JP2003011282A - 加飾シート、その製造方法、及びそれを用いた基材の加飾方法 - Google Patents

加飾シート、その製造方法、及びそれを用いた基材の加飾方法

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JP2003011282A
JP2003011282A JP2001197818A JP2001197818A JP2003011282A JP 2003011282 A JP2003011282 A JP 2003011282A JP 2001197818 A JP2001197818 A JP 2001197818A JP 2001197818 A JP2001197818 A JP 2001197818A JP 2003011282 A JP2003011282 A JP 2003011282A
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Kazuhiro Suga
和宏 須賀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂の裏面シートと表面シート間に
装飾層と接着剤層を持つ加飾シートを基材に貼着時に、
カールを防ぎ皺を無くす。 【解決手段】 加飾シートSは、例えば、熱可塑性樹脂
シートの裏面シート1、接着剤層2、装飾層3、透明な
熱可塑性樹脂シートの表面シート4の積層構成にて、常
温且つ無張力状態にて加熱で減少するカールを付与させ
ておく。これには、裏面シートと表面シートの積層時に
裏面シートを加熱しておくと良い。例えば、表面シート
に2軸延伸PET、裏面シートにPOを用いて、裏面凹
面のカールを付与しておけば、皺が目立ち易かった鏡面
性を容易且つ良好に付与できる。基材Bへ加飾シートを
貼着時は、加飾シートを接着剤塗布後、加熱すれば、加
飾シートのカールは無くなり平坦化した状態で貼着で
き、皺の無い加飾物品Mが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材に貼着して基
材表面を加飾する用途に用いる加飾シートと、その製造
方法、該加飾シートよる基材の加飾方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、基材の加飾方法として、例え
ば、住宅内装材、キッチン扉表面材、キッチンバックパ
ネル、浴室壁面材等の用途で、それらの基材表面に加飾
シート(或いは化粧シートとも呼ばれている)を貼り合
わせることで、基材を加飾する事が、従来から広く行わ
れている。この様な加飾シートとしては、用途に応じ
て、紙系、樹脂系、金属系等からなる基材シートに絵柄
印刷層等の装飾層を適宜形成する等したシートが使用さ
れている。
【0003】そして、表面の透明性、装飾層の耐摩耗性
が必要な場合には、装飾層の表面側は、透明な熱可塑性
樹脂からなる表面シートを設けたりする。一方、加飾シ
ート裏面側に装飾層が露出していると、加飾シート貼着
時等のシート取り扱い時に装飾層が傷付くので、装飾層
保護等の目的で、熱可塑性樹脂からなる裏面シートを設
けたりする。なお、裏面シートは、基材表面色等の隠蔽
目的で着色隠蔽性とすることもある。
【0004】この様な、装飾層を裏面シートと表面シー
トとで挟んだ構成の加飾シートを製造するには、装飾層
は表面シート裏面、或いは裏面シート表面等に印刷等で
形成後、どちらかのシートの貼り合わせ面に接着剤を塗
布後、その溶剤分を加熱乾燥した状態で、接着剤の熱融
着による初期接着する所謂ドライラミネーション法によ
って製造することができる。
【0005】また、要求される意匠にもよるが、表面艶
が無い加飾シートでは、意匠性が単一になり易く、塗装
感、高級感に欠ける。そこで、表面に鏡面性を付与する
場合には、表面シートとしては、鏡面性、透明性に優れ
ている他に更に、耐擦傷性、耐薬品性等の表面物性にも
優れている点で、例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートシート等のポリエステル樹脂シート等が使用さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、間に装飾層
を挟んで裏面シートと表面シートとを使った加飾シート
は、加飾シートに塗布した接着剤活性化の為に、基材に
ラミネート直前に加飾シートを加熱すると、裏面シート
と表面シートとの熱膨張率差によって、加飾シートにカ
ールが発生し、該カールによって、ラミネート後の加飾
物品表面に皺が発生し、外観不良となることがあった。
このカールによる皺は、ラミネートローラによる場合
も、平圧プレス機による場合でも発生した。また、カー
ル発生による皺は、特に、加飾シートの厚みが薄いと顕
著であり、また鏡面性を付与する場合に目立ち易かっ
た。
【0007】なお、ポリエステル樹脂等による表面シー
トは、鏡面性、塗装感の点では、その厚さが350μm
以上の厚手のシートが好ましい。しかし、そうなると、
シートが高価となる。また、加飾シートを巻き取ったロ
ールの1巻当たりの巻数が少なく、ロール交換が頻繁に
なり、その分、連続帯状のシートの最初と最後の使用で
きない部分のロスの割合が多くなり、商品コスト高の要
因となる。また、装置的にも、大ロール径のロールを取
り扱える様にするには、設備費の増加にもなる上、ラミ
ネート後の不要部分の加飾シートを取り除くトリミング
加工等の後工程にも、厚みが厚くなった分、それ相応の
設備が必要となる。さらに、冬場は、加飾シートが冷た
くなっており、加飾シートに塗工した接着剤が、厚みの
