JP2002529509A - ヒト間葉幹細胞の子宮内移植で胎児を処置し間葉幹細胞を移植し移植器官を調製する方法と調製された雑種器官 - Google Patents

ヒト間葉幹細胞の子宮内移植で胎児を処置し間葉幹細胞を移植し移植器官を調製する方法と調製された雑種器官

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JP2002529509A JP2000582048A JP2000582048A JP2002529509A JP 2002529509 A JP2002529509 A JP 2002529509A JP 2000582048 A JP2000582048 A JP 2000582048A JP 2000582048 A JP2000582048 A JP 2000582048A JP 2002529509 A JP2002529509 A JP 2002529509A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は子宮内移植のための間葉幹細胞に指向される。このような間葉幹細胞は胎児を処置する方法で、または間葉幹細胞を移植する方法で、あるいは移植のための器官を準備する方法で使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本出願は1998年11月13日出願された(合衆国)暫定出願連続番号60
/108,357号に基づく優先権を主張する。
【0002】 本発明は細胞治療の分野に関し、より詳細には間葉幹細胞を投与することによ
る、生体内遺伝子治療の分野に関する。
【0003】
【背景技術】
遺伝代謝病を含むある種の疾病は出生前の胎児の回復不能の損傷を与えること
がある。
【0004】 子宮内造血幹細胞の移植は数多くの免疫欠損疾病、異常血色素症およびその他
の疾病の潜在的な治療法である。胎児受容者にとっての利点は、移植細胞に対す
る免疫学的寛容と、提供者細胞の競合的移植に対する新しい「ニッチ」(生態学
的地位)の形成を伴う造血画分の急速な拡大である。発生の段階で交差胎盤循環
を分かち合う二卵性双生児における造血キメラ現象の自然モデルの存在は、正常
な造血の受容者において出生前移植で高水準の提供者細胞キメラ現象を達成する
ための潜在能を支持する。
【0005】 ヒツジと他の動物モデルでの実験作業は脊髄剥離または免疫抑制を必要とする
ことなく、免疫許容胎児における長期多系統同種異系または異種造血キメラ現象
を達成するのに成功した。この免疫許容胎児におけるキメラ現象は真の多能造血
幹細胞の移植にてっては二義的であることが知られた。限定された臨床的成功が
提供者細胞に対して選択的利点がある免疫欠損疾患で達成された。しかし大抵の
疾病では、その選択的利点は存在せず移植は欠失していたり低かったりした。細
胞数と分化細胞型の両方で移植が限定され、もしくは欠失していることは、現在
子宮内幹細胞移植の臨床的適用の拡大に障害となっている。短期間の免疫許容性
の短期間での移植の必要性も有効な治療を確立するためのも一つの障害となる。
【0006】
【発明の開示】
間葉幹細胞はとりわけ骨髄、血液、真皮および骨膜で見出される造形多能性細
胞であり、それはいずれかの間葉組織または結合組織、例えば骨、軟骨、筋、支
質、腱、および脂肪などのいずれかに分化できる。
【0007】 細胞の均質集団は培養で継代することとができ、造血細胞マーカーの欠如によ
りまた表面抗原のユニークなセットの存在により特徴付けられる。特異的条件の
下でそれらは骨、軟骨、脂肪細胞、腱、および筋を形成するように誘導され、ま
たその未分化の状態で大まかには支質線維芽細胞に類似し、更に長期骨髄培養で
LT−CICの支持により証明されるように造血を支持することができる。準備
生体内研究は、これらの細胞が静脈内投与の後出生後受容者の骨髄にホーミング
し、また骨髄剥離調整体制後の構築を加速することができる。
【0008】 従って、胎児受容者での提供者細胞移植を増加することが本発明の一つの目的
である。も一つの目的は原位置で分化できる提供者細胞を胎児受容者に提供する
ことにより損傷または罹病組織を再生することにある。またも一つの目的はキメ
ラ器官と組織を調製することである。更にも一つの目的は治療用遺伝子生産物を
発現するように修飾された間葉幹細胞を投与することにより受容者を処置するこ
とである。
【0009】
【発明の概要】
子宮内で胎児に移植された間葉幹細胞(MSCs)は胎児全体に分配されたこ
とが発見された。MSCsは生存したままでありそれが移植された組織または器
官に適切な細胞型に分化した。驚くべきことには、MSCsとその子孫は免疫適
格宿主に拒絶されなかった。MSCsは細胞治療と組織工学に使用することがで
きる。
【0010】 正常MSCsはG−CSF,SCF,LIF,M−CFS,IL−6およびI
L−11を含む数多くのサイトカインを発現し分泌する(ヘインズワーク,他, 細胞生理学ジャーナル 、166巻、3号、585−592ページ(1996年3
月)。同じように機能的非自己MSCsが欠損性自己由来MSCsを持つ胎児に
移植された時、前記機能的MSCsの送達のおかげでそれによる「遺伝子治療」
が宿主に対して行われる。
【0011】 また更に、対象となる外因性遺伝物質を運ぶように修飾された間葉幹細胞が分
化するように誘導されると、子孫細胞も同じく新しい遺伝物質を運ぶことが発見
された。これらの細胞は外因性遺伝産物を発現することができる。かくして形質
導入間葉幹細胞とそれから分化した細胞はそれらの修飾細胞を使用する処置が利
益となる場合に適用して使用することができる。例えばこれらの修飾細胞は、血
液凝固および創傷治療の先天性およびまたは後天性疾患の処置のための外因性遺
伝子によりコード化された治療用タンパク質の送達システムとして使用すること
ができる。
【0012】 従って、本発明は遺伝子修飾間葉幹細胞を獲得する方法を提供し、この方法は
間葉幹細胞を外因性遺伝物質で形質導入し、形質導入細胞を外因性遺伝物質を含
む系統に分化するのに適した条件の下に置くことによりなる。
【0013】 従って、本発明はヒト間葉幹細胞を子宮内で投与することにより生体内遺伝子
治療を実行する方法に指向される。間葉幹細胞はある環境に依存しながら特異的
な系統に分化し組織欠損の修復を実行するために組織状のものに組み込むことが
できる。
【0014】 この見地のも一つの実施例において、間葉幹細胞は外因性遺伝物質で形質導入
することができ、そのため遺伝子産物は望ましい治療効果を提供するために生体
内で間葉幹細胞またはその分化した子孫により発現されるであろう。
【0015】 も一つの見地において、本発明は間葉幹細胞の生体内分布と移植を高めるのに
有効な量でヒト間葉幹細胞を投与することにより、それを必要とする被験者を処
置する方法を含む。
【0016】 この見地のも一つの実施例において、間葉幹細胞は外因性遺伝物質で形質導入
することができ、そのため遺伝子産物は望ましい治療効果を提供するために間葉
幹細胞またはその分化した子孫細胞により生体内で発現されることになる。
【0017】
【発明の更なる説明】
ヒト/ヒツジモデルは子宮内移植後にヒト造血幹細胞がヒツジ骨髄内に何年も
生存する著しく類似点のない異種キメラ現象のユニークモデルである。これらの
