JP2003006913A - 近視野光ヘッド - Google Patents
近視野光ヘッドInfo
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Abstract
って、高密度な情報の記録および読取を実現させるため
の情報記録/読取装置、特に高い光効率の近視野光ヘッ
ドを提供することを目的としている。 【解決手段】 近視野光を発生させる微小開口の周辺
に、周期的凹凸構造を持つ金属膜を形成することで、プ
ラズモンを介したエネルギー伝播機構を実現し、光効率
の向上を実現した。
Description
して情報の高密度な記録および再生を行う近視野光ヘッ
ドに関する。
ての光学顕微鏡は、試料を損傷しにくいという利点を持
つ一方で、使用する光の回折限界を超える解像度は原理
的に得られないという欠点を持っている。近年、入射光
波長以下のサイズの光学的開口を持つプローブで試料表
面を走査し、開口から発生する近視野光と試料表面の微
小領域との相互作用を利用することによって試料の高解
像度観察を実現した近視野光顕微鏡が注目されている。
この原理を高密度情報記録装置に応用したものが近視野
光情報記録装置である。
視野プローブの代わりに、略平面型の近視野光ヘッドに
微小な光学的開口を形成したものを用いる。この近視野
光ヘッドを従来型の磁気記録装置ヘッドの代わりに配置
し、ディスク状記録媒体の表面に記録された情報を再生
し、また、記録媒体表面の光学特性を変化させることで
記録するものである。近視野光ヘッドは例えばSi基板
上に形成された導波路と、底面に形成された微小開口を
持つ。微小開口は、Si基板上のSiO2層を等方性エ
ッチングするによって作成した円錐全体をAl蒸着膜で
覆い、先端部をFIB(Focused Ion Be
am)で切断して作製する。このヘッドを磁気記録装置
と同様に空気浮上させ、微小開口を記録媒体表面に数十
〜数百ナノメートルまで近接させる。レーザからの光を
導波路で微小開口に導き、微小開口から発生した近視野
光を記録媒体表面のデータマークで散乱させ、その散乱
光を検出することによってデータマークを認識する。
視野光ヘッドにおいては、光効率が低いという課題があ
った。すなわち、光が微小開口に到達する前に遮光膜に
よって吸収され、あるいは散乱するため、発生する近視
野光のエネルギーは極めて微小である。吸収された光エ
ネルギーは微小開口付近で熱に変換され、開口付近のA
l膜を損傷する。散乱された光はサスペンションアーム
やその他の部分でさらに反射し、その一部は検出器に入
り迷光ノイズとなる。近視野光エネルギーが微弱である
と、データマークとの相互作用も微小となり、検出器の
出力信号も弱いものとなってしまう。このため、情報記
録装置のC/N比が劣化し、高速なデータ転送が不可能
となるという課題があった。
射面と微小開口のあいだにマイクロレンズのような集光
機能を持つ構造を挿入すると、部品点数が増えることで
製造コストを押し上げ、ヘッド全体サイズが大型になる
という課題だけでなく、集光した光の焦点が微小開口に
正確に一致していないと光効率が急激に悪化する、とい
う課題があった。
させるために、高出力レーザーを利用するという方法が
あるが、これは消費電力を増加させる、吸収エネルギー
によって開口付近のAl膜を損傷する、などの問題点を
持っている。
のテーパ部の傾斜を2段階にする2段テーパ構造も提案
されているが、これは微小な構造を安定的に作製する必
要があり、製造コストの増大という結果につながる。
に直接レンズで集光して微小開口に導く方法もあるが、
これは装置全体の大型化を招き、また高速に微小トラッ
キング動作をするヘッドに光学系を追随させる必要があ
るなどの問題点がある。
来の課題を解決するものである。本発明に係る近視野光
ヘッドは、基板上に形成されたスライダーと、前記基板
上に形成された、入射光波長以下のサイズの光学的開口
と、を持ち、前記スライダーと記録媒体表面との相対運
動から発生する浮上力によって前記記録媒体表面から一
定距離で浮上し、前記光学的開口から発生する近視野光
を介して前記記録媒体表面と相互作用を持つことによっ
て、情報の記録あるいは再生あるいはその両者を行う近
視野光ヘッドにおいて、前記基板上の前記光学的開口の
周辺に金属から成る凹凸構造が周期的に存在し、前記光
学的開口が、前記スライダー底面で規定される平面内に
ほぼ位置し、前記凹凸構造の凸部が、前記スライダー底
面で規定される平面に対して光の入射側に位置している
