JP2003002708A - コンクリート補強用鋼繊維 - Google Patents

コンクリート補強用鋼繊維

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JP2003002708A
JP2003002708A JP2001192369A JP2001192369A JP2003002708A JP 2003002708 A JP2003002708 A JP 2003002708A JP 2001192369 A JP2001192369 A JP 2001192369A JP 2001192369 A JP2001192369 A JP 2001192369A JP 2003002708 A JP2003002708 A JP 2003002708A
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concrete
steel
fiber
corrugated
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Tomiyasu Kaneko
富康 金子
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Sango Co Ltd
Sango KK
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Sango Co Ltd
Sango KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリートに対し高い付着性能を有し、コ
ンクリートの靭性を大幅に向上させ得ると共に、生産性
に優れた実用性の高い鋼繊維を提供する。 【解決手段】 直径0.8〜1.0mm、引張強度が9.
81×108〜11.8×108Paの断面が円形の鋼線を
曲げ加工して、全長40〜60mmのコンクリート補強用
鋼繊維1を形成する。コンクリート補強用鋼繊維1の両
端部には、2〜3個の波形の波形部3を有する異形部2
が配設される。両異形部2の間には波形部3を備えない
直線状の軸線部4が設けられる。コンクリート補強用鋼
繊維1は、引張強度とコンクリートとの付着強度が程良
くバランスし、生産性も高く極めて実用性が高い。そし
て、コンクリート補強用鋼繊維1をコンクリート中に混
入することにより、コンクリートに外力が作用してひび
割れが発生した場合でも鋼繊維が付着抜け出しし、コン
クリートの靭性が大幅に改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木、建築分野に
て使用され、打込みコンクリートの強度、靭性を補強す
る目的でコンクリート内に混入されるコンクリート補強
用鋼繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリート中に鋼繊維を練り混ぜるこ
とにより、その強度を向上させた鋼繊維補強コンクリー
ト(以下、SFRCと略記する)が知られている。この
SFRCでは、土木、建築材料として一般的に用いられ
ているコンクリートに補強用の鋼繊維が均一に分散させ
て練り混ぜられ、これによりコンクリートのひび割れ抵
抗性や曲げ強度、引張強度と共に、その靭性を高めるこ
とが可能となる。近年、SFRCは、大口径のトンネル
の覆工材に採用されるなど本格的実用化の段階にあり、
各種用途に要求されるSFRC性能を満たすべく種々の
形状を有する鋼繊維が提案されている。
【0003】この種の鋼繊維が具備すべき条件として
は、(1)補強効果を高めるため鋼繊維自体の引張強度が
高いこと、(2)コンクリート中に混入して練り混ぜる際
に曲がったり折損しないように適度の硬さがあること、
(3)ファイバーボールと称する塊が生じにくく分散性が
良いことなどが要求される。さらに、コンクリートにひ
び割れが生じた後、鋼繊維が外力に対して抵抗する際
に、鋼繊維が切断することなく高い引き抜き抵抗力を維
持しながら付着抜け出しすることが高靭性のSFRC性
能を得るための必須事項ともなっている。
【0004】SFRCの強度および靭性性能を左右する
主たる要因としては、鋼繊維の引張強度と鋼繊維がコン
クリートから抜け出すときの付着抵抗性が挙げられる。
これら要因のうち引張強度については、鋼繊維の材質や
太さを適宜選択することにより、要求される強度を満た
すことが出来る。これに対し鋼繊維がコンクリートから
抜け出すときの付着抵抗性は、コンクリートに作用する
