JP2003002967A - ポリアミド樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂の製造方法

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JP2003002967A JP2001189939A JP2001189939A JP2003002967A JP 2003002967 A JP2003002967 A JP 2003002967A JP 2001189939 A JP2001189939 A JP 2001189939A JP 2001189939 A JP2001189939 A JP 2001189939A JP 2003002967 A JP2003002967 A JP 2003002967A
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acid
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秀和 吉田
Takeshi Maruyama
岳 丸山
Kenta Suzuki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ポリアミド樹脂の製造
方法、特にゲル化が抑制されたポリアミド樹脂の製造方
法を提供する。 【解決手段】 ジアミン成分の70モル%以上が
m−キシリレンジアミンであり、かつ、イミノ化合物に
基づく窒素と三級アミドに基づく窒素の合計の二級アミ
ドに基づく窒素に対するモル比(モル%)で表わされる
三級窒素の含有量が0.5モル%以下であるポリアミド
樹脂の製造方法であって、原料調合工程、アミド化工
程、初期重合工程、後期重合工程から主として構成され
る連続工程からなり、原料調合工程からアミド化工程へ
ジカルボン酸及びジアミンを供給する際の供給精度C/
A(モル比:ジカルボン酸/ジアミン酸)が1.025
〜0.975の範囲であり、かつ、アミド化工程におい
てジアミンとジカルボン酸より生成するアミノカルボン
酸塩の水溶液濃度である塩濃度が80wt%以上であ
り、さらに、原料のアミド化工程への供給開始からポリ
アミド樹脂の取り出しまでに要する時間である滞留時間
が210分以下であることを特徴とするポリアミド樹脂
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド樹脂の
製造方法、特にゲル化が抑制されたポリアミド樹脂の製
造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】食品、飲料品、医薬品、化粧品などの酸
素による食味や風味、効能の変化を抑制して長期の保存
安定性を目的として種々の酸素バリヤー性素材が開発さ
れている。このような酸素バリヤー性素材としては、例
えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化
ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられる。 【0003】特に、例えば、m−キシリレンジアミン
(以下、MXDと略することもある)とアジピン酸(以
下、AAと略することもある)を構成成分とするポリ−
m−キシリレンアジパアミド(MXD−6)などの、m
−キシリレンジアミン(MXD)をジアミン成分とする
ポリアミドは優れた酸素バリヤー性を有する素材として
注目されている。 【0004】ところが、MXDをジアミン成分とするポ
リアミドはゲル化し易いという欠点を有する。このゲル
化物はポリアミド樹脂の製造時に重合釜に堆積して釜汚
れの原因となる。重合釜の汚れは釜を開放して清掃する
しか方法が無く、清掃に要する時間と費用はコスト等の
点から無視できない。また、釜の汚れは、不溶・不融性
の異物となり、製品であるポリアミド樹脂に混入して、
このポリアミド樹脂から得られる成形体の品質低下を生
じる。 【0005】上記問題点を解決する目的で、特公昭51
−24297号公報、特公昭51−25065号公報、
特公昭51−25066号公報、特公昭51−4190
6号公報には、ポリアミド製造時に、次亜リン酸ソーダ
などのリン化合物、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金
属化合物を添加する方法が開示されている。ところが、
これらの方法はゲル化抑制にある程度効果を有するが、
ゲル化抑制の程度が低く根本的な解決策とはならない。 【0006】そこで、更なるゲル化抑制を目的として、
特開平2−41318号公報には、ポリアミド中に含ま
れるトリアミンの量を規制する方法が記載されている
が、それのみではポリアミドの種類によってはゲル化抑
制が不十分となる。 【0007】上記のごとく、ポリアミドのゲル化抑制を
目的とした提案は多数あるが、今だ決定的な方法が無い
のが現状である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ゲル
化が抑制され、かつ酸素バリヤー性を有するポリアミド
樹脂の製造方法を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリアミ
ド樹脂の製造を(1)連続工程とする、(2)原料調合
工程からアミド化工程へジカルボン酸及びジアミンを供
給する際の供給精度を特定範囲とする、(3)アミド化
工程において存在する水の量を極力低減する、(4)ポ
リアミド樹脂の滞留時間を短縮することにより、ポリア
ミド樹脂のゲル化が著しく抑制されることを見いだし、
本発明に至った。 【0010】即ち、本発明は、ジアミン成分の70モル
%以上がm−キシリレンジアミンであり、かつ、イミノ
化合物に基づく窒素と三級アミドに基づく窒素の合計の
二級アミドに基づく窒素に対するモル比(モル%)で表
わされる三級窒素の含有量が0.5モル%以下であるポ
リアミド樹脂の製造方法であって、原料調合工程、アミ
ド化工程、初期重合工程、後期重合工程から主として構
成される連続工程からなり、原料調合工程からアミド化
工程へジカルボン酸及びジアミンを供給する際の供給精
度C/A(モル比:ジカルボン酸/ジアミン酸)が1.
