JP2005063661A - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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哲也 六本木
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Abstract

【課題】記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができるようにする。
【解決手段】薄膜磁気ヘッドは、第1の磁性層8および第2の磁性層14と、第1の磁性層8と第2の磁性層14との間に設けられたギャップ層9と、一部が第1の磁性層8および第2の磁性層14の間に設けられた薄膜コイル10とを備えている。第2の磁性層14は磁極部分層14Aとヨーク部分層14Bとを有している。薄膜磁気ヘッドは、更に、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面に接する非磁性層15と、この非磁性層15の磁極部分層14Aとは反対側の面に隣接する第3の磁性層16とを備えている。
【選択図】図62

Description

本発明は、磁気ディスク装置、磁気テープ装置等の磁気記録再生装置に使用される薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法に関する。
磁気記録再生装置における記録方式には、信号磁化の向きを記録媒体の面内方向(長手方向)とする長手記録方式と、信号磁化の向きを記録媒体の面に対して垂直な方向とする垂直記録方式とがある。垂直記録方式は、長手記録方式に比べて、記録媒体の熱揺らぎの影響を受けにくく、高い線記録密度を実現することが可能であると言われている。
長手記録方式用の薄膜磁気ヘッドは、一般的に、記録媒体に対向する媒体対向面(エアベアリング面)と、互いに磁気的に連結され、媒体対向面側においてギャップ部を介して互いに対向する磁極部分を含む第1および第2の磁性層と、少なくとも一部が第1および第2の磁性層の間に、第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態で設けられた薄膜コイルとを備えた構造になっている。
一方、垂直記録方式用の薄膜磁気ヘッドには、長手記録方式用の薄膜磁気ヘッドと同様の構造のリングヘッドと、一つの主磁極によって記録媒体に対して垂直方向の磁界を印加する単磁極ヘッドとがある。単磁極ヘッドを用いる場合には、記録媒体としては一般的に、基板上に軟磁性層と磁気記録層とを積層した2層媒体が用いられる。
ところで、薄膜磁気ヘッドでは、トラック密度を上げるためにトラック幅の縮小が望まれている。そして、記録媒体に印加される磁界の強度を低下させることなくトラック幅を縮小するために、磁極部分を含む磁性層を、磁極部分と、この磁極部分に対して磁気的に接続されたヨーク部分とに分け、磁極部分の飽和磁束密度をヨーク部分の飽和磁束密度よりも大きくした薄膜磁気ヘッドも種々提案されている。
上述のように、磁極部分を含む磁性層を、磁極部分とヨーク部分とに分けた構造の薄膜磁気ヘッドの例は、特許文献1、特許文献2および特許文献3等に示されている。
上記の特許文献1〜3に示された薄膜磁気ヘッドでは、いずれも、第1の磁性層と第2の磁性層のうち、記録媒体の進行方向の前側(薄膜磁気ヘッドを含むスライダにおける空気流出端側)に配置された第2の磁性層が、磁極部分とヨーク部分とに分けられている。
また、上記の特許文献1〜3に示された薄膜磁気ヘッドでは、いずれも、ヨーク部分は、第1の磁性層と第2の磁性層との磁気的な接続部分から磁極部分まで、コイルを迂回するように配置されている。
特許文献1に示された薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性層は、主磁性膜と補助磁性膜とを有している。このヘッドでは、主磁性膜の媒体対向面側の一部によって磁極部分が構成され、主磁性膜の他の部分と補助磁性膜とによってヨーク部分が構成されている。
特許文献2に示された薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性層は、磁極部分を含む磁極部分層と、ヨーク部分を含むヨーク部分層とを有している。磁極部分層は、その後端面(媒体対向面とは反対側の面)、側面(媒体対向面およびギャップ部の面に垂直な面)および上面(ギャップ部とは反対側の面)でヨーク部分層と磁気的に接続されている。
特許文献3に示された薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性層は、磁極部分を含む磁極部分層と、ヨーク部分を含むヨーク部分層とを有している。磁極部分層は、その側面および上面でヨーク部分層と磁気的に接続されている。
一方、垂直記録方式用の薄膜磁気ヘッドに関しては、非特許文献1における図2に、単磁極ヘッドの構造の一例が示されている。このヘッドでは、主磁極を含む磁性層は単層になっている。
特開2000−57522号公報 特開2000−67413号公報 特開平11−102506号公報 「日経エレクトロニクス」2000年9月25日号(no.779),p.206
例えば60ギガビット/(インチ)2以上のような大きな面記録密度を有する磁気記録再生装置を実現しようとする場合には、垂直記録方式を採用することが有望視されている。しかしながら、垂直記録方式に適した薄膜磁気ヘッドであって、60ギガビット/(インチ)2以上のような大きな面記録密度を有する磁気記録再生装置を実現するための性能を有するヘッドは実現できていない。それは、従来の薄膜磁気ヘッドが以下で説明するような問題点を有しているためである。
まず、前記の特許文献1〜3に示された薄膜磁気ヘッドは、いずれも、構造上、長手記録方式用のヘッドであり、垂直記録方式には適していない。具体的に説明すると、特許文献1〜3に示された薄膜磁気ヘッドでは、いずれも、ギャップ部の厚みが小さいと共にスロートハイトが短く、ヨーク部分はコイルを迂回するように配置された構造であるため、磁極部分より発生される、記録媒体の面に垂直な方向の磁界が小さいという問題点がある。また、前記の特許文献1〜3に示された薄膜磁気ヘッドでは、いずれも、第2の磁性層の磁極部分をパターニングするためのエッチングや磁極部分の形成後の工程の影響で、磁極部分のギャップ部とは反対側のエッジが湾曲しやすい。そのため、前記の特許文献1〜3に示された薄膜磁気ヘッドでは、記録媒体におけるビットパターン形状に歪みが生じ、そのため線記録密度を高めることが難しいという問題点がある。また、前記の特許文献1〜3に示された薄膜磁気ヘッドでは、いずれも、ヨーク部分はコイルを迂回するように配置された構造であるため、磁路長が長くなり、そのため高周波特性が悪化するという問題点がある。
また、特許文献3に示された薄膜磁気ヘッドでは、磁極部分層は、その側面および上面でのみヨーク部分層と磁気的に接続されている。そのため、このヘッドでは、磁極部分層とヨーク部分層との磁気的な接続部分の面積が小さく、そのため、この接続部分において磁束が飽和して、媒体対向面において磁極部分より発生される磁界が小さくなるという問題点がある。
一方、非特許文献1における図2に示された薄膜磁気ヘッドでは、主磁極を含む磁性層は単層になっている。このヘッドでは、媒体対向面における磁性層の厚みを小さくするために、磁性層全体が薄くなっている。そのため、このヘッドでは、磁性層の途中で磁束が飽和しやすく、媒体対向面において主磁極より発生される磁界が小さくなるという問題点がある。
ところで、媒体対向面において主磁極の空気流出側の端部が平坦ではないと、記録媒体におけるビットパターン形状が歪むため、線記録密度が低下する。従って、線記録密度を向上させるためには、媒体対向面において主磁極の空気流出側の端部が平坦であることが望ましい。
しかしながら、非特許文献1における図2に示された薄膜磁気ヘッドでは、媒体対向面において主磁極の空気流出側の端部を平坦にするには、磁性層全体を平坦化しなければならない。そのため、このヘッドでは、磁路は四角く、長くなっている。このような構造は、磁界強度および高周波特性の観点から非効率的である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができるようにした薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、
記録媒体に対向する媒体対向面と、
媒体対向面側において記録媒体の進行方向の前後に所定の間隔を開けて互いに対向するように配置された磁極部分を含むと共に、媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、
非磁性材料よりなり、第1の磁性層と第2の磁性層との間に設けられたギャップ層と、
少なくとも一部が第1および第2の磁性層の間に、第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態で設けられた薄膜コイルとを備え、
第2の磁性層は、磁極部分を含み、媒体対向面における幅がトラック幅を規定する磁極部分層と、磁極部分と第1の磁性層とを磁気的に接続するヨーク部分層とを有し、
ヨーク部分層は、磁極部分層の媒体対向面とは反対側の端面、ギャップ層側の面、幅方向の両側面のうちの少なくとも一部において、磁極部分層に接して、磁極部分層に対して磁気的に接続され、
更に、磁極部分層のギャップ層とは反対側の面の全面に接する非磁性層とこの非磁性層の磁極部分層とは反対側の面に隣接する第3の磁性層とを備えている。
本発明の薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性層が磁極部分層とヨーク部分層とを有するようにしたので、記録媒体に印加される磁界の強度を低下させることなくトラック幅を縮小することが可能になる。また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、磁極部分層のギャップ層とは反対側の面の全面に接する非磁性層を備えているので、磁極部分層のギャップ層とは反対側の面が、薄膜磁気ヘッドの製造工程においてダメージを受けることを防止でき、その面を平坦に保つことができる。
本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、第3の磁性層の媒体対向面側の端部は媒体対向面から離れた位置に配置されていてもよい。また、第3の磁性層の飽和磁束密度は磁極部分層の飽和磁束密度よりも小さくてもよい。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、磁極部分層の飽和磁束密度は、ヨーク部分層の飽和磁束密度以上であってもよい。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、更に、再生素子としての磁気抵抗効果素子を備えていてもよい。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、第1の磁性層は記録媒体の進行方向の後側に配置され、第2の磁性層は記録媒体の進行方向の前側に配置されていてもよい。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、垂直磁気記録方式に用いられるものであってもよい。
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、
第1の磁性層を形成する工程と、
ギャップ層を形成する工程と、
薄膜コイルを形成する工程と、
第2の磁性層、非磁性層および第3の磁性層を形成する工程とを備えている。
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第2の磁性層が磁極部分層とヨーク部分層とを有するようにしたので、記録媒体に印加される磁界の強度を低下させることなくトラック幅を縮小することが可能になる。また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、磁極部分層のギャップ層とは反対側の面の全面に接する非磁性層を形成するようにしたので、磁極部分層のギャップ層とは反対側の面が、薄膜磁気ヘッドの製造工程においてダメージを受けることを防止でき、その面を平坦に保つことができる。
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法において、第2の磁性層、非磁性層および第3の磁性層を形成する工程は、
ギャップ層の上に、磁極部分層を構成する材料よりなる被エッチング層を形成する工程と、
被エッチング層の上に非磁性層を形成する工程と、
非磁性層の上に、磁極部分層の形状に対応したマスクを形成する工程と、
マスクを用いて、非磁性層および被エッチング層をドライエッチングによって選択的にエッチングして、磁極部分層の外形を決定する工程とを含んでいる。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法において、マスクは、磁性材料によって形成されている。磁極部分層の外形を決定する工程は、マスクの少なくとも一部が残るようにエッチングを行う。また、磁極部分層の外形を決定する工程は、マスクのうちのエッチング後に残った部分によって、第3の磁性層を形成する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法において、第2の磁性層、非磁性層および第3の磁性層を形成する工程は、更に、被エッチング層を形成する工程の後で、研磨により、被エッチング層の上面を平坦化する工程を含んでいてもよい。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法において、第2の磁性層、非磁性層および第3の磁性層を形成する工程は、更に、被エッチング層を形成する工程の前に、研磨により、被エッチング層の下地を平坦化する工程を含んでいてもよい。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法において、マスクは、媒体対向面側の一部の幅が他の部分の幅よりも小さい空隙部を有するフレームを用いた電気めっき法によって形成されてもよい。また、磁極部分層の外形を決定する工程は、マスクのうちの媒体対向面側の一部が完全に除去され、他の部分が残るように、エッチングを行ってもよい。この場合には、媒体対向面側の一部の厚みが他の部分の厚みよりも小さいマスクを用いてもよい。
以上説明したように本発明の薄膜磁気ヘッドによれば、第2の磁性層が磁極部分層とヨーク部分層とを有するようにしたので、記録媒体に印加される磁界の強度を低下させることなくトラック幅を縮小することが可能になる。また、本発明の薄膜磁気ヘッドによれば、磁極部分層のギャップ層とは反対側の面の全面に接する非磁性層を備えているので、磁極部分層のギャップ層とは反対側の面が、薄膜磁気ヘッドの製造工程においてダメージを受けることを防止でき、その面を平坦に保つことができる。そのため、本発明によれば、媒体対向面において、磁極部分層のギャップ層とは反対側の端部を平坦に保ち、媒体対向面において磁極部分層より発生される磁界を、トラックに交差する方向について均一化することができ、その結果、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドによれば、非磁性層の磁極部分層とは反対側の面に隣接する第3の磁性層を備えたので、媒体対向面において、磁極部分層のギャップ層とは反対側の面の近傍における磁界勾配を急峻にすることができ、これにより、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、第3の磁性層の媒体対向面側の端部を媒体対向面から離れた位置に配置した場合には、一旦記録媒体に書き込まれた情報が第3の磁性層側より発生される磁界によって消されることを防止することができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、第3の磁性層の飽和磁束密度が磁極部分層の飽和磁束密度よりも小さい場合には、一旦記録媒体に書き込まれた情報が第3の磁性層側より発生される磁界によって消されることを防止することができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、磁極部分層の飽和磁束密度が、ヨーク部分層の飽和磁束密度以上である場合には、第2の磁性層の途中における磁束の飽和を防止することができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、再生素子としての磁気抵抗効果素子を備えた場合には、誘導型電磁変換素子を用いて再生を行う場合に比べて、再生性能を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、第1の磁性層が記録媒体の進行方向の後側に配置され、第2の磁性層が記録媒体の進行方向の前側に配置される場合には、記録媒体において、より高密度の磁化パターンを形成することができ、その結果、線記録密度を高めることができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、この薄膜磁気ヘッドが垂直磁気記録方式に用いられるようにした場合には、記録媒体の熱揺らぎの影響を受けにくくして、線記録密度を高めることができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、第2の磁性層が磁極部分層とヨーク部分層とを有するようにしたので、記録媒体に印加される磁界の強度を低下させることなくトラック幅を縮小することが可能になる。また、本発明によれば、磁極部分層のギャップ層とは反対側の面の全面に接する非磁性層を形成するようにしたので、磁極部分層のギャップ層とは反対側の面が、薄膜磁気ヘッドの製造工程においてダメージを受けることを防止でき、その面を平坦に保つことができる。