JP2003016617A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2003016617A
JP2003016617A JP2001198281A JP2001198281A JP2003016617A JP 2003016617 A JP2003016617 A JP 2003016617A JP 2001198281 A JP2001198281 A JP 2001198281A JP 2001198281 A JP2001198281 A JP 2001198281A JP 2003016617 A JP2003016617 A JP 2003016617A
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JP2001198281A
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English (en)
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Kazunari Motohashi
一成 本橋
Seiichi Onodera
誠一 小野寺
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温多湿環境下に長期間保存した場合でも、
腐食を抑制することができる磁気記録媒体を提供するこ
と。 【解決手段】 磁気抵抗効果型磁気ヘッド若しくは巨大
磁気抵抗効果型磁気ヘッドに対し摺動状態で用いられる
磁気記録媒体において、非磁性支持体上に、磁性層を有
し、この磁性層の厚さをt(nm)及び透湿度をW(g
/m2・day)としたとき、下記式(1)が成立して
いる、磁気記録媒体。 W≦0.24×t・・・(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、磁気テープ等の磁
気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオテープレコーダー等の分野
においては、高画質化及び高記録密度化を図るため、直
接非磁性支持体上に、金属材料、Co−Ni系合金、C
o−Cr系合金、Co−O系合金などの金属磁性材料を
真空薄膜形成技術を用いて被着させ、磁性層を形成して
なる、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体が提案されて
いる。このような磁気記録媒体としては、例えばハイバ
ンド8mmビデオテープレコーダー、デジタルビデオテ
ープレコーダー用の蒸着テープなどが実用化されてい
る。
【0003】金属薄膜型の磁気記録媒体は、保磁力や角
形比に優れ、また、磁性層を極めて薄層に形成できるこ
とから、短波長領域での電磁変換特性に優れ、記録減磁
や再生時の厚み損失が著しく小さい。また、塗布型の磁
気記録媒体と異なり、磁性層中に非磁性材料であるバイ
ンダーが混入されないので、強磁性金属微粒子の充填密
度を高めることができる等の種々の利点を有している。
【0004】また、磁気テープ等の磁気記録媒体のテー
プストリーマーとしての需要が高まるに伴い、さらなる
磁気記録媒体の高記録密度化が要求されてきている。さ
らに、記録情報の再生を行う際に用いる磁気ヘッドとし
て、従来の誘導型ヘッドに代わり、磁気抵抗効果型磁気
ヘッド(以下、MRヘッドと称する。)が適用されるよ
うになってきている。MRヘッドは、磁性層からの微小
な漏洩磁束を高感度に検出することができるので、記録
密度の向上を達成することができる。
【0005】MRヘッドは漏洩磁束に対する感度が飽和
する検知上限があり、MRヘッドの設計以上に大きな漏
洩磁束を検出することができないため、磁気記録媒体の
磁性層の膜厚を薄層化することにより最適化することが
必要である。また、一般に磁気記録テープシステムは、
テープ磁化量の劣化が15%以上である場合、劣化量が
大きすぎて充分な再生信号が得られなくなるため、テー
プ磁化量の劣化が14%以内であることを想定してシス
テムが形成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、磁気記
録層の薄層化が進むと、磁気記録媒体を高温多湿の環境
下で長期間保存した際に、腐食による劣化の影響を受け
やすくなる問題点があった。
【0007】上述した問題点は、磁気記録媒体に対する
再生ヘッドとして、MRヘッドを使用するのに代わり、
より再生感度が高く、高周波用として高密度記録により
好適である巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下、GM
Rヘッドと称する。)を適用した場合に、磁性層の膜厚
をさらに薄くする必要があるため、より深刻な問題とな
る。
【0008】本発明は、上述したような問題点を解決す
るためになされたものであって、その目的は、高温多湿
環境下に長期間保存した場合でも、腐食を抑制すること
ができ、磁化劣化率を14%以内とすることができる磁
気記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
問題点を解決すべく、高温多湿環境下における磁気記録
媒体の腐食のメカニズムと、磁気記録媒体の物理特性と
の関係を詳細に調べた結果、磁気記録媒体の透湿度と腐
食量に密接な関係があることを見出した。磁化劣化率
は、同一量の磁化量が減少した場合、磁性層の膜厚に比
例し、また、磁化劣化率を既述したように14%以内と
するために許容される透湿度も、磁性層の膜厚と比例関
係にあり、この比例関係について鋭意検討した結果、そ
の比例係数が0.24であることを初めて知見した。
【0010】即ち、本発明は、磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ド(以下、MRヘッドと称する。)若しくは巨大磁気抵
抗効果型磁気ヘッド(以下、GMRヘッドと称する。)
に対し摺動状態で用いられる磁気記録媒体において、非
磁性支持体上に、磁性層を有し、この磁性層の厚さをt
(nm)及び透湿度をW(g/m2・day)としたと
き、下記式(1)が成立している、磁気記録媒体に係る
ものである。 W≦0.24×t・・・(1)
【0011】前記「摺動状態」とは、前記MRヘッド若
しくは前記GMRヘッドのみが摺動している場合、本発
明の磁気記録媒体のみが前記MRヘッド若しくは前記G
