JP2003012737A - グラフト化ポリエチレンの製造方法およびその組成物並びに積層体 - Google Patents
グラフト化ポリエチレンの製造方法およびその組成物並びに積層体Info
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Abstract
率の不飽和カルボン酸またはその誘導体によるグラフト
化ポリエチレンの製造方法、および該グラフト化ポリエ
チレンを用いた接着強度に優れた樹脂組成物、および該
樹脂組成物を用いた積層体を提供する。 【解決手段】 造粒前のポリエチレン粉末100重量部
に対して、粉末状の不飽和カルボン酸またはその誘導体
0.05〜3.5重量部と、ラジカル開始剤0.005〜
0.5重量部を加え、単軸混練機を用いて溶融混練す
る。この接着性樹脂組成物を用いた多層製品は、高品質
で、しかも成形速度が速い、あるいは成形温度が低いな
ど、接着性樹脂により厳しい条件で製造される多層製品
にも好適である。
Description
ゲルなどが少なく、かつ付加率が高い不飽和カルボン酸
またはその誘導体のポリエチレンへのグラフト化方法と
該グラフト化ポリエチレンを用いた接着性樹脂組成物、
および該接着性樹脂組成物からなる層を少なくとも一層
用いた積層体に関する。
きく、耐薬品性、耐腐食性が有り、安価である等という
理由から、射出成形、押出成形、吹込成形などによっ
て、フィルム、容器、ブロー瓶などに成形され、広範囲
な用途に使用されている。さらに、ガスバリアー性樹脂
など特定の基材と積層することにより、上記特性に加え
てガス遮断性を有する容器とすることが可能となる。し
かし、これら積層に際して、ポリエチレン樹脂は分子内
に極性基を持たないので、他の合成樹脂や金属、木材な
どの異種接着材料への接着性がきわめて低い。そこで、
これを改良するため、ポリエチレンに不飽和カルボン酸
またはその誘導体をグラフト化付加して、接着性を付与
する方法がある。このグラフト化方法としては、芳香族
溶媒に溶解して低温で反応を行う溶液法や、押出機を用
い高温短時間で行う溶融法などがある。
は製造工程が長く複雑で、単位時間当たりの収量も少な
いためコストが高く、廉価な溶融法は反応中にポリエチ
レンのゲル化やフィッシュアイが生じたり、未反応の不
飽和カルボン酸が残ることで、装置の腐食を生じたりし
て、高品質なものを得るのは困難であった。これに対
し、特開平04-202202号公報には、溶融グラフト化反応
を行った変性ポリオレフィンを有機溶剤で洗浄する方法
が提案されているが、製造コストという意味では依然と
して比較的高価なものとなる。また、特開2000-290313
号公報では、8メッシュオンの成分量が10重量%以下
であるエチレン系重合体成分と不飽和カルボン酸または
その誘導体とラジカル開始剤を二軸押出機により溶融混
練して反応させる方法が提案されているが、これでもグ
ラフト化ポリエチレンの品質(ゲルやフィッシュアイ)
は十分なものといえない。このような問題に加えて、近
年特に、コンビニエンスストアの増加や資材リサイクル
の強化などにより、従来の金属製容器やガラス容器など
から、便利で軽く品質保持性がよいバリアー性多層包装
材への転換が加速されており、さらに、近年の消費者意
識の高まりもあって、これら多層包装材料に対しては、
層剥離やゲルやフィッシュアイなどの外観異状がなく、
しかも廉価であることがより強く要求されるようになっ
た。これに対応するため、高品質でかつ高速成形でも十
分な接着強度を示す接着性樹脂の要求が高くなってい
る。
たもので、廉価な溶融法を用いて、高品質でかつ高付加
率の不飽和カルボン酸またはその誘導体によるグラフト
化ポリエチレンの製造方法、および該グラフト化ポリエ
チレンを用いた接着強度に優れた樹脂組成物、および該
樹脂組成物を用いた積層体を提供することを目的とす
る。
法の欠点を改良するために鋭意検討した結果、熱履歴が
少ないエチレン重合装置から得られる造粒前のポリエチ
レン粉末を原料として、同じく粉末状の不飽和カルボン
酸またはその誘導体を用い、ラジカル開始剤を加え、単
