JP2003014894A - X線分光方法及びx線分光装置 - Google Patents

X線分光方法及びx線分光装置

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JP2003014894A JP2001195448A JP2001195448A JP2003014894A JP 2003014894 A JP2003014894 A JP 2003014894A JP 2001195448 A JP2001195448 A JP 2001195448A JP 2001195448 A JP2001195448 A JP 2001195448A JP 2003014894 A JP2003014894 A JP 2003014894A
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parabola
rays
reflecting surface
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勝 栗林
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雅弘 野々口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2種類の波長を切り換えてX線を分光すると
きに、試料もX線源も移動させる必要がなく、かつ、1
種類の多層膜ミラーだけで足りるようにする。 【解決手段】 複焦点型のX線源を使う。第1焦点F1
からは第1波長のX線が発生し、第2焦点F2からは第
2波長のX線が発生する。X線の取り出し方向から見て
第1焦点F1と第2焦点F2とは異なる位置にある。多
層膜ミラー50の曲率を変更可能にする。第1波長を平
行X線ビームとして取り出すには、多層膜ミラー50の
反射面を第1放物線48に沿うように湾曲させ、その焦
点位置にX線源の第1焦点F1を配置する。第2波長を
取り出すには、多層膜ミラー50の反射面を第2放物線
52に沿うように湾曲させ、その焦点位置にX線源の第
2焦点F2を配置する。上述の2種類の分光段階におい
て、X線源の位置及び姿勢は同じであり、多層膜ミラー
50については、その反射面の位置が実質的に変わらず
に、姿勢と曲率だけが変化している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は湾曲反射面を有す
る多層膜ミラーを用いて平行X線ビームを取り出すX線
分光方法に関し、また、そのためのX線分光装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】図15(a)は2種類の波長のX線ビー
ムを用いて薄膜試料のX線回折測定をするための従来の
X線分光方法を示す平面図である。1台のゴニオメータ
10に対して、第1のX線分光装置12と第2のX線分
光装置14を準備している。第1のX線分光装置12
は、第1波長の平行X線ビームを取り出すものであり、
第1波長のX線を発生する第1X線源16と、湾曲反射
面を有する第1の多層膜ミラー18とを備えている。湾
曲反射面は傾斜格子面間隔の多層膜で形成されていて、
その断面形状は第1放物線に沿う形状をしている。この
第1放物線の焦点位置に第1X線源16が配置されてい
る。第1X線源16で発生した第1波長のX線20は第
1の多層膜ミラー18の湾曲反射面で反射して、互いに
平行なX線束からなる第1の平行X線ビーム22とな
る。この第1の平行X線ビーム22を薄膜試料24に低
角度で入射して、そこからの回折X線をソーラースリッ
ト26を通してX線検出器28で検出する。薄膜試料2
4を静止させたままで、X線検出器28を薄膜試料24
の周りに回転させながら回折X線の強度を測定すると薄
膜試料24の回折パターンを得ることができる。
【0003】次に、第2波長のX線で薄膜試料24のX
線回折測定をするには、ゴニオメータ10を第2のX線
分光装置14のところまで平行移動する。そして、第2
X線源30で発生する第2波長のX線を第2の多層膜ミ
ラー32で反射させて第2の平行X線ビーム34を得
て、これを薄膜試料24に照射する。
【0004】例えば、第1のX線分光装置12では、第
1X線源16のターゲット材質としてCu(銅)を用い
て、その特性X線のCuKαを回折測定に用いることが
できる。一方、第2のX線分光装置14では、第2X線
源30のターゲット材質としてCr(クロム)を用い
て、その特性X線のCrKαを回折測定に用いることが
できる。このような場合に、第1の多層膜ミラー18は
CuKα用に作られた専用のものである必要があり、第
2の多層膜ミラー32はCrKα用に作られた専用のも
のである必要がある。
【0005】図15(b)は2種類の波長のX線ビーム
を用いて薄膜試料のX線回折測定をするための従来の別
のX線分光方法を示す平面図である。この従来例では、
2種類の波長のX線を発生することのできるX線源36
を用いる。そして、2種類の波長に応じて2種類の多層
膜ミラー18、32のいずれかを選択する。いずれの波
長を用いる場合でも、ゴニオメータ10は同じ位置のま
