JP2003020789A - 梯子取付式作業床支持装置と建物用作業足場 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便な工事で安全な作業足場を確保できる建
物用作業足場とその建物用作業足場をつくるための補助
構造部材を提供しようとする。 【解決手段】梯子に取り付けられ作業床を支持する梯子
取付式作業床支持装置であって、梯子の一つの横木を把
持、開放可能な第一の連結具と、梯子の他の横木を把
持、開放可能な第二の連結具と、一箇所を前記第一の連
結具に結合する棒状構造材である主ビームと、一端を前
記第二の連結具に結合し他端を前記主ビームに連結した
主ビーム支持部材とを備え、該主ビーム支持部材が両端
距離を調整可能な調整具を有するものとした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建物の建築等に用
いられる作業用足場に係る。特に作業用梯子を流用する
構造に特徴のある作業用足場に関する。

【０００２】

【従来の技術】住宅等の小規模な建物の工事をする際に
は、作業員の作業足場を安全に確保するために簡易足場
が組まれる。以下に、従来の簡易足場の構造を簡単に説
明する。図４は、従来の作業足場の斜視図である。簡易
足場は、一般的に基礎板と鉄パイプと単管クランプと作
業床で構成される。基礎板が建物の周囲の地面に敷き付
けられる。鉄パイプが建物を二重に囲うように基礎板の
上に垂直に立てられる。さらに鉄パイプが建物を囲んで
水平に配置される。単管クランプが鉄パイプを交差する
箇所で結束する。短い鉄パイプが、建物を二重に囲った
垂直の鉄パイプ間に水平に架け渡され単管クランプで結
束される。作業床が、複数の短い鉄パイプの間に架け渡
される。さらに、斜めの鉄パイプが、一端を垂直の鉄パ
イプの上部に連結し、他端を地面に固定される。

【０００３】建物の工事をする際は、上記の構造をした
簡易足場を組んだ後で、作業に従事する。簡易足場を組
む作業自体が高所作業になるので、注意深い作業が必要
であった。また、簡易足場は、いわゆるトラス構造を基
本として組まれているので、垂直、水平、斜めの鉄パイ
プをすべて組まないと倒壊するおそれがあり、鉄パイプ
の構成を省略することができない。また、簡易足場が丈
夫な構造をしている反面、重量が大きくなり、建物の周
囲に広い設置面積を必要とした。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述の簡易足場の場
合、設置に時間と工賃が必要であり、工事の施主の負担
が大きいという問題があった。特に、建物の一部を工事
する際も、トラス構造のため鉄パイプの構成を省略でき
ず、工事費に占める簡易足場の設置工事費の割合が大き
くなってしまう。また、既存の住宅等の建物の工事で
は、建物の周囲に基礎として使用できる面積が少なく、
簡易足場の設置に苦労することがしばしばであった。

【０００５】本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出さ
れたもので、従来の簡易足場にかわって、簡便な工事で
安全な作業足場を確保できる建物用作業足場とその建物
用作業足場をつくるための補助構造部材を提供しようと
する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る梯子に取り付けられ作業床を支持する
梯子取付式作業床支持装置は、梯子の一つの横木を把
持、開放可能な第一の連結具と、梯子の他の横木を把
持、開放可能な第二の連結具と、一箇所を前記第一の連
結具に結合する棒状構造材である主ビームと、一端を前
記第二の連結具に結合し他端を前記上部ビームに連結し
た主ビーム支持部材とを備え、該主ビーム支持部材が両
端距離を調整可能な調整具を有するものとした。

【０００７】上記本発明の構成により、第一の連結具が
梯子の一つの横木を把持、開放でき、第二の連結具が梯
子の他の横木を把持、開放でき、主ビームの一箇所が前
記第一の連結具に結合し、主ビーム支持部材の他端が前
記上部ビームに連結し、主ビーム支持部材の一端が前記
第二の連結具に結合し、主ビーム支持部材の調整具が主
ビーム支持部材の両端距離を調整可能なので、梯子と主
ビームと主ビーム支持部材とが三角形のトラス構造を形
成して、上面の傾きを調整でき、平行になった主ビーム
の上面に作業床を安定して乗せて、その重量を支えるこ
とができる。

【０００８】さらに、本発明に係る梯子取付式作業床支
持装置は、前記主ビームに直列して並ぶ棒状構造材であ
る副ビームを備えるものとした。上記本発明の構成によ
り、副ビームが前記主ビームに直列して並ぶので、副ビ
ームの上面に作業床を乗せて、その重量を支えることが
できる。