そのため、本発明によれば、媒体対向面において、磁極部分層のギャップ層とは反対側の端部を平坦に保ち、媒体対向面において磁極部分層より発生される磁界を、トラックに交差する方向について均一化することができ、その結果、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、第2の磁性層、非磁性層および第3の磁性層を形成する工程は、ギャップ層の上に、磁極部分層を構成する材料よりなる被エッチング層を形成する工程と、被エッチング層の上に非磁性層を形成する工程と、非磁性層の上に、磁極部分層の形状に対応したマスクを形成する工程と、マスクを用いて、非磁性層および被エッチング層をドライエッチングによって選択的にエッチングして、磁極部分層の外形を決定する工程とを含むようにしたので、被エッチング層の上面を非磁性層で保護した状態で磁極部分層の外形を決定でき、磁極部分層のギャップ層とは反対側の端部の平坦性を維持することが可能になるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、マスクを磁性材料によって形成したので、ドライエッチングに対する耐性に優れたマスクを形成することが可能になり、その結果、磁極部分層を構成する材料がドライエッチングに対する耐性に優れている場合でも、マスクを用いたドライエッチングによって磁極部分層の外形を決定することが可能になるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、磁極部分層の外形を決定する工程は、マスクの少なくとも一部が残るようにエッチングを行うようにしたので、マスクのうちのエッチング後に残った部分を磁性層として利用することが可能になるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、磁極部分層の外形を決定する工程は、マスクのうちのエッチング後に残った部分によって、第3の磁性層を形成するようにしたので、媒体対向面において、磁極部分層のギャップ層とは反対側の面の近傍における磁界勾配を急峻にすることができ、これにより、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法において、被エッチング層を形成する工程の後で、研磨により、被エッチング層の上面を平坦化するようにした場合には、媒体対向面において、磁極部分層のギャップ層とは反対側の端部を完全に平坦化することができ、これにより、媒体対向面において磁極部分層より発生される磁界を、トラックに交差する方向について均一化することができ、その結果、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法において、被エッチング層を形成する工程の前に、研磨により、被エッチング層の下地を平坦化するようにした場合には、媒体対向面において、磁極部分層のギャップ層側の端部を平坦化することができる。また、これにより、被エッチング層をスパッタ法によって形成する場合には、媒体対向面において、磁極部分層のギャップ層とは反対側の端部も平坦化することができる。これらのことから、本発明によれば、媒体対向面において磁極部分層より発生される磁界を、トラックに交差する方向について均一化することができ、その結果、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法において、マスクは、媒体対向面側の一部の幅が他の部分の幅よりも小さい空隙部を有するフレームを用いた電気めっき法によって形成されるようにした場合には、媒体対向面側の一部の厚みが他の部分の厚みよりも小さいマスクを容易に形成することができ、これにより、容易に、マスクの少なくとも一部が残るようにエッチングを行うことが可能になるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法において、磁極部分層の外形を決定する工程は、マスクのうちの媒体対向面側の一部が完全に除去され、他の部分が残るように、エッチングを行うようにした場合には、マスクのうちのエッチング後に残った部分によって記録媒体に対する情報の記録が行われることを防止することができるという効果を奏する。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法において、マスクにおける媒体対向面側の一部の厚みを他の部分の厚みよりも小さくした場合には、容易に、マスクのうちの媒体対向面側の一部が完全に除去され、他の部分が残るように、エッチングを行うことが可能になるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の第1ないし第7の実施の形態のうち、第6の実施の形態が本発明に直接対応し、他の実施の形態は、本発明に部分的に関連する。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図1は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。また、図1において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。図2は図1に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。図3は図2における磁極部分の近傍を拡大して示す斜視図である。図4は図1に示した薄膜磁気ヘッドの媒体対向面の一部を示す正面図である。図5は図4における磁極部分層および非磁性層を拡大して示す正面図である。
図1に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、アルティック(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1と、この基板1の上に形成されたアルミナ(Al23)等の絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に形成された磁性材料よりなる下部シールド層3と、この下部シールド層3の上に、絶縁層4を介して形成された再生素子としてのMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子5の上に絶縁層4を介して形成された磁性材料よりなる上部シールド層6とを備えている。下部シールド層3および上部シールド層6の厚みは、それぞれ例えば1〜2μmである。
MR素子5の一端部は、媒体対向面(エアベアリング面)ABSに配置されている。MR素子5には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。
薄膜磁気ヘッドは、更に、上部シールド層6の上に形成された非磁性層7と、この非磁性層7の上に形成された磁性材料よりなる第1の磁性層8と、この第1の磁性層8の上において薄膜コイル10を形成すべき位置に形成された絶縁層9Aと、この絶縁層9Aの上に形成された薄膜コイル10と、少なくとも薄膜コイル10の巻線間に充填された絶縁層9Bとを備えている。絶縁層9Aには、媒体対向面ABSから離れた位置において、コンタクトホール9aが形成されている。
第1の磁性層8の厚みは例えば1〜2μmである。第1の磁性層8を構成する磁性材料は、例えば鉄−ニッケル系合金すなわちパーマロイでもよいし、後述するような高飽和磁束密度材でもよい。
絶縁層9Aは、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料よりなり、その厚みは例えば0.1〜1μmである。
薄膜コイル10は、銅等の導電性の材料よりなり、その巻線の厚みは例えば0.3〜2μmである。薄膜コイル10の巻数は任意であり、巻線のピッチも任意である。ここでは、一例として、薄膜コイル10の巻線の厚みを1.3μm、巻線の幅を0.8μm、巻線のピッチを1.3μm、巻数を8とする。
絶縁層9Bは、形成時に流動性を有する非導電性且つ非磁性の材料よりなる。具体的には、絶縁層9Bは、例えば、フォトレジスト(感光性樹脂)のような有機系の非導電性非磁性材料によって形成してもよいし、塗布ガラスよりなるスピンオングラス(SOG)膜で形成してもよい。
薄膜磁気ヘッドは、更に、コンタクトホール9aが形成された位置において第1の磁性層8の上に形成された磁性材料よりなる連結部12と、薄膜コイル10、絶縁層9Aおよび絶縁層9Bを覆うように形成された絶縁層9Cとを備えている。薄膜コイル10は、連結部12の回りに巻回されている。
連結部12の形状は、例えば、厚みが2〜4μm、奥行き(媒体対向面ABSに垂直な方向の長さ)が2〜10μm、幅が5〜20μmである。連結部12を構成する磁性材料は、例えば鉄−ニッケル系合金すなわちパーマロイでもよいし、後述するような高飽和磁束密度材でもよい。
絶縁層9Cは、絶縁層9Bよりも耐食性、剛性および絶縁性が優れた非導電性且つ非磁性の材料よりなる。このような材料としては、アルミナやシリコン酸化物(SiO2)等の無機系の非導電性非磁性材料を用いることができる。媒体対向面ABSにおける絶縁層9Aおよび絶縁層9Cの合計の厚みは、例えば2〜4μmである。また、この厚みは、連結部12の厚み以上とする。
絶縁層9A,9B,9Cは、第1の磁性層8と後述する第2の磁性層14との間に設けられるギャップ層9を構成する。
薄膜磁気ヘッドは、更に、媒体対向面ABSから少なくとも連結部12まで、絶縁層9Cおよび連結部12の上に形成された磁性材料よりなる第2の磁性層14を備えている。第2の磁性層14は、磁極部分を含む磁極部分層14Aと、ヨークとなるヨーク部分層14Bとを有している。磁極部分層14Aは、媒体対向面ABSから、媒体対向面ABSと連結部12との間の所定の位置にかけて、絶縁層9Cの上に形成されている。ヨーク部分層14Bは、連結部12の第2の磁性層14側の端部(以下、上端部と言う。)と磁極部分層14Aの媒体対向面ABSとは反対側の端面(以下、後端面と言う。)とを磁気的に接続する。また、ヨーク部分層14Bは、その内部において連結部12の上端部と磁極部分層14Aの後端面との間を最短距離で結ぶ磁気経路20が形成されるような形状を有している。薄膜磁気ヘッドは、更に、磁極部分層14Aの上に形成された非磁性層15を備えている。ヨーク部分層14Bの媒体対向面ABS側の一部は、非磁性層15を介して磁極部分層14Aの上面に隣接し、非磁性層15を介して磁極部分層14Aに磁気的に接続されている。薄膜磁気ヘッドは、更に、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料よりなり、第2の磁性層14を覆うように形成された保護層17を備えている。
薄膜コイル10の第2の磁性層14側の面は、媒体対向面ABSにおけるギャップ層9の第2の磁性層14側の端部(絶縁層9Cの磁性層14側の端部)の位置よりも第1の磁性層8側の位置に配置されている。
磁極部分層14Aの厚みは、好ましくは0.1〜0.8μmであり、更に好ましくは0.3〜0.8μmである。ここでは、一例として、磁極部分層14Aの厚みを0.5μmとする。また、媒体対向面ABSから磁極部分層14Aの後端面までの長さは2μm以上である。ここでは、一例として、この長さを10μmとする。
図3に示したように、磁極部分層14Aは、媒体対向面ABS側に配置された第1の部分14A1と、この第1の部分14A1よりも媒体対向面ABSから離れた位置に配置された第2の部分14A2とを含んでいる。第1の部分14A1は、第2の磁性層14における磁極部分となる。第1の磁性層8における磁極部分は、第1の磁性層8のうちギャップ層9を介して上記第1の部分14A1に対向する部分を含む。
第1の部分14A1は、トラック幅と等しい幅を有している。すなわち、第1の部分14A1の媒体対向面ABSにおける幅がトラック幅を規定している。第2の部分14A2の幅は、第1の部分14A1との境界位置では第1の部分14A1の幅と等しく、その位置から媒体対向面ABSより遠ざかる程、徐々に大きくなった後、一定の大きさになっている。ヨーク部分層14Bの媒体対向面ABS側の一部は、非磁性層15を介して磁極部分層14Aの第2の部分14A2の上に重なっている。
第1の部分14A1の媒体対向面ABSにおける幅、すなわちトラック幅は、好ましくは0.5μm以下であり、更に好ましくは0.3μm以下である。ヨーク部分層14Bと重なる部分における第2の部分14A2の幅は、第1の部分14A1の媒体対向面ABSにおける幅よりも大きく、例えば2μm以上である。
ヨーク部分層14Bの厚みは、例えば1〜2μmである。ヨーク部分層14Bは、図1に示したように、磁極部分層14Aの後端面に磁気的に接続されていると共に、図3に示したように、磁極部分層14Aの幅方向の両側面に磁気的に接続されている。また、ヨーク部分層14Bの媒体対向面ABS側の端部は、媒体対向面ABSから例えば1.5μm以上離れた位置に配置されている。
磁極部分層14Aの飽和磁束密度は、ヨーク部分層14Bの飽和磁束密度以上となっている。磁極部分層14Aを構成する磁性材料としては、飽和磁束密度が1.4T以上の高飽和磁束密度材を用いるのが好ましい。高飽和磁束密度材としては、鉄および窒素原子を含む材料、鉄、ジルコニアおよび酸素原子を含む材料、鉄およびニッケル元素を含む材料等を用いることができる。具体的には、高飽和磁束密度材としては、例えば、NiFe(Ni:45重量%,Fe:55重量%)、FeNやその化合物、Co系アモルファス合金、Fe−Co、Fe−M(必要に応じてO(酸素原子)も含む。)、Fe−Co−M(必要に応じてO(酸素原子)も含む。)の中のうちの少なくとも1種類を用いることができる。ここで、Mは、Ni,N,C,B,Si,Al,Ti,Zr,Hf,Mo,Ta,Nb,Cu(いずれも化学記号)の中から選択された少なくとも1種類である。
ヨーク部分層14Bを構成する磁性材料としては、例えば、飽和磁束密度が1.0T程度となる鉄およびニッケル元素を含む材料を用いることができる。このような材料は、耐食性に優れ、且つ磁極部分層14Aを構成する材料よりも高抵抗である。また、このような材料を用いることにより、ヨーク部分層14Bの形成が容易になる。
また、ヨーク部分層14Bを構成する磁性材料としては、磁極部分層14Aを構成する磁性材料と同じ組成系のものを用いることもできる。この場合には、ヨーク部分層14Bの飽和磁束密度を、磁極部分層14Aの飽和磁束密度よりも小さくするために、ヨーク部分層14Bを構成する磁性材料としては、磁極部分層14Aを構成する磁性材料に比べて、鉄原子の組成比の小さい材料を用いるのが好ましい。
非磁性層15の平面的な形状は、磁極部分層14Aと同様である。また、非磁性層15は、媒体対向面ABSに露出している。非磁性層15の厚みは、好ましくは0.5μm以下である。ここでは、一例として、非磁性層15の厚みを0.3μmとする。また、非磁性層15は、省くことも可能である。
非磁性層15を構成する材料としては、例えば、チタンまたはタンタルを含む材料(合金および酸化物を含む。)や、アルミナやシリコン酸化物(SiO2)等の無機系の非導電性非磁性材料を用いることができる。また、磁極部分層14Aをドライエッチングによって形成する場合には、非磁性層15を構成する材料として、磁極部分層14Aを構成する材料、およびギャップ層9のうちの磁極部分層14Aに接する絶縁層9Cを構成する材料よりもドライエッチングに対するエッチング速度が小さい材料を用いるのが好ましい。このような材料としては、例えばチタンまたはタンタルを含む材料(合金および酸化物を含む。)を用いることができる。
図4および図5に示したように、媒体対向面ABSに露出する磁極部分層14Aの面の形状は、長方形あるいは記録媒体の進行方向Tの後側(スライダにおける空気流入端側)に配置される下辺が上辺よりも小さい台形であることが好ましい。また、媒体対向面ABSに露出する磁極部分層14Aの面における側辺と基板1の面とのなす角度は80〜88゜が好ましい。
以上説明したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面ABSと再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドは、再生素子としてのMR素子5と、媒体対向面ABS側の一部がMR素子5を挟んで対向するように配置された、MR素子5をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層6を備えている。
記録ヘッドは、媒体対向面ABS側において記録媒体の進行方向Tの前後に所定の間隔を開けて互いに対向するように配置された磁極部分を含む第1の磁性層8および第2の磁性層14と、非磁性材料よりなり、第1の磁性層8と第2の磁性層14との間に設けられたギャップ層9と、媒体対向面ABSから離れた位置において第1の磁性層8と第2の磁性層14とを磁気的に連結する連結部12と、少なくとも一部が第1の磁性層8および第2の磁性層14の間に、これらの磁性層8,14に対して絶縁された状態で設けられた薄膜コイル10とを備えている。
本実施の形態では、薄膜コイル10のうち磁性層8,14の間に配置された部分の第2の磁性層14側の面(図1における上側の面)は、媒体対向面ABSにおけるギャップ層9の第2の磁性層14側の端部(図1における上側の端部)の位置よりも第1の磁性層8側(図1における下側)の位置に配置されている。
また、第2の磁性層14は、磁極部分を含み、媒体対向面ABSにおける幅がトラック幅を規定する磁極部分層14Aと、ヨークとなるヨーク部分層14Bとを有している。磁極部分層14Aの飽和磁束密度は、ヨーク部分層14Bの飽和磁束密度以上になっている。ヨーク部分層14Bは、連結部12の上端部と磁極部分層14Aの後端面とを磁気的に接続している。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、垂直磁気記録方式に用いるのに適している。この薄膜磁気ヘッドを垂直磁気記録方式に用いる場合、第2の磁性層14の磁極部分層14Aにおける第1の部分14A1が主磁極となり、第1の磁性層8の磁極部分が補助磁極となる。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを垂直磁気記録方式に用いる場合には、記録媒体としては2層媒体と単層媒体のいずれをも使用することが可能である。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性層14が磁極部分層14Aとヨーク部分層14Bとを有するようにしているので、磁極部分層14Aを微細に形成でき、これによりトラック幅を縮小することが可能になる。更に、ヨーク部分層14Bは、磁極部分層14Aに磁束を導くための十分な体積を有し、また、磁極部分層14Aの飽和磁束密度がヨーク部分層14Bの飽和磁束密度以上となっていることから、第2の磁性層14の途中における磁束の飽和を防止することができる。これらのことから、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドによれば、磁極部分より発生される、記録媒体の面に垂直な方向の磁界を大きくでき、且つ記録密度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、薄膜コイル10のうち磁性層8,14の間に配置された部分の第2の磁性層14側の面は、媒体対向面ABSにおけるギャップ層9の第2の磁性層14側の端部の位置および連結部12の上端部の位置よりも第1の磁性層8側の位置に配置されている。そして、ヨーク部分層14Bは、連結部12の上端部と磁極部分層14Aの後端面とを磁気的に接続している。従って、ヨーク部分層14Bは、連結部12と磁極部分層14Aとの間に短い磁気経路で且つ強い磁気的結合を形成することができる。
