JP4093030B2 - 内面異形管の冷間圧延用工具 - Google Patents

内面異形管の冷間圧延用工具 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管軸方向にストレートな溝が管内の円面周方向に複数形成された内面異形管を冷間圧延するマンドレル工具に関し、さらに詳しくは内面異形管の溝が内円周方向に10箇所またはそれ以上形成される場合であっても、内面異形管に内面疵を発生させることなく、優れた工具寿命を発揮することができる内面異形管の冷間圧延用工具に関するものである。
【0002】
【従来技術】
エチレンプラントの熱分解管等の熱交換用管材として用いられる内面異形管は、その熱効率を向上させるため、内円周面の管軸方向にストレートな溝または傾斜した溝が設けられる。従来では、ストレートな溝を有する内面異形管は熱間押出によって製造し、傾斜した溝を有する内面異形管を製造する場合には熱間押出された管を捩り加工して製造していた。
【0003】
ところが、熱間押出によって製造した内面異形管は、寸法精度が悪く、また高Ni−高Cr鋼等の難加工材の場合は、押出しプレス能力の面から小径薄肉のものが製造できないという制約がある。
【0004】
このため、寸法精度の良い製管法として冷間加工法を採用して、内面異形管をコールドピルガーミルによる冷間圧延法で製造している。これにともなって、この冷間圧延法でストレートな溝を有する内面異形管を製造する方法やこれに使用される冷間圧延用工具が種々提案されている。
【0005】
図4は、特許文献1で提案された内面異形管の製造方法で用いられるマンドレル工具の断面構成を説明する図である。内面異形管の溝部を形成する凸部の外径Hは圧延開始点Aから圧延終了点Bまで徐々に減少し、逃げの領域であるB〜B′では同じ外径である。また内面異形管の山部に対応する凹部の外径Gは、圧延開始点Aから途中のA′点までは外径縮小割合より大きい割合で縮小し、A′点から圧延終了点Bまでの外径縮小割合と同程度に縮小して、管が圧延される初期は、管の断面形状が仕上り管の断面形状と相似形となるようにしている。
【0006】
しかしながら、図4に示されるマンドレル工具では、工具の断面形状が仕上がり管の断面形状と相似形となるように設計しているが、このような断面形状では入口側の凸部が相対的に高くなり、凸部に作用する曲げモーメントが大きくなるため、マンドレル寿命が著しく低下することになる。
【0007】
図5は、特許文献2で提案された内面異形管の製造用マンドレル工具の圧延開始点から圧延終了点まで断面形状を示す図である。同図中のaは圧延開始点と圧延終了点間長をほぼ3等分した時の圧延開始点から1/3に入ったところの断面、bは同じく2/3に至るところの断面、cは圧延終了点の断面を示している。
【0008】
マンドレル工具の凸部外径H及び凹部外径Gが、圧延開始点から圧延終了点まで漸減し、内面異形管の山部形状を山の先端が溝底と常に一致するようにマンドレル軸方向に移動させた軌跡をマンドレル凹部形状としており、圧延開始点から圧延終了点に向けて凹部の深さが増大している。
【0009】
図5に示すマンドレル工具は、圧延開始点側での外径が圧延終了点側での外径より大きいため、圧延終了点に比べて圧延開始点側の周長が長い。また、圧延終了点に比べて圧延開始点側の凹部深さが浅い。このため、圧延終了点より圧延開始点側にはマンドレル工具の凸部に円周方向に平滑部1a、1bが形成される。この平滑部1a、1bの周方向長さは、圧延開始点に近づくほど長くなる。
【0010】
したがって、圧延にあたり圧延開始点近傍では管は圧延ロールとマンドレル工具の平滑部とで減肉圧延されて主として軸方向に延び、凹部への張り出しは殆ど発生しない。このため、圧延初期にマンドレル工具の凹部への材料充満が不充分となるため、得られた内面異形管の山部には未充満部が生じ、内面割れを発生し易くなる。
【0011】
【特許文献1】
特開昭60−166108号公報
【特許文献2】
特開昭62−212006号公報
【特許文献3】
特開平2−217105号公報
【特許文献4】
特開平3−281006号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
(関連技術の開発経緯)
図1は、本発明が対象とする内面異形管の断面形状の一例を示す図である。内面異形管10の内円周面には、熱交換効率を確保するため、断面が円弧形状で形成された溝部11と山部12とが周方向に交互に複数(図では8箇所の場合を示す)形成され、溝部11と山部12は管軸方向にストレートである。
【0013】
