JP2003002905A - ポリマーおよび吸水性複合体の製造方法 - Google Patents

ポリマーおよび吸水性複合体の製造方法

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JP2003002905A
JP2003002905A JP2001184982A JP2001184982A JP2003002905A JP 2003002905 A JP2003002905 A JP 2003002905A JP 2001184982 A JP2001184982 A JP 2001184982A JP 2001184982 A JP2001184982 A JP 2001184982A JP 2003002905 A JP2003002905 A JP 2003002905A
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polymer
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Shunichi Himori
俊一 檜森
Yoshiaki Mori
義昭 森
Kiichi Ito
喜一 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レドックス重合開始前の重合性モノマー含有
液の重合を抑えることにより、保存中や液送中に生じる
障害を解消すること。 【解決手段】 レドックス系重合開始剤である酸化剤と
還元剤を予め混合した開始剤混合液と重合性モノマー含
有液とを気相中で混合し、液滴状で重合させる工程を含
むことを特徴とする、ポリマーの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマーの製造方
法と、繊維質基材に吸水性ポリマー粒子が固定化された
吸水性複合体の製造方法に関する。より具体的には、レ
ドックス重合開始前の重合性モノマー含有液の重合を抑
えることにより、保存中や液送中に生じる障害を解消し
た製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙、パルプ、不織布、スポンジ状ウレタ
ン樹脂等は吸水性が高いために、従来から保水剤として
生理用ナプキン、紙おむつ等を始めとする各種の衛生用
品及び農業用資材等に使用されてきた。しかし、これら
の吸水性材料はその吸水量が自重の10〜50倍程度に
過ぎない。このため、多量の水を吸水又は保持させるた
めには多量の材料が必要とされ、著しく嵩高になるとい
う問題があった。また、吸水した材料を加圧すると、簡
単に水分を放出してしまう等の欠点もあった。
【0003】この種の吸水材料の欠点を改善することを
目的として、近年、高吸水性の種々の高分子材料が提案
されている。例えば、澱粉のグラフト重合体(特公昭5
3−46199号公報等)、セルロ−ス変性体(特開昭
50−80376号公報等)、水溶性ポリマーの架橋物
(特公昭43−23462号公報等)、自己架橋型アク
リル酸アルカリ金属塩ポリマー(特公昭54−3071
0号公報等)等が提案されている。
【0004】これらの吸水性ポリマーの吸水性能はかな
り高いレベルに達しているが、その殆どが粉末状である
ために、例えば、生理用ナプキン、紙おむつ等の衛生材
料として使用するためにはティッシュ、不織布、綿等の
基材上に吸水性ポリマー粉末を均一に分散させる必要が
ある。しかし、公知の方法で分散させた吸水性ポリマー
粉末は、繊維質基材上に安定性良く固定することが困難
であり、均一に分散させた後でも一部局所に集合化する
ことが多く、また、吸水後の膨潤ゲルも安定性良く繊維
質基材上に固定されずに繊維質基材から容易に移動して
しまうという欠点があった。このような移動を防ぐため
に吸水性ポリマー粉末をフラッフパルプ等に接着剤で接
着すると、接着剤により吸水性ポリマー粉末が吸水して
膨潤が阻害されるので、一般にポリマー粒子本来の吸水
性能が発現しなくなってしまう。
【0005】更に、上記の様な吸水性ポリマー粉末を繊
維質基材に均一に分散させて吸収体を得る方法では、繊
維質基材上からポリマー粉末が漏れやすいばかりか、粉
末の取り扱いに伴う煩雑さ、並びに、均一な分散を効率
良く行う上でのプロセス上の問題等により、コストも極
めて割高にならざるを得なかった。
【0006】これらの問題を解決する方法として、アク
リル酸系重合性モノマー水溶液をレドックス系開始剤で
重合開始させた混合液からなる液滴を繊維質基材に担持
させて重合させる方法が提供されている(特開平9−6
7403号公報)。この方法によれば、吸水性及び吸水
速度に優れ、高吸水性ポリマー粒子が繊維質基材上に安
定性良く固定化された吸水性複合体を製造しうる。ま
た、この方法を利用して、粒子同士が互いに結着した凝
集粒状体の一部が繊維質基材に結着した吸水性複合体が
提供されている(特開平10−113556号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなレドックス
系開始剤を用いた重合は、酸化剤を含有する溶液と還元
剤を含有する溶液を混合することにより開始ラジカルを
発生させ、それによって重合性モノマーのラジカル重合
