JP2003019198A - 腹膜透析液 - Google Patents

腹膜透析液

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JP2003019198A
JP2003019198A JP2001205690A JP2001205690A JP2003019198A JP 2003019198 A JP2003019198 A JP 2003019198A JP 2001205690 A JP2001205690 A JP 2001205690A JP 2001205690 A JP2001205690 A JP 2001205690A JP 2003019198 A JP2003019198 A JP 2003019198A
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dialysate
peritoneal
carbonyl
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Takashi Yamamoto
敬史 山本
Keizo Tanaka
恵三 田中
Asami Hirai
麻美 平井
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JMS Co Ltd
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    • A61M1/00Suction or pumping devices for medical purposes; Devices for carrying-off, for treatment of, or for carrying-over, body-liquids; Drainage systems
    • A61M1/14Dialysis systems; Artificial kidneys; Blood oxygenators ; Reciprocating systems for treatment of body fluids, e.g. single needle systems for hemofiltration or pheresis
    • A61M1/28Peritoneal dialysis ; Other peritoneal treatment, e.g. oxygenation
    • A61M1/287Dialysates therefor

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 腹膜透析液に含有されるブドウ糖
分解産物の毒性や反応性を前もって排除することによっ
て、透析液の生体適合性を改善する。 【解決手段】 ブドウ糖を浸透圧剤とする腹膜透
析液であって、液中に存在するブドウ糖分解産物の活性
基に反応して、前記分解産物の反応性を減少せしめるカ
ルボニル消去剤を透析液中に有効量添加したことを特徴
とする腹膜透析液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透析液を所定時間
腹腔内に貯留し、その後排液することによって、腎不全
等の患者から老廃物や水分を除去する腹膜透析液に関
し、さらに詳細には生体適合性の改善された前記透析液
に関する。
【0002】
【従来の技術】腎不全の患者に対する治療法として、従
来より血液透析療法や腹膜透析療法等が広く行われてき
た。腹膜透析療法は、不適切な処置による腹膜炎の発生
や長期間継続によって、腹膜機能が低下する場合がある
等のデメリットはあるが、通院の必要が無い、患者が時
間的に拘束されない、瀕回の体外血液循環や血管穿刺に
よる問題が無い、有害物質の分子量による除去効率の問
題が少ない、治療費が安価、等の多くのメリットがあ
り、現在のみならず将来的にも有望な透析療法である。
【0003】従来の腹膜透析液の話題としては、浸透圧
(調整)剤の種類や濃度による生体適合性の影響を調べ
たものが多かったが、近年では、酸性の腹膜透析液によ
る生体への影響を調査したものも多く発表されている。
それによれば、酸性の腹膜透析液は腹膜機能低下の原因
の1つとなるだけでなく、腹腔内リンパ球の免疫能を低