側壁13は溝部11及び山部12の各終点における共通の接線で構成される直線であり、この側壁13の延長線は、溝部11の中心dと管中心Oとを結ぶ線の延長線eに点fで交わっている。以後の説明において、側壁13の両延長線の交角2αを側壁の傾斜角度と称する。さらに、対向する溝部11の底間距離である溝底内径をDH、対向する山部12の頂間距離である山頂内径をDGで示す。
【0014】
前述の通り、図1に示す内面異形管を冷間加工法で製造するため、種々の冷間圧延用工具が提案されてきたが、工具製作の面や圧延初期に内面割れを発生し易い等の問題を内包していた。ところが、関連技術の進展にともなって製作が容易で、しかも圧延時に工具の凹部へ材料を確実に充満させることができるマンドレル工具が開発され、操業で用いられるようになった(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。
【0015】
開発されたこれらのマンドレル工具は、その断面工具形状の特徴から、圧延開始点から圧延終了点に向けて側壁の傾斜角度を一定とし、外円周面に形成された凸部及び凹部を内面異形管の溝部及び山部と実質同一形状(相似形)で形成する「側壁傾斜角度一定型」と、圧延開始点から圧延終了点に向けて側壁の傾斜角度を漸減させるとともに凹部の深さを漸増する「側壁傾斜角度漸減型」に区分することができる。上記のうち「側壁傾斜角度一定型」のマンドレル工具は特許文献3に開示され、「側壁傾斜角度漸減型」のマンドレル工具は特許文献4に開示されている。
【0016】
図2は、「側壁傾斜角度一定型」のマンドレル工具によって内面異形管を冷間圧延で製造する原理を示す図である。同図(a)は工具の側面図、(b)は圧延終了点における軸方向の工具断面図、及び(c)は工具断面の変化を軸方向に段階的に詳細に示した図である。図2(c)において、gは圧延開始点A、hは中間点及びiは圧延終了点Bにおけるマンドレル工具20の断面形状である。
【0017】
図2(a)、(b)において、内面異形管の溝底内径DHに相当するマンドレル外径は凸部外径と称してHで表わしている。また山頂内径DGに相当するマンドレル外径は凹部外径と称してGで表わしている。マンドレル工具20の外円周方向8箇所には、内面異形管の溝部11に対応する凸部21がマンドレル軸線方向に形成され、隣接する凸部21の間には、内面異形管の山部12に対応する凹部22が形成されている。
【0018】
そして、圧延開始点Aと圧延終了点Bとの間では、凸部外径Hが圧延終了点B側に向かって同一角度でテーパ状に漸減しており、圧延終了点Bにおける凸部外径Hは、内面異形管として要求される溝底内径DHに一致させてある。
【0019】
図2(c)に示すように、隣接する凸部21と凹部22を結ぶ側壁23は、圧延開始点Aから圧延終了点Bまでの全長にわたり、内面異形管の側壁13の傾斜角度2αと同一の傾斜角度を保っている。すなわち、マンドレル工具20の軸心OMと凸部中心とを結ぶ線jと側壁23の延長線とのなす角度が全長にわたり傾斜角度2αの半角αである。
【0020】
この構成を実現するため、凹部外径Gは圧延開始点Aから圧延終了点Bにかけて凸部外径Hよりも緩やかに減少させている。その結果、側壁23の長さは圧延開始点Aから圧延終了点Bに向かって短くなり、圧延終了点Bでは内面異形管の側壁13と同じ長さになっている。したがって、マンドレル工具20の外面形状は、圧延開始点Aから圧延終了点Bへの縮小に伴い側壁23の長さのみが短くなり、圧延終了点Bで内面異形管の内面形状と完全に同一となる。
【0021】
「側壁傾斜角度一定型」のマンドレル工具では、その外面周方向に交互に形成される凸部および凹部が、内面異形管の溝部および山部と圧延の全長に亘って実質同一形状になっており、マンドレルの軸長方向の外径変化に伴う凸部と凹部との間隔変化および凸部に対する凹部の深さ変化は、凸部と凹部とを結ぶ斜辺の長さで調節されている。したがって、凸部および凹部に夫々対応する形状の切削工具を用意すれば、工具製作は容易である。
【0022】
また圧延にあたっては、単に凹部へ順次材料が充満するだけでなく、凸部に周方向の平滑部が存在しないので、管の軸方向への減肉圧延が殆ど生じず、圧延開始点近傍より凹部への材料充満が積極的に行われ、得られた内面異形管の山部に未充満部は生じない。
【0023】
図3は、「側壁傾斜角度漸減型」のマンドレル工具によって内面異形管を冷間圧延で製造する原理を示す図である。同(a)は使用されるマンドレル工具の側面図、(b)は工具断面の軸方向での段階的な変化を前記(a)中のK〜O点に対応させて示した断面形状である。圧延開始点における工具端部は、素管内径よりやや小さい外径を有する真円に近い形状になっている。工具外径は該端部から他の端部に向けて比例的に漸減している。
