JP2000009899A - 結晶分光器 - Google Patents

結晶分光器

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JP2000009899A
JP2000009899A JP10181819A JP18181998A JP2000009899A JP 2000009899 A JP2000009899 A JP 2000009899A JP 10181819 A JP10181819 A JP 10181819A JP 18181998 A JP18181998 A JP 18181998A JP 2000009899 A JP2000009899 A JP 2000009899A
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angle
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reflection
curvature
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Masahiro Katayama
雅弘 片山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 選択する波長が変わっても、出射するビーム
位置が変わらず、拡大率も自由に設定可能な結晶分光器
を提供する。 【解決手段】 第1結晶1としては対称反射結晶が用い
られ、第2結晶2としては非対称反射結晶が用いられて
いる。第1結晶1及び第2結晶2は、ともにその角度及
び位置が可変に設けられている。第1結晶1は、第1角
度調整機構3によって角度調整可能に設けられるととも
に、第1位置調整機構5によって位置調整可能に設けら
れている。第2結晶2は、第2角度調整機構4によって
角度調整可能に設けられるとともに、第2位置調整機構
6によって位置調整可能に設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、広範囲の波長を持
つ光から特定の波長のX線を分光する結晶分光器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】入射光のなかから所要の任意の波長成分
の単色光だけを取り出すためには、モノクロメータと呼
ばれる各種の分光器が用いられる。そして、X線を単色
化するために用いられるのが、結晶分光器(結晶モノク
ロメータ)である。例えば、放射光のような広範囲にわ
たる波長を含んだ白色光からX線を単色化するには、S
i、Ge結晶等のブラッグ反射を用いる。ブラッグ反射
とは、次の式1の関係を満たす波長のX線のみ反射する
現象である。なお、式1において、λは波長、dは結晶
定数、θはブラッグ角である。
【0003】
【数1】λ=2dsinθ …式1 このようなX線の単色化は、1枚の結晶でも可能である
が、1枚の場合には波長により出射方向が変化してしま
うため、波長を可変とする用途には不向きである。そこ
で、図13に示すように、第1結晶1及び第2結晶2
を、互いに平行に配置した2結晶分光器が用いられるこ
とが多い。かかる2結晶分光器においては、第1結晶1
への入射ビームはそのままでも、第1結晶1の角度を変
えると、異なった波長のX線を反射させることができ
る。そして、第1結晶1で反射されたX線は、自動的に
第2結晶2でも反射される。このとき、第1結晶1と第
2結晶2ととの平行が維持されており、両結晶が同じで
あれば、第2結晶2から出射されるX線は、その波長に
かかわらず入射ビームに対して常に平行となる。また、
第1結晶1若しくは第2結晶2の位置が可変であれば、
出射するX線を、ぴったり重ねることも可能である。
【0004】さらに、X線を単色化するだけでなく、結
晶の非対称反射を利用することによって出射ビームを拡
大することもできる。かかる場合の拡大率Mと非対称反
射角αの関係は、次の式2及び式3に示すようになる。
【0005】
【数2】 M=sin(θ+α)/sin(θ−α) …式2
【数3】 α=tan-1[(M−1)/(M+1)×tanθ] …式3
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、X線の単色
化とともに出射ビームの拡大を行うことは、1枚の結晶