MRヘッドに対して摺動している場合、又はこれらの両
方が摺動している場合を意味する。
【0012】本発明によれば、前記透湿度Wが、0.2
4×t以下と特定されているので、高温多湿環境下に長
期間保存した場合でも、腐食を大きく抑制することがで
き、その磁化劣化率を14%以内とすることができる。
従って、例えば、テープストリーマー用途を始めとした
各種の磁気記録テープシステムを用いての高記録密度の
磁気記録媒体を提供することができる。
【0013】また、本発明の磁気記録媒体は、上述した
ような顕著な改善効果(腐食の抑制等)を有しているの
で、前記MRヘッド若しくは前記GMRヘッドのもつ特
有の性能(高再生感度等)にとって有利となり、前記M
Rヘッド若しくは前記GMRヘッドに対し好適に用いる
ことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づ
いて更に詳しく説明する。
【0015】図1は、本発明に基づく磁気記録媒体1の
概略断面図である。
【0016】図1に示すように、非磁性支持体2の一主
面上に、磁性層62としての強磁性金属材料からなる金
属磁性薄膜が例えば真空蒸着法、イオンプレーティング
法又はスパッタリング法等の真空薄膜形成技術によって
形成されており、非磁性支持体2と磁性層62との間に
は、必要に応じてコーティング層61が設けられていて
もよい。そして、磁性層62上に、保護膜63が形成さ
れ、この保護膜63上に潤滑剤層64が形成されている
ことが好ましい。また、図示するように、必要に応じて
非磁性支持体2の磁性層62を設けていない面側(裏
面)には、バックコート層65を設けてもよい。
【0017】本発明に基づく磁気記録媒体1は、前記透
湿度W(g/m2・day)が、0.24×t(但し、
tは磁性層厚であり、単位はnmである。)以下と特定
されているので、高温多湿環境下に長期間保存した場合
でも、腐食をより一層抑制することができ、その磁化劣
化率を14%以内とすることができる。従って、例え
ば、テープストリーマー用途を始めとした各種の磁気記
録テープシステムを用いての高記録密度の磁気記録媒体
を提供することができる。
【0018】前記MRヘッドは、ノイズの影響を受け難
く、読み取り精度を向上することができるので、単位面
積中に大量のデータを書き込んでも正しく読み取ること
ができ、記録密度を高めることができる。即ち、前記M
Rヘッドは、再生感度がよく、例えば高周波用としての
高密度記録に好適である。
【0019】また、前記GMRヘッドは、上述した前記
MRヘッドに比べ、さらに再生感度が優れており、より
一層の高密度記録を達成することができる。
【0020】そして、本発明に基づく磁気記録媒体は、
腐食の抑制等の顕著な改善効果を有しているので、前記
MRヘッド若しくは前記GMRヘッドのもつ特有の性能
(高再生感度等)にとって有利となり、前記MRヘッド
若しくは前記GMRヘッドに対し好適に用いることがで
きる。
【0021】本発明に基づく磁気記録媒体は、下記
(a)〜(g)の少なくとも1つによって前記式(1)
の条件が設定されていることが望ましい。 (a)前記非磁性支持体の厚さ。 (b)前記非磁性支持体の材質。 (c)前記非磁性支持体と、前記磁性層との間に、中間
層を設けること。 (d)前記中間層の厚み。 (e)前記磁性層を真空薄膜形成技術で形成すること。 (f)前記真空薄膜形成技術による成膜時の成膜速度。 (g)前記磁性層の厚み。
【0022】前記(a)に記載した前記非磁性支持体の
厚さとしては1〜9μmが好ましく、より厚い非磁性支
持体を用いることにより、前記式(1)の条件をより好
適に満たすことができ、磁化劣化率をより低下させるこ
とができる。1μm未満の場合、前記非磁性支持体の機
械的強度が著しく低下することがあり、また、9μmを
超えると、テープ等の磁気記録媒体自体の厚みが増し、
単位体積当たりの記録密度が低下することがある。
【0023】前記(b)に記載した前記非磁性支持体の
材質は、通常、この種の磁気記録媒体の基体として用い
られている公知の材料をいずれも適用することができ
る。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル
類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
類、セルローストリアセテート等のセルロース誘導体、
ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミ
ドイミド等のプラスチック等を挙げることができる。
【0024】上述した材質のなかでも、前記ポリアミド
は透湿度が低いので、ポリアミド製の前記非磁性支持体
を用いることが特に好ましい。前記非磁性支持体とし
て、前記ポリアミドを使用すれば、例えば前記非磁性支
持体の厚さを比較的薄くした場合や前記磁性層の厚みを
薄くした場合でも、前記式(1)の条件を好適に満たす
ことができ、磁化劣化率をより低下させることができ
る。
【0025】前記(c)に記載したように、前記非磁性
支持体と、前記磁性層との間に、中間層を設けることに
よって、前記式(1)の条件を設定することも可能であ
る。この中間層を構成する材料としては、Co、Ni、
Fe、Zr、Pt、Au、Ta、W、Ag、Al、M
n、Cr、Ti、V、Nb、Mo、Cuなどの金属材料
の他、これらのうちの2種類以上を組み合わせた合金、
また、この金属材料と酸素や窒素との化合物、Si
2、窒化ケイ素、ITO(indium tin oxide)、In2
3、ZrO等の化合物、ダイヤモンドライクカーボン
が挙げられる。
【0026】前記中間層を設けることによって、本発明
に基づく磁気記録媒体の透湿度を抑制することができ、
耐食性の向上を図ることができると共に、前記非磁性支
持体と、前記磁性層との付着力の向上を図ることが可能
となる。
【0027】また、前記中間層と前記磁性層の間には、
前記中間層の他に、更に異なる別の中間層を設けてもよ
く、この場合、前記磁性層の結晶粒子の微細化と配向性
の向上を図ることが可能となる。前記別の中間層を構成
する材料としては、Co、Ni、Fe、Zr、Pt、A
u、Ta、W、Ag、Al、Mn、Cr、Ti、V、N
b、Mo、Cuなどの金属材料の他、これらのうちの2
種類以上を組み合わせた合金、この金属材料と酸素や窒
素との化合物などが挙げられる。
【0028】前記中間層及び前記別の中間層の形成方法