軸押出機で実測樹脂温度250℃以上の温度で溶融混練
することで、ゲルやフィッシュアイが少なく、かつ高付
加率のグラフト化ポリエチレンが得られることを見出し
た。即ち、本発明のグラフト化ポリエチレンの製造方法
は、造粒前のポリエチレン粉末100重量部に対して、
粉末状の不飽和カルボン酸またはその誘導体0.05〜
3.5重量部と、ラジカル開始剤0.005〜0.5重量
部を加え、単軸混練機を用いて溶融混練することを特徴
とするものである。この際、樹脂温度が250〜310
℃の範囲で溶融混練することが望ましい。ここで、造粒
前のポリエチレン粉末とは、スラリープロセスによる高
密度ポリエチレン製造装置、スラリープロセスによる線
状低密度ポリエチレン製造装置、溶液プロセスによる高
密度ポリエチレン製造装置、溶液プロセスによる線状低
密度ポリエチレン製造装置、気相プロセスによる高密度
ポリエチレン製造装置、または気相プロセスによる線状
低密度ポリエチレン製造装置から得られたものが好適で
ある。また、粉末状の不飽和カルボン酸またはその誘導
体は、不飽和カルボン酸またはその誘導体を乳鉢、ある
いは機械式粉砕機により粉砕処理されたものが適用でき
る。粉末状の不飽和カルボン酸またはその誘導体は、J
IS K0069の乾式によるふるい分け方法によって
測定される粒径が20メッシュオンの成分量が30重量
%以下であるものが望ましい。本発明のポリエチレン系
組成物は、上記方法により得られたグラフト化ポリエチ
レン、または該グラフト化ポリエチレンと未変性ポリエ
チレン、または該グラフト化ポリエチレンと未変性ポリ
エチレンとゴムなどの低結晶性樹脂からなることを特徴
とするものである。また、本発明のポリエチレン系組成
物は、脂肪族金属塩の含有量が100重量ppm未満で
あることが望ましい。本発明の積層体は、上記ポリエチ
レン系組成物からなる層が少なくとも一層設けられてい
ることを特徴とするものである。
チレンとして、エチレンを重合させてポリエチレンをつ
くる製造装置から得られる造粒前のポリエチレン粉末を
用いる。ポリエチレンのゲルやフィッシュアイはポリエ
チレンに熱履歴をかけることにより生成する劣化カルボ
ニルあるいはその前駆体によるものが多く、造粒工程に
おける熱履歴を除くことで、より高品位な原料ポリエチ
レンが得られる。また、粉末状ポリエチレンを用いるこ
とで、不飽和カルボン酸またはその誘導体との接触効率
が増加し、反応効率が増すことにより、未反応の不飽和
カルボン酸またはその誘導体を低減し、それに由来する
ゲルや着色物の発生を抑制できる。ポリエチレン製造装
置とは、スラリープロセスによる高密度ポリエチレン製
造装置、スラリープロセスによる線状低密度ポリエチレ
ン製造装置、溶液プロセスによる高密度ポリエチレン製
造装置、溶液プロセスによる線状低密度ポリエチレン製
造装置、1気相プロセスによる高密度ポリエチレン製造
装置、気相プロセスによる線状低密度ポリエチレン製造
装置等が挙げられ、これらの製造装置から得られる高密
度ポリエチレン粉末、線状低密度ポリエチレン粉末など
が好適に使用できる。
発明では、不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフ
ト重合させる。用いる不飽和カルボン酸またはその誘導
体としては、JIS K0069の乾式によるふるい分
け方法によって測定される粒径が20メッシュオンの成
分量が30重量%以下であることが望ましい。20重量
%以下であればより好ましく、さらに好ましくは15重
量%、更により好ましくは10重量%以下である。この
ような微細な不飽和カルボン酸またはその誘導体を用い
ることにより、溶融混練時のポリエチレンとの接触効率
が上がり、反応効率が増し、未反応の不飽和カルボン酸
またはその誘導体を低減させ、それに由来するゲルや着
色物の発生を抑制することができる。ここで、20メッ
シュオンの成分量が30重量%を超えると、未反応分の
増加や、ゲル/フィッシュアイの増加、生成物の着色と
いった現象が生じ易くなる。従って、タブレット状無水
マレイン酸、あるいはクリスタル無水マレイン酸と呼ば