応力の大きさに応じて二段階に変化するため引張強度の
ように一律には定め難い。例えば、小さな応力が作用す
る初期の段階では、コンクリートと鋼繊維の界面におけ
る接着力が支配的となる。一方、界面における接着力が
切れて鋼繊維が抜け出しを開始し、鋼繊維に高い応力、
歪みが生じる段階では、コンクリートと鋼繊維間の機械
的かみ合わせによる摩擦抵抗性が支配的になると考えら
れる。そこで、この鋼繊維が付着抜け出しする際の抵抗
力を高めるための方法が従来より種々に検討されてき
た。
【0005】すなわち、鋼繊維の付着抵抗性を高めるた
めの従来の技術としては、例えば特公昭60-9976号公報
には、鋼繊維の両端をフック状に折り曲げてコンクリー
トとの付着抵抗性を高めたものが開示されている。ま
た、特開平7-10619号公報には、鋼板を細く剪断加工し
て鋼繊維を形成し、その両端に波形形状の異形部を対称
に配して付着抵抗性を高める提案などがなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、大口
径のトンネルの2次巻き立てコンクリート(打込みコン
クリート)にSFRCが採用されるなど、SFRCを構
造体コンクリートして取り扱い、それに必要な強度、靭
性性能を要求することが多くなってきている。この場
合、従来の用途、例えば土間床などのSFRCに要求さ
れる性能より遙かに厳しい性能が要求されることにな
り、例えば曲げひび割れ後、鋼繊維に大きな歪みが生
じ、ひび割れ幅で6mm程度開いた段階に至るまでかなり
大きな曲げ靭性性能が規定されるような情勢にある。
【0007】このような厳しい要求性能値に対して、従
来の鋼繊維のように両端にフックを設けたコンクリート
補強用鋼繊維では要求される性能を満たすに足る付着抵
抗性が得られない場合があり、補強効果が低下するとい
う欠点があった。また、鋼板を剪断加工した鋼繊維の両
端に波形の異形部を設けた鋼繊維では、繊維の引張強度
が弱い場合には、高い応力が作用すると鋼繊維の何割か
が波形の異形部で破断し曲げ靭性性能が低下するという
問題点があった。
【0008】本発明の目的は、コンクリートに対し高い
付着性能を有し、コンクリートの靭性を大幅に向上させ
得ると共に、生産性に優れた実用性の高い鋼繊維を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のコンクリート補
強用鋼繊維は、断面が円形の鋼線を加工して製造される
コンクリート補強用の鋼繊維であって、前記鋼繊維の両
端部に配設され、前記鋼線を波形に加工して形成した波
形部を備える複数の異形部と、前記両異形部の間に形成
された前記波形部を備えない軸線部とを有することを特
徴とする。
【0010】本発明によれば、鋼繊維の引張強度とコン
クリートとの付着強度が程良くバランスした鋼繊維を得
ることができる。そして、当該鋼繊維をコンクリート中
に混入することにより、コンクリートに外力が作用して
ひび割れが発生した後も、鋼繊維がコンクリートとの高
い付着性能を維持しつつ付着抜け出しするため、コンク
リートの靭性を大幅に向上させることが可能となる。
【0011】また、前記コンクリート補強用鋼繊維にお
いて、前記鋼繊維の直径を0.8〜1.0mm、全長を4
0〜60mmとし、前記波形部の個数を2乃至3個として
も良い。これにより、高応力時においても破断する恐れ
が低く、コンクリートに対する高い付着抵抗性を有する
鋼繊維を安価に得ることができ、曲げタフネス性能が高
い高靭性のSFRCを低コストにて製造することが可能
となる。
【0012】さらに、前記鋼繊維の引張強度を9.81
×108〜11.8×108Paとしても良く、これによ
り、伸びと強度と価格のバランスがとれた鋼繊維を得る
ことができ、SFRCとしたときの性能も向上すると共
にコスト面でも有利となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形
態である鋼繊維の構成を示す材軸方向の横断面図であ
る。
【0014】本発明のコンクリート補強用鋼繊維(以
下、鋼繊維と略記する)1は、断面が円形のピアノ線材
や硬鋼線等の鋼線を曲げ加工して製造される。図1に示
すように、鋼繊維1の両端部には、コンクリートとの付
着抵抗性を高めるため、波形に成形された異形部2が配
設されている。この異形部2には複数の波形部3が設け
られており、波形部3は図1において左右対称に設けら
れている。また、異形部2の間、つまり鋼繊維1の中央
部には、波形部3のない直線状の軸線部4が設けられて
