JP2003010939A - 転造工具 - Google Patents

転造工具

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JP2003010939A
JP2003010939A JP2001192900A JP2001192900A JP2003010939A JP 2003010939 A JP2003010939 A JP 2003010939A JP 2001192900 A JP2001192900 A JP 2001192900A JP 2001192900 A JP2001192900 A JP 2001192900A JP 2003010939 A JP2003010939 A JP 2003010939A
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Masahiro Oiwake
雅博 追分
Hironao Watanabe
弘直 渡辺
Katsuhiro Nakamura
勝弘 中村
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OSG Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被転造素材への圧下量を均一化して、歯形を
精度良く転造することができる転造工具を提供するこ
と。 【解決手段】 食付き部2aは、第1平坦食付き部2a
1を備える。その第1平坦食付き部2a1における各歯
形3a1〜3a6は、転造方向と略平行な方向へ向かっ
て山払いが施され、その頂部が平坦状に形成されてい
る。転造方向と略平行な方向へ向かって山払いを施すこ
とにより、第1平坦食付き部2a1における各歯形3a
1〜3a6は、それぞれ略同一の頂部高さに形成される
と共に、その外形もそれぞれ略同一に形成される。その
ため、各歯形3a1〜3a6は、被転造部材へ均一に食
い込むことができ、また、被転造部材の周方向各部位に
おいても略等しい食い込み量で食い込む。よって、被転
造部材に転造される歯形の外形精度を向上させることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転造工具に関し、
特に、被転造素材への圧下量を均一化して、歯形を精度
良く転造することができる転造工具に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】 軸部材の外周面に設けられた複数条の
歯形からなるスプラインやセレーション等は、相手部材
と嵌合することにより動力伝達等を可能とする為のもの
である。かかるスプラインやセレーション等は、一般
に、転造工具を使用した転造加工により軸部材(被転造
部材)の外周面に転造される。
【0003】従来の転造工具100は、図5に示すよう
に、転造方向先端側(図5右側)から順に食付き部10
1、仕上げ部102および逃げ部103からなる歯形転
造面104を備えており、その歯形転造面104には、
複数の歯形105が刻設されている。例えば、セレーシ
ョンを軸部材106(図6参照)の外周面へ転造する場
合には、その軸部材106を一対の転造工具100(一
方のみを図示)の歯形転造面104の対向面間に挟持
し、かかる一対の転造工具100を相対的に平行移動
(矢印X方向)させる。軸部材106は、歯形転造面1
04の食付き部101、仕上げ部102および逃げ部1
03を順次転動移動することにより外周面が塑性変形
し、その軸部材106の外周面にセレーションが転造さ
れるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、歯形
転造面104の食付き部101は、その転造方向先端
(図5右側)から後端(図5左側)へ向けて所定の食付
き角度κで上昇傾斜されている。そのため、食付き部1
01における歯形105は、図5に拡大して示すよう
に、角度κで山払いが施され、頂部が斜めに除去された
非対称形状に形成されている。よって、食付き部101
の歯形105が食い込んだ軸部材106は、図6(a)
に示すように、圧下量が不均一となる。そのため、歯形
105の両側(図6(a)の左右方向側)に生じる軸部
材106の盛り上がり量が一方へ偏り、その結果、セレ
