JP2002535092A - 炭酸水素ナトリウムを含有する、透析用カートリッジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 固体形態の炭酸水素ナトリウムを含有するカートリッジ（１０）が提供される。このカートリッジ（１０）は、緩衝溶液を連続的に生成するために、血液透析機において使用可能であり、この緩衝溶液は、別の溶液と混合されて、透析溶液を生成する。このカートリッジ（１０）はまた、固体酸もしくは酸無水物、または二酸化炭素ガスを含有する。これにより、透析操作の初期段階の間の、透析溶液における一時的な高いｐＨにより引き起こされる問題が克服される、ということが見出された。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、固体炭酸水素ナトリウムを含有する透析カートリッジに関する。

【０００２】 （背景） 例えば、患者ヘの連続的な投与のための、固体形態の薬物または他の物質を含
有するカートリッジを使用すること、および水または溶液をそのカートリッジを
通過させて固体物質を連続的に溶解させることは、長期にわたって公知であった
。

【０００３】 例は、ＷＯ−Ａ−８６／０３４１７およびＵＳ−Ａ−４４３２７５６である。

【０００４】 ＥＰ−Ａ−０２７８１００に開示されるように、固体形態の炭酸水素ナトリウ
ムを、血液透析における緩衝剤としての使用に提供することはまた、公知である
。炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムの沈殿を防ぐために、炭酸水素ナトリ
ウムは、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含有する残りの透析溶液
と別々に保存される。炭酸水素ナトリウム粉末のカートリッジは、血液透析機に
挿入され、そして水がカートリッジを通過する。この粉末は、徐々に溶解し、そ
の結果炭酸水素ナトリウムの溶液が、連続的に生成される。この溶液は、連続的
に機械を通って流れ、透析器のインラインの上流で、残りの透析溶液と混合する
。従って、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムが沈殿するという問題を避け
るために、混合後は、機械中では短い休止時間（ｄｗｅｌｌ ｔｉｍｅ）のみ存
在する。

【０００５】 しかし、このようなカートリッジには問題が生じる。混合された透析溶液のｐ
Ｈは、透析器の上流でモニターされる。ｐＨが所定の範囲外に下がる場合、アラ
ームが発せられる。操作のために機械が調整される場合、最初の２０分間のフロ
ーの間に、このようなことがしばしば起こるということが、見出されてきた。こ
の期間の後、問題は起きない。アラームが発せられる度に、この問題が調査され
、そして機械をリセットしなければならないため、これにより、血液透析機を操
作する人物に実質的な不都合を生じる。

【０００６】 本発明者らは、この問題が、おそらく炭酸水素ナトリウム粉末に少量の炭酸ナ
トリウムが混入することにより引き起こされるということを発見した。炭酸水素
塩は、炭酸塩よりも溶けにくく、その結果、初期段階において炭酸塩の溶解によ
り高いｐＨが生じる。一旦炭酸塩が溶解すると、問題は消失する。しかし、炭酸
ナトリウムが混入していない炭酸水素ナトリウムの粉末を製造することは、困難
かつ高価である。

【０００７】 一旦炭酸ナトリウムの沈殿が原因であることが理解されれば、この問題に対す
る可能な解決策は、カートリッジの使用の最初の２０分間に、透析溶液に希薄酸
溶液を加えるために、ｐＨモニタリングデバイスの上流にさらなるラインを導入
することである。これは、カートリッジの上流または下流に導入され得る。しか
し、このことは、透析溶液の改変、さらなる溶液の使用およびさらなる操作制御
を包含する。

【０００８】 本発明者らは、カートリッジの内容物を変えることにより、この問題が比較的
簡単に解決され得るということを見出した。

【０００９】 （発明の要旨） 本発明は、カートリッジを通る水または溶液の通過のための、血液透析機にお
けるインライン接続のための、開放可能なシールされた入口および開放可能なシ
ールされた出口を有するカートリッジに関し、カートリッジは、固体形態の炭酸
水素ナトリウムを含有する。

【００１０】 本発明に従って、このカートリッジは、固体形態の酸、もしくは酸無水物、ま
たは二酸化炭素ガスをさらに含有する。

【００１１】 このカートリッジが血液透析機に取り付けられ、そして水がカートリッジを通
る場合、酸または酸無水物（二酸化炭素を含む）は、徐々に溶解されて、生じた
溶液のｐＨを下げ、炭酸ナトリウムの混入により引き起こされる、一時的なｐＨ
の増大を中和する。

