JP5809287B2 - 少なくとも3つの真直区域を備える定着端を有するコンクリートまたはモルタルを補強するための鋼繊維 - Google Patents
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Description
さらに、本発明は、このような鋼繊維を備えるコンクリートまたはモルタル構造に関する。
繊維濃度、繊維形状、および繊維アスペクト比のような繊維の特性は、補強コンクリートの性能に大きく影響を及ぼすことが、当技術分野において知られている。
コンクリートまたはモルタルに添加または混合されたときにボール状に丸まる傾向を示さない繊維が好ましいことが、さらに知られている。種々の繊維形状を有する多数の例が、当技術分野において知られている。例えば、繊維の長さの全体にわたってまたは一部にわたって波形状を備える繊維が知られている。全長にわたって波形状が付けられた鋼繊維の例が、特許文献1に記載されている。また、フック状端を有する繊維が、当技術分野において知られている。このような繊維は、例えば、特許文献2に記載されている。
同様に、断面輪郭が長さにわたって変化する繊維、例えば、肥厚区域および/または扁平区域を備える繊維が知られている。
肥厚区域を備える鋼繊維の例は、特許文献3に記載されているような両端の各々に釘頭の形態にある肥厚部を有する鋼繊維である。
特許文献4は、全長にわたる鋼繊維の扁平化を記載している。特許文献5は、フック状端を有する鋼繊維の中央部分のみの扁平化を記載している。特許文献6は、扁平化された端を備えると共に該扁平端と本質的に直交する面にフランジを備える真直鋼繊維を記載している。
扁平化されたフック状端を有する鋼繊維が、特許文献7,8から知られている。
しかし、現在知られている先行技術の繊維の欠点は、低添加量または中添加量の繊維が用いられるとき、終局限界状態(ULS)における性能が比較的低いことである。梁および高床スラブのようなさらに厳しい構造用途では、ULSにおける必要な性能をもたらすために、典型的には、0.5体積%(40kg/m3)以上、殆どの場合、1.5体積%(120kg/m3)に至る高添加量が用いられている。これらの高添加量の場合、鋼繊維補強コンクリートの混合および打込みが容易でない。
いくつかの先行技術の繊維は、ULSにおいて機能しないが、その理由は、それらの繊維がULSにおいて必要とされるよりも小さい亀裂開口変位(CMOD)で破断するからである。フック状端を有する繊維のような他の繊維は、ULSにおいて良好に機能しないが、その理由は、それらの繊維が引き抜かれるように設計されているからである。
この鋼繊維は、中央部分および中央部分の一端または両端に定着端を備えている。中央部分は、主軸を有している。一方または両方の定着端は、少なくとも第1、第2、および第3の真直区域を備えている。真直区域の各々は、主軸、具体的には、第1の真直区域の主軸、第2の真直区域の主軸、および第3の真直区域の主軸を有している。
第1の真直区域は、第1の屈曲区域によって中央部分に接続されている。第2の真直区域は、第2の屈曲区域によって第1の真直区域に接続されている。第3の真直区域は、第3の屈曲区域によって第2の真直区域に接続されている。
これは、第1の真直区域が第1の屈曲区域によって中央部分から離れる方に屈曲し、第2の真直区域が第2の屈曲区域によって第1の真直区域から離れる方に屈曲し、第3の真直区域が第3の屈曲区域によって第2の真直区域から離れる方に屈曲していることを意味している。
第1の真直区域は、中央部分の主軸から離れる方に屈曲しており、これによって、中央部分の主軸と第1の真直区域の主軸との間に狭角を画定している。
第2の真直区域は、中央部分の主軸と実質的に平行である。
第3の真直区域は、第1の真直区域が中央部分の主軸から離れる方に屈曲しているのと同じ方向において、中央部分の主軸から離れる方に屈曲しており、これによって、第2の真直区域の主軸と前記第3の真直区域の主軸との間に狭角を画定している。
中央部分の主軸と前記第1の真直区域の主軸との間の狭角は、好ましくは、100°から160°の範囲内にある。第2の真直区域の主軸と第3の真直区域の主軸との間の狭角は、好ましくは、100°から160°の範囲内にある。