を行わせるものである。重合させるモノマーは、酸化剤
を含有する溶液か還元剤を含有する溶液の少なくとも一
方に予め含有させている。
【0008】しかしながら、酸化剤を含有する溶液や還
元剤を含有する溶液に重合性モノマーが共存している
と、2つの溶液を混合する前であっても熱や光によって
重合性モノマーが重合を始めてしまうことが知られてい
る。このため、重合性モノマーを含む溶液は、保管中や
送液中に重合してポリマーとなり、保管タンク、ノズ
ル、送液管、バルブ等の機能を低下させたり閉塞させた
りして、製造効率や安全上の問題を生じていた。この問
題に対処するために、モノマー保管タンク、ノズル、送
液管、バルブを冷却する試みがなされているが、重合操
作や運転上の制約が生じ、コスト上も不利であるため現
実的な解決手段にはなっていない。
【0009】このような従来技術の問題点を考慮して、
本発明は、レドックス重合開始前の重合性モノマー含有
液の重合を抑えることにより、保存中や液送中に生じる
障害を解消することを課題とした。また、本発明は、安
全で安価に効率よくレドックス重合を行うことにより、
ポリマーや吸水性複合体を長時間安定に製造しうるよう
にすることも課題とした。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、酸化剤と還元剤を予め混合した開始剤混合
液を用いれば効果的に課題を解決しうることを見出し、
本発明に到達するに至った。
【0011】すなわち本発明は、レドックス系重合開始
剤である酸化剤と還元剤を予め混合した開始剤混合液と
重合性モノマー含有液とを気相中で混合し、液滴状で重
合させる工程を含むことを特徴とする、ポリマーの製造
方法を提供する。本発明の製造方法は、特に吸水性ポリ
マーの製造方法に適用することが好ましい。
【0012】また本発明は、レドックス系重合開始剤で
ある酸化剤と還元剤を予め混合した開始剤混合液と重合
性モノマー含有液とを気相中で混合し、液滴状で重合さ
せつつ繊維質基材に施すことによって、吸水性複合体を
得る工程を含むことを特徴とする、吸水性複合体の製造
方法も提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下において、本発明のポリマー
の製造方法および吸水性複合体の製造方法について詳細
に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前
後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値とし
て含む範囲を意味する。
【0014】本発明の製造方法では、レドックス系重合
開始剤である酸化剤と還元剤を予め混合した開始剤混合
液と重合性モノマー含有液の2種類の溶液を使用する。
【0015】(レドックス系重合開始剤)開始剤混合液
に使用する酸化剤と還元剤は、互いに接触したときにレ
ドックス反応を起こして開始ラジカルを発生させるよう
に組み合わせて選択する。一般に、酸化性を示すラジカ
ル発生剤と還元剤との組合せからなるレドックス系重合
開始剤を用いるのが好ましい。
【0016】ラジカル発生剤としては、過酸化水素を用
いるのが好ましいが、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリ
ウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキシドや
クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド
類、過酸化ベンゾイル等のアシルパーオキシド類、その
他、第二セリウム塩、過マンガン酸塩、亜塩素酸塩、次
亜塩素酸塩なども用いることができる。これらのラジカ
ル発生剤は、重合性モノマーに対して0.01〜10重
量%、特に0.1〜2重量%となるように用いるのが好
ましい。
【0017】還元剤としては、L−アスコルビン酸又は
そのアルカリ金属塩を用いるのが好ましいが、他にも亜
硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸塩、
チオ硫酸ナトリウム、酢酸コバルト、硫酸銅、硫酸第一
鉄、ジメチルアニリン、ジメチルトルイジン等の三級ア
ミン類などを用いることもできる。これらの還元剤は、
重合性モノマーに対して0.01〜10重量%、特に
0.1〜2重量%となるように用いるのが好ましい。
【0018】これらのレドックス系重合開始剤は、重合
性モノマー含有液に対する親和性に応じて選択すること
が好ましい。例えば、重合性モノマー含有液が水溶液で
あるときは、親水性のレドックス系重合開始剤を選択す
ることが好ましい。親水性を示すものの具体例として
は、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム
等の過硫酸塩、第二セリウム塩、過マンガン酸塩、亜塩
素酸塩、次亜塩素酸塩、L−アスコルビン酸又はそのア
ルカリ金属塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウ
ム等の亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、酢酸コバルト、
硫酸銅、硫酸第一鉄が挙げられる。疎水性を示すものの
