JP2012529416A - 高伸長繊維 - Google Patents

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Abstract

本発明は、コンクリートまたはモルタルを補強するための鋼繊維に関する。この繊維は、中央部分と2つの端部を有する。中央部分は、引張強度が少なくとも1000Nであり、かつ最大荷重時伸びAg+eが少なくとも2.5%である。本発明はさらに、かかる鋼繊維を含むコンクリート構造に関する。

Description

本発明は、モルタルまたはコンクリートを補強するのに適した、特に従来のコンクリートを補強するのに適した、新しい種類の鋼繊維に関する。この鋼繊維は、高い伸びを特徴とする。本発明はまた、この種類の鋼繊維によって補強した従来のコンクリートの構造に関する。さらに、本発明は、従来のコンクリート、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリートまたはポストテンションコンクリートの補強のためのこの種類の鋼繊維の使用に関する。
コンクリートまたはモルタルを鋼繊維で補強してコンクリートまたはモルタルの品質を改善することは周知である。鋼繊維は、例えば従来のコンクリートを補強するために使用される。
用語「従来のコンクリート」は、75MPaよりも低い(1MPa=1メガ−パスカル=1ニュートン/mm)、例えば、70MPaよりも低い、好ましくは60MPaよりも低い圧縮強度を有するコンクリートをさす。
欧州特許第851957号明細書(NVベカルトSA社)は、扁平なかぎ形の端部をもつ鋼繊維を教示する。それによって、かかる繊維を用いて補強されたコンクリートの亀裂後の曲げ強度は非常に改善される。
米国特許第4883713号明細書(Eurosteel社)は、鋼繊維補強コンクリートへの鋼繊維の定着特性を改善するために円錐形の端部を有する円筒形の鋼体からなる鋼繊維を教示する。
これらの2つの引用文献、ならびにその他の文献は、従来の鋼繊維コンクリートの特性が、コンクリートへの鋼繊維の定着特性の改善により大いに改善され得ることを既に教示している。
現在、コンクリート補強機能のための既知の先行技術の鋼繊維は、コンクリート構造の使用限界状態(SLS)を改善するために非常に優れている、すなわち、典型的な三点曲げ試験の間(試験に関しては、欧州規格EN 14651−曲げ引張強さを測定する、金属繊維コンクリートのための試験方法を参照されたい)、0.5mm以下の亀裂もしくは亀裂開口変位(CMOD)、例えば、0.1mm〜0.3mmの範囲のCMODを非常に良くブリッジする。言い換えれば、扁平なかぎ形の端部をもつ鋼繊維および円錐形の端部を有する繊維のような既知の鋼繊維は、約0.5mmまでの亀裂の幅または増大を制限するために十分に機能する(SLS)。目下これらの繊維の不利点は、終局限界状態(ULS)での比較的低い性能である。特に、終局限界状態(ULS)と使用限界状態(SLS)の亀裂後強度の比率が比較的低い。この比率は、荷重値FR,1(CMOD=0.5mm)およびFR,4(CMOD=3.5mm)により決定される。一部の先行技術の繊維は、ULSで必要とされるよりも低いCMODで破断するため、ULSで機能しない。その他の繊維は、かぎ形の端部をもつ繊維のように、引き抜かれるよう設計されている。引抜により、それらの繊維は、既に小さい変位に対して変位−軟化挙動を示す。
ULSでのこの性能の低さにもかかわらず、現在既知の鋼繊維は、終局限界状態(ULS)を改善するために、いわゆる構造材用途にも使用され得る。ここで、既知の鋼繊維は、従来の補強、例えば鉄筋、メッシュ、プレストレシング(pre−stressing)、およびポストテンショニング(post−tensioning)などの代わりに、またはそれに加えて、荷重を担うかまたは受けることが見込まれている。しかし、そのような荷重支持機能において効果的であるためには、これらの現在の鋼繊維を、通常の添加量の20kg/m〜40kg/mを大幅に上回る莫大な添加量で使用する必要がある。この莫大な添加量は、作業性の問題、例えば混合および設置の問題などを引き起こす可能性がある。