厚い加飾シートの冷熱で冷やされる為、基材との密着性
が低下する。この様に、鏡面性、塗装感付与の為には、
表面シートの厚みは厚いほど良いが、現実的には、上記
の如き種々の問題があり、なるべく薄い表面シートを使
うのが好ましかった。しかし、一方では、あまりにも厚
みが薄くなると、カール発生による皺が生じ易い上、目
立ち易く、薄くするにも限界があった。
【0008】すなわち、本発明の課題は、熱可塑性樹脂
の裏面シートと表面シート間に装飾層を有する構成の加
飾シートにて、基材面をラミネートする際に、カール発
生による皺を生じさせない様にすることである。そし
て、本発明は、それを実現できる、加飾シート、及びそ
の製造方法、また該加飾シートによる基材の加飾方法を
提供することである。また、これらを、鏡面性、塗装感
を付与できる加飾シートでも実現することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の加飾シートでは、裏側から順に、熱可
塑性樹脂シートから成る裏面シート、装飾層、透明な熱
可塑性樹脂シートから成る表面シートが積層されて成る
加飾シートにおいて、常温、且つ無張力状態にて、加熱
すると減少するカールを付与させてある構成とした。
【0010】この様な構成とすることで、加飾シート貼
着時に加飾シートが加熱されると、予め付与しておいた
カールは解消又は略解消し、加飾シートが基材に押し付
けられて接するときには、加飾シートを平坦化できる為
に、貼着時のカール発生によって起きていた皺は生じな
い。従って、皺の無い外観良好な加飾物品が得られる加
飾シートとなる。
【0011】また、本発明の加飾シートは、上記構成に
おいて、更に、裏面シートがポリオレフィン系樹脂シー
トから成り、表面シートが2軸延伸ポリエステル樹脂シ
ートから成り、裏側が凹面を成す向きのカールが付与し
てある構成とした。
【0012】この様な構成とすることで、特に、鏡面
性、塗装感に加え、耐擦傷性、耐薬品性等の表面物性も
優れた加飾シートでも、基材貼着時にカールによる皺発
生が無い加飾シートとなる。
【0013】また、本発明の加飾シートの製造方法は、
上記いずれかの加飾シートを製造する方法であって、表
面シート裏面、裏面シート表面の何れか一方又は両方に
装飾層を形成した後、該表面シートと裏面シートとを、
間に接着剤を挟んでラミネートする際に、裏面シートを
加熱した後に、表面シートと裏面シートとをラミネート
し、その後、常温まで冷却して、常温、且つ無張力状態
にて、加熱すると減少するカールを付与させておく様に
した。
【0014】この様な製造方法とすることで、加飾シー
トに、常温且つ無張力状態にて裏面凹面となるカールを
付与することが出来、また、そのカールは、加飾シート
貼着時に加飾シートが加熱されると、解消又は略解消
し、加飾シートを平坦化できる様なカールとなる。従っ
て、基材貼着時にカールによる皺発生が無い加飾シート
が得られる。従って、前記本発明の加飾シートを容易に
得られる。
【0015】また、本発明の加飾シートを用いた基材の
加飾方法は、加飾シートを基材に貼着することで該基材
を加飾する加飾方法において、加飾シートに前記いずれ
かの本発明の加飾シートを用い、該加飾シートを基材に
圧接する前に、加飾シートを加熱して該加飾シートのカ
ールを解消又は略解消させ平坦化させた状態として、該
加飾シートを基材に圧接して貼り付ける様にした。
【0016】この様な加飾方法とすることで、使用前の
加飾シートは、常温の無張力状態では裏側が凹面を成す
向きで最初からカールしているが、そのカールは、加飾
シートを貼着するときは、加飾シートの加熱により解消
又は略解消させ加飾シートは平坦化させた状態として貼
着するので、従来貼着時に発生していたカールによる皺
は生じない。従って、皺の無い外観良好な加飾物品が得
られる加飾方法となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
について、実施の形態を詳述する。
【0018】概要:先ず、本発明による加飾シートSの
一形態を、図1(A)の断面図で例示する。また、本発
明の加飾方法で得られる、加飾物品Mの一形態を、図1
(B)の断面図で例示する。本発明では、図1(A)の
様に、熱可塑性樹脂シートから成る裏面シート1と、透
明な熱可塑性樹脂シートから成る表面シート4との間に
少なくとも装飾層3を有する(同図では接着剤層2も装
飾層3の裏面シート側に有する)加飾シートSに、最初
から同図に示す如く、加熱で減少するカールcを付与し
ておく。なお、カールの向きは基本的にはどちらでもよ
いが、同図のカールcは、裏面凹面となる向きの場合で
ある。そして、この加飾シートを基材に貼着して加飾す
る際に、加飾シートを加熱すると裏面シートと表面シー
トの線膨張率差によって前記カールcは戻り、加飾シー
トは平坦化した状態で基材に貼着することができるので
ある。その結果、図1(B)の断面図で例示の如く、得
られる加飾物品Mに於いては、基材B上に接着剤5を介
して積層された加飾シートSには、カール発生による皺
が生じない。この様に、本発明では、加飾シート加熱に
よるカール発生、そしてその結果生じる皺発生を、カー
ルを元(加飾シートの初期状態)から抑えこむ事で解消
するのでは無く、加飾シート貼着時のみカールが無い或
いはそれが軽度な状態とすれば、その前の状態はカール
が有っても良いとして、発想を全く変える事で実現し
た。なお、この様なカールを最初から付与した加飾シー
トを得る方法については、後で詳述する。
【0019】以下、加飾シートとその製造方法、該加飾
シートによる基材の加飾方法の順に詳述する。
