルニストースの総含有量
は、J Sci Food Agric 76,107
−110(1998)に記載のイオンクロマトグラフィ
ー法により、各糖の純品を用いて定量測定したものであ
る。
【0019】本発明のキャリブレータおよび/または精
度管理用試料は、医薬品原料、または食品用として市販
されているイヌリンを精製して得たイヌリン製剤を用い
て調製することにより得ることができる。フラクトー
ス、グルコース、シュークロース、1−ケストース、ニ
ストース、フラクトフラノシルニストースの総含有量1
0%(w/w)以下のイヌリン製剤は、例えば、生化学
実験講座4 糖質の化学(上)p109−111(東京
化学同人)に記載の方法で市販の食品用イヌリン等を精
製して得ることができる。精製法はフラクトース、グル
コース、シュークロースおよびイヌロオリゴ糖のコンタ
ミ量を指標にその効果を判定することができる。しかし
ながら、本発明は該精製法に限定されないことはもちろ
んである。なお、反応性差を避ける観点からは、分子量
分布の狭いイヌリンを使用することが好ましい。
【0020】本発明のキャリブレータおよび/または精
度管理用試料に含有されるイヌリンの平均分子量は、特
に限定はないが、溶解性、反応性の面から、より低分子
のものが良く、平均分子量3000〜5000が好まし
い。このような平均分子量イヌリンは、食品用イヌリン
を温湯に溶解し、熱時に活性炭およびメンブレンフィル
ターで処理して冷却した後、濾液から採取する方法等に
より得ることができる。ここで、温湯の温度はイヌリン
を効率よく溶解できれば良いが、60〜90℃の範囲が
好ましい。また、用いる温湯の量は、温度、攪拌の強さ
等の条件により異なるが、イヌリンの約3〜10重量
倍、特に3〜5重量倍が好ましい。また、活性炭として
は、パイロジェンフリーの活性炭が好ましく、日本薬局
方第2部収載の薬用炭を使用できる。活性炭の種類は特
に限定されないが、発熱物質の他、着色性物質除去の能
力を有する注射用グレードの活性炭を、イヌリンに対し
て1〜20重量%用いるのが好ましい。次いで、メンブ
レンフィルターで濾過滅菌して得られる濾液から、通
常、平均分子量約5000のイヌリンが得られる。平均
分子量約4000のイヌリンは、発熱物質を除去する処
理をして得られた平均分子量約5000のイヌリンにア
セトンを加えて攪拌し、生じた沈殿を濾取することによ
り得ることができる。アセトンは、濾液に対して5〜2
0重量倍、好ましくは5〜10重量倍添加するのが好ま
しい。尚、平均分子量はGPCクロマトグラフィーを用
いて既知標準品プルランとの比較から求めることができ
る。
【0021】クリアランス測定では、注射剤を静脈内投
与したものに由来する採取した血液又は尿のイヌリンを
測定するが、本発明のキャリブレータおよび/または精
度管理用試料の調製に用いるイヌリン製剤は、反応性差
を避ける等の観点から、クリアランス測定に使用する注
射剤の調製に用いるものと同様の方法で精製されたもの
であることが好ましい。
【0022】キャリブレータおよび精度管理用試料の調
製は、上記の方法で精製されたイヌリン製剤を用いて通
常の方法により行うことができる。また、本発明のキャ
リブレータおよび精度管理用試料は、通常の方法によ
り、水性溶液、血清溶液、尿溶液とし、またはBSA、
ポリエチレングリコール、各種塩類等を用い擬似的に作
製された血清様物質若しくは尿様物質等とすることがで
きる。
【0023】本発明のイヌリン測定方法におけるキャリ
ブレーションは、例えば、被検体の測定前かまたは同
時、または事後に、本発明のキャリブレータおよび精製
水を測定し、計算式として例えば[(被検体測定吸光度
−精製水測定吸光度)/(本発明のキャリブレータ測定
吸光度−精製水測定吸光度)]×キャリブレータ中イヌ
リン濃度、を用いることで実施することができる。
【0024】本発明のイヌリン測定方法における精度管
理は、例えば、被検体の測定前かまたは同時、または事
後に被検体と同様に測定し、その測定値を管理図を用い