までよい。2種類の波長のX線を発生するX線源36と
しては、例えば、円筒状のターゲットの外周面に2種類
の金属を交互に配置した回転対陰極(いわゆる、ゼブラ
型のターゲット)を有するX線管を用いることができ
る。このX線源を用いると、2種類の金属に起因する特
性X線が同時に発生するが、取り出したい波長に応じて
2種類の多層膜ミラー18、32のいずれかを選択する
ことにより、所望の波長の特性X線だけを取り出すこと
ができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図15(a)に示す従
来のX線分光方法は、測定に使うX線の波長を切り換え
るためにはゴニオメータを平行移動させる必要があり、
また、X線分光装置を2セット準備しなければならな
い。一方、図15(b)に示すX線分光方法は、ゴニオ
メータは平行移動させなくてもよいが、測定に使う2種
類の波長に応じて、その波長専用に作られた多層膜ミラ
ーを別個に準備しなければならない。
【0007】この発明は上述の問題点を解決するために
なされたものであり、その目的は、2種類の波長を切り
換えるときに試料もX線源も移動させる必要がなく、か
つ、1種類の多層膜ミラーだけで足りるようなX線分光
方法を提供することにあり、また、その方法を実施する
X線分光装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明のX線分光方
法は、複焦点型のX線源を使うものであって、次の
(a)〜(d)の各段階を備えている。(a)第1波長
のX線を発生する第1焦点と第2波長のX線を発生する
第2焦点とを備えていて、X線の取り出し方向から見て
前記第1焦点と前記第2焦点とが異なる位置にあるよう
なX線源を準備する段階。(b)傾斜格子面間隔の多層
膜からなる湾曲反射面を有する多層膜ミラーを準備する
段階。(c)前記第1波長に基づく第1放物線の焦点位
置に前記X線源の前記第1焦点を配置するとともに、こ
の第1放物線に沿うように前記湾曲反射面を配置して、
前記第1焦点で発生した第1波長のX線を前記湾曲反射
面で反射させて平行X線ビームを取り出す第1分光段
階。(d)前記第2波長に基づく第2放物線の焦点位置
に前記X線源の前記第2焦点を配置するとともに、この
第2放物線に沿うように前記湾曲反射面を配置して、前
記第2焦点で発生した第2波長のX線を前記湾曲反射面
で反射させて平行X線ビームを取り出す第2分光段階で
あって、前記X線源の位置及び姿勢が前記第1分光段階
と同じであり、前記第1分光段階と比較して前記湾曲反
射面の位置が実質的に変わらずにその姿勢と曲率だけが
変化していて、前記第1分光段階と実質的に同じ位置及
び方向に平行X線ビームが取り出される第2分光段階。
このX線分光方法は、2種類の波長が比較的離れていて
も、また、接近していても、どちらでも適用可能であ
る。
【0009】第2の発明のX線分光方法は、単焦点型の
X線源を使うものであって、次の(a)〜(d)の各段
階を備えている。(a)第1波長のX線と第2波長のX
線が同じ焦点から取り出されるX線源を準備する段階。
(b)傾斜格子面間隔の多層膜からなる湾曲反射面を有
する多層膜ミラーを準備する段階。(c)前記第1波長
に基づく第1放物線の焦点位置に前記X線源の焦点を配
置するとともに、この第1放物線に沿うように前記湾曲
反射面を配置して、前記X線源で発生した第1波長のX
線を前記湾曲反射面で反射させて平行X線ビームを作
り、この平行X線ビームを出射スリットから取り出す第
1分光段階。(d)前記第2波長に基づく第2放物線の
焦点位置に前記X線源の焦点を配置するとともに、この
第2放物線に沿うように前記湾曲反射面を配置して、前
記X線源で発生した第2波長のX線を前記湾曲反射面で
反射させて平行X線ビームを作り、この平行X線ビーム
を出射スリットから取り出す第2分光段階であって、前
記X線源の位置及び姿勢が前記第1分光段階と同じであ
り、前記湾曲反射面の位置と姿勢と曲率が前記第1分光
段階から変化していて、前記出射スリットの位置が第1
分光段階と同じであり、前記第1分光段階と実質的に同
じ位置及び方向に平行X線ビームが取り出される第2分
光段階。このX線分光方法は、2種類の波長が接近して
いる場合に有効な方法である。2種類の波長が比較的離
れていると、共通の出射スリットから2種類の波長を取
り出すことができなくなるので、適用不可能になる。
【0010】第3の発明のX線分光装置は、第1の発明
のX線分光方法を実施するための装置であって、次の
(a)〜(c)を備えている。(a)第1波長のX線を
発生する第1焦点と第2波長のX線を発生する第2焦点
とを備えていて、X線の取り出し方向から見て前記第1
焦点と前記第2焦点とが異なる位置にあるようなX線
源。(b)傾斜格子面間隔の多層膜からなる湾曲反射面
を有する多層膜ミラーであって、前記第1波長に基づき
前記第1焦点を焦点位置とする第1放物線に沿う第1姿
勢と、前記第2波長に基づき前記第2焦点を焦点位置と
する第2放物線に沿う第2姿勢とに選択的に配置可能な
多層膜ミラー。(c)前記湾曲反射面の曲率を変更する
ための曲率変更手段。