いる。
【0015】ここで、本発明の鋼繊維1は、前述のよう
に、断面が円形となった丸線を用いて形成されている。
これは、波形部3における強度確保と、異形部2の加工
工程を簡略化するためである。すなわち、丸線をそのま
ま曲げ加工して波形部3を形成することにより、鋼板を
細く剪断加工した扁平四角形断面に波形部3を形成する
場合や、鋼線を扁平に加工した後に波形部3を加工する
場合等に比べて、異形部形成時における波形部3の強度
低下を少なくできる。また、丸線をそのまま曲げ加工す
るため異形部加工時の工程が簡略化され、製造コストの
低減を図ることが可能となる。
【0016】一方、鋼繊維1の両端に波形に加工した異
形部2を設け、その間に直線状の軸線部4を形成するこ
との優位性は、次に示す確率論で説明できる。図2はひ
び割れ断面における鋼繊維の出現確率を表す概念図であ
る。図2に示すように、ひび割れ断面11における鋼繊
維1の埋め込み長さは、最大はL/2(L:鋼繊維の全
長)、最小は0となる。よってひび割れ断面11が鋼繊
維1のどの位置に出現するかは、確率的にはL/4を平
均値とする次に示す正規分布に従うことになる。
【0017】
【数1】
【0018】この正規分布によれば、図2に示す鋼繊維
1のL/2の位置から鋼繊維端部の方向に0.1L〜
0.2L入った位置までの範囲にひび割れ断面11が出
現する確率は、それぞれ7%および14%と算定され
る。つまり、鋼繊維1の中央部近傍にひび割れ断面11
が出現する確率は比較的小さく、鋼繊維1の中央部は波
形部3の数を少なくするか、あるいは全く設けなくとも
その影響は少ない。むしろ、鋼繊維1の両端部分に波形
部3を配し、中央部は直線状のまま残す方がSFRCと
しての強度、靭性を高める上でより合理的となる。従っ
て、本発明の鋼繊維1においても、両端部に波形部3を
有する異形部2を配し、その中央部は直線状の軸線部4
として、SFRCとしての性能を担保している。
【0019】また、鋼繊維の全長Lについては、波形部
3の寸法、個数が適切に選択されていると、主としてコ
ンクリートに用いる粗骨材の最大寸法に依存してSFR
C性能が定まり、粗骨材寸法の2倍程度の鋼繊維長さの
とき曲げ強度等の性能が最も高くなると言われている。
この場合、打込みコンクリートに用いられる粗骨材の最
大寸法は通常20〜25mmであることから、鋼繊維1の
全長Lとしては40〜60mmが望ましく、当該鋼繊維1
もその範囲の寸法に形成される。なお、このような寸法
の鋼繊維1では、打込みコンクリートではその混入量が
コンクリート1m3当たり40kg程度となる。従って、全
長30mm前後の短繊維を80kg/m3と多く用いる吹付コ
ンクリートに比べて混入量が少なく、コンクリート中で
の繊維の分散も良好で所定の補強効果を得ることができ
る。
【0020】さらに、異形部2の寸法、形状、個数につ
いては、波形部3の寸法、形状、山の高さ等を変えた多
数の鋼繊維供試品を作り、実験を重ねてその最適値を検
討した。ここでは、鋼繊維とコンクリートとの付着強度
試験並びに日本コンクリート工学協会「鋼繊維補強コン
クリート研究小委員会」による「繊維補強コンクリート
の曲げ強度および曲げタフネス試験方法(案)」に基づ
くSFRCの曲げ試験を実施した。
【0021】実験によれば、鋼繊維1に使用する丸鋼線
の引張強度は9.81×108〜11.8×108Pa(10
0〜120kgf/mm2)、鋼繊維の直径は0.8〜1.0
mm、波形部3の個数はそれぞれ2〜3個、波形部3の山
の高さHは鋼繊維の直径Dに対して0.35<H/D<
0.6の範囲、波形部3が交互に出現するピッチ長さp
は鋼繊維の全長Lに対して0.08<p/L<0.13
の範囲にある鋼繊維の形状とすれば、SFRCとした場
合に鋼繊維1の引張強度とコンクリートの付着強度が程
良くバランスすることが判明した。そして、これらの条
件を満たすことにより、SFRCの曲げ強度および曲げ
ひび割れ発生後の曲げタフネスも大きくなり、鋼繊維1
による補強効果を最も大ならしめる補強コンクリートを
得ることが可能となる。
【0022】そこで、これらの条件について順に説明す
る。まず、異形部2の加工を行う際には、波形部3の塑
性加工変形によって必ず原素材より強度低下が生じる。
従って、鋼繊維1の原素材である丸鋼線の引張強度が
9.81×108Pa(100kgf/mm2)より低い場合に
は、曲げひび割れ後、鋼繊維が高い応力や歪みを受けた
場合には、波形部3で破断する恐れがあり、SFRCの
強度、靭性が低下するため好ましくない。一方、11.