であっても可能である。しかし、この場合にも、一枚で
は出射方向が変化するために、波長を可変とする場合の
用途には不向きである。これに対処するため、2結晶分
光器における一方の結晶によって非対称反射を行う場合
には、非対称反射を行う結晶への入射角をθ−αとする
必要があり、拡大率も関係してくるため、2つの結晶を
単に平行にしただけでは平行ビームは出射しない。ま
た、波長を変えると拡大率が変化するという問題があ
る。
【0007】本発明は、上記のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
選択する波長が変わっても、出射するビーム位置が変わ
らず、拡大率も自由に設定可能な結晶分光器を提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の発明は、複数の波長成分を持つ光
から、少なくとも1種のX線を分光する第1の結晶及び
第2の結晶を有する結晶分光器において、前記第1の結
晶及び前記第2の結晶はそれぞれ角度及び位置が可変に
設けられ、前記第1の結晶の角度を調整する第1角度調
整機構と、前記第2の結晶の角度を調整する第2角度調
整機構とを有し、前記第1の結晶の位置を調整する第1
位置調整機構と、前記第2の結晶の位置を調整する第2
位置調整機構とを有することを特徴とする。以上のよう
な請求項1記載の発明では、第1及び第2角度調整機
構、第1及び第2位置調整機構によって、第1及び第2
の結晶の角度及び位置を調整することにより、選択する
波長や対称反射、非対称反射によらず、常に光軸を一定
にしてビームを出射することができる。
【0009】請求項2記載の発明は、複数の波長成分を
持つ光から、少なくとも1種のX線を分光しビームを拡
大する非対称反射結晶を有する結晶分光器において、前
記非対称反射結晶は、ビームを拡大可能なX線の波長の
範囲のうち、短い波長のX線に合わせた非対称反射角を
持つことを特徴とする。以上のような請求項2記載の発
明では、非対称反射結晶の非対称反射角が、短い波長の
X線に合わせて作成されているので、この短い波長より
も長い数種類のX線のビームを拡大することができる。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1記載の結
晶分光器において、前記第2の結晶は、異なった拡大率
を有する複数の非対称反射結晶を並置することによって
構成されていることを特徴とする。以上のような請求項
3記載の発明では、第2の位置調整機構によって、第2
の結晶を移動させて、いずれかの拡大率の非対称反射結
晶を選択することにより、波長が異なっても自動的に同
じサイズのビームを常に同じ光軸で出射することができ
る。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項1又は請求
項3記載の結晶分光器において、前記第1及び第2の角
度調整機構と、前記第1及び第2の位置調整機構とを制
御する制御手段を有することを特徴とする。以上のよう
な請求項4記載の発明では、制御手段からの制御指令に
応じて、第1及び第2の角度調整機構、第1及び第2の
位置調整機構が、第1の結晶及び第2の結晶の角度及び
位置を自動的に調整する。
【0012】請求項5記載の発明は、請求項1〜4のい
ずれか1項に記載の結晶分光器において、出射側に曲率
が可変な凹面鏡又は凸面鏡が配置され、前記凹面鏡又は
凸面鏡の曲率を算出する曲率算出手段を有することを特
徴とする。以上のような請求項5記載の発明では、曲率
算出手段よって算出された曲率に応じて、凹面鏡又は凸
面鏡の曲率を調節することにより、常に一定の光軸で、
任意の倍率、波長に拡大したビームを出射することがで
きる。
【0013】請求項6記載の発明は、請求項1及び請求
項3〜5のいずれか1項に記載の結晶分光器において、
前記第1の結晶及び前記第2の結晶は、拡大率√Mの非
対称反射結晶であることを特徴とする。以上のような請
求項6記載の発明では、2つの同一の拡大率√Mの非対
称反射結晶を用いることにより、第2の結晶への入射角
を大きくして作業性を向上させることができる。
【0014】請求項7記載の発明は、請求項1及び請求
項3〜6のいずれか1項に記載の結晶分光器において、
前記第1の結晶は曲率可変な対称反射結晶であり、前記
第2の結晶は非対称反射結晶であることを特徴とする。