具体例としては、t−ブチルハイドロパーオキシド、ク
メンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド
類、過酸化ベンゾイル等のアシルパーオキシド類、ジメ
チルアニリン、ジメチルトルイジン等の三級アミン類が
挙げられる。
【0019】(重合性モノマー)本発明の製造方法で用
いる重合性モノマーは、ラジカル重合性を有するエチレ
ン性不飽和モノマーの中から選択することができる。具
体的には、ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン
化合物、環状オレフィン化合物等が挙げられ、用途に応
じて適宜選択される。
【0020】本発明にしたがって、水溶性あるいは吸水
性ポリマーを製造する場合には、重合性モノマーとして
脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩が好ましく選択さ
れる。具体的には、ビニル化合物であるアクリル酸また
はその塩、ビニリデン化合物であるメタクリル酸または
その塩等の不飽和モノカルボン酸またはその塩、或いは
マレイン酸またはその塩、イタコン酸またはその塩等の
不飽和ジカルボン酸またはその塩を例示することができ
る。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよ
い。この中で好ましいのはアクリル酸またはその塩、お
よびメタクリル酸またはその塩であり、特に好ましいの
はアクリル酸またはその塩である。水溶性あるいは吸水
性ポリマーを製造する場合には、これらの脂肪族不飽和
カルボン酸またはその塩を、重合性モノマーの全量に対
して50モル%以上用いることが好ましく、80モル%
以上用いることがより好ましい。
【0021】脂肪族不飽和カルボン酸の塩としては、水
溶性の塩、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩、アンモニウム塩等が通常用いられる。また、その中
和度は、目的に応じて適宜定められるが、アクリル酸の
場合には、カルボキシル基の20〜90モル%がアルカ
リ金属塩またはアンモニウム塩に中和されたものが好ま
しい。アクリル酸モノマーの部分中和度が20モル%未
満であると、生成する吸水性ポリマーの吸水能が著しく
低下する傾向がある。
【0022】アクリル酸モノマーの中和には、アルカリ
金属の水酸化物や重炭酸塩等または水酸化アンモニウム
等を使用することができるが、好ましいのはアルカリ金
属水酸化物であり、その具体例としては水酸化ナトリウ
ムおよび水酸化カリウムが挙げられる。
【0023】また、本発明の製造方法により吸水性ポリ
マーを製造する場合には、前記の脂肪族不飽和カルボン
酸以外にこれらと共重合可能な重合性モノマー、例え
ば、(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレートを共重合させることができる。また、
低水溶性モノマーではあるが、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル類等も生
成する吸水性ポリマーの性能を低下させない範囲の量で
共重合させることができる。なお、本明細書中「(メ
タ)アクリル」という用語は、「アクリル」および「メ
タクリル」の何れをも意味するものとする。
【0024】本発明で用いる重合性モノマー含有液に含
まれる重合性モノマーの濃度は、目的に応じて適宜決定
することができる。例えば、脂肪族不飽和カルボン酸ま
たはその塩を主成分として含む重合性モノマー含有液の
場合は、重合性モノマーの濃度を20重量%以上にする
ことが好ましく、25重量%以上にすることがより好ま
しい。濃度が20重量%より少ないと適度な粘度を有す
る液滴の生成が難しく、ひいては重合後の吸水性ポリマ
ーの吸水能が十分に得られなくなる傾向がある。上限は
重合反応液の取り扱い上から80重量%程度とするのが
よい。
【0025】本発明で用いる重合性モノマー含有液に
は、架橋剤を含有させておいてもよい。例えば、脂肪族
不飽和カルボン酸またはその塩、特にアクリル酸または
その塩は、それ自身で自己架橋ポリマーを形成すること
があるが、架橋剤を併用すれば架橋構造を積極的に形成
させることができる。また、架橋剤を併用すると、一般
に生成する吸水性ポリマーの吸水性能が向上する。架橋
剤としては、前記重合性モノマーと共重合可能なジビニ
ル化合物、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)ア
クリルアミド、(ポリ)エチレングリコール(メタ)ア
クリレート類等、ならびにカルボン酸と反応し得る2個
以上の官能基を有する水溶性の化合物、例えばエチレン
グリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル
等が好適に使用される。この中で特に好ましいのは、
N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドであ
る。架橋剤の使用量は、モノマーの仕込み量に対して
0.001〜1重量%、好ましくは、0.01〜0.5
重量%である。なお、これらの架橋剤は開始剤混合液に