としては、真空蒸着法、スパッタリング法等が挙げられ
る。
【0029】また、前記(d)に記載したように、前記
中間層の厚みを適宜調整することによって、前記式
(1)の条件を設定することができる。この場合、前記
中間層の厚みは2〜30nmであることが好ましく、厚
みを増すことにより、前記透湿度をより抑制することが
でき、磁化劣化率をより低下させることができる。2n
m未満の場合、透湿度を抑制する効果が充分に得られな
いことがあり、また、30nmを超えると、表面粗さが
劣化し、前記中間層上に形成する前記磁性層のC/N
(キャリア/ノイズ比)が低下することがある。
【0030】前記(e)に記載したように、前記磁性層
を真空薄膜形成技術で形成することが好ましく、また、
前記(f)に記載したように、前記真空薄膜形成技術に
よる成膜時の成膜速度を適宜調整することによっても、
前記式(1)の条件を好適に設定することができ、磁化
劣化率をより低下させることが可能である。この場合、
前記成膜速度をより高速にすることによって、前記磁性
層を緻密な膜として形成することができるので、透湿度
をより低減することができ、前記式(1)の条件をより
一層好適に設定することができ、磁化劣化率のより一層
の低下を図ることができる。
【0031】前記真空薄膜形成技術としては、真空下で
強磁性金属材料を加熱蒸発させ、前記非磁性支持体上に
付着させる真空蒸着法、強磁性金属材料の蒸発を放電中
で行うイオンプレーティング法及びアルゴンを主成分と
する雰囲気中でグロー放電を起こし、生じたアルゴンイ
オンでターゲットの表面の原子をたたき出すスパッタ法
など、いわゆる物理的成膜法(PVD法;Physical Vap
or Deposition)が挙げられる。
【0032】前記真空蒸着法は、成膜性が良好で、生産
性が高く、操作も容易である。前記スパッタ法は、容易
に生産することが可能で、また成膜性も良好である。ま
た、前記イオンプレーティング法は、成膜における制御
が容易で、成膜性も良好である。
【0033】前記(g)に記載したように、前記磁性層
の厚みを適宜調整することによって、前記式(1)の条
件を設定することも可能である。例えば、前記非磁性支
持体の材質、厚み及び前記磁性層の成膜速度が同一の条
件下のもと、かつ前記中間層を設けなかった場合、前記
磁性層の厚みがより厚い磁気記録媒体のほうが、前記式
(1)の条件をより好適に満たすことができる。
【0034】また、本発明に基づく磁気記録媒体は、前
記MRヘッドや前記GMRヘッドを有する記録再生装置
に適用するものであって、ノイズの低減を図り、C/N
(キャリア/ノイズ比)の向上を図るために、前記磁性
層は極めて薄層に形成することが好ましく、特に5〜5
5nm以下に形成することが好ましい。5nm未満の場
合、例えば高感度の前記GMRヘッドを用いても充分に
再生出力を得られないことがあり、また、55nmを超
える場合、前記MRヘッド若しくは前記GMRヘッドに
適用した際に、所望とする記録密度の向上が達成できな
いことがある。
【0035】前記磁性層を形成する強磁性金属材料とし
ては、この種の磁気記録媒体の作製に通常用いられる従
来公知の金属材料又は合金をいずれも使用することがで
きる。例えば、Co、Ni等の強磁性金属、Co−Ni
系合金、Co−Fe系合金、Co−Ni−Fe系合金、
Co−Cr系合金、Co−Pt系合金、Co−Pt−B
系合金、Co−Cr−Pt系合金、Co−Cr−Ta系
合金、Co−Cr−Pt−Ta系合金等の材料、或い
は、これらの材料を酸素雰囲気中で成膜し、膜中に酸素
を含有させたもの、または、これらの材料に1種類若し
くは2種類以上のその他の元素を含有させたものが挙げ
られる。
【0036】また、これらの強磁性材料と非固溶である
Al23、SiO2、InO2、ZrO2などを同時成膜
することにより得られる、Co−Pt−SiO2、Co
−Pt−Al23などのグラニュラー材料によって前記
磁性層を形成してもよい。
【0037】前記非磁性支持体の前記磁性層形成面側に
は、バインダー樹脂、フィラー及び界面活性剤を含有す
る塗料によりコーティング層を形成してもよく、これに
より表面に微細な凹凸を付加したり、機械的な強度を高
めたりすることができる。
【0038】前記バインダー樹脂には、例えば水性ポリ
エステル樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹
脂などが挙げられる。
【0039】前記フィラーの種類としては、耐熱性ポリ
マーからなる粒子、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム等が
挙げられる。
【0040】前記コーティング層に含まれるフィラーの
平均粒径は5〜80nm、前記フィラーによる表面突起
の密度は200〜2000万個/nm2程度とすること
が好ましく、これにより、本発明に基づく磁気記録媒体
はより良好な走行耐久性と電磁変換特性を有することが
できる。
【0041】また、前記磁性層上には、より良好な走行
耐久性及び耐食性を確保するために、ダイヤモンドライ
クカーボンなどからなる保護膜が形成されていてもよ
い。
【0042】前記保護膜は、例えば、プラズマCVD
(化学的成長気相法;Chemical VaporDeposition)連続
膜形成装置を用いて、CVD法によって形成することが
できる。
【0043】使用可能な炭素化合物としては、炭化水素
系、ケトン系、アルコール系など、従来公知の材料をい
ずれも使用することができる。また、プラズマ生成時に
は、炭素化合物の分解を促進するためのガスとして、A
r、H2等が導入されていてもよい。
【0044】また、前記非磁性支持体上の前記磁性層が
設けられていない面側(裏面)には、磁気記録媒体の走
行性の向上や帯電防止及び転写防止等を目的として、バ
ックコート層を設けることができる。前記バックコート
層の厚みは0.3〜1.0μmであることが好ましく、
前記バックコート層の形成は、例えば無機顔料等の固体
粒子を結合剤中に分散させ、該結合剤の種類に応じて選
定された有機溶剤と共に混練して調製されたバックコー
ト層用塗料を調製し、これを非磁性支持体の裏面に塗布
する。
【0045】さらに、前記磁性層が設けられている面側
及び/又は前記磁性層が設けられていない面(裏面)側
の最表層を、潤滑剤や防錆剤によってコーティングする
ことが望ましい。
【0046】なお、本発明に基づく磁気記録媒体は、前