これは、中央部分の主軸と第1の真直区域の主軸との間の挟角は、中央部分の主軸と第1の真直区域の主軸とによって画定された小さい方の角度であることを意味している。同様に、第2の真直区域の主軸と第3の真直区域の主軸との間の挟角は、第2の真直区域の主軸と第3の真直区域の主軸とによって画定された小さい方の角度である。
もし中央部分の主軸と第1の真直区域の主軸との間の挟角が160°よりも大きいなら(またはこの挟角の補角が20°よりも小さいなら)、コンクリートまたはモルタル内における定着が制限され、またSLSおよびULSにおける性能が劣ることになる。このような繊維は、引き抜かれる傾向にある。もし中央部分の主軸と第1の真直区域の主軸との間の挟角が100°よりも小さいなら(またはこの挟角の補角が80°よりも大きいなら)、繊維は、凝塊し、コンクリートまたはモルタル内に均一に混合されないことになる。
もし第2の真直区域の主軸と第3の真直区域の主軸との間の挟角が100°よりも小さいなら(またはこの挟角の補角が80°よりも大きいなら)、繊維が凝塊し、コンクリートまたはモルタル内に均一に混合されないことになる。
特定の実施形態では、中央部分の主軸と第1の真直区域の主軸との間の挟角および第2の真直区域の主軸と第3の真直区域の主軸との間の挟角は、同じであるかまたは実質的に同じである。この特定の実施形態では、第1の真直区域の主軸および第3の真直区域の主軸は、互いに平行または互いに実質的に平行である。
第2の真直区域および第4の真直区域が中央部分の主軸と平行になっている4つの真直区域を有する鋼繊維は、コンクリートまたはモルタル内に埋め込まれたとき、SLSおよびULSにおいて極めて良好な性能を示すことになる。
原理的に、定着端の真直区域の数に制限はない。しかし、最も好ましい実施形態は、3つの真直区域、4つの真直区域、5つの真直区域、または6つの真直区域を備える定着端を有している。これらの実施形態の各々において、それぞれの2つの連続する真直区域の間に屈曲区域が設けられている。驚くことに、3つの真直区域または4つの真直区域を有する定着端は、コンクリートまたはモルタルに埋め込まれたとき、引抜試験および3点曲げ試験の両方において最良の性能を示すことが見出されている
互いに異なる真直区域のそれぞれの長さは、互いに独立して選択可能である。これは、互いに異なる真直区域が、同じ長さまたは異なる長さを有することができることを意味している。
好ましい実施形態では、互いに異なる真直区域の長さが、互いに等しくなっている。
一例として、第1、第2、第3、および第4の真直区域を有し、全ての真直区域が2mmの長さを有する鋼繊維が挙げられる。
代替例として、0.5mの長さを有する第1の真直区域、2mmの長さを有する第2の真直区域、0.5mmの長さを有する第3の真直区域、および2mmの長さを有する第4の真直区域を有する鋼繊維が挙げられる。
屈曲区域の曲率半径は、好ましくは、0.1mmから5mmの範囲内、例えば、0.5mmから3mmの範囲内にあり、例えば、1mm、1.2mm、または2mmである。
鋼繊維の互いに異なる屈曲区域のそれぞれの曲率半径は、互いに独立して選択可能である。これは、第1の屈曲区域、第2の屈曲区域、第3の屈曲区域、および(もし設けられているなら)第4の屈曲区域のそれぞれの曲率半径が、同一であってもよいし、または異なっていてもよいことを意味している。
代替的に、1つの定着端が鋼繊維の中央部分の主軸から1つの方向において離れる方に屈曲(偏向)されており、他の定着端が、鋼繊維の中央部分の主軸から反対方向において離れる方に屈曲(偏向)されていてもよい(非対称繊維)。
他の定着端は、もし設けられているなら、同じ面内に位置していてもよいし、または他の面内に位置していてもよい。
残留曲げ引張強度は、(本願において後でさらに説明する)欧州規格EN14651による3点曲げ試験によって、決定されることになる。
残留曲げ引張強度fR,1は、CMOD1=0.5mm(δR,1=0.46mm)において決定され、残留曲げ引張強度fR,2は、CMOD2=1.5mm(δR,2=1.32mm)において決定され、残留曲げ引張強度fR,3は、CMOD3=2.5mm(δR,3=2.17mm)において決定され、残留曲げ引張強度fR,4は、CMOD4=3.5mm(δR,4=3.02mm)において決定されることになる。
残留曲げ引張強度fR,1は、SLS設計の重要な必要条件である。
