JP2021082374A - 位相イメージング用x線発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 X線発生用ターゲットの金属パターン部分の電流路の確保と冷却、及び金属パターン部分の支持基板での電子ビームによる熱発生の削減を行い、X線管として安定な動作を行う位相イメージング用X線管を提供する。【解決手段】 ターゲットとなる材料をバルク材料ウェハとし、支持基板となる軽元素で構成されるウェハに金属を埋め込む構造とし、埋込深さの検討を行った。支持基板となる軽元素で構成されるウェハ及びX線を発生させるための金属部分における電子ビームで照射された電子の到達範囲(R)、拡散距離(XD)等を詳細に検討し、金属パターンから発生するX線量が多くなるように、電子ビームが照射される金属パターンの深さとパターンが形成された側のターゲット・ウェハへの入射角度の最適範囲を求めた。更に、冷却構造について検討し、電子ビームが照射されるターゲット・ウェハに冷媒により冷却される冷却ブロックが直接接触して熱伝導出来る構造とした。【選択図】 図9

Description

本発明は、X線を用いたイメージングに関し、特に、X線が物質を通過した時の位相変化を計測してイメージングを行うためのX線位相イメージング装置に用いるX線発生装置に関する。
X線を用いたイメージングは、物質の透過特性が高いことから試料の内部構造を観察する等に広く用いられている。これは、試料にX線を照射し、当該試料を透過したX線を、検出器上に投影し、試料内部の構造を透かし観る手法であり、試料物体内部のX線の吸収度を反映した投影像が得られるものであり、例えば、以下の非特許文献1により既に知られている。
更に、X線吸収像の異なる方向から撮影された複数の投映像から試料の3次元像を構成する手法については、幅広く用いられおり、例えば、以下の非特許文献2によって知られている。また、X線を用いた位相イメージングについては、X線格子を用いて位相検出する方法が用いられ、例えば、以下の非特許文献3によりよく知られている。この文献の中ではX線格子の作製方法についても述べられている。
X線位相イメージング装置の例としてはTalbot-Lau干渉計があり、非特許文献4により説明されている。Talbot-Lau干渉計は一般的にはX線経路に3枚の格子を配置して、X線位相イメージングデータを取得する。3枚の格子はG0格子、G1格子、G2格子と呼ばれる。G0格子はある一定の広がりを持ったX線源の下流側に設置され、格子のX線遮蔽とX線透過の性質により、格子のピッチの間隔で多数の微小X線源が幾何学的に配置されたようにする役割をもつ。G1格子は位相格子であり、格子のX線遮蔽部分の材料と厚さを調整して、イメージングを行うX線の波長で所望の位相変化が生ずるようにしたものである。G2格子はG1格子の像に対してモアレ像が生ずるように調整され、G1格子とG2格子を相対的に微小量格子と垂直方向に移動させることにより変化する像をX線画像検出器により撮像し、データ処理により位相イメージングをおこなうためのものである。
ここで、G0格子とG2格子はその機能から、X線を完全に遮蔽する部分と減衰なく透過させる部分からなる格子が求められる。X線の遮蔽には重金属材料等を厚くする必要があり、減衰なく透過させる部分は何もない空間とする必要があるので、X線のエネルギーによっては計算上10以上の高アスペクト比のパターン形成の必要がある。更に、位相イメージングの空間分解能を高くとりたい場合は、格子のピッチを小さくするという困難が伴う。
困難さのひとつの解決方法として、非特許文献5にあるようにLau干渉計という位相イメージング計測方法が提案されている。これによれば作成に困難な格子のうちG2格子が不要になるというメリットがある。更に、格子パターン状のX線発生を行うX線源を用いることにより、G0格子が不要になるというメリットが生ずる。
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先行特許である特許文献1の例では、陽極を単層膜あるいはパターン状とした薄膜状金属材料とし、薄膜陽極材料を電子ビームが透過しやすい軽元素支持膜で挟んだターゲット形態としている。X線を発生させる薄膜金属材料のパターンは半導体製造技術の転用でサブマイクロメーターのサイズまで作製が可能である。支持膜表面にはターゲット基板を電子ビームが通過することにより生ずる帯電を除去するための帯電防止膜を載置しているが、ターゲットの陽極となるべき薄膜金属材料の導電に関しては考慮されていない。また、ターゲット基板の直接冷却は考慮されておらず、通常のターゲット冷却機構を備えたX線管と比較して数十W以上の電力をターゲットに印可することが困難な構成となっている。