れている顆粒状無水マレイン酸のまま使用しては、本発
明の高品質のグラフト化物は得られない。このような粉
末状不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、市販
されている通常の不飽和カルボン酸またはその誘導体を
乳鉢あるいは機械式粉砕機により所定粒径に粉砕したも
のを用いることができる。即ち、通常の無水マレイン酸
製品タブレットを乳鉢あるいは機械式粉砕機で粉砕する
ことで適用できる。粉砕は使用直前でもよいし、あるい
はあらかじめ粉砕し密閉容器に保管しておき、直前に開
封して使用しても良い。
は、一塩基性不飽和カルボン酸、二塩基性不飽和カルボ
ン酸、ならびに、これらの金属塩、アミド、イミド、エ
ステルおよび無水物が挙げられる。一塩基性不飽和カル
ボン酸の炭素数は、多くとも20個、好ましくは15個
以下であり、この誘導体の炭素数は、多くとも20個、
好ましくは15個以下である。また、二塩基性不飽和カ
ルボン酸の炭素数は、多くとも30個、好ましくは25
個以下であり、この誘導体の炭素数は、多くとも30
個、好ましくは25個以下である。これら不飽和カルボ
ン酸およびその誘導体の中でも、アクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸およびその無水物、5−ノルボルネン
−2,3−ジカルボン酸およびその無水物、ならびにメ
タクリル酸グリシジルが好ましく、特に無水マレイン
酸、5−ノルボルネン酸無水物が、得られる接着性組成
物の接着性が優れることから好適である。
られるラジカル開始剤としては、ジクミルパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオ
キサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ラウ
ロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、ジクミルパーオキシドなどの有機過酸化物が挙げ
られる。これらの中でも、半減期一分を得るための分解
温度が、160〜200℃のものが好ましい。分解温度
が低すぎるとポリエチレンが十分可塑化しないうちに分
解反応が始まるため、付加率が低い上にゲルやフィッシ
ュアイが多くなり、分解温度が高すぎると、反応が完結
せず、未反応の不飽和カルボン酸およびその誘導体の量
が多くなる。
軸押出機を用いて行うことが必要である。その際、樹脂
温度250〜310℃の範囲で溶融混練することが望ま
しい。ラジカル開始剤を用いたポリエチレンへの反応
は、グラフト化付加反応とポリエチレンの架橋が並行し
て行われるが、溶融混練時の樹脂温度を250℃以上に
することで、ポリエチレンの架橋を抑え、高付加率を実
現する。すなわち、樹脂温度が250℃未満では、ポリ
エチレンの微架橋によるフィッシュアイが多くなり、品
質が低下する。他方、樹脂温度が310℃を超えると、
ポリエチレン自体の劣化が加速されるため、焼けやゲル
が増え、これも品質を低下させる。また、このような高
温で反応を行うため押出機内への空気の混入はできるだ
け抑える必要があり、また押出機内への樹脂の長期滞留
も抑制しなければならない。このため、空隙容積の少な
い単軸押出機の使用は必須である。空隙容積が大きく、
かつ、より複雑な機構をもつ二軸押出機では残留空気に
よるポリエチレン架橋に由来するフィッシュアイや、同
じく酸化劣化ゲル、および滞留劣化ゲルなどが多くなり
好ましくない。単軸であれば、押出機のその他の仕様に
ついてはとくに制限されないが、できるだけ樹脂が滞留
しにくい周知の種々の構造のものが望ましい。
ても詳述する。押出機に付属するヘンシェルミキサーに
ポリエチレン粉末、不飽和カルボン酸またはその誘導体
粉末、およびラジカル開始剤をいれて混合し、押出機の
ホッパーにいれ溶融混練を開始する。この際、よりゲル
やフィッシュアイが少ないグラフト化ポリエチレンを得
るためには、まず、ヘンシェルミキサーにポリエチレン
粉末を入れ、さらにラジカル開始剤を入れ軽く混合した
後、不飽和カルボン酸またはその誘導体粉末をくわえて