ーションの外形精度が低下してしまうという問題点があ
った。
【0005】更に、食付き部101の各歯形105は、
その頂部が角度κで山払いが施されているため、各歯形
105毎に頂部の高さが異なり、その各歯形105の頂
部の高さは、転造方向先端(図5右側)から後端(図5
左側)へ向かって順次高く形成されている。そのため、
食付き部101の各歯形105は、一歯毎に異なる圧下
量で軸部材106へ食い付くことになり、かかる食付き
部101の各歯形105が食い込んだ軸部材106は、
図6(b)に示すように、転造方向先端側の歯形105
による圧下量h1に対して後端側の歯形105による圧
下量h2が大きくなる(h1<h2)。よって、軸部材
106の圧下量が周方向に不均一となりるため、軸部材
106の円状の外形が歪められ、このことからも、セレ
ーションの外形精度が低下してしまうという問題点があ
った。
【0006】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、被転造素材への圧下量を均一化
して、歯形を精度良く転造することができる転造工具を
提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】 この目的を達成するた
めに、請求項1記載の転造工具は、転造歯形面を有し、
その転造歯形面に当接された被転造素材の外周面を塑性
変形させてスプラインやセレーション等の複数条の歯形
を転造するものであり、前記転造歯形面は、前記被転造
素材に食い付く食付き部と、その食付き部の転造方向後
端側に配設され前記被転造素材に転造される歯形の仕上
げを行う仕上げ部とを備え、前記食付き部は、その頂部
が前記仕上げ部における歯形の頂部より低くされると共
に転造方向と略平行な平坦状に形成された歯形を備えて
いる。
【0008】請求項2記載の転造工具は、請求項1記載
の転造工具において、前記食付き部の転造方向先端に
は、その頂部が前記仕上げ部における歯形の頂部より低
くされると共に転造方向と略平行な平坦状に形成され、
且つ、互いに略同一の頂部高さを有する歯形が少なくと
も2山以上形成されている。
【0009】請求項3記載の転造工具は、請求項1又は
2に記載の転造工具において、前記食付き部における歯
形は、その頂部高さが転造方向先端側から前記仕上げ部
へ向けて順次階段状に高くなるように形成されており、
その階段状の各段部における歯形群には、互いに略同一
の頂部高さを有する歯形が少なくとも2山以上形成され
ている。
【0010】請求項4記載の転造工具は、請求項1から
3のいずれかに記載の転造工具において、前記食付き部
の各歯形群が有する歯形の数は、前記被転造素材に転造
される歯形の数に対応して設定されており、前記被転造
素材に偶数個の歯形が転造される場合には、その偶数個
の歯形の数の1/2山以下、且つ、2山以上の歯形が前
記食付き部の各歯形群に形成され、前記被転造素材に奇
数個の歯形が転造される場合には、その奇数個に1を加
えた数の1/2山以下、且つ、2山以上の歯形が前記食
付き部の各歯形群に形成される。
【0011】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の好ましい実施例
について、添付図面を参照して説明する。図1(a)
は、本発明の一実施例である転造工具1の正面図であ
り、図1(b)は、図1(a)の側面図である。なお、
図1では、後述するワーク10の転造を行う一対の転造
工具1のうち、転造盤(図示せず)に固定される一方の
転造工具1を図示しており、かかる一方の転造工具1に
対して平行移動される他方の転造工具1の図示を省略し
ている。
【0012】転造工具1は、円柱状の軸状素材の外周面
に複数条の歯形を転造する為の工具であり、ワーク10
の被転造部10aの外周面を塑性変形させて、その外周
面にセレーション11を転造することができる(図3
(b)参照)。なお、本実施例では、ワーク10の被転
造部10aに12山のセレーション11を転造すること
ができる転造工具1について説明する。
【0013】但し、転造工具1が12山のセレーション
11を転造可能として説明する目的は、図面においてワ
ーク10のセレーション11を明確に示し、理解を容易
とする為である。実際には、転造工具1は、転造加工限