細胞は子宮内再移植の後多能性造血幹細胞の移植を立証する第2世代受容者に多
系統長期移植を確立することができる。このシステムは造血サイトカインの種特
異性により限定される。ヒツジの微環境はヒトHSCsと先祖細胞の生活能力を
支持することができるが、ヒトサイトカインの場合には分化と抹梢発現に向けて
細胞を駆動することが必要とされる。ヒト細胞はフローサイトメトリー、蛍光原
位置ハイブリッド形成法、血液組織化学、およびPCRなどの各種の感受性手順
を用いてそのシステムで検出することができる。
【0018】 本発明は一般にヒト間葉幹細胞に関し、また子宮内投与のためのヒト間葉幹細
胞を含む組成物に関する。
【0019】 ここに記載された方法のために被験者ヒト間葉幹細胞を得るために、間葉幹細
胞は骨髄内の他の細胞または他の間葉幹細胞源から回収することができる(ピッ
テンジャー、前掲)。骨髄細胞は腸骨稜、大腿骨、脛骨、脊髄、肋骨または他の
髄腔から得られる。ヒト間葉幹細胞の他の源は胚卵黄包、胎盤、臍帯、胎児およ
び青年の皮膚、および血液を含む。培養コロニーでの間葉幹細胞の存在はユニー
クモノクローナル抗体で同定される特異的細胞表面マーカーで立証される。これ
に関しては、例えば合衆国特許5,486,359号を参照されたい。これらの
単離間葉細胞集団は間葉幹細胞のみと関連するエピトープ特性を演じるし、分化
なしで培養で再生する能力を持ち、また試験管内あるいは生体内で特異的間葉系
統に分化する能力を持つ。
【0020】 間葉幹細胞集団は受容者に対して自己由来、同種異系、または異種であること
ができる。望ましくは、間葉幹細胞は受容者と同種からのものである。より望ま
しくは、MSCsはヒト起原のものである。
【0021】 従って、ヒト組織から間葉幹細胞を回収するのに有用なプロセスはいずれも主
として間葉幹細胞を含む細胞集団に帰着する。一つの見地において、間葉幹細胞
を単離する方法は、間葉幹細胞を含む組織標本、望ましくは骨髄を準備し、例え
ば密度勾配遠心法により標本から間葉幹細胞を単離し、間葉幹細胞が培養された
時に基質表面に間葉幹細胞のみの選択的付着を可能にし分化なしで間葉幹細胞成
長を刺激する要素を含む培地に単離細胞を加え、標本・培地混合物を培養し、ま
た非付着性物質を基質表面から除去する段階を含む。
【0022】 本発明の方法に従って、単離間葉幹細胞は適切な培地で培養拡張され、すなわ
ち富化細胞集団の細胞成長を促進する方法により培養される。一般に、細胞は0
.05−2×105細胞/cm2の密度、望ましくは0.5−10×104細胞/
cm2の密度で平板培養される。
【0023】 細胞は、例えばフローサイトメトリー分析(FACS)などで細胞集団の組成
物を決定するために、培養前、培養中、および培養後に特徴付けられる。ヒト間
葉幹細胞はヒト間葉幹細胞特異的モノクローナル抗体で染色することができる。
【0024】 温度、pHその他類似のものなどのような培養条件は本発明で利用される細胞
でこれまでに使用されたものであり当業者にとっては明らかであろう。
【0025】 ここで記載された方法に従って生産された間葉幹細胞はそれを必要とする個体
、例えば細胞治療、組織工学または再生及び遺伝子治療などを必要とする人にと
っては間葉幹細胞の信頼すべきまた定常的な源を提供するものとして使用できる
【0026】 本発明の他の見地は、遺伝の間葉幹細胞への導入に関し、間葉幹細胞と細胞の
子孫は新しい遺伝物質を運ぶ。
【0027】 かくして本発明のこの見地に従って、間葉幹細胞は対象となる遺伝物質で修飾
することができる。間葉幹細胞は遺伝子発現の産物を発現することができ、また
シグナル配列と共に発現産物を分泌する。これらの修飾細胞は次いで標的、すな
わち発現産物が利益のある効果を持つ間葉幹細胞または遺伝子発現産物を必要と
する標的に投与することができる。
【0028】 かくして遺伝子は細胞に導入されそれはついで自己由来提供者に戻されまたは
非自己受容者に提供され、そこで遺伝子の発現が治療効果を持つことになる。例
えば間葉幹細胞は治療タンパク質を発現するように遺伝子操作される。言及され
たものは、現在膵臓から単離され組み換えで試験管内で広範囲に精製されもしく
は製造され、次いでインスリン生産またはその利用が損なわれた人の体内に注射
されねばならないインスリンの連続送達を提供することを含む。遺伝子操作ヒト
間葉幹細胞は更に凝固因子の生産に使用することもできる。血友病Aで苦しむ人
は凝固に含まれる因子VIIIと呼ばれるタンパク質を欠いている。組み換え因子VI
II産物が今では利用可能であり注射で投与される(コジネート(登録商標),バ
イエル、バークレー、カリフォルニア)。対象となる遺伝物質のヒト間葉幹細胞
と他の型の細胞へのとり込みは先天性および後天性疾病の処置でとりわけ貴重で
ある。このようにして処置され得る先天性疾病はファブリー病、ゴシェ病、ヒス
チジン尿症または家族遺伝性低コレステロール血症などのアミノ酸代謝疾患、お
よび遺伝性オロチン酸酸性尿症などの核酸代謝疾患を含む。行方不明または不適
切に産生された物質をコード化する遺伝子で形質導入されたヒト幹細胞は十分な
量でそれを生産するために使用できる。例えばアルファガラクトシダーゼA酵素
の十分な量を生産できないファブリー疾患者はこの酵素をコード化する遺伝子で
形質導入されたMSCsを与えることができた。
【0029】 ある種の遺伝子疾病は胎児または生後間もない個体に損傷を与える。従って必
要とされる遺伝子産物を子宮内で送達することが望ましい。間葉幹細胞はとりわ
け遺伝子治療に有利であるが、何故ならそれは高い効率で形質導入され、長く生
存しまた大きな数の娘細胞を生産する能力を保持するためである。形質導入MS
Csは外因性遺伝子を高水準で長期にわたり発現する。この発現は連続分化しま
た端末分化後も継続できる(アレー、他、ヒト遺伝子治療、8巻、12号、14
17−1427ページ(1997年8月10日)。
【0030】 間葉幹細胞は、例えば組み換え発現ベクターを使用して遺伝物質を細胞に取り
込むことにより遺伝子修飾することができる。
【0031】 ここで使用されているように、「組み換え発現ベクター」は(1)例えばプロ
モーターまたはエンハンサーなどの遺伝子発現で調節役割を持つ遺伝子要素、(
2)mRNAに転写されタンパク質は翻訳される構造配列またはコード配列、お
よび(3)適切な転写開始配列および終結配列、のアセンブリを含む転写単位を
指示する。真核発現システムに使用されることを意図する構築単位は、望ましく
は宿主細胞による翻訳タンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む
。選択肢として、組み換えタンパク質がリーダー配列または輸送配列なしで発現
される場合には、それはN末端メチオニン残基を含む。この残基は最終産物を提
供するために発現された組み換えタンパク質から切断され、または切断されない
場合もある。
【0032】 間葉幹細胞はかくして安定して組み換え転写単位を染色体DNAにとり込み、
または組み換え転写単位を常在性プラスミドの一成分として運ぶことができる。
細胞は例えばポリペプチドをコード化するポリヌクレオチド(DNAまたはRN
A)で遺伝子操作される。細胞はポリペプチドをコード化するRNAを含むレト
ロウイルス粒子の使用で従来公知の手順で遺伝子操作される。
【0033】 前に記載のレトロウイルスプラスミドベクターが誘導されるレトロウイルスは
