JP3798488B2 - コンクリ−ト補強用鋼繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、強度及び靭性を向上させる目的でコンクリ−トやモルタル等の中に混入される鋼繊維の形状に工夫を加え、該鋼繊維のコンクリ−トに対する補強効果を一層高めようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鋼繊維をコンクリ−ト中に均一に分散させてコンクリ−ト自体の引張強度、曲げ強度、曲げタフネス、或いはひび割れ性等の機械的強度を改善することが広く行われている。かかる鋼繊維に要求される特性としては、引張強度及びコンクリ−トとの密着性が特に重要な因子となっている。これらの特性のうち、引張強度については鋼繊維の材質や直径を適宜選択することにより容易に目的とする値を確保することができるが、鋼繊維とコンクリ−トとの密着性に関してはまだ満足のいくものが得られていないのが実情であった。
【0003】
ここに、鋼繊維のコンクリ−トに対する密着形態は、コンクリ−トに付加される応力に応じて種々変化し、具体的には、コンクリ−トに応力が付加される初期段階では、鋼繊維とコンクリ−トの界面における接着にて、又、応力が付加される後期の段階、即ち、より高い歪みが加わる段階では、鋼繊維とコンクリ−トとの界面における接着からその相互間における摩擦抵抗にて密着するものと考えられていて、この摩擦抵抗をより高めるための物理的、機械的な密着方法が従来より種々検討されてきた。
【0004】
この点に関する従来の技術としては、例えば特公昭60−9976号公報には鋼繊維の両端を折り曲げてフックを設けた形状となしてコンクリ−トとの摩擦抵抗を高める提案がなされている。又、特開平5−194001号公報には、波形を付与した鋼繊維とすることによりコンクリ−トとの摩擦抵抗を更に高める提案がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前者の鋼繊維の両端部にフックを設けたコンクリ−ト補強用鋼繊維では要求されるに十分な摩擦抵抗が得られない場合があり、補強効果が劣るという欠点があった。又、後者の鋼繊維の長さ全域にわたって波形を付与した鋼線では、鋼線の強度が低い場合、中央付近の波形の摩擦抵抗のみで鋼線が破断する場合があり、折角型付けした両端部の波形が有効に働いておらず、補強方向の有効長さを短縮しているという問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、これら従来の技術の課題を改良できるコンクリ−ト補強用鋼繊維を製造するための製造方法であって、所定の強度及び直径が得られるように鋼線を伸線した後、該鋼線に波形を付与すると同時に一定の長さに切断する装置により製造することを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、鋼繊維の両端部近傍のみに波形を付与するのは、鋼繊維の破断強さに見合う引き抜き力をもたせればよいので中央部分の波形は不要であるからである。
【0009】
図1は本発明のコンクリ−ト補強用鋼繊維の製造方法により製造されるコンクリ−ト補強用繊維1の具体例を示すものであり、2は直線状をなす中央部、3は中央部2の左右に型付けされた波型部である。図中、符号Lはコンクリ−ト補強用繊維1の全長、lは波型部3のみの長さ、Pは波形部3のピッチ、Hは波形3の高さを示す。
【0010】
鋼繊維の長さLについては粗骨材の最大寸法等で選択され、波形の寸法、波の個数については、コンクリ−トの強さで選択される。具体的には、鋼繊維の長さLは粗骨材の最大寸法が15mm程度の場合、25〜40mmが望ましい。その理由は25mm未満では長さが短か過ぎて、又、40mmを越えると鋼繊維のコンクリ−ト内での分散が不均一となり、いずれも所期の補強効果が得られないという問題があるからである。