特許文献2の例では、陽極となる薄膜金属材料をストライプ・パターン状とした上で電気伝導を確保し、下部の熱伝導用のダイヤモンド層を介して水冷金属ブロックに熱伝達させることにより微小焦点での電子ビーム印可電力の向上とX線焦点位置の向上を企図している。ストライプ・パターン状のX線焦点像の取り出しについては特に考慮されておらず、ターゲットの表面に対して3〜12度程度の低角度でストライプと平行に取り出すこと考慮されている。ストライプ・パターンは特許文献1と同様に半導体製造技術により形成されているが、ストライプ幅については微小焦点X線管として現実的な5μm程度を下限としている。
特許文献3の例では、Talbot-Lau干渉計についての発明であるが、発生装置については回転ターゲット型のX線発生方法をもったストライプ・パターン形状のX線発生装置について述べている。また、特許文献4の例では、回転ターゲット型及び固定ターゲット型のストライプ・パターン形状のX線発生装置のターゲット構造とその製造方法について述べている。回転ターゲット型X線発生装置はその冷却のため水冷される電子ビーム被照射部分を、実例では6,000〜12,000rpmで高速回転させ、大電力の電子ビーム照射を可能とし、X線発生強度を大きくしていた。ところが、回転ターゲット回転軸垂直のブレや回転軸方向のブレが発生し、機械加工精度の限界から2〜3μmのブレ振幅が残存する。特に回転軸方向のブレの影響を避けるため、回転ターゲット形式のX線発生装置はX線の取り出し角を一般的には6度として、見かけの軸ブレ量を1/10とする方法が用いられ、特許文献3及び4ではこの方策が用いられていた。また、特許文献4ではターゲット固定型の記載があるが、同様にX線の取り出し角を6度程度として、電子ビーム照射電力を大きくとったうえで見かけのX線焦点の平面サイズを小さくするため、同様な方策が用いられていた。ところが、このような方法をとると実際のX線源位置に奥行き方向の大きさがあり、Talbot-Lau干渉計による位相イメージングの視野サイズに制限が加わる。
特許文献5及び特許文献6では特許文献1のX線源をベースにTalbot-Lau干渉計を構成する発明について述べているが、X線源について本質的な改良はなく、非特許文献5で報告されているように1〜4W程度の電子ビーム照射電力が実現できた程度である。
これに対し、特許文献7〜10の発明では特許文献1のX線源の基本的な考え方を踏襲しているが、X線発生用のターゲットの金属パターン側に導電膜を形成し、電流が流れるように改良した。しかし、この発明の構造ではターゲット部に印可された電子ビームがX線を発生して最終的に熱に変換されるが、この熱はX線発生用のターゲットの金属パターンを支持する基板を通して排熱されることになる。この基板は発生したX線を透過する必要もあるため厚くはできず、電子ビームが照射されるX線ターゲット部分は高温に達する。また、X線ターゲットに電子ビームをほぼ垂直に電子ビームを照射すると、必要なX線の発生に寄与しない基板部分への電子ビーム照射により、更に不要に温度上昇する。冷却部分と高温部分の温度差や使用時と不使用時の温度差が大きいとX線ターゲットの位置の変動や安定動作のための実印可電力の減少等の問題点が生ずる。
そこで、本発明では、X線発生用ターゲットの金属パターン部分の電流路の確保と冷却、及び金属パターン部分の支持基板での電子ビームによる熱発生の削減を行い、X線管として安定な動作を行う位相イメージング用X線発生装置の提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、まず、ターゲットとなる材料をバルク材料ウェハとし、支持基板となる軽元素で構成されるウェハに金属を埋め込む構造とし、埋込深さの検討を行った。支持基板となる軽元素で構成されるウェハ及びX線を発生させるための金属部分における電子ビームで照射された電子の到達範囲(R)、拡散距離(XD)等を詳細に検討し、金属パターンから発生するX線量が多くなるように、電子ビームが照射される金属パターンの深さとパターンが形成された側のターゲット・ウェハへの入射角度の最適範囲を求めた。
次に、半導体/MEMSプロセスを用い低抵抗(〜20mΩcm)のN型SiC基板をターゲット・ウェハに用いて、XeF2ガスを用いたプラズマエッチングプロセスにより、表面に2.4μmピッチで0.8μm幅の溝を形成した。前記の電子ビームで照射された電子のターゲット中での到達範囲(R)、拡散距離(XD)の検討結果から、金属としてWを用いる場合、ターゲット・ウェハへの入射角度(θ)はWの幅(A)に対し、sinθ>A/XDの条件を満足することが望ましい。XDは照射電子ビームエネルギー(E、加速電圧)で変化し、E=140kVのとき、A=0.8μmに対し、最小θ=10.2度である。最も望ましい角度はθ=12.5度であり、このとき制動輻射X線を発生するW金属の最適な埋め込み深さ(D)は26.7μmである。このようにして決定した格子状に溝を作製したウェハにCVD法によりWを成膜し溝の中にW金属を埋めた後、ターゲット・ウェハ上の溝の中以外のW金属を研磨により除去することで、格子状のW金属が埋め込まれたターゲット・ウェハを作製した。
