JP2003006811A - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁極部分より発生される、記録媒体の面に垂
直な方向の磁界を大きくする。 【解決手段】 薄膜磁気ヘッドは、第1の磁性層8およ
び第2の磁性層14と、媒体対向面ABSから離れた位
置において、第1の磁性層8と第2の磁性層14とを磁
気的に連結する連結部12と、第1の磁性層8と第2の
磁性層14との間に設けられたギャップ層9と、一部が
第1の磁性層8および第2の磁性層の間に設けられた薄
膜コイル10とを備えている。薄膜コイル10の第2の
磁性層14側の面は、媒体対向面ABSにおけるギャッ
プ層9の第2の磁性層14側の端部の位置よりも、第1
の磁性層8側に配置されている。また、第2の磁性層1
4のギャップ層9側の面は、媒体対向面ABSから離れ
るに従って段階的に第1の磁性層8に近づいている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも書込み
用の誘導型電磁変換素子を有する薄膜磁気ヘッドおよび
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録再生装置における記録方式に
は、信号磁化の向きを記録媒体の面内方向(長手方向)
とする長手磁気記録方式と、信号磁化の向きを記録媒体
の面に対して垂直な方向とする垂直磁気記録方式とがあ
る。垂直磁気記録方式は、長手磁気記録方式に比べて、
記録媒体の熱揺らぎの影響を受けにくく、高い線記録密
度を実現することが可能であると言われている。
【0003】長手磁気記録方式用の薄膜磁気ヘッドは、
一般的に、記録媒体に対向する媒体対向面(エアベアリ
ング面)と、互いに磁気的に連結され、媒体対向面側に
おいてギャップ部を介して互いに対向する磁極部分を含
む第1および第2の磁性層と、少なくとも一部が第1お
よび第2の磁性層の間に、第1および第2の磁性層に対
して絶縁された状態で設けられた薄膜コイルとを備えた
構造になっている。
【0004】一方、垂直磁気記録方式用の薄膜磁気ヘッ
ドには、長手磁気記録方式用の薄膜磁気ヘッドと同様の
構造のリングヘッドと、一つの主磁極によって記録媒体
の面に対して垂直方向の磁界を印加する単磁極ヘッドと
がある。単磁極ヘッドを用いる場合には、記録媒体とし
ては一般的に、基板上に軟磁性層と磁気記録層とを積層
した2層媒体が用いられる。
【0005】ところで、近年の高記録密度化に伴い、薄
膜磁気ヘッドではトラック幅の縮小が望まれている。そ
のため、上記単磁極ヘッドにおいても主磁極の幅の縮小
が望まれている。しかしながら、従来、主磁極の幅の縮
小を妨げる以下の2つの問題点があった。
【0006】第1の問題点は、主磁極の幅を例えば0.
5μm以下とするような主磁極の高精度のパターニング
が困難なことである。すなわち、主磁極は、例えば、フ
ォトリソグラフィ技術によって形成されたレジストフレ
ームを用いて、電気めっき法(フレームめっき法)によ
って形成される。ところが、従来、主磁極は、コイルを
覆って盛り上がった絶縁層の上に形成されるため、レジ
ストフレームも凹凸の高低差の大きな絶縁層の上に形成
されることになる。この場合、レジストの膜厚を均一に
することは難しいため、レジストフレームを精度よくパ
ターニングすることが難しい。そのため、主磁極の高精
度のパターニングが困難になる。
【0007】第2の問題点は、主磁極の幅を縮小する
と、磁束が主磁極の先端に到達する前に飽和してしま
い、媒体対向面において主磁極の先端より発生される磁
界が小さくなることである。
【0008】従来、長手磁気記録方式用の薄膜磁気ヘッ
ドにおいても同様な問題点があった。この問題点を解決
するために、長手磁気記録方式用の薄膜磁気ヘッドで
は、一方の磁性層を、媒体対向面に露出する磁極部分を
含み、媒体対向面における幅がトラック幅を規定する磁
極部分層と、この磁極部分層へ磁束を導くヨーク部分層
とに分けた構造が多く採用されている。この構造によれ
ば、磁極部分層の飽和磁束密度をヨーク部分層の飽和磁
束密度よりも大きくすることで磁束を効率的に磁極部分
の先端まで導くことが可能になり、且つ幅の小さな磁極
部分を形成することが可能になる。
【0009】上述のような長手磁気記録方式用の薄膜磁
気ヘッドの例は、例えば特開平11−102506号公
報、特開2000−57522号公報、特開2000−
67413号公報、特開2000−149218号公報
に示されている。
【0010】一方、垂直記録方式用の薄膜磁気ヘッドに
関しては、「日経エレクトロニクス2000年9月25
日号(no.779),p.206」(以下、単に「日
経エレクトロニクス」と記す。)における図2や、特開
平7−161019号公報に単磁極ヘッドの構造の例が
示されている。「日経エレクトロニクス」に示された単
磁極ヘッドでは、主磁極は薄く平坦な単層の磁性層で構
成されている。また、特開平7−161019号公報に
示された単磁極ヘッドでは、主磁極は、ギャップ部側の
面が平坦化され、媒体対向面側の一部の厚みが他の部分
の厚みよりも小さい形状をなす単層の磁性層で構成され
ている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】垂直磁気記録方式用の
ヘッドでは、記録媒体の面に対して垂直な方向の磁界を
大きくすることが重要である。しかしながら、前記の特
開平11−102506号公報、特開2000−575
22号公報、特開2000−67413号公報、特開2
000−149218号公報に示された薄膜磁気ヘッド
は、いずれも、構造上、長手記録方式用のヘッドであ
り、垂直記録方式には適していない。具体的に説明する
と、各公報に示された薄膜磁気ヘッドでは、いずれも、
トラック方向についてのギャップ部の長さが短いと共
に、ヨーク部分層はコイルを迂回するように配置され、
必ず磁極部分層のギャップ部とは反対側の面に対して磁
気的に接続される。そのため、各公報に示された薄膜磁
気ヘッドでは、磁極部分より発生される、記録媒体の面
に垂直な方向の磁界が小さくなるという問題点がある。
【0012】ところで、垂直磁気記録方式用の単磁極ヘ
ッドでは、記録媒体におけるビットパターン形状の歪み
を抑えるために、媒体対向面において、主磁極の、記録
媒体の進行方向の前側(単磁極ヘッドを含むスライダに
おける空気流出端側)の端部が平坦であることが望まし
い。しかし、垂直磁気記録方式用の単磁極ヘッドにおい
て、主磁極を磁極部分層とヨーク部分層とに分けた構造
とした場合には、磁極部分層の形成後にヨーク部分層を
形成することになるため、ヨーク部分層を形成する工程
において、磁極部分層がダメージを受けやすい。そのた
め、主磁極の、記録媒体の進行方向の前側の端部の平坦
性を維持することが困難になるという問題点がある。
【0013】一方、前記「日経エレクトロニクス」に示
された単磁極ヘッドでは、主磁極は薄く平坦な単層の磁
性層で構成されている。従って、この単磁極ヘッドで
は、主磁極を構成する磁性層の途中で磁束が飽和しやす
く、媒体対向面において主磁極より発生される磁界が小
さくなるという問題点がある。
【0014】また、単磁極ヘッドでは、媒体対向面にお
いて主磁極より発生される磁界のうち、記録媒体の面に
対して垂直な方向の成分を、記録媒体の面に対して水平
な方向の成分に比べて相対的に大きくするためには、ギ
ャップ部の長さ、すなわち主磁極と補助磁極との間の距
離を大きくする必要がある。「日経エレクトロニクス」
に示された単磁極ヘッドと特開平7−161019号公
報に示された単磁極ヘッドでは、いずれも、主磁極のギ
ャップ層側の面は平坦であるため、記録媒体の面に対し
て垂直な方向の磁界を大きくするためにギャップ部の長
さを大きくすると、コイルと主磁極との間の距離が大き
くなる。そうなると、主磁極が、コイルから発生される
磁界を効率よく吸収することができなくなり、その結
果、記録媒体の面に対して垂直な方向の磁界を大きくす
ることができなくなるという問題点がある。また、これ
らの単磁極ヘッドでは、記録媒体の面に対して垂直な方
向の磁界を大きくするためにギャップ部の長さを大きく
すると、磁路長が長くなって、高周波特性が悪化すると
いう問題点がある。
【0015】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、磁極部分より発生される、記録媒体
の面に垂直な方向の磁界を大きくすることができるよう
にした薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜磁気ヘッド