記磁性層が単層であるものに限らず、複数の磁性層が積
層されたものであってもよく、また、接着性を向上させ
る目的で、接着層が形成された構成としてもよい。
【0047】本発明に基づく磁気記録媒体は、前記MR
再生ヘッドを用いたヘリカルスキャン磁気記録システム
の例えば磁気テープとして好適である。
【0048】この場合、前記MR再生ヘッドとしては、
MR素子をシールドで挟み込んだシールド型のMRヘッ
ドを用い、これを回転ドラムに搭載して記録再生装置を
構成する。
【0049】本発明に基づく磁気記録媒体は、腐食の抑
制等の顕著な改善効果を有しているので、前記MRヘッ
ドのもつ特有の性能(高再生感度等)にとって有利とな
り、前記MR再生ヘッドを用いたヘリカルスキャン磁気
記録システムと、本発明に基づく磁気記録媒体とを組み
合わせることにより、これまでにない高密度記録システ
ムを構築することができる。
【0050】上記ヘリカルスキャン磁気記録システムの
磁気記録再生装置は、回転ドラムを用いて記録再生を行
うヘリカルスキャン方式の磁気記録再生装置であり、回
転ドラムに搭載された再生用磁気ヘッドとして、前記M
Rヘッドを使用する。
【0051】この磁気記録再生装置に搭載される回転ド
ラム装置の一構成例を図2及び図3に示す。なお、図2
は回転ドラム装置3の概略を示す斜視図であり、図3は
回転ドラム装置3を含む磁気テープ送り機構10の概略
を示す平面図である。
【0052】図2に示すように、回転ドラム装置3は、
円筒状の固定ドラム4と、円筒状の回転ドラム5と、回
転ドラム5を回転駆動するモータ6と、回転ドラム5に
搭載された一対のインダクティブ型磁気ヘッド7a、7
bと、回転ドラム5に搭載された一対のMRヘッド8
a、8bとを備える。
【0053】上記固定ドラム4は、回転することなく保
持されるドラムである。この固定ドラム4の側面には、
磁気テープMの走行方向に沿ってリードガイド部9が形
成されている。後述するように、記録再生時に磁気テー
プMは、このリードガイド部9に沿って走行する。そし
て、この固定ドラム4と中心軸が一致するように、回転
ドラム5が配されている。
【0054】回転ドラム5は、磁気テープMに対する記
録再生時に、モータ6によって所定の回転速度で回転駆
動されるドラムである。この回転ドラム5は、固定ドラ
ム4と略同径の円筒状に形成されてなり、固定ドラム4
と中心軸が一致するように配されている。そして、この
回転ドラム5の固定ドラム4に対向する側には、一対の
インダクティブ型磁気ヘッド7a、7b及び一対のMR
ヘッド8a、8bが搭載されている。
【0055】インダクティブ型磁気ヘッド7a、7b
は、一対の磁気コアが磁気ギャップを介して接合される
とともに、磁気コアにコイルが巻装されてなる記録用磁
気ヘッドであり、磁気テープMに対して信号を記録する
際に使用される。そして、これらのインダクティブ型磁
気ヘッド7a、7bは、回転ドラム5の中心に対して互
いに成す角度が180°となり、それらの磁気ギャップ
部分が回転ドラム5の外周から突き出すように、回転ド
ラム5に搭載されている。なお、これらのインダクティ
ブ型磁気ヘッド7a、7bは、磁気テープMに対してア
ジマス記録を行うように、アジマス角が互いに逆となる
ように設定されている。
【0056】一方、MRヘッド8a、8bは、磁気テー
プMからの信号を検出する感磁素子としてMR素子を備
えた再生用磁気ヘッドであり、磁気テープMから信号を
再生する際に使用される。そして、これらのMRヘッド
8a、8bは、回転ドラム5の中心に対して互いに成す
角度が180°となり、磁気ギャップ部分が回転ドラム
の外周から突き出すように、回転ドラム5に搭載されて
いる。なお、これらのMRヘッド8a、8bは、磁気テ
ープMに対してアジマス記録された信号を再生できるよ
うに、アジマス角が互いに逆となるように設定されてい
る。
【0057】そして、磁気記録再生装置は、このような
回転ドラム装置3に磁気テープMを摺動させて、磁気テ
ープMに対する信号の記録や、磁気テープMからの信号
の再生を行う。
【0058】すなわち、記録再生時に磁気テープMは、
図3に示すように、供給リール11からガイドローラ1
2、13を経て、回転ドラム装置3に巻き付くように送
られ、この回転ドラム装置3で記録再生がなされる。そ
して、回転ドラム装置3で記録再生がなされた磁気テー
プMは、ガイドローラ14、15、キャプスタン16、
ガイドローラ17を経て、巻き取りロール18へと送ら
れる。すなわち、磁気テープMは、キャプスタンモータ
19により回転駆動されるキャプスタン16によって所
定の張力及び速度にて送られ、ガイドローラ17を経て
巻き取りロール18に巻き取られる。
【0059】このとき、回転ドラム5は、図2中の矢印
Aに示すように、モータ6によって回転駆動される。一
方、磁気テープMは、固定ドラム4のリードガイド部9
に沿って、固定ドラム4及び回転ドラム5に対して斜め
に摺動するように送られる。すなわち、磁気テープM
は、テープ走行方向に沿って、図2中矢印Bに示すよう
にテープ入口側から固定ドラム4及び回転ドラム5に摺
接するようにリードガイド部9に沿って送られ、その
後、図2中矢印Cに示すようにテープ出口側へと送られ
る。
【0060】次に、上記回転ドラム装置3の内部構造に
ついて、図4を参照して説明する。
【0061】図4に示すように、固定ドラム4及び回転
ドラム5の中心には、回転軸21が挿通されている。な
お、固定ドラム4、回転ドラム5及び回転軸21は導通
材料からなり、これらは電気的に導通しており、固定ド
ラム4が設置されている。
【0062】そして、固定ドラム4のスリーブの内側に
は、2つの軸受け22、23が設けられており、これに
より、固定ドラム4に対して回転軸21が回転可能に支
持されている。すなわち、回転軸21は、軸受け22、
23により、固定ドラム4に対して回転可能に支持され
ている。一方、回転ドラム5には、その内周部にフラン
ジ24が形成されており、このフランジ24が回転軸2
1の上端部に固定されている。これにより、回転ドラム
5は、回転軸21の回転に伴って回転するようになされ
ている。
【0063】また、回転ドラム装置3の内部には、固定
ドラム4と回転ドラム5との間で信号の伝送を行うため
に、非接触型の信号伝送装置であるロータリトランス2
5が配されている。このロータリトランス25は、固定
ドラム4に取り付けられたステータコア26と、回転ド
