JP2002536959A - メチマイシンおよびピクロマイシンをコードする遺伝子 - Google Patents

メチマイシンおよびピクロマイシンをコードする遺伝子

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Abstract

(57)【要約】 メチマイシンおよびピクロマイシンのための生合成遺伝子群、ならびにデソサミンのための生合成遺伝子群が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 ポリヒドロキシアルカネート(PHA)は、生分解性ポリマーの1種類である。P
HA熱可塑性物質で最初に確認されたのは、D(-)-3-ヒドロキシブチレートのポリ
マー性エステルであるポリヒドロキシブチレート(PHB)である。グラム陰性菌
アルカリゲネス・ユートロプス(Alcaligenes eutrophus)におけるPHBの生合成
経路が図1に示されている。PHBに関連するPHA類は、懸垂基Rの構造が異な
る(図2)。例えば、PHBではRはCH3であるが、ポリヒドロキシ吉草酸ではR
はCH2CH3であり、ポリヒドロキシオクタノエートではRは(CH2)4CH3である。
【0002】 アルカリゲネス・ユートロプス(A.eutrophus)中でPHB合成に関与する遺伝子
がクローニングされ配列決定されている(Peoples et al.,J.Biol.Chem.,264,15
293(1989);Peoples et al.,J.Biol.Chem.,264,15298(1989))。3種の酵素ベー
タケトチオラーゼ(β-ketothiolase)(phbA)、アセトアセチルCoAレダクターゼ
(phbB)およびPHBシンターゼ(phbC)がアセチルCoAのPHBへの変換に関与して
いる。PHBシンターゼ遺伝子は、大腸菌(E.Coli)中に導入されると活性のあ
るMτ=63,900のタンパク質をコードしている(Peoples et al.,J.Biol.Chem.,
264,15298(1989))。
【0003】 PHBは生分解性熱可塑性物質の原型的な形態を表しているが、その物性によ
りホモポリマー形態の大幅な使用ができない。純粋なPHBは結晶性が高く、した
がって非常にもろい。しかし、PHAコポリマー中のR基の構造的な特性から生じ
る独特な物性は、より望ましい特性を持つポリマーを生み出す可能性がある。こ
れらの特性には、変化した結晶性、UV耐候性、ガラス転移温度(Tg)、結晶相
の融点、剛性および耐久性がある(Holmes et al.,EPO 00052 459;Anderson et
al.,Microbiol.Rev.,54,450(1990))。したがってこれらのポリエステルは、そ
の融点が50〜180℃であり熱可塑性物質として振る舞い、従来の伸長および成型
装置で処理できる。
【0004】 ランダムPHAコポリマーを製造する伝統的な戦略は、短鎖および長鎖脂肪酸モ
ノマーを細菌培養物に与えるものである。しかしこの技術は内生PHAシンター
ゼによりポリマー中に組み込み可能なモノマー単位ならびに既存の発酵法により
PHAを製造する費用により限定される(Haywood et al.,FEMS Microbiol.Lett.,5
7,1(1989);Poi et al.,Int.J.Biol.Macromol.,12,106(1990);Steinbuchel et al
.,In:Novel Biomaterials from Biological Sources.D.Byron(ed),MacMillan,NY
(1991);Valentin et al.,Appl.Microbiol.Biotechnical,36,507(1992))。
【0005】 ホモポリマーおよびコポリマーのPHAになるさまざまなヒドロキシアシルCo
Aの産生も、脂肪酸の還元および縮合経路を経て細菌中で起こる。この経路は、
マロン酸エステルおよび酢酸エステルを縮合する脂肪酸シンターゼ(FAS)を
利用している。得られるβケト基は、βケト還元、脱水およびエノイル還元の3
つの処理工程を経て、完全に飽和したブチリル単位を生成する。しかし、この経
路は、アルキル鎖長は変わるがアルキル基分岐度、飽和度またはアシル鎖に沿っ
た機能化は変わらない限定されたモノマーのみを提供する。
【0006】 エリスロマイシンなどのポリケチドの生合成は、長鎖脂肪酸の生成と機械的に
関連している。しかし、FASとは対照的に、ポリケチドはケトン、ヒドロキシル
またはオレフィン官能基を有し、通常の脂肪酸と同等な長さのアシル基に沿って
点在するメチルまたはエチル側鎖基を含む。このような構造の非対称性は、これ
らの分子の生成を担当する酵素系であるポリケチドシンターゼ(PKS)が、FA
Sと機械的には関連するものの、長鎖脂肪酸とは構造的に非常に異なる最終生成
物をみ出すことを意味する。
【0007】 PHAは石油化学系の熱可塑性物質の代わりになる汎用性を有する生分解性ポリ
マーであるので、定義されたPHAの製造のため新規なより経済的な方法が提供さ
れることが望ましい。したがって、PHAポリマーを生成するための組み換えPHAモ
ノマーシンターゼを産生する方法が必要である。 さらに、新規なポリケチドシンターゼ遺伝子、例えばマクロライドなどの抗生
物質を合成するポリペプチドをコードするポリケチドシンターゼの確認および単
離をする必要が継続的に存在する。
【0008】 発明の開示 本発明は、糖(デソサミン)生合成遺伝子クラスターを含んでなる核酸配列を
含んでなる単離・精製された核酸セグメントまたは生物学的に活性なその変種ま
たはフラグメントであって、前記核酸配列がサッカロポリスポラ・エリスレア(
Saccharopolyspora erythraea)のeryC遺伝子クラスターから誘導されていない
、核酸セグメントを提供する。以下に記載するとおり、ストレプトコッカス・ベ
ネズエラ(Streptomyces venezuelae)から得たデソサミン生合成遺伝子クラス
ターが、単離されクローニングされ配列が決定された。遺伝子クラスターを構成
する単離された核酸セグメントは、好ましくは、配列番号:3を含んでなる核酸配
列またはそのフラグメントまたは変種を含む。
【0009】 そのクラスターは、DesI(例えば配列番号:7によりコードされる配列番号:8)
、DesII(例えば配列番号:9によりコードされる配列番号:10)、DesIII(例えば
配列番号:11によりコードされる配列番号:12)、DesIV(例えば配列番号:13によ
りコードされる配列番号:14)、DesV(例えば配列番号:15によりコードされる配
列番号:16)、DesVI(例えば配列番号:17によりコードされる配列番号:18)、De
sVII(例えば配列番号:19によりコードされる配列番号:20)、DesVIII(例えば
配列番号:21によりコードされる配列番号:22)およびDesR(例えば配列番号:23
によりコードされる配列番号:24)を含む9種のポリペプチドをコードすること
が分かった(図24参照)。
【0010】 DesRをコードする本発明の核酸セグメントがサッカロポリスポラ・エリスレア
(Saccharopolyspora erythraea)のeryB遺伝子クラスターまたはストレプトマ
イセス・アンチビオチクス(Streptomyces antibioticus)のoleD遺伝子から誘
導されていないことが好ましい。好ましくは、デソサミン生合成遺伝子クラスタ
ーからなる核酸セグメントは、穏和な(moderate)、より好ましくは厳しい(st
ringent)ハイブリダイゼーション条件下で配列番号:3またはそのフラグメント
とハイブリダイズする。穏和(moderate)および厳しい(stringent)ハイブリ
ダイゼーション条件は当技術分野に公知であり、例えばSambrook(Molecular Clo
ning:A Laboratory Mannual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harb
or,NY(1989)の9.47-9.51セクションを参照されたい。
【0011】 例えば厳しい条件は、(1)洗浄に低イオン強度および高温を用いる、例えば
50℃で0.015M NaCl/0.0015Mクエン酸ナトリウム(SSC);0.1%ラウリル硫酸ナ
トリウム(SDS)を用い、または(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミ
ドなどの変性剤を用いる、例えば0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/
0.1%ポリビニルピロリドン/pH6.5の50mMリン酸ナトリウム緩衝液とともに50%
ホルムアミドを42℃で750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウムと併用する条件であ
る。他の例は、0.2xSSCおよび0.1%SDS中で42℃での洗浄液とともに、50%ホル
ムアミド、5xSSC(0.75M NaCl,0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリ
ウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5xDenhardt溶液、超音波処理した
サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および10%デ
キストラン硫酸を42℃で使用するものである。
【0012】 本発明は、配列番号:8,配列番号:10,配列番号:12,配列番号:14,配列番号:
16,配列番号:18,配列番号:20,配列番号:22,配列番号:24またはそのフラグメ
ントを含んでなるアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも約80%
、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%で
あって100%未満の連続(onfiguous)アミノ酸配列同一性を有する変種ポリペプ
チドをも提供する。
【0013】 本発明の好ましい変種ポリペプチドまたはポリペプチドのサブユニットまたは
フラグメントは、配列番号:8,配列番号:10,配列番号:12,配列番号:14,配列
番号:16,配列番号:18,配列番号:20,配列番号:22または配列番号:24を含んで
なるアミノ酸配列を有するポリペプチドの活性の少なくとも約1%、より好まし
くは少なくとも約10%、さらにより好ましくは少なくとも約50%を有する変種ま
たはサブユニットポリペプチドを含む。したがって、例えば配列番号:20のポリ
ペプチドのグリコシルトランスフェラーゼ活性は、配列番号:20に対して少なく
とも1つのアミノ酸置換、挿入または欠失を有する配列番号:20の変種と比較で
きる。
【0014】 本発明の変種核酸配列は、配列番号:3,配列番号:7,配列番号:9,配列番号:1
1,配列番号:13,配列番号:15,配列番号:17,配列番号:19,配列番号:21、配列
番号:23またはそのフラグメントからなる核酸配列に対して少なくとも約80%、
より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは約95%であって100%
未満の隣接アミノ酸配列同一性を有する。
【0015】 デソサミン生合成遺伝子クラスターからなる核酸配列、宿主細胞中で機能しう
るプロモーターに作用可能に結合した生物学的に活性な変種またはフラグメント
を含んでなる発現カセットならびに本発明の発現カセットからなる宿主細胞も提
供される。したがって、本発明の発現カセットは、クラスター中の個々の遺伝子
、例えばグリコシダーゼをコードするdesR遺伝子またはポリケチドおよびデオキ
シ糖に対する緩和した基質特異性を有するグリコシルトランスフェラーゼをコー
ドするdesVII遺伝子を発現するのに有用であり、すなわちグリコシルトランスフ
ェラーゼはTDP−デソサミン以外の糖基質を処理する。このようにdesVII遺伝子
は、変種ポリケチドおよびデオキシ糖構造を有するマクロライド化合物のライブ
ラリーを合成する組合せ生物学手法に利用できる。
【0016】 さらに、マクロライド抗生物質を合成する宿主細胞中のグリコシラーゼの発現
は、抗生物質の毒性を低減する、例えば不活性化する方法において有用であるか
もしれない。例えば、抗生物質を合成する宿主細胞はグリコシルトランスフェラ
ーゼをコードする発現カセットにより形質転換される。組み換え型グリコシルト
ランスフェラーゼは、抗生物質を逆に不活性化させる量で発現される。抗生物質
を活性化するには、抗生物質、好ましくは宿主細胞から回収され単離された抗生
物質を適当な天然または組み換え型グリコシダーゼと接触させる。
【0017】 本発明の発現カセット中のデソサミンをコードする核酸セグメントは、サッカ
ロポリスポラ・エリスレア(Saccharopolyspora erythraea)のeryC遺伝子クラ
スターに由来しないことが好ましい。好ましい宿主細胞は原核細胞であるが、真
核細胞も想起される。これらの宿主細胞はデソサミン、類似化合物またはその誘
導体ならびに宿主細胞から単離できる個々のポリペプチドを発現するのに有用で
ある。デソサミン生合成遺伝子クラスターの少なくとも1部から得たアンチセン
ス配列からなる発現カセットまたは宿主細胞も提供される。
【0018】 本発明の他の実施様態は、デソサミン合成を変更する、好ましくはデソサミン
合成を低減するかそれを欠くように、および/またはデソサミンの類似化合物ま
たは誘導体を合成するように、宿主染色体中のデソサミンをコードする核酸配列
の少なくとも1部が異種配列により乱されている、例えば欠失または分断(例え
ば挿入により)されている、または本発明の変種核酸配列で置換されている組み
換え型宿主細胞、例えば細菌細胞である。乱される核酸配列は、サッカロポリス
ポラ・エリスレア(Saccharopolyspora erythraea)のeryC遺伝子クラスターに
由来しないことが好ましい。
【0019】 したがって、本発明の組み換え型宿主細胞は、乱された少なくとも1つの遺伝
子、すなわちdesI,desII,desIII,desIV,desV,desVI,desVII,desVIIIまたはdesR
を有する。本発明の1様態には、N−メチルトランスフェラーゼをコードするde
sVI遺伝子が、例えば抗生物質耐性遺伝子による置換で乱されている組み換え型
宿主細胞がある。そのような宿主細胞がN−アセチル化アミノデオキシ糖を有す
るアグリコン、10-デオキシ−メチロニド、式(7)の化合物、式(8)の化合
物、またはそれらの組合せを合成するのが好ましい。このように、desVI遺伝子
の欠失または乱れは、新規な糖を調製する方法において有用であるかもしれない
【0020】 本発明の他の好ましい様態は、βグルコシダーゼなどのグリコシダーゼをコー
ドするdesR遺伝子が乱されている組み換え型細菌宿主細胞である。好ましくは、
C-2’βグリコシル化マクロライド抗生物質、例えば式(13)の化合物、式(1
4)の化合物またはその組合せを合成することが好ましい。したがって本発明は
式(8),(9),(13)または(14)の化合物をさらに提供する。キラル中心を持つ本
発明の化合物の各原子が存在し、光学活性の形態またはラセミ形態として単離で
きることが、当業者には理解されるであろう。多形を示す化合物もある。
【0021】 本発明は、本明細書に記載する有用な性質を持つ本発明の化合物のラセミ、光
学活性、多形および立体異性形態およびそれらの混合物を含包することを理解さ
れたいが、光学活性形態の調製方法(例えば、再結晶技術によるラセミ体の分離
、光学活性な出発物質からの合成、キラル合成、キラルな固定相を用いたクロマ
トグラフィーによる分離)および本明細書に記載された標準的な試験または当技
術分野に公知な他の類似した試験を利用した活性の決定方法は当技術分野に公知
である。
【0022】 ポリケチド産生微生物の遺伝子操作による特定のグリコシル化修飾ポリケチド
の生合成を指示する方法も提供される。その方法は、ポリケチド産生微生物中に
、デソサミン生合成における酵素をコードするDNA配列、例えば配列番号:3ある
いはその変種またはフラグメントからなるDNA配列を導入して、特定のグリコシ
ル化修飾ポリケチドを産生する微生物を得るものである。または、本発明のアン
チセンスDNA配列を利用してもよい。次いで、グリコシル化修飾ポリケチドを微
生物から単離する。糖の生合成または糖のポリケチドへの付加における少なくと
も1つの酵素活性を不活性化するようにDNA配列が修飾されるのが好ましい。
【0023】 さらに、メチマイシン、ピクロマイシン、ネオメチマイシン、ナルボマイシン
またはそれらの組合せを合成するポリペプチドをコードするマクロライド生合成
遺伝子クラスター(「met/pik」または「pik」遺伝子クラスター)を構成する核
酸配列を含んでなる単離・精製された核酸セグメントあるいは生物学的に活性な
その変種またはフラグメントが提供される。核酸セグメントが配列番号:5あるい
はその変種またはフラグメントを含んでなり、穏和またはより好ましくは厳しい
条件下で配列番号:5またはそのフラグメントにハイブリダイゼーションできるこ
とが好ましい。単離・精製された核酸セグメントが、ストレプトマイセス・ベネ
ズエラ(Streptomyces venezuelae)(例えばATCC 15439,ATCC15068,MCRL0306,S
C2366または3629)、ストレプトマイセス・ナルボネンシス(Streptomyces narb
onensis)(例えばATCC 19790)、ストレプトマイセス・ユーロシデウス(Strep
tomyces eurocidius)、ストレプトマイセス・ザオミセティクス(Streptomyces
zaomyceticus)(MCRL 0405)、ストレプトマイセス・フラボークロモゲネス(
Streptomyces flavochromogens)、ストレプトマイセス・(Streptomyces)sp.AM
400およびストレプトマイセス・フエレウス(Streptomyces felleus)などのス
トレプトマイセス(Streptomyces)の種から得られるのが好ましいが、メチマイ
シン、ナルボマイシン、ネオメチマイシンおよび/またはピクロマイシンを産生
する他の生物由来の単離精製された核酸も本発明の範囲内である。
【0024】 新規なマクロライド抗生物質、例えばケトリドならびにポリヒドロキシアルカ
ネート(PHA)バイオポリマー用のモノマーを生産するために、クローニングさ
れた遺伝子を発現系中に導入し遺伝子操作することができる。好ましくは、前記
核酸配列は、PikR1(例えば配列番号:26によりコードされる配列番号:27)、Pik
R2(例えば配列番号:28によりコードされる配列番号:29)、PikAI(例えば配列
番号:30によりコードされる配列番号:31)、PikAII(例えば配列番号:32により
コードされる配列番号:33)、PikAIII(例えば配列番号:34によりコードされる
配列番号:35)、PikAIV(例えば配列番号:36によりコードされる配列番号:37)
、PikB(上述のデソサミン遺伝子クラスター)、PikC(例えば配列番号:38によ
りコードされる配列番号:39)およびPikD(配列番号:40によりコードされる配列
番号:41)、その変種またはフラグメントをコードし、穏和または好ましくは厳
しい条件下でそのような核酸配列にハイブリダイゼーションする。
【0025】 本発明は、配列番号:27,配列番号:29,配列番号:31,配列番号:33,配列番号
:35,配列番号:37,配列番号:39,配列番号:41またはそのフラグメントを含んで
なるアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも約80%、より好まし
くは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%であって10
0%未満の連続アミノ酸配列同一性を有する変種ポリペプチドをも提供する。
【0026】 本発明の好ましい変種ポリペプチド、あるいはポリペプチドのサブユニットま
たはフラグメントには、配列番号:27,配列番号:29,配列番号:31,配列番号:33
,配列番号:35,配列番号:37,配列番号:39または配列番号:41を含んでなるアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドの活性の少なくとも約1%、より好ましくは少な
くとも10%、さらにより好ましくは少なくとも約50%を有する変種またはサブ
ユニットポリペプチドがある。本発明のマクロライド生合成経路のポリペプチド
の活性が以下に記載される。
【0027】 本発明のpik生合成遺伝子クラスターの変種核酸配列は、配列番号:5,配列番
号:26,配列番号:28,配列番号:30,配列番号:32,配列番号:34,配列番号:36,
配列番号:38,配列番号:40またはそのフラグメントからなるアミノ酸配列に対し
て少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは
少なくとも約95%であって100%未満の隣接核酸配列同一性を有する。
【0028】 pikA遺伝子はマクロラクトン10-デオキシメタノライドおよびナルボナイドを
合成するポリケチドシンターゼターゼをコードし、pikBはデオキシ糖部分の形成
およびアグリコンへの移動を触媒するデソサミンシンターゼをコードし、pikC遺
伝子はYC-17およびナルボマイシンのメチマイシン、ネオメチマイシンおよびピ
クロマイシンへの変換を触媒するP450ヒドロキシラーゼをコードし、pikR1、pik
R2(おそらく一方は12員環で他方は14員環)およびdesR遺伝子は細菌の自己防衛
に関連した酵素をコードしている。したがって、本発明の単離された核酸分子は
、4種の活性なマクロライド抗生物質をコードし、そのうち2種が12員環であり
他の2種が14員環である。
【0029】 ポリケチド合成の別な終止の根底にある遺伝的メカニズムは、新規な化合物、
例えば抗生物質およびPHAモノマーを調製するのに有用であるかもしれない。本
発明はさらに、マクロライド生合成遺伝子クラスター中の個別な遺伝子のそれぞ
れに対して、例えば発現カセットの形態で、単離・精製された核酸セグメントを
提供する。例えば、本発明はチオエステラーゼIIをコードする単離・精製された
pikAV遺伝子を提供する。特に、チオエステラーゼは連鎖の開放および環化
合物を調整するので、抗生物質およびPHA産生中の構造的多様性を増すのに有用
であるかもしれない。
【0030】 例えば、アシル−ACP補酵素Aトランスフェラーゼ活性を有するチオエステラ
ーゼII遺伝子(例えば、突然変異体pikTEII、細菌、真菌または植物の中鎖長チ
オエステラーゼ、動物脂肪酸チオエステラーゼまたはポリケチドシンターゼ由来
のチオエステラーゼ)が、組み換え型モノマーシンターゼの末端に導入され(図
36参照)、PHAシンターゼ、例えばphaC1存在下で新規なポリヒドロキシアルカ
ネートポリマーを産生する。または、TEIIドメインのない状態で、PKS遺伝子ク
ラスターの一部とPHAシンターゼの融合により、PHAからポリメラーゼへのアシル
鎖の移動が生じることもある。
【0031】 12員環の2つの部位または14員環の1つの部位で活性のあるヒドロキシラーゼ
をコードするpikC遺伝子も提供される。そのような遺伝子は、生物変換または生
体内変換により新規な化合物を調製するのに特に有用であるかもしれない。
【0032】 本発明は、宿主細胞中で機能しうるプロモーターに操作可能に結合した、メチ
マイシン、ピクロマイシン、ネオメチマイシン、ナルボマイシンまたはそれらの
組合せを合成するポリペプチドをコードするマクロライド生合成遺伝子クラスタ
ーからなる核酸セグメントまたは生物学的に活性な変種またはフラグメントから
なる発現カセットも提供する。
【0033】 さらに、メチマイシン、ピクロマイシン、ネオメチマイシン、ナルボマイシン
またはそれらの組合せをコードする核酸セグメントまたは生物学的に活性な変種
またはフラグメントからなる宿主細胞も提供される。また、本発明は、好ましく
は本発明の核酸分子を有する宿主細胞から得られる本発明の単離・精製されたポ
リペプチドを提供する。それに加え、本発明のマクロライド生合成遺伝子クラス
ターの少なくとも1部分のアンチセンス配列からなる発現カセットおよび宿主細
胞も考えられる。
【0034】 本発明のさらに他の実施様態は、好ましくはメチマイシン、ピクロマイシン、
ネオメチマイシン、ナルボマイシンまたはそれらの組合せ変更、好ましくはそれ
らを低減または失うように、かつ/または新規なマクロライドの合成をするよう
に、本発明のマクロライド生合成遺伝子クラスターの1部分が乱され異種構造配
列または本発明の変種核酸セグメントに置換されている組み換え型宿主細胞、例
えば細菌細胞である。
【0035】 したがって、本発明は、pikAI遺伝子、pikAII遺伝子、pikAIII遺伝子(12員環
)、pikIV遺伝子(14員環)、pikB遺伝子クラスター、pikAV遺伝子、pikC遺伝子
、pikD遺伝子、pikR1遺伝子、pikR2遺伝子またはそれらの組合せが乱されている
か置換されている組み替え型宿主細胞を提供する。本発明の好ましい実施様態は
、pikB(例えばdesVIおよびdesV遺伝子)、pikAI、pikAVまたはpikC遺伝子が乱
されている宿主細胞である。
【0036】 10-デオキシメチノリド形成には6番目(最終)縮合サイクルは必要ではない
が、以下に記載するようにPikモジュール6(pikAIVによりコードされている)の
遺伝子的乱れが12員環および14員環マクロラクトン両方の産生を妨げた。したが
って、pikAIVの別な形態の発現が、ポリケチド鎖の伸長および停止における最終
工程を制御している。具体的には、N末端切断形態のPikAIVにより10-デオキシ
メチノリドが形成され、全長のPikAIVによりナルボノライドが産生される。切断
されたPKSモジュールの発現は、ポリケチド鎖長決定の新規な方法を表している
。さらに、そのようなモジュールの発現は多様なポリケチドを産生するので、そ
のようなモジュールの使用により新規な生成物をより迅速に決定できる可能性が
ある。
【0037】 本発明はまた、組合せ生合成の方法も提供する。その方法は、生合成遺伝子ク
ラスター、例えば発現カセットがプラスミド上に存在するポリケチドシンターゼ
遺伝子のDNAフラグメントを含んでなる発現カセットを宿主細胞中で発現される
ことを含んでなり、宿主細胞のゲノムは、プラスミド上に存在する遺伝子の部分
とは異なる遺伝子の部分を含んでなる。前記DNAフラグメントおよび宿主染色体
の1つである遺伝子の部分が一緒になってに遺伝子全体を構成するのが好ましい
【0038】 プラスミドおよび染色体由来の遺伝子の同時発現が、生成物を産生する組合せ
経路を形成する。プラスミドのサイズがより小さければ遺伝子操作が容易になり
、したがって組合せ経路の大規模なライブラリーを短時間で作ることができる。
好ましくは、前記DNAフラグメントおよび宿主染色体上の遺伝子クラスターの部
分が天然のプロモーターで結合しており、例えばpik遺伝子がPpikAに結合してい
る。
【0039】 さらに、本発明のマクロライド生合成遺伝子クラスターからなる核酸配列はポ
リケチドシンターゼをコードするので、そのシンターゼのモジュールは、組み換
え型ポリヒドロキシアルカネートモノマーシンターゼおよびポリマーならびにマ
クロライド抗生物質およびその誘導体を調製する方法において有用である。
【0040】 したがって、本発明は、第1のモジュールをコードする第1のDNAセグメント
および第2のモジュールをコードする第2のDNAセグメントを含んでなる単離・
精製されたDNA分子を提供し、前記DNAセグメントが一緒になって組み換え型ポリ
ヒドロキシアルカネートモノマーシンターゼをコードし、少なくとも1つのDNA
セグメントがストレプトマイセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)のp
ikA遺伝子クラスターから誘導されている。
【0041】 好ましくは、1つのDNAセグメントのみがサッカロポリスポラ・エリスレア(S
accharopolyspora erythraea)のeryA遺伝子クラスターから誘導される。本発明
の1様態において、本発明の単離されたDNA分子の3’末端DNAセグメントはチオ
エステラーゼIIをコードする。また、宿主細胞中で機能しうるプロモーターに作
用可能に結合したポリヒドロキシアルカネートモノマーシンターゼをコードする
核酸分子からなる発現カセットも提供される。
【0042】 さらに本発明の他の実施様態は、ポリヒドロキシアルカネートモノマーを提供
する方法である。前記方法は、宿主細胞中で機能しうるプロモーターに操作可能
に結合した組み換え型ポリヒドロキシアルカネートモノマーシンターゼをコード
するDNAセグメントを含んでなるDNA分子を宿主細胞に導入することを含んでなる
。DNA分子は複数のDNAセグメント、例えば第1のモジュールおよび第2のモジュ
ールを含んでなり、少なくとも1つのDNAセグメントがストレプトマイセス・ベ
ネズエラ(Streptomyces venezuelae)のpikA遺伝子クラスターから誘導されて
いる。
【0043】 次いで、組み換え型ポリヒドロキシアルカネートモノマーシンターゼをコード
するDNAは、ポリヒドロキシアルカネートモノマーを生成するよう宿主細胞中で
発現される。任意に、第2のDNA分子を宿主細胞中に導入してもよい。第2のDNA
分子は、宿主細胞中で機能しうるプロモーターに作用可能に結合したポリヒドロ
キシアルカネートモノマーシンターゼをコードするDNAセグメントを含んでなる
。前記2種のDNA分子はポリヒドロキシアルカネートポリマーを生成するように
宿主細胞中で発現される。
【0044】 本発明の他の実施様態は、脂肪酸シンターゼをコードする第1のDNAセグメン
トおよびストレプトマイセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)のpikA
遺伝子クラスター由来のモジュールをコードする第2のDNAセグメントを含んで
なる、単離・精製されたDNA分子である。そのようなDNA分子は、ポリヒドロキシ
アルカネートモノマーを提供する方法で使用することができる。
【0045】 したがって、脂肪酸シンターゼをコードする第1のDNAセグメントおよびポリ
ケチドシンターゼをコードする第2のDNAセグメントを含んでなるDNA分子が宿主
細胞中に導入される。第1のDNAセグメントは、第2のDNAセグメントに対して5
’の位置にあり、第1のDNAセグメントは宿主細胞中で機能しうるプロモーター
に作用可能に結合している。第1のDNAセグメントは、結合されたDNAセグメント
が融合蛋白を発現するように第2のDNAセグメントに結合している。前記DNA分子
は、ポリヒドロキシアルカネートモノマーを生成するように宿主細胞中で発現さ
れる。
【0046】 さらに、ポリヒドロキシアルカネートモノマーシンターゼを提供する方法が提
供される。前記方法は、宿主細胞中で機能しうるプロモーターに作用可能に結合
されたポリヒドロキシアルカネートシンターゼをコードするDNA分子を含んでな
る発現カセットの導入を含んでなる。前記DNA分子は、第1のモジュールをコー
ドする第1のDNAセグメントおよび第2のモジュールをコードする第2のDNAセグ
メントを含んでなり、前記DNAセグメントはともにポリヒドロキシアルカネート
モノマーシンターゼをコードする。
【0047】 少なくとも1つのDNA遺伝子がストレプトマイセス・ベネズエラ(Streptomyce
s venezuelae)のpikA遺伝子クラスターに由来する。前記DNA分子は宿主細胞中
で発現される。任意に、前記DNA分子はポリヒドロキシアルカネートシンターゼ
をコードするDNAセグメントをさらに含んでもよい。または、ポリヒドロキシア
ルカネートシンターゼをコードする第2の別なDNA分子を宿主細胞中に導入して
もよい。
【0048】 本発明のさらなる実施様態は、ストレプトマイセス・ベネズエラ(Streptomyc
es venezuelae)ポリケチドシンターゼ、例えばポリヒドロキシアルカネートモ
ノマーシンターゼをコードするDNAセグメント、あるいは生物学的に活性な変種
またはサブユニット(フラグメント)からなる単離・精製されたDNA分子である
。好ましくは、前記DNAセグメントは、配列番号:2を含んでなるアミノ酸配列を
有するポリペプチドをコードする。好ましくは、前記DNAセグメントは配列番号:
1を含んでなる。本発明のDNA分子は2本鎖でも1本鎖でもよい。
【0049】 本発明の好ましい実施様態は、配列番号:1を含んでなるDNAセグメントに対し
て少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは
少なくとも約90%であって100%未満の連結配列同一性を有するDNA分子、例えば
「変種」DNA分子である。本発明の変種DNA分子は、オリゴヌクレオチド媒介突然
変異誘発など当技術分野に公知の方法で調製できる。Adelman et al.,DNA,2,183
(1983)およびSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1989)
を参照されたい。
【0050】 本発明は単離・精製されたポリヒドロキシアルカネートモノマーシンターゼ、
例えば配列番号:2を含んでなるアミノ酸配列、その生物学的に活性なサブユニッ
トまたは生物学的に活性な変種を有するポリペプチドも提供する。したがって、
本発明は、配列番号:2を含んでなるアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して
少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少
なくとも約95%であって100%未満の隣接アミノ酸配列同一性を有する変種ポリ
ペプチドを提供する。
【0051】 本発明の好ましい変種ポリペプチドまたはポリペプチドのサブユニットには、
配列番号:2を含んでなるアミノ酸配列を有するポリペプチドの活性の少なくとも
約10%、より好ましく少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約90
%を有する変種またはサブユニットポリペプチドがある。好ましくは、本発明の
変種ポリペプチドは、配列番号:2を含んでなるアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドに対して1つまたは複数の保存的置換を有する。
【0052】 例えば、保存的置換には、酸性アミノ酸としてアスパラギン酸−グルタミン酸
、塩基性アミノ酸としてリジン/アルギニン/ヒスチジン;疎水性アミノ酸とし
てロイシン/イソロイシン、メチオニン/バリン、アラニン/バリン;親水性ア
ミノ酸としてセリン/グリシン/アラニン/スレオニンがある。本発明のポリペ
プチドの生物学的活性は、限定はされないが以下に記載する方法などの当技術分
野に公知の方法により測定できる。
【0053】 したがって、本発明の核酸セグメントによりコードされたモジュールを上述の
方法に利用して、変化した鎖長またはさまざまな側鎖置換を持つポリヒドロキシ
アルカネートを調製し、かつ/またはグリコシル化バイオポリマーを調製できる
【0054】 本発明の組み換え型宿主細胞により産生される化合物は、例えば包装または生
物医学用途におけるバイオポリマーとして、PHAモノマーシンターゼを作り、ま
たはヒトなどの哺乳類の病理学的状態または症状を治療するための薬剤を調製す
るのに有用なものなどの生物学的に活性な薬剤を調製するのに有用である。その
ような薬剤には、化学療法剤、免疫抑制剤、喘息、慢性閉塞性肺疾患ならびに循
環系炎症を含む他の疾患を治療するための薬剤、コレステロール低下薬または多
剤耐性肺炎球菌および他の循環系病原体を含む細菌ならびにウィルス性または寄
生性病原体などさまざまな生物に対して活性のあるマクロライド系抗生物質、植
物中のポリケチドの発現による穀類保護剤(例えば防かび剤または殺虫剤)など
の薬剤がある。
【0055】 これらの化合物を使用して、細菌性、ウィルス性または寄生性感染、ガン、循
環器系疾患を有する患者などそのような治療が必要な哺乳類、鳥類または魚類を
治療し、あるいは例えば細胞、組織または器官移植の間など免疫抑制を必要とす
る哺乳類、鳥類または魚類を治療する方法も考えられる。
【0056】 (発明の詳細な記載)定義 本明細書において、「リンカー領域」とは、多機能性タンパク質中に存在する
アミノ酸配列であり、これは触媒活性を有するアミノ酸配列に比べアミノ酸配列
において十分には保存されていない。 本明細書において、「延長ユニット」(extender unit)触媒または酵素ドメイ
ンとは、モジュール中のアシルトランスフェラーゼであり、これは2〜4個の炭素
ユニットをアシル鎖に付加することにより鎖の伸長を触媒し、かつ、もう1つの
アシルトランスフェラーゼのカルボキシ末端に位置する。例えば、メチルマロニ
ルCoA特異性を有する延長ユニットはメチルマロニルCoAモジュールにアシル基を
付加する。
【0057】 本明細書において、「ポリヒドロキシアルカノエート」または「PHA」重合体
としては、限定されるものではないが、関連する連結されたユニット、好ましく
は異種の、3-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシバレレート、3-ヒドロキシカ
プロエート、3-ヒドロキシヘプタノエート、3-ヒドロキシヘキサノエート、3-ヒ
ドロキシオクタノエート、3-ヒドロキシウンデカノエート、および3-ヒドロキシ
ドデカノエートなどのヒドロキシアルカノエート、ならびにそれらの4-ヒドロキ
シおよび5-ヒドロキシ対応物が挙げられる。
【0058】 本明細書において、「I型ポリケチドシンターゼ」とは、単一のセットの繰り
返し使用される活性部位を含む単一のポリペプチドである。これは、一連のポリ
ペプチド上の活性部位を使用するII型ポリケチドシンターゼとは対照的なもので
ある。 本明細書において、「組換え」核酸またはタンパク質分子とは、タンパク質を
コードする核酸分子がin vitroで改変されており、その結果、その配列が天然の
ものではない、または改変されていないゲノムにおいて位置するようには位置し
ない天然の配列に相当する分子である。
【0059】 本発明の「組換え」宿主細胞は、本発明のマクロライドまたはデソサミン生合
成遺伝子群において少なくとも1個の遺伝子の機能または活性を変化させる、例
えば低下させるか、もしくは妨げる、またはそうでなければ、高めるようにin v
itroで操作されたゲノムを有する。 本明細書において、「多機能性タンパク質」とは、単一のポリペプチド上に2
以上の酵素活性が存在するものである。
【0060】 本明細書において、「モジュール」とは、I型ポリケチドシンターゼまたは脂
肪酸シンターゼなどの多機能性タンパク質中の一連の反復されたユニットのうち
の1個である。 本明細書において、「未熟終結産物」(premature termination product)とは
、組換え多機能性タンパク質により産生される産物であり、それは非組換え多機
能性タンパク質により産生される産物とは異なっている。一般に、組換え多機能
性タンパク質により産生される産物はアシル基が少ない。
【0061】 本明細書において、遺伝子群「に由来する」DNAとは、in vitroでゲノムDNAか
ら単離され、精製された、またはゲノムDNAの配列をもとに合成により調製され
たDNAである。 本明細書において、「pik」または「pik/met」遺伝子クラスターとしては、ポ
リケチドシンターゼ(pikA)、デソサミン生合成酵素(pikB、desとも呼ばれる)、
シトクロムP450(pikC)、調節因子(pikD)および細胞の自己耐性のための酵素(pik
R)をコードする配列が挙げられる。
【0062】 本明細書において、「単離された、および/または精製された」とは、DNAま
たはポリペプチド分子のその天然の細胞内環境からの、また核酸もしくはポリペ
プチドなどの細胞の他の成分との会合からのin vitroでの単離をいい、その結果
、配列決定され、複製され、および/または発現され得る。さらに、DNAは1個以
上の組換えI型ポリケチドシンターゼおよび/または脂肪酸シンターゼをコード
し得る。
【0063】 例えば、「ポリヒドロキシアルカノエート単量体シンターゼをコードする単離
されたDNA分子」とは、生物学的に活性なポリペプチド、断片またはその変異体
をコードする、7個、好ましくは15個、およびより好ましくは20個以上の連続す
るヌクレオチド塩基を含有するRNAまたはDNAであり、それはポリヒドロキシアル
カノエート単量体シンターゼRNAの非コードに相補的であるか、もしくはコード
鎖に相補的であるか、またはポリヒドロキシアルカノエート単量体シンターゼを
コードするRNAもしくはDNAとハイブリダイズし、かつ、当技術分野で十分に公知
の方法により、例えば上記のSambrookらにおいて定義される、ストリンジェント
な条件下でも安定に結合したままである。
【0064】 本明細書において「抗生物質」とは、天然状態で、または限定された化学修飾
をともなって別の微生物または真核細胞の増殖を阻害する、または死滅させる、
微生物により産生される物質である。 「抗生物質生合成遺伝子」とは、一次代謝物を抗生物質に変換する過程におけ
る酵素反応に必要な酵素活性をコードする核酸、例えば、DNA、セグメントまた
は配列である。
【0065】 「抗生物質生合成経路」は一次代謝物を抗生物質に変換する過程に必要な抗生
物質生合成遺伝子の完全なセットを含むものである。これらの遺伝子は当技術分
野で十分に公知の方法により単離することができる、例えば、米国特許第4,935,
340号を参照。 抗生物質産生生物としては、限定されるものではないが、抗生物質を産生する
か、発現すれば抗生物質産生する遺伝子を含むかのいずれかである、アクチノプ
ラン(Actinoplanes)、アクチノマジュラ(Acrinomadura)、バチルス、セファロ
スポリウム(Cephalosporium)、マイクロモノスポラ(Micromonospora)、アオカビ
属、ノカルジア属およびストレプトミセス属をはじめとするいずれかの生物が挙
げられる。
【0066】 抗生物質耐性を付与する遺伝子とは、抗生物質に対する耐性を付与する酵素活
性またはその他の活性をコードするDNAセグメントである。 本明細書において「ポリケチド」(polyketide)とは、限定されるものではな
いが、抗生物質、抗真菌性、抗癌性、および抗駆虫性化合物をはじめとする、大
きな、かつ、異なるクラスの天然の産物をいう。抗生物質としては、限定される
ものではないが、多種のアントラサイクリンおよびマクロライド(ポリエンおよ
びアベルメクチン(avermectin)ならびにクリスロマイシンなどの従来のマクロラ
イド)が挙げられる。マクロライドは、例えば、S.エリセウス(S.erytheus)、S.
