JP4691767B2 - イヌリン測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イヌリンを正確に測定するための方法及びそのために用いる試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
腎機能の一指標である糸球体濾過値(GFR:glomerular filtration rate)は、一般に、クレアチニンなどの内因性物質、チオ硫酸ナトリウム、イヌリン、放射性のEDTAやイオタラム酸などの外因性物質を用いたクリアランス試験によって測定される。
【0003】
クレアチニンクリアランスは、クレアチニンが内因性物質であるため被験者への侵襲が少ないメリットはあるが、測定の正確性に関して、尿細管からの分泌があること、クレアチニン産生量が食事や運動などの影響を受けること等の問題点の指摘がある。また、チオ硫酸ナトリウムクリアランスは、チオ硫酸ナトリウムが、強く陰性に帯電している近位尿細管腔において水素イオンの多量分泌を促し、GFRに影響を与える可能性が指摘されている。また、イオタラム酸をはじめとする放射性物質を用いたクリアランスは、放射性物質の取扱いに資格を要すること、放射性負荷に対する配慮が必要であることなどに問題点の指摘がある。これらに対し、イヌリンは完全に糸球体により濾過されるのでクリアランス測定に理想的な物質とされている。
【0004】
イヌリンクリアランスを測定する際には、被験者の静脈にイヌリンを投与し、その前後で経時的に単回または複数回採取した被験者の血漿および/または尿についてイヌリン濃度を適当な方法で測定する。
【0005】
イヌリンの測定方法には、従来イヌリンを強酸で加熱して産生するフルフラールをアンスロン等と反応させて発色させる方法が多用されてきたが、強酸での加熱操作が煩雑で危険性が高いことや、反応が非特異的でグルコースなど他の糖類の影響を受けることなどの問題点が指摘されている。特に反応が非特異的であることは、クリアランスに好適な物質としてのイヌリンの長所を損なう。中でも、糖尿病性腎症などグルコース濃度が高い被験者の場合には問題が大きい。
【0006】
そこで、イヌリンを簡便で正確に測定する方法として、下記に示すように酵素を利用する方法が開発されてきた。これらは、イヌリンを一般にイヌリナーゼと呼ばれる酵素等を用いて単糖に分解し、生じたフルクトースおよび/またはグルコースを種々の方法で測定するものである。
【0007】
例えば、特開昭62−205799号公報には、イヌリンが分解されて出来た単糖であるフルクトースを、ヘキソキナーゼ、ホスホグルコイソメラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼと共役反応させNADPHの上昇を測定する方法が開示されている。ただし、この方法は共役反応を触媒するヘキソキナーゼがグルコースに対しても反応するため、試料中のグルコースを前もって消去する必要がある。
【0008】
そこで、理論上グルコースの影響を受けない方法が種々開発された。例えば、CLIN.CHEM.第39巻、第11号、第2333〜2337頁、および臨床化学 第10巻、第64〜69頁(1981)には、フルクトースをソルビトールデヒドロゲナーゼと共役反応させNADHの減少を測定する方法が開示されている。ただし上記の文献によれば、グルコース300mg/dLを試料に上乗せした際にソルビトール、マンニトール、キシリトールの影響が全くなかったのに対し、グルコースでは1.3mg/dL相当とごくわずかではあるが影響を受けることが報告されている。
【0009】
また、同様に理論上グルコースの影響を受けない方法として、臨床化学 第23巻、第164〜169頁(1994)には、フルクトースをフルクトキナーゼ、ホスホグルコイソメラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼと共役反応させNADPHの上昇を測定する方法が、また特公昭59−35592号公報には、フルクトースを酸素の存在下でNADまたはNADPを電子受容体としないフルクトースデヒドロゲナーゼ、および電子受容体であるフェロシアン化カリウムと反応させ、生成するフェリシアン化カリウムを硫酸第二鉄、デュパノール試薬と反応させて生じるプルシアンブルーを測定する方法がそれぞれ報告されている。
【0010】