【0011】第4の発明のX線分光装置は、第2の発明
のX線分光方法を実施するための装置であって、次の
(a)〜(d)を備えている。(a)第1波長のX線と
第2波長のX線が同じ焦点から取り出されるX線源。
(b)傾斜格子面間隔の多層膜からなる湾曲反射面を有
する多層膜ミラーであって、前記第1波長に基づき前記
第1焦点を焦点位置とする第1放物線に沿う第1位置及
び第1姿勢と、前記第2波長に基づき前記第2焦点を焦
点位置とする第2放物線に沿う第2位置及び第2姿勢と
に選択的に配置可能な多層膜ミラー。(c)前記湾曲反
射面の曲率を変更するための曲率変更手段。(d)前記
湾曲反射面から出てくる平行X線ビームの取り出し範囲
を制限する出射スリットであって、前記第1波長の平行
X線ビームと前記第2波長の平行X線ビームとを同じ位
置で取り出すようにした出射スリット。
【0012】
【発明の実施の形態】まず、この発明で使用する多層膜
ミラーについて説明する。図1(a)は多層膜ミラー3
8の断面図である。この多層膜ミラー38は、厚さが
0.5mmのSi(シリコン)基板40の表面に多層膜
42を積層したものである。図1(b)は多層膜42を
模式的に示す断面図である。この多層膜42は重元素で
あるW(タングステン)44と軽元素であるSi(シリ
コン)46とを交互に200層ずつ積層したものであ
る。この多層膜42は1周期の厚さdが場所によって変
化しており、例えばA点における1周期の厚さはd1で
あり、B点における1周期の厚さはd2である。X線回
折の観点から言えば、多層膜42の1周期の厚さdは結
晶の格子面間隔に相当し、上述のように1周期の厚さd
が場所によって変化する多層膜は「傾斜格子面間隔」の
多層膜と呼ばれる。放物線形状の湾曲反射面を用いて平
行X線ビームを取り出すときには、このような傾斜格子
面間隔の多層膜が必要になる。
【0013】この発明で使う多層膜は、一般的に言え
ば、次のような条件で作ることができる。重元素として
はW(タングステン)が代表的である。軽元素としては
Si(シリコン)、C(炭素)、B4C(炭化ホウ素)
などが考えられる。重元素と軽元素の積層数(周期数)
は100〜200層程度とすることができる。1周期の
厚さdは3〜12nm程度である。
【0014】次に、この発明のX線分光方法の原理を説
明する。図2は二つの波長のX線を選別して取り出すた
めのX線光学系を示す説明図である。第1放物線48の
焦点位置FにCuターゲットのX線源の焦点が配置され
ている。この第1放物線48に沿って第1の多層膜ミラ
ー50が配置されている。この第1の多層膜ミラー50
の湾曲反射面は、第1放物線48の一部分を第1放物線
48の軸49に垂直な方向(紙面に垂直な方向)に平行
移動したときにできる軌跡からなる放物面である。この
湾曲反射面は図1(b)に示すような傾斜格子面間隔の
多層膜で形成されている。第1放物線48はCuの特性
X線であるCuKα線を回折させるための放物線となっ
ている。
【0015】焦点位置Fと軸とを共通にする放物線は無
数に存在するが、CuKα線を回折させるような放物線
は、次のようにして求めることができる。図1(b)に
示すような多層膜ミラーを使用する場合を考えると、多
層膜の周期dとX線の波長λ(CuKα線の波長)が決
まると、ブラッグの法則に基づいて、回折現象が生じる
X線入射角θが決まる。そして、多層膜ミラーの最近端
(X線源に一番近い端部。これをC点とする)をX線源
から約80mmのところに配置すると定めれば、C点の
空間位置が決まる。焦点位置Fと軸とC点が定まると、
第1放物線48が一義的に定まる。この放物線上におけ
るX線入射角θは距離X(放物線の頂点からの軸方向の
距離)に応じて変化するので、この入射角θの変化に応
じて、多層膜ミラー50の周期dを連続的に変化させ、
これによって、放物線上のどの位置でもブラッグの法則
を満足できるようにする。この実施形態では、多層膜ミ
ラー50の長さは約40mmである。
【0016】次に、CrターゲットのX線源を上述のC
uターゲットと同じ焦点位置Fに置くことを考える。こ
の場合、Crの特定X線であるCrKα線の波長は上述
のCuKα線の波長とは異なっている。したがって、ブ
ラッグの法則を満足するX線入射角が異なるので、第1
の放物線48とは異なる第2の放物線52を使う必要が
ある。この第2の放物線52はCrKα線を回折させる
ような放物線である。この第2の放物線52に沿うよう
に第2の多層膜ミラー54が湾曲している。当然なが
ら、第1の多層膜ミラー50と第2の多層膜ミラー54
ではその曲率が異なっている。
【0017】図2においてハッチングで示してある領域
は、多層膜ミラーへの入射X線及び多層膜ミラーからの
出射X線が占める領域である。出射X線は互いに平行な
X線束からなる平行ビームである。
【0018】次に、二つの多層膜ミラー50、54を同
じ位置に配置するための条件を考える。第1の放物線4
8及び第1の多層膜ミラー50を、C点とD点の間の距
離G(この実施形態ではG=2.25mm)だけ上方に
移動させると、第1の多層膜ミラー50の最近端C点が
第2の多層膜ミラー54の最近端D点に重なる。移動後
の状態を図3に示す。第1放物線48とその軸49は破