これらのことから、本実施の形態によれば、第2の磁性層14の磁極部分より発生される、記録媒体の面に垂直な方向の磁界を大きくし、且つ磁路長を短縮して高周波特性を向上させることが可能になる。磁極部分層14Aに高飽和磁束密度材を用いた場合には、特に、記録媒体の面に垂直な方向の磁界を大きくすることができ、保磁力の大きな記録媒体への記録も可能となる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、記録媒体の面に垂直な方向の磁界は長手方向の磁界よりも大きく、ヘッドが発生する磁気エネルギを効率よく、記録媒体に伝達することができる。従って、この薄膜磁気ヘッドによれば、記録媒体の熱揺らぎの影響を受けにくくして、線記録密度を高めることができる。
図1に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、第1の磁性層8を記録媒体の進行方向Tの後側(薄膜磁気ヘッドを含むスライダにおける空気流入端側)に配置し、第2の磁性層14を記録媒体の進行方向Tの前側(薄膜磁気ヘッドを含むスライダにおける空気流出端側)に配置するのが好ましい。このような配置とすることにより、これとは逆の配置の場合に比べて、垂直磁気記録方式を用いた場合の記録媒体における磁化反転遷移幅が小さくなり、記録媒体において、より高密度の磁化パターンを形成することができ、その結果、線記録密度を高めることができる。
また、図1に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性層14のヨーク部分層14Bは、その内部において連結部12の上端部と磁極部分層14Aの後端面との間を最短距離で結ぶ磁気経路20が形成されるような形状を有している。これにより、特に磁路長を短縮でき、高周波特性を向上させることが可能になる。
また、図1に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、媒体対向面ABSにおける磁極部分層14Aと第1の磁性層8との間の距離は、連結部12の厚み以上としている。そして、ヨーク部分層14Bは、磁極部分層14Aの後端面との接続位置から連結部12との接続位置にかけて、徐々に第1の磁性層8に近づいている。これにより、特に磁路長を短縮でき、高周波特性を向上させることが可能になる。
また、図1に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、ヨーク部分層14Bの少なくとも一部は、第1の磁性層8側に突出する弧状に形成されている。これにより、ヨーク部分層14Bの一部が、薄膜コイル10に近くなり、薄膜コイル10によって発生される磁界をヨーク部分層14Bで効率よく吸収することが可能になる。
また、図3に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、ヨーク部分層14Bは、磁極部分層14Aの後端面と両側面とに磁気的に接続されている。これにより、磁極部分層14Aの体積が小さくても、ヨーク部分層14Bと磁極部分層14Aとの接続部分の面積を増やすことができ、この接続部分における磁束の飽和を防止することができる。その結果、磁束を効率よくヨーク部分層14Bから磁極部分層14Aへ導くことができ、記録媒体に印加される磁界を大きくすることができる。
また、図1に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、ヨーク部分層14Bの媒体対向面ABS側の端部は、媒体対向面ABSから離れた位置に配置されている。これにより、ヨーク部分層14Bの媒体対向面ABS側の端部より発生される磁界によって記録媒体に情報の書き込みが生じることを防止することができる。
また、図3に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、磁極部分層14Aのヨーク部分層14Bと接する部分の幅は、磁極部分層14Aの媒体対向面ABSにおける幅よりも大きくなっている。これにより、磁極部分層14Aのヨーク部分層14Bと接する部分の面積を大きくすることができ、この部分での磁束の飽和を防止することができる。その結果、磁束を効率よくヨーク部分層14Bから磁極部分層14Aへ導くことができ、且つ磁極部分層14Aの媒体対向面ABSにおける露出面積を小さくすることで、記録媒体に印加される磁界を大きくすることができる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドにおいて、媒体対向面ABSから磁極部分層14Aの後端面までの長さを2μm以上とすることにより、磁極部分層14Aの厚みや幅を大きくすることなく、磁極部分層14Aのヨーク部分層14Bと接する部分の面積を大きくして、この部分での磁束の飽和を防止することができる。その結果、磁束を効率よくヨーク部分層14Bから磁極部分層14Aへ導くことができる。
また、図1に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面に接する非磁性層15を備えている。非磁性層15がない場合には、磁極部分層14Aをドライエッチングによって形成する際や、ヨーク部分層14Bを電気めっき法によって形成する際に、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面がダメージを受け、この面に例えば0.1〜0.3μm程度の凹凸が生じる。本実施の形態では、非磁性層15を設けていることから、磁極部分層14Aをドライエッチングによって形成する際や、ヨーク部分層14Bを電気めっき法によって形成する際に、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面がダメージを受けることを防止でき、その面を平坦にすることができる。特に、本実施の形態では、非磁性層15が媒体対向面ABSに露出しているので、媒体対向面ABSにおいて、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の端部を平坦に保つことができる。これにより、媒体対向面ABSにおいて磁極部分層14Aより発生される磁界を、トラックに交差する方向について均一化することができる。その結果、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、ヨーク部分層14Bの媒体対向面ABS側の一部は、非磁性層15を介して磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面に隣接し、非磁性層15を介して磁極部分層14Aに磁気的に接続されている。その結果、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面からも、非磁性層15を介してヨーク部分層14Bからも磁極部分層14Aの媒体対向面ABS側へ磁束を導くことができる。
また、非磁性層15を、磁極部分層14Aを構成する材料、およびギャップ層9のうちの磁極部分層14Aと接する部分を構成する材料よりもドライエッチングに対するエッチング速度が小さい材料で構成した場合には、磁極部分層14Aをドライエッチングによって形成する際に、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面がダメージを受けることを防止することができる。
また、図1に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、薄膜コイル10のうち第1の磁性層8と第2の磁性層14の間に配置された部分は、第1の磁性層8と第2の磁性層14の中間の位置よりも第1の磁性層8に近い位置に配置されている。これにより、第2の磁性層14よりも体積の大きな第1の磁性層8によって、薄膜コイル10から発生する磁界を効率よく吸収でき、薄膜コイル10が第2の磁性層14に近い場合に比べて、第1の磁性層8および第2の磁性層14における磁界の吸収率を高めることができる。
また、図1に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、ギャップ層9は、形成時に流動性を有する材料よりなり、少なくとも薄膜コイル10の巻線間に充填された第1の部分(絶縁層9B)と、この第1の部分よりも耐食性、剛性および絶縁性が優れた材料よりなり、薄膜コイル10および第1の部分を覆い、第1の磁性層8、第2の磁性層14および連結部12に接する第2の部分(絶縁層9A,9C)とを有している。ギャップ層9の第2の部分は、媒体対向面ABSに露出している。薄膜コイル10の巻線間に隙間なく非磁性材料を充填することは、スパッタリング法では困難であるが、有機系の材料のように流動性を有する非磁性材料を用いた場合には容易である。しかし、有機系の材料は、ドライエッチングに対する耐性、耐食性、耐熱性、剛性等の点で信頼性に乏しい。本実施の形態では、上述のように、形成時に流動性を有する材料によって薄膜コイル10の巻線間に充填された第1の部分(絶縁層9B)を形成し、この第1の部分よりも耐食性、剛性および絶縁性が優れた材料によって、薄膜コイル10および第1の部分を覆い、第1の磁性層8、第2の磁性層14および連結部12に接する第2の部分(絶縁層9A,9C)を形成するようにしたので、薄膜コイル10の巻線間に隙間なく非磁性材料を充填でき、且つギャップ層9の信頼性を高めることができる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、再生素子としてのMR素子5を備えている。これにより、誘導型電磁変換素子を用いて再生を行う場合に比べて、再生性能を向上させることができる。また、MR素子5は、シールド層3,6によってシールドされているので、再生時の分解能を向上させることができる。
次に、図6ないし図8を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの第1の変形例について説明する。図6は第1の変形例の薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図6は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。図7は図6に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。図8は図7における磁極部分の近傍を拡大して示す斜視図である。
第1の変形例の薄膜磁気ヘッドでは、図1に示した薄膜磁気ヘッドに比べて、媒体対向面ABSから磁極部分層14Aの後端面までの長さが短くなっている。ここでは、一例として、この長さを5μmとする。非磁性層15の平面的な形状は、磁極部分層14Aと同様である。第1の変形例の薄膜磁気ヘッドのその他の構成は、図1に示した薄膜磁気ヘッドと同様である。
次に、図9を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの第2の変形例について説明する。図9は第2の変形例の薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図9は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。
第2の変形例の薄膜磁気ヘッドは、上記第1の変形例の薄膜磁気ヘッドにおける上部シールド層6および非磁性層7を省き、第1の磁性層8が上部シールド層6を兼ねるようにしたものである。この構成によれば、薄膜磁気ヘッドの構造が簡単になり、製造も簡単になる。第2の変形例の薄膜磁気ヘッドのその他の構成は、第1の変形例の薄膜磁気ヘッドと同様である。
次に、図10ないし図25を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。なお、ここでは、図6に示した薄膜磁気ヘッドを製造する場合を例にとって製造方法を説明するが、図1に示した薄膜磁気ヘッドを製造する場合も同様である。また、図9に示した薄膜磁気ヘッドを製造する場合も、上部シールド層6および非磁性層7を形成する工程が省かれること以外は、以下の説明と同様である。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、まず、基板1の上に絶縁層2を形成する。次に、絶縁層2の上に下部シールド層3を形成する。なお、図10ないし図25では、基板1および絶縁層2を省略している。
次に、図10に示したように、下部シールド層3の上に、絶縁層4の一部となる絶縁膜を形成し、この絶縁膜の上にMR素子5と、このMR素子5に接続される図示しないリードとを形成する。次に、MR素子5およびリードを、絶縁層4の他の一部となる新たな絶縁膜で覆い、MR素子5およびリードを絶縁層4内に埋設する。
次に、絶縁層4の上に上部シールド層6を形成し、その上に非磁性層7を形成する。次に、この非磁性層7の上に、第1の磁性層8を所定の形状に形成する。次に、図示しないが、非磁性層7および第1の磁性層8をアルミナ等の非磁性材料で覆い、第1の磁性層8が露出するまで非磁性材料を研磨して、第1の磁性層8の上面を平坦化する。
次に、図11に示したように、第1の磁性層8の上に、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料をスパッタして、絶縁層9Aを形成する。次に、周知のフォトリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを用いて、連結部12を形成すべき位置において、絶縁層9Aにコンタクトホール9aを形成する。
次に、図12に示したように、周知のフォトリソグラフィ技術および成膜技術(例えば電気めっき法)を用いて、絶縁層9Aの上に薄膜コイル10を形成する。
次に、図13に示したように、周知のフォトリソグラフィ技術を用いて、少なくとも薄膜コイル10の巻線間に充填される絶縁層9Bを形成する。
次に、図14に示したように、周知のフォトリソグラフィ技術および成膜技術(例えば電気めっき法)を用いて、コンタクトホール9aが形成された位置において第1の磁性層8の上に連結部12を形成する。連結部12の厚みは、例えば2〜4μmとする。
次に、図15に示したように、スパッタ法を用いて、薄膜コイル10、絶縁層9A、絶縁層9Bおよび連結部12を覆うように絶縁層9Cを形成する。この時点で、絶縁層9Cの厚みは、連結部12の厚み以上、例えば2〜6μmとする。
次に、図16に示したように、例えば化学機械研磨を用いて、連結部12が露出するまで絶縁層9Cの表面を研磨して、絶縁層9Cおよび連結部12の上面を平坦化する。この時点で、第1の磁性層8の上面から絶縁層9Cおよび連結部12の上面までの距離は、例えば2〜4μmとする。なお、この時点では、必ずしも連結部12を露出させる必要はなく、後の工程で露出させてもよい。
次に、図17に示したように、絶縁層9Cおよび連結部12の上に、第2の磁性層14の磁極部分層14Aを構成する材料よりなる被エッチング層14Aeを形成する。被エッチング層14Aeの厚みは、好ましくは0.1〜0.8μmとし、更に好ましくは0.3〜0.8μmとする。被エッチング層14Aeの形成方法は、電気めっき法でもよいし、スパッタ法でもよい。被エッチング層14Aeの表面の粗さが大きい場合(例えば、算術平均粗さRaが12オングストローム以上の場合)の場合は、化学機械研磨等によって被エッチング層14Aeの表面を研磨して平坦化することが好ましい。
次に、被エッチング層14Aeの上に、非磁性層15eを形成する。非磁性層15eの厚みは、好ましくは0.5μm以下とする。
次に、図示しないが、非磁性層15eの上に、スパッタ法により、電気めっき法のための電極層を形成する。この電極層の厚みは0.1μm以下とし、材料は例えば鉄−ニッケル合金とする。
次に、図18に示したように、フォトリソグラフィ技術を用いて、上記電極層の上に、フォトレジストによって、磁極部分層14Aの形状に対応した空隙部を有するレジストフレーム31を形成する。次に、このレジストフレーム31を用いて、電気めっき法(フレームめっき法)によって、上記電極層の上に、磁極部分層14Aの形状に対応したマスク32となるめっき膜を形成する。このめっき膜の厚みは1〜4μmとし、材料は例えば鉄−ニッケル合金とする。次に、レジストフレーム31を除去する。
次に、図19に示したように、マスク32を用いて、イオンミリング等のドライエッチング技術によって、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングして、非磁性層15および磁極部分層14Aの外形を決定する。このとき、マスク32のうち、少なくとも媒体対向面ABSに対応する部分は完全に除去することが好ましいが、マスク32が非磁性で、耐食性等の点で信頼性が十分にあれば、この限りではない。
上記のエッチングにより、図4および図5に示したように、媒体対向面ABSに露出する磁極部分層14Aの面の形状を長方形あるいは台形とする。また、上記のエッチングにより、媒体対向面ABSにおける磁極部分層14Aの幅を、トラック幅の規格に一致するように規定してもよい。
また、上記のエッチングにより、非磁性層15および磁極部分層14Aの外形が決定されるのと同時に、連結部12が露出する。なお、このときに連結部12が露出するように、連結部12の厚みは予め所望の厚み以上に大きくしておく。
なお、上述のようにめっき膜によるマスク32を形成する代りに、フォトリソグラフィ技術を用いて、非磁性層15eの上に、フォトレジストによって、磁極部分層14Aの形状に対応したレジストパターンを形成してもよい。そして、このレジストパターンをマスクとして、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングして、非磁性層15および磁極部分層14Aの外形を決定すると共に連結部12を露出させ、その後、レジストパターンを除去してもよい。
次に、図20に示したように、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジストによって、磁極部分層14Aおよび非磁性層15における媒体対向面ABS側の一部を覆うレジストカバー33を形成する。このレジストカバー33の厚みは、後述するヨーク部分層形成用のフレームの厚み以下とするのが好ましい。
次に、図21に示したように、レジストカバー33、磁極部分層14A(および非磁性層15)、絶縁層9C(ギャップ層9)および連結部12の上に、スパッタ法により、電気めっき法のための電極層34を形成する。この電極層34の厚みは0.1μm以下とし、材料は例えば鉄−ニッケル合金とし、下地にTi(チタン)を成膜してもよい。
次に、図22に示したように、電極層34の上に、フォトレジストによって、ヨーク部分層14Bの形状に対応した空隙部を有するレジストフレーム35を形成する。
