JP2003012786A - 側鎖にチエニル構造を有するユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエートおよびその製造方法、該ポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御剤、トナーバインダーならびにトナー、および該トナーを用いた画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

側鎖にチエニル構造を有するユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエートおよびその製造方法、該ポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御剤、トナーバインダーならびにトナー、および該トナーを用いた画像形成方法および画像形成装置

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Takeshi Imamura
剛士 今村
Etsuko Sugawa
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 新規PHAの提供。また、目的外のモノマー
ユニットを大幅に低減し、かつ、高収率で当該PHAを
取得できる微生物による製造方法の提供。また、環境の
保全等への寄与がより高く、かつ高性能で分散性の改良
された、静電荷像現像トナーに用いられる該荷電制御剤
の提供。 【解決手段】チエノイルアルカン酸又はチエノイルアル
カンを原料として、式1に示す3−ヒドロキシチエノイ
ルアルカン酸をモノマーユニットとして有する新規PH
Aを合成し得る微生物を、前記原料を含む培地で培養
し,培養菌体に生産された当該PHAを抽出、回収す
る。また,式1、12のいずれか一方に示されるモノマ
ーユニットを有するPHAを含有してなる荷電制御剤、
該荷電制御剤を含有してなるトナーバインダー、静電荷
像現像トナー、さらには該静電荷像現像トナーを用いた
画像形成方法ならびに画像形成装置。 (n,xは1〜8の整数であり,ユニット毎に違う値を
とり得る。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポリヒドロ
キシアルカノエート(以下、PHAと略す)に関する。ま
た、PHAを生産し菌体内に蓄積する能力を有する微生
物を用いたPHAの生産工程を含む当該PHAの製造方
法に関する。
【0002】さらに本発明は、電子写真法、静電記録
法、磁気記録法等を利用した記録方法に用いられる荷電
制御剤、トナーバインダー、静電荷像現像トナー、該ト
ナーを使用する画像形成方法、及びその画像形成装置に
関する。特には、予め静電潜像担持体(以下、単に像担
持体と呼ぶ)上にトナー像を形成後、被転写材上に転写
させて画像を形成する、複写機、プリンター、ファック
ス等の電子写真、静電記録、静電印刷に用いられる荷電
制御剤、トナーバインダー、静電荷像現像トナー、該ト
ナーを使用する画像形成方法、及びその画像形成装置に
関する。更に詳しくは、人体/環境に対してより安全性
の高い負帯電性の電荷制御剤、それを用いたトナーバイ
ンダー、静電荷像現像トナー、該トナーを使用する画像
形成方法、及びその画像形成装置に関する。
【0003】
【従来の技術】これまで、多くの微生物がポリ-3-ヒド
ロキシ酪酸(PHB)あるいはその他のPHAを生産し、
菌体内に蓄積することが報告されてきた(「生分解性プ
ラスチックハンドブック」,生分解性プラスチック研究
会編,(株)エヌ・ティー・エス,P178-197(1995))。これ
らのポリマーは従来のプラスチックと同様に、溶融加工
等により各種製品の生産に利用することができる。さら
に、生分解性であるがゆえに、自然界で微生物により完
全分解されるという利を有しており、従来の多くの合成
高分子化合物のように自然環境に残留して汚染を引き起
こすことがない。また、生体適合性にも優れており、医
療用軟質部材等としての応用も期待されている。
【0004】このような微生物産生PHAは、その生産
に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、
様々な組成や構造のものとなり得ることが知られてお
り、これまで主に、PHAの物性の改良という観点か
ら、このような組成や構造の制御に関する研究がなされ
てきた。
【0005】[1]まず、3-ヒドロキシ酪酸(以下、3H
Bと略す)をはじめとする比較的簡単な構造のモノマー
ユニットを重合させたPHAの生合成としては、次のも
のが挙げられる。
【0006】(a)3HBと3-ヒドロキシ吉草酸(以下3
HV)を含むもの 特公平6-15604号公報、特公平7-14352号公報、特公平
8-19227号公報等、特開平5-7492号公報 (b)3HBと3-ヒドロキシヘキサン酸(以下3HHx)を
含むもの特開平5-93049号公報、及び特開平7-265065
号公報 (c)3HBと4-ヒドロキシ酪酸(以下4HB)を含むもの
特開平9-191893号公報 (d)炭素数6から 12 までの3-ヒドロキシアルカノエー
トを含むもの特許公報第 2642937 号 (e)単一の脂肪酸を炭素源とした生合成。生産物は(d)と
ほぼ同様Appl.Environ.Microbiol,58(2),746(1992) 等が挙げられる。これらはいずれも微生物による炭化水
素等のβ酸化や糖からの脂肪酸合成により合成された、
いずれも側鎖にアルキル基を有するモノマーユニットか
らなるPHA、即ち、「usual PHA」である。
【0007】[2]しかし、このような微生物産生PHA
のより広範囲な応用、例えば機能性ポリマーとしての応
用を考慮した場合、アルキル基以外の置換基を側鎖に導
入したPHA「unusual PHA」が極めて有用であるこ
とが期待される。置換基の例としては、芳香環を含むも
の(フェニル基、フェノキシ基、など)や、不飽和炭化水
素、エステル基、アリル基、シアノ基、ハロゲン化炭化
水素、エポキシドなどが挙げられる。これらの中でも、
特に、芳香環を有するPHAの研究が盛んになされてい
る。
【0008】(a)フェニル基もしくはその部分置換体を
含むもの Makromol.Chem.,191,1957-1965(1990)及びMacrom
olecules,24,5256-5260(1991)には、5-フェニル吉草酸
を基質として、シュードモナス オレオボランス(Pseud
omonas oleovorans)が3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草
酸をユニットとして含むPHAを生産することが報告さ
れている。
【0009】Macromolecules,29,1762-1766(1996)に
は、5-(4'-トリル)吉草酸を基質として、シュードモ
ナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3-
ヒドロキシ-5-(4'-トリル)吉草酸をユニットとして含
むPHAを生産することが報告されている。
【0010】Macromolecules,32,2889-2895(1999)に
は、5-(2',4'-ジニトロフェニル)吉草酸を基質とし
て、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas ol
eovorans)が3-ヒドロキシ-5-(2',4'-ジニトロフェ
ニル)吉草酸及び3-ヒドロキシ-5-(4'-ニトロフェニ
ル)吉草酸をユニットとして含むPHAを生産すること
が報告されている。
【0011】(b)フェノキシ基もしくはその部分置換体
を含むもの Macromol.Chem.Phys.,195,1665-1672(1994)には、
11-フェノキシウンデカン酸を基質として、シュードモ
ナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3-
ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸と3-ヒドロキシ-9-
フェノキシノナン酸のPHAコポリマーを生産すること
が報告されている。
【0012】特許公報第 2989175 号には、3-ヒドロキ
シ、5-(モノフルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H
5(MFP)P)ユニットあるいは3-ヒドロキシ、5-(ジ
フルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H5(DFP)
P)ユニットからなるホモポリマー、少なくとも3H5
(MFP)Pユニットあるいは3H5(DFP)Pユニット
を含有するコポリマー;これらのポリマーを合成するシ
ュードモナス・プチダ;シュードモナス属を用いた前記
のポリマーの製造法に関する発明が開示されており、そ
の効果として、置換基をもつ長鎖脂肪酸を資化して、側
鎖末端が1から2個のフッ素原子が置換したフェノキシ
基をもつポリマーを合成することができ、融点が高く良
い加工性を保持しながら、立体規則性、撥水性を与える
ことができるとしている。
【0013】この様なフッ素基置換体以外に、シアノ基
やニトロ基の置換体の研究もなされている。
【0014】Can.J.Microbiol.,41,32-43(1995)及び
Polymer International,39,205-213(1996)には、シ
ュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovora
ns)ATCC 29347株及びシュードモナス プチダ(Pseu
domonas putida)KT2442株を用いて、オクタン酸とp-
シアノフェノキシヘキサン酸或いはp-ニトロフェノキシ
ヘキサン酸を基質として、3-ヒドロキシ-p-シアノフェ
ノキシヘキサン酸或いは3-ヒドロキシ-p-ニトロフェノ
キシヘキサン酸をモノマーユニットとして含むPHAの
生産が報告されている。
【0015】これらの報告は側鎖がアルキル基である一
般的なPHAとは異なり、いずれもPHAの側鎖に芳香
環を有しており、それに由来する物性を有するポリマー
を得る上で有益である。
【0016】[3]また新たなカテゴリーとして、単に物
性の変化に留まらず、側鎖に適当な官能基を有するPH
Aを生産し、その官能基を利用して新たな機能を生み出
そうとする研究も行なわれている。
【0017】例えばMacromolecules,31,1480-1486(1
996)及び、Journal of PolymerScience:Part A:P
olymer Chemistry,36,2381-2387(1998)などでは、
側鎖の末端にビニル基を持つユニットを含むPHAを合
成した後、酸化剤によりエポキシ化し、側鎖末端に反応
性の高いエポキシ基を含むPHAを合成出来たと報告さ
れている。
【0018】またビニル基以外にも、高い反応性が期待
されるチオエーテル(-S-;スルファニル結合)を持つユ
ニットを含むPHAの合成例として、Macromolecule
s,32,8315-8318(1999)においては、シュードモナス プ
チダ(Pseudomonas putida)27N01株が 11-チオフェノ
キシウンデカン酸(11-(フェニルスルファニル)ウンデカ
ン酸)を基質とし、3-ヒドロキシ-5-チオフェノキシ吉
草酸(3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルファニル)吉草
酸)及び3-ヒドロキシ-7-チオフェノキシヘプタン酸
(3-ヒドロキシ-7-(フェニルスルファニル)ヘプタン
酸)のPHAコポリマーを生産することが報告されてい
る。
【0019】また、本発明における電子写真法としては
従来より多数の方法が提案されているが、一般的には、
光導電性物質を利用し、種々の手段によって像担持体
(感光体)上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナ
ーで現像して可視像とし、必要に応じて紙等の被転写材
にトナー像を転写した後、熱及び/または圧力等により
被転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るもので
ある。電気的潜像を可視化する方法としては、カスケー
ド現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法等が知られ
ている。更には、磁性トナーと中心に磁極を配した回転
現像スリーブを用いて、現像スリーブ上から感光体上へ
と磁性トナーを磁界にて飛翔させる方法も用いられてい
る。
【0020】静電潜像を現像する際に用いられる現像方
式には、トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を
使用する二成分現像方式と、キャリアを使用しないトナ
ーのみからなる一成分系現像剤を用いる一成分現像方式
とがある。
【0021】ここで、一般にトナーと称される着色微粒
子は、バインダー樹脂と着色材とを必須成分とし、その
他必要に応じ磁性粉等から構成されている。トナーに電
荷を付与する方法としては、荷電制御剤を用いることな
くバインダー樹脂そのものの帯電特性を利用することも
できるが、それでは帯電の経時安定性、耐湿性が劣り良
好な画質を得ることが出来ない。従って通常トナーの電
荷保持、荷電制御の目的で荷電制御剤が加えられる。
【0022】今日、当該技術分野で知られている公知の
荷電制御剤としては、例えば、負摩擦帯電性としては、
アゾ染料金属錯体、芳香族ジカルボン酸の金属錯体、サ
リチル酸誘導体の金属錯体等がある。また、正荷電制御
剤としてはニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染
料、各種4級アンモニウム塩ジブチル錫オキサイド等の
有機スズ化合物等が知られているが、これらを荷電制御
剤として含有したトナーは、その組成によっては帯電
性、経時安定性等トナーに要求される品質特性を必ずし
も充分に満足させるものではない場合がある。
【0023】例えば負荷電制御剤として知られるアゾ染
料金属錯体を含有したトナーは、帯電量の高さについて
は一応の水準を有するものの、アゾ染料金属錯体は低分
子の結晶であるため、組み合わせるバインダー樹脂の種
類によっては分散性が劣る場合がある。その場合はバイ
ンダー樹脂中に負荷電制御剤が均一に分布せず、得られ
たトナーの帯電量分布も極めてシャープさに欠けるもの
であり、得られる画像は階調が低く画像形成能に劣るも
のである。更に、アゾ染料金属錯体は固有の色調をもつ
ため、黒を中心とした限定された色相のトナーにのみ使
用されているのが現状であり、カラートナーとして使用
する場合には、色調に対する要求性の高い画像を得るた
めに必要とされる着色剤の鮮明さを有しないという点が
大きな課題である。
【0024】また、無色に近い負荷電制御剤の例として
芳香族ジカルボン酸の金属錯体が挙げられるが、やはり
完全な無色ではないという点、及び低分子の結晶である
ゆえの低分散性が問題となる場合がある。
【0025】一方、正帯電制御剤として知られるニグロ
シン系染料や、トリフェニルメタン系染料は、それ自体
着色しているため、黒を中心とした限定された色相のト
ナーにのみ使用されているのが現状であり、また、トナ
ーの連続複写に対する経時安定性が良好でない場合があ
る。また、従来の4級アンモニウム塩は、トナー化した
場合耐湿性が不十分である場合があり、その場合は経時
安定性が劣り、繰り返し使用で良質な画像を与えない場
合がある。
【0026】また近年、環境保護の観点からも、廃棄物
の削減と廃棄物の安全性の向上が世界的に問題視されて
いる。このような問題は、電子写真の分野においても同
様である。すなわち、イメージング装置の広い普及にと
もない、印刷された用紙、使用済みの廃トナー、複写紙
の廃棄量が年ごとに増大しており、地球環境の保全の見
地から、そのような廃棄物の安全性も重要な課題であ
る。
【0027】このような点を考慮して高分子系の荷電制
御剤が検討されている。例えば、USP 4480021、US
P 4442189、USP 4925765、特開昭60-108861号公
報、特開昭61-3149号公報、特開昭63-38958号公報、特
開昭63-88564号公報などの化合物が挙げられる。更に、
一般にトナーに負帯電性を発揮させる場合の高分子荷電
制御剤としては、スチレン及び/またはα-メチルスチレ
ンと、スルホン酸基を有するアルキル(メタ)アクリレー
トエステル或いアルキル(メタ)アクリレートアミドとの
共重合体(特開平7-72658号公報、特開平8-179564号公
報、特許2114410号公報、特許2623684号公報、特許2807
795号公報)が用いられる例が多い。このような材料は、
無色である点では有利であるが、目的とする帯電量を得
るためには大量の添加が必要となる。
【0028】この様に、これらの化合物は荷電制御剤と
しての十分な性能を有しておらず、帯電量、帯電の立ち
上がり特性、経時安定性、環境安定性等に課題がある。
また機能面のみならず、人体および環境に与える影響を
考えた場合、合成に用いる化合物や有機溶媒について
も、より安全な化合物、より安全かつ温和な合成プロセ
ス、有機溶媒の使用量の低減等を実現可能な荷電制御剤
が強く望まれる。
【0029】環境保護の観点から、微生物等の作用によ
り経時的に分解可能な樹脂、すなわち、生分解性の樹脂
の開発が進められており、例えば、多くの微生物がポリ
エステル構造を有する生分解性樹脂(PHA)を生産し、
菌体内に蓄積することが報告されているのは上述の通り
である。このようなPHAは、その生産に用いる微生物
の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成や構
造のものとなり得ることが知られており、これまで主
に、物性の改良という観点から、産生されるPHAの組
成や構造の制御に関する研究がなされ、その応用につい
ても、特に医用材料の分野ではすでにかなりの実績があ
る。農業の分野でも、マルチファイル、園芸資材等に、
そして徐放性の農薬、肥料等に生分解性樹脂が用いられ
ている。レジャー産業の分野でも、釣り糸、釣り用品、
ゴルフ用品等に生分解性樹脂が用いられている。
【0030】しかしながら、プラスチックとしての幅広
い応用を考えた場合、物性的に未だ十分であるとは言え
ないのが現状である。PHAの利用範囲をさらに拡大し
ていくためには、物性の改良をより幅広く検討していく
ことが重要であり、そのためにはさらに多様な構造のモ
ノマーユニットを含むPHAの開発、探索が必須であ
る。一方、置換基を側鎖に導入したタイプのPHAは、
導入した置換基を所望とする特性等に応じて選択するこ
とで、導入した置換基の特性等に起因する、極めて有用
な機能や特性を具備した「機能性ポリマー」としての展
開も期待できる。すなわち、そのような機能性と生分解
性とを両立可能であるような優れたPHAの開発、探索
もまた重要な課題である。
【0031】電子写真の分野においても、特にトナーの
製造においてバインダー樹脂への生分解性樹脂の応用が
提案されている。例えば、USP 5004664 には生分解
性樹脂、特にはポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉
草酸、これらの共重合体あるいはブレンド体をその組成
物としてなるトナーが開示されている。また、特開平6
-289644号公報には、少なくともバインダー樹脂が、植
物系ワックスと、生分解性樹脂(例えば、微生物生産の
ポリエステル、植物-または動物-由来の天然高分子材料
等)とを含有し、前記植物系ワックスが、前記バインダ
ー樹脂中に5〜50質量%の量で添加されていることを特
徴とする、特に熱ロール定着用の電子写真用トナーが開
示されている。
【0032】また、特開平7-120975号公報には、乳酸
系樹脂をバインダー樹脂として含有することを特徴とす
る電子写真用トナーが開示されている。さらに、特開平
9-274335号公報には、乳酸及び3官能以上のオキシカ
ルボン酸を含有する組成物を脱水重縮合して得られたポ
リエステル樹脂及び着色剤を含有することを特徴とする
静電荷像現像用トナーが開示されている。
【0033】また、特開平8-262796号公報には、バイ
ンダー樹脂及び着色剤を含む電子写真用トナーであっ
て、前記バインダー樹脂が生分解性樹脂(例えば、脂肪
族ポリエステル樹脂等)よりなり、そして前記着色剤が
非水溶性色素よりなることを特徴とする電子写真用トナ
ーが開示されている。さらに、特開平9-281746号公報
には、ポリ乳酸を3官能以上の多価イソシアナートによ
り架橋して得られるウレタン化ポリエステル樹脂及び着
色剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー
が開示されている。
【0034】以上説明した電子写真用トナーのいずれに
ついても、そのバインダー樹脂として生分解性樹脂を使
用しており、環境の保全等に寄与する効果があると理解
される。
【0035】しかしながら、荷電制御剤に生分解性樹脂
を使用している例の報告は未だ知られておらず、環境の
保全等への寄与についてはさらなる向上の余地がある。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、微生物
産生PHAにおいては、その製造に用いる微生物の種類
や培地組成、培養条件等を変えることにより、各種の組
成・構造のものが得られているが、プラスチックとして
の応用を考えた場合、物性的に未だ十分であるとは言え
ない。微生物産生PHAの利用範囲をさらに拡大してい
くためには、物性の改良をより幅広く検討していくこと
が重要であり、そのためにはさらに多様な構造のモノマ
ーユニットを含むPHAと、その製造方法、ならびに所
望のPHAを効率的に生産しうる微生物の開発、探索が
必須である。
【0037】一方、前述のような、置換基を側鎖に導入
したタイプのPHA(unusual PHA)は、導入した置換
基を所望とする特性等に応じて選択することで、導入し
た置換基の特性等に起因する、極めて有用な機能や特性
