JP2002528512A - 心臓病及び心不全の治療のためのホスホランバン活性の阻害方法 - Google Patents

心臓病及び心不全の治療のためのホスホランバン活性の阻害方法

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JP2002528512A JP2000579244A JP2000579244A JP2002528512A JP 2002528512 A JP2002528512 A JP 2002528512A JP 2000579244 A JP2000579244 A JP 2000579244A JP 2000579244 A JP2000579244 A JP 2000579244A JP 2002528512 A JP2002528512 A JP 2002528512A
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ウオルフガング ディルマン、
スザンヌ ミナミサワ、
フアピン ヘー、
マサヒコ ホシジマ、
マーカス メイヤー、
クリストファー スコット、
イビン ワン、
グレッグ ジェイ. シルヴァーマン、
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ザ レジェンツ オブ ザ ユニヴァースティ オブ カリフォルニア
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、心筋細胞内でのホスホランバンと筋小胞体Ca2+ATPアーゼ(SERCA2a)の相互作用を阻害することにより、不全心臓における収縮能を高め、高血圧症を有する個人において血圧を低下させるように機能する小ペプチド複合体と組換え蛋白質の使用を通して、心不全の治療のための方法を提供する。さらに、そのような治療薬を心筋細胞の細胞質及び核内に輸送するための手段を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1998年11月2日出願の米国特許仮出願通し番号第60/10
6,718号及び1999年7月27日出願の米国特許仮出願通し番号第60/
145,883号の優先権を主張するものであり、これら2つの出願はその全体
が参照してここに組み込まれる。
【0002】 (技術分野) 本発明は、一般に心不全の治療のための方法、より特定すると心筋機能不全の
治療のためのホスホランバン(PLB)活性の阻害に関する。
【0003】 (背景技術) 心不全は米国や他の先進国における罹病率と死亡率とを合わせた主要原因であ
る。うっ血性心不全は心臓の収縮低下と弛緩の遅延を特徴とするが、心うっ血の
病態生理学的経路を促進する基礎的な分子機序は大部分が不明である。心臓病の
現在の治療は主として緩和的であり、心筋機能不全の発症と進行を導くと考えら
れる基礎的な生物学的経路を標的としていない。
【0004】 心筋不全は複雑で統合的な多因子性疾患であり、この疾患においては、感受性
を与える遺伝的経路が、心損傷、圧及び容積過負荷を伴う生体力学的ストレスの
環境刺激、ならびに細胞骨格成分の遺伝的欠損と織り合わせられている。この生
体力学的ストレスに応答して、一連の平行する収束性シグナル伝達経路が活性化
され、心代償性肥大という適応反応を導く。その後、生存可能な筋細胞の喪失、
収縮要素の減少、筋フィラメントの配列の乱れ及び間質性線維症に結びつく心室
拡張と心力不全への移行が起こりうる。
【0005】 最近、プログラムされた細胞死の開始の引き金となるシグナル伝達経路の活性
化が心不全への病的移行を促進すること、ならびにgp130依存性筋細胞生存
経路がプロアポトーシス経路の作用を遮断し、心不全や心筋症の早期発症を防ぎ
うることが示唆された。筋細胞適応のためのこれらの外因性ストレス関連経路に
加えて、心臓の興奮収縮(EC)連関の損傷及び心不全表現型の進行の臨床的証
明である心収縮力の付随する重大な欠損を導く内因性シグナル伝達経路も存在す
るはずである。
【0006】 筋小胞体(SR)は、心臓組織全体にわたって細胞質ゾルCa2+の運動のコ
ーディネーションにおいて欠くことのできない役割を果たす。Mercadie
rら(J.Clin.Invest.,1990;85:305‐309)、A
raiら(Clin.Res.,1993;72:463‐469)、de l
a Bastieら(Circ.Res.,1990;66:554‐564)
、及びFeldmanら(Circ.Res.,1993;73:184‐19
2)による別々の試験において、ヒトの不全心臓及び心不全の動物モデルに関す
る研究から、SRによる細胞質ゾルCa2+の取込みの低下がが拡張期弛緩延長
の原因であり、SRに貯蔵されたCa2+が細胞質ゾル中に放出されて心筋の収
縮を活性化し、その後弛緩を実現するために再び蓄積されることが示唆された。
心臓のSR Ca2+ATPアーゼ(SERCA2a)の活性はSRへのCa の再取込みの速度決定因子であり、SERCA2a活性自体は、52アミノ酸
の筋特異的SRリン蛋白質であるホスホランバンによって調節される。
【0007】 ホスホランバン(PLB)は、Tadaら(J.Biol.Chem.197
4;249:6174‐6180)による研究においてSR膜における主要なリ
ン酸化標的として初めて同定され、その非リン酸化形態ではSERCA2a活性
の強力な阻害因子であると思われた。SERCA2aへのPLBの阻害作用は、
細胞内カルシウムの増加によって、あるいはβ‐アデレナリン作動性刺激に応答
したPLBのリン酸化によって低下する。PLBは主として五量体の形態で存在
し、高温に供すると、5個の等しいモノマーに解離する。
【0008】 モノマーPLBのアミノ酸は3つの物理的及び機能的ドメインに分けられる。
Ia及びIIドメインはα‐らせんに富み、より構造化されていないIbドメイ
ンに接続している。Iaドメインはアミノ酸1‐20から成り、その大部分がα
‐らせんコンフォメーションであって、実効正電荷を持つ。Ibドメインはアミ
ノ酸残基21‐30から成り、モノマーの細胞質セクターを構成する。IIドメ
インのアミノ酸31‐52は膜貫通セクターであり、五量体構造を安定化させる
役割を担う非荷電残基だけでできている。
【0009】 PLBはcAMPカスケードを通してのカテコールアミンによる心筋機能調節
におけるメディエイターである。IaドメインのSer(16)とThr(17
)は、それぞれcAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)及びCa/カルモ
ジュリン依存性プロテインキナーゼの結合部位であり、PLBのホスホエステル
リン酸化を触媒するように機能し、それが今度はSERCA2a活性へのその阻
害を軽減することが確認されている。Ser(16)とThr(17)はキナー
ゼによってリン酸化されうるので、アミノ酸の実効電荷は正から中性へ、さらに
は負へと移動しうる。SERCA2aの荷電残基と共に、PLBのIaドメイン
における電荷の移動はPLB‐SERCA2a系の蛋白質‐蛋白質相互作用の大
きな変化をもたらしうる。IIドメインはまた、IIドメインのらせんの1つの
面のアミノ酸がSERCA2aの膜貫通ドメインと結合しているという点で、P
LBの機能的発現のための鍵となるいくつかのアミノ酸も含んでいる。
【0010】 PLBがCa2+‐ATPアーゼ活性を調節する方法は2つあると考えられる
:1)PLBのリン酸化とカルシウムポンプ活性の抑制を含む速効性の短期的機
序、及び2)遺伝子発現の制御によってもたらされるCa2+‐ATPアーゼに
対するPLBの分子比の変化を含む、遅効性であるが長期的なプロセス。生理的
条件下で、PKAによるSer(16)のリン酸化は、SRへのCa2+取込み
速度の比例的上昇を導き、心室弛緩を促進する主要事象である。SERCA2a
に対するPLBの相対的比率の上昇は、実験的及びヒトでの心不全の両方におい
てSR機能不全の重要な決定因子である。さらに、PKAによるPLBリン酸化
の低下は、弛緩機能の損傷、及びβ‐アドレナリン作動性レセプタ‐cAMP系
が交感神経緊張の上昇によって大きく下