は、記録媒体に対向する媒体対向面と、記録媒体の進行
方向の前後に所定の間隔を開けて互いに対向するように
配置された磁極部分を含む第1および第2の磁性層と、
媒体対向面から離れた位置において、第1の磁性層と第
2の磁性層とを磁気的に連結する連結部と、非磁性材料
よりなり、第1の磁性層と第2の磁性層との間に設けら
れたギャップ層と、少なくとも一部が第1および第2の
磁性層の間に、第1および第2の磁性層に対して絶縁さ
れた状態で設けられた薄膜コイルとを備え、第2の磁性
層のギャップ層側の面は、媒体対向面から離れるに従っ
て段階的に第1の磁性層に近づいているものである。
【0017】本発明の薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性
層のギャップ層側の面は、媒体対向面から離れるに従っ
て段階的に第1の磁性層に近づいている。従って、本発
明では、媒体対向面において磁極部分より発生される磁
界のうち、記録媒体の面に対して垂直な方向の成分を、
記録媒体の面に対して水平な方向の成分に比べて相対的
に大きくすることが可能になる。また、本発明では、第
2の磁性層と薄膜コイルとの間の距離が小さくなり、こ
れにより、薄膜コイルから発生される磁界を効率よく吸
収することが可能になる。
【0018】本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、第2の
磁性層における媒体対向面側の一部の厚みは他の部分の
厚みよりも小さくてもよい。
【0019】また、本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、
第2の磁性層の、ギャップ層とは反対側の面のうち、少
なくとも媒体対向面側の一部は平坦であってもよい。
【0020】また、本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、
第2の磁性層のギャップ層側の面は、媒体対向面側から
順に配置された第1の面、第2の面および第3の面を含
み、第1の面は平面であり、第3の面は第1の面よりも
第1の磁性層側に配置され、第1の面と第3の面との間
には段差が形成され、第2の面は、第1の面と第3の面
のいずれに対しても鈍角をなして接続された斜面であっ
てもよい。
【0021】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、更に、
再生素子としての磁気抵抗効果素子を備えていてもよ
い。
【0022】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、垂直磁
気記録方式に用いられるものであってもよい。
【0023】本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、記
録媒体に対向する媒体対向面と、記録媒体の進行方向の
前後に所定の間隔を開けて互いに対向するように配置さ
れた磁極部分を含む第1および第2の磁性層と、媒体対
向面から離れた位置において、第1の磁性層と第2の磁
性層とを磁気的に連結する連結部と、非磁性材料よりな
り、第1の磁性層と第2の磁性層との間に設けられたギ
ャップ層と、少なくとも一部が第1および第2の磁性層
の間に、第1および第2の磁性層に対して絶縁された状
態で設けられた薄膜コイルとを備え、第2の磁性層のギ
ャップ層側の面は、媒体対向面から離れるに従って段階
的に第1の磁性層に近づいている薄膜磁気ヘッドを製造
する方法であって、第1の磁性層を形成する工程と、第
1の磁性層の上に、連結部、ギャップ層および薄膜コイ
ルを形成する工程と、連結部およびギャップ層の上に第
2の磁性層を形成する工程とを備え、連結部、ギャップ
層および薄膜コイルを形成する工程は、連結部および薄
膜コイルを覆うようにギャップ層を形成する工程と、ギ
ャップ層のうちの少なくとも媒体対向面側の一部におけ
る第2の磁性層側の面を平坦化する工程と、ギャップ層
のうちの媒体対向面側の一部における第2の磁性層側の
面の上にマスクを形成する工程と、マスクを用いて、ド
ライエッチングによって、ギャップ層の一部と連結部の
一部をエッチングして、第2の磁性層の下地の上面が、
媒体対向面から離れるに従って段階的に第1の磁性層に
近づくように、第2の磁性層の下地の形状を決定する工
程とを含むものである。
【0024】本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、
第2の磁性層のギャップ層側の面が、媒体対向面から離
れるに従って段階的に第1の磁性層に近づくように、薄
膜磁気ヘッドが製造される。従って、本発明では、媒体
対向面において磁極部分より発生される磁界のうち、記
録媒体の面に対して垂直な方向の成分を、記録媒体の面
に対して水平な方向の成分に比べて相対的に大きくする
ことが可能になる。また、本発明では、第2の磁性層と
薄膜コイルとの間の距離を小さくでき、これにより、薄
膜コイルから発生される磁界を効率よく吸収することが
可能になる。
【0025】本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法におい
て、第2の磁性層を形成する工程は、第2の磁性層の、
ギャップ層とは反対側の面のうち、少なくとも媒体対向
面側の一部を平坦化してもよい。
【0026】また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
において、連結部、ギャップ層および薄膜コイルを形成
する工程は、更に、マスクを形成する工程の前に、ギャ
ップ層および連結部の第2の磁性層側の面の上に、第2
の磁性層の下地の形状を決定するために利用される補助
層を形成する工程を含み、マスクを形成する工程は、補
助層を介して、ギャップ層の第2の磁性層側の面の上に
マスクを形成し、第2の磁性層の下地の形状を決定する
工程は、マスクを用いて、補助層の一部、ギャップ層の
一部および連結部の一部をエッチングし、この工程によ
って形成される第2の磁性層の下地の上面は、媒体対向
面側から順に配置された第1の面、第2の面および第3
の面を含み、第1の面は平面であり、第3の面は第1の
面よりも第1の磁性層側に配置され、第1の面と第3の
面との間には段差が形成され、第2の面は、第1の面と
第3の面のいずれに対しても鈍角をなす斜面となるよう
にしてもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。 [第1の実施の形態]図1は本発明の第1の実施の形態
に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。な
お、図1は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示
している。また、図1において記号Tで示す矢印は、記
録媒体の進行方向を表している。図2は図1のA−A線
断面を示す断面図である。図3は図1に示した薄膜磁気
ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。図4は、図1
に示した薄膜磁気ヘッドにおける第2の磁性層の形状を
示す平面図である。
【0028】図1ないし図3に示したように、本実施の
形態に係る薄膜磁気ヘッドは、アルティック(Al23
・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1と、この
基板1の上に形成されたアルミナ(Al23)等の絶縁
材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に形成され
た磁性材料よりなる下部シールド層3と、この下部シー
ルド層3の上に、絶縁層4を介して形成された再生素子
としてのMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子
5の上に絶縁層4を介して形成された磁性材料よりなる
上部シールド層6とを備えている。下部シールド層3お
よび上部シールド層6の厚みは、それぞれ例えば1〜2
μmである。
【0029】MR素子5の一端部は、媒体対向面(エア
ベアリング面)ABSに配置されている。MR素子5に
は、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大
磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗
効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子
を用いることができる。
【0030】薄膜磁気ヘッドは、更に、上部シールド層
6の上に形成された非磁性層7と、この非磁性層7の上
に形成された磁性材料よりなる第1の磁性層8と、この
第1の磁性層8の上において薄膜コイル10を形成すべ
き位置に形成された絶縁層9Aと、この絶縁層9Aの上
に形成された薄膜コイル10と、少なくとも薄膜コイル
10の巻線間に充填された絶縁層9Bとを備えている。
絶縁層9Aには、媒体対向面ABSから離れた位置にお
いて、コンタクトホール9aが形成されている。
【0031】第1の磁性層8の厚みは例えば1〜2μm
である。第1の磁性層8を構成する磁性材料は、例えば
鉄−ニッケル系合金すなわちパーマロイでもよいし、後
述するような高飽和磁束密度材でもよい。また、第1の
磁性層8は、2つ以上の層で構成してもよい。
【0032】絶縁層9Aは、アルミナ等の非導電性且つ
非磁性の材料よりなり、その厚みは例えば0.1〜1μ
mである。
【0033】薄膜コイル10は、銅等の導電性の材料よ
りなり、その巻線の厚みは例えば0.3〜2μmであ
る。薄膜コイル10の巻数は任意であり、巻線のピッチ
も任意である。
【0034】絶縁層9Bは、形成時に流動性を有する非
導電性且つ非磁性の材料よりなる。具体的には、絶縁層
9Bは、例えば、フォトレジスト(感光性樹脂)のよう
な有機系の非導電性非磁性材料によって形成してもよい
し、塗布ガラスよりなるスピンオングラス(SOG)膜
で形成してもよい。
【0035】薄膜磁気ヘッドは、更に、コンタクトホー
ル9aが形成された位置において第1の磁性層8の上に
形成された磁性材料よりなる連結部12と、薄膜コイル
10、絶縁層9Aおよび絶縁層9Bを覆うように形成さ
れた絶縁層9Cとを備えている。薄膜コイル10は、連
結部12の回りに巻回されている。
【0036】連結部12の形状は、例えば、厚みが2〜
4μm、奥行き(媒体対向面ABSに垂直な方向の長
さ)が2〜10μm、幅が4〜20μmである。連結部
12を構成する磁性材料は、例えば鉄−ニッケル系合金
でもよいし、後述するような高飽和磁束密度材でもよ
い。
【0037】絶縁層9Cは、絶縁層9Bよりも耐食性、
剛性および絶縁性が優れた非導電性且つ非磁性の材料よ
りなる。このような材料としては、アルミナやシリコン
酸化物(SiO2)等の無機系の非導電性非磁性材料を
用いることができる。媒体対向面ABSにおける絶縁層
9Aおよび絶縁層9Cの合計の厚みは、例えば2〜4μ
mである。絶縁層9A,9B,9Cは、第1の磁性層8
と後述する第2の磁性層14との間に設けられるギャッ
プ層9を構成する。
【0038】本実施の形態では、薄膜コイル10の第2
の磁性層14側の面は、媒体対向面ABSにおけるギャ
ップ層9の第2の磁性層14側の端部の位置よりも、第
1の磁性層8側に配置されている。
【0039】薄膜磁気ヘッドは、更に、絶縁層9Cおよ
び連結部12の上に形成された磁性材料よりなる第2の
磁性層14を備えている。第2の磁性層14は、媒体対
向面ABSから離れた位置において、連結部12を介し
て、第1の磁性層8と磁気的に連結されている。
【0040】第2の磁性層14を構成する磁性材料は、
例えば鉄−ニッケル系合金でもよいし、高飽和磁束密度
材でもよい。高飽和磁束密度材としては、鉄および窒素
原子を含む材料、鉄、ジルコニアおよび酸素原子を含む
材料、鉄およびニッケル元素を含む材料等を用いること
ができる。具体的には、高飽和磁束密度材としては、例
えば、NiFe(Ni:45重量%,Fe:55重量
%)、FeNやその化合物、Co系アモルファス合金、
Fe−Co、Fe−M(必要に応じてO(酸素原子)も
含む。)、Fe−Co−M(必要に応じてO(酸素原
子)も含む。)の中のうちの少なくとも1種類を用いる
ことができる。ここで、Mは、Ni,N,C,B,S
i,Al,Ti,Zr,Hf,Mo,Ta,Nb,Cu
(いずれも化学記号)の中から選択された少なくとも1
種類である。また、第2の磁性層14の飽和磁束密度
は、第1の磁性層8の飽和磁束密度よりも大きいことが
好ましく、例えば2.0Tである。
【0041】第2の磁性層14の下地の上面、すなわち
絶縁層9Cおよび連結部12の上面は、媒体対向面AB
Sから離れるに従って段階的に第1の磁性層8に近づい
ている。より詳しく説明すると、図1に示したように、
第2の磁性層14の下地の上面は、媒体対向面ABS側
から順に配置された第1の面e、第2の面fおよび第3
の面gを含んでいる。第1の面eは、第1の磁性層8の
上面と平行な平面である。第3の面gは、第1の磁性層
8の上面とほぼ平行な面であり、第1の面eよりも第1
の磁性層8側に配置されている。従って、第1の面eと
第3の面gとの間には段差が形成されている。第2の面
fは、第1の面eと第3の面gのいずれに対しても鈍角
をなして接続された斜面となっている。
【0042】第1の面eと第1の磁性層8との距離は、
2μm以上が好ましく、例えば2〜4μmである。一
方、第1の面eの媒体対向面ABSに垂直な方向の長さ
は、1μm以下が好ましい。第2の面fが第1の面eお
よび第3の面gとなす角度は、いずれも100〜150
°が好ましい。言い換えると、第2の面fが媒体対向面
ABSとなす角度は、10〜60°が好ましい。第2の
面fの長さは、1〜3μmが好ましい。第1の磁性層8
の上面に垂直な方向についての第3の面gの位置は、連
結部12の上面の位置とほぼ一致し、第1の面eの位置
と薄膜コイル10の上面の位置との間の位置である。
【0043】上述のような下地の上に形成された第2の
磁性層14のギャップ層9側の面は、下地の上面の形状
と同様に、媒体対向面ABSから離れるに従って段階的
に第1の磁性層8に近づいている。また、第2の磁性層
14のギャップ層9側の面は、下地の上面における第1
の面e、第2の面fおよび第3の面gと同様の形状の第
1の面、第2の面および第3の面を含んでいる。
【0044】また、媒体対向面ABSに露出する第2の
磁性層14の面の形状は、記録媒体の進行方向Tの後側
(スライダにおける空気流入端側)に配置される下辺が
上辺よりも小さい台形であることが好ましい。
【0045】また、第2の磁性層14のうちの媒体対向
面ABS側の一部は、トラック幅と等しい一定の幅を有
するのが好ましい。また、第2の磁性層14のうちの媒
体対向面ABSから離れた部分では、薄膜コイル10か
ら発生する磁界を吸収する量を増加させるために、幅が
大きいことが好ましい。従って、第2の磁性層14の平
面形状としては、例えば図4に示した形状が好ましい。
図4に示した例では、第2の磁性層14は、媒体対向面
ABS側から順に配置された第1の部分14a、第2の
部分14bおよび第3の部分14cを含んでいる。第1
の部分14aは、トラック幅と等しい一定の幅を有して
いる。第1の部分14aの幅は0.3μm以下が好まし
い。第3の部分14cは、第1の部分14aの幅よりも
大きい一定の幅を有している。第3の部分14cの幅は
例えば6μm以上である。第2の部分14bの幅は、第
3の部分14cとの境界位置では第3の部分14cの幅
と等しく、第1の部分14aとの境界位置では第1の部
分14aの幅と等しく、途中の部分では、媒体対向面A
BSに近づくに従って徐々に小さくなっている。
【0046】また、第2の磁性層14において、媒体対
向面ABS側の一部の厚みは他の部分の厚みよりも小さ
いのが好ましい。具体的には、第2の磁性層14の厚み
は、下地の上面における第1の面eの上に配置された部
分では、0.1〜1.0μmであることが好ましく、
0.3〜0.8μmであることがより好ましい。また、
第2の磁性層14の厚みは、下地の上面における第3の
面gの上に配置された部分では、2〜5μmであること
が好ましい。
【0047】薄膜磁気ヘッドは、更に、アルミナ等の非
導電性且つ非磁性の材料よりなり、第2の磁性層14の
周囲に配置された保護層17Aを備えている。第2の磁
性層14の上面は、保護層17Aの上面と共に平坦化さ
れている。
【0048】薄膜磁気ヘッドは、更に、アルミナ等の非
導電性且つ非磁性の材料よりなり、第2の磁性層14お
よび保護層17Aの上に形成された保護層17Bを備え
ている。
【0049】以上説明したように、本実施の形態に係る
薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面AB
Sと再生ヘッドと記録ヘッド(誘導型電磁変換素子)と