を具備した「機能性ポリマー」としての展開も期待で
き、そのような機能性と生分解性とを両立可能であるよ
うな優れたPHAと、その製造方法、ならびに、所望の
PHAを効率的に生産しうる微生物の開発、探索もまた
重要な課題である。
【0038】すなわち、様々な置換基を側鎖に導入した
PHAを微生物により生産しようとする場合、先に挙げ
たシュードモナス・オレオボランスの報告例等に見られ
るように、導入しようとする置換基を有するアルカノエ
ートを、ポリマー原料としての利用に加えて増殖用炭素
源としても利用する方法が用いられている。
【0039】しかしながら、導入しようとする置換基を
有するアルカノエートを、ポリマー原料としての利用に
加えて増殖用炭素源としても利用する方法は、当該アル
カノエートからのβ酸化によるアセチル-CoAの生成に
基づくエネルギー源の供給が期待されており、このよう
な方法においては、ある程度の鎖長を有する基質でない
とβ酸化によりアセチル-CoAを生成することができ
ず、このためPHAの基質として用いうるアルカノエー
トが限定されてしまう点が大きな課題である。また、一
般的に、β酸化により鎖長がメチレン鎖2つ分ずつ短く
なった基質が新たに生成し、これらがPHAのモノマー
ユニットとして取り込まれるため、合成されるPHAは
鎖長がメチレン鎖2つ分ずつ異なるモノマーユニットか
らなる共重合体となることが多い。前述の報告例では、
基質である8-フェノキシオクタン酸由来の3-ヒドロキ
シ-8-フェノキシオクタン酸と、代謝産物由来の副生物
である3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸及び3-
ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸の3種類のモノマーユニ
ットからなる共重合体が生産される。この点で、単一の
モノマーユニットからなるPHAを得ようとする場合、
この方法を用いることは極めて難しい。さらに、β酸化
によるアセチル-CoAの生成に基づいたエネルギー源の
供給を前提とした方法では、微生物の増殖が遅く、PH
Aの合成に時間がかかる点、合成されたPHAの収率が
低くなりがちな点も大きな課題である。
【0040】このため、導入しようとする置換基を有す
るアルカノエートに加えて、増殖用炭素源として、オク
タン酸やノナン酸といった中鎖の脂肪酸等を共存させた
培地で微生物を培養したのち、PHAを抽出する方法が
有効と考えられ、一般的に用いられている。
【0041】しかしながら、本発明者らの検討によれ
ば、上記のようにオクタン酸やノナン酸といった中鎖の
脂肪酸等を増殖用炭素源とし、β酸化経路を経て合成さ
れたPHAは、その純度が低く、得られるポリマーの 5
0%以上が、増殖用炭素源に由来するモノマーユニット
(例えば、3-ヒドロキシオクタン酸や3-ヒドロキシノ
ナン酸等)である、mclの3-ヒドロキシアルカン酸モノ
マーユニット(以下、mcl-3HAと略す場合がある)、
すなわち「usual PHA」のユニットである。これらの
mcl-3HAユニットは、単独の組成においては常温で
粘着性のポリマーであり、本発明の目的とするPHAに
多量に混在した場合、ポリマーのガラス転移温度(Tg)
を著しく降下させる。このため、常温で硬いポリマー物
性を得ようとする場合、mcl-3HAモノマーユニット
の混在は望ましくない。また、このようなヘテロな側鎖
構造は分子内あるいは分子間での側鎖構造に由来する相
互作用を妨害し、結晶性あるいは配向性に大きな影響を
与えることが知られている。ポリマー物性の向上、機能
性の付与を達成するにあたり、これらのmcl-3HAモ
ノマーユニットの混在は大きな課題である。この課題の
解決手段としては、特定の置換基を有するモノマーユニ
ットのみで構成されたPHAを取得するために、増殖用
炭素源由来のmcl-3HAモノマーユニット等の「目的
外」のモノマーユニットを分離/除去するための精製工
程を設けることが挙げられる。しかしながら、操作が煩
雑となる上、収率の大幅な低下も避けられない点が課題
となる。さらに大きな問題点は、目的のモノマーユニッ
トと目的外のモノマーユニットとが共重合体を形成して
いる場合、目的外のモノマーユニットのみを除去するの
は極めて困難な点である。特に、不飽和炭化水素から得
られる基、エステル基、アリル基、シアノ基、ニトロ
基、ハロゲン化炭化水素から得られる基、エポキシド等
が導入された基を側鎖構造として有するようなモノマー
ユニットを含むPHAの合成を目的とする場合、mcl-
3HAモノマーユニットは目的のモノマーユニットと共
重合体を形成する場合が多く、PHA合成後のmcl-3
HAモノマーユニット除去は極めて困難である。
【0042】このため、本発明者らは、機能性ポリマー
への応用を考慮した場合、「unusual PHA」を高純度
で得られる生合成方法の開発が是非とも必要であるとの
認識を持つに至った。よって、前記のような機能性と生
分解性とを兼ね備えた優れたポリマーと、当該ポリマー
を生産し菌体内に蓄積し得る微生物、並びに、当該PH
Aを高純度で効率的に生合成する方法の開発は極めて有
用かつ重要であると考えられた。
【0043】本発明は前記の課題を解決するものであ
り、デバイス材料や医用材料等として有用な置換基を側
鎖に有する多様な構造のモノマーユニットを含むPHA
(unusual PHA)の提供、ならびに、当該「unusual P
HA」を微生物を利用して製造する方法の提供、特に
は、目的外のモノマーユニットの混在が少なく、目的と
する「unusual PHA」を高純度で得ることができ、し
かも高収率な製造方法を提供することにある。
【0044】また、側鎖に適当な官能基を有し、その官
能基に由来する新たな機能が期待されるPHAとして
は、例えば、側鎖にS原子を有するようなPHAはその
反応性の高さから、機能性PHAを開発していく上で今
後益々研究がなされていくものと予想される。しかしな
がら、この様なPHAに関する研究例は少なく、関連す
る報告として、3-ヒドロキシ-フェニルスルファニルア
ルカン酸ユニットを含むPHAに関する報告が例示でき
るのみである。
【0045】本発明の目的は、そのような問題に鑑み、
側鎖にチエニル構造を有するユニットを含む新規なPH
Aと、その製造方法を提供することにある。
【0046】また本発明は、電子写真法における前記の
課題を解決すべく、上述の側鎖にチエニル構造を有する
ユニットを含む新規なPHAを利用することで、機能面
においては環境の保全等への寄与がより高く、かつ高性
能(高帯電量、帯電の立ち上がりが早い、経時安定性に
優れる、環境安定性が高い)で分散性の改良された負帯
電性の荷電制御剤、該荷電制御剤を含有してなるトナー
バインダー、該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像
トナー、さらには該静電荷像現像トナーを用いた画像形
成方法ならびに画像形成装置を提供するものである。
【0047】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、デ
バイス材料や医用材料等として有用な官能基を側鎖に有
するPHAの開発を目指して、各種のPHAを生産し菌
体内に蓄積する能力を有する微生物の探索、及び、この
ような微生物を用いた所望のPHAの生産方法について
鋭意研究を重ねてきた結果、以下に示すような発明に至
った。即ち本発明の概要は以下の通りである。
【0048】本発明は、化学式(1)に示すユニットを分
子中に含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエ
ートに関するものである。
【0049】
【化43】
【0050】(ただし、nは1〜8から選ばれた整数であ
り、ユニット毎に違う値をとり得る。) その中でも特に、化学式(4)に示すユニットを含むポリ
ヒドロキシアルカノエート、
【0051】
【化44】
【0052】化学式(5)に示すユニットを含むポリヒド
ロキシアルカノエート、
【0053】
【化45】
【0054】化学式(6)に示すユニットを含むポリヒド
ロキシアルカノエートに関するものである。
【0055】
【化46】
【0056】さらに、化学式(7)あるいは(8)に示す化
合物を少なくとも一種類以上含む培地中で微生物を培養
することを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分
子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に
関するものである。
【0057】
【化47】
【0058】(ただし、nは1〜8から選ばれた整数であ
る。)
【0059】
【化48】
【0060】(ただし、nは1〜8から選ばれた整数であ
る。) 更に本発明は、化学式(7)あるいは(8)に示す化合物を
少なくとも一種類以上及びポリペプトンを含む培地中で
微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)で示す
ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方
法である。
【0061】更に本発明は、化学式(7)あるいは(8)に
示す化合物を少なくとも一種類以上及び酵母エキスを含
む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式
(1)で示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエー
トの製造方法である。
【0062】更に本発明は、化学式(7)あるいは(8)に
示す化合物を少なくとも一種類以上及び糖類を含む培地
中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)で
示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製
造方法である。
【0063】更に本発明は、化学式(7)あるいは(8)に
示す化合物を少なくとも一種類以上及び有機酸或いはそ
の塩を含む培地中で微生物を培養することを特徴とす
る、化学式(1)で示すユニットを含むポリヒドロキシア
ルカノエートの製造方法である。
【0064】更に本発明は、化学式(7)あるいは(8)に
示す化合物を少なくとも一種類以上及びアミノ酸或いは
その塩を含む培地中で微生物を培養することを特徴とす
る、化学式(1)で示すユニットを含むポリヒドロキシア
ルカノエートの製造方法である。
【0065】更に本発明は、化学式(7)あるいは(8)に
示す化合物を少なくとも一種類以上及び炭素数4から1
2の直鎖アルカン酸或いはその塩を含む培地中で微生物
を培養することを特徴とする、化学式(1)で示すユニッ
トを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であ
る。
【0066】またさらに、化学式(7)あるいは(8)に示
す化合物を少なくとも一種類以上かつポリペプトンを含
む培地中で微生物を培養する工程(工程1-1)と、これ
に続く、化学式(7)あるいは(8)に示す化合物を少なく
とも一種類以上かつ有機酸或いはその塩とを含む培地中
で、工程1-1で培養された微生物を更に培養する工程
(工程2-1)を行なうことを特徴とする、化学式(1)に
示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエ
ートの製造方法に関するものである。工程2-1の培養
工程を、窒素源濃度が低い、あるいは窒素源を含まない
培養工程とすることもできる。
【0067】加えて、化学式(7)あるいは(8)に示す化
合物を少なくとも一種類以上かつ糖類を含む培地中で微
生物を培養する工程(工程1-2)と、これに続く、化学
式(7)あるいは(8)に示す化合物を少なくとも一種類以
上かつ糖類を含む培地中で、工程1-2で培養された微
生物を更に培養する工程(工程2-2)を行なうことを特
徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポ
リヒドロキシアルカノエートの製造方法に関するもので
ある。工程2-2の培養工程を、窒素源濃度が低い、あ
るいは窒素源を含まない培養工程とすることもできる。
【0068】とりわけ、化学式(9)で示される5-(2-
チエノイル)吉草酸を含む培地中で微生物を培養し、化
学式(5)に示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノ
エートを生産すること、
【0069】
【化49】
【0070】
【化50】
【0071】とりわけ、化学式(10)で示す6-(2-チエ
ノイル)ヘキサン酸あるいは(11)で示す6-(2-チエノイ
ル)ヘキサンを含む培地中で微生物を培養し、化学式
(6)に示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエー
トを生産すること、
【0072】
【化51】
【0073】
【化52】
【0074】
【化53】
【0075】を特徴とする前記記載のポリヒドロキシア
ルカノエートの製造方法に関するものである。
【0076】また、本発明の新規なポリヒドロキシアル
カノエートは、化学式(2)あるいは(3)に示すユニット
のうちの少なくとも1種類のユニットを含むこともあ
る。
【0077】
【化54】
【0078】(y及びzは(1)で示すユニットと独立して
化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニッ
ト毎に違う値をとり得る。) また、本発明の新規なポリヒドロキシアルカノエートは
数平均分子量として 1,000〜500,000 の範囲の分子量を
有するものである。
【0079】また加えて、前記微生物細胞からポリヒド
ロキシアルカノエートを回収する工程を含む前記記載の
方法に関するものである。
【0080】さらに本発明者らは、環境の保全等への寄
与が高く、かつ高性能である荷電制御剤を開発すべく鋭
意検討したところ本発明に到達した。
【0081】即ち、本発明は、化学式(1)に示すユニッ
トのうちの少なくとも1種類のユニットを有するポリヒ
ドロキシアルカノエートを含有してなる荷電制御剤であ
る。
【0082】
【化55】
【0083】(ただし、nは1〜8から選ばれた整数であ
り、ユニット毎に違う値をとり得る。) さらに、本発明は、化学式(2)あるいは(3)に示すユニ
ットのうちの少なくとも1種類のユニットを含むことも
ある。
【0084】
【化56】
【0085】(y及びzは(1)で示すユニットと独立して
化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニッ
ト毎に違う値をとり得る。) また、本発明は、化学式(12)に示すユニットのうちの
少なくとも1種類のユニットを有するポリヒドロキシア
ルカノエートを含有してなる荷電制御剤である。
【0086】
【化57】
【0087】(ただし、xは1〜8から選ばれた整数であ
り、ユニット毎に違う値をとり得る。) さらに、本発明は、化学式(2)あるいは(3)に示すユニ
ットのうちの少なくとも1種類のユニットを含むことも
ある。
【0088】
【化58】
【0089】(y及びzは(1)で示すユニットと独立して
化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニッ
ト毎に違う値をとり得る。) 本発明の荷電制御剤中に含有されるポリヒドロキシアル
カノエートの数平均分子量は、1,000 から 500,000 の
範囲である。
【0090】また本発明は、上記のポリヒドロキシアル
カノエートを有する荷電制御剤を含有してなるトナーバ
インダーである。
【0091】更に本発明は、少なくとも、バインダー樹
脂と着色剤と、上記のポリヒドロキシアルカノエートを
有する荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーで
ある。
【0092】更に本発明は、外部より帯電部材に電圧を
印加して静電潜像担持体に帯電を行なう工程と、帯電さ
れた静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静
電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を
静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持
体上のトナー像を被記録材へ転写する転写工程と、被記
録材上のトナー像を加熱定着する加熱定着工程とを有す
る画像形成方法において、少なくとも、バインダー樹脂
と、着色剤と、上記のポリヒドロキシアルカノエートを
有する荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを
使用することを特徴とする画像形成方法である。
【0093】本発明の画像形成方法における、「静電潜
像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写工程」
は、「静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転
写する」第1の転写工程と、「該中間の転写体上のトナ
ー像を被記録材に転写する」第2の転写工程を含んでい
ても良い。
【0094】また更に本発明は、外部より帯電部材に電
圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行なう手段と、帯
電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する手段と、
該静電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー
像を静電潜像担持体上に形成する現像手段と、静電潜像
担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写手段と、
被記録材上のトナー像を加熱定着する加熱定着手段とを
有する画像形成装置において、少なくとも、バインダー
樹脂と、着色剤と、上記のポリヒドロキシアルカノエー
トを有する荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナ
ーを使用することを特徴とする画像形成装置である。
【0095】本発明の画像形成装置における、「静電潜
像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写手段」
は、「静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転
写する」第1の転写手段と、「該中間の転写体上のトナ
ー像を被記録材に転写する」第2の転写手段を含んでい
ても良い。
【0096】
【発明の実施の形態】本発明のPHAは、デバイス材料
や医用材料等として有用な置換基を側鎖に有する多様な
構造のモノマーユニットを含むPHAであり、より具体
的には、チエニル構造を側鎖に有するPHAである。ま
た、本発明のPHAの製造方法は、微生物を利用して高
純度かつ高収率に所望のPHAを製造することを可能と
するものである。なお、本発明のPHAは、一般にR体
のみから構成される、アイソタクチックなポリマーであ
る。
【0097】<糖類ならびにTCAサイクルに関与する
有機酸 従来技術との差異>本発明のPHA製造方法の
1つは、微生物を培養する際、培地に所望とするモノマ
ーユニット導入用のアルカン酸またはアルカンに加え
て、当該アルカン酸またはアルカン以外の炭素源とし
て、糖類あるいはTCAサイクルに関与する有機酸を添
加することで、微生物が産生・蓄積するPHAにおい
て、目的とするモノマーユニットの含有率を著しく高い
ものとする、あるいは目的とするモノマーユニットのみ
とする点を特徴としている。この特定のモノマーユニッ
トの優占化を促進する効果は、培地中に当該アルカン酸
またはアルカン以外の炭素源として、糖類あるいはTC
Aサイクルに関与する有機酸のみを添加することにより
得られている。
【0098】すなわち、発明者らは、糖類あるいはTC
Aサイクルに関与する有機酸を共存基質として、所望と
するモノマーユニット導入用のアルカン酸またはアルカ
ンと共に培養せしめたところ、ノナン酸やオクタン酸と
いったmcl-アルカン酸を共存基質として用いた従来の
方法に比べ、目的とするPHAが格段に優れた収率およ
び純度で得られること、そしてこのような効果が、微生
物の炭素源ならびにエネルギー源であるアセチルCoA
をβ酸化に拠らない方法により生成することが可能な培
養方法であることにより得られるものであるとの知見を
得て本発明に至ったものである。
【0099】本発明の方法においては、糖類化合物、例
えばグルコースやフルクトース、マンノース等は、微生
物の増殖基質として利用されることになり、生産される
PHAは、糖類に共存させている所望とするモノマーユ
ニット導入用のアルカン酸またはアルカンから構成さ
れ、グルコース等の糖類に由来するモノマーユニットが
全く含まれないか、極めて少量しか含まれない。このよ
うな点で、本発明の方法は、従来のグルコースなどの糖
類そのものをPHAに導入するモノマーユニットの原料
基質として用いるPHA微生物生産方法とは構成及び効
果ともに根本的に異なるものである。
【0100】<酵母エキス 従来技術との差異>本発明
のPHA製造方法の1つは、微生物を培養する際、培地
に所望とするモノマーユニット導入用のアルカン酸また
はアルカンに加えて、当該アルカン酸またはアルカン以
外の炭素源として酵母エキスのみを添加することで、微
生物が産生・蓄積するPHAにおいて、目的とするモノ
マーユニットの含有率を著しく高いものとする、あるい
は目的とするモノマーユニットのみとする点を特徴とし
ている。この特定のモノマーユニットの優占化を促進す
る効果は、培地中に当該アルカン酸またはアルカン以外
の炭素源として酵母エキスのみを添加することにより得
られている。
【0101】微生物によるPHAの製造に際して、培地
に酵母エキスを利用する例として、特開平5-4948
7号公報に記載の、ロドバクター属(Rhodobacter sp.)