て評価するか、表示値または実績値を対照にあらかじめ
定められた許容範囲で管理することができる。
【0025】本発明のキャリブレータ中のイヌリンの定
量、精度管理用試料中のイヌリンの定量、測定試料中の
イヌリンの定量に使用される方法は、特に限定されない
が、簡便性、正確性の観点から、イヌリン分解酵素を用
いてイヌリンを分解した後、単糖を測定する方法による
のが好ましい。イヌリン分解酵素は、イヌリンを単糖に
分解する能力があるものであれば特に限定されないが、
具体的には、エキソイヌリナーゼ(EC3.2.1.8
0)、エンドイヌリナーゼ(EC3.2.1.7)等が
例示される。これらは単独でも用いられるが、イヌリン
分解速度を上げるためにエキソイヌリナーゼとエンドイ
ヌリナーゼの混合物として用いることもできる。これら
は、例えばアスペルギルス(Aspergillus)属、キリベ
ロマイセス(Klyveromyces)属等の微生物等より得るこ
とができる。また、例えばこれらの遺伝子を他の微生物
に組み込まれた遺伝子組換え微生物より製造されたもの
等があり、また遺伝子的に性質を改変さたものも用いら
れる。
【0026】イヌリン分解工程の後に、任意の単糖測定
方法が組み合わされる。例えば、特開昭62−2057
99号公報、臨床化学 第10巻64〜69ページ(1
981)、臨床化学 第23巻164〜169ページ
(1994)、特公昭59−35592号公報等に記載
の方法により行うことができ、以下にその事例を示す
が、本発明はこの事例に限定されるものではない。 (1)イヌリン分解により生成した単糖をヘキソキナー
ゼを用いてフラクトース−6−ホスフェートとし、フラ
クトース−6−ホスフェートをホスホグルコイソメラー
ゼを用いてグルコース−6−ホスフェートとし、グルコ
ース−6−ホスフェートをグルコース−6−リン酸デヒ
ドロゲナーゼを用いて6−ホスホグルコノラクトンとす
る反応と酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
リン酸(NADP+)の還元反応とを共役反応させて還
元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(N
ADPH)の上昇を測定する方法。 (2)イヌリン分解により生成した単糖をソルビトール
デヒドロゲナーゼを用いてソルビトールとする反応と還
元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD
H)の酸化反応とを共役反応させてNADHの減少を測
定する方法。 (3)イヌリン分解により生成した単糖をフルクトキナ
ーゼを用いてフラクトース−6−ホスフェートとし、フ
ラクトース−6−ホスフェートをホスホグルコイソメラ
ーゼを用いてグルコース−6−ホスフェートとし、グル
コース−6−ホスフェートをグルコース−6−リン酸デ
ヒドロゲナーゼを用いて6−ホスホグルコノラクトンと
する反応とNADP+の還元反応とを共役反応させてN
ADPHの上昇を測定する方法。 (4)イヌリン分解により生成した単糖を酸素の存在下
でフラクトースデヒドロゲナーゼを用いて、電子受容体
を作用させて5−ケト−D−フラクトースとし、生成し
た5−ケト−D−フラクトースまたは還元型電子受容体
の増加あるいは酸化型電子受容体または酸素の減少を測
定する方法。
【0027】さらに詳しくは、上記(4)の方法では、
酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD
+)またはNADP+を電子受容体とせずに反応させるこ
とができ、この場合には、イヌリン分解により生成した
単糖を酸素の存在下でNAD +またはNADP+を電子受
容体としないフラクトースデヒドロゲナーゼを用いて、
電子受容体を作用させて5−ケト−D−フラクトースと
し、生成した5−ケト−D−フラクトースまたは還元型
電子受容体の増加あるいは酸化型電子受容体または酸素
の減少を測定する。例えば、電子受容体として1−メト
キシ−5−メチルフェナジニウムメチルスルフェート