、必ずしもそれに限定されないがモロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイ
ルス、レトロウイルスの各種、例えばラウス肉腫ウイルス、ハーベー肉腫ウイル
ス、鳥類白血病症ウイルス、ギボン手長ザル白血病ウイルス、ヒト免疫欠損ウイ
ルス、アデノウイルス、脊髄増殖肉腫ウイルス、および哺乳類腫瘍ウイルスを含
む。一つの実施例において、レトロウイルスプラスミドベクターはマウス胚幹細
胞から誘導されるMGINである。一般にレトロウイルス仲介遺伝子導入に関し
ては、マクラッハリン他(1990年)を参照されたい。
【0034】 望ましいレトロウイルスパッケージング細胞系は合衆国特許番号第5,910
,434号に記載されており、その内容は引用例としてここにとり込まれている
。このような細胞系は非常に高い水準の形質移入、すなわち80%以上を可能に
する。
【0035】 ポリペプチドをコード化する核酸配列は適当なプロモーターの制御下にある。
採用される適当なプロモーターは必ずしもそれに限定されないが、TRAPプロ
モーター、アデノウイルスプロモーター、呼吸合胞体ウイルス(RSV)プロモ
ーター、誘導プロモーター、例えばMMTプロモーター、メタロチオネインプロ
モーター、熱ショックプロモーター、アルブミンプロモーター、ApoAIプロ
モーター、ヒトグロビンプロモーター、ウイルスチミジンキナーゼプロモーター
、例えば単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター、レトロウイルス長末端反
復(LTRs)、ITRs、βアクチンプロモーター、ヒト成長ホルモンプロモ
ーター、GPIIbプロモーターを含む。プロモーターはまたポリペプチドをコー
ド化する遺伝子を制御する天然プロモーターである。これらのベクターは更に遺
伝子操作始原細胞によりポリペプチドの生産を調節することを可能にする。適当
なプロモーターの選択は当業者には明らかであろう。レトロウイルスLTRは望
ましいプロモーターである。
【0036】 間葉幹細胞を遺伝子操作または修飾してレトロウイルス以外の賦形剤を使用す
ることも可能である。対象となる遺伝情報はこのような細胞で新しい遺伝物質を
発現できるいずれかのウイルスによって導入できる。例えはSV40,ヘルペス
ウイルス、アデン関連性ウイルス、およびヒト乳頭腫ウイルスがこの目的に使用
できる。
【0037】 加えて発現ベクターは形質転換細胞選択のための表現型形質を提供するための
1個またはそれ以上の標識遺伝子、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ、ネオマイ
シン耐性タンパク質またはグリーン蛍光タンパク質(GFP)などを含む。
【0038】 間葉幹細胞は従来の技術で公知の他の手段を通じて形質移入ることとができる
。このような手段は、必ずしもそれに限定されないが、リン酸カルシウム仲介形
質移入またはDEAE−デキストラン、ポリカチオンポリブレン仲介形質移入(
河合と西沢1984年、チェイニー他1986年)、プロトプラスト融合法(ロ
ベール・ド・サン・ヴァンサン他1981年、シャフナー1980年、ラスール
ザデガン他1982年)、遺伝子導入法(ノイマン他、1982年、ツィンマー
マン1982年、ボッグス他1986年)、リポソーム(例えばマンニノとグー
ルド−ホジャライト(1988年))、リポソーム内でDNAまたはRNAのカ
プセル被包、次いでリポソームの細胞膜での融合、あるいはDNAが合成カチオ
ン脂質で被覆されたDNAが融合により細胞内に誘導できる(フェイグナー他(
1987年))、フェルグナーとホーム1989年、モーラー1989年)のい
ずれかでのリポソームを含む。
【0039】 本発明は更に、ヒト間葉幹細胞内で生物学的に有意な量すなわち少量で正常に
生産されるのではなくて、発現の増加が治療利益に導く状況で生産されるように
間葉幹細胞が試験内または生体内でポリペプチド、ホルモンおよびタンパク質を
生産するようなやり方で間葉幹細胞を遺伝子操作することを可能にする。このよ
うな形成されたヒト間葉幹細胞は発現物質の連続する短期または長期生産システ
ムとして役立ち得る。選択肢として、細胞は通常発現されるタンパク質がずっと
低い水準で発現されるように修飾することができた。これはアンチセンス核酸技
術、触媒酵素発現、一本鎖状抗体発現、その他で達成できる。
【0040】 この技術は間葉幹細胞で生体内でのある腫の遺伝子の発現の増加を可能にする
必須遺伝子の追加コピーを産生するのに使用できる。これらの遺伝子は、例えば
ホルモン、基質タンパク質、細胞膜タンパク質、サイトカイン、細胞接着分子、
繊維修復に重要な「再構築」タンパク質であることができる。生体内での外因性
遺伝物質の発現は「遺伝療法」としてしばしば引用される。疾病状態そのような
処置が適用される手術は遺伝疾患と血液の疾病と免疫系である。形質転換細胞の
細胞送達は各種の方法を用いて実行され、それは静脈内または腹腔内注入および
骨膜、骨髄および皮下部位への直接デポー剤注射を含む。
【0041】 本発明の間葉幹細胞は従来公知の方法を用いて胎児に投与される。
【0042】 も一つの見地において、本発明は子宮内で第一種の胎児に対して第二種の間葉
幹細胞を投与することにより第一種の胎児の器官を修飾する方法を提供する。望
ましい実施例において、ヒト間葉幹細胞は子宮内で非ヒト胎児に投与される。本
発明のこの見地の範囲はいずれかの理論的類推に限定されるべきではないけれど
も、非ヒト胎児器官は続く移植片が未修飾器官よりもヒトに入るという関係にお
いて免疫原性がより少ない(例えば公開PCT出願番号WO99/47163号
を参照されたい)。かくして修飾非ヒト器官は移植により適切なものとなる。
【0043】 本発明のこの見地はとりわけ動物器官をヒトに移植するのに適している。この
ような器官は必ずしもそれに限定されないが、心臓、膵臓、腎臓、皮膚、肝臓、
胸腺、脾臓、骨髄、軟骨および骨を含む。例えば、ヒト間葉幹細胞は非ヒト動物
胎児に投与される。MSCsは望ましくはヒト患者に自己由来のものである。出
生後非ヒト動物は適当な年齢およびまたは大きさまで育てられ、そのため移植さ
れる器官の大きさはヒトにより必要とされる器官の大きさまで近づく。修飾され
た器官は次いで収穫されヒト患者に移植される。
【0044】 説明される実施例として、重篤先天性心臓欠損を持つ小児患者からの間葉幹細
胞はブタ胎児に投与される。修飾された心臓は次いで除去された小児患者に移植
されることになる。
【0045】 前記の本発明の説明および以下の実施例は説明の目的のみである。本発明の他
の順列と実施は添付する図と組合わせて前記のことを考慮して当業者には容易に
予想されるであろう。従って、このような順列と変化は本発明の範囲内にある。
【0046】
【発明を実施するための最良の形態】
実施例1 間葉幹細胞(MSCs)の単離にルーチンに使用されるヒト骨髄吸引液がメリ
ーランド、ゲイザーズバーグ、ポイエティック・テクノロジーズから購入された
。新鮮骨髄はインフォームド・コンセントが得られた後に正常ヒト提供者からル
ーチンの腸骨稜吸引で得られた。MSCsは前に記載の通り単離された(ピッテ
ンジャー、他、サイエンス、284巻、143−147ページ(1999年))
。要約すると、骨髄吸引液10mLが選択されたロットからの胎児ウシ血清10