8×108Pa(120kgf/mm2)を超えると繊維が破断
することはないが、鋼線の硬度が増すため波形部3の加
工を施す作業効率が低下すると共に、鋼線の単価も増大
することから経済的でない。従って、9.81×108
11.8×108Pa(100〜120kgf/mm2)の引張強
度の範囲の丸鋼線であれば鋼繊維の伸びと強度のバラン
スが程良くとれ、SFRCとしたときの性能も向上する
と共にコスト面でも有利であり、この範囲の素材を用い
ることが好ましい。
【0023】次に、鋼線の直径は0.8〜1.0mmの範
囲が好ましい。この場合、1.0mmを超えると鋼繊維1
本当たりの引張強さは大きくなるが、コンクリート中で
の鋼繊維総本数が少なくなり、SFRCとして見た場
合、曲げタフネス性能が低下する問題がある。一方、
0.8mm未満では鋼繊維のコンクリート中での総本数は
多くなるが繊維1本当たりの引張強さは低下し、高い応
力、歪みが作用した場合、繊維が破断する恐れが高くな
る。また、直径が細くなると鋼繊維の生産性が低下し、
さらにこの種の鋼線は直径がある程度以上細くなるとコ
ストが高くなり製造単価が上昇する問題がある。従っ
て、直径が0.8〜1.0mmの範囲の鋼線は鋼線の単価
も安価で経済的であり、また、コンクリート中に分散す
る鋼繊維の本数も要求される性能を満たすに足る十分な
本数が得られ、コンクリートとの練り混ぜ性も良好であ
る。
【0024】さらに、鋼繊維1の両端に対称に配する波
形部3の個数は、片側それぞれに2乃至3個とするのが
好ましい。波形部3の個数をこの範囲にすれば、鋼繊維
の引張強度と付着抵抗力が程良くバランスし、大きな応
力が作用する領域まで繊維が破断することなく、高い付
着抵抗性を維持しながら付着抜け出しするような高靭性
のSFRCが得られる。この場合、波形部3の個数を1
個とすると、付着抜け出しの際に鋼繊維1が破断するこ
とはないが付着抵抗力が小さく耐力、靭性とも小さくな
る。一方、個数を4個以上とすると、大きな応力が作用
すると付着抵抗力が鋼繊維1の引張強度より過大となり
繊維が破断することがある。また、コンクリート強度が
低くて鋼繊維1が破断しない場合には、鋼繊維1がコン
クリートから抜け出ようとする際に、波形部3の割り裂
き作用により、異形部2の近辺のコンクリートを局所的
に破壊し、引き抜き抵抗力がかえって低下することがあ
り好ましくない。
【0025】加えて、波形部3の山の高さHは鋼繊維1
の直径Dに対して0.35<H/D<0.6の範囲が好
ましい。この場合、H/Dがこれよりも小さいとコンク
リートとの付着抵抗性が小さく好ましくない。一方、H
/Dがこれよりも大きくなると付着抵抗性は高くなる
が、波形部3の加工の際の塑性加工変形による波形部の
強度低下が大きく、繊維が付着抜け出しするときに繊維
が破断して耐力、靭性が低下することがあり好ましくな
い。
【0026】さらに、波形部3のピッチ長さpは鋼繊維
1の全長Lに対して0.08<p/L<0.13の範囲
にあるのが好ましい。この場合、ピッチ長さがこれより
長くなると鋼繊維の両端に設ける波形部3の個数が少な
くなり過ぎてコンクリートとの付着抵抗力が低下する。
一方、ピッチ長さがこれより短いとピッチ長さが小さい
ほど高い付着抵抗力を得ることができるが、波形の異形
部を加工する際に波形の湾曲が大きくなり過ぎて塑性加
工変形が生じ、波形部3の引張強度が極端に低下するこ
とがあり好ましくない。
【0027】このように、当該鋼繊維1では、原材料の
物性や波形部3の個数、山の高さ等を好適範囲を設定す
ることにより、引張強度とコンクリートとの付着強度が
好適にバランスし、鋼繊維に求められる要求を最大に発
揮する作用効果を示すと共に、生産性の向上を図り製品
コストを低減させることが可能となる。また、当該鋼繊
維1をコンクリート中に混入することにより、コンクリ
ートに外力が作用してひび割れが発生した場合であって
も、鋼繊維1がコンクリートとの高い付着性能を維持し
つつ付着抜け出しするため、コンクリートの靭性等を低
コストにて大幅に向上させることが可能となる。
【0028】
【実施例】次に、鋼繊維1について実施した引張試験な
らびに鋼繊維付着引き抜き試験の結果につき、その結果
を比較例を参照しつつ説明する。まず、本発明に基づく