【００１２】 提供される酸または酸無水物の量は、最初の１０〜３０分間の間に（すなわち
炭酸ナトリウムもまたカートリッジから浸出すると思われる時間の間に）カート
リッジから浸出されるように、好ましくは予め決定される。

【００１３】 二酸化炭素は、カートリッジをシールする前に、製作の間に、固体形態で（す
なわちドライアイスとして）添加され得る。

【００１４】 固体形態で使用され得る酸は、有機酸（例えば、クエン酸、または酒石酸（ク
エン酸は臨床的受容可能性について好ましい））であり得る。

【００１５】 このカートリッジは、１０００ｇの炭酸水素ナトリウム当たり少なくとも０．
２ｇの酸または酸無水物を含有し得；好ましくは１０００ｇ当たり少なくとも０
．５ｇ、そして最も好ましくは１０００ｇ当たり少なくとも１ｇを含有し得る。
好ましい実施形態は、１０００ｇ当たり２．７ｇを含有する。

【００１６】 （好ましい実施形態） 本発明の現在好ましい実施形態が、ここで記載される。血液透析機械の構造は
周知であり、同様に、血液透析機械における使用のための炭酸水素ナトリウムカ
ートリッジの構造は、周知である。従って、この機械およびカートリッジを、詳
細に記載しない。カートリッジは、イタリアのＢｉｅｆｆｅ Ｍｅｄｉｔａｌ
Ｓ．ｐ．Ａ．による登録商標ＥＡＳＹＣＡＲＴで販売される型のカートリッジで
あり得る。

【００１７】 カートリッジ１０は、蓋１５によって閉じられ、そしてチャンバ１１を規定す
る、本体１４を備える。本体および蓋は、ポリプロピレン中に射出成形される。
チャンバ１１は、顆粒状の結晶形態の炭酸水素ナトリウムを含むが、他の固体形
態が、可能である。蓋１５は、超音波溶接によって本体１４にシールされる。蓋
１５は、入口１２を有し、そして本体は、出口１３を有し、両方は、それぞれ、
一体型の膜１７、１８によって、成形された状態として密閉されてシールされる
。

【００１８】 カートリッジ１０は、２１で脱イオン水を受け、そして主要ライン２２の２３
で炭酸水素ナトリウム溶液を供給するための、第１ライン２０にインライン接続
される。膜１７、１８は、カートリッジの機械へのクランピングの間に、その機
械上に提供される穿孔手段によって、穿孔される。主要ライン２２もまた、２４
で脱イオン水を受ける。コンテナ３０は、透析溶液の他の成分の溶液を含み、こ
れは、第２ライン２５の２６で主要ライン２２に接続される。最終的な透析溶液
は、点２６で形成され、そして主要ライン２２は、これを、透析機４０に供給す
る。ｐＨ検出器５０は、点２６の下流かつ透析機の上流で主要ライン２２に接続
される。検出器は、制御システム（示さず）と接続され、この制御システムは、
ｐＨが所定の範囲外に及ぶ場合に、警報を発生する。この範囲は、通常６．８〜
７．９であり、ｐＨは、他の手段（例えば、伝導度測定）によってモニターされ
得る。

【００１９】 コンテナ３０中の溶液は、透析溶液中に通常提供される任意の成分（例えば、
塩化カルシウムおよび塩化マグネシウム、塩化ナトリウムおよび浸透圧剤（例え
ば、デキストロース））を含む。

【００２０】 本発明に従って、カートリッジは、炭酸水素ナトリウムに加えて、固体形態の
酸もしくは酸無水物、または二酸化炭素ガスを含み、いかなる炭酸ナトリウムの
混入も回避する。炭酸ナトリウムの混入は、所定の閾値を超えて、警報を誘発す
るのに十分な程度への、透析溶液のｐＨの一過的上昇を引き起こす。

【００２１】 カートリッジの好ましい実施形態は、７５０ｇの炭酸水素ナトリウムおよび２
ｇのクエン酸（両方とも、顆粒状の結晶形態）を含む。同様の重量比が、異なる
量の炭酸水素ナトリウムと共に使用され得る。

【００２２】 クエン酸の代替物は、好ましくは、同じ重量比で提供される。

【００２３】 ７５０ｇの炭酸水素ナトリウムおよびクエン酸、酒石酸または二酸化炭素（ド
ライアイスとして添加される）をそれぞれ含むカートリッジを使用して、試験を
行った。これらを、酸または二酸化炭素を加えていない同様のカートリッジと比
較した。