025〜0.975の範囲であり、かつ、アミド化工程
においてジアミンとジカルボン酸より生成するアミノカ
ルボン酸塩の水溶液濃度である塩濃度が80wt%以上
であり、さらに、原料のアミド化工程への供給開始から
ポリアミド樹脂の取り出しまでに要する時間である滞留
時間が210分以下であることを特徴とするポリアミド
樹脂の製造方法である。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明におけるポリアミド樹脂
は、ポリアミドを構成するジアミン成分の70モル%以
上がm−キシリレンジアミン(MXD)である。ポリア
ミドを構成するジアミン成分の内、MXDが70モル%
未満であると、酸素バリヤー性が著しく低下する。本発
明におけるポリアミド樹脂は、好ましくは、ポリアミド
を構成するジアミン成分の内、MXDが75モル%以上
であるのがよく、更に好ましくは80モル%以上であ
る。 【0012】本発明におけるポリアミド樹脂を構成する
成分は、ジアミン成分の内、MXDが70モル%以上で
あれば特に限定されないが、上記ポリアミド樹脂の構成
としては、MXDとアジピン酸(AA)から得られるm
−キシリレンアジパアミド(MXD−6)、MXDとセ
バシン酸(以下、SAと略することもある。)から得ら
れるm−キシリレンセバカアミド(MXD−10)、M
XDとイソフタル酸(以下、IPAと略することもあ
る。)から得られるm−キシリレンイソフタルアミド
(MXD−I)、が好ましい。また、MXDと、上記の
AA、SA、IPAの中から選ばれる2種もしくは3種
を任意の割合で組み合わせてなる酸成分とから得られる
共重合ポリアミドも好ましい。 【0013】本発明におけるポリアミド樹脂を構成する
ジアミン成分としては、MXD以外のジアミンも、ジア
ミン成分の内、30モル%未満の範囲で使用できる。こ
のようなジアミンとしては、例えば、エチレンジアミ
ン、1−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレン
ジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジア
ミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミ
ン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミ
ン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、シ
クロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノヘキ
シル)メタン等の脂環式ジアミン類、パラキシリレンジ
アミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。これらは、2
種以上を任意の割合で組み合わせても使用できる。上記
のジアミン成分の中でもヘキサメチレンジアミン、パラ
キシリレンジアミンが好ましい。 【0014】本発明におけるポリアミド樹脂を構成する
酸成分としては上記AA、SA、IPA以外に、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スぺリン酸、
アゼライン酸、ウンデカン酸、ウンデカジオン酸、ドデ
カンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカル
ボン酸、テレフタル酸、フタル酸、キシリレンジカルボ
ン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸
類が使用できる。これらは、2種以上を任意の割合で組
み合わせても使用できる。 【0015】さらに、上記、ジアミン成分、酸成分以外
にも、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタ
ム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミ
ノカルボン酸類も共重合成分として使用できる。共重合
成分として使用する場合は、ε−カプロラクタムが好ま
しい。 【0016】本発明におけるポリアミド樹脂は、三級窒
素の含有量が0.5モル%以下である必要がある。本発
明において、「三級窒素の含有量」とは、イミノ化合物
に基づく窒素と三級アミドに基づく窒素の含有量の合計
を示す。本発明において、「三級窒素の含有量」は、二
級アミドに基づく窒素に対するモル比(モル%)で表わ
す。三級窒素の含有量を0%とすることは困難である
が、三級窒素含有量が少ないほどゲル化に対する分子量
依存性が小さくなり、品質の安定したポリアミド樹脂が
得られ、該ポリアミド樹脂から形成される成形体の品質
も向上する。三級窒素の含有量が0.5モル%を超える
と、低分子量域でもゲル化が生じ、ポリアミド樹脂、該
ポリアミド樹脂から形成される成形体の品位低下をきた
すだけでなく、反応釜の汚れを促進する。三級窒素の含
有量は、好ましくは0.48モル%以下であるのがよ
く、さらに好ましくは0.45モル%以下である。 【0017】本発明のポリアミド樹脂の製造方法は、
(1)原料調合工程、アミド化工程、初期重合工程、後
期重合工程から主として構成される連続工程からなり、
(2)原料調合工程からアミド化工程へジカルボン酸及
びジアミンを供給する際の供給精度C/A(モル比:ジ
カルボン酸/ジアミン酸)が1.025〜0.975の
範囲であり、(3)アミド化工程においてジアミンとジ
カルボン酸より生成するアミノカルボン酸塩の水溶液濃
度である塩濃度が80wt%以上であり、(4)原料の
アミド化工程への供給開始からポリアミド樹脂の取り出