に属する微生物を用いた方法が挙げられる。しかしなが
ら、この従来法は、置換基を有しないヒドロキシアルカ
ノエートをモノマーユニットとする、一般的なPHBお
よびポリ-3-ヒドロキシ吉草酸(以下、PHVと略す場
合もある)を製造する方法である。本発明が目的とする
ようなPHAの合成経路は、PHBおよびPHVを生産
する合成経路とは独立した経路であることが知られてお
り、特開平5-49487号公報においては本発明が目
的とするようなPHAの合成経路における酵母エキスの
効果については何ら言及がない。また、酵母エキスの効
果も、微生物が一般的に生産するPHAやPHVに関し
て、酵母エキスを添加すると、単に菌体内のPHA蓄積
量の増大が図られる効果があることを示すのみであり、
増殖のために酵母エキスが添加されている訳ではないこ
とが明記されている。本発明はチエノイルアルカン酸ま
たはチエノイルアルカンと、酵母エキスとを共存させる
ことにより、増殖とともにPHAの生産・蓄積を行なう
ものであり、酵母エキスの発揮する効果が全く異なる。
さらに本発明の効果である、特定のモノマーユニットの
優占化について何ら言及されておらず、本発明のよう
に、微生物が生産するPHA組成における、チエノイル
基を置換基として有する特定のモノマーユニットの優占
化という効果は示されていない。
【0102】さらに、微生物によるPHAの生産に酵母
エキスを利用する例としては、特許第2989175号
公報に記載のシュードモナス・プチダ(Pseudomonas pu
tida)を用いた方法が挙げられる。ここで開示されてい
るPHAの製造方法は2段階培養によるもののみであ
り、PHAの蓄積は2段階目の培養においてのみ、炭素
源以外の栄養源の制限下で行なうことが開示されてい
る。この点で、本発明における、チエノイルアルカン酸
またはチエノイルアルカンと、酵母エキスとを含む培地
での1段階培養のみで、所望のPHAを合成・蓄積させ
る方法とは構成/効果ともに全く異なる。
【0103】また、特許第2989175号公報におけ
る酵母エキスの効果は、2段階培養を用いる際、1段階
目の培養において、単に2段階目の培養に用いる微生物
の増殖のみを目的としたものであり、1段階目は栄養源
の豊富な条件下で培養されると明記されている。ここ
で、PHAの基質は1段階目には共存していない。本発
明における酵母エキスの効果は、チエノイルアルカン酸
またはチエノイルアルカンと、酵母エキスとを共存させ
ることにより、増殖とともにPHAの生産・蓄積を行な
うものであり、酵母エキスの発揮する効果が全く異な
る。また、特許第2989175号公報では、1段階目
の培養に、炭素源としてクエン酸、オクタン酸、ノナン
酸のいずれかが共存しており、チエノイルアルカン酸ま
たはチエノイルアルカンと、酵母エキスのみを共存させ
る本発明とは、構成においても異なるものである。
【0104】<ポリペプトン 従来技術との差異>本発
明のPHA製造方法の1つは、微生物を培養する際、培
地に所望とするモノマーユニット導入用のアルカン酸ま
たはアルカンに加えて、当該アルカン酸またはアルカン
以外の炭素源としてポリペプトンのみを添加すること
で、微生物が産生・蓄積するPHAにおいて、目的とす
るモノマーユニットの含有率を著しく高いものとする、
あるいは目的とするモノマーユニットのみとする点を特
徴としている。この特定のモノマーユニットの優占化を
促進する効果は、培地中に当該アルカン酸またはアルカ
ン以外の炭素源として、ポリペプトンのみを添加するこ
とにより得られている。
【0105】なお、微生物によるPHAの生産にポリペ
プトンを利用する例として、特開平5-49487号公
報、特開平5-64591号公報、特開平5-21408
1号公報、特開平6-145311号公報、特開平6-2
84892号公報、特開平7-48438号公報、特開
平8-89264号公報、特開平9-191893号公
報、特開平11-32789号公報等に、PHAを微生
物に生産させる際に、培地中にポリペプトンを含有させ
ていることが開示されているが、いずれも前培養、つま
り、菌体を単に増殖させる段階で用いており、前培養時
にPHAのモノマーユニットとなる基質は含まれていな
い。また、菌体にPHAを生産させる工程でポリペプト
ンを用いた例はない。
【0106】これに対して、本発明は所望のモノマーユ
ニット導入用のアルカン酸またはアルカンと、当該アル
カン酸またはアルカン以外の炭素源として、ポリペプト
ンのみを共存させることにより、増殖とともにPHAの
生産・蓄積を行なうものであり、従来のポリペプトンを
利用した例とは構成および効果が全く異なる。さらに本
発明の効果である、特定のモノマーユニットの優占化に
ついて何ら言及されておらず、本発明のように、微生物
が生産するPHA組成における、チエノイル基を置換基
として有する特定のモノマーユニットの優占化という効
果は示されていない。
【0107】以下に、本発明において利用される微生
物、培養工程などについて説明する。
【0108】<PHAモノマーユニット供給系>先ず、
目的とするPHAに混在してくるmcl-3HAモノマー
ユニットの供給系の1つである「脂肪酸合成経路」につ
いて詳細に説明する。グルコース等の糖類を基質とした
場合、細胞成分として必要なアルカン酸は、糖類から
「解糖系」を経て生産されるアセチルCoAを出発物質
とした「脂肪酸合成経路」から生合成される。なお、脂
肪酸合成には新規(de novo)合成経路と炭素鎖延長経路
があり、以下にこれらについて説明する。
【0109】(1)新規(de novo)合成経路 アセチルCoAカルボキシラーゼ(EC 6.4.1.2)と脂肪
酸合成酵素(EC 2.3.1.85)の2つの酵素で触媒され
る。なお、アセチルCoAカルボキシラーゼは、ビオチ
ンを介在し、最終的に以下の反応を触媒し、アセチルC
oAからマロニルCoAを生成する酵素であり、反応は下
記式で表わされる。
【0110】 アセチルCoA+ATP+HCO3 -⇔マロニルCoA+ADP+Pi また、脂肪酸合成酵素は、転移-縮合-還元-脱水-還元の
反応サイクルを触媒する酵素であり、全反応は次の反応
式で示される。
【0111】アセチルCoA+nマロニルCoA+2nNADPH+2n
H+ ⇒CH3(CH2)2nCOOH+nCO2+2nNADP++(n-1)CoA なお、酵素の種類によって、反応産物が遊離酸、CoA
誘導体、あるいはACP誘導体の場合がある。
【0112】ここで、アセチルCoAは以下の化学式で
示され、
【0113】
【化59】
【0114】マロニルCoAは以下の化学式で示され
る。
【0115】
【化60】
【0116】また、CoAとは補酵素A(coenzyme A)
の略称であり、以下の化学式で示される。
【0117】
【化61】
【0118】本反応経路のうち、以下に示す経路によ
り、PHA生合成のモノマー基質となる「D-3-ヒドロ
キシアシル-ACP」が中間体として供給される。ま
た、以下の反応式に示すように経路は炭素を2個ずつ付
加しながら最終的にはパルミチン酸まで延長される。そ
れゆえPHA生合成のモノマー基質としては「D-3-ヒ
ドロブチリル-ACP」から「D-3-ヒドロキシパルミ
チル-ACP」の炭素数が偶数の7種類の「D-3-ヒド
ロキシアシル-ACP」が供給されることになる。
【0119】
【化62】
【0120】(2)炭素鎖延長経路 この経路は、アシル-ACPにマロニルACPが付加
し、最終的に炭素鎖が2つ延長されたアシル-ACP(及
びCO2)となる経路(経路Aとする)と、アシル-CoAに
アセチルCoAが付加し、最終的に炭素鎖が2つ延長さ
れたアシル-CoAとなる経路(経路Bとする)の2経路に
大別される。以下に各経路について説明する。
【0121】・経路A R-CO-ACP+マロニル-ACP→R-CO-CH2-CO-ACP+CO2 R-CO-CH2-CO-ACP→R-CHOH-CH2-CO-ACP→R-CH=CH-CO-ACP
→R-CH2-CH2-CO-ACP ・経路B R-CO-CoA+アセチル-CoA→R-CO-CH2-CO-CoA R-CO-CH2-CO-CoA→R-CHOH-CH2-CO-CoA→R-CH=CH-CO-CoA
→R-CH2-CH2-CO-CoA A、Bいずれの系も、中間体として「D-3-ヒドロキシ
アシル-CoA」あるいは「D-3-ヒドロキシアシル-A
CP」が生じ、「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」はそ
のままPHA合成のモノマー基質として利用され、「D
-3-ヒドロキシアシル-ACP」はACP-CoA転移酵
素により「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」に変換され
た後に、PHA合成のモノマー基質として利用されると
考えられる。
【0122】グルコース等の糖類を基質とした場合、微
生物細胞中では以上のような「解糖系」及び「脂肪酸合
成経路」を経由してmcl-3HAモノマーユニットが生
成されると考えられる。また、TCAサイクルに関与す
る有機酸を基質とした場合、ピルビン酸からはピルビン
酸デヒドロゲナーゼにより直接アセチルCoAが生成す
る。オキサロ酢酸からはホスホエノールピルビン酸カル
ボキシキナーゼによりホスホエノールピルビン酸がピル
ビン酸キナーゼにより触媒されてピルビン酸が生成し、
さらに上記反応によりアセチルCoAが生成する。これ
らの反応により生成したアセチルCoAが「脂肪酸合成
経路」を経由してmcl-3HAモノマーユニットが生成
されると考えられる。
【0123】ここで、例えばオクタン酸、ノナン酸等の
mcl-アルカン酸、あるいは、例えば、5-フェニル吉草
酸、4-フェノキシ酪酸、4-シクロヘキシル酪酸、5-
(2-チエノイル)吉草酸といった、末端に直鎖脂肪族ア
ルキル以外の官能基が付加されたアルカン酸はCoAリ
ガーゼ(EC 6.2.1.3 等)によりCoA誘導体となり、β
酸化系を担う酵素群により直接的にPHA生合成のモノ
マー基質となる「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」とな
ると考えられる。
【0124】つまり、糖類あるいはTCAサイクルに関
与する有機酸から生成するmcl-3HAモノマーユニッ
トが、きわめて多段階の酵素反応を経て(つまり間接的
に)生成されるのに比較し、mcl-アルカン酸からはきわ
めて直接的にmcl-3HAモノマーユニットが生成され
てくることになる。
【0125】ここで、微生物の増殖を担うアセチルCo
Aの生成について説明する。目的とするモノマーユニッ
ト導入用のアルカン酸に加えてmcl-アルカン酸を共存
させる方法では、これらのアルカン酸がβ酸化系を経由
することによりアセチルCoAが生成する。一般に、バ
ルキーな置換基を有するアルカン酸(フェニル基、フェ
ノキシ基、シクロヘキシル基、チエノイル基等の置換基
を有するアルカン酸)に比較し、mcl-アルカン酸はβ酸
化系の酵素群との基質親和性に優れていると考えられ、
mcl-アルカン酸の共存により効果的にアセチルCoAが
生成される。このため、アセチルCoAをエネルギー源
及び炭素源として用いる微生物の増殖には有利となる。
【0126】しかしながら、β酸化系を経由するmcl-
アルカン酸が直接的にPHAのモノマーユニットとなる
ために、生産されるPHAは、目的のモノマーユニット
に加えてmcl-3HAモノマーユニットの混在が多いも
のとなってしまうことが大きな課題である。
【0127】この課題を解決するためには、mcl-アル
カン酸以外で、効果的にアセチルCoAあるいはエネル
ギー源及び炭素源を供給し得るような基質を選択し、目
的とするアルカン酸と共存させる方法が望ましい。前述
のように、アセチルCoAは脂肪酸合成経路を経ること
によりPHAのモノマーユニットとなり得るが、mcl-
アルカン酸に比較すればより多段階の反応を経由する必
要がある間接的なものであり、また、アセチルCoAを
生成し得るような基質の濃度等、培養条件を適宜選択す
ることにより、実質的にはmcl-3HAの混在のない、
あるいは少ない製造方法の実現が可能である。
【0128】また、1段階目で微生物の増殖のみを目的
に培養し、2段階目においては炭素源として目的とする
アルカン酸のみを培地に加える製造方法が汎用されてい
る。ここで、当該アルカン酸をアシルCoA化するβ酸
化系の初発酵素であるアシルCoAリガーゼがATPを
要求することから、発明者らの検討によれば2段階目に
おいても微生物がエネルギー源として利用し得る基質を
共存させる製造方法がより効果的であるとの結果を得
て、本発明を完成した。
【0129】本発明の方法におけるアセチルCoAある
いはエネルギー源および炭素源を効果的に供給し得る基
質としては、酵母エキス等の天然物、糖類、TCAサイ
クルに関与する有機酸(TCA回路中の中間体として生
じる有機酸及びTCA回路から一段階ないしは二段階の
生化学反応を経て生じる有機酸)或いはその塩等、β酸
化サイクルを経ずにアセチルCoAを生じる化合物であ
れば、いかなる化合物でも用いることができ、用いる菌
株に対する基質としての有用性で適宜選択することがで
きる。
【0130】<微生物>本発明に用いる微生物として
は、前記のチエノイルアルカン酸またはチエノイルアル
カンを原料とし、前記の3-ヒドロキシチエニルアルカ
ン酸ユニットをモノマーユニットとして含むPHAを産
生可能であれば、いかなる微生物をも使用することがで
きる。また、本発明の目的を達成できる範囲内で、必要
に応じて複数の微生物を混合して用いることもできる。
【0131】なお、チエノイルアルカンを原料とし、対
応する3-ヒドロキシアルカン酸をモノマーユニットと
して含むPHAを産生する場合、用いる微生物は、少な
くともアルカンをアルカン酸に変換する能力を有し、か
つ、アルカン酸からPHAを生産する能力を有する必要
がある。アルカンをアルカン酸に変換する能力は通常ア
ルカンモノオキシゲナーゼを初発酵素とする一群の酵素
系を有することにより発現される。
【0132】本発明者らは、チエノイル吉草酸(ToV
A)、チエノイルヘキサン酸(ToHxA)、チエノイルヘ
キサン(ToHx)等を基質として用いて、前記の3-ヒド
ロキシチエノイル酪酸(3HToB)、3-ヒドロキシチエ
ノイル吉草酸(3HToV)、3-ヒドロキシチエノイルヘ
キサン酸(3HToHx)等をモノマーユニットとして含む
PHAを生産し菌体内に蓄積する能力を有する微生物の
探索を行なった。その結果、本発明者らが土壌より分離
した微生物であり、PHAの生産能力を有する、シュー
ドモナス・チコリアイ・H45株(Pseudomonas cichorii
H45)、シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseud
omonas cichorii YN2)、シュードモナス・ジェッセ
ニイ・P161株(Pseudomonas jessenii P161)等が所望
の能力を有することを見出した。なお、H45株は寄託番
号「FERM BP-7374」として、YN2株は寄託番号
「FERM BP-7375」として、P161株は寄託番号
「FERM BP-7376」として、経済産業省生命工学工
業技術研究所特許微生物寄託センターにそれぞれ寄託さ
れている。
【0133】前記のH45株、YN2株およびP161株の
菌学的性質を列挙すれば以下の通りである。また、P16
1株については、16SrRNAの塩基配列を配列番号1に
示す。
【0134】 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 4%NaClでの生育 :陰性 ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陰性 D-マンノース :陽性 D-マンニトール :陽性 N-アセチル-D-グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <YN2株の菌学的性質> (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陽性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 4%NaClでの生育 :陽性(弱い生育) ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性 Tween 80 の加水分解 :陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陽性 D-マンノース :陰性 D-マンニトール :陰性 N-アセチル-D-グルコサミン :陰性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <P161株の菌学的性質> (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陽性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陽性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陽性 D-マンノース :陽性 D-マンニトール :陽性 N-アセチル-D-グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 また、シュードモナス属に属する微生物に加えて、アエ
ロモナス属(Aeromonas sp.)、コマモナス属(Comam
onas sp.)、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)な
どに属し、前記のチエノイルアルカン酸またはチエノイ
ルアルカンを原料とし、前記の3-ヒドロキシチエニル
アルカン酸ユニットをモノマーユニットとして含むPH
Aを生産する微生物を用いることも可能である。
【0135】<培養>これらの微生物を所望とするモノ
マーユニット導入用のアルカン酸またはアルカンと、本
発明の増殖用基質とを含む培地で培養することで、目的
とするPHAを生産することができる。このようなPH
Aは、一般にR-体のみから構成され、アイソタクチッ
クなポリマーである。
【0136】本発明にかかるPHAの製造方法に用いる
微生物の通常の培養、例えば、保存菌株の作成、PHA
の生産に必要とされる菌数や活性状態を確保するための
増殖などには、用いる微生物の増殖に必要な成分を含有
する培地を適宜選択して用いる。例えば、微生物の生育
や生存に悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天然
培地(肉汁培地、酵母エキスなど)や、栄養源を添加した
合成培地など、いかなる種類の培地をも用いることがで
きる。
【0137】培養は液体培養、固体培養等該微生物が増
殖し、PHAを生産する培養方法ならいかなる培養方法
でも用いることができる。さらに、バッチ培養、フェド
バッチ培養、半連続培養、連続培養等の種類も問わな
い。液体バッチ培養の形態としては、振とうフラスコに
よって振とうさせて酸素を供給する方法、ジャーファー
メンターによる攪拌通気方式の酸素供給方法がある。ま
た、これらの工程を複数段接続した多段方式を採用して
もよい。
【0138】前記したようなPHA生産微生物を用い
て、3-ヒドロキシチエノイルアルカン酸ユニットをモ
ノマーユニットとして含むPHAを製造する場合は、P
HA生産用の原料としてそれぞれ対応するチエノイルア
ルカン酸またはチエノイルアルカンと、微生物の増殖用
炭素源とを少なくとも含んだ無機培地などを用いること
ができる。
【0139】増殖用炭素源としては、酵母エキスやポリ
ペプトン、肉エキス、カザミノ酸などの天然物由来の培
地成分を用いることが可能であり、更に、糖類、TCA
サイクルに関与する有機酸(TCA回路中の中間体とし
て生じる有機酸及びTCA回路から一段階ないしは二段
階の生化学反応を経て生じる有機酸)或いはその塩等、
β酸化サイクルを経ずにアセチルCoAを生じる化合物
であれば、いかなる化合物でも用いることができ、用い
る菌株に対する基質としての有用性で適宜選択すること
ができる。また、mcl-3HAの混入の少ない組み合わ
せであれば、複数の化合物を選択して用いることも可能
である。
【0140】これらのうち、糖類としては、グリセロア
ルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース
といったアルドース、グリセロール、エリスリトール、
キシリトール等のアルジトール、グルコン酸等のアルド
ン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウロン酸、マ
ルトース、スクロース、ラクトースといった二糖等から
選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0141】また、有機酸或いはその塩としては、ピル
ビン酸、オキサロ酢酸、クエン酸、イソクエン酸、ケト
グルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸など
がその例であり、或いはその塩から選ばれる1つ以上の
化合物が好適に利用できる。
【0142】これらの中でも、特に糖類を用いるのが好
ましく、中でもグルコース、フルクトース、マンノース
からなる群から選択される少なくとも一つであることが
より好ましい。
【0143】微生物にPHAを生産・蓄積させる方法と
しては、一旦十分に増殖させて後に、塩化アンモニウム
のような窒素源を制限した培地へ菌体を移し、目的ユニ
ットの基質となる化合物を加えた状態で更に培養すると
生産性が向上する場合がある。具体的には、前記の工程
を複数段接続した多段方式の採用が挙げられる。例え
ば、D-グルコースを 0.05%から 5.0%程度、および、
チエノイルアルカン酸またはチエノイルアルカンを 0.0
1%から 1.0%程度含んだ無機培地等で対数増殖後期か
ら定常期の時点まで培養し、菌体を遠心分離等で回収し
たのち、チエノイルアルカン酸またはチエノイルアルカ
ンを 0.01%から 1.0%程度含んだ、窒素源を制限し
た、あるいは実質的に存在しない無機培地でさらに培養
する方法がある。
【0144】上記の培養方法に用いる無機培地として
は、リン源(例えば、リン酸塩等)、窒素源(例えば、ア
ンモニウム塩、硝酸塩等)等、微生物が増殖し得る成分
を含んでいるものであればいかなるものでも良く、例え
ば無機塩培地としては、MSB培地、E培地(J.Biol.
Chem.,218,97-106(1956))、M9培地等を挙げること
ができる。
【0145】なお、本発明における実施例で用いるM9
培地の組成は以下の通りである。
【0146】Na2HPO4: 6.2g KH2PO4 : 3.0g NaCl : 0.5g NH4Cl : 1.0g (培地1リットル中、pH 7.0) 更に、良好な増殖及びPHAの生産のためには、上記の
無機塩培地に培地に以下に示す微量成分溶液を 0.3%(v
/v)程度添加するのが好ましい。
【0147】微量成分溶液 ニトリロ三酢酸: 1.5g MgSO4 : 3.0g MnSO4 : 0.5g NaCl : 1.0g FeSO4 : 0.1g CaCl2 : 0.1g CoCl2 : 0.1g ZnSO4 : 0.1g CuSO4 : 0.1g AlK(SO4)2 : 0.1g H3BO3 : 0.1g Na2MoO4 : 0.1g NiCl2 : 0.1g (1リットル中) 培養温度としては上記の菌株が良好に増殖可能な温度で
あれば良く、例えば 15〜40℃、好ましくは 20〜35℃、
更に好ましくは 20℃から 30℃程度が適当である。
【0148】具体的な例としては、D-グルコースを 0.