アンチビオチカス(S.antibioticus)、S.ベネズエレ、S.フラジエ(S.fradiae)お
よびS.ナルボネンシス(S.narbonesis)により産生される。
【0067】 「グリコシル化ポリケチド」とは、1個以上の糖残基を含むいずれのポリケチ
ドをもいう。 「グリコシル化改変ポリケチド」(glycocylation-modified polyketide)と
は、その特定のポリケチドの非改変状態すなわち天然の状態と比較して変化した
グリコシル化パターンまたは配置を有するポリケチドをいう。
【0068】 本明細書において「ポリケチド産生微生物」とは、天然状態で、または適宜(
すなわち、遺伝子学的に)処理された後にポリケチドを産生し得る、いずれの微
生物も含む。ポリケチドを天然に産生する放線菌の例としては、限定されるもの
ではないが、マイクロモノスポラ・ラサリア(Micromonospora rasaria)、マイク
ロモノスポラ・メガロミセア(Micromonospora megalomicea)、サッカロポリスポ
ラ・エリスラエ(Saccharopolyspora erythraea)、ストレプトミセス・アンチビ
オチカス(Streptomyces antibioticus)、ストレプトミセス・アルベレチクリ(St
reptomyces albereticuli)、ストレプトミセス・アンボファシエンス(Streptomy
ces ambofaciens)、ストレプトミセス・アベルミチリス(Strepromyces avermiti
lis)、ストレプトミセス・フラジエ、
【0069】 ストレプトミセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、ストレプトミセスヒ
ドロスコピカス(Streptomyces hydroscopicus)、ストレプトミセスツクルバエン
シス(Streptomyces tsukulubaensis)、ストレプトミセス・ミカロファシエンス(
Streptomyces mycarofasciens)、ストレプトミセス・プラテネス(Streptomyces
platenesis)、ストレプトミセス・ビオラセオニジャー(Streptomyces violaceon
iger)、ストレプトミセス・サーモトレランス(Streptomyces thermotolerans)
、ストレプトミセス・リモナス(Streptomyces rimosus)、ストレプトミセス・ペ
ルセチウス(Streptomyces peucetius)、ストレプトミセス・コエリコロー(Strep
tomyces coelicolor)、ストレプトミセス・グラウセンス(Streptomyces glauces
cens)、
【0070】 ストレプトミセス・ロセオフルブス(Streptomyces roseofulvus)、ストレプト
ミセス・シナモネンシス(Streptomyces cinnamonensis)、ストレプトミセス・キ
ュラコイ(Streptomyces curacoi)およびアミコラトプシス(Amycolatopsis medit
erranei)が挙げられる(Hopwood D. A.およびSherman, D. H., Annu. Rev. Gene
t., 24:37-66 (1990)を参照、なお、これは引用することにより本明細書の一部
とされる)。ポリケチドを天然に産生するポリケチド産生微生物のその他の例と
しては、種々のアクチノマジュラ(Actinomadura)、ダクチロスポランギウムDact
ylasporangiumおよびノカルジア族菌種が挙げられる。
【0071】 本明細書において「糖生合成遺伝子」とは、ストレプトミセス・ベネズエラな
どの生物に由来する糖生合成酵素をコードする核酸配列をいい、またその他のポ
リケチド産生微生物由来する、ストレプトミセス・ベネズエラから得られたもの
と同一か、または類似のDNAの配列を含むよう意図されている。 本明細書において「糖生合成酵素」とは、ポリケチドが結合した糖ならびにそ
れらの誘導体および中間体の生合成および/または接着に関与するポリペプチド
をいう。
【0072】 「ポリケチドが結合した糖」とは、ポリケチドに接着すると知られている、ま
たは本明細書に記載のプロセスによりポリケチドに接着され得る糖をいう。 「糖誘導体」とは、天然にはポリケチドと結合されるが、非改変状態、すまた
は天然の状態と比較して変更された糖をいい、限定されるものではないが、N-3-
α-デスジメチルD-デソサミンが挙げられる。
【0073】 「糖中間体」とは、糖生合成経路において産生される中間体化合物をいう。 本明細書において、「誘導体」とは本発明の宿主細胞により産生されるか、ま
たは本発明の核酸分子によりコードされるポリペプチドを用いてin vitroで製造
される特定の化合物が、他の部分、例えば抗体またはその断片などのペプチドま
たはポリペプチド分子、核酸分子、糖、脂質、脂肪、例えばγエミッターなどの
放射性同位元素のような検出可能なシグナル分子、小化学物質、金属、塩、例え
ばポリラクチドおよびポリグリコリドなどの合成ポリマー、界面活性剤およびグ
リコサミノグリカンを含むよう改変されたものを意味する(なお、これらは該化
合物に共有結合でまたは非共有結合で付着するか、または結合する)。
【0074】 本発明の「組換え」宿主細胞は、本発明の、例えばpik生合成遺伝子群中の少
なくとも1個の遺伝子の機能または活性を変更する、例えば低下させるもしくは
妨げる、またはそうでなければ、増加するようにin vitroで操作されたゲノムを
有する。
【0075】 当業者ならば、キラル中心を有する本発明の化合物の各原子が光学活性型およ
びラセミ型で存在する可能性があり、かつ、単離され得るということが分かるで
あろう。いくつかの化合物は多形であり得る。本発明は、本明細書に記載の有用
な能力を有する、本発明の化合物のラセミ型、光学活性型、多形もしくは立体異
性型またはその混合物のいずれをも包含するものと理解され、光学活性型を製造
する方法(例えば、再結晶化技術によるラセミ型の分割により、光学的に活性な
開始物質からの合成により、キラル合成により、またはキラル固定相を用いるク
ロマトグラフィーによる分離により)および当技術分野で十分に公知の、本明細
書に記載の標準的な試験を用いる、または同様の他の試験を用いる活性測定法は
当技術分野では十分に公知である。
【0076】 「配列相同性」または「配列同一性」とは、2つの核酸配列間の塩基一致の割
合または2つのアミノ酸配列間のアミノ酸一致の割合を意味する。配列相同性が
、例えば50%といったパーセントとして示される場合には、パーセントは配列の
長さにわたる一致の割合を示し、これはいくつかのその他の配列と比較される。
ギャップ(2つの配列のいずれかにおける)は一致を最大にするために許容され
、通常、15塩基以下のギャップ長が用いられ、6塩基以下が好ましく、2塩基以下
がより好ましい。オリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合には、標的核
酸とオリゴヌクレオチド配列間の配列相同性は一般に、20個の可能性あるオリゴ
ヌクレオチド塩基対一致のうち17個の標的塩基一致(85%)以上であり、好ましく
は10個の可能性ある塩基対一致のうち9個の一致(90%)以上であり、より好ましく
は20個の可能性ある塩基対一致のうち19個の一致(95%)以上である。
【0077】 2つのアミノ酸配列は、それらの配列間に部分的または完全な同一性がある場
合に相同である。例えば、85%相同性とは、2つの配列が最大一致を得るように
整列された場合に85%のアミノ酸が同一であるということを意味する。一致の最
大化においてギャップ(一致している2つの配列のいずれかにおける)は一致を
最大化するのに許容され、5以下ギャップ長が好ましく、2以下がより好ましい。
あるいは、また好ましくは、2つのタンパク質配列(または少なくとも30個のア
ミノ酸長のそれらに由来するポリペプチド配列)は、変異データマトリックスお
よび6以上のギャップペナルティーを用いるプログラムALIGNを使用して、(標準
偏差単位において)5よりも大きいアラインメントスコアをそれらが有すれば、
(本明細書においては)相同である。
【0078】 Atlas of Protein Sequence and Structure, 1972, 5巻, National Biomedica
l Research Foundation, 101-110頁およびこの巻の付録2, 1-10頁中のDayhoff,
M. O.を参照。2つの配列またはその部分は、ALIGNプログラムを用いて最適に整
列された場合に、それらのアミノ酸が50%以上または50%に等しく同一であれば、
より好ましく相同である。
【0079】 以下の用語を用いて2つ以上のポリヌクレオチド間の配列関係を記載する;「
参照配列」、「比較領域」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセンテージ」
、および「実質的同一性」。「参照配列」とは配列比較の基準として用いられる
所定の配列であり、参照配列は、例えば、配列一覧表に示される全長cDNAまたは
遺伝子配列のセグメントのような大きな配列の部分セットであってもよく、また
は完全なcDNAまたは遺伝子配列を含んでなってもよい。
【0080】 一般に、参照配列は少なくとも20個のヌクレオチドの長さであり、少なくとも
25個のヌクレオチドの長さであることも多く、また、少なくとも50個のヌクレオ
チドの長さであることもよくある。2つのポリヌクレオチドは各々(1)2つのポリ
ヌクレオチド間で同様の配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド配列の部分)
を含んでなってもよく、また(2) 2つのポリヌクレオチド間で異なる配列をさら
に含んでなってもよいので、2つの(またはそれ以上の)ポリヌクレオチド間の
配列比較は、典型的には「比較領域」にわたる2つのポリヌクレオチドの配列を
比較して局部領域の配列類似性を同定、比較することにより行われる。
【0081】 本明細書において、「比較ウインドウ」とは、少なくとも20個の連続するヌク
レオチドからなる概念上のセグメントをいい、それでは2つの配列の最適アライ
ンメントのために、比較ウインドウ中のポリヌクレオチド配列の部分は参照配列
(付加または欠失を含まない)と比較して20%以下の付加または欠失(すなわち
、ギャップ)を含んでもよい。
【0082】 比較ウインドウを整列させるための配列の最適アラインメントは、Smithおよ
びWaterman (1981) Adv. Appl. Math. 2: 482の局部相同性アルゴリズムにより
、NeedlemanおよびWunsch (1970) J. Mol. Biol. 48: 443の相同性アラインメン
トアルゴリズムにより、PearsonおよびLipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci.
(USA) 85: 2444の類似性探索法により、これらのアルゴリズムのコンピューター
処理による実施(Wisconsin Genetics ソフトウェアパッケージ公開品7.0、Gene
tics Computer Group、575 Science Dr., Madison, Wis.中の GAP、BESTFIT、FA
STAおよびTEASTA)により、または種々の方法が選択されることにより得られる
、検査および最良のアラインメント(すなわち、比較ウインドウにわたって最高
のパーセンテージの相同性をもたらす)により導けばよい。
【0083】 「配列同一性」とは、比較するウインドウにわたって2つのポリヌクレオチド
配列が同一である(すなわち、ヌクレオチドごとを基準にして)ことを意味する
。「配列同一性のパーセンテージ」とは、比較するウインドウにわたって2つの
ポリヌクレオチド配列が同一である(すなわち、ヌクレオチドごとを基準にして
)を意味する。「配列同一性のパーセンテージ」は、比較するウインドウにわた
って最適に整列された2つの配列を比較し、双方の配列において同一の核酸塩基
(例えば、A、T、C、G、UまたはI)が現れる位置の数を調べて一致する位置の数
を求め、この一致する位置の数を比較するウインドウ中の位置の総数(すなわち
、領域サイズ)で除し、結果に100を乗じて配列同一性のパーセントをもとめ
ることで算出される。
【0084】 本明細書において「実質的同一性」とは、ポリヌクレオチド配列の特性を示し
、それではポリヌクレオチドは、参照配列と比較して少なくとも20個のヌクレオ
チド位置からなる比較ウインドウにわたる、頻繁には少なくとも20〜50このヌク
レオチドからなる領域にわたって、少なくとも85%配列同一性、好ましくは少な
くとも90ないし95%配列同一性、さらに通常は少なくとも99%配列同一性を有する
配列を含んでなる(なお、ここで配列同一性のパーセンテージは参照配列を、比
較するウインドウにわたって参照配列の合計20%以下の欠失または付加を含み得
るポリヌクレオチド配列と比較することによって算出される)。
【0085】 ポリペプチドに適用すれば、「実質的同一性」とは、2つのペプチド配列が、
デフォルトギャップ重を用いるプログラムGAPまたはBESTFITなどによって最適に
整列される場合に、少なくとも約80%の配列同一性、好ましくは少なくとも約90%
の配列同一性、より好ましくは少なくとも約95%の配列同一性、さらに最も好ま
しくは少なくとも約99%の配列同一性を共有することを意味する。
【0086】 本発明に従って、メチマイシン、ピクロマイシン、ネオメチマイシン、ナルボ
マイシンの全経路、またはその組み合わせをコードする、単離され、精製された
核酸モジュールが提供され、これはそれに連結される糖生合成遺伝子を含む。望
ましくは、核酸モジュールはストレプトミセス種から単離されたDNAである。本
発明は、標準的なまたはストリンジェントな条件下で本発明の核酸モジュールと
ハイブリダイズする、単離され、精製された核酸配列をさらに含む。本発明は本
発明の核酸モジュールによってコードされ、単離され、精製されたポリペプチド
を包含するということもまた理解される。
【0087】 本明細書に記載される発明は、ストレプトミセスの種において見出されたもの
などのFASまたはPKSをコードするDNAの遺伝子の再設計を通して、ポリケチド、
例えば、抗生物質および生分解性PHA重合体をはじめとする、多様な範囲の新規
化合物の産生に使用することができる。従って、この遺伝子群の単離および特性
決定は抗生物質の選択的産生、特定の化合物の過剰産生もしくは不十分な産生、
例えば、ある抗生物質の過剰産生、および新規化合物の産生を考慮するものであ
る。
【0088】 例えば、組み合わせ生合成に基づく化合物の改変は、郡内の特定の遺伝子の選
択的活性化または破壊により、または遺伝子を、広範な生物学的活性に関してア
ッセイされ、大きな化学物質多様性を誘導する、偏った生合成ライブラリーに組
み込むことにより、達成することができる。さらなる例としては、生合成遺伝子
(群)を特定の宿主細胞へ導入して、宿主細胞の他の代謝物、中間体または構成
成分に対するその生合成遺伝子(群)の活性によって新規化合物の産生させるこ
とが挙げられる。
【0089】 さらに、種々のPHAシンターゼを、組換えPKSまたはPHA単量体シンターゼによ
って産生された単量体を生分解性重合体に重合するそれらの能力に関して試験す
ることができる。また、本発明はそれにより種々のPHAシンターゼを、種々の単
量体基質に関するそれらの特異性に関して試験できる方法を提供する。
【0090】 PHA単量体シンターゼおよびPHAシンターゼにより産生されるPHA(類)の可能
性ある使用および適用としては、医薬および工業適用の双方が挙げられる。PHA
類の医薬適用としては、外科用の止め針、縫糸、ステープル、綿棒、外傷用医薬
材料、血管代替物、骨代替物および義歯、圧電能による骨成長の刺激、および医
薬の長期用量のための生分解性担体が挙げられる。PHA類の工業適用としては、
乳児用オムツ、包装容器、瓶、包装材料、袋、およびフィルムなどの使い捨て品
、ならびに除草剤、殺菌剤、殺虫剤または化学肥料の長期用量のための生分解性
担体が挙げられる。
【0091】 動物では、de novoでのマロニル-CoAからの脂肪酸の生合成はFASにより触媒さ
れる。例えば、ラットFASは2505個のアミノ酸残基からなるサブユニット構造を
有するホモ二量体であり、272,340Daの分子量を有する。各々のサブユニットは
個別の物理的ドメイン中の7個の触媒活性からなる(Arnyら, Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 86, 3114 (1989))。
【0092】 触媒活性のうちの6個、ケトアシルシンターゼ(KS)、マロニル/アセチルトラ
ンスフェラーゼ(M/AT)、エノイルレダクターゼ(ER)、ケトレダクターゼ(KR)、ア
シルキャリヤータンパク質(ACP)、およびチオエステラーゼ(TE)の物理的位置は
、(1)全FASのうちの限定されたタンパク質分解消化物から触媒作用上活性な断片
を単離することによる、全アミノ酸配列内の種々の活性部位残基の同定、(2)種
々の一機能性タンパク質と配列類似性を示すFAS内の領域の同定、(3)触媒活性を
有し、組換えタンパク質を産生するアミノ酸配列をコードするcDNAの発現、およ
び(4)触媒活性をコードしないDNA、すなわち、リンカー領域をコードするDNAの
同定により確認されている(Smithら, Proc. Natl. Acad. USA, 73, 1184 (1976
);Tsukamotoら, J. Biol. Chem. 263, 16225 (1988);Ranganら, J. Biol. Che
m., 266, 19180 (1991))。
【0093】 7番目の触媒活性、デヒドラーゼ(DH)は、サッカロポリスポラ・エリスラエ(Sa
ccharopolyspora erythraea)のeryAポリケチドシンターゼ(PKS)遺伝子群の3つの
オープンリーディングフレームによりコードされるアミノ酸配列を用いるFASの
アミノ酸比較により物理的にはATとERの間にあると同定された。このPKSを含ん
でなる3つのポリペプチドは、それらのアミノ酸配列および構成ドメインの順序
づけの双方の点で動物FASに類似の「モジュール」から構築されている(Donadio
ら, Gene, 111, 51 (1992);Benhら, Eur. J. Biochem., 204, 39 (1992))。
【0094】 本発明のある具体例では、DHが不活化されたFAS(FAS DH-)を用いる。本発明
のこの具体例において使用されるFAS DH-は、好ましくは真核生物のFAS DH-、よ
り好ましくは哺乳類のFAS DH-である。本発明の最も好ましい具体例は、変異に
よってDH中の活性部位が不活化されているFASである。例えば、Joshiらは(J. Bi
ol. Chem., 268, 22508 1993))、部位特異的突然変異誘発によりラットFASにお
いてHis878残基をアラニン残基に変更した。in vitroでの研究により、この変更
を有するFAS(ラットFAS206)は、アセチル-CoA、マロニル-CoA、およびNADPHか
ら未熟終結産物として3-ヒドロキシブチリルCoAを産生するということが示され
た。
【0095】 下記に示されるように、FAS DH-は通常の16炭素産物、すなわちパルミチン酸
ではなく未熟終結産物としてD(-)-3-ヒドロキシブチレートを産生することによ
り、天然の経路のβ-ケトチオラーゼおよびアセトアセチル-CoAレダクターゼ活
性を効果的に置換する。この未熟終結産物は、次いで、PHBシンターゼによりPHB
に組み込まれ得る(実施例2参照)。
【0096】 本発明のもう1つの具体例では、組換えストレプトミセスの種PKSを用いて、P
HAシンターゼのための単量体として利用できる、種々のβ-ヒドロキシCoAエステ
ルを産生する。I型PKSをコードするDNAのある例としては、eryA遺伝子クラスタ
ーがあり、これはエリスロマイシンアグリコンデオキシエリスロノリドB(DEB)の
合成を司っている。この遺伝子クラスターは、モジュールまたはシンターゼユニ
ット(SU)と呼ばれる6個の反復ユニットをコードしている。各モジュールまたは
SUは、一連の推定FAS様活性を含んでなり、DEB形成に必要な6個の伸長サイクル
のうちの1つを担っている。従って、複合体ポリケチドにおいて認められる非対
称アシル鎖の発展的合成がプログラムされたタンパク質鋳型の使用により達成さ
れる(なお、各点で起こる化学反応の性質は各SUにおける特異性により決定され
る)。
【0097】 他の2つのI型PKSはtyl(チロシン)(図4)およびmet(メチマイシン)(図5
)遺伝子クラスターによりコードされている。tylおよびmetによりコードされる
マクロライド多機能性シンターゼはeryA遺伝子クラスターにおいて認められるも
のよりもよりも大きな程度の代謝多様性を提供する。eryA遺伝子クラスターによ
りコードされるPKS類はメチルマロニルCoAを用いる鎖伸長のみを触媒し、マロニ
ルCoA、メチルマロニルCoAおよびエチルマロニルCoAを用いる鎖伸長を触媒するt
ylおよびmetPKS類とは対照的である。
【0098】 具体的には、tylPKSは2個のマロニルCoA延長ユニットおよび1個のエチルマロ
ニルCoA伸長ユニットを含み、またmetPKSは1個のマロニルCoA延長ユニットを含
む。従って、本発明の好ましい具体例は、限定されるものではないが、飽和β-
ヒドロキシヘキサノイルCoAまたは不飽和β-ヒドロキシヘキサノイルCoA単量体
を提供するのに特異的に必要な、所望のケト基プロセッシング能および短鎖アシ
ルCoAエステル誘発剤および延長ユニットを有するタンパク質をコードするDNAを
提供するmetPKSオープンリーディングフレーム1(ORF1)においてコードされる触
媒活性を置換する。
【0099】 各モジュール内において触媒の特異性を操作するためには、触媒活性をコード
するDNAは破壊されずに残っていなければならない。触媒活性を有するアミノ酸
配列、「リンカー領域」、関連するモジュールのアミノ酸配列間のアミノ酸配列
を同定するためには、1以上の遺伝子群によりコードされるものが比較されるの
が好ましい。リンカー領域は、触媒活性を有するアミノ酸配列よりもあまり十分
には保存されていないアミノ酸配列である。Witkowskiら, Eur. J. Biochem., 1
98, 571 (1991)。
【0100】 本発明の別の具体例では、TEを有し、かつ、機能的DHを欠失しているI型PKSモ
ジュールをコードするDNAを提供するために、KS、MT、KR、ACP、およびTE触媒活
性を含むモジュールFをコードするDNAを第1のモジュールをコードするDNAの3'末
端に導入する(図6)。モジュールFは、TEドメインの存在の結果として、PHA単量
体合成の最終工程で最終(R)-3-ヒドロキシルアシル基を導く。モジュールFをコ
ードするDNAはeryA PKS遺伝子群には存在しない(Donadioら, 上記, 1991)。
【0101】 組換え単量体シンターゼをコードするDNAは発現ベクターに挿入する。使用す
る発現ベクターは、発現ベクターで形質転換される宿主細胞によって異なる。例
えば、ベクターは、ベクターが導入される種々の宿主細胞における遺伝子の効率
的な発現に必要な、標的化シグナルなどの転写、翻訳および/または翻訳後シグ
ナルとともに使用する。かかるベクターは当技術分野で十分に公知の方法により
構築され、かつ、宿主細胞に形質転換される。Sambrookら, Molecular Cloning:
A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor (1989)参照。
【0102】 本発明のベクターにとり好ましい宿主細胞としては、昆虫、細菌、および植物
細胞が挙げられる。好ましい昆虫細胞としては、Sf21などのスポドプテラ・フル
ギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞、およびトリコプルシア・ニ細胞が挙げ
られる。好ましい細菌細胞としては、大腸菌(Escherichia coli)、ストレプト
ミセス属およびシュードモナス属が挙げられる。好ましい植物細胞としては、ト
ウモロコシ、イネ、コムギ、タバコ、マメ、ニンジン、カボチャ、キャノーラ、
ダイズ、ジャガイモなどの単子葉植物および双子葉植物細胞が挙げられる。
【0103】 さらに、真核生物の発現ベクターを構築する場合には、真核細胞中のそこに酵
素を局在させる、適当な細胞下コンパートメントを考慮しなければならない。2
つの因子が重要である:アセチルCoA基質産生の部位、およびPHA重合体の貯蔵に
利用できる空間。酵素を特定の細胞下位置向けるためには、組換え分子をコード
する配列に標的化配列を付加してもよい。
【0104】 バキュロウイルス系は組換えFASまたはPKS単量体シンターゼをコードするDNA
の導入に特に受け入れられているが、これは大きな挿入部分を許容できるますま
す多様な導入プラスミドが利用できるようになり、かつ、ウイルスが高い力価ま
で増殖できるからである。さらに、昆虫細胞は懸濁培養に即適応し、比較的大規
模の組換えタンパク質産生が容易となる。
【0105】 さらに、昆虫細胞では、組換えタンパク質はもっぱら可溶性タンパク質として
産生される傾向にあり、従って、大きな多機能性タンパク質場合には特に煩雑な
作業である、再度折りたたむ必要がない。Sf21/バキュロウイルス系はミリグラ
ム量の触媒作用上活性な組換え脂肪酸シンターゼを慣例的に発現している。最後
に、バキュロウイルス/昆虫細胞系は種々のシンターゼタンパク質を構築し、か
つ、単量体を独特な生分解性重合体に重合する能力に関して解析する能力を提供
する。
【0106】 本発明のさらなる具体例は、PHAシンターゼをコードする少なくとも1つのDNA
およびPHA単量体シンターゼをコードするDNAの宿主細胞への導入である。かかる
シンターゼとしては、限定されるものではないが、A. ユートロフス3-ヒドロキ
シ、4-ヒドロキシ、および5-ヒドロキシアルカノエートシンターゼ、ロドコッカ
ス・ルバー(Rhodococcus ruber)C3-C5ヒドロキシアルカノエートシンターゼ、シ
ュードモナス・オレオロランス(Pseudomonas oleororans)C6-C14ヒドロキシアル
カノエートシンターゼ、P.プチダ(P.putida) C6-C14ヒドロキシアルカノエー
トシンターゼ、
【0107】 緑膿菌 C5-C10ヒドロキシアルカノエートシンターゼ、P.レスルノボランスC4-
C10ヒドロキシアルカノエートシンターゼ、ロドスピリルム・ルブラン(Rphodosp
irillum rubrum)C4-C7ヒドロキシアルカノエートシンターゼ、P.ゲラチノルス(R
.gelatinorus)C4-C7、チオカプサ・フェニージー(Thiocapsa pfennigii)C4-C8
ドロキシアルカノエートシンターゼ、およびバシルス・メガテリウムC4-C5ヒド
ロキシアルカノエートシンターゼが挙げられる。
【0108】 種々のPHAシンターゼにより示される特異性により特定のPHA重合体を産生する
ために、1種以上のPHAシンターゼコードするDNA類の導入が必要となる場合もあ
る。多機能性タンパク質を変更して通常でない単量体構造を産生するには、特定
の基質に対するシンターゼ特異性が問題となり得る。A.ユートロフスPHBシンタ
ーゼはC4およびC5化合物のみを基質として利用するが、3-ヒドロキシブチレート
と4-ヒドロキシブチレートの共重合体(Kuniokaら, Macromolecules, 22, 694 (1
989))ならびに3-ヒドロキシバレレート、3-ヒドロキシブチレート、および5-ヒ
ドロキシバレレートの共重合体(Doiら, Macromolecules 19, 2860 (1986))を産
生することができると知られているので、最初の研究には優れた基本型シンター
ゼであると考えられる。
【0109】 その他のシンターゼ、特にシュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aerug
inosa)のもの(Timmら, Eur. Biochem. 209, 15 (1992))およびロドコッカス・ル
バー(Rhodococcus ruber)のもの(Pieperら, FEMS Microbiol. Lett., 96, 73 (1
992))もまた、本発明の実施において使用できる。シンターゼ特異性は分子生物
学的方法により可変である。
【0110】 本発明のさらにもう1つの具体例では、FASおよびPHAシンターゼをコードするD