(1−メトキシ−PMS)を用い、これを介して酸素と
の反応により生成する過酸化水素の増加をエンドポイン
ト法および/またはレート法で測定することができる。
【0028】過酸化水素の増加は、4−アミノアンチピ
リンとアニリン系トリンダー試薬がペルオキシダーゼで
触媒されカップリングして生成するキノン色素の増加等
で測定することができるが測定法は特に限定されない。
アニリン系トリンダー試薬には特に限定はないが、N−
エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)
−3−メチルアニリン(TOOS)は酸化縮合したとき
のモル吸光係数感度が高い・呈色が安定している等の理
由から適している。また、テトラゾリウム塩が電子受容
体であった場合、反応により生成するホルマザン色素の
増加をエンドポイント法および/またはレート法で測定
する事ができる。
【0029】本発明のイヌリン測定方法によれば、イヌ
リン測定における所要時間を予備加温時間を含めて従来
より短く25分以内にすることができる。
【0030】本発明のイヌリン測定方法には、必要に応
じて上述したものに加えてさらにその他の添加剤を共存
せしめても良い。該添加剤としては、N−トリス(ヒド
ロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルフォニッ
クアシッド(略称:TES)等のグッド緩衝液や酢酸−
酢酸ナトリウム緩衝液をはじめとする各種緩衝液、ポリ
オキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のような界
面活性剤、塩化ナトリウム等の塩類、アルブミンやポリ
エチレングリコール等の高分子化合物、アミノ酸類、糖
類、シクロデキストリン類等のような安定化剤、抗生物
質、アジ化ナトリウム等のような防腐剤、EDTA(又
はその塩)等のようなキレート剤等が挙げられるが、特
にこれらに限定されるものではない。
【0031】
【実施例】実施例1 市販のイヌリン製剤(和光純薬社製イヌリン(コード0
96−00322、平均分子量6200))を生化学実
験講座4 糖質の化学(上) p109-111(東京
化学同人)に記載の方法で精製してイヌリン製剤を得
た。精製して得られたイヌリン製剤中のグルコース、フ
ラクトース、シュークロース、1−ケストース、ニスト
ース、フラクトフラノシルニストースは検出できなかっ
た。
【0032】比較例1 実施例1の原料のイヌリン製剤(和光純薬社製イヌリ
ン)のイヌリン製剤中のグルコース、フラクトース、シ
ュークロース、1−ケストース、ニストース、フラクト
フラノシルニストースは、各々8.2(w/w)%、
3.0(w/w)%、8.3(w/w)%、0.0(w
/w)%、0.0(w/w)%、0.0(w/w)%で
あった。
【0033】実施例2 市販のイヌリン製剤(オラフティ社製(コードなし))
を実施例1と同じ方法で精製してイヌリン製剤を得た。
精製して得られたイヌリン製剤中のグルコース、フラク
トース、シュークロース、1−ケストース、ニストー
ス、フラクトフラノシルニストースは、各々0.0(w
/w)%、2.8(w/w)%、1.6(w/w)%、
2.0(w/w)%、1.0(w/w)%、1.0(w
/w)%であった。
【0034】比較例2 市販のイヌリン製剤(オラフティ社製(コードなし))
中のグルコース、フラクトース、シュークロース、1−
ケストース、ニストース、フラクトフラノシルニストー
スは、各々1.0(w/w)%、6.0(w/w)%、
5.2(w/w)%、4.3(w/w)%、6.5(w
/w)%、8.0(w/w)%であった。
【0035】実験1 実施例1および2のイヌリン製剤を水に溶解して濃度3
0mg/dLの水溶液を調製した。 試薬の調製 下記からなる試薬を調製した。 R1(濃度はR1中) 酢酸緩衝液(pH5.0) 0.05mol/L イヌリナーゼ(東洋紡績株式会社製) 120単位/m
L フラクトースデヒドロゲナーゼ(東洋紡績株式会社製)
