JP5548189B2 - X線発生装置のターゲットと、その加工方法 - Google Patents

X線発生装置のターゲットと、その加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、X線を放出するためのX線発生装置に関し、特に、縞状X線(マルチライン状X線)を放出することが可能なX線発生装置のターゲットとその加工方法に関する。
X線を用いた装置は、種々の分野において、被写体(サンプル)の分析や解析、更には、その検査などを目的として、広く、利用されている。かかる装置におけるX線源としては、その用途などにより異なるが、通常の点状のX線源と共に、縞状のX線(マルチライン状X線)を放出するものが用いられている。
例えば、以下の特許文献1によれば、発生したX線をその場で収束することを可能にするため、荷電粒子を衝突させるターゲットにフレネルゾーンプレートからなる放射線の収束/発散効果を有する手段を持たせたものも、既に知られている。
特開2006−17653号公報
ところで、一般的に、かかる縞状X線(マルチライン状X線)を形成するためには、X線源の前に透過型の回折格子を配置することが考えられるが、実際には、その用途などによっては、μmオーダのサイズ(ラインの幅)の縞状X線(マルチライン状X線)が求められることも想定されるが、しかしながら、従来の技術では、かかるマルチライン状X線を形成することは難しかった。
何故ならば、透過型の回折格子や、上記特許文献1に見られるフレネルゾーンプレートなどでは、X線が透過し易い領域のX線減衰を皆無にすることが出来ないことから、X線透過領域とX線吸収領域のアスペクト比の高い、即ち、コントラストの高い縞状X線(マルチライン状X線)を得ることは難しかった。
そこで、本発明では、上述した従来技術における問題点に鑑み、即ち、所望のサイズ(ライン幅)を有する縞状X線(マルチライン状X線)を高いコントラストで形成することが可能なX線発生装置に好適なターゲットとその加工方法を提供することをその目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によれば、まず、内部を真空可能に構成した管本体内において、電子ビームを発生する電子源と対向して配置され、当該電子源から出射される電子ビームが照射されることによりマルチライン状X線を発生するためのターゲットであって、前記ターゲットを構成する部材の表面には、複数の微小幅のライン状ターゲットが、微小幅の溝を挟んで、繰り返し形成され、前記電子源からの電子ビームを、前記溝の延長方向に対して垂直な方向から、所定の角度で傾斜して照射されるように配置され、前記電子源からの電子ビームが、前記溝の複数を跨ぐように照射され、かつ、当該溝の間に形成される複数のライン状のターゲットからのマルチライン状X線を、所定の取り出し角度から出射するように構成したことを特徴とするX線発生装置のターゲットが提供される。
また、本発明では、前記に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、当該ターゲットは、静止型のターゲット、又は、回転型のターゲットであり、更には、その内部に、電子ビームが照射される当該ターゲットを冷却するための配管を設けたことが好ましい。また、前記に記載したX線発生装置のターゲットでは、前記ライン状ターゲットは、ターゲット部材の表面に、前記微小幅の溝を、複数、繰り返し形成することにより、又は、ターゲット部材の表面に、前記微小幅のライン状ターゲットを、複数、埋め込んで、繰り返し形成することにより形成されることが好ましい。又は、前記溝の内部に低原子番号の元素を充填し、又は、前記溝の内部側面に低原子番号の元素をコーティングすることが好ましい。更に、本発明によれば、前記に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、前記ライン状ターゲットは、複数の溝が形成されたターゲット部材の表面にターゲット金属の層を形成することにより形成されてもよい。また、前記複数のライン状のターゲットの表面に近い一部が、X線の取り出し方向へ突出して形成されてもよく、更には、前記溝の底部が断面湾曲形状に形成されてもよい。
加えて、本発明によれば、前記に記載したX線発生装置のターゲットの加工方法であって、ダイヤモンド・カッター加工により、前記ターゲット部材の表面に前記複数の溝を形成するターゲットの加工方法、又は、ワイヤー放電加工により、前記ターゲット部材の表面に前記複数の溝を形成するターゲットの加工方法が提供される。