含有させてもよい。
【0026】本発明で用いる重合性モノマー含有液は、
保存中や液送中に本発明の目的に反する障害が生じない
範囲内の量であれば酸化剤または還元剤を含有していて
もよい。酸化剤または還元剤の含有量は、重合性モノマ
ーに対して0.4重量%以下であることが好ましく、
0.2重量%以下であることがより好ましく、0.1重
量%以下であることがさらに好ましい。もっとも好まし
いのは、酸化剤や還元剤を含有しない場合である。
【0027】(溶媒)本発明で用いる開始剤混合液と重
合性モノマー含有液には、それぞれ溶媒を用いても用い
なくてもよい。また、本発明では、開始剤混合液と重合
性モノマー含有液の他にさらに溶媒を混合しながら重合
反応を進行させてもよい。溶媒を用いる場合は、使用す
るレドックス系重合開始剤や重合性モノマーに対する親
和性や相溶性に応じて溶媒の種類を選択する。溶媒は親
水性溶媒と疎水性溶媒に大別され、親水性溶媒としては
水、メタノール、疎水性溶媒としては脂肪族炭化水素や
芳香族炭化水素等の炭化水素類を挙げることができる。
【0028】(反応様態)本発明の製造方法では、開始
剤混合液と重合性モノマー含有液を気相中で混合して、
重合性モノマーを液滴状で重合させる。開始剤混合液と
重合性モノマー含有液は、重合室の上部に相対向して設
置されている各ノズルから液柱状に噴出させ、空中で両
液を衝突させて混合すると共に液滴状に分散させる方式
により処理することが好ましい(図1)。液滴の大きさ
は5〜3000μm、特に50〜1000μmが好まし
い。両液が混合すると直ちに重合が開始され、引続き液
滴内で重合が進行しつつ重合室内を落下する。重合室の
雰囲気は重合反応に支障を来さない限り任意に設定する
ことができる。通常は雰囲気ガスとして窒素、ヘリウ
ム、炭酸ガスなどを用いるが、空気や水蒸気を用いるこ
ともできる。雰囲気中に水蒸気を送入する場合には、反
応に供する重合性モノマー含有液の濃度や、生成するポ
リマー粒子に求められる含水率などに基づき、重合性モ
ノマー含有液からの水分蒸発をどの程度にするかという
観点から設定すればよい。雰囲気の温度は通常は室温〜
150℃、好ましくは室温〜100℃である。
【0029】本発明にしたがって吸水性複合体を製造す
る場合には、重合室にシート状の繊維質基材を送入し、
これを重合室の床面に平行に移動させつつ、その上に落
下してくる重合途上のポリマー粒子を付着させることが
好ましい。繊維質基材としては、一定の形状に形成され
ていて、かつ重合途上のポリマー粒子が付着し易いもの
であればよく、布、紙、パルプ、不織布などを用いるこ
とができる。なかでも、繊維質基材が粗に集積されてい
てポリマー粒子が内部にまで入り込み易く、かつポリマ
ー粒子が繊維質基材に強く付着することが可能な、フラ
ッフパルプ又は不織布を用いるのが好ましい。特に好ま
しいのは湿潤状態でも強度の大きい、ポリエステル、ポ
リオレフィン、ポリアミド、アセテートなどのような
(半)合成繊維からなる不織布である。不織布を構成す
る繊維質基材の繊維の太さは10〜50μmが好まし
く、また不織布の目付量は10〜100g/m2、特に
20〜50g/m2であるのが好ましい。
【0030】重合進行中の液滴が気相中或いは繊維質基
材上に接して凝集粒状体を形成する時点での重合率は、
3〜97%、好ましくは20〜97%、さらに好ましく
は50〜95%になるように諸条件を設定する。この重
合率が余り低い場合には、液滴同士が衝突しても凝集粒
状体とはならず一体化して大粒子となったり、繊維質基
材上に液滴が落下した時に液が基材上に広がったり或い
は吸収ないし含浸されたりして凝集粒状体の形状で繊維
質基材に付着させることが困難になる。また、余り高い
場合には、基材との接着力が発現せず、繊維質基材と吸
水性ポリマーとの固定性が悪くなる。
【0031】ポリマー粒子は、最終的に得られる吸水性
複合体中の含有量が50〜400g/m2となるように
繊維質基材に付着させることが好ましい。用途にもよる
が一般に80〜300g/m2となるように付着させる
のがより好ましい。吸水性複合体のポリマー粒子の含有
量が少ないと、当然のことながら吸水能が小さくなる。
また含有量が多過ぎることは一般に不経済であり、かつ
繊維質基材と結合する部分の割合が減少して、繊維質基
材との結合力が弱くなる。
【0032】本発明の製造方法で製造される吸水性複合
体を構成するポリマー粒子は、その少なくとも一部が重
合途上のポリマー粒子(一次粒子)が相互に結着して凝
集粒状体を構成しており、かつこの凝集粒状体を構成す
るポリマー粒子(一次粒子)の一部は繊維質基材に直接
結合していないものであることが好ましい。このような
凝集粒状体は比表面積が大きいので吸水速度が大きく、
かつ凝集粒状体を構成する一次粒子の一部でしか繊維質
基材に結合していないので、吸水して膨潤するに際し繊
維質基材から受ける拘束が小さく、吸水能に優れてい
る。また凝集粒状体を構成する一次粒子同士の接合面は
一体化しているので、吸水前は勿論のこと吸水後におい
ても、凝集粒状体が一次粒子に崩壊して繊維質基材から
脱落することが少ない。ポリマー粒子の30重量%以上
が凝集粒状体であるのが好ましく、50重量%以上、特
に80重量%以上が凝集粒状体であれば更に好ましい。
