JP2003013711A - ロッカアーム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性をより一層高められるように構成さ
れたロッカアームを提供する。 【解決手段】 カム対向部（４ａ）に設けられた一対の
支持壁（９）間に軸支されたローラ（１２）と、ローラ
の軸線方向端部と支持壁との対向面間に設けられたスペ
ーサ（１３）とを有するロッカアーム（４）において、
ローラの軸線方向に突出するようにスペーサに設けられ
た突起（１４）と、突起を受容すべく支持壁に設けられ
た窪み（１５）とをもって、スペーサの共回りを防止す
るものとする。これにより、ロッカアームにローラが接
触しないのでロッカアームを摩耗し難くすることができ
る上、スペーサがローラと共回りしないのでスペーサと
の接触による摩耗をも抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの動弁装
置の一部を構成するロッカアームに関し、特にカムに転
がり接触するローラを備えたロッカアームに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】動弁系の摩擦損失トルクを低減するため
に、ロッカアームのカム対向部に形成された一対の支持
壁間に架設されたローラ軸にローラを軸支し、このロー
ラをカムに転がり接触させるようにすることが有効であ
る。

【０００３】他方、動弁系の応答性を高めるために、ロ
ッカアームをアルミニウム合金で形成して軽量化するこ
とが有効である。ところが、アルミニウム合金製のロッ
カアームにおけるローラの支持壁間にローラを組み込む
と、支持壁よりも硬度の高いローラの端面が接触するた
め、支持壁が摩耗するという不都合が生ずる。

【０００４】このような不都合を解消するために、ロッ
カアームとローラとの摺接面にスラスト力を受けるスペ
ーサを介装する構造が、実公平４−４４８０３号公報に
開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記公報に
開示された技術によると、ローラが回転するとスペーサ
が共回りするため、スペーサとの摺接によってロッカア
ームの支持壁に摩耗の生ずることが懸念される。

【０００６】本発明は、このような従来技術の問題点を
解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、耐
摩耗性をより一層高められるように構成されたロッカア
ームを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このような目的を果たす
ために、本願請求項１の発明にあっては、カム対向部
（４ａ）に設けられた一対の支持壁（９）間に軸支され
たローラ（１２）と、ローラの軸線方向端部と支持壁と
の対向面間に設けられたスペーサ（１３）とを有するロ
ッカアーム（４）において、ローラの軸線方向に突出す
るようにスペーサに設けられた突起（１４）と、突起を
受容すべく支持壁に設けられた窪み（１５）とをもっ
て、スペーサの共回りを防止するものとした。

【０００８】このようにすれば、ロッカアームにローラ
が接触しないのでロッカアームを摩耗し難くすることが
できる上、スペーサがローラと共回りしないのでスペー
サとの接触による摩耗をも抑制することができる。

【０００９】また請求項２の発明においては、突起のス
ペーサの外周に沿う面を上方へ開放させるものとした。
これにより、窪み内にオイルを保持することができるの
で、スペーサとローラとの摺接面の潤滑性を向上し得
る。

【００１０】更に請求項３の発明においては、突起と窪
みとの円周方向についての互いの当接面を、ローラの中
心軸線が通る平面に対して傾斜させるものとした。これ
により、スペーサに回転方向の力が加わった際にスペー
サの突起と支持壁の窪みとの当接面に作用する力が低減
される。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照して本発
明について詳細に説明する。

【００１２】図１は、本発明が適用される動弁装置の概
略構成を示している。この動弁装置は、回転するカムシ
ャフト１上に設けられたカム２に当接して揺動運動を行
うべくその一端がロッカシャフト３に軸支されたロッカ
アーム４と、エンジンのシリンダヘッド５に設けられ、
且つバルブスプリング６によって常時閉弁付勢された吸
気弁７とからなっている。

【００１３】ロッカアーム４は、カム２に当接するカム
対向部４ａと、ロッカシャフト３に軸支されるエンドボ
ス部４ｂと、吸気弁７の上端に当接する弁対向部４ｃと
からなり、アルミニウム合金材のダイキャスト成型で一
体形成されている。このロッカアーム４がカム軸１の回
転に連動して揺動運動を行うことにより、バルブスプリ
ング６の閉弁付勢力に抗して吸気弁７が開弁駆動され
る。

【００１４】ロッカアーム４のカム対向部４ａには、図
２に示すように、上下に貫通するスロット８によって一
対の支持壁９が形成されている。この一対の支持壁９に
は、ローラ軸１０が圧入にて固着されている。そしてロ
ーラ軸１０の軸線方向中間部、つまり一対の支持壁９の
内面同士間には、ニードルベアリング１１付きのローラ
１２が枢着されている。このローラ１２が、回転するカ
ム２からの押圧力を受けつつカム２の外周面に転動接触
することにより、動弁装置の摩擦損失トルクの低減が図
られている。なお、ローラ１２の材質は、ロッカアーム
４よりも硬度の高い鉄系が採用されている。

【００１５】ローラ軸１０上に於けるニードルベアリン
グ１１並びにローラ１２の各端と各支持壁９の間には、
一対の環状をなすスペーサ１３が遊嵌されている。この
スペーサ１３は、ローラ１２の外径よりも小さな外径で
あり、且つニードルベアリング１１並びにローラ１２の
各端と各支持壁９との間の隙間よりも小さな厚さに設定
されている。なお、スペーサ１３の材質は、ニードルベ
アリング１１並びにローラ１２との接触に対して耐摩耗
性に富むものであれば良い。