【0020】加飾シートとその製造方法:本発明の加飾
シートは、熱可塑性樹脂シートによる裏面シート1と、
透明な熱可塑性樹脂シートによる表面シート4との間
に、少なくとも装飾層3を有し、更に、常温且つ無張力
状態に於いてカールcを有し且つ該カールcは加熱で減
少するカールを有するシートである。また、本発明の加
飾シートは、裏面シートと表面シートとの間には、裏面
シートと表面シートとを接着積層させる為の接着剤層等
を適宜設けてた構成のものでも良い。
【0021】〔裏面シート〕裏面シート1に用いる熱可
塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、A
BS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合体)、共重合ポリエステル樹脂等が使用できる。ま
た、裏面シートは透明でも良いが、基材色の隠蔽が必要
な場合には、裏面シートに用いる熱可塑性樹脂中には公
知の着色剤を添加して着色(隠蔽性)する。裏面シート
に用いる熱可塑性樹脂は、用途、要求物性、所望のカー
ルの具合等を考慮して、例えば上記の樹脂等の中から適
宜選択すれば良いが、なかでも、着色、コストの点から
は、ポリオレフィン系樹脂が好適である。また、ポリオ
レフィン系樹脂は、熱膨張率が比較的大きく、カールを
付与し易い点でも好ましい。裏面シートとしては、この
様な熱可塑性樹脂の樹脂シートを用いれば良い。
【0022】なお、上記ポリオレフィン系樹脂として
は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、
エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重
合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピ
レン−ブテン共重合体、ポリメチルペンテン、オレフィ
ン系エラストマー、アイオノマー等が使用される。ま
た、上記共重合ポリエステル樹脂としては、エチレン−
イソフタレート−テレフタレート共重合体、ポリエステ
ル系熱可塑性エラストマー(ハードセグメントに高結晶
で高融点の芳香族ポリエステル、ソフトセグメントには
ガラス転移温度が−70℃以下の非晶性ポリエーテル等
を使用したブロックポリマー等であり、前記高結晶性で
高融点の芳香族ポリエステルには、例えばポリブチレン
テレフタレートが使用され、上記非晶性ポリエーテルに
は、ポリテトラメチレングリコール等が使用され
る。)、完全非晶質ポリエステル(代表的なものとして
は、エチレングリコール−1,4−シクロヘキサンジメ
タノール−テレフタル酸共重合体がある。)等が使用さ
れる。
【0023】この裏面シートは、その熱膨張により、加
飾シート加熱時に、カールを減少させる方向で、加飾シ
ートを変形させる。従って、最初から付与しておいた裏
面凹面等のカールは、この裏面シートの熱膨張によっ
て、加飾シート加熱時に解消或いは略解消して、加飾シ
ートを加熱時に平坦化させることができる。この様なカ
ール挙動の点でも、ポリオレフィン系樹脂は裏面シート
の熱可塑性樹脂として、好ましい樹脂の一つである。
【0024】裏面シートの厚みは、用途、要求物性等に
応じて適宜選択するが、薄すぎると最初からのカール、
及び加熱時のカール解消というカール挙動を付与しずら
くなるので、ある程度の厚みは必要である。従って、裏
面シートの厚みは、通常は、30μm以上、好ましくは
50μm以上とするのが良い。但し、厚すぎると、かえ
って、カールの程度及び腰が強くなり過ぎてカール挙動
を制御しにくくなる他、コスト高となるので、通常20
0μm以下、好ましくは100μm以下とするのが良
い。
【0025】なお、裏面シート中には、必要に応じ適
宜、充填剤、発泡剤、難燃剤、酸化防止剤等の公知の各
種添加剤を添加しても良い。
【0026】〔表面シート〕表面シート4に用いる透明
な熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリプロピレン等の透明な樹脂使
用する。特に、コスト、透明性、耐汚染性、耐薬品性を
考慮すると、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシー
トが好ましい。なお、表面シートは透明であれば、公知
の着色剤添加で着色されていても良い。表面シートとし
ては、この様な透明な熱可塑性樹脂の樹脂シートを用い
れば良い。また、裏面シートにポリプロピレンシート等
のポリオレフィン系樹脂シートを用いた場合に、表面シ
ートには、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート
等の2軸延伸したポリエステル樹脂シートを用いる裏面
シート/表面シートの組合わせは、裏面が凹面を成す向
きで、シート加熱時に解消できるカールを予め付与し、
且つ、鏡面性、透明性に加えて、耐擦傷性、耐薬品性等
の表面物性を付与できる点で、好ましい組合わせの一つ
である。
【0027】表面シートの厚みは、用途、要求物性等に
応じて適宜選択するが、薄すぎると最初からのカール、
及び加熱時のカール解消というカール挙動を付与しずら
くなるので、ある程度の厚みは必要である。また、耐摩
耗性等の表面物性、鏡面性、塗装感等の意匠性の点で
も、ある程度以上の厚みは必要である。従って、表面シ
ートの厚みは、通常は、20μm以上、好ましくは50
μm以上とするのが良い。但し、厚すぎても、かえっ
て、カールの腰が強くなり過ぎてカール挙動を制御しに
くくなる他、コスト高となるので、通常200μm以