上述したように、本発明によれば、μmオーダのサイズ(ライン幅)を有する微小幅の縞状X線(マルチライン状X線)を形成することが可能なX線発生装置に好適なターゲットが提供されると共に、かかるターゲットの加工方法を提供するという、実用的にも極めて優れた効果を発揮する。
本発明になるX線発生装置(X線管)におけるマルチライン状ターゲットの原理を説明するための図である。 上記マルチライン状ターゲットの原理を説明する一部拡大断面図である。 上記マルチライン状ターゲットの変形例について説明する断面図である。 上記マルチライン状ターゲットの他の変形例を説明する断面図である。 上記マルチライン状ターゲットの更に他の変形例、特に、小さなαの場合について説明する断面図である。 上記マルチライン状ターゲットを適用した静止型の金属ターゲットを備えたX線発生装置(実施例1)の全体構成を示す斜視図である。 上記図6のX線発生装置におけるターゲット周辺の構成を示す一部断面図である。 上記図6に示したX線発生装置(実施例1)の変形例におけるターゲット周辺の構成を示す一部断面図である。 上記マルチライン状ターゲットを適用した回転式のターゲットを備えたX線発生装置(実施例2)の全体構成を示す側面図である。 上記図9のX線発生装置における回転式ターゲットの周辺の構成を示す一部拡大斜視図である。 上述したマルチライン状ターゲットの他の変形例、特に、ターゲット表面に形成される溝の断面形状について説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本発明になるX線発生装置について、その原理を中心として説明を加える。まず、添付の図1は、本発明の実施の形態になるX線発生装置を構成する要部を示している。この図において、まず、符号3bは、金属板からなるターゲット部材31の表面に設けられ、複数の微小幅の溝110…を形成してなる、金属ターゲットを示している。即ち、これら複数の微小幅の溝110…の間には、やはり微小幅のライン状のターゲットが形成されることとなる。なお、この金属板は、例えば、銅(Cu)やモリブデン(Mo)の材料から形成されており、その表面には、間隔(ピッチ:P)で、幅(W)、深さ(D)の溝110が、図のX方向に伸び、かつ、Y軸の方向に連続的に繰り返して形成されている。
上述した金属ターゲット3bの表面には、電子源を構成する電子銃(フィラメント)21から放射された電子ビームが照射される。なお、この電子銃21は、上記金属ターゲット3bの上方で、電子ビームがターゲット表面で、当該複数の微小幅の溝110…が形成された方向(図のX軸方向)に垂直な方向(即ち、図のY軸)において、所定の角度αで傾斜して入射する位置に、配置されている。その結果、この電子銃21から放射された電子ビームは(必要に応じ、電子レンズにより集束され)、上記金属ターゲット3bの表面において、複数の微小幅の溝110(又は、複数のライン状ターゲット)を跨いで、所定の角度αで傾斜して入射することとなる。尚、角度αは、通常のX線管と同様に90°であってもよい。
そして、上記のような金属ターゲット3bを備えた構成によれば、図のY軸方向において、取り出し角度βでX線を取り出すこととなるが、その際、添付の図2にも示すように、上記金属ターゲット3bの表面では、溝110の間に形成されるライン状のターゲット表面(ライン状ターゲット)11Uから放出されるX線は、そのまま、上記取り出し角度βに放射されるが、他方、それ以外の部分では、より具体的には、上記溝110の底面11Bから放出したX線は、その側面11Sにおいて減衰されることとなる。その結果、上記取り出し角度βの方向では、そのX線強度(I)が所定の周期で増減する、所謂、縞状のX線(マルチライン状X線)が得られることとなる。
なお、ここでは、一例として、上記溝110の間隔(ピッチ:P)とその幅(W)、深さ(D)をP=2Wとしているが、本発明ではこれに限定されることなく、P≠2Wであってもよい。また、金属ターゲット3bの表面に形成した溝110の深さ(D)は、上記底面11Bから放出したX線を減衰させるために十分な深さとする(D>W・tanβ)。
また、上記図2の右側には、上述のようにして得られるマルチライン状X線の強度分布Iが示されており、これからも明らかなように、そのX線強度が、縞(ライン)方向に対して垂直な方向に周期的に増減しながら、連続的に変化することが分かる。そして、これにより得られるマルチライン状X線のライン幅は、・sinβとなる。即ち、上述した構成により得られるマルチライン状X線のライン幅は、上記の金属ターゲット3bの表面に形成した溝110の間隔(P=2W)とX線の取り出し角度(β)とを適切な値に設定することによって得られることとなり、特に、上記金属ターゲット3bの表面上に形成する微小幅の溝110を、数十μmオーダの間隔(P=2W)で形成することにより、μmオーダのサイズの縞状X線(マルチライン状X線)を容易に得ることが可能となる。