以上のような請求項7記載の発明では、第1の結晶が曲
率可変なため、出射光のビームを、一つの非対称反射で
は不可能なサイズに拡大することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】(1)第1の実施の形態 (構成)請求項1及び請求項2記載の発明に対応する一
つの実施の形態を、図1及び図2を参照して説明する。
すなわち、本実施の形態においては、第1結晶1として
は対称反射結晶が用いられ、第2結晶2としては非対称
反射結晶が用い1られている。第1結晶1及び第2結晶
2は、ともにその角度及び位置が可変に設けられてい
る。そして、第1結晶1は、第1角度調整機構3によっ
て角度調整可能に設けられるとともに、第1位置調整機
構5によって位置調整可能に設けられている。また、第
2結晶2は、第2角度調整機構4によって角度調整可能
に設けられるとともに、第2位置調整機構6によって位
置調整可能に設けられている。
【0016】(作用)以上のような構成を有する本実施
の形態の作用は、以下の通りである。すなわち、第1結
晶1のブラッグ角をθB1、第2結晶2のブラッグ角をθ
B2、第2結晶2の非対称反射角をα、第2結晶2への入
射角をβIN、第2結晶2からの出射角をβOUT とする
と、以下の式4及び式5のような関係が成立する。
【数4】βIN=θB2−α …式4
【数5】βOUT =θB2+α …式5 そして、出射ビームが入射ビームと平行であるために
は、第2結晶2の中心を通る線と出射ビームが90°を
なす必要があり、これを式で表すと、次の式6のように
なる。
【数6】 90°−2×θB1+βIN+βOUT =90° …式6 この式6を簡単にすると、次の式7のようになる。
【数7】 βIN+βOUT =2×θB1 …式7 この式7に、式4及び式5を代入すると、次の式8のよ
うになる。
【数8】θB1=θB2 …式8 以上のことから、結晶分光器においては、対称反射、非
対称反射及び選択する波長によらず、第1結晶1と第2
結晶2が同じブラッグ角を持つならば、入射ビームと出
射ビームは平行になる。
【0017】そこで、本実施の形態においては、図1に
示すように、第1結晶1の入射角を第1角度調整機構3
によってθB1に設定し、第2結晶2へのビーム入射角
を、第2角度調整機構4によって、次の式9のように設
定すれば、常に入射ビームに平行な出射光が得られる。
なお、式9においてαは式3による。
【0018】
【数9】βIN=θB2−α=θB1−α …式9 次に、選択する波長が変わっても、出射光の光軸を重ね
る作用を、図2を参照して説明する。なお、図2におい
ては、ある波長の光軸を実線7で示し、次に選択する光
軸を波線8で示し、選択する波長が変わって光軸が実線
7から破線8へ変化した場合を表している。すなわち、
第1結晶1への入射ビームは不変のため、まず、第1角
度調整機構3によって、新たな波長のブラッグ角へ入射
角を変える。そして、第2位置調整機構6によって、第
2結晶2を第1結晶1からの反射光が入射する位置へ移
動させるとともに、第2角度調整機能2によって第2結
晶2へのビーム入射角が式4の値になるように調整す
る。これで光軸7と8は平行になる。
【0019】さらに、第2結晶2の角度はそのままにし
て、第2結晶2の位置を第2位置調整機構6によって出
射光が重なる位置まで移動させる。なお、第2結晶を移
動させずに、第1結晶1を第1位置調整機構5によって
移動させても同様な作用が得られる。
【0020】(効果)以上のような本実施の形態によれ
ば、波長、対称反射、非対称反射によらず、常に入射ビ
ームに平行な出射ビームが得られるとともに、出射ビー
ムの位置を一定とすることができる。
【0021】(2)第2の実施の形態 請求項2記載の発明に対応する一つの実施の形態を、図
3を参照して説明する。すなわち、本実施の形態は、X
線を単色化するとともに、ビームサイズを拡大させる機
能を有する非対称反射結晶13が、角度調整機構3によ
って角度調整可能に設けられている。そして、本実施の
形態における適用可能な波長範囲及び非対称反射結晶1
3の非対称反射角は、以下のように設定されている。
【0022】まず、長波長のビームライン7と短波長の
ビームライン8を考えると、波長の長い方のブラッグ角
をθL 9、波長の短い方のブラッグ角をθS 10とする
と、同一の結晶の場合、ブラッグ角は波長によって異な