線で示してある。
【0019】例えば、第1放物線48の焦点位置F1に
CuターゲットのX線源を配置して、かつ、第1放物線
48に沿うように第1の多層膜ミラー50を配置するこ
とで、Y方向の幅が1.19mmの平行X線ビームが得
られる。また、第2放物線52の焦点位置F2にCrタ
ーゲットのX線源を配置して、かつ、第2放物線52に
沿うように第1の多層膜ミラー54を配置することで、
Y方向の幅が1.69mmの平行X線ビームが得られ
る。
【0020】次に、二つの多層膜ミラー50、54を共
通にすることを考える。図3において、第1の多層膜ミ
ラー50を曲率可変のミラーとすれば、これを第1の放
物線48に沿うように湾曲させることも、第2の放物線
52に沿って湾曲させることもできる。しかし、第1の
多層膜ミラー50の多層膜の周期dは、CuKα線を反
射させるように連続的に変化しているので、曲率だけを
第2の放物線52に沿って変化させても、周期dがCr
Kα線を反射するようには変化していないので、厳密に
は多層膜ミラー50のすべての地点においてCrKα線
についてのブラッグの法則を満足することにはならな
い。そこで、その誤差を検討する。
【0021】第2の放物線52に沿って理想的な周期d
となっているような第2の多層膜ミラー54における各
地点でのX線入射角をθ1とする。一方、第1の多層膜
ミラー50を第2の放物線52に沿うように湾曲させ
て、この第1の多層膜ミラー50の各地点の周期dに応
じてCrKα線が回折するようなX線入射角をθ2とす
る。このθ1とθ2の角度誤差の計算結果を図12に示
す。多層膜ミラーの最近端(距離X=80mm)から最
遠端(距離X=120mm)までの範囲での角度誤差は
0.0086〜0.0077度となった。すなわち、角
度誤差は0.01度未満である。一方で、多層膜ミラー
による反射ピークの半価幅は約0.05度である。した
がって、理想的な入射角度に対して0.01度未満の角
度ずれがあっても、これは多層膜ミラーの半価幅よりも
かなり小さいので、この多層膜ミラーによって問題なく
反射して、出射ビームを得ることができる。X線強度に
ついても理想状態に対して90%程度であって、強度低
下もそれほど大きくなく、十分使用可能範囲である。以
上のような検討結果に基づいて、CuKα線用に設計さ
れた傾斜周期dを有する多層膜ミラーを、曲率を変える
だけで、CrKα線の多層膜ミラーとしても兼用できる
ことがわかった。
【0022】次に、残る問題は、図3に示すように近接
した二つの焦点F1、F2からCuとCrの特性X線を
別個に発生させるようなX線源を準備することである。
以下に、このような複焦点型のX線源について説明す
る。
【0023】まず、異なる特性X線を発生させることの
できる従来のX線管を説明する。図5は従来のゼブラ型
の回転対陰極である。Cuターゲット56とCrターゲ
ット58を円周方向に沿って交互に配置している。フィ
ラメント60から電子ビーム62が回転対陰極64に照
射されると、Cuターゲット56からのX線とCrター
ゲット58からのX線が混じった状態でX線ビーム66
として取り出される。この場合は、X線取り出し方向か
ら見れば同じ焦点位置からCuターゲット56からのX
線とCrターゲット58からのX線が発生していること
になる。これでは、図3のような用途には使えない。
【0024】次に、この発明で使用する複焦点型の回転
対陰極X線管を説明する。図6は回転対陰極68の外周
面に環状の溝70を複数個並列に設けたものである。こ
の回転対陰極68はカップ状のCr製のベース71(内
部は水冷される)の外周面にCu製の外層72を被覆し
たものである。そして、外層72の厚さよりも深く溝7
0を加工することで、溝70の底面にベース71の材質
のCrが露出している。外層72の被覆方法としては拡
散接合や蒸着などを用いる。
【0025】図8(a)は図6の回転対陰極68の側面
図(左半分を断面図にしたもの)である。円筒状の回転
対陰極68の外径は100mmである。溝70の深さは
図3の距離Gと同じにしてあり、2.25mmである。
溝70の幅は2mmである。図8(b)はX線の取り出
し方向から見た焦点の形状である。外層72の表面(C
u)から発生するX線74と、溝70の底面(Cr)か
ら発生するX線76は、距離Gだけ離れている。ところ
で、溝70は環状になっているので、X線74、76
は、その断面の縦方向において、X線が全く発生しない
部分78が生じてしまう。
【0026】そこで、このような欠点をなくすために、
図7の回転対陰極68aでは溝70aをらせん状に形成
している。図8(c)は図7の回転対陰極68aの側面
図(左半分を断面図にしたもの)である。溝70aの深
さGは2.25mm、幅は2mmである。図8(d)は
その場合のX線取り出し方向から見た焦点の形状であ
る。この場合は、回転対陰極68aが回転することによ
って、X線74a、76aは、その断面の縦方向におい
て一様なX線強度が得られる。
【0027】別の製造方法として、図8(c)のような
形状に回転対陰極の全体をCuで製造し、その後、溝7
0aの底面だけにCrを蒸着してもよい。
【0028】図9は複焦点型の回転対陰極の別の例であ