下せしめ、腹膜炎を発生し易くさせるという報告もあ
る。
【0004】このように、酸性の腹膜透析液は生体にと
って好ましくないと考えられているが、浸透圧剤のブド
ウ糖を中性域で滅菌・保存すると、分解して人体に有害
なブドウ糖分解産物、例えば5−ヒドロキシメチルフル
フラール(5−HMF)やアセトアルデヒド、3−デオ
キシグルコソンなどのアルデヒド類が発生するため、や
むを得ず透析液を酸性域に調整しているという事情があ
った。上記のブドウ糖分解産物は細胞毒性やタンパク質
の修飾活性を有しており、腹膜透析療法において腹膜劣
化の原因の1つと考えられている。
【0005】しかし、最近では調製方法や薬液組成、保
存容器を工夫することによって、上記ブドウ糖の分解の
抑制が可能であることが示され、生体適合性に優れた中
性腹膜透析液が現実的なものとなってきた。例えば、特
表平7−500992号、特開平8−131542号、
特開平8−164199号、特開平11−197240
号、特開2000−51348号等に開示された腹膜透
析液やその調製方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記に開示さ
れた腹膜透析液は、透析液の組成や緩衝剤の種類、また
2液に分割貯蔵した場合の各液の液比などにおいて制約
を受け、選択できる範囲が狭められてしまう。さらに問
題となるのは、記述した先願に開示された方法では、
(ブドウ糖の分解を上記要因によって抑制しているけれ
ども、)加熱滅菌等によって生成したブドウ糖分解産物
は除去できない事である。即ち、加熱等によって、ブド
ウ糖分解産物が一旦生成してしまうと、それを除去する
方法・手段が無いため、透析液の腹腔内注入に伴って、
患者体内に有毒なブドウ糖分解産物が投与されてしま
う。
【0007】従って、本発明の目的は、腹膜透析液を患
者に投与する前に、該透析液に含有するブドウ糖分解産
物の毒性や反応性(毒性および反応性の両方を含めて、
以下活性と称す)を前もって排除・抑制(緩和)するこ
とによって、透析液の生体適合性を改善することにあ
る。そして、生体適合性の改善された透析液やそれを得
るための方法・手段を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、ブドウ
糖を浸透圧剤とする腹膜透析液であって、液中に存在す
るブドウ糖分解産物の活性基に反応して、前記分解産物
の反応性を減少せしめるカルボニル消去剤を透析液中に
有効量添加したことを特徴とする腹膜透析液である。即
ち、加熱滅菌された腹膜透析液、または加熱滅菌前の腹
膜透析液に予めカルボニル消去剤を添加して透析液中の
ブドウ糖分解産物の活性を低下・抑制するものである。
【0009】本発明の第2は、ブドウ糖分解産物を効率
的に抑制・消去するための方法と形態に関するものでで
あり、カルボニル消去剤を腹膜透析液に添加する具体的
な手段に関するものである。即ち、前記腹膜透析液がブ
ドウ糖含有液とブドウ糖非含有液の少なくとも2液に分
割された腹膜透析液をそれぞれ収容し、また前記分割さ
れた各液を混合する混合手段を有する液入り容器であっ
て、前記ブドウ糖非含有液に前記カルボニル消去剤(液
中に存在するブドウ糖分解産物の活性基に反応して、前
記分解産物の反応性を減少せしめる)を添加したことを
特徴とする腹膜透析液入り収容容器である。
【0010】上記構成において、カルボニル消去剤をブ
ドウ糖含有液中ではなく、ブドウ糖非含有液中に添加し
ておくことで、保存時の着色が低減できる、カルボ
ニル消去剤をブドウ糖と共存させることによって生じる
ブドウ糖の分解促進の抑制、等の効果が得られる。そし
て、患者に液を投与する直前に上記両液(ブドウ糖含有
液およびブドウ糖非含有液)を混合することによって、
カルボニル消去剤の反応性が保持できるので、上記両液
を混合した際のブドウ糖分解産物の活性低下、除去の効
果が大きく、より透析液の生体適合性が改善される。
【0011】本発明の第3は、ブドウ糖分解産物をカル
ボニル消去剤と反応させて形成させた複合体および添加
したカルボニル消去剤を、投与前に吸着剤によって除去
するものである。即ち、前記収容容器に連結された、ま
たは連結可能な腹膜透析注入装置であって、前記収容容
器の液出口部、または前記腹膜透析注入の任意の部位