【0011】
波形を付与する個所は鋼繊維の両端であり、波形付け部の長さlは鋼繊維の長さLに対してl/L≦0.3とするのが望ましい。その理由は、鋼線の引っ張り強さに相当するコンクリ−トとの密着は鋼繊維の両端で負担させ、コンクリ−トとの密着を必要としない部分は真直とすることにより鋼繊維の長さの効果を増すことができる。
又鋼繊維の両側にある波のピッチPは、P/L≦0.3とするのが望ましい。波ピッチPが鋼繊維の長さLを越えると波数が少なくなり過ぎてコンクリ−トとの密着力が不足し、波ピッチPは小さいほど高い密着力を得ることができるが、製造加工性の点からはP/L≧0.05とするのが望ましい。
波高さHもコンクリ−トとの密着力に関係し、波高さが高いほど密着力は高くなる。しかし、鋼繊維1本当たりの引っ張り強さを越える密着力は不要なので、0.1倍未満では密着力が不足し、1.0倍を越えると波形付けの際に鋼繊維が切断したり強度低下が起こりコンクリ−トの補強効果が劣化する。
【0012】
尚、鋼繊維の破断強さは鋼繊維の直径と強度に依存するが、直径は0.5〜0.8mmの範囲が望ましく、0.5mm未満では鋼繊維の生産性が低下し、0.8mmを越えると単位重量当たりの鋼繊維の本数が減少して補強効果が低下してしまうからである。鋼繊維の強度は110〜130kg/mm2 程度が鋼繊維の延性と強度のバランスの点から好ましい。そして、付与する波の高さHは鋼繊維の直径の0.1〜1倍の範囲が望ましく、この範囲をはずれると波形付けの不足や過剰な形付けで補強効果が低下するという問題がある。
【0013】
本発明に係るコンクリ−ト補強用の鋼繊維の素材となる線材の炭素含有量は0.04〜0.2重量%程度のものが安価に入手できるので有利であり、又、鋼繊維の製造も容易となり経済的である。
【0014】
尚、本発明に係る鋼繊維が用いられるコンクリ−トは主として土木用とに適用されるもので、鋼繊維は補強効果と共に安価であることが重要である。そのために製造コストを低減させるため、本発明のように鋼線の両端部にそれぞれ波形を付与すると共に切断を行い所定の形状の鋼繊維を製造するのである。
【0015】
即ち、本発明の鋼繊維を製造する方法は、鋼線を通常のダイス伸線により縮径加工して所定の直径とした鋼繊維とし、この鋼繊維の複数本を一面上に引き揃え、水溶性接着剤により固着させて長尺の帯状体とした後、図2に示すような型付け治具に帯状体を通過させて、鋼繊維に波形を付与すると共にカッタ−部分で切断してコンクリ−ト補強用鋼繊維を製造する方法が採用される。
【0016】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
製造されるコンクリ−ト補強用鋼繊維は図1に示す通りのものであり、炭素含有量が0.06重量%、直径5.5mmの鋼線材を通常のダイス伸線加工により直径0.6mm、強度約120kg/mm2 とし、これを複数本一面上に平行に引き揃え水溶性接着剤で固着した。
【0017】
図2はこの長尺の帯状体に波形付けを行い、かつこれを切断するカッタ−を備えた回転式治具の一部を示したもので、対向した1対のロ−ラ−A、Bに鋼繊維の波型を付与する部分5と、鋼繊維を真直ぐに保持する部分6と、鋼繊維を切断するカッタ−7とからなる部材を夫々のロ−ラ−の円周に沿って取り付けられている。ロ−ラ−を回転駆動させながら長尺の帯状体を送り込むと、波形部、真直部、波形部、切断が繰り返されて発明の鋼繊維を製造することができる。
【0018】
これにより長さLが30mmの短冊状とすると共に、短冊の両端部近傍に波高さHが0.3mm、波ピッチPが4mmの波を夫々2個形成した。尚、図示はしないがコンクリ−ト補強用鋼繊維1の両先端部に、長さ2mm以下の直線部が形成された。
【0019】
