JP2003001424A - 鋼構造物の防食方法 - Google Patents

鋼構造物の防食方法

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JP2003001424A
JP2003001424A JP2001189431A JP2001189431A JP2003001424A JP 2003001424 A JP2003001424 A JP 2003001424A JP 2001189431 A JP2001189431 A JP 2001189431A JP 2001189431 A JP2001189431 A JP 2001189431A JP 2003001424 A JP2003001424 A JP 2003001424A
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welded
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Nobuo Kitamura
信男 北村
Masaharu Honda
正春 本田
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Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チタン棒またはチタン合金棒を用いて行う摩
擦圧接による接合部の強度向上と、高信頼性を得られる
ようにする。 【解決手段】 鋼構造物の一部に複数のチタンクラッド
鋼板を連続的にライニングする際に、チタンクラッド鋼
板の母材の周縁を鋼構造物に溶接し、チタン棒またはチ
タン合金棒を用いた摩擦圧接により、隣接のチタンクラ
ッド鋼板間で生じるチタン合わせ材欠落部の端部に両側
のチタン合わせ材を架橋するように肉盛部を形成し、チ
タン合わせ材欠落部をチタン当て板で覆い、チタン当て
板の周縁をチタンクラッド鋼板のチタン合わせ材及び肉
盛部に溶接する防食方法において、チタン棒またはチタ
ン合金棒として、棒径7mm以上、14mm以下のものを使
用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チタンクラッド鋼
板による鋼構造物の防食方法に関し、特にライニング部
端に位置する隣接したチタンクラッド鋼板の溶接端部処
理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】チタンは非常に優れた耐食性を有するた
めに、厳しい腐食環境下におかれる海洋構造物や化学プ
ラント、発電プラント、環境プラント等の分野でその用
途が拡大しつつある。中でも、海洋構造物等の巨大構造
物の分野では、高価なチタンで構造物そのものを製造す
ると莫大なコストがかかるので、安価な鋼で製造された
構造物の表面にチタン板やチタンクラッド鋼板を溶接
し、構造物の防食を図る方法が検討されている。特に最
近では、チタンと鉄の異種金属が溶融する部分(異材接
合部と呼ばれる)には脆弱な金属間化合物やチタンの炭
窒化物が生成して割れ等の溶接不良が発生するので、鋼
構造物との溶接を母材の鋼板で行えるチタンクラッド鋼
板が注目されている。また、チタンクラッド鋼板には、
その鋼板部で強度を維持できるので、合わせ材のチタン
の厚みを耐食性を確保できる最小限の厚みまで薄くでき
るためコスト的なメリットもある。
【0003】しかし、チタンクラッド鋼板を用いても、
それにより鋼構造物の表面を隙間なく覆うにはチタンク
ラッド鋼板相互の溶接が必要であり、そのときに前記の
ような異材接合部が生じるので、溶接割れ等の問題を完
全には回避できない。そのために、チタンクラッド鋼板
の溶接には、従来より種々の方法が提案されている。例
えば、真空ろう付け法や金属間化合物を生成しないよう
にインサート材を挿入する拡散接合法があるが、高価な
真空装置や貴金属のインサート材を用いるためコスト高
になる。また、大きさの制約や、施工現場での溶接がで