ラム5に取り付けられたロータコア27とを有してい
る。
【0064】ステータコア26及びロータコア27は、
フェライト等のような磁性材料が、回転軸21を中心と
する円環状に形成されてなる。また、ステータコア26
には、一対のインダクティブ型磁気ヘッド7a、7bに
対応した一対の信号伝送用リング26a、26bと、一
対のMRヘッド8a、8bに対応した信号伝送用リング
26cと、一対のMRヘッド8a、8bの駆動に必要な
電力を供給するための電力伝送用リング26dとが、同
心円状に配置されている。同様に、ロータコア27に
も、一対のインダクティブ型磁気ヘッド7a、7bに対
応した一対の信号伝送用リング27a、27bと、一対
のMRヘッド8a、8bに対応した信号伝送用リング2
7cと、一対のMRヘッド8a、8bの駆動に必要な電
力を供給するための電力伝送用リング27dとが、同心
円状に配置されている。
【0065】これらのリング26a、26b、26c、
26d、27a、27b、27c、27dは、回転軸2
1を中心として円環状に巻回されたコイルからなり、ス
テータコア26の各リング26a、26b、26c、2
6dと、ロータコア27の各リング27a、27b、2
7c、27dとがそれぞれ対向するように配されてい
る。そして、このロータリトランス25は、ステータコ
ア26の各リング26a、26b、26c、26dと、
ロータコア27の各リング27a、27b、27c、2
7dとの間で、非接触にて信号や電力の伝送を行うよう
になっている。
【0066】また、回転ドラム装置3には、回転ドラム
5を回転駆動させるモータ6が取り付けられている。こ
のモータ6は、回転部分であるロータ28と、固定部分
であるステータ29とを有している。ロータ28は、回
転軸21の下端部に取り付けられており、駆動用マグネ
ット30を備えている。一方、ステータ29は、固定ド
ラム4の下端部に取り付けられており、駆動用コイル3
1を備えている。そして、駆動用コイル31に電流を供
給することにより、ロータ28が回転駆動される。これ
により、ロータ28に取り付けられている回転軸21が
回転し、それに伴って、回転軸21に固定されている回
転ドラム5が回転駆動されることとなる。
【0067】つぎに、以上のような回転ドラム装置3に
よる記録再生について、この回転ドラム装置3並びにそ
の周辺回路についての回路構成の概略を示す図5を参照
して説明する。
【0068】上記回転ドラム装置3を用いて磁気テープ
Mに信号を記録する際は、先ず、モータ6の駆動用コイ
ル31に電流が供給され、これにより、回転ドラム5が
回転駆動される。そして、回転ドラム5が回転している
状態にて、図5に示すように、外部回路40からの記録
信号が記録用アンプ41に供給される。
【0069】記録用アンプ41は、外部回路40からの
記録信号を増幅し、一方のインダクティブ型磁気ヘッド
5aによって信号を記録するタイミングの時、当該イン
ダクティブ型磁気ヘッド5aに対応したステータコア2
6の信号伝送用リング26aに記録信号を供給し、ま
た、他方のインダクティブ型磁気ヘッド5bによって信
号を記録するタイミングの時、当該インダクティブ型磁
気ヘッド5bに対応したステータコア26の信号伝送用
リング26bに記録信号を供給する。
【0070】ここで、一対のインダクティブ型磁気ヘッ
ド7a、7bは、上述したように、回転ドラム5の中心
に対して互いに成す角度が180°となるように配され
ているので、これらのインダクティブ型磁気ヘッド7
a、7bは、180°の位相差を持って交互に記録する
こととなる。すなわち、記録用アンプ41は、一方のイ
ンダクティブ型磁気ヘッド5aに記録信号を供給するタ
イミングと、他方のインダクティブ型磁気ヘッド5bに
記録信号を供給するタイミングとを、180°の位相差
を持って交互に切り換える。
【0071】そして、一方のインダクティブ型磁気ヘッ
ド5aに対応したステータコア26の信号伝送用リング
26aに供給された記録信号は、非接触にてロータコア
27の信号伝送用リング27aに伝送される。そして、
ロータコア27の信号伝送用リング27aに伝送された
記録信号は、インダクティブ型磁気ヘッド5aに供給さ
れ、当該インダクティブ型磁気ヘッド5aにより、磁気
テープMに対して信号の記録がなされる。
【0072】同様に、他方のインダクティブ型磁気ヘッ
ド5bに対応したステータコア26の信号伝送用リング
26bに供給された記録信号は、非接触にてロータコア
27の信号伝送用リング27bに伝送される。そして、
ロータコア27の信号伝送用リング27bに伝送された
記録信号は、インダクティブ型磁気ヘッド5bに供給さ
れ、当該インダクティブ型磁気ヘッド5bにより、磁気
テープMに対して信号の記録がなされる。
【0073】また、上記回転ドラム装置3を用いて磁気
テープMからの信号を再生する際は、先ず、モータ6の
駆動用コイル31に電流が供給され、これにより、回転
ドラム5が回転駆動される。そして、回転ドラム5が回
転している状態にて、図5に示すように、オシレータ4
2から高周波の電流がパワードライブ43に供給され
る。
【0074】オシレータ42からの高周波の電流は、パ
ワードライブ43によって所定の交流電流に変換された
上で、ステータコア26の電力伝送用リング26dに供
給される。そして、ステータコア26の電力伝送用リン
グ26dに供給された交流電流は、非接触にてロータコ
ア27の電力伝送用リング27dに伝送される。そし
て、ロータコア27の電力伝送用リング27dに伝送さ
れた交流電流は、整流器44により整流されて直流電流
とされレギュレータ45に供給され、当該直流電流はレ
ギュレータ45により所定の電圧に設定される。
【0075】そして、レギュレータ45によって所定の
電圧に設定された電流は、一対のMRヘッド8a、8b
にセンス電流として供給される。なお、一対のMRヘッ
ド8a、8bには、当該MRヘッド8a、8bからの信
号を検出する再生用アンプ46が接続されており、レギ
ュレータ45からの電流は、この再生用アンプ46にも
供給される。
【0076】ここで、MRヘッド8a、8bは、外部磁
界の大きさによって抵抗値が変化するMR素子を備えて
いる。そして、MRヘッド8a、8bは、磁気テープM
からの信号磁界により、MR素子の抵抗値が変化し、こ
れにより、センス電流に電圧変化が現れるようになされ
ている。
【0077】そして、再生用アンプ46は、この電圧変
化を検出し、当該電圧変化に応じた信号を再生信号とし