次に、図23に示したように、レジストフレーム35を用いて、電気めっき法(フレームめっき法)によって、電極層34の上にヨーク部分層14Bを形成する。次に、レジストフレーム35を除去する。なお、ヨーク部分層14Bは、リフトオフ法を用いて形成することも可能であるが、ヨーク部分層14Bの形状を下地の形状に追従させるためには電気めっき法を用いるのが最も好ましい。
次に、図24に示したように、電極層34のうち、ヨーク部分層14Bの下に存在する部分以外の部分をドライエッチングで除去する。
次に、図25に示したように、レジストカバー33を除去する。次に、第2の磁性層14を覆うように保護層17を形成する。次に、保護層17の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面ABSの研磨、浮上用レールの作製等を行って、薄膜磁気ヘッドが完成する。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドと同様の作用、効果の他に、以下のような作用、効果が得られる。
本実施の形態では、第2の磁性層14の磁極部分層14Aを形成する工程は、ギャップ層9および連結部12の上に、磁極部分層14Aを構成する材料よりなる被エッチング層14Aeを形成する工程と、被エッチング層14Aeをドライエッチングによって選択的にエッチングして、磁極部分層14Aの外形を決定すると共に連結部12を露出させる工程とを含む。本実施の形態では、被エッチング層14Aeをドライエッチングすることによって、磁極部分層14Aの後端面から連結部12の上端部にかけて緩やかな傾斜を持つように、ヨーク部分層14Bの下地の形状が決定される。従って、この下地の上にヨーク部分層14Bを形成することにより、連結部12と磁極部分層14Aとの間を最短距離で結ぶ磁気経路を形成することが可能になる。
また、本実施の形態において、被エッチング層14Aeを形成する工程の後で、研磨により、被エッチング層14Aeの上面を平坦化した場合には、媒体対向面ABSにおいて、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の端部を完全に平坦化することができる。これにより、媒体対向面ABSにおいて磁極部分層14Aより発生される磁界を、トラックに交差する方向について均一化することができ、その結果、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、被エッチング層14Aeを形成する工程の前に、研磨により、被エッチング層14Aeの下地となる絶縁層9Cおよび連結部12の上面を平坦化している。これにより、媒体対向面ABSにおいて、磁極部分層14Aのギャップ層9側の端部を平坦化することができる。また、被エッチング層14Aeをスパッタ法によって形成する場合には、被エッチング層14Aeの成膜時の膜厚均一性がよいため、媒体対向面ABSにおいて、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の端部も平坦化することができる。これらのことから、媒体対向面ABSにおいて磁極部分層14Aより発生される磁界を、トラックに交差する方向について均一化することができ、その結果、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができる。
また、本実施の形態において、磁極部分層14Aを形成する工程は、被エッチング層14Aeを形成する工程の後で、被エッチング層14Aeの上に非磁性層15eを形成する工程と、非磁性層15eの上に、磁極部分層14Aの形状に対応したマスク32を形成する工程とを含み、被エッチング層14Aeをエッチングする工程は、このマスク32を用いて、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングしてもよい。この場合には、被エッチング層14Aeの上面を非磁性層15eで保護した状態で磁極部分層14Aの外形を決定でき、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の端部の平坦性を維持することが可能になる。
また、マスク32を形成する工程は、非磁性層15eの上に、磁極部分層14Aの形状に対応した空隙部を有するレジストフレーム31を形成し、このレジストフレーム31の空隙部内にマスク32を形成してもよい。この場合には、マスク32をレジストで形成する場合に比べて、ドライエッチングに対する耐性に優れたマスク32を形成することが可能になる。これにより、磁極部分層14Aを構成する材料がドライエッチングに対する耐性に優れている場合でも、マスク32を用いたドライエッチングによって磁極部分層14Aの外形を決定することが可能になる。
また、本実施の形態において、ヨーク部分層14Bを形成する工程は、電気めっき法によってヨーク部分層14Bを形成してもよい。この場合には、ヨーク部分層14Bを容易に形成できると共に、ヨーク部分層14Bを、その下地の形状によく追従した形状に形成することが可能になる。
また、ヨーク部分層14Bを形成する工程は、磁極部分層14Aにおける媒体対向面ABS側の一部を覆うレジストカバー33を形成する工程と、レジストカバー33、磁極部分層14A、ギャップ層9および連結部12の上に、電気めっき法のための電極層34を形成する工程と、電極層34を用いて、電気めっき法によってヨーク部分層14Bを形成する工程とを含んでもよい。この場合には、磁極部分層14Aにおける媒体対向面ABS側の一部の側面に電極層が付着し、残留することを防止することができ、電極層の付着、残留によってトラック幅が大きくなることを防止することができる。更に、電極層をドライエッチングによって除去する際に、エッチングされた材料が磁極部分層14Aにおける媒体対向面ABS側の一部の側面に付着し、残留して薄膜磁気ヘッドの信頼性が低下してしまうことを防止することもできる。
[第2の実施の形態]
まず、図26ないし図28を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドについて説明する。図26は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図26は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。また、図26において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。図27は図26に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。図28は図27における磁極部分の近傍を拡大して示す斜視図である。
図26に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、アルティック(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1と、この基板1の上に形成されたアルミナ(Al23)等の絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に形成された磁性材料よりなる下部シールド層3と、この下部シールド層3の上に、絶縁層4を介して形成された再生素子としてのMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子5の上に絶縁層4を介して形成された磁性材料よりなる上部シールド層6とを備えている。下部シールド層3および上部シールド層6の厚みは、それぞれ例えば1〜2μmである。
MR素子5の一端部は、媒体対向面(エアベアリング面)ABSに配置されている。MR素子5には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。
薄膜磁気ヘッドは、更に、上部シールド層6の上に形成された非磁性層7と、この非磁性層7の上に形成された磁性材料よりなる第1の磁性層8と、この第1の磁性層8の上において薄膜コイル10を形成すべき位置に形成された絶縁層9Aと、この絶縁層9Aの上に形成された薄膜コイル10と、少なくとも薄膜コイル10の巻線間に充填され、媒体対向面ABSに露出しない絶縁層9Bとを備えている。絶縁層9Aには、媒体対向面ABSから離れた位置において、コンタクトホール9aが形成されている。また、本実施の形態では、絶縁層9Bは、薄膜コイル10の全体を覆うように形成されている。
第1の磁性層8の厚みは例えば1〜2μmである。第1の磁性層8を構成する磁性材料は、例えば鉄−ニッケル系合金すなわちパーマロイでもよいし、後述するような高飽和磁束密度材でもよい。
絶縁層9Aは、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料よりなり、その厚みは例えば0.1〜1μmである。
薄膜コイル10は、銅等の導電性の材料よりなり、その巻線の厚みは例えば0.3〜2μmである。薄膜コイル10の巻数は任意であり、巻線のピッチも任意である。ここでは、一例として、薄膜コイル10の巻線の厚みを1.3μm、巻線の幅を0.8μm、巻線のピッチを1.3μm、巻数を8とする。また、薄膜コイル10は、コンタクトホール9aの回りに巻回されている。
絶縁層9Bは、形成時に流動性を有する非導電性且つ非磁性の材料よりなる。具体的には、絶縁層9Bは、例えば、フォトレジスト(感光性樹脂)のような有機系の非導電性非磁性材料によって形成してもよいし、塗布ガラスよりなるスピンオングラス(SOG)膜で形成してもよい。
薄膜磁気ヘッドは、更に、絶縁層9Bにおける媒体対向面ABS側の一部から媒体対向面ABSにかけて絶縁層9Aの上に形成され、媒体対向面ABSに露出する絶縁層9Cを備えている。絶縁層9Cは、絶縁層9Bよりも耐食性、剛性および絶縁性が優れた非導電性且つ非磁性の材料よりなる。このような材料としては、アルミナやシリコン酸化物(SiO2)等の無機系の非導電性非磁性材料を用いることができる。媒体対向面ABSにおける絶縁層9Aおよび絶縁層9Cの合計の厚みは、例えば3〜6μmである。
絶縁層9A,9B,9Cは、第1の磁性層8と後述する第2の磁性層14との間に設けられるギャップ層9を構成する。
薄膜コイル10の第2の磁性層14側の面は、媒体対向面ABSにおけるギャップ層9の第2の磁性層14側の端部(絶縁層9Cの磁性層14側の端部)の位置よりも第1の磁性層8側の位置に配置されている。
薄膜磁気ヘッドは、更に、ギャップ層9の上に形成された磁性材料よりなる第2の磁性層14と、アルミナ等の非導電性且つ非磁性の材料よりなり、第2の磁性層14を覆うように形成された保護層17を備えている。
第2の磁性層14は、磁極部分を含む磁極部分層14Aと、ヨークとなるヨーク部分層14Bとを有している。ヨーク部分層14Bは、第1の磁性層8と磁極部分層14Aのギャップ層9側の面とに接し、これらに対して磁気的に接続された第1層14B1と、この第1層14B1と磁極部分層14Aの媒体対向面ABSとは反対側の端面(以下、後端面と言う。)および幅方向の両側面とに接し、これらに対して磁気的に接続された第2層14B2とを含んでいる。
ヨーク部分層14Bの第1層14B1は、コンタクトホール9aが形成された位置から媒体対向面ABSに向けて、絶縁層9Cの媒体対向面ABSとは反対側の端面の位置まで、第1の磁性層8および絶縁層9Bの上に形成されている。コンタクトホール9aの位置における第1層14B1の厚みは、絶縁層9Aと絶縁層9Bの合計の厚みより大きく、例えば3μm以上である。第1層14B1の媒体対向面ABS側の端部は、媒体対向面ABSから例えば1.5μm以上離れた位置であって、磁極部分層14Aの後端面よりは媒体対向面ABSに近い位置に配置されている。ここでは、一例として、第1層14B1の媒体対向面ABS側の端部と媒体対向面ABSとの距離を5μmとする。第1層14B1を構成する磁性材料は、例えば鉄−ニッケル系合金すなわちパーマロイでもよいし、後述するような高飽和磁束密度材でもよい。
ヨーク部分層14Bの第1層14B1における媒体対向面ABS側の一部および絶縁層9Cの上面は平坦化されている。磁極部分層14Aは、この平坦化された第1層14B1および絶縁層9Cの上面の上に形成されている。従って、ヨーク部分層14Bの第1層14B1は、磁極部分層14Aのギャップ層9側の面に接し、これに対し磁気的に接続されている。
薄膜磁気ヘッドは、更に、磁極部分層14Aの上に形成された非磁性層15を備えている。ヨーク部分層14Bの第2層14B2は、第1層14B1および非磁性層15の上に配置されている。第2層14B2は、第1層14B1と磁極部分層14Aの後端面および幅方向の両側面とに接し、これらに対して磁気的に接続されている。また、第2層14B2の媒体対向面ABS側の一部は、非磁性層15を介して磁極部分層14Aの上面に隣接し、非磁性層15を介して磁極部分層14Aに磁気的に接続されている。ヨーク部分層14Bの第2層14B2の厚みは、例えば0.5〜2μmである。第2層14B2を構成する磁性材料は、例えば鉄−ニッケル系合金すなわちパーマロイでもよいし、後述するような高飽和磁束密度材でもよい。
磁極部分層14Aの厚みは、好ましくは0.1〜0.8μmであり、更に好ましくは0.3〜0.8μmである。ここでは、一例として、磁極部分層14Aの厚みを0.5μmとする。また、媒体対向面ABSから磁極部分層14Aの後端面までの長さは2μm以上である。ここでは、一例として、この長さを10μmとする。
図28に示したように、磁極部分層14Aは、媒体対向面ABS側に配置された第1の部分14A1と、この第1の部分14A1よりも媒体対向面ABSから離れた位置に配置された第2の部分14A2とを含んでいる。第1の部分14A1は、第2の磁性層14における磁極部分となる。第1の磁性層8における磁極部分は、第1の磁性層8のうちギャップ層9を介して上記第1の部分14A1に対向する部分を含む。
第1の部分14A1は、トラック幅と等しい幅を有している。すなわち、第1の部分14A1の媒体対向面ABSにおける幅がトラック幅を規定している。第2の部分14A2の幅は、第1の部分14A1との境界位置では第1の部分14A1の幅と等しく、その位置から媒体対向面ABSより遠ざかる程、徐々に大きくなった後、一定の大きさになっている。磁極部分層14Aの第2の部分14A2は、ヨーク部分層14Bの第1層14B1の媒体対向面ABS側の一部の上に重なり、ヨーク部分層14Bの第2層14B2の媒体対向面ABS側の一部は、非磁性層15を介して磁極部分層14Aの第2の部分14A2の上に重なっている。
第1の部分14A1の媒体対向面ABSにおける幅、すなわちトラック幅は、好ましくは0.5μm以下であり、更に好ましくは0.3μm以下である。ヨーク部分層14Bと重なる部分における第2の部分14A2の幅は、第1の部分14A1の媒体対向面ABSにおける幅よりも大きく、例えば2μm以上である。
ヨーク部分層14Bの第2層14B2の媒体対向面ABS側の端部は、媒体対向面ABSから例えば1.5μm以上離れた位置であって、磁極部分層14Aの後端面よりは媒体対向面ABSに近い位置に配置されている。
また、本実施の形態では、ヨーク部分層14Bの第2層14B2の媒体対向面ABSとは反対側の端部は、第1層14B1と第1の磁性層8との磁気的な連結部よりも、媒体対向面ABSから離れた位置に配置されている。
磁極部分層14Aの飽和磁束密度は、ヨーク部分層14Bの飽和磁束密度以上となっている。磁極部分層14Aを構成する磁性材料としては、飽和磁束密度が1.4T以上の高飽和磁束密度材を用いるのが好ましい。高飽和磁束密度材としては、鉄および窒素原子を含む材料、鉄、ジルコニアおよび酸素原子を含む材料、鉄およびニッケル元素を含む材料等を用いることができる。具体的には、高飽和磁束密度材としては、例えば、NiFe(Ni:45重量%,Fe:55重量%)、FeNやその化合物、Co系アモルファス合金、Fe−Co、Fe−M(必要に応じてO(酸素原子)も含む。)、Fe−Co−M(必要に応じてO(酸素原子)も含む。)の中のうちの少なくとも1種類を用いることができる。ここで、Mは、Ni,N,C,B,Si,Al,Ti,Zr,Hf,Mo,Ta,Nb,Cu(いずれも化学記号)の中から選択された少なくとも1種類である。
ヨーク部分層14Bを構成する磁性材料としては、例えば、飽和磁束密度が1.0T程度となる鉄およびニッケル元素を含む材料を用いることができる。このような材料は、耐食性に優れ、且つ磁極部分層14Aを構成する材料よりも高抵抗である。また、このような材料を用いることにより、ヨーク部分層14Bの形成が容易になる。
また、ヨーク部分層14Bを構成する磁性材料としては、磁極部分層14Aを構成する磁性材料と同じ組成系のものを用いることもできる。この場合には、ヨーク部分層14Bの飽和磁束密度を、磁極部分層14Aの飽和磁束密度よりも小さくするために、ヨーク部分層14Bを構成する磁性材料としては、磁極部分層14Aを構成する磁性材料に比べて、鉄原子の組成比の小さい材料を用いるのが好ましい。
非磁性層15の平面的な形状は、磁極部分層14Aと同様である。また、非磁性層15は、媒体対向面ABSに露出している。非磁性層15の厚みは、好ましくは0.5μm以下である。ここでは、一例として、非磁性層15の厚みを0.3μmとする。また、非磁性層15は、省くことも可能である。
非磁性層15を構成する材料としては、例えば、チタンまたはタンタルを含む材料(合金および酸化物を含む。)や、アルミナやシリコン酸化物(SiO2)等の無機系の非導電性非磁性材料を用いることができる。また、磁極部分層14Aをドライエッチングによって形成する場合には、非磁性層15を構成する材料として、磁極部分層14Aを構成する材料、およびギャップ層9のうちの磁極部分層14Aに接する絶縁層9Cを構成する材料よりもドライエッチングに対するエッチング速度が小さい材料を用いるのが好ましい。このような材料としては、例えばチタンまたはタンタルを含む材料(合金および酸化物を含む。)を用いることができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面ABSと再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドは、再生素子としてのMR素子5と、媒体対向面ABS側の一部がMR素子5を挟んで対向するように配置された、MR素子5をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層6を備えている。
記録ヘッドは、媒体対向面ABS側において記録媒体の進行方向Tの前後に所定の間隔を開けて互いに対向するように配置された磁極部分を含むと共に、媒体対向面ABSから離れた位置において互いに磁気的に連結された第1の磁性層8および第2の磁性層14と、非磁性材料よりなり、第1の磁性層8と第2の磁性層14との間に設けられたギャップ層9と、少なくとも一部が第1の磁性層8および第2の磁性層14の間に、これらの磁性層8,14に対して絶縁された状態で設けられた薄膜コイル10とを備えている。