即ち、本発明になる上述した金属ターゲット3bの構成によれば、電子銃(フィラメント)21から放射された電子ビームがその表面に照射される金属ターゲット3bを、特に、その表面において、ライン状のターゲット11Uが、周期的、かつ、連続的に配列されて構成されたものとすればよく、以下の説明では、かかる構成のターゲットを、単に「マルチライン状ターゲット100」と称する。
なお、以上の説明では、金属膜の表面に複数の溝110…を形成して金属ターゲット3b(=マルチライン状ターゲット100)を得るものとして説明を行ったが、しかしながら、上述の本発明の原理からも明らかなように、本発明では、必ずしも、複数の溝110…を形成する必要はなく、例えば、上記の溝に代えて、複数のライン状の金属部材を金属板の表面上に形成する(埋め込み等を含む)ことによって複数の溝を形成することによっても、やはり、同様の効果を得ることが出来る。
以下、上記マルチライン状ターゲット100の変形例について、添付の図3及び図4を参照して説明する。
図3(A)は、例えば、銅(Cu)のターゲット部材31の表面に複数の溝110…を形成した後、その表面(上面)11Uに、更に、モリブデン(Mo)、又は、タングステン(W)の層111をライン状のターゲット3bとして形成し、Mo特性X線、又は、W特性X線を得るようにしたものである(但し、Wの場合、特定範囲の連続X線を含む)。なお、図3(A)の例は、銅(Cu)のターゲット部材31の表面(上面)に、モリブデン(Mo)、又は、タングステン(W)の層を形成した後、ターゲット部材の表面に複数の溝を形成してライン状のターゲット3bとしてもよい。また、図3(B)に示すように、上記溝110の内部に、例えば、炭素(C)などの低原子番号の元素を充填112し、又は、図3(C)に示すように、その側面に低原子番号の元素をコーティング113してもよい。更に、図3(D)に示すように、上記各溝110の端部114を、断面が湾曲状に、又は、テーパー状に形成して(図に点線で示す)、得られるマルチライン状X線のコントラストを調整してもよい。また、連続X線の特定の範囲のエネルギー帯を利用する場合には、上述した充填タイプよりも、その側面や底面に異種金属のコーティング(例えば、Ni:10μm厚)を施すことが好ましい。
加えて、上記溝110の断面形状は、上述した方形状に加え、更に、添付の図4(A)に示す「U」字状、又は、図4(B)に示す「V」字状にしてもよい。そして、その側面11Sには、上述したように、低原子番号の元素を充填し、又は、コーティングしてもよい。
更に、電子銃(フィラメント)21から放射されて上述した金属ターゲット3bの表面に照射される電子ビームは、通常、所定の角度α(=84°程度)で傾斜して入射されるが、しかしながら、この傾斜角度αは、その他、種々の値に設定することが可能であり、例えば、添付の図5にも示すように、この傾斜角度αを6°前後にまで小さくすることも可能である。なお、この場合にも、X線の取り出し方向(図では、右側)から見える上記溝110の内壁の一部(本例では、その溝の左側内壁の上端部)に、低原子番号の元素をコーティング113を施すことによれば、コントラスト比が高い、好適なマルチライン状のX線が得られる。
続いて、上記にその原理を説明したX線発生装置を実際のX線発生装置に適用した例について、以下に詳細に説明する。
添付の図6は、本発明を、静止型の金属ターゲットを備えた封入式のX線発生装置を示す斜視図であり、添付の図7は、その金属ターゲットを含む一部拡大断面図である。
即ち、この実施例1になるX線発生装置(X線管)では、その内部を真空可能に構成したステンレス製のX線管本体1の内部に、電子源2と、陽極(ターゲット)3とを設けて構成されている。なお、電子源2は、フィラメント電源41から供給される電流により加熱して熱電子(電子ビーム)を放出する、所謂、陰極を構成するフィラメント21と、放出された電子ビームを所望の径に収束する電子レンズ22とを備えて構成される。なお、この電子レンズ22は、本発明では、必ずしも必要ではなく、上述したように、放出された電子ビームが、ターゲットの表面に形成されたマルチライン状ターゲットの上に、複数のライン状のターゲット部材を跨ぐように照射されていればよい。また、図中の符号42は、バイアス電圧を示しており、符号4は、上記フィラメント21と陽極3との間に高電圧を印加するための高圧電源を示している。また、上記の陽極は、ターゲット部材31と共に、基材3aと、そして、その上に上述したマルチライン状ターゲットを形成した金属ターゲット3bとから構成されている。