界を考慮すると、14山以上の歯数を転造可能に構成さ
れることが好ましい。
【0014】転造工具1は、転造に適した合金工具鋼ま
たは高速度工具鋼等の金属材料から略直方体状に形成さ
れており、その一面(図1(a)紙面手前側、(b)上
側)には、ワーク10の外周面にセレーション11の転
造を行うセレーション転造面2が設けられている。その
セレーション転造面2には、転造工具1の始端側(図1
(a),(b)右側)から終端側(図1(a),(b)
左側)へ向けて、食付き部2a、仕上げ部2bおよび逃
げ部2cが順に連続して設けられている。
【0015】食付き部2aは、転造工具1のセレーショ
ン転造面2をワーク10における被転造面10aの外周
面に食い付かせる為の部位であり、いわゆる食付き部と
して用いられる。食付き部2aは、仕上げ部2bに対し
て、食付き部2aの始端(図1(a),(b)右側)か
ら終端(図1(a),(b)左側)へ向けて階段状、及
び、所定の傾斜角κ1で上昇傾斜されており、かかる食
付き部2aに刻設された複数の歯形3をワーク10にお
ける被転造面10aの外周面へ徐々に食い付かせること
ができるのである。なお、この食付き部2aの詳細につ
いては、後述する。
【0016】仕上げ部2bは、食付き部2aによりワー
ク10の被転造部10aに転造された歯形を仕上げて、
セレーション11をワーク10へ成形する部位であり、
転造工具1の下端面(図1(b)下側)に対して略平行
に形成されている。この仕上げ部2bの終端には、逃げ
部2cが設けられている。逃げ部2cは、仕上げ部2b
により仕上げられたワーク10を転造工具1のセレーシ
ョン転造面2から排出するための部位であり、いわゆる
逃げ部として用いられる。この逃げ部2cは、仕上げ部
2bに対して、その仕上げ部2bの終端から転造工具1
の長手方向他端(図1(b)左側)へ向けて所定の傾斜
角κ2で下降傾斜されている。
【0017】これらの食付き部2a、仕上げ部2bおよ
び逃げ部2cで構成されたセレーション転造面2には、
複数の歯形3が刻設されている。この複数の歯形3は、
ワーク10の外周寸法に対応した一定のピッチで転造方
向(転造工具1の長手方向、図1(a),(b)の左右
方向)へ向けて連続して形成されると共に、転造方向に
対して略直交する方向(図1(a)の上下方向)へ列設
された状態で刻設されている。ワーク10は、かかるセ
レーション転造面2上を転造方向始端側から終端側へ向
けて相対的に転動移動することにより、その被転造部1
0aの外周面にセレーション11が転造されるのであ
る。なお、歯形3の刻設数は、省略して図示されてい
る。
【0018】次に、図2を参照してセレーション転造面
2の食付き部2aについて説明する。図2は、図1
(a)のII−II線における食付き部2aおよび仕上
げ部2bの部分的な拡大断面図であり、転造方向と同じ
方向(図1(a)のII−II線方向)に食付き部2a
および仕上げ部2bを切断した断面図である。なお、図
2では、転造工具1の長手方向の長さを省略して図示し
ている。
【0019】図2に示すように、食付き部2aは、第1
〜第3平坦食付き部2a1〜2a3と傾斜食付き部2a
4とを備えている。第1平坦食付き部2a1は、食付き
部2aの転造方向一端側(図2右側)に設けられてお
り、歯形3a1〜3a6が刻設されている。この第1平
坦食付き部2a1における各歯形3a1〜3a6は、転
造方向と略平行な方向へ向かって山払いが施され、その
頂部が平坦状に形成されている。そのため、各歯形3a
1〜3a6の頂部に形成された平坦面は、転造工具1の
移動平面(基準平面)、或いは仕上げ部2bの各歯形3
の頂部を結ぶ仮想平面と略平行とされている。
【0020】また、転造方向と略平行な方向へ向かって
山払いを施すことにより、第1平坦食付き部2a1にお
ける各歯形3a1〜3a6は、それぞれ略同一の頂部高
さに形成されると共に、その外形もそれぞれ略同一に形
成されている。なお、第1平坦食付き部2a1には、6
山の歯形3a1〜3a6が刻設されている。また、その
各歯形3a1〜3a6の高さ、即ち、歯溝の谷底から平
坦状の頂部までの高さは頂部高さiとされ、この頂部高
さiは、仕上げ部2bの各歯形3(3a61,・・・)
の頂部高さhよりも低くされている。
【0021】第1平坦食付き部2a1の終端(図2左