【０００９】また、本発明に係る建物の周りに設けられ
作業をするための建物用作業足場は、建物の壁に立て掛
けられた複数の梯子と、前記梯子に支持され上面が水平
な作業床支持部材と、複数の該作業床支持部材の上面に
架け渡された作業床とを備えたものとした。上記本発明
の構成により、建物の壁に立て掛けられた複数の梯子に
支持された作業床支持部材の水平な上面に、作業床を架
け渡すことができ、建物の周りに作業床を設置できる。

【００１０】さらに、本発明に係る建物用作業足場は、
前記作業床支持部材が、一箇所を梯子に連結される棒状
構造材である主構造部材と、一端を梯子に連結され他端
を前記主構造部材に連結され両端距離を調整可能な支持
部材と、を有するものとした。上記本発明の構成によ
り、梯子と主構造部材と支持部材とでトラス構造を形成
し、支持部材の両端距離を調整できるので、水平になっ
た主構造部材に作業床を安定して乗せて、その重量を支
持できる。

【００１１】さらに、本発明に係る建物用作業足場は、
前記作業床支持部材が、前記主構造部材に直列に並ぶ棒
状構造材である副構造部材を有するものとした。上記本
発明の構成により、副構造部材が前記主構造部材に直列
に並ぶので、副構造部材に作業床をのせて、その重量を
支えることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共
通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略
する。

【００１３】本発明の実施形態の構造を説明する。図１
は、本発明の実施形態の斜視図である。図２は、本発明
の実施形態の側面図である。最初に、本発明にかかる梯
子取付式作業床支持装置３を説明する。梯子取付式作業
床支持装置３は、梯子を利用して建物の作業足場を構築
するために、梯子に取り付けられて、作業床を支持する
ものであり、第一の連結具１０と第二の連結具２０と主
ビーム３０と主ビーム支持部材４０と副ビーム５０と安
全索用柱６０とを備える。

【００１４】第一の連結具１０は、梯子に梯子取付式作
業床支持装置３の一端を結合するためのものであり、梯
子の一つの横木を把持または開放可能になっている。第
一の連結具１０は、例えば、単管クランプと呼ばれるも
のであり、第一連結金具１１と第二連結金具１２と連結
ボルト１３と連結ナット１４とを有する。第一連結金具
１１の一端と第二連結金具１２の一端とはピン結合さ
れ、回転自在になっている。連結ボルト１３と連結ナッ
ト１４とが、第一連結金具１１の他端と第二連結金具１
２の他端とを結合または開放する。第一連結金具１１の
他端と第二連結金具１２の他端とが結合されると、第一
連結金具１１と第二連結金具の間に、略円形の空間が形
成され、その空間は梯子２の横木５の断面の形状寸法に
近似する。第一連結金具１１と第二連結金具の間に梯子
２の横木５を入れて、連結ボルト１３と連結ナット１４
を締めると、第一の連結具１０は梯子２の横木５を把持
する。

【００１５】第二の連結具２０は、梯子に梯子取付式作
業床支持装置３の他端を結合するためのものであり、梯
子の一つの横木を把持または開放可能になっている。第
二の連結具２０の構造は第一の連結具１０と同じなので
説明を省略する。

【００１６】主ビーム３０は、水平に作業床を支持する
ものであり、主ビーム本体３１とアイプレート３３と安
全索用基礎３４とを有する。主ビーム本体３１は、棒状
構造材であり、例えば断面四角形の角パイプである。主
ビーム本体３１の一端は第一の連結具に、例えば溶接に
より、結合している。主ビーム本体３１の上面には作業
床を乗せることができる。主ビーム本体の側面には、長
穴３２が設けられる。アイプレート３３は、後述する主
ビーム支持部材の一端が回転自在に連結されるプレート
である。安全索用基礎３４は、安全索用柱６０を立てる
基礎であり、例えば短い角パイプである。安全索用基礎
３４は、軸を主ビームの長手軸に直交して主ビーム本体
３１の他端に、例えば溶接により、固定される。