供試品として、直径0.9mm、引張強度約11.1×1
8Pa(113kgf/mm2)、炭素含有量が0.04重量
%の低炭素丸鋼線を原素材とした鋼繊維1を製作した。
ここでは、鋼繊維1の全長L=50mm、波形部3のピッ
チ長さp=5mmとし、両端にそれそれ2個、3個の波形
部3を持つ異形部2を対称に設けた。波形部3の山の高
さは、H=0.4mm、0.5mmとし、鋼繊維を計4種類
試作した(本発明品1〜4)。そして、異形部2の強度
を調べるための鋼繊維直接引張試験を行うと共に、鋼繊
維の付着引き抜き特性を調べるため、図3に示すように
粗骨材の最大寸法が5mmの豆砂利を使用したコンクリー
トの中に鋼繊維1を1本を埋め込み、これを引き抜く鋼
繊維付着引き抜き試験を実施した。
【0029】試験では、比較材として、片側の波形部の
個数を1個、山の高さH=0.5mmとした鋼繊維(比較
材1)、片側の波形部の個数を3個、山の高さH=0.
7mmとした鋼繊維(比較材2)、片側の波形部の個数を
4個、山の高さH=0.5mmとした鋼繊維(比較材
3)、片側の波形部の個数を3個、山の高さH=0.3
mmとした鋼繊維(比較材4)も併せて試験を行った。な
お、鋼繊維直接引張試験および鋼繊維付着引き抜き試験
では容量4.90×103N(500kgf)の引張試験機
を使用した。
【0030】また、鋼繊維付着引き抜き試験に用いる豆
砂利コンクリート5の供試体の大きさは4×4×4cmの
立方体で、材齢28日の圧縮強度は4.41×107Pa
(450kgf/cm2)であり、鋼繊維は供試体中央部に
埋め込み深さ20mmで埋め込んだ。表1は、鋼繊維直接
引張試験の結果を示したもので、表中の値は鋼繊維10
本の引張試験の平均値である。
【0031】
【表1】
【0032】表1より、波形加工した部分の引張強度
は、加工の際の塑性加工変形により波形部の山の高さが
大きくなるにつれて引張強度が低下していることが分か
る。なお、試験における鋼繊維の破断箇所は全て波形の
加工部で破断した。コンクリート圧縮強度が3.92×
107〜4.90×107Pa(400〜500kgf/cm2
の範囲で鋼繊維混入量が40kg/m3程度の場合、鋼繊維
1本当たりに作用する最大引き抜き抵抗力は50kg前後
であることから、本発明の鋼繊維1は、ひび割れ発生
後、繊維が付着抜け出しする際に破断することはない
が、山の高さH=0.7mmの鋼繊維は破断する恐れが高
い。
【0033】表2に、豆砂利コンクリート5中に埋め込
んだ鋼繊維の付着引き抜き試験の結果を示す。なお、試
験における豆砂利コンクリート供試体の個数は繊維1種
類について6体とした。
【0034】
【表2】
【0035】本発明品による鋼繊維は、豆砂利コンクリ
ート5に埋め込んだ波形部3の数および波形部3の山の
高さHが増すに従って引き抜き力Tが増加し、かつ鋼繊
維が破断することなく全て付着抜け出しした。但し、波
形部3の数を4個としたものは、鋼繊維が破断するもの
と付着抜け出しするものが混在し、波形部の山の高さを
H=0.7mmとしたものは、付着抵抗力が鋼繊維の引張
強度より過大となり鋼繊維が抜け出す前に全て破断し
た。また、山の高さがH=0.3mmのものおよび波形部
3の個数が1個のものは全て付着抜け出ししたが、引き
抜き力Tは本発明品よりはるかに低かった。
【0036】さらに、表3に示す配合で製造した鋼繊維
補強コンクリートを用いて、日本コンクリート工学協会
で提案されている図4の2点載荷曲げタフネス試験を支
点間距離45cmの条件で実施し、荷重−たわみ曲線を測
定すると共に、SFRCの曲げ靭性性能の評価指標とな
る材齢28日曲げ靭性係数を算定した。なお、図4にお
いてPは小型梁供試体6に負荷される曲げ荷重である。
この場合、曲げ靭性係数は、コンクリートの曲げひび割
れ後にSFRCが吸収するエネルギーの大きさを表す指
標で、この値が大きいほどSFRCの曲げ靭性性能が優
れていることになる。
【0037】
【表3】
【0038】表3に示す配合で使用した材料は、セメン
トとしては普通ポルトランドセメント(比重3.16)を使
用し、細骨材には大井川水系川砂(表乾比重2.62)、粗
骨材には大井川水系川砂利(表乾比重2.65、Max.size 2
5mm)、高性能減水剤には竹本油脂社の「チューポール