混合することが、好ましい。よけいな副反応を抑えポリ
エチレンのグラフト化反応を優先させるために、他の成
分の添加は好ましくない。たとえば、酸化防止剤の添加
は、酸化防止剤と不飽和カルボン酸またはその誘導体が
反応する副反応が生じる可能性がある。ただし、透明性
を向上する目的で、エチレンプロピレンゴムやエチレン
ブテンゴムの添加は20重量%以内の範囲で認められ
る。
びラジカル開始剤の配合量は、通常オレフィン重合体1
00重量部に対して、不飽和カルボン酸またはその誘導
体は0.05〜3.5重量部、好ましくは、0.1〜2
重量部、より好ましくは0.1〜1.2重量部である。
0.05重量部未満では本来の目的である接着性に十分
なものが得られず、3.5重量部以上では未反応成分が
増えるため好ましくない。
チレン100重量部に対して0.005〜0.5重量
部、より好ましくは0.01〜0.03重量部の範囲で
使われる。0.005重量部以下ではグラフト化付加が
十分に行われず、0.5重量部を超えると、フィッシュ
アイやゲルが多くなる。
カル開始剤の比率は、通常、60/1から10/1の範
囲で使われる。ラジカル開始剤の量が少なくなりすぎる
と未反応成分が増え、ラジカル架橋剤の量が多くなりす
ぎると、フィシュアイやゲルが多くなる。
製造されたグラフト化ポリエチレンの190℃における
メルトフローレート(以下、MFR)は0.1〜20g
/分であり、グラフト化された不飽和カルボン酸または
その誘導体量は、0.05〜1.0重量部となる。
>上記の方法で製造されたグラフト化ポリエチレンは、
そのままでも優れた品質の接着性樹脂組成物となるが、
他の未変性樹脂、軟質樹脂、および酸化防止剤などの添
加剤とブレンドすることが一般的である。例えば、未変
性ポリエチレン、またはグラフト化ポリエチレンと未変
性ポリエチレンとゴムなどの低結晶性樹脂からなる組成
物とすることができる。未変性樹脂として、高密度ポリ
エチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリ
エチレン、高圧法低密度ポリエチレン等が挙げられ、い
わゆるメタロセン触媒で得られるポリエチレンも使用で
きる。軟質樹脂としては、エチレンプロピレンゴムやエ
チレンブテンゴムなどが好適に挙げられる。また、熱安
定性を向上するための酸化防止剤のほか抗ブロッキング
剤、スリップ剤なども適宜用途に応じて入れられる。さ
らに、酸吸収剤が用いられるが、ステアリン酸カルシウ
ムやステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩は、不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体と反応し、接着性を低下させ
たり、ゲルやフィッシュアイを増やすため好ましくな
く、いわゆる固体塩基であるハイドロタルサイトなどが
用いられる。ハイドロタルサイトとして、協和化学工業
(株)のDHT4Aなどが、一般的である。従って、ス
テアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩を使用する場
合は100ppm未満に、好ましくは、50ppm以下、
さらに好ましくは蛍光エックス線分析などでの検知限界
以下にすることが高接着強度と高品質を実現するために
重要である。
を少なくとも一層用いる積層体>本出願の組成物を接着
層に用いた積層体として、ポリアミドあるいはエチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物をバリアー層として用い
た多層フィルム、多層シート、多層チューブ、および多
層容器など多くが挙げられるが、接着強度が高く、ゲル
やフィッシュアイが少ないことから、高速成形や高品質
を要求される用途に好適に使用される。
カル開始剤を用意した。各実施例、比較例で用いたポリ
エチレンを表1に示す。また、ポリエチレン粉末の粒径
を一例を表2に示す。但し、本発明の趣旨は、造粒前の
ポリエチレン粉末を使用することにあり、粒径は参考に
すぎない。
粉末、顆粒状無水マレイン酸、無水マレイン酸タブレッ