【００１７】主ビーム支持部材４０は、梯子の横木を支
えにして、主ビームを支持しかつ主ビーム３０の作業床
４を乗せる面を水平にするものであり、調整具４１と上
部ロッドエンド４２と下部ロッドエンド４３とを有す
る。調整具４１は、主ビーム支持部材４０の両端距離を
連続的に変更するものであり、例えばターンバックルで
ある。上部ロッドエンド４２は、主ビーム支持部材４０
の上端部を形成し、穴の開いたエンドプレートとエンド
プレートに一体となった雄ねじとで構成され、調整具４
１にねじ込まれる。下部ロッドエンド４３は、主ビーム
支持部材４０の下端部を形成し、穴の開いたエンドプレ
ートとエンドプレートに一体となった雄ねじとで構成さ
れ、調整具４１にねじ込まれる。上部ロッドエンド４２
の雄ねじと下部ロッドエンド４３の雄ねじは、逆ねじに
なっており、調整具４１を一方に回転させると軸端距離
が短くなり、他方に回転させると軸端距離が長くなる。

【００１８】副ビーム５０は、梯子の反対側にも作業床
を設けるためのものであり、副ビーム本体５１と副ビー
ムつば５２と止めボルト５３とを有する。副ビーム本体
５１は、棒状構造材であり、例えば断面四角形の角パイ
プである。副ビーム本体５１の角パイプの外寸法は、主
ビーム本体３１の角パイプの内寸法よりもわずかに小さ
くなっている。副ビーム５０は、主ビームの中に挿入可
能になっており、主ビームの一端から伸びたり、縮めた
りできる。また、副ビームの上面には、作業床を乗せる
ことができる。副ビームつば５２は、作業床のためのエ
ンドストッパであり、副ビーム本体５１の先端に設けら
れる。止めボルト５３は、延びた副ビームを主ビームに
固定するものであり、主ビーム３０の長穴３２を貫通し
て副ビームに設けられた雌ねじにねじ込まれている。

【００１９】安全索用柱６０は、安全索を上端に装備す
るためのものであり、主ビーム３０の安全索用基礎３４
の中に挿入して立てることができる。

【００２０】次に、本発明の実施形態である梯子取付式
作業床支持装置３を使用した建物用作業足場を説明す
る。図３は、建物用作業足場の斜視図である。

【００２１】梯子２が、建物１の周りに沿って建物に壁
に立て掛けられる。梯子取付式作業床支持装置３が、各
梯子４に取り付けられる。作業床となる足場板４が隣り
合った梯子取付式作業床支持装置３の主ビームの上面に
架け渡される。さらに、作業床となる足場板４が隣り合
った梯子取付式作業床支持装置３の副ビームの上面に架
け渡される。安全索用柱６０が、主ビームに取り付けら
れ、安全策が張り巡らされる。作業員は、作業床４に乗
って安全に作業をすることができる。

【００２２】次に、本発明の実施形態の使用方法を説明
する。 （Ａ）建物１の周りに梯子２を立て掛ける。 （Ｂ）梯子２の横木５に梯子取付式作業床支持装置３の
第一の連結具１０を把持させて、梯子と主ビームとを連
結する。 （Ｃ）梯子２の下の横木５に梯子取付式作業床支持装置
３の第二の連結具２０を把持させて、梯子と主ビーム支
持部材とを連結する。 （Ｄ）主ビーム支持部材４０の調整具（ターンバック
ル）４１を調整して、主ビーム３０の作業床の乗る上面
を平行にする。 （Ｅ）補助ビーム５０を主ビームの中から延ばして、止
めボルト５３をロックする。 （Ｆ）すべての梯子２の梯子取付式作業床支持装置３の
取り付けが完了したら、隣り合った主ビーム３０の上面
に作業床（足場板）４を架け渡し、隣り合った副ビーム
５０の上面に作業床（足場板）４を架け渡す。 （Ｇ）安全索用基礎３４に安全索用柱６０を据え付け、
安全索用柱６０の上部に安全索を架け渡す。 以上の作業により、建物１の周囲に簡易足場を設置でき
る。

【００２３】上述の実施形態の梯子取付式作業床支持装
置を用いれば、梯子を利用して建物等の周囲に簡便に短
時間に作業足場を構築できる。また、作業足場の撤収が
簡便に短時間で出来る。また、梯子取付式作業床支持装
置を取り外せば、梯子本来の用途として利用できる。ま
た、梯子取付式作業床支持装置はコンパクトなので、運
搬が容易で、保管に場所を取らない。