一般に凝集粒状体の比率が大きいほど吸水材料としての
性能が優れている。凝集粒状体の粒径は実質的に100
〜3000μmの範囲にあるのが好ましい。粒径が10
0μmより小さいと、吸水性能が十分に発現しない傾向
がある。また粒径が3000μmより大きくなると、シ
ート状の繊維質基材に対する接着力が弱くなる傾向があ
る。凝集粒状体の比率や粒径は、主として気相中におけ
る重合途上の粒子の密度や分布状態、流動状態などを適
宜調整することにより制御することができる。例えば凝
集粒状体の比率を大きくするには、重合途上の粒子が落
下の途中において相互に接触する機会が増加するよう
に、重合室の単位横断面積当たりの落下ポリマー量を大
きくしたり、重合室内に上昇流を発生させてポリマー粒
子の落下速度を遅くしたりすればよい。また重合室内に
偏流を発生させて、落下するポリマー粒子の分布に片寄
りを生じさせるのも一方法である。
【0033】上記により得られた繊維質基材に重合途上
のポリマー粒子が付着した粒子−基材複合体は、次いで
親水性有機溶媒と接触させてポリマー粒子の保有してい
る水分の一部を除去して、後続する表面架橋を行うのに
好適な含水率に調整する含水率調整工程に供することが
好ましい。本発明では、粒子−基材複合体中の重合性モ
ノマー由来のポリマー粒子100重量部につき1〜10
0重量部の水の存在下で架橋剤を添加して反応させるこ
とが好ましい。特に架橋剤添加時のポリマー粒子の含水
率は10〜40重量%であることが好ましい。含水率は
多過ぎても少な過ぎても吸水性能の優れたポリマー粒子
を得にくくなる傾向がある。なお、本明細書における
「含水率」は、ポリマー粒子に含まれている水分重量
を、ポリマー粒子の含水状態の重量を100重量%とし
たときの重量%で表示したものである。
【0034】含水率調整工程で用いる親水性有機溶媒と
しては、含水率30重量%以下、特に10重量%以下の
エタノール、メタノール又はアセトンが好ましい。例え
ばこのようなエタノール又はメタノールが収容されてい
る脱水槽に粒子−基材複合体を浸漬したのち、ポリマー
粒子がつぶれない程度に軽く圧搾ロールを通過させた
り、風を吹きつけたりして、付着しているエタノールや
メタノールを除去する方法を採用することができる。な
お、アルコールの除去は、後続する表面架橋剤溶液の付
与に支障のない程度に行えばよく、付着しているアルコ
ールを完全に除去する必要はない。浸漬条件は脱水に供
するポリマー粒子の含水率及び目標とするポリマー粒子
の含水率により異なるが、通常は室温で30秒〜5分間
程度浸漬すればよい。重合室から取り出された粒子−基
材複合体は、脱水槽に導入するまでの搬送過程で重合が
ほぼ完了しており、また温度も通常は室温になっている
ので、脱水槽に導入する前に強制冷却する必要はない。
【0035】なお、このような含水率調整工程に先立っ
て、重合反応に供するモノマー水溶液の濃度や、重合室
雰囲気の温度、湿度などを制御することにより、重合室
から取り出される粒子−基材複合体のポリマー粒子の含
水率を、表面架橋に好適な10〜40重量%に調整して
おくことも可能である。このときは、上述の含水率調整
工程は不要である。
【0036】含水率調整工程でポリマー粒子の含水率を
所望の値にまで低下させた粒子−基材複合体は、次いで
表面架橋工程に送ることが好ましい。吸水性ポリマー粒
子の表面に架橋剤を付与したのち加熱して表面架橋する
ことによりポリマー粒子の特性を改良することは公知で
あり、表面に選択的に架橋構造が形成される結果、吸水
して膨潤するに際し膨潤を阻害せずにその形状を維持す
ることができるものと考えられている。この工程では先
ず粒子−基材複合体のポリマー粒子に表面架橋剤の溶液
を付与する。表面架橋剤としてはN,N’−メチレンビ
ス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコー
ルビス(メタ)アクリレート等の重合性モノマーと共重
合し得る多官能化合物や、(ポリ)エチレングリコール
ジグリシジルエーテル等のカルボン酸基と反応し得る官
能基を複数個有する化合物が用いられる。好ましいのは
グリシジル基を有する架橋剤であり、特にポリグリシジ
ルエーテルを用いることが好ましい。これらの表面架橋
剤は、通常ポリマー粒子(乾燥基準)に対して0.1〜
1重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%となるよう
に用いられる。なお、これらの表面架橋剤は、ポリマー
粒子の表面全体に均一に付与されるように、水やアルコ
ール(エタノールやメタノール等)で希釈して0.1〜
1重量%、特に0.2〜0.5重量%のアルコール溶液
として用いるのが好ましい。架橋剤溶液の付与は通常は
噴霧器を用いて架橋剤溶液をポリマー粒子に噴霧した
り、粒子−基材複合体を反転させてポリマー粒子付着面
が下面になるようにして移動させつつ、これに架橋剤溶
液を収容した槽に下部が浸漬しているロールブラシで架
橋剤溶液を塗布する方法により行うのが好ましい。な
お、架橋剤溶液を過剰に付与したのち、圧搾ロールでポ
リマー粒子がつぶれない程度に軽く圧搾したり、風を吹
きつけたりして、余剰の架橋剤溶液を除去するようにし
てもよい。この架橋剤溶液の付与は室温で行えばよい。