HP−8」(ポリカルボン酸系)を使用した。また、
鋼繊維の混入量は39.3kg/m3(0.5vol.%)と
し、鋼繊維混入後のコンクリートの練り上がり時のスラ
ンプ値は17〜19cm、空気量は3.5±1.5%と
なるようにコンクリートを製造した。
【0039】ここでは、横断面が15×15cm、長さ
が53cmの小型梁供試体6を鋼繊維1種類について4
体それぞれ作製して、28日間の標準水中養生を行った
後、試験を実施した。試験時におけるコンクリートの圧
縮強度は4.53×107N(462kgf/cm2)であ
り、試験では供試体6の中央部におけるたわみが5mmに
達するまで載荷した。また、試験に供した鋼繊維は、本
発明によるものとしては、全長L=50mm、鋼繊維の直
径0.9mm、鋼繊維の片側の波形部の個数が3個で、波
形部の山の高さがそれぞれH=0.4mmおよび0.5mm
の2種類の鋼繊維を用いた。一方、比較材としては、全
長L=50mm、鋼繊維の直径0.9mm、片側の波形部の
個数が4個、波形部の山の高さH=0.4mmの鋼繊維お
よび全長L=50mm、鋼繊維の直径1.05mm、片側の
波形部の個数3個、波形部の山の高さH=0.4mmの鋼
繊維の2種類を用いた。
【0040】表4は各鋼繊維に対する材齢28日の曲げ
靭性係数の値を示したものであり、図5は得られた荷重
−たわみ曲線の典型的な例を示したものである。なお、
表4の曲げ靭性係数の値は、中央たわみが5mmに達した
ときの値である。また、図5において、(a)は本発明品
1による荷重−たわみ曲線、(b)は本発明品2、(c)は比
較材1、(d)は比較材2による荷重−たわみ曲線をそれ
ぞれ表す。
【0041】
【表4】
【0042】表4および図5より、本発明による鋼繊維
の曲げ靭性係数は比較材に比べて最大で約2倍と高いこ
とが分かる。また、曲げひび割れ発生後も鋼繊維が1本
も破断せずに高い付着強度を維持しながら付着抜け出し
するため、変形の大きな領域まで耐力の落ち込みの少な
い優れた曲げ靭性性能を示した。
【0043】一方、比較材2は、曲げひび割れ発生後、
たわみが1mm前後を過ぎた当たりから、曲げ変形が進行
するにつれ鋼繊維が次々に破断して、耐力の落ち込みが
大きく曲げ靭性係数の値も低かった。これに対して比較
材1は繊維の直径が太く、繊維1本当たりの引張強さが
大きいため、曲げひび割れ後繊維が破断することはなか
ったが、コンクリート中の鋼繊維の総本数が本発明品に
比べて約3割少ないため、曲げひび割れ後の耐力は本発
明品より低く、耐力低下の割合も高くなった。
【0044】さらに、曲げ試験終了後、試験体をひび割
れ面で二つに割り、ひび割れ面における鋼繊維の分散状
況を目視観察したところ、波形の異形部を片側4個それ
ぞれ設けた比較材2の鋼繊維は、鋼繊維間のからみが大
きく、コンクリート中で鋼繊維が偏在する箇所が見受け
られた。これに対し本発明品は、鋼繊維間のからみがな
くコンクリート中に均一に分散し、繊維の分散性は良好
であった。本発明品の分散性の良さは、鋼繊維の持つ優
れた性能をさらに高めるものであり、SFRCの曲げ靭
性性能を著しく向上させることになる。
【0045】本発明は前記実施の形態に限定されるもの
ではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能で
あることはいうまでもない。たとえば、図1の鋼繊維1
や実施例において本発明品1〜4に適用した寸法等の各
数値はあくまでも一例であり、本発明が前述の形態に限
定されないのは言うまでもない。また、原素材として、
ピアノ線材や硬鋼線のみならず、ステンレス線材を用い
ることも可能である。
【0046】さらに、図1の鋼繊維1では波形部3が左
右対称に設けられているが、それを左右非対称に形成し
ても良い。また、図1の鋼繊維1では各異形部2にて波
形部3が同じ方向に設けられているが、それを上下反対
の位置等、異なる位置関係に形成することも可能であ
る。
【0047】
【発明の効果】本発明のコンクリート補強用鋼繊維によ
れば、円形断面の鋼線を用いて両端部に波形部を形成す
ると共に、中央部を直線状の軸線部としたので、引張強
度とコンクリートとの付着強度が程良くバランスした実
用性の高い鋼繊維を得ることができる。そして、当該鋼