【００１６】両スペーサ１３の各支持壁９との当接面に
おける外周側には、図３及び図４に示すように、軸線方
向から見た輪郭および径方向から見た輪郭が共に概ね半
円形をなす突起１４が、例えばプレス加工などによって
スペーサ１３自体を切断したり切除したりすることなく
形成されている。このように、スペーサ１３から突出し
た突起１４をアーチ形とすることで、スペーサ１３の剛
性を高めることができる。しかもスペーサの外周から径
方向外向きの突起を形成するものに比して材料の歩留ま
りが高くなる。

【００１７】ここで突起１４は、ニードルベアリング１
１の転動軌跡の外側に形成されており、スペーサ１３の
ローラ軸挿通孔の周囲は、ニードルベアリング１１の軸
線方向端面との摺接面として平坦にされている。このよ
うにして、スペーサ１３には、回り止め機能とニードル
ベアリング１１の軸線方向位置決め機能とが付与されて
いる。

【００１８】一対の支持壁９の互いの対向内面に於ける
カム対向部４ａ側には、両スペーサ１３の突起１４を受
容可能な窪み１５が形成されている。この窪み１５は、
図５に示すように、ロッカアーム４のカム対向部４ａ側
に向けて開かれると共に、円周方向の内面１５Ｗがロー
ラ１２の軸線に対して傾斜しており、その挟角Ａは、例
えば６０度に設定されている。

【００１９】このように、挟角を６０度とした場合、径
方向から見て半円形をなす突起１４の外面が、窪み１５
の周方向内面１５Ｗに対して斜め方向に当接するので、
当接面１５Ｗに作用する面圧Ｐは、回転方向の力Ｒを１
とすると０．８７となり、斜面とすることで窪み１５の
深さ寸法を増大させずに当接面の面積を確保し得ること
と相俟って、当接面自体をより一層摩耗し難くすること
ができる。しかも窪み１５の深さ寸法を最小化し得るの
で、ローラ１２の軸線方向についてのロッカアーム４の
コンパクト化に寄与し得る。

【００２０】なお、この窪み１５は、比較的肉厚に余裕
のあるエンドボス部４ｂ側や弁対向部４ｃ側に設けるこ
とで支持壁９の剛性低下に及ぼす影響を最低限に抑える
ことができる。また弁対向部４ａの上側に設けるものと
すれば、突起１４のスペーサ外周に沿う面が、エンジン
の上方へ開放することとなり、オイルを集めやすく、窪
み内にオイルを保持することができるので、ローラ１２
とスペーサ１３との摺接面の潤滑性を向上し得る。

【００２１】また突起１４のアーチ形状に合わせたアー
ルを窪み１５にも付けるものとすれば、応力集中を無く
すことができるので、窪み１５を設けたことによるロッ
カアーム４の強度低下を最低限に抑えることができる。

【００２２】スペーサ１３に一対の突起１４を設ける場
合、ロッカアーム４の曲げ剛性を低下させない観点から
は、窪み１５はロッカアーム４の長手方向に沿う線上に
設けることが好ましい。しかし、ダイキャスト成型の場
合、金型の分割面がロッカアーム４の長手方向に沿って
いるので、金型の抜き方向に沿う位置、つまり長手方向
に直交する直径線上に一対の窪み１５を設けるものとす
れば、型開きに支障のないようにすることができる。

【００２３】また、突起１４と窪み１５とを複数設ける
場合は、各突起並びに各窪みを円周上に等間隔で設ける
ことにより、個々の当接部における応力を低減できると
共に、組み付け時に方向性を無くせるので、組み付け性
が向上する。なお、任意の位置に窪み１５を設けたい場
合は、機械加工で形成すれば良いことは言うまでもな
い。

【００２４】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の請求項１の
構成によれば、ローラとロッカアームとの間にスペーサ
を介在させ、ローラがロッカアームに摺接しないように
すると共に、スペーサがローラと共回りしないようにす
ることができるので、ロッカアームの摩耗を抑制する上
に大きな効果を奏することができる。

【００２５】また請求項２の構成によれば、エンジンの
上方へ開放した窪み内にオイルが保持されるので、スペ
ーサとローラとの摺接面の潤滑性を向上し得る。

【００２６】更に請求項３の構成によれば、スペーサに
回転方向の力が加わった際にスペーサの突起と支持壁の
窪みとの当接面に作用する力が低減される。これらによ
ってもロッカアームの摩耗抑制効果をより一層高めるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用される動弁装置の正面図

【図２】本発明によるロッカアームの上面図

【図３】ワッシャの正面図

【図４】突起部分の拡大側面図

【図５】窪みと突起との結合部の拡大上面図

【符号の説明】

３ ロッカシャフト ４ ロッカアーム ４ａ カム対向部 ９ 支持壁 １２ ローラ １３ スペーサ １４ 突起 １５ 窪み

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3G016 AA06 AA19 BB19 BB21 BB22 CA04 CA06 CA20 CA21 CA22 CA25 CA31 EA02 EA07 EA08 FA01 GA00 GA02

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カム対向部に設けられた一対の支持壁間
   に架設されたローラ軸に軸支されたローラと、前記ロー
   ラの軸線方向端部と前記支持壁との対向面間に設けられ
   たスペーサとを有するロッカアームであって、 前記スペーサの回転を規制すべく、前記ローラの軸線方
   向に突出するように前記スペーサに設けられた突起と、
   前記突起を受容すべく前記支持壁に設けられた窪みとを
   備えることを特徴とするロッカアーム。
2. 【請求項２】 前記突起の前記スペーサの外周に沿う面
   が上方へ開放していることを特徴とする請求項１に記載
   のロッカアーム。
3. 【請求項３】 前記突起と前記窪みとの円周方向につい
   ての互いの当接面が、前記ローラの中心軸線が通る平面
   に対して傾斜していることを特徴とする請求項１若しく
   は２に記載のロッカアーム。