【００２４】 種々のカートリッジを使用して、Ｉｎｔｅｇｒａ（登録商標）透析機械を作動
させて試験を行った。カートリッジが、混合された透析溶液のｐＨが所定の範囲
から降下するのに起因して、警報シグナルが生じたことに注目した。各溶液の実
際の最大ｐＨもまた、記録した。「酸性」溶液（すなわち、透析溶液の他の成分
を含む溶液）は、Ｇａｍｂｒｏによって産生される標準溶液であった。各場合に
おいて、供給される水のｐＨは、６．１であった。結果を以下の表に示す。参照
カートリッジに伴う多くの誤警報が存在するが、本発明のカートリッジでは誤警
報は存在しない。

【００２５】 （表１） これは、７５０ｇの炭酸水素ナトリウムを含み、酸または二酸化炭素が添加さ
れない、参照カートリッジを使用した結果を示す。

【００２６】

【表１】 （表２） これは、クエン酸２ｇ、および７５０ｇの炭酸水素ナトリウムを含む、本発明
に従うカートリッジを使用した結果を示す。

【００２７】

【表２】 （表３） これは、０．５ｇまたは１ｇの二酸化炭素（ドライアイス）、および７５０ｇ
の炭酸水素ナトリウムを含む、本発明に従うカートリッジを使用した結果を示す
。

【００２８】

【表３】 （表４） これは、１ｇの酒石酸、および７５０ｇの炭酸水素ナトリウムを含む、本発明
に従うカートリッジを使用した結果を示す。

【００２９】

【表４】 異なる「酸」溶液、および異なるｐＨの水を使用して、他の実験を行った。各場
合において、本発明に従うカートリッジは、高いｐＨまたは低いｐＨのいずれか
に起因する警報を、全く生じなかった。

【図面の簡単な説明】

本発明は、添付の図面を参照して記載される。

【図１】 図１は、本発明のカートリッジの側面図であり、部分的に断面が示される。

【図２】 図２は、血液透析機械に連結された、図１のカートリッジの線図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ，ＺＷ )，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ， ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ， ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，Ｃ Ｒ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ， ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，Ｋ Ｚ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ， ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，Ｓ Ｋ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カートリッジであって、該カートリッジが、該カートリッジ
   を通る水または溶液の通過のための、血液透析機におけるインライン接続のため
   の、開放可能なシールされた入口および開放可能なシールされた出口を有し、該
   カートリッジが、固体形態の炭酸水素ナトリウムを含有し、 該カートリッジが、該カートリッジを利用して生成される透析溶液のｐＨにお
   ける一時的な増大を防ぐ量で、固体形態の酸もしくは酸無水物または二酸化炭素
   ガスをさらに含有することを特徴とする、カートリッジ。
2. 【請求項２】 前記酸が、粉末形態である、請求項１に記載のカートリッジ
   。
3. 【請求項３】 前記酸が、クエン酸である、請求項１または請求項２に記載
   のカートリッジ。
4. 【請求項４】 前記酸が、酒石酸または別の有機酸である、請求項１または
   請求項２に記載のカートリッジ。
5. 【請求項５】 炭酸水素ナトリウム１０００ｇ当たり少なくとも０．２ｇの
   酸、酸無水物、または二酸化炭素を含有する、請求項１〜４のいずれか１項に記
   載のカートリッジ。
6. 【請求項６】 前記カートリッジが、炭酸水素ナトリウム１０００ｇ当たり
   少なくとも０．５ｇの酸、酸無水物、または二酸化炭素を含有する、請求項５に
   記載のカートリッジ。
7. 【請求項７】 固体炭酸水素ナトリウムを含有するカートリッジを含む異な
   る成分供給源から、血液透析機で連続的に生成される透析溶液におけるｐＨの、
   一時的な増大を防ぐ方法であって、該方法が、該カートリッジに、固体形態の酸
   または酸無水物、または二酸化炭素ガスを含ませる工程を包含する、方法。
8. 【請求項８】 前記カートリッジおよび該カートリッジの内容物が、請求項
   １〜６のいずれか１項に記載されている、請求項７に記載の方法。
9. 【請求項９】 請求項１に記載のカートリッジに、二酸化炭素ガスを導入す
   る方法であって、ここで該二酸化炭素がドライアイスとして導入される、方法。
10. 【請求項１０】 請求項１〜６のいずれか１項に記載のカートリッジを備え
    る血液透析機であって、該カートリッジがインラインで接続される、血液透析機
    。