更に、冷却構造について検討し、電子ビームが照射されるターゲット・ウェハに冷媒により冷却される冷却ブロックが直接接触して熱伝導出来る構造とした。冷却ブロックには一般的に金属が用いられるが、軽元素で構成されるウェハの熱膨張係数は一般的な金属の熱膨張係数と比較して小さいため、ウェハと冷却ブロックとを高温で接合する場合、常温に戻した場合ウェハに圧縮応力がかかり割れる場合やターゲット・ウェハが機械的に不安定になる場合がある。このようなことを避けるため、水冷ブロックの材質を熱膨張係数が小さな材料を選択して採用し、ターゲット・ウェハが熱的に安定な構造として、電子ビーム照射をしても安定なX線管とした。
上述した本発明によれば、前記N型SiCターゲット・ウェハ表面に所望の格子形状を微細加工で構成された溝に、X線を発生させるためのW金属を充填し、前記ターゲット・ウェハ表面に対し、適切な角度で斜めに前記電子ビームを照射することにより、SiC部分を照射する電子ビームもSiCを透過した後W金属を照射し、効率よくX線を発生させることが可能である。更に、薄膜形成されたターゲット・ウェハを水冷ブロックにより冷却することにより、熱的に安定な位相イメージング用X線発生装置を提供することが可能である。
電子ビーム励起X線の発生領域の説明図である。 本発明の位相イメージング用X線発生装置のターゲット基板の作製プロセスの説明図である。 W金属の埋め込み及びターゲット基板表面処理プロセスの説明図である。 電子ビームによる制動輻射X線の発生領域の説明図である。 電子ビームの侵入深さの説明図である。 電子ビームの入射方向の説明図である。 電子ビーム電圧、入射角度θと侵入深さの関係の説明図である。 本発明の実施例1の水冷構造図を示す説明図である。 実施例1の位相イメージング用X線管を示す説明図である。 実施例1の位相イメージング用X線発生装置を示す説明図である。 本発明の実施例2の金属部分の直径:a、ピッチ:3aとしたときの電子ビーム照射の傾斜方向の例を示す説明図である。 本発明の実施例3の横方向X線取り出し位相イメージング用X線管を示す説明図である。
以下、添付の図面を参照しながら本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<実施例1>
位相イメージング用構造化X線源のターゲット構造の寸法設計について検討を行った。X線源は電子ビームを一般的には固体に照射し、固体を構成する原子の電子遷移に伴い発生するX線(特性X線)と原子の電場で制動を受けた電子から放射される制動輻射により発生するX線を用いている。特性X線はある特定の波長のX線を発生するのに対し、制動輻射によるX線は電子ビームの加速電圧を最大とするエネルギーより小さなエネルギー(波長の長い)の連続した波長のX線を発生する。
固体表面に照射された電子ビームの固体中での制動輻射X線発生については、その固体中でのX線発生の領域を数式で記述する研究が古くから行われ、非特許文献7の数式が10keVから1,000keVまでの範囲の電子ビームエネルギーに対応するものとして知られている。この論文は、実際のX線の発生について報告された多くの論文の実測値と高い一致度を示す。固体表面に照射された電子ビームにより固体内部で発生する制動輻射X線の領域のモデルは図1に示す通りである。
図1ではX線源となる固体の表面に電子ビームを垂直入射させた場合を示しており、表面OからXDの距離電子が侵入し、X線を発生させながら固体内を球状に拡散し最終的に固体に吸収されるモデルである。また、X線を発生させる電子の最大侵入深さはRで表される。Rは電子が固体内でエネルギー損失をしながら進む距離であり、数式(1)によって表される。この式に実際の数値を入れて、関係式を導出したものが、数式(2)となる。ここでE0は電子の入射エネルギー(eV)、λsは計測から求められる経験的な係数、aは原子半径に関係した数値、NはN=Naρ/Aで表される数値で、Naはアボガドロ数、ρはX線を発生する物質の密度(g/cm3)、Aは原子量、Zは原子番号である。
Figure 2021082374
Figure 2021082374
数式(2)にそれぞれの数値を入れ、エネルギーの相対論的な補正項を入れ、計測から求められた数値λs=0.182とすると10〜1,000keVで実測値とよく合うとされる数式(3)が得られる。
Figure 2021082374
XDは電子の最大侵入深さRから数式(4)によって表される。
Figure 2021082374
数式(3)、(4)によれば、電子ビーム加速電圧(E0)、X線を発生させるX線ターゲットとなる元素の原子番号(Z)、原子量(A)、X線ターゲットの密度(ρ)を決めることにより、電子ビームを照射された固体からのX線が発生する領域が数値として得られる。ここで、X線ターゲット形状を設計する上で有用な数値をr=R−XDとし、ターゲット表面からの電子の侵入距離XDから半径rの球状領域の中でX線が発生するものとする。
格子状X線源とするためにはX線の発生効率の低い部分と高い部分が交互に並ぶX線ターゲット構造となっている必要がある。非特許文献8によれば、制動輻射(Bremsstrahlung)の強度Qは数式(5)で表される。