きない等の問題があり、巨大構造物には適用できない。
【0004】巨大構造物にも適用できる方法として特開
平2−280969号公報や特開平2−280970号
公報には、チタンクラッド鋼板相互を溶接するに際し、
突き合わせ部の合わせ材を除去し(カットバックと呼
ぶ)、そこに開先を設けて母材を溶接し、合わせ材と同
質のチタンのスペーサを溶接部に挿入する方法や、さら
にその上をチタンの当て板で覆う方法が開示されてい
る。
【0005】一方、海洋構造物のスプラッシュゾーン
等、耐食性を要求される部位に限定して、チタンクラッ
ド鋼板をライニングする場合は、必ず溶接部端面が生じ
るが、前記の特開平2−280969号公報や特開平2
80970号公報によるものでは、母材とチタンのスペ
ーサとは全面接合されていないので、溶接部端面の空隙
から海水等が侵入し、母材が腐食するという問題があ
る。
【0006】図6にライニング端に位置するチタンクラ
ッド鋼板間の溶接端部を示す。同図によれば、チタンク
ラッド鋼板2、2間の母材溶接部7とチタン当て板9と
の間においてチタン合わせ材3が欠落しているため、こ
の溶接部7の端面で空隙11が発生する。
【0007】このような空隙を密閉する方法として、特
開平4−182522号公報では、図7に示すように異
材接合部13となる空隙部をAg−Cu系金属のろう付
け等で埋める方法を提案しており、特開平5−1852
37号公報では、チタンクラッド鋼板の溶接端部に相当
する部位に予め切り込みを設け、チタンクラッド鋼板の
突き合わせ溶接後、スペーサとしてチタンクラッド鋼板
を挿入し溶接する方法を提案している。また、特開平7
−34480号公報には、図8に示すように溶接部端面
に塞ぎ材14としてチタン板やチタンクラッド鋼板を溶
接する方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、チタンと鋼の
境界部のろう付けは、母材を溶融させてはならないので
高度な技術を要し、前記特開平4−182522号公報
のように空隙全面をろう付けのみで密閉することは難し
く、特に現場での上向きのろう付けは非常に困難であ
る。
【0009】一方、ライニング端部におけるチタンクラ
ッド鋼板母材の隅肉溶接では、強度面から一定のビード
厚さを確保する必要があるが、チタンクラッド鋼板が薄
肉の場合にはクラッド界面の脆化が生じるため、前述の
ように端部のチタン合わせ材をカットバックする必要が
ある。しかし、前記特開平7−34480号公報による
ものは、チタンクラッド鋼板のチタン合わせ材と母材の
端面が面一であることを前提としており、前記のように
合わせ材をカットバックしたものには適用できない。
【0010】また、前記特開平5−185237号公報
によるものは、カットバックしたチタンクラッド鋼板に
適用できるものの、予めチタンクラッド鋼板の端部に切
り込みを設ける手間がかかり、また、スペーサも突き合
わせ溶接後に現物合わせする必要がある等、作業性に劣
る。
【0011】そこで、チタンクラッド鋼板のカットバッ
クの如何にかかわらず現地においても容易に溶接端部処
理を行える防食方法が本出願人により提案されている
(特開2000−42742号公報)。この防食方法
は、チタン棒またはチタン合金棒を用いて、チタンと鋼
の異材接合が必須となるチタン合わせ材欠落部の端部に
固相接合の一種である摩擦圧接を行い、チタン合わせ材
欠落部の端面の空隙を密閉するものである。
【0012】ところで、チタン棒またはチタン合金棒を
用いて行う摩擦圧接においては、前述のような施工上の
利点を有するものの、接合強度を向上させるためには棒
径を所定の範囲内に収めなければならないことが本発明
者らの実験の結果判明した。
【0013】本発明は、前記知見に鑑みなされたもの
で、チタン棒またはチタン合金棒を用いて行う摩擦圧接
による接合部の強度向上と、高信頼性を得られる鋼構造
物の防食方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】摩擦圧接は圧接体を回転