%(ユタ、ローガン、ハイクローン・インコーポレイテッド)を含む対照培地、
ダルベッコ修飾必須培地(メリーランド、ゲイザーズバーグ、ジブコ/BRL)
20mLに加えられ、細胞をペレットにし脂肪を除去するために遠心分離された
。細胞ペレットは対照培地で再懸濁され、パーコル液70%(供給業者)で13
,000gで20分遠心分離して生成される密度勾配で分画された。MSC富化
低密度分画が収集され、対象培地で洗浄され、1×107有核細胞/60mm2
で平板培養された。MSCsは対照培地で37℃でCO2、5%または炭酸ガス
5%を含む加湿雰囲気で培養された。密集近くに到達すると、細胞はEDTA1
mMを含む0.25%トリプシンで5分37℃で分離された。細胞は対照培地で
洗浄されDMSO、5%(ミズーリ、セントルイス、シグマ・ケミカル・カンパ
ニー)を含む対照培地で5×106MSCs/mLで再懸濁された。細胞は次い
で次の実験で使用するために液体窒素内で貯蔵された。
【0047】 胎児ヒツジ受容者の造血部位と他の組織でホーミングし移植する間葉幹細胞(
MSCs)の能力を決定するために、MSCsは(ヒツジの造血成長の異なる存
在論的段階を表す)妊娠65日で5×106MSCs/胎児と妊娠85日で50
×106MSCs/胎児で胎児ヒツジに静脈内または腹腔内に移植された。50
日には造血は骨髄で検出できる支質には何らの変化もなく胎児の肝臓のみに独占
的に発見された。65日では胎児の肝臓は一次造血器官のままであったが支質要
素がいくつかの造血細胞と共に骨髄で見られた。80日では胎児肝臓と骨髄両方
での造血はいずれも活発である。加えて、65日の胎児は非自己造血細胞に対す
る免疫応答を配備せず、これに対して85日の胎児は免疫能があり造血細胞移植
片を日常的に拒絶する。
【0048】 受容者は移植7日または14日後に犠牲にされ、肝臓、脾臓、骨髄、胸腺、肺
、脳および血液がヒト特異的β−2ミクログロブリンのためPCRで分析された
。ヒト配列にポジティブの組織が視覚化のために西洋ワサビペルオキシダーゼで
の二次染色でヒトβ−2ミクログロブリンを染色して形態学的評価のために免疫
組織化学により確認された。
【0049】 方法 胎児子ヒツジ 注射 時間を記録された妊娠雌ヒツジがケタミンとマスク吸入ハロタンを用いて鎮静
された。動物は手術台にあおむけの位置で固定され、気管支内に挿管され、機械
的に通気された。手術全体で麻酔が鎮静状態の適切な深さを滴定されたハロタン
・酢酸混合物で維持された。乳酸加リンゲル液と術前抗生物質の注入のために外
頸静脈で静脈内投与が開始された。雌ヒツジの腹が無菌に準備され減菌布で覆わ
れた。標準無菌手法を用いて垂直正中線開腹手術が行われ子宮が露出された。胎
児子ヒツジで妊娠65日または85日のものがそれぞれ5×106MSCs/胎
児、50×106MSCs/胎児の経子宮腹腔内または静脈内注射を受けた。静
脈内注射を受けたグループに対して、雌ヒツジは切断子宮縁部での出血を制限す
るために電気メスとバブコック鉗子を使用して水平子宮切開を受けた。後脚と臍
帯の基底を一時体外に露出され静脈内注射が行われた。胎児後脚と臍帯は羊膜腔
に戻された。羊水は暖かい無菌乳酸加リンゲル液で元に戻され子宮切開はTA−
90ステープラーで閉じられた。
【0050】 母ヒツジ腹部は層で閉じられコロジオンで被膜された。雌ヒツジは可動檻に入
れここで完全に麻酔から回復するまで監視した。雌ヒツジは完全に機敏になり、
立ち、食餌し、飲むことができるようになるまで続けて監視された。同時に動物
は元の確保された部屋に戻された。術後の苦痛を和らげるためにブプレノルフィ
ンが投与された。動物は4−8時間後に、その後1日に1〜2回調査チームにチ
ェックされた。苦痛に対する必要に応じて8時間毎にブプレノルフィンの用量が
投与された。また抗生物質(リカマイシン)が5日間毎日与えられた。術後各訪
問で動物の生活状態が評価された。創傷は視覚でおよび感染または裂開の徴候を
検出するための触診の両方で試された。また膣はいずれも予定より早い出産の徴
候である分泌物または粘液栓を探すために外部から検査された。
【0051】 雌ヒツジと子ヒツジを含む動物はケタミンを使う最初の安静化の7日または1
4日後に致死的心臓内塩化カリウム注射を使用して安楽死させた。肝臓、肺、骨
髄、胸腺、脾臓、脳、血液を含む各種の組織が組織病理学と、ヒト移植片の存在
の分析のために収穫された。組織(心筋、胸腺、骨髄、筋および脾臓)のPCR
分析のために、動物は9週で犠牲にされた(4動物は65日、4動物は85日)
(図1−4)。
【0052】 組織処理 胎児組織は一晩中性ホルマリン固定液で4℃で固定されパラフィン包埋された
。全細胞DNAの単離に対し各組織からのサンプルが液体窒素でスナップ凍結さ
れ、後でDNA抽出のために−80℃で貯蔵された。
【0053】 免疫組織化学 連続5μm薄片が30/50ミクロトーム(薄片作成器)を用いてパラフィン
包埋組織のそれぞれから得られた。薄片は脱パラフィンされ、脱水され、再水和
され、次いでマイクロ波抗原検索を受けた。薄片は次いでヒトラクスI抗原とS
H2/SH3抗原のために免疫組織化学に染色された。後の2個の抗原はMSC
sで発見されている(合衆国特許番号5,837,539号参照)。
【0054】 ポリメラーゼ連鎖反応 前記記載の器官からの全細胞DNAはDNAzolを使って単離された。ヒト
クラスI抗原用の特異的プライマーは公開ヒトクラスI配列に基づき選択された
。要電すると、1ugのDNAが0.65mLのマイクロ遠心分離管に加えられ
氷上に置かれた。マスター混合物が調製され氷上に置かれ、各サンプルの試薬の
最終濃度は2.5Uアンプリターク・ゴールドDNAポリメラーゼ(パーキン・
エルマー,ノーフォーク,コネティカット),200umデオキシ三リン酸塩(
dNTP’s,ファルマシア,ピスキャタウエー,ニュージャージー)、50M
塩化カリウム,10mM、Tris−C1(22℃でpH8.3),1.5mM
の塩化マグネシウム、0.01%ゼラチン、および1uMの上流と下流プライマ
ーであった。サンプルはサーモサイクラーブロックが94℃に到達するまで氷上
に置かれ、前記温度に達すると直ちにサンプルは9分間ブロックに置かれた。サ
ンプルは94℃デ30秒の40サイクル、次いでプライマーアニーリングで30
秒、更に72℃で伸長1分で増幅された。最終サイクルの完了に際して、サンプ
ルは5分間72℃で保温された。PCR産物は1Xトリス酢酸ランニング緩衝液
内でmL当り臭化エチジウム0.5ugを含む2.5%Nuシーブ/シーケムア
ガロースゲルを経由して電気泳動を受けた。ゲルはUV280nm光で放射され
タイプ55ポジティブ/ネガティブポラロイド(登録商標)フィルムで撮影され た。ネガティブ写真は透過で走査され、帯の強度はインテリジェント・カンティ ファイヤー濃度計を用いて決定された。帯強度は既知のヒトDNA濃度で生成さ れた標準曲線と比較された。
【0055】 実施例2 動物:時間の記録された双生児を妊娠したウエスターンクロス・ヒツジ(トー
マス・モリス,ライスターズタウン,メリーランド)がフィラデルフイァ子供病
院附属のALAAC承認大型動物施設に入らせ、任意に標準食事と水を与えられ
た。子宮内注射に続きヒト間葉幹細胞(MSC)の分化の分布と潜在能を測定す
るために、推定胎児重量Kg当り1−2×106ヒト間葉幹細胞が65日または