【0024】
図3(b)において、前記図2(c)と同様に、内面異形管の溝底内径DHに相当するマンドレル外径は凸部外径Hで表わし、山頂内径DGに相当するマンドレル外径は凹部外径Gで表わしている。マンドレル工具20の外円周方向8箇所には、内面異形管の溝部11に対応する凸部21がマンドレル軸線方向に形成されており、隣接する凸部21の間には、内面異形管の山部12に対応する凹部22が形成されている。凸部21及び凹部22の共通の接線で構成される側壁23の傾斜角度を2αで示す。
【0025】
「側壁傾斜角度漸減型」のマンドレル工具20では、圧延開始点における側壁の傾斜角度2αは、圧延終了時の傾斜角度より大であり、圧延開始点から圧延終了点までの全長に亘って漸減している。さらに、圧延開始点から圧延終了点にかけて、凸部外径H及び凹部外径Gは漸減しており、外径減少度は凸部外径Hより凹部外径Gの方が大きくなっている。これにともなって、凹部外径Gの深さが実質的に0(ゼロ)である圧延開始点から圧延終了点に向けて漸増する。圧延終了点におけるマンドレル工具20の各寸法は、内面異形管における各対応寸法とそれぞれ一致している。
【0026】
上述の通り、「側壁傾斜角度漸減型」のマンドレル工具によれば、工具の圧延開始点近傍では、円周方向に同一半径で連続する平坦面がなく、しかも凹部が浅いので、凹部内に管が比較的張り出し難い圧延初期においても、凹部内への管の張り出しが促進され管材が充満される。そのため、内面異形管に発生する内面疵の発生は防止され、さらに凸部に圧延荷重が集中するのを回避できるので、マンドレル工具の折損が防止される。
(新たに認識された課題)
前述の通り、エチレンプラントの熱分解管等の熱交換用管材には、熱交換効率を向上させるために、管軸方向にストレートな溝を内面周方向に複数形成し管内周長を長くして、伝熱面積を広く確保した内面異形管が用いられている。これらの内面異形管の製造に際しては、前記図2及び図3に示す「側壁傾斜角度一定型」、または「側壁傾斜角度漸減型」のマンドレル工具が用いられ、いずれであっても所定の効果を発揮している。
【0027】
ところが、近年の石油化学プラントでは、一層の効率生産の観点から、さらなる熱効率の向上が要請されるようになり、従来、例えば、内面異形管の内面円周方向に溝を8箇所設けていたのに対し、10箇所若しくは12箇所に増加するように要請されている。このような要請に対し、熱間押出によって製造された内面異形管は、寸法精度が悪く、また小径薄肉のものが製造できないという制約があることから対応は困難である。
【0028】
冷間圧延で製造する場合であっても、伝熱面積を確保するため、溝が10箇所若しくは12箇所と増加してくると、管の溝部及び山部を形成するために、マンドレル工具の外円周面に設けられる凸部及び凹部の側壁の傾斜角度2αが著しく小さくなることから、内面異形管の製造が困難になる。
【0029】
さらに、石油化学プラントでの効率生産の要請は、内面異形管の製造プロセスの改善にも直結するものであり、冷間圧延用の工具寿命の延長や製品不良の低減が要求されるようになる。当然に、溝が10箇所若しくは12箇所と増加してくると、凸部及び凹部の側壁の傾斜角度2αが小さくなり、マンドレル工具の破損が発生し易くなる。一方、工具寿命の延長を重点で製造プロセスを設計すると、後述するように、内面異形管に内面疵を発生させるおそれがある。
【0030】
本発明は、上記の新たに認識された課題に対応してなされたものであり、内面異形管の溝が内円周方向に従来に比べ多数設けられる場合であっても、内面異形管に内面疵を発生させることなく、優れた工具寿命を発揮することができる内面異形管の冷間圧延用工具を提供することを目的としている。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために種々の検討を行った結果、次の(a)及び(b)に着目した。
(a) 内面異形管の内円周面に溝が多数設けられるようになると、マンドレル工具の外円周面に設けられる凸部及び凹部の側壁の傾斜角度2αが小さく設計されることから、工具破損を発生し易くなる。しかし、圧延開始点での凸部及び凹部の側壁の傾斜角度2αを一定以上に確保すれば、工具破損を防止して工具寿命を延長させることができる。
(b) ところが、圧延開始点での凸部及び凹部の側壁の傾斜角度2αを内面異形管の傾斜角度より大きく取り過ぎると、内面異形管の溝部及び山部は大きな角度から徐々に小さな角度になるように幅寄せ加工のような力を受けることから、溝部及び山部の軸方向延びが大きくなり、内面異形管の溝部及び山部周辺近傍で内面疵が発生することになる。