を備えている。再生ヘッドは、再生素子としてのMR素
子5と、媒体対向面ABS側の一部がMR素子5を挟ん
で対向するように配置された、MR素子5をシールドす
るための下部シールド層3および上部シールド層6を備
えている。
【0050】記録ヘッドは、媒体対向面ABS側におい
て記録媒体の進行方向Tの前後に所定の間隔を開けて互
いに対向するように配置された磁極部分を含む第1の磁
性層8および第2の磁性層14と、媒体対向面ABSか
ら離れた位置において、第1の磁性層8と第2の磁性層
14とを磁気的に連結する連結部12と、非磁性材料よ
りなり、第1の磁性層8と第2の磁性層14との間に設
けられたギャップ層9と、少なくとも一部が第1の磁性
層8および第2の磁性層14の間に、これらの磁性層
8,14に対して絶縁された状態で設けられた薄膜コイ
ル10とを備えている。
【0051】薄膜コイル10の第2の磁性層14側の面
は、媒体対向面ABSにおけるギャップ層9の第2の磁
性層14側の端部の位置よりも、第1の磁性層8側に配
置されている。また、第2の磁性層14のギャップ層9
側の面は、媒体対向面ABSから離れるに従って段階的
に第1の磁性層8に近づいている。
【0052】従って、本実施の形態によれば、媒体対向
面ABSにおいて第1の磁性層8と第2の磁性層14と
の間の距離を大きくしながら、媒体対向面ABSから離
れたところでは第2の磁性層14と薄膜コイル10との
間の距離を小さくすることができる。これにより、本実
施の形態によれば、媒体対向面ABSにおいて磁極部分
より発生される磁界のうち、記録媒体の面に対して垂直
な方向の成分を、記録媒体の面に対して水平な方向の成
分に比べて相対的に大きくすることが可能になると共
に、薄膜コイル10から発生される磁界を第2の磁性層
14によって効率よく吸収することが可能になる。その
結果、本実施の形態によれば、磁極部分より発生され
る、記録媒体の面に垂直な方向の磁界を大きくすること
ができる。
【0053】また、本実施の形態では、第2の磁性層1
4において、媒体対向面ABS側の一部の厚みは他の部
分の厚みよりも小さくなっている。これにより、本実施
の形態によれば、第2の磁性層14において、媒体対向
面ABSから離れた部分では、薄膜コイル10から発生
される磁界を効率よく吸収し、媒体対向面ABSに近づ
くに従って磁束密度を大きくすることができる。この点
からも、本実施の形態によれば、磁極部分より発生され
る、記録媒体の面に垂直な方向の磁界を大きくすること
ができる。
【0054】また、本実施の形態によれば、第2の磁性
層14におけるギャップ層9とは反対側の面が平坦化さ
れているので、媒体対向面ABSにおいて、第2の磁性
層14のギャップ層9とは反対側の端部を平坦にするこ
とができる。これにより、本実施の形態によれば、媒体
対向面ABSにおいて第2の磁性層14より発生される
磁界を、トラックに交差する方向について均一化するこ
とができる。その結果、記録媒体におけるビットパター
ン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることが
できる。
【0055】また、本実施の形態では、第2の磁性層1
4のギャップ層9側の面は、媒体対向面ABS側から順
に配置された第1の面、第2の面および第3の面を含
み、第1の面は平面であり、第3の面は第1の面よりも
第1の磁性層8側に配置され、第1の面と第3の面との
間には段差が形成され、第2の面は、第1の面と第3の
面のいずれに対しても鈍角をなして接続された斜面であ
る。もし、第2の磁性層14のギャップ層9側の面に、
90°以下の角度を有するエッジが存在すると、このエ
ッジの近傍で、磁束の漏れが生じたり、渦電流が発生し
たりして、磁界発生の効率が低下する。これに対し、本
実施の形態によれば、第2の磁性層14のギャップ層9
側の面には、90°以下の角度を有するエッジは存在し
ない。従って、本実施の形態によれば、磁束の漏れや渦
電流の発生を防止して、効率よく磁界を発生させること
ができ、この点からも、磁極部分より発生される、記録
媒体の面に垂直な方向の磁界を大きくすることができ
る。
【0056】また、本実施の形態において、媒体対向面
ABSに露出する第2の磁性層14の面の形状は、記録
媒体の進行方向Tの後側(スライダにおける空気流入端
側)に配置される下辺が上辺よりも小さい台形形状とす
るのが好ましい。これにより、薄膜磁気ヘッドを垂直磁
気記録方式に用いた場合には、スキュー角が生じたとき
の記録トラック幅の変化を抑えることができる。
【0057】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、垂
直磁気記録方式に用いるのに適している。この薄膜磁気
ヘッドを垂直磁気記録方式に用いる場合、第2の磁性層
14が主磁極となり、第1の磁性層8の磁極部分が補助
磁極となる。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド
を垂直磁気記録方式に用いる場合には、記録媒体として
は2層媒体と単層媒体のいずれをも使用することが可能
である。
【0058】また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド
では、記録媒体の面に垂直な方向の磁界は長手方向の磁
界よりも大きく、ヘッドが発生する磁気エネルギを効率
よく、記録媒体に伝達することができる。従って、この
薄膜磁気ヘッドによれば、記録媒体の熱揺らぎの影響を
受けにくくして、線記録密度を高めることができる。
【0059】図1に示したように、本実施の形態に係る
薄膜磁気ヘッドは、第1の磁性層8を記録媒体の進行方
向Tの後側(薄膜磁気ヘッドを含むスライダにおける空
気流入端側)に配置し、第2の磁性層14を記録媒体の
進行方向Tの前側(薄膜磁気ヘッドを含むスライダにお
ける空気流出端側)に配置するのが好ましい。しかし、
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを垂直磁気記録方式
に用いる場合には、第1の磁性層8と第2の磁性層14
の配置は、上記の配置とは逆でもよい。
【0060】また、図1に示したように、本実施の形態
に係る薄膜磁気ヘッドでは、ギャップ層9は、形成時に
流動性を有する材料よりなり、少なくとも薄膜コイル1
0の巻線間に充填された第1の部分(絶縁層9B)と、
この第1の部分よりも耐食性、剛性および絶縁性が優れ
た材料よりなり、薄膜コイル10および第1の部分を覆
い、第1の磁性層8および第2の磁性層14に接する第
2の部分(絶縁層9A,9C)とを有している。ギャッ
プ層9の第2の部分は、媒体対向面ABSに露出してい
る。薄膜コイル10の巻線間に隙間なく非磁性材料を充
填することは、スパッタリング法では困難であるが、有
機系の材料のように流動性を有する非磁性材料を用いた
場合には容易である。しかし、有機系の材料は、ドライ
エッチングに対する耐性、耐食性、耐熱性、剛性等の点
で信頼性に乏しい。本実施の形態では、上述のように、
形成時に流動性を有する材料によって薄膜コイル10の
巻線間に充填された第1の部分(絶縁層9B)を形成
し、この第1の部分よりも耐食性、剛性および絶縁性が
優れた材料によって、薄膜コイル10および第1の部分
を覆い、第1の磁性層8および第2の磁性層14に接す
る第2の部分(絶縁層9A,9C)を形成するようにし
たので、薄膜コイル10の巻線間に隙間なく非磁性材料
を充填でき、且つギャップ層9の信頼性を高めることが
できる。
【0061】また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド
は、再生素子としてのMR素子5を備えている。これに
より、誘導型電磁変換素子を用いて再生を行う場合に比
べて、再生性能を向上させることができる。また、MR
素子5は、シールド層3,6によってシールドされてい
るので、再生時の分解能を向上させることができる。
【0062】次に、図5ないし図41を参照して、本実
施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明
する。図5ないし図7、図8ないし図10、図11ない
し図13、図14ないし図16、図17ないし図19、
図20ないし図22、図23ないし図25、図26ない
し図29、図30ないし図32、図33ないし図35、
図36ないし図38、図39ないし図41の各組は、そ
れぞれ、同じ工程に対応している。また、図5、図8、
図11、図14、図17、図20、図23、図26、図