本実施の形態では、薄膜コイル10のうち磁性層8,14の間に配置された部分の第2の磁性層14側の面(図26における上側の面)は、媒体対向面ABSにおけるギャップ層9の第2の磁性層14側の端部(図26における上側の端部)の位置よりも第1の磁性層8側(図26における下側)の位置に配置されている。
また、第2の磁性層14は、磁極部分を含み、媒体対向面ABSにおける幅がトラック幅を規定する磁極部分層14Aと、ヨークとなり、磁極部分層14Aと第1の磁性層8とを磁気的に接続するヨーク部分層14Bとを有している。磁極部分層14Aの飽和磁束密度は、ヨーク部分層14Bの飽和磁束密度以上となっている。ヨーク部分層14Bは、少なくとも磁極部分層14Aのギャップ層9側の面、後端面および幅方向の両側面において、磁極部分層14Aに対して磁気的に接続されている。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、垂直磁気記録方式に用いるのに適している。この薄膜磁気ヘッドを垂直磁気記録方式に用いる場合、第2の磁性層14の磁極部分層14Aにおける第1の部分14A1が主磁極となり、第1の磁性層8の磁極部分が補助磁極となる。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを垂直磁気記録方式に用いる場合には、記録媒体としては2層媒体と単層媒体のいずれをも使用することが可能である。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性層14は磁極部分層14Aとヨーク部分層14Bとを有し、薄膜コイル10の少なくとも一部の第2の磁性層14側の面は、媒体対向面ABSにおけるギャップ層9の第2の磁性層14側の端部の位置よりも第1の磁性層8側の位置に配置され、ヨーク部分層14Bは、少なくとも磁極部分層14Aのギャップ層9側の面、後端面および幅方向の両側面において、磁極部分層14Aに対して磁気的に接続されている。従って、本実施の形態では、ヨーク部分層14Bは、第1の磁性層8に対する磁気的な連結部と磁極部分層14Aとの間に短い磁気経路を形成することができ、且つヨーク部分層14Bを薄膜コイル10の近くに配置することが可能になる。
また、本実施の形態では、磁極部分層14Aの飽和磁束密度は、ヨーク部分層14Bの飽和磁束密度以上となっている。更に、ヨーク部分層14Bは、少なくとも磁極部分層14Aのギャップ層側の面、後端面および幅方向の両側面において、磁極部分層14Aに対して磁気的に接続されている。すなわち、ヨーク部分層14Bと磁極部分層14Aとの磁気的な接続部分の面積が大きい。従って、本実施の形態によれば、第2の磁性層14の途中における磁束の飽和を防止することができる。
これらのことから、本実施の形態によれば、電磁変換効率を高め、第2の磁性層14の磁極部分より発生される、記録媒体の面に垂直な方向の磁界を大きくし、且つ磁路長を短縮して高周波特性を向上させることが可能になる。磁極部分層14Aに高飽和磁束密度材を用いた場合には、特に、記録媒体の面に垂直な方向の磁界を大きくすることができ、保磁力の大きな記録媒体への記録も可能となる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、記録媒体の面に垂直な方向の磁界は長手方向の磁界よりも大きく、ヘッドが発生する磁気エネルギを効率よく、記録媒体に伝達することができる。従って、この薄膜磁気ヘッドによれば、記録媒体の熱揺らぎの影響を受けにくくして、線記録密度を高めることができる。
図26に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、第1の磁性層8を記録媒体の進行方向Tの後側(薄膜磁気ヘッドを含むスライダにおける空気流入端側)に配置し、第2の磁性層14を記録媒体の進行方向Tの前側(薄膜磁気ヘッドを含むスライダにおける空気流出端側)に配置するのが好ましい。このような配置とすることにより、これとは逆の配置の場合に比べて、垂直磁気記録方式を用いた場合の記録媒体における磁化反転遷移幅が小さくなり、記録媒体において、より高密度の磁化パターンを形成することができ、その結果、線記録密度を高めることができる。
また、図26に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、ヨーク部分層14Bは、第1の磁性層8と磁極部分層14Aのギャップ層9側の面とに接し、これらに対して磁気的に接続された第1層14B1と、第1層14B1と磁極部分層14Aの後端面および幅方向の両側面とに接し、これらに対して磁気的に接続された第2層14B2とを含む。これにより、ヨーク部分層14Bの形成が容易になる。
また、ヨーク部分層14Bの第2層14B2は、更に、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面に磁気的に接続されている。これにより、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面からも、ヨーク部分層14Bの第2層14B2から磁極部分層14Aへ磁束を導くことができ、その結果、電磁変換効率を向上させることができる。
また、図26に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、ヨーク部分層14Bの第1層14B1および第2層14B2の媒体対向面ABS側の各端部は、媒体対向面ABSから離れた位置に配置されている。これにより、ヨーク部分層14Bの第1層14B1および第2層14B2の媒体対向面ABS側の各端部より発生される磁界によって記録媒体に情報の書き込みが生じることを防止することができる。
また、図26に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、磁極部分層14Aのヨーク部分層14Bと接する部分の幅は、磁極部分層14Aの媒体対向面ABSにおける幅よりも大きくなっている。これにより、磁極部分層14Aのヨーク部分層14Bと接する部分の面積を大きくすることができ、この部分での磁束の飽和を防止することができる。その結果、磁束を効率よくヨーク部分層14Bから磁極部分層14Aへ導くことができ、且つ磁極部分層14Aの媒体対向面ABSにおける露出面積を小さくすることで、記録媒体に印加される磁界を大きくすることができる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドにおいて、媒体対向面ABSから磁極部分層14Aの後端面までの長さは2μm以上とすることにより、磁極部分層14Aの厚みや幅を大きくすることなく、磁極部分層14Aのヨーク部分層14Bと接する部分の面積を大きくして、この部分での磁束の飽和を防止することができる。その結果、磁束を効率よくヨーク部分層14Bから磁極部分層14Aへ導くことができる。
また、図26に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面に接する非磁性層15を備えている。これにより、磁極部分層14Aをドライエッチングによって形成する際や、ヨーク部分層14Bを電気めっき法によって形成する際に、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面がダメージを受けることを防止でき、その面を平坦にすることができる。特に、本実施の形態では、非磁性層15が媒体対向面ABSに露出しているので、媒体対向面ABSにおいて、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の端部を平坦に保つことができる。これにより、媒体対向面ABSにおいて磁極部分層14Aより発生される磁界を、トラックに交差する方向について均一化することができる。その結果、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、ヨーク部分層14Bの媒体対向面ABS側の一部、すなわち第2層14B2の媒体対向面ABS側の一部は、非磁性層15を介して磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面に隣接し、非磁性層15を介して磁極部分層14Aに磁気的に接続されている。その結果、非磁性層15を介して、ヨーク部分層14Bの一部からも、磁束を磁極部分層14Aの媒体対向面ABS側へ導くことができる。
また、非磁性層15を、磁極部分層14Aを構成する材料、およびギャップ層9のうちの磁極部分層14Aと接する部分を構成する材料よりもドライエッチングに対するエッチング速度が小さい材料で構成した場合には、磁極部分層14Aをドライエッチングによって形成する際に、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面がダメージを受けることを防止することができる。
また、図26に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、薄膜コイル10のうち第1の磁性層8と第2の磁性層14の間に配置された部分は、第1の磁性層8と第2の磁性層14の磁極部分層14Aとの中間の位置よりも第1の磁性層8に近い位置に配置されている。これにより、第2の磁性層14よりも体積の大きな第1の磁性層8によって、薄膜コイル10から発生する磁界を効率よく吸収でき、薄膜コイル10が第2の磁性層14に近い場合に比べて、第1の磁性層8および第2の磁性層14における磁界の吸収率を高めることができる。
また、図26に示したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、ギャップ層9は、形成時に流動性を有する材料よりなり、少なくとも薄膜コイル10の巻線間に充填され、媒体対向面ABSに露出しない第1の部分(絶縁層9B)と、この第1の部分よりも耐食性、剛性および絶縁性が優れた材料よりなり、媒体対向面ABSに露出する第2の部分(絶縁層9A,9C)とを有している。第1の部分(絶縁層9B)は、第2の部分(絶縁層9A,9C)とヨーク部分層14Bの第1層14B1とによって完全に覆われている。薄膜コイル10の巻線間に隙間なく非磁性材料を充填することは、スパッタリング法では困難であるが、有機系の材料のように流動性を有する非磁性材料を用いた場合には容易である。しかし、有機系の材料は、ドライエッチングに対する耐性、耐食性、耐熱性、剛性等の点で信頼性に乏しい。本実施の形態では、上述のように、形成時に流動性を有する材料によって薄膜コイル10の巻線間に充填された第1の部分(絶縁層9B)を形成し、この第1の部分よりも耐食性、剛性および絶縁性が優れた材料によって、第1の部分の一部を覆い、媒体対向面ABSに露出する第2の部分(絶縁層9A,9C)を形成するようにしたので、薄膜コイル10の巻線間に隙間なく非磁性材料を充填でき、且つギャップ層9の信頼性を高めることができる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、再生素子としてのMR素子5を備えている。これにより、誘導型電磁変換素子を用いて再生を行う場合に比べて、再生性能を向上させることができる。また、MR素子5は、シールド層3,6によってシールドされているので、再生時の分解能を向上させることができる。
次に、図29を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの変形例について説明する。図29は変形例の薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図29は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。
この変形例の薄膜磁気ヘッドは、図26に示した薄膜磁気ヘッドにおける上部シールド層6および非磁性層7を省き、第1の磁性層8が上部シールド層6を兼ねるようにしたものである。この構成によれば、薄膜磁気ヘッドの構造が簡単になり、製造も簡単になる。この変形例の薄膜磁気ヘッドのその他の構成は、図26に示した薄膜磁気ヘッドと同様である。
次に、図30ないし図42を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。なお、ここでは、図26に示した薄膜磁気ヘッドを製造する場合を例にとって製造方法を説明するが、図29に示した薄膜磁気ヘッドを製造する場合も、上部シールド層6および非磁性層7を形成する工程が省かれること以外は、以下の説明と同様である。なお、図30ないし図42では、基板1および絶縁層2を省略している。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、図12に示したように、絶縁層9Aの上に薄膜コイル10を形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態では、次に、図30に示したように、周知のフォトリソグラフィ技術を用いて、少なくとも薄膜コイル10の巻線間に充填される絶縁層9Bを形成する。ここでは、絶縁層9Bは薄膜コイル10を完全に覆うように形成しているが、薄膜コイル10の巻線間に充填される絶縁層9Bを形成した後に、絶縁層9Bとは別に、薄膜コイル10および絶縁層9Bを覆う絶縁層を形成してもよい。
次に、図31に示したように、周知のフォトリソグラフィ技術および成膜技術(例えば電気めっき法)を用いて、コンタクトホール9aが形成された位置から媒体対向面ABSに向けて所定の位置まで、第1の磁性層8および絶縁層9Bの上にヨーク部分層14Bの第1層14B1を形成する。この時点で、第1層14B1の形状は、例えば、厚みが3μm以上、奥行き(媒体対向面ABSに垂直な方向の長さ)が2〜10μm、幅が5〜20μmである。
次に、図32に示したように、スパッタ法を用いて、絶縁層9A、絶縁層9Bおよびヨーク部分層14Bの第1層14B1を覆うように絶縁層9Cを形成する。この時点で、絶縁層9Cの厚みは、第1層14B1の厚み以上とする。
次に、図33に示したように、例えば化学機械研磨を用いて、ヨーク部分層14Bの第1層14B1が露出するまで絶縁層9Cの表面を研磨して、絶縁層9Cおよび第1層14B1の上面を平坦化する。この時点で、第1の磁性層8の上面から絶縁層9Cの上面までの距離は、例えば3〜6μmとする。
次に、図34に示したように、絶縁層9Cおよび第1層14B1の上に、第2の磁性層14の磁極部分層14Aを構成する材料よりなる被エッチング層14Aeを形成する。被エッチング層14Aeの厚みは、好ましくは0.1〜0.8μmとし、更に好ましくは0.3〜0.8μmとする。被エッチング層14Aeの形成方法は、電気めっき法でもよいし、スパッタ法でもよい。被エッチング層14Aeの表面の粗さが大きい場合(例えば、算術平均粗さRaが12オングストローム以上の場合)の場合は、化学機械研磨等によって被エッチング層14Aeの表面を研磨して平坦化することが好ましい。
次に、被エッチング層14Aeの上に、非磁性層15eを形成する。非磁性層15eの厚みは、好ましくは0.5μm以下とする。
次に、図示しないが、非磁性層15eの上に、スパッタ法により、電気めっき法のための電極層を形成する。この電極層の厚みは0.1μm以下とし、材料は例えば鉄−ニッケル合金とする。
次に、図35に示したように、フォトリソグラフィ技術を用いて、上記電極層の上に、フォトレジストによって、磁極部分層14Aの形状に対応した空隙部を有するレジストフレーム31を形成する。次に、このレジストフレーム31を用いて、電気めっき法(フレームめっき法)によって、上記電極層の上に、磁極部分層14Aの形状に対応したマスク32となるめっき膜を形成する。このめっき膜の厚みは1〜4μmとし、材料は例えば鉄−ニッケル合金とする。次に、レジストフレーム31を除去する。
次に、図36に示したように、マスク32を用いて、イオンミリング等のドライエッチング技術によって、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングして、非磁性層15および磁極部分層14Aを形成する。このとき、マスク32のうち、少なくとも媒体対向面ABSに対応する部分は完全に除去することが好ましいが、マスク32が非磁性で、耐食性等の点で信頼性が十分にあれば、この限りではない。
上記のエッチングにより、図4および図5に示したように、媒体対向面ABSに露出する磁極部分層14Aの面の形状を長方形あるいは台形とする。また、上記のエッチングにより、媒体対向面ABSにおける磁極部分層14Aの幅を、トラック幅の規格に一致するように規定してもよい。
また、上記のエッチングにより、非磁性層15および磁極部分層14Aが形成されるのと同時に、ヨーク部分層14Bの第1層14B1が露出する。
なお、上述のようにめっき膜によるマスク32を形成する代りに、フォトリソグラフィ技術を用いて、非磁性層15eの上に、フォトレジストによって、磁極部分層14Aの形状に対応したレジストパターンを形成してもよい。そして、このレジストパターンをマスクとして、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングして、非磁性層15および磁極部分層14Aを形成すると共にヨーク部分層14Bの第1層14B1を露出させ、その後、レジストパターンを除去してもよい。
次に、図37に示したように、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジストによって、磁極部分層14Aおよび非磁性層15における媒体対向面ABS側の一部を覆うレジストカバー33を形成する。このレジストカバー33の厚みは、後述するヨーク部分層形成用のフレームの厚み以下とするのが好ましい。
次に、図38に示したように、レジストカバー33、磁極部分層14A(および非磁性層15)、およびヨーク部分層14Bの第1層14B1の上に、スパッタ法により、電気めっき法のための電極層34を形成する。この電極層34の厚みは0.1μm以下とし、材料は例えば鉄−ニッケル合金とし、下地にTi(チタン)を成膜してもよい。
次に、図39に示したように、電極層34の上に、フォトレジストによって、ヨーク部分層14Bの第2層14B2の形状に対応した空隙部を有するレジストフレーム35を形成する。
次に、図40に示したように、レジストフレーム35を用いて、電気めっき法(フレームめっき法)によって、電極層34の上にヨーク部分層14Bの第2層14B2を形成する。次に、レジストフレーム35を除去する。なお、第2層14B2は、リフトオフ法を用いて形成することも可能であるが、第2層14B2の形状を下地の形状に追従させるためには電気めっき法を用いるのが最も好ましい。
次に、図41に示したように、電極層34のうち、ヨーク部分層14Bの第2層14B2の下に存在する部分以外の部分をドライエッチングで除去する。