ところが、実用上はこれらの方法においてもグルコースを基質とする酵素のコンタミネーションにより特異性が損なわれる可能性がある。特に、グルコースオキシダーゼやグルコースデヒドロゲナーゼが存在する場合、反応系が受ける影響は大きい。これらのコンタミネーションは主として試薬組成中の酵素からもたらされる。中でもイヌリン分解酵素の場合、体外診断薬用グレードの酵素が市販されていないからといって食品用等のグレードをそのまま用いると問題となり易い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来からのイヌリン測定方法の問題点を解消し、イヌリンを正確に測定する方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討したところ、イヌリン分解酵素を精製し、グルコースを基質とする酵素のコンタミネーション率を0.01%以下に低減したイヌリン分解酵素を使用することにより、非特異反応を回避できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1)イヌリンを酵素的に分解し、生成したフルクトースを測定するイヌリン測定方法において、イヌリンを分解する工程にグルコースを基質とする酵素のコンタミネーション率が0.01%以下である酵素を用いることを特徴とするイヌリン測定方法。
(2)イヌリンを分解する工程に用いる酵素がイヌリナーゼである(1)に記載のイヌリン測定方法。
(3)コンタミネーション酵素がグルコースオキシダーゼおよび/またはグルコースデヒドロゲナーゼである(1)または(2)に記載のイヌリン測定方法。
(4)イヌリンを酵素的に分解し、生成したフルクトースをソルビトールデヒドロゲナーゼと共役反応させNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の減少を測定する(1)〜(3)のいずれかに記載のイヌリン測定方法。
(5)イヌリンを酵素的に分解し、生成したフルクトースをフルクトキナーゼ、ホスホグルコイソメラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼと共役反応させNADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)の上昇を測定する(1)〜(3)のいずれかに記載のイヌリン測定方法。
(6)イヌリンを酵素的に分解し、生成したフルクトースを酸素の存在下でフルクトースデヒドロゲナーゼおよび電子受容体と反応させ、生成する5−ケト−D−フルクトースまたは還元型電子受容体の増加あるいは酸化型電子受容体または酸素の減少を測定する(1)〜(3)のいずれかに記載のイヌリン測定方法。
(7)NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)またはNADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を電子受容体としないフルクトースデヒドロゲナーゼを用いる(6)に記載のイヌリン測定方法。
(8)電子受容体が1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルスルフェート(1−メトキシ−PMS)であり、これを介して酸素との反応により生成する過酸化水素を測定する(6)または(7)に記載のイヌリン測定方法。
(9)過酸化水素の増加を、4−アミノアンチピリンとアニリン系トリンダー試薬がペルオキシダーゼで触媒されカップリングして生成するキノン色素の増加で測定する(8)に記載のイヌリン測定方法。
(10)アニリン系トリンダー試薬がN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOOS)である(9)に記載のイヌリン測定方法。
(11)電子受容体がテトラゾリウム塩であり、反応により生成するホルマザン色素を測定する(6)または(7)に記載のイヌリン測定方法。
(12)分析所要時間が25分以内である(1)〜(12)のいずれかに記載のイヌリン測定方法。
(13)イヌリンを分解する工程に、グルコースを基質とする酵素のコンタミネーション率が0.01%以下である酵素を用いることを特徴とするイヌリン測定試薬。
(14)イヌリンを分解する工程に用いる酵素がイヌリナーゼである(13)に記載のイヌリン測定試薬。
(15)試薬中のグルコースを基質とする酵素のコンタミネーション率がイヌリン分解酵素活性に対し0.01%以下である(13)または(14)に記載のイヌリン測定試薬。
コンタミネーション酵素がグルコースオキシダーゼおよび/またはグルコースデヒドロゲナーゼである(13)〜(15)のいずれかに記載のイヌリン測定試薬。
(17) 2試薬からなるイヌリン測定試薬であって、試薬1に緩衝液、フルクトキナーゼ、ホスホグルコイソメラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、塩化マグネシウム、NADPおよび/またはNADおよびATPを含み、かつ試薬2に緩衝液、イヌリン分解酵素を含む(13)〜(16)のいずれかに記載のイヌリン測定試薬。
(18)試薬1に緩衝液、イヌリン分解酵素、NADまたはNADPを電子受容体としないフルクトースデヒドロゲナーゼ、1−メトキシ−PMSを含み、かつ試薬2に緩衝液、ペルオキシダーゼ、4−アミノアンチピリン、アニリン系トリンダー試薬を含む、(13)〜(16)のいずれかに記載のイヌリン測定試薬。
(19)試薬1に緩衝液、1−メトキシ−PMSを含み、かつ試薬2に緩衝液、イヌリン分解酵素、 NADまたはNADPを電子受容体としないフルクトースデヒドロゲナーゼ、テトラゾリウム塩を含む(13)〜(16)のいずれかに記載のイヌリン測定試薬。