この鋼繊維を圧縮強度が400kg/cm2 のコンクリ−ト試料の中央に位置するように埋設し曲げ試験片を作成した。比較例として鋼繊維の全長に波形を付与したもの(図3)、及び両端に折れ曲がり状のフックを付与した鋼繊維(図4)についても試験片を作成した。
【0020】
図5に示すようにコンクリ−トに鋼繊維を混入した試料を作成し、試料の両端を支持して中央部に荷重を加えていくと、或る荷重でコンクリ−トに亀裂が入りさらに荷重を加えていくと亀裂は成長し、それに伴いコンクリ−トと鋼繊維との引き抜き力が鋼繊維の破断強さを越えると鋼繊維は破断してしまい補強効果を失ってしまう。
【0021】
図6の(イ)は鋼繊維の全長にわたって波形を付与した図3に示す鋼繊維、図6の(ロ)は本発明の両端部近傍のみに波形を付与した図1に示す鋼繊維の引き抜き力と破断強さとの関係を模式的に示したもので、図中、実線は引き抜き力を示し、点線は破断強さを示す。図6の(イ)は引き抜き力が破断強さを上回るために鋼繊維は破断してしまう。一方、図6の(ロ)の本発明の場合にあっては、鋼繊維の破断はない。
【0022】
図7は、各鋼繊維におけるコンクリ−トの曲げ破壊特性を示すものであり、縦軸は荷重で、横軸は変位を示す。図中、(イ)は鋼繊維で補強していないコンクリ−トの曲げ破壊特性、(ロ)は鋼繊維の全長にわたって波形を付与したもの、(ハ)は本発明の両端部近傍のみに波形を付与した鋼繊維におけるコンクリ−トの曲げ破壊特性を示すものである。(ロ)は引き抜き力が破断強さを上回るために鋼繊維は破断して、鋼繊維で補強していない(イ)の曲線と比べると優れているものの、(イ)のような粘り強さに乏しい破壊特性を示すことになる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の製造方法により製造された鋼繊維はコンクリ−トの亀裂が成長しても破断することなく補強効果を示すので突然の破壊という危険性が低減し不慮の災害を防止するきわめて有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の鋼繊維の形状を示す。
【図2】図2は型付け治具である。
【図3】図3は全長にわたり波形を有する鋼繊維の形状を示す。
【図4】図4はは両端にフックを有する鋼繊維の形状を示す。
【図5】図5は曲げ破壊特性を測定するための試料の側面図である。
【図6】図6は引き抜き応力分布と鋼繊維の破断強さの関係を示す模式図である。
【図7】図7はコンクリ−トの曲げ破壊特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1‥‥コンクリ−ト補強用繊維、
2‥‥コンクリ−ト補強用繊維の直線状をなす中央部、
3‥‥コンクリ−ト補強用繊維の左右に型付けされた波型部、
5‥‥回転式治具における鋼繊維の波型を付与する部分、
6‥‥回転式治具における鋼繊維を真直ぐに保持する部分、
7‥‥回転式治具における鋼繊維を切断するカッタ−、
A、B‥‥回転式治具におけるロ−ラ−。
Claims (1)
- 所定の直径が得られるように鋼線を伸線した後、
該鋼線を、ローラ面上に鋼線に波型を付与する部分(5)、鋼線を真直ぐに保持する部分(6)鋼線に波型を付与する部分(5)及び鋼線を切断するカッタ−(7)が周方向に沿って順に配置されたロ−ラ−(A)と、ローラ面上に鋼線に波型を付与する部分(5)、鋼線を真直ぐに保持する部分(6)鋼線に波型を付与する部分(5)及び鋼線を切断するカッタ−(7)が周方向に沿って順に配置されたロ−ラ−(B)との間に送り込み、
1対のロ−ラ−(A)、(B)をそれぞれ回転させつつ、鋼線をロ−ラ−(A)のロ−ラ−面とロ−ラ−(B)のロ−ラ−面との間を通過させることにより、
鋼線の両端部にそれぞれ波形を付与すると共に、該鋼線を一定の長さに切断することを特徴とするコンクリ−ト補強用鋼繊維の製造方法。
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