本発明の目的は、コンクリートまたはモルタルに、特に従来のコンクリートに埋め込まれたときに、新しい機能を実現する能力のある、新しい種類の鋼繊維を提供することである。
本発明の目的は、欧州規格EN 14651(2005年6月)に従う三点曲げ試験の間に0.5mmよりも大きい亀裂開口変位を永久にブリッジする能力のある、新しい種類の鋼繊維を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、高添加量を必要とすることなく、構造材用途において荷重を受ける、新しい種類の鋼繊維を提供することである。
本発明の第1の態様によれば、コンクリートまたはモルタル、特に従来のコンクリートを補強するのに適した鋼繊維が提供される。この鋼繊維は、中央部分と2つの端部、すなわち、中央部分の一つの端の第1の端部および中央部分のもう一方の端の第2の端部を有する。中央部分の引張強さR(単位はMPa)は、少なくとも1000MPaである。さらに、本発明に従う鋼繊維、およびより具体的には、本発明に従う鋼繊維の中央部分は、最大荷重時伸びAg+eが少なくとも2.5%である。
最大荷重時伸び
本発明の文脈において、破断点伸びAでない最大荷重時伸びAg+eは、鋼繊維の、より具体的には鋼繊維の中央部分の伸びを特徴づけるために使用される。一度最大荷重に達すると、鋼繊維の利用可能な表面の収縮が開始し、それよりも大きな荷重は引き受けられないためである。最大荷重時伸びAg+eは、最大荷重時の塑性伸びAと弾性伸びの合計である。最大荷重時伸びは、鋼繊維の中央部分の波状特性(ある場合)に起因し得る構造伸びAを含まない。波状の鋼繊維の場合、その鋼繊維を最初に真っ直ぐにしてからAg+eが測定される。
本発明に従う鋼繊維の中央部分の最大荷重時伸びAg+eは、少なくとも2.5%である。本発明の特定の実施形態によれば、鋼繊維の中央部分の最大荷重時伸びAg+eは、2.75%よりも高いか、3.0%よりも高いか、3.25%よりも高いか、3.5%よりも高いか、3.75%よりも高いか、4.0%よりも高いか、4.25%よりも高いか、4.5%よりも高いか、4.75%よりも高いか、5.0%よりも高いか、5.25%よりも高いか、5.5%よりも高いか、5.75%よりも高いか、またはさらに6.0%よりも高い。
高度の最大荷重時伸びAg+eは、熱処理などの特定の応力除去処理を鋼繊維の原料となる鋼ワイヤに適用することによって得ることができる。
従来の鋼繊維は、比較的小さい最大荷重時伸びAg+e(最大荷重時伸びAg+eは最大2%)をもつワイヤから作られている。従って従来のコンクリート中の従来の鋼繊維は、母材から引き抜かれるように設計されている(かぎ形の端部をもつ繊維)。当技術分野で公知のその他の鋼繊維は、ULSで必要とされるよりも低いCMODで破断するため、ULSで機能しない。かかる鋼繊維の例は、円錐形の端部をもつ鋼繊維である。
本発明に従う繊維は、高い最大荷重時伸びAg+eをもつ鋼ワイヤに起因して伸長する。それらは伸長し、ULSに達するまで破断しない。さらに、本発明に従う繊維は高い引張強さを有するので、この種類の鋼繊維で補強されたコンクリートは、高い荷重に耐えることができる。
この最大荷重でのワイヤの高い伸び値は、0.5mmよりも大きい亀裂開口変位をブリッジさせるはずであり、通常のレベルの添加量で、従来の補強の代わりに、または従来の補強に加えて、荷重を引き受けるはずである。そのため新しい種類の鋼繊維は、コンクリート構造の終局限界状態(ULS)を改善する。この新しい繊維は、耐久性を改善するだけでなく、支持力または荷重容量も改善する。
引張強さR
本発明に従う鋼繊維、すなわち、本発明に従う鋼繊維の中央部分は、高い引張強さRを有することが好ましい。引張強さRは、鋼繊維が引張試験の間に耐える最大の応力である。鋼繊維の中央部分の引張強さR(すなわち、最大荷重容量Fを鋼繊維の元の断面積で割ったもの)は、好ましくは1000MPaより上、より具体的には1400MPaより上、例えば、1500MPaより上、例えば、1750MPaより上、例えば、2000MPaより上、例えば、2500MPaより上である。本発明に従う鋼繊維の高い引張強さは、該鋼繊維が高い荷重に耐えることを可能にする。このように、より高い引張強さは、従来のコンクリート中に必要な繊維の、より低い添加量に直接反映される。