しまでに要する時間である滞留時間が210分以下であ
れば、他は特に限定されず、一般的なジアミンと、ジカ
ルボン酸塩の水溶液からの製造方法や、生産性やコスト
ダウンの点から水溶媒を使用せずにジアミンとジカルボ
ン酸を直接製造する方法を用いることができる。 【0018】本発明の製造方法は、原料調合工程、アミ
ド化工程、初期重合工程、後期重合工程から主として構
成される連続工程からなる。即ち、原料の投入開始から
ポリマーの取り出しまでを連続工程とする。連続工程と
することにより、連続バッチ生産の場合の、釜残として
残留した前バッチの一部や、釜の壁面や攪拌翼などに付
着したポリマーが熱履歴を受けて三級窒素量の増加原因
となることが防止され、後述のような滞留時間の大幅な
短縮及び製造工程の清浄化が可能となり、三級窒素の含
有量を低減させて、三級窒素の含有量を0.5モル%以
下とでき、ゲル化を防止できる。 【0019】また、本発明の製造方法は、原料調合工程
からアミド化工程へジカルボン酸及びジアミンを供給す
る際の供給精度C/A(モル比:ジカルボン酸/ジアミ
ン酸)を1.025〜0.975の範囲とする。C/A
が上記範囲外となると、ポリアミドの重縮合反応が大き
く影響され、原料調合工程以降の工程における、反応制
御が非常に困難となるだけでなく、場合によっては、目
標とする重合度まで到達しないことがある。C/Aは好
ましくは、1.020〜0.980であるのがよく、さ
らに好ましくは1.015〜0.985であるのがよ
い。 【0020】さらに本発明の製造方法は、ポリアミド樹
脂製造時のアミド化工程におけるアミノカルボン酸塩の
水溶液濃度(以下、塩濃度と略することもある。)を高
くし、80wt%以上とする。塩濃度が80wt%未満
であると、イミンの生成量が増加して、三級窒素の含有
量を0.5モル%以下とできず、ゲル化し易くなる。塩
濃度を高くすること(水溶媒の量は減少する)により、
ポリアミド樹脂のゲル化が抑制される。その理由として
は、例えば、高分子化学25 318(1968)に
よると、2分子の末端アミノ基からの脱アンモニア反応
による三級窒素化合物であるイミン生成に対して、水素
カチオンが触媒として働き反応を促進することが示され
ている。このことから考えて、塩濃度を高くする(逆に
水溶媒の量は減少する。)ということは、アミノカルボ
ン酸塩のイオン解離が起こり難くなることとなり、結果
として触媒作用を持つ水素カチオン濃度が減少してイミ
ンの生成が抑制されることになる。ここで、生成したイ
ミンは三官能性化合物であることから、末端カルボキシ
ル基が反応すると三級アミドとなり三次元化してゲル化
の原因となる。本発明において、塩濃度は好ましくは8
5wt%以上であるのがよい。 【0021】さらに本発明の製造方法は、原料のアミド
化工程への供給開始からポリアミド樹脂の取り出しまで
に要する時間である滞留時間を調整し、210分以下と
する。滞留時間が210分を超えると、三級窒素の含有
量が増加して0.5モル%以下とできなくなり、ゲル化
が防止できなくなるだけでなく、ポリアミド樹脂の劣化
による着色や分子量低下を誘発する。本発明において、
滞留時間とは、ポリアミド製造に要する時間、即ち、原
料(ジアミンとジカルボン酸)のアミド化工程への供給
開始から、ポリマーの取り出しまでに要する時間を示
す。本発明において、滞留時間は好ましくは190分以
下、さらに好ましくは180分以下であるのがよい。 【0022】ポリアミド樹脂の製造において、重合温度
もイミン生成に関与するが、イミン生成反応は、ジアミ
ンとジカルボン酸の反応初期にも生じ、また、ポリアミ
ドの構造、組成による融点や溶融粘度によっても、イミ
ン生成に関与する温度が変化することから、本発明のポ
リアミド樹脂の製造方法において、重合温度はこれらの
諸条件に応じて適宜設定され、特に限定されない。 【0023】なお、本発明のポリアミド樹脂の製造方法
においては、本発明の作用を阻害しない範囲で必要に応
じて、水酸化ナトリウムや酢酸ナトリウムなどのアルカ
リ金属化合物、次亜リン酸ソーダなどのリン化合物を、
熱分解抑制を目的として、あるいは重縮合触媒として加
えてもよい。 【0024】本発明のポリアミド樹脂の製造方法におい
て、上記連続工程を主として構成する原料調合工程、ア
ミド化工程、初期重合工程、後期重合工程の各工程を実
施するための装置の構成や、実施条件は、上記(1)〜
(4)の各条件の範囲内であれば特に限定されない。以
下に、各工程について具体的に詳細を示す。 【0025】上記原料調合工程は、例えば、それぞれ原
料であるジカルボン酸およびジアミンの溶融・貯蔵槽
と、アミド化工程へジカルボン酸及びジアミンを供給す
る原料供給ポンプから構成される装置により実施され
る。ジカルボン酸は固体であることから、溶融・貯蔵槽
において溶融・貯蔵される。ジカルボン酸の溶融・貯蔵
温度は、ジカルボン酸の融点以上融点+20℃以下が好
ましい。溶融・貯蔵温度を、必要以上に高温とすると、
ジカルボン酸の熱劣化や熱分解が生じ、必要以上に低温
とすると、不均一溶融となり、アミド化工程への原料供
給精度が低下する。また、ジアミンの溶融・貯蔵温度
は、ジアミンの融点以上融点+40℃以下が好ましい。
ジカルボン酸と同様に、必要以上に高温とすると熱劣化
や熱分解が生じ、必要以上に低温とすると、不均一溶融
となり、アミド化工程への原料供給精度が低下する。ジ
カルボン酸およびジアミンは、熱酸化分解を抑制する目
的で不活性ガス雰囲気下、例えば、窒素雰囲気下におく
ことが好ましい。原料調合工程においては、ポリアミド
樹脂の熱酸化分解の抑制あるいは重縮合触媒として、ア
ルカリ金属化合物やリン化合物の添加、及び塩濃度の調