て出力する。なお、再生用アンプ46は、一方のMRヘ
ッド6aによって信号を再生するタイミングの時、当該
MRヘッド6aによって検出した再生信号を出力し、ま
た、他方のMRヘッド6bによって信号を再生するタイ
ミングの時、当該MRヘッド6bによって検出した再生
信号を出力する。
【0078】ここで、一対のMRヘッド8a、8bは、
上述したように、回転ドラム5の中心に対して互いに成
す角度が180°となるように配されているので、これ
らのMRヘッド8a、8bは、180°の位相差を持っ
て交互に再生することとなる。すなわち、再生用アンプ
46は、一方のMRヘッド6aからの再生信号を出力す
るタイミングと、他方のMRヘッド6bからの再生信号
を出力するタイミングとを、180°の位相差を持って
交互に切り換える。
【0079】そして、再生用アンプ46からの再生信号
は、ロータコア27の信号伝送用リング27cに供給さ
れ、この再生信号は、非接触にてステータコア26の信
号伝送用リング26cに伝送される。ステータコア26
の信号伝送用リング26cに伝送された再生信号は、再
生用アンプ47によって増幅された上で、補正回路48
に供給される。そして、再生信号は、補正回路48によ
り所定の補正処理が施された後、外部回路40へと出力
される。
【0080】なお、図5に示したような回路構成とした
場合、一対のインダクティブ型磁気ヘッド7a、7b、
一対のMRヘッド8a、8b、整流器44、レギュレー
タ45及び再生用アンプ46は、回転ドラム5に搭載さ
れ、回転ドラム5と共に回転する。一方、記録用アンプ
41、オシレータ42、パワードライブ43、再生用ア
ンプ47及び補正回路48については、回転ドラム装置
3の固定部分に配するか、或いは、回転ドラム装置3と
は別に構成された外部回路とする。
【0081】つぎに、上記回転ドラム5に搭載されるM
Rヘッド8a、8bについて、図6を参照して詳細に説
明する。なお、MRヘッド6a及びMRヘッド6bは、
アジマス角が互いに逆となるように設定されている他
は、同一の構成を有している。そこで、以下の説明で
は、これらのMRヘッド8a、8bをまとめてMRヘッ
ド6と称する。
【0082】MRヘッド6は、回転ドラム5に搭載さ
れ、ヘリカルスキャン方式によって磁気テープMからの
信号を、磁気抵抗効果を利用して検出する再生専用の磁
気ヘッドである。一般に、MRヘッドは、電磁誘導を利
用して記録再生を行うインダクティブ型磁気ヘッドより
も感度が高く再生出力が大きいので、高密度記録に適し
ている。したがって、再生用磁気ヘッドとしてMRヘッ
ド6を用いることで、より高密度記録化を図ることがで
きる。
【0083】そして、このMRヘッド6は、図6に示す
ように、Ni−Zn多結晶フェライト等のような軟磁性
材料からなる一対の磁気シールド51、52と、絶縁体
53を介して一対の磁気シールド51、52によって挟
持された略矩形状のMR素子部54とを備える。なお、
MR素子部54の両端からは、一対の端子が導出されて
おり、これらの端子を介して、MR端子部54にセンス
電流を供給できるようになされている。
【0084】MR素子部54は、磁気抵抗効果を有する
MR素子と、SAL(Soft Adjacent Layer)膜と、M
R素子とSAL膜との間に配された絶縁体膜とが積層さ
れてなる。MR素子は、異方性磁気抵抗効果(AMR)
により、外部磁界の大きさによって抵抗値が変化するN
i−Fe等のような軟磁性材料からなる。SAL膜は、
いわゆるSALバイアス方式により、MR素子にバイア
ス磁界を印加するためのものであり、パーマロイ等のよ
うに低保磁力で高透磁率の磁性材料からなる。絶縁体膜
は、MR素子とSAL膜との間を絶縁し、電気的な分流
損を防ぐためのものであり、Ta等のような絶縁材料か
らなる。
【0085】このMR素子部54は、略矩形状に形成さ
れてなり、一側面が磁気テープ摺動面55に露呈するよ
うに、一対の磁気シールド51、52によって絶縁体5
3を介して挟持されている。詳細には、このMR素子部
54は、短軸方向が磁気テープ摺動面55に対して略垂
直となり、長軸方向が磁気テープ摺動方向に対して略直
交するように、一対の磁気シールド51、52によって
絶縁体53を介して挟持されている。
【0086】このMRヘッド6の磁気テープ摺動面55
は、当該磁気テープ摺動面55にMR素子部54の一側
面が露呈するように、磁気テープMの摺動方向に沿って
円筒研磨されているとともに、磁気テープMの摺動方向
に対して直交する方向に沿って円筒研磨されている。こ
れにより、このMRヘッド6は、MR素子部54或いは
その近傍部分が最も突出するようになされている。この
ように、MR素子部54或いはその近傍部分が最も突出
するようにすることにより、MR素子部54の磁気テー
プMに対する当たり特性を良好なものとすることができ
る。
【0087】そして、以上のようなMRヘッド6を用い
て磁気テープMからの信号を再生する際は、図7に示す
ように、磁気テープMをMR素子部54に摺動させる。
なお、図7中の矢印は、磁気テープMが磁化されている
様子を模式的に示している。
【0088】そして、このように磁気テープMをMR素
子部54に摺動させた状態で、MR素子部54の両端に
接続された端子54a、54bを介して、MR素子部5
4にセンス電流を供給し、当該センス電流の電圧変化を
検出する。具体的には、MR素子部54の一端に接続さ
れた端子54aから、所定の電圧Vcを印加するととも
に、MR素子部54の他端に接続された端子54bを、
回転ドラム5に接続しておく。ここで、回転ドラム5は
回転軸21を介して固定ドラム4に電気的に導通してお
り、また、固定ドラム4は接地されている。したがっ
て、MR素子部54に接続された一方の端子54bは、
回転ドラム5、回転軸21及び固定ドラム4を介して接
地されている。
【0089】そして、磁気テープMを摺動させた状態で
MR素子部54にセンス電流を供給すると、磁気テープ
Mからの磁界に応じて、MR素子部54に形成されたM
R素子の抵抗値が変化し、その結果、センス電流に電圧
変化が生じる。そこで、このセンス電流の電圧変化を検
出することにより、磁気テープMからの信号磁界が検出
され、磁気テープMに記録されている信号が再生され
る。
【0090】なお、用いるMRヘッド6において、MR
素子部54に形成されるMR素子は、磁気抵抗効果を示
す素子であればよく、例えば、複数の薄膜を積層するこ