り、式1の関係により、θL9の方がθS 10よりも大
きくなる。
【0023】一方、ブラッグ角の大きい方(波長の長い
方)の非対称反射角αL 11は、小さい方のブラッグ角
θS 10よりも小さくないと、ブラッグ角の小さい方
(波長の短い方)のビームは、結晶に入射することがで
きない。従って、本実施の形態においては、式3より、
次の式10の関係が成り立たつように、波長範囲が設定
されている。
【0024】
【数10】 αL 11= tan-1[(M−1)/(M+1)×tanθL ]<θS 10…式10 また、上記の式10を満足する波長範囲であっても、長
波長側の非対称反射角に合わせて結晶を製作すると、ほ
とんど水平入射となり、操作性が非常に悪くなる。従っ
て、本実施の形態における非対称反射結晶13の非対称
反射角は、短波長側に合わせて製作されている。この場
合の短波長側での拡大率MS は、以下の式11のように
なり、長波長側の拡大率Mは上記の式2のようになる。
【0025】
【数11】 MS =sin(θS +αL )/sin(θS −αL ) …式11 以上のような本実施の形態によれば、上記の設定におけ
る短波長以上の波長の範囲で波長を変えても、非対称反
射結晶13による非対称反射が可能となる。
【0026】(3)第3の実施の形態 (構成)請求項3及び請求項4記載の発明に対応する一
つの実施の形態を、図4を参照して説明する。なお、上
記の第1の実施の形態と同様の部材は同一の符号を付
し、説明は省略する。すなわち、本実施の形態における
第2結晶は、結晶14と結晶15とを縦方向に並べて配
置することによって構成されている。結晶14は、ある
波長のX線を、非対称反射によりある拡大率を持ったビ
ームに拡大するものであり、結晶15は、結晶14と異
なる波長のX線を、非対称反射により結晶14と同じ拡
大率を持ったビームに拡大するものである。
【0027】そして、結晶14,15は、第2角度調整
機構4及び第2位置調整機構6に取り付けられ、結晶へ
の入射角度及び結晶の位置を調整可能に設けられてい
る。また、第1及び第2角度調整機構3,4、第1及び
第2位置制御機構5,6には、制御装置24が接続され
ている。この制御装置24は、第1結晶1からの出射光
が複数ある結晶14,15のうちのいずれか適当な結晶
に入射するように選択し、第2位置調整機構6へ指令を
出す機能を有する。なお、異なる波長に応じて結晶1
4,15のうちのどの結晶を選択するかは、制御装置2
4においてあらかじめ設定されている。
【0028】(作用)以上のような構成を有する本実施
の形態の作用は以下の通りである。すなわち、第1結晶
1によりX線が単色化され、第2結晶のうちの手前側の
結晶14の非対称反射により拡大される。次に、第1角
度調整機構によって第1結晶1の角度を変えて、選択す
る波長を変更すると、その情報が制御装置24へ行き、
変更した波長に対応して、あらかじめ設定された指令を
第2位置調整機構6へ指令する。すると、第2位置調整
機構6は第1結晶1からのビームが、制御装置24から
指令された結晶の適当な位置に入射するよう結晶14,
15を移動する。
【0029】また、第2角度調整機構4は、制御装置2
4からの指令により、結晶14又は15へのビーム入射
角が、選択された波長に適する値になるように角度を調
整する。なお、第1の実施の形態と同様に、第1位置調
整機構5及び第2位置調整機構6によって、出射光の光
軸を波長によらず重ねることも可能である。
【0030】(効果)以上のような本実施の形態の効果
は以下の通りである。すなわち、選択する波長が変わっ
ても、その波長と意図した拡大率に合った結晶の位置、
角度を自動的に制御し、出射光の光軸を重ねることがで
きる。特に、従来は、同じ非対称反射結晶を用いて波長
を変えた場合、拡大率が異なるといった問題があった
が、結晶14,15という異なった結晶を用いることに
より、波長が変わっても同じ拡大率を達成することがで
きる。
【0031】(4)第4の実施の形態 (構成)請求項3及び請求項4記載の発明に対応する一
つの実施の形態を、図5を参照して以下に説明する。な
お、上記の第3の実施の形態と同様の部材は同一の符号
を付し、説明を省略する。すなわち、本実施の形態にお
ける第2結晶は、結晶14と結晶15とを横方向に並べ
て配置することによって構成されている。そして、結晶
14,15は、第2角度調整機構4及び横方向移動装置