(20)アニリン系トリンダー試薬がN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOOS)である(18)に記載のイヌリン測定試薬。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のイヌリン測定方法に使用するイヌリン分解酵素は、イヌリンを単糖に分解する能力があるものであれば特に限定されないが、具体的には、エキソイヌリナーゼ(EC3.2.1.80)、エンドイヌリナーゼ(EC3.2.1.7)等が例示される。これらは、例えばアスペルギルス(Aspergillus)属、キリベロマイセス(Klyveromyces)属等の微生物などより得ることができる。また、市販のイヌリン分解酵素としては、アスペルギルス属由来のエキソイヌリナーゼとエンドイヌリナーゼの混合物である「Fructozyme」(ノボ・ノルディスク社製)などが挙げられる。
【0015】
本発明において、コンタミネーション率(%)は、後述の方法により定義されるコンタミネーション酵素の活性(単位/L)を、同じく後述の方法により定義されるイヌリン分解酵素の活性(単位/L)で除した値に100を乗じた数値で表される。該コンタミネーション率は、本発明においては0.01%以下であることを特徴とするものであり、好ましくは0.005%以下、さらに好ましくは0.001%以下である。コンタミネーション率が0.01%よりも高いと、非特異反応により測定値に影響を及ぼす、試薬の安定性に影響を及ぼす等の点から好ましくない。
【0016】
【数1】
【0017】
コンタミネーション酵素は特に限定されるものではない。代表的なものとしてはグルコースオキシダーゼがあり、本発明においては、グルコースオキシダーゼ活性の測定方法を以下のように定義する。
(1)褐色瓶中に下記反応混液を調製し、氷冷保存した。
0.1M MES−Na緩衝液(pH5.7) 30ml
15%グルコース溶液 6ml
0.5% 4−アミノアンチピリン溶液 0.3ml
40mM TOOS水溶液 0.3ml
500U/mlペルオキシダーゼ(東洋紡績株式会社製PEO−301)溶液0.3ml
(2)上記反応混液3.0mlをキュベット(d=1.0cm)に分注し、 37℃で約5分間予備加温した。
(3)酵素溶液0.1mlを添加し、ゆるやかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で555nmの吸光度変化を2〜3分間記録し、その直線部分から1分間あたりの吸光度変化を求める(ΔODtest)。
(4)盲検は反応混液に酵素液の代わりに酵素希釈液0.1mlを加え、上記同様に操作を行い、1分間当りの吸光度変化を求める(ΔODblank)。
上記条件下、1分間に1マイクロモルの過酸化水素を生成する酵素量を1単位とした。
【0018】
さらに、代表的なコンタミネーション酵素としてはグルコースデヒドロゲナーゼがあり、本発明においては、グルコースデヒドロゲナーゼ活性の測定方法を以下のように定義する。
(1)褐色瓶中に下記反応混液を調製し、氷冷保存した。
0.1M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0) 26ml
1.5M グルコース溶液 3ml
80mg/dL NAD溶液 1ml
(2)上記反応混液3.0mlをキュベット(d=1.0cm)に分注し、37℃で約5分間予備加温した。
(3)酵素溶液0.05mlを添加し、ゆるやかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で340nmの吸光度変化を2〜3分間記録し、その直線部分から1分間あたりの吸光度変化を求める(ΔODtest)。
(4)盲検は反応混液に酵素液の代わりに酵素希釈液0.05mlを加え、上記同様に操作を行い、1分間当りの吸光度変化を求める(ΔODblank)。
上記条件下、1分間に1マイクロモルのNADHを生成する酵素量を1単位とした。
【0019】
一方、本発明においては、イヌリン分解酵素活性の測定方法を以下のように定義する。
(1)褐色瓶中に下記の終濃度になるよう反応混液を調製し、氷冷保存した。
50mM MES−Na緩衝液(pH6.5)
3mM ATP
1.8mM NAD+
10mM 塩化マグネシウム
5U/mL グルコース−6−リン酸脱水素酵素(東洋紡績株式会社製G6D−311)
5U/mL ヘキソキナーゼ(東洋紡績株式会社製HXK−301)
7U/mL ホスホグルコイソメラーゼ(ロシュ社製:製品番号1693662)
2.5%イヌリン
(2)上記反応混液3.0mlをキュベット(d=1.0cm)に分注し、37℃で約5分間予備加温した。
(3)酵素溶液0.1mlを添加し、ゆるやかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で340nmの吸光度変化を2〜3分間記録し、その直線部分から1分間あたりの吸光度変化を求める(ΔODtest)。