トについて粒径分布を表3に示す。
粒度分布は、JIS Z8801に規定された網ふるい
を用いて、乾式によりふるい分け、それぞれのふるいの
上に残る試料の重量を測定して求めた。
以外では、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン(ラジカル開始剤1)を使用し、実
施例8及び比較例5では、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(ラジカル開始
剤2)を使用した。
てグラフト化ポリエチレンを製造した。即ち、実施例1
では、気相法LLDPE製造装置より得られたLLDP
E(1)粉末(MFR=7g/10分、密度=0.923
g/cm3)を100重量部に対し、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを0.01
5重量部加え、ヘンシェルミキサーで一分間混合し、次
に、上記した無水マレイン酸粉末を0.8重量部加え、
2分間混合した後、単軸押出機(ナカタニ(株)製「V
C−90」、スクリュー径 90mm、L/D=32)
を用いて表5に示す条件で、溶融混練を行った。得られ
たグラフト化ポリエチレンのMFRは3.5g/10分、
無水マレイン酸付加率(表中では、MAH量と記す)は
0.52wt%、未反応無水マレイン酸は0.01wt%
であった。また、これを用いて配合した接着性樹脂組成
物の対EVOH接着強度は、820g/15mmと優れ
ていた。
6の各グラフト化ポリエチレンを製造した。即ち、実施
例2では、スラリー法HDPE製造装置より得られたH
DPE粉末(MFR=0.8g/10分、密度=0.956
g/cm3)を使用した。実施例3では、気相法LLD
PE製造装置より得られたポリエチレン粉末(MFR=
0.8g/10分、密度=0.928g/cm3)を用い
た。実施例4では、スラリー法HDPE製造装置より得
られたHDPE粉末(MFR=0.8g/10分、密度=
0.956g/cm3)と同じくスラリー法LLDPE製
造装置より得られるLLDPE(2)粉末(MFR=
0.8g/10分、密度=0.928g/cm3)を85:
15の重量比率で混合して使用した。実施例5では、ス
ラリー法HDPE製造装置より得られたHDPE粉末
(MFR=0.8g/10分、密度=0.956g/c
m3)と同じくスラリー法LLDPE製造装置より得ら
れるLLDPE(2)粉末(MFR=0.8g/10分、
密度=0.928g/cm3)を56:44の重量比率で
混合して使用した。実施例6では、実施例1で用いたL
LDPE(1)粉末(MFR=7g/10分、密度=0.
923g/cm3)とエチレンブテン共重合体(日本合
成ゴム(株)製「EBM1041P」)を85:15の
比率でブレンドして原料とした。実施例7,8では、気
相法LLDPE製造装置より得られたLLDPE(3)
粉末(MFR=4g/10分、密度=0.930g/c
m3)を用いた。実施例9、10は、実施例1と同じL
LDPE(1)粉末を用い、表5に記載の条件で溶融混
練しした。実施例11、12は実施例1と同じである。
比較例1,2は、実施例1と同じLLDPE(1)粉末
を用いるが、顆粒状無水マレイン酸または無水マレイン
酸タブレットを使用した。また、比較例3では、実施例
1で用いたLLDPE(1)粉末(MFR=7g/10
分、密度=0.923g/cm3)を、通常の造粒工程で
ペレット化したものを使用した。比較例4では、このペ
レットを機械粉砕し、20メッシュONが1wt%以下
になるようにした粉砕ポリエチレンを使用した。比較例
5では、二軸混練装置(池貝(株)製「PCM−8
7」、スクリュー径87mm(2本)、L/D=30)
を使用した。比較例6は実施例4と同じ原料を用いる
が、顆粒状無水マレイン酸を用いた。
た。
R、無水マレイン酸グラフト付加率(全付加率(MAH
率)、再沈後付加率(再沈MAH率))を測定し、表8
中に示した。全付加率は、混練機にて押し出されカッテ
ィングされたグラフト化ポリエチレンペレットを用い、