30、図33、図36および図39は、媒体対向面およ
び基板の面に垂直な断面を表している。図6、図9、図
12、図15、図18、図21、図24、図27、図3
1、図34、図37および図40は、図1におけるA−
A線断面に対応する断面を表している。図7、図10、
図13、図16、図19、図22、図25、図28、図
32、図35、図38および図41は、媒体対向面に対
応する断面を表している。図29は、第2の磁性層を形
成するためのフレームを示す平面図である。
【0063】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、まず、基板1の上に絶縁層2を形成する。次
に、絶縁層2の上に下部シールド層3を形成する。次
に、下部シールド層3の上に、絶縁層4の一部となる絶
縁膜を形成し、この絶縁膜の上にMR素子5と、このM
R素子5に接続される図示しないリードとを形成する。
次に、MR素子5およびリードを、絶縁層4の他の一部
となる新たな絶縁膜で覆い、MR素子5およびリードを
絶縁層4内に埋設する。
【0064】次に、絶縁層4の上に上部シールド層6を
形成し、その上に非磁性層7を形成する。次に、この非
磁性層7の上に、第1の磁性層8を所定の形状に形成す
る。次に、図示しないが、非磁性層7および第1の磁性
層8をアルミナ等の非磁性材料で覆い、第1の磁性層8
が露出するまで非磁性材料を研磨して、第1の磁性層8
の上面を平坦化する。なお、図5ないし図41では、基
板1ないし非磁性層7を省略している。
【0065】次に、図5ないし図7に示したように、第
1の磁性層8の上に、アルミナ等の非導電性且つ非磁性
の材料をスパッタして、絶縁層9Aを形成する。次に、
周知のフォトリソグラフィ技術とドライエッチング技術
とを用いて、連結部12を形成すべき位置において、絶
縁層9Aにコンタクトホール9aを形成する。次に、周
知のフォトリソグラフィ技術および成膜技術(例えば電
気めっき法)を用いて、絶縁層9Aの上に薄膜コイル1
0を形成する。次に、周知のフォトリソグラフィ技術を
用いて、少なくとも薄膜コイル10の巻線間に充填され
る絶縁層9Bを形成する。
【0066】次に、周知のフォトリソグラフィ技術およ
び成膜技術(例えば電気めっき法)を用いて、コンタク
トホール9aが形成された位置において第1の磁性層8
の上に連結部12を形成する。連結部12の厚みは、例
えば2〜4μmとする。次に、スパッタ法を用いて、薄
膜コイル10、絶縁層9A、絶縁層9Bおよび連結部1
2を覆うように絶縁層9Cを形成する。この時点におけ
る絶縁層9Cの厚みは、連結部12を十分に覆うことが
できる厚みであればよく、例えば6μmとする。
【0067】次に、図8ないし図10に示したように、
例えば化学機械研磨を用いて、絶縁層9Cおよび連結部
12の上面を平坦化する。この時点で、第1の磁性層8
の上面から絶縁層9Cおよび連結部12の上面までの距
離は、例えば2〜4μmとする。また、媒体対向面AB
Sにおける絶縁層9Aおよび絶縁層9Cの厚みの総和
は、記録ヘッド(誘導型電磁変換素子)のギャップ長と
なる。
【0068】次に、図11ないし図13に示したよう
に、絶縁層9Cおよび連結部12の上に、第2の磁性層
14の下地の形状を決定するために利用される補助層4
1を形成する。補助層41の材料としては、容易に除去
が可能な銅や、鉄系の合金が好ましく、特に、後述する
マスク42と同じ材料であることが好ましい。補助層4
1の厚みは、0.1〜3μmが好ましい。
【0069】次に、図14ないし図16に示したよう
に、補助層41のうちの媒体対向面ABS側の一部の上
に、ドライエッチング用のマスク42を形成する。マス
ク42の材料は、容易に除去でき、且つ後に行うドライ
エッチングに対する耐性に優れた材料であることが好ま
しい。そのような材料としては、例えば、銅や、鉄系合
金がある。また、マスク42の材料として例えばニッケ
ル−鉄合金を使用すれば、フレームめっき法等によって
容易にマスク42を形成することができる。マスク42
の媒体対向面ABSとは反対側の側面42aは、補助層
41の上面に対して垂直であることが好ましい。また、
この側面42aと媒体対向面ABSとの間の距離は、1
μm以下であることが好ましい。
【0070】次に、図17ないし図19に示したよう
に、マスク42を用いて、イオンミリング等のドライエ
ッチングによって、補助層41の一部、絶縁層9Cの一
部および連結部12の一部をエッチングして、第2の磁
性層14の下地の形状を決定する。すなわち、このエッ
チングによって、第1の面e、第2の面fおよび第3の
面gを含む、第2の磁性層14の下地の上面が形成され
る。なお、第1の面eは、絶縁層9Cの上面のうち、マ
スク42によって覆われた部分によって形成される。
【0071】上述のような形状の第2の磁性層14の下
地の上面は、例えば、基板に対するイオンの入射角を1
0〜80°として基板を回転させながらイオンミリング
を行うことで形成することができる。この場合、マスク
42の周辺にイオンに対して影となる部分ができるた
め、マスク42の周辺には、斜面である第2の面fが形
成され、マスク42から離れた部分には、ほぼ平面の第
3の面gが形成される。
【0072】また、絶縁層9Cと連結部12に対するド
ライエッチングは、第2の面fとなる斜面の上端が第1
の面eの端部と一致したときに終了すればよい。これに
より、第2の磁性層14の下地の上面に形成されるエッ
ジを、全て鈍角のエッジとすることができる。
【0073】もしも、絶縁層9Cの上に補助層41を介
さずに直接マスク42を形成し、このマスク42を用い
てドライエッチングを行った場合には、上述のように第
2の面fとなる斜面の上端と第1の面eの端部とを一致
させることは難しく、マスク42の周辺における絶縁層
9Cの上面と第1の面eとの間に、90°以上の角度を
有するエッジができやすい。
【0074】これに対し、本実施の形態では、ギャップ
層9(絶縁層9C)および連結部12の第2の磁性層1
4側の面の上に補助層41を形成し、この補助層41を
介して、ギャップ層9(絶縁層9C)の第2の磁性層1
4側の面の上にマスク42を形成する。そして、マスク
42を用いて、補助層41の一部、ギャップ層9の一部
および連結部12の一部をエッチングして、第2の磁性
層14の下地の形状を決定する。これにより、本実施の
形態によれば、容易に、第2の磁性層14の下地の上面
に形成されるエッジが全て鈍角のエッジとなるように、
第2の磁性層14の下地の形状を決定することができ
る。
【0075】次に、図20ないし図22に示したよう
に、周知のフォトリソグラフィ技術を用いて、連結部1
2を覆うようにレジストからなるカバー43を形成す
る。
【0076】次に、図23ないし図25に示したよう
に、周知のエッチング技術を用いて、マスク42および
補助層41を除去する。例えば、マスク42および補助
層41がニッケル−鉄合金からなる場合には、塩化第2
鉄水溶液を用いれば、これらを容易に除去することがで
きる。この際、例えばアルミナからなる絶縁層9Cはエ
ッチングされず、また、レジストカバー43によって覆
われている連結部12もエッチングされることはない。
次に、カバー43を除去する。
【0077】次に、図26ないし図29に示したよう
に、周知のフォトリソグラフィ技術を用いて、レジスト
によって、絶縁層9Cの上に、第2の磁性層14の形状
に対応した空隙部を有するフレーム44を形成する。図
29に示したように、フレーム44の空隙部は、媒体対
向面ABS側の一部の幅が他の部分の幅よりも小さい形
状とするのが好ましい。
【0078】次に、図30ないし図32に示したよう
に、フレーム44を用いて、電気めっき法(フレームめ
っき法)によって、絶縁層9Cおよび連結部12の上に
第2の磁性層14を形成する。第2の磁性層14の厚み
は、絶縁層9Cの上面における第1の面eと第3の面g
との段差よりも大きいことが好ましい。次に、フレーム
44を除去する。
【0079】次に、図33および図35に示したよう
に、第2の磁性層14を覆うように保護層17Aを形成
する。保護層17Aの厚みは、積層面における凹凸の最
大の高低差の1.1倍程度であればよい。
【0080】次に、図36ないし図38に示したよう
に、例えば化学機械研磨を用いて、保護層17Aおよび
第2の磁性層14の上面を研磨して、これらを平坦化す
る。この研磨によって、媒体対向面ABSにおける第2
の磁性層14の厚みが決定される。
【0081】次に、図39ないし図41に示したよう