に、ブドウ糖分解産物とカルボニル消去剤の複合体を吸
着する吸着手段を設けたたことを特徴とする腹膜透析装
置である。
【0012】吸着財の例としては、オクタデシル基、オ
クチル基、フェニル基、ブチル基等を有する疎水性吸着
材、活性炭素、弱アニオン交換樹脂や弱カチオン交換樹
脂が望ましい。上記の吸着手段を容器の液出口に設ける
ことによって、患者腹腔内に透析液を流入する際に、ブ
ドウ糖分解産物複合体が吸着手段にトラップされ、体内
に投与される毒性物質を低減できる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において、上記の特徴や構
成を有した上で、以下に記載するような種々の実施形態
をとることによって、さらに有用なものとなる。即ち、
前記カルボニル消去剤がアミノ基を有する生体適合性物
質(生体に許容される物質)である腹膜透析液である。
前記の生体適合性物質として、α−アミノ酸、α−アミ
ノ酸からなるジペプチド、その他のタンパク質構成アミ
ノ酸以外のアミノ酸、アミノ基を有する核酸塩基やヌク
レオシド、等が挙げられる。
【0014】また、ブドウ糖分解産物のカルボニル基と
反応して、shiff塩基を生じる活性基を持つカルボニル
消去剤である。上記のカルボニル消去剤を選択した理由
または根拠は、生体適合性や生物的代謝性に優れてい
る、また成分によっては、栄養として腹腔から吸収され
る可能性がある等の要件や特性に基づく。
【0015】α−アミノ酸の例として、グリシン、アラ
ニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、
プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリ
ン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギ
ン、グルタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、グ
ルタミン酸、アスパラギン酸の中から選ばれる少なくと
も1種のもの、または上記20のいずれかのアミノ酸か
らなるジペプチド、タンパク質構成アミノ酸以外のアミ
ノ酸の例として、タウリン、β−アラニン、L−オルニ
チンの中から選ばれる少なくとも1種のもの、アミノ基
を有する核酸塩基の例として、アデニン、グアニン、シ
トシンの中から選ばれる少なくとも1種のもの、ヌクレ
オシドの例として、アデノシン、グアノシンの中から選
ばれる少なくとも1種のものが挙げられる。
【0016】次に、上記カルボニル消去剤の透析液中の
濃度(含有量)が所定の範囲にあるものが望ましい。容
器内の腹膜透析液の容量やブドウ糖含有量は既知であ
り、加熱滅菌条件も既知であるため、滅菌後に生成する
ブドウ糖分解産物の量は大まかに予測可能である。そう
であれば、予想されるブドウ糖分解産物生成量(の活性
基)に対して、どのくらいの量のカルボニル消去剤を添
加すれば良いかが予測可能である。即ち、加熱滅菌等の
透析液の処理条件によって、生成する範囲のブドウ糖分
解産物のうち、量的に代表的なアルデヒドである3−デ
オキシグルコソン生成量に対して、2 〜 3000のモ
ル濃度比のカルボニル消去剤を添加した腹膜透析液が望
ましい。
【0017】具体的には、前述の生体的成分からなるカ
ルボニル消去剤を所定量(1〜30mM、より好ましく
は3〜15mM)含有する腹膜透析液である。カルボニ
ル消去剤の含有量(添加量)が少な過ぎると、ブドウ糖
分解産物の活性基の反応性阻害に効果がない。逆にカル
ボニル消去剤の量が多すぎても、無駄であり、コストが
増大する、または透析液の浸透圧が上昇する等のデメリ
ットがある。
【0018】また、2液分割型の透析液の収容された容
器で、ブドウ糖非含有液側に前記カルボニル消去剤を添
加するものが望ましい理由は既述した通りであるが、さ
らに上記構成に以下の構成を加えたものが好ましい。
【0019】即ち、ブドウ糖含有液が酸性側に調整さ
れ、カルシウムやマグネシウム等の無機塩を含有し、ブ
ドウ糖非含有液が中性またはアルカリ性側に調整され、
乳酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等の血液アルカリ