発明に従う鋼繊維の高い延性または高い伸びのために、繊維は、EN 14651に従う三点曲げ試験において、1.5mmより上、2.5mmより上または3.5mmより上のCMODで破断しない。鋼繊維の高い延性または伸びによって、より広い開口部をもつ亀裂がブリッジされることが可能となり、亀裂の発生後のコンクリートの亀裂後強度は、亀裂幅の増大とともに増大する。または、一度コンクリートが亀裂すると、繊維補強コンクリートは、曲げ補剛挙動(bending stiffening behaviour)を示す。
好ましい実施形態では、鋼繊維は、中央部分および、コンクリートまたはモルタルに鋼繊維を定着させるための定着端部(anchorage end)を含む。そのような好ましい実施形態では、コンクリートまたはモルタル中の鋼繊維の定着力は、鋼繊維の中央部分の最大荷重容量Fの50%よりも高いことが好ましい。定着力は、引抜試験の間に到達する最大荷重によって決まる。この引抜試験に関して、鋼繊維は1つの端部をコンクリートまたはモルタルに埋め込まれている。この試験は、さらにより詳細に説明される。
本発明の好ましい実施形態によれば、鋼繊維は、より高い定着力、例えば最大荷重容量Fの60%よりも高い、70%よりも高い、または80%よりも高い定着力を有する。より好ましくはコンクリートまたはモルタル中の鋼繊維の定着力は、さらに90%よりも高い、例えば92%、95%、98%よりも高い、またはさらに99%よりも高い。
コンクリートまたはモルタル中の鋼繊維の定着の程度が高いほど、コンクリートまたはモルタルの残留強度は高い。鋼繊維がコンクリートから滑り出るのをうまく抑制されればされるほど、鋼繊維の中央部分の最大限の強度がうまく使用される。例えば、コンクリートまたはモルタル中の鋼繊維の定着力が90%である場合、鋼繊維の中央部分の最大限の強度の90%が使用され得る。
コンクリートにおける高度の定着は、例えば、端部を厚くするかまたは大きくすることにより、冷間圧造により、鋼繊維を平らにすることにより、鋼繊維の端部に顕著なフックを作成することにより、端部を波形にすること(ondulating)により、あるいはこの組合せにより、様々な方法で得ることができる。定着端部は、例えば厚くなった定着端部、増大した定着端部、冷間圧造された(cold headed)定着端部、扁平な定着端部、曲がった定着端部、波状の(ondulated)定着端部またはそれらのあらゆる組合せである。
いくつかの端部がその他の端部よりも良好な定着をもたらす機構については、完全に理解されておらず、定着の程度は、例えば数学的なモデリングによって予測することができない。したがって、本発明によれば、1つの端部がコンクリートまたはモルタル中にあるという条件で鋼繊維を埋め込むことによって、かつ、鋼繊維を引抜試験(荷重変位試験)に供することによって、鋼繊維の定着力を決定することが提案される。
鋼繊維、より具体的には鋼繊維の中央部分は、一般に0.10mm〜1.20mmの範囲の直径Dを有する。鋼繊維の断面、より具体的には鋼繊維の中央部分が円形でない場合、直径は、鋼繊維の中央部分の断面と同じ表面積をもつ円の直径に等しい。鋼繊維、より具体的には鋼繊維の中央部分は、一般に40〜100の範囲の長さ対直径比L/Dを有する。
鋼繊維の中央部分は、一直線または直線状(rectilinear)であってよい。あるいは、うねり状(wavy)または波状(ondulated)であってよい。
本発明の第2の態様によれば、本発明に従う鋼繊維を含むコンクリート構造が提供される。コンクリート構造は、例えば従来のコンクリートを含む。コンクリート構造のULSでの平均亀裂後残留強度は、3MPaを上回る、例えば、4MPaより大きい、例えば、5MPa、6MPa、7MPa、7.5MPaより大きい。コンクリート構造中の鋼繊維の添加量は、好ましくは、必ずしもそうである必要はないが、80kg/m未満、好ましくは60kg/m未満である。コンクリート中の鋼繊維の添加量は、一般に20kg/m〜50kg/m、例えば、30kg/m〜40kg/mの範囲であってよい。