に、積層面の全体を覆うように保護層17Bを形成す
る。次に、保護層17Bの上に配線や端子等を形成し、
スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面ABSの研
磨、浮上用レールの作製等を行って、薄膜磁気ヘッドが
完成する。
【0082】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法によれば、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドと同
様の作用、効果の他に、以下のような作用、効果が得ら
れる。
【0083】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法によれば、媒体対向面ABSにおいて第1の磁性層
8と第2の磁性層14との間の距離が大きく、且つ媒体
対向面ABSから離れたところでは第2の磁性層14と
薄膜コイル10との間の距離が小さい構造の薄膜磁気ヘ
ッドを容易に製造することができる。
【0084】また、本実施の形態では、絶縁層9Cおよ
び連結部12の上面を平坦化した後に、絶縁層9Cおよ
び連結部12の上に、補助層41を介して、マスク42
を形成する。そして、このマスク42を用いて、補助層
41の一部、絶縁層9Cの一部および連結部12の一部
をエッチングして、第2の磁性層14の下地の形状を決
定する。これにより、容易に、第2の磁性層14の下地
の上面が、媒体対向面ABSから離れるに従って段階的
に第1の磁性層8に近づくように、第2の磁性層14の
下地の形状を決定することができる。また、本実施の形
態によれば、補助層41を設けることによって、容易
に、第2の磁性層14の下地の上面に形成されるエッジ
が全て鈍角のエッジとなるように、第2の磁性層14の
下地の形状を決定することができる。
【0085】また、本実施の形態では、上記の第2の磁
性層14の下地の上に第2の磁性層14を形成した後
に、この第2の磁性層14の上面を平坦化している。こ
れにより、容易に、第2の磁性層14における媒体対向
面ABS側の一部の厚みが他の部分の厚みよりも小さい
第2の磁性層14の形状を決定することができる。ま
た、本実施の形態では、媒体対向面ABSにおいて、第
2の磁性層14のギャップ層9とは反対側の端部が平坦
化される。従って、本実施の形態によれば、媒体対向面
ABSにおいて第2の磁性層14より発生される磁界
を、トラックに交差する方向について均一化することが
でき、その結果、記録媒体におけるビットパターン形状
の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができ
る。
【0086】また、本実施の形態では、絶縁層9Cおよ
び連結部12の上面を平坦化した後に、マスク42を用
いて、補助層41の一部、ギャップ層9の一部および連
結部12の一部をエッチングして、第2の磁性層14の
下地の形状を決定する。従って、本実施の形態によれ
ば、第2の磁性層14のうち、媒体対向面ABS側の一
部であって幅と厚みの双方が一定の部分の、媒体対向面
ABSに垂直な方向の長さを、ばらつきを抑えながら小
さくすることができる。
【0087】また、本実施の形態によれば、第2の磁性
層14のギャップ層9側の面における第1の面と第2の
面との境界はマスク42の位置で規定されるため、この
境界の位置のばらつきを小さくすることができる。この
ことから、本実施の形態によれば、第1の面と第2の面
との境界の位置を、例えば、媒体対向面から1μm以下
の距離の位置に配置することができ、これにより、磁極
部分より発生される磁界を大きくすることができる。
【0088】[第2の実施の形態]次に、図42ないし
図44を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る薄
膜磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。図
42は本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド
の構成を示す断面図である。なお、図42は媒体対向面
および基板の面に垂直な断面を示している。また、図4
2において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を
表している。図43は図42のB−B線断面を示す断面
図である。図44は図42に示した薄膜磁気ヘッドの媒
体対向面を示す正面図である。
【0089】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、
第2の磁性層14の上面の全面ではなく、第2の磁性層
14の上面のうち、媒体対向面ABS側の一部の面hの
みが保護層17Aの上面と共に平坦化されている。第2
の磁性層14の上面うち、面h以外の部分の上には保護
層17Aが設けられている。平坦化された保護層17A
の上面および面hの上には保護層17Bが設けられてい
る。
【0090】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、第1の実施の形態に比べて第2の磁性層14
の厚みを小さくする。また、本実施の形態では、保護層
17Aおよび第2の磁性層14の上面を研磨して、これ
らを平坦化する際に、面hが露出した後、第2の磁性層
14の上面の全面が露出する前に研磨を終了する。
【0091】本実施の形態によれば、第1の実施の形態
に比べて、保護層17Aおよび第2の磁性層14の研磨
量を少なくすることができ、その結果、媒体対向面AB
Sにおける第2の磁性層14の厚みのばらつきを小さく
することができる。
【0092】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0093】[第3の実施の形態]次に、図45ないし
図47を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る薄
膜磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。図
45は本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド
の構成を示す断面図である。なお、図45は媒体対向面
および基板の面に垂直な断面を示している。また、図4
5において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を
表している。図46は図45のC−C線断面を示す断面
図である。図47は図45に示した薄膜磁気ヘッドの媒
体対向面を示す正面図である。
【0094】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、
第2の磁性層14の上面は平坦化されていない。また、
本実施の形態では、保護層17Aは設けられておらず、
第2の磁性層14の上には保護層17Bが設けられてい
る。
【0095】本実施の形態における第2の磁性層14の
厚みは、媒体対向面ABSにおける第2の磁性層14の
好ましい厚みに合わせることが好ましい。媒体対向面A
BSにおける第2の磁性層14の好ましい厚みは、第1
の実施の形態と同様である。
【0096】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、第2の磁性層14を形成した後に、保護層1
7Aを形成せず、また、第2の磁性層14の上面を平坦
化せずに、第2の磁性層14を覆うように保護層17B
を形成する。
【0097】本実施の形態によれば、第1の実施の形態
に比べて、保護層17Aを形成する工程と、第2の磁性
層14の上面を平坦化する工程が不要になるので、工程
数を少なくすることができる。
【0098】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0099】なお、本発明は上記各実施の形態に限定さ
れず、種々の変更が可能である。例えば、本発明の薄膜
磁気ヘッドは、第2の磁性層を先に形成し、この第2の
磁性層の上にギャップ層と連結部を形成し、これらの上
に第1の磁性層を形成して製造してもよい。
【0100】また、本発明は、基体側に書き込み用の誘
導型電磁変換素子を形成し、その上に、読み取り用のM
R素子を形成した構造の薄膜磁気ヘッドにも適用するこ
とができる。
【0101】また、本発明は、誘導型電磁変換素子のみ
を備えた記録専用の薄膜磁気ヘッドや、誘導型電磁変換