16に取り付けられ、結晶への入射角度及び結晶の位置
を調整可能に設けられている。
【0032】また、第1及び第2角度調整機構3,4、
第1位置制御機構5、横方向移動装置16には、制御装
置25が接続されている。この制御装置25は、第1結
晶1からの出射光が複数ある結晶14,15のうちのい
ずれか適当な結晶に入射するように選択し、横方向移動
装置16へ指令を出す機能を有する。なお、異なる波長
に応じて結晶14,15のうちのどの結晶を選択するか
は、制御装置25においてあらかじめ設定されててい
る。
【0033】(作用)以上のような構成を有する本実施
の形態の作用は以下の通りである。すなわち、第1結晶
1によりX線が単色化され、第2結晶のうちの手前側の
結晶14の非対称反射により拡大される。次に、第1角
度調整機構によって第1結晶1の角度を変えて、選択す
る波長を変更すると、その情報が制御装置24へ行き、
変更した波長に対応して、あらかじめ設定された指令を
第2位置調整機構6へ指令する。すると、横方向移動装
置16は第1結晶1からのビームが、制御装置25から
指令された結晶の適当な位置に入射するように、結晶1
4,15を横方向に移動する。
【0034】また、第2角度調整機構4は、制御装置2
5からの指令により、結晶14又は15へのビーム入射
角が、選択された波長に適する値になるように角度を調
整する。なお、第1の実施の形態と同様に、第1位置調
整機構5及び第2位置調整機構6によって、出射光の光
軸を波長によらず重ねることも可能である。
【0035】(効果)以上のような本実施の形態の効果
は以下の通りである。すなわち、選択する波長が変わっ
ても、その波長と意図した拡大率に合った結晶の位置、
角度を自動的に制御し、出射光の光軸を重ねることがで
き、第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0036】(5)第5の実施の形態 (構成)請求項5記載の発明に対応する一つの実施の形
態を、図6〜8を参照して説明する。すなわち、本実施
の形態においては、上記の第1の実施の形態における出
射光位置に、曲率可変ミラー17が配置されている。こ
の曲率可変ミラー17は、凹面鏡若しくは凸面鏡のいず
れかである。そして、曲率可変ミラー17は、曲率算出
装置26において算出された曲率に応じて、曲率が変更
される構成となっている。この曲率算出装置26は、ミ
ラーの種類(凹面鏡又は凸面鏡)、光源から曲率可変ミ
ラー17までの距離、曲率可変ミラー17からビームを
使用する点(以後、照射位置と呼ぶ)までの距離、拡大
率、ビームの曲率可変ミラー17への入射角を入力する
ことにより、曲率可変ミラー17の曲率を自動的に求め
る装置である。
【0037】(作用効果)以上のような本実施の形態の
作用効果は以下の通りである。すなわち、2結晶分光器
からは、常に単色化されたビームが同じ位置に出射さ
れ、その後に曲率可変ミラー17へビームが入射する。
曲率可変ミラー17からの出射角は、波長による変化が
ないため、常に一定の光軸が得られる。一方、曲率可変
ミラー17の曲率は、以下の手法により自動的に求めら
れる。
【0038】まず、凹面鏡の場合には、光源までの距離
をF1、曲率可変ミラー17から照射位置までの距離を
F2、視射角をγとすると曲率Rは、以下の式12のよ
うに表すことができる。
【0039】
【数12】 R={2×F1×F2}÷{(F1+F2)×sinγ} …式12 また、凹面鏡の場合には、図7に示すように、一度焦点
を結んでから拡大することを考えると、曲率可変ミラー
17から照射位置21までの距離をL、曲率可変ミラー
17上でのビームサイズをa、照射位置21でのビーム
サイズをb、拡大率をM(=a/b)とすると、比例関
係より、以下の式13のような関係が成立し、この式1
3から式14が導かれる。
【0040】
【数13】 a:F2=b:(L−F2) …式13
【数14】 F2=(aL)/(a+b)=L/(1+M) …式14 一方、凸面鏡の場合には、図8に示すように、焦点を結
ばずに拡大することから、以下の式15及び式16のよ
うになる。
【0041】
【数15】 a:F2=b:(L+F2) …式15
【数16】 F2=(aL)/(b−a)=L/(M−1) …式16 従って、曲率算出装置26に、ミラーの種類(凹面鏡又
は凸面鏡)、視射角γ、光源から曲率可変ミラー17ま