赤外吸収スペクトル法にて測定した。再沈後付加率は、
上記ペレットを、1Lのセパルブルフラスコにいれ、1
00度以上に加熱したキシレンにより完全に溶解させ
た。次に、大量のアセトンを滴下し、回収したポリエチ
レンペレットをアセトンで洗浄し、乾燥後、赤外吸収ス
ペクトル法にて測定した
て下記条件で50μm厚みの単層フィルムを成形し、核
の大きさが200〜500μmのものを「中」、500
μm以上のものを「大」として、0.1m2あたりの個数
を目視で測定し(n=3)、フィッシュアイ、ゲルの評
価を行った。評価結果を表8に示した。 50mmφノンベント式フィルム成形機: ナカタニ(株)製「VSK押出機」、L/D = 24 スクリュー:フルフライトタイプ ダイス:300mm巾単層Tダイ 測定用フィルム膜厚 50μm
で溶融ブレンドし、グラフト化ポリエチレンを希釈した
接着性樹脂組成物を製造した。 上記得られた各グラフト化ポリエチレン ・・・ 25wt% ・LLDPE(MFR=15g/10分、密度=0.925g/cm3) ・・・ 50wt% ・EPRゴム(日本合成ゴム(株)製「EP01Y」) ・・・ 25wt%
加剤処方1で、実施例11は添加剤処方2を、実施例1
2は添加剤処方3を用いた。 [添加剤処方1] フェノール系酸化防止剤: ・ イルガノックス1010(チバスペシャルケミストリィ(株)製) ・・・ 0.10重量部 ・ イルガノックス1076(チバスペシャルケミストリィ(株)製) ・・・ 0.07重量部 リン系酸化防止剤: ・ イルガフォス168(チバスペシャルケミストリィ(株)製) ・・・ 0. 11重量部 酸吸収剤: ・ハイドロタルサイト(協和化学工業(株) 商品名:DHT4A) ・・・ 0.05重量部 [添加剤処方2] フェノール系酸化防止剤: ・ イルガノックス1010(チバスペシャルケミストリィ(株)製) ・・・ 0.10重量部 ・ イルガノックス1076(チバスペシャルケミストリィ(株)製) ・・・ 0.07重量部 リン系酸化防止剤: ・ イルガフォス168(チバスペシャルケミストリィ(株)製) ・・・ 0. 11重量部 酸吸収剤: ・ ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製) ・・・0.03重量部 [添加剤処方3] フェノール系酸化防止剤: ・ イルガノックス1010(チバスペシャルケミストリィ(株)製) ・・・ 0.10重量部 ・ イルガノックス1076(チバスペシャルケミストリィ(株)製) ・・・ 0.07重量部 リン系酸化防止剤: ・ イルガフォス168(チバスペシャルケミストリィ(株)製) ・・・ 0. 11重量部 酸吸収剤: ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製) ・・・ 0.1重量部
mm押出機2台と、40mm押出機1台と300mm巾
のTダイスからなる3種5層多層フィルム成形機を用い
て以下の仕様の3種5層フィルムを成形した。 成形温度:230℃ 層構成:LLDPE(日本ポリオレフィン(株)製「A
C481R」)/上記接着性樹脂組成物/EVOH(ク
ラレ(株)製「F101B」)/上記接着性樹脂組成物
(第2層と同じ)/LLDPE(第1層と同じ) 全膜厚:100μm 各層厚み(μm):35/10/10/10/35 引取り速度:13m/分 チルロール温度:25℃
mm巾に切出し、テンシロン引張装置を用い、23℃雰
囲気下で、300mm/分の速度で、T剥離法によりチ
ルロール側の接着性樹脂層/EVOH層間の接着強度を
測定した。
カルボン酸またはその誘導物グラフト化ポリエチレン
は、付加率が高く、未反応酸分やフィッシュアイ、ゲル
が少ないという特徴を有し、これを用いた接着性樹脂組
成物の接着強度は優れていた。対して、顆粒状の無水マ
レイン酸を用いた比較例1、タブレット状無水マレイン
酸を用いた比較例2、ペレット状のLLDPEを用いた
比較例3、機械粉砕したLLDPEを用いた比較例4、
二軸混練装置を用いた比較例5、顆粒状の無水マレイン
酸を用いた比較例6では、いずれもフィッシュアイの発
生数が多く、フィルムの品質が低かった。尚、溶融混練