次に、図42に示したように、レジストカバー33を除去する。次に、第2の磁性層14を覆うように保護層17を形成する。次に、保護層17の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面ABSの研磨、浮上用レールの作製等を行って、薄膜磁気ヘッドが完成する。
このように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法は、第1の磁性層8を形成する工程と、薄膜コイル10の少なくとも一部の第2の磁性層14側の面が、媒体対向面ABSにおけるギャップ層9の第2の磁性層14側の端部の位置よりも第1の磁性層8側の位置に配置され、且つヨーク部分層14Bが、少なくとも磁極部分層14Aのギャップ層9側の面、後端面および幅方向の両側面において、磁極部分層14Aに対して磁気的に接続されるように、第1の磁性層8の上にギャップ層9、薄膜コイル10および第2の磁性層14を形成する工程とを備えている。この薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドと同様の作用、効果が得られる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の磁性層8の上にギャップ層9、薄膜コイル10および第2の磁性層14を形成する工程は、第1の磁性層8の上に、薄膜コイル10と、この薄膜コイル10を周囲に対して絶縁するギャップ層9の一部である絶縁層9Bとを形成する工程と、第1の磁性層8および絶縁層9Bの上に、ヨーク部分層14Bの第1層14B1を形成する工程と、第1の磁性層8、絶縁層9Bおよび第1層14B1の上に、ギャップ層9の他の一部である絶縁層9Cを形成する工程と、第1層14B1が露出するまで、絶縁層9Cを研磨して、第1層14B1および絶縁層9Cの上面を平坦化する工程と、平坦化された第1層14B1および絶縁層9Cの上に、磁極部分層14Aを構成する材料よりなる被エッチング層14Aeを形成する工程と、被エッチング層14Aeをドライエッチングによって選択的にエッチングして、第1層14B1に接する磁極部分層14Aの外形を決定すると共に第1層14B1を露出させる工程と、第1層14B1の上に、ヨーク部分層14Bの第2層14B2を形成する工程とを含む。
このように、本実施の形態によれば、磁極部分層14Aを形成する前にヨーク部分層14Bの第1層14B1を形成し、磁極部分層14Aを形成した後にヨーク部分層14Bの第2層14B2を形成するので、少なくとも磁極部分層14Aのギャップ層9側の面、後端面および幅方向の両側面において磁極部分層14Aに対して磁気的に接続されるヨーク部分層14Bを、容易に形成することが可能になる。
また、本実施の形態によれば、被エッチング層14Aeを形成する工程の前に、研磨により、被エッチング層14Aeの下地となる絶縁層9Cおよびヨーク部分層14Bの第1層14B1の上面を平坦化している。これにより、媒体対向面ABSにおいて、磁極部分層14Aのギャップ層9側の端部を平坦化することができる。また、被エッチング層14Aeをスパッタ法によって形成する場合には、被エッチング層14Aeの成膜時の膜厚均一性がよいため、媒体対向面ABSにおいて、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の端部も平坦化することができる。これらのことから、媒体対向面ABSにおいて磁極部分層14Aより発生される磁界を、トラックに交差する方向について均一化することができ、その結果、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができる。
また、本実施の形態において、被エッチング層14Aeを形成する工程の後で、研磨により、被エッチング層14Aeの上面を平坦化した場合には、媒体対向面ABSにおいて、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の端部を完全に平坦化することができる。これにより、媒体対向面ABSにおいて磁極部分層14Aより発生される磁界を、トラックに交差する方向について均一化することができ、その結果、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができる。
また、本実施の形態において、磁極部分層14Aを形成する工程は、被エッチング層14Aeを形成する工程の後で、被エッチング層14Aeの上に非磁性層15eを形成する工程と、非磁性層15eの上に、磁極部分層14Aの形状に対応したマスク32を形成する工程とを含み、被エッチング層14Aeをエッチングする工程は、このマスク32を用いて、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングしてもよい。この場合には、被エッチング層14Aeの上面を非磁性層15eで保護した状態で磁極部分層14Aの外形を決定でき、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の端部の平坦性を維持することが可能になる。
また、マスク32を形成する工程は、非磁性層15eの上に、磁極部分層14Aの形状に対応した空隙部を有するレジストフレーム31を形成し、このレジストフレーム31の空隙部内にマスク32を形成してもよい。この場合には、マスク32をレジストで形成する場合に比べて、ドライエッチングに対する耐性に優れたマスク32を形成することが可能になる。これにより、磁極部分層14Aを構成する材料がドライエッチングに対する耐性に優れている場合でも、マスク32を用いたドライエッチングによって磁極部分層14Aの外形を決定することが可能になる。
また、本実施の形態において、ヨーク部分層14Bの第2層14B2は、電気めっき法によって形成してもよい。この場合には、第2層14B2を容易に形成できると共に、第2層14B2を、その下地の形状によく追従した形状に形成することが可能になる。
また、ヨーク部分層14Bの第2層14B2を形成する工程は、磁極部分層14Aの媒体対向面ABS側の一部を覆うレジストカバー33を形成する工程と、レジストカバー33、磁極部分層14A(および非磁性層15)、およびヨーク部分層14Bの第1層14B1の上に、電気めっき法のための電極層34を形成する工程と、電極層34を用いて、電気めっき法によって第2層14B2を形成する工程とを含んでもよい。この場合には、磁極部分層14Aの媒体対向面ABS側の一部の側面に電極層が付着し、残留することを防止することができ、電極層の付着、残留によってトラック幅が大きくなることを防止することができる。更に、電極層をドライエッチングによって除去する際に、エッチングされた材料が磁極部分層14Aの媒体対向面ABS側の一部の側面に付着し、残留して薄膜磁気ヘッドの信頼性が低下してしまうことを防止することもできる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、図43および図44を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドについて説明する。図43は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図43は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。また、図43において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。図44は図43に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。
本実施の形態では、第2の実施の形態に比べて、ヨーク部分層14Bの第1層14B1の厚みが小さくなっている。コンタクトホール9aの位置における第1層14B1の厚みは、絶縁層9Aと絶縁層9Bの合計の厚み以下になっている。ただし、コンタクトホール9aの位置における第1層14B1の厚みは、1μm以上であることが好ましい。
また、本実施の形態では、ヨーク部分層14Bの第1層14B1は、第1の磁性層8との磁気的な連結部から、媒体対向面ABSから離れる方向に2μm以上延びている。本実施の形態では、ヨーク部分層14Bの第1層14B1を更に幅方向の両側にも延長するのが好ましい。
また、本実施の形態では、ヨーク部分層14Bの第2層14B2の媒体対向面ABSとは反対側の端部は、第1層14B1と第1の磁性層8との磁気的な連結部よりも、媒体対向面ABSに近い位置に配置されている。ただし、第2層14B2の媒体対向面ABSとは反対側の端部は、磁極部分層14Aの媒体対向面ABSとは反対側の端部の位置よりも媒体対向面ABSから離れた位置に配置され、好ましくは媒体対向面ABSから10μm以上離れた位置に配置される。
次に、図45ないし図56を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、図30に示したように、絶縁層9Aの上に薄膜コイル10および絶縁層9Bを形成する工程までは、第2の実施の形態と同様である。
本実施の形態では、次に、図45に示したように、周知のフォトリソグラフィ技術および成膜技術(例えば電気めっき法)を用いて、第1の磁性層8および絶縁層9Bの上にヨーク部分層14Bの第1層14B1を形成する。この時点で、第1層14B1の形状は、例えば、厚みが1〜4μm、奥行きが2〜10μm、幅が5〜20μmである。
次に、図46に示したように、スパッタ法を用いて、絶縁層9A、絶縁層9Bおよびヨーク部分層14Bの第1層14B1を覆うように絶縁層9Cを形成する。この時点で、絶縁層9Cの厚みは、第1層14B1の厚み以上とする。
次に、図47に示したように、例えば化学機械研磨を用いて、ヨーク部分層14Bの第1層14B1が露出するまで絶縁層9Cの表面を研磨して、絶縁層9Cおよび第1層14B1の上面を平坦化する。この時点で、第1の磁性層8の上面から絶縁層9Cの上面までの距離は、例えば3〜6μmとする。
次に、図48に示したように、絶縁層9Cおよび第1層14B1の上に、第2の磁性層14の磁極部分層14Aを構成する材料よりなる被エッチング層14Aeを形成する。被エッチング層14Aeの厚みは、好ましくは0.1〜0.8μmとし、更に好ましくは0.3〜0.8μmとする。被エッチング層14Aeの形成方法は、電気めっき法でもよいし、スパッタ法でもよい。被エッチング層14Aeの表面の粗さが大きい場合(例えば、算術平均粗さRaが12オングストローム以上の場合)の場合は、化学機械研磨等によって被エッチング層14Aeの表面を研磨して平坦化することが好ましい。
次に、被エッチング層14Aeの上に、非磁性層15eを形成する。非磁性層15eの厚みは、好ましくは0.5μm以下とする。
次に、図示しないが、非磁性層15eの上に、スパッタ法により、電気めっき法のための電極層を形成する。この電極層の厚みは0.1μm以下とし、材料は例えば鉄−ニッケル合金とする。
次に、図49に示したように、フォトリソグラフィ技術を用いて、上記電極層の上に、フォトレジストによって、磁極部分層14Aの形状に対応した空隙部を有するレジストフレーム31を形成する。次に、このレジストフレーム31を用いて、電気めっき法(フレームめっき法)によって、上記電極層の上に、磁極部分層14Aの形状に対応したマスク32となるめっき膜を形成する。このめっき膜の厚みは1〜4μmとし、材料は例えば鉄−ニッケル合金とする。次に、レジストフレーム31を除去する。
次に、図50に示したように、マスク32を用いて、イオンミリング等のドライエッチング技術によって、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングして、非磁性層15および磁極部分層14Aを形成する。このとき、マスク32のうち、少なくとも媒体対向面ABSに対応する部分は完全に除去することが好ましいが、マスク32が非磁性で、耐食性等の点で信頼性が十分にあれば、この限りではない。また、このエッチングにより、非磁性層15および磁極部分層14Aが形成されるのと同時に、ヨーク部分層14Bの第1層14B1が露出する。
なお、上述のようにめっき膜によるマスク32を形成する代りに、フォトリソグラフィ技術を用いて、非磁性層15eの上に、フォトレジストによって、磁極部分層14Aの形状に対応したレジストパターンを形成してもよい。そして、このレジストパターンをマスクとして、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングして、非磁性層15および磁極部分層14Aを形成すると共にヨーク部分層14Bの第1層14B1を露出させ、その後、レジストパターンを除去してもよい。
次に、図51に示したように、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジストによって、磁極部分層14Aおよび非磁性層15における媒体対向面ABS側の一部を覆うレジストカバー33を形成する。このレジストカバー33の厚みは、後述するヨーク部分層形成用のフレームの厚み以下とするのが好ましい。
次に、図52に示したように、レジストカバー33、磁極部分層14A(および非磁性層15)、およびヨーク部分層14Bの第1層14B1の上に、スパッタ法により、電気めっき法のための電極層34を形成する。この電極層34の厚みは0.1μm以下とし、材料は例えば鉄−ニッケル合金とし、下地にTi(チタン)を成膜してもよい。
次に、図53に示したように、電極層34の上に、フォトレジストによって、ヨーク部分層14Bの第2層14B2の形状に対応した空隙部を有するレジストフレーム35を形成する。
次に、図54に示したように、レジストフレーム35を用いて、電気めっき法(フレームめっき法)によって、電極層34の上にヨーク部分層14Bの第2層14B2を形成する。次に、レジストフレーム35を除去する。
次に、図55に示したように、電極層34のうち、ヨーク部分層14Bの第2層14B2の下に存在する部分以外の部分をドライエッチングで除去する。
次に、図56に示したように、レジストカバー33を除去する。次に、第2の磁性層14を覆うように保護層17を形成する。次に、保護層17の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面ABSの研磨、浮上用レールの作製等を行って、薄膜磁気ヘッドが完成する。
なお、本実施の形態においても、図29に示した薄膜磁気ヘッドと同様に、上部シールド層6および非磁性層7を省き、第1の磁性層8が上部シールド層6を兼ねるようにしてもよい。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
次に、図57および図58を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドについて説明する。図57は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図57は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。また、図57において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。図58は図57に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。
本実施の形態では、ヨーク部分層14Bの第1層14B1の上面は、ギャップ層9の上面と共に平坦化され、これらは同一の平面を形成している。本実施の形態では、この平坦化された第1層14B1およびギャップ層9の上に、磁極部分層14Aが形成され、更にその上に非磁性層15が形成されている。本実施の形態では、磁極部分層14Aおよび非磁性層15の媒体対向面ABSとは反対側の部分は、第1の磁性層8と第1層14B1との磁気的な連結部よりも、媒体対向面ABSから離れた位置まで延びている。
また、ヨーク部分層14Bの第2層14B2の媒体対向面ABSとは反対側の部分は、磁極部分層14Aおよび非磁性層15の媒体対向面ABSとは反対側の端部の近傍の位置まで延びている。本実施の形態では、第2層14B2は、磁極部分層14Aに対して、その後端部では接しておらず、その幅方向の両側面においてのみ接している。なお、第2層14B2は、非磁性層15を介して、磁極部分層14Aの上面に対して磁気的に接続されている。従って、本実施の形態では、ヨーク部分層14Bは、磁極部分層14Aのギャップ層9側の面および幅方向の両側面において、磁極部分層14Aに対して直接、接して磁気的に接続され、且つ非磁性層15を介して磁極部分層14Aの上面に対して磁気的に接続されている。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法は、第2の実施の形態と同様である。
なお、本実施の形態においても、図29に示した薄膜磁気ヘッドと同様に、上部シールド層6および非磁性層7を省き、第1の磁性層8が上部シールド層6を兼ねるようにしてもよい。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
[第5の実施の形態]
次に、図59ないし図61を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドについて説明する。図59は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図59は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。また、図59において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。図60は図59に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。図61は図59に示した薄膜磁気ヘッドの変形例の要部を示す斜視図である。なお、図60および図61では、ギャップ層9および薄膜コイル10を省略している。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、第3の実施の形態におけるヨーク部分層14Bの第2層14B2を省いた構成になっている。すなわち、本実施の形態におけるヨーク部分層14Bは、第3の実施の形態におけるヨーク部分層14Bの第1層14B1と同様の形状をなしている。従って、本実施の形態では、ヨーク部分層14Bは、磁極部分層14Aのギャップ層9側の面において磁極部分層14Aに対して磁気的に接続されており、ヨーク部分層14Bと磁極部分層14Aとの接続部分の少なくとも一部は、第1の磁性層8とヨーク部分層14Bとの接続部分よりも媒体対向面ABS側の位置に配置されている。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法は、第3の実施の形態において、第2層14B2を形成する工程を省いたものとなる。