側)には、第2平坦食付き部2a2が設けられ、この第
2平坦食付き部2a2の終端(図2左側)には、第3平
坦食付き部2a3が設けられている。これら第2、第3
平坦食付き部2a2,2a3には歯形3a7〜3a1
2,3a13〜3a18がそれぞれ刻設されている。
【0022】第2,第3平坦食付き部2a2,2a3に
おける各歯形3a7〜3a12,3a13〜3a18
は、第1平坦食付き部2a1の場合と同様に、転造方向
と略平行な方向へ向かって山払いが施され、その頂部が
平坦状に形成されている。そのため、第2、第3平坦食
付き部2a2,2a3における各歯形3a7〜3a1
2,3a13〜3a18の頂部に形成された各平坦面
は、第1平坦食付き部2a1における各歯形3a1〜3
a6と同様に、転造工具1の移動平面(基準平面)、或
いは仕上げ部2bの各歯形3の頂部を結ぶ仮想平面と略
平行とされている。
【0023】また、転造方向と略平行な方向へ向かって
山払いを施すことにより、第2平坦食付き部2a2にお
ける各歯形3a7〜3a12は、それぞれ略同一の頂部
高さに形成されると共に、その外形もそれぞれ略同一に
形成され、同様に、第3平坦食付き部2a3における各
歯形3a13〜3a18は、それぞれ略同一の頂部高
さ、外形に形成されている。
【0024】なお、第2、第3平坦食付き部2a1に
は、それぞれ6山、合計12山の歯形3a7〜3a1
2,3a13〜3a18が刻設されている。また、第2
平坦食付き部2a2における各歯形3a7〜3a12の
高さは、頂部高さjとされ、第1平坦食付き部2a1に
おける頂部高さkよりも高くされている。一方、第3平
坦食付き部2a3における各歯形3a13〜3a18の
高さは、頂部高さkとされ、第2平坦食付き部2a2に
おける頂部高さjよりも高くされている(i<j<
k)。
【0025】このように、食付き部2aにおける歯形3
a1〜3a18は、その頂部高さi,j,kが転造方向
先端側(図2右側)から仕上げ部2bへ向けて順次階段
状に高くなるように形成されている。そのため、食付き
部2aは、ワーク10(図3参照)へ徐々に食い付いて
いき、ワーク10の圧下量を徐々に増加させることがで
きるので、ワーク10へセレーション11を精度良く転
造することができ、また、転造する際に生じる転造負荷
を低減することができるのである。
【0026】第3平坦食付き部2a3の終端(図2左
側)には、傾斜食付き部2a4が設けられている。傾斜
食付き部2a4には42山の歯形3a19〜3a60が
刻設されており、その歯形3a19〜3a60は、所定
の食付き角度κ1で山払いが施され、その頂部が斜めに
除去されている。なお、傾斜食付き部2a4における各
歯形3a19〜3a60の高さは、第3平坦食付き部2
a3における頂部高さkよりも高く、且つ、仕上げ部2
bにおける頂部高さhよりも低くされている。傾斜食付
き部2a4の終端(図2左側)には、仕上げ部2bが設
けられており、かかる仕上げ部2bによりワーク10へ
仕上げ転造が行われる。
【0027】次に、図3を参照して、上述のように構成
された転造工具1を用いてワーク10にセレーション1
1を転造する転造加工について説明する。図3(a)
は、転造加工時におけるワーク10の断面図であり、図
3(b)は、転造加工後におけるワーク10の斜視図で
ある。なお、図3(a)では、転造工具1の一部を省略
して図示し、図3(b)では、ワーク10の一端側を省
略して図示している。
【0028】転造工具1を用いて転造加工するに際して
は、図3(a)に示すように、一対の転造工具1をセレ
ーション転造面2が対向する姿勢で転造盤(図示せず)
に配置し、その転造工具1を互いに相対前進させる(矢
印X方向)。ワーク10は、その軸心両端部がセンタ
(図示せず)により回転可能に軸支されており、セレー
ション転造面2の食付き部2aがワーク10に食い付く
と、ワーク10を軸心回りに回転させながら転造が開始
される(矢印Y方向)。
【0029】ここで、転造工具1における各歯形3(3
a1,3a2,・・・)は、上述したように、ワーク1
0に12山のセレーション11を転造可能なピッチで刻
設されている。また、食付き部2aの第1平坦食付き部
2a1には、6山の歯形3a1〜3a6が刻設されてい
る。そのため、第1平坦食付き部2a1における各歯形