以上の構成において、陰極を構成するフィラメント21から放出した熱電子(電子ビーム)は、陽極(ターゲット)3に照射され、その結果、上述したマルチライン状ターゲット100を形成する金属ターゲット3bの表面から、取り出し角度(β)で発生したX線は、X線取り出し窓34の方向に射出され、上述した複数の縞状のX線(マルチライン状X線)がX線発生装置から取り出されて使用される。
なお、上記陽極(ターゲット)3は、より詳細には、添付の図7にも示すように、熱伝導率の高い金属、例えば、銅(Cu:熱伝導率=0.94cal/cm・sec・deg)等からなる基材3aの表面に、例えば、モリブデン(Mo)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、又は、クロム(Cr)等により複数のライン状の部材(マルチライン状ターゲット)を、数十μm程度の厚さでかつ所定のピッチ(間隔)で、繰り返し形成する(又は、ライン状部材を埋め込む)ことにより、上述のマルチライン状ターゲットである金属ターゲット3bを形成している。なお、この所定のピッチ(間隔)としては、数十μm程度である。また、上記のターゲット3では、その基材3aとして熱伝導率の高い銅材を使用し、その表面にタングステン膜を形成して構成した場合にも、やはり、例えば、モリブデン(Mo)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、又は、クロム(Cr)等から形成した数十〜数百μm程度の厚さと幅(W)を有するライン状の部材を、その表面に所定のピッチ(間隔:D)で繰り返して形成する(又は、埋め込む)ことにより、上述のマルチライン状ターゲットを備えた金属ターゲット3bとして形成することが出来る。
加えて、上記ターゲット3の基材3aの裏面には、図7に示すように、冷媒(例えば、冷却水)5を流す流路が設けられ、基材3aで発生する熱を外部に除去できるようになっている。なお、この熱を除去するためには、ターゲットの基材3aの裏面を、直接、冷媒により冷却する図示した方法以外にも、例えば、添付の図8に示すように、ターゲットの基材3aからの熱をその下部に設けた熱伝導セラミックス36に伝導し、当該セラミックの周囲に巻いた配管内を流れる冷媒5により除去する方法も可能である。
なお、本実施例1では、ターゲット3の基材3a表面には、上述したマルチライン状ターゲット100をその表面に形成した金属ターゲット3bが形成されていることから、電子ビームの照射により、その金属による特性X線のマルチライン状のX線が、X線取り出し窓34から取り出されることになる。なお、特性X線は金属毎に決まっており、例えば、基材3aと同じ銅(Cu)を用いた場合には、8.04keVの特性X線(Kα)が、又は、モリブデンを用いた場合には、モリブデン(Mo)の特性X線(Kα)17.4keVが取り出されることになる。
即ち、上述した実施例1になる静止型の金属ターゲットを備えた封入式のX線発生装置によれば、上述のマルチライン状ターゲットを形成する金属と共に、ライン状の部材の幅(W)やピッチ(間隔:)、更には、取り出し角度(β)を、適宜、設定することにより、μmオーダでの所望のサイズ(ライン幅)を有する複数の縞状X線(マルチライン状X線)を、容易に得ることが可能となる。
添付の図9は、本発明を、回転式のターゲット(陰極)を備えたX線発生装置である、所謂、回転対陰極X線管の全体を示す断面図であり、添付の図10は、その回転式金属ターゲットの詳細を示す全体斜視図である。
図9に示すように、回転式のターゲット(陰極)を備えたX線発生装置では、その内部を真空可能に構成したステンレス製のX線管本体1の内部に、電子源2であるフィラメント21と共に、回転式の陽極(ターゲット)3’とを設けて構成されている。また、図中の符号37は、以下に詳細にその構造を説明する回転ターゲットを回転・駆動するための手段であるモータ等をその内部に備えた駆動部であり、当該駆動部37にも冷媒5が導かれており、ここでは図示しないが、当該回転ターゲットを冷却するための配管がその内部に設けられている。なお、その他の構成については、詳細は図示しないが、上記図4に示したと同様であり、ここではその説明を省略する。
そして、図10に示すように、回転式の陽極(ターゲット)3’は、円筒状の外形を有しており、その外周面に、上述したマルチライン状ターゲット100が形成されている。なお、この回転式ターゲット3’は、例えば、図の矢印方向に高速で回転しており、そして、その下方に設けられたフィラメント21から放出した熱電子(電子ビーム)が、回転式ターゲット3’の下側の外周面に、上述した所定の条件下で照射される。その結果、上述したマルチライン状ターゲット100を形成する金属ターゲット3bの表面から取り出し角度(β)で発生したX線は、X線取り出し窓34の方向に射出される。即ち、上述した複数の縞状のX線(マルチライン状X線)がX線発生装置(回転対陰極X線管)から取り出される。