Figure 2021082374
ここで重要なことは制動輻射の強度がX線ターゲットとなる元素の原子番号(Z)の2乗に比例する点である。従って、格子状線源にするためには、低い原子番号の元素と大きな原子番号の元素からなる物質を交互に並べることが必要となる。
低原子番号元素でX線ターゲット材料と成り得るものは、Be、B、C(DI、ダイヤモンド)、C(DLC、ダイヤモンドライクカーボン)、BN、SiC、AlN等である。数式(3)及び(4)を用いて数値を得るにあたり、化合物については原子番号と原子量について平均原子番号と平均原子量を用いる。列記した材料の電子ビームエネルギー(keV)に対する、R、XD、rについて表1に示す。本発明では0.8μm格子状溝の作製が可能であり、また低抵抗(〜20mΩcm)であるN型SiC基板をターゲット・ウェハに用いた。SiCウェハは電力制御用半導体素子の形成にも用いられ、耐熱性も高く、Siウェハと同様に微細加工が可能なプロセスが開発されているため、本実施例で用いたが、表に列記したBe、B、C(DI,ダイヤモンド)、C(DS、ダイヤモンドライクカーボン)、BN、AlNでもそれぞれの加工プロセスを用いて、表面に電流を流すための導電膜を形成することにより、同様にX線ターゲットとして作製することが可能である。
Figure 2021082374
なお、この表1は、ターゲット材料ごとの電子ビーム電圧による電子侵入深さ、X線発生領域を示す。
格子状X線源とするターゲット・ウェハの作製プロセスの一部を図2に示す。まず、SiCウェハ表面に格子状の構造を形成する。図2(a)のようにSiCウェハ4上にSiO2膜3を形成し、その上にUV感光性レジスト膜2を形成する。UVマスク110を通してUV光を照射する。UV光照射された感光性レジスト材料膜200を現像することにより、UVマスクパターンが転写され、感光性レジスト材料膜200の一部がSiO2膜300上に残る。これをドライエッチングすることにより、レジスト膜に覆われた部分のSiO2膜301だけを残し、図2(b)のような状態とすることが出来る。この状態でSiO2膜301をマスクとしてXeF2ガスを用いたドライエッチングを行い、SiCをトレンチエッチングし、図2(c)に示すようにウェハ400の表面に格子パターン401を形成することが出来る。
所定の寸法の格子状溝が形成されたSiCウェハに対し、X線をより多く発生する重金属を溝に対して埋め込む。ここでは半導体/MEMSの製造プロセスが確立されており良く用いられるW(Z=74)を用いた。SiCはSi(Z=14)とC(Z=6)の1:1定比化合物であり、前記(5)式によれば、W部分からのX線発生強度がSiCと比較して約47倍の強度とすることができる。この金属にはTa(Z=73)、Pt(Z=78)、Au(Z=79)を用いることも可能である。本実施例では図2に示すように、格子状の溝を作製した後、図3に示すプロセスでW金属の埋め込みと、ターゲット基板表面処理を行った。図3(a)に示すように、全面にWN膜を約2nm成膜し、図3(b)に示すように、その上にCVD法でW膜を製膜し、その後、図3(c)に示すように、ウェハ表面を研磨することにより溝部分以外のW及びWNを除去した。さらに研磨表面に図3(d)に示すようにバリアメタルTiN及び金属保護膜Tiを製膜した。ここで用いたWN及びTiNはバリアメタルであり、一般的に半導体製造プロセスでW膜及びTi膜の成膜前に成膜されるものであるため、プロセスの安定性上使用したが、Ti膜を含め省略することも可能である。
ここで金属を格子状に埋め込んだX線ターゲットから効率的に縞状のX線を取り出す電子線の照射方法について検討する。
前記図1に示されたX線発生のモデルに於いて、点Oで固体に入射した電子はXDの距離固体内を拡散し、OD点から半径r(=R-XD)の球体内でX線を発生し、エネルギーを失い固体に吸収され電流として流れる。このとき、XD及びrは電子のエネルギーと材料(原子番号Z、密度ρ)により異なる。前記数式3と数式4により求められる数値を表1に示す。
表1の数値から、C(DI、ダイヤモンド)とSiC及びWでの140kVの電子が垂直照射されたときのX線発生領域を図4に示す。X線発生用ターゲットは基板に深さ20μmまでWが埋め込まれている。C(DI)を基板としたとき、ターゲットの基板表面に照射された電子ビームは深さ約40μmの位置を中心に半径約25μmの球形領域で制動輻射X線を発生する。SiCを基板としたときは、同様に深さ約40μmの位置を中心に半径約35μmの球形領域から制動輻射X線が発生する。一方、W表面に照射された電子は深さ約4.5μmの位置を中心に半径約15μmの球形領域から制動輻射X線が発生する。Wに照射された電子は30〜40%程度が反跳電子となって、X線の発生に寄与しない。また、C(DI)或いはSiC基板部分に入射した電子で、W部分に到達した電子はW原子により制動を受け、C(DI)基板の場合でW金属部分に約3μm、SiC基板の場合で同様にW金属部分に約6μm侵入した回転楕円体の一部までが制動輻射X線の発生領域となる。W表面を照射した電子は基板とW金属部分との間隔がW金属単体の制動X線発生領域の15μmより充分小さく、ターゲット基板とW金属の幅の比が2:1のときは、表1に示す2DI/W或いは2SiC/Wのrにより、ターゲット基板表面と平行な方向に制動輻射X線の発生領域が広がり、その長径は約24〜25μmとなる。