での距離F1、曲率可変ミラー17から照射位置までの
距離L、拡大率M(若しくは曲率可変ミラー17上での
ビームサイズaと照射位置でのビームサイズ)を入力す
れば、式12〜16により,ミラー曲率Rが求められ
る。この値を、曲率可変ミラー17へ指示し、曲率を設
定すれば、照射位置21において、所望のビームサイ
ズ、波長のX線を得ることができる。
【0042】(6)第6の実施の形態 (構成)請求項6記載の発明に対応する一つの実施の形
態を、図9を参照して説明する。すなわち、本実施の形
態は、第1の実施の形態における2結晶分光器の第1結
晶及び第2結晶の二つとも、拡大率√Mの非対称反射結
晶18,19を用いたものである。
【0043】(作用効果)以上のような本実施の形態の
作用効果は、以下の通りである。まず、ビームの拡大
を、第1結晶における1回の非対称反射のみで行う場
合、式(3)の関係より、拡大率が大きいほど非対称反
射角αは大きくなり、式(4)より非対称反射角αが大
きくなるほど、第2結晶への入射角βINが小さくなるた
め、第2結晶への入射は難しくなる。
【0044】例えば、Si(311)結晶において波長
0.17711Å(70keV)のブラッグ角3.10
°で、拡大率5倍とするとαは2.07°、入射角は
1.03°となる。しかし、拡大率25倍とするとαは
2.86°、入射角は0.238°となる。よって、拡
大率25倍の一回でビームを拡大しようとする場合、第
2結晶への入射角は0.238°となり、拡大率5倍の
場合の1/4以下でほとんど水平に近く、作業性が非常
に悪い。
【0045】一方、本実施の形態においては、2結晶分
光器の拡大率は2つの非対称反射結晶18,19の拡大
率√Mの積となるため、Mとなる。そして、拡大率が√
Mであると、非対称反射結晶19への入射角βINM は、
次の式17のようになる。
【0046】
【数17】 βINM =θ−tan-1[(√M−1)/(√M+1)×tanθ] …式17 このように、拡大率√Mの2回の非対称反射でビームを
拡大するので、最終的には大きな拡大率Mのビームが得
られるのみならず、非対称反射結晶18の拡大率は√M
という小さい値に抑えることができるので、非対称反射
結晶19へのビームの入射が楽になり作業性が向上す
る。また、非対称反射結晶18,19に同じ結晶を使え
ば、第1の実施の形態と同様に、波長が異なってもビー
ムの位置は変わらない。
【0047】(7)第7の実施の形態 請求項7記載の発明に対応する一つの実施の形態を、図
10〜12を参照して説明する。すなわち、本実施の形
態は、第1の実施の形態における第1結晶を曲率可変対
称反射結晶22とし、第2結晶を非対称反射結晶19と
したものである。
【0048】以上のような構成を有する本実施の形態の
作用効果は以下の通りである。まず、図11に示すよう
に、入射角が小さく曲率が大きいとビームがミラー面に
ぶつかってしまうが、上記の式4から、対称反射は非対
称反射に比べて入射角が大きいため、結晶の曲率が大き
く取れる。また、入射角がより大きい方が収差が少な
い。
【0049】例えば、上記の第6の実施の形態でも示し
たように、Si(311)結晶において波長0.177
11Å(70keV)のブラッグ角3.10°で、拡大
率5倍とするとαは2.07°、入射角1.03°とな
る。そして、図12に示すように、結晶のサイズを20
0mm、ミラー中央部のふくらみをx、入射角をδとす
ると、対称反射の場合δ=3.10°、拡大率5倍の非
対称反射ではδ=1.03°となり、この場合は曲率は
対称反射の時にはR=1850mm、x=5.42m
m、非対称反射の時にはR=5564mm、x=1.7
97mmとなる。したがって、対称反射の場合には、非
対称反射のときの3倍程度の曲率をつけることが可能と
言える。
【0050】そこで、本実施の形態においては、第1結
晶を曲率可変対称反射結晶22とすることにより、ある
範囲でのビームサイズ調整が可能となり、1枚の非対称
反射では不可能なビームサイズへの拡大も可能となる。
また、第1の実施の形態と同様に、選択する波長が異な
っても、出射ビームの位置が変わらずに、任意のビーム
サイズに拡大された単色X線ビームが得られる。
【0051】なお、上記の実施の形態における結晶は、
Si、Ge等、その他の様々な材質によって構成するこ
とができる。また、制御装置24,25、曲率算出装置