NAを、遺伝子を宿主細胞に個々に導入する必要がない、単一の発現ベクターに導
入することができる。 本発明のさらなる具体例は、真核生物または原核生物起源のFASおよびPKSモジ
ュールFを含んでなる、組換え多機能性タンパク質をコードするDNAの作製である
。モジュールFは2個のさらなる炭素を含むための最終の鎖延長とβ-ケト基の還
元を行い、その結果、(R)-3ヒドロキシアシルCoA部分が生じる。
【0111】 この組換えタンパク質を産生するために、FAS TEをコードするDNAを、通常二
モジュールのORFのACP-KSドメイン内領域に認められるリンカー領域をコードす
るDNAで置換する。次いで、モジュールFをコードするDNAをリンカー領域をコー
ドするDNAの3'に挿入する。以下に記載のものなどの、長さおよびアミノ酸組成
において異なる種々のリンカー領域を試験して、どのリンカーが発生期の飽和脂
肪酸中間体の、最終鎖伸長およびケト還元工程のためのモジュールFへの所望の
導入を最も効率的に媒介するか、または可能にするかを調べることができる。
【0112】 次いで、得られる、タンパク質をコードするDNAを、Sf21細胞またはストレプ
トミセス属またはシュードモナス属などの昆虫細胞における長鎖β-ヒドロキシ
脂肪酸の発現に関して試験することができる。予想される3-ヒドロキシC-18脂肪
酸は、長鎖アルキル基を受容できるPHSシンターゼの可能性ある基質として利用
できる。本発明の好ましい具体例は4〜22個の炭素の間の鎖長特異性を有するFAS
である。
【0113】 本発明のこの具体例において使用できるリンカー領域の例としては、限定され
るものではないが、tylORF1(ACP1-KS2;ACP2-KS3)、およびORF3(ACP5-KS6)、な
らびにeryA ORF1(ACP1-KS1;ACP2-KS2)、ORF2(ACP3-KS4)およびORF3(ACP5-KS6)
によりコードされるACP-KSリンカー領域が挙げられる。 また、このアプローチを用いて、長鎖脂肪酸を作製するFASユニットの能力を
制限することにより短鎖脂肪酸群を産生することもできる。KSで開始する種々の
FAS触媒活性をコードするDNAの突然変異誘発は短鎖(R)-3-ヒドロキシ脂肪酸の合
成をもたらし得る。
【0114】 PHA重合体は、次いでをバイオマスから回収される。大規模溶媒抽出を使用す
ることができるが、コストが高い。その後の酵素および洗浄消化過程と熱ショッ
クを含む別の方法も利用できる(Byron, Trends Biotechnical, 5, 246 (1987);
Developments in Ctystalline Polymers D. C. Bassett(編),1-65頁(1988)中
のHomes)。PHBおよびその他のPHA類は、塩素化炭化水素により微生物から容易に
抽出される。もっぱらクロロホルムを用いる還流が用いられており、得られる溶
液を濾過して再編を除去し、濃縮し、重合体をメタノールまたはエタノールで沈
殿させ、低分子量脂質は溶液中に残す。
【0115】 より長い側鎖PHAはPHBよりも制限されない可溶性を示し、例えば、アセトンに
可溶性である。採用されるその他の方法としては、Laffertyらにより開示された
(Chem. Rundschau,30, 14 (1977))、バイオマスからPHBを抽出するための炭酸エ
チレンおよび炭酸プロピレンの使用が挙げられる。Scandolaら(Int. J. Biol. M
icrobiol. 10, 373 (1988))は、アセトンを用いた場合の1.4×106と比較して、M w =6×104のリゾビウム・メリロリ(Rhirobium melilori)産生PHBの1M HCl-クロロ
ホルム抽出を報告した。
【0116】 微生物のPHBまたはPHA含量、PHA類の組成、および重合体における単量体ユニ
ットの分布を測定する方法は当技術分野において十分に公知である。PHB定量分
析にはガスクロマトグラフィーおよび高圧液体クロマトグラフィーが広く用いら
れている。かかる方法の概説には、Andersonら, Microbiol. Rev. 54, 450 (199
0)を参照。また、NMR技術を用いて重合体組成、および単量体ユニットの分布を
調べることもできる。
【0117】本発明の変異体核酸分子および変異体ポリペプチドの調製 本発明はまた、ストリンジエントなハイブリダイゼーション条件下で本明細書
に示される核酸配列とハイブリダイズする核酸配列も考慮する。ストリンジェン
トなハイブリダイゼーション条件は当技術分野において十分に公知であり、配列
同一性度を約80%ないし約90%以上に規定する。従って、変異体ポリペプチドをコ
ードする核酸配列(図8)、または保存性(サイレント)ヌクレオチド置換を有
する核酸配列(図37)は本発明の範囲内にある。好ましくは、本発明の核酸配列
によりコードされる変異体ポリペプチドは生物学的に活性である。また本発明は
、本明細書に記載される核酸配列の天然の対立変異体および変異も考慮する。
【0118】 当技術分野では十分に公知であろうが、遺伝暗号の縮重のため、例示された生
合成遺伝子およびその断片によってコードされるものと同一のポリペプチドをコ
ードし得る、多数の別のDNAおよびRNA分子がある。従って、本発明は、発現時に
、例えば、配列番号4または配列番号6の部分ポリペプチドをコードする、それら
の別のDNAおよびRNA分子を考慮する。糖生合成またはマクロライド生合成遺伝子
によりコードされるアミノ酸残基配列を同定することと、各特定のアミノ酸残基
に対するすべての3塩基連鎖コドンの知識を用いて、すべてのかかるコードRNAお
よびDNA配列を記載することができる。本明細書に具体的に開示されるものとは
異なるDNAおよびRNA分子は、単に特定のアミノ酸に対するコドンにおける変化を
特徴とし、本発明の範囲内にある。
【0119】 20個の一般的なアミノ酸およびそれらの代表的略語、記号およびコドンは、当
技術分野では十分に公知である(例えば、Molecular Biology of the Cell, 第2
版, B. Albertsら, Garland Publishing Ind., New York and London, 1989を
参照)。同様に当技術分野で十分に公知であるが、コドンはmRNA分子においてヌ
クレオチドの3塩基連鎖配列を構成し、またそれ自体としてはDNA分子中に存在す
る塩基チミジン(T)の代わりの塩基ウラシル(U)を特徴とする。ポリヌクレオチド
内の同一のアミノ酸残基に対するコドンにおける単一の変化はコードされるポリ
ペプチドの構造を変化させないであろう。
【0120】 実施例を通して、配列番号6から、セリンに対するTCTコドンがヌクレオチド位
置1735〜1737に存在するということが分かる。しかしながら、同一の配列から、
セリンはTCAコドン(例えば、ヌクレオチド位置1738〜1740を参照)およびTCCコ
ドン(例えば、ヌクレオチド位置1874〜1876を参照)によってコードされる場合
もあるということも分かる。セリンに対する後者のコドンのセリンに対するTCT
コドンでの置換またはその逆は、配列番号6のDNA配列を実質的には変更せず、同
一のポリペプチドの産生をもたらす。同様にして、列挙されたコドンの他の同等
なコドンでの置換も、本発明の範囲から離れることなく類似の方法でなされ得る
【0121】 また、本発明の核酸分子、セグメントまたは配列は、RNA分子、セグメントま
たは配列であってもよい。本発明により考慮されるRNA分子は、本明細書に示さ
れるDNA配列のいずれかと相補的であるか、またはストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズするものに相当する。典型的、かつ、好ましいRNA分子には、本
発明の糖生合成またはマクロライド生合成酵素をコードするmRNA分子がある。
【0122】 変異体がその他の配列とともに機能して、同一とみなせるポリケチドまたはマ
クロライドの合成を共同的に触媒することができる限りは、本発明の天然の核酸
配列に対して変異体を作出して、かかる変異体を天然の配列の代わりに用いるこ
とができる。かかる変異体は、変異および制限エンドヌクレアーゼ消化を用いて
変異した配列を遺伝子に挿入することを含む合成オリゴヌクレオチドを調製する
ことなどによるといった常法を用いて天然の配列に対して作出することができる
(例えば、Kunkel, T. A. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1985) 82:448;Geisse
lsoderら, BioTechniques (1987) 5:786を参照)。
【0123】 あるいは、変異は、ミスマッチの二重らせんが解かれる温度以下の温度で、天
然のヌクレオチド配列(一般に、RNA配列に対応するcDNA)とハイブリダイズす
る誤対合のプライマー(一般に、10〜20個のヌクレオチド長)を用いて達成する
ことができる。このプライマーはプライマー長および塩基組成を比較的制限され
た範囲内に維持することにより、また変異塩基を中心に位置するようにすること
によって特異的とすることができる、ZollerおよびSmith, Methods Enzymol., (
1983) 100:468。
【0124】 プライマー延長はDNAポリメラーゼを用いて達成され、クローン化された産物
および変異DNAを含有するクローンは、選抜された延長されたプライマー鎖の分
離により得られる。選抜はハイブリダイゼーションプローブとして変異体プライ
マーを用いて達成され得る。この技術はまた、複数点変異の作出にも適用できる
。例えば、Dalbie-McFarlandら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1982) 79:6409
を参照。PCR突然変異誘発も所望の変異の達成に使用されるであろう。
【0125】 ヌクレオチド配列のランダム突然変異誘発は、制限エンドヌクレアーゼ部位内
の配列を変更し、オリゴヌクレオチドリンカーをプラスミドにランダムに挿入す
ることによる、X線または紫外線光を照射することによる、in vitroでのDNA合成
の際に間違ったヌクレオチドを組み込むことによる、エラーを起こしやすいPCR
突然変異誘発による、合成変異体を製造することによる、またはin vitroにおい
て化学物質でプラスミドDNAに損傷を与えることによるといった、当技術分野で
公知のいくつかの異なる技術により達成できる。
【0126】 化学的突然変異原としては、例えば、重亜硫酸ナトリウム、亜硝酸、ヒドロキ
シルアミン、ヒドラジンもしくは蟻酸などの塩基に損傷を与えるか、もしくは取
り除き、それにより通常の塩基対形成を阻害する薬剤、ニトロソグアニジン、5-
ブロモウラシル、2-アミノプリンなどのヌクレオチド前駆体の類似体、またはプ
ロフラビン、アクリフラビン、キナクリンなどのアクリジンインターカレート剤
などが挙げられる。一般に、プラスミドDNAまたはDNA断片は化学物質で処理され
、大腸菌に形質転換され、変異プラスミドのプールまたはライブラリーとして増
殖させる。
【0127】 ランダム酵素変異体の大部分は、「組換えにより増強された突然変異誘発」を
用いてin vivoで構築され得る。この方法は、例えば、便宜な突然変異誘発技術
のいずれかを用いて作製され、次いで、クローニングベクターに挿入されるヌク
レオチド配列をコードする、野生型の各々106個の変異体の2つ以上のプールを使
用する。
【0128】 遺伝子配列は当業者に公知の方法を用いて1種以上の発現ベクターに挿入でき
る。発現ベクターは所望の遺伝子に機能しうる形で連結された制御配列を含み得
る。本発明をともなう使用に好適な発現系としては、真核生物および原核生物の
宿主細胞において機能する系が挙げられる。原核生物系、特に、特に注目される
ストレプトミセス種に適合する系が好ましい。かかる系において使用するための
制御エレメントとしては、所望によりオペレーター配列を含有するプロモーター
およびリボソーム結合部位が挙げられる。特に有用なプロモーターとしては、本
発明の遺伝子群に由来する制御配列が挙げられる。
【0129】 しかしながら、ガラクトース、ラクトース(lac)およびマルトースなどの糖代
謝酵素由来のものなどの他の細菌プロモーターもデソサミンをコードする発現カ
セットにおいて使用されるであろう。好ましいプロモーターには、限定されるも
のではないが、ermE*、pikAおよびripAプロモーターをはじめとするストレプト
ミセスプロモーターがある。さらなる例としては、トリプトファン(trp) などの
生合成酵素に由来するプロモーター配列、β-ラクタマーゼ(bla)プロモーター系
、バクテリオファージλPL、およびT5が挙げられる。さらに、tacプロモーター
などの合成プロモーター(米国特許第4,551,433号)も、天然には生じないが、細
菌宿主細胞において機能する。
【0130】 また、宿主細胞の増殖に関連する遺伝子の発現の調節を許容する、他の調節配
列も望ましいものであり得る。調節配列は当業者には公知であり、例としては、
調節化合物の存在をはじめとする、化学物質または物理的刺激に応答して始まる
、または、終わる遺伝子の発現を引き起こすものが挙げられる。その他の種類の
調節エレメント、たとえばエンハンサー配列もベクター中に存在し得る。
【0131】 また、組換え発現ベクター中に選抜マーカーも含むことができる。形質転換さ
れた細胞系統の選抜において有用な、かつ、細胞が適当な選抜培地において増殖
させられた場合に、一般に、その発現により形質転換された細胞に選抜可能な表
現型を付与する遺伝子を含んでなる種々のマーカーが知られている。かかるマー
カーとしては、例えば、抗生物質耐性または感受性をプラスミドに付与する遺伝
子が挙げられる。あるいは、いくつかのポリケチドは天然に着色しており、この
特性により、本構築物によって首尾よく形質転換された細胞を選抜するための組
み込まれたマーカーが提供される。
【0132】 注目される種々のサブユニットを1種以上の組換えベクターに、個別の制御エ
レメントとともに、または、例えば単一のプロモーターの制御下で個々のカセッ
トとしてクローン化することができる。サブユニットはフランクしている制限部
位を含み、その他のサブユニットの容易な欠失および挿入を考慮することができ
、その結果、雑種PKS類を作製することができる。かかる独特な制限部位の設計
は当業者には公知であり、部位特異的突然変異誘発およびPCRなどの上記の技術
を用いて達成できる。
【0133】 ランダム突然変異誘発により作製された配列に関しては、ベクターの選択は変
異配列のプール、すなわち、供与体または受容体に依存し、それとともにそれら
が使用される。さらに、ベクターの選択により、請求された方法のその後工程に
おいて使用される宿主細胞が決定される。いずれの形質導入可能なクローニング
ベクターも変異体の供与体プールのクローニングベクターとして使用することが
できる。しかしながら、ファージミド、コスミド、または同様のクローニングベ
クターを、ヌクレオチド配列をコードする変異体の供与体プールを宿主細胞にク
ローニングすることに用いることが好ましい。
【0134】 例えば、ファージミドおよびコスミドは、M13ファージおよびλファージ各々
におけるよりも大きなDNA断片を、挿入し、かつ、そこで安定に増殖する能力か
ら有利なベクターである。この方法において使用されるファージミドは、一般に
、プラスミドと糸状ファージクローニング媒介物との雑種を含む。本方法におい
て使用されるコスミドは、一般に、cos部位が挿入されているλファージを基に
するベクター含む。受容体プールクローニングベクターはいずれの好適なプラス
ミドであってもよい。
【0135】 変異体のプールが挿入されるクローニングベクターは同一であってもよく、ま
たは種々の遺伝子マーカーを含み、かつ、発現するよう構築してもよい(例えば
、Sambrockら,上記を参照)。種々のマーカー遺伝子を有するかかるベクターを
使用することの有用性は成功した形質導入の測定を容易にするために生かすこと
ができる。
【0136】 従って、例えば、使用されるクローニングベクターは大腸菌/ストレプトミセ
スシャトルベクター(例えば、米国特許第4,416,994号、同第4,416,994号、同第
4,477,571号、同第4,362,816号および同第4,340,674号を参照)、コスミド、プ
ラスミド、人工細菌染色体(例えば、ZhangおよびWing, Plant Mol. Biol., 35,
115, (1997);Schalkwykら, Curr. Op. Biotech., 6, 37 91995;およびMonaco
およびLavin, Trends in Biotech., 12, 280 (1994)を参照)、またはファージ
ミドであってもよく、また宿主細胞は大腸菌、ペニシリウム・パツルム(Penicil
lium patulum)、およびS.リビダンス(S. lividans)、S. ベネズエレ、またはS.
ラベンジュレ(S. lavendulae)のようなストレプトミセス種などの細菌細胞、ま
たは真菌、酵母もしくは、例えば、単子葉植物および双子葉植物細胞、好ましく
は再生可能な細胞のような植物細胞などの真核細胞であってよい。
【0137】 さらに、特定の活性を有する組換えポリペプチドを「遺伝子混合」により調製
することもできる。例えば、Crameriら, Nature, 391, 288 (1998);Pattenら,
Curr. Op. Biotech., 8, 724 (1997)、米国特許第5,837,458号、同第5,834,252
号、同第5,830,727号、同第5,811,238号および同第5,605,793号を参照。 ファージミドに関しては、その他のファージベクターと同様にして、ファージ
ミドを含む宿主細胞の感染時に、一本鎖ファージミドDNAが産生され、パッケー
ジされ、さらに形質導入性ファージの形態で細胞から放出される。従って、ファ
ージミドにより運ばれるヌクレオチド配列をコードする変異体のクローン増幅は
、ファージミドを好適な宿主細胞において増殖させることによって達成される。
【0138】 クローン増幅に続き、クローン化された変異体の供与体プールにヘルパーファ
ージを感染させ、ヘルパーファージゲノムまたはヌクレオチド配列をコードする
野生種のファージミド変異体対立遺伝子のいずれかを含有するファージ粒子の混
合物を得る。 宿主細胞のヘルパーファージでの感染またはトランスフェクションは、一般に
当技術分野で十分に公知の方法によって達成される(例えば、Sambrookら,上記
;およびRussellら,(1986) Gene 45:333-338を参照)。
【0139】 ヘルパーファージはクローニングファージと併用して感染性形質導入ファージ
を産生することのできるいずれのファージであってもよい。例えば、クローニン
グベクターがコスミドである場合には、ヘルパーファージは必然的にλファージ
であろう。好ましくは、クローニングベクターはファージミドであり、かつ、ヘ
ルパーファージは糸状ファージであり、好ましくはファージM13である。 要すれば、ファージミドにヘルパーファージを感染させ、ファージ粒子の混合
物を得た後に、大きさの違いを基に(Barnesら, (1983) Methods Enzymol. 101:9
8-122)、または他の同様に有効な技術を基に、形質導入ファージをヘルパーファ
ージから分離することができる。
【0140】 今般、クローン化された供与体変異体の全スペクトルをクローン増幅された、
ヌクレオチド配列をコードする変異体のプールを形質導入または形質転換されて
いる受容体細胞に形質導入することができる。本明細書において開示され、かつ
、請求される方法において使用され得る受容体細胞は、例えば、大腸菌または組
換えに欠陥のないその他の細菌の発現系であってよい。組換えに欠陥のある細胞
とは大腸菌のrec-変異体などの組換え現象が相当限定されている細胞である(Cl
arkら,(1965) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 53:451-459を参照)。
【0141】 今般、これらの被形質導入体は所望の発現されたタンパク質特性または特徴に
関して選抜することができ、要すればまたは望ましくは、増幅される。所望によ
り、上記のように、各々の変異体のプールがクローン化されるファージミドが構
築され、種々の遺伝子マーカーを発現する場合には、供与体および受容体プラス
ミドマーカー双方のそれらの発現を介して被形質導入体を選抜することができる
。 次いで、上記の方法によって作製される組換え体を、いずれかの適当な方法、
例えば、酵素またはその他の生物学的活性による選抜またはスクリーニングに付
すことができる。
【0142】 上記の増幅、感染、形質導入および組換えのサイクルは、ファージミドにクロ
ーン化されたさらなる供与体プールを用いて何回でも反復することができる。上
記のように、変異体の各プールがクローン化されているファージミドを構築して
、種々のマーカー遺伝子を発現させ得る。各々のサイクルにより別個の変異体数
を106の遺伝因子まで高めることができる。従って、いずれかの個々の細胞にお
いて対立遺伝子内組換え現象が生じる確立をf(実際には組換わる変異体間の距
離の関数であるパラメーター)とすると、106個の対立変異体の2つのプールに
由来する形質導入された培養物は、1012/f個の細胞の集団において1012個まで
の別個の変異体を発現する。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、それらに限定するも
のではない。
【0143】I.実験手順 材料および方法 材料R-(-)-3- ヒドロキシ酪酸ナトリウム、補酵素−A、エチルクロロホルメー
ト、ピリジンおよびジエチルエーテルはSigma Chemical Co.より購入した。アン
バライトIR-120はMallinckrodt Inc.より購入した。6-O-(N-ヘプチルカルバモ
イル)メチル α-D-グリコピラノシド(Hecameg)はVegatec (Villeejuif, Franc
e)より入手した。
【0144】 光路長0.1(#20/0-Q-1)および0.01cm(#20/0-Q-0.1)の2つの分光光度計のセル
をStama Cells Inc.(Atascadero, CA)より入手した。ウサギ 抗A.ユートリフス
PHAシンターゼ抗体はDr. F. SrieneおよびS.Stoup(Biological Process Technol
ogy Institute, University of Minnesota)から厚意により提供された。Sf21細
胞およびT.ニ(T. ni)細胞はGreg Franzen(R&D Systems, Minneapolis, MN)お
よびStephen Harsch(Department of Veterinary Pathobiology, University of
Minnesota)から厚意によりそれぞれ提供された。
【0145】 プラスミドpFAS206および、FAS206(Joshi ら, J. Biol Chem., 268, 22508 (
1993))をコードする組換えバキュロウイルスクローンはA. Joshiおよび S. Smi
thから厚意により提供された。プラスミドpAet41(Peoplesら, J. Biol. Chem.,
264 , 15298 (1989))すなわちA.ユートロフスPHAシンターゼの供給源はA. Sin
skeyより入手した。バキュロウイルス導入ベクター、pBacPAK9および線状バキュ
ロウイルスDNAはClontech Inc.(Palo Alto, CA)より入手した。制限酵素、T4DNA
リガーゼ、大腸菌DH5αコンピテント細胞、分子量標準物質、リポフェクチン試
薬、グレース昆虫細胞培地、ウシ胎児血清(FSB)および抗生物質/抗真菌試薬はG
IBCO−BRL(Grand Island, NY)より入手した。組織培養皿はCorning Inc. から
入手した。スピナーフラスコはBellco Glass Inc. より入手した。シープラーク
アガロースGTGはFMC Bioproducts Inc.より入手した。
【0146】 方法 R-3HBCoAの製造 R-(-)-3HBCoAを、Haywoodら, FEMS Microbiol. Lett., 57,1(1989)に記載さ
れた混合無水物法により製造した。60mg(0.58nmol)のR-(-)-3- ヒドロキシ酪酸
を凍結乾燥させ、0℃でジエチルエーテル10ml中の72mgのピリジン溶液に加えた
。エチルクロロホルメート(100mg)を加え、この混合物を4℃で60分間静置した。
不溶性ピリジンヒドロクロリドを遠心分離により除去した。
【0147】 0℃で4mlの0.2M重炭酸カリウム、pH8.0中の100mg補酵素-A(0.13mmol)の溶液に
、得られた無水物を攪拌しながら滴下した。反応をStadtman, Meth. Enzymol, 3
, 931 (1957)のニトロプルシド試験でモニターし、すべての補酵素-Aをエステル
化させるのに十分な無水物を確実に加えた。R-3-HBCoAの濃度は260mn(e=16.8nM- 1 cm-1;18)での吸光度を測定することにより求めた。
【0148】 pBP-phbCの構築 phbC遺伝子(約1.8kb)を、BstBIおよびStuIでの消化によりpAet41(Peoplesら
, J. Biol. Chem., 264, 15293(1989))から切り出し、Williamsら, (Gene, 109,
445 (1991)により記載のようにして精製し、BstBIおよびStuIで消化されたpBac
PAK9に連結した。この結果、pBP-phbC 、すなわち、phbCを保持する組換えバキ
ュロウイルス粒子の形成に用いるバキュロウイルス導入ベクターを得た。
【0149】 PHAシンターゼ大規模発現 対数増殖期にあるT.ニ細胞(1.2×106細胞/ml)の培地1Lに、50ml組換えウ
イルス保存溶液(2.5×108pfu/ml)を加えて感染させ、10の感染効率(MOI)を得た
。この感染培養物は2つのBellco スピナー(350ml/500mlスピナー、700ml/1Lスピ
ナー)間に分けて培養物の酸素化を促進させた。これらの培養物を28℃でインキ
ュベートし、かつ、60rpmで60時間攪拌した。感染細胞は4℃で10分間、1000×g
での遠心分離によって回収した。細胞を液体N2中で瞬間凍結させ、精製まで-80
℃で4つの等アリコートで保存した。
【0150】 昆虫細胞の維持および組換えバキュロウイルスの形成 Sf21細胞を、10%FBS、1.0%プルロニックF68、および1.0%抗生物質/抗真菌薬(
GIBCO-BRL)を添加したグレース昆虫細胞培地において26〜28℃で維持した。典型
的には、細胞は55〜65rpmで100mlスピナーフラスコ中、総培養容積60mlにて0.2
〜2.0×106/mlの懸濁液で維持した。培養期間中の細胞活性は、典型的には、95
〜100%であった。導入ベクターおよびバキュロウイルスの使用手順は本質的には
製造者(Clontech, Inc.)により記載のものとした。精製pBP-phbCおよび線状バ
キュロウイルスDNAを、リポフェクチン(GIBCO-BRL)を利用するリポソーム媒介法
(Felgnerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413 (1987))を用いるSf21細胞
を同時トランスフェクションするのに用いた。
【0151】 4日後、同時トランスフェクション上清をプラーク精製に利用した。28℃で5〜
7日後、組換えウイルスクローンを、1.5%シープラークGTGを含有するプラーク
アッセイプレートから精製した。次いで、組換えウイルスクローン保存液をT25-
フラスコ培養(4ml、0日目に3×106/ml)において4日間増幅させた;感染細胞を
それらの形態および大きさによって決定し、次いで、PHAシンターゼの産生に関
して、10%ポリアクリルアミドゲル(Laemmli, Nature, 227, 680 (1970))を用い
るSDS/PAGEによりスクリーニングした。
【0152】 BTI-TN-5BI-4 T.ニ細胞由来のPHAシンターゼの精製 PHAシンターゼの精製は、以下の変更を含むGerngrossら, Biochemistry, 33,
9311 (1994)の方法に従って実施した。1アリコート(110mgタンパク質)の凍結
細胞を氷上で融解し、10mM Kpi(pH7.2)、5%グリセロール、および以下のプロテ
アーゼ阻害剤を示される最終濃度で有する0.05%Hecameg(バッファーA)に再懸
濁した:ベンズアミジン(2mM)、フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF、0.