図1に示した非特許先行文献7に記載されたX線発生領域の検討から、電子ビームをターゲット基板に対して垂直に入射させる方法では、軽元素で構成されたターゲット基板部分に直接入射する電子がW金属部分で制動輻射X線を発生する割合が低く、制動輻射の大部分はW金属部分に直接入射する電子ビームにより発生することになる。従って、ターゲット基板とW金属の幅の比2:1の格子状X線ターゲットでは、およそ1/3の電子ビームだけがX線発生に寄与する。
本発明では電子ビームをX線ターゲットに対して所定の角度θで傾斜させて照射することによりターゲット基板部分に照射する電子ビームもW金属部分で制動輻射X線を発生するようにした。これは、ターゲット基板の材料がWと比較して入射した電子ビームの電子侵入距離Xが長く、ターゲット基板に照射された電子ビームがターゲット基板材料を通して長く透過し、W金属に到達・侵入することが可能であることによる。
幅(a)のW金属格子と幅(b)のターゲット基板部分(K)を透過する電子線が侵入できる表面からの深さ(D)を示す図を図5に示す。図5でθはX線ターゲットへの電子ビーム照射角度。Lを電子ビームがW金属部分を通過する距離とする。LがW金属部分での電子ビーム侵入深さXD(W)より短ければ、W金属部分を照射した電子ビームはW金属部分を通過してターゲット基板部分に侵入する。この角度をθminとすると(6)式で表される。(6)式で角度φは図6に示すように電子ビームが埋設されたW金属の壁面となす角度である。
同様に図5でターゲット基板部分に入射した電子ビームもターゲット基板部分を通過してW金属部分に侵入する。θmin以上の角度で電子ビームを照射することにより、W金属単体に照射する場合より深い部分まで制動輻射X線を発生させられると同時に、ターゲット基板部分に入射する電子ビームも使ってW部分で制動輻射X線を発生できる。W部分と基板部分n枚ずつの長さを透過するときの条件を表すと、数式(7)のようになり、電子ビーム侵入深さDは数式(8)で表わされる。
数式(7)及び(8)でnが整数の条件ではX線ターゲットのW金属部分、ターゲット基板部分のすべての場所に照射された電子ビームは同じ侵入深さとなる。nが1以上の非整数の時は、W金属部分に照射された電子ビームの侵入深さはターゲット基板部分に照射された電子ビームの侵入深さより小さく、基板部分とW金属部分を含めた侵入深さの電子ビーム照射部分全体の平均でほぼ数式(7)及び(8)と同程度となる。
本実施例で採用したX線ターゲットのW金属パターンへの電子ビーム照射の傾斜方向は構造化ターゲット表面への投影で格子パターンに対して垂直(φ=0度)とした。金属部分材料をW金属、ターゲット基板材料をSiCとし、φ=0で、a=0.8μm、b=1.6μm及びa=1.0μm、b=2.0μmのとき電子ビーム照射角θに対する電子ビーム侵入深さDを式(7)及び(8)を基に計算した結果を図7に示す。140kVを例にとると、θmin(=10.2度)の角度より大きくとると、W金属単体での侵入深さ約4.5μmから10.2〜25.6度の範囲で侵入深さ10μm以上となる。
本実施例で採用した照射電子ビームの傾斜によりW金属部分に入射した電子ビームもW金属部分を通過して軽元素で構成されたターゲット基板に侵入するため、基板表面からの電子ビーム侵入深さが金属W単体の場合より深くなる。また、軽元素で構成されたターゲット基板に入射した電子ビームはターゲット基板部分を通過した後、W金属部分に侵入するため、同様に電子ビーム侵入深さが金属W単体の場合より深くなる。これはターゲット基板と金属部分からなるターゲットで制動X線を発生する部分が深い部分となり、制動X線発生球状領域の体積が増し、ターゲット基板に対して垂直に電子ビームを照射する場合と比較して、X線の発生強度を高めることになる。
140kVの電子ビームの侵入深さが4.5μmから10μm程度になった場合、制動X線を発生する体積はW金属の場合約20%増加する。垂直入射でのW金属部分の制動輻射X線を発生深さは約20μm、10.2〜25.6度の範囲の傾斜入射のときは約25μmである。従って、W金属部分の埋め込み深さが制動輻射X線を発生する深さまである場合、ターゲット基板とW金属部の幅の比が1:2のX線ターゲットの場合、電子ビーム垂直入射と比較してすべての電子ビームの侵入深さがほぼ一定の深さDに制御できるため、W金属部分からの制動X線を約3.6倍発生させることが可能である。