とにより、より大きな磁気抵抗効果を得られるようにし
た、いわゆる巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)も使
用可能である。また、MR素子にバイアス磁界を印加す
る手法は、SALバイアス方式でなくてもよく、例え
ば、永久磁石バイアス方式、シャント電流バイアス方
式、自己バイアス方式、交換バイアス方式、バーバーポ
ール方式、分割素子方式、サーボバイアス方式等、種々
の手法が適用可能である。なお、巨大磁気抵抗効果並び
に各種バイアス方式については、例えば、丸善株式会社
発行の「磁気抵抗ヘッド−基礎と応用− 林和彦訳」に
詳細に記載されている。
【0091】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。
【0092】実施例1 非磁性支持体として、厚さ6.3μm、幅150mmの
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意
した。
【0093】まず、非磁性支持体上の磁気記録層を形成
する面側に、厚み5nmのコーティング層を形成した。
コーティング層は、アクリルエステルを主成分とする水
溶性ラッテクスに、直径が10nmのシリカ粒子を攪拌
し、密度が1×107個/mm2程度となるように塗布し
て形成した。
【0094】次に、磁気記録層を蒸着装置を用いて形成
した。原料である金属磁性材料をCoとし、酸素ガス導
入管から酸素を6.0×10-43/min導入し、電
子銃から電子線を照射して加熱し、反応性真空蒸着によ
り、Co−CoO系磁性層を50nmの膜厚にて形成し
た。このとき、シャッターによって、Co蒸着粒子の最
小入射角度を45°、最大入射角度を90°に調整し、
磁性層を成膜する際の蒸着速度を1500nm・m/m
inとした。
【0095】次いで、磁性層上に、ダイヤモンドライク
カーボンからなる保護膜を形成した。ダイヤモンドライ
クカーボンからなる保護膜は、プラズマCVD法によっ
て膜厚が9nmになるように形成した。
【0096】次に、ダイヤモンドライクカーボンからな
る保護膜上に、パーフルオロポリエーテルを厚み2nm
となるように塗布し、潤滑剤層を形成した。また、磁性
層を形成した面側とは反対側の面側(裏面)に、走行耐
久性を得るためにカーボンとウレタン樹脂からなるバッ
クコート層を0.5μmの膜厚に形成した。
【0097】最後に、原反を8mm幅に裁断し、サンプ
ルテープを得た。これを実施例1のサンプルテープとす
る。
【0098】実施例2 Co−CoO系磁性層の膜厚を30nmとし、磁性層を
成膜する際の蒸着速度を3000nm・m/minにし
た以外は、実施例1と同様にして実施例2のサンプルテ
ープを作製した。
【0099】実施例3 非磁性支持体として厚さ4.4μmのポリアミドフィル
ムを用い、Co−CoO系磁性層の膜厚を30nmとし
た以外は、実施例1と同様にして実施例3のサンプルテ
ープを作製した。
【0100】実施例4 非磁性支持体上に、SiO2をターゲットとするスパッ
タリング法によって、膜厚が10nmの中間層を形成
し、その後、Co−CoO系磁性層の膜厚を20nmと
なるように成膜した以外は、実施例1と同様にして実施
例4のサンプルテープを作製した。
【0101】実施例5 厚みが4.4μmの非磁性支持体を用い、磁性層を成膜
する際に、蒸着速度を3000nm・m/minとし、
磁性層の厚みを30nmとした以外は、実施例1と同様
にして実施例5のサンプルテープを作製した。
【0102】実施例6 磁性層の厚みを55nmとしたこと以外は、実施例1と
同様にして実施例6のサンプルテープを作製した。
【0103】比較例1 Co−CoO系磁性層の膜厚を30nmとした以外は、
実施例1と同様にして比較例1のサンプルテープを作製
した。
【0104】比較例2 Co−CoO系磁性層の膜厚を20nmとした以外は、
実施例1と同様にして比較例2のサンプルテープを作製
した。
【0105】比較例3 非磁性支持体の厚みを4.4μmとしたこと以外は、実
施例1と同様にして比較例3のサンプルテープを作製し
た。
【0106】比較例4 中間層の厚みを2nmとしたこと以外は、実施例4と同
様にして比較例4のサンプルテープを作製した。
【0107】比較例5 磁性層の厚みを10nmとしたこと以外は、実施例3と
同様にして比較例5のサンプルテープを作製した。
【0108】比較例6 磁性層を成膜する際の蒸着速度を1500nm・m/m
inとしたこと以外は、実施例5と同様にして比較例6
のサンプルテープを作製した。
【0109】上記のようにして作製した各サンプルテー
プについて、以下に示す方法を用いて透湿度及び磁化劣
化率の評価を行った。
【0110】透湿度は、透湿度テスターL80−400
0(Lyssy社製)によって高湿層、即ち100%RH密
封層内の水分が、磁気記録媒体を低湿層、即ち10%R
Hの密封層へ移動するようになされ、磁気記録媒体の単
位面積に1日あたりに移動する水分量を換算した値を測
定した。
【0111】磁化劣化率は、温度65℃、湿度90%R
H(相対湿度)の環境下にて6日間放置して、放置前の
s0(飽和磁化)と、放置後のMs1とを測定し、下記式
(2)を用いて算出した。 磁化劣化率(%)={(Ms0−Ms1)/Ms0}×100・・・(2)
【0112】評価結果を下記表1及び図3に示し、制御
条件を下記表2にまとめて示す。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】 *この表中、「−」は条件が同一であることを意味す
る。
【0115】上記表1及び図3より明らかなように、本
発明に基づく磁気記録媒体は、前記透湿度Wが、0.2
4×t(但し、tは磁性層厚であり、単位はnmであ
る。)以下と特定されているので、高温多湿環境下に長
期間保存した場合でも、腐食を大きく抑制することがで
き、その磁化劣化率を14%以内とすることができた。
この効果は、透湿度Wを0.24×tより0.8g/m
2・day以上小さくしたときに著しいことが分かる。
【0116】また、上記表1及び上記表2より明らかな
ように、上述した特定範囲を実現するためには、下記
(a)〜(g)の少なくとも1つを満たしていることが
望ましい。 (a)前記非磁性支持体の厚さ。 (b)前記非磁性支持体の材質。 (c)前記非磁性支持体と、前記磁性層との間に、中間