る。図9(a)は回転対陰極の製造途中の状態を示す横
断面図(回転軸に垂直な断面図)である。この回転対陰
極は、まず、カップ状のCr製のベース71bの外周面
にCu製の外層72bを被覆する。次に、図9(b)に
示すように、周方向の3個所において外周面を加工して
Crを露出させる。これによって、大径部分78と小径
部分80が周方向に交互に配置された状態になる。な
お、小径部分80からのX線を矢印82の方向に取り出
すときに大径部分78が邪魔にならないように、大径部
分78の裾84を接線方向にカットしている。大径部分
78に電子ビームが当たるときはCuの特性X線が発生
し、小径部分80に電子ビームが当たるときはCrの特
性X線が発生する。図9(c)は図9(b)の回転対陰
極の側面断面図である。大径部分78と小径部分80の
半径の差はGであり、これは図8における溝の深さGと
同じである。図9(d)はX線の取り出し方向から見た
焦点の形状である。図8(d)と同様の焦点形状とな
る。なお、3等分以外のn等分(n=正の整数)にして
も構わない。
【0029】図8(c)や図9(c)に示したような複
焦点型の回転対陰極X線管を使うことによって、X線管
の位置及び姿勢を全く変えずに、図3のように、異なる
焦点位置から2種類の波長のX線を取り出すことが可能
となる。
【0030】次に、図3で使用している多層膜ミラー5
0について詳しく説明する。図10は多層膜ミラー50
の外形曲線を示す平面図である。この多層膜ミラーは、
ミラーを構成する基板の一端(図の左端)を壁面に固定
して、先端のH点(図の右端)を自由端として、ここに
荷重をかけて基板を湾曲させるものである。Uは壁(図
10の左端)からの距離、Vは基板の幅方向の中心から
の距離(幅の2分の1)である。基板の外形曲線86を
図16の(1)式のようにすると(この点は後述す
る)、先端に荷重Wをかけたときに基板の湾曲面がCu
Kα線を反射するような放物面となる。
【0031】次に、外形曲線86を求める手順を説明す
る。まず、CuKα線を反射させる第1放物線48(図
2を参照)を求めて、その曲率半径R1(図2の距離X
に依存して変化する)を計算する。次に、図16の
(2)式を用いて基板(片持ち梁)の曲率半径を計算す
る。すなわち、図16の(2)式において、パラメータ
a、b、Wを変えて、使用予定の反射領域(40mm×
20mm。図10のハッチングで示した領域)の各位置
での曲率半径を計算する。この曲率半径が上述の曲率半
径R1にできるだけ一致するように、最適なa、b、W
を求める。これにより、各距離Uにおけるaの数値が得
られる。このaの数値(図10のVに相当する)を距離
Uの5次式の関数で近似すると、図16の(1)式が得
られる。この数式をNC制御の工作機械にセットすれば
外形曲線86を加工することができる。この多層膜ミラ
ーの先端に荷重Wをかけると、少なくとも反射領域(4
0mm×20mm)の部分は、第1放物線48に沿うよ
うに湾曲する。そのときの平面状態からの先端の変位量
は0.25mmとなる。
【0032】なお、上述の曲率R1をCrKα線用の曲
率R2に変えて、図16の(1)式に相当する数式を求
めれば、CrKα線用の多層膜ミラーの外形曲線が得ら
れる。これをCuKα線用の外形曲線86と比較する
と、その誤差は最大で約10μmであり、これは加工誤
差の範囲内である。したがって、CuKα線用の多層膜
ミラーとCrKα線用の多層膜ミラーとで、同じ外形曲
線を用いても、実用上の差異はない。
【0033】図11は多層膜ミラーの曲率を変更するた
めの機構の一例を示す斜視図である。多層膜ミラー50
の基端は固定台88に固定されている。多層膜ミラー5
0の先端は押し棒90で押し上げられるようになってい
る。押し棒90に与える荷重を調整する(実際には押し
棒90の変位を調整する)ことで、多層膜ミラー50の
湾曲面(放物面となる)の曲率を変えることができる。
図11において、ミラー50が湾曲する側(図11の上
側)に多層膜が形成されている。押し棒90の移動機構
と固定台88は回転台92に取り付けられている。回転
台92をその中心線94の周りに回転させると、多層膜
ミラー50のX線源に対する姿勢(取り付け角度)を変
えることができる。
【0034】多層膜ミラーの曲率を変えるための機構は
図11に示すものに限られない。例えば、多層膜ミラー
をその長手方向の両端から中心に向かって互いに押して
湾曲させる方式や、多層膜ミラーの上面を4本の棒で支
持して多層膜ミラーの両端を下から押し棒で押し上げて
湾曲させる方式(4点ベンディング法)などを採用して
もよい。
【0035】図4は図10に示す多層膜ミラーを所望の
放物線96に沿わせるように湾曲させる作業を示す説明
図である。多層膜ミラー50を放物線96に沿わせるに
は、まず、多層膜ミラー50の基端のJ点を放物線96
の位置に載せる。次に、図11の回転台92を回転させ
ることで、多層膜ミラー50のJ点における傾斜を放物
線96の傾斜に一致させる。次に、多層膜ミラー50の
先端のH点を矢印82の方向に押して、先端のH点が放
物線96の上に来るようにする。これで、多層膜ミラー
50の湾曲面は放物線96に沿うような放物面となる。