3a1〜3a6による食い込み転造が終了すると、ワー
ク10は軸心回りに1/2回転することになり、図3
(a)に示すように、第1平坦食付き部2a1における
各歯形3a1〜3a6に対応した合計12の歯溝11a
1〜11a6がワーク10の外周面全周に転造される。
【0030】第1平坦食付き部2a1における各歯形3
a1〜3a6は、上述したように、略同一の外形に形成
されているため、転造方向先端側と後端側とにおける外
形が略対称となり、ワーク10へ均一に食い込むことが
できる。よって、従来の転造工具100のように、歯形
105の転造方向両側に生じる素材の盛り上がり量が一
方へ偏ることを防止することができる(図6(a)参
照)。更に、第1平坦食付き部2a1における各歯形3
a1〜3a6は、ワーク10の周方向各部位において略
等しい食い込み量で食い込む。そのため、ワーク10に
転造される各歯溝11a1〜11a6は、ワーク10の
周方向各部においてそれぞれ略等しい圧下量となり、従
来の転造工具100のように、一歯毎に食い込み量が異
なることがない(図6(b)参照)。よって、ワーク1
0の周方向各部における圧下量を均一化することがで
き、その結果、ワーク10の円状の外形が歪められるこ
と防止することができるので、かかるワーク10の真円
度を保ちつつ転造加工することができる。従って、ワー
ク10の外周面へ歯溝11a1〜11a6が精度良く転
造されるので、セレーション11の外形精度を向上させ
ることができ、例えば、オーバーピン径やまたぎ歯厚の
ばらつきを低減することができるのである。
【0031】また、第1平坦食付き部2a1は、略同一
形状(頂部高さi、図2参照)の6山の歯形3a1〜3
a6から構成されているが、その数(6山)は、ワーク
10に転造される歯形の数(12山)の1/2に設定さ
れている。第1平坦食付き部2a1に6山以上の歯形、
例えば、8山の歯形が刻設されている場合、転造方向先
端から第7、第8番目に相当する歯形は、対向して配置
された一方の転造工具1の第1、第2番目の歯形(3a
1、3a2)により転造された歯溝11a1,11a2
を重複して転造することになる。第7、第8番目に相当
する歯形は、第1、第2番目の歯形(3a1、3a2)
と略同一の形状であるため、ワーク10の歯溝11a
1,11a2を圧下することができず、実質的には転造
加工に寄与しない。よって、上述のように、第1平坦食
付き部2a1における同一形状の歯形数を、ワーク10
に転造される歯形の数に対応して設定することにより、
一の歯形により転造されたワーク10の歯溝をその一の
歯形と略同一の外形を有する他の歯形が重複して転造す
る無駄な工程を抑制することができるのである。
【0032】ただし、ワーク10に奇数個の歯形を転造
する場合、例えば、13山の歯形を転造する場合には、
第1平坦食付き部2a1には、その奇数個に1を加えた
数の1/2に相当する7山の歯形を刻設することが望ま
しい。7山とすることにより、上述した偶数個(12
山)の場合と同様に、ワーク10の周方向各部における
圧下量を均一化することができるからである。
【0033】その後、ワーク10の各溝11a1〜11
a6には、食付き部2aの第2、第3平坦食付き部2a
2,2a3が順次乗り移り、ワーク10の食付き転造が
更に進行する。第2、第3平坦食付き部2a2,2a3
は、第1平坦食付き部2a1と同様に、それぞれ略同一
の外形を有する6山の歯形3a7〜3a12,3a13
〜3a118から構成されている。そのため、第2平坦
食付き部2a2が乗り移ったワーク10の各溝11a1
〜11a6には、それぞれ第2平坦食付き部2a2の各
歯形3a7〜3a12が略等しい食い込み量で食い込
む。よって、ワーク10の周方向各部位(各歯溝11a
1〜11a6)における圧下量を均一化することができ
るので、ワーク10の外周面へ歯溝11a1〜11a6
を精度良く転造し、セレーション11の外形精度を向上
させることができるのである。
【0034】ついで、第3平坦食付き部2a3がワーク
10へ乗り移り、かかる第3平坦食付き部2a3による
食付き転造が第1、第2平坦食付き部2a1,2a2に
おける食付き転造の場合と同様の効果を奏しつつ進行す
る。即ち、ワーク10は、食付き部2aの第1〜第3平
坦食付き部2a1〜2a3上を相対的に1/2回転転動