4mM) 、ペプスタチン(2mg/ml)、ロイペプチン(2.5mg/ml)、およびNa-p-トシル-1
-リシンクロロメチルケトン(TLCK、2mM)。
【0153】 EDTAはヒドロキシルアパタイト(HA)と適合しないためこの段階では省略した。
この混合物を、部分的に氷浴中に浸漬しながら、2機のThomasホモジナイザーで
各10回転を3回連続してホモジナイズし、次いで、氷上でBranson Sonifer 250で
30%サイクル、30%出力で2分間の超音波処理した。その後の手順はすべて4℃で
実施した。
【0154】 溶出物を直ちにBeckman 50 2Tiローターで100000×gで80分間、遠心分離し、
得られた上清(10.5ml、47mg)を直ちに0.45mm Uniflowフィルター(Schleicher a
nd Schuell Inc., Keene, N.H.)を通して濾過し、残存するいずれの不溶物も除
去した。可溶性の画分のアリコート(1.5ml、7mg)を、バッファーA (+プロテア
ーゼ阻害剤混合物)で平衡化しておいた5mlBioRad Econo-pac HTPカラムに充填
し、BioRad Econo-systemに取り付けて、カラムを30mlのバッファーAで洗浄し
た。クロマトグラフィーの工程はすべて0.8ml/分の流速で実施した。PHAシンタ
ーゼは、32×32mlの10ないし300mM KPi直線勾配を用いてHAカラムから溶出した
【0155】 画分回収チューブは30mlの100mMEDTAを添加して、HAクロマトグラフィー後直
ちに、1mMでメタロプロテアーゼ阻害剤を加えた。PHAシンターゼは110〜180mM K
Piの間の広範なピークで溶出された。相当なPHAシンターゼ活性を含む画分(3ml)
をプールし、全可溶性画分がクロマトグラフィー過程を終えるまで0℃で保存し
た。次いで、プールした画分をセントリカップ-30濃縮器(Amicon)を用いて4℃で
3.8mg/mlまで濃縮した。アリコート(0.5ml)を瞬間凍結して液体N2中に保存する
か、またはグリセロールを加えて最終濃度50%にし、サンプル(1.9mg/ml)を-20℃
で保存するかのいずれかとした。
【0156】 ウエスタン解析 T.ニ細胞のサンプルを10%ポリアクリルアミドゲルでのSDS-PAGEにより分画し
、次いで、タンパク質を、製造者に従ってBioRad Transblot SD Semi-Dry 電気
泳動トランスファー細胞を用いて0.2mmニトロセルロースメンブランへトランス
ファーした。タンパク質は15Vで1時間でトランスファーされた。このメンブラン
を2回蒸留H2Oで洗浄し、乾燥させ、0.05%Tween-20(PBS-Tween)および3%脱脂乾燥
乳を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で処理して非特異的結合部位をブロッ
キングした。
【0157】 一次抗体(ウサギ抗PHAシンターゼ)を新しいブロッキング溶液に加えて25℃
で2時間インキュベートした。次いで、メンブランをPBS-Tweenで10分間4回洗浄
し、さらに、新しいブロッキング溶液で10,000倍に希釈した、セイヨウワサビペ
ルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギ抗体(Boehringer-mannheim)を加えて25℃で1
時間インキュベートした。最後に、メンブランをPBSで3回(10分間)洗浄し、化
学発光のLumiGLO基質キット(Kirkegaard and Perry, Gaithersburg, MD)および
X線フィルムを用いて固定されたペルオキシダーゼ標識を検出した。
【0158】 N末端分析 約10mgの精製PHAシンターゼを10%SDSポリアクリルアミドゲルに流し、PVDF(Im
mobilon-PSQ, Millipore Corporation, Bedford, MA)にトランスファーし、アミ
ドブラックで染色して494 Prociseタンパク質シークエンサー(Perkin-Elmer, Ap
plied Biosystems Division, Foster city, California) で配列決定した。
【0159】 二重感染のプロトコール 100mlスピナーフラスコ4つそれぞれに、新しい昆虫培地50ml中の8×107細胞を
播種した。フラスコ1には20mlの新しい昆虫培地をさらに加え(非感染対照)、
フラスコ2には10mlのBacPAK6:phbCウイルス保存液(1×108pfu/ml)および10mlの
新しい昆虫培地を加え、フラスコ3には10mlのBacPAK6:FAS206ウイルス保存液(1
×108pfu/ml)および10mlの新しい昆虫培地を加え、さらに、フラスコ4には10ml
のBacPAK6:phbCウイルス保存液(1×108pfu/ml)および10mlのBacPAK6:FAS206ウイ
ルス保存液(1×108pfu/ml)を加えた。これらのウイルス感染は約10の感染効率で
実施した。培地を通常の増殖条件下に維持し、24時間、48時間および72時間の時
点で15mlのサンプルを回収した。細胞は1000×gで5分間の緩い遠心分離により回
収し、培地を廃棄し、細胞は直ちに-70℃で保存した。
【0160】 PHAシンターゼ測定 重合の過程でPHAシンターゼから遊離した補酵素Aを、5,5’-ジチオビス(2
-ニトロ安息香酸、DNB)(Ellman, Arch. Biochem. Biophys., 82, 70 (1959))を
用いてGerngrossら (上記)による記載のようにして正確にモニターした。
【0161】 HBCoAの存在を分光測定でモニターした。アッセイはウォータージャケットセ
ルホルダーを装備したHewlett Packard 8452Aダイオードアレイ分光光度計で25
℃で実施した。光路長0.1および0.01cmの2つのStarna Spectrosil 分光光度計セ
ルを用いて、高い値での吸光度スケールの圧縮から生じる誤差を避けた。吸光度
を232nmでモニターし、4.5×103M-1cm-1のE232nmを算出に使用した。1単位の酵
素(U)とは1分あたりに1mmolの基質を加水分解するのに要する量である。バッフ
ァー(0.15M KPi、pH7.2)および基質を25℃に平衡化し、次いで、同じく25℃でエ
ッペンドルフチューブ内で組み合わせた。
【0162】 酵素を加え、使用したピペットチップにおいて1度混合し、全混合物を分光光
度計のセルへ移した。2つのセルを直ちに集め、標準的な10mm光路長の分光光度
計セルホルダーに適合したセルホルダー(CH型)のついた分光光度計内に置いた
。サンプルの操作は、混合からモニタリングの開始までに10〜15秒しかかからな
かった。吸光度を10分まで連続してモニターした。反応の較正はバッファーおよ
び酵素の溶液(基質を含まない)に対するもので、これにより基質のみを表す吸
光値となった。
【0163】 PHB測定 Riisら, J. Chromo., 445, 285 (1988)のプロパノール分解法に従いSf21細胞
サンプルからPHBを測定した。細胞ペレットを氷上で融解し、1mlの冷ddH2O中に
再懸濁してテフロンシール付き5mlスクリュートップ試験管ヘ移した。2mlのddH2 Oを加え、細胞を洗浄して遠心分離し、さらに3mlのアセトンを加えて細胞を洗浄
し遠心分離した。次いで、サンプルを94℃のオーブンに12時間入れて乾燥させた
【0164】 翌日、0.5ml の1,2-ジクロロメタン、0.5mlの酸性プロパノール(20ml HCl、8
0ml 1-プロパノール)および50mlの安息香酸標準液を加え、定期的にボルテック
スで攪拌しながら、密閉した試験管を沸騰水浴中で2時間、100℃まで加熱した。
試験管を室温まで放冷して、Hewlett Packard 7673 A自動注射器を装備し、かつ
、長さ30メートルのシリカキャピラリーカラム、DB-WAXを取り付けたHewlett Pa
ckard 5890 Aガスクロマトグラフを用いるガスクロマトグラフィー(GC)解析に有
機相を使用した。陽性のサンプルをKratos MS25 GC/MSを用いてプロピルヒドロ
キシブチレートの存在に関して、さらにGC-質量分析(MS)に付した。以下のパラ
メーターを用いた;源温度210度;電圧 70eV;および加速電圧4KeV、である。
【0165】 触媒活性 ケトアシルシンターゼ(KS)活性は、縮合14CO2交換反応(Smithら, PNAS USA, 7
3, 1184 (1976))により放射化学的に評価した。 トランスフェラーゼ(AT)活性は、マロニルCoAを供与体およびパンテテイン(pa
ntetheine)を受容体として用いて、ATPクエン酸リアーゼリンゴ酸デヒドロゲナ
ーゼ共役反応(Rangenら, J. Biol. Chem., 266, 19180 (1991)を参照)で遊離し
た遊離CoAを分光光度計によって測定することによりアッセイした。
【0166】 ケトレダクターゼ(KR)は分光光度計で340nmでアッセイした。アッセイ系は0.1
Mリン酸カリウムバッファー(pH7)、0.15mM NADPH、酵素および、10mM トランス
-1-デカロンまたは0.1mMアセトアセチル−CoA基質のいずれかを含んでいた。 デヒドラーゼ(DH)活性は、S-DL-β-ヒドロキシブチリルN-アセチルシステアミ
ンを基質として用いて分光光度計で270nmでアッセイした(Kumarら, J. Biol. Ch
em., 245, 4732 (1970))。
【0167】 エノイルレダクターゼ(ER)活性は、本質的にはStormら(J. Biol. Chem., 254,
8159 (1979))により記載のようにして分光光度計で340nmでアッセイした。アッ
セイ系は0.1Mリン酸カリウムバッファー(pH7)、0.15mM NADPH、0.375mMクロト
ノイル−CoA、20μMCoAおよび酵素を含んでいた。 チオエステラーゼ(TE)活性は、3分間のインキュベートの間に[1-14C]パルミト
イル−CoAから形成される[14C]パルミチン酸を抽出しアッセイすることによりし
て放射化学的にアッセイした、Smith, Meth. Enzymol., 71C, 181 (1981)。この
アッセイの最終容量は0.1ml、25mMリン酸カリウムバッファー(pH8)、20μM[-14C
]パルミトイル−CoA(20nCi)および酵素であった。
【0168】 総脂肪酸シンターゼ活性のアッセイは、これまでにSmithら (Meth. Enzymol, 35 , 65 (1975))により記載のようにして分光光度計で実施した。全ての酵素活性
はトランスフェラーゼを除いて37℃でアッセイし、トランスフェラーゼは20℃で
アッセイした。活性単位は1分あたりに消費されたnmolの基質で示される。すべ
てのアッセイは最小量で、適当な酵素および基質を含む、2つの異なるタンパク
質濃度でブランクを含めて実施した。
【0169】 II. 実施例 例Iバキュロウイルス系を用いたアルカリゲネス・ユートロプス(A.Eutrophu s)PHAシンターゼ発現 最近の研究により、アルカリゲネス・ユートロプス(A.eutrophus)由来のPHA
シンターゼが3−ケトチオラーゼ及びアセトアセチル−CoAレダクターゼの不在
下で大腸菌(E.coli)中で過剰発現される可能性があり(Gerngross et al., 前
出)かつ植物中で発現可能であること(再考には Poirier et al., Biotech, 13
,142(1995)を参照のこと)が示された。
【0170】 PHAシンターゼの可溶形態の分離によって、プライミング及び開始反応の機械
論的詳細を検討する機会が提供される。バキュロウイルス系は可溶性タンパク質
といったような数多くの原核性遺伝子の発現について成功を収めてきており、昆
虫細胞は細菌性発現系とは異なり、広範な一連の翻訳後修飾を実施することから
、バキュロウイルス発現系は、触媒として活性となるためにはホスホパンテテイ
ンにより修飾されなくてはならないタンパク質である可溶性PHAシンターゼの大
量発現にとって理想的なものであると思われた(Gerngross et al, 前出)。
【0171】 PHAシンターゼの精製 PHAシンターゼのために利用された精製手順は、第2の
液体クロマトグラフィ段階を削除し、全ての緩衝液中へのプロテアーゼ阻害物質
カクテルの内含が関与する。Gerngross et al(前出)の修飾である。全ての段階
は、指摘された場合を除き、氷上又は4℃で実施された。凍結細胞は、氷上で緩
衝液A(10mMのKPi,pH7.2,0.5%のグリセロール、0.05%の Hecameg)10ml中で
解凍され、次に遠心分離及びHAクロマトグラフィに先立ち直ちに均質化された
【0172】 これらの研究努力の結果は、表1及び図7に要約されている。SDS/PAGEにより
分画された合計、可溶性、及びHA溶離液のタンパク質標本中で、64kDaで顕著
なバンドが見える(それぞれ図7のレーン4,5及び6)。分離されたPHAシ
ンターゼの初期特異的活性は、このポリペプチドの以前の発現及び精製の試みの
場合よりも20倍高いものであった。以下に詳述する直接的分光光度分析からの計
算に基づくと、約1000単位のPHBシンターゼが精製され、活性の全体的回復率は7
0%であった。膜分画の中に大きな割合でシンターゼが存在することそして可溶
性分画の中に90%以上の初期活性が発見されたことは、膜分画中のシンターゼが
不活性形態にあるか又は直接的検定を初期の12U/mg の粗抽出液に適用できな
いことのいずれかを示唆している。
【0173】
【表1】
【0174】 64kDaのタンパク質をN−末端配列決定することにより、PHAシンターゼと
してのその同一性が確認された(図8)。アミノ酸残基7(アラニン)及び残基
10(セリン)において2つの卓越したN末端が3:2の比率で得られた。この異
種N末端は、アミノペプチダーゼ活性の結果であると推測される。ウサギ抗PH
Aシンターゼ抗体を用いたウエスタン分析が、配列決定の結果を確証し、PHA
シンターゼのタンパク質分析の結果として得られた少なくとも3つのバンドの存
在を示した(図7B,レーン4〜6)。抗体は、T.ni 又はバキュロウイルスのいず
れのタンパク質も反応性を示さなかったことから、PHAシンターゼに対して特異
的なものであった(図7B,レーン2及び3)。
【0175】 N末端タンパク質配列決定(図8)は直接、44kDa(バンドb)及び32kDa(バ
ンドd)のタンパク質がPHAシンターゼから誘導されたことを示した(それぞれA
181/N185及びG387で始まるフラグメント)。35-40kDa(バンドC)のタンパク質
は、低い配列決定収率を提供し、遮断されたN末端を含む可能性がある。図7Bを
検査すると、このゲルの全体的タンパク質標本(レーン24)は、HA標本(レーン
6)が上述の精製手順を受ける間にSDS標本内で直接細胞を煮沸することによって
調製されたことから、大部分の劣化が細胞分断の後で発生することが示唆されて
いる。
【0176】 シンターゼ活性の検定 バキュロウイルス系を用いて得られる有意な発現レベ
ルに起因して、加水分解時点で吸光度の最大減少が存在する波長である232nmで
チオエステル結合の加水分解を監視することによってシンターゼ活性を分光光度
検定をすることかできた。この波長における基質(HBCoA)と産物(CoA)の間の
差は図9に示されている。232nmでのHBCoAとCoAの吸光度は、2つの充分に離隔
したピークの間の谷において発生する。以前の研究(Gerngross et al., 前出)
との比較分析のためpH7.2で検定が行なわれた。
【0177】 これらの研究のための基質である Substrate(R-(-)3-HBCoA)は、混合無水物
方法(Haywood et al., 前出)を用いて調製され、その濃度は、A260を測定す
ることによって決定された。短かい経路長の細胞(0.1cm 及び 0.01cm)は、基
質及び酵素を保存しながら比較的高い反応濃度の使用を可能にした。検定結果は
、A232の線形増加に先立つ60秒の初期遅滞期間を示し、検定曲線のこれらの
線形領域の勾配から速度が決定された。遅滞期間の長さは可変的で、酵素濃度と
反比例関係を有していた。これらのデータは、大腸菌(E.coli)から精製された
PHAシンターゼを用いたものと一貫したものであった(Gerngross et al., 前出
)。
【0178】 図10及び11は、それぞれV対S及びI/V対I/Sのプロットを示している。2重の
相反プロットは、ズーグレア・ラミゲラ(Zooglea ramigera)からの粒状PHAシ
ンターゼの研究(Fukui et al., Arch. Microkial, 110,149(1976))から得た結
果と類似した上向き凹状であり、複雑な反応メカニズムを示唆している。酵素濃
度の関数として比活性及び速度の検討は、図12及び13に示されている。これらの
結果は、シンターゼの比活性が酵素濃度により左右されることを確認している。
【0179】 T.ni細胞から精製されたアルカリゲネス・ユートロプス(A. europhus)PHAシ
ンターゼについてのpH活性曲線は、図14に示されている。この曲線は、pH8.5前
後を中心とする広い活性最大値を示している。この結果は、アルカリゲネス・ユ
ートロプス(A. eutrophus)PHBSについての以前の研究と充分に整合性を有する
ものの、最適値がpH7.0であると決定されたズークレア・ラミゲラ(Z. ramigera
)からのPHBSについて得られた結果とは著しく異なっている。
【0180】 固定量の基質の存在下における変化する酵素濃度の効果は、興味深い傾向を明
らかにした(図15)。これらのデータから、重合の程度が、反応混合物中に内含
された酵素量によって左右されることがわかる。このことは、ひとたび達したな
らばそれ以上拡張され得ない重合体の「末端長」制限が存在する場合に説明がつ
く。これがあてはまる場合、これらの研究の時間的経過の中で、これらの反応の
証拠が全く見うけられないことから、重合反応の終結、重合体からのシンターゼ
の放出及び/又は 新たに放出されたシンターゼによる重合の再開も同様に示唆
されることになる。図15に見られる現象は、25℃でのシンターゼの10分間の
予備インキュベーションの後にほぼ同一の結果が得られることから、検定の経過
全体にわたる酵素の破壊の結果ではない。
【0181】 同様に、ここで用いられている直接的分光光度検定及び、補酵素Aのチオレー
トの形成における Ellman の試薬DTNB(Ellman, 前出)の使用が関与するより一
般的な検定を比較することによって、直接的方法により決定された値が、Ellman
の試薬を用いて決定された値の約70%であることが示された。これは、比較的不
溶性の重合体が形成されるにつれてキュベット内で発生する相分離に起因するも
のでありうる。この考え方を裏づけるものとして、特により高い基質濃度で、反
応中キュベット内にかすかな曇り又は乳光が発生した。
【0182】 昆虫細胞から精製されたPHAシンターゼは、比較的安定していると思われる。
液体N2中で及び50%のグリセロールの存在下で−20℃で貯蔵した後の活性を検
査することにより、液体N2内で貯蔵した場合7週間後に約50%のシンターゼ
活性が残り、50%のグリセロールの存在下で20℃で貯蔵したとき7週間後に約75
%のシンターゼ活性が残ることがわかった。
【0183】 バキュロウイルス発現系内におけるアルカリゲネス・ユートロプス(A.eutrop
hus)由来のPHAシンターゼの発現は、結果として、感染から60時間後に合計タン
パク質の約50%を構成するシンターゼをもたらす。ただし、膜関連分画中には約
50〜70%のシンターゼが観察される。この高い発現レベルは、HA上での単一のク
ロマトグラフィ段階を用いた可溶性PHAシンターゼの精製を可能にした。この調
製物の純度は約90%(無傷PHAシンターゼ及び3つのタンパク質分解産物)であ
ると見積られている。
【0184】 12U/mg の初期比活性は、アルカリゲネス・ユートロプス(A eutrophus)PHA
シンターゼの過剰発現において過去に最も成功を収めた研究努力に比べ約20倍
高いものであった。ここで報告されているシンターゼは、40%の回収率をもつ8L
の大腸菌(E.coli)培養と比べたとき500倍の改善(1000U/64U×8L/0.25L)を表
わす70%の回復率で250mlの培養から分離された。この高い発現レベルは、広範
な構造的、機能的及び機械論的研究のための充分なPHAシンターゼを提供するは
ずである。さらに、バキュロウイルス発現系が、さまざまな供給源からのその他
のPHAシンターゼの分離のための魅力的なオプションであることは明白である。
【0185】 バキュロウイルス系内で産生されたPHAシンターゼは、HBCoAのチオエステル結
合の加水分解の232nmでの直接的分光光度分析を可能にするのに充分な効力を有
するものであった。これらの検定は約60秒の遅滞期間を明らかにし、その長さは
可変的に、酵素濃度と反比例の関係にあった。かかる遅滞期間は、反応における
緩慢な段階を反映していると推測され、恐らくは、酵素の2量体化、プライミン
グ及び/又はPHBの形成における開始段階と相関関係をもつ。PHAシンターゼの未
変性MWのサイズ排除クロマトグラフィ検査は、シンターゼの2つの形態を示した
【0186】 1つの形態は、約100〜160KDaのMWを示し、もう1つの形態は約50〜80KDaのMW
を示した。これら2つの形態は、それぞれPHAシンターゼの2量体及び単量体を
表わしている確率が高い。約60及び130KDaの2つの形態が観察された類似の結
果が以前に報告されている。ここで報告された直接的検定及びDTNBを用いた間接
的検定の比較により、前者がDTNB間接検定によって決定された値の70%である値
を結果としてもたらすことが明らかになった。この差異の理由は詳しく調査され
ていないが、特に高い〔HBCoA〕で、使用された短かい経路長のキュベット内で
のPHB形成時点で発生した見かけの相分離がこの不一致を結果としてもたらす可
能性が高い。
【0187】 PHAシンターゼの酵素分析は、酵素がpH8.5を中心とする幅の広い最適pH値を有
することを発見した。ただし、本書で記述する研究は、その他の研究の結果との
比較値を提供するためpH7.2で実施された。さらに、この酵素の特異的活性は、
酵素濃度によって左右され、このことは初期の結果(Gerngross et al, 前出)
を確認し拡張している。
【0188】 酵素濃度に対する活性の依存性を検討することを意図した研究においては、重
合化反応の程度が、反応混合物中に内含された酵素の量によって左右されること
が明白となった。特定的には、酵素量の減少は、反応速度を低下させるばかりで
はなく、縮合の程度も低下させることになる(図15)。考えられる1つの説明は
、酵素が熱的に不安定であるということである。しかしながら反応開始以前に酵
素を10分間にわたり25℃で予めインキュベートする同一の検定も、類似の結果を
もたらした。もう1つの可能性は、重合体の末端長に到達し、従って特定のシン
ターゼ分子が末端長重合体から放出されるまでさらなる縮合が排除されていると
いうことにある。
【0189】 この研究作業は、アルカリゲネス・ユートロプス(A. europhus)PHAシンター
ゼの産生及びその他のPHAシンターゼの研究に対する潜在的応用のためのバキュ
ロウイルス発現系の価値を明らかに実証した。その上、バキュロウイルス系を用
いて得られる高い発現レベルは、比較的粗製の昆虫細胞抽出液からのPHAシンタ
ーゼの基質特異性及び構造機能研究のための適切な分析を可能にするはずである
【0190】例2昆虫細胞中のPHBシンターゼ遺伝子とラットFASデヒドラーゼ突然変異体cD NAの同時発現 Sf9細胞中でのラットFASDH-cDNAの発現については、以前に報告されてきた(R
angan et al., J. Biol. Chem.,266,19180(1991);Joshi et al., Biochem. J.,2 96 ,143(1993))。昆虫細胞内でphbC遺伝子産物の活性がひとたび立証された時点
で(例1参照)、ラットFASDH-cDNA 及び BacPAK6::phbCを含有するバキュロウ
イルスクローンを利用して、PHBが昆虫細胞内で産生されることになるか否かが
決定された。
【0191】 R(-)-3-ヒドロキシブチレートの細胞内プールが安定したものとなるか又はPHB
シンターゼのための基質として利用可能となるか否かは、わかっていなかった。
R-(-)-3-ヒドロキシブチリルCoAが基質として利用可能となるためには、ラットF
ASDH-タンパク質から放出されるR-(-)-3-ヒドロキシブチリルCoAはPHBSにより捕
捉され、β酸化よりも速い速度で重合体内に取込まれ、こうしてアセチルCoA
が再生される必要がある。同様に、R形でなくてはならない3−ヒドロキシル基
の立体化学形態がPHBシンターゼによる基質として認識されることになるか否
かも知られていなかった。幸いなことに、真核性FASについての以前の生化学研
究が、3−ヒドロキシブチリルCoAのR形が生成されることになるということを
示した(Wakil et al., J. Biol. Chem., 237,687(1962))。
【0192】 未感染、単一感染及び2重感染のSf21細胞由来のタンパク質標本のSDS-PAGEが
実施された(図16)。これらのデータから、ラットFASDH突然変異及びPHB
シンターゼポリペプチドがSf21細胞内で効率良く同時発現されることは明らかで
ある。ただし、同時発現は、個々のタンパク質を産生しつつあるSf21細胞に比べ
、両方のポリペプチドの最高で50%減少したレベルを結果としてもたらす。抗ラ
ットFAS(Rangan et al.,前出)及び抗−PHAシンターゼ抗体を用いたウェスタン
分析は、対応するタンパク質の同時産生を確認した。
【0193】 PHBが昆虫細胞中で合成されていたことのさらなる証拠を提供するため、ラッ
トFASDH0をコードするバキュロウイルスベクター及び/又はPHAシンターゼをコ
ードするバキュロウイルスベクターによる感染を受けた T. ni細胞が、顆粒の存
在について分析された。感染を受けた細胞は、パラフォルムアルデヒド中で固定
され、抗PHAシンターゼ抗体を用いてインキュベートされた(Williams et al., Protein Exp. Purif. , 7, 203(1996))。顆粒は、2重に感染を受けた細胞内で
のみ観察された(Williams et al., App. Environ Micro,62,2540(1996))。
【0194】 昆虫細胞中のPHB産生の特徴づけ PHBの de novo 合成が、ラットFAS DH突然
変異体及びPHBSを同時発現するSf21細胞内で発生していたか否かを決定する
ために、これらの標本の分画を抽出し、抽出物をプロパノール分解に付し、ガス
クロマトグラフィによりプロピルヒドロキシブチレートの存在について分析した
(図17)。陰性であった個々に発現された遺伝子産物及び未感染対照とは対照的
に、プロピルヒドロキシブチレート規準と一致した保持時間を伴う唯一のピーク
が、48時間及び72時間で2重感染標本中でのみ検出された。これらの標本をさら
にGC/MSにより分析し、産物の同一性を確認した。
【0195】 図18は、プロピルヒドロキシブチレート規準に比較したガスクロマトグラフ内
のピーク10.1から得た材料に対応する質量分光学データを示している。この結果
は、PHB合成が、ラットFASDH突然変異体cDNA及び A. eutrophus からのphbC遺伝
子を同時発現するSf21細胞の中でのみ発生していることを示している。プロ
ピルヒドロキシブチレートに対応するガスクロマトグラフ中のピークの組込みに
より、Sf21細胞の1リットル培養から約1mgのPHBが分離されることが明らかに
なった(約600mgの乾燥細胞重量のSf21細胞)。かくしてラットFAS206タン
パク質は、β−ケトチオラーゼ及びアセトアセチル−CoAレダクターゼの機能に
有効に置換わり、その結果、新規経路によりPHBを産生する。
【0196】 ここで記述したアプローチは、ポリエステルの産生のための一次的同化機能に
通常関わり合う代謝経路を組合わせための新しい戦略を提供する。PHA合成にお
いて使用するための適切に修飾されたアシルCoA単量体を提供するための通常の
脂肪酸生合成経路の早尚な終結は、重合体形成が特殊化された供給原料によって
左右されることがないため、原核性及び真核性の両方の発現に適用することがで
きる。かくして、組換え型PHA単量体がひとたび原核性又は真核性系の中に導入
され適切なPHAシンターゼと同時発現された時点で、新規の2元重合体形成が起
こりうる。
【0197】例3Vep ORFIPKS遺伝子クラスタのクローニング及び配列決定 非相同ハイブリダイゼーション戦略を用いて、全PKSクラスタ形のストレプト
マイセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)をクローニングした。ery A
PKSβ−ケトアシルシンターゼドメインをコードするDNAに強くハイブリッド形成
した1.2kbのDNAフラグメントをクローニングさせ、遺伝子分断のためのプラス
ミドを生成するために使用した。この方法は、抗生物質の合成において遮断され
た突然変異体菌株を生成した。ストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae
)ゲノミックDNAライブラリを生成し、完全なメチマイシンアグリコンPKS DNAを
含有するコスミドをクローニングするために使用した。
【0198】 多機能性PKSに沿った触媒ドメインの順序及び配列を同定するため、細密マッ
ピング分析を実施した(図19)。vep ORFIのDNA配列分析は、触媒ドメインの順
序がKSQ/AT/ACP/KS/AT/KR/ACP/KS/AT/DH/KR/ACPであることを示した。ver ORFI
の完全DNA配列及び対応するアミノ酸配列は、図23に示されている(それぞれ
配列番号1及び配列番号2)。
【0199】 配列データは、PKS遺伝子クラスタが、12の炭素のポリエンをコードする。v
ep 遺伝子クラスタは、その5’末端にローディングモジュールをそしてその3
’末端エンディングドメインを伴う5ポリケチドシンターゼモジュールを含有す
る。配列決定されたモジュールの各々は、ケト−ACP(KS),アシルトランスフェ
ラーゼ(AT),デヒドラターゼ(DH),ケト−レダクターゼ(KR)及びアシルキ
ャリヤ−タンパク質ドメインを内含する。
【0200】 クラスタ内の6つのアシルトランスフェラーゼドメインは、産物内への6つの
アセチル−CoA半分の取込みを担当する。ローディングモジュールは、KSQ,AT及
びACPドメインを含有する。KSQは、活性部位システイン(C)がグルタミン(
Q)により置換されているという点を除いて、KSドメインと相同であるドメイン
のことである。以前に特徴づけされたPKSクラスタ内にはKSQドメインに対応する
ものはない。
【0201】 エンディングドメイン(ED)は、もう1つの分子上への未完成ポリケチド鎖の
付着を担当する酵素である。EDのアミノ酸配列は、Anabaenaヘテロシスト形成に
関与する酵素MetMに似ている。vep とHetMの間の相同性は、vep 遺伝子クラス
タによってコードされたポリペプチドが、その天然の宿主であるストレプトマイ
セス・ベネズエラ(S.venezuelae)の胞子外皮又は細胞壁内に存在するポリエン
含有組成物を合成しうるということを示唆している。
【0202】例4飽和β−ヒドロキシヘキサノイルCoA単量体又は不飽和β−ヒドロキシヘ
キサノイルCoA単量体をコードするベクターの調製 飽和β−ヒドロキシヘキサノイルCoA又は不飽和β−ヒドロキシヘキサノイルC
oA単量体を生成する組換え型単量体シンターゼを提供するため、I型マクロライ
ドPKSの遺伝子組織と多機能性タンパク質内の触媒ドメイン組織の間の線形的
対応が査定される(Donadio et al., 前出、1991;Katz et al., Ann. Rev. Mic robiol. ,47,875(1993))。
【0203】 まず第1に、TEをコードするDNAが、好ましくはエリスロマイシン系内の Cort
es et al., (Science, 268,1487(1995))により最近記述されたとおりの metORF
I(図6)であるI型PKSのORF1の3’末端に付加される。TEをコードするDNAが完
全に活性であることを保証するため、PKS内の通常のACP-TE領域を分離する。リ
ンカー領域をコードするDNA(例えば metPKS ORF5(図5)内に見られるもの)
がDNA内に組込まれることになる。結果として得られるベクターは、宿主細胞中
に導入でき、TE活性、CoA産物の放出速度及び脂肪酸鎖の同一性が決定される。
【0204】 放出される確率の最も高いアシル鎖は、完全に延長された鎖がマクロライド環
化に先立ってこの形で放出されると推測されることから、CoAエステル、特定的
には3−ヒドロキシ−4−メチルヘプテノイルCoAエステルである。アシル鎖のC
oA形が観察されない場合には、CoAリガーゼをコードする遺伝子がクローニング
され、宿主細胞内で同時発現されて望ましい中間体の形成を触媒することになる
【0205】 マクロライド合成において中間体を産生するマクロライド産生 Streptomyces
の突然変異体菌株からの予測された早期終結産物の放出については、明らかな前
例が存在する(Huber et al., Antimicrob. Agents Chemother., 34,1535(1990)
;Kinoshita et al., J. Chem. Soc., Chem. Comm.,14,943(1988))。