本実施の形態では、ヨーク部分層14Bの第1の磁性層8とは反対側の面のうち磁極部分層14Aと接しない部分は、磁極部分層14Aのギャップ層9側の面よりも第1の磁性層8側に配置されている。また、ヨーク部分層14Bの第1の磁性層8とは反対側の面の少なくとも一部は、磁極部分層14Aから離れるに従って徐々に第1の磁性層8に近づいている。このようなヨーク部分層14Bの第1の磁性層8とは反対側の面の形状は、磁極部分層14Aを形成する際のエッチングによって決定される。
なお、図60は、ヨーク部分層14Bを、第2の実施の形態におけるヨーク部分層14Bの第1層14B1と同様の形状とした場合を示している。これに対し、図61は、絶縁層9Bの厚みを第2の実施の形態よりも大きくして、ヨーク部分層14Bの媒体対向面ABS側の一部における厚みを、図60の場合よりも薄くした場合を示している。
本実施の形態では、ヨーク部分層14Bを上記のような形状としたことにより、ヨーク部分層14Bの体積を過剰に大きくすることなく、ヨーク部分層14Bによって磁極部分層14Aと第1の磁性層8とを短い距離で磁気的に接続することが可能になる。
また、本実施の形態では、ヨーク部分層14Bが1層で構成されるため、他の実施の形態に比べて薄膜磁気ヘッドの構造および製造が簡単になる。
なお、本実施の形態においても、図29に示した薄膜磁気ヘッドと同様に、上部シールド層6および非磁性層7を省き、第1の磁性層8が上部シールド層6を兼ねるようにしてもよい。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第3の実施の形態と同様である。
[第6の実施の形態]
次に、図62および図63を参照して、本発明の第6の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドについて説明する。図62は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図62は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。また、図62において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。図63は図62に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。なお、図63では、ギャップ層9および薄膜コイル10を省略している。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、第5の実施の形態における非磁性層15の上に、磁性材料よりなる第3の磁性層16を設けた構成になっている。第3の磁性層16の媒体対向面ABS側の端部は、媒体対向面ABSから離れた位置に配置されている。また、第3の磁性層16の媒体対向面ABS側の一部における非磁性層15とは反対側の面は、媒体対向面ABSに近づくに従って徐々に非磁性層15に近づいている。
次に、図64ないし図66を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、図48に示したように、被エッチング層14Aeの上に非磁性層15eを形成する工程までは、第3の実施の形態と同様である。本実施の形態では、次に、図示しないが、非磁性層15eの上に、スパッタ法により、電気めっき法のための電極層を形成する。この電極層の厚みは0.1μm以下とし、材料は例えば鉄−ニッケル合金とする。
次に、図64に示したように、フォトリソグラフィ技術を用いて、上記電極層の上に、フォトレジストによって、磁極部分層14Aの形状に対応した空隙部を有するレジストフレーム31を形成する。本実施の形態におけるレジストフレーム31の形状については、後で詳しく説明する。
次に、このレジストフレーム31を用いて、電気めっき法(フレームめっき法)によって、上記電極層の上に、磁極部分層14Aの形状に対応したマスク16Mとなるめっき膜を形成する。本実施の形態では、このマスク16Mを、鉄−ニッケル合金等の磁性材料によって形成する。このマスク16Mの形状については後で詳しく説明する。次に、レジストフレーム31を除去する。
次に、図65に示したように、マスク16Mを用いて、イオンミリング等のドライエッチング技術によって、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングして、非磁性層15および磁極部分層14Aを形成する。このとき、マスク16Mの一部もエッチングされる。そして、マスク16Mのうち、エッチング後に残った部分が第3の磁性層16となる。また、このエッチングにより、非磁性層15および磁極部分層14Aが形成されるのと同時に、ヨーク部分層14Bの第1層14B1が露出する。
なお、上記のエッチングによってマスク16Mを完全に除去した場合には、得られる薄膜磁気ヘッドは、第5の実施の形態と同様の構成となる。
次に、図66に示したように、全体を覆うように保護層17を形成する。次に、保護層17の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面ABSの研磨、浮上用レールの作製等を行って、薄膜磁気ヘッドが完成する。
次に、図67を参照して、本実施の形態におけるマスク16Mの形状について説明する。図67において、(a)は媒体対向面ABS側から見たマスク16Mを示し、(b)は媒体対向面ABSおよび基板に垂直な面側から見たマスク16Mを示し、(c)は基板の上面側から見たマスク16Mを示している。図67に示したように、マスク16Mは、媒体対向面ABS側に配置された第1の部分16Maと、この第1の部分16Maの媒体対向面ABSとは反対側に配置された第2の部分16Mbと、この第2の部分16Mbの媒体対向面ABSとは反対側に配置された第3の部分16Mcとを有している。第1の部分16Maの幅は第3の部分16Mcの幅よりも小さく、第1の部分16Maの厚みは第3の部分16Mcの厚みよりも小さくなっている。第2の部分16Mbの幅および厚みは、第1の部分16Maとの境界部分では第1の部分16Maの幅および厚みと等しく、第3の部分16Mcとの境界部分では第3の部分16Mcの幅および厚みと等しく、中間の部分では徐々に幅および厚みが変化している。
図68は、図67に示したマスク16Mを形成するためのレジストフレーム31の平面図である。このレジストフレーム31は、マスク16Mの外形に対応した空隙部を有している。すなわち、この空隙部は、それぞれマスク16Mの第1の部分16Ma、第2の部分16Mb、第3の部分16Mcの外形に対応した第1の部分31A、第2の部分31B、第3の部分31Cを有している。第1の部分31Aの幅は第3の部分31Cの幅よりも小さく、第2の部分31Bの幅は、第1の部分31Aとの境界部分では第1の部分31Aaの幅と等しく、第3の部分31Cとの境界部分では第3の部分31Cの幅と等しく、中間の部分では徐々に変化している。
ところで、レジストフレームを用いて電気めっき法(フレームめっき法)によってめっき膜を形成する場合、めっき膜の厚みはレジストフレームの空隙部の幅に依存する。図69に、レジストフレームの空隙部の幅とめっき膜の厚み(規格化膜厚)との関係の一例を示す。この図は、めっき膜をNiFe(Ni:80重量%,Fe:20重量%)で形成した場合の例を示している。この例では、レジストフレームの空隙部の幅が1μm以上のときにはめっき膜の厚みはほぼ一定であるが、空隙部の幅が1μm未満のときには、空隙部の幅が小さくなるほどめっき膜の厚みも小さくなっている。
従って、例えば、NiFe(Ni:80重量%,Fe:20重量%)によってマスク16Mを形成する場合には、図68に示したレジストフレーム31の空隙部の第1の部分31Aの幅を1μm未満とし、第3の部分31Cの幅を1μm以上とすることにより、このレジストフレーム31を用いて図67に示した形状のマスク16Mを形成することができる。
図67に示した形状のマスク16Mを用いて、イオンミリング等のドライエッチング技術によって、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングすると、マスク16Mの一部もエッチングされる。マスク16Mのうちの媒体対向面ABS側に配置された第1の部分16Maの厚みは他の部分よりも小さいので、エッチングによって、マスク16Mの媒体対向面ABS側の一部を完全に除去し、他の部分を残すことができる。これにより、図62に示した形状の第3の磁性層16を形成することができる。
なお、図62には、第3の磁性層16の媒体対向面ABS側の端部が媒体対向面ABSに露出しない例を示したが、図70または図71に示したように、第3の磁性層16の媒体対向面ABS側の端部が媒体対向面ABSに露出するようにしてもよい。この場合、図70に示したように、第3の磁性層16の媒体対向面ABS側の一部における非磁性層15とは反対側の面は、媒体対向面ABSに近づくに従って徐々に非磁性層15に近づくようにしてもよい。あるいは、図71に示したように、第3の磁性層16の非磁性層15とは反対側の面は、非磁性層15とほぼ一定の距離を保つようにしてもよい。
第3の磁性層16の媒体対向面ABS側の端部が媒体対向面ABSに露出する場合には、一旦記録媒体に書き込まれた情報が第3の磁性層16側より発生される磁界によって消されないように、第3の磁性層16の飽和磁束密度は磁極部分層14Aの飽和磁束密度よりも小さいことが好ましい。なお、第3の磁性層16の媒体対向面ABS側の端部が媒体対向面ABSに露出しないようにした場合には、第3の磁性層16の飽和磁束密度を磁極部分層14Aの飽和磁束密度よりも小さくしなくても、一旦記録媒体に書き込まれた情報が第3の磁性層16側より発生される磁界によって消されることを防止することができる。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、図62に示したように、磁極部分層14Aを経由する磁路として、2つの磁路18A,18Bが形成される。磁路18Aは、磁極部分層14A、記録媒体、第1の磁性層8およびヨーク部分層14Bを通る。磁路18Bは、磁極部分層14A、記録媒体および第3の磁性層16を通る。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、磁極部分層14Aにおけるギャップ層9とは反対側に、非磁性層15を介して第3の磁性層16が設けられているので、磁極部分層14Aから記録媒体へ流れた磁束の一部は、記録媒体を介して、第3の磁性層16に流れる。これにより、媒体対向面ABSにおいて、磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の端部の近傍に磁界が集中しやすくなり、この部分における磁界勾配が急峻になる。従って、本実施の形態によれば、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、磁極部分層14Aの外形を決定するためのエッチングにおいて使用されるマスク16Mを磁性材料によって形成したので、ドライエッチングに対する耐性に優れたマスク16Mを形成することが可能になる。これにより、磁極部分層14Aを構成する材料がドライエッチングに対する耐性に優れている場合でも、マスク16Mを用いたドライエッチングによって磁極部分層14Aの外形を決定することが可能になる。また、本実施の形態によれば、マスク16Mのうちのエッチング後に残った部分を第3の磁性層16とすることができる。このようにして第3の磁性層16を設けることにより、上述のように、記録媒体におけるビットパターン形状の歪みを抑えて、線記録密度を向上させることが可能になる。
ところで、図67に示したように磁極部分層14Aをドライエッチングによって形成する際のマスク16Mの厚みが一様ではなく、マスク16Mの一部の領域ではマスク16Mの厚み方向の全体がエッチングによって除去されるような場合には、マスク16Mの下の層がダメージを受け、その層に凹凸が生じる。本実施の形態では、磁極部分層14Aの上に非磁性層15を設け、この非磁性層15の上にマスク16Mを形成するので、エッチングによって磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面がダメージを受けることを防止でき、その面を平坦にすることができる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、図67に示したように媒体対向面ABS側の一部の厚みが他の部分の厚みよりも小さいマスク16Mを用いて、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングするようにしたので、容易に、マスク16Mの媒体対向面ABS側の一部が完全に除去され、他の部分が残るように、エッチングを行うことが可能になる。また、このようにエッチングを行うことにより、媒体対向面ABSに露出しない第3の磁性層16を形成することができ、これにより、第3の磁性層16によって記録媒体に対する情報の記録が行われることを防止することができる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、図68に示したように、媒体対向面ABS側の一部の幅が他の部分の幅よりも小さい空隙部を有するレジストフレーム31を用いて、電気めっき法により、マスク16Mを形成するようにしたので、図67に示した形状のマスク16Mを容易に形成することができる。
なお、本実施の形態において、第3の磁性層16は、上述のようにマスク16Mのうちのエッチング後に残った部分によって構成せずに、エッチング用のマスクとは別に設けてもよい。
また、本実施の形態において、第3の磁性層16の非磁性層15とは反対側の面の全体が、媒体対向面ABSに近づくに従って徐々に非磁性層15に近づくようにしてもよい。
また、本実施の形態においても、図6に示した薄膜磁気ヘッドと同様に、上部シールド層6および非磁性層7を省き、第1の磁性層8が上部シールド層6を兼ねるようにしてもよい。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第5の実施の形態と同様である。
[第7の実施の形態]
次に、図72および図73を参照して、本発明の第7の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドについて説明する。図72は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図72は媒体対向面および基板の面に垂直な断面を示している。また、図72において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。図73は図72に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。なお、図73では、ギャップ層9および薄膜コイル10を省略している。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、第3の実施の形態における非磁性層15とヨーク部分層14Bの第2層14B2との間に、磁性材料よりなり、ヨーク部分層14Bの第3層14B3を設けた構成になっている。第3層14B3の媒体対向面ABS側の端部は、媒体対向面ABSから離れた位置に配置されている。また、第3層14B3の媒体対向面ABS側の一部における非磁性層15とは反対側の面は、媒体対向面ABSに近づくに従って徐々に非磁性層15に近づいている。第3層14B3は、非磁性層15に接し、第2層14B2は、第3層14B3の非磁性層15とは反対側の面の少なくとも一部に接する。
次に、図74ないし図76を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、図48に示したように、被エッチング層14Aeの上に非磁性層15eを形成する工程までは、第3の実施の形態と同様である。本実施の形態では、次に、図示しないが、非磁性層15eの上に、スパッタ法により、電気めっき法のための電極層を形成する。この電極層の厚みは0.1μm以下とし、材料は例えば鉄−ニッケル合金とする。
次に、図74に示したように、フォトリソグラフィ技術を用いて、上記電極層の上に、フォトレジストによって、磁極部分層14Aの形状に対応した空隙部を有するレジストフレーム31を形成する。本実施の形態におけるレジストフレーム31は、第6の実施の形態と同様に図68に示したような形状を有している。
次に、このレジストフレーム31を用いて、電気めっき法(フレームめっき法)によって、上記電極層の上に、磁極部分層14Aの形状に対応したマスク14Mとなるめっき膜を形成する。本実施の形態では、このマスク14Mを、鉄−ニッケル合金等の磁性材料によって形成する。このマスク14Mは、図67に示した第6の実施の形態におけるマスク16Mと同様の形状を有している。次に、レジストフレーム31を除去する。
次に、図75に示したように、マスク14Mを用いて、イオンミリング等のドライエッチング技術によって、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングして、非磁性層15および磁極部分層14Aを形成する。このとき、マスク14Mの一部もエッチングされる。そして、マスク14Mのうちのエッチング後に残った部分がヨーク部分層14Bの第3層14B3となる。また、このエッチングにより、非磁性層15および磁極部分層14Aが形成されるのと同時に、ヨーク部分層14Bの第1層14B1が露出する。
なお、上記のエッチングによってマスク14Mを完全に除去した場合には、得られる薄膜磁気ヘッドは、第3の実施の形態と同様の構成となる。
次に、第3の実施の形態における図51ないし図56に示した工程と同様の工程によって、図76に示したようにヨーク部分層14Bの第2層14B2と保護層17とを形成する。次に、保護層17の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面ABSの研磨、浮上用レールの作製等を行って、薄膜磁気ヘッドが完成する。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、ヨーク部分層14Bの第3層14B3の媒体対向面ABS側の一部における非磁性層15とは反対側の面は、媒体対向面ABSに近づくに従って徐々に非磁性層15に近づいている。従って、本実施の形態によれば、ヨーク部分層14Bから非磁性層15を介して磁極部分層14Aへ流れる磁束を、第3層14B3の媒体対向面ABS側の端部近傍で飽和させることなく、効率よく磁極部分層14Aへ導くことが可能になる。