本発明の第3の態様によれば、コンクリートの荷重支持構造のための、上記のような鋼繊維の使用が提供される。特に、本発明は、従来のコンクリート、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリートまたはポストテンションコンクリートの構造における、新しい種類の鋼繊維の使用に関する。
本発明は、添付の図面を用いて以下の説明においてさらに説明される。
鋼繊維の引張試験(荷重−歪試験)を示す図である。 コンクリートまたはモルタルに埋め込まれた鋼繊維の引抜試験(荷重−変位試験)を示す図である。 先行技術の鋼繊維および本発明に従う鋼繊維の荷重−歪曲線を示す図である。 本発明の鋼繊維を示す図である。 本発明の鋼繊維を示す図である。 本発明の鋼繊維を示す図である。
本発明は、特定の実施形態に関して、特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載されている図面は概略的なものでしかなく、非限定的である。図面において、一部の要素の大きさは、説明のために誇張され、縮尺どおりに描かれていない可能性がある。寸法および相対寸法は、本発明の実際の縮率に対応しない。
以下の用語は、本発明の理解を助けるためだけに提供される。
−最大荷重容量(F):鋼繊維が引張試験の間に耐える最大荷重
−最大荷重時伸び(Elongation a maximum load)(%):元のゲージ長の百分率として表される、最大力での鋼繊維のゲージ長の増加
−破断点伸び(%):元のゲージ長の百分率として表される、破断の瞬間のゲージ長の増加;
−引張強さ(R):最大荷重(F)に相当する応力
−応力:鋼繊維の元の断面積で除算した力
−添加量:1容積のコンクリートに加えられた繊維の量(kg/mで表す)。
本発明を説明するために、いくつかの異なる鋼繊維、先行技術の鋼繊維および本発明に従う鋼繊維を、いくつかの異なる試験に供した。
−引張試験(荷重−歪試験)および
−引抜試験(荷重−変位試験)。
引張試験は、鋼繊維、より具体的には鋼繊維の中央部分に適用される。あるいは、引張試験は、鋼繊維を製造するために使用されるワイヤに適用される。引張試験を用いて、鋼繊維の最大荷重容量Fが決定され、最大荷重時伸びAg+eが決定される。引抜試験は、コンクリートまたはモルタルに1つの端部が埋め込まれている鋼繊維に適用される。引抜試験は、コンクリートまたはモルタルにおける鋼繊維の定着力を測定するために使用され、さらに、コンクリートまたはモルタルに埋め込まれた鋼繊維の絶対変位を決定するために使用することができる。これらの試験は、図1および図2にそれぞれ説明されている。
図1は、コンクリート補強に適した鋼繊維の伸びを測定するための試験設定60を示す。試験する鋼繊維の定着端部(例えば増大したかまたはかぎ形の端部)を最初に切断する。残った鋼繊維の中央部分14を、2組のクランプ62、63の間に固定する。クランプ62、63によって、漸増する引張力Fが鋼繊維の中央部分14にかかる。伸び計のグリップ64、65の変位を測定することにより、この漸増する引張力Fによる変位または伸びを測定する。Lは、鋼繊維の中央部の長さであり、例えば、50mm、60mmまたは70mmである。Lは、は、クランプ間の距離であり、例えば、20mmまたは25mmである。Lは、伸び計のゲージ長であり、最小10mm、例えば、12mm、例えば、15mmである。鋼繊維の中央部分14に対する伸び計のグリップを改善するため、鋼繊維の中央部分14をコーティングするか、または、薄いテープで覆って伸び計が鋼繊維から滑り落ちることを回避することができる。この試験により、荷重−伸び曲線を記録する。最大荷重時の全伸び率は、次式により計算する。
g+e=最大荷重時伸び/伸び計のゲージ長L×100
試験設定60によって、本発明の鋼繊維を、破断荷重F、引張強さRおよび最大荷重時全伸びAg+eに関して、いくつかの市販の先行技術の鋼繊維と比較した。1試験片につき5回の試験を行った。表1にその結果を要約する。
Figure 2012529416
本発明の繊維だけが、2.5%を上回る最大荷重時伸びを有する。