(4)盲検は反応混液に酵素液の代わりに酵素希釈液0.1mlを加え、上記同様に操作を行い、1分間当りの吸光度変化を求める(ΔODblank)。
上記条件下、1分間に1マイクロモルのNADHを生成する酵素量を1単位とした。
【0020】
本発明においてイヌリン分解酵素のコンタミネーション率を低減させるには、酸処理、加熱処理、および各種クロマトグラフィーによる分離を行う方法など、任意の公知の方法により行うことができる。
【0021】
以下に、イヌリン分解酵素のコンタミネーション率を低減させる事例を示す。例えば、市販のイヌリン分解酵素としてFructozyme(ノボ・ノルディスク社製)を選び、それに含まれるグルコースオキシダーゼ含量を測定した。イヌリン分解酵素活性を100%として0.6%であった。本製品を20mMクエン酸緩衝液(pH4.0)にバッファ置換後、55℃で24時間処理を行った。その結果、イヌリン分解活性は86%回収でき、グルコースオキシダーゼ活性は0.00015%に低下していた。
【0022】
本発明のイヌリン測定方法における精製されたイヌリン分解酵素の濃度については特に限定されないが、例えば、反応時の濃度として1〜500単位/mL、さらに好ましくは3〜150単位/mL程度存在させるのがよい。
【0023】
本発明のイヌリン測定方法においては、イヌリン分解工程の後に、任意の単糖測定方法が組み合わされる。以下にその事例を示すが、本発明はこの事例に限定されるものではない。
(1)イヌリン分解により生成した単糖をソルビトールデヒドロゲナーゼと共役反応させNADHの減少を測定する方法。
(2)イヌリン分解により生成した単糖をフルクトキナーゼ、ホスホグルコイソメラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼと共役反応させNADPHの上昇を測定する方法。
(3)イヌリン分解により生成した単糖を酸素の存在下でフルクトースデヒドロゲナーゼおよび電子受容体と反応させ、生成する5−ケト−D−フルクトースまたは還元型電子受容体の増加あるいは酸化型電子受容体または酸素の減少を測定する方法。
【0024】
さらに詳しくは、上記(3)の方法では、例えば1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルスルフェート(1−メトキシ−PMS)が電子受容体であった場合、これを介して酸素との反応により生成する過酸化水素の増加をエンドポイント法および/またはレート法で測定することができる。
過酸化水素の増加は、4−アミノアンチピリンとアニリン系トリンダー試薬がペルオキシダーゼで触媒されカップリングして生成するキノン色素の増加等で測定することができる。アニリン系トリンダー試薬には特に限定はないが、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOOS)は酸化縮合したときのモル吸光係数感度が高い・呈色が安定しているなどの理由から適している。また、テトラゾリウム塩が電子受容体であった場合、反応により生成するホルマザン色素の増加をエンドポイント法および/またはレート法で測定する事ができる。
本発明の方法によると、イヌリンの測定における所用時間を25分以内にすることができる。
【0025】
本発明のイヌリン測定方法には、必要に応じて上述したものに加えてさらにその他の添加剤を共存せしめても良い。該添加剤としては、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルフォニックアシッド(略称:TES)などのグッド緩衝液や酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液をはじめとする各種緩衝液、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のような界面活性剤、塩化ナトリウムなどの塩類、アルブミンやポリエチレングリコールなどの高分子化合物、アミノ酸類、糖類、シクロデキストリン類等のような安定化剤、抗生物質、アジ化ナトリウム等のような防腐剤、EDTA(又はその塩)等のようなキレート剤などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例により特に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0027】
実施例1および比較例1:イヌリンおよびグルコースの測定
1.試薬の調製
下記組成からなる試薬をそれぞれ調製した。以下、R1、R2はそれぞれ試薬1、試薬2の略号を表す。
R1(濃度はR1中)
酢酸緩衝液(pH5.0) 0.05mol/L
イヌリナーゼ(ノボ・ノルディスク社製) 30単位/mL
R2(濃度はR2中)
TES緩衝液(pH7.5) 0.05mol/L
ペルオキシダーゼ(東洋紡績株式会社製FCD−301)10 U/mL