本実施例によるX線管の実際例について説明する。図8はターゲット基板の水冷構造について示したものである。格子状溝構造にW金属を埋設したSiCターゲット基板36に140kVの電子ビーム23を照射する場合、SiC部分で表面から最大約75μmの深さまで電子ビームが到達し、制動放射X線35-2を放射しながら減速して熱が発生する。またW金属部分で最大約25μmの深さまで電子ビームが到達し、制動放射X線35-1を放射しながら減速し熱を発生する。従って、表面75μm部分で発生する熱を効率的に除去する構造とする必要がある。回転型陽極でない先行公知例(前記特許文献1、前記特許文献5及び特許文献6、米国特許公開公報US2015/0092924)等ではターゲットを薄膜とし、電子ビームを透過させることを企図している。
図8の水冷構造はW金属を規則的な配列で埋め込んだターゲット基板36に電子ビーム23を斜め入射し、基板に垂直な方向に出射されるX線を利用して格子パターン状のX線を発生するときにターゲット基板部分で発生した熱を冷却水で除去することを企図したものである。ターゲット基板は5mm角で深さ25μmのW金属格子パターンを形成した厚さ330μmのN型SiCウェハから作成された。ターゲット基板は金属ボンディングで水冷金属プレートに電気的かつ熱的に接合している。ターゲット基板のN型SiCの熱伝導率を150W/mKとすると、表面部分で1kWの熱発生があった場合でも1次元の熱伝導で近似してフーリエの法則に基づいて温度差を求めるとターゲット基板の表裏の温度差は80-90℃程度となる。水冷金属プレート37に用いる金属材料は一般に用いられるアルミニウム(Al)や銅(Cu)を用いると、その熱膨張係数が16〜23ppmとSiCウェハの3.7ppmやW金属の4.5ppmと比較して大きくメタルボンディングが必ずしも充分に行えないばかりか、電子ビーム電力のon/offによる熱応力から接合部の破壊や、SiCウェハの破壊の可能性がある。そこで、本実施例ではアルミニウムとSiの微粒子を熱圧縮して熱膨張係数を抑制した材料を用いた。この材料は熱伝導率も150W/mKとSiC基板と同等であり、熱応力の軽減する構造を実現した。前記水冷金属プレートに用いる材料は熱膨張係数が8ppm以下で熱伝導率が100W/mK以上でありメタルボンディングが可能な金属や合金或いは粉体から選択することが可能である。
SiCターゲット基板を用い、冷却水温度を20〜30℃とし、印可電子ビーム最大電力を2kW以下に設定することにより、表面最高温度を200℃程度以下に保つことが可能であり、微細なW金属の埋め込み構造に対するダメージを抑制することが可能となる。2kW電子ビーム負荷のX線管の冷却はX線回折用管球で実績のある冷却システムが市販されており、安定に冷却することが可能である。電子ビームの照射径と冷却系の設計により2kW以上の印可電力のX線管の実現も可能である。電子ビームの照射径と冷却系の適切な設計により2kW以上の印可電力のX線管の実現も可能である。
本実施例の図8の水冷構造にはターゲット基板の金属パターンのない背面側に直径1.5mmのX線出射孔38を設けている。X線の取り出し方向はW金属が埋め込まれた表面の垂直方向に取り出すのが最適であるが、25keV以上のX線を取り出す場合には330μm厚SiC基板のX線吸収によるX線強度の減少はそれほど大きくないため、基板の裏面から取り出すことも可能である。表面方向のみからX線を取り出す場合はX線出射孔38は不要であり、こちらが冷却の面では有利である。
本実施例の図9にはターゲット基板裏面取り出し型位相イメージング用X線管を示す。内部を高真空に排気X線管本体1の内部には熱電子を発生するフィラメント21と電子レンズ21が配置された電子源2と対抗する形でW金属のパターンを表面に形成されたX線ターゲット3が設置され、電子ビーム23に対し所定の角度θに傾斜されている。フィラメント21で発生した熱電子はバイアス電源42と電子レンズ22により断面形状が整えられ、高圧電源4による高電圧で加速されX線ターゲット3を照射する。前記傾斜角θにより電子ビームはターゲット基板3に斜め入射し、電子の加速電圧によりターゲット表面から所定の深さまで電子ビームを侵入させることが可能となる。
X線ターゲット3は水冷されるので、X線管本体と共に接地電位とした。ターゲット電位を接地電位とすることにより、ターゲット基板とX線管本体1に取り付けられたX線取り出し窓34との距離を小さくすることが可能となる。更に、非特許文献6で提唱されたLau干渉計ではG0であるターゲット基板とG1位相格子を近距離に設置することが必要であるが、本実施例構造のX線管では、ターゲット基板3及びX線取り出し窓34の外部に配置される位相格子5をターゲット基板の近くに配置することにより、Lau干渉計を成立させることが可能である。