残留曲げ引張強度fR,3は、ULS設計の重要な必要条件である。
本発明による繊維の場合、1体積%未満または0.5体積%未満、例えば、0.25体積%の添加量が用いられたとき、比率fR,3/fR,1は、好ましくは、1よりも大きく、さらに好ましくは、1.05よりも大きく、または1.15よりも大きく、例えば、1.2または1.3である。
標準強度のコンクリート、例えば、C35/45コンクリートに対して中添加量の前述の鋼繊維が用いられた場合、比率fR,3/fR,1は、1よりも小さくなる。
当技術分野において知られている他の繊維、例えば、欧州特許出願公開第851957号明細書から知られているようなフック状端を有する繊維は、引き抜かれるように設計されている。
この種の繊維の場合も、標準強度のコンクリートに対して中添加量の繊維が用いられた場合、比率fR,3/fR,1は、1よりも小さくなる。
本発明による鋼繊維、すなわち、本発明による鋼繊維の中央部分は、好ましくは、高い最大荷重容量Fmを有している。最大荷重容量Fmは、引張試験中に鋼繊維が耐える最大荷重である。中央部分の最大荷重容量Fmは、中央部分の引張強度Rmに直接関連している。何故なら、引張強度Rmは、鋼繊維の元の断面積によって除算された最大荷重容量Fmだからである。
本発明による鋼繊維の場合、鋼繊維の中央部分の引張強度は、好ましくは、約1000MPaよりも大きく、さらに具体的には、1400MPaよりも大きく、例えば、1500MPaよりも大きく、例えば、1750MPaよりも大きく、例えば、2000MPaよりも大きく、例えば、2500MPaよりも大きくなっている。
本発明による鋼繊維の高い引張強度によって、該鋼繊維は、高荷重に耐えることができる。
従って、より高い引張強度は、繊維のより低い添加量に直接反映されることになる。しかし、高引張強度を有する鋼繊維の使用は、鋼繊維がコンクリート内において良好な定着を示す場合にのみ意味がある。
好ましい実施形態によれば、本発明による鋼繊維、さらに具体的には、本発明による鋼繊維の中央部分は、少なくとも2.5%の最大荷重時伸びAg+eを有している。
本発明の特定の実施形態によれば、鋼繊維の中央部分は、2.75%よりも大きい、3.0%よりも大きい、3.25%よりも大きい、3.5%よりも大きい、3.75%よりも大きい、4.0%よりも大きい、4.25%よりも大きい、4.5%よりも大きい、4.75%よりも大きい、5.0%よりも大きい、5.25%よりも大きい、5.5%よりも大きい、5.75%よりも大きい、さらに6.0%よりも大きい最大荷重時伸びAg+eを有している。
この理由は、いったん最大荷重に達すると、鋼繊維の有効表面の狭窄が始まり、さらに大きい荷重が加えられないからである。
最大荷重時伸びAg+eは、最大荷重時の塑性伸びAgおよび弾性伸びの合計である。
最大荷重時伸びは、鋼繊維の中央部分の(もし設けられているなら)波状特性に起因する構造伸びAsを含んでいない。波状鋼繊維の場合、該鋼繊維を最初真直に伸ばし、その後、Ag+eが測定されることになる。
好ましくは、本発明による鋼繊維は、コンクリートまたはモルタル内における高度の定着を有している。
鋼繊維の中央部分に本発明による定着端を設けることによって、コンクリートまたはモルタル内における鋼繊維の定着が著しく改良されることになる。
高度の定着によって、繊維の引抜きが回避されることになる。
最大強度時の高伸びに組み合わされた高度の定着によって、繊維の引抜きが回避され、繊維破断が回避され、かつ引っ張られているコンクリートの脆性破壊が回避されることになる。
高引張強度に組み合わされた高度の定着によって、亀裂が生じた後の引張強度が良好に活用されることになる。
好ましい実施形態では、鋼繊維は、少なくとも1500MPaの引張強度Rmおよび少なくとも1.5%の最大荷重時伸びAg+e、少なくとも1500MPaの引張強度Rmおよび少なくとも2.5%の最大荷重時伸びAg+e、または少なくとも1500MPaの引張強度および少なくとも4%の最大荷重時伸びAg+eを有している。
さらに好ましい実施形態では、鋼繊維は、少なくとも2000MPaの引張強度Rmおよび少なくとも1.5%の最大荷重時伸びAg+e、少なくとも2000MPaのRmおよび少なくとも2.5%の最大荷重時伸びAg+e、または少なくとも2000MPaの引張強度Rmおよび少なくとも4%の最大荷重時伸びAg+eを有している。