4−アミノアンチピリン 0.1g/L
アニリン系トリンダー試薬(TOOS) 1g/L
【0028】
(実施例1)
上記Fructozymeを、20mMクエン酸緩衝液(pH4.0)にバッファ置換後、55℃で24時間処理を行った。試薬中におけるグルコースデヒドロゲナーゼのコンタミネーション率は0.001%であった。
【0029】
(比較例1)
上記Fructozymeをそのまま用いた。試薬中におけるグルコースデヒドロゲナーゼのコンタミネーション率は0.2%であった。
【0030】
試料の調製
精製水(ブランク)
基準液(20mg/dL イヌリン水溶液)
イヌリン水溶液
グルコース水溶液 2.0g/dL
【0031】
測定
R1 2.00mLに試料をそれぞれ0.06mL添加し37℃にて5分間静置した後と、その後R2を2.00mL添加し5分間静置した後の2ポイントエンド法で546nmにおける吸光度を測定した。ブランク、基準液についても同様に測定し、次の式によりイヌリン濃度を求めた。
【0032】
【数2】
【0033】
結果
表1に示す。実施例ではグルコースを測定しても測定値はほぼ0であるが、比較例ではイヌリン濃度が0であるにもかかわらず正の値を示し、グルコースの影響を受けていることがわかる。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
上述したように、本発明は、コンタミネーション率の低いイヌリン分解酵素を用いることにより、簡便かつ正確にイヌリン濃度を測定できる方法を提供することができるものである。
Claims (12)
- イヌリンを酵素的に分解し、生成したフルクトースを測定するイヌリン測定方法において、イヌリンをイヌリナーゼで分解する工程にグルコースオキシダーゼおよび/またはグルコースデヒドロゲナーゼのコンタミネーション率が0.01%以下である酵素を用いることを特徴とするイヌリン測定方法。
- イヌリンを酵素的に分解し、生成したフルクトースをソルビトールデヒドロゲナーゼと共役反応させNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の減少を測定する請求項1に記載のイヌリン測定方法。
- イヌリンを酵素的に分解し、生成したフルクトースをフルクトキナーゼ、ホスホグルコイソメラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼと共役反応させNADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)の上昇を測定する請求項1に記載のイヌリン測定方法。
- イヌリンを酵素的に分解し、生成したフルクトースを酸素の存在下でフルクトースデヒドロゲナーゼおよび電子受容体と反応させ、生成する5−ケト−D−フルクトースまたは還元型電子受容体の増加あるいは酸化型電子受容体または酸素の減少を測定する請求項1に記載のイヌリン測定方法。
- NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)またはNADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を電子受容体としないフルクトースデヒドロゲナーゼを用いる請求項4に記載のイヌリン測定方法。
- 電子受容体が1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルスルフェート(1−メトキシ−PMS)であり、これを介して酸素との反応により生成する過酸化水素を測定する請求項4または5に記載のイヌリン測定方法。
- 過酸化水素の増加を、4−アミノアンチピリンとアニリン系トリンダー試薬がペルオキシダーゼで触媒されカップリングして生成するキノン色素の増加で測定する請求項6に記載のイヌリン測定方法。
- アニリン系トリンダー試薬がN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOOS)である請求項7に記載のイヌリン測定方法。
- 電子受容体がテトラゾリウム塩であり、反応により生成するホルマザン色素を測定する請求項4または5に記載のイヌリン測定方法。
- 分析所要時間が25分以内である請求項1〜9のいずれかに記載のイヌリン測定方法。
- グルコースオキシダーゼおよび/またはグルコースデヒドロゲナーゼのコンタミネーション率が0.01%以下であるイヌリナーゼが含まれることを特徴とするイヌリン測定試薬。
- 2試薬からなるイヌリン測定試薬であって、試薬1に緩衝液、フルクトキナーゼ、ホスホグルコイソメラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、塩化マグネシウム、NADPおよび/またはNADおよびATPを含み、かつ試薬2に緩衝液、イヌリン分解酵素を含む請求項11に記載のイヌリン測定試薬。
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