50U/mL 1−メトキシ−PMS 100mg/L R2(濃度はR2中) TES緩衝液(pH7.5) 0.05mol/L ペルオキシダーゼ(東洋紡績株式会社製)10 U/m
L 4−アミノアンチピリン 0.1g/L アニリン系トリンダー試薬(TOOS) 1g/L
【0036】実験1− 調製したイヌリン水溶液を日立7170形自動分析機を
用いてイヌリン濃度を測定した。試料2.7μLにR1
を180μL添加し37℃にて9.5分間インキュベー
ションし第一反応とした。その後R2を180μL添加
し5分間インキュベーションし第二反応とした。第一反
応および第二反応の吸光度を液量補正した各吸光度の差
をとる2ポイントエンド法で546nmにおける吸光度
を測定した。各吸光度は試薬ブランクで補正しイヌリン
測定感度とした。
【0037】実験1− R1のイヌリナーゼを50単位/mLに減量した以外は
実験1−と同様にした。
【0038】実験1− 第一反応のインキュベーションの時間を5分に短縮した
以外は実験1−と同様にした。
【0039】実験1− R1のイヌリナーゼを50単位/mLに減量し、第一反
応のインキュベーションを5分に短縮した以外は実験1
−と同様にした。
【0040】実験結果 実験1−のイヌリン測定感度を100として他の実験
例における測定感度を相対感度として表1に示す。な
お、和光純薬社製イヌリン(コード096−0032
2)及びオラフティ社製イヌリンを用いて精度管理用試
料を調製し1−〜の実験を行い比較例1、比較例2
とした。
【0041】
【表1】
【0042】実施例1および2では、インキュベーショ
ン時間(イヌリンの分解時間)を5分に短縮しても感度
よく正確にイヌリンを測定でき、かつイヌリナーゼの添
加量が変わっても影響は少ない。
【0043】実験2 試薬の調製 試薬は、実験1と同様に調製した。 方法 実験1−〜の方法において、実施例1のイヌリン製
剤を添加した尿(イヌリン濃度:約50mg/dL)を
試料とし、同時に実験1で調製したイヌリン水溶液及び
精製水をキャリブレータとして測定した。測定した吸光
度は、各キャリブレータごとに、計算式[(試料測定吸
光度―精製水測定吸光度)/(各キャリブレータ測定吸
光度−精製水測定吸光度)]×30、を用いて試料中の
イヌリン濃度を求めた。 実験結果 実験2−のイヌリン測定値を100として他の実験例
における測定値を相対値として表2に示す。なお、和光
純薬社製イヌリン(コード096−00322)及びオ
ラフティ社製イヌリンを用いて2−〜の実験を行い
比較例1、比較例2とした。
【0044】
【表2】
【0045】実施例1および2では、インキュベーショ
ン時間(イヌリン分解時間)を5分に短縮しても感度よ
く正確にイヌリンを測定でき、かつイヌリナーゼの添加
量が変わっても影響は少ない。
【0046】実験3 試薬の調製 試薬は、実験1と同様に調製した。 方法 実施例1のイヌリン製剤をキャリブレータを用い実験2
の尿の測定時に、各イヌリン製剤を添加した尿(イヌリ
ン濃度:約50mg/dL)を精度管理用試料とし、同
時に測定した。イヌリン測定値と各精度管理用試料の測
定値の比(イヌリン測定値/各精度管理用試料測定値)
を算出した。 実験結果 実験3−のイヌリン測定値比を100として他の実験
例における測定値比を相対値として表3に示す。なお、
和光純薬社製イヌリン(コード096−00322)及
びオラフティ社製イヌリンを用いて精度管理用試料を調
製し3−〜の実験を行い比較例1、比較例2とし
た。
【0047】
【表3】
【0048】実施例1および2では、インキュベーショ
ン時間(イヌリンの分解時間)を5分に短縮しても感度
よく正確にイヌリンを測定でき、かつイヌリナーゼの添
加量が変わっても影響は少ない。
【0049】参考例 不純物を含有するイヌリンの測定 市販のイヌリン(純度98%)を精製水で20mg/d
Lになるように調製し、不純物としてシュークロース
(GF)、1−ケストース(GFF)、ニストース(G
FFF)、フラクトフラノシルニストース(GFFF