事を特徴とする近視野光ヘッドとした。
ば、微小開口周辺に入射した光エネルギーの多くが前記
金属の周期的凹凸構造表面のプラズモンエネルギーに変
換され、微小開口が前記周期的凹凸構造における欠陥と
なるため、微小開口が微小な光源となって近視野光を発
生させる。これにより、従来の近視野光ヘッドに比べて
飛躍的な光効率の向上が実現される。
記近視野光ヘッドにおいて、前記金属が金、銀、銅のい
ずれかから成ることを特徴とする。
でプラズモンを発生させることができる。また、蒸着に
よるパターニングなど従来のプロセス技術を用いて容易
に近視野光ヘッドが作製できる。
記近視野光ヘッドにおいて、前記凹凸構造の周期が、5
0ナノメートルから500ナノメートルの間いずれかで
あることを特徴とする。
ビーム露光などの既存技術のみで本発明の近視野光ヘッ
ドが作製でき、また、入射光エネルギーを効率良くプラ
ズモンエネルギーに変換することで、高い光効率の近視
野光ヘッドが実現される。
実施の形態1に係る近視野光ヘッド2を情報記録装置に
搭載した状態の概念図である。近視野光ヘッド2はサス
ペンションアーム3に接着され、記録媒体1の矢印方向
への高速回転によって発生する空気浮上力と、サスペン
ションアーム3に加えられた荷重とのバランスによっ
て、記録媒体1表面と近視野光ヘッド2底面の距離は一
定に保たれている。この距離は典型的には数十nmであ
るが、要求される記録密度によって数〜数百nmの範囲
で適当な値に設計される。サスペンションアーム3には
図示しないが光ファイバが接着されており、図示しない
レーザ光源からの波長405nmの光を導く。近視野光
ヘッド2のサイズは縦1.5mm、横1.2mm、厚さ
0.8mmである。
光ヘッド2の断面図である。近視野光ヘッド2はミラー
基板4、開口基板5と、光ファイバー7から成る。ミラ
ー基板4はSi基板上に異方性エッチングによって形成
された斜面にAlを蒸着したミラー面6を持つ。ミラー
基板4には図示しないV溝がやはりエッチングによって
形成されており、そこに光ファイバー7が固定接着され
ている。開口基板5はSiO2から成り、上面に直径
0.2mmのマイクロレンズ9が形成されている。開口
基板5の底面には空気浮上のためのスライダー8と、そ
の間に略直方体の近視野光発生微小構造10が形成され
ている。スライダー8の高さは約2ミクロンであり、ス
ライダー底面で規定される平面上に微小構造10の先端
が位置する。光ファイバー7からの出射光11はミラー
面6で反射され、図中矢印で示したようにマイクロレン
ズ9で集光されて、近視野光発生微小構造10に照射さ
れる。
スライダー8の間に近視野光発生微小構造10があり、
その上にマイクロレンズ9が配置されている。図4は近
視野光発生微小構造10の断面図である。近視野光発生
微小構造10はSiO2から成り、入射光11はその中
を透過する。領域Aで示した部分の拡大図が図5であ
る。図5では入射光11が照射される部分のSiO2層
が周期的な凹凸構造を持っており、微小開口13以外の
領域はAu膜12でコーティングされている。この凹凸
は周期約500nm、深さ20nmであり、図6に示す
ように格子状に配列している。図6は図4における領域
Aの部分を、底面側から見たものである。凹凸構造の全
面にAu膜12が約20nmの厚さでコーティングされ
ており、そのうち中央に一辺100nmの正方形の微小
開口13が開けられている。微小開口13はAu膜12
の中央である必要はなく、端あるいは角付近にあっても
良い。再び図5で、入射光11のエネルギーは凹凸形状
を持つAu膜12の表面プラズモンに変換される。表面
プラズモンはAu膜12の表面を伝播するが、凹凸構造
の欠陥となる微小開口13で散乱されて近視野光50と
なって、微小開口13付近に局在する。
光を入射することによって表面プラズモンが発生するこ
とについては、たとえばThioら(Tineke T
hio,H.J.Lezec,T.W.Ebbese
n,Physica B,vol.279,90(20
00))が報告している。ここでは光ファイバーの先端
を加工することによってAuの周期的凹凸構造を形成
し、微小開口からの光放射を測定した結果、極めて高い
光効率を実現した。このメカニズムについては不明点も
多いが、表面プラズモンによるものであることは、たと
えばSonnichsenらの論文(C.Sonnic
hsen,A.C.Duch,G.Steininge
r,M.Koch,G.von Plessen,J.