【0206】 これらの中間体の構造は、マクロライドPKS内の機能的ドメイン(特に cryA
,tyl 及び metに関係するもの)の線形組織と一貫性をもつ。その他の既知のP
KS遺伝子クラスタには、6−メチルサリチル酸シンターゼ(Beck et al., Eur . J. Biochem. , 192,487(1990)),ソラフェンA(Schupp et al., J. Bacterio l , 177.3673(1995)),及びステリグマトンスチン(Yu et al., J. Bacteriol.,
177,4792(1995))をコードする遺伝子クラスタが含まれるが、これらに制限さ
れるわけではない。
【0207】 3−ヒドロキシ−4−メチルヘプテノイルCoAエステルの放出がひとたび立証
されたならば、met モジュール1内で増量剤単位ATをコードするDNAは、メチル
マロニルCoAからマロニルCoAへと特異性を変更するべく置換される(図4-6)。
この変更により、β−ヒドロキシアシル鎖内のメチル基の分枝は無くなる。既知
のATアミノ酸配列の比較が高い全体的アミノ酸配列変更を示している一方で、著
しい遺伝子欠失又は挿入が発生した全く異なる領域が直ちに明らかになる。
【0208】 例えば、マロニル及びメチルマロニルアミノ酸配列の比較によって、マロニル
トランスフェラーゼの中央領域内の37アミノ酸欠失が明らかとなる。かくしてメ
チルマロニルトランスフェラーゼの特異性をマロニルトランスフェラーゼに変更
するため、MMTの37アミノ酸配列をコードする metORFI DNAは欠失させられるこ
とになり、結果として得られた遺伝子は、デスメチル種、3−ヒドロキシヘプチ
ノイルCoAの産生について宿主細胞内でテストされる。代替的には、全MMTをコー
ドするDNAは、所望の鎖構築に影響を及ぼすべく、無傷MTをコードするDNAと置換
され得る。
【0209】 MTTをMTと置換させた後、DH/ERをコードするDNAは metORFIモジュール1をコ
ードするDNA内に導入されることになる。この修飾は、アシル鎖のC-3でメチレン
基を生成する多機能タンパク質を結果としてもたらす(図6)。DH/ERをコード
するDNAは、プライマ対を用いて、必要とされるリンカー領域をコードするDNAを
含む利用可能な eryA又は tyl PKS配列から、DH/ERをコードするDNAの保存され
た配列5’及び3’まで、PCR増幅されることになる。PCRフラグメントはこのと
き、met ORFI内にクローニングされる。結果は、多機能タンパク質をコードする
DNA(MT* DH/ER* TE*)である。このタンパク質は、ケト基処理段階の完全補体を
有し、結果としてヘプテノイルCoAを産生する。
【0210】 次に、met モジュール2内のデヒドロゲナーゼをコードするDNAは、上述のラ
ットFASDHを生成するために使用されたものと類似のスキームにおいて部位特異
的突然変異誘発を用いて不活性化される(Joshi et al., J. Biol. Chem., 268,
22508(1993))。こうして、PHAシンターゼのための基質として役立つ所望の(R)-
3-ヒドロキシ基が保存され、結果として(R)-3-ヒドロキシヘプタノイルCoA種が
得られる。
【0211】 最終的ドメイン置換には、プロピオニルCoAからアセチルCoAまで特異性を
変更するべく、met モジュール1内のスタータ単位アシルトランスフェラーゼを
コードするDNA(図5)が関与することになる。こうして、(R)-3-ヒドロキシア
シル鎖はヘプタノイルからヘキサノイルまで短縮される。触媒ドメインをコード
するDNAは、FAS又は6メチルサリチル酸シンターゼモデルに基づいて生成される
か(Beck et al., Eur. J. Biochem., 192,487(1990))又は常在性 metPKSプロ
ピオニルトランスフェラーゼ配列の特異性を改変させるべく部位特異的突然変異
誘発を使用することによって生成されることが必要となる。
【0212】 イニシエータ種をアセチルCoAに制限することの結果として、単量体シンター
ゼは、このスタータ単位を使用することになる可能性がある。マクロライドシン
ターゼでの以前の研究作業から、広範囲のスタータ単位カルボン酸を受入れるこ
とができるものもあるということがわかった。このことは、アベルメクテンシン
ターゼについて充分に証明されており、この場合、60以上の新しい化合物が、前
駆物質補給の研究においてスタータ単位基質を改変させることによって産生され
た(Dutton et al., J.Antibiotics, 44,357(1991))。
【0213】例53−ヒドロキシ−4−ヘキセン酸を合成する組換え型単量体シンターゼを コードするベクターの調製 ポリヒドロキシヘキセノエートの前駆物質である3−ヒドロキシ−4−ヘキセ
ン酸を合成する組換え型単量体シンターゼを提供するためには、親モジュールの
対応するアミノ酸配列との関係におけるいかなるアミノ酸差ももたない融合ポリ
ペプチドをコードする組換え型DNA分子を生み出すべく、vep 遺伝子クラスタの
第1のモジュール及びローディングモジュールをコードするDNAセグメントを、
tyl 遺伝子クラスタのモジュール7をコードするDNAセグメントに連鎖させた。
【0214】 融合ポリペプチドは、3−ヒドロキシル−4−ヘキセン酸の合成の触媒として
作用する。(組換え型DNA分子は、act プロモータ(pDHS502,図2)の制御下で
ストレプトマイセス(Streptomyces)ベクターであるSCP2内に導入された。その
後シュードモナス・オーアボランス(Pseudomonas oleavorans)からのポリヒド
ロキシアルカノエートポリメラーゼ遺伝子 phaC1が、組換え型PKSクラスタの
下流側に導入された(pDHS502;図22及び23)。
【0215】 ポリヒドロキシアルカノエートポリメラーゼをコードするDNAセグメントは、
ストレプトマイセス(Streptomyces)内でポリヒドロキシヘキサノエートを合成
する融合ポリペプチドを生成するべく組換え型PKSシンターゼをコードするDN
Aセグメントに連鎖される。生分解性熱可塑性物質であるポリヒドロキシヘキサ
ノエートは、ストレプトマイセス(Streptomyces)中で、又はその他のいずれか
の生体内での主要産物として、天然に合成されるものではない。その上、ポリヒ
ドロキシヘキサノエートの側鎖中の不飽和2重結合は、既知のポリヒドロキシア
ルカノエートに比べ生分解性熱可塑性物質としてより優れた物理的特性をもつ重
合体を結果としてもたらすことができる。
【0216】例6デソサミン生合成遺伝子クラスタの desR遺伝子の欠失 一部のマクロライドは複数の付着糖半分を有することから、適切な糖生合成経
路に対する糖生合成遺伝子の割当ては、かなり困難でありうる。ストレプトマイ
セス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)によって産生された2つの密に
関係づけされたマクロライド抗生物質であるメチマイシン(式(1)の化合物)
及びネオメチマイシン(式(2)の化合物)(図24)(Donin et al., 1953;Djera
ssi et al.,1956)がその唯一の糖成分としてデソサミンを含有していることか
ら、メチマイシン/ネオメチマイシン遺伝子クラスタ内の糖生合成遺伝子の組織
は、さほど複雑でない可能性がある。かくしてこの系は、エリスロマイシン構造
内にも存在するデソサミンつまりN,N-ジメチルアミノ-3,4,6-トリデオキシヘキ
ソースの生合成の研究のために選択された(Flinn et al., 1954)。
【0217】 この尋常でない糖の形成を研究するため、Sau3AIを用いてコスミドベクターpN
J1内に連結された35〜40kbのフラグメントへとストレプトマイセス・ベネズエラ
(S. venezuelae)(ATCC15439)のゲノミックDNAを部分消化させることによっ
て、DNAライブラリを構築した(Tuan et al.,1990)。組換え型DNAをバクテリオ
ファージλへとパッケージングし、このバクテリオファージを E. coli DH5αの
トランスフェクションのために使用した。結果として得られたコスミドライブラ
リを、プローブとしてチロシン生合成クラスタからの tyl A1及び tyl A2遺伝子
を用いて、所望のクローンについてスクリーニングした(Baliz et al., 1988;M
erson-Davies et al., 1994)。
【0218】 これら2つのプローブは、その産物がかくしてこれまで研究された全ての尋常
でない6−デオキシヘキシロースが普遍的に追従する最初の2つの段階の触媒と
して作用する糖生合成遺伝子に対し特異的なものである。最初の反応には、α-D
-グルコース−1−ホスフェートチミジリルトランスフェラーゼ(Tyl A1)によ
るグルコース−1−ホスフェートからTDP-D-グルコースへの変換が関与し、その
後続いて、TDP−D−グルコースがTDP-D-グルコース4,6-デヒドラターゼ(Ty
l A2)によりTDP-4−ケト−6−デオシキ-D-グルコースへと形質転換される。3
つのコスミドが tylA1及び tylA2と相同な遺伝子を含有することがわかった。
【0219】 これらのコスミドのさらなる分析は、PKS遺伝子の下流側の9つの読取り枠
(ORF)の同定を導いた(図24)。その他の糖生合成遺伝子特にエリスロマイシ
ンクラスタから誘導されたものに対する配列の類似性に基づき、(Gaisser et a
l., 1997;Summers et al., 1997),これら9つのORFのうちの8つがTDP-D−デ
ソサミンの生合成に関与すると考えられる。興味深いことに、デソサミン経路内
の最初の2つの段階を担当する tylA1及び tylA2遺伝子の相同体が、ery クラス
タには欠けている。エリスロマイシン生合成のからくりがミカローゼ及びデソサ
ミン形成のためのTDP-4-ケト−6−デオキシ−D−グルコースの一般的細胞プール
に依存し得る可能性もある。図24に描かれているのは、TDP-D−デソサミンの
ための生合成経路である。
【0220】 9つのORFのうち8つがデソサミン形成に割当てられたものの、デソサミン遺
伝子クラスタ内でβ−グリコシターゼに対する強い配列相同性を示す(39%とい
う高い同一性及び46%の類似性)(Castle et al.,1998年)desRの存在は、不
可解である。メチマイシン/ネオメチマイシンの生合成に関係する DesRの機能
を調査するため、desR遺伝子の1.0kbのNcoI/XhoIフラグメントが欠失させ
られ、平滑末端連結を介してチオストレプト耐性(tsr)遺伝子(1.1kb)により
置換された(Bibb et al.,1985)(アプラマイシン耐性マーカーを含有する)pK
C1139から誘導された分断プラスミド(pBL1005)(Bierman et al., 1992)を構
築した。
【0221】 このプラスミドは、接合トランスファを通してPBL1005構成体を野生型ストレ
プトマイセス・ベネズエラ(S. venezuelae)内に導入するべくドナー菌株とし
て役立つ E.coli S17-1を形質転換するのに用いられた(Bierman et al., 1992
)。染色体 des Rが分断済み遺伝子と置換された2重乗換え突然変異体は、そ
のチオストレプトン耐性及びアプラマイシン感受性という特性に従って選択され
た。サザンブロットハイブリダイゼーション分析を用いて遺伝子の置換を確認し
た。
【0222】 所望の突然変異体をまずは、48時間種子培地中で29℃で成長させ、次にさら
に48時間栄養培地内で接種し成長させた(Cane et al.,1993)。発酵用肉汁を10
,000gで遠心分離して細胞デブリ及び菌糸体を除去した後、上清を濃縮したKOHで
pH9.5に調整し、等体積のクロロホルムで抽出した(4回)。有機層を硫酸ナトリ
ウム上で乾燥させ、乾燥に至るまで蒸発させた。まず最初に、こはく油様の粗製
産物を、クロロホルム中の0〜40%というメタノールの勾配を用いてシリカゲル
上のフラッシュクロマトグラフィに付し、その後、57mMの酢酸アンモニウム
中の45%のアセトニトリル(pH6.7)を用いてアイソクラティク溶離されたC1 8 カラム上でHPLC精製に付した。
【0223】 メチマイシン(式(I)の化合物)及びネオマンシン(式(2)の化合物)に加えて
、2つの新しい産物が分離された。式(13)の化合物及び式(14)の化合物の収量は
各々発酵用肉汁5〜10mg/Lの範囲内であった。ただし式(1)の化合物及び式(2)の
化合物がひきつづき主要産物でありつづけていた。高解像度のFAB-MSにより、両
方の化合物が、追加のヘキソース分だけメチマイシン/ネオメチマイシンと異な
っている同一の分子組成を有することが明らかにされた。これら2つの新しい化
合物の化学的性質は、広範なスペクトル分析により、C-2’β-グリコシル化メチ
マイシン及びネオメチマイシン(それぞれ式(13)及び式(14)の化合物)であるこ
とが解明された。
【0224】 (13)のスペクトルデータ:1HNMR(アセトン−d6)δ6.56(1H,d,J=16.0,9-H
),6.46(1H,d,J=16.0,8-H),4.67(1H,dd,J=10.8,2.0,11-H),4.39(1H,d,J=7.5,1'-H
),4.32(1H,d,J=8.0,1"-H),3.99(1H,dd,J=11.5,2.5,6"-H),3.72(1H,dd,J=11.5,5.
5,6"-H),3.56(1H,m,5'-H),3.52(1H,d,J=10.0,3-H),3.37(1H,t,J=8.5,3"-H),3.33
(1H,m,5"-H),3.28(1H,t,J=8.5,4"-H),3.23(1H,dd,J=10.5,7.5,2'-H),3.15(1H,dd
,J=8.5,8.0,2"-H),3.10(1H,m,2-H),2.75(1H,3'-H,H2Oピーク下に埋没),2.42(1H,
m,6-H),2.28(6H,s,NMe2),1.95(1H,m,12-H),1.9(1H,m,5-H),1.82(1H,m,4'-H),1.5
0(1H,m,12-H),1.44(3H,d,J=7.0,2-Me),1.4(1H,m,5-H),1.34(3H,s,10-Me),1.3(1H
,m,4-H),1.25(1H,m,4'-H),1.20(3H,d,J=6.0,5'-Me),1.15(3H,d,J=7.0,6-Me),0.9
5(3H,d,J=6.0,4Me),0.86(3H,t,J=7.5,12-Me)。高解像度FAB-MS:C31H54NO12(M+H) + についての計算値:632.3646,実際値:632.3686.
【0225】 (14)のスペクトルデータ:1HNMR(アセトン−d6)δ6.69(1H,dd,J=16.0,5.
5Hz, 9-H),6.55(1H,dd,J=16.0,1.3,8-H),4.71(1H,dd,J=9.0,2.0,11-H),4.37(1H,
d,J=7.0,1'-H),4.31(1H,d,J=8.0,1"-H),3.97(1H,dd,J=11.5,2.5,6"-H),3.81(1H,
dq,J=9.0,6.0,12-H),3.72(1H,dd,J=11.5,5.0,6"-),3.56(1H,m,5'-H),3.50(1H,bd
,J=10.0,3-H),3.36(1H,t,J=8.5,3"-H),3.32(1H,m,5"-H),3.30(1H,t,J=8.5,4"-H)
,3.23(1H,dd,J=10.2,7.0,2'-H),3.13(1H,dd,J=8.5,8.0,2"-H),3.09(1H,m,2-H),3
.08(1H,m,10-H),2.77(1H,ddd,J=12.5,10.2,4.5,3'-H),2.41(1H,m,6-H),2.28(6H,
s,NMe2),1.89(1H,t,J=13.0,5-H),1.83(1H,ddd,J=12.5,4.5,1.5,4'-H),1.41(3H,d
,J=7.0,2-Me),1.3(1H,m,4-H),1.25(1H,m,5-H),1.2(1H,m,4'-H,1.20(3H,d,J=6.0,
5'-Me),1.17(6H,d,J=7.0,6-Me,10-Me),1.12(3H,d,J=6.0,12-me),0.96(3H,d,J=6.
0,4-Me).13CNMR(アセトン-d6)δ204.1(C-7),175.8(C-1),148.2(C-9),126.7(C-8)
,108.3(C-1”),104.2(C-1'),85.1(C-3),83.0(C-2'),78.2(C-3”),78.1(C-5”),7
6.6(C-2”),76.4(C-11),71.8(C-4”),69.3(C-5'),66.1(C-12),66.0(C-3'),63.7(
C-6”),46.2(C-6),44.4(C-2),40.8(NMe2),36.4(C-10),34.7(C-5),34.0(C-4),29.
5(C-4'),21.5(5'-Me),21.5(12-Me),17.9(6-Me),17.7(4-Me),17.2(2-Me),9.9(10-
Me).高解像度FAB-MS:C31H54NO12(M+H)+についての計算値632.3646,実際値632.
3648.
【0226】 添加されたグルコースのアノマー水素(1”-H)のカップリング定数(d,J=8
.0Hz)及びデソサミンのC-2’のダウンフィールドシフトの規模(11.8ppm)は
全て、割当てられたC-2’β−形態(Seo et al., 1978)と一貫性あるものであ
る。
【0227】 ストレプトコッカス・ピロゲネス(Streptococcus pyogenes)に対する式(13
)及び(14)の化合物の抗生物質活性は、Mueller-Hirton 寒天平板(Mangahas,
1996)上で成長したストレプトコッカス・ピロゲネス(S. pyogenes)の表面上
に設置した滅菌済みろ紙ディスクに対し各標本を20μLずつ(MeOH中1.6mM)別々
に適用することによって検査した。37℃で一晩成長させた後、対照(式(1)
及び(2)の化合物)の平板は、明らかに目に見える阻害ゾーンを示した。これ
とは対照的に、式(13)及び(14)の化合物のディスクのまわりにはかかる明確
な現象は全く識別できなかった。明らかに、メチマイシン/ネオメチマイシン内
のデソサミンのC-2’におけるβ−グリコシル化がこれらの抗生物質を不活性に
した。
【0228】 グリコシル化によるマクロライド抗生物質の不活性化が関与する類似の現象に
留意すべきである(Celmer et al., 1985;Kuo et al., 1989;Sasaki et al.,1
996)。例えば、マクロライドグリコシルトランスフェラーゼ(MgtA)を含有す
るストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)に対してエリス
ロマイシンが与えられた時点で、この細菌は薬物をグリコシル化することによっ
て自らを防御することができるということも発見された(Cundliffe, 1992;Jen
kins et al., 1991)。
【0229】 かかるマクロライドグリコシルトランスフェラーゼ活性は、さまざまなポリケ
チド抗生物質を産生する合計32の放線菌類菌株のうちの15の菌株の中で検出さ
れたものである(Sasaki et al.,1996)。興味深いことに、グルコシル化により
オレアンドマイシンを非活性化する能力をもつマイクロライドグリコシルトラン
スフェラーゼ(OleD)(Hernadez et al.,1993)及びストレプトマイセス・アンチ
ビオチクス(Streptomyces antibioticus )内で非活性化オレアンドマイシンか
ら付加したグルコースを除去する能力をもつ細胞外β−グルコシダーゼ(Vilche
s et al., 1992)の共存は、ストレプトマイセスアンチビオチクス(S. antibio
ticus )内の考えられる自己耐性メカニズムとしてグリコシル化という投機を導
くことになった。
【0230】 上述のグリコシルトランスフェラーゼの遺伝子は、ストレプトマイセス・リビ
ダンス(S. lividans )の mgtA及びストレプトマイセス・アンチビオチクス(
S. antibiotics)の oleDといったようにわずかなケースにおいてクローニング
されてきたが、マイクロライドβ−グリコシダーゼ遺伝子の所在はあいまいなま
まである。興味深いことに、エリスロマイシン生合成クラスタの一部分である最
近放出された eryBI配列は、desRに対し高い相同性をもつ(55%の同一性)
(Gaisser et al., 1997)。
【0231】 デソサミン遺伝子クラスタ内にマイクロライドβ−グリコシターゼである des
Rを発見したことは、かくして有意なことであり、deyR分断の後の式(13)及
び(14)の非活性化された化合物の蓄積は、グリコシル化/脱グリコシル化を介
した類似の自己防衛メカニズムがストレプトマイセス・ベネズエラ(S. venezue
lae )内でも同様に作動的でありうるということを示す直接的な分子上の証拠を
提供している。しかしながら有意な量のメチマイシン及びネオメチマイシンが、
突然変異体菌株の発酵用肉汁の中にも存在することから、デソサミンのグルコシ
ル化は、ストレプトマイセス・ベネズエラ(S. venezuelae )における一次的自
己耐性メカニズムではないかもしれない。
【0232】 実際、このクラスタ内のPKS遺伝子から上流側に発見されたrRNAメチルトラ
ンスフェラーゼ遺伝子は、一次的自己耐性保護を付与することができる。かくし
てこれらの結果は、抗生物質産生生体が一般に複数の防衛オプションを有する(
Cundliffe, 1989)という事実と一貫性をもつ。この観察と照らし合わせると、
メチマイシン/ネオメチマイシンを部分的に不活性ジグリコシドとして産生させ
ることができ、desRによりコードされたマイクロライドβグルコシダーゼが、
メチマイシン/ネオメチマイシンの休眠状態から活性形態までの質転換を担当し
ていると考えることができる。
【0233】 この考えを裏づけるものとして、翻訳された desR遺伝子は、分泌タンパク質
のリーダー配列特性を有している(von Heijne, 1986;von Heijne, 1989)。か
くして、Des Rは、細胞膜を通して輸送され、修飾された抗生物質を細胞外で加
水分解してこれらを活性化させることができる(図25)。
【0234】 要約 マイクロライド抗生物質の不可欠な成分として頻繁に発見されるアミノデオキ
シ糖の酵素学及び複雑な組立てにヒントを得て、メチマイシン及びネオメチマイ
シン産生菌株ストレプトマイセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae )由
来の全デオサミン生合成遺伝子クラスタをクローニングし,配列決定し、マッピ
ングした。マッピングされた9つの遺伝子のうち8つを、エリスロマイシンクラ
スタから誘導されたものに対する配列類似性に基づいてTDP-D-デソサミンの生合
成に割当てた。des Rと呼ばれる残りの遺伝子は、β−グルコシダーゼに対する
強い配列相同性を示した。
【0235】 コードされたタンパク質(Des R)の機能を調査するため、des R遺伝子のNcoI
/XhoIフラグメントが欠失させられチオストレプトン耐性(tsr)遺伝子により置
換された分断突然変異体が構築された。メチマイシン及びネオメチマイシンに加
えて、突然変異体菌株の発酵から2つの新しい産物が分離された。生物学的に不
活性であるこれら2つの新しい化合物は、C-2’β-グリコシル化メチマイシン及
びネオメチマイシンであることがわかった。
【0236】 翻訳された desR遺伝子は、分泌タンパク質のリーダー配列特性を有すること
から、Des Rタンパク質は、修飾された抗生物質から追加グルコースを除去して
それを活性化する能力をもつ細胞外β−グルコシダーゼであり得る。かくして、
des Rの分断時点でのデソサミン遺伝子クラスタ内の derRの発生及び非活性化
されたグリコシル化メチマイシン/ネオメチマイシンの蓄積は、グリコシル化を
介した自己耐性メカニズムがストレプトマイセス・ベネズエラ(S. venezuelae
)内で作動的であることを示唆する強力な分子上の証拠を提供する。
【0237】 かくして、des R遺伝子は、その他の抗生物質生合成経路内の相同体を同定す
るためのプロープとして使用可能である。その他の抗生物質生合成経路内の反応
するマイクロライドグリコシダーゼ遺伝子の欠失は、低減した細胞毒性をもつプ
ロドラッグとして使用可能であるグリコシル化された産物の蓄積を導く可能性が
ある。グリコシル化は同様に、遺伝子工学処理された微生物によって産生される
新しいマイクロライド抗生物質に付随する潜在的な毒性を調節及び/又は最小限
にするための手段としても見込みあるものである。
【0238】 さらに、工学処理されたグリコシルトランスフェラーゼによって故意に非活性
化されていた新たに形成された抗生物質の活性化のために使用できるマイクロラ
イドグリコシダーゼが入手可能であるということは、組合せ生化学アプローチを
用いた新規抗生物質の開発において有用でありうる。(Hopwood et al., 1990;
Katz et al.,1993;Hutchinson et al.,1995;Carreras et al.,1997;Kramer e
t al., 1996;Khosla et al.,1996;Jacobsen et al.,1997;Marsden et al., 1
998)。
【0239】実施例7デソサミン生合成遺伝子クラスターのdesVI遺伝子の欠失 多くの一般使用される抗生物質に対し耐性な病原菌の出現は、ヒトの健康を強
く脅かしており、現在新規抗菌剤に関する探索を復活させた原動力となっている
(Boxら、1997;Davies、1996;Service、1995)。遺伝子工学技術を利用した”
ハイブリッド”ポリケチドの創造に関する最少の報告以来(Hopwoodら、1995)
、二次性代謝物の生合成を支配する遺伝子を操作し、新規の生物活性型化合物、
特にマクロライド抗生物質を作り出す可能性に大きな注目を集めている(Kramer
ら、1996;Khoslaら、1996)。
【0240】 この臨床的に重要な薬剤の種類は2種類の必須構造成分より成る:ポリケチド
アグリコン及びそれに附属するデオキシ糖である(Omura、1984)。アグリコン
は高度に配置された多酵素複合体であるポリケチド合成酵素(PKS)により触
媒されるアシルチオエステルの連続縮合により合成される(Hopwoodら、1990;K
atz、1993;Hutchinsonら、1995;Carrerasら、1997)。ポリペプチド生合成の
理解に関する最近の進歩より、新規骨格の印象的な配列を構築するPKS遺伝子
の組換え体が可能になった(Kramerら、1996;Khoslaら、1996;Hopwoodら、199
0;Katz、1993;Hutchinsonら、1995;Carrerasら、1997;Eppら、1989;Donadi
oら、1993;Arisawaら、1994;Jacobsenら、1997;Marsdenら、1998)。
【0241】 しかし、糖成分が無い場合、これら化合物は通常無力である。従って、組合せ
生合成法による新規マクロライド抗体を作る場合、2つの直近の問題:新規構造
体のレパートリーを組み立て、続いてこれら糖を構造的に多様なマクロライドア
グリコンに結合させることである。
【0242】 残念なことに、これら抗生物質中に一般的でない糖を形成させることに関する
知識は限定的である(Liuら、1994;Kirschningら、1997;Johnsonら、1998)。
その原因の一部は、糖の遺伝子が一般的にPKS遺伝子の両端に散在していると
いう事実による。この様なマクロライド生合成遺伝子クラスター無いの構造が糖
遺伝子と、同様に同一領域内に散在する制御蛋白質又はアグリコン修飾酵素をコ
ードする遺伝子との区別を難しくしている。マクロライドが複数の糖成分を含む
場合には、作業はさらに膨大になる。
【0243】 糖生合成遺伝子が”散乱する”という特性の観点に於いて、ストレプトマイセ
ス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)の抗生物質のメチミシン(図24の
式(1)の化合物)及びその共代謝物であるネオメチミシン(図24の式(2)の化合物
)は、デオキシ糖の形成の研究にとって魅力的なシステムである(Doninら、195
3;Djerassiら、1956)。第一にそれらはエリスロマイシン中にも存在するプロ
トタイプ的アミノデオキシ糖であるD−デソサミン(式(3)の化合物)を有して
いる。第二に、デソサミンは式(1)及び(2)のマクロラクトンに結合する唯一の糖
であり、より高い確実性をもってメチミシン/ネオメチミシン遺伝子クラスター
内の糖生合成遺伝子の特定が特定できると考えられる。
【0244】 約60kb長を持つメチミシン/ネオメチミシン遺伝子クラスターの下流にある10
kbのDNA域は、全デソサミン生合成遺伝子クラスターを持つことが判明している
(図26)。この断片にマッピングされた9個のオープンリーディングフレーム(
OFRs)の内8個はデソサミン形成に関係していると考えられ、残りの1個、desR
は自己耐性機能に関係すると思われるマクロライドβ-グリコシダーゼをコード
する。図16に示す様にそれらの特徴は、多の糖生合成遺伝子に類似した配列に基
づく(Gaisserら、1997;Summersら、1997)。提案されている経路は先行文献中
及びアミノデオキシ糖の構築に関する機械的直観中によく見られる(Liuら、199
4;Kirschningら、1997;Johnsonら、1998)。
【0245】 デソサミン生合成遺伝子を変化させることで修飾糖を持つ新規メチミシン/ネ
オメチミシン類似体が生成できるかを決定するために、N−メチルトランスフェ
ラーゼをコードすると推測されているdesVI遺伝子が標的として選ばれた(Gaiss
erら、1997;Summersら、1997)。推論されているdesVI産物は、エリスロマイシ
ン産生株サッカロポリスポラ・エリスレア(Saccharopolyspora erythraea)(70
%同一性)由来のeryCVIと最も密接に関連しており、またストレプトマイセス・
プルプラセンス(Streptomyces purpurascens)のロドミシンクラスター由来のrd
mDの推測産物、ストレプトマイセス・マンボファシエンス(Streptomyces ambof
aciens)のスピロミシンクラスター由来のsrmX(Geistlichら、1992)、そして
ストレプトマイセス・フラディー(Streptomyces fradiae)のチロシンクラスタ
ー由来のtylM1(Gandechaら、1997)にも良く似ている。
【0246】 これら酵素は全てそのN−末端近くに、S−アデノシルメチオニン結合部位の
一部である(Ingrossoら、1989;Haydockら、1991)コンセンサス配列LLDV
(I)ACGTG(配列番号25)(Gaisserら、1997;Summersら、1997)を含
んでいる。
【0247】 desVIの下流近くに存在するORF(desR)はデソサミン内に直接含まれていない
こと、更に下流に存在するものは反対方向に転写されるから、desIVの欠失は他
のデソサミン生合成遺伝子の発現に対し極性効果は殆どない(Linら、1984)。
第二にN,N-ジメチル化はデスソサミン生合成経路中、ほぼ確実に最後の段階であ
ることから(Liuら、1994;Kirshningら、1997;Johnsonら、1998;Gaisserら、
1997;Summersら、1997)、この段階の攪乱は、グリコシルトランスフェラーゼ
(DesIV)により認識される全ての他の中間体の中で最も式(6)のマクロラクトン
に結びつく可能性のある式(4)の化合物の蓄積を導くだろう(図25)。
【0248】 単一の生合成遺伝子の欠失、及び/又は破壊はある特定の工程以外の経路にも
影響することが多い。事実、エリスロマイシンクラスター内のdesVIに等価物で
あり、エリスロマイシン内にデソサミンを形成させる類似のN−メチラーゼをコ
ードすると推定されているeryCVIの破壊は、全デソサミン成分を欠いた中間体の
蓄積を招いた(Summersら、1997)。
【0249】 その中でdesVIがチオストレプトン遺伝子(tsr)(Bibbら、1985)により置換さ
れているプラスミドpBL3001を構築し、E.coli S17-1(Biermanら、1992)を利用
した接合トランスファーを用い野生型のS.venezuelaeに導入した。チオストレプ
トン耐性(THioR)及びアパミシン感受性(ApmS)を持つ2株の同一二重交叉変異
体、KdesVI-21とKdesVI-22を得た。tsr又はdesVII域に由来する1.1kbのHincII断
片を使ったサザンブロットハイブリダイゼーションにより、これら変異体の染色
体上では更にdesVI遺伝子がtsrに置換されていることを確認した。
【0250】 KdesVI-21は最初接種用培地(100mL)中、29℃にて増殖され、続いて植物性培
地(3L)に接種され、更に48時間増殖された(Caneら、1993)。発酵ブロスを遠
心分離し、細胞残査と菌糸を除き、上清は濃縮KOHでpH9.5に調製され、続いてク
ロロフォルムにて抽出された。メチミシン又はネオメチミシンは認められなかっ
た;それに代わって10-デオキシ−メチノリド(6)(350mg)(Lambalotら、199
2)及びN−アセチル化アミノ糖を含む2種類の新規マクロライド、式(7)の化合
物(20mg)及び式(8)の化合物(15mg)を分離した。それらの構造はスペクトル
分析と高分解能MSにより決定された。
【0251】 式7のスペクトルデータは:1H NMR(CDCl3)δ6.62(1H, d,J=16.0, H-9), 6.