F)、グルコース(G)、フラクトース(F)を終濃度
で10%、20%になるように調製し、下記の2試薬お
よび2種測定法を組み合わせて4パターンで測定し、不
純物無添加のイヌリンの測定感度を対照に相対%を算出
した。(上記において、Gはグルコース、Fはフラクト
ース、GF等は互いの単糖がグリコシド結合しているこ
とを示す)
【0050】〈試薬の調製〉下記組成、からなる試
薬をそれぞれ調製した。 組成 R1(濃度はR1中) 酢酸緩衝液(pH5.0) 0.05mol/L イヌリナーゼ(東洋紡績株式会社製) 50単位/mL フラクトースデヒドロゲナーゼ(東洋紡績株式会社製)
50U/mL 1−メトキシ−PMS 100mg/L R2(濃度はR2中) TES緩衝液(pH7.5) 0.05mol/L ペルオキシダーゼ(東洋紡績株式会社製)10 U/m
L 4−アミノアンチピリン 0.1g/L アニリン系トリンダー試薬(TOOS) 1g/L 組成 組成よりイヌリナーゼ 120単位/mLに増量した
組成。
【0051】〈測定〉 下記測定法、で測定した。 測定法 日立7170形自動分析機を用いた。試料2.7μLに
R1を180μL添加し37℃にて5分間インキュベー
ションし第一反応とした。その後R2を180μL添加
し5分間インキュベーションし第二反応とした。第一反
応および第二反応の吸光度を液量補正した各吸光度の差
をとる2ポイントエンド法で546nmにおける吸光度
を測定した。各吸光度は試薬ブランクで補正しイヌリン
測定感度とした。 測定法 測定法より第一反応時間を9.5分に変えて測定し
た。各吸光度は試薬ブランクで補正しイヌリン測定感度
とした。
【0052】結果 表4に示す。測定法組成において、グルコース
(G)ではグルコースがイヌリナーゼに結合することに
よりイヌリン分解反応を妨害するため、無添加とくらべ
て測定値にマイナスの影響が出ている。この影響は不純
物濃度水準に応じてさらに大きくなる。一方、フラクト
ース(F)ではフラクトースがイヌリナーゼ反応に関係
なく追随反応に移行するため、無添加とくらべて測定値
にプラスの影響が出ている。この影響は不純物濃度水準
に応じてさらに大きくなる。次に、シュークロース(G
F)、1−ケストース(GFF)、ニストース(GFF
F)、フラクトフラノシルニストース(GFFFF)
は、イヌリナーゼに結合することによりイヌリン分解反
応を妨害するため、無添加とくらべて測定値に影響が出
るが、その影響の出かたは、フラクトースが多く結合し
ているものではプラスに向かい、フラクトース結合数が
減じるに従いマイナスに向かう。これは、生成するグル
コースとフラクトースの比によるものであると考えら
れ、前者ではフラクトース、後者ではグルコースに類似
した影響が出ているものと思われる。不純物濃度水準に
応じた影響の出かたについても同様である。イヌリナー
ゼの濃度を上げた場合、あるいは反応時間を延ばした場
合は、それぞれのケースでの影響度はほとんど差がない
か概ね低下傾向にある。これは、不純物である短鎖の糖
類は、本実施例の範囲におけるイヌリナーゼの濃度差や
反応時間の差によってはほとんど変わらない(測定法
組成でほとんど分解されてしまっている)が、測定対
象であるイヌリンの分解生成物の量はイヌリナーゼの濃
度を上げたり反応時間を延ばすに従い相対的に上がるた
め、上記と同様の現象が起こったときの測定値への影響
度は下がると考えられる。以上のことは、シュークロー
ス、グルコース、1−ケストース、ニストース、フラク
トフラノシルニストース、フラクトースのいずれかを不
純物として含んだイヌリン含有製剤をキャリブレータお
よび/または精度管理用試料として用いた場合、反応時
間が短い汎用自動分析機に本法を適用する際に、不純物
がイヌリン測定値に与える影響が大きいことを意味して
いる。
【0053】
【表4】
【0054】
【発明の効果】イヌリンの加水分解で生成しえる物質を
イヌリン測定に誤差を与える程度まで含有しないイヌリ
ン製剤、特にイヌリン製剤に含まれるフラクトース、グ