このように、上述した実施例2になる回転式のターゲットを備えたX線発生装置(回転対陰極X線管)によっても、マルチライン状ターゲット100を形成する金属と共に、ライン状の部材の幅(W)やピッチ(間隔:)、更には、取り出し角度(β)を、適宜、設定することにより、μmオーダでの所望のサイズ(ライン幅)を有する複数の縞状X線(マルチライン状X線)を、容易に得ることが可能となる。更に、この実施例2によれば、回転式のターゲットを備えていることから、電子ビームは、常に、冷却されたターゲット面に当たることから、特に、出力の高いマルチライン状X線を容易に得ることが可能であると共に、ターゲットの高速回転により、ターゲット面の揺れを除去して得られるマルチライン状X線のピーク幅が広がることを防止し、もって、コントラストの高いマルチライン状X線を得ることが可能となる。
続いて、上述したマルチライン状ターゲット100の作製方法について述べる、例えば、ダイヤモンドバイトによるダイヤモンド・カッター加工やワイヤー放電加工を用いることが考えられる。特に、ダイヤモンド・カッター加工により得られた溝の断面の一例が、上記図3(A)に、又、ワイヤー放電加工を用いることにより得られた溝の断面の一例が、上記図4(A)に、それぞれ、示されている。なお、実際に加工を行った結果によれば、ダイヤモンド・カッター加工よりもワイヤー放電加工を用いて溝の加工を行った方が、特に、凸部の角の形状が良好に形成できることから、得られるマルチライン状X線のコントラスト(例えば、20:1)も高いことから、ワイヤー放電加工を用いることが好ましいことが確認された。
更に、上述したマルチライン状ターゲット100の他の変形例、特に、ターゲット表面に形成される溝110の断面形状について、添付の図11を参照しながら説明する。
まず、図11(A)には、ターゲット表面に形成される溝110を、図の右側の方向に傾斜させて形成した例を示しており、その結果、溝110の断面形状は平行四辺形となっており、即ち、ターゲットの表面(上面)11UがX線の取り出し方向(図の右方向)に突き出(オーバーハング)している。かかる変形例になる構造によれば、X線を取り出す側(右側)の側壁110Rへの電子ビーム(一次電子)の衝突を低減することにより、コントラストの高いマルチライン状X線が得られる。
また、図11(B)に示す変形例では、上記の溝110の幅を、下方に行く(即ち、ターゲットの表面から離れる)に従って大きくしたものであり、これにより、ターゲットの表面(上面)11UのX線取り出し方向への突出し(オーバーハング)に加え、ターゲットの表面(上面)11Uをより大きく確保することが出来ると共に、X線を取り出す側とは反対側(左側)の垂直な側壁110Lへの電子ビームの衝突を低減することが可能となる。これによれば、更にコントラストの高いマルチライン状X線が得られる。
次に、図11(C)には、X線を両側(図の左右方向)に取り出すのに好適な溝110の断面形状を示す。即ち、図からも明らかなように、ターゲットの表面(上面)11Uに形成される溝110は、その両側において、下方に行くに従って大きくなっており、その結果、両側の側壁110L、110Rに電子ビームが当たらず、それ故、コントラストの高いマルチライン状X線が、その両側(図の左右方向)に得られることとなる。
更に、図11(D)には、特に、ワイヤー放電加工に好適な溝の形状を示している。この変形例では、ターゲット表面に形成される溝110の断面形状を、溝110の角部110Cが湾曲形状(R形状)となるように形成している。なを、このワイヤー放電加工の条件の一例を以下に示す。
ワイヤー張力:350〜400g
ワイヤー速度:150〜10m/分
サーボ電圧:45〜55V
設定送り速度:0.75〜6mm/分
かかる溝110の断面形状によれば、上記の変形例と同様、ターゲットの表面(上面)11UのX線取り出し方向への突出し(オーバーハング)によりコントラストの高いマルチライン状X線が得られると共に、電子ビームの照射により高温となるターゲット表面(上面)11Uの熱を、溝110の湾曲角部110Dも介して、その下方に流れる冷却水(Wa)等の冷媒に効率よく伝達することが可能となる。
1…X線管本体、2…電子源、3…陽極、4…高圧電源、11…X線発生装置、21…フィラメント、22…電子レンズ、23…電子ビーム、24…電子ビーム照射部、25…電子ビームの位置変動、31…ターゲット部材、3a…基材、3b…金属ターゲット、36…熱伝導セラミックス、41…フィラメント電源、42…バイアス電源、S…試料、100…マルチライン状ターゲット、110…溝、11U…ライン状ターゲット。