22(1H, d,J=16.0, H-8), 5.75(1H,d, J=7.5,N-H), 4.75(1H,dd, J=10.8, 2.2,
H-11), 4.28(1H, D, J=7.5, H-1'), 3.95(1H, m, H-3'), 3.64(1H, d, J=10.5,
H-3), 3.56(1H, m, H-5'),3.16(1H, dd, J=10.0, 7.5, H-2'), 2.84(1H, dq, J=
10.5, 7.0, H-2),2.55(1H, m, H-6), 2.02(3H, s, NAc), 1.95(1H, m, H-12), 1
.90(1H, m, H-4'), 1.66(1H, m, H-5), 1.50(1H, m, H-12), 1.41(3H, d, J=7.0
, 2-Mw), 1.40(1H, m, H-5), 1.34(3H, s, 10-Me), 1.25(1H, m, H-4), 1.22(1H
, m, H-4'), 1.21(3H, d, J=6.0, H-6'), 1.17(3H, d, J=7.0, 6-Me), 1.01(3H,
d, J=6.5, 4-Me), 0.89(3H, t, J=7.2, 12-Me); 13C NMR(CDCl3)δ204.3(C-7
), 175.1(C-1), 171.8(Me-C=O), 149.1(C-9), 125.3(C-8), 104,4(C-1'), 85.4
(C-3), 76.3(C-11), 75.4(C-2'), 74.1(C-10), 68.6(C-5'), 51.9(C-3'), 45.0(
C-6), 44.0(C-2), 38.5(C-4'), 33.8(C-5), 33.3(C-4), 23.1(Me-C=O), 21.1(C-
12), 20.6(C-6'), 19.2(10-Me), 17.5(6-Me), 17.2(4-Me), 16.2(2-Me), 10.6(1
2-Me)。高解像度FABMS:C25H43O8N(M+H)+に関する計算値484.2910、実測値484,2
903。
【0252】 式8のスペクトラムデータは次の通りである:1H NMR(CDCl3)δ6.76(1H, dd,
J=16.0, 5.5, H-9), 6.44(1H, dd, J=16.0, 1.5, H-8), 5.50(1H, d, J=6.5m N-
H), 4.80(1H, dd, J=9.0, 2.0, H-1), 4.28(1H, d, J=7.5, H-1'), 3.95(1H, m,
H-3'), 3.88(1H, m, H-12), 3.62(1H, d, J=11.0, H-3), 3.57(1H, m, H-5'),3
.18(1H, dd, J=10.0, 7.5, H-2'), 3.06(1H, m, H-10), 2.86(1H, dq, J=11.0,
7.0, H-2), 2.54(1H, m, H-6), 2.04(3H, s, NAc), 1.98(1H, m, H-4'), 1.67(
1H, m, H-5), 1.40(1H, m, H-5), 1.39(3H, d, J=7.0, 2-Me), .25(1H, m. H-4)
, 1.22(1H, m, H-4'), 1.22(3H, d, J=6.0, H-6'), 1.21(3H, d, J=6.0, 6-Me),
1.19(3H, d, J=7.0, 12-Me), 1.16(3H, d, J=6.5, 10-Me), 1.01(3H, d, J=6.5
, 4-Me); 13C NMR(CDCl3)δ205.1, 174.6(C-1), 171.9(Me-C=O), 147.2(C-9), 1
26.2(C-8), 104,4(C-1'), 85.3(C-3), 75.7'C-11), 75.4(C-2'), 68.7(C-5'), 6
6.4(C-12), 52.0(C-3'), 45.1(C-6), 43.8(C-2), 38.6(C-4'),35.4(C-10), 34.1
(C-5), 33.4(C-4), 23.1(Me-C=O), 21.0(12-Me), 20.7(C-6'), 17.7(-Me), 17.4
(4-Me), 16.1(2-Me), 9.8(10-Me)。高分解FABMS:C25H43O8N(M+H)+に関する計算
値484.2910、実測値484,2903。
【0253】 修飾されたデソサミンを持つ式(7)及び(8)の化合物はdesVI-欠失変異体により
作られるという事実は驚くべき発見である。しかし、この結果は産物中の糖成分
がアミノデオキシヘキソースと考えられる点においても、少々意外である(4)。
図27に例示される様に、式(7)及び(8)の化合物はそれぞれ式(9)及び(10)の推定
化合物より、結合したアミノデオキシ糖の合成後の非特異的アセチル化により生
成される。(4)のN-アセチル化が起こり、続いて得られた糖は10-デオキシメチロ
リド(6)に結合されると考えられる。
【0254】 しかしこれら新規産物中の糖成分にN-メチル化が無いことから、N-メチルトラ
ンスフェラーゼ遺伝子の様なDesVIのが割り当てられていることを確信させる証
拠が得られる。最も驚くべきことは、desVI-欠失変異体による式(7)及び(8)の化
合物の産生が、メチルマイシン/ネオメチルマイシン経路におけるグリコシルト
ランスフェラーゼ(DesVII)がTDP-デソサミン(5)意外の糖物質を認識し、加工
できるという事実を証明する。
【0255】 今回、式(7)及び(8)の両化合物はストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezu
elae)変異株によりin vivoにて合成されることから、観察されたN-アセチル化
は自己保護にとって必要な段階であろう(Cundliffe、1989)。これら結果の見
解では、遺伝子工学的に作成された微生物に作成される新規マクロライド抗生物
質に関係した潜在毒性は最小化でき、製造中に不活性化(故意、または故意では
ないに関わらず)された新規形成抗生物質は活性化することができる。
【0256】 この様な方法は、組合せ生合成法を利用した新規抗生物質の開発の戦略全体の
一部をなすことができる。更に、式(7)及び(8)の精製化合物はミューラーヒント
ン寒天プレート上で増殖されたストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcu
s pyogenes)に対し不活性である(Mangahas、1996)が、コントロール(式(1)
及び(2)の化合物)は明瞭に目で確認できる阻害域を示す。
【0257】 抗生物質の生合成に関係する幾つかのグリコシルトランスフェラーゼは、修飾
型マクロラクトンに対し広い特異性を有することが示されている(Jacobsenら、
1997;Marsdenら、1998;Weberら、1991)ことを指摘しなければならない。しか
し、同様の糖物質に対する広い特異性は、修飾型ダウノサミンを認識し、そのア
グリコン、ε−ロードミシノンへの結合を触媒ダウノルビシングリコシルトラン
スフェラーゼについて報告されているだけである(Madduriら、1998)。従って
、メチマイシン/ネオメチマイシングリコシルトランスフェラーゼはその糖気質
の構造的変種体にも耐性であり、抗生物質の生合成経路中の少なくとも幾つかの
グリコシルトランスフェラーゼは、遺伝子工学を利用した生物学的に活性な天然
産物の作成に有用であるらしいことが示されている。
【0258】 要約 マクロライド抗生物質に付された糖は、これら臨床的に重要な薬物の生物学的
活性にとって不可欠である。従って、生物学的組合せ法による新規抗生物質の開
発にはこれら一般的でない糖の生合成に関する詳細な知識、ならびに生合成遺伝
子を操作し最終マクロライド構造体の中に取り込むことが可能な新規の糖の生成
する能力が必要である。配列比較よりN-メチルトランスフェラーゼをコードする
と考えられるストレプトマイセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)のd
esVI遺伝子に狙いを定めた欠失体を調整し、修飾糖を持つ新規メチマイシン/ネ
オメチマイシン類似体がデソサミン生合成遺伝子を変更することで生成できるか
決定した。
【0259】 ストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)欠失変異株の増殖はN-アセ
チル化されたアミノデオキシ糖を有するメチマイシン/ネオメチマイシン類似体
の蓄積をもたらした。これら誘導体の分離と特徴付けは、N-メチルトランスフェ
ラーゼ遺伝子としてdesVIの独自性を確認する最初の直接証拠を提供するだけで
なく、遺伝子欠失法による新規糖の調製の実効性をも示した。最も重要な事とし
て、結果はメチマイシン/ネオメチマイシンのグリコシルトランスフェラーゼが
糖基質に対して広い特異性を有していることも示した。
【0260】 実施例8Met/Pik生合成遺伝子クラスターのクローニングと配列決定 材料と方法 細菌株と培地 大腸菌DH5αをクローニング宿主として用いた。大腸菌LE392は
ストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)ゲノムDNA由来のコスミッド
ライブラリーの宿主に用いた。大腸菌の継代にはLB培地を利用した。ストレプト
マイセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)ATCC15439はATCCより凍結沈
査として得た。
【0261】 栄養培養及び抗生物質産生用培地は既報の如くに利用した(Lambalotら、1992
)。簡単に述べればSGGP液体培地はS.venezuelaの菌糸の伸長に利用した。スト
レプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)の胞子産生には胞子形成用寒天(
SPA)を利用した。メチマイシン産生は、SCMまたは栄養培地のいずれかを利用し
て実施し、そしてピクロマイシン産生はスズキグルコース-ペプトン培地中に実
施された。
【0262】 ベクター、DNA操作及びコスミッドライブラリーの構築 pUC19は一般的な区ロ
ーノングベクターであり、pNJ1はゲノミックDNAライブラリー構築に利用される
コスミッドベクターである。遺伝子破壊用のプラスミッドベクターはpGM160(Mu
thら、1989)又はpKC1139(Biermanら、1992)である。プラスミド、コスミッド
、及びゲノムDNAの調整、制限消化、断片分離及びクローニングは標準的な方法
を用いて行った(Sambrookら、1989;Hopwoodら、1985)。コスミッドライブラ
リーはパッケージジーンλ-パッケージングシステム(プロメガ社(Promega))
の指示書に従い作成した。
【0263】 DNA配列決定と分析 PCRをベースとした2本鎖DNA配列決定と組み合わせたエ
クソヌクレアーゼIII(ExoIII)ネステッド欠失シリーズを実施し、pikクラスタ
ーの配列を決めた。ExoIII法に続いてエレースアベース(Erase-a-Base)法(ス
トラタジーン社(Stratagene)及びDNA配列決定反応を色素プライマーサイクル
シークエンシングレディーリアクションキット(アプライドバイオシステムス(
Applied Biosystems)社を用いて実施した。ヌクレオチド配列はABI PRISM377シ
ークエンサーを用い、両方の鎖について実施した。DNA及び推定蛋白質配列の分
析はジーンワークスアンドGCGシークエンスアナリシス(GeneWorks and GCG seq
uence analysis)パッケージを利用して行った。分析は全て用いたプログラムの
デフォルトパラメーターを利用し行った。
【0264】 遺伝子破壊 ストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)内で遺伝子破
壊を実施するために、複製プラスミド−伝達相同的組み換え法を開発した。カナ
マイシン耐性マーカーを標的遺伝子無いにクローニングし挿入不活性化用のプラ
スミドを構築し、プラスミド内にて標的遺伝子をカナマイシン、又はチオストレ
プトン耐性遺伝子と置換することで遺伝子欠失/置換用プラスミドを構築した。
破壊プラスミドはPEG伝達プロトプラスと形質導入法(Hopwoodら、1985)又はRK
2-伝達接合法(Biermanら、1992)のいずれかによりストレプトマイセス・ベネ
ズエラ(S.venezuelae)内に導入された。
【0265】 続いて、個々の形質転換体又は接合完了体を非選択的プレート上で培養し、組
み換えを誘導した。このサイクルを3回繰り返し、組み換えの確立を上げた。標
的遺伝子破壊変異体を生じた二重交叉体を選択し、抗生物質の適当な組み合わせ
を利用してスクリーニングし、最後にサザンハイブリダイゼーションにより確認
した。
【0266】 抗生物質の抽出及び分析 メチマイシン、ピコマイシン、及び関連化合物は以
下の公開方法(Caneら、1993)に従い抽出された。薄層クロマトグラフィー(TL
C)を通常に使用し、メチマイシン、ネオメチマイシン、ナルボマイシン、及び
ピコマイシンを検出した。それ以上の精製は、フラッシュカラムクロマトグラフ
ィーとHPLCを利用し行い、精製化合物は1H、13C NMRスペクトロスコピーとMSス
ペクトロスコピーにより分析された。
【0267】 結果 pikクラスターのクローニングと同定 異種ハイブリダイゼーションを用い、
ストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)中のメチマイシン、ネオメチ
マイシン、ナルボマイシン及びピクロマイシン生合成に関する遺伝子を同定した
。I型PKS DNAプローブを用いた最初のサザンブロットハイブリダイゼーション
分析より、ゲノム中に機能不明の2種類の多機能性PKSクラスターが示された。
これら4種類の抗生物質は全て同一のデソサミン残基を持つことから、tylA/α-
D-グルコース-1-リン酸チミジルイルトランスフェラーゼDNAプローブ(チロシン
経路中のマイカミノース/マイコロース/マイシノーズ生合成に関する)(Mers
on-Daviesら、1994)を利用して、対応する生合成遺伝子クラスター位置を突き
止めた。
【0268】 この分析により、1種類のPKS経路のみがデソサミン生合成遺伝子のクラスタ
ーを含むことが確立された。メチマイシン、ネオメチマイシン、ナルボマイシン
及びピクロマイシン生合成に関する全遺伝子クラスター(pik)を包含する細菌
染色体上に広がる80キロベース(kb)に相当する、重複し合うコスミッドクロー
ンが9株分離された(図28)。続く遺伝子破壊により、他のPKSクラスター(vep
、連鎖するデソサミン生合成遺伝子を欠く)が、メチマイシン、ネオメチマイシ
ン、ナルボマイシン、またはピクロマイシンの産生に役割を果たしていることが
判明した。
【0269】 pikクラスターのヌクレオチド配列 pikクラスターのヌクレオチド配列は完全
に決定され、およそ60kbに相当する18個のオープンリーディングフレーム(ORFs
)を含むことが示された。クラスター中央は多機能性PKSをコードする4個の大
きなORFs、pikAI、pikAII、pikAIII、及びpikIVである(図28)。pikPKSを含む
6個のモジュールの分析からは、それがバルボマイシン及びピクロマイシンの14
-員環アグリコン前駆体であるノルボノリドの産性を規定することが示された(
図28)。
【0270】 初期の解析からは、pikA-にコードされたPKSには2種類の大きな構造上の差が
あることが明らかにされた。第一は、eryA(Donadioら、1998)及びoleA(Swan
ら、1994)に比較した場合、eryAIII及びoleIIIでは2モジュラー蛋白質として
存在するのに対し、ピクロマイシンに似た14員環マクロライドであるエリスロマ
イシン及びオレアドマイシンを産生する2種類のPKSクラスターでは、Pikモジュ
ール5及びPikモジュール6(個別モジュールとして)をコードする別々のORFs
、PikAIIIとPikAIVが存在している点が大きく異なる。第二は、I型PKSクラスタ
ーの直下流にII型チオエステラーゼが存在することも前例がない(図28)。これ
ら2つの特徴は、pikAが同様にして12-員環マクロラクトン10-デオキシメチノリ
ドを産性する可能性を示唆している。
【0271】 確かに、PiKAI-AIII(モジュールL-5)のドメイン構成は、Pikモジュール5(
PiKAIII)のC-末端にTE機能が無いことを除けば、推測される10-デオキシメチノ
リドの生合成に一致する。PiKAIII内にTEドメインを欠くことは、pikAIVの直下
流にあるII型TE(pikAVによりコードされる)により補償されるだろう。2種類
のポリケチド環システムはpikPKSより組み立てられるという仮説と一致し、2種
類のマクロライト-リノコサミド-ストレプトグラミンB型耐性遺伝子、pikR1及び
pikR2がpikPKSの上流に見つかっており(図29)、これがおそらくストレプトマ
イセス・ベネズエラ(S.venezuelae)の細胞性自己防衛を提供すると考えられる
【0272】 デソサミン生合成及びグリコシル転移に関する遺伝子座は、pikAの直下流にあ
る。7種類の遺伝子、desI、desII、desIII、desIV、desV、desVI及びdesVIIIが
デオキシ糖の生合成を担っており、8番目の遺伝子であるdesVIIが別種(12-及
び14-員環)ポリケチドアグリコンへのデソサミン転移を触媒することが明らか
なグリコシルトランスフェラーゼをコードしている。デソサミン遺伝子は1セッ
トのみしか存在しないことは、DesVIIIが10-デオキシメチノリドとナルボノリド
を基質として受け入れることができることを示している(Jacobsenら、1997)。
des座中の最大のORFであるdesRは、細菌の自己防御に関する薬剤不活性化−再活
性化サイクルに関与するβ-グリコシダーゼをコードしている。
【0273】 des遺伝子座の直下流はeryF(Andersenら、1992)及びeryK(Stassiら、1993
)に類似のチトクロームP450ヒドロキシラーゼをコードする遺伝子(pikC)であ
るPikC、及び推定制御蛋白質をコードする遺伝子(pikD)であるPikDである(図
28)。興味深いことに、PikCは全pikクラスター中に同定されるp450ヒドロキシ
ラーゼのみであることから、この酵素が12-及び14-員環マクロライト基質を受け
入れることが可能であり、さらに驚くべきことにはそれがYC-17(12員環中間体
)のC-10及びC-12の両方に作用し、メチマイシンとネオメチマイシンを産生する
ことが示唆されている(図30)。PikDはラパマイシン遺伝子クラスター内のORFH
に類似の推定制御蛋白質である(Schweckeら、1995)。
【0274】 pikクラスター中の18種類の遺伝子によりコードされた組み合わせ機能は、メ
チマイシン、ネオメチマイシン、ナルボマイシン及びピクロマイシンの生合成を
予測する(表2)。pikクラスター座列は一次代謝に関与すると思われる遺伝子
、及び一次ならびに二次代謝の両方に関係するであろう遺伝子である。S-アデノ
シル-メチオニン合成酵素遺伝子は、デソサミン合成中のメチル基の提供を助け
るであろうpikDの下流に位置する。スレオニンデヒドラターゼ遺伝子はポリケチ
ド生合成に前駆体を提供するであろうpikR1の上流に同定されている。これら遺
伝子のいずれが抗生物質生合成に貢献しているのか、そしてそれらが直接pikク
ラスターと連結しているかは明らかでない。
【0275】
【表2】
【0276】 AT(A)、アセテートエキステンダーユニットを含むアシルトランスフェラーゼ;A
T(P),プロピオネートエキステンダーユニットを含むアシルトランスフェラーゼ
。KR0,不活性KR。機能不特定の酵素には疑問符を付けた。
【0277】
【表3】
【0278】 pikクラスターの変異分析。pikクラスター中の遺伝子を更に破壊し、抗生物質
産生の鍵となる酵素の役割を探った(表3)。まず1-デオキシメチノリド及びナ
ルボノリドの生合成に関係する第一候補酵素であるPikAIが、挿入突然変異誘導
により不活性化された。得られた変異体AX903はメチマイシン又はネオメチマイ
シンも、ナルボマイシンあるいはピクロマイシンも産生せず、pikAが12-及び14-
員環マクロラクトン形成の両方に必要であるPKSをコードしていることが示され
た。
【0279】 次にdesVIとdesVの両方を欠失させると、メチマイシン、ネオメチマイシン、
ナルボマイシン及びピクロマイシンの産生が消失し、得られた変異体LZ3001とLZ
4001は、培養ブロス中に10-デオキシメチノリド及びナルボノリドを蓄積し、デ
ソサミン生合成と輸送に関する酵素は、12-及び14-員環マクロライドによっても
共有されていることが示された。
【0280】 PikAIIIに於けるポリケチド鎖終止のメカニズムを理解するために(PIKAIII(
モジュール5)は10-デオキシメチノリドの構築に於ける終止点と推測されてい
る)、pikTEII遺伝子であるpikAVを欠失させた。欠失/置換変異体AX905は野生
型S.venezuelaeに比べると、メチマイシン、ネオメチマイシンの生産は5%未満
、そしてピクロマイシンの生産も5%未満である。この産物形成の減少は、予想
されるアグリコン中間体の顕著な蓄積なしに起こることから、pikTEIIがPikAIII
及びPikAIVそれぞれの12-及び14-員環マクロライドの終止に関係していることが
示唆されている。
【0281】 極性効果はAX905に観察される表現形に影響するだろうが、その可能性はpikAV
の下流にある酵素の変異体で10-デオキシメチノリドとナルボノリドが蓄積する
変異体LZ3001を考察し、除外されている。変異体AX905ではこれら中間体を蓄積
しないという事実は、PikTEIIIがない状態ではポリケチド鎖がこのPKS蛋白質よ
り効果的に放出されないことを示唆している。従って、PikTEIIはポリケチド鎖
の放出及び環状化に於いて重要な役割を果たし、おそらくそれはpikポリケチド
生合成の別の終止に関するメカニズムを提供しているのだろう。
【0282】 最後に、pikCの破壊より、PikCがYC-17(C-10及びC-12に於ける)及びナルボ
マイシン(C-12に於ける)のヒドロキシル化を触媒する唯一の酵素であることが
確認された。PikCのもつ広い基質特異性、及びC-10及びC-12におけるその部域特
異性は、pikにコードされた生合成システムに別の代謝物の多様性層を提供する
【0283】 考察 ここでは、本研究はメチマイシン、ネオメチマイシン、ナルボマイシン及びピ
クロマイシンの生合成がストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)のpi
kクラスターによりコードされていることを確立した。3種類の主要酵素とクラ
スターの特徴的な構造が、比較的コンパクトなシステムによる複数のマクロライ
ド抗生物質の産生を可能にしている。
【0284】 第一は、pikモジュール5及び6が別々の蛋白質、PikAIII及びPikAIVとして存
在し、そしてpikTEIIの活性により細菌がポリケチド鎖を2種類の異なる集合点
で終止でき、それにより細菌は2種類の異なるサイズを持ったマクロラクトンを
生産できる。第二は、DesVII、pikクラスター中のグリコシルトランスフェラー
ゼが12-及び14-員環マクロラクトンを基質として受け入れることができることで
ある。最後は、PikC、P450ヒドロキシラーゼがシステムの別の多様性層を導入す
る特徴的な基質及び部域化学特性を有していることである。
【0285】 pikAがeryAとoleAに類似いのラインで進化した考えられることは、これらPKS
がそれぞれ14-員環マクロラクトンの合成を規定していることから、興味深い。
従ってpikは、始原pikAIII-pikAIV連結域内に起きた突然変異がPikモジュール5
と6を2つの別々の遺伝子産物に分離した時、メチマイシン産生能力を獲得した
のだろう。この概念は、ヌクレオチド配列の2つの特徴に基づく。第一は、pikA
III及びpikAIV間にある105bpの遺伝子間領域が、35アミノ酸のモジュラー間結
合ペプチドの残査と考えられることである。
【0286】 さらに、pikAIVの5'末端に比較的ATに富む(コーディング域のG+C含有量が74
%であるのに対し62%)100ヌクレオチドの領域が存在することより、この遺伝
子の発現が独立に制御されている可能性が考えられる。換言すれば、2モジュラ
ー多機能蛋白質(PikAIII-PikAIV)をコードする元々のORF内に変異が起こり、
新規遺伝子産物(PikAIV)の合成を制御するための非常に多くのメカニズムが進
化したのだろう。
【0287】 ポリケチド鎖伸長中間体が別の点で終止することに於けるPikTEIIの役割は、
天然産物生合成に於ける多様性の発生に特異的観点を提供する。異なる鎖長を持
つ、よう作られたポリケチドは、典型的にはTEの触媒ドメインをモジュラーPKS
の別の位置に移動させることで生成される(Cortesら、1995)。TEドメインの配
置換えは、元々の完全長のポリケチドの産生を必然的に廃しさせ、それぞれにつ
いて1種類のマクロライドのみが産生される。
【0288】 位置が固定されたTEドメインに対し、独立PIKTEIIポリペプチドはポリケチド
組立の様々な段階での終止を触媒する柔軟性を有していると考えられることから
、システムに様々な長さの多種類の産物を生成させることができるだろう。そし
てTEドメイン単独では単一の終止段階の触媒に限定されているのに対し、組合せ
生物学的技術は複数の新規分子の同時産生に適したTEを利用した新規PKSシステ
ムの構築を通じて、分子多様性の生成に適した本システムの開発を可能にする。
【0289】 PikTEIIに類似の配列は殆ど全ての既知ポリケチド及び非リボソーム型ポリペ
プチド生合成システム中に見いだされる(Marahielら、1997)ことは注目に値す
る。現在、pikTEIIはモジュラーPKSにて特徴つけされた最初のものである。しか
し、リポペプチドサーファクチン生合成クラスター中のTEII遺伝子に関する最近
の研究(Schneiderら、1998)は、srf-TEIIがポリペプチド鎖放出に重要な役割
を果たすことを示し、そしてsrf-TEIIが同様にペプチド集合の複数の段階でも反
応することを示唆している(Marahielら、1997)。
【0290】 10-デオキシメチノリド及びナルボノリドのポリケチド集合後に関係する酵素
は、特に興味深く、特にグリコシルトランスフェラーゼであるDesVI及びP450ヒ
ドロキシラーゼであるPikCが興味深い。いずれも顕著な構造多様性を持つ基質を
受け入れる、特異的な能力を有している。更に、desVIの破壊はDesVIIもデオキ
シ糖構造中の多様性に耐性であることを示した(実施例6)。同様に、最近PikC
はin vitroにてY-17をメチマイシン/ネオメチマイシンに、ナルボマイシンをピ
クロマイシンに変換することが示された。
【0291】 ORF1の標的遺伝子破壊により、ピクロマイシン及びメチマイシンの産生が廃止
されたことから、両抗生物質の生合成には単一のクラスターが関与していること
が示された。TE2遺伝子の欠失はメチマイシンとピクロマイシンの産生を実質的
に低下させることから、位置固定TE1ドメインとは異なりTE2は組立工程中の様々
な点でポリケチド鎖を放出し、それにより様々な鎖長を持つポリケチドを産生す
る能力を持つことが示された。
【0292】 上記の結果は、1つのPKSクラスターがその環構造中の分子数が異なる2種類
のマクロライドを産生すること、PKSのモジュール5及びモジュール6がスペー
サー領域によりORF内で分離されていること、そしてPikAIIIがTEを欠いているこ
と、II型チオエステラーゼが存在すること、TEIドメインが分離されていること
、そして12-又は14-員環のいずれかに特異的であろう2種類の耐性遺伝子が同定
されたという驚くべき点で予想外であった。
【0293】 4種類の活性型マクロライド抗生物質の産生が可能な60kb未満の範囲にある18
個の遺伝子であるpikクラスターは、少なくとも現時点に於いて研究された中で
最も応用範囲の広離複合体である。この単純さは、多様な新規生物学的化合物質
の発見に関する大きな促進を伴う、新規の活性ケトシド産物が構築され、産生さ
れる魅力的な発現システムの基礎を提供する。
【0294】 要約 複雑なポリケチド合成は加工反応メカニズムを辿り、PKS内の各モジュールは
エリスロマイシン産生PKSに関し得に詳細期されている様にほぼ直線的に並ぶ3
ないし6種類の酵素ドメイン列を有している(Katz、1997;Khosal、1997;Stau
ntonら、1997)。ポリケチド後の仕上げに関する酵素(例えばグリコシルトラン
スフェラーゼ、ヒドロキシラーゼ)をコードする遺伝子を加えたPKSモジュール
及び触媒ドメインの組合せセットは、典型的には単一ポリケチド産物の産生に関
する生合成システムを限定する。
【0295】 組合せ生物学は、新規薬物の発見への利用に適した天然産物中の分子的多様性
を創造するための多段階の生合成経路の遺伝的操作を含む。PKSsは、その生来の
遺伝的構成、及びポリケチド代謝物を産生能力から、組合せ技術に最も魅力的な
システムの一つであり、様々な種類の天然産物が多様な構造上及び生物学的活性
を持つ細菌(一次的にはアクチモミセス属及び粘液細菌)及び真菌により作られ
た。複合ポリケチドは動物の長鎖型脂肪酸合成に似たメカニズムを含む多機能性
PKSsにより産生される(Hopwoodら、1990)。
【0296】 サッカロポリスポラ・エリスレア(Saccharopolyspora erythraea)に関する
エリスロマイシンPKS先駆的研究(Cortesら、1990;Donadioら、1991)は、モジ
ュラー構造を明らかにした。ラパマイシンの分子分析(Aparicioら、1996)、FK
506(Motamediら、1997)、ソラフェンA(Schuppら、1995)、ニッダマイシン
(Kakavasら、1997)及びリファマイシン(Augustら、1998)のRKSsと続いた多
ドメイン型蛋白質システムの特徴付けからは、多機能性細菌PKSのモジュラー構
造とそのポリケチド産物の構造との間には共直線的関連性が示された。
【0297】 一般的でない代謝物の構造多様性を作り出すことが可能な細菌システムの探索
の中で、ストレプトマイセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)ATCC 15
439は2種類のマクロライド系抗生物質に関し優れた能力を示した。メチマイシ
ン及びネオメチマイシンは12-員環マクロラクトン10-デオキシメチノリドに由来
するのに対し、ナルボマイシンとピクロマイシンは14-員環マクロラクトンであ
るナルボニリドに由来する。
【0298】 これら抗生物質に関する生合成遺伝子クラスターのクローニングと特性分析か
らは、様々な鎖長を持つポリケチドがピクロマイシン多機能性ポリケチド合成酵
素(PKS)により作られる代謝分岐路の形成に於いて、II型チオエステラーゼが
重要な役割を持つことが示された。PKS遺伝子(pikA)の直下流にはデソサミン
(des)生合成及びマクロライド環ヒドロキシレーションに関する遺伝子のセッ
トが存在している。グリコシルトランスフェラーゼ(desVIIIによりコードされ
る)は12-及び14-員環マクロラクトン両方のグリコシレーションを触媒する顕著
な能力を持っている。更に、pikC-がコードするP450ヒドロキシラーゼは、マク
ロライド環系に部分化学的多様性を導入することで更に別の構造多様性層を提供
する。
【0299】 実施例9PHAモノマー供与体としてのモジュラーPKSを利用する戦略 モジュラーPKSs、例えばpikA又はFASのモジュールを活用し、PHAモノマーを提
供するための戦略の1つは、アシル-CoAトランスフェラーゼ(mTEII)に変換さ
れるTEIIを利用して、CoA誘導体としてポリケチド中間体を収集することである
。PikTEIIはストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)中のpikAVにコー
ドされる小酵素(281アミノ酸)である。野生型酵素の一次機能は、pikA経路中
の第5モジュールのポリケチド鎖を10-デオキソメトノリドとして放出すること
を促進することである。
【0300】 酵素は第5モジュール(PikAIII)ACP(ACP5)に大部分が結合し、それに結合
したアシル鎖を放出すると考えられる。このTEIIとそれに同起源であるACP5との
関係は、PikACP5をクラスター内の別の位置に移動させることで、異なる鎖長を
持つポリケチドを産生するのに活用できる。例えば、ACP5をACP2の代わりに第2
モジュール内に移すと、ヘキソケチドに代わってトリケチドがクラスターより産
生されるだろう。
【0301】 更に、KR5をACP5と共に第2モジュール内に移すと、DH、KR及びACPドメインが
交換され、PHAモノマーとして構造的に好適である3-ヒドロキシトリケチドが産
生される。変異型TEII(mTEII)は、CoA型のトリケチドの放出を触媒する。トリ
ケチド-CoA、3,5-ジヒドロキシ-4-メチル-ヘプトニル-CoAは、モノマーをポリマ
ー内に取り込む事ができるPHAポリメラーゼ、例えばP.olivarus由来のPhaC1の基
質である。
【0302】 第2の戦略は、アシル-CoAトランスフェラーゼ(mTE)に変換されるTEIを利用
し、CoA誘導体としてポリケチド中間体を収集することを含む。即ち、3-ヒドロ
キシアシル-CoAモノマー産生に関する第2の戦略は、PKSモジュール内のTEドメ
イン(TEI)を活用することである。TEドメインは同一モジュール内にACPドメイ
ンに結合しているポリケチド中間体を放出することができる。TEIをPKSクラスタ
ー内の別の場所に移動させると、異なる鎖長を持つポリケチドが産生される。
【0303】 同様に、変異型TEI(mTEI)即ちアシル-CoAトランスフェラーゼであるもの)
はアシル-CoAにポリケチド中間体を放出し、続いてそれはPHA合成酵素により重
合される。好ましくは、pikA遺伝子クラスター内の変位型TEドメインは、pikモ