移動する毎に、そのワーク10の周方向全周にわたって
均一化された圧下量の歯溝11a1〜11a6が形成さ
れるのである。
【0035】そして、ワーク10へ傾斜食付き部2a4
が乗り移る。かかる傾斜食付き部2a4による食付き転
造が終了した後は、ワーク10へ仕上げ部2bが乗り移
って仕上げ転造が進行し、ワーク10のセレーション1
1が仕上げ部2bの各歯形3(3a61,・・・、図2
参照)により仕上げられる。その後、転造工具1は、逃
げ部2c(図1参照)を作用させてワーク10をセレー
ション転造面2から排出し、図3(b)に示すように、
ワーク10へのセレーション11の転造が終了する。
【0036】次に、図4を参照して、上述のように転造
されたワーク10(図3(b)参照)の寸法精度を測定
した結果について説明する。ワーク10の転造には、本
実施例で説明した転造工具1(以下、「本発明品A」と
称す。)と、図5に示した転造工具100(以下、「従
来品B」と称す。)とを用いて行った。
【0037】図4は、オーバーピン径のばらつきYにつ
いて測定した結果を本発明品Aと従来品Bとについて示
した図である。図4中、縦軸20は、測定したオーバー
ピン径のばらつきYを示しており、横軸21は、測定を
行った測定品名を示している。また、縦棒22〜24
は、従来品Bのグラフであり、縦棒25〜27は、本発
明品Aのグラフである。
【0038】なお、本発明品Aおよび従来品bは、いず
れも同一の工具材料(合金工具鋼)から構成されてい
る。また、これら転造工具1,100の寸法構成、歯形
の数等は同一であるが、従来品Bにおける食付き部10
1の各歯形は、すべて食付き角κ1で傾斜して構成され
ている。また、ワーク10は、材質:JIS−S45
C、セレーションの歯山数:24山、素材径:φ24.
3mmであり、測定数は、本発明品Aおよび従来品B共
にそれぞれ3である。
【0039】図4に示すように、ワークに生じたオーバ
ーピン径のばらつきYは、従来品Bにより転造された場
合には、最小略22μmから最大略25μmの範囲(平
均略23.7μm)であった。一方、本発明品Aにより
転造された場合には、最小略7μmから最大略12μm
の範囲(平均略9.3μm)であった。このように、本
発明品Aは、従来品Bと比較すると、オーバーピン径の
ばらつきYを2倍以上の精度に向上させて、ワーク10
へセレーション11を転造することができることが判明
した。
【0040】以上説明したように、転造工具1の食付き
部2aにおける各歯形3a1〜3a18は、その頂部が
転造方向と略平行な平坦状に形成されているので、スプ
ラインやセレーション等の歯形を精度良く転造すること
ができるのである。
【0041】以上、実施例に基づき本発明を説明した
が、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではな
く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形
が可能であることは容易に推察できるものである。
【0042】例えば、本実施例の転造工具1における食
付き部2aは、歯形3a1〜3a18の頂部が平坦面状
に山払いされた第1〜第3平坦食付き部2a1〜2a3
と、歯形3a19〜3a60の頂部が食付き角κ1で斜
めに山払いされた傾斜食付き部2a4とから構成され
た。しかし、食付き部2aは、傾斜食付き部2a4を必
ずしも備えている必要はなく、かかる傾斜食付き部2a
4が省略して構成されていても良い。
【0043】第1〜第3平坦食付き部2a1〜2a3が
それぞれ6山の歯形を備えている場合を説明したが、少
なくとも2山以上、且つ、ワーク10に転造する歯形の
数(奇数個の場合には、奇数個に1を加えた数)の1/
2以下の歯形を備えていれば良く、第1〜第3平坦食付
き部2a1〜2a3がそれぞれ異なる数の歯形を備えて
いても良い。例えば、第1食付き部2a1の歯形の数
は、ワーク10へ24山のセレーション11を転造する
場合には、2山〜12山の範囲となり、25山のセレー
ション11を転造する場合には、2山〜13山の範囲と
なる。
【0044】食付き部2aは、第1〜第3平坦食付き部
2a1〜2a3により3段の階段状に構成されが、かか
る階段状の段部は、1段であっても良く、或いは4段以