多層膜ミラー50の長さは65mmであるが、実際に使
用する範囲は、X線源からの距離Xが約80〜120m
mの範囲である。
【0036】次に、このX線分光装置の使用方法の一例
を説明する。図3において、X線源としては図8(c)
に示す複焦点型の回転対陰極68aを有するX線管を使
用する。また、第1の多層膜ミラー50としては図10
に示す多層膜ミラーを用いる。まず、回転対陰極のCu
焦点が焦点位置F1になるように、かつ、Cr焦点が焦
点位置F2になるように、X線管を位置決めする。次
に、図4に示した作業手順で、第1の多層膜ミラー50
を第1放物線48に沿うように湾曲させる。この状態で
X線管からX線を発生させると、焦点位置F1から発生
したCuKα線が第1の多層膜ミラー50で反射して、
平行X線ビームとなって図3の右方向に取り出される。
このCuKα線を用いて、例えば薄膜試料のX線回折測
定を実施する。焦点位置F2から発生したCrKα線は
第1の多層膜ミラー50に当たってもブラッグの法則を
満足しないので、CrKα線はこのX線分光装置からは
出ていかない。
【0037】次に、CrKα線を取り出すようにX線分
光装置を変更する。X線管はそのままの位置及び姿勢で
よく、第1の多層膜ミラー50の姿勢(傾斜角)と曲率
だけを変更する。すなわち、第1の多層膜ミラー50を
第2放物線52に沿うように傾斜させ、かつ、湾曲させ
る。この場合、CrKα線用の第2の多層膜ミラー54
を使うのではなくて、第1の多層膜ミラー50をそのま
ま使って、その傾斜と曲率を第2放物線52に沿うよう
に変更する。このとき、第1の多層膜ミラー50の先端
(図10のH点)における平面状態からの変位量は0.
28mmである。ところで、CuKα線用に湾曲させた
ときは先端における平面状態からの変位量は上述のよう
に0.25mmであったので、CuKα線からCrKα
線に変更するときに、多層膜ミラーの先端の変位量を
0.03mmだけ増加させることになる。
【0038】この場合、本来の第2の多層膜ミラー54
を使う場合と比較して、図12に示すような角度誤差が
生じるが、この角度誤差は上述のように許容範囲内であ
る。この状態でX線管からX線を発生させると、焦点位
置F2から発生したCrKα線が、第2放物線52に沿
うように湾曲した多層膜ミラーで反射して、平行X線ビ
ームとなって図3の右方向に取り出される。最初のCu
Kα線の取り出し位置及び取り出し方向と、次のCrK
α線の取り出し位置及び取り出し方向は、試料から見て
ほぼ同じであるから、試料の位置を変えずに2種類の波
長のX線を使って測定ができる。
【0039】上述の説明では、2種類の波長としてCu
Kα線とCrKα線の組み合わせを用いているが、別の
組み合わせでもかまわない。例えば、CuKα線とCu
Kβ線の組み合わせでも適用できる。その場合は、材質
をCuだけにして複焦点型の回転対陰極を作ればよい。
この場合に使用する回転対陰極を図17に示す。図17
(a)はそのような回転対陰極の側面図(左半分を断面
図にしたもの)である。溝の幅Qは6mmであり、山の
幅Pも6mmである。図17(b)は図17(a)のS
部の拡大図である。溝の深さGは0.45mmである。
CuKα線とCrKα線の組み合わせの場合は、図3に
おける距離Gを0.45mmにすることで多層膜ミラー
の位置を同じにすることができる。この回転対陰極で
は、対陰極の厚さtを、図17(b)に示すように、山
の部分でも溝の部分でも均一にしている。すなわち、ど
の部分でも厚さtが2mmになるようにしている。これ
によって、肉厚をできる限り薄く、かつ、均一にでき
て、回転対陰極の冷却効率を高めることができる。
【0040】また、上述の説明では、CuKα線用の周
期dを有する多層膜ミラーを作って、これをCrKα線
用の多層膜ミラーとして兼用させているが、CuKα線
用の周期dとCrKα線用の周期dの中間の周期dを有
するような多層膜ミラーを作って、これをCuKα線と
CrKα線に兼用してもよい。
【0041】次に、この発明の別のタイプ(単焦点型の
X線源を使うタイプ)のX線分光方法を説明する。図1
3は単焦点型のX線源を使うタイプのX線分光方法の原
理を示す説明図である。図3のX線分光方法と大きく異
なる点は、次の2点である。第1の相違点は、二つの波
長のX線は同じ焦点位置Fから発生することである。第
2の相違点は、波長を変更するときに、多層膜ミラーの
姿勢(傾斜角)と曲率を変えることに加えて、取り付け
位置もシフトさせることである。二つの波長に対して同
じ多層膜ミラーを用いる点は図3の場合と同じである。
このタイプのX線分光方法は、二つの波長が非常に接近
している場合に有効である。二つの波長が離れている
と、多層膜ミラーから取り出す二つの波長のX線ビーム
の取り出し位置が離れてしまうので、適用することがで
きない。二つの波長が比較的離れている場合は、図3の
X線分光方法を使うことになる。
【0042】図13において、第1放物線98はCuタ
ーゲットの特性X線のひとつであるCuKα線を反射す
るような放物線である。第2放物線100はCuターゲ
ットの別の特性X線であるCuKβ線を反射するような