ジュール1内に移動し、ACP1の直下流に融合する。組換え体酵素はPHAポリメラ
ーゼであるPhaC1に好適な基質である2-(S)-メチル-3(R)-ヒドロキシルベレラチ
ル-CoAを産生する。従って、組換え体PKSとのポリメラーゼの共発現はポリマー
を生ずる。
【0304】 第3の戦略は、PHAポリメラーゼをポリケチド合成酵素と融合させることでPHA
合成に適した基質として、ポリケチド中間体を直接収集するものである。先2戦
略は、変異型PKS酵素(TEI又はTEII)を利用することでPHA合成に関する基質と
して3-ヒドロキシルアシル-CoAを産生する。アシル-ACPが適当に方向付けられて
いればアシル-ACPそのものにPHAポリメラーゼ活性が存在すると考えられること
から、第3の戦略ではPHAポリメラーゼをPKS蛋白質内のACPの下流に融合させる
【0305】 するとPHA合成酵素は、TEドメインの代わってキメラ多機能性酵素内のドメイ
ンとして機能する。蛋白質のPKS部分は3-ヒドロキシアシル-ACP中間体の合成を
触媒し、次にPHA合成酵素ドメインがそれを基質として受け入れ、3-ヒドロキシ
アシルモノマーを添加してポリヒドロキシアルカノエート鎖を成長させる。この
プロセスはACP機能を再生させ、その結果反応は繰り返し進行可能となり、複数
ユニットのPHAが合成できる。例えば、phaC1遺伝子をpikACP1の直下流に融合す
ると、ポリマー合成を触媒するキメラ酵素を生ずる。
【0306】 上記戦略は複合体構造のPHAsを産生でき、そして優れた特性を有している。更
に、構造体はPKS遺伝子を修飾することで容易に微調整でき、その結果所望する
特性又は機能を持つPHAsを得ることができる。
【0307】 実施例10モジュラーポリケチド合成酵素の変更発現によるマクロラクトン 構造のコントロール 材料と方法 培地 ストレプトマイセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)ATCC154
39は2種類のマクロライド系抗生物質;12-員環マクロライドであるメチマイシ
ンとネオメチマイシン、及び14-員環マクロライドであるピクロマイシンとナル
ボマイシンを産生する(図28)。メチマイシンとネオメチマシンは12-イオン環
マクロラクトンである10-デオキシメチノリドに由来し、SCM培地中に産生される
(Lambalotら、1992)、一方ピクロマイシンとナルボマイシンは14-員環マクロ
ラクトンであるナルボノリドに由来し、PGM培地中に産生される(Xueら、1998)
【0308】 S.venezuelaeの遺伝子操作。変異体AX910とAX912は、標的遺伝子置換法により
作製された。変異型プラスミドpDHS910はTEドメイン側方の2DNA断片を連結して
作製さたため、TEドメインは欠失し、その位置にヘキサヒスチジン配列が導入さ
れた。ポリメラーゼチエンリアクション(PCR)によるフランキングDNAの増幅に
用いたプライマーペアは、5’-CCCGAATTCGCCGCCGCCATGGCCGAA-3’(配列番号42
);及び5’-GTGATGCATCGGCTCGGCGACGGCCCAGTTCCGCT-3’(配列番号43);及び5
’-ATGCATCACCACCACCACCACTGAGGGGGCGGGCAAGTGACCGAC-3’(配列番号44)及び5
’-GGGTCTAGAGCTGCACCGGCGGGTCGTAGCGGA-3’(配列番号45)。
【0309】 プラスミドpDHS910はpikAVの位置にカナマイシン耐性マーカーを持つS.venezu
elaeAX905内に導入された。Xueら(1998)により確立された方法に従い、カナマイ
シン感受性表現形をスクリーニングすることで変異体AX910(12コロニー)を分
離した。変異体の予想遺伝子型は、ゲノムサザンハイブリダイゼーションにより
確認され。変異型プラスミドpDHS912は、pDHS910内のBamHI-BglII断片(TEドメ
インのpikAV遺伝子直下流に相当するDNA断片)をカナマイシン耐性遺伝子(Deni
sら、1992)により置換して作製された。換言すれば変異体AX912ではTEドメイン
及びTEII遺伝子pikAVは破壊された。プラスミドpDHS912は野生型S.venezuelae内
に移入され、変異体AX912(12コロニー)はXueら(1998)の方法に従い選別され
た。
【0310】 ウエスタンブロット分析 PikAIVのウエスタンブロット分析を標準的方法に従
い実施した(Sambrookら、1989)。まずS.venezuelaeAX910、AX912又は野生型の
全蛋白質を、SCM又はPGM培地中の4日培養体から調製した。蛋白質抽出物を10%S
DS-PAGEで分離し、PVDF膜(バイオラッド社、ヘラクレス、カリフォルニア(Bio
-Rad、Hercules、CA))上に転写し、抗-6xHis抗体(キアゲゲン社、バレンシア
、カリフォルニア(Qiagen、Valencia、CA))でハイブリダイズし、アルカリフ
ォスファターゼ標識二次抗体(シグマ社、セントルイス、ミズリー州(Sigma、S
t.Louis、MO))を利用し可視化した。
【0311】 相補的プラスミドの構築 pikAプロモーターであるPpikAは、pikクラスター中
のpikAIとpikRI間のEcoRV-EcoRI断片として分離された(Xueら、1998)。相補に
適したプラスミドを作製するために、PikAVをコードするDNA断片をまずPCR増幅
し、PikAVが転写的にPpikA中のpikAIのリーダー配列と結合する用にEcoRI部位の
下流に位置せしめ、プラスミドpDHA702を得た。次に、様々な長さのpikAIV-pikA
V域をpDHS702内にクローニングしてpikAVを置換し、プラスミドpDHS704、pDHS70
5、pDHS706、pDHS707及びpDHS708を構築した。
【0312】 各種長さのpikAIVをコスミッドpLZ51(Xueら、1998)より、以下のプライマー
ペアを使ってPCR-増幅した;pDHS702に関してはプライマー5’GAATTCATCGAGGGGG
CGGGCAAGTGA-3’(配列番号46)と5’-ATGCATCAGGTCGTCGGTCACCGTGGGTTCT-3’(
配列番号47);pDHS704に関しては5’-GGATCCGCGCCGGGATGTTCCGCGCCCTGT-3’(
配列番号48)及び5’-AAAATGCATCAGAGGTCTGTCGGTCACTTGC-3’(配列番号49);p
DHS708に関しては5’-AAAAGATCTTGATGGTGCAGGCGCTGCGCCAGGGGTGCTG-3’(配列番
号50)と5’-AAAATGCATCAGAGGTCTGTCGGTCACTTGC-3’(配列番号49);そしてpDH
S707に関しては5’-AAAAGATCTCCAACGAACAGTTGGTGGACGCT-3’(配列番号51)と5
’-AAAATGCATCAGAGGTCTGTCGGTCACTTGC-3’(配列番号49)にて調製した。pDHS70
5(EcoRI-BamH1)及びpDHS706(EcoRI-BglII)中の断片はコスミッドpLZ51の制
限酵素消化物より直接分離し(Xueら、1998)、EcoRI-BglII処理したpDHS702に
連結した。
【0313】 抗生物質の抽出と同定 メチマイシンと関連化合物の抽出、同定及び定量はCa
neら(1993)により開発され、Xueらによりまとめられた(1998)た方法に従い
行った。
【0314】 結果と考察 PikAIVからのTEドメインの欠失 10-デオキシメチノリドとナアルボノリドの
産生は、ストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)中の単一PKSクラス
ター(pikA)により仲介された(Xueら、1998)。pikAがコードするPKSはPikAI
、PikAII、PikAIII及びPikAIVより構成される(図28)多機能性蛋白質であり、E
ryAIIIが2モジュール型である(Donadioら、1991)のに対しPikAIIIとPikAIVが
単一モジュールであることを除けばEryAI-IIIに似ている。更に、PikAVは独立し
たチオエステラーゼ(TEII)であり、PikAIVのC-末端にあるチオエステラーゼド
メイン(TE)とは異なっている。
【0315】 PikAのモジュラー構造は、PikAI-PikAIIIが10-デオキシメチノリドを触媒する
ヘキサケチドを産生すること、そしてPikAI-PikAIVがナルボノリドに環状化する
ヘプタケチドを産生することを示している(図28)。ヘプタケチド段階でのポリ
ケチド集合の終止は、エリスロマイシン経路の鎖終止に類似し、PikAIV中のC-末
端のTEドメインにより触媒されると考えられている。しかし、PikAシステムがど
の様にしてポリケチドの組立を終わらせ、12-員環アグリコンである10-デオキシ
メチノリドを生ずるかは明らかではない。遺伝的証拠からは、pikAVが両マクロ
ラクトンの産生を低下させることから(Xueら1998)、PikAV(TEII)が変更され
た終止に於ける決定因子である可能性を排除した。
【0316】 変更された終止に於けるPikAIVの役割を研究するために、C-末端チオエステラ
ーゼ(TE)ドメインを欠失させてPikAIVを破壊した2種類のストレプトマイセス
・ベネズエラ(S.venezuelae)変異株を作製した。変異体AX910では、ストレプ
トマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)染色体からTEドメインを除くようにイ
ンフレーム欠失が作製された。第2の突然変異体AX912では、TEドメインならび
に下流のTEII遺伝子(pikAV)は細菌染色体より除かれた。
【0317】 予想通り、変異体はPikPKS蛋白質からポリケチド鎖を放出するために必要とさ
れるチオエステラーゼ活性を欠くために、ストレプトマイセス・ベネズエラ(S.
venezuelae)AX912は抗生物質産生を行わなかった。PikAIVにより触媒される6
番目の縮合サイクルは10-デオキシメチノリドの形成には必要とされないことか
ら、AX910変異株は少なくとも12-員環マクロファイドメチマイシン及びネオメチ
マイシンは産生すると期待された。
【0318】 驚くべきことに、変異体AX901は微量のピクロマイシンは産生したものの、発
酵ブロス中にメチマイシン及びネオメチマイシンは全く存在しなかった。AX910
変異体はpikAIVがコードするTEドメインのインフレーム欠失を持つことから、下
流方向(pikAVがコードするTEII酵素上への)への極性作用の可能性は無い。こ
の結果は、PikAIV、少なくともPiAIV無いのTEドメインが12-及び14-員環マクロ
ラクトンの産生に直接関与することを示唆している。
【0319】 PikAIVの発現の探索 メチマイシン(SCM培地)またはピクロマイシン(PGM培
地)に適した培養条件を利用したpikAIVの示差的発現を研究するために、PikAIV
蛋白質をまずC-末端のTEドメインを交換する形でヘキサ-ヒスチジン配列で標識
した。次にPikAIVの発現を、突然変異株内(AX910及びAX912)でのメチマイシン
またはピクロマイシン産生に適した条件下に単一バンドを表す抗6xHIs抗体を使
ったウエスタンブロットにて探索した。
【0320】 驚くべきことに、メチマイシン産生に適した培養条件(SCM培地)下に得た細
胞抽出物より検出された蛋白質は、ピクロマイシン産生に適した条件(PGM培地
)下で検出された蛋白質に比べ分子量がおよそ25kDa小さかった。ピクロマイシ
ン培養条件下に検出された蛋白質の分子量は110kDaであり、これは予想されるPi
kAIVのTE-切断(6xHis-標識体交換された)形状の分子量に一致した。従って、
メチマイシン産生条件下に検出された蛋白質は、PikAIVのN-末端切断型であるに
ちがいない(図41)。
【0321】 更に、pikAIV配列中には2カ所、代替転写開始部位となり、PikAIVの切断型が
生じる可能性のある部位が存在する。推測されるpikAIVの別発現では、Pikモジ
ュール6KS(KS6)ドメインの半分だけを含む蛋白質産物ができる(図41)。この
結果は、すぐにPikAシステムの別終止に関するメカニズムに注意を向ける。KS6
ドメインは最終延長ユニットの縮合を担当していることから、この反応を触媒で
きないPKSは12-員環マクロラクトンのみを生ずることができる。
【0322】 PikAIVの補完性分析 PikAIVの切断型の機能を調べるために、多機能型蛋白質
の各種ドメインの関与をストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)変異
株AX912の遺伝的補完性から検証した。SCP2*-ベース低コピー数プラスミド(Lyd
iateら)を設計し、標的遺伝子(長さが変更されたpikAIVを含む)を未変化型pi
kAプロモーターのコントロール下に置いた(Xueら、1998)。このシステムを利
用すると、プラスミドからのpikAIVの発現は正常の時間的発現プロフィールに極
めて近くなり、さらにS.venezuelae染色体上にコードされたpikAクラスターの発
現ともに同調するだろう。このシステムはpikAIV-pikAV領域(図41)の変化形の
TE-TEII二重変異株AX912を補完する能力の試験に使用された。
【0323】 結果はPikAIV中のTEドメインが10-デオキシメチノリド形成に関し重要でるこ
とを明瞭に示した。具体的には、pDH704(TE単独)、pDHS705(ACP6-TE)、pDHS
706(ACP6-TE::TEII)、pDHS708(AT6-ACP6-TE)及びpDHS707(KS6-AT6-ACP6-TE
)を含むTEドメインを含有する全てのプラスミド構築体は変異体AX912を補完し
、10-デオキシメチノリドを生じた。興味深いことに、PikAIVの切断型中の他の
ドメイン、特にATドメインは、10-デオキシメチノリドの効率的産生に必要であ
った。
【0324】 最も効果的な10-デオキシメチノリドの産生は、ATドメインを含み、メチマイ
シン産生に適した条件の下野生型ストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuel
ae)に検出されるPikAIVの切断型(図41)に非常に近いpDHS708(AT6-ACP6-TE)
によって補完された場合に得られた。TEドメイン単独(pDHS704)により10-デオ
キシメチノリド誘導が比較的効率的に補完されることは興味深いが、おそらく考
えうる2種類の補完経路(またはその内の1つ)の結果であろう。具体的には、
それはTEドメインとPikAIII(図42C)との直接的な相互作用、及び/又は非競合
的相互作用を通じて残り部分のPikAIV(対応するAX912の染色体対立遺伝子より
発現される)と相互作用する、プラスミドによって発現された野生型様PKS複合
体(図42B)の形成を含むだろう。
【0325】 興味深いことに、TEドメイン単独では、AX912(TE-TEII二重変異体)を補完し
ナルボノリドを提供することはなかった(図41)。このことは、襟スロマシンPK
Sシステムより得られた最近の結果(Gokhaleら、1999)に一致し、TEドメインが
その天然の内因性モジュール(例えばEryAIII又はPikAIV)とは有意に相互作用
しないが、機能的になるためには競合結合する必要があることを示唆している。
しかし、補完の失敗の一部は、AX192中に作られたPikAIV蛋白質のC-末端にヘキ
サ-ヒスチジンが導入されたことに拠る可能性もある。
【0326】 興味深いことに、pDHS708(AT6-ACP6-TE)はピクロマイシン産生に適した培養
条件下ではAX912を補完し、等量の10-デオキシメチノリドとナルボノリドを形成
した(図41)。この産生パターンは、それぞれ図42E及び図42Fに示すようなPikA
IVのヘテロ−及びホモダイマー構造の形成によるものである。これらの結果は、
N-末端が切断されたPikAIVが10-デオキシメチノリドの形成を担当するのに対し
、全長のPikAIVの発現がナルボノリド産生を担当するというモデルに一致した。
【0327】 pDHS705(ACP6-TE)及びpDHS706(ACP6-TE::TEII)の補完性の比較は更にpikT
EIIの活性も表した。TEII単独ではポリケチドの終止には不十分であるが(図41
に示すpDHS702の補完に見られる様に)、独立型チオエステラーゼは10-デオキシ
メチノリドとナルボノリドの両方の産生を促進した(図41)。特にナルボノリド
形成の例では、pDHS706(ACP6-TE::TEII)補完体中のTEIIがポリケチド産生を助
け、あるレベルまで増強したが、AX912(pDHS705(ACP6-TE))中では検出不可能
であった。このTEIIの補助的役割は、ピクロマイシン系(Xueら、1998)及びそ
の他のPKS(Rangaswamyら、1998)に関する観察結果、及び非リボソーマルペプ
チド合成酵素(NRPS)系での観察結果(Schneiderら、1998)に一致した。
【0328】 PikAIVによる変更型終止に関する機械論的モデル 上記の補完実験は、完全な
蛋白質(AT、ACP、TE及び恐らく部分的KSドメインを含む)はポリケチド産生に
関してより効果的ではあるものの、TEが切断PikAIVポリペプチドに於ける重要な
酵素活性ドメインであることを示唆している。エリスロマイシンPKS複合体につ
いて提出されている螺旋形(Stauntonら、1996)をベースにした構造モデルを発
展させ、pik-がコードするPKSに於ける変更終止でのPikAIVの役割を例示した。
ピクロマイシン産生条件下では、野生型のS.venezuelaeはPikAIIIと相互作用し
、メチルマロネート単位を付加してACP5上にポリケチド鎖を伸長させ最終的には
14-員環マクロラクトンであるナルボノリドを生ずる完全長のPikAIVモジュール
を発現する(図42A)。
【0329】 一方、KS6を欠くPikAIVの切断形はメチマイシン産生に適した培養条件下に発
現される。KS6が切断されたことにより非占有状態に置かれた分子間空間はおそ
らくACP5と直接相互作用する様に配置され、12-員環マクロラクトンを放出するT
Eドメインにより充填されるだろう(図42B)。いずれの例でも、PikAIVの主要部
分は固定されたままであると推測される。TEドメインが非占有空間(KS6切断に
より残された)内に若干移動すると、切断されたPikAIV内にAT6-ACP6触媒ドメイ
ンのバイパスができるが、チオエステラーゼ活性は保持されるだろう。明らかに
、切断型PikAIVの主機能は、TEドメインを方向付けし、PikAIIIとPikAIV環の相
互作用複合体を安定化させる骨格として機能し、その結果として10-デオキシメ
チノリドの産生を大きく増加させることである。
【0330】 PikAIVの切断型によって効率的に10-デオキシメチノリドが産生されることは
、KSドメインではなくATがモジュラーPKSの構造と機能において中心的役割を果
たしていることを示唆する。pDHS708(AT6-ACP6-TE)補完プラスミドより得たPi
kAIVのKS6-切断型はおそらく対応するAX912染色体対立遺伝子の産物とヘテロダ
イマーを形成しナルボノリドを生じ(図42E)、そして同時にそれはホモダイマ
ーも効率的に形成して10-デオキシメチノリド(図42F)も形成するのだろう。
【0331】 しかしpDHS705(ACP6-TE)ではAT6ドメインが切断されているために、この2
量体形成能は厳しく制限されていた。更に、pDHS704(TE単独)ではナルボノリ
ドを提供する補完性が完全欠如(ピクロマイシン産生に適した培養条件下)して
いることから、KS6とPikAIII(図42D)との間には、モジュール−モジュール認
識の一次的ベースとなり、そして多機能型PKS系内に組み込まれている優性な相
互作用が存在することが示唆される。ストレプトマイセス・ベネズエラ(S.vene
zuelae)中のpikA系はこれら基本的な相互作用を更に詳細研究できる、特異的な
機会と強力な手段を提供している。
【0332】 ストレプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)中でのPikAIVのに差異的発
現による変更終止を、他のPKS系にて遺伝子工学的に行われたポリケチド鎖長操
作と比較することは有益である。エリスロマイシンPKSでは、EryAIIIのTEドメイ
ンは上流のドメインに移され、共有結合により別のACPsに結合され、切断型ポリ
ケチドを生じた(Cortesら、1995;Kaoら、1995)。いすれの例でも、完全長の
ポリケチドを産生する能力は実質的に排除されていた。これに対し、PikAIVのTE
ドメインを上流のモジュールに蛋白質-蛋白質相互作用により連結すると、スト
レプトマイセス・ベネズエラ(S.venezuelae)は2種類の異なる大きさのマクロ
ラクトンを産生する能力を保持した。
【0333】 配列分析(Xueら、1998)は、pikAが14-員環マクロラクトンを生成する第6モ
ジュールPKSから進化したことを示唆した。従って、稀な12-員環マクロラクトン
を産生するようになったpikAの構造的及び制御的進化は、抗生物質産生微生物の
いる生態学的環境内おいて抗生物質耐性を克服するための内因性の遺伝的選択の
結果であろうと考えることは興味深い。pikA系は、新規天然産物を組合せ生合成
により創造する場合に容易に活用できる多マクロラクトン系を作り出ことができ
る多岐型代謝経路の天然例を提供する。
【0334】 実施例11. 崩壊desV遺伝子を有するストレプトマイセス・ベネズエラ(S. venezuelae)(
KdesV-41)の突然変異体を構築した(Zhao et al., J. Am. Chem. Soc., 120, 1
2159(1998))。desVは3−ケト糖17(図42)の対応するアミノ糖4への転換を
触媒する3−アミノトランスフェラーゼをコードするため、この遺伝子の欠失は
C-3アミノ交換反応を防止して、17の蓄積を生じるはずであった。この経路のグ
リコシルトランスフェラーゼ(DesVII)がケト糖中間体17を認識し、処理加工
し得る場合には、KdesV-41突然変異体により生成される単数または複数のマクロ
ライド物質は結合3−ケト糖を有するはずである、と予測された。
【0335】 意外にも、単離された2つの生成物はメチマイシン/ネオメチマイシン類似体
18および19で、各々、4,6−ジデオキシヘキソースを保有した(図43)。この結
果はその糖基質に対するグリコシルトランスフェラーゼに関する緩和特異性を実
証する一方で、糖代謝物質のC-3ケト基を立体特異的に低減し得るストレプトマ
イセス・ベネズエラ(S. venezuelae)中の経路非依存性還元酵素の存在も示し
た。
【0336】 工学処理糖を含有するこの種類の新規のマクロライドを合成し得る突然変異を
生成する可能性を調べるために、デソサミンの生合成におけるC−4脱酸素化に
関与するデヒドラーゼをコードすることが提案されたdesI遺伝子は、それが、6
−デオキシ−D−グルコースとしても知られているD−キノボース(22;図44)
の最終生成物中への混入をもたらすという予測で変更された。論理的根拠は、以
下に基づいていた:(1)デソサミン生合成は、desI欠失によるC−4脱酸素化
工程で「終結」され、したがって3−ケト−6−デオキシヘキソース16の蓄積
を生じる(図42)。
【0337】 (2)ストレプトマイセス・ベネズエラ(S. venezuelae)中の3−ケトヘキ
ソース還元酵素の存在を利用することにより、糖中間体15はD−キノボース(22
)に立体特異的に還元されると予測される。(3)糖基質に対するその緩和特異
性を用いて、グルコシルトランスフェラーゼ(DesVII)は22のマクロラクトン
とのカップリングを触媒して、工学処理糖D−キノボースを含有する新規のマク
ロライド20および21を生じるはずである(図44)。
【0338】 アプラマイシン耐性マーカーを含有するPkc1139由来の崩壊プラスミドpDes-K
を構築したが、この場合、desIは、カナマイシンに対する耐性も付与するネオマ
イシン耐性遺伝子で置換された。次に、供与体株として大腸菌S17-1を用いた接
合伝達により、この構築物を野生型ストレプトマイセス・ベネズエラ(S. venez
uelae)に導入した(Bierman et al., 1992)。カナマイシン耐性(KanR)およ
びアプラマイシン感受性(AprS)のそれらの表現型に基づいて、いくつかの二重
交差突然変異体を同定した。一突然変異体KdesI-80を選択し、接種培地(100 mL
)中で29℃で48時間増殖させた後、栄養培地(5 L)中に接種して、さらに48時
間増殖させた(Cane et al., 1993)。
【0339】 発酵ブロスを遠心分離して、細胞破砕屑および菌糸体を除去し、上清を濃水酸
化カリウム溶液でpH9.5に調整した。その結果生じた溶液をクロロホルムで抽
出し、プールした有機抽出物を硫酸ナトリウム上で脱水し、蒸発乾燥した。黄色
油を、クロロホルム中の0〜12%メタノールの勾配を用いてシリカゲル上でフラ
ッシュクロマトグラフィー処理して、単離生成物を、C18カラムを用いてHPLCに
より、水中の50%アセトニトリルでアイソクラチック溶出して、さらに精製した
。予測通り、メチマイシンまたはネオメチマイシンは検出されなかった。その代
わりに、10−デオキシメチノリド23を主生成物(約600 mg)として見出した。
【0340】 有意量のメチノライド24(約40 mg)およびネオメチノライド25(約2 mg)
も単離した(図45)。この突然変異体により、D−キノボースを含有する新規の
マクロライド15(3.2 mg)を生成した。スペクトル分析により、その構造は十分
に確立された。15に関するスペクトルデータ(J値はヘルツである):
【0341】 1H NMR(CDCl3)δ6.76(1H,dd,J=16.0,5.5,9-H),6.43(1H,d,J=16.0,8-H),
4.97(1H,ddd,J=8.4,5.9,2.5,11-H),4.29(1H,d,J=8.0,1’-H),3.62(1H,d,J=
10.5,3-H),3.49(1H,t,J=9.0,3’-H),3.36(1H,dd,J=9.0,8.0,2’-H),3.32(
1H,dq,J=8.5,5.5,5’-H),3.23(1H,dd,J=9.0,8.5,4’-H),2.82(1H,dq,J=10.5
,7.0,2-H),2.64(1H,m,10-H),2.55(1H,m,6-H),1.70(1H,m,12a-H),1.66(1
H,bt,J=12.5,5b-H),1.56(1H,m,12b-H),1.40(1H,dd,J=12.5,4.5,5a-H),1.35
(3H,d,J=7.0,2-Me),1.31(3H,d,J=5.5,5’-Me),1.24(1H,bdd,J=10.0,4.5,4-
H),1.21(3H,d,J=7.0,6-Me),1.11(3H,d,J=6.5,10-Me),1.00(3H,d,J=7.0,4-
Me),0.92(3H,t,J=7.5,12-Me);13C NMR(CDCl3)δ205.0(C-7),174.7(C-1
),146.9(C-9),125.9(C-8),102.9(C-1’),85.4(C-3),76.5(C-3’),75
.5(C-4’),74.7(C-2’),73.9(C-11),71.6(C-5’),45.0(C-6),43.9(C
-2),37.9(C-10),34.1(C-5),33.4(C-4),25.2(C-12),17.7(6-Me),17.5
(5’-Me),17.4(4-Me),16.2(2-Me),10.3(12-Me),9.6(10-Me);高分解能
FAB−MS、C23388(M+H)+に関する計算値443.2644、実測値443.26
61。
【0342】 D−キノボースを含有するマクロライド15は、実際、desI突然変異体により
産生されるという事実は、有意である。第一に、予測通りのキノボースの生成は
、3−ケト糖を還元するストレプトマイセス・ベネズエラ(S. venezuelae)中
の経路非依存性還元酵素の存在をさらに確証する。興味深いことに、この還元酵
素は、4,6−ジデオキシ糖17ならびに6-デオキシ糖16に作用し得るが、これは、
それがC-4でのヒドロキシル基の存在に気づかないということを示唆する。
【0343】 しかしながら、還元が遊離糖で起こるのかまたはそれがアグリコンに付加され
た後に起こるのかはこの時点では明らかでない。第二に、desI欠失の結果として
のキノボース中の4-OHの保持は、C-4デヒドラーゼをコードするよう割り当てら
れたdesIの役割を支持する強力な証拠を提供する。さらに、結果は、この経路の
グリコシルトランスフェラーゼ(DesVII)が、その構造が元のアミノ糖基質デソ
サミンとはかなり異なる代替的糖基質を認識し得るということも示す。キノボー
スの混入は重要であるが、一方、もう一つの有益な、しかし予期せぬ結果は、単
離マクロライド15のアグリコンはメチノライド24およびネオメチノライド25の代
わりに10−デオキシ−メチノライド23であるという事実であった。
【0344】 そのC-10またはC-12一で10−デオキシ−メチノライドのヒドロキシル化を触
媒するシトクロムP450ヒドロキシラーゼ(PikC)(Xue et al., Chem. Biol., 5
, 661(1998))は、付随糖中の構造的変異に感受性であることも可能である。
糖部分における4-OHの存在は、マクロライドのヒドロキシル化の低減または防止
にどうも関与している、ということが問題にされ得る。 したがって、結果は、意図される構造の糖を工学処理するために経路依存性遺
伝子操作および経路非依存性酵素反応を組合せることの実行可能性を実証する。
経路非依存性酵素を天然生合成機構と共同して用いてさらなる構造的多様性を生
じ、これにより多数の無作為化合物を提供し得ると考えられる。
【0345】
【表4】
【0346】
【表5】
【0347】
【表6】
【0348】
【表7】
【0349】
【表8】
【0350】 本明細書中に引用したすべての特許、特許文書および出版物の全開示内容は、
別々に組み入れられる場合のように、参照により本明細書中に含まれる。前記の
詳細な説明および実施例は、理解を助けるためにのみ示したものである。したが
って、それらはいかなるものも限定しない。本発明は、特許請求の範囲に明記さ
れた本発明の範囲内に含まれる当業者には明らかな変更に関して示され、記載さ
れたその詳述に限定されない。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 A.ユートロフス(A. eutrophus)におけるPHB生合成経路。
【図2】 一般的な細菌PHA類の分子構造。公知のPHA類のほとんどは、示される一般式を
有する3-ヒドロキシ酸の重合体である。例えば、PHBにおいてはR=CH3、ポリヒド
ロキシバレレート(PHV)においてはT=CH2CH3、またポリヒドロキシオクタノエー
ト(PHO)においてはR=(CH2)4CH3
【図3】 PHB合成の天然経路および組換え経路の比較。3-ケトチオラーゼ、アセトアセ
チル−CoAレダクターゼ、およびPHBシンターゼを必要とする、細菌におけるPHB
合成の3つの酵素による工程が左側に示されている。不活化デヒドラーゼドメイ
ンを含むラット脂肪酸シンターゼ(ラットFAS206)を含むSf21細胞の経路におけ
るPHB合成に関与する2つの酵素による工程が右側に示されている。
【図4】 tylポリケチドシンターゼ(PKS)遺伝子クラスターの分子構成の模式図。白抜き
の矢印は個々のオープンリーディングフレーム(ORF)に対応しており、またORFの
上の数は多機能性モジュールまたはシンターゼユニット(SU)を示している。AT=
アシルトランスフェラーゼ;ACP=アシルキャリヤータンパク質;KS=β-ケトアシ
ルシンターゼ;KR=ケトレダクターゼ;DH=デヒドラーゼ;ER=エノイルレダクタ
ーゼ;TE=チオエステラーゼ;MM=メチルマロニルCoA;M=マロニルCoA;EM=エチ
ルマロニルCoA。Tyl中のモジュール7はまた、モジュールFとしても知られてい
る。
【図5】 metPKS遺伝子クラスターの分子構成の模式図。
【図6】 ドメイン置換による組換えPHA単量体シンターゼ作製法。
【図7】 PHAシンターゼ精製の種々の段階からのサンプルを示す(A)10%SDS-PAGゲル;レ
ーン1、分子量マーカー;レーン2、非感染昆虫細胞の総タンパク質;レーン3
、ラットFAS(200kDa;Joshiら,Biochem. J. 296, 143 (1993))を発現している
昆虫細胞の総タンパク質;レーン4、PHAシンターゼを発現している昆虫細胞の
総タンパク質;レーン5、レーン4のサンプル由来の可溶性タンパク質;レーン
6、PHAシンターゼを含むプールされたハイドロキシアパタイト(HA)画分。(B)ウ
サギ-α-PHAシンターゼ抗体をプローブとして用いる同一のゲルのウェスタン解
析。矢印で示されたバンドは、a、残基7にN末端アラニンおよび残基10にセリン
を有する昆虫PHBシンターゼ(A7/S10);b、残基181にN末端アラニンおよび残基18
5にアスパラギンを有するPHBシンターゼの44kDa断片(A181/N185);c、エドマン
分解に対する耐性に基づき、明らかにブロックされている約30kDaのPHBシンター
ゼ断片;d、残基187にN末端グリシンを有する22kDa断片(G187)。バンドdはウサ
ギ-α-PHBシンターゼ抗体と明らかに反応しない(B、レーン6)。B中の同様の大
きさのバンド、レーン4は、さらには同定しなかった。
【図8】 昆虫細胞から精製したPHAシンターゼのN末端解析。(a)A. ユートロフスPHAシ
ンターゼの予想されるN末端の25個のアミノ酸配列。(b&c)昆虫細胞において産生
されたA. ユートロフスPHAシンターゼに関して決定される2種のN末端配列。太字
の配列は決定された実際のN末端である。
【図9】 基質、3-ヒドロキシブチレートCoA(HBCoA)および生成物CoAの分光光度計によ
るスキャン。直接分光光度計アッセイが実施された波長(232nm)は矢印で示され
ている;基質、HBCoA(●)および生成物、CoA(○)。