整を目的とした水溶媒の添加も可能である。 【0026】溶融・貯蔵槽においてそれぞれ溶融・貯蔵
されたジカルボン酸とジアミンは、溶融・貯蔵槽から、
各原料供給ポンプによって次工程のアミド化工程へ定量
供給される。前述の原料調合工程からアミド化工程へジ
カルボン酸及びジアミンを供給する際の供給精度C/A
とは、この際のものである。原料供給ポンプは、特に限
定されないが、ブランジャーポンプを使用するのが好ま
しい。 【0027】上記アミド化工程は、原料調合工程から連
続的に供給されてくるジアミンとジカルボン酸を重縮合
反応によって低重合体とする工程である。アミド化工程
を実施するための装置としては、パイプリアクター方
式、スタティックミキサー方式、連続縦型攪拌槽方式な
どの反応装置を使用できるが、本発明においては、構造
上液面制御が不要であり、耐圧性が優れ、設備費が安価
であるパイプリアクター方式の反応装置を使用するのが
好ましい。 【0028】パイプリアクター方式の反応装置を使用す
る場合、原料調合工程から供給されたジカルボン酸とジ
アミンは、パイプリアクター内で重縮合反応して、低重
合体を形成する。低重合体の重合度の制御は、装置内温
度、装置内圧及びパイプ内滞留時間によって調整でき
る。パイプ内滞留時間は、パイプリアクターのパイプ
径、パイプ長、あるいは原料供給量を変化させることで
調節できる。パイプリアクター方式の反応装置における
反応条件は、所望のポリアミド樹脂の構造や重合度など
によって異なるが、装置内温度は好ましくは110〜3
00℃、さらに好ましくは120〜290℃、特に好ま
しくは130〜280℃であり、装置内圧は好ましくは
1.2MPa以下、さらに好ましくは1.0MPa以
下、特に好ましくは0.9MPa以下であり、パイプ内
滞留時間は好ましくは5〜120分、さらに好ましくは
10〜110分、特に好ましくは15〜100分であ
る。上記各反応条件が、上記範囲からはずれると、低重
合体の重合度が低下したり、熱劣化や設備費の増大が生
じやすくなる。 【0029】上記初期重合工程は、アミド化工程から連
続的に供給される低重合体中の縮合水や、塩濃度の調整
に使用した水を留出することによって、低重合体を高重
合度化する工程である。初期重合工程を実施する装置と
しては、縦型攪拌槽や遠心薄膜式蒸発機などが使用でき
るが、本発明においては、反応条件の制御が簡便な縦型
攪拌槽が好ましい。 【0030】縦型攪拌槽を使用する場合、生成する重合
体の重合度は、装置内温度、装置内圧、及び装置内での
滞留時間を変えることによって制御できる。縦型攪拌槽
における好ましい反応条件は、以下の通りである。装置
内温度は、好ましくは生成する重合体の融点以上融点+
40℃以下、さらに好ましくは融点以上融点+35℃以
下、特に好ましくは融点以上融点+30℃以下である。
装置内圧は、好ましくは1.2MPa以下、さらに好ま
しくは1.0MPa以下、特に好ましくは0.9MPa
以下である。装置内での滞留時間は、好ましくは10〜
150分、さらに好ましくは15〜140分、特に好ま
しくは20〜130分である。上記各反応条件が、上記
範囲からはずれると、生成する重合体の重合度が低下し
たり、熱劣化や生産性の低下が生じやすくなる。 【0031】上記後期重合工程において、アミド化工
程、初期重合工程を経過してきた重合体は所望する重合
度に調整される。後期重合工程を実施する装置として
は、二軸ルーダー、一軸ルーダー、セルフクリーニング
リアクターなどが使用できるが、本発明においては、混
練効果に優れ、しかも反応の制御が容易な二軸ルーダー
の使用が好ましい。 【0032】二軸ルーダーを使用する場合、生成するポ
リアミド樹脂の重合度は、樹脂温度、ベント真空度、ス
クリュー回転数、滞留時間を変えることによって制御で
きる。後期重合工程における反応条件は、所望のポリア
ミド樹脂の構造や重合度、カルボキシル末端基濃度とア
ミノ末端基濃度との比(CEG/AEG)などによって
適宜設定できるが、二軸ルーダーにおける好ましい反応
条件は、以下の通りである。樹脂温度は、好ましくはポ
リアミド樹脂の融点以上融点+50℃以下、さらに好ま
しくは融点以上融点+45℃以下である。ベント真空度
は、好ましくは1〜750hPa、さらに好ましくは1
〜700hPa、である。滞留時間は、好ましくは1〜
30分、さらに好ましくは1.5〜25分、特に好まし
くは2〜20分である。上記各反応条件が、上記範囲か
らはずれると、ポリアミド樹脂の重合度が低下したり、
熱劣化や生産性低下、三級窒素の増加が生じやすい。 【0033】本発明におけるポリアミド樹脂の相対粘度
(Rv)は、ポリアミド樹脂から得られる成形体の機械
的特性の点から、1.85〜3.5であるのが好まし
い。Rvが1.85未満では分子量が小さすぎて機械的
特性が低下しやすい。Rvが3.5を超えると重合に長
時間を要しポリマーの劣化や好ましくない着色の原因と
なりやすく、生産性が低下しコストアップ要因となる。
また、三級窒素の含有量を低減させてもゲル化が生じや
すくなる。 【0034】本発明におけるポリアミド樹脂は、ゲル化
時間は長いほど好ましいが、少なくとも7時間以上であ
ることが好ましく、さらには8時間以上であるのが好ま
しい。 【0035】本発明におけるポリアミド樹脂の酸素透過
係数は、その用途の点から、5以下であるのが好まし
く、更に好ましくは4以下であるのがよい。酸素透過係
数は、その値が小さいほど酸素を透過し難くなることを
意味し、酸素透過係数の低い材料を用いた容器や包装材
は、食品、飲料品、医薬品、化粧品等の長期保存安定性
に優れることになる。 【0036】本発明の製造法によって得られるポリアミ
ド樹脂は酸素バリヤー性を有するフイルム、シート、容
器、包装袋などに好適に使用できる。また、本発明によ