架橋剤溶液を付与された粒子−基材複合体は、次いで加
熱して架橋反応を進行させ、ポリマー粒子表面に選択的
に架橋構造を形成させる。架橋反応の条件は用いる架橋
剤により適宜選択すればよいが、通常は100℃以上の
温度で10分以上反応させる。製造される吸水性複合体
の吸水性能は、この表面架橋工程までで実質的に決定さ
れる。
【0037】表面架橋工程を経た粒子−基材複合体は残
存モノマー処理工程に送られることが好ましい。粒子−
基材複合体のポリマー粒子中には、未反応の重合性モノ
マーが残存しているが、これらの重合性モノマーは人体
に有害なので、この残存モノマー処理工程でその残存量
を用途により定まる許容範囲にまで低減させる。
【0038】例えば重合性モノマーとして部分中和した
アクリル酸を用いた場合には、一般に数百ppm、多い
場合には1000ppm以上ものモノマーが残存してい
るが、紙おむつや生理用ナプキンなどの用途に供する場
合には、一般的には残存量は500ppm以下にするの
が好ましく、残存量を300ppm以下、特に100p
pm以下にまで低減させるのが最も好ましい。
【0039】重合性モノマーの処理はいくつかの方法で
行うことができる。その一つの方法では、残存モノマー
の重合を進行させることにより処理する方法がある。例
えば粒子−基材複合体を100〜250℃の温度で加熱
処理し残存モノマーを重合させる方法、ポリマー粒子に
重合性モノマーの重合を促進する触媒ないしは触媒成分
を付与したのち加熱して、重合性モノマーを重合させる
方法がある。例えば前述のレドックス系重合開始剤を用
いて重合を行った場合には、ラジカル発生剤が残存して
いることが多いのでポリマー粒子に還元剤溶液を付与す
ればよい。還元剤としてはレドックス系重合開始剤とし
て用いる亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L
−アスコルビン酸等を用いればよく、通常はこれらを
0.5〜5重量%水溶液としてポリマー粒子に付与す
る。還元剤の付与量は乾燥ポリマー100重量部あたり
0.1〜20重量部でよい。還元剤溶液の付与は、噴霧
器を用いてスプレーしたり、還元剤溶液中に浸漬するな
ど、任意の方法で行うことができる。還元剤を付与した
ポリマー粒子は次いで加熱して重合性モノマーを重合さ
せる。加熱は例えば100〜150℃で10〜30分間
程度行えばよい。この加熱によりポリマー粒子の含水率
は低下するが、含水率がいまだ高い場合には更に乾燥機
で乾燥して製品の吸水性複合体とすることができる。ま
た、粒子−基材複合体中のポリマー粒子100重量部に
つき0.01〜1重量部の過酸化物および/またはアゾ
化合物を添加した後加熱して、残存モノマー量を低減さ
せることもできる。さらに残存モノマーの重合を進行さ
せる方法としては、紫外線又は放射線を照射する方法も
ある。
【0040】紫外線を照射する方法では、通常の紫外線
ランプを用いればよく、照射強度、照射時間等は用いる
繊維質基体の種類、重合性モノマー含浸量等によって決
定する。一般的には紫外線ランプの照射強度は10〜2
00W/cm、好ましくは30〜120W/cmであ
り、照射時間は0.1秒〜30分であり、ランプ−複合
体の間隔は2〜30cmである。紫外線を照射する時の
雰囲気としては、真空下または窒素、アルゴン、ヘリウ
ム等の無機ガス存在下、または空気中のいずれも使用で
きる。また照射温度は特に制限はなく、室温で充分その
目的を達成することができる。用いる紫外線照射装置に
も特に制限はなく、静置状態にて一定時間照射する方
法、あるいはベルトコンベアーにて連続的に照射する方
法等を用いることができる。
【0041】また、この時の複合体中の水分量は、一般
的には重合体1重量部に対して0.01〜40重量部、
好ましくは0.1〜1.0重量部とする。0.01重量
部未満又は40重量部超過の水分量は、未重合モノマー
の低減化に影響を及ぼす傾向がある。この水分量は、前
述の表面架橋工程で水分量を制御することによって実現
することもできるし、また表面架橋工程後に水分量を調
節することによって実現することもできる。
【0042】また放射線を照射する方法では、電磁性放
射線や微粒子性イオン化放射線の様な高エネルギー放射
線が用いられる。具体的には、加速電子やガンマー線を
例示することができる。照射されるべき線量は、前記複
合体中の未重合モノマー量や、水分量等により変化する
が、一般的には0.01〜100メガラド、好ましくは
0.1〜50メガラド、である。100メガラド超過の
線量では吸水量が極めて小さくなり、また0.01メガ
ラド未満では本発明で目的とする吸水能や、吸水速度が
大きく、未重合モノマーが特段に小さいものが得られ難
い。
【0043】また、この時の複合体中の水分量は、一般
的には繊維質基体1重量部に対して40重量部以下、好
ましくは10重量部以下にする。40重量部超過の水分
量では吸水速度改良効果が少なく、特に未重合モノマー
の低減化に著しい影響を及ぼすので好ましくない。
【0044】本発明で複合体に高エネルギー放射線を照
射する時の雰囲気としては、真空下または窒素、アルゴ
ン、ヘリウム等の無機ガス存在下、または空気中のいず
れであってもよい。好ましい雰囲気は空気であって、空
気中で照射を行うと吸水能や吸水速度の大きくかつ未重