放物線である。多層膜ミラー102はCuKα線を反射
するように設計されたミラー(図10に示すもの)であ
り、これをCuKβ線に対しても共通に使用する。
【0043】図13において、CuKα線を取り出す場
合は、第1放物線98に沿うように多層膜ミラー102
を湾曲させる。そして、多層膜ミラー102から取り出
される平行X線ビームを出射スリット104で絞ってか
ら最終的に取り出すようにする。すなわち、多層膜ミラ
ー102から出てくる平行X線ビームは幅Mの範囲とな
るが、これを出射スリット104の開口幅で絞って最終
的に取り出すことになる。
【0044】次に、CuKβ線を取り出す場合には、第
2放物線100に載るように多層膜ミラー102の最近
端をD点からC点にシフトしてから、この多層膜ミラー
102を第2放物線100に沿うように回転させ、か
つ、湾曲させる。この場合は、多層膜ミラー102から
取り出される平行X線ビームは幅Nの範囲となるが、や
はり、出射スリット104の開口幅で絞って最終的に取
り出す。したがって、出射スリット104は、CuKα
線の平行X線ビームとCuKβ線の平行X線ビームとが
互いに重なり合う領域を取り出すように設計されてい
る。この実施形態では出射スリット104の開口幅は
0.5mmである。この出射スリット104を使うこと
により、CuKα線とCuKβ線は、試料から見て、同
じ取り出し位置と取り出し方向で取り出されることにな
る。ゆえに、試料の位置を同じにしたままで、CuKα
線とCuKβ線の両方で別個に測定できる。
【0045】図13において、CuKα線とCuKβ線
を別個に取り出す場合に、X線源の焦点位置は同じでよ
いので、通常のCuターゲットのX線管を用いることが
できる。このX線管の位置と姿勢は常に同じままでよ
い。
【0046】図14は図13のX線分光装置の分光特性
を示すグラフである。このグラフは、図13のX線分光
装置を使って取り出した平行X線ビームを、Si(00
4)からなる結晶モノクロメータを使って角度分光した
回折パターンである。横軸がSi(004)モノクロメ
ータによる回折角度(2θ)であり、縦軸が回折X線の
強度(単位はcps)である。実線で示す曲線は、図1
3のX線分光装置で取り出したCuKβ線の分光パター
ンであり、破線で示す曲線はCuKα線の分光パターン
である。実線で示す曲線においては、CuKβ線のピー
クほかに、わずかにCuKα1、CuKα2が出ている
が、これは実用上無視してもよい程度の強度である。こ
のように、この分光方法によれば、同一の多層膜ミラー
を使ってCuKα線とCuKβ線を別個に取り出すこと
が可能になった。
【0047】CuKα線とCuKβ線を用いてX線分析
を行う例としては、次のような場合が考えられる。Cu
Kα線を用いて試料の格子定数を精密に求める場合に、
低角反射の測定が必要となるような試料では、CuKα
1線とCuKα2線の波長が重なり合って、その比率が
測定角度範囲内で変化する。そのような場合に、正確な
格子定数を求めようとすると、高度な技術を要する。こ
のような試料に対しては、低角反射についてはCuKβ
線で測定することにより、正確な格子定数の測定が可能
になる。この発明によれば、X線源を移動することな
く、かつ、試料の位置も動かすことなく、同一の多層膜
ミラーの曲率等を変更するだけで、X線の波長を切り換
えることができるので、迅速に測定ができる。
【0048】
【発明の効果】この発明のX線分光方法及び装置は、2
種類の波長を切り換えるときに試料もX線源も移動させ
る必要がなく、かつ、1種類の多層膜ミラーだけで足り
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で使用する多層膜ミラーの断面図であ
る。
【図2】二つの波長のX線を選別して取り出すためのX
線光学系を示す説明図である。
【図3】複焦点型のX線源を使って二つの波長のX線を
別個に取り出すためのX線分光方法を示す説明図であ
る。
【図4】図10に示す多層膜ミラーを所望の放物線に沿
わせるように湾曲させる作業を示す説明図である。
【図5】従来のゼブラ型の回転対陰極の斜視図である。
【図6】外周面に環状の溝を複数個並列に設けた回転対
陰極の一部を破断して示した斜視図である。
【図7】外周面にらせん状の溝を設けた回転対陰極の一
部を破断して示した斜視図である。
【図8】(a)は図6の回転対陰極の部分断面側面図、
(b)は図6の回転対陰極の焦点形状、(c)は図7の
回転対陰極の部分断面側面図、(d)は図7の回転対陰
極の焦点形状である。
【図9】複焦点型の回転対陰極の別の例の平面断面図、
側面断面図及び焦点形状である。
【図10】この発明で使用する多層膜ミラーの平面図で
ある。
【図11】多層膜ミラーの曲率を変更するための機構の
一例を示す斜視図である。
【図12】二つの波長に対して同一の多層膜ミラーを使
う場合の角度誤差を示すグラフである。
【図13】単焦点型のX線源を使うタイプのX線分光方
法の原理を示す説明図である。
【図14】図13のX線分光装置の分光特性を示すグラ
フである。
【図15】2種類の波長のX線ビームを用いて薄膜試料
のX線回折測定をするための従来のX線分光方法を示す