って得られるポリアミド樹脂を、例えばポリエチレンテ
レフタレートなどの酸素バリヤー性の小さい他のポリマ
ーにブレンドすることにより、他のポリマーの酸素バリ
ヤー性の改良も可能となる。 【0037】試験例 試験方法 (1)ゲル化時間 内容量約20mlの枝付き試験管に、100℃で24時
間減圧乾燥した実施例及び比較例によって得られたポリ
アミド樹脂3gを入れ、減圧窒素置換を3回行なった
後、30ml/分の窒素ガスを流しながら、260℃恒
温のオイルバス中に浸漬し、所定時間加熱を行なった。
加熱処理したポリアミド樹脂0.25gを、96%の硫
酸25mlに室温下で16時間溶解した際の、不溶分を
視認するまでに要した時間をゲル化時間とした。 【0038】(2)相対粘度(Rv) 実施例及び比較例によって得られたポリアミド樹脂、あ
るいは製造工程中で得られる低重合体、重合体それぞれ
0.25gを、溶媒として96%の硫酸25mlに溶解
して試料溶液とし、該試料溶液10mlをオストワルド
粘度管にて20℃で溶媒及び試料溶液の測定した落下秒
数より、下記の式1を用いて相対粘度(Rv)を求め
た。:溶媒の落下秒数 t:試料溶液の落下秒数 【0039】(3)三級窒素の含有量 実施例及び比較例によって得られたポリアミド樹脂を、
ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解
し、NMR分光器(Unity−500、バリアン社
製)を用いて、炭素13(C13)のスペクトルを解析
して、三級窒素の含有量を求めた。 【0040】(4)酸素透過係数 実施例及び比較例によって得られたポリアミド樹脂の酸
素透過係数を、JISK7126に準拠して、24℃、
100%RHの条件で測定した。 【0041】(5)カルボキシル末端基濃度(CEG) 実施例及び比較例によって得られたポリアミド樹脂0.
2gに、ベンジルアルコール10mlを加え、180±
5℃にて5分間で溶解させて溶解液とした。該溶解液を
水中にて15秒間冷却し、フェノールフタレンを指示薬
として、1/2規定エタノール性水酸化カリウムで滴定
し、下記式2を用いてカルボキシル末端基濃度(CE
G)を求めた。 A:滴定量(ml) B:溶液のブランク滴定量(ml) N:エタノール性水酸化カリウムの濃度(mol/L) f:エタノール性水酸化カリウムのファクター W:ポリアミド樹脂重量 【0042】(6)アミノ末端基濃度(AEG) 実施例及び比較例によって得られたポリアミド樹脂0.
6gを、フェノール/エタノール(vol比4/1)5
0mlに溶解し、水/エタノール(vol比3/2)2
0mlを加え、指示薬メチルオレンジを加え、1/10
規定エタノール性塩酸水溶液で滴定し、下記式3を用い
てアミノ末端基濃度(AEG)を求めた。 A:滴定量(ml) B:溶媒のブランク滴定量(ml) N:エタノール性塩酸の濃度(mol/L) f:エタノール性塩酸のファクター W:ポリアミド樹脂重量 【0043】2.試験結果 上記試験結果を表1に示す。なお、製造工程中で得られ
る低重合体、重合体の相対粘度については、下記の実施
例、比較例中に記載した。 【0044】 【実施例】実施例1 原料調合工程、アミド化工程、初期重合工程、後期重合
工程より構成されるポリアミドの連続製造工程におい
て、原料調合工程で溶融・貯蔵槽において170℃で溶
融したアジピン酸(AA)に、それぞれ酢酸ナトリウム
を0.102重量%、次亜リン酸ソーダを0.212重
量%となるよう溶解し、これを3.048kg/hrの
供給量で、また同じく原料調合工程で溶融・貯蔵槽にお
いて60℃に加熱したm−キシリレンジアミン(MX
D)を2.828kg/hrの供給量で、それぞれプラ
ンジャーポンプを用いて連続的にアミド化工程における
パイプリアクター(内径20A、長さ13.5m)へ供
給した。アミド化工程においてパイプリアクターに供給
された原料を、装置内圧が0.15MPa、装置内温度
が170℃から245℃へ昇温する条件下で、約35分
間滞留させてアミド化反応を行ない、重合度がRvで
1.45の低重合体を得た。該低重合体を、初期重合工
程における、攪拌翼と反応によって生成する縮合水を留
出するための留出管を備えた縦型攪拌槽へ連続的に供給
した。初期重合工程では、装置内温度265℃、大気圧
の条件下で約50分間滞留させてさらに高重合度化を行
った。高重合度化によって得られた重合体の重合度はR
vで1.85であった。該重合体を、ギヤーポンプを用
い、8kg/hrの供給量で、後期重合工程における二
軸ルーダー(東芝機械(株)製、TEM−37BS)へ
供給した。後期重合工程においては、樹脂温度265
℃、ベント真空度500hPa、スクリュー回転数15
0rpmの条件下で約5分間滞留させた後、水中へ吐出
し、カッターでカッティングしてポリアミド樹脂を得
た。滞留時間(原料のアミド化工程への供給開始から、
ポリマーを吐出するまでに要した時間)は90分であっ
た。 【0045】実施例2〜4、6 ポリアミド樹脂の組成、塩濃度、滞留時間を表1に示す
構成とした以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド
樹脂を得た。 【0046】実施例5 原料調合工程で、溶融・貯蔵槽において170℃で溶融
したアジピン酸(AA)に、それぞれ酢酸ナトリウムを
0.102重量%、次亜リン酸ソーダを0.212重量
%となるよう溶解し、これを3.048kg/hrの供
給量で、また同じく原料調合工程で、溶融・貯蔵槽にお
いて60℃に加熱したm−キシリレンジアミン(MX
D)の90重量%水溶液を3.142kg/hrの供給
量で、プランジャーポンプを用いて連続的にアミド化工
程におけるパイプリアクター(内径20A、長さ13.