図2は、コンクリート中の鋼繊維の定着を測定するための試験設定を説明する。鋼繊維12は、その1つの端部がコンクリート立方体20に定着している。立方体20は、従来のコンクリートから作られる。コンクリート立方体20は、中心孔24をもつプラットフォーム22の上に載っていて、鋼繊維12はその中心孔を貫いて伸びている。プラットフォーム22は、立方体20の周囲にケージを構築する棒26に支えられている。鋼繊維12のもう一方の端部は切り取られ、クランプ28に固定されている。鋼繊維12が破断するかまたは立方体20から引き抜かれるまで、鋼繊維12上のクランプ28によって変位が行われる。力変位または荷重変位線図を記録する。
図3aは、先行技術の鋼繊維32および本発明に従う鋼繊維36の荷重−歪曲線を示す。荷重−歪曲線は、鋼繊維を図1に記載される試験に供することにより得られる。先行技術の鋼繊維の最大荷重Fは、800ニュートンよりも多少上である。この最大荷重Fは、約1200MPaの引張強さRに相当する。先行技術の鋼繊維の最大荷重時伸びAg+eは比較的低く、具体的には2.0%よりも低い。本発明に従う鋼繊維の荷重−歪曲線36を、先行技術の鋼繊維の荷重−歪曲線32と比較すると、2つの違いに気がつくことになる。まず第一に、最大荷重Fは、1400ニュートンよりも大きい、すなわち、曲線32の先行技術繊維の最大荷重Fよりもはるかに大きい。第2に、最大荷重時伸びAg+eも、曲線32の先行技術繊維の最大荷重時伸びAg+eよりもはるかに大きい。本発明に従う鋼繊維の最大荷重時伸びAg+eは、2.5%よりも大きい、あるいは3.0%または4.0%よりもさらに大きい。
図4a、図4bおよび図4cは、本発明に従う鋼繊維の実施形態を示す。図4aは、中央部分404および2つの定着端部402を有する鋼繊維400を示す。定着端部402は、増大した端部である。2つの定着端部402の間の中央部分404は、例えば一直線または直線状(rectilinear)である。中央部分404の断面は、例えば実質的に円形または丸形である。中央部分404の直径または厚さは、好ましくは0.4〜1.2mmの範囲である。中央部分404の長さ対直径比は、実践的理由および経済的理由から、主に40〜100の間に位置している。定着端部402は、補強されるコンクリートのマトリックス材料の中への鋼繊維400の定着を改善するための、実質的に円錐形の増大した端部である。
図4bは、中央部分414および2つの端部412を有する別の鋼繊維410を示す。中央部分414は一直線である。中央部分414の断面は、丸形かまたはわずかに扁平であってよい。2つの定着端部412は、増大した端部、より具体的には、かぎ形の増大した端部であり、前述の欧州特許第851957号明細書に従って扁平であってもよい。
図4cは、中央部分424および2つの定着端部422を有する、本発明に従う鋼繊維420のさらなる実施形態を示す。中央部分424は、波状である。定着端部422も波状である。中央部分424と定着端部422の波形部分は同じであっても異なっていてもよい。
鋼繊維400、410および420は、好ましくは1000MPa〜3000MPaの間、最も好ましくは1400MPa〜3000MPaの間、例えば、1600MPa〜3000MPaの間の引張強さを有する。
本発明に従う鋼繊維は、次の通り製造することができる。出発原料は、例えば5.5mmまたは6.5mmの直径をもつワイヤロッドであり、鋼組成は、0.50重量%の、例えば、0.60重量%以上の最小炭素含有量を有し、マンガン含有量は0.20重量%〜0.80重量%の範囲であり、シリコン含有量は0.10重量%〜0.40重量%の範囲である。硫黄含有量は、最大0.04重量%であり、リン含有量は、最大0.04重量%である。典型的な鋼組成は、0.725%炭素、0.550%マンガン、0.250%ケイ素、0.015%硫黄および0.015%リンを含む。別の鋼組成は、0.825%炭素、0.520%マンガン、0.230%ケイ素、0.008%硫黄および0.010%リンを含む。ワイヤロッドは、0.20mm〜1.20mmの範囲のその最終直径まで多数の延伸段階で冷間引抜される。鋼繊維に高い破断点伸びおよび最大荷重時伸びを与えるために、このようにして延伸されたワイヤを、例えば、通過するワイヤの速度に適合した長さの高周波または中周波誘導コイルにワイヤを通過させることにより、応力除去処理に供することができる。約300℃の温度での一定時間の熱処理により、破断点伸びおよび最大荷重時伸びを増加させることなく、引張強さを約10%低下させる結果がもたらされることが観察された。しかし、温度をわずかに、400℃よりも高く上昇させると、引張強さのさらなる低下、およびそれと同時に破断点伸びの増加および最大荷重時伸びの増加が観察される。