繊維をコンクリート中に混入することにより、コンクリ
ートに外力が作用してひび割れが発生した後も、鋼繊維
がコンクリートとの高い付着性能を維持しつつ付着抜け
出しするため、コンクリートの靭性を大幅に向上させる
ことが可能となる。
【0048】また、鋼繊維の直径を0.8〜1.0mm、
全長を40〜60mmとし、前記波形部の個数を2乃至3
個とすることにより、高応力時においても破断する恐れ
が低く、コンクリートに対する高い付着抵抗性を有する
生産性が高く極めて実用性の高い鋼繊維を得ることがで
き、曲げタフネス性能が高い高靭性のSFRCを低コス
トにて製造することが可能となる。
【0049】さらに、前記鋼繊維の引張強度を9.81
×108〜11.8×108Paとすることにより、伸びと
強度と価格のバランスがとれた鋼繊維を得ることがで
き、それを用いたSFRCの性能も向上すると共にコス
ト面でも有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である鋼繊維の構成を示
す材軸方向の横断面図である。
【図2】ひび割れ断面における鋼繊維の出現確率を表す
概念図である。
【図3】豆砂利コンクリート中に埋め込んだ鋼繊維の付
着引き抜き試験の概念図である。
【図4】SFRC曲げ試験方法の概要図である。
【図5】SFRC曲げ試験により得られた典型的な荷重
−たわみ曲線である。
【符号の説明】
1 コンクリート補強用鋼繊維 2 異形部 3 波形部 4 軸線部 5 豆砂利コンクリート 6 小型梁供試体 11 割れ断面 D 鋼繊維直径 H 波形部の山の高さ L 鋼繊維全長 p 波形部ピッチ長さ T 引き抜き力 P 曲げ荷重

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面が円形の鋼線を加工して製造される
    コンクリート補強用の鋼繊維であって、 前記鋼繊維の両端部に配設され、前記鋼線を波形に加工
    して形成した波形部を備える複数の異形部と、 前記両異形部の間に形成された前記波形部を備えない軸
    線部とを有することを特徴とするコンクリート補強用鋼
    繊維。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のコンクリート補強用鋼繊
    維において、前記鋼繊維の直径は0.8〜1.0mm、全
    長は40〜60mmであり、前記異形部における波形の個
    数は2乃至3個であることを特徴とするコンクリート補
    強用鋼繊維。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のコンクリート補
    強用鋼繊維において、前記鋼繊維の引張強度が9.81
    ×108〜11.8×108Paであることを特徴とするコ
    ンクリート補強用鋼繊維。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012529416A (ja) * 2009-06-12 2012-11-22 ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム 高伸長繊維
JP2012529582A (ja) * 2009-06-12 2012-11-22 ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム 優れた定着部を備える高伸長繊維
JP2019156669A (ja) * 2018-03-09 2019-09-19 小松マテーレ株式会社 コンクリート補強用繊維強化複合材料、コンクリート構造物
JP7329666B2 (ja) 2018-03-09 2023-08-18 小松マテーレ株式会社 コンクリート補強用繊維強化複合材料、コンクリート構造物

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JP7101498B2 (ja) 2018-03-09 2022-07-15 小松マテーレ株式会社 コンクリート補強用繊維強化複合材料、コンクリート構造物
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