高引張強度Rmを有する繊維は、高荷重に耐えることができる。最大荷重時の高伸びAg+eによって特徴付けられた繊維は、EN14651による3点曲げ試験において、0.5mmよりも大きい、1.5mmよりも大きい、2.5mmよりも大きい、または3mmよりも大きいCMODにおいて、破断しないことになる。
鋼繊維は、典型的には、40から100の範囲内にある直径に対する長さの比率L/Dを有している。
鋼繊維の長さは、例えば、50mm、55mm、60mm、または65mmである。
「鋼繊維の長さ」という用語は、鋼繊維の全長、すなわち、中央部分の長さと一方または両方の定着端の長さとの合計を意味している。
中央部分は、好ましくは、25mmよりも大きい、例えば、30mmよりも大きい、40mmよりも大きい、または45mmよりも大きい長さを有している。
もし中央部分が1つまたは複数の扁平区域を備えているなら、これらの1つまたは複数の扁平区域は、好ましくは、一方または両方の定着端の近くであるが該定着端に最隣接していない箇所に位置するようになっている。
本発明によれば、好ましい補強コンクリート構造は、C35/45コンクリートに対して1体積%未満または0.5体積%未満の添加量が用いられた場合、5MPaを超えるULSにおける平均亀裂後残留強度を有することになる。
−最大荷重容量(Fm):引張試験中に鋼繊維が耐える最大荷重
−最大荷重時伸び(%):元のゲージ長さの百分率として表される最大力における鋼繊維のゲージ長さの増加
−破断点伸び(%):元のゲージ長さの百分率として表される破断の瞬間におけるゲージ長さの増加
−引張強度(Rm):最大荷重(Fm)に相当する応力
−応力:鋼繊維の元の断面積によって除算された力
−添加量:kg/m3または体積%で表されるある体積のコンクリートに加えられた繊維の量(1体積%は、78.50kg/m3に対応し、0.5体積%は、40kg/m3に対応する)
−標準強度コンクリート:EN206に規定されているC50/60強度クラスのコンクリートの強度よりも小さいかまたは等しい強度を有するコンクリート
−高強度コンクリート:EN206に規定されているC50/60強度クラスのコンクリートの強度よりも大きい強度を有するコンクリート
−引張試験(荷重―歪試験)、および
−3点曲げ試験(荷重−亀裂開口変位曲線または荷重−たわみ曲線)
に供せられている。
この引張試験を用いて、鋼繊維の最大荷重容量Fmを決定し、また最大荷重時伸びAg+eを決定することになる。
3点曲げ試験は、EN14651に規定されているノッチ付き補強梁に対して行われるようになっている。
この試験を用いて、残留引張強度を決定することになる。
これらの試験は、それぞれ、図1,2に示されている。
試験される鋼繊維の定着端(例えば、拡大端またはフック状端)が最初切断される。鋼繊維の残っている中央部分14が、2対のクランプ62,63間に固定される。クランプ62,63を介して、増大する引張力Fが鋼繊維の中央部分14に加えられる。この増大する引張力Fの結果として生じた変位または伸びが、伸び計のグリップ64,65の変位を計測することによって、測定される。L1は、鋼繊維の中央部分の長さであり、例えば、50mm、60mm、または70mmである。L2は、クランプ間の距離であり、例えば、20mmまたは25mmである。L3は、伸び計のゲージ長さであり、最小10mm、例えば、12mmm、例えば、15mmである。鋼繊維の中央部分14に対する伸び計の掴みを改良するために、鋼繊維の中央部分は、鋼繊維に対する伸び計のすべりを回避するように被覆されていてもよいし、または薄テープによって覆われていてもよい、この試験によって、荷重―伸び曲線が記録されることになる。最大荷重時全伸び(百分率)は、以下の式
Ag+e=(最大荷重時の伸び/伸び計のゲージ長さL3)×100
によって計算されることになる。
試験片ごとに、試験が5回行われている。表1は、試験されたワイヤの概要を示している。
荷重−亀裂開口変位曲線の例302が、図3に示されている。
FR,i=CMOD=CMODiまたはδ=δR,i(i=1,2,3,4)に対応する荷重
b=試験片の幅(mm)
hsp=ノッチの先端と試験片の上端との間の距離(mm)
L=試験片のスパン長さ(mm)