05%から 5.0%程度、および、チエノイルアルカン酸ま
たはチエノイルアルカンを 0.01%から 1.0%程度含ん
だ無機培地等で培養し、対数増殖後期から定常期の時点
で菌体を回収して目的外のモノマーユニットの混在が少
ない、あるいは全くない所望のPHAを抽出することが
できる。このようなPHAは、一般にR-体のみから構
成され、アイソタクチックなポリマーである。
【0149】D-グルコースの代わりに同量のTCAサ
イクルに関与する有機酸や、酵母エキス、ポリペプトン
を与えても良い。また、それらの組み合わせを用いても
よい。
【0150】<PHAの回収>本発明にかかる培養液か
らのPHAの取得には、通常行なわれている方法を適用
することができる。PHAが培養液中に分泌される場合
は、培養液からの抽出精製方法が、また、菌体に蓄積さ
れる場合は、菌体からの抽出精製方法が用いられる。例
えば、微生物の培養菌体からのPHAの回収には、通常
行なわれているクロロホルムなどの有機溶媒による抽出
が最も簡便ではあるが、クロロホルム以外にジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンが
用いられる場合もある。また、有機溶媒が使用しにくい
環境中においては、SDS等の界面活性剤による処理、
リゾチーム等の酵素による処理、EDTA等の薬剤によ
る処理によってPHA以外の菌体成分を除去して、PH
Aを回収する方法を用いることもできる。
【0151】なお、本発明の微生物の培養、本発明の微
生物によるPHAの生産と菌体への蓄積、並びに、本発
明における菌体からのPHAの回収は、上記の方法に限
定されるものではない。
【0152】また本発明者らは、環境の保全等への寄与
が高く、かつ高性能である荷電制御剤を開発すべく鋭意
検討を行なった結果、上記のポリヒドロキシアルカノエ
ートが荷電制御剤としてきわめて優れた特性を有し、か
つ、人体や環境に対する安全性が高いことを見出し、さ
らには、該荷電制御剤を含有する静電荷像現像用トナー
及び該静電荷像現像用トナーを一定の現像システムを有
する画像形成装置に使用した場合に著しい効果があるこ
とを見出し本発明が完成した。
【0153】即ち、本発明は上記のポリヒドロキシアル
カノエートを含有してなる荷電制御剤であり、更には該
荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像用トナーであ
る。更には上記の静電荷像現像用トナーを、外部より帯
電部材に電圧を印加し、静電潜像担持体を均一に帯電さ
せる帯電工程と、静電潜像担持体上にトナー像を形成す
る現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転
写体を介して、または、介さずに被転写材へ転写する転
写工程と、被転写材上のトナー像を熱によって定着する
加熱定着工程とを有する画像形成方法であり、また該方
法の各工程に対応する各手段、すなわち帯電手段、現像
手段、転写手段、加熱定着手段を有する画像形成装置で
ある。
【0154】ここで、本発明で使用するポリヒドロキシ
アルカノエートは生分解性樹脂としての基本骨格を有し
ており、それゆえ、従来のプラスチックと同様、溶融加
工等により各種製品の生産に利用することができるとと
もに、石油由来の合成高分子とは異なり、生物により分
解され、自然界の物質循環に取り込まれるという際立っ
た特性を有している。そのため、燃焼処理を行なう必要
もなく、大気汚染や地球温暖化を防止するという観点で
も有効な材料であり、環境保全を可能とするプラスチッ
クとして利用することができる。
【0155】本発明の静電荷像現像用トナーに使用す
る、帯電制御剤として好適なポリヒドロキシアルカノエ
ートについて具体的に説明する。
【0156】本発明において使用するポリヒドロキシア
ルカノエートは、3-ヒドロキシアルカノエートをモノ
マー単位とするポリエステル樹脂であって、化学式(1)
に示すユニットのうちの少なくとも1種類のユニットを
有するポリヒドロキシアルカノエートである。更に、化
学式(1)に示すユニット以外に、直鎖の3-ヒドロキシ
アルカノエート及び側鎖に不飽和結合を含んだ3-ヒド
ロキシアルケノエートを同時に或いは独立して含んでい
ても良い。
【0157】
【化63】
【0158】(ただし、nは1〜8から選ばれた整数であ
り、ユニット毎に違う値をとり得る。) さらに、本発明において使用するポリヒドロキシアルカ
ノエートは、3-ヒドロキシアルカノエートをモノマー
単位とするポリエステル樹脂であって、化学式(12)に
示すユニットのうちの少なくとも1種類のユニットを有
するポリヒドロキシアルカノエートである。更に、化学
式(12)に示すユニット以外に、直鎖の3-ヒドロキシ
アルカノエート及び側鎖に不飽和結合を含んだ3-ヒド
ロキシアルケノエートを同時に或いは独立して含んでい
ても良い。
【0159】
【化64】
【0160】(ただし、xは1〜8から選ばれた整数であ
り、ユニット毎に違う値をとり得る。) ここで、このような化合物を微生物により生産する工程
を含んだ方法で製造した場合、上記ポリヒドロキシアル
カノエートはR体のみからなるアイソタクチックなポリ
マーであるが、物性/機能の両面において本発明の目的
を達成しうるならば、特にアイソタクチックなポリマー
である必要はなく、アタクチックなポリマーについても
利用することが可能である。また、ラクトン化合物の開
環重合などを利用した化学合成を工程に含んだ方法によ
って上記ポリヒドロキシアルカノエートを得ることも可
能である。
【0161】また、本発明の荷電制御剤として用いるポ
リヒドロキシアルカノエートの製造方法例については上
述の通りである。チエノイルアルカン酸あるいはチエノ
イルアルカンを利用した製造方法例を詳細に上述した
が、化学式(12)に示すユニットを含むようなポリヒドロ
キシアルカノエートについても、チエニルアルカン酸等
を利用して同様に製造することが可能である。
【0162】本発明において重要なことは、チエニル構
造を有していること、あるいはチエニル構造及びカルボ
ニル構造(チエノイル構造)を有していることである。こ
れらの構造により分子内で電子の局在化が起こり、本発
明の荷電制御剤は優れた性帯電性を有するものとなる。
これらの構造を有するユニットを含む本発明の荷電制御
剤は、これまで開示されてきた負帯電性高分子電荷制御
剤とは異なり、イオン性官能基を含有せず、耐湿性を含
めた耐候性に優れたものである。
【0163】また、これらの構造を有するユニットの比
率を変化させることにより、帯電の立ち上がりをコント
ロールすることが可能である。更に、これらのユニット
比の制御により、環境依存性を少なくすることも可能で
ある。
【0164】これらの構造を有するユニットはポリマー
中に1mol%以上含まれていれば良く、その割合は、そ
の他のユニットとの比率、望む帯電性を考慮して選択す
れば良いが、十分な帯電性を発揮するためには、5mol
%以上含まれていることがより好ましい。また、含まれ
るユニットの上限については、選択するバインダー樹脂
の種類およびその他のユニットとのを考慮すれば良く、
バインダー樹脂に対する相溶性を損なわない範囲であれ
ば良い。
【0165】本発明において使用するポリヒドロキシア
ルカノエートはバインダー樹脂に対する相溶性が良好で
あり、特にはポリエステル系のバインダー樹脂に対する
相溶性がきわめて良好である。本発明のポリヒドロキシ
アルカノエートを含有せしめたトナーは比帯電量が高
く、その経時安定性も良好であることから、トナーを長
時間保存しても静電記録の画像形成において安定して鮮
明な画像を与え、また、無色の負の帯電性能をもつた
め、黒色の負帯電トナーおよびカラートナー何れについ
ても製出することが出来る。
【0166】さらに、本発明のポリヒドロキシアルカノ
エートを構成するモノマーユニットの種類/組成比を適
宜選択することにより、幅広い相溶性の制御が可能であ
る。ここで、荷電制御剤がトナーバインダー中でミクロ
相分離構造をとるよう樹脂組成を選択すると、トナーの
電気的連続性が生じないため安定に電価を保持すること
が可能となる。また、本発明のポリヒドロキシアルカノ
エートは重金属を含まないため、懸濁重合法や乳化重合
法でトナーを作成する際には、含金属の荷電制御剤で見
られるような重金属による重合禁止作用がないので、安
定してトナーを製出することが出来る。
【0167】<PHAのトナーへの添加>本発明におい
て、上記した化合物をトナーに含有させる方法として
は、トナーに内添する方法とトナーに外添する方法があ
る。内添する場合の添加量は、トナーバインダーと該荷
電制御剤の質量割合として、通常 0.1〜50質量%、好ま
しくは 0.3〜30質量%、さらに好ましくは 0.5〜20質量
%の範囲で使用するのがより好ましい。0.1質量%より
も少ないと、トナーの帯電性における改良の度合いが顕
著にみられず好ましくない。一方、50質量%を超える
と、経済的な観点から好ましくない。また、外添する場
合には、トナーバインダーと該荷電制御剤の質量割合は
0.01〜5質量%とすることが好ましく、特に、メカノ
ケミカル的にトナー表面に固着させるのが好ましい。更
に、本発明のポリヒドロキシアルカノエートは、公知の
荷電制御剤と組み合わせて使用することもできる。
【0168】本発明のポリヒドロキシアルカノエートの
数平均分子量は、通常 1,000〜500,000 であり、好まし
くは 1,000〜300,000 である。1,000 未満ではトナーバ
インダーに完全相溶し不連続なドメインを形成しにくく
なるために帯電量不足となるとともに、トナーの流動性
に悪影響を与える。また、500,000 を超えるとトナー中
に分散させるのが困難となる。
【0169】本発明のポリヒドロキシアルカノエートの
分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー)により測定した。具体的なGPCの測定方法と
しては、予め上記ポリヒドロキシアルカノエートを 0.1
質量%LiBr含有ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解
し多サンプルを同様の移動相で測定し、標準ポリスチレ
ン樹脂の検量線から分子量分布を求めた。
【0170】また、本発明においては、上記のようにし
て測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
との比率(Mw/Mn)が、1〜10 の範囲内にある上記ポ
リヒドロキシアルカノエートを使用することが好まし
い。
【0171】本発明において使用するポリヒドロキシア
ルカノエートは、20〜150℃、特に40〜150℃の融点を持
つか、または融点は持たないが 20〜150℃、特に 40〜1
50℃のガラス転移点を持つことが好ましい。上記融点が
20℃未満または融点を持たずガラス転移点が 20℃未満
の場合は、トナーの流動性や、保存性に悪影響を与えや
すい。また、融点が 150℃を超えるかまたは融点を持た
ずガラス転移点が 150℃を超える場合は、荷電制御剤を
トナー中に混練することが困難になり、帯電量分布が広
くなりやすい。
【0172】この場合における融点Tmおよびガラス転
移点Tg の測定には、例えば、パーキンエルマー社製の
DSC-7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走
査熱量計を用いて測定を行なえばよい。
【0173】本発明のトナーバインダーおよび静電荷像
現像トナーにおいて、トナーバインダーと該荷電制御剤
の質量割合は、通常 0.1〜50質量%、好ましくは 0.3〜
30質量%、さらに好ましくは 0.5〜20質量%である。本
発明の静電荷像現像トナーの組成比は、トナー質量に基
づき、通常、前記荷電制御剤が 0.1〜50質量%、トナー
バインダーが 20〜95質量%、着色材料が0〜15質量%
であり、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケルな
どの強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイ
ト、フェライトなどの化合物)を着色材料としての機能
を兼ねて 60質量%以下含有していてもよい。さらに種
々の添加剤(滑剤(ポリテトラフルオロエチレン、低分子
量ポリオレフィン、脂肪酸、もしくはその金属塩または
アミドなど)および他の荷電制御剤(含金属アゾ染料、サ
リチル酸金属塩など)など)を含有させることができる。
また、トナーの流動性改良のために疎水性コロイダルシ
リカ微粉末等を用いることもできる。これら添加剤の量
はトナー質量に基づき通常 10質量%以下である。
【0174】本発明のトナーにおいては、トナーバイン
ダーの少なくとも一部が連続相を形成しており、荷電制
御剤の少なくとも一部が不連続なドメインを形成してい
ることが好ましい。不連続なドメインを形成せずにトナ
ーバインダー中に荷電制御剤が完全相溶する場合と比較
して、添加した荷電制御剤がトナー表面に露出しやすく
なり、少量の添加で効果を発現する。また、該ドメイン
の分散粒径は、好ましくは 0.01〜4μmであり、さら
に好ましくは 0.05〜2μmである。4μmを超えると
分散性が不充分であり、帯電量分布が広くなるととも
に、トナーの透明性が悪くなる問題が生じる。また、分
散粒径が 0.01μm未満では、不連続なドメインを形成
せずにトナーバインダー中に完全相溶する場合と同様で
あり、多量の荷電制御剤の添加が必要となる。前記荷電
制御剤の少なくとも一部が不連続なドメインを形成して
いること、およびその分散粒径は、透過型電子顕微鏡な
どでトナーの切片を観察することで確認できる。界面を
明瞭に観察するために、四酸化ルテニウム、四酸化オス
ニウムなどでトナー切片を染色した後に電子顕微鏡観察
をすることも有効である。
【0175】また、本発明のポリヒドロキシアルカノエ
ートが形成する不連続なドメインの粒径を小さくする目
的で、本発明のポリヒドロキシアルカノエートに対して
相溶性を有しかつトナーバインダーに対しても相溶性を
有する重合体を相溶化剤として含有させることもでき
る。相溶化剤としては、本発明のポリヒドロキシアルカ
ノエートの構成単量体と実質的に同じ構造を有する単量
体を 50モル%以上含有する重合体鎖と、トナーバイン
ダーの構成単量体と実質的に同じ構造を有する単量体を
50モル%以上含有する重合体鎖がグラフト状またはブ
ロック状に結合した重合体などが挙げられる。相溶化剤
の使用量は本発明のポリヒドロキシアルカノエートに対
して、通常 30質量%以下であり、好ましくは1〜10質
量%である。
【0176】<他の構成材料>以下、本発明の静電荷像
現像用トナーを構成するその他の構成材料について説明
する。
【0177】(バインダー樹脂)先ず、バインダー樹脂と
しては、通常、トナーを製造する際に用いられているも
のであればいずれも使用することができ、特に限定され
ない。また、本発明の荷電制御剤は、トナーとする前に
バインダー樹脂とあらかじめ混合し、荷電制御能をもつ
本発明のトナーバインダー組成物として用いることがで
きる。例えば、バインダー樹脂としては、スチレン系ポ
リマー、ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマ
ー、ポリオレフィン系ポリマーおよびポリウレタン系ポ
リマーなどが挙げられ、単独または混合して使用するこ
とができる。
【0178】スチレン系ポリマーとしては、スチレンと
(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体およびこれらと
共重合可能な他の単量体の共重合体、スチレンとジエン
系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)との共重合体お
よびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体などが
挙げられる。ポリエステル系ポリマーとしては芳香族ジ
カルボン酸と芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付
加物との重縮合物などが挙げられる。エポキシ系ポリマ
ーとしては芳香族ジオールとエピクロルヒドリンとの反
応物およびこれの変性物などが挙げられる。ポリオレフ
ィン系ポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン
およびこれらと他の共重合可能な単量体との共重合体鎖
などが挙げられる。ポリウレタン系ポリマーとしては芳
香族ジイソシアネートと芳香族ジオールのアルキレンオ
キサイド付加物との重付加物などが挙げられる。
【0179】本発明において用いられるバインダー樹脂
の具体例としては、以下に挙げる重合性単量体の重合
体、または、これらの混合物、或いは、以下に挙げる重
合性単量体を2種類以上使用して得られる共重合生成物
が挙げられる。このようなものとしては、具体的には、
例えば、スチレン-アクリル酸共重合体、或いはスチレ
ン-メタクリル酸系共重合体などのスチレン系ポリマ
ー、さらにはポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリ
マー、ポリオレフィン系ポリマーおよびポリウレタン系
ポリマー等が挙げられ、好ましく使用できる。
【0180】重合性単量体の具体例としては、例えば、
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-
メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチ
レン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、p-
エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチル
スチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチ
レン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-
n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンの如きスチレ
ン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、
イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;
ブタジエンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化
ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化
ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ
酸ビニルの如きビニルエステル酸;メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタク
リル酸n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリ
ル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メ
タクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα-メチ
レン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリ
ル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-
オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2-エチル
ヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-クロ
ルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステ
ル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、
ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビ
ニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソ
プロペニルケトンの如きビニルケトン類;N-ビニルピ
ロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドー
ル、N-ビニルピロリドンの如きN-ビニル化合物;ビニ
ルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリ
ル酸誘導体;前述のα,β-不飽和酸のエステル、二塩基
酸のジエステル類;マレイン酸、マレイン酸メチル、マ
レイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、フタル酸、コハ
ク酸、テレフタル酸などのジカルボン酸類;エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレン
グリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジ
オール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール
A、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA等のポリオ
ール化合物;p-フェニレンジイソシアネート、p-キシリ
レンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシ
アネート等のイソシアネート類;エチルアミン、ブチル
アミン、エチレンジアミン、1,4-ジアミノベンゼン、
1,4-ジアミノブタン、モノエタノールアミン等のアミ
ン類;ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグ
リシジルエーテル、ビスフェノールAグリシジルエーテ
ル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等のエポキシ
化合物等が挙げられる。
【0181】(架橋剤)本発明において使用するバインダ
ー樹脂を形成する場合、必要に応じて下記に挙げるよう
な架橋剤を用いることもできる。例えば、2官能の架橋
剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポ
リエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジ
アクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレー
ト、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペン
タンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオール
ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレー
ト、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレ
ングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコー
ルジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#4
00、#600 の各ジアクリレート、ジプロピレングリコー
ルジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリ
レート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日
本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに
変えたもの等が挙げられる。
【0182】2官能以上の多官能の架橋剤としては、例
えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメ
チロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ
アクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメ
タクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシ、ポリエ
トキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリ
アリルシアヌレート、トリアリルアソシアヌレート、ト
リアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテー
ト、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
【0183】(重合開始剤)また、本発明において使用す
るバインダー樹脂を形成する場合には、下記に挙げるよ
うな重合開始剤を必要に応じて用いることができる。例
えば、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、
クミンパーピバレート、t-ブチルパーオキシラウレー
ト、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ
イド、オクタノイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパー
オキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミル
パーオキサイド、2,2'-アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,
2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'
-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリ
ル)、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメ
チルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)
シクロヘキサン、1,4-ビス(t-ブチルパーオキシカル
ボニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキ
シ)オクタン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキ
シ)バリレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタ
ン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシ-イソプロピル)ベ
ンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパー
オキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイ
ルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルジパーオキシイソ
フタレート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシ
シクロヘキシル)プロパン、ジ-t-ブチルパーオキシα-
メチルサクシネート、ジ-t-ブチルパーオキシジメチル
グルタレート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテ
レフタレート、ジ-t-ブチルパーオキシアゼラート、2,
5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、
ジエチレングリコール-ビス(t-ブチルパーオキシカーボ
ネート)、ジ-t-ブチルパーオキシトリメチルアジペー
ト、トリス(t-ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルト
リス(t-ブチルパーオキシ)シラン等が挙げられる。これ
らが単独或いは併用して使用できる。その使用量はモノ
マー 100質量部に対し、0.05質量部以上(好ましくは 0.