85日目妊娠胎児ヒツジの腹腔に注射された。子宮内注射後のヒトMSCsの分
布を測定するために、胎児ヒツジは注射後1乃至2週後または2乃至5ヶ月後に
犠牲にされ、肝臓、脾臓、肺、骨髄、胸腺、脳、心臓、骨格節、軟骨、および血
液が収穫されヒト細胞の存在を分析された。65日妊娠胎児ヒツジの小さなサブ
セットで、胎児尾部はMSC注射時に切り詰められ、尾部創傷はDNA単離と免
疫組織化学のために創傷1週乃至2ヶ月後に収穫された。
【0056】 組織処理:前記収穫された胎児組織は10%の中性緩衝ホルマリン液(フィッ
シャー・サイエンティフィック,アトランタ,ジョージア)で4℃で1晩固定さ
れた。骨髄サンプルは次いでCal−EX(フィッシャー)で12時間石灰質を
除去され、次いで3−4時間蒸留水で洗浄された。サンプルは次いで前記の通り
パラフィン包埋された(カリング,組織病理学組織化学手法ハンドブック,バタ
ーワーク・カンパニー,ロンドン(1974年))。加えて各組織からのサンプ
ルは液体窒素で短期凍結され、続く全細胞DNA抽出のため80℃で貯蔵された
【0057】 DNA単離:前記の器官からの全細胞DNAはDNAzol(モレキュラー・
リソース・センター,インコーポレイテッド,シンシナティ,オハイオ)を用い
て単離された。要約すると、約100mgの組織が1mLのDNA20lで均質
化された。DNAは0.5mLの100%エタノールで沈殿された。DNA沈殿
物は遠心分離でペレット化され、次いで2回95%エタノールで洗浄された。D
NAペレットは無菌水に溶解された。
【0058】 PCR分析:ヒト細胞の存在をヒツジ組織で選別するために、全細胞DNAは
前に記載の方法(ギリランド、他、全米科学アカデミー紀要、87巻、2757
−2729ページ(1990年))を修飾したものを用いてヒト特異的β−2ミ
クログロブリンのPCR分析を受けた。要約すると、前記組織から単離された1
ugの全細胞がDNAが個々の0.65mLマイクロ遠心分離管に加えた氷上に
置かれた。マスター混合物が調製され氷上に加えられ、各サンプルの試薬の最終
濃度が2.5Uアンプリターク・ゴールドDNAポリメラーゼ(パーキン・エル
マー,ノーウォーク,コネティカット)、200uMデオキシ三リン酸塩(dN
TP’s,ファルマチア,ピスキャタウエー,ニジャージー)、50mM塩化カ
リ、10mM、Tris−C1(22℃でpH8.3)1.5mM塩化マグネシ
ウム、0.01%のゼラチン、および1uM上流および下流プライマーになるよ
うにされた。ヒトβ−2ミクログロブリンに特異的なプライマーは公開ヒト配列
(D)、(上流プライマー5’−GTGTCTGGGTTTCATCAATC.
下流プライマー5’−GGCAGGCATACTCATCTTTT)に基づいて
選択され、ヒツジではなく特異的にヒトDNAを増幅することが示された。サン
プルはサーモサイクラーブロックが95℃に到達するまで氷上に置かれ、その温
度に達した時サンプルはブロックに9分置かれた。サンプルは50サイクルで3
0秒94℃で、次いで55℃のプライマーアニーリングで30秒、また伸長で7
2℃で1分増幅された。最終サイクルが完了すると、サンプルは5分72℃で保
温された。PCR産物は2.5%Nuシーブ/1% 1×Tris酢酸ランニン
グ緩衝液で0.5ug臭酸エチジウム/mLを含むシーカーンアガロースゲルを
通じて電気泳動を受けた。ゲルはUV280−nm光で照射されタイプ55ポジ
ティブ/ネガティブポラロイドフィルムで撮影された。
【0059】 免疫組織化学: 免疫組織化学:PCRの結果を立証するために、ヒトβ−2ミクログロブリン
のための免疫組織化学が前に記載の通り行われた。分化を評価するために、胸腺
上皮のマーカー(F)であるヒトCD74、骨髄支質のマーカー(G)であるヒ
トCD23、心筋、骨格筋、平滑筋のマーカー(H)である滑面、小胞体カルシ
ウムアデノシントリホスファターゼ2(serca−2)、あるいは中枢神経組
織(I)のマーカー(I)であるグリア細胞神繊維性酸性タンパク質(GFAP
)に免疫組織化学染色が行われた。要約すると、パラフィン包埋組織それぞれか
らパラフィン切片(4−5μm)がスーパーフロスト・プラス・スライド(フィ
ッシャー)に収集された。スライドは24時間55℃で保温され、次いで30分
キシレンに液浸され、更に10分間グレードアルコールシリーズから脱イオン水
まで加えられて戻され、最後に空気乾燥された。抗原検索を高めるために、スラ
イドは組織アンマスキング液(テッド・ペラ、レディング、カリフォルニア)に
液浸された。室温(RT)で30分のブロッキングが一次抗体が(1:20の希
釈で)強められる種からの非免疫血清を用いて行われ、次いで12時間特異的一
次抗体で保温された。使用された一次抗体希釈液は以下のものであった:ヒトβ
−2ミクログロブリン(ファーミンゲン・インターナショナル,サンディエゴ,
カリフォルニア,1:200);ヒトCD74(ファーミンゲン,1:10);
またはヒトCD23(ベクター・ラボラトリー,バーリンゲーム,カリフォルニ
ア,1:10)。スライドは次いで30分室温で第2ブロッキング段階が行われ
た。スライドは次いで脱イオン水、更にPBSで洗浄され、その後ビオチン消化
二次抗体(1:200希釈)で30分室温で保温された。スライドはPBSと追
加アビジン−ビオチン複合体で45分室温で洗浄された。スライドは次いでPB
Sで十分洗浄され、色原体3,3′−ジアミノベンジジンで発育された。ヒトβ
−2ミクログロブリン、CD74、およびCD23で染色された切片に対し、ス
ライドは次いでヘマトキシリンで軽く対比染色された。心筋と脳に対しては、ヒ
トβ2−ミクログロブリンはまず塩化ニッケルを色原体として使用して発育され
、次いで前に記載したようにSERCA−2(ベクター・ラボラトリー,1:5
0希釈)またはGFAP(ベクター・ラボラトリーズ,1:100希釈)で二次
免疫組織化学染色を受けた(ヴァン・デル・ロース,他、免疫組織化学ジャーナ
ル、25巻、1−11ページ(1993年);ヴァン・デル・ロース,他,免疫
組織化学細胞ジャーナル、42巻、289−294ページ(1994年))。二
次染色はベクターVIP基質キット(ベクター・ラボラトリー)を使って展開さ
れた。これらの二重染色スライドには対比染色は行われなかった。
【0060】 結果 ヒトMSC分布のPCR評価 子宮内移植は続くヒト間葉幹細胞の初期分布を評価するために、ヒト特異的β
−2ミクログロブリンDNA配列のPCRが65日および85日の妊娠時に移植
された胎児からの肝臓、脾臓、肺、骨髄、胸腺、脳、心臓、骨格筋、および血液
から単離されたDNAに行われた。組織は子宮内移植の2週後、2ヶ月後、また
は5ヶ月後に収穫された。移植2週では、ヒトβ−2ミクロングロブリンDNA
ハ骨格筋での例外は除いて65日と85日に移植された胎児ヒツジで試験された
すべての組織で検出された(図6(A)と表1(原文通り))。軟骨は試験され
なかった。2ヶ月後では、ヒトDNAは脳での例外を除いて、軟骨を含む妊娠6
5日で移植された胎児からの試験されたすべての組織で未だに検出された。妊娠
85日で移植された胎児では、ヒトDNAは脾臓、骨髄、胸腺、心臓、および血
液で2ヶ月後にも検出された。子宮内移植5ヶ月後(生後3ヶ月)では、ヒトD
NAは65日目に移植された胎児の骨髄、胸腺、脾臓、肺、軟骨および血液に、