5m)へ供給した。アミド化工程以降は、アミド化工程
における滞留時間を50分、初期重合工程における滞留
時間を50分、後期重合工程における滞留時間を8分と
した以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂を
得た。なお、アミド化工程によって得られた低重合体の
重合度はRvで1.55、初期重合工程によって得られ
た重合体の重合度はRvで1.90、滞留時間(原料の
アミド化工程への供給開始から、ポリマーを吐出するま
でに要した時間)は108分であった。 【0047】実施例7 原料調合工程で、溶融・貯蔵槽において170℃で溶融
した表1に示す割合のアジピン酸(AA)とセバシン酸
(SA)に、それぞれ酢酸ナトリウムを0.102重量
%、次亜リン酸ソーダを0.212重量%となるよう溶
解し、これを3.516kg/hrの供給量で、また同
じく原料調合工程で、溶融・貯蔵槽において60℃に加
熱したm−キシリレンジアミン(MXD)を2.828
kg/hrの供給量で、プランジャーポンプを用いて連
続的にアミド化工程におけるパイプリアクター(内径2
0A、長さ13.5m)へ供給した。アミド化工程以降
は、アミド化工程における滞留時間を40分、初期重合
工程における滞留時間を51分、後期重合工程における
滞留時間を5分とした以外は、実施例1と同様にして、
ポリアミド樹脂を得た。なお、アミド化工程によって得
られた低重合体の重合度はRvで1.60、初期重合工
程によって得られた重合体の重合度はRvで1.90、
滞留時間(原料のアミド化工程への供給開始から、ポリ
マーを吐出するまでに要した時間)は96分であった。 【0048】実施例8 原料調合工程で、溶融・貯蔵槽において170℃で溶融
した表1に示す割合のアジピン酸(AA)とイソフタル
酸(IPA)に、それぞれ酢酸ナトリウムを0.102
重量%、次亜リン酸ソーダを0.212重量%となるよ
う溶解し、これを3.133kg/hrの供給量で、ま
た同じく原料調合工程で、溶融・貯蔵槽において60℃
に加熱したm−キシリレンジアミン(MXD)の85重
量%水溶液を3.327kg/hrの供給量で、プラン
ジャーポンプを用いて連続的にアミド化工程におけるパ
イプリアクター(内径20A、長さ13.5m)へ供給
した。アミド化工程以降は、アミド化工程における滞留
時間を50分、初期重合工程における滞留時間を54
分、後期重合工程における滞留時間を6分とした以外
は、実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂を得た。な
お、アミド化工程によって得られた低重合体の重合度は
Rvで1.60、初期重合工程によって得られた重合体
の重合度はRvで1.95、滞留時間(原料のアミド化
工程への供給開始から、ポリマーを吐出するまでに要し
た時間)は110分であった。 【0049】実施例9 原料調合工程で、溶融・貯蔵槽において170℃で溶融
したアジピン酸(AA)に、それぞれ酢酸ナトリウムを
0.102重量%、次亜リン酸ソーダを0.212重量
%となるよう溶解し、これを3.048kg/hrの供
給量で、また同じく原料調合工程で、溶融・貯蔵槽にお
いて60℃に加熱したm−キシリレンジアミン(MX
D)とヘキサメチレンジアミン(HMDA)の混合物を
2.745kg/hrの供給量で、プランジャーポンプ
を用いて連続的にアミド化工程におけるパイプリアクタ
ー(内径20A、長さ13.5m)へ供給した。アミド
化工程以降は、アミド化工程における滞留時間を39
分、初期重合工程における滞留時間を50分、後期重合
工程における滞留時間を6分とした以外は、実施例1と
同様にして、ポリアミド樹脂を得た。なお、アミド化工
程によって得られた低重合体の重合度はRvで1.4
5、初期重合工程によって得られた重合体の重合度はR
vで1.90、滞留時間(原料のアミド化工程への供給
開始から、ポリマーを吐出するまでに要した時間)は9
5分であった。 【0050】実施例10 原料調合工程で、溶融・貯蔵槽において170℃で溶融
したアジピン酸(AA)に、それぞれ酢酸ナトリウムを
0.102重量%、次亜リン酸ソーダを0.212重量
%となるよう溶解し、これを3.048kg/hrの供
給量で、また同じく原料調合工程で、溶融・貯蔵槽にお
いて60℃に加熱したm−キシリレンジアミン(MX
D)とε−カプロラクタム(CLM)の混合物を2.7
80kg/hrの供給量で、プランジャーポンプを用い
て連続的にアミド化工程におけるパイプリアクター(内
径20A、長さ13.5m)へ供給した。アミド化工程
以降は、アミド化工程における滞留時間を44分、初期
重合工程における滞留時間を50分、後期重合工程にお
ける滞留時間を6分とした以外は、実施例1と同様にし
て、ポリアミド樹脂を得た。なお、アミド化工程によっ
て得られた低重合体の重合度はRvで1.53、初期重
合工程によって得られた重合体の重合度はRvで1.8
5、滞留時間(原料のアミド化工程への供給開始から、
ポリマーを吐出するまでに要した時間)は100分であ