下、好ましくは150μm以下とするのが良い。また、
この表面シートと共に裏面シート及び他層を加えた加飾
シート全体としての総厚で、300μm以下とするの
が、カール及びコスト等の点で好ましい。
【0028】なお、表面シート中には、必要に応じ適
宜、充填剤、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、耐候剤等の公
知の各種添加剤を添加しても良い。特に、表面シートは
加飾シート表側となるので、耐候(光)性向上が要求さ
れる用途では、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収
剤、ヒンダードアミン系光安定剤のいずれか片方、好ま
しくは両方を耐候剤として添加して、耐候(光)性を向
上させる事が好ましい。添加量は両者ともに各々通常
0.1〜5質量%の範囲である。これら耐候剤は、もち
ろん、裏面シートにも使用できる。
【0029】また、表面シート、裏面シート、或いは装
飾層面には、他層との接着性向上が必要な場合は、易接
着処理を行うのが好ましい。易接着処理としては、コロ
ナ放電処理、プラズマ処理、易接着層(プライマー層或
いはアンカー層ともいう)形成等の公知の処理を適宜用
いる。なお、易接着層としては、アクリル樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂及びそれらの混合物
等が使用できる。
【0030】〔装飾層〕装飾層3は、絵柄等を付与する
為に、絵柄印刷層、金属薄膜層等として、加飾シートの
表裏両面から保護できる様に裏面シート1と表面シート
4との間に形成する。装飾層3は、裏面シートの表面、
表面シートの裏面、或いはこれら両面に形成し、裏面シ
ートと表面シートとの間に挟まれる様にするのが、両シ
ートで装飾層を傷付き等から保護し耐摩耗性等を向上で
きる点で好ましい。
【0031】絵柄印刷層の形成は、グラビア印刷、シル
クスクリーン印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキ
ソ印刷、静電印刷、インクジェット印刷、転写印刷等の
公知の印刷法で形成できる。なお、装飾層の柄が全面ベ
タの場合には、ロールコート等の公知の塗工法で形成す
ることもできる。
【0032】なお、装飾層の絵柄は、例えば、木目模
様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、
布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、各種抽
象模様、或いは全面ベタ等である。
【0033】また、絵柄印刷層に用いるインキ(或いは
塗料、以下同様)としては、公知のものを使用すること
ができる。例えば、インキのバインダーの樹脂として
は、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩
素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレ
タン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等の熱可塑性
樹脂、2液硬化型等のポリウレタン樹脂、ポリエステル
樹脂、エポキシ樹脂、或いは、紫外線や電子線等の電離
放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂
を使用することができる。また、インキの着色剤として
は、チタン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青等
の無機顔料、アニリンブラック、キナクリドン、イソイ
ンドリノン、フタロシアニンブルー等の有機顔料、二酸
化チタン被覆雲母の箔粉等の光輝性顔料、或いは、その
他染料等を用いる。
【0034】なお、装飾層としての金属薄膜層は、アル
ミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸
着、スパッタリング等の方法で製膜し形成する。金属薄
膜層は、部分的にパターン状に或いは全面に設ける。
【0035】〔接着剤層〕接着剤層2は、裏面シートと
表面シートとを間に装飾層を挟んで貼り合わせる為の層
であり必要に応じ設ける。両シートは熱融着で貼り合わ
せることもできるが、接着剤層によってドライラミネー
ション法等の積層法によって行うことができる。接着剤
層の接着剤としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂等の従来公知の接着剤を使用でき
る。該接着剤は、ロールコート等の公知の塗工法によっ
て貼り合わせ面である表面シート裏面側、裏面シート表
面側、あるいはこれら両方に施す。なお、接着剤層は、
例えば絵柄層で列記の如き公知の着色剤を添加して着色
しても良い。例えば、光輝性顔料(メタリック顔料)等
も添加できる。
【0036】なお、2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオ
ールを主剤としポリイソシアネートを架橋剤(硬化剤)
とするウレタン樹脂であるが、ポリオールとしては、分
子中に2個以上の水酸基を有する化合物、例えばポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリ
ルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテル
ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタ
ンポリオール等が用いられる。また、ポリイソシアネー
トは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化
合物、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キ
シレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネー
ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の
芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレ
ンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメ
チレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフ
ェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環
式)イソシアネートが用いられる。或いはまた、ポリイ
ソシアネートとしては、上記各種ポリイソシアネートの
付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネート
の付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trim
er)等も用いられる。
【0037】〔裏面シートと表面シートの貼り合せ〕上
記ドライラミネーションにおいて、ラミネートローラ
は、通常、金属の芯にシリコーンゴムを巻き付けたゴム
ローラで、外部ヒータや内部ヒータにより加熱して、適
宜な表面温度に温度調整するのが好ましい。これによっ
て、共に熱可塑性樹脂シートを用いた裏面シートと表面
シート同士をラミネートする際に、シート張力、温度等
を調整して、常温且つ無張力状態でカールしているが加
熱で減少するカールが付与される様に調整する。例え
ば、表面シートにポリエチレンテレフタレートからなる
2軸延伸ポリエステル樹脂シートを用いて、該樹脂シー
トの裏側面に絵柄印刷層を装飾層して形成した印刷シー
トを、裏面シートとするポリプロピレンからなるポリオ
レフィン系樹脂シートに貼る場合、印刷シートに接着剤
を塗布後、ポリオレフィン系樹脂シートに貼る事で、裏
面凹面となる向きで加熱で減少する所望のカールを有す
る加飾シートが得られる。この際、貼り合わせ時は、こ
れまで張力、ラミネートローラ温度を調整して、ラミネ
ート強度があり、常温でカールが無く平坦となる様にし
て加飾シートを製造する場合が多かった。しかし、本発
明では、シート張力調整、(ラミネート直前での)シー
ト加熱により、得られる加飾シートは、常温・無張力状
態ではカールしているが、基材にラミネートする際の加
熱により、加飾シートが平坦となる様に調整することが
出来る。なお、裏面シートと表面シートのラミネート時
のシート加熱は、具体的には、裏面シート側が40〜7
0℃程度になる様に加熱すると良い。なお、加熱は赤外
線輻射加熱、熱風加熱、ローラ加熱等の公知の加熱方法
で行う。これによって、裏面シートが常温まで冷却した
時に、その熱収縮によって、裏側凹面となるカールを付
与できる。なお、上記シート加熱温度は、加飾シートを
基材に貼着する時の加飾シート加熱温度が、通常40〜
70℃であるので、その加熱温度と同程度の温度とする
のである。これによって、加飾シートを基材に貼着時の
加飾シート加熱温度にて、最初から付与しておいた加飾
シートのカールは、今度は、解消或いは略解消して、加
飾シートを平坦化することができる様になるのである。
また、加熱減少し常温且つ無張力状態のカールは、裏面
シートと表面シートとをラミネート時に、裏面シートと
表面シートに加えるそれぞれの張力のアンバランス度合
いを調整する張力調整を行う事によっても得られる。
【0038】この様にして、加飾シートには、常温且つ
無張力状態にて、加熱すると減少する性質のカールを付
与できる。また、裏面シートがポリオレフィン系樹脂シ
ートで、表面シートが2軸延伸ポリエステル樹脂シート
の場合には、更に、裏側が凹面を成す向きのカールを付
与できる。
【0039】〔カール〕本発明の加飾シートのカール
は、加飾シートが連続帯状の状態でも、目視で容易に把
握できるが、枚葉のシートとした状態では更に正確に把
握できる。例えば、加飾シートを縦横10cmの正方形
に切断した評価片を、水平な平板面の台上に裏側或いは
表側を下にし載置すれば、自重による影響も軽微な状態
で評価できる。加飾シート裏側を下にして載置した場合
は、正方形の評価片の中央部分が上に凸となる様な部分
球に類似の湾曲した状態となり、中央部が最も台から離
れ、その高い部分の高さで比較評価もできる。また、逆
に、加飾シート表側を下にして載置した場合は、正方形
の評価片の角の四隅が最も台から離れ、その高い四隅の
部分の高さで比較評価ができる。なお、上記評価片の大
きさは、カールに比べて大きいと評価片が丸まってしま
うので、その場合には、評価片の大きさを小さくすれ
ば、評価し易い。
【0040】また、本発明にて、常温且つ無張力状態で
のカールに於ける「常温」とは、加飾シートを取り扱う
作業を行う室内(或いは室外)の雰囲気温度を意味す
る。具体的値は、気候や作業環境によって異るが、通常
は10〜40℃の範囲である。そして、加飾シート貼着
前の加飾シートの加熱温度は、常温よりも高い温度であ
る。また、無張力状態とは、加飾シートの自重以外の外