試験された鋼繊維の概要が、表2に示されている。先行技術の鋼繊維(FIBI,FIB5)の試験結果は、表3に示されている。本発明による鋼繊維(FIB2,FIB3,FIB4)の試験結果は、表4に示されている。
鋼繊維は、鋼繊維の長さ、鋼繊維を作製するのに用いられたワイヤの種類、鋼繊維の直径(さらに具体的には、鋼繊維の中央部分の直径)、定着端の真直区域の数、中央部分の主軸と第1の真直区域の主軸との間の挟角、中央部分に対する第2の真直区域の配向、第2の真直区域の主軸と第3の真直区域の主軸との間の挟角、中央部分に対する第4の真直区域の配向、および第4の真直区域の主軸と第5の真直区域の主軸との間の挟角によって規定されている。
これらの互いに異なる繊維の形状は、図4a−4eに示されている。試験された繊維400は、いずれも、中央部分404の両端に定着端402を有している。
鋼繊維FIBI、FIB5は、先行技術の繊維である。鋼繊維FIBIは、2つの真直区域を備える定着端を有する低炭素繊維である。FIB5は、定着端として釘頭を両端に有する繊維である。鋼繊維FIB2,FIB3,FIB4は、本発明による繊維である。鋼繊維FIB2,FIB3,FIB4は、それぞれ、3つの真直区域(図4b)、4つの真直区域(図4c)、および5つの真直区域(図4d)を備える定着端を有している。
第2の真直区域408は、中央部分404の主軸と平行または実質的に平行になっている。
第2の真直区域408は、中央部分404の主軸403と平行または実質的に平行である。
第2の真直区域408および第4の真直区域412は、中央部分404の主軸403と平行または実質的に平行である。
先行技術の繊維(FIB1,FIB5)の残留曲げ引張強度fR,1,fR,2,fR,3は、低い、すなわち、本発明による繊維(FIB2,FIB3,FIB4)の残留曲げ引張強度fR,1,fR,2,fR,3よりも著しく低い。
40kg/m3の添加量を用いる本発明による鋼繊維(FIB2,FIB3,FIB4)を40g/m3を用いる先行技術の鋼繊維(FIB1,FIB5)と比較すると、本発明による鋼繊維の残留曲げ引張強度fR,1,fR,2,fR,3は、先行技術の鋼繊維よりも著しく大きい。
また、比率fR,3/fR,1は、真直区域の数を3から4に増すことによって、大きくなっている。
真直区域の数を4から5に増やしても、残留曲げ引張強度fR,1,fR,2,fR,3および比率fR,3/fR,1は、もはや大きくならない。
驚くことに、4つの真直区域を有する定着端を備える鋼繊維は、最良の性能を示している。
出発材料は、例えば、5.5mmまたは6.5mmの直径を有するワイヤロッドであり、鋼組成は、0.50重量%、例えば、0.60重量%以上の最小炭素量、0.20重量%から0.80重量%の範囲内のマンガン量、0.10重量%から0.40重量%の範囲内の珪素量を含んでいる。硫黄量は、最大0.04重量%であり、燐量は、最大0.04重量%である。典型的な鋼組成は、0.725%炭素、0.550%マンガン、0.250%珪素、0.015%硫黄、および0.015%燐を含んでいる。
代替的な鋼組成は、0.825%炭素、0.520%マンガン、0.230%珪素、0.008%硫黄、および0.010%燐を含んでいる。ワイヤロッドは、その最終直径が0.20mmから1.20mmの範囲内になるまで、多数の引抜ステップによって冷間引抜きされるようになっている。
鋼繊維に大きい破断時伸びおよび最大荷重時伸びを与えるために、このように伸線されたワイヤに、例えば、通過するワイヤの速度に適合する長さの高周波または中周波の誘導コイル内にワイヤを通すことによって、応力除去処理を施すとよい。ある期間にわたる約300℃の温度の熱処理では、破断時伸びおよび最大荷重時伸びを増加させることなく、引張強度が約10%低下することが分かっている。しかし、いくらか温度を高めることによって、具体的には、400℃を超える温度に高めることによって、引張強度のさらなる低下が見られ、同時に、破断時伸びおよび最大荷重時伸びが増大することになる。
Claims (15)
- コンクリートまたはモルタルを補強するための鋼繊維であって、
前記鋼繊維は、中央部分と前記中央部分の一端または両端の定着端とを備えており、
前記中央部分は、主軸を有しており、
前記定着端は、第1、第2、および第3の真直区域を備えており、
前記第1の真直区域は、第1の屈曲区域によって、前記中央部分に接続されており、