本発明によりX線管と位相格子5を近接して配置可能であり、X線管球本体1と位相格子5を一体的に結合することができる。図10に位相イメージング用X線発生装置の全体図を示す。X線管本体1にはX線管ハウジング6が装着され、X線管ハウジング6を通して前記X線ターゲットの冷却水を供給する。X線管ハウジング6には位相格子5の載置が行われ、前記位相格子は前記X線ターゲットのW金属溝と格子が平行になるように位相イメージング用X線8を(y)軸とした位相格子χ回転ができるように位相格子χ回転駆動装置52が設けられ調整される。Lau干渉計としてのG0格子である前記線ターゲットとG1格子である位相格子5の間隔を調整するため、位相格子y軸駆動装置54が設けられている。また、位相格子5の前記X線ターゲットとの平行及び平行からの傾き角を調整するため位相格子w軸駆動装置53が設けられる。前記w軸は前記X線ターゲットの格子の長手方向と平行に設置される。更に、前記X線ターゲットと前記位相格子の平行を保ちつつ格子の短軸方向に相対位置を変化できるように、位相格子x軸駆動装置51を設けている。
<実施例2>
ここまではターゲット基板に1次元の線状パターンにW金属を埋め込んだX線ターゲットについて述べてきたが、次に2次元のパターンにW金属を埋め込んで、2次元パターンのX線を取り出す位相イメージング用X線発生管の場合について述べる。
2次元のパターンについては、規則的な繰り返しが要求されるため、図11に示すように、ある格子点からの最近接の格子点の数が4の場合と6の場合の2種類についての例を実施した。図11(a)に示すように、最近接格子点の数が4の場合は正方格子、図11(b)に示すように、6の場合は6方格子の2次元パターンとなる。各格子点の形状は直径aの円形状とし、2aの距離を空けてピッチ3aとした。このとき電子ビームをターゲット基板に垂直入射させると、正方格子の場合でW金属の面積占有率は約8.7%であり、W金属をX線励起するのは照射電子ビームの約8.7%であり、約91%電子ビームが軽元素ターゲット基板のみをX線励起することになる。同様に、6方格子の場合、W金属の面積占有率は約10%であり、W金属をX線励起するのは照射電子ビームの約10%である。
第一近接の方向に電子ビームを傾斜すると、格子点の列の幅aの部分は電子ビームがW金属をX線励起するが、正方格子の場合、幅2a(全体の約67%)のターゲット基板部分に入射する電子はW金属をX線励起しない。同様に、六方格子の場合、幅約1.6a(全体の約53%)のターゲット基板部分のターゲット基板部分に入射する電子はW金属をX線励起しない。これでも、正方格子、六方格子ともに電子ビーム垂直入射と比較して、W金属照射の体積比は約3.8倍であり、約3.8倍のW金属をX線励起し制動輻射X線を得ることが出来る。正方格子の場合、第二近接格子点方向、第三近接格子点方向、第四近接格子点方向と変えていくと、幅約1.1a(全体の約37%)、幅約0.34a(全体の約11%)部分でW金属が制動輻射X線励起されず、第四近接の方向では直径aの格子が重複し、全部の電子ビームを用いてW金属を励起することになる。第四近接での格子点間距離は3√10aの距離で、a=1μmとすると約9.5μmである。一方、六方格子では、第二近接格子点方向で、幅1a(全体の約33%)部分でW金属が制動輻射X線励起されず、第三近接での方向では直径aの格子が重複し、全部の電子ビームを用いてW金属を励起することになる。第三近接での格子点間距離は3√7aの距離で、a=1μmとすると約7.9μmである。正方格子の第四近接での格子点間距離および六方格子の第三近接での格子点間距離は、140kVの照射電子がターゲット基板のSiCを透過する距離XD(K)の約40μmより充分小さく、前記数式(7)及び(8)を用いて入射角度θと侵入する表面からの深さDを求めることが出来る。
円形のW金属断面を通過する電子の平均投影距離をπ/4で近似すると、正方格子の第四近接方向で、前記(7)式からn=1のときの入射角度θは約23度、深さDは約22μm、n=2のときは入射角度θ約52度、深さDは約15μmとなる。一方、六方格子の第三近近接方向で、同様にn=1のときの入射角度θは約21度、深さDは約21μm、n=2のときは入射角度θ約45度、深さDは約16μmとなる。
140kVの電子ビームによるW金属の制動輻射X線発生領域は深さDから更に約15μmの距離まであるので、ターゲット基板へのW金属の埋め込み深さは正方格子第四近接方向で(7)式のn=1のとき、37μm、n=2のとき30μmとなる。同様に、六方格子の第三近接方向では、n=1のとき、36μm、n=2のとき31μmとなる。本発明実施例2ではW埋込の技術的な難易度と費用の観点から、n=2のときの入射角度とW金属の埋め込み深さを用いた。
2次元パターンのX線発生用ターゲットと電子ビーム入射角度について記述したが、直径1μmのW金属をSiCターゲット基板に3μmのピッチで埋め込む場合、入射電子ビームをW金属の制動輻射X線発生に60%以上有効に使うためには二次以上の近接格子の方向に電子ビームを傾斜させる必要がある。特に正方格子の四次近接の方向で前記(7)式のn=2の場合及び六方格子の第三近接の方向でn=2の場合は140kVの電子の侵入深さがそれぞれ約15μm及び16μmであり、W金属の制動輻射X線発生領域の半径約15μmと一致しており、W金属の埋め込み深さをそれぞれ約30μm及び31μmとすることにより、電子の侵入深さと制動輻射X線の発生領域(r=15μm、直径約30μm)を一致させることができ、効率的なX線発生が可能となる。