1〜15質量部)の濃度で用いられる。
【0184】(他の生分解性プラスチック)さらに本発明
においては、生分解性プラスチックについても好ましく
使用できる。生分解性プラスチックとしては、「エコス
ター」「エコスタープラス」(萩原工業)「バイオポー
ル」(アイ・シー・アイ・ジャパン)「アジコート」(味
の素)「プラクセル」「ポリカプロラクトン」(ダイセル
化学)「ショーレックス」「ビオノーレ」(昭和電工)
「ラクティ」(島津製作所)「レイシア」(三井化学)等が
挙げられる。
【0185】これらのバインダー樹脂と本発明の荷電制
御剤の組合せは、バインダー樹脂の高分子の構造と荷電
制御剤のポリマー鎖の高分子構造とができるだけ類似し
ていることが好ましい。バインダー樹脂の高分子構造と
荷電制御剤のポリマー鎖の高分子構造が大きく異なると
バインダー樹脂中への荷電制御剤の分散が不十分になり
やすい。
【0186】本発明の荷電制御剤をバインダー樹脂に内
添する質量割合は、通常 0.1〜50質量%、好ましくは
0.3〜30質量%、さらに好ましくは、0.5〜20質量%であ
る。ここで、内添する荷電制御剤の質量割合が 0.1質量
%未満であると、帯電量が低く、50質量%を超えるとト
ナーの帯電安定性が悪くなる。
【0187】<着色剤>本発明の静電荷像現像用トナー
を構成する着色剤としては、通常、トナーを製造する際
に用いられているものであればいずれも使用でき、特に
限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、
チタンホワイト、その他あらゆる顔料及び/または染料
を用いることができる。
【0188】例えば、本発明の静電荷像現像用トナーを
磁性カラートナーとして使用する場合には、着色剤とし
ては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレ
クトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシッ
クレッド1、C.I.モーダントレッド 30、C.I.ダイレ
クトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッ
ドブルー9、C.I.アシッドブルー 15、C.I.ベーシッ
クブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダン
トブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシ
ックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等があ
る。顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラ
ルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイ
エローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローN
CG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレ
ンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレン
ジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマ
ネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、
エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン
紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレー
キ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビ
クトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファー
ストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロム
グリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカ
イトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等
を使用することができる。
【0189】また、本発明の静電荷像現像用トナーを二
成分フルカラー用トナーとして使用する場合には、着色
剤として次の様なものを使用することができる。例え
ば、マゼンタ色トナー用の着色顔料としては、C.I.ピ
グメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、2
3、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、5
1、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、8
3、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、2
06、207、209、C.I.ピグメントバイオレット 19、C.
I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35 等が
挙げられる。
【0190】本発明においては、上記に挙げた顔料を単
独で使用しても構わないが、染料と顔料とを併用して、
その鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点
からより好ましい。その場合に使用し得るマゼンタ用染
料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、2
4、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、
C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレ
ット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレ
ット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、
9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、3
2、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイ
オレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28
等の塩基性染料が挙げられる。
【0191】その他の着色顔料としては、シアン用着色
顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、1
6、17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー 4
5、または、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル
基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げら
れる。
【0192】イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグ
メントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、
12、13、14、15、16、17、23、65、73、83、C.I.バッ
トイエロー1、3、20 等が挙げられる。
【0193】上記したような染料及び顔料は、単独で使
用してもよく、さもなければ、所望とするトナーの色調
を得るために任意に混合して使用してもよい。なお、環
境保全や人体に対する安全性などを考慮した場合には、
各種の食用色素を好適に使用できる。上記したような着
色剤のトナー中の含有量は、所望とする着色効果などに
応じて広く変更することが可能である。通常、最も良好
なトナー特性を得るため、すなわち、印字の着色力、ト
ナーの形状安定性、トナーの飛散などを考慮した場合、
これらの着色剤は、通常、バインダー樹脂 100質量部に
対して、0.1〜60質量部好ましくは 0.5〜20質量部程度
の割合で使用される。
【0194】<トナーの他の成分>本発明の静電荷像現
像用トナー中には、上記したバインダー樹脂及び着色剤
成分の他に、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で
(バインダー樹脂成分の含有量より少ない割合で)以下の
化合物を含有させてもよい。例えば、シリコーン樹脂、
ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹
脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テル
ペン樹脂、フェノール樹脂、低分子量ポリエチレンまた
は低分子量ポリプロピレンの如き脂肪族または脂環族炭
化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、及び、塩素化パラフィ
ン、パラフィンワックス等である。これらの中でも好ま
しく用いられるワックス類としては、具体的には、低分
子量ポリプロピレン及びこの副生成物、低分子量ポリエ
ステル及びエステル系ワックス、脂肪族の誘導体が挙げ
られる。これらのワックスから、種々の方法によりワッ
クスを分子量により分別したワックスも本発明に好まし
く用いられる。また、分別後に酸価やブロック共重合、
グラフト変性を行なってもよい。
【0195】特に、本発明の静電荷像現像用トナーにお
いては、上記したようなワックス成分を含み、しかも透
過型電子顕微鏡(TEM)を用いてトナーの断層観察を行
なった場合に、これらのワックス成分が、バインダー樹
脂中に実質的に球状及び/または紡錘形の島状に分散さ
れている場合に優れた特性のトナーとなる。
【0196】<トナーの作成方法>上記のような構成を
有する本発明の静電荷像現像用トナーを作製する具体的
な方法としては、従来公知の方法をいずれも用いること
ができる。本発明の静電荷像現像用トナーは、例えば、
下記の工程によってトナーを得る、所謂粉砕法によって
作製できる。即ち、具体的には、上記ポリヒドロキシア
ルカノエートと、バインダー樹脂等の樹脂類、その他、
必要に応じて添加されるワックスを、ヘンシェルミキサ
ー、ボールミル等の混合器により充分混合してから、加
熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機
を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶せしめた中
に、着色剤としての顔料、染料、または磁性体、必要に
応じて添加される金属化合物等の添加剤を分散または溶
解せしめ、冷却固化後、ジェットミル、ボールミル等の
粉砕機により固化物を粉砕した後、分級を行なって所望
の粒径を有する本発明の静電荷像現像用トナーを得るこ
とができる。尚、上記分級工程においては、生産効率
上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0197】また、バインダー樹脂と上記ポリヒドロキ
シアルカノエートを溶剤(トルエン、キシレンなどの芳
香族炭化水素、クロロホルム、エチレンジクロライドな
どのハロゲン化物、アセトン、メチルエチルケトンなど
のケトンおよびジメチルホルムアミドなどのアミドな
ど)を用い、溶液混合し、攪拌処理後、水中に投じて再
沈澱せしめ、濾過、乾燥後、ジェットミル、ボールミル
等の粉砕機により固化物を粉砕した後、分級を行なって
所望の粒径を有する本発明の静電荷像現像用トナーを得
ることもできる。尚、上記分級工程においては、生産効
率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0198】また、本発明の静電荷像現像用トナーは、
下記のような所謂重合法によって作製することもでき
る。即ち、この場合には、上記ポリヒドロキシアルカノ
エートと、重合性単量体、着色剤としての顔料、染料、
または磁性体、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤、ワ
ックス、その他の添加剤等の材料を混合分散し、界面活
性剤等の存在下、水系分散媒体中で懸濁重合することに
より重合性着色樹脂粒子を合成し、得られた粒子を固液
分離した後、乾燥し、必要に応じて分級を行なって本発
明の静電荷像現像用トナーを得ることができる。
【0199】さらには、荷電制御剤を含まない着色微粒
子を上記方法により調製し、次いで上記ポリヒドロキシ
アルカノエートを単独もしくはコロイダルシリカ等の外
添剤と供にメカノケミカル的な方法等により粒子表面に
固着添加することも出来る。
【0200】(シリカ外添剤)本発明においては、上記の
ような方法によって作製されたトナーに、帯電安定性、
現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を外
添することが好ましい。この際に用いられるシリカ微粉
末としては、BET法で測定した窒素吸着による比表面
積が 20m2/g 以上(特に 30〜400m2/g)の範囲内のもの
が良好な結果を与える。この場合のシリカ微粉末の量と
しては、トナー粒子 100質量部に対して、シリカ微粉体
を 0.01〜8質量部、好ましくは 0.1〜5質量部程度使
用することが好ましい。この際に使用するシリカ微粉末
としては、必要に応じて、疎水化及び帯電性コントロー
ルの目的で、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワ
ニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、
シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリ
ング剤、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で処理
されたものを使用することが好ましい。これらの処理剤
は混合して使用してもよい。
【0201】(無機粉体)また、トナーの現像性及び耐久
性を向上させるために、次に挙げるような無機粉体を添
加することも好ましい。例えば、マグネシウム、亜鉛、
アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウ
ム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、アンチモ
ンの如き金属の酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸
マグネシウム、チタン酸ストロンチウムの如き複合金属
酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アル
ミニウムの如き金属塩;カオリンの如き粘土鉱物;アパ
タイトの如きリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素の
如きケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイトの
如き炭素粉末が挙げられる。これらの中でも、酸化亜
鉛、酸化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガ
ン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグルシウムの
微粉体を使用することが好ましい。
【0202】(滑剤)更に、下記に挙げるような滑剤粉末
をトナーに添加してもよい。例えば、テフロン(登録商
標)、ポリフッ化ビニリデンの如きフッ素樹脂;フッ化
カーボンの如きフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛の如き
脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステルの如き脂肪酸誘
導体;硫化モリブデン等が挙げられる。
【0203】<キャリアについて>上記のような構成を
有する本発明の静電荷像現像用トナーは、単独で非磁性
一成分現像剤として使用されたり、磁性キャリアととも
に磁性二成分現像剤を構成したりする非磁性トナーや、
単独で磁性一成分トナーとして使用される磁性トナー等
の、従来公知の種々のトナーに適用することができる。
ここで二成分現像方法に用いる場合のキャリアとして
は、従来知られているものをいずれも使用することがで
きる。具体的には、表面酸化または未酸化の鉄、ニッケ
ル、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属及
びそれらの合金または酸化物で形成される平均粒径 20
〜300μmの粒子を、キヤリア粒子として使用できる。
また、本発明において用いるキャリアは、上記したキャ
リア粒子の表面が、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、
シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂の
如き物質によって付着または被覆されているものである
ことが好ましい。
【0204】<磁性トナー>本発明の静電荷像現像用ト
ナーは、磁性材料をトナー粒子中に含有させ磁性トナー
としてもよい。この場合には、磁性材料に、着色剤の役
割を兼ねさせることもできる。この際に使用される磁性
材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト
の如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或
いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、
マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、
ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレ
ン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属と
の合金及びその混合物が挙げられる。本発明において用
いることのできるこれらの磁性材料としては、平均粒子
径が2μm以下、好ましくは 0.1〜0.5μm程度のもの
が好ましい。トナー中に含有させる量としては、バイン
ダー樹脂 100質量部に対し 20〜200質量部、特に好まし
くは、バインダー樹脂 100質量部に対して 40〜150質量
部とすることが好ましい。
【0205】更に、高画質化を達成するためには、より
微小な潜像ドットを忠実に現像することを可能にする必
要があり、そのためには、例えば、本発明の静電荷像現
像用トナー粒子の重量平均径が4μm〜9μmの範囲内
となるように調整することが好ましい。即ち、重量平均
径が4μm未満のトナー粒子では、転写効率の低下が生
じ、感光体上に転写残トナーが多く残り易く、カブリ・
転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となり易く、
好ましくない。また、トナー粒子の重量平均径が9μm
を超える場合には、文字やライン画像の飛び散りが生じ
易い。
【0206】本発明において、トナーの平均粒径及び粒
度分布は、コールターカウンターTA-II型或いはコー
ルターマルチサイザー(コールター社製)等を用い、個数
分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)
及びPC-9801 パーソナルコンピューター(NEC製)を
接続して測定した。その際に使用する電解液として、1
級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製す
る。電解液としては、例えば、市販の ISOTON R-II(コ
ールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用す
ることもできる。具体的な測定法としては、上記電解水
溶液 100〜150mL中に、分散剤として界面活性剤(好ま
しくは、アルキルベンゼンスルフォン酸塩を使用する)
を 0.1〜5mL加え、更に、測定試料を2〜20mg 加え
て測定用試料とする。測定の際には、この測定試料が懸
濁された電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理
を行なった後、前記コールターカウンターTA-II型に
よりアパーチャーとして 100μmアパーチャーを用い
て、2μm以上のトナーの体積、個数を測定し、体積分
布と個数分布とを算出した。それから、本発明に係わる
体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個
数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)を求め
た。
【0207】<帯電量>また、本発明の静電荷像現像用
トナーは、単位質量あたりの帯電量(二成分法)が-10〜-
80μC/g、より好ましくは-15〜-70μC/g であること
が、電圧を印加した転写部材を用いる転写方法において
転写効率を向上させる上で好ましい。
【0208】本発明において使用した二成分法による帯
電量(二成分トリボ)の測定法を以下に示す。測定には、
図10に示した帯電量測定装置を使用した。先ず、一定環
境下、キャリアとしてEFV 200 / 300(パウダーテッ
ク社製)を用い、該キャリア 9.5g に対して、測定対象
のトナー 0.5g を加えた混合物を、50〜100mL 容量の
ポリエチレン製の瓶に入れ、振幅を一定にした振とう機
に設置して、振とう条件を、振幅 100mm、振とう速度
1分間 100回往復に設定し、一定時間振とうする。次い
で、図10に示した帯電量測定装置の底に 500 メッシュ
のスクリーン 43のある金属製の測定容器 42 に、前記
混合物 1.0〜1.2g を入れて、金属製のフタ44 をする。
この時の測定容器 42 全体の質量を秤かりW1(g)とす
る。次に、不図示の吸引機(測定容器 22 と接する部分
は少なくとも絶縁体)で吸引口 47から吸引し、風量調節
弁 46 を調節して真空計 45 の圧力が 2450Pa(250mm
Aq)になるようにする。この状態で一分間吸引を行なっ
て、トナーを吸引除去する。この時の電位計 49 の電位
をV(ボルト)とする。ここで 48 はコンデンサーであり
容量をC(μF)とする。また、吸引後の測定機全体の質
量を秤かりW2(g)とする。トナーの摩擦帯電量(μC/
g)は、これらの測定値から、下式によって計算される。
【0209】 摩擦帯電量(μC/g)=C×V/(W1-W2) <バインダー樹脂の分子量分布>また、本発明の静電荷
像現像用トナーの構成材料に用いられるバインダー樹脂
としては、特に、粉砕法で作製した場合に、GPCによ
る分子量分布において、低分子量領域におけるピークが
3,000〜15,000 の範囲にあるようにすることが好まし
い。即ち、低分子量領域におけるGPCピークが 15,00
0 を超えると、転写効率の向上が充分なものが得られ難
くなる場合がある。また、低分子量領域におけるGPC
ピークが 3000 未満のバインダー樹脂を用いると、表面
処理時に融着を生じ易くなるので、好ましくない。
【0210】本発明において、バインダー樹脂の分子量
は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)
により測定した。具体的なGPCの測定方法としては、
予めトナーをTHF(テトラヒドロフラン)溶剤でソック
スレー抽出器を用いて 20時間抽出を行なったサンプル
を測定用に用い、カラム構成は、昭和電工製A-801、80
2、803、804、805、806、807 を連結し標準ポリスチレ
ン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定した。また、本
発明においては、上記のようにして測定した重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)
が、2〜100 の範囲内にあるバインダー樹脂を使用する
ことが好ましい。
【0211】<トナーのガラス転移点>更に、本発明の
トナーは、適宜な材料を用いることによって、定着性、
保存性の観点から、そのガラス転移点Tg が、40℃〜75
℃、更に好ましくは、52℃〜70℃となるように調製され
ることが好ましい。この場合におけるガラス転移点Tg
の測定には、例えば、パーキンエルマー社製のDSC-
7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計
を用いて測定を行なえばよい。測定方法としては、AS
TM D 3418-82 に準じて行なう。本発明においては、
ガラス転移点Tgを測定する場合に、測定試料を1回昇
温して全履歴をとった後、急冷し、再度、温度速度 10
℃/min、温度0〜200℃の範囲で昇温させたときに測定
されるDSC曲線を用いるとよい。
【0212】<画像形成方法>上記で説明した構成を有
する本発明の静電荷現像用トナーは、少なくとも、外部
より帯電部材に電圧を印加して、静電潜像担持体に帯電
を行なう帯電工程と、帯電された静電潜像担持体に静電
荷像を形成する工程と、該静電荷像をトナーにより現像
してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程
と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する
転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する加熱
定着工程とを有する画像形成方法、或いは、転写工程
が、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写
する第1の転写工程と、該中間の転写体上のトナー像を
被記録材に転写する第2の転写工程とからなる画像形成
方法に適用することが特に好ましい。
【0213】以下に実施例を示す。なお、以下における
「%」は特に標記した以外は重量基準である。
【0214】
【実施例】(実施例1)D-グルコース 0.5%、ToHxA
0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコリ
アイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振
盪培養した。50時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、D-グルコース 0.5%とToHxA 0.1%とを含む、
窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁
して、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。37
時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノール
で一度洗浄して凍結乾燥した。
【0215】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0216】得られたPHAについて、核磁気共鴫装置
(FT-NMR:Bruker DPX 400)を用いて、下記の測
定条件で分析した。 測定核種:1H 使用溶媒:CDCl3 reference:キャピラリ封入TMS/CDCl3 測定温度:室温1 H-NMRスぺクトルを図1に、その帰属結果(化学式
(13)参照)を表1にそれぞれ示した。
【0217】
【化65】
【0218】
【表1】
【0219】このPHAは、常法に従ってメタノリシス
を行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装
置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHA
モノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なっ
た。その結果、図2および表2に示す通り、当該PHA
は3HToHxをモノマーユニットとして含むPHAであ
ることが確認された。
【0220】
【表2】
【0221】さらに、このPHAの分子量をゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-
8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXE
D-C(5μm)、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換
算)により評価した結果、Mn=39,000、Mw=110,000
であった。
【0222】(実施例2)D-グルコース 0.5%、ToHx
A 0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・チ
コリアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で
振盪培養した。50時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、D-グルコース 0.5%とToHxA 0.1%とを含む、
窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁
して、更に30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。3
7時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノー
ルで一度洗浄して凍結乾燥した。
【0223】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0224】このPHAは、常法に従ってメタノリシス
を行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装
置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHA
モノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なっ
た。その結果、表3に示す通り、当該PHAは3HTo
Hxをモノマーユニットとして含むPHAであることが
確認された。
【0225】
【表3】
【0226】(実施例3)D-グルコース 0.5%、ToHx
A 0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・ジ
ェッセニイ・P161株を植菌し、30℃、125ストローク/
分で振盪培養した。50時間後、菌体を遠心分離によって
回収し、D-グルコース 0.5%とToHxA0.1%とを含
む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再
懸濁して、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養し
た。37時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタ
ノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
【0227】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0228】このPHAは、常法に従ってメタノリシス
を行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分析装
置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHA
モノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なっ
た。その結果、表4に示す通り、当該PHAは3HTo
Hxをモノマーユニットとして含むPHAであることが
確認された。
【0229】
【表4】
【0230】さらに、このPHAの分子量をゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-
8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXE
D-C(5μm)、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換
算)により評価した結果、Mn=23,000、Mw=51,000
であった。
【0231】(実施例4)D-グルコース 0.5%、ToVA
0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコ
リアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で
振盪培養した。63時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、D-グルコース 0.5%とToVA 0.1%とを含む、窒
素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁し
て、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時
間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで
一度洗浄して凍結乾燥した。
【0232】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0233】得られたPHAは、常法に従ってメタノリ
シスを行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
なった。その結果、図3および表5に示す通り、当該P
HAは3HToVをモノマーユニットとして含むPHA
であることが確認された。
【0234】
【表5】
【0235】さらに、このPHAの分子量をゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-
8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXE
D-C(5μm)、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換
算)により評価した結果、Mn=110,000、Mw=260,000
であった。
【0236】(実施例5)D-グルコース 0.5%、ToVA
0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコ
リアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振
盪培養した。63時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、D-グルコース 0.5%とToVA 0.1%とを含む、窒
素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁し
て、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時
間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで
一度洗浄して凍結乾燥した。
【0237】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0238】得られたPHAは、常法に従ってメタノリ
シスを行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
なった。その結果、表6に示す通り、当該PHAは3H
ToVをモノマーユニットとして含むPHAであること
が確認された。
【0239】
【表6】
【0240】(実施例6)D-グルコース 0.5%、ToVA
0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・ジェ
ッセニイ・P161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で
振盪培養した。63時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、D-グルコース 0.5%とToVA 0.1%とを含む、窒
素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁し
て、更に30℃、125ストローク/分で振盪培養した。64時
間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで
一度洗浄して凍結乾燥した。
【0241】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0242】得られたPHAは、常法に従ってメタノリ
シスを行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
なった。その結果、表7に示す通り、当該PHAは3H
ToVをモノマーユニットとして含むPHAであること
が確認された。
【0243】
【表7】
【0244】(実施例7)D-グルコース 0.5%、ToVA
0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコ
リアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で
振盪培養した。63時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
【0245】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0246】得られたPHAは、常法に従ってメタノリ
シスを行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
なった。その結果、表8に示す通り、当該PHAは3H
ToVをモノマーユニットとして含むPHAであること
が確認された。
【0247】
【表8】
【0248】(実施例8)ポリペプトン(日本製薬(株))0.