平面図である。
【図16】多層膜ミラーの外形曲線を示す数式と曲率半
径を求める数式である。
【図17】(a)はCuKα線とCrKα線の組み合わ
せを用いるときに使用する回転対陰極の部分断面側面
図、(b)は(a)のS部の拡大図である。
【符号の説明】
48 第1放物線 50 第1の多層膜ミラー 52 第2放物線 54 第2の多層膜ミラー 68 回転対陰極 70 溝 71 ベース 72 外層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の(a)〜(d)の各段階を備えるX
    線分光方法。 (a)第1波長のX線を発生する第1焦点と第2波長の
    X線を発生する第2焦点とを備えていて、X線の取り出
    し方向から見て前記第1焦点と前記第2焦点とが異なる
    位置にあるようなX線源を準備する段階。 (b)傾斜格子面間隔の多層膜からなる湾曲反射面を有
    する多層膜ミラーを準備する段階。 (c)前記第1波長に基づく第1放物線の焦点位置に前
    記X線源の前記第1焦点を配置するとともに、この第1
    放物線に沿うように前記湾曲反射面を配置して、前記第
    1焦点で発生した第1波長のX線を前記湾曲反射面で反
    射させて平行X線ビームを取り出す第1分光段階。 (d)前記第2波長に基づく第2放物線の焦点位置に前
    記X線源の前記第2焦点を配置するとともに、この第2
    放物線に沿うように前記湾曲反射面を配置して、前記第
    2焦点で発生した第2波長のX線を前記湾曲反射面で反
    射させて平行X線ビームを取り出す第2分光段階であっ
    て、前記X線源の位置及び姿勢が前記第1分光段階と同
    じであり、前記第1分光段階と比較して前記湾曲反射面
    の位置が実質的に変わらずにその姿勢と曲率だけが変化
    していて、前記第1分光段階と実質的に同じ位置及び方
    向に平行X線ビームが取り出される第2分光段階。
  2. 【請求項2】 次の(a)〜(d)の各段階を備えるX
    線分光方法。 (a)第1波長のX線と第2波長のX線が同じ焦点から
    取り出されるX線源を準備する段階。 (b)傾斜格子面間隔の多層膜からなる湾曲反射面を有
    する多層膜ミラーを準備する段階。 (c)前記第1波長に基づく第1放物線の焦点位置に前
    記X線源の焦点を配置するとともに、この第1放物線に
    沿うように前記湾曲反射面を配置して、前記X線源で発
    生した第1波長のX線を前記湾曲反射面で反射させて平
    行X線ビームを作り、この平行X線ビームを出射スリッ
    トから取り出す第1分光段階。 (d)前記第2波長に基づく第2放物線の焦点位置に前
    記X線源の焦点を配置するとともに、この第2放物線に
    沿うように前記湾曲反射面を配置して、前記X線源で発
    生した第2波長のX線を前記湾曲反射面で反射させて平
    行X線ビームを作り、この平行X線ビームを前記出射ス
    リットから取り出す第2分光段階であって、前記X線源
    の位置及び姿勢が前記第1分光段階と同じであり、前記
    湾曲反射面の位置と姿勢と曲率が前記第1分光段階から
    変化していて、前記出射スリットの位置が第1分光段階
    と同じであり、前記第1分光段階と実質的に同じ位置及
    び方向に平行X線ビームが取り出される第2分光段階。
  3. 【請求項3】 次の(a)〜(c)を備えるX線分光装
    置。 (a)第1波長のX線を発生する第1焦点と第2波長の
    X線を発生する第2焦点とを備えていて、X線の取り出
    し方向から見て前記第1焦点と前記第2焦点とが異なる
    位置にあるようなX線源。 (b)傾斜格子面間隔の多層膜からなる湾曲反射面を有
    する多層膜ミラーであって、前記第1波長に基づき前記
    第1焦点を焦点位置とする第1放物線に沿う第1姿勢
    と、前記第2波長に基づき前記第2焦点を焦点位置とす
    る第2放物線に沿う第2姿勢とに選択的に配置可能な多
    層膜ミラー。 (c)前記湾曲反射面の曲率を変更するための曲率変更
    手段。
  4. 【請求項4】 次の(a)〜(d)を備えるX線分光装
    置。(a)第1波長のX線と第2波長のX線が同じ焦点
    から取り出されるX線源。 (b)傾斜格子面間隔の多層膜からなる湾曲反射面を有
    する多層膜ミラーであって、前記第1波長に基づき前記
    第1焦点を焦点位置とする第1放物線に沿う第1位置及
    び第1姿勢と、前記第2波長に基づき前記第2焦点を焦
    点位置とする第2放物線に沿う第2位置及び第2姿勢と
    に選択的に配置可能な多層膜ミラー。 (c)前記湾曲反射面の曲率を変更するための曲率変更
    手段。 (d)前記湾曲反射面から出てくる平行X線ビームの取
    り出し範囲を制限する出射スリットであって、前記第1
    波長の平行X線ビームと前記第2波長の平行X線ビーム
    とを同じ位置で取り出すようにした出射スリット。
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