力(例えば加飾シートを左右から引っ張る等)が作用し
ていない状態である。
【0041】なお、加飾シートに予めカール付与してお
いても、連続帯状の加飾シートは巻き取ってロールとし
て(カールを抑えこんだ状態として)取り扱えるので、
カールが支障を来すことは無い。また、枚葉の加飾シー
トでも、積み重ねておけば、自重で平坦化させることも
出来る。
【0042】加飾シートによる基材の加飾方法:次に、
上記加飾シートを用いた、基材の加飾方法について説明
する。
【0043】加飾シートで基材表面を加飾するには、基
材自体が接着性を有すれば、接着剤無しで基材に貼着す
ることもできるが、通常は、接着剤を用いて、加飾シー
トを基材に貼り付けることで、該基材表面を加飾する。
該接着剤は、基材表面に施しても良いが、板材等の熱容
量の大きい基材の場合には、接着剤は加飾シート側に施
すのが、生産性の点で好ましい。それは、加飾シートと
基材との少なくとも初期接着は、接着剤の熱融着によっ
て接着させるのが、生産速度の点で有利であり、この為
には、熱容量の大きい基材側に接着剤を施すと、接着剤
の加熱の際に同時に該基材も加熱する必要があり、加
熱、及びその後の冷却に時間を要するからである。な
お、接着剤を施すには、ロールコート等の公知の塗工法
によれば良い。
【0044】上記接着剤としては、基本的には特に制限
は無く、加飾シートを基材に密着良く貼り付けられるも
のであれば良く、公知の接着剤を適宜使用すれば良い。
但し、初期接着が早く、接着剤層厚みムラによる加飾シ
ート表面外観の鏡面性の低下が起こり難い点でも好まし
い。更に、溶剤乾燥が不要で、環境対応、生産性の点か
らは、熱融着型接着剤の中でも、溶剤乾燥型接着剤より
は、ホットメルト型接着剤の方が好ましい。ホットメル
ト接着剤としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリアミド
樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂等を用いた接
着剤が挙げられる。さらに、接着後の密着の耐久性の点
では、反応性ホットメルト型接着剤が好ましい。反応性
ホットメルト型接着剤としては、例えば、湿気硬化型ウ
レタン樹脂による接着剤がある。なかでも、特に結晶性
タイプは低温での動きが無く、ラミネート直後の冷却で
外観(鏡面性)が安定化し易い点で、好ましい。また、
該結晶性タイプの結晶化温度は、加飾シート貼着時の加
飾シート(接着剤)加熱温度が、通常40〜70℃であ
るかことから、好ましくは40〜60℃が上記した外観
安定性の点で好ましい。
【0045】なお、上記の如き、湿気硬化型ウレタン樹
脂による結晶性タイプの反応性ホットメルト型接着剤と
しては、例えば、ポリオール成分に常温で結晶性の固体
のポリエステルポリオールを用い、ポリイソシアネート
成分に4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ト
リレンジイソシアネート等からなるポリイソシアネート
を用いた、イソシアネート基を有するウレタンプレポリ
マー等が使用できる。
【0046】そして、加飾シートは、基材に押し付け接
触させる前に、接着剤による接着を確実化する為にも加
飾シートを加熱して、予め付与してあった加飾シートの
カールは、解消又は略解消させ平坦化させた状態として
から、平坦化した加飾シートを、ローラ、平プレス盤等
によって基材に圧接する。これによって、加飾シートは
平坦形状で基材に押圧され貼着することで、加飾シート
貼着時のカール発生が原因となっていた皺の発生は、解
消することができる。なお、接着剤層の厚さは特に制限
は無いが、通常、5〜100μm程度である。
【0047】以上の結果、図1(B)で例示する様な、
加飾物品Mが得られる。ちなみに、図1(B)の加飾物
品Mの構成は、基材B上に、接着剤5を介して、裏側か
ら順に、熱可塑性樹脂シートから成る裏面シート1、接
着剤層2、装飾層3、透明な熱可塑性樹脂シートから成
る表面シート4が積層されて成る加飾シートSが、積層
された構成である。
【0048】〔基材〕なお、基材Bとしては、代表的に
は板状物であるが、加飾シートの貼着面が平坦面であれ
ば、その他の面が三次元形状等の非平面を成す形状の物
でも良く、材質も特に制限は無い。加飾シート貼着面が
平坦面の場合に、貼着時にカールを解消して平坦化した
加飾シートを貼り合わせるという本発明の特徴を、効果
的に活かすことができる。
【0049】ところで、基材の具体例としては、各種材
質からなる平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シー
ト(或いはフィルム)等である。例えば、木材単板、木
材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)
等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いら
れる木質板素材、鉄、アルミニウム等の板材、立体形状
物品或いはシート等として用いられる金属素材、ガラ
ス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業
系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁
器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられ
る窯業系素材、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
スチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹
脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セ
ルロース系樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品或いはシ
ート等として用いられる樹脂素材、或いは、専らシート
として用いられる上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、ガ
ラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布または織布、或
いは、これら2種以上の素材を複合した素材、例えば、
板材や立体形状物品等として用いられる、木粉プラスチ
ック、紙粉プラスチック、或いは、ガラス繊維等の繊維
で不飽和ポリエステル樹脂を強化したものが代表的であ
るFRP(繊維強化プラスチック)等の複合(素)材、
あるいはこれらの組合わせが挙げられる。
【0050】〔加飾物品の用途〕本発明を利用して得ら
れる加飾物品の用途としては、特に制限は無い。例え
ば、壁、床、天井等の建築物の内装材、外壁、屋根、扉
外面、窓枠等の建築物の外装材、箪笥、棚、机等の家具
の表面材、回縁、幅木、扉枠等の造作部材、テレビ受像
機等の電気機器の筐体(キャビネット)、冷蔵庫の扉等
の家電製品の表面材、自動車、電車、船等の乗物内装材
等である。但し、表面シートが2軸延伸ポリエステル樹
脂シートの加飾シートによる場合は、その優れた鏡面
性、透明性、また耐擦傷性、耐薬品性等の表面物性を活
かせる用途が好適である。該用途の幾つかを例示すれ
ば、住宅内装材、キッチン扉表面材、キッチンバックパ
ネル、浴室壁面材、或いは、棚、机等の家具の表面材、
テレビ受像機の筐体(キャビネット)、冷蔵庫の扉等が
挙げられる。
【0051】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明を更に
詳述する。
【0052】〔実施例1〕先ず、厚さ100μmの無着
色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートか
らな連続帯状の表面シート4の裏側とする面に、装飾層
3として、石目柄の絵柄印刷層をグラビア印刷で形成し
て印刷シートとした。次に、着色顔料添加で着色不透明
とした厚さ60μmのポリプロピレン系のポリオレフィ
ン系樹脂シートからなる連続帯状の裏面シート1の表側
とする面に、表面温度80℃に温調した表面シート側の
ローラから加熱で裏面シートを60℃に加熱した状態
で、該シート張力が、ドライラミネーション用の2液硬
化型ウレタン樹脂系接着剤を施した前記印刷シートと同
一張力となる様に調整して、両シートを貼り合わせた。
その結果、常温且つ無張力状態で、裏面(裏面シート)
側が凹面となって裏面シート側が内側となる向きのカー
ルcが付与された、図1(A)の如き構成の連続帯状の
加飾シートSが得られた。
【0053】上記加飾シートSの裏面に、ウレタン樹脂
系の湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤5を厚み80
μm塗布し、基材Bとして表面を研磨後、シーラー処理
したスレート板に、ラミネートローラで押圧して貼り付
けて、図1(B)の如き加飾物品Mを作製した。基材に
貼る際は、加飾シートに塗布した接着剤が軟化して活性
化している状態とする為に、接着剤塗布面が60℃とな
る様に加飾シートを表側面から非接型赤外線輻射加熱ヒ
ータで加熱した。加熱の結果、加飾シートのカールは平
坦となり、また、接着剤の塗布ムラはラミネート時のラ
ミネート圧により消失しており、得られた加飾物品の外
観は極めて良好な鏡面性を有した。また、接着剤による
基材と加飾シートとの密着性も良好であった。
【0054】〔実施例2〕実施例1において、表面シー
ト(印刷シート)と裏面シートとのラミネートの際に、
ローラを常温(25℃±2℃)に温調してシートの加熱
はせず、その代わり、表面シート(印刷シート)の張力
を196N(20kgf)/全幅に調整し、裏面シート
の張力は157N(16kgf)/全幅に調整した他
は、実施例1と同様に加飾シートを作製した。その結
果、加飾シートには、常温且つ無張力状態で、裏面(裏
面シート)側が凹面となって裏面シート側が内側となる
向きのカールcが付与された、図1(A)の如き構成の
連続帯状の加飾シートSが得られた。この加飾シート
を、実施例1と同様の方法で基材に貼着して加飾物品を
作製した。接着剤活性化の為に加飾シート裏面側を60
℃まで加熱した際に、加飾シートのカールは平坦となっ
た。また、接着剤の塗布ムラはラミネート時のラミネー
ト圧により消失しており、得られた加飾物品の外観は極
めて良好な鏡面性を有した。また、接着剤による基材と
加飾シートとの密着性も良好であった。
【0055】〔比較例1〕実施例1において、表面シー
ト(印刷シート)と裏面シートとのラミネートの際に、
裏面シートの加熱を省略した他は、実施例1と同様にし
て加飾シートを作製した。その結果、加飾シートには、
常温且つ無張力状態でカールが殆ど無く、ほぼ平坦な加
飾シートが得られた。この加飾シートを、実施例1と同
様の方法で基材に貼着して加飾物品を作製した。接着剤
活性化の為に加飾シート裏面側を60℃まで加熱した際
に、加飾シートは裏面シート側が膨張してカールが発生
し、流れ方向に平行にスジ状の皺が発生した。その結
果、得られた加飾物品は、基材と加飾シートとの密着性