った。 【0051】比較例1 原料調合工程で、溶融・貯蔵槽において170℃で溶融
したアジピン酸(AA)に、それぞれ酢酸ナトリウムを
0.102重量%、次亜リン酸ソーダを0.212重量
%となるよう溶解し、これを3.145kg/hrの供
給量で、また同じく原料調合工程で、溶融・貯蔵槽にお
いて60℃に加熱したm−キシリレンジアミン(MX
D)を2.828kg/hrの供給量で、プランジャー
ポンプを用いて連続的にアミド化工程におけるパイプリ
アクター(内径20A、長さ13.5m)へ供給した。
アミド化工程以降は、アミド化工程における滞留時間を
54分、初期重合工程における滞留時間を65分、後期
重合工程における滞留時間を6分とした以外は、実施例
1と同様にして、ポリアミド樹脂を得た。なお、アミド
化工程によって得られた低重合体の重合度はRvで1.
45、初期重合工程によって得られた重合体の重合度は
Rvで1.77、滞留時間(原料のアミド化工程への供
給開始から、ポリマーを吐出するまでに要した時間)は
125分であった。 【0052】比較例2 原料調合工程で、溶融・貯蔵槽において170℃で溶融
したアジピン酸(AA)に、それぞれ酢酸ナトリウムを
0.102重量%、次亜リン酸ソーダを0.212重量
%となるよう溶解し、これを2.9137kg/hrの
供給量で、また同じく原料調合工程で、溶融・貯蔵槽に
おいて60℃に加熱したm−キシリレンジアミン(MX
D)を2.828kg/hrの供給量で、プランジャー
ポンプを用いて連続的にアミド化工程におけるパイプリ
アクター(内径20A、長さ13.5m)へ供給した。
アミド化工程以降は、アミド化工程における滞留時間を
62分、初期重合工程における滞留時間を70分、後期
重合工程における滞留時間を6分とした以外は、実施例
1と同様にして、ポリアミド樹脂を得た。なお、アミド
化工程によって得られた低重合体の重合度はRvで1.
51、初期重合工程によって得られた重合体の重合度は
Rvで1.75、滞留時間(原料のアミド化工程への供
給開始から、ポリマーを吐出するまでに要した時間)は
138分であった。 【0053】比較例3 反応釜に、14614重量部のアジピン酸(AA)を仕
込み、十分窒素置換を行ない、窒素雰囲気下に加熱して
170℃でAAを均一融解した。そこへ13346.6
2重量部のm−キシリレンジアミン(MXD)を攪拌下
に連続的に滴加した。滴加に要した時間は350分で、
この間に装置内温度を245℃まで昇温させた。ひき続
き200分間で装置内温度を260℃まで昇温させた
後、残りの272.38重量部のMXDを60分間で連
続的に滴加した。滴加終了後、同温度で更に60分間反
応させた後、内容物をストランド状で水中へ吐出し、ポ
リアミド樹脂を得た。なお、反応によって生成する水は
コンデンサーを通して系外へ留出させた。 【0054】比較例4 加圧式反応釜に、14614重量部のアジピン酸(A
A)、13619重量部のm−キシリレンジアミン(M
XD)、酢酸ナトリウム14.96重量部、次亜リン酸
ソーダ30.94重量部、及び水28233重量部を仕
込み、密閉下60分間でジャケット温度を275℃まで
昇温した。釜内圧を1MPaに調圧して水抜きを行ない
ながら反応させた。反応温度は水の留出とともに上昇
し、昇温開始から295分で240℃まで達した。この
時点で放圧を開始し、70分間で常圧とした。この間に
反応温度は260℃まで上昇した。同温度で更に60分
間反応を続けた後、内容物をストランド状で水中へ吐出
し、ポリアミド樹脂を得た。 【0055】比較例5 反応釜に、20224重量部のセバシン酸(SA)を仕
込み、十分窒素置換を行ない、窒素雰囲気下に加熱して
170℃でSAを均一融解した。そこへ13346.6
2重量部のm−キシリレンジアミン(MXD)を攪拌下
に連続的に滴加した。滴加に要した時間は330分で、
この間に装置内温度を245℃まで昇温させた。ひき続
き180分間で装置内温度を260℃まで昇温させた
後、残りの272.38重量部のMXDを60分間で連
続的に滴加した。滴加終了後、同温度で更に60分間反
応させた後、内容物をストランド状で水中へ吐出し、ポ
リアミド樹脂を得た。なお、反応によって生成する水は
コンデンサーを通して系外へ留出させた。 【0056】比較例6 加圧式反応釜に仕込む原料の配合を、アジピン酸(A
A)を10230重量部、セバシン酸(SA)を606
7重量部、m−キシリレンジアミン(MXD)を136
19重量部、及び水12821重量部とした以外は、比
較例4と同様にして、ポリアミド樹脂を得た。なお、滞
留時間は460分であった。 【0057】比較例7 加圧式反応釜に仕込む原料の配合を、アジピン酸(A
A)を2923重量部、イソフタル酸(IPA)を13
290重量部、m−キシリレンジアミン(MXD)を1
3619重量部、及び水29832重量部とした以外
は、比較例4と同様にして、ポリアミド樹脂を得た。な
お、滞留時間は470分であった。 【0058】比較例8 原料調合工程で、溶融・貯蔵槽において170℃で溶融