時の樹脂温度が250〜310℃から外れる実施例9、
10はフィッシュアイが比較的多かった。また、希釈配
合にステアリン酸カルシウムを用いた実施例11、12
は、フィッシュアイや未反応MAHは少ないが、接着強
度は、合成ハイドロタルサイト(DHT4A)を用いた
樹脂組成物にくらべ低い値であった。
て、高品質なグラフト化ポリエチレンを製造できる。即
ち、本発明の方法により製造されるグラフト化ポリエチ
レンは、高付加率で、未反応酸分やゲルやフィッシュア
イが少ない。しかも、このグラフト化ポリエチレンを用
いた接着性樹脂組成物の接着強度は高い。従って、この
接着性樹脂組成物を用いた多層製品は、高品質を要求さ
れ、しかも成形速度が速い、あるいは成形温度が低いな
ど、接着性樹脂により厳しい条件で製造される、ポリア
ミドあるいはエチレン・ビニルアルコールケン化物を用
いた多層製品にも好適に使用される。
Claims (8)
- 【請求項1】 造粒前のポリエチレン粉末100重量部
に対して、粉末状の不飽和カルボン酸またはその誘導体
0.05〜3.5重量部と、ラジカル開始剤0.005〜
0.5重量部を加え、単軸混練機を用いて溶融混練する
ことを特徴とするグラフト化ポリエチレンの製造方法。 - 【請求項2】 樹脂温度が250〜310℃の範囲で溶
融混練することを特徴とする請求項1記載のグラフト化
ポリエチレンの製造方法。 - 【請求項3】 前記造粒前のポリエチレン粉末とは、ス
ラリープロセスによる高密度ポリエチレン製造装置、ス
ラリープロセスによる線状低密度ポリエチレン製造装
置、溶液プロセスによる高密度ポリエチレン製造装置、
溶液プロセスによる線状低密度ポリエチレン製造装置、
気相プロセスによる高密度ポリエチレン製造装置、また
は気相プロセスによる線状低密度ポリエチレン製造装置
から得られた少なくとも1種であることを特徴とする請
求項1または2記載のグラフト化ポリエチレンの製造方
法。 - 【請求項4】 前記粉末状の不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体は、不飽和カルボン酸またはその誘導体を乳
鉢、あるいは機械式粉砕機により粉砕処理されたもので
あることを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記
載のグラフト化ポリエチレンの製造方法。 - 【請求項5】 前記粉末状の不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体は、JISK0069の乾式によるふるい分け
方法によって測定される粒径が20メッシュオンの成分
量が30重量%以下であることを特徴とする請求項1〜
4のいずれかに記載のグラフト化ポリエチレンの製造方
法。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法に
より得られたグラフト化ポリエチレン、または該グラフ
ト化ポリエチレンと未変性ポリエチレン、または該グラ
フト化ポリエチレンと未変性ポリエチレンと低結晶性樹
脂からなることを特徴とするポリエチレン系組成物。 - 【請求項7】 脂肪族金属塩の含有量が100重量pp
m%未満であることを特徴とする請求項6記載のポリエ
チレン系組成物。 - 【請求項8】 請求項6または7に記載のポリエチレン
系組成物からなる層が少なくとも一層設けられているこ
とを特徴とする積層体。
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JP2006032308A (ja) * | 2003-09-29 | 2006-02-02 | Du Pont Mitsui Polychem Co Ltd | 色素増感型太陽電池スペーサー |
-
2001
- 2001-06-27 JP JP2001194851A patent/JP4454889B2/ja not_active Expired - Lifetime
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