5%、ToVA 0.1%を含むM9培地 200mLにシュード
モナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ス
トローク/分で振盪培養した。63時間後、菌体を遠心分
離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾
燥した。
【0249】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0250】得られたPHAは、常法に従ってメタノリ
シスを行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
なった。その結果、表9に示す通り、当該PHAは3H
ToVをモノマーユニットとして含むPHAであること
が確認された。
【0251】
【表9】
【0252】(実施例9)酵母エキス(Difco)0.5%、To
VA 0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・
チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/
分で振盪培養した。63時間後、菌体を遠心分離によって
回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
【0253】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0254】得られたPHAは、常法に従ってメタノリ
シスを行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
なった。その結果、表10に示す通り、当該PHAは3H
ToVをモノマーユニットとして含むPHAであること
が確認された。
【0255】
【表10】
【0256】(実施例10)リンゴ酸ナトリウム 0.5%、T
oVA 0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・
チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/
分で振盪培養した。63時間後、菌体を遠心分離によって
回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
【0257】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0258】得られたPHAは、常法に従ってメタノリ
シスを行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
なった。その結果、表11に示す通り、当該PHAは3H
ToVをモノマーユニットとして含むPHAであること
が確認された。
【0259】
【表11】
【0260】(実施例11)D-グルコース 0.5%、ToHx
0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコリ
アイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振
盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、D-グルコース 0.5%とToHx 0.1%とを含む、窒
素源(NH4Cl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁し
て、更に 30℃、125ストローク/分で振盪培養した。46
時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノール
で一度洗浄して凍結乾燥した。
【0261】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0262】得られたPHAは、常法に従ってメタノリ
シスを行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
なった。その結果、表12 に示す通り、当該PHAは3
HToHxをモノマーユニットとして含むPHAであるこ
とが確認された。
【0263】
【表12】
【0264】(実施例12)D-グルコース 0.5%、ToHx
0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモナス・チコリ
アイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振
盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
【0265】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0266】得られたPHAは、常法に従ってメタノリ
シスを行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
なった。その結果、表13 に示す通り、当該PHAは3
HToHxをモノマーユニットとして含むPHAであるこ
とが確認された。
【0267】
【表13】
【0268】(実施例13)ポリペプトン(日本製薬(株))0.
5%、ToHx 0.1%を含むM9培地 200mLにシュードモ
ナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125スト
ローク/分で振盪培養した。68時間後、菌体を遠心分離
によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥
した。
【0269】この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホ
ルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレンフィルターで
ろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃
縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回
収して真空乾燥してPHAを得た。
【0270】得られたPHAは、常法に従ってメタノリ
シスを行なったのち、ガスクロマトグラフィー-質量分
析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、P
HAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行
なった。その結果、表14 に示す通り、当該PHAは3
HToHxをモノマーユニットとして含むPHAであるこ
とが確認された。
【0271】
【表14】
【0272】次に、本発明の荷電制御剤の製造およびそ
れを用いたトナー等について実施例及び比較例を挙げて
本発明を更に詳細に説明する。以下の配合における部数
は全て質量部である。
【0273】まず、本発明の荷電制御剤の製造におい
て、PHAの微生物生産工程及びその後の次亜塩素酸ナ
トリウム処理によるPHAの分離工程を有する製造方法
を以下に示す(実施例14〜19)。
【0274】(実施例14)酵母エキス(Difco)0.5%を含
むM9培地 200mLを 500mL容振とうフラスコに加え、
シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas
cichorii YN2、FERM BP-7375)を植菌し、30
℃、8時間培養した。2L容振とうフラスコに、D-グル
コース(キシダ化学)0.5%及び5-(2-チエニル)吉草酸
0.1%とを含むM9培地1Lを仕込んだものを2本用意
し、先に培養したYN2株の培養液2mLずつをそれぞ
れに加え、125ストローク/分、30℃で培養した。
【0275】48時間後、菌体を遠心分離によって回収し
た。2L容振とうフラスコに、D-グルコース(キシダ化
学)0.5%及び5-(2-チエニル)吉草酸 0.1%とを含む、
窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地1Lを仕込んだも
のを2本用意し、回収した菌体を再懸濁して、更に 125
ストローク/分、30℃で培養した。48時間後、菌体を遠
心分離によって回収し、脱イオン水 400mLに再懸濁し
て遠心分離をかけた後、脱イオン水 80mLに再懸濁し、
次亜塩素酸ナトリウム溶液(キシダ化学;製造時約 12%
NaClO含有;活性塩素5%以上)40mLを加えて、4℃
で攪拌して反応させた。2時間後、脱イオン水 240mL
を加えて遠心分離(4℃、29400m/s2(=3000G)、30分)
を行い、沈殿成分を回収した。回収した沈殿物を脱イオ
ン水 150mLに再懸濁し遠心分離(4℃、29400m/s2(=30
00G)、30分)を行い、洗浄した。この洗浄操作を更に2
回繰り返し、得られた沈殿物を凍結乾燥した。凍結乾燥
された試料の質量は 1580mgであった。
【0276】以上のようにして得られた試料の分子量は
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によ
り測定した。GPCの条件は、装置:東ソーHLC-802
0;カラム:ポリマーラボラトリー PLgel MIXED-
C(5μm)×2本;移動層溶媒: 0.1質量%LiCl含有
DMF;ポリスチレン換算、である。
【0277】また、試料の構造はメタノリシス-GC-M
S法によって行った。すなわち、約10mgの試料を 25m
L容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mLに溶解さ
せ、3%硫酸を含むメタノール溶液2mLを加えて、100
℃で還流しながら 3.5時間反応させた。反応終了後、脱
イオン水 10mLを加えて激しく 10分間振とうした後
に、2層に分離した下層のクロロホルム層を取り出し、
硫酸マグネシウムで脱水したのち、このクロロホルム層
をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS),
島津QP-5050、EI法)にかけて、PHAモノマーユニ
ットのメチルエステル化物の同定を行った。GC-MS
の条件は、装置:島津QP-5050;カラム:J&W DB-W
AXETR;イオン化法:EI法である。
【0278】その結果、GPC分析による分子量は、数
平均分子量(Mn)=55000、重量平均分子量(Mw)=1310
00 であった。また、GC-MSトータルイオンクロマト
(TIC)のエリア%の結果から得られたユニット比率
は、3-ヒドロキシ-5-(2-チエニル)吉草酸ユニットが
97%であり、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキ
シデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸が各1%であっ
た。
【0279】(実施例15)実施例14で使用した菌株である
YN2株をシュードモナス・チコリアイ H45株(Pseud
omonas cichorii H45、FERM BP-7374)に変更し
た以外は、実施例14と同様の方法で試料を得た。凍結乾
燥された試料の質量は 480mgであった。
【0280】以上のようにして得られた試料は、実施例
14と同様に分子量をGPCで、構造をGC-MSで評価
した。
【0281】その結果、分子量は、数平均分子量(Mn)
=57000、重量平均分子量(Mw)=124000 であった。ま
た、GC-MSから決定されたユニット比率は、3-ヒド
ロキシ-5-(2-チエニル)吉草酸ユニットが 99%であ
り、残り1%は3-ヒドロキシオクタン酸であった。
【0282】(実施例16)実施例14で使用した菌株である
YN2株をシュードモナス・ジェッセニイP161株(Pse
udomonas jessenii P161、FERM BP-7376)に変
更した以外は、実施例14と同様の方法で試料を得た。凍
結乾燥された試料の質量は 810mgであった。
【0283】以上のようにして得られた試料は、実施例
14と同様に分子量をGPCで、構造をGC-MSで評価
した。その結果、分子量は、数平均分子量(Mn)=5500
0、重量平均分子量(Mw)=128000 であった。また、G
C-MSから決定されたユニット比率は、3-ヒドロキシ
-5-(2-チエニル)吉草酸ユニットが 98%であり、3-
ヒドロキシオクタン酸及び3-ヒドロキシデカン酸が各
1%であった。
【0284】(実施例17)酵母エキス 0.5%を含むM9培
地 200mLを 500mL容振とうフラスコに加え、YN2株
を植菌し、30℃、8時間培養した。2L容振とうフラス
コに、ポリペプトン(和光純薬工業)0.5%及び6-(2-チ
エニル)ヘキサン酸 0.1%とを含むM9培地1Lを仕込ん
だものを2本用意し、先に培養したYN2株の培養液2
mLずつをそれぞれに加え、125ストローク/分、30℃で
培養した。48 時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、脱イオン水 400mLに再懸濁して遠心分離をかけた
後、脱イオン水 80mLに再懸濁し、実施例14と同様の次
亜塩素酸ナトリウム処理とそれに続く一連の洗浄処理、
及び凍結乾燥を行った。凍結乾燥された試料の質量は56
0mgであった。
【0285】以上のようにして得られた試料は、実施例
14と同様に分子量をGPCで、構造をGC-MSで評価
した。
【0286】その結果、分子量は、数平均分子量(Mn)
=53000、重量平均分子量(Mw)=121000 であった。ま
た、GC-MSから決定されたユニット比率は、3-ヒド
ロキシ-6-(2-チエニル)ヘキサン酸ユニットが 80%、
3-ヒドロキシ-4-(2-チエニル)酪酸ユニットが4%で
あり、残り 16%は3-ヒドロキシ酪酸であることがわか
った。
【0287】(実施例18)酵母エキス 0.5%を含むM9培
地 200mLを 500mL容振とうフラスコに加え、YN2株
を植菌し、30℃、8時間培養した。2L容振とうフラス
コに、D-グルコース 0.5%及び5-(2-チエノイル)吉
草酸 0.1%とを含むM9培地1Lを仕込んだものを2本
用意し、先に培養したYN2株の培養液2mLずつをそ
れぞれに加え、125ストローク/分、30℃で培養した。
【0288】60時間後、菌体を遠心分離によって回収し
た。2L容振とうフラスコに、D-グルコース 0.5%及び
5-(2-チエノイル)吉草酸 0.1%とを含む、窒素源(N
4Cl)を含まないM9培地1Lを仕込んだものを2本用
意し、回収した菌体を再懸濁して、更に 125ストローク
/分、30℃で培養した。60時間後、菌体を遠心分離によ
って回収し、脱イオン水 400mLに再懸濁して遠心分離
をかけた後、脱イオン水 80mLに再懸濁し、実施例14と
同様の次亜塩素酸ナトリウム処理とそれに続く一連の洗
浄処理、及び凍結乾燥を行った。凍結乾燥された試料の
質量は 220mgであった。
【0289】以上のようにして得られた試料は、実施例
14と同様に分子量をGPCで、構造をGC-MSで評価
した。
【0290】その結果、分子量は、数平均分子量(Mn)
=98000、重量平均分子量(Mw)=199000 であった。ま
た、GC-MSから決定されたユニット比率は、3-ヒド
ロキシ-6-(2-チエニル)ヘキサン酸ユニットが 57%で
あり、その他は、3-ヒドロキシヘキサン酸1%、3-ヒ
ドロキシオクタン酸8%、3-ヒドロキシデカン酸 18
%、3-ヒドロキシドデカン酸6%、3-ヒドロキシドデ
セン酸 10%であった。
【0291】(実施例19)酵母エキス 0.5%を含むM9培
地 200mLを 500mL容振とうフラスコに加え、P161株
を植菌し、30℃、8時間培養した。2L容振とうフラス
コに、D-グルコース 0.5%及び6-(2-チエノイル)ヘ
キサン酸 0.1%とを含むM9培地1Lを仕込んだものを
2本用意し、先に培養したP161株の培養液2mLずつを
それぞれに加え、125ストローク/分、30℃で培養した。
【0292】50時間後、菌体を遠心分離によって回収し
た。2L容振とうフラスコに、D-グルコース 0.5%及び
6-(2-チエノイル)ヘキサン酸 0.1%とを含む、窒素源
(NH4Cl)を含まないM9培地1Lを仕込んだものを2
本用意し、回収した菌体を再懸濁して、更に 125ストロ
ーク/分、30℃で培養した。50時間後、菌体を遠心分離
によって回収し、脱イオン水 400mLに再懸濁して遠心
分離をかけた後、脱イオン水 80mLに再懸濁し、実施例
14と同様の次亜塩素酸ナトリウム処理とそれに続く一連
の洗浄処理、及び凍結乾燥を行った。凍結乾燥された試
料の質量は 190mgであった。
【0293】以上のようにして得られた試料は、実施例
14と同様に分子量をGPCで、構造をGC-MSで評価
した。その結果、分子量は、数平均分子量(Mn)=3800
0、重量平均分子量(Mw)=89000 であった。また、G
C-MSから決定されたユニット比率は、3-ヒドロキシ
-6-(2-チエノイル)ヘキサン酸ユニットが 83%であ
り、その他は、3-ヒドロキシヘキサン酸1%、3-ヒド
ロキシオクタン酸7%、3-ヒドロキシデカン酸6%、
3-ヒドロキシドデカン酸1%、3-ヒドロキシドデセン
酸2%であった。
【0294】以上の(実施例14)から(実施例19)で得られ
た化合物を例示化合物(1)から(6)とし、以下の実施例
に用いた。
【0295】(実施例20)先ず、高速撹拌装置TK-ホモ
ミキサーを備えた2リットル用の四つ口フラスコ中に、
Na3PO4水溶液を添加し、回転数を 10,000rpmに調整
し、60℃に加温せしめた。ここにCaCl2水溶液を徐々
に添加していき、微小な難水溶性分散剤Ca3(PO4)2
含む水系分散媒体を調製した。
【0296】一方、下記組成をボールミルを用いて3時
間分散させた後、離型剤(エステルワックス)10質量部
と、重合開始剤である2,2’-アゾビス(2,4-ジメチ
ルバレロニトリル)10質量部を添加して重合性単量体組
成物を調製した。 ・スチレン単量体 82質量部 ・エチルヘキシルアクリレート単量体 18質量部 ・ジビニルベンゼン単量体 0.1質量部 ・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー 15) 6質量部 ・酸化ポリエチレン樹脂(分子量3200; 酸価8) 5質量部 ・例示化合物(1) 2質量部 次に、上記で得られた重合性単量体組成物を、先に調製
した水系分散媒体中に投入し、回転数 10,000rpmを維
持しつつ造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつ
つ、65℃で3時間反応させた後、80℃で6時間重合させ
て重合反応を終了した。反応終了後、懸濁液を冷却し、
酸を加えて難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を溶解した後、
濾過、水洗、乾燥して青色重合粒子(1)を得た。得られ
た青色重合粒子(1)のコールターカウンターマルチサイ
ザー(コールター社製)を用いて測定した粒度は、重量平
均粒径 7.4μmで、微粉量(個数分布における 3.17μm
以下の粒子の存在割合)は 5.0個数%であった。
【0297】上記で調製した青色重合粒子(1)100質量
部に対して、流動向上剤としてヘキサメチルジシラザン
で処理した疎水性シリカ微粉体(BET:270m2/g)1.3質
量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して外添し、本実
施例の青色トナー(1)とした。更に、この青色トナー
(1)7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平
均粒子径:45μm)93質量部とを混合して、磁気ブラシ現
像用の2成分系青色現像剤(1)を調製した。
【0298】(実施例21〜25)例示化合物(1)の代わり
に、例示化合物(2)〜(6)をそれぞれ 2.0質量部使用す
る以外は実施例20と同様の方法で、実施例21〜25 の青
色トナー(2)〜(6)を得た。これらのトナーの特性を実
施例20と同様に測定し、その結果を表15に示した。ま
た、これを用いて実施例20と同様にして、2成分系青色
現像剤(2)〜(6)をそれぞれ得た。
【0299】(比較例1)例示化合物を使用しない点以外
は実施例20と同様の方法により、比較例1の青色トナー
7を得た。このトナーの特性を実施例20と同様に測定
し、その結果を表15に示した。また、これを用いて実施
例20と同様にして、比較例1の2成分系青色現像剤7を
得た。
【0300】<評価>上記実施例20〜25で得られた2成
分系青色現像剤(1)〜(6)、および比較例1で得られた
2成分系青色現像剤7について、常温常湿(25℃、60%
RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環
境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、
及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そし
て、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2
位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表
15にまとめて示した。
【0301】[帯電性] ◎:非常に良好(-20μC/g以下) ○:良好(-19.9〜-10.0μC/g) △:実用可(-9.9〜-5.0μC/g) ×:実用不可(-4.9μC/g以上)
【0302】
【表15】
【0303】(実施例26〜31)例示化合物(1)〜(6)を
2.0質量部を用い、シアン着色剤の代わりにイエロー着
色剤(ハンザイエローG)を使用する以外は、実施例20と
同様の方法により、実施例26〜31のイエロートナー(1)
〜(6)をそれぞれ得た。これらのトナーの特性を実施例
20と同様に測定し、その結果を表16に示した。また、こ
れを用いて実施例20と同様にして、2成分系イエロー現
像剤(1)〜(6)を得た。
【0304】(比較例2)例示化合物を使用しない点およ
びシアン着色剤の代わりにイエロー着色剤(ハンザイエ
ローG)を使用する点以外は実施例20と同様の方法によ
り、比較例2のイエロートナー7を得た。このトナーの
特性を実施例20と同様に測定し、その結果を表16に示し
た。また、これを用いて実施例20と同様にして、比較例
2の2成分系イエロー現像剤7を得た。
【0305】<評価>上記実施例26〜31で得られた2成
分系イエロー現像剤(1)〜(6)、および比較例2で得ら
れた2成分系イエロー現像剤7について、常温常湿(25
℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれ
ぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用い
て、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定し
た。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数
以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その
結果を表16にまとめて示した。
【0306】[帯電性] ◎:非常に良好(-20μC/g以下) ○:良好(-19.9〜-10.0μC/g) △:実用可(-9.9〜-5.0μC/g) ×:実用不可(-4.9μC/g以上)
【0307】
【表16】
【0308】(実施例32〜37)例示化合物(1)〜(6)を
2.0質量部使用し、シアン着色剤の代わりにカーボンブ
ラック(DBP吸油量 110mL/100g)を使用する以外は、
実施例20と同様の方法により、実施例32〜37の黒色トナ
ー(1)〜(6)をそれぞれ得た。これらのトナーの特性を
実施例20と同様に測定し、その結果を表17に示した。ま
た、これを用いて実施例20と同様にして、2成分系黒色
現像剤(1)〜(6)を得た。
【0309】(比較例3)例示化合物を使用しない点およ
びシアン着色剤の代わりにカーボンブラック(DBP吸
油量 110mL/100g)を使用する点以外は実施例20と同様
の方法により、比較例3の黒色トナー7を得た。このト
ナーの特性を実施例20と同様に測定し、その結果を表17
に示した。また、これを用いて実施例20と同様にして、
比較例3の2成分系黒色現像剤7を得た。
【0310】<評価>上記実施例32〜37で得られた2成
分系黒色現像剤(1)〜(6)、および比較例3で得られた
2成分系黒色現像剤7について、常温常湿(25℃、60%
RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環
境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、
及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そし
て、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2
位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表
17にまとめて示した。
【0311】[帯電性] ◎:非常に良好(-20μC/g以下) ○:良好(-19.9〜-10.0μC/g) △:実用可(-9.9〜-5.0μC/g) ×:実用不可(-4.9μC/g以上)
【0312】
【表17】
【0313】 (実施例38) ・スチレン-ブチルアクリレート共重合樹脂(ガラス転移温度 70℃) 100質量部 ・マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド 114) 5質量部 ・例示化合物(1) 2質量部 上記組成を混合し、二軸エクストルーダー(L/D=30)
で溶融混練した。この混練物を冷却後、ハンマーミルで
粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕した後に分級して、粉
砕法によってマゼンタ着色粒子(1)を得た。このマゼン
タ着色粒子(1)の粒度は、重量平均粒径 7.2μm、微粉
量は 5.3個数%であった。
【0314】このマゼンタ着色粒子(1) 100質量部に