したアジピン酸(AA)に、それぞれ酢酸ナトリウムを
0.102重量%、次亜リン酸ソーダを0.212重量
%となるよう溶解し、これを3.048kg/hrの供
給量で、また同じく原料調合工程で、溶融・貯蔵槽にお
いて60℃に加熱したm−キシリレンジアミン(MX
D)とヘキサメチレンジアミン(HMDA)の混合物を
2.687kg/hrの供給量で、プランジャーポンプ
を用いて連続的にアミド化工程におけるパイプリアクタ
ー(内径20A、長さ13.5m)へ供給した。アミド
化工程以降は、アミド化工程における滞留時間を42
分、初期重合工程における滞留時間を50分、後期重合
工程における滞留時間を6分とした以外は、実施例1と
同様にして、ポリアミド樹脂を得た。なお、アミド化工
程によって得られた低重合体の重合度はRvで1.5
8、初期重合工程によって得られた重合体の重合度はR
vで1.90、滞留時間(原料のアミド化工程への供給
開始から、ポリマーを吐出するまでに要した時間)は9
8分であった。 【0059】比較例9 加圧式反応釜に仕込む原料の配合を、アジピン酸(A
A)を14614重量部、m−キシリレンジアミン(M
XD)を8171重量部、ヘキサメチレンジアミン(H
MDA)を4648重量部、及び水14772重量部と
した以外は、比較例4と同様にして、ポリアミド樹脂を
得た。なお、滞留時間は490分であった。 【0060】比較例10 原料調合工程で、溶融・貯蔵槽において170℃で溶融
したアジピン酸(AA)に、それぞれ酢酸ナトリウムを
0.102重量%、次亜リン酸ソーダを0.212重量
%となるよう溶解し、これを3.048kg/hrの供
給量で、また同じく原料調合工程で、溶融・貯蔵槽にお
いて60℃に加熱したm−キシリレンジアミン(MX
D)とε−カプロラクタム(CLM)の混合物を2.6
40kg/hrの供給量で、プランジャーポンプを用い
て連続的にアミド化工程におけるパイプリアクター(内
径20A、長さ13.5m)へ供給した。アミド化工程
以降は、アミド化工程における滞留時間を45分、初期
重合工程における滞留時間を55分、後期重合工程にお
ける滞留時間を6分とした以外は、実施例1と同様にし
て、ポリアミド樹脂を得た。なお、アミド化工程によっ
て得られた低重合体の重合度はRvで1.63、初期重
合工程によって得られた重合体の重合度はRvで1.8
5、滞留時間(原料のアミド化工程への供給開始から、
ポリマーを吐出するまでに要した時間)は106分であ
った。 【0061】 【発明の効果】本発明のポリアミド樹脂の製造方法は、
ゲル化が抑制され、酸素バリヤー性に優れるポリアミド
樹脂を得ることができる。本発明によって得られるポリ
アミド樹脂は酸素バリヤー性に優れることから、食品、
飲料品、医薬品、化粧品などを収容する容器や包装袋、
あるいはフイルム、シートなどに広く応用でき、収容物
の酸素による食味や風味、効能の変化を抑制して長時間
の保存が可能となる。また、ゲル化が抑制されているこ
とから、製造時における生産性向上及び得られるポリア
ミド樹脂の品質向上が達成できる。 【表1】
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 健太 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社ポリマー開発センター内 Fターム(参考) 4J001 DA01 EB02 EB04 EB05 EB06 EB07 EB09 EB14 EB33 EB35 EB37 EB46 EC02 EC04 EC05 EC06 EC07 EC08 EC09 EC14 EC47 EC48 GA00 GB00 GB06 JA12 JA13 JB29

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ジアミン成分の70モル%以上がm−キ
    シリレンジアミンであり、かつ、イミノ化合物に基づく
    窒素と三級アミドに基づく窒素の合計の二級アミドに基
    づく窒素に対するモル比(モル%)で表わされる三級窒
    素の含有量が0.5モル%以下であるポリアミド樹脂の
    製造方法であって、原料調合工程、アミド化工程、初期
    重合工程、後期重合工程から主として構成される連続工
    程からなり、原料調合工程からアミド化工程へジカルボ
    ン酸及びジアミンを供給する際の供給精度C/A(モル
    比:ジカルボン酸/ジアミン酸)が1.025〜0.9
    75の範囲であり、かつ、アミド化工程においてジアミ
    ンとジカルボン酸より生成するアミノカルボン酸塩の水
    溶液濃度である塩濃度が80wt%以上であり、さら
    に、原料のアミド化工程への供給開始からポリアミド樹
    脂の取り出しまでに要する時間である滞留時間が210
    分以下であることを特徴とするポリアミド樹脂の製造方
    法。
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