ワイヤは、耐蝕性塗料、例えば亜鉛もしくは亜鉛合金塗料、より具体的には亜鉛アルミニウム塗料または亜鉛アルミニウムマグネシウム塗料などでコーティングされてもよいし、されなくてもよい。引抜作業を促進するために、ワイヤを、引抜の前、または引抜の間に、銅もしくは銅合金塗料でコーティングしてもよい。
次に、応力除去処理されたワイヤを適切な長さの鋼繊維に切断し、鋼繊維の端部に適切な定着部を与える。切断およびかぎ形成形は、適切なロールを用いて1つの同じ作業段階で行うこともできる。
このようにして得た鋼繊維は、米国特許第4284667号明細書に従って接着してもよいし、しなくてもよい。その上、またはあるいは、得た鋼繊維を欧州特許第1383634号明細書に従って連鎖状の包装材料に入れてもよいし、出願人による出願番号第09150267.4号の欧州特許出願に開示されているものなどの帯状の包装材料に入れてもよい。

Claims (14)

  1. コンクリートまたはモルタルを補強するのに適合した鋼繊維であって、前記鋼繊維が、中央部分と2つの端部を有し、前記鋼繊維の前記中央部分は、引張強さRが少なくとも1000MPaであり、最大荷重時伸びAg+eが少なくとも2.5%である、鋼繊維。
  2. 前記鋼繊維の前記中央部分は、引張強さRが少なくとも1400MPaである、請求項1に記載の鋼繊維。
  3. 前記鋼繊維の前記中央部分は、引張強さRが少なくとも2000MPaである、請求項1または2に記載の鋼繊維。
  4. 前記鋼繊維の前記中央部分は、最大荷重時伸びAg+eが少なくとも4%である、先行する請求項のいずれか一項に記載の鋼繊維。
  5. 前記鋼繊維の前記中央部分は、最大荷重時伸びAg+eが少なくとも6%である、先行する請求項のいずれか一項に記載の鋼繊維。
  6. 前記鋼繊維の前記中央部分は、引張強さRが少なくとも1400MPaであり、かつ最大荷重時伸びAg+eが少なくとも4%である、請求項2に記載の鋼繊維。
  7. 前記端部が、前記コンクリートまたはモルタルに前記鋼繊維を定着させるための定着端部である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の鋼繊維。
  8. 前記定着端部が、厚くなった定着端部、増大した定着端部、冷間圧造された定着端部、扁平な定着端部、曲がった定着端部、波状の定着端部またはそれらの組合せである、請求項7に記載の鋼繊維。
  9. 前記鋼繊維が、応力除去処理された状態である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の鋼繊維。
  10. 前記鋼繊維の前記中央部分の直径が、0.1mm〜1.20mmの範囲である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の鋼繊維。
  11. 前記鋼繊維の前記中央部分の長さ対直径比L/Dが、40〜100の範囲である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の鋼繊維。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の鋼繊維を含むコンクリート構造。
  13. 前記コンクリート構造が、40kg/m未満の前記鋼繊維の添加量で、4MPaを上回るULSでの平均亀裂後残留強度を有する、請求項12に記載のコンクリート構造。
  14. 従来のコンクリート、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリートまたはポストテンションコンクリートの構造における、請求項1〜11のいずれか一項に記載の鋼繊維の使用。
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