ルコース、シュークロース、1−ケストース、ニストー
ス、フラクトフラノシルニストースの総含有量が10%
(w/w)以下であるイヌリン製剤をキャリブレータお
よび/または精度管理用試料として用いることで、イヌ
リンの分解反応初期の測定値の変動がなくなり、反応時
間を短くして加水分解反応を途中で(反応初期で)止め
ることができるので、キャリブレーションおよび/また
は精度管理を短時間で正確に行うことができ、汎用自動
分析機への適用も可能である。また、従来より少ないイ
ヌリナーゼの量で、イヌリナーゼのエキソ型/エンド型
の比率に影響されず、正確にキャリブレーションおよび
/または精度管理を行うことができる。従って、本発明
によれば、短時間で、正確に試料中のイヌリンを測定で
きる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // G01N 33/70 G01N 33/70 (72)発明者 服部 静夫 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社敦賀バイオ研究所内 (72)発明者 小河内 俊世 神奈川県厚木市愛甲910―1−2−508 Fターム(参考) 2G045 BB50 DA30 FA29 FB01 GC10 JA02 JA05 4B063 QA01 QA19 QQ03 QQ35 QQ67 QQ68 QR15 QR43 QR44

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イヌリンの加水分解で生成しえる物質を
    イヌリン測定に誤差を与える程度まで含有しないイヌリ
    ン製剤をキャリブレータおよび/または精度管理用試料
    として用いることを特徴とするイヌリン測定方法。
  2. 【請求項2】 イヌリンの加水分解で生成しえる物質が
    フラクトース、グルコース、シュークロース、イヌロオ
    リゴ糖から選ばれる1つないしは複数の物質である、請
    求項1記載のイヌリン測定方法。
  3. 【請求項3】 イヌロオリゴ糖が1−ケストース、ニス
    トース、フラクトフラノシルニストースである請求項2
    記載のイヌリン測定方法。
  4. 【請求項4】 フラクトース、グルコース、シュークロ
    ース、1−ケストース、ニストース、フラクトフラノシ
    ルニストースの総含有量が、10%(w/w)以下であ
    るイヌリン製剤をキャリブレータに使用してキャリブレ
    ーションを行うことを特徴とするイヌリン測定方法。
  5. 【請求項5】 フラクトース、グルコース、シュークロ
    ース、1−ケストース、ニストース、フラクトフラノシ
    ルニストースの総含有量が、10%(w/w)以下であ
    るイヌリン製剤を精度管理用試料に使用して精度管理を
    行うことを特徴とするイヌリン測定方法。
  6. 【請求項6】 フラクトース、グルコース、シュークロ
    ース、1−ケストース、ニストース、フラクトフラノシ
    ルニストースの総含有量が、10%(w/w)以下であ
    るイヌリン製剤を精度管理用試料に使用して精度管理を
    行う請求項4記載のイヌリン測定方法。
  7. 【請求項7】 キャリブレーションを、キャリブレータ
    中のイヌリンをイヌリン分解酵素を用いて加水分解して
    単糖を得る工程を含んで行う請求項4または6に記載の
    イヌリン測定方法。
  8. 【請求項8】 キャリブレーションを自動分析機を用い
    て行う請求項7記載のイヌリン測定方法。
  9. 【請求項9】 精度管理を、精度管理用試料中のイヌリ
    ンをイヌリン分解酵素を用いて加水分解して単糖を得る
    工程を含んで行う請求項5または6に記載のイヌリン測
    定方法。
  10. 【請求項10】 精度管理を自動分析機を用いて行う請
    求項9記載のイヌリン測定方法。
  11. 【請求項11】 血液または尿中のイヌリンを測定する