Feldmann,Appl.Phys.Lett.,
vol.76,140(2000))などで確実視され
ている。本実施の形態においても、Al平面膜に形成し
た微小開口に比べて1桁以上の光効率向上が実現され
た。
ドの作製プロセスを示す。ステップS701において4
00ミクロン厚のSiO2基板の下面にエッチングによ
ってマイクロレンズ9を形成する。これはグレーティン
グでも良いし、フレネルレンズでも良い。ステップS7
02において基板上面に、エッチングによって2本のス
ライダー8と、格子状のパターニングの入った直方体形
状14を形成する。このとき、直方体形状14の高さは
スライダー8の高さよりも少し低く、具体的には次のス
テップで蒸着するAu膜12の厚みと凹凸構造厚みの和
だけ40nm低くなるようにエッチングする。ステップ
S703において、この直方体形状14の上面に蒸着に
よってAu膜12を形成する。最後にステップS704
において、FIB(Focused Ion Bea
m)によって微小開口13を形成する。凹凸構造の凸部
は、スライダー8の底面で規定される平面内にほぼ位置
する。凸部は、この平面からわずかであれば記録媒体方
向に突出していても、スライダーの記録媒体表面からの
浮上量よりも突出量が小さい範囲では問題ない。このよ
うにして、通常のプロセス技術の組み合わせのみで容易
に近視野光ヘッドを作製することができた。
ス表面にプラスティックを成形する、光ディスクの製造
方法を応用することで作製することもできる。
ファイバーから作製した近視野光プローブや、SiO2
から成る円錐ティップの先端を切断した形状のヘッドに
有るような、テーパ形状が存在しない。そのため、入射
光が無損失で近視野光発生微小構造10に照射される。
入射光エネルギーのうち数十パーセントはSiO2とA
uの界面に発生する表面プラズモンのエネルギーに変換
される。また、入射光はマイクロレンズ9によって集光
されるが、その焦点は必ずしも微小開口13に一致して
いる必要はない。それは、入射光のうち微小開口13に
直接照射されなかった成分が、Au膜表面(上面)に照
射されることで光エネルギーがいったんプラズモンエネ
ルギーに変換され、プラズモンがAu表面を伝播したの
ち微小開口13によって散乱されて近視野光になるため
である。 (実施の形態2)図8上図と下図は本発明の実施の形態
2に係る近視野光ヘッドの底面図と上図中の線分B−
B’における断面図である。本発明は近視野光を発生す
る微小構造の周辺に、金属から成る周期的凹凸構造を形
成することに主眼点があるので、この微小構造まで光を
導く方法には限定は無い。実施の形態1においては、レ
ーザからの光を光ファイバで導き、ミラーで反射させた
後、マイクロレンズで集光した。実施の形態2において
は、Si基板15から成るヘッドの底面に形成された導
波路を用いて光を導く構造とした。図8において、上図
は近視野光ヘッドの底面であり、2本のスライダー8に
挟まれた部分に導波路19が形成されており、その先端
には周期的凹凸構造を持つ形状にAu膜12がコーティ
ングされ、中央付近に微小開口13が形成されている。
下図は断面を示す。導波路19はクラッド16とコア1
7から成り、コア17内を伝播した光はミラー面18で
反射してAu膜12に照射される。
の作製方法を示す。上図がヘッド底面図で、下図が線分
C−C’における断面図である。ステップS901では
Si基板を異方性エッチングすることによって斜面20
を形成する。ステップS902では導波路を形成し、上
面を研磨して平坦にする。ステップS903においてエ
ッチングによって2本のスライダー8と、周期的凹凸形
状21を形成する。ステップS904でAu膜12を蒸
着する。最後にステップS905においてFIBによっ
て微小開口13を形成する。
では、入射光が導波路19によってヘッド内部を導か
れ、表面プラズモンを発生するAu膜12に大きな強度
で安定的に照射される。実施の形態1に比較すると、導
波路から微小開口までの距離が短いため光効率が高くな
っている。さらに、ヘッドの底面側に光導波構造を設け
ていることから、ヘッド全体を薄くすることが可能とな