本実施例でのX線管を図12に示す。実施例1と同様に真空排気されたX線管本体1の内部に電子線源2とターゲット3が対向して配置される。電子ビームのターゲット入射角度θが約20度のときは実施例1と同様な電子源2とターゲット3の配置でもよいが、入射角度θが35〜40度を超えるような場合は図11のようにターゲット3をX線管本体の壁面に近い位置に設置し、X線をW金属が埋め込まれた表面方向とターゲット基板を透過させた裏面方向から取り出せる構成が可能となる。このように配置することにより円筒状の前記X線管本体の半径方向にX線を2方向に取り出すことが出来る。この配置は一次元格子の場合でも、電子ビームの侵入深さが浅くなり、多少X線発生量が減ずることを許容できる場合には入射角度θが35〜40度を超えるように設定可能である。
以上には、本発明の種々の実施例になる位相イメージング用X線発生装置について詳細に述べた。しかしながら、本発明は、上述した実施例のみに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれることは明らかである。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能であろう。
1…X線管本体、2…電子源、21…フィラメント、22…電子レンズ、23…電子ビーム、3…ターゲット、33…大強度X線、34…小強度X線、35…X線ビーム、36…ターゲット基板、37…水冷金属プレート、38…X線出射孔、4…高圧電源、41…フィラメント電源、42…バイアス電源、5…位相格子、51…位相格子x軸駆動装置、52…位相格子χ回転駆動装置、53…位相格子ω軸駆動装置、54…位相格子y軸駆動装置、6…線管ハウジング、7…位相イメージング用X線取り出し窓、8…位相イメージング用X線、9…高圧電源、91…高電圧接続ケーブル、10…水冷装置、101…冷却水配管、110…UVマスク、200…感光性レジスト材料膜、300…SiO2膜、400…ターゲット基板

Claims (7)

  1. 電子ビームにより励起されるX線を用いて画像形成を行う位相イメージング用X線発生装置であって、
    所定のアスペクト比を有する1次元あるいは2次元の格子状の溝が格子ピッチ10μm以下(但し、0μm以上)で表面に形成された軽元素よりなるターゲット基板と、
    前記ターゲット基板の前記格子状の溝中に埋設されたW金属及びW合金の少なくとも一方からなるX線発生金属部を備えて構成されており、
    前記X線励起用電子ビームを前記ターゲット基板の垂線に対して所定の角度だけ傾斜させて照射し、基板の垂線方向にX線を取り出す構成をもった位相イメージング用X線管を備えたことを特徴とする位相イメージング用X線発生装置。
  2. 請求項1に記載した位相イメージング用X線発生装置において、
    前記X線発生金属部から発生したX線が通過する位相格子を前記ターゲット基板から所定の距離をもって前記X線管と一体的に配置したことを特徴とする位相イメージング用X線発生装置。
  3. 請求項1に記載した位相イメージング用X線発生装置において、
    前記ターゲット基板に形成された格子状の溝幅と格子ピッチの比は2〜4の範囲である位相イメージング用X線管を備えたことを特徴とする位相イメージング用X線発生装置。
  4. 請求項1に記載した位相イメージング用X線発生装置において、
    前記ターゲット基板の前記格子の溝中に埋設される前記W金属及びW合金の少なくとも一方からなるX線発生金属部の前記ターゲット基板表面から埋設される厚さが、W金属換算で10〜50μmである位相イメージング用X線管を備えたことを特徴とする位相イメージング用X線発生装置。
  5. 請求項1に記載した位相イメージング用X線発生装置において、
    前記X線励起用電子ビームを前記ターゲット基板の垂線に対して所定の角度だけ傾斜させて照射する方向が、前記X線励起用電子ビームが前記ターゲット基板を照射し内部を通過する間に、前記X線発生金属部に60%以上到達する角度に設定されている位相イメージング用X線管を備えたことを特徴とする位相イメージング用X線発生装置。
  6. 請求項1〜5に記載した位相イメージング用X線発生装置において、
    前記X線発生源のターゲット基板の前記金属部が埋設されている基板表面の裏面側が水冷されている位相イメージング用X線管を備えたことを特徴とする位相イメージング用X線発生装置。
  7. 請求項1〜6に記載した位相イメージング用X線発生装置において、
    前記X線発生源のターゲット基板水冷用プレートにX線を通過させるための小径のX線導出孔をもうけることにより、前記ターゲット基板の前記X線発生金属部を備えた側の裏面側にも前記ターゲット基板を通してX線を取り出す構成を有する位相イメージング用X線管を備えたことを特徴とする位相イメージング用X線発生装置。
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