    請求項1〜10のいずれかに記載のイヌリン測定方法。
  12. 【請求項12】 採取した血液または尿を測定する請求
    項1〜11のいずれかに記載のイヌリン測定方法であっ
    て、当該血液または尿がキャリブレータの調製に用いる
    イヌリン製剤と同一の方法により精製されたイヌリン製
    剤を用いて調製した注射剤を静脈内投与したものに由来
    するものである測定方法。
  13. 【請求項13】 採取した血液または尿を測定する請求
    項1〜11のいずれかに記載のイヌリン測定方法であっ
    て、当該血液または尿が精度管理用試料の調製に用いる
    イヌリン製剤と同一の方法により精製されたイヌリン製
    剤を用いて調製した注射剤を静脈内投与したものに由来
    するものである測定方法。
  14. 【請求項14】 採取した血液または尿を測定する請求
    項1〜11のいずれかに記載のイヌリン測定方法であっ
    て、当該血液または尿がキャリブレータの調製に用いる
    イヌリン製剤および精度管理用試料の調製に用いるイヌ
    リン製剤と同一の方法により精製されたイヌリン製剤を
    用いて調製した注射剤を静脈内投与したものに由来する
    ものである測定方法。
  15. 【請求項15】 キャリブレータが水性溶液、血清溶
    液、尿溶液、血清様物質または尿様物質から選ばれるい
    ずれか一つである請求項1〜14のいずれかに記載のイ
    ヌリン測定方法。
  16. 【請求項16】 精度管理用試料が水性溶液、血清溶
    液、尿溶液、血清様物質または尿様物質から選ばれるい
    ずれか一つである請求項1〜14のいずれかに記載のイ
    ヌリン測定方法。
  17. 【請求項17】 キャリブレータおよび精度管理用試料
    が水性溶液、血清溶液、尿溶液、血清様物質または尿様
    物質から選ばれるいずれか一つである請求項1〜14の
    いずれかに記載のイヌリン測定方法。
  18. 【請求項18】 フラクトース、グルコース、シューク
    ロース、1−ケストース、ニストース、フラクトフラノ
    シルニストースの総含有量が、10%(w/w)以下で
    あるイヌリン製剤から調製されたイヌリン測定用のキャ
    リブレータ。
  19. 【請求項19】 フラクトース、グルコース、シューク
    ロース、1−ケストース、ニストース、フラクトフラノ
    シルニストースの総含有量が、10%(w/w)以下で
    あるイヌリン製剤から調製されたイヌリン測定用の精度
    管理用試料。
  20. 【請求項20】 水性溶液、血清溶液、尿溶液、血清様
    物質または尿様物質から選ばれるいずれか一つである請
    求項18記載のイヌリン測定用のキャリブレータ。
  21. 【請求項21】 水性溶液、血清溶液、尿溶液、血清様
    物質または尿様物質から選ばれるいずれか一つである請
    求項19記載のイヌリン測定用の精度管理用試料。
  22. 【請求項22】 キャリブレータが、平均分子量が30
    00〜5000のイヌリンを含有する請求項1〜17の
    いずれかに記載のイヌリン測定方法。
  23. 【請求項23】 精度管理用試料が、平均分子量が30
    00〜5000のイヌリンを含有する請求項1〜17の
    いずれかに記載のイヌリン測定方法。
  24. 【請求項24】 平均分子量が3000〜5000のイ
    ヌリンを含有する請求項18または20に記載のイヌリ
    ン測定用のキャリブレータ。
  25. 【請求項25】 平均分子量が3000〜5000のイ
    ヌリンを含有する請求項19または21に記載のイヌリ
    ン測定用の精度管理用試料。
  26. 【請求項26】 イヌリン測定時間が25分以内であ
    る、請求項1〜17、22または23のいずれかに記載
    のイヌリン測定方法。
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