化剤を含有するものである。その理由は、ブドウ糖の分
解産物の生成を抑えるためであり、ブドウ糖の分解は酸
性溶液で抑制され、また乳酸ナトリウムや炭酸水素ナト
リウムはブドウ糖の分解を促進させることによる。
【0020】また、前記収容容器に連結された、または
連結可能な腹膜透析注入装置であって、前記収容容器の
液出口部、または前記腹膜透析注入の任意の部位に、ブ
ドウ糖分解産物とカルボニル消去剤の複合体を吸着する
吸着手段を設けたたことを特徴とする腹膜透析装置は、
以下の理由により望ましい実施態様である。即ち、ブド
ウ糖分解産物とカルボニル消去剤との反応によって生成
した複合体(complex)を患者腹腔内に投与する前に、
この吸着手段によって、吸着・除去することができる。
【0021】生成した複合体の化学的性質は、カルボニ
ル消去剤の化学的性質を強く反映することが多い。すな
わちカルボニル消去剤が疎水性官能基を有していれば複
合体も疎水性となり、カルボニル消去剤が遊離アミノ基
や遊離カルボキシル基を有していれば複合体は電荷を有
する。そのため、吸着手段として、疎水性基の結合した
吸着剤、活性炭、イオン交換樹脂の少なくともいずれか
を充填したものを使用することによって、前記のブドウ
糖分解産物複合体の生体内流入が抑制できる。
【0022】さらに、上記のような吸着手段を使用する
と、腹膜透析液に添加されたカルボニル消去剤自身も捕
捉されるため、添加する前記カルボニル消去剤の種類や
範囲も拘束が緩くなる。その結果、ブドウ糖分解産物と
カルボニル消去剤の複合体が除去できるという効果だけ
でなく、ブドウ糖分解産物の活性基と反応性は高いが、
生体適合性の点で実績の無いカルボニル消去剤等も利用
できるようになる。
【0023】例えば、後述するようなアミノエタノー
ル、アニリン、アニシジン等のアミンで、これらのもの
は安全性の点から、透析液に添加して、そのまま患者腹
腔内に投与する用途には使用できなくても、上記吸着手
段によって、フリーのアミンやブドウ糖分解物との複合
体を吸着・除去できれば利用できる可能性がある。
【0024】また、本発明は腹膜透析液を患者に投与す
る前に、前記カルボニル消去剤を前記腹膜透析液に添加
することを特徴とする腹膜透析液の調製方法である。そ
れは、透析液が単独の腹膜透析液であって、それにカル
ボニル消去剤を添加するものであっても良いし、各透析
液が投与前に分割されて収容された分割型の腹膜透析液
であっても良い。後者の分割型の腹膜透析液の場合は、
既述した理由によって、非ブドウ糖含有液側にカルボニ
ル消去剤を添加するのが、望ましい。この場合のカルボ
ニル消去剤の種類や添加量は既述したような実施態様か
ら選択できる。
【0025】
【実施例】1.腹膜透析液 使用した透析液の組成は、以下の通りである。ブドウ
糖:2.27(w/v%)、塩化ナトリウム:0.567
(w/v%)、塩化カルシウム:0.0294(w/v%)、
塩化マグネシウム:0.0103(w/v%)、乳酸ナト
リウム:0.392(w/v%)、上記腹膜透析液のpH
を5.40にpH調整した後、高圧蒸気滅菌した。
【0026】2.添加したカルボニル消去剤の種類 試験に使用したカルボニル消去剤の種類は以下の通りで
ある。タウリン、アミノエタノール、アニリン、アニシ
ジン、グリシン、アルギニン、グルタミン酸、セリン、
フェニルアラニン。
【0027】3.試験方法 (1)試験1[グルコース分解産物の消去効果の確認] 上記腹膜透析液を18ml採取し、0.2MのPBS
(リン酸緩衝生食液)を2mL加えて、pHを約7に調
整した。この試験液20mlに30mMの上記の各カル
ボニル消去剤を添加し、室温で1日間インキュベートし
た。 インキュベートの後、各試験液中に残存するグルコ
ース分解産物の濃度を高速液体クロマトグラフ法で測定
した。 表1に、測定を実施したブドウ糖分解産物の種類と、
それらの毒性・タンパク修飾活性について、定性的に示
す。
【0028】
【表1】
【0029】結果を図1のグラフおよび表2に示す。 このグラフから、タウリン、アニリン、アニシジン、ア
ミノエタノール、アルギニン、グルタミン酸、グリシン
がグルコース分解産物の濃度を減少させているのが確認
できる。その中でも、アニリン、アニシジン、アミノエ
タノール、アルギニン、グリシンは高い消去活性を示