また、本実施の形態では、非磁性層15とヨーク部分層14Bの第2層14B2との間に第3層14B3を設けたので、ヨーク部分層14Bのうち、非磁性層15を介して磁極部分層14Aと磁気的に接続される部分の面積を増加させることができ、これにより、磁束をより効率よく磁極部分層14Aへ導くことが可能になる。
また、本実施の形態では、非磁性層15の上に、ヨーク部分層14Bの第3層14B3を介して第2層14B2を配置した構造とし、且つ第3層14B3の媒体対向面ABS側の一部における非磁性層15とは反対側の面が、媒体対向面ABSに近づくに従って徐々に非磁性層15に近づくようにしている。従って、本実施の形態によれば、ヨーク部分層14Bのうち、非磁性層15を介して磁極部分層14Aと磁気的に接続される部分において、ヨーク部分層14Bから非磁性層15を介して磁極部分層14Aへ流れる磁束を効率よく磁極部分層14Aへ導くためのヨーク部分層14Bの形状を、容易に形成することが可能になる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、磁極部分層14Aの外形を決定するためのエッチングにおいて使用されるマスク14Mを磁性材料によって形成したので、ドライエッチングに対する耐性に優れたマスク14Mを形成することが可能になる。これにより、磁極部分層14Aを構成する材料がドライエッチングに対する耐性に優れている場合でも、マスク14Mを用いたドライエッチングによって磁極部分層14Aの外形を決定することが可能になる。また、本実施の形態によれば、マスク14Mのうちのエッチング後に残った部分をヨーク部分層14Bの第3層14B3とすることができる。
また、第6の実施の形態と同様に、磁極部分層14Aをドライエッチングによって形成する際のマスク14Mの厚みが一様ではなく、マスク14Mの一部の領域では厚み方向の全体がエッチングによって除去されるような場合には、マスク14Mの下の層がダメージを受け、その層に凹凸が生じる。本実施の形態では、磁極部分層14Aの上に非磁性層15を設け、この非磁性層15の上にマスク14Mを形成するので、エッチングによって磁極部分層14Aのギャップ層9とは反対側の面がダメージを受けることを防止でき、その面を平坦にすることができる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、媒体対向面ABS側の一部の厚みが他の部分の厚みよりも小さいマスク14Mを用いて、非磁性層15eおよび被エッチング層14Aeをエッチングするようにしたので、容易に、マスク14Mの媒体対向面ABS側の一部が完全に除去され、他の部分が残るように、エッチングを行うことが可能になる。また、このようにエッチングを行うことにより、媒体対向面ABSに露出しない第3層14B3を形成することができ、これにより、第3層14B3によって記録媒体に対する情報の記録が行われることを防止することができる。
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、図68に示したように、媒体対向面ABS側の一部の幅が他の部分の幅よりも小さい空隙部を有するレジストフレーム31を用いて、電気めっき法により、マスク14Mを形成するようにしたので、上述のような形状のマスク14Mを容易に形成することができる。
なお、本実施の形態において、ヨーク部分層14Bの第3層14B3は、マスク14Mのうちのエッチング後に残った部分によって構成せずに、エッチング用のマスクとは別に設けてもよい。また、本実施の形態において、ヨーク部分層14Bの形状は、第3の実施の形態と同様の形状に限らず、第2、第4または第5の実施の形態と同様の形状としてもよい。
また、本実施の形態において、ヨーク部分層14Bの第3層14B3の非磁性層15とは反対側の面の全体が、媒体対向面ABSに近づくに従って徐々に非磁性層15に近づくようにしてもよい。
また、本実施の形態において、第1の実施の形態のように、連結部12およびヨーク部分層14Bによって、第1の磁性層8と磁極部分層14Aとを磁気的に連結する構成としてもよい。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第3の実施の形態と同様である。
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第1の実施の形態では、媒体対向面における磁極部分層14Aと第1の磁性層8との間の距離を連結部12の厚み以上としたが、連結部12の厚みを、媒体対向面における磁極部分層14Aと第1の磁性層8との間の距離よりも大きくしてもよい。
また、図26等では、ヨーク部分層14Bの第2層14B2の媒体対向面ABS側の端部が、第1層14B1の媒体対向面ABS側の端部よりも媒体対向面ABSの近くに配置されているが、両端部の位置関係はこれとは逆でもよいし、両端部が媒体対向面ABSから等しい距離の位置に配置されていてもよい。
また、本発明における磁極部分層14Aは、2つ以上の材料を順に成膜して2つ以上の層で構成してもよい。この場合、例えば、磁極部分層14Aを構成する2つ以上の層のうち、非磁性層15に近い層を、ギャップ層9に近い層よりも飽和磁束密度の大きな材料で構成してもよい。
また、本発明は、垂直磁気記録方式に用いられる薄膜磁気ヘッドに限らず、長手記録方式に用いられる薄膜磁気ヘッドにも適用することができる。
また、被エッチング層を形成する工程の後で、被エッチング層の上に非磁性層を形成し、この非磁性層の上に、磁極部分層の形状に対応したマスクを形成し、このマスクを用いて、非磁性層および被エッチング層をエッチングして磁極部分層の外形を決定する方法は、本発明の薄膜磁気ヘッドに限らず、磁極部分層のギャップ層とは反対側の端部の平坦性を維持することが好ましい薄膜磁気ヘッドであれば、他の形状の薄膜磁気ヘッドにも有効である。
本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 図1に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。 図2における磁極部分の近傍を拡大して示す斜視図である。 図1に示した薄膜磁気ヘッドの媒体対向面の一部を示す正面図である。 図4における磁極部分層および非磁性層を拡大して示す正面図である。 本発明の第1の実施の形態における第1の変形例の薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 図6に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。 図7における磁極部分の近傍を拡大して示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態における第2の変形例の薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を示す断面図である。 図10に続く工程を示す断面図である。 図11に続く工程を示す断面図である。 図12に続く工程を示す断面図である。 図13に続く工程を示す断面図である。 図14に続く工程を示す断面図である。 図15に続く工程を示す断面図である。 図16に続く工程を示す断面図である。 図17に続く工程を示す断面図である。 図18に続く工程を示す断面図である。 図19に続く工程を示す断面図である。 図20に続く工程を示す断面図である。 図21に続く工程を示す断面図である。 図22に続く工程を示す断面図である。 図23に続く工程を示す断面図である。 図24に続く工程を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 図26に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。 図27における磁極部分の近傍を拡大して示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態における変形例の薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を示す断面図である。 図30に続く工程を示す断面図である。 図31に続く工程を示す断面図である。 図32に続く工程を示す断面図である。 図33に続く工程を示す断面図である。 図34に続く工程を示す断面図である。 図35に続く工程を示す断面図である。 図36に続く工程を示す断面図である。 図37に続く工程を示す断面図である。 図38に続く工程を示す断面図である。 図39に続く工程を示す断面図である。 図40に続く工程を示す断面図である。 図41に続く工程を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 図43に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。 本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を示す断面図である。 図45に続く工程を示す断面図である。 図46に続く工程を示す断面図である。 図47に続く工程を示す断面図である。 図48に続く工程を示す断面図である。 図49に続く工程を示す断面図である。 図50に続く工程を示す断面図である。 図51に続く工程を示す断面図である。 図52に続く工程を示す断面図である。 図53に続く工程を示す断面図である。 図54に続く工程を示す断面図である。 図55に続く工程を示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 図57に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。 本発明の第5の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 図59に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。 図59に示した薄膜磁気ヘッドの変形例の要部を示す斜視図である。 本発明の第6の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 図62に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。 本発明の第6の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を示す断面図である。 図64に続く工程を示す断面図である。 図65に続く工程を示す断面図である。 本発明の第6の実施の形態におけるマスクの形状について説明する。 図67に示したマスクを形成するためのレジストフレームの平面図である。 レジストフレームの空隙部の幅とめっき膜の厚みとの関係の一例を示す特性図である。 本発明の第6の実施の形態における第1の変形例の薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 本発明の第6の実施の形態における第1の変形例の薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 本発明の第7の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示す断面図である。 図72に示した薄膜磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。 本発明の第7の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を示す断面図である。 図74に続く工程を示す断面図である。 図75に続く工程を示す断面図である。
符号の説明
3…下部シールド層、4…絶縁層、5…MR素子、6…上部シールド層、7…非磁性層、8…第1の磁性層、9…ギャップ層、9A,9B,9C…絶縁層、10…薄膜コイル、12…連結部、14…第2の磁性層、14A…磁極部分層、14B…ヨーク部分層、15…非磁性層。

Claims (13)

  1. 記録媒体に対向する媒体対向面と、
    前記媒体対向面側において記録媒体の進行方向の前後に所定の間隔を開けて互いに対向するように配置された磁極部分を含むと共に、前記媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、
    非磁性材料よりなり、前記第1の磁性層と第2の磁性層との間に設けられたギャップ層と、
    少なくとも一部が前記第1および第2の磁性層の間に、前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態で設けられた薄膜コイルとを備えた薄膜磁気ヘッドであって、
    前記第2の磁性層は、磁極部分を含み、媒体対向面における幅がトラック幅を規定する磁極部分層と、前記磁極部分と前記第1の磁性層とを磁気的に接続するヨーク部分層とを有し、
    前記ヨーク部分層は、前記磁極部分層の媒体対向面とは反対側の端面、ギャップ層側の面、幅方向の両側面のうちの少なくとも一部において、前記磁極部分層に接して、前記磁極部分層に対して磁気的に接続され、
    更に、前記磁極部分層の前記ギャップ層とは反対側の面の全面に接する非磁性層と、前記非磁性層の磁極部分層とは反対側の面に隣接する第3の磁性層とを備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 前記第3の磁性層の媒体対向面側の端部は媒体対向面から離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 前記第3の磁性層の飽和磁束密度は前記磁極部分層の飽和磁束密度よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 前記磁極部分層の飽和磁束密度は、前記ヨーク部分層の飽和磁束密度以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 更に、再生素子としての磁気抵抗効果素子を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 前記第1の磁性層は記録媒体の進行方向の後側に配置され、前記第2の磁性層は記録媒体の進行方向の前側に配置されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 垂直磁気記録方式に用いられることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 記録媒体に対向する媒体対向面と、
    前記媒体対向面側において記録媒体の進行方向の前後に所定の間隔を開けて互いに対向するように配置された磁極部分を含むと共に、前記媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、
    非磁性材料よりなり、前記第1の磁性層と第2の磁性層との間に設けられたギャップ層と、
    少なくとも一部が前記第1および第2の磁性層の間に、前記第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態で設けられた薄膜コイルとを備え、
    前記第2の磁性層は、磁極部分を含み、媒体対向面における幅がトラック幅を規定する磁極部分層と、前記磁極部分と前記第1の磁性層とを磁気的に接続するヨーク部分層とを有し、
    前記ヨーク部分層は、前記磁極部分層の媒体対向面とは反対側の端面、ギャップ層側の面、幅方向の両側面のうちの少なくとも一部において、前記磁極部分層に接して、前記磁極部分層に対して磁気的に接続され、
    更に、前記磁極部分層の前記ギャップ層とは反対側の面の全面に接する非磁性層と、前記非磁性層の磁極部分層とは反対側の面に隣接する第3の磁性層とを備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、
    前記第1の磁性層を形成する工程と、
    前記ギャップ層を形成する工程と、
    前記薄膜コイルを形成する工程と、
    前記第2の磁性層、非磁性層および第3の磁性層を形成する工程とを備え、
    前記第2の磁性層、非磁性層および第3の磁性層を形成する工程は、
    前記ギャップ層の上に、前記磁極部分層を構成する材料よりなる被エッチング層を形成する工程と、
    前記被エッチング層の上に非磁性層を形成する工程と、
    前記非磁性層の上に、磁極部分層の形状に対応したマスクを形成する工程と、
    前記マスクを用いて、前記非磁性層および被エッチング層をドライエッチングによって選択的にエッチングして、前記磁極部分層の外形を決定する工程とを含み、
    前記マスクは、磁性材料によって形成され、
    前記磁極部分層の外形を決定する工程は、前記マスクの少なくとも一部が残るようにエッチングを行い、前記マスクのうちのエッチング後に残った部分によって、前記第3の磁性層を形成することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  9. 前記第2の磁性層、非磁性層および第3の磁性層を形成する工程は、更に、前記被エッチング層を形成する工程の後で、研磨により、前記被エッチング層の上面を平坦化する工程を含むことを特徴とする請求項8記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  10. 前記第2の磁性層、非磁性層および第3の磁性層を形成する工程は、更に、前記被エッチング層を形成する工程の前に、研磨により、前記被エッチング層の下地を平坦化する工程を含むことを特徴とする請求項8または9記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  11. 前記マスクは、媒体対向面側の一部の幅が他の部分の幅よりも小さい空隙部を有するフレームを用いた電気めっき法によって形成されることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  12. 前記磁極部分層の外形を決定する工程は、前記マスクのうちの媒体対向面側の一部が完全に除去され、他の部分が残るように、エッチングを行うことを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  13. 前記マスクにおける媒体対向面側の一部の厚みは他の部分の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項12記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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