【0032】
そこで、マンドレル工具寿命と内面異形管の内面品質を両立させるため、圧延開始点におけるマンドレル工具の傾斜角度2αに着目し、その傾斜角度に上限及び下限を設けることとした。
【0033】
具体的には、マンドレル工具寿命を延長させるため、圧延開始点での凸部及び凹部の側壁の傾斜角度の半角αを40°以上に規定した。これにより、マンドレル工具の外円周面に設けられる凸部を冷間圧延中に負荷される曲げモーメントに耐えることができる形状にすることができる。
【0034】
一方、内面異形管の溝部及び山部の軸方向延びが大きくなるのを防ぐために、圧延開始点での凸部及び凹部の側壁の傾斜角度の半角αを55°以下に規定した。これにより、内面異形管の溝部及び山部に加わる幅寄せ加工のような力を低減して、内面異形管の溝部及び山部周辺近傍で内面疵が発生するのを防止することになる。
【0035】
請求項1に記載される内面異形管の冷間圧延用工具は、前述の「側壁傾斜角度漸減型」のマンドレル工具を包含する基本的な構成を対象とするものである。すなわち、その構成の特徴は、管軸方向にストレートな溝部と山部が内周面方向に交互に形成され、前記溝部と山部は断面円弧状であり、その共通の接線で構成される側壁を有する内面異形管を製造する冷間圧延用工具であって、管内面に溝部及び山部を形成する凸部及び凹部が共通の接線で構成される側壁を有しており、圧延開始点における側壁の傾斜角度2αが下記(1)式を満足することを特徴とする内面異形管の冷間圧延用工具である。
【0036】
40°≦ α ≦55° ・・・ (1)
上記(1)式において、傾斜角度の半角αを40°以上に規定したのは、マンドレル工具寿命を確保するためであり、一方、傾斜角度の半角αを55°以下に規定したのは、内面異形管の内面疵が発生するのを防止するためである。傾斜角度の半角αに上限及び下限を設けることによって、相反する工具寿命と内面異形管の内面品質を両立させることとした。
【0037】
請求項2に記載される内面異形管の冷間圧延用工具は、前記図3に示す「側壁傾斜角度漸減型」を対象としており、圧延開始点から圧延終了点に向けて側壁の傾斜角度を漸減させるとともに凹部の深さを漸増する構成である。
【0038】
この「側壁傾斜角度漸減型」の構成の特徴は、圧延開始点から圧延終了点に向かって漸減する外径を有し、この外径の漸減に対応して外円周面に形成された凸部の外径が圧延開始点から圧延終了点までの全長に亘って漸減し、圧延開始点における側壁の傾斜角度2αが圧延終了時の当該角度より大であり、かつ圧延開始点から圧延終了点までの全長に亘って漸減しており、圧延終了点では凸部外径、凹部外径及び側壁の長さが内面異形管の溝底内径、山頂内径及び側壁の長さとそれぞれ実質同一である。
【0039】
請求項3に記載される内面異形管の冷間圧延用工具は、外円周面に設けられる凸部が10箇所またはそれ以上であることを特徴としている。さらなる熱効率の向上に有効に対応できるとともに、冷間圧延用の工具寿命の延長や製品不良の低減に著しい効果を発揮することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる冷間圧延用工具の実施形態を実施例1〜3に基づいて説明する。
【0041】
(実施例1)
対象とする内面異形管は、前記図1に示すエチレンプラントの熱分解管で、内面に管軸方向にストレートな溝を内円周方向に8本有している。この管を冷間圧延で製造するに際して使用したマンドレル工具は、図3に示した「側壁傾斜角度漸減型」とした。
【0042】
具体的には、25Cr−38Niからなる外径77.0mm、内径51.0mm、肉厚13.0mmの素管を用いて、仕上げ寸法が外径50.8mm、肉厚6.90mm、溝山高さ5.00mmの内面異形管を冷間圧延した。このとき用いた工具形状及び冷間圧延結果を表1に示す。
【0043】
冷間圧延結果のうち工具寿命は、マンドレルが破損するまでの仕上圧延延べ長さであり、1800m以上を良好と評価する基準としている。また、内面異形管に発生する内面疵深さは管の縦断面をミクロ観察した結果であり、内面疵の発生があると不良と判断した。
【0044】
【表1】
Figure 0004093030
【0045】
表1の結果から明らかなように、傾斜角度2αが本発明の規定範囲に合致するNo.3及び4は、工具寿命及び内面異形管の品質ともに良好な結果であった。
【0046】
(実施例2)