し、さらにその中でもアルギニンおよびグリシンは優れ
た消去効果を示した。なお、図1〜3(表2〜4)の未
処理とは、滅菌済み透析液にカルボニル消去剤を添加し
ていないNegative-Controlである。
【0030】
【表2】
【0031】未処理:ペリセート400(000302) (2)試験2[アミン処理と時間の検討] 各カルボニル消去剤を10mMの濃度で添加した後、
グルコース分解産物残存量を(添加後)1hr後、およ
び1日後に測定した以外は上記の試験1に示したのと同
じ方法によって行った。 結果を図2,図3(表3,表4)に示す。
【0032】図2(表3)は、濃度10mMの各カル
ボニル消去剤を添加した後、1hr後のブドウ糖分解産
物の消去効果を示すグラフである。
【0033】
【表3】
【0034】図3(表4)は、濃度10mMの各カル
ボニル消去剤を添加した後、1日後のブドウ糖分解産物
の消去効果を示すグラフである。
【0035】
【表4】
【0036】(3)試験3[細胞増殖抑制能] 試験1と同じ方法で調整した腹膜透析液に、グルコー
ス分解産物消去効果の高いカルボニル消去剤のアルギニ
ン、グリシンをそれぞれ別個に10mM添加し、5hr
放置したものを試験液とした。この試験液をマイクロプ
レートに培養した繊維芽細胞に5〜7日間曝露し、細胞
の増殖率を算出した。
【0037】図4に各液の細胞の増殖率を示す。P400
-Fは未滅菌の透析液(Positive-Control:細胞増殖)、
P400は熱滅菌の透析液(Negative-Contorol:細胞増殖
抑制)、でいずれも対照群である。また、図には示して
いないが、培地で培養したPositive-Controlは、ほぼ1
00%の細胞増殖率を示した。
【0038】それに対し、Arg、Glyはそれぞれ試験群
であり、Argは熱滅菌の透析液にアルギニンを添加した
もの、Glyは熱滅菌の透析液にグリシンを添加したもの
である。
【0039】いずれのカルボニル消去剤も熱滅菌した
透析液に対し、細胞増殖能を改善していることが確認さ
れる。即ち、熱滅菌した透析液では、細胞増殖は完全に
抑えられているのに対し、アルギニンを添加したもので
は14±8%、グリシンを添加したものでは37±14
%増殖能を回復しているのが示されている。
【0040】
【発明の効果】本発明の構成や方法によって、以下の様
々な利点を得ることができる。即ち、 簡便な方法によって、腹膜透析液の含有するブドウ糖
分解産物による毒性を抑制・緩和することができる。そ
して、それはブドウ糖分解産物が生成した場合でも、そ
れによる不利益を軽減できるものである。
【0041】基本的に腹膜透析液の組成やpHや液比
などの拘束を受けないため、上記事項に関する選択範囲
が広がる。その結果、患者または医療従事者は様々な透
析液処方や透析治療を選択可能となる。さらに、吸着手
段を設ける方法によれば、カルボニル消去剤の種類や
添加量に関しても、選択範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験液に濃度30mMの各カルボニル消去剤を
添加した後、1日後のブドウ糖分解産物の消去効果を示
すグラフである。
【図2】試験液に濃度10mMの各カルボニル消去剤を
添加した後、1hr後のブドウ糖分解産物の消去効果を
示すグラフである。
【図3】試験液に濃度10mMの各カルボニル消去剤を
添加した後、1日後のブドウ糖分解産物の消去効果を示
すグラフである。
【図4】熱滅菌の透析液に各カルボニル消去剤を10m
M添加し、5hr後に 細胞に暴露して、ブドウ糖分解
産物の消去効果を細胞増殖能により示すグラフである。
【符号の説明】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 AA06 BB01 DD12 DD16 DD17 KK01 NN14 PP21 PP29

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブドウ糖を浸透圧剤とする腹膜透析液であ
    って、液中に存在するブドウ糖分解産物の活性基に反応
    して、前記分解産物の反応性を減少せしめるカルボニル
    消去剤を透析液中に有効量添加したことを特徴とする腹
    膜透析液。
  2. 【請求項2】前記カルボニル消去剤が、アミノ基を有す