しながら被圧接体に押し付けることで生じる摩擦発熱と
加圧力により、短時間の固相拡散接合を成す手法であ
り、同種材や異種材を接合した部品類の量産等に広く用
いられている。
【0015】本発明者らは、摩擦圧接による接合強度に
ついて種々検討した結果、 摩擦圧接による接合強度は被圧接体の形状によって大
きく変動すること、 良好な接合を得るためには、鋼板ならびに肉盛材であ
るチタン棒またはチタン合金棒の表面がある程度流動
し、それぞれの新生面が出る必要があること、 被圧接体の形状や圧接時の加圧応力=加圧力/断面積
が一定でも、チタン棒またはチタン合金棒の棒径が減少
するに伴なって接合強度が増加すること、 棒径が細い場合、棒の外周部が小さいために、鋼およ
びチタンの流動を妨げないが、細すぎると座屈が発生す
ること、 棒径が太すぎると、棒の外周部が鋼およびチタンの流
動を妨げ、良好な接合強度が得られないこと、 を見出した。
【0016】以上のことから、前記課題を解決し、かつ
摩擦圧接による接合部の強度を高めるための具体的な手
段は以下の通りである。本発明の請求項1に係る鋼構造
物の防食方法は、鋼構造物の一部に複数のチタンクラッ
ド鋼板を連続的にライニングする際に、前記チタンクラ
ッド鋼板の母材の周縁を前記鋼構造物に溶接し、チタン
棒またはチタン合金棒を用いた摩擦圧接により、隣接の
前記チタンクラッド鋼板間で生じるチタン合わせ材欠落
部の端部に両側のチタン合わせ材を架橋するように肉盛
部を形成し、前記チタン合わせ材欠落部をチタン当て板
で覆い、該チタン当て板の周縁を前記チタンクラッド鋼
板のチタン合わせ材及び前記肉盛部に溶接する防食方法
において、前記チタン棒またはチタン合金棒として、棒
径7mm以上、14mm以下のものを使用することを特徴と
するものである。
【0017】また、請求項2に係る鋼構造物の防食方法
は、前記チタン棒またはチタン合金棒の棒径が、前記条
件内でチタン合わせ材欠落部の溝幅より大きく、1回の
圧接工程で前記チタン合わせ材欠落部の端部を接続する
ことを特徴とする。
【0018】また、請求項3に係る鋼構造物の防食方法
は、前記チタン棒またはチタン合金棒の棒径が、前記条
件内でチタン合わせ材欠落部の溝幅より小さく、2回以
上の圧接工程で前記チタン合わせ材欠落部の端部を接続
することを特徴とする。
【0019】本発明においては、チタンクラッド鋼板を
鋼構造物に接合するに際し、最初に、チタンクラッド鋼
板周縁の母材部のみを鋼構造物に溶接する。この方法は
鋼相互の溶接であるため効率的であり、かつ接合強度も
十分確保できる。隣接したチタンクラッド鋼板間は隙間
があるためチタンの欠落部となる。通常、この欠落部に
チタンの当て板をチタン合わせ材相互を架橋するごとく
溶接すれば、ライニング表面の防食性能は確保できる
が、端面には空隙が生じる。そこで、チタン当て板の溶
接に先立ち、チタン欠落部の端部のみを摩擦圧接により
肉盛補填する。この際、肉盛材にチタンまたはチタン合
金を用いることにより、肉盛部ではチタン合わせ材と同
等の耐食性が得られ、かつ次工程の当て板溶接は全周に
わたりチタン系材料相互の溶接となるため、その溶接施
工が大変容易になる。そして肉盛材として棒径7mm〜1
4mmの範囲内にあるチタン棒またはチタン合金棒を使用
することで、良好な接合強度が得られる。その後、チタ
ン欠落部の全面をチタン当て板にて密閉するため、チタ
ン当て板をチタン合わせ材及び前記肉盛部に全周溶接す
る。一方、チタンクラッド鋼板が薄肉の場合、端面のク
ラッド母材と鋼構造物との溶接には溶接部近傍のチタン
合わせ材のカットバックが予め必要となるが、前記の方
法によれば、同様に対応できる。
【0020】また、前記チタン棒またはチタン合金棒の
棒径が、前記条件内でチタン合わせ材欠落部の溝幅より
大きいものを使用することで、1回の圧接工程で前記チ
タン合わせ材欠落部の端部を接続することができ、工程
数を減らすことができる。
【0021】また、前記チタン棒またはチタン合金棒の