素子によって記録と再生を行う薄膜磁気ヘッドにも適用
することができる。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし6
のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性層
のギャップ層側の面は、媒体対向面から離れるに従って
段階的に第1の磁性層に近づいている。従って、本発明
によれば、媒体対向面において磁極部分より発生される
磁界のうち、記録媒体の面に対して垂直な方向の成分
を、記録媒体の面に対して水平な方向の成分に比べて相
対的に大きくすることが可能になる。また、本発明で
は、第2の磁性層と薄膜コイルとの間の距離が小さくな
り、これにより、薄膜コイルから発生される磁界を効率
よく吸収することが可能になる。これらのことから、本
発明によれば、磁極部分より発生される、記録媒体の面
に垂直な方向の磁界を大きくすることができるという効
果を奏する。
【0103】また、請求項2記載の薄膜磁気ヘッドで
は、第2の磁性層において、媒体対向面側の一部の厚み
は他の部分の厚みよりも小さい。従って、本発明によれ
ば、第2の磁性層において、媒体対向面から離れた部分
では、薄膜コイルから発生される磁界を効率よく吸収
し、媒体対向面に近づくに従って磁束密度を大きくする
ことができる。その結果、本発明によれば、磁極部分よ
り発生される、記録媒体の面に垂直な方向の磁界をより
大きくすることができるという効果を奏する。
【0104】また、請求項3記載の薄膜磁気ヘッドで
は、第2の磁性層の、ギャップ層とは反対側の面のう
ち、少なくとも媒体対向面側の一部は平坦である。従っ
て、本発明によれば、媒体対向面において、第2の磁性
層のギャップ層とは反対側の端部を平坦に保ち、媒体対
向面において第2の磁性層より発生される磁界を、トラ
ックに交差する方向について均一化することができる。
その結果、本発明によれば、記録媒体におけるビットパ
ターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させるこ
とができるという効果を奏する。
【0105】また、請求項4記載の薄膜磁気ヘッドで
は、第2の磁性層のギャップ層側の面は、媒体対向面側
から順に配置された第1の面、第2の面および第3の面
を含み、第1の面は平面であり、第3の面は第1の面よ
りも第1の磁性層側に配置され、第1の面と第3の面と
の間には段差が形成され、第2の面は、第1の面と第3
の面のいずれに対しても鈍角をなして接続された斜面で
ある。すなわち、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、第2の
磁性層のギャップ層側の面に、90°以下の角度を有す
るエッジは存在しない。従って、本発明によれば、磁束
の漏れや渦電流の発生を防止して、効率よく磁界を発生
させることができ、磁極部分より発生される、記録媒体
の面に垂直な方向の磁界をより大きくすることができる
という効果を奏する。
【0106】また、請求項5記載の薄膜磁気ヘッドによ
れば、再生素子としての磁気抵抗効果素子を備えたの
で、誘導型電磁変換素子を用いて再生を行う場合に比べ
て、再生性能を向上させることができるという効果を奏
する。
【0107】また、請求項6記載の薄膜磁気ヘッドによ
れば、この薄膜磁気ヘッドが垂直磁気記録方式に用いら
れるようにしたので、記録媒体の熱揺らぎの影響を受け
にくくして、線記録密度を高めることができるという効
果を奏する。
【0108】請求項7ないし9のいずれかに記載の薄膜
磁気ヘッドの製造方法では、第2の磁性層のギャップ層
側の面が、媒体対向面から離れるに従って段階的に第1
の磁性層に近づくように、薄膜磁気ヘッドが製造され
る。従って、本発明によれば、媒体対向面において磁極
部分より発生される磁界のうち、記録媒体の面に対して
垂直な方向の成分を、記録媒体の面に対して水平な方向
の成分に比べて相対的に大きくすることが可能になる。
また、本発明では、第2の磁性層と薄膜コイルとの間の
距離が小さくなり、これにより、薄膜コイルから発生さ
れる磁界を効率よく吸収することが可能になる。これら
のことから、本発明によれば、磁極部分より発生され
る、記録媒体の面に垂直な方向の磁界を大きくすること
ができるという効果を奏する。
【0109】また、請求項8記載の薄膜磁気ヘッドの製
造方法によれば、第2の磁性層の、ギャップ層とは反対
側の面のうち、少なくとも媒体対向面側の一部が平坦化
される。従って、本発明によれば、媒体対向面におい
て、第2の磁性層のギャップ層とは反対側の端部を平坦
に保ち、媒体対向面において第2の磁性層より発生され
る磁界を、トラックに交差する方向について均一化する
ことができる。その結果、本発明によれば、記録媒体に
おけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度
を向上させることができるという効果を奏する。
【0110】また、請求項9記載の薄膜磁気ヘッドの製
造方法によれば、第2の磁性層のギャップ層側の面は、
媒体対向面側から順に配置された第1の面、第2の面お
よび第3の面を含み、第1の面は平面であり、第3の面
は第1の面よりも第1の磁性層側に配置され、第1の面
と第3の面との間には段差が形成され、第2の面は、第
1の面と第3の面のいずれに対しても鈍角をなして接続
された斜面となる。すなわち、本発明の製造方法によっ
て製造される薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性層のギャ
ップ層側の面に、90°以下の角度を有するエッジは存
在しなくなる。また、本発明によれば、第1の面と第2
の面との境界はマスクの位置で規定されるため、この境
界の位置のばらつきを小さくすることができる。このこ
とから、本発明によれば、第1の面と第2の面との境界
の位置を、例えば、媒体対向面から1μm以下の距離の
位置に配置することができ、これにより、磁極部分より
発生される磁界を大きくすることができる。従って、本
発明によれば、磁束の漏れや渦電流の発生を防止して、
効率よく磁界を発生させることができ、磁極部分より発
生される、記録媒体の面に垂直な方向の磁界をより大き
くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの構成を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線断面を示す断面図である。
【図3】図1に示した薄膜磁気ヘッドの媒体対向面を示
す正面図である。
【図4】図1に示した薄膜磁気ヘッドにおける第2の磁
性層の形状を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの製造方法における一工程を示す断面図である。
【図6】図5に示した状態における図1のA−A線断面
に対応する断面を表す断面図である。
【図7】図5に示した状態における媒体対向面に対応す
る断面を表す断面図である。
【図8】図5に続く工程を示す断面図である。
【図9】図8に示した状態における図1のA−A線断面
に対応する断面を表す断面図である。
【図10】図8に示した状態における媒体対向面に対応
する断面を表す断面図である。
【図11】図8に続く工程を示す断面図である。
【図12】図11に示した状態における図1のA−A線
断面に対応する断面を表す断面図である。
【図13】図11に示した状態における媒体対向面に対
応する断面を表す断面図である。
【図14】図11に続く工程を示す断面図である。
【図15】図14に示した状態における図1のA−A線
断面に対応する断面を表す断面図である。
【図16】図14に示した状態における媒体対向面に対
応する断面を表す断面図である。
【図17】図14に続く工程を示す断面図である。
【図18】図17に示した状態における図1のA−A線
断面に対応する断面を表す断面図である。
【図19】図17に示した状態における媒体対向面に対
応する断面を表す断面図である。
【図20】図17に続く工程を示す断面図である。
【図21】図20に示した状態における図1のA−A線
断面に対応する断面を表す断面図である。
【図22】図20に示した状態における媒体対向面に対
応する断面を表す断面図である。
【図23】図20に続く工程を示す断面図である。
【図24】図23に示した状態における図1のA−A線
断面に対応する断面を表す断面図である。
【図25】図23に示した状態における媒体対向面に対
応する断面を表す断面図である。