合モノマーが特段に小さくなる。また照射温度には特に
制限はなく、室温で充分にその目的を達成することがで
きる。
【0045】未反応の重合性モノマーを処理する他の方
法としては、残存モノマーを除去する方法がある。例え
ば表面架橋工程から取り出された粒子−基材複合体を、
冷却したのち、含水有機溶媒中に浸漬して、重合性モノ
マーを抽出する方法がある。含水有機溶媒としてはエタ
ノール、メタノール、アセトンを用いることができ、そ
の含水率は10〜90重量%、特に30〜60重量%で
あるのが好ましい。一般に含水率が高いほど重合性モノ
マーの除去能が高いが、含水率の高い含水有機溶媒を用
いると後続する乾燥工程でのエネルギー消費が多くな
る。粒子−基材複合体を含水有機溶媒に浸漬する時間は
通常5〜30分間程度で十分であり、粒子−基材複合体
を揺動させるなど重合性モノマーの抽出を促進する手段
を採用するのも好ましい。浸漬処理後は乾燥機で処理し
て乾燥し、製品の吸水性複合体とする。通常はポリマー
粒子の含水率が10%程度となるように乾燥すればよ
い。
【0046】重合性モノマーを除去する更に他の方法と
しては、粒子−基材複合体を過熱水蒸気又は水蒸気含有
ガスで処理する方法がある。例えば110℃の飽和水蒸
気を120〜150℃に加熱して過熱水蒸気として粒子
−基材複合体に接触させることにより、ポリマー粒子中
の重合性モノマーを低減させることができる。この方法
ではポリマー粒子中の水が水蒸気となって蒸発する際
に、重合性モノマーも同時に気化してポリマー粒子から
抜け出るものと考えられる。この方法によれば重合性モ
ノマーの除去と製品の乾燥とを兼ねることができる。
【0047】本発明の吸水性複合体の製造方法では、上
記の含水率調整工程、表面架橋工程、残存モノマー処理
工程を好ましい工程として適宜組み入れることができ
る。その順序は任意に決定することができる。好ましい
工程順は、表面架橋工程、残存モノマー処理工程を順次
行うもの、残存モノマー処理工程、表面架橋工程を順次
行うもの、残存モノマー処理工程、含水率調整工程、表
面架橋工程を順次行うもの、含水率調整工程、表面架橋
工程、残存モノマー処理工程を順次行うもの、含水率調
整工程、残存モノマー処理工程、表面架橋工程を順次行
うものである。
【0048】本発明の製造方法により製造した吸水性複
合体は、これまで吸水性ポリマーが利用されていた様々
な用途に用いることができる。「吸水性ポリマー」81
〜111頁(増田房義、共立出版、1987)、「高吸
水性樹脂の開発動向とその用途展開」(大森英三、テク
ノフォーラム、1987)、田中健治、「工業材料」4
2巻4号18〜25頁、1994、原田信幸、下村忠
生、同26〜30頁には吸水性ポリマーの様々な用途が
紹介されており、適宜用いることができる。例えば紙お
むつ、生理用品、鮮度保持材、保湿剤、保冷剤、結露防
止剤、土壌改良材等が挙げられる。
【0049】また更に特開昭63−267370号公
報、特開昭63−10667号公報、特開昭63−29
5251号公報、特開昭270801号公報、特開昭6
3−294716号公報、特開昭64−64602号公
報、特開平1−231940号公報、特開平1−243
927号公報、特開平2−30522号公報、特開平2
−153731号公報、特開平3−21385号公報、
特開平4−133728号公報、特開平11−1561
18号公報等に提案されているシート状吸水性複合体の
用途にも用いることができる。
【0050】
【実施例】以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴
をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、
使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨
を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがっ
て、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解
釈されるべきものではない。
【0051】(重合性モノマー含有液の調製)以下の方
法にしたがって、本発明用の重合性モノマー含有液1、
比較用の重合性モノマー含有液A、比較用の重合性モノ
マー含有液Bを調製した。冷却装置のつきの攪拌槽に、
200ppmのメトキシヒドロキノン(MEHQ)を含
有するアクリル酸100.0重量部を仕込み、液温を2
0〜25℃に保ちながら25重量%水酸化ナトリウム水
溶液133.3重量部を徐々に加え中和を完了させるこ
とにより重合性モノマー含有液1を得た。
【0052】これとは別に、冷却装置のつきの攪拌槽
に、200ppmのMEHQを含有するアクリル酸10
0.00重量部と蒸留水3.34重量部を仕込み、液温
を20〜25℃に保ちながら、25重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液133.33重量部を徐々に加えてアクリル
酸中和液を得た。このアクリル酸中和液100.00重
量部にL−アスコルビン酸0.57重量部を溶解させて
重合性モノマー含有液Aとした。上記アクリル酸中和液
100.00重量部に31重量%過酸化水素水溶液4.