棒径が、チタン合わせ材欠落部の溝幅より小さくなって
も、前記条件内でより小さなものを選択使用すること
で、摩擦圧接による接合部の強度を向上させることがで
きる。この場合、圧接工程は2回以上必要となるが、信
頼性の高い鋼構造物が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1はクラッド鋼板の端部に摩擦
圧接を行う場合を想定して、鋼板上にチタン丸棒を溶接
した場合の、各種棒径のチタン丸棒と引張強度との関係
を示すグラフである。図1のように棒径が20mm以上の
チタン丸棒では接合強度が20MPa程度であり、棒径
が小さいほど接合強度は増加し、10mmのチタン丸棒で
は150MPa以上に向上している。なお、図に示して
いないが、棒径が5mm以下のチタン丸棒では座屈が発生
した。
【0023】この実験結果から以下のことが推察され
る。 (イ)摩擦圧接において良好な接合を得るためには、鋼
板ならびにチタン丸棒の表面がある程度流動しそれぞれ
の新生面が出る必要がある。 (ロ)棒径が細い場合には、チタン丸棒の外周部が小さ
いために、鋼およびチタンの流動を妨げないが、細すぎ
ると(棒径5mm以下)、座屈が発生する。 (ハ)棒径が太くなると(棒径20mm以上)、チタン丸
棒の外周部が鋼およびチタンの流動を妨げ、良好な接合
強度が得られない。
【0024】図1において、圧接時の加圧応力=加圧力
/断面積が一定であるにもかかわらず接合強度に差を生
じていることの要因は、前記(イ)〜(ハ)で述べた理
由によるものと考えられる。
【0025】また、本発明者らは、前記実験に先立ち、
チタン丸棒とスチール丸棒による丸棒相互の摩擦圧接に
よる接合強度についての検討も行っている。図1のチタ
ン丸棒とクラッド鋼板による摩擦圧接の場合は、棒径2
0mmで接合強度が20MPa程度であるが、同じ棒径2
0mmのチタン丸棒でも、被圧接体の形状が丸棒(スチー
ル丸棒)の場合の摩擦圧接では、圧接時の条件にもよる
が、接合強度が200MPaを超え、圧接条件によって
は400MPaを超えることを確認している。すなわ
ち、 (ニ)摩擦圧接による接合強度は、被圧接体の形状によ
って大きく変動する。
【0026】図2に本発明の鋼構造物の防食方法により
防食処理を施した防食構造物の一例を示す。この防食構
造物は、例えば、海洋鋼構造物1のスプラッシュゾーン
に薄肉のチタンクラッド鋼板2を上下左右に配置し、腹
巻き状にライニングしたものである。この例では、ライ
ニング端に相当する最上段および最下段のチタンクラッ
ド鋼板間の溶接部に端面が形成される。
【0027】図3に本発明の鋼構造物の防食方法の概略
を示す。図3は図2におけるライニング部最下段のチタ
ンクラッド鋼板間の溶接端部近傍Aを拡大し、防食方法
を施工順に示したものである。まず、図3(a)に示す
ようにチタンクラッド鋼板2の周縁の母材4を鋼構造物
1に溶接する。その際、チタンクラッド鋼板2が薄肉の
場合は、クラッド界面の脆化を防止するために、必要に
応じて図示のごとく、ライニング端面の溶接部6および
チタンクラッド鋼板間の溶接部7の近傍におけるチタン
合わせ材3を予めカットバックしてもよい。
【0028】次に、図3(b)に示すようにチタンクラ
ッド鋼板間の鋼相互の溶接部7上に生じるチタン合わせ
材3が欠落した部位(チタン合わせ材欠落部5)の端部
を補填ないし封鎖する如く、棒径7mm〜14mmのチタン
棒またはチタン合金棒を用いて摩擦圧接によりチタンま
たはチタン合金の肉盛部8を形成する。
【0029】最後に、図3(c)に示すようにチタンの
当て板9により、チタンクラッド鋼板間に生じるチタン
合わせ材3が欠落した部位(チタン合わせ材欠落部5)
を隣接するチタン合わせ材3に架橋するごとく覆い、チ
タン当て板9の全周をチタン合わせ材3および肉盛部8
に溶接する。この溶接部10にはチタン系の溶加材を用
い、TIG溶接やプラズマ溶接等で行う。かくして、チ
タン合わせ材欠落部5の端部を完全に密閉することがで