上に構成されていても良い。
【0045】なお、ワーク10には、12山のセレーシ
ョン11が転造される場合を説明したが、これは図面に
おいてセレーション11を明確に示し、理解を容易とす
る為であり、ワーク10に12山以下、或いは12山以
上のセレーション11を転造することは当然に可能であ
る。かかる場合には、第1〜第3平坦食付き部2a1〜
2a3に刻設される歯形の数、ピッチ等を変更する。ま
た、ワーク10に転造されるセレーション11(歯形)
の形状については、説明を省略したが、一般に使用され
るインボリュートセレーションや角形スプライン等を適
用することができる。
【0046】
【発明の効果】 請求項1記載の転造工具によれば、食
付き部は、頂部が転造方向と略平行な平坦状に形成され
た歯形を備えている。かかる歯形は、転造方向先端側と
後端側とにおける外形が略対称となるため、被転造部材
へ均一に食い込むことができる。また、かかる歯形が複
数有る場合には、各歯形を略同一の外形に形成すること
ができるので、各歯形を被転造素材の周方向各部におい
て略等しい食い込み量で食い込ませることができ、従来
の転造工具のように、一歯毎に食い込み量が異なること
がない。よって、被転造部材の圧下量を均一化すること
ができるという効果がある。従って、被転造素材の外周
面へ歯溝を精度良く転造することにより、歯形の外形精
度を向上させることができ、その結果、例えば、オーバ
ーピン径やまたぎ歯厚のばらつきを低減することができ
るのである。
【0047】請求項2記載の転造工具によれば、請求項
1記載の転造工具の奏する効果に加え、食付き部の転造
方向先端には、互いに略同一の頂部高さを有する歯形が
少なくとも2山以上形成されている。よって、被転造素
材へ確実に食い付くことができ、安定した転造作業を行
うことができるという効果がある。
【0048】請求項3記載の転造工具によれば、請求項
1又は2に記載の転造工具の奏する効果に加え、食付き
部における歯形は、その頂部高さが転造方向先端側から
仕上げ部へ向けて順次階段状に高くなるように形成され
ているので、かかる食付き部における歯形を被転造素材
へ徐々に食い付かせることができる。よって、被転造素
材の圧下量を徐々に増加させることができ、その結果、
被転造素材に転造される歯形の外形精度を向上させるこ
とができるという効果がある。また、その歯形を転造す
る際に生じる転造負荷を低減することができるという効
果がある。
【0049】また、階段状の各段部における歯形群に
は、互いに略同一の頂部高さを有する歯形が少なくとも
2山以上形成されている。よって、被転造素材へ確実に
食い付くことができ、安定した転造作業を行うことがで
きるという効果がある。
【0050】請求項4記載の転造工具によれば、請求項
1から3のいずれかに記載の転造工具の奏する効果に加
え、食付き部の各歯形群が有する歯形の数は、被転造素
材に転造される歯形の数に対応して設定されている。例
えば、24山の歯形を有するスプラインを被転造素材へ
転造する場合には、食付き部の各歯形群が有する歯形の
数は最大12山である。よって、食付き部の一の歯形に
より転造された被転造素材の歯溝をその一の歯形と略同
一の外形を有する他の歯形が重複して転造する無駄な工
程を抑制することができるという効果がある。その結
果、被転造素材へ歯形を転造する際に要する転造時間を
低減することができ、また、食付き部の歯形を簡素化す
ることにより、転造工具の製造コストを低減することが
でき、その分、被転造素材へ歯形を転造する転造コスト
を低減することができるのである。
【0051】また、食付き部の各歯形群に最大数の歯形
を設定した場合には、略同一の外形を有する歯形が被転
造素材の周方向全周において略等しい圧下量で食い込む
ので、従来の転造工具のように、被転造素材の周方向各
部において圧下量が異なることがない。よって、被転造
部材の圧下量を均一化することができるという効果があ
る。従って、被転造素材の外周面へ歯溝を精度良く転造
することにより歯形の外形精度を向上させることがで
き、その結果、例えば、オーバーピン径やまたぎ歯厚の
ばらつきを低減することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、本発明の一実施例である転造工具