対象とする内面異形管は、実施例1と同様にエチレンプラントの熱分解管であるが、内面に管軸方向にストレートな溝を周方向に10本有している。この管を冷間圧延で製造するに際して使用したマンドレル工具は、前記図2及び図3に示した「側壁傾斜角度一定型」及び「側壁傾斜角度漸減型」とした。
【0047】
素管は25Cr−38Niからなる外径93.0mm、内径59.0mm、肉厚17.0mmを用いて、仕上げ寸法が外径60.3mm、肉厚8.20mm、溝山高さ4.57mmの内面異形管を冷間圧延した。このとき用いた工具形状及び冷間圧延結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0004093030
【0049】
表2の結果から、傾斜角度2αが本発明の規定範囲に合致するNo.8〜10は、工具寿命及び内面異形管の品質ともに良好な結果であることが分かる。
【0050】
(実施例3)
対象とする内面異形管は、内面に管軸方向にストレートな溝を周方向に10本有している熱分解管とした。実施例2と同様に、冷間圧延で製造するに際して使用したマンドレル工具は、前記図2及び図3に示した「側壁傾斜角度一定型」及び「側壁傾斜角度漸減型」とした。
【0051】
素管は25Cr−38Niからなる外径100.0mm、内径63.0mm、肉厚18.5mmを用いて、仕上げ寸法が外径69.85mm、肉厚9.53mm、溝山高さ4.57mmの内面異形管を冷間圧延した。このとき用いた工具形状及び冷間圧延結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
Figure 0004093030
【0053】
表3の結果から、傾斜角度2αが本発明の規定範囲に合致するNo.14及び15は、工具寿命及び内面異形管の品質ともに良好な結果であることが分かる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の内面異形管の冷間圧延用工具によれば、内面異形管の溝が内円周方向に従来に比べ多数設けられる場合であっても、内面異形管に内面疵を発生させることなく、優れた工具寿命を確保して、効率的に内面異形管を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が対象とする内面異形管の断面形状の一例を示す図である。
【図2】「側壁傾斜角度一定型」のマンドレル工具によって内面異形管を冷間圧延で製造する原理を示す図であり、(a)は工具の側面図、(b)は圧延終了点における軸方向の工具断面図、及び(c)は工具断面の変化を軸方向に段階的に詳細に示した図である。
【図3】「側壁傾斜角度漸減型」のマンドレル工具によって内面異形管を冷間圧延で製造する原理を示す図であり、(a)は使用されるマンドレル工具の側面図、(b)は工具断面の軸方向での段階的な変化を示した断面形状である。
【図4】特許文献1で提案された内面異形管の製造方法で用いられるマンドレル工具の断面構成を説明する図である。
【図5】特許文献2で提案された内面異形管の製造用マンドレル工具の圧延開始点から圧延終了点まで断面形状を示す図である。
【符号の説明】
10:内面異形管、 11:溝部
12:山部、 13:側壁
20:マンドレル工具、 21凸部
22:凹部、 23:側壁
α:側壁の傾斜角度の半角

Claims (3)

  1. 管軸方向にストレートな溝部と山部が内周面方向に交互に形成され、前記溝部と山部は断面円弧状であり、その共通の接線で構成される側壁を有する内面異形管を製造する冷間圧延用工具であって、前記内面異形管の内面に溝部及び山部を形成する凸部及び凹部が共通の接線で構成される側壁を有しており、圧延開始点における側壁の傾斜角度2αが下記(1)式を満足することを特徴とする内面異形管の冷間圧延用工具。
    40°≦ α ≦55° ・・・ (1)
  2. 圧延開始点から圧延終了点に向かって漸減する外径を有し、この外径の漸減に対応して外円周面に形成された凸部の外径が圧延開始点から圧延終了点までの全長に亘って漸減し、圧延開始点における側壁の傾斜角度2αが圧延終了時の当該角度より大であり、かつ圧延開始点から圧延終了点までの全長に亘って漸減しており、圧延終了点では凸部外径、凹部外径及び側壁の長さが内面異形管の溝底内径、山頂内径及び側壁の長さとそれぞれ実質同一であることを特徴とする請求項1に記載の内面異形管の冷間圧延用工具。
  3. 外円周面に設けられる凸部が10箇所またはそれ以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の内面異形管の冷間圧延用工具。
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