きる。なお、使用中の外力によるチタン当て板9のへこ
み等を防止する目的で、チタン合わせ材欠落部5を補填
するスペーサを予め挿入しても良い。
【0030】図4に本発明の鋼構造物の防食方法におけ
るチタン合わせ材欠落部の端部肉盛方法の一実施形態を
詳細に示す。図4はチタン合わせ材欠落部の端部周辺の
断面図を示したもので、ここではクラッド鋼板間の鋼相
互の溶接部7の幅が約5mm、溶接部7の近傍におけるチ
タン合わせ材3のカットバック量がそれぞれ1mmに設定
され、クラッド鋼板のチタン合わせ材相互の距離(およ
そ7mm)より大きな棒径(例えば8mm)を有するチタン
棒またはチタン合金棒12を用いて摩擦圧接するものと
する。摩擦圧接にて肉盛を行うには、まず、図4(a)
に示すようにチタンまたはチタン合金棒12を回転させ
ながらクラッド鋼板間の鋼相互の溶接部7周辺に押し付
ける。この結果、1回の圧接工程で、図4(b)に示す
ようにチタンまたはチタン合金棒12がクラッド鋼板2
に良好に接合される。さらに、チタンまたはチタン合金
棒12の上部は不要なため、切断後、図4(c)に示す
ようにチタン合わせ材3と面一になるように研削するこ
とで、チタン合わせ材3の欠落部端を補填する肉盛部8
を形成することができる。
【0031】図5に本発明の鋼構造物の防食方法におけ
るチタン合わせ材欠落部の端部肉盛方法の他の実施形態
を詳細に示す。図5はチタン合わせ材欠落部の端部周辺
の断面図を示したもので、ここではクラッド鋼板間の鋼
相互の溶接部7の幅が約10mm、溶接部7の近傍におけ
るチタン合わせ材3のカットバック量がそれぞれ2mmに
設定され、クラッド鋼板のチタン合わせ材相互の距離
(およそ14mm)より小さな棒径(例えば8mm)を有す
るチタン棒またはチタン合金棒12Aを用いて摩擦圧接
するものとする。摩擦圧接にて肉盛を行うには、まず、
図5(a)に示すようにチタンまたはチタン合金棒12
Aを回転させながらクラッド鋼板間の鋼相互の溶接部7
の片側周辺に押し付ける。この圧接工程で、図5(b)
に示すようにチタンまたはチタン合金棒12Aが溶接部
7の片側においてクラッド鋼板2に良好に接合される。
【0032】次に、チタンまたはチタン合金棒12Aの
上部は不要なため切断し、クラッド鋼板に対してフリー
となったチタン棒またはチタン合金棒12Aを、クラッ
ド鋼板間の鋼相互の溶接部7の他側へ移動させた後、前
記1回目の圧接工程と同様に回転させながらクラッド鋼
板間の鋼相互の溶接部7の他側周辺に押し付ける。この
2回目の圧接工程で、チタン棒またはチタン合金棒12
Aが溶接部7の他側においてもクラッド鋼板2に良好に
接合される。
【0033】その後、チタンまたはチタン合金棒12A
の上部は不要なため、切断後、さらに図5(d)に示す
ように1回目の圧接工程で形成した肉盛部8aと2回目
の圧接工程で形成した肉盛部とを共にチタン合わせ材3
と面一になるように研削することで、チタン合わせ材3
の欠落部端を補填する肉盛部8bを形成する。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、チタンクラッド鋼板の母材を鋼構造物に溶接
後、隣接のチタンクラッド鋼板間のチタン合わせ材欠落
部の端部に、棒径7mm以上、14mm以下のチタン棒また
はチタン合金棒を用いた摩擦圧接により肉盛部を形成す
ることにより、チタン合わせ材の欠落部端部を密封する
ものであるから、摩擦圧接による接合部の強度を向上さ
せることができて、高信頼性を得られる。また、チタン
合わせ材欠落部をカバーするチタン当て板を両側のチタ
ン合わせ材と肉盛部に溶接するので、チタン合わせ材欠
落部を完全にかつ容易に密閉することができる。しか
も、このチタン系材料の肉盛部はチタンクラッド鋼板と
の固相接合であるため、接合強度、耐食性及び信頼性が
高いものとなる。さらに、チタン当て板と両側のチタン
合わせ材及び肉盛部との溶接はチタン相互の溶接である
ため、溶接が容易である。よって、容易に長期耐久性に
優れた構造物の防食方法および防食構造物を提供するこ