55重量部を溶解させて重合性モノマー含有液Bとし
た。
【0053】(重合性モノマー含有液の安定性試験)調
製した各重合性モノマー含有液100gを25℃で20
0mlのガラス容器中に入れ密栓した。25℃で保管し
た時の外観と粘度の変化を調べた結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】表1から明らかなように、重合に必要とさ
れる量の酸化剤や還元剤が含まれている重合性モノマー
含有液は、保管中に濁りが生じ、粘度が高くなってしま
う。一方、酸化剤や還元剤を含まない重合性モノマー含
有液では、このような濁りや粘度上昇がなく、安定性が
高い。
【0056】(重合試験)図1に示すノズルを用いて重
合を行った。図1中のノズル1およびノズル2として、
表2に示す内径を有するSUS316製ノズルを5本ず
つ2cm間隔で配置した。ノズル1とノズル2は下向き
に交差角30°、ノズル先端間隔2.5mmになるよう
に調節した。これらのノズルを雰囲気温度50℃に保っ
た高さ2.5m、内径0.5mの円筒形恒温槽の上部に
設置した。
【0057】ノズル1およびノズル2に、表2に示す種
類の溶液を液温50℃でそれぞれ表2の流量になるよう
にポンプで供給した。ノズル1およびノズル2から吐出
された各溶液は、各ノズル先端延長線上で合流し、液柱
を形成した後、液滴となって重合を進行させながら空気
中を落下した。なお、表2中の「混合液α」は、6.7
重量%L−アスコルビン酸水溶液と31重量%過酸化水
素水溶液を重量比1:2.4で混合したものである。混
合は、ノズルへの導入直前にスタチックミキサーにより
行った。
【0058】吐出開始後の吐出圧の変化を測定した結果
を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】表2から明らかなように、重合に必要とさ
れる量の酸化剤や還元剤が含まれている重合性モノマー
含有液は、重合を続けているうちに吐出圧が上昇し、ノ
ズルが閉塞してしまう。一方、酸化剤や還元剤を含まな
い重合性モノマー含有液を用いた場合は、このような障
害はなく、同じ吐出圧で1000時間以上にわたる長時
間重合を継続することができる。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、レドックス重合開始前
の重合性モノマー含有液の重合を抑えることにより、保
存中や液送中に生じる障害を解消することができる。ま
た、安全で安価に効率よくレドックス重合を行うことが
できるため、吸水性ポリマーや吸水性複合体を長時間安
定に製造することができる。このため、本発明の産業上
の有用性は極めて高く、その応用範囲は多岐に渡るもの
と期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 重合の際の混合工程を実施するために用いる
ノズル構造の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 ノズル1 2 ノズル2 3 ノズル1用の溶液 4 ノズル2用の溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 喜一 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 Fターム(参考) 4J011 BB02 BB03 BB04 BB09 BB11 BB15 CA03 HB06 HB22

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レドックス系重合開始剤である酸化剤と
    還元剤を予め混合した開始剤混合液と重合性モノマー含
    有液とを気相中で混合し、液滴状で重合させる工程を含
    むことを特徴とする、ポリマーの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ポリマーが吸水性ポリマーであるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 レドックス系重合開始剤である酸化剤と
    還元剤を予め混合した開始剤混合液と重合性モノマー含
    有液とを気相中で混合し、液滴状で重合させつつ繊維質
    基材に施すことによって、吸水性複合体を得る工程を含
    むことを特徴とする、吸水性複合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014240501A (ja) * 2006-07-19 2014-12-25 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se モノマー溶液の液滴の重合による、高い透過性を有する吸水性ポリマー粒子の製造方法

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