また85日に移植された胎児の心臓、脳、骨格筋、および血液で検出された。個
体動物でのヒト細胞分布のパターンは異なってはいたけれども、ヒト特異的配列
は犠牲の時点で移植されたすべての動物で検出された(表1(原文通り))。
【0061】 ヒト間葉幹細胞分布の免疫組織化学評価 PCRでポジティブの組織におけるヒト細胞の存在は、クラスI抗原複合体の
一成分であるヒトβ−2ミクログロブリンに特異的な抗体(ファーミンゲン,サ
ンディエゴ,カルフォリニア,マウスIgM,クローンTU99)を使用する免
疫組織化学で確証された。PCRでネガティブであった移植からの組織よりなり
また正常なヒツジからの適合する組織よりなるネガティブの対照は染色のヒト特
異性を確証した(データは示されていない)。多くのヒト間葉幹細胞は胎児肝臓
、骨髄、脾臓および胸腺を含む出生前および出生後造血組織およびリンパ球産生
組織で見られた(図6(B)−図6(E))。多くのヒト間葉幹細胞はこれらの
組織の単一強力野でしばしば識別することができた(図6(B)と6(C))。
ヒト細胞はまた心臓、骨格筋、軟骨、中枢神経系の脈管周囲野、および肺を含む
非リンパ球造血部位でも固定された(図6(F))。移植5ヶ月後、人細胞は骨
髄、胸腺、軟骨、心臓骨格筋、および脳を含む多くの組織に存在を続けた。
【0062】 ヒト間葉幹細胞分化の免疫組織化学評価 移植に続く各種組織でのヒト間葉幹細胞の分化は以下の三種の手法の一つで評
価された。すなわち1)抗ヒトβ2−ミクログロブリン染色特有の形態構造、2
)抗ヒトβ−2ミクログロブリンおよび第二非ヒト特異的分化マーカーの免疫組
織化学二重染色、または3)利用できる時には、ヒツジ細胞と交差反応しないと
証明されたヒト特異的分化マーカーでのポジティブ染色である。これらの手法を
用いて、部位特異的分化が心筋細胞、軟骨細胞、骨髄支質細胞、胸腺支質細胞、
および骨格細胞で確認された。ヒト細胞は中枢神経系で固定された。
【0063】 心筋細胞分化 心筋で見出されたヒト間葉幹細胞の分化を評価するために、二重染色免疫組織
化学が抗ヒトβ−2ミクログロブリンと抗SERCA−2(滑面小胞体アデノシ
ントリホスファターゼ)を用いて行われた。子宮内移植2ヶ月後と5ヶ月後、ヒ
ト細胞は妊娠65日と85日に移植された胎児の心筋で見出された。これらの細
胞は取り囲むヒツジ心筋細胞に類似の形態構造を持ち、またヒト心筋細胞分化と
一致するヒトβ−2ミクログロブリンとSERCA−2で二重染色された(図7
(B)と7(C))。
【0064】 軟骨細胞分化 軟骨細胞分化は妊娠65日で移植2ヶ月または5ヶ月に収穫されたヒツジの軟
骨裂孔でのヒトβ−2ミクログロブリン正細胞の発見で固定された。免疫組織化
学が観察上粒子状外観を呈する塩化ニッケルベース展開技術を使用して行われた
(図8(A)と8(B))。ヒトβ−2ミクログロブリン配列にDNA・PCR
正である軟骨標本の裂孔内での免疫組織化学固定はヒト軟骨分化の明白な証拠を
提供する。
【0065】 骨髄支質分化 骨髄免疫組織化学で見出されたヒト間葉幹細胞の分化の評価はヒト特異的抗C
D23抗体(ファーミンゲン,サンディエゴ,カリフォルニア,マウスIgG1
,クローンM−L233)を用いて行われた。CD23は低アフィニティIgE
受容体であり、骨髄支質細胞を含む各種の細胞型で発現されたことが示された(
ファン、他、血液、85巻、3704−3712ページ(1995年);フォア
ケイド,他、欧州サイトカイン・ネットワーク、3巻、539−543ページ(
1992年))。子宮内移植5ヶ月後に多くのヒト細胞が骨髄で見られ、CD2
3を発現することが示された(図9(B)乃至9(D))。が骨髄で見られ、C
D23正細胞は骨髄支質と一致するヒツジ造血要素と共に野に集まる大型細胞で
あるように見えた。
【0066】 胸腺支質分化 胸腺で見出されるヒト間葉幹細胞の分化を評価するために、免疫組織化学がヒ
ト特異的抗CD74抗体(ファーミンゲン、サンディエゴ、カリフォリニア、マ
ウスIgG1,クローンLN2)を使用して行われた。子宮内移植5ヶ月後に、
多数のヒト細胞が胸腺で検出され、それは胸腺支質細胞で発現されるMHC関連
不変鎖であるCD74(図10(B)−図10(D))を強く発現した(シュロ
スマン、他、白血球類型化V:白血球分化抗原、オクフォード・ユニバーシティ
ー・プレス,ニューヨーク(1995年)。これらの細胞は大型でありヒツジ胸
腺上皮に近い構造形態の外観に類似していた。
【0067】 中枢神経系でのヒト細胞の存続 脳で検出されるヒト間葉幹細胞の分化を評価するために、抗ヒトβ−2ミクロ
グロブリンと抗GFAP(グリア細胞神経繊維性酸性タンパク質)を用いて行わ
れた。子宮内移植5ヶ月後に数多くのβ−2ミクログロブリンポジティブヒト細
胞がグリア溝の脈管周囲野で脳表面に検出された(図11)。細胞の分化状態は
確認されなかった。
【0068】 創傷発生後組織修復でのヒト間葉幹細胞関与の評価 創傷発生後の組織修復でヒト間葉幹細胞の可能な関与を評価するために、間葉
間細胞注射の時点で5匹の65日妊娠胎児ヒツジに尾部創傷が創られた。内1匹
は1週でまた残り4匹は2ヶ月で犠牲とされた。ヒトβ−2ミクログロブリンは
1週犠牲のものにまた2ヶ月犠牲の4匹の尾部創傷の一つでPCRにより検出さ
れた。PCRの結果はヒトミクログロブリンでヒトβ−2ミクログロブリンを発
現する細胞は真皮と皮膚付属物で見られ、創傷治療応答の関与と一致する線維芽
細胞の形態外観を有していた。
【0069】 討議 間葉幹細胞は骨髄での利用可能性、培養での拡張の相対的に易しいこと、遺伝
子操作が容易であること、またもっとも重要なことは多くの間葉細胞への分化の
能力があるために、組織工学、細胞移植および遺伝子治療の出現する各分野で大
きくなる関心となってきている。これらの性質は1)大規模な組織工学とりわけ
筋骨格傷害修復のための組織工学、2)筋ジストロフィー、骨粗鬆症、骨成形不
全、3)自己由来または同種異系造血幹細胞の移植を促進する骨髄のコンディシ
ョニング、および4)遺伝子治療の潜在的臨床適用を支持する。出生前間葉幹細
胞移植は正常幹細胞が進行性細胞器官創傷を伴う変性疾病で創傷を受けるために
、欠損細胞を代替する正常細胞の「貯蔵所」を提供する。
【0070】 多孔分散チャンバまたはセラミックキューブを利用する実験は、生体内で線維
組織、軟骨または骨を形成する間葉幹細胞の能力についての文書を提供した。(
カディヤラ他、細胞移植、6巻,125‐134ページ(1997年))。加え
て間葉幹細胞は損傷部位への直接移植に続く文節骨欠損及び軟骨欠損の治癒を改
善することを示した(脇谷、他、骨関節手術ジャーナル、アメリカ版、76巻、
579‐592ページ(1994年))。この研究により大きい関連のあるもの
は静脈内または腹腔内移植に続く間葉幹細胞または間葉幹細胞状集団の運命を追
った研究であった。培養マウス付着細胞集団で移植され続く移植を持続すること
を文書で提供した2件の研究であった。最初の文献は、膠原Iのヒトミニジーン
(ミニ遺伝子)を発現する遺伝子導入マウスからの細胞が間葉始原細胞供与体と
して使用され、細胞の運命は移植から照射マウスを追い続けた(ペレイラ、他、
全米科学アカデミー紀要、92巻、4857‐4861ページ(1995年))
。供与体細胞がヒトミニジーンに対するPCRにより5ヵ月後の骨髄、脾臓、骨
、軟骨、肺で検出され、肺に関するPCR現位置検定は供与体細胞が実質に分散