Claims (13)

  1. 内部を真空可能に構成した管本体内において、電子ビームを発生する電子源と対向して配置され、当該電子源から出射される電子ビームが照射されることにより、X線窓を通して、マルチライン状X線を発生するためのターゲットであって、
    前記ターゲットを構成する部材の表面には、複数の微小幅のライン状ターゲットが、微小幅の溝を挟んで、繰り返し形成され、
    前記ターゲットは、前記電子源からの電子ビーム、前記溝の延長方向に対して垂直な方向から、所定の角度で傾斜し、かつ、前記溝の複数を跨ぐように照射されるように配置され、もって、当該溝の間に形成される複数のライン状のターゲットからのマルチライン状X線を、所定の取り出し角度から、前記X線窓を通して出射するように構成されており、
    前記ターゲットの表面は、そのX線発生平面を、前記X線窓を通して当該取り出し角度で見込んだ時に、発生するX線の強度分布が縞状のコントラストを持つように配置されることを特徴とするX線発生装置のターゲット。
  2. 前記請求項1に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、前記溝の内部に前記ターゲットを構成する部材の元素より低原子番号の元素で構成された材質を充填したことを特徴とするX線発生装置のターゲット。
  3. 前記請求項1に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、前記溝の内部側面に前記ターゲットを構成する部材の元素より低原子番号の元素で構成された材質をコーティングしたことを特徴とするX線発生装置のターゲット。
  4. 前記請求項1から請求項3のいずれか1に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、当該ターゲットは、静止型のターゲットであることを特徴とするX線発生装置。
  5. 前記請求項1から請求項3のいずれか1に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、当該ターゲットは、回転型のターゲットであることを特徴とするX線発生装置のターゲット。
  6. 前記請求項1から請求項3のいずれか1に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、当該ターゲットは、その内部に、電子ビームが照射される当該ターゲットを冷却するための配管を設けたことを特徴とするX線発生装置のターゲット。
  7. 前記請求項1から請求項3のいずれか1に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、前記ライン状ターゲットは、ターゲット材料の表面に、前記微小幅の溝を、複数、繰り返し形成することにより形成されることを特徴とするX線発生装置のターゲット。
  8. 前記請求項1から請求項3のいずれか1に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、前記ライン状ターゲットは、ターゲット材料の表面に、前記微小幅のライン状ターゲットを、複数、繰り返し形成することにより形成されることを特徴とするX線発生装置のターゲット。
  9. 前記請求項1から請求項3のいずれか1に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、前記ライン状ターゲットは、複数の溝が形成されたターゲット部材の表面にターゲット金属の層を形成することにより形成されていることを特徴とするX線発生装置のターゲット。
  10. 前記請求項1から請求項3のいずれか1に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、前記複数のライン状ターゲットの表面に近い一部が、X線の取り出し方向に突出して形成されていることを特徴とするX線発生装置のターゲット。
  11. 前記請求項10に記載したX線発生装置のターゲットにおいて、更に、前記溝の底部が断面湾曲形状に形成されていることを特徴とするX線発生装置のターゲット。
  12. 前記請求項1に記載したX線発生装置のターゲットの加工方法であって、ダイヤモンド・カッター加工により、前記ターゲット部材の表面に前記複数の溝を形成することを特徴とするターゲットの加工方法。
  13. 前記請求項1に記載したX線発生装置のターゲットの加工方法であって、ワイヤー放電加工により、前記ターゲット部材の表面に前記複数の溝を形成することを特徴とするターゲットの加工方法。
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