の正面図であり、(b)は、(a)の側面図である。
【図2】 図1(a)のII−II線における食付き部
および仕上げ部の部分的な拡大断面図である。
【図3】 (a)は、転造加工時におけるワークの断面
図であり、(b)は、転造加工後におけるワークの斜視
図である。
【図4】 オーバーピン径のばらつきについて測定した
結果を本発明品と従来品とについて示した図である。
【図5】 従来の転造工具を示した側面図である。
【図6】 従来の転造工具を使用した転造加工時におけ
るワークの模式図である。
【符号の説明】
1 転造工具 2 セレーション転造面
(転造歯形面) 2a 食付き部 2a1 第1平坦食付き部(食
付き部の一部) 2a2 第2平坦食付き部(食
付き部の一部) 2a3 第3平坦食付き部(食
付き部の一部) 2b 仕上げ部 3(3a1、3a2、・・・) 歯形 10 ワーク(被転造素材) 11 セレーション(歯形) i,j,k 頂部高さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 勝弘 愛知県豊橋市賀茂町神山3−12 オーエス ジー株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転造歯形面を有し、その転造歯形面に当
    接された被転造素材の外周面を塑性変形させてスプライ
    ンやセレーション等の複数条の歯形を転造する転造工具
    において、 前記転造歯形面は、前記被転造素材に食い付く食付き部
    と、その食付き部の転造方向後端側に配設され前記被転
    造素材に転造される歯形の仕上げを行う仕上げ部とを備
    え、 前記食付き部は、その頂部が前記仕上げ部における歯形
    の頂部より低くされると共に転造方向と略平行な平坦状
    に形成された歯形を備えていることを特徴とする転造工
    具。
  2. 【請求項2】 前記食付き部の転造方向先端には、その
    頂部が前記仕上げ部における歯形の頂部より低くされる
    と共に転造方向と略平行な平坦状に形成され、且つ、互
    いに略同一の頂部高さを有する歯形が少なくとも2山以
    上形成されていることを特徴とする請求項1記載の転造
    工具。
  3. 【請求項3】 前記食付き部における歯形は、その頂部
    高さが転造方向先端側から前記仕上げ部へ向けて順次階
    段状に高くなるように形成されており、 その階段状の各段部における歯形群には、互いに略同一
    の頂部高さを有する歯形が少なくとも2山以上形成され
    ていることを特徴とする請求項1又は2に記載の転造工
    具。
  4. 【請求項4】 前記食付き部の各歯形群が有する歯形の
    数は、前記被転造素材に転造される歯形の数に対応して
    設定されており、 前記被転造素材に偶数個の歯形が転造される場合には、
    その偶数個の歯形の数の1/2山以下、且つ、2山以上
    の歯形が前記食付き部の各歯形群に形成され、 前記被転造素材に奇数個の歯形が転造される場合には、
    その奇数個に1を加えた数の1/2山以下、且つ、2山
    以上の歯形が前記食付き部の各歯形群に形成されること
    を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の転造工
    具。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007283361A (ja) * 2006-04-17 2007-11-01 Toyota Motor Corp 転造工具
JP2015068398A (ja) * 2013-09-27 2015-04-13 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 スプライン嵌合構造
KR101603597B1 (ko) 2014-11-28 2016-03-16 주식회사 상신정공 기어의 전조 다이스
CN112387798A (zh) * 2019-08-13 2021-02-23 青岛海尔多媒体有限公司 用于制作电子设备外壳的方法及系统

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