【００２４】本発明は以上に述べた実施形態に限られる
ものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変
更が可能である。主ビーム支持部材が主ビームを下方か
ら支える構成で説明したがこれに限定されず、主ビーム
支持部材が主ビームを上方から支える構成等でもよい。
また、主ビームと副ビームを角パイプとして説明したが
これに限定されず、例えば、丸パイプや溝型鋼材やＨ型
鋼材でも良い。また、副ビームを主ビームに挿入されて
伸縮可能な構造として説明したがこれに限定されず、例
えば、主ビームと副ビームがピンで回転自在に固定さ
れ、使用時に直列に並び、不使用時には折り畳まれる構
造でも良い。また、連結具を単管クランプとして説明し
たがこれに限定されない。また、調整具をターンバック
ルとして説明したがこれに限定されない。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように本発明の梯子に取り
付けられ作業床を支持する梯子取付式作業床支持装置
は、その構成により、以下の効果を有する。梯子と主ビ
ームと主ビーム支持部材とが三角形のトラス構造を形成
して、上面の傾きを調整でき、平行になった主ビームの
上面に作業床を安定して乗せて、その重量を支えること
ができる。また、副ビームの上面に作業床を乗せて、そ
の重量を支えることが出来る。

【００２６】また、本発明の建物の周りに設けられ作業
をするための建物用作業足場は、その構成により、以下
の効果を有する。建物の壁に立て掛けられた複数の梯子
に支持された作業床支持部材の水平な上面に、作業床を
架け渡すことができ、建物の周りに作業床を設置でき
る。また、梯子と主構造部材と支持部材とでトラス構造
を形成し、支持部材の両端距離を調整できるので、水平
になった主構造部材に作業床を安定して乗せて、その重
量を支持できる。また、副構造部材に作業床をのせて、
その重量を支えることができる。従って、簡便な工事で
安全な作業足場を確保できる建物用作業足場とその建物
用作業足場をつくるための補助構造部材を提供できる。

【００２７】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態の斜視図である。

【図２】本発明の実施形態の側面図である。

【図３】本発明の実施形態を使用した簡易足場の斜視図
である。

【図４】従来の作業足場の斜視図である。

【符号の説明】

１ 建物 ２ 梯子 ３ 梯子取付用作業床支持装置 ４ 作業床（足場板） ５ 横木 １０ 第一の連結具（単管クランプ） １１ 第一連結金具 １２ 第二連結金具 １３ 連結ボルト １４ 連結ナット ２０ 第二の連結具（単管クランプ） ２１ 第一連結金具 ２２ 第二連結金具 ２３ 連結ボルト ２４ 連結ナット ３０ 主ビーム ３１ 主ビーム本体 ３２ 長穴 ３３ アイプレート ３４ 安全索用基礎 ４０ 主ビーム支持部材 ４１ 調整具（ターンバックル） ４２ 上部ロッドエンド ４３ 下部ロッドエンド ５０ 副ビーム ５１ 副ビーム本体 ５２ 副ビームつば ５３ 止めボルト ６０ 安全索用柱

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 梯子に取り付けられ作業床を支持する梯
   子取付式作業床支持装置であって、梯子の一つの横木を
   把持、開放可能な第一の連結具と、梯子の他の横木を把
   持、開放可能な第二の連結具と、一箇所を前記第一の連
   結具に結合する棒状構造材である主ビームと、一端を前
   記第二の連結具に結合し他端を前記主ビームに連結した
   主ビーム支持部材とを備え、該主ビーム支持部材が両端
   距離を調整可能な調整具を有することを特徴とする梯子
   取付式作業床支持装置。
2. 【請求項２】前記主ビームに直列に並ぶ棒状構造材であ
   る副ビームを備えることを特徴とする請求項１に記載の
   梯子取付式作業床支持装置。
3. 【請求項３】建物の周りに設けられ作業をするための建
   物用作業足場であって、建物の壁に立て掛けられた複数
   の梯子と、前記梯子に支持され上面が水平な作業床支持
   部材と、複数の該作業床支持部材の上面に架け渡された
   作業床とを備えた建物用作業足場。
4. 【請求項４】前記作業床支持部材が、一箇所を梯子に連
   結される棒状構造材である主構造部材と、一端を梯子に
   連結され他端を前記主構造部材に連結され両端距離を調
   整可能な支持部材と、を有することを特徴とする請求項
   ３に記載の建物用作業足場。
5. 【請求項５】前記作業床支持部材が、前記主構造部材に
   直列に並ぶ棒状構造材である副構造部材を有することを
   特徴とする請求項４に記載の建物用作業足場。