前記第2の真直区域は、第2の屈曲区域によって、前記第1の真直区域に接続されており、
前記第3の真直区域は、第3の屈曲区域によって、前記第2の真直区域に接続されており、
前記第1、第2、および第3の真直区域の各々は、主軸を有している、鋼繊維において、
前記中央部分は、25mmよりも長くなるように形成され、前記第1、第2及び第3の真直区域は、0.1mmから8mmの範囲内の長さとなるように形成されており、
前記第1の真直区域は、前記中央部分の前記主軸から離れる方に屈曲しており、これによって、前記中央部分の前記主軸と前記第1の真直区域の前記主軸との間に挟角を画定しており、
前記第2の真直区域は、前記中央部分の前記主軸と実質的に平行であり、
前記第1の真直区域が前記中央部分の前記主軸から離れる方に屈曲しているのと同じ方向において、前記第3の真直区域は、前記中央部分の前記主軸から離れる方に屈曲しており、これによって、前記第2の真直区域の前記主軸と前記第3の真直区域の前記主軸との間に挟角を画定しており、
前記中央部分の前記主軸と前記第1の真直区域の前記主軸との間の前記挟角および前記第2の真直区域の前記主軸と前記第3の真直区域の前記主軸との間の前記挟角は、100°から160°の範囲内にある、ことを特徴とする鋼繊維。 - 前記定着端は、第4の真直区域をさらに備えており、前記第4の真直区域は、第4の屈曲区域によって、前記第3の真直区域に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の鋼繊維。
- 前記第4の真直区域は、前記中央区域の前記主軸と実質的に平行の主軸を有している、ことを特徴とする請求項2に記載の鋼繊維。
- 前記第4の真直区域の前記主軸と前記中央部分の前記主軸との間の角度は、−60°から+60°の範囲内にある、ことを特徴とする請求項2に記載の鋼繊維。
- 前記中央部分の前記主軸と前記第1の真直区域の前記主軸との間の前記挟角および前記第2の真直区域の前記主軸と前記第3の真直区域の前記主軸との間の前記挟角は、互いに同じかまたは実質的に同じである、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の鋼繊維。
- 前記鋼繊維の前記中央部分は、少なくとも1000MPaの引張強度Rmを有している、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の鋼繊維。
- 前記中央部分は、少なくとも2.5%の最大荷重時伸びAg+eを有している、ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の鋼繊維。
- 前記鋼繊維は、応力除去状態にある、ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の鋼繊維。
- 前記鋼繊維の前記中央部分は、少なくとも1つの扁平区域を備えている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の鋼繊維。
- 前記鋼繊維の前記中央部分は、0.1mmから1.20mmの範囲内の直径Dを有している、ことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の鋼繊維。
- 前記鋼繊維は、40から100の範囲内にある長さ/直径の比率L/Dを有している、ことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の鋼繊維。
- 請求項1〜10の1つまたは複数に記載の鋼繊維によって補強されたコンクリート構造。
- 残留曲げ引張強度fR,1によって除算された残留曲げ引張強度fR,3の比率(fR,3/f R,1 )は、前記鋼繊維の1体積%未満の添加量において、1よりも大きい、ことを特徴とする請求項12に記載のコンクリート構造。
- 前記残留曲げ引張強度fR,3は、前記鋼繊維の1体積%未満の添加量において、5MPaよりも大きい、ことを特徴とする請求項12または13に記載のコンクリート構造。
- 負荷を支持するコンクリート構造のための請求項1〜11のいずれか1つに記載の鋼繊維の使用。
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