【図10】 基質濃度の関数としてのHBCoAの加水分解速度。アッセイは、0.95mg/ml(3.8μ
g/40μlアッセイ)で不変のままの酵素濃度を含む40または200μlアッセイ容量で
実施した。速度は、特有の遅滞期間に続くアッセイ曲線の直線部分から算出した
。最適速度の半分での基質濃度、すなわち見かけのKm値は、このデータから2.5m
Mであると推定した。
【図11】 基質濃度に対する速度の2倍逆数プロット。このプロットの上向きの凹型は、Z
.ramigera由来の粒状PHAシンターゼに関してFukuiらによって得られた結果(Arch
. Microbiol., 110, 149 (1976))と同様のものである。
【図12】 酵素濃度の関数としてのHBCoAの加水分解速度。アッセイは8μMで不変のまま
のHBCoA濃度を含有する40μlアッセイ容量で実施した。
【図13】 酵素濃度の関数としてのPHAシンターゼの特異的活性。
【図14】 バキュロウイルス系を用いて産生された可溶性PHAのシンターゼのpH活性曲線
。反応は200mM Piの存在下で実施した。pH<10のバッファーはリン酸カリウムを
用いて調製し、他方、pH>10のバッファーは適当な割合のNa3PO4を用いて調製し
た。
【図15】 種々の量のPHAシンターゼを用いるHBCoAの加水分解アッセイ。アッセイは、8
μMで不変のままのHBCoA濃度を含む40μlアッセイ容量において実施した。初期A 232 値は、初め0.62と0.77の間であったが、0.70に標準化した。これらのアッセ
イに用いた酵素量は、最上の曲線からそれぞれ、0.38、0.76、1.14、1.52、1.90
、2.28、2.66、3.02、3.42、7.6および15.2μgであった。
【図16】 Sf21細胞の感染の際、種々の時点で合成されるタンパク質のSDS/PAGE解析。種
々のサンプルに由来する約0.5mgの総細胞性タンパク質を10%ポリアクリルアミド
ゲルで分画した。サンプルは、非感染細胞、レーン1〜4、それぞれ0、1、2、3日
目;BacPAK6:phbCのみでの感染、レーン5〜8、それぞれ0、1、2、3日目;ラット
FAS206のみを含有するバキュロウイルスクローンでの感染、レーン9〜12、それ
ぞれ0、1、2、3日目;およびラットFAS206およびBacPAK6感染細胞、レーン13〜1
6、それぞれ0、1、2、3日目を含む。A=FASの移動度、B=PHAシンターゼの移動度
。分子量標準レーンにはMと表示されている。
【図17】 ガスクロマトグラフィーによるSf21細胞におけるPHB蓄積の証拠。種々のサン
プルに由来するガスクロマトグラムが重ねられている。PHB標準(Sigma)は10.043
分(s、矢印)のプロピルヒドロキシブチレート溶出時間を示すクロマトグラム#7
である。非感染のものの抽出物のガスクロマトグラム(#1);ラットFAS206が単独
感染したもの(#2、3日目);およびPHAシンターゼが単独感染したもの(#3、3日目
)が図の下部に示されている。また、1日目の(#4)、2日目の(#5)、3日目の(#6)二
重感染した細胞の抽出物のガスクロマトグラムも示されており、10.096分(x、矢
印)でピーク溶出を示している。二重感染、3日目抽出物のもの(#6)のピークを質
量分析(MS)解析に用いた。
【図18】 PHBのガスクロマトグラフィー−質量分析解析。43、60、87および131のm/zで
のプロピルヒドロキシブチレートの特有のフラグメント化を示す。A)細菌由来の
標準PHB(Sigma)、およびB)ラットFASデヒドラーゼ不活化タンパク質およびPHAシ
ンターゼを発現している、ラットFAS206およびBacPAK6:phbCバキュロウイルス
感染、3日目(#6、図17)Sf21細胞由来のピークX。
【図19】 vep(ストレプトマイシス・ベネズエレポリエンをコードする)遺伝子クラスタ
ーのマップ。
【図20】 pDHS502のプラスミドマップ。
【図21】 pDHS505のプラスミドマップ。
【図22】 pDHS505のクローニングプロトコール。
【図23】 vepORF1のヌクレオチド配列(配列番号1)および対応するアミノ酸配列(配列番
号22)。
【図24】 デソサミン生合成経路の模式図および各デソサミン生合成ポリペプチドに関連
する酵素活性。
【図25】 不活性(ジグリコシル化)型メチマイシンおよびピクロマイシンから活性型メチ
マイシンおよびピクロマイシンへの変換の模式図。
【図26】 デソサミン生合成経路の模式図。
【図27】 ストレプトミセスのdesVI-変異体における式7および8の化合物の合成経路。
【図28】 メチマイシン、ピクロマイシンおよびストレプトミセス・ベネズエレにおける
関連化合物、ATCC15439の構造および生合成。メチマイシン:R1=OH、R2=H、ネオ
メチマイシン:R1=H、R2=OH;ピクロマイシン:R3=OH、ナルボマイシン:R3=H。ポ
リケチドシンターゼ化合物PikAI、PikAII、PikAIII、PikAIV、およびPikAVは実
線のバーで表されている。各々の円はPik PKS系における酵素のドメインを表す
。KS:β-ケトアシル-ACPシンターゼ、AT:アシルトランスフェラーゼ、ACP:アシ
ルキャリヤータンパク質、KR:β-ケトアシル-ACPレダクターゼ、DH:β-ヒドロキ
シル-チオエステルデヒロドラターゼ、ER:エノイルレダクターゼ、KSQ:KS様ドメ
イン、十字記号がついたKR:非機能性KR、TE:チオエステラーゼドメイン、および
TEII:II型チオエステラーゼ。desはデソサミン生合成および転移のための8種の
酵素すべてを表し、またPikCはR1、R2およびR3位置におけるヒドロキシル化にあ
ずかるシトクロムP450モノオキシゲナーゼである(Xuら,1998)。
【図29】 S.ベネズエレにおけるpik群の構成。各々の矢印はオープンリーディングフレ
ーム(ORF)を表す。ヌクレオチド配列から推定されるORFの転写の方向および相対
的な大きさが示されている。群は4個の遺伝子座:pikA、pikB(des)、pikCおよびp
ikRからなる。コスミドクローンは重複線として示されている。
【図30】 PikC p450ヒドロキシラーゼによるYC-17およびナルボマイシンの変換。
【図31】 pik遺伝子群のヌクレオチド配列(配列番号5)および推定されるアミノ酸配列(
配列番号6)。
【図32】 デソサミン遺伝子群のヌクレオチド配列(配列番号3)および推定されるアミノ
酸配列(配列番号4)。
【図33】 野生型pikAと比較して短い鎖長を有するポリケチドを調製するのに有用なS.ベ
ネズレエAX916構築物。2種のマクロライド、トリケチドおよびテトラケチドを産
生する3モジュールPKSをコードするように、pikモジュール2がpikモジュール5
に融合されており、かつ、モジュール3および4は欠失している。
【図34】 野生型チオエステラーゼIIを有する組換えPKS。
【図35】 pAX703構築物、すなわち発現および相補ベクター。PikTEII遺伝子はEcoRI-Nsi
I断片で置換され得る。phaC1遺伝子はPacI-DraI断片で置換され得る。
【図36】 C7重合体作製法。mTEIIは変異pikTEII、すなわちアシル-ACP CoAトランスフェ
ラーゼであり;phaC1はP.オリバラス(P.olivarus)由来のPHAポリメラーゼ1であ
り、これはラセマーゼ活性を有し得る。これらの構築物を有する系統、AX916に
おいて、PHA重合体が産生される。
【図37】 C5重合体作製法。PHAポリメラーゼ遺伝子phaC1はpikモジュール2に直接融合さ
れており、PKSのACPドメインにある置換基によりアシル鎖をPKSタンパク質から
ポリメラーゼに直接転移させる融合をもたらす。
【図38】 特定のアミノ酸に対するコドン。
【図39】 例示的な好ましいアミノ酸置換。
【図40】 S.ベネズエレAX912のプラスミドの相補。関連する遺伝子型(染色体上の、およ
びプラスミド上の)が左側に列挙されており、対応する表現型が右側に列挙され
ている。pikA遺伝子は白抜きの矢印で示されており、PKSにおけるドメインを示
す分割された四角を有する。PikAIVの別の内部翻訳開始部位が*上記のKS6ドメイ
ンにより示されており、またヘキサ-ヒスチジンが変異AX912染色体に導入されて
おり(aと記された位置)PikAIV発現の検出が容易になる。抗生物質産生は対応す
るプラスミドでの変異AX912の相補後測定された。抗生物質産生はAX912を用いて
0%として、かつ、全長pikAIV相補(pDHS707)を用いて100%標準として標準化した
【図41】 PikAIVによる別の終結の機構モデル。タンパク質PikAIIIおよびPikAIVはポリ
ケチド生合成におけるそれらの順序に従って一方が他方の上に積み重ねられてい
る(PikAIおよびPikAIIは示されていない)。球はPKSにおける酵素のドメインを表
し、該ドメインの大きさに比例した直径を有している。各PKSモジュール/タン
パク質はまず二量化され(各ペプチド鎖は赤または青のいずれかで示されている)
、次いで、エリスロマイシンPKSのモデル(Stauntonら,1999)に従い、180度ねじ
れて半分のへリックスを形成する。従って、へリックスの2個の溝に沿って独立
した活性部位の2個のセットが形成され、これが各々の生合成サイクルにおいて2
種のポリケチドが生じる。A)ピクロマイシン産生のための培養条件下の野生型S.
ベネズエレ。B)メチマイシン産生のための培養条件下の野生型S.ベネズエレ。C)
メチマイシン産生のための培養条件下のS.ベネズエレAX912(pDHS704)。D)ピクロ
マイシン産生のための培養条件下のS.ベネズエレAX912(pDHS704)。E)ピクロマイ
シン産生のための培養条件下のS.ベネズエレAX912(pDHS708)。F)メチマイシン産
生のための培養条件下のS.ベネズエレAX912(pDHS708)。相補のために用いられた
プラスミド構築物から発現された遺伝子産物は下線で示されている。
【図42】 デソサミン生合成経路。
【図43】 メチマイシン/ネオメチマイシン類似体18および19に至る経路の模式図。
【図44】 D-キノボースを有するマクロライド。
【図45】 desI変異株により産生された産物。
【図46】 ストレプトミセス種に由来するPik配列。A)S.ベネズエレ来ATCC15068由来のPi
k3-pik4(配列番号54)。B) S.ナルボネシスATCC19790由来のPik3-pik4(配列番号5
5)。C)S.ベネズエレATCC15068由来のTEII遺伝子(配列番号56)D)。S.ナルボネシ
スATCC19790由来のTEII遺伝子(配列番号57)。
【手続補正書】
【提出日】平成13年2月5日(2001.2.5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の名称】 メチマイシンおよびピクロマイシンをコードする遺伝子
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図2】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図3】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図6】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図8】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図9】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図10】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図11】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図12】
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図13】
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図14】
【手続補正13】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図15】
【手続補正14】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図18】
【手続補正15】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図19
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図19】
【手続補正16】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図20
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図20】
【手続補正17】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図21
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図21】
【手続補正18】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図22
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図22】
【手続補正19】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図24
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図24】
【手続補正20】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図25
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図25】
【手続補正21】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図26
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図26】
【手続補正22】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図27
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図27】
【手続補正23】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図28
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図28】
【手続補正24】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図30
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図30】
【手続補正25】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図31
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図31】
【手続補正26】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図32
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図32】
【手続補正27】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図33
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図33】
【手続補正28】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図34
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図34】
【手続補正29】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図36
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図36】
【手続補正30】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図37
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図37】
【手続補正31】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図38
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図38】
【手続補正32】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図39
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図39】
【手続補正33】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図40
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図40】
【手続補正34】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図41
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図41】
【手続補正35】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図42
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図42】
【手続補正36】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図43
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図43】
【手続補正37】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図44
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図44】
【手続補正38】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図45
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図45】
【手続補正39】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図46
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図46】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/00 C12P 19/62 C12P 7/42 C12N 15/00 ZNAA 19/62 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 リウ,ハン−ウェン アメリカ合衆国,テキサス 78731,オー スティン,ラス ベンタナス ドライブ 7130 (72)発明者 シュー,ヨンカン アメリカ合衆国,ミネソタ 55108.セン ト ポール,ファイフィールド プレイス 1261 (72)発明者 ツァオ,リーシャン アメリカ合衆国,ミネソタ 55426,セン ト ルイス パーク,ウエストトゥエンテ ィーセカンド ストリート 7318,アパー トメント 203 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA03 BA07 BA67 BA80 CA04 DA01 DA02 DA05 EA01 EA02 EA03 EA04 GA11 HA01 4B050 CC03 CC04 DD02 LL01 LL05 4B064 AD83 AE47 CA02 CA10 CA19 CC24 DA02 DA16 4B065 AA01X AA50Y AA87X AB01 BA02 CA12 CA18 CA19 CA44 CA60

Claims (60)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デソサミン生合成遺伝子クラスター、その断片またはその生
    物学的活性変異体を包含する核酸配列を含んで成る単離および精製された核酸セ
    グメントであって、核酸配列がサッカロポリスポラ・エリスラエア(Saccharopo
    lyspora erythraea)またはストレプトミセス・アンチビオチクス(Streptomyce
    s antibioticus)のeryC遺伝子クラスター由来でないセグメント。
  2. 【請求項2】 配列番号3を含んで成る請求項1の単離および精製された核
    酸セグメント。
  3. 【請求項3】 DesI、DesII、DesIII、DesIV、DesV、DesVI、DesVII、DesVI
    IIまたはDesRをコードする請求項1の単離および精製された核酸セグメント。
  4. 【請求項4】 ストレプトミセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae
    )由来である請求項1〜3のいずれかの単離および精製された核酸セグメント。
  5. 【請求項5】 宿主細胞中で機能的なプロモーターに作用可能に連結された
    請求項1〜4のいずれかの核酸セグメントを含んで成る発現カセット。
  6. 【請求項6】 デソサミンをコードする核酸配列の少なくとも一部がデソサ
    ミン合成を変えるよう破壊された組換え体細菌宿主細胞であって、破壊された核
    酸配列がストレプトミセ・アンチビオチクス(Streptomyces antibioticus)のe
    ryC遺伝子クラスター由来でない宿主細胞。
  7. 【請求項7】 破壊された核酸配列がDesI、DesII、DesIII、DesIV、DesV、
    DesVI、DesVII、DesVIIIまたはDesRをコードする請求項6の宿主細胞。
  8. 【請求項8】 そのゲノムが請求項5の発現カセットにより増大されている
    宿主細胞。
  9. 【請求項9】 対応する非組換えまたは非増大化宿主細胞によっては産生さ
    れない請求項6〜8のいずれかの宿主細胞により産生される物質。
  10. 【請求項10】 マクロライドを含んで成る請求項9の物質。
  11. 【請求項11】 生物学的に活性である請求項9または10の物質。
  12. 【請求項12】 メチマイシン、ピクロマイシン、ネオメチマイシン、ナル
    ボマイシンまたはそれらの組合せ、あるいはその生物学的活性変異体または断片
    を合成するポリペプチドをコードするマクロライド生合成的遺伝子クラスターを
    含んで成る核酸配列を含む単離および精製された核酸セグメント。
  13. 【請求項13】 配列番号5を含んで成る請求項12の単離および精製され
    た核酸セグメント。
  14. 【請求項14】 配列番号5の生物学的活性変異体または断片を含んで成る
    請求項12の単離および精製核酸セグメント。
  15. 【請求項15】 PikR1、PikR2、PikAI、PikAII、PikAIII、PikAIV、PikAV
    、PikCまたはPikDをコードする請求項12の単離および精製された核酸セグメン
    ト。
  16. 【請求項16】 ストレプトミセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuela
    e)由来である請求項12〜15のいずれかの単離および精製された核酸セグメ
    ント。
  17. 【請求項17】 そのゲノムが請求項12〜16のいずれかの核酸セグメン
    トにより増大されている宿主細胞。
  18. 【請求項18】 配列番号3、配列番号5、その断片、それとの相補体を含
    んで成る、あるいはそれとハイブリダイズする単離および精製された核酸配列。
  19. 【請求項19】 請求項1〜4または12〜16のいずれかの核酸セグメン
    トによりコードされた単離されたポリペプチド。
  20. 【請求項20】 PikAI遺伝子、PikAII遺伝子、PikAIII遺伝子、PikAIV遺伝
    子、PikB遺伝子クラスター、PikAV遺伝子クラスター、PikC遺伝子、PikR1遺伝子
    、PikR2遺伝子またはそれらの組合せが、メチマイシン、ネオメチマイシン、ピ
    クロマイシン、ナルボマイシンまたはそれらの組合せを変えるように破壊されて
    いる組換え宿主細胞。
  21. 【請求項21】 対応する非組換えまたは非増大化宿主細胞によっては産生
    されない、請求項17または20の宿主細胞により産生されるマクロライドまた
    はポリケチド物質。
  22. 【請求項22】 生物学的に活性である請求項21のマクロライドまたはポ
    リケチド。
  23. 【請求項23】 一次モジュール分子をコードする一次DNAセグメントおよ
    び二次モジュールをコードする二次DNAセグメントを含んで成る単離および精製
    されたDNA分子であって、前記DNAセグメントが一緒になって組換えポリヒドロキ
    シアルカノエートモノマーシンターゼをコードし、少なくとも一方のDNAセグメ
    ントがストレプトミセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)のpikA遺伝
    子クラスターに由来するDNA分子。
  24. 【請求項24】 ポリヒドロキシアルカノエートモノマーを提供する方法で
    あって、 (a)宿主細胞中で機能的であるプロモーターに作用可能に連結された、一次
    モジュールおよび二次モジュールを含んで成る組換えポリヒドロキシアルカノエ
    ートモノマーシンターゼをコードするDNAセグメントであって、少なくとも一方
    のDNAセグメントがストレプトミセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)
    のpikA遺伝子群に由来するDNAセグメントを含んで成るDNA分子を宿主中に導入し
    ;そして (b)ポリヒドロキシアルカノエートモノマーを生成するように宿主細胞中で
    組換えポリヒドロキシアルカノエートモノマーシンターゼをコードするDNAを発
    現せしめる; 工程を含んでなる方法。
  25. 【請求項25】 前記少なくとも1つのモジュールがストレプトミセス・ベ
    ネズエラ(Streptomyces venezuelae)からであるポリケチドシンターゼの1つ
    又はそれ以上のモジュールを含む、組換えベクター。
  26. 【請求項26】 前記一次モジュールが脂肪酸シンターゼをコードする、請
    求項24の方法。
  27. 【請求項27】 ポリヒドロキシアルカノエートモノマーを提供する方法で
    あって、 (a)宿主細胞中で機能性であるプロモーターに作用可能に連結されている一
    次DNAセグメントおよび二次DNAセグメントを含んで成る、融合ポリペプチドをコ
    ードするDNA分子であって、少なくとも一方のDNAセグメントがストレプトミセス
    ・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)のpikA遺伝子群に由来するDNAセグメ
    ントを含んで成るDNA分子を宿主中に導入し;そして (b)融合ポリペプチドを生成するように宿主細胞中でDNAを発現せしめる;
    工程を含んでなる方法。
  28. 【請求項28】 その元のゲノムが、メチマイシン、ピクロマイシン、ネオ
    メチマイシンまたはナルボマイシンを合成するポリペプチドをコードする無傷の
    マクロライド生合成遺伝子クラスターを含まない請求項8または17の宿主細胞
  29. 【請求項29】 pikAIV遺伝子のチオエステラーゼドメインの欠失を含む組
    換え細菌宿主細胞。
  30. 【請求項30】 pikAIV遺伝子における欠失をさらに含む請求項29の組換
    え宿主細胞。
  31. 【請求項31】 pikAIVプロモーターを含んで成るDNAセグメントを含む単
    離および精製されたDNA分子。
  32. 【請求項32】 リーディングフレームを含むDNAセグメントまたはその一
    部を含んで成るDNA分子に作用可能に連結されたpikAプロモーターを含んで成る
    発現カセット。
  33. 【請求項33】 前記DNAセグメントがpikAIVのチオエステラーゼドメイン
    をコードする請求項32の発現カセット。
  34. 【請求項34】 DNAセグメントがpikAVのチオエステラーゼIIドメインをコ
    ードする請求項32の発現カセット。
  35. 【請求項35】 アシルキャリヤータンパク質ドメインをさらに含む請求項
    33の発現カセット。
  36. 【請求項36】 チオエステラーゼIIドメインをさらに含む請求項35の発
    現カセット。
  37. 【請求項37】 アシルトランスフェラーゼドメインをさらに含む請求項3
    5の発現カセット。
  38. 【請求項38】 β−ケトアシル−アシルキャリヤータンパク質シンターゼ
    ドメインをさらに含む請求項37の発現カセット。
  39. 【請求項39】 DNA分子が、一次DNAセグメントに作用可能に連結されてい
    るpikAIのリーダー配列を含んで成る二次DNAセグメントを含む請求項32〜38
    のいずれかの発現カセット。
  40. 【請求項40】 請求項32〜39のいずれかの発現カセットを含んで成る
    プラスミドにより形質転換された宿主細胞。
  41. 【請求項41】 pikAIV遺伝子クラスターのチオエステラーゼドメインおよ
    びpikAV遺伝子のチオエステラーゼIIドメインを欠く請求項40の宿主細胞。
  42. 【請求項42】 モジュールを発現しない宿主細胞により産生されるポリケ
    チドと比較して異なる長さを有するポリケチド物質を生じるようにポリケチドの
    最終縮合を触媒するモジュールをコードするDNAセグメントの少なくとも一部を
    含んで成る発現カセットを宿主細胞中で発現せしめる工程を含んでなるポリケチ
    ド鎖長の変更方法であって、無傷のモジュールをコードするDNAセグメントが2
    つの異なるポリペプチドをコードし、その一方が他方のポリペプチドより小さい
    分子量を有する方法。
  43. 【請求項43】 前記無傷のモジュールがpikAモジュール6である請求項4
    2の方法。
  44. 【請求項44】 前記発現カセットがプラスミド上に存在する請求項42の
    方法。
  45. 【請求項45】 前記宿主細胞がポリケチド産生宿主細胞である請求項42
    の方法。
  46. 【請求項46】 モジュールを発現しない宿主細胞によっては産生されない
    、請求項42の方法により産生される物質。
  47. 【請求項47】 その物質を産生するように一次ポリケチドシンターゼ遺伝
    子の一部を含むDNAセグメントに作用可能に連結されたプロモーターを含んで成
    る発現カセットを宿主細胞中で発現する工程を含んで成るポリケチド物質の製造
    方法であって、前記発現カセットがプラスミド上に存在し、前記宿主細胞の染色
    体が二次ポリケチドシンターゼ遺伝子の少なくとも一部を含み、そして両方の部
    分がポリケチド遺伝子の1つの生来のポリケチドプロモーターに作用可能に連結
    されている方法。
  48. 【請求項48】 前記一部分が同一ポリケチド遺伝子由来であり、前記宿主
    染色体上の一部分がプラスミド上の一部とは異なる、請求項47の方法。
  49. 【請求項49】 前記一部分が一緒になって全遺伝子を構成する請求項48
    の方法。
  50. 【請求項50】 遺伝子がpikA遺伝子クラスターである請求項49の方法。
  51. 【請求項51】 そのゲノムが一次ポリケチドシンターゼ遺伝子の少なくと
    も一部を含む宿主細胞であって、プラスミドが、二次ポリケチドシンターゼ遺伝
    子の一部をコードするDNAセグメントを含むDNA分子に作用可能に連結されたプロ
    モーターを含んで成り、両部分が一方の遺伝子の生来のプロモーターと作用可能
    に連結されており、そして両部分の発現がポリケチドを産生する宿主細胞。
  52. 【請求項52】 前記一部分が同一ポリケチド遺伝子由来であり、前記宿主
    細胞ゲノム上の部分がプラスミド上にある部分とは異なる、請求項51の宿主細
    胞。
  53. 【請求項53】 前記部分が一緒になって全遺伝子を構成する請求項52の
    宿主細胞。
  54. 【請求項54】 遺伝子がpikA遺伝子クラスターである請求項53の宿主細
    胞。
  55. 【請求項55】 請求項51の宿主細胞により産生されるポリケチド。
  56. 【請求項56】 哺乳類における病的状態または徴候の治療のための薬剤の
    製造のための請求項9、21または46の物質の使用。
  57. 【請求項57】 DesRをコードする核酸配列が破壊されている請求項7の宿
    主細胞。
  58. 【請求項58】 請求項57の宿主細胞により産生される物質。
  59. 【請求項59】 DesIをコードする核酸配列が破壊されている請求項7の宿
    主細胞。
  60. 【請求項60】 請求項59の宿主細胞により産生される物質。
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