対して、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで
処理した疎水性シリカ微粉体(BET:250m2/g) 1.5質
量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、本実施例の
マゼンタトナー(1)を得た。更に、得られたマゼンタト
ナー(1) 7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリ
ア(平均粒子径:45μm) 93質量部とを混合して、磁気
ブラシ現像用の2成分系マゼンタ現像剤(1)を調製し
た。
【0315】(実施例39〜43)例示化合物(1)の代わり
に、例示化合物(2)〜(6)をそれぞれ 2.0質量部使用す
る以外は実施例38 と同様の方法で、実施例39〜43のマ
ゼンタトナー(2)〜(6)を得た。これらのトナーの特性
を実施例20と同様に測定し、その結果を表18に示した。
また、これを用いて実施例38 と同様にして、2成分系
マゼンタ現像剤(2)〜(6)をそれぞれ得た。
【0316】(比較例4)例示化合物を使用しない点以外
は実施例38 と同様の方法により、比較例4のマゼンタ
トナー7を得た。このトナーの特性を実施例20と同様に
測定し、その結果を表18に示した。また、これを用いて
実施例38 と同様にして、比較例4の2成分系マゼンタ
現像剤9を得た。
【0317】<評価>上記実施例38〜43で得られた2成
分系マゼンタ現像剤(1)〜(6)、および比較例4で得ら
れた2成分系マゼンタ現像剤7について、常温常湿(25
℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれ
ぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用い
て、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定し
た。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数
以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その
結果を表18にまとめて示した。
【0318】[帯電性] ◎:非常に良好(-20μC/g以下) ○:良好(-19.9〜-10.0μC/g) △:実用可(-9.9〜-5.0μC/g) ×:実用不可(-4.9μC/g以上
【0319】
【表18】
【0320】(実施例44〜49)例示化合物(1)〜(6)を
2.0質量部使用し、マゼンタ顔料の代わりにカーボンブ
ラック(DBP吸油量 110mL/ 100 g)を使用する以外
は、実施例38 と同様の方法により、実施例44〜49の黒
色トナー(8)〜(13)をそれぞれ得た。これらのトナーの
特性を実施例20と同様に測定し、その結果を表19に示し
た。また、これを用いて実施例20と同様にして、2成分
系黒色現像剤(8)〜(13)を得た。
【0321】(比較例5)例示化合物を使用しない点およ
びマゼンタ顔料の代わりにカーボンブラック(DBP吸
油量 110mL/ 100g)を使用する点以外は実施例38 と同
様の方法により、比較例5の黒色トナー 14 を得た。こ
のトナーの特性を実施例20と同様に測定し、その結果を
表19に示した。また、これを用いて実施例20と同様にし
て、比較例5の2成分系黒色現像剤 14 を得た。
【0322】<評価>上記実施例44〜49で得られた2成
分系黒色現像剤(8)〜(13)、および比較例5で得られた
2成分系黒色現像剤 14 について、常温常湿(25℃、60
%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの
環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10
秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そ
して、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第
2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を
表19にまとめて示した。
【0323】[帯電性] ◎:非常に良好(-20μC/g以下) ○:良好(-19.9〜-10.0μC/g) △:実用可(-9.9〜-5.0μC/g) ×:実用不可(-4.9μC/g以上)
【0324】
【表19】
【0325】 (実施例50) ・ポリエステル樹脂 100質量部 ・カーボンブラック(DBP吸油量 110mL/ 100g) 5質量部 ・例示化合物(1) 2質量部 ポリエステル樹脂は次のようにして合成した。ビスフェ
ノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 751部、テ
レフタル酸 104部および無水トリメリット酸 167部をジ
ブチルチンオキサイド2部を触媒として重縮合し、軟化
点 125℃のポリエステル樹脂を得た。
【0326】上記組成を混合し、二軸エクストルーダー
(L/D=30)で溶融混練した。この混練物を冷却後、ハ
ンマーミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕した後に
分級して、粉砕法によって黒色着色粒子(15)を得た。こ
の黒色着色粒子(15)の粒度は、重量平均粒径 7.7μm、
微粉量は 5.0個数%であった。
【0327】この黒色着色粒子(15) 100質量部に対し
て、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで処理
した疎水性シリカ微粉体(BET: 250m2/g)1.5質量部
をヘンシェルミキサーで乾式混合して、本実施例の黒色
トナー(15)を得た。更に、得られた黒色トナー(15) 7
質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均粒子
径: 45μm)93質量部とを混合して、磁気ブラシ現像用
の2成分系黒色現像剤(15)を調製した。
【0328】(実施例51〜55)例示化合物(1)の代わり
に、例示化合物(2)〜(6)をそれぞれ 2.0質量部使用す
る以外は実施例50と同様の方法で、実施例51〜55の黒色
トナー(16)〜(20)を得た。これらのトナーの特性を実施
例20と同様に測定し、その結果を表20に示した。また、
これを用いて実施例50 と同様にして、2成分系黒色現
像剤(16)〜(20)をそれぞれ得た。
【0329】(比較例6)例示化合物を使用しない点以外
は実施例50 と同様の方法により、比較例6の黒色トナ
ー 27 を得た。このトナーの特性を実施例20と同様に測
定し、その結果を表20に示した。また、これを用いて実
施例50 と同様にして、比較例6の2成分系黒色現像剤
21 を得た。
【0330】<評価>上記実施例50〜55で得られた2成
分系黒色現像剤(15)〜(20)、および比較例6で得られた
2成分系黒色現像剤 21 について、常温常湿(25℃、60
%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの
環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10
秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そ
して、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第
2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を
表20にまとめて示した。
【0331】[帯電性] ◎:非常に良好(-20μC/g以下) ○:良好(-19.9〜-10.0μC/g) △:実用可(-9.9〜-5.0μC/g) ×:実用不可(-4.9μC/g以上)
【0332】
【表20】
【0333】(実施例56〜71および比較例7〜比較例12)
先ず、実施例56〜71および比較例7〜比較例12 の画像
形成方法に用いた画像形成装置について説明する。図4
は、本発明の実施例及び比較例の画像形成方法を実行す
るための画像形成装置の断面の概略的説明図である。図
4に示した感光体ドラム1は、基材1b上に有機光半導
体を有する感光層1aを有し、矢印方向に回転するよう
に構成されているが、感光体ドラム1に対向し、且つ該
ドラムと接触回転している帯電部材である帯電ローラー
2によって、その表面が約-600Vの表面電位に帯電され
ている。図4に示したように、帯電ローラー2は、芯金
2bの上に導電性弾性層2aが被覆されて構成されてい
る。
【0334】次に、表面が帯電された感光体ドラム1に
向けて露光3されるが、その際、ポリゴンミラーにより
感光体上にデジタル画像情報に応じてオン-オフさせる
ことで、露光部電位が -100V、暗部電位が -600Vの静
電荷像が形成される。続いて、この感光体ドラム1上の
静電荷像は、複数の現像装置4-1、4-2、4-3、4-
4を用いて反転現像されてに顕在化され、感光体ドラム
1上トナー像が形成される。その際、現像剤として、実
施例20〜25、26、29、32、35、38、41、44、47、50、53
および比較例1〜6で得た2成分系現像剤をそれぞれ
用い、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー
又はブラックトナーでトナー画像を形成した。
【0335】図5は、その際に用いた二成分現像剤用の
各現像装置4の要部の拡大断面図である。次に、感光体
ドラム1上のトナー像は、感光体ドラム1と接触回転し
ている中間の転写体5上に転写される。この結果、中間
の転写体5上には、四色の色重ね顕色像が形成される。
感光体ドラム1上に転写されずに残った転写残トナー
は、クリーナー部材8によって、残トナー容器9内に回
収される。
【0336】中間の転写体5は、図4に示したように、
支持体としての芯金5bと、その上に積層された弾性層
5aとで構成されている。本実施例においては、パイプ
状の芯金5b上に、カーボンブラックを導電付与材料と
し、ニトリル-ブタジエンラバー(NBR)中にこれを充
分に分散させた弾性層5bがコーティングされた中間の
転写体5を使用した。「JIS K-6301」に準拠して測
定した弾性層5bの硬度は 30度であり、体積抵抗値は、
109Ω・cmであった。感光体ドラム1から中間の転写体
5への転写に必要な転写電流は約5μAであるが、これ
は、電源より+500Vを芯金5bに付与することで得られ
た。
【0337】中間の転写体5上に形成された四色のトナ
ーの色重ね顕色像は、転写ローラー7によって、紙等の
被転写材に転写され、その後、加熱定着装置Hによって
定着されて固定される。転写ローラー7は、その外径の
直径が 10mmの芯金7b上に、カーボンを導電性付与材
料として、エチレン-プロピレン-ジエン系三次元共重合
体(EPDM)の発砲体中に該カーボンが充分な状態で分
散したものがコーティングされた弾性層7aが形成され
ている。その体積固有抵抗値は、106Ω・cmであり、
「JIS K-6301」に準拠して測定した硬度が 35度の
値を示すのもを用いた。又、この転写ローラー7には電
圧を印加して、15μAの転写電流を流した。
【0338】図4に示した装置では、加熱定着装置H
に、図8及び図9に示したようなオイル塗布機構のない
熱ロール方式の定着装置を用いた。このとき、上部ロー
ラー、下部ローラー共にフッ素系樹脂の表面層を有する
ものを使用した。又、ローラーの直径は 60nmであっ
た。定着の際の定着温度を 160℃とし、ニップ幅を7m
mに設定した。尚、クリーニングによって回収された感
光体ドラム1上の転写残トナーは、リユース機構により
現像器に搬送し再使用した。
【0339】<評価>以上の条件で、常温常湿(25℃、6
0%RH)及び、高温高湿(30℃、80%RH)環境下、8枚
(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で、実施20〜2
5、26、29、32、35、38、41、44、47、50、53 のトナー
を使用して作製した2成分系現像剤と、比較例1〜6の
トナーを使用して作製した2成分系現像剤をそれぞれ使
用し、逐次補給しながら、単色での間歇モード(即ち、
一枚プリントアウトする毎に 10秒間現像器を休止さ
せ、再起動時の予備動作でトナーの劣化を促進させるモ
ード)でプリントアウト試験を行い、得られたプリント
アウト画像を下記の項目について評価した。評価結果を
表21にまとめて示した。
【0340】[プリントアウト画像評価] 1.画像濃度 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、所定枚数のプリン
トアウトをして、初期の画像に対するプリント終了時に
おける画像の画像濃度維持の程度により評価した。尚、
画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、
原稿濃度が 0.00 の白地部分のプリントアウト画像に対
する相対濃度を測定し、評価に用いた。 ◎:優(終了時の画像濃度が 1.40以上) ○:良(終了時の画像濃度が 1.35以上 1.40未満) △:可(終了時の画像濃度が 1.00以上 1.35未満) ×:不可(終了時の画像濃度が 1.00未満) 2.画像カブリ 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に所定枚数のプリント
アウトをし、プリント終了時のベタ白画像により評価し
た。具体的には、下記のような方法で評価した。反射式
濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD社製 REFLECTOMETER OD
EL TC-6DS)を用いて測定したプリント後の白地部
反射濃度の最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度
平均値をDrとし、これらの値から(Ds-Dr)を求め、こ
れをカブリ量とし、下記の基準で評価した。 ◎:非常に良好(カブリ量が0%以上 1.5%未満) ○:良好(カブリ量が 1.5%以上 3.0%未満) △:実用可(カブリ量が 3.0%以上 5.0%未満) ×:実用不可(カブリ量が 5.0%以上) 3.転写性 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、黒ベタ画像を所定
枚数プリントアウトをし、プリント終了時の画像の画像
抜け量を目視により観察し、下記の基準で評価した。 ◎ : 非常に良好(殆ど発生せず) ○ : 良好(軽微) △ : 実用可 × : 実用不可 また、実施例56〜71および比較例7〜12 で、5000枚画
像出力を行ったときの感光ドラム及び中間転写体表面の
傷や残留トナーの固着の発生状況とプリントアウト画像
への影響(画像形成装置とのマッチング)を目視で評価し
たところ、実施例56〜71の2成分系現像剤を使用した系
では、感光ドラム及び中間転写体表面の傷や、残留トナ
ーの固着が全く確認できず、画像形成装置とのマッチン
グが非常に良好であった。一方、比較例7〜12 の2成
分系現像剤を使用した系では、いずれも感光ドラム表面
にトナーの固着が認められた。更に、比較例7〜12 の
2成分系現像剤を使用した系では、中間転写体表面上に
トナーの固着と表面傷が確認でき、画像上にも縦スジ状
の画像欠陥を生じるといった、画像形成装置とのマッチ
ングにおいて問題を生じた。
【0341】
【表21】
【0342】(実施例72〜74、比較例13〜15)実施例72〜
74、比較例13〜15の画像形成方法の実施にあたっては、
現像剤として、実施例20、26、32 および比較例1〜3
で得たトナーをそれぞれ用いた。また、画像を形成する
手段としては、図6に示したように、市販のレーザービ
ームプリンターLBP-EX(キヤノン社製)にリユース
機構を取り付けて改造し、再設定した画像形成装置を用
いた。即ち、図6に示した画像形成装置では、転写後に
感光体ドラム 20 上に残った未転写トナーを、該感光体
ドラム 20 に当接しているクリーナー 21 の弾性ブレー
ド 22 により掻き落とした後、クリーナーローラーによ
ってクリーナー 21 内部へと送り、更にクリーナーリユ
ース 23 を経て、搬送スクリューを設けた供給用パイプ
24 によってホッパー 25 を介して現像器 26 に戻し、
再度、回収トナーを利用するシステムを取り付けられて
いる。
【0343】図6に示した画像形成装置では、一次帯電
ローラー 27 により、感光体ドラム20 の表面の帯電が
なされる。一次帯電ローラー 27 には、ナイロン樹脂で
被覆された、導電性カーボンが分散されたゴムローラー
(直径 12mm、当接圧 50g/cm)を使用し、静電潜像担
持体(感光体ドラム 20)上に、レーザー露光(600dpi、不
図示)により、暗部電位VD=-700V、明部電位VL=-
200Vの静電潜像を形成した。トナー担持体として、そ
の表面に、カーボンブラックが分散された樹脂がコート
されている表面粗度Raが 1.1 を呈する現像スリーブ 2
8 を用いた。
【0344】図7に、実施例72〜74、比較例13〜15で用
いた一成分現像剤用の現像装置の要部の拡大断面図を示
した。静電潜像を現像する条件としては、該現像スリー
ブ 28 の速度を、対向する感光ドラム 20 面の移動速度
に対して 1.1 倍の速さになるように設定し、更に、感
光ドラム 20 と現像スリーブ 28 との間隔α(S-D間)
を 270μmとした。トナーの層厚規制部材としては、ウ
レタンゴム製ブレード29 を当接させて用いた。又、ト
ナー画像を定着させる加熱定着装置の設定温度は 160℃
とした。なお、定着装置は、図8及び図9に示した定着
装置を用いた。
【0345】以上のようにして、常温常湿(25℃、60%
RH)環境下、8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速
度で、トナーを逐次補給しながら連続モード(即ち、現
像器を休止させることなくトナーの消費を促進させるモ
ード)で、3万枚までプリントアウトを行い、得られた
プリントアウト画像について画像濃度を測定し、その耐
久について下記に示した基準で評価した。又、10,000
枚目の画像を観察し、画像カブリについて下記の基準で
評価した。又、同時に、耐久試験後における画像形成装
置を構成している各装置の様子を観察し、各装置と上記
の各トナーとのマッチングについても評価した。以上の
結果を表22にまとめて示した。
【0346】[耐久時の画像濃度推移]通常の複写機用普
通紙(75g/m2)に、所定枚数のプリントアウトをして、
初期の画像に対するプリント終了時における画像の画像
濃度維持の程度により評価した。尚、画像濃度はマクベ
ス反射濃度計(マクベス社製)を用い、原稿濃度が 0.00
の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測
定し、評価に用いた。 ◎:優(終了時の画像濃度が 1.40以上) ○:良(終了時の画像濃度が 1.35以上 1.40未満) △:可(終了時の画像濃度が 1.00以上 1.35未満) ×:不可(終了時の画像濃度が 1.00未満) [画像カブリ]通常の複写機用普通紙(75g/m2)に所定枚
数のプリントアウトをし、プリント終了時のベタ白画像
により評価した。具体的には、下記のような方法で評価
した。反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD社製 REFL
ECTOMETER ODELTC-6DS)を用いて測定したプリント
後の白地部反射濃度の最悪値をDs、プリント前の用紙
の反射濃度平均値をDrとし、これらの値から(Ds-Dr)
を求め、これをカブリ量とし、下記の基準で評価した。 ◎:非常に良好(カブリ量が0%以上 1.5%未満) ○:良好(カブリ量が 1.5%以上 3.0%未満) △:実用可(カブリ量が 3.0%以上 5.0%未満) ×:実用不可(カブリ量が 5.0%以上) [画像形成装置マッチング評価] 1.現像スリーブとのマッチング プリントアウト試験終了後、現像スリーブ表面への残留
トナーの固着の様子とプリントアウト画像への影響を目
視で評価した。 ◎ : 非常に良好(未発生) ○ : 良好(殆ど発生せず) △ : 実用可(固着があるが、画像への影響が少ない) × : 実用不可(固着が多く、画像ムラを生じる) 2.感光ドラムとのマッチング 感光体ドラム表面の傷や残留トナーの固着の発生状況と
プリントアウト画像への影響を目視で評価した。 ◎ : 非常に良好(未発生) ○ : 良好(僅かに傷の発生が見られるが、画像への影
響はない) △ : 実用可(固着や傷があるが、画像への影響が少な
い) × : 実用不可(固着が多く、縦スジ状の画像欠陥を生
じる) 3.定着装置とのマッチング 定着フィルム表面の様子を観察し、表面性及び残留トナ
ーの固着状況の結果を総合平均化して、その耐久性を評
価した。
【0347】(1)表面性 プリントアウト試験終了後の定着フィルム表面の傷や削
れの発生の様子を目視で観察し、評価した。 ◎ : 非常に良好(未発生) ○ : 良好(殆ど発生せず) △ : 実用可 × : 実用不可 (2)残留トナーの固着状況 プリントアウト試験終了後の定着フィルム表面の残留ト
ナーの固着状況を目視で観察し、評価した。 ◎ : 非常に良好(未発生) ○ : 良好(殆ど発生せず) △ : 実用可 × : 実用不可
【0348】
【表22】
【0349】(実施例75)図6の画像形成装置のトナーリ
ユース機構を取り外し、プリントアウト速度を16枚(A
4サイズ)/分とした以外は実施例72 と同様にし、実施
例20の青色トナー(1)を逐次補給しながら連続モード
(即ち、現像器を休止させることなく、トナーの消費を
促進させるモード)でプリントアウト試験を行った。得
られたプリントアウト画像評価ならびに用いた画像評価
装置とのマッチングを実施例72〜74、比較例13〜15 と
同様の項目について評価した。その結果、いずれの項目
についても良好な結果が得られた。
【0350】
【発明の効果】本発明により、3-ヒドロキシチエノイ
ルアルカン酸をモノマーユニットとして含む新規なポリ
ヒドロキシアルカノエートと、当該新規ポリヒドロキシ
アルカノエートを生産し菌体内に蓄積する能力を有する
微生物を用いた当該ポリヒドロキシアルカノエートの製
造方法が提供される。これにより、機能性ポリマーとし
ても有用な、チエノイル基を導入したポリヒドロキシア
ルカノエートが極めて効率的に、且つ高い純度で製造す
ることができ、デバイス材料や医用材料等の各分野への
応用が期待できる。
【0351】また本発明によれば、静電荷像現像用トナ
ー組成中へ荷電制御剤として式(1)あるいは(12)のいず
れかに示した化合物を一種類以上添加することにより、
帯電特性に優れ、かつトナー樹脂中への該化合物の分散
性、スペント性を向上し、また、画像形成装置での出力
時においても、画像カブリを発生せず、転写性に優れ、
かつ、電子写真プロセスに高度に適用した静電荷像現像
用トナーを提供することが可能となる。
【0352】また、本発明で使用する荷電制御剤は無色
あるいは着色が弱いため、カラートナーに要求される色
相に合わせて任意の着色剤を選定することが可能であ
り、かつ染料、顔料が有する本来の色相を何ら阻害する
ことが無い点も特徴である。加えて本発明の静電荷像現
像用トナーは、生分解性であるために、燃焼処理を行う
必要もなく、大気汚染や地球温暖化の防止といった環境
保全の点でも、産業上多大な効果をもたらすものであ
る。
【0353】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Canon Inc. <120> Polyhydroxyalkanoate comprising 3-hydroxythienoylalkanoic acid as monomer units,and its manufacturing method <130> 4331038 <160> 1 <210> 1 <211> 1501 <212> DNA <213> Pseudomonas jessenii 161 strain. <400> 1 tgaacgctgg cggcaggcct aacacatgca agtcgagcgg atgacgggag cttgctcctg 60 aattcagcgg cggacgggtg agtaatgcct aggaatctgc ctggtagtgg gggacaacgt 120 ctcgaaaggg acgctaatac cgcatacgtc ctacgggaga aagcagggga ccttcgggcc 180 ttgcgctatc agatgagcct aggtcggatt agctagttgg tgaggtaatg gctcaccaag 240 gcgacgatcc gtaactggtc tgagaggatg atcagtcaca ctggaactga gacacggtcc 300 agactcctac gggaggcagc agtggggaat attggacaat gggcgaaagc ctgatccagc 360 catgccgcgt gtgtgaagaa ggtcttcgga ttgtaaagca ctttaagttg ggaggaaggg 420 cattaaccta atacgttagt gttttgacgt taccgacaga ataagcaccg gctaactctg 480 tgccagcagc cgcggtaata cagagggtgc aagcgttaat cggaattact gggcgtaaag 540 cgcgcgtagg tggtttgtta agttggatgt gaaagccccg ggctcaacct gggaactgca 600 ttcaaaactg acaagctaga gtatggtaga gggtggtgga atttcctgtg tagcggtgaa 660 atgcgtagat ataggaagga acaccagtgg cgaaggcgac cacctggact gatactgaca 720 ctgaggtgcg aaagcgtggg gagcaaacag gattagatac cctggtagtc cacgccgtaa 780 acgatgtcaa ctagccgttg ggagccttga gctcttagtg gcgcagctaa cgcattaagt 840 tgaccgcctg gggagtacgg ccgcaaggtt aaaactcaaa tgaattgacg ggggcccgca 900 caagcggtgg agcatgtggt ttaattcgaa gcaacgcgaa gaaccttacc aggccttgac 960 atccaatgaa ctttccagag atggatgggt gccttcggga acattgagac aggtgctgca 1020 tggctgtcgt cagctcgtgt cgtgagatgt tgggttaagt cccgtaacga gcgcaaccct 1080 tgtccttagt taccagcacg taatggtggg cactctaagg agactgccgg tgacaaaccg 1140 gaggaaggtg gggatgacgt caagtcatca tggcccttac ggcctgggct acacacgtgc 1200 tacaatggtc ggtacagagg gttgccaagc cgcgaggtgg agctaatccc acaaaaccga 1260 tcgtagtccg gatcgcagtc tgcaactcga ctgcgtgaag tcggaatcgc tagtaatcgc 1320 gaatcagaat gtcgcggtga atacgttccc gggccttgta cacaccgccc gtcacaccat 1380 gggagtgggt tgcaccagaa gtagctagtc taaccttcgg gaggacggtt accacggtgt 1440 gattcatgac tggggtgaag tcgtaccaag gtagccgtag gggaacctgc ggctggatca 1500 c 1501