は良好であったが、外観に加飾シート流れ方向に皺によ
る表面凹凸ムラがあり、鏡面性が不良となった。
【0056】〔比較例2〕比較例1で作製した加飾シー
トを、実施例1と同様にして基材に貼着する際に、加飾
シートに塗布したホットメルト接着剤の加熱を省略する
代わりに、加飾シートを基材にラミネート後に加飾シー
ト側から赤外線輻射による非接触加熱で接着剤を活性化
して接着を進めて、加飾物品を作製した。その結果、ラ
ミネートの際に加飾シートにはカールが発生せず、加飾
シートにスジ状の皺は現れなかったが、接着剤が冷えて
固まっていた為にラミネート後に加熱接着させたもの
の、加飾シートと基材との密着性に劣り(接着剤層/基
材間界面で剥離)、接着剤の塗布ムラが加飾シートラミ
ネート時の圧では消失せず、加飾物品の外観で確認され
た。以上の結果、鏡面性は劣り、加飾物品の良品は得ら
れなかった。
【0057】
【発明の効果】(1)本発明の加飾シートによれば、加
飾シート貼着時に加飾シートにはカールが発生せず加飾
シートは平坦状となるので、カール発生による皺が生じ
ない。従って、皺の無い外観良好な加飾物品が得られる
加飾シートとなる。 (2)更に、裏面シートにポリオレフィン系樹脂シー
ト、表面シートに2軸延伸ポリエステル樹脂シートを用
いれば、特に、皺が目立ち易かった、鏡面性、塗装感に
優れた加飾シートでも、基材貼着時にカールによる皺発
生が無い加飾シートとなる。 (3)また、本発明の加飾シートの製造方法では、上記
の如き効果が得られる加飾シートが容易に得られる。 (4)また、本発明の、加飾シートを用いた基材の加飾
方法では、基材貼着時に加飾シートを接着剤活性化の為
に加熱しても、カール発生は無く、加飾シートを平坦な
状態で基材に貼着することができる。その結果、皺の無
い外観良好な加飾物品が得られる。また、従来、カール
による皺が目立ち易く難しかった鏡面性も良好且つ容易
に付与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加飾シートと、それによって得られる
加飾物品の一形態を例示する断面図。
【符号の説明】
1 裏面シート 2 接着剤層 3 装飾層 4 表面シート 5 接着剤 B 基材 c カール M 加飾物品 S 加飾シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29L 9:00 B29L 9:00 31:00 31:00 Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01C AK03 AK03A AK07 AK42C AK52 AK52H BA03 BA07 BA10A BA10C CB03 EC18 EC182 EH46 EH462 EJ19 EJ38C EJ42 EJ422 GB08 HB00 HB00B JB16A JB16C JK14 JL04 JN01C 4F211 AA11 AA24 AC03 AD02 AD08 AF00 AG01 AG03 AH47 AM35 TA03 TC05 TH06 TQ03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 裏側から順に、熱可塑性樹脂シートから
    成る裏面シート、装飾層、透明な熱可塑性樹脂シートか
    ら成る表面シートが積層されて成る加飾シートにおい
    て、 常温、且つ無張力状態にて、加熱すると減少するカール
    を付与させてある、加飾シート。
  2. 【請求項2】 裏面シートがポリオレフィン系樹脂シー
    トから成り、表面シートが2軸延伸ポリエステル樹脂シ
    ートから成り、裏側が凹面を成す向きのカールが付与し
    てある、請求項1記載の加飾シート。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の加飾シートを製造
    する方法であって、 表面シート裏面、裏面シート表面の何れか一方又は両方
    に装飾層を形成した後、該表面シートと裏面シートと
    を、間に接着剤を挟んでラミネートする際に、裏面シー
    トを加熱した後に、表面シートと裏面シートとをラミネ
    ートし、その後、常温まで冷却して、常温、且つ無張力
    状態にて、加熱すると減少するカールを付与させてお
    く、加飾シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 加飾シートを基材に貼着することで該基
    材を加飾する加飾方法において、 加飾シートに請求項1又は2記載の加飾シートを用い、
    該加飾シートを基材に圧接する前に、加飾シートを加熱
    して該加飾シートのカールを解消又は略解消させ平坦化
    させた状態として、該加飾シートを基材に圧接して貼り
    付ける、加飾シートを用いた基材の加飾方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009190204A (ja) * 2008-02-12 2009-08-27 Toppan Cosmo Inc 化粧シート
JP2010234797A (ja) * 2009-03-09 2010-10-21 Dainippon Printing Co Ltd 化粧板製造方法及びその方法により得られた化粧板
CN111386224A (zh) * 2018-06-29 2020-07-07 三菱重工业株式会社 航空器用内装部件及其制造方法、以及其更换方法

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