層を設けること。 (d)前記中間層の厚み。 (e)前記磁性層を真空薄膜形成技術で形成すること。 (f)前記真空薄膜形成技術による成膜時の成膜速度。 (g)前記磁性層の厚み。
【0117】実施例1と比較例3から明らかなように、
非磁性支持体の材質、磁性層の蒸着速度及び磁性層の厚
みを同一条件に設定し、かつ中間層を設けなかった場
合、比較例3のサンプルテープは非磁性支持体の厚さが
4.4μmのものを用い、その磁化劣化率が28%と大
幅に14%を超えたのに対し、実施例1のサンプルテー
プは、非磁性支持体の厚さが6.3μmであり、より厚
いものを用いたので、前記式(1)の条件がより好適に
満たされ、磁化劣化率を14%以下とすることができ
た。
【0118】実施例3と比較例6から明らかなように、
非磁性支持体の厚み、磁性層の蒸着速度及び磁性層の厚
みを同一条件に設定し、かつ中間層を設けなかった場
合、比較例6のサンプルテープは、非磁性支持体として
ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その磁化
劣化率が25%と大幅に14%を超えたのに対し、実施
例3のサンプルテープは、非磁性支持体として、より透
湿度の低いポリアミドフィルムを用いたので、前記式
(1)の条件がより好適に満たされ、磁化劣化率を14
%以下とすることができた。
【0119】実施例4と比較例2から明らかなように、
非磁性支持体の材質及び厚み、磁性層の蒸着速度及び磁
性層の厚みを同一条件に設定した場合、比較例2のサン
プルテープは中間層を有しておらず、その磁化劣化率が
22%と大幅に14%を超えたのに対し、実施例4のサ
ンプルテープは、中間層としてのSiO2膜を10nm
の厚さで設けたので、前記式(1)の条件がより好適に
満たされ、磁化劣化率を14%以下とすることができ
た。
【0120】また、実施例4と比較例4から明らかなよ
うに、非磁性支持体の材質及び厚み、磁性層の蒸着速度
及び磁性層の厚みを同一条件に設定し、かつ中間層とし
てSiO2膜を設けた場合、比較例4のサンプルテープ
は中間層の厚みが2nmであり、その磁化劣化率が16
%であったのに対し、実施例4のサンプルテープは、中
間層としてのSiO2膜を10nmの厚さで設けたの
で、前記式(1)の条件がより好適に満たされ、磁化劣
化率を14%以下とすることができた。
【0121】実施例2と比較例1から明らかなように、
非磁性支持体の材質、厚み及び磁性層の厚みを同一条件
に設定し、かつ中間層を設けなかった場合、比較例1の
サンプルテープは磁性層を成膜する際の蒸着速度を15
00g/m2・dayとし、その磁化劣化率が15%で
あったのに対し、実施例2のサンプルテープは、磁性層
を成膜する際の蒸着速度を3000g/m2・day
と、より一層高速にしたので、磁性層をより緻密な膜と
して形成することができ、前記式(1)の条件がより好
適に満たされ、磁化劣化率を7%と低減することができ
た。
【0122】実施例1と比較例1から明らかなように、
非磁性支持体の材質、厚み及び磁性層を成膜する際の蒸
着速度を同一条件に設定し、かつ中間層を設けなかった
場合、比較例1のサンプルテープは磁性層の厚みが30
nmであり、その磁化劣化率が15%であったのに対
し、実施例1のサンプルテープは、磁性層の厚みを50
nmと、より厚くしたので、前記式(1)の条件がより
好適に満たされ、磁化劣化率を14%以下とすることが
できた。
【0123】
【発明の作用効果】本発明によれば、前記透湿度Wが、
0.24×t以下と特定されているので、高温多湿環境
下に長期間保存した場合でも、腐食を抑制することがで
き、その磁化劣化率を14%以内とすることができる。
従って、例えば、テープストリーマー用途を始めとした
各種の磁気記録テープシステムを用いての高記録密度の
磁気記録媒体を提供することができる。
【0124】また、本発明に基づく磁気記録媒体は、上
述したような顕著な改善効果(腐食の抑制等)を有して
いるので、前記MRヘッド若しくは前記GMRヘッドの
もつ特有の性能(高再生感度等)にとって有利となり、
前記MRヘッド若しくは前記GMRヘッドに対し好適に
用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく磁気記録媒体の概略断面図であ
る。
【図2】本発明の実施の形態による磁気記録再生装置に
搭載される回転ドラム装置の概略斜視図である。
【図3】同、回転ドラム装置を含む磁気テープ送り機構
の概略平面図である。
【図4】同、回転ドラム装置の内部構造の概略断面図で
ある。
【図5】同、回転ドラム装置並びに周辺回路についての
回路構成の概略図である。
【図6】同、回転ドラム装置に搭載されるMRヘッド
(磁気抵抗効果型再生ヘッド)の概略斜視図である。
【図7】同、MRヘッドによる磁気テープを磁化すると
きの模式図である。
【図8】本発明の実施例による0.24×tの値と透湿
度との差分と、磁化劣化率の関係を示す図である。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体、2…非磁性支持体、3…回転ドラム
装置、4…固定ドラム、5…回転ドラム、6…モータ、
7a、7b…インダクティブ型磁気ヘッド、8a、8b
…MRヘッド、61…コーティング層、62…磁性層、
63…保護膜、64…潤滑剤層、65…バックコート層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気抵抗効果型磁気ヘッド若しくは巨大
    磁気抵抗効果型磁気ヘッドに対し摺動状態で用いられる
    磁気記録媒体において、非磁性支持体上に、磁性層を有
    し、この磁性層の厚さをt(nm)及び透湿度をW(g
    /m2・day)としたとき、下記式(1)が成立して
    いる、磁気記録媒体。 W≦0.24×t・・・(1)
  2. 【請求項2】 下記(a)〜(g)の少なくとも1つに
    よって前記式(1)の条件が設定されている、請求項1
    に記載した磁気記録媒体。 (a)前記非磁性支持体の厚さ。 (b)前記非磁性支持体の材質。 (c)前記非磁性支持体と、前記磁性層との間に、中間
    層を設けること。 (d)前記中間層の厚み。 (e)前記磁性層を真空薄膜形成技術で形成すること。 (f)前記真空薄膜形成技術による成膜時の成膜速度。 (g)前記磁性層の厚み。
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