った。本実施の形態においては約200ミクロンの厚み
のヘッドが実現できた。実施の形態1のときと同様に、
光が微小開口に正確に照射されていなくても、光エネル
ギーがAu膜表面のプラズモンエネルギーに変換された
のちに、微小開口13から近視野光となって現れるた
め、十分に高い光効率が実現できた。 (実施の形態3)図10は本発明の実施の形態3に係る
近視野光ヘッドの構造を示す。上図は底面、下図は線分
D−D’における断面を示す。実施の形態1、2と同様
に、2本のスライダー8に挟まれる部分に導波路19が
形成されている。周期的凹凸形状の上にAu膜12がコ
ーティングされ、微小開口13が形成されている。本実
施の形態においては、導波路19を伝播してきた光を微
小開口13の方向に曲げる方法として、導波路19のコ
ア下面のクラッドとの界面にグレーティング構造22を
形成した。このような構造は、通常のフォトリソグラフ
ィ技術を用いてSiO2層をエッチングすることによっ
て作製することができる。グレーティング22によって
曲げられた光はAu膜12に照射され、Au膜12表面
にプラズモンを励起する。この表面プラズモンはAu膜
12上を伝播し、微小開口13で散乱されて近視野光と
なって微小開口13の外側に現れる。
て、光効率の飛躍的な向上が実現できた。また、実施の
形態2と同様にヘッド全体のサイズも小型化することが
できた。
野光を発生させる手段として光の波長以下のサイズの光
学的微小開口に光を入射しているが、他の手段たとえば
微小な突起形状に光を照射する方法でも近視野光を発生
させることができ、その場合にも、その突起形状の周辺
に周期的凹凸構造を持つ金属膜を形成することによって
同様の効果を得ることができる。
いて近視野光を発生させる微小構造の周辺に、プラズモ
ンを発生させる金属膜から成る周期的凹凸構造を形成す
ることによって、入射光エネルギーをいったん金属の表
面プラズモンエネルギーに変換し、微小構造から近視野
光として発生させるメカニズムによって、従来不可能で
あった高い光効率の近視野光ヘッドを実現した。また、
入射光の照射部位が微小構造と一致していなくても、高
い光効率が実現された。これらの構造は通常のプロセス
技術によって容易に作製することができ、低コストで量
産性に優れた近視野光ヘッドが実現できた。このヘッド
は既存の磁気記録装置とほぼ同様の構成の装置に組み込
むことが可能で、情報記録装置全体の製造コストも低く
抑えることができた。情報記録密度を上げるために微小
開口をさらに微細化した場合でも、同様の製造方法でヘ
ッドを作製することができ、従来の近視野光ヘッドのよ
うなテーパ構造が無いため、光効率の低下も最小限に抑
えることができる。
を情報記録装置に搭載した状態の概念図である。
の断面図である。
る。
ものである。
セスを示す。
底面図と断面図である。
を示す。
の構造を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 基板上に形成されたスライダーと、前記
基板上に形成された、入射光波長以下のサイズの光学的
開口と、を持ち、前記スライダーと記録媒体表面との相
対運動から発生する浮上力によって前記記録媒体表面か
ら一定距離で浮上し、前記光学的開口から発生する近視
野光を介して前記記録媒体表面と相互作用を持つことに
よって、情報の記録あるいは再生あるいはその両者を行
う近視野光ヘッドにおいて、前記基板上の前記光学的開
口の周辺に金属から成る凹凸構造が周期的に存在し、前
記光学的開口が、前記スライダー底面で規定される平面
内にほぼ位置し、前記凹凸構造の凸部が、前記スライダ
ー底面で規定される平面に対して光の入射側に位置して
いる事を特徴とする近視野光ヘッド。 - 【請求項2】 前記金属が金、銀、銅のいずれかから成
ることを特徴とする請求項1に記載の近視野光ヘッド。 - 【請求項3】 前記凹凸構造の周期が、50ナノメート
ルから500ナノメートルの間のいずれかであることを
特徴とする請求項1あるいは2に記載の近視野光ヘッ
ド。
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