とができる。
【0035】また、請求項2の発明によれば、チタン棒
またはチタン合金棒の棒径が、前記条件内でチタン合わ
せ材欠落部の溝幅より大きく、1回の圧接工程でチタン
合わせ材欠落部の端部を接続するので、1回の圧接工程
でチタン合わせ材欠落部の端部を接続することができ、
工程数を減らすことができた。
【0036】また、請求項3の発明によれば、チタン棒
またはチタン合金棒の棒径が、前記条件内でチタン合わ
せ材欠落部の溝幅より小さく、2回以上の圧接工程でチ
タン合わせ材欠落部の端部を接続するので、摩擦圧接に
よる接合部の強度が向上し、信頼性の高い鋼構造物が得
られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防食方法に用いるチタン棒またはチタ
ン合金棒の棒径の決定のために実験により採取した各種
棒径のチタン丸棒と引張強度との関係を示すグラフであ
る。
【図2】本発明の防食方法により防食処理を施した防食
構造物の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の防食方法の概要図である。
【図4】本発明の防食方法におけるチタン合わせ材欠落
部の端部肉盛方法の一実施形態の工程図である。
【図5】本発明の防食方法におけるチタン合わせ材欠落
部の端部肉盛方法の他の実施形態の工程図である。
【図6】従来技術による、ライニング部端に位置するチ
タンクラッド鋼板の突き合わせ溶接端部を示す図であ
る。
【図7】特開平4−182522号公報に記載の溶接端
面の空隙密閉方法を示す図である。
【図8】特開平7−34480号公報に記載の溶接端面
の空隙密閉方法を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼構造物 2 チタンクラッド鋼板 3 チタンクラッド鋼板のチタン合わせ材 4 チタンクラッド鋼板の母材(鋼) 5 チタン合わせ材欠落部 6 ライニング端面の鋼相互の溶接部 7 チタンクラッド鋼板間の鋼相互の溶接部 8,8a,8b 肉盛部 9 チタン当て板 10 チタン相互の溶接部 12,12A チタンまたはチタン合金棒

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼構造物の一部に複数のチタンクラッド
    鋼板を連続的にライニングする際に、 前記チタンクラッド鋼板の母材の周縁を前記鋼構造物に
    溶接し、 チタン棒またはチタン合金棒を用いた摩擦圧接により、
    隣接の前記チタンクラッド鋼板間で生じるチタン合わせ
    材欠落部の端部に両側のチタン合わせ材を架橋するよう
    に肉盛部を形成し、 前記チタン合わせ材欠落部をチタン当て板で覆い、該チ
    タン当て板の周縁を前記チタンクラッド鋼板のチタン合
    わせ材及び前記肉盛部に溶接する防食方法において、 前記チタン棒またはチタン合金棒として、棒径7mm以
    上、14mm以下のものを使用することを特徴とする鋼構
    造物の防食方法。
  2. 【請求項2】 チタン棒またはチタン合金棒は、棒径が
    チタン合わせ材欠落部の溝幅より大きく、1回の圧接工
    程で前記チタン合わせ材欠落部の端部を接続することを
    特徴とする請求項1記載の鋼構造物の防食方法。
  3. 【請求項3】 チタン棒またはチタン合金棒は、棒径が
    チタン合わせ材欠落部の溝幅より小さく、2回以上の圧
    接工程で前記チタン合わせ材欠落部の端部を接続するこ
    とを特徴とする請求項1記載の鋼構造物の防食方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014141423A1 (ja) * 2013-03-14 2014-09-18 新日鉄住金エンジニアリング株式会社 クラッド鋼管の接合方法及び接合構造

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