26等は、所定のソフトウエアの手順に従って作動する
コンピュータによって構成することもできるし、専用の
回路によって構成することもできる。
【0052】
【発明の効果】以上、本発明によれば、選択する波長が
変わっても、出射するビーム位置が変わらず、拡大率も
自由に設定可能な結晶分光器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の結晶分光器の第1の実施の形態を示す
説明図である。
【図2】図1の実施の形態における結晶移動手順を示す
説明図である。
【図3】本発明の結晶分光器の第2の実施の形態を示す
説明図である。
【図4】本発明の結晶分光器の第3の実施の形態を示す
説明図である。
【図5】本発明の結晶分光器の第4の実施の形態を示す
説明図である。
【図6】本発明の結晶分光器の第5の実施の形態を示す
説明図である。
【図7】図6の実施の形態における凹面鏡の場合を示す
説明図である。
【図8】図6の実施の形態における凸面鏡の場合を示す
説明図である。
【図9】本発明の結晶分光器の第6の実施の形態を示す
説明図である。
【図10】本発明の結晶分光器の第7の実施の形態を示
す説明図である。
【図11】凸面鏡の反射状態を示す説明図である。
【図12】図10の実施の形態における曲率可変ミラー
の曲率を示す説明図である。
【図13】一般的な結晶分光器の原理を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1…第1結晶 2…第2結晶 3…第1結晶角度調整機構 4…第2結晶角度調整機構 5…第1結晶位置調整機構 6…第2結晶位置調整機構 7〜10…ビームライン 11…長波長のブラッグ角 12…短波長ブラッグ角 13…結晶格子面 14,15,18,19…非対称反射結晶 16…横方向移動装置 17…曲率可変ミラー 20…凹面鏡 21…照射位置 22…曲率可変対称反射結晶 23…凸面鏡 24,25…制御装置 26…曲率算出手段

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の波長成分を持つ光から、少なくと
    も1種のX線を分光する第1の結晶及び第2の結晶を有
    する結晶分光器において、 前記第1の結晶及び前記第2の結晶はそれぞれ角度及び
    位置が可変に設けられ、 前記第1の結晶の角度を調整する第1角度調整機構と、
    前記第2の結晶の角度を調整する第2角度調整機構とを
    有し、 前記第1の結晶の位置を調整する第1位置調整機構と、
    前記第2の結晶の位置を調整する第2位置調整機構とを
    有することを特徴とする結晶分光器。
  2. 【請求項2】 複数の波長成分を持つ光から、少なくと
    も1種のX線を分光しビームを拡大する非対称反射結晶
    を有する結晶分光器において、 前記非対称反射結晶は、ビームを拡大可能なX線の波長
    の範囲のうち、短い波長のX線に合わせた非対称反射角
    を持つことを特徴とする結晶分光器。
  3. 【請求項3】 前記第2の結晶は、異なった拡大率を有
    する複数の非対称反射結晶を並置することによって構成
    されていることを特徴とする請求項1記載の結晶分光
    器。
  4. 【請求項4】 前記第1及び第2の角度調整機構と、前
    記第1及び第2の位置調整機構とを制御する制御手段を
    有することを特徴とする請求項1又は請求項3記載の結
    晶分光器。
  5. 【請求項5】 出射側に曲率が可変な凹面鏡又は凸面鏡
    が配置され、 前記凹面鏡又は凸面鏡の曲率を算出する曲率算出手段を
    有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に
    記載の結晶分光器。
  6. 【請求項6】 前記第1の結晶及び前記第2の結晶は、
    拡大率√Mの非対称反射結晶であることを特徴とする請
    求項1及び請求項3〜5のいずれか1項に記載の結晶分
    光器。
  7. 【請求項7】 前記第1の結晶は曲率可変な対称反射結
    晶であり、 前記第2の結晶は非対称反射結晶であることを特徴とす
    る請求項1及び請求項3〜6のいずれか1項に記載の結
    晶分光器。
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