して住みついたことを示した。逆転写PCR検定はマーカー膠原I遺伝子が組織
特異的なやり方で発現されたことを示した。第二の研究は、培養された付着細胞
または全骨髄を、タイプI膠原のヒトミニジーンの発現により生じる骨形成不全
に擬似した脆弱な骨の表現型を持つ照射マウスに移植した(ペレイラ、他、全米
科学アカデミー紀要、75巻、1142‐1147ページ(1998年))。い
ずれかの細胞源で、移植の類似の分布がこれまでの研究で観察されたように文書
で提供され、加えてY染色体の蛍光原位置ハイブリッド形成検定は、2.5ヵ月
後に、肺、頭蓋冠、軟骨、長骨、尾部、および皮膚の一次培養で得られた線維芽
細胞または線維芽細胞上細胞の4‐19パーセントを供与体オス細胞が占めてい
た。
【0071】 我々の研究は移植後に生体内で比較的十分に特徴付けられた間葉幹細胞集団の
他潜在能分化に向けて文書を提出した最初のものである。
【0072】 この結果は間葉幹細胞移植生物学の特異的見地を定義するのに役立つ。まず非
常に大きな細胞であるけれども間葉幹細胞は移植することができ、たとえ胎児腹
腔に移植されたときでも、数多くの組織に係りそれに移植することができる。こ
れは移植間葉幹細胞が内皮関門を交差し、宿生組織微環境に組み込みまた利用で
きる成長因子と調節シグナルで生き残ることを必要とする。研究されたほぼ全て
の組織での最初の移植に続き、各種パターンの長期の間葉幹細胞移植について我
々の発見したことは、非選択的ホーミングと続く特殊組織における選択的長期生
き残りのモデルを支持する。これは間葉幹細胞の移植と文化を指示する特異的な
微環境の能力の関数であり、または選択肢として、ある組織からの移植の欠損は
分化潜在能または複製能力に関連して移植された集団の不均一性に原因するもの
である。免疫仲介拒絶はその可能性が少ない。その理由は移植のパターンが免疫
優先部位に限定されず、また免疫機構が供与体細胞の撲滅に帰着するためである
【0073】 本研究の第二の観察結果は、移植に続く部位特異的多潜在能分化と組織組み込
みが可能であるということである。ヒト間葉幹細胞は脂肪細胞系統、軟骨細胞系
統または骨細胞系統に試験管内で分化することが示された(ピッテンジャー前掲
)。他の種からの十分特徴付けられていない間葉幹細胞集団が筋細胞分化に向け
て試験管内で誘導された。この研究は生体内で軟骨細胞分化を確認し、また初め
て定義されたヒト間葉幹細胞集団の生体内心筋細胞分化と筋細胞分化を明らかに
実証する。多くの種から得た骨髄から誘導された間葉幹細胞は長期デクスター培
養された支質層と同じかそれ以上の効率で造血を支持することを示した。我々の
研究は胎児肝臓と出生後骨髄の両方で造血の支質での支持に際し間葉幹細胞の役
割を支持する。我々は移植2週および9週後の胎児肝臓で造血のクラスターと密
接に関係のある多くの大型ヒト細胞を発見した。加えてヒト特異的CD23にポ
ジティブに染色された大型細胞は移植の9週と22週で骨髄内で同定された。C
D23は各種の造血細胞ならびに骨髄支質細胞に存在し(フォケード、他、19
92年)、機能的CD21リガンドと同じく低アフィニティーIgE受容者とし
て同定された(ファン、他、1995年;オーブリ、他、細胞、57巻、107
3‐1081ページ(1989年)。「支質」として本研究におけるCD23ポ
ジティブ細胞についての我々の解釈は、供与者細胞集団または受容者骨髄のいず
れかで細胞の大きなサイズと、ヒト造血細胞の文書で提出された不在とに基づい
ている。
【0074】 比較的驚いた発見はヒト特異的β‐2ミクログロブリンとCD74にポジティ
ブに染色された大型胸腺細胞の存在であった。CD74はB細胞、ランゲルハン
ス細胞、樹状細胞、活性T細胞および胸腺上皮に発現される細胞表面MHCクラ
スII関連不要鎖分子である(シュロスマン、他、1995年)。本研究における
CD74+細胞の形態は周囲の胸腺ではヒツジ胸腺上皮細胞に類似しているよう
に見える。胸腺樹状細胞の前駆体は造血幹細胞であるように考えられ、一方胸腺
上皮細胞の起源は不明である。我々のデータは胸腺の「支質」支持細胞が胸腺上
皮細胞の起源であることを支持する。最後に尾部創傷部位でのヒト線維芽細胞状
細胞の存在は、間葉幹細胞が損傷組織の修復に関与するために適切な分化を行う
ことができることを示唆している。
【0075】 この異種モデルで観察されるヒト細胞の存在は、たとえヒツジ胎児で免疫適格
性能の発展後に移植されたときにおいても新しい関心を抱かせるものがある。体
制に対する潜在的機構は免疫認識の失敗、局所免疫抑制、あるいは細胞欠失耐性
を含む。ヒト間葉幹細胞はクラスI HLA抗原を発現することで知られている
が、免疫認識を制限するクラスIIを発現しない。胸腺支質細胞は胸腺細胞でポジ
ティブおよびネガティブの選択に関与することが知られており、また胸腺抗原提
示細胞が子宮内HSC移植後に供与体反応性リンパ球のクローン消失を促進する
けれども、(キム、他、小児科手術ジャーナル、34巻、726‐730ページ
(1999年))、抹梢循環での成熟リンパ球の出現後はいずれの機構も耐性を
説明できなかった。しかし試験管内で混合リンパ球培養物に加えられた間葉幹細
胞はまだ未知の機構同種異系反応性を非特異的に消散させることを示した(シュ
ヴァルツ,1989年;シャ,他、1988年;キム,他,1999年)。この
モデルでの間葉幹細胞の持続性は最小免疫原性と、局所免疫抑制に由来するもの
であると考えられる。
【0076】 しかし本発明の範囲は前に記載の特異的な実施例に限定されるものでないこと
は理解されるべきである。本発明は特に記載のもの以外にも実施することができ
、しかも冒頭に記載の特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 間葉幹細胞が妊娠65日で腹腔内に注射された9週後の肝臓組織
を示す写真
【図2】 間葉幹細胞が妊娠85日で腹腔内に注射された9週後の骨髄を示
す写真
【図3】 間葉幹細胞が妊娠65日で腹腔内に注射された9週後の心臓組織
を示す写真
【図4】 間葉幹細胞が妊娠85日で腹腔内に注射された9週後の胸腺組織
を示す写真
【図5】 肝臓(Lr),脾臓(Sp),骨髄(BM),胸腺(Th),肺
(Lg),脳(Br),および血液(Bd)の組織標本に行われたヒト特異的β
‐2ミクログロブリンのPCR分析の結果を示す図
【図6】 図6(A)は妊娠65日または85日でヒツジ胎児から単離され
た肝臓、脾臓、肺、骨髄、胸腺、脳および血液でのヒトβ‐2ミクログロブリン
DNAの存在を示すゲルの写真。ここでヒツジ胎児にはヒト間葉幹細胞が子宮内
で与えられる。図6(B)、6(C)、6(D)、6(E)および6(F)はそれ
ぞれヒツジ胎児肝臓、脾臓、骨髄、胸腺、および肺でヒト細胞の存在を示すスラ
イドの写真
【図7】 図7(A)は抗ヒトβ‐2ミクログロブリンで染色したヒツジ胎
児の心筋でヒト間葉幹細胞を示すスライドの写真。図7(B)と7(C)は抗ヒ
トβ‐2ミクログロブリンとSERCA−2で染色したヒツジ胎児の心筋のヒト
細胞を示すスライドの写真
【図8】 図8(A)と8(B)は妊娠65日で子宮内にヒト間葉幹細胞を
与えられた子ヒツジの軟骨裂孔での塩化ニッケル染色でのヒトβ‐2ミクログロ
ブリンの存在を示すスライドの写真。ここで軟骨はそれぞれ移植2ヵ月後と5ヵ
月後に収穫された