【図26】図23に続く工程を示す断面図である。
【図27】図26に示した状態における図1のA−A線
断面に対応する断面を表す断面図である。
【図28】図26に示した状態における媒体対向面に対
応する断面を表す断面図である。
【図29】図26に示した状態におけるフレームを示す
平面図である。
【図30】図26に続く工程を示す断面図である。
【図31】図30に示した状態における図1のA−A線
断面に対応する断面を表す断面図である。
【図32】図30に示した状態における媒体対向面に対
応する断面を表す断面図である。
【図33】図30に続く工程を示す断面図である。
【図34】図33に示した状態における図1のA−A線
断面に対応する断面を表す断面図である。
【図35】図33に示した状態における媒体対向面に対
応する断面を表す断面図である。
【図36】図33に続く工程を示す断面図である。
【図37】図36に示した状態における図1のA−A線
断面に対応する断面を表す断面図である。
【図38】図36に示した状態における媒体対向面に対
応する断面を表す断面図である。
【図39】図36に続く工程を示す断面図である。
【図40】図39に示した状態における図1のA−A線
断面に対応する断面を表す断面図である。
【図41】図39に示した状態における媒体対向面に対
応する断面を表す断面図である。
【図42】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの構成を示す断面図である。
【図43】図42のB−B線断面を示す断面図である。
【図44】図42に示した薄膜磁気ヘッドの媒体対向面
を示す正面図である。
【図45】本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘ
ッドの構成を示す断面図である。
【図46】図45のC−C線断面を示す断面図である。
【図47】図45に示した薄膜磁気ヘッドの媒体対向面
を示す正面図である。
【符号の説明】
3…下部シールド層、4…絶縁層、5…MR素子、6…
上部シールド層、7…非磁性層、8…第1の磁性層、9
…ギャップ層、9A,9B,9C…絶縁層、10…薄膜
コイル、12…連結部、14…第2の磁性層、17A,
17B…保護層、41…補助層。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体に対向する媒体対向面と、 記録媒体の進行方向の前後に所定の間隔を開けて互いに
    対向するように配置された磁極部分を含む第1および第
    2の磁性層と、 前記媒体対向面から離れた位置において、前記第1の磁
    性層と第2の磁性層とを磁気的に連結する連結部と、 非磁性材料よりなり、前記第1の磁性層と第2の磁性層
    との間に設けられたギャップ層と、 少なくとも一部が前記第1および第2の磁性層の間に、
    前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態で
    設けられた薄膜コイルとを備えた薄膜磁気ヘッドであっ
    て、 前記第2の磁性層のギャップ層側の面は、媒体対向面か
    ら離れるに従って段階的に第1の磁性層に近づいている
    ことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記第2の磁性層において、媒体対向面
    側の一部の厚みは他の部分の厚みよりも小さいことを特
    徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記第2の磁性層の、ギャップ層とは反
    対側の面のうち、少なくとも媒体対向面側の一部は平坦
    であることを特徴とする請求項1または2記載の薄膜磁
    気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記第2の磁性層のギャップ層側の面
    は、媒体対向面側から順に配置された第1の面、第2の
    面および第3の面を含み、第1の面は平面であり、第3
    の面は第1の面よりも第1の磁性層側に配置され、第1
    の面と第3の面との間には段差が形成され、第2の面
    は、第1の面と第3の面のいずれに対しても鈍角をなし
    て接続された斜面であることを特徴とする請求項1ない
    し3のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 更に、再生素子としての磁気抵抗効果素
    子を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれ
    かに記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 垂直磁気記録方式に用いられることを特
    徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の薄膜磁気
    ヘッド。
  7. 【請求項7】 記録媒体に対向する媒体対向面と、記録
    媒体の進行方向の前後に所定の間隔を開けて互いに対向
    するように配置された磁極部分を含む第1および第2の
    磁性層と、前記媒体対向面から離れた位置において、前
    記第1の磁性層と第2の磁性層とを磁気的に連結する連
    結部と、非磁性材料よりなり、前記第1の磁性層と第2
    の磁性層との間に設けられたギャップ層と、少なくとも
    一部が前記第1および第2の磁性層の間に、前記第1お
    よび第2の磁性層に対して絶縁された状態で設けられた
    薄膜コイルとを備え、前記第2の磁性層のギャップ層側
    の面は、媒体対向面から離れるに従って段階的に第1の
    磁性層に近づいている薄膜磁気ヘッドの製造方法であっ
    て、 前記第1の磁性層を形成する工程と、 前記第1の磁性層の上に、前記連結部、ギャップ層およ
    び薄膜コイルを形成する工程と、 前記連結部およびギャップ層の上に前記第2の磁性層を
    形成する工程とを備え、 前記連結部、ギャップ層および薄膜コイルを形成する工
    程は、 前記連結部および薄膜コイルを覆うように前記ギャップ
    層を形成する工程と、 前記ギャップ層のうちの少なくとも媒体対向面側の一部
    における第2の磁性層側の面を平坦化する工程と、 前記ギャップ層のうちの媒体対向面側の一部における第
    2の磁性層側の面の上にマスクを形成する工程と、 前記マスクを用いて、ドライエッチングによって、前記
    ギャップ層の一部と前記連結部の一部をエッチングし
    て、前記第2の磁性層の下地の上面が、媒体対向面から
    離れるに従って段階的に第1の磁性層に近づくように、
    前記第2の磁性層の下地の形状を決定する工程とを含む
    ことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第2の磁性層を形成する工程は、前
    記第2の磁性層の、ギャップ層とは反対側の面のうち、
    少なくとも媒体対向面側の一部を平坦化することを特徴
    とする請求項7記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記連結部、ギャップ層および薄膜コイ
    ルを形成する工程は、更に、前記マスクを形成する工程
    の前に、前記ギャップ層および連結部の第2の磁性層側
    の面の上に、前記第2の磁性層の下地の形状を決定する
    ために利用される補助層を形成する工程を含み、 前記マスクを形成する工程は、前記補助層を介して、前
    記ギャップ層の第2の磁性層側の面の上にマスクを形成
    し、 前記第2の磁性層の下地の形状を決定する工程は、前記
    マスクを用いて、前記補助層の一部、前記ギャップ層の
    一部および前記連結部の一部をエッチングし、この工程
    によって形成される第2の磁性層の下地の上面は、媒体
    対向面側から順に配置された第1の面、第2の面および
    第3の面を含み、第1の面は平面であり、第3の面は第
    1の面よりも第1の磁性層側に配置され、第1の面と第
    3の面との間には段差が形成され、第2の面は、第1の
    面と第3の面のいずれに対しても鈍角をなす斜面となる
    ことを特徴とする請求項7または8記載の薄膜磁気ヘッ
    ドの製造方法。
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