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるポリマーの1H-NMRスペク
トルを示す図である。
【図2】実施例1におけるポリマーのメチル化分解物の
GC-MSチャートを示す図である。
【図3】実施例5におけるポリマーのメチル化分解物の
GC-MSチャートを示す図である。
【図4】実施例56〜71および比較例7〜12に用いた画像
形成装置の概略的説明図である。
【図5】実施例56〜71および比較例7〜12に用いた二成
分現像剤用の現像装置の要部の断面図である。
【図6】実施例72〜74、比較例13〜15に用いたトナーの
リユース機構を有する画像形成装置の概略的説明図であ
る。
【図7】実施例72〜74、比較例13〜15に用いた一成分現
像剤用の現像装置の要部の断面図である。
【図8】本発明の実施例に用いた定着装置の要部の分解
斜視図である。
【図9】本発明の実施例に用いた定着装置の非駆動時の
フィルム状態を示した要部の拡大断面図である。
【図10】トナーの帯電量を測定するブローオフ帯電量
測定装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1、20:感光体(静電潜像担持体) 2、27:帯電ローラー 3:露光 4、26:現像装置(4−1、4−2、4−3、4−
4) 5:中間の転写体 6:被転写材 7:転写ローラー 13:感光体ドラム 11、28:現像剤担持体 30:ステー 31:加熱体 31a:ヒーター基板 31b:発熱体 31c:表面保護層 31d:検温素子 32:定着フィルム 33:加熱ローラー 34:コイルばね 35:フィルム端部規制フランジ 36:給電コネクター 37:絶縁部材 38:入口ガイド 39:出口ガイド(分離ガイド) 43:スクリーン 45:真空計 47:吸引口 49:電位計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 見目 敬 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 今村 剛士 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 須川 悦子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA06 AB02 CA08 DA02 EA06 4J029 AA02 AB01 AB04 AD10 AE18 JC34 JC39 KD00 KE00 KE17 KH03 (54)【発明の名称】 側鎖にチエニル構造を有するユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエートおよびその製 造方法、該ポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御剤、トナーバインダーならびにト ナー、および該トナーを用いた画像形成方法および画像形成装置

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式(1)に示すユニットを分子中に含
    むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート。 【化1】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  2. 【請求項2】 化学式(1)に示すユニット以外に、化学
    式(2)及び(3)に示すユニットの少なくとも一方を含
    む、請求項1に記載のポリヒドロキシアルカノエート。 【化2】 (y及びzは(1)で示すユニットと独立して化学式中に示
    した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値
    をとり得る。)
  3. 【請求項3】 数平均分子量が1,000から500,0
    00の範囲である請求項1または2に記載のポリヒドロ
    キシアルカノエート。
  4. 【請求項4】 化学式(4)に示すユニットを含む請求項
    1から3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエ
    ート。 【化3】
  5. 【請求項5】 化学式(5)に示すユニットを含む請求項
    1から3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエ
    ート。 【化4】
  6. 【請求項6】 化学式(6)に示すユニットを含む請求項
    1から3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエ
    ート。 【化5】
  7. 【請求項7】 化学式(7)あるいは(8)に示す化合物を
    少なくとも一種類以上含む培地中で微生物を培養するこ
    とを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に
    含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。 【化6】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化7】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化8】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  8. 【請求項8】 化学式(7)あるいは(8)に示す化合物を
    少なくとも一種類以上およびポリペプトンを含む培地中
    で微生物を培養することを特徴とする、請求項7記載の
    化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキ
    シアルカノエートの製造方法。 【化9】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化10】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化11】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  9. 【請求項9】 化学式(7)あるいは(8)に示す化合物を
    少なくとも一種類以上および酵母エキスを含む培地中で
    微生物を培養することを特徴とする、請求項7記載の化
    学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシ
    アルカノエートの製造方法。 【化12】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化13】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化14】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  10. 【請求項10】 化学式(7)あるいは(8)に示す化合物
    を少なくとも一種類以上および糖類を含む培地中で微生
    物を培養することを特徴とする、請求項7記載の化学式
    (1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアル
    カノエートの製造方法。 【化15】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化16】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化17】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  11. 【請求項11】 該糖類がグリセロアルデヒド、エリス
    ロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラ
    クトース、マンノース、フルクトース、グリセロール、
    エリスリトール、キシリトール、グルコン酸、グルクロ
    ン酸、ガラクツロン酸、マルトース、スクロース、ラク
    トースから選ばれる1種類以上の化合物である請求項1
    0に記載の方法。
  12. 【請求項12】 化学式(7)あるいは(8)に示す化合物
    を少なくとも一種類以上および有機酸あるいはその塩を
    含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、請求
    項7記載の化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポ
    リヒドロキシアルカノエートの製造方法。 【化18】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化19】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化20】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  13. 【請求項13】 該有機酸あるいはその塩がピルビン
    酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸あるいはその
    塩から選ばれる1つ以上の化合物である請求項12に記
    載の方法。
  14. 【請求項14】 化学式(7)あるいは(8)に示す化合物
    を少なくとも一種類以上およびアミノ酸あるいはその塩
    を含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、請
    求項7記載の化学式(1)に示すユニットを分子中に含む
    ポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。 【化21】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化22】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化23】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  15. 【請求項15】 該アミノ酸あるいはその塩がグルタミ
    ン酸、アスパラギン酸、あるいはその塩から選ばれる1
    つ以上の化合物である請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 化学式(7)あるいは(8)に示す化合物
    を少なくとも一種類以上および炭素数4から12の直鎖
    アルカン酸あるいはその塩を含む培地中で微生物を培養
    することを特徴とする、請求項7記載の化学式(1)に示
    すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエー
    トの製造方法。 【化24】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化25】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化26】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  17. 【請求項17】 化学式(7)あるいは(8)に示す化合物
    を少なくとも一種類以上含み、かつポリペプトンを含む
    培地中で微生物を培養する工程(工程1-1)と、これに
    続く、化学式(7)あるいは(8)に示す化合物を少なくと
    も一種類以上含み、かつ有機酸あるいはその塩とを含む
    培地中で、工程1-1で培養された微生物を更に培養す
    る工程(工程2-1)を行なうことを特徴とする、請求項
    7記載の化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリ
    ヒドロキシアルカノエートの製造方法。 【化27】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化28】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化29】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  18. 【請求項18】 前記工程2-1で利用する培地中に窒
    素源が含まれていないことを特徴とする請求項17に記
    載の製造方法。
  19. 【請求項19】 該有機酸或いはその塩がピルビン酸、
    リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸あるいはその塩か
    ら選ばれる1つ以上の化合物である請求項17または1
    8に記載の方法。
  20. 【請求項20】 化学式(7)あるいは(8)に示す化合物
    を少なくとも一種類以上含み、かつ糖類を含む培地中で
    微生物を培養する工程(工程1-2)と、これに続く、化
    学式(7)あるいは(8)に示す化合物を少なくとも一種類
    以上含み、また糖類を含む培地中で、工程1-2で培養
    された微生物を更に培養する工程(工程2-2)を行なう
    ことを特徴とする、請求項7記載の化学式(1)に示すユ
    ニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの
    製造方法。 【化30】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化31】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数である。) 【化32】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  21. 【請求項21】 前記工程2-2で利用する培地中に、
    窒素源が含まれていないことを特徴とする請求項20に
    記載の製造方法。
  22. 【請求項22】 該糖類がグリセロアルデヒド、エリス
    ロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラ
    クトース、マンノース、フルクトース、グリセロール、
    エリスリトール、キシリトール、グルコン酸、グルクロ
    ン酸、ガラクツロン酸、マルトース、スクロース、ラク
    トースから選ばれる1種類以上の化合物である請求項2
    0または21の何れかに記載の方法。
  23. 【請求項23】 化学式(1)に示すユニット以外にのユ
    ニットとして、化学式(2)及び(3)に示すユニットの少
    なくとも一方を含む、請求項7から22の何れかに記載
    のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。 【化33】 (y及びzは(1)で示すユニットと独立して化学式中に示
    した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値
    をとり得る。)
  24. 【請求項24】 化学式(9)で示される5-(2-チエノ
    イル)吉草酸を含む培地中で微生物を培養し、化学式
    (5)で示されるユニットを含むポリヒドロキシアルカノ
    エートを生産することを特徴とする、請求項7から23
    の何れかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造
    方法。 【化34】 【化35】
  25. 【請求項25】 化学式(10)で示される6-(2-チエ
    ノイル)ヘキサン酸あるいは(11)で示される6-(2-チ
    エノイル)ヘキサンを少なくとも一種類以上含む培地中
    で微生物を培養し、化学式(6)で示されるユニットを含
    むポリヒドロキシアルカノエートを生産することを特徴
    とする、請求項7から23の何れかに記載のポリヒドロ
    キシアルカノエートの製造方法。 【化36】 【化37】 【化38】
  26. 【請求項26】 該微生物がシュードモナス(Pseudom
    onas)属に属する微生物である請求項7から25の何れ
    かに記載の方法。
  27. 【請求項27】 該微生物がシュードモナス・チコリア
    イ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FER
    M BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ H4
    5株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP-
    7374)、シュードモナス・ジェッセニイ P161株
    (Pseudomonas jessenii P161、FERM BP-7
    376)の何れか1つ以上の株である、請求項26に記
    載の方法。
  28. 【請求項28】 該微生物細胞からポリヒドロキシアル
    カノエートを回収する工程を含む請求項7から27の何
    れかに記載の方法。
  29. 【請求項29】 粉粒体の荷電状態を制御する荷電制御
    剤において、化学式(1)に示すユニットのうちの少なく
    とも1種類のユニットを有するポリヒドロキシアルカノ
    エートを含有してなることを特徴とする荷電制御剤。 【化39】 (ただし、nは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  30. 【請求項30】 化学式(1)に示すユニット以外に、化
    学式(2)及び(3)に示すユニットをそれぞれ独立にある
    いは両方含む請求項29に記載の荷電制御剤。 【化40】 (y及びzは(1)で示すユニットと独立して化学式中に示
    した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値
    をとり得る。)
  31. 【請求項31】 粉粒体の荷電状態を制御する荷電制御
    剤において、化学式(12)に示すユニットのうちの少な
    くとも1種類のユニットを有するポリヒドロキシアルカ
    ノエートを含有してなることを特徴とする荷電制御剤。 【化41】 (ただし、xは1〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)
  32. 【請求項32】 化学式(12)に示すユニット以外に、
    化学式(2)及び(3)に示すユニットをそれぞれ独立にあ
    るいは両方含む請求項31に記載の荷電制御剤。 【化42】 (y及びzは(1)で示すユニットと独立して化学式中に示
    した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値
    をとり得る。)
  33. 【請求項33】 前記粉粒体が静電荷像現像トナーであ
    る請求項29から32の何れかに記載の荷電制御剤。
  34. 【請求項34】 前記ポリヒドロキシアルカノエートの
    数平均分子量が、1,000から500,000の範囲で
    ある請求項29から33の何れかに記載の荷電制御剤。
  35. 【請求項35】 静電荷像現像トナーで用いられるトナ
    ーバインダーにおいて、請求項29から34の何れかに
    記載の荷電制御剤を含有してなることを特徴とするトナ
    ーバインダー。
  36. 【請求項36】 静電荷像現像トナーにおいて、少なく
    とも、バインダー樹脂と着色剤と、請求項29から34
    の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなることを特徴
    とする静電荷像現像トナー。
  37. 【請求項37】 外部より帯電部材に電圧を印加して静
    電潜像担持体に帯電を行なう工程と、帯電された静電潜
    像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静
    電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担
    持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナ
    ー像を被記録材へ転写する転写工程と、被記録材上のト
    ナー像を加熱定着する定着工程とを少なくとも有する画
    像形成方法において、 少なくとも、バインダー樹脂と、着色剤と、請求項29
    から34の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静
    電荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成
    方法。
  38. 【請求項38】 外部より帯電部材に電圧を印加して静
    電潜像担持体に帯電を行なう工程と、帯電された静電潜
    像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静
    電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担
    持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナ
    ー像を中間の転写体に転写する第1の転写工程と、該中
    間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転
    写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着工
    程とを少なくとも有する画像形成方法において、 少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、請求項29か
    ら34の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静電
    荷像現像トナーを使用することを特徴とする請求項37
    に記載の画像形成方法。
  39. 【請求項39】 外部より帯電部材に電圧を印加して静
    電潜像担持体に帯電を行なう手段と、帯電された静電潜
    像担持体に静電荷像を形成する手段と、該静電荷像を静
    電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担
    持体上に形成する現像手段と、静電潜像担持体上のトナ
    ー像を被記録材へ転写する転写手段と、被記録材上のト
    ナー像を加熱定着する定着手段とを少なくとも有する画
    像形成装置において、 少なくとも、バインダー樹脂と、着色剤と、請求項29
    から34の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静
    電荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成
    装置。
  40. 【請求項40】 外部より帯電部材に電圧を印加して静
    電潜像担持体に帯電を行なう手段と、帯電された静電潜
    像担持体に静電荷像を形成する手段と、該静電荷像を静
    電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担
    持体上に形成する現像手段と、静電潜像担持体上のトナ
    ー像を中間の転写体に転写する第1の転写手段と、該中
    間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転
    写手段と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着手
    段とを少なくとも有する画像形成装置において、 少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、請求項29か
    ら34の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静電
    荷像現像トナーを使用することを特徴とする請求項39
    記載の画像形成装置。
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