    る生体適合性物質である請求項1記載の腹膜透析液。
  3. 【請求項3】前記の生体適合性成分が、α−アミノ酸、
    α−アミノ酸からなるジペプチド、その他のタンパク質
    構成アミノ酸以外のアミノ酸、アミノ基を有する核酸塩
    基やヌクレオシド、から選択された少なくとも一種類の
    ものである請求項2記載の腹膜透析液。
  4. 【請求項4】α−アミノ酸が、グリシン、アラニン、バ
    リン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリ
    ン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、トレ
    オニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタ
    ミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン
    酸、グルタミン酸の中から選ばれる少なくとも1種のも
    のである請求項3記載の腹膜透析液。
  5. 【請求項5】前記タンパク質構成アミノ酸以外のアミノ
    酸が、タウリン、β−アラニン、L−オルニチンの中か
    ら選ばれる少なくとも1種のものである請求項3記載の
    腹膜透析液。
  6. 【請求項6】前記アミノ基を有する核酸塩基が、アデニ
    ン、グアニン、シトシンの中から選ばれる少なくとも1
    種のものである請求項3記載の腹膜透析液。
  7. 【請求項7】前記ヌクレオシドが、アデノシン、グアノ
    シンの中から選ばれる少なくとも1種のものである請求
    項3記載の腹膜透析液。
  8. 【請求項8】前記カルボニル消去剤の添加量が、生成す
    るブドウ糖分解産物の1つである3−デオキシグルコソ
    ンの生成量に対して、モル濃度比2〜3000である請
    求項1〜7のいずれかに記載された腹膜透析液。
  9. 【請求項9】前述の生体適合性成分からなるカルボニル
    消去剤を所定量(1〜30mM、より好ましくは3〜1
    5mM)含有する請求項2〜7のいずれかに記載された
    腹膜透析液。
  10. 【請求項10】前記カルボニル消去剤の少なくとも1種
    類が、ブドウ糖分解産物のカルボニル基と反応して、sh
    iff塩基を生じる活性基を有するものである請求項1、
    8、9のいずれかに記載の腹膜透析液。
  11. 【請求項11】前記腹膜透析液がブドウ糖含有液とブド
    ウ糖非含有液の少なくとも2液に分割された腹膜透析液
    をそれぞれ収容し、また前記分割された各液を混合する
    混合手段を有する液入り容器であって、前記ブドウ糖非
    含有液に前記カルボニル消去剤(液中に存在するブドウ
    糖分解産物の活性基に反応して、前記分解産物の反応性
    を減少せしめる)を添加したことを特徴とする腹膜透析
    液入り収容容器。
  12. 【請求項12】ブドウ糖含有液が酸性側に調整され、カ
    ルシウムやマグネシウム等の無機塩を含有し、ブドウ糖
    非含有液が中性またはアルカリ性側に調整され、乳酸ナ
    トリウムや炭酸水素ナトリウム等の血液アルカリ化剤を
    含有する請求項11記載の腹膜透析液入り収容容器。
  13. 【請求項13】前記収容容器に連結された、または連結
    可能な腹膜透析注入装置であって、前記収容容器の液出
    口部、または前記腹膜透析注入の任意の部位に、ブドウ
    糖分解産物とカルボニル消去剤の複合体を吸着する吸着
    手段を設けたたことを特徴とする腹膜透析装置。
  14. 【請求項14】前記吸着手段が、疎水性基の結合した吸
    着剤、活性炭、イオン交換樹脂の少なくともいずれかを
    充填したものである請求項13記載の腹膜透析装置。
  15. 【請求項15】腹膜透析液を患者に投与する前に、請求
    項1〜10のいずれかの項に記載の前記カルボニル消去
    剤を前記腹膜透析液に添加することを特徴とする腹膜透
    析液の調製方法。
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