【図9】 ヒト間葉幹細胞の子宮内移植5ヵ月後にヒツジの骨髄で見出され
たヒト特異的抗CD23抗体と接触されたヒト細胞のスライドの写真。図9(A
)はヒト特異的抗CD23抗体と接触正常ヒツジ組織を示す対照。図9(B)‐
図9(D)は倍率を高めたヒツジ骨髄でのCD23+ヒト細胞を示す図
【図10】 ヒト間葉幹細胞の子宮内移植5ヵ月後にヒツジの骨髄で見出さ
れたヒト特異的抗CD74抗体と接触されたヒト細胞のスライドの写真。図10
(A)はヒト特異的抗CD74抗体と接触された正常ヒツジ組織を示す対照。図
10(B)‐図10(D)は倍率を高めたヒツジ胸腺でのCD74+ヒト細胞を
示す図
【図11】 図11(A)と図11(B)はヒツジが子宮内で間葉幹細胞を
与えられた5ヵ月後のヒツジの中枢神経系でのヒトβ‐2ミクログロブリンポジ
ティブ細胞を示すスライドの写真
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61L 27/00 A61L 27/00 Z C12N 5/06 C12N 5/00 E (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA, BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR,C U,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,GB ,GD,GE,GH,GM,HU,ID,IL,IS, JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,L R,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN ,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B065 AA90X AA93X CA60 4C081 AA12 AB02 AB11 BA01 BA12 BC01 BC02 CD34 DA16 EA02 EA11 4C084 AA02 AA06 AA13 AA16 BA44 CA18 CA25 MA56 NA10 NA14 ZC80 4C087 AA02 BB63 CA04 MA56 NA20 ZC80

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 胎児を処置する一つの方法であって、間葉幹細胞を胎児に投
    与することを含むことを特徴する方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法であって、ここで間葉幹細胞が生体内で
    分化することを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法であって、ここで間葉幹細胞が外因性遺
    伝物質で修飾されることを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の方法であって、ここで前記胎児が非ヒトであ
    ることを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の方法であって、ここで前記間葉幹細胞がヒト
    のものであることを特徴とする方法。
  6. 【請求項6】 間葉幹細胞を移植する一つの方法であって、間葉幹細胞を子
    宮内で胎児に投与することを含むことを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の方法であって、ここで前記胎児が非ヒトであ
    ることを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の方法であって、ここで前記間葉幹細胞がヒト
    のものであることを特徴とする方法。
  9. 【請求項9】 移植のための器官を調製する一つの方法であって、 (a)間葉幹細胞を子宮内で非ヒト胎児に投与し、また (b)前記器官を収穫する ことを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の方法であって、ここで前記非ヒト胎児がヒ
    ツジであることを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 請求項9記載の方法であって、ここで前記間葉幹細胞がヒ
    トのものであることを特徴とする方法。
  12. 【請求項12】 請求項9記載の方法であって、ここで前記器官が前記胎児
    の出産後に収穫されることを特徴とする方法。
  13. 【請求項13】 異種移植の一つの方法であって、請求項12記載の器官を
    ヒト患者に移植することを含むことを特徴する方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の方法であって、ここで前記器官が心臓で
    あることを特徴とする方法。
  15. 【請求項15】 請求項13記載の方法であって、ここで前記器官が膵臓で
    あることを特徴とする方法。
  16. 【請求項16】 請求項13記載の方法であって、ここで前記器官が腎臓で
    あることを特徴とする方法。
  17. 【請求項17】 請求項13記載の方法であって、ここで前記器官が肝臓で
    あることを特徴とする方法。
  18. 【請求項18】 請求項13記載の方法であって、ここで前記器官が皮膚で
    あることを特徴とする方法。
  19. 【請求項19】 請求項13記載の方法であって、ここで前記器官が胸腺で
    あることを特徴とする方法。
  20. 【請求項20】 請求項13記載の方法であって、ここで前記器官が脾臓で
    あることを特徴とする方法。
  21. 【請求項21】 請求項13記載の方法であって、ここで前記器官が骨髄で
    あることを特徴とする方法。
  22. 【請求項22】 請求項13記載の方法であって、ここで前記器官が軟骨で
    あることを特徴とする方法。
  23. 【請求項23】 請求項13記載の方法であって、ここで前記器官が骨であ
    ることを特徴とする方法。
  24. 【請求項24】 第一種の動物の器官と第二種からの間葉幹細胞を含むこと
    を特徴とする一つの雑種器官。
  25. 【請求項25】 請求項24記載の雑種器官であって、ここで間葉幹細胞が
    その器官の細胞に分化したことを特徴とする一つの雑種器官。
  26. 【請求項26】 請求項24記載の雑種器官であって、ここで前記第一種が
    非ヒトであり、また前記第二種がヒトであることを特徴とする一つの雑種器官。
  27. 【請求項27】 請求項24記載の雑種器官であって、ここで前記第一種の
    動物の器官が心臓、肺、腎臓、膵臓、皮膚、肝臓、脾臓、胸腺、骨、軟骨および
    骨髄から選択されることを特徴とする雑種器官。
JP2000582048A 1998-11-13 1999-11-12 ヒト間葉幹細胞の子宮内移植で胎児を処置し間葉幹細胞を移植し移植器官を調製する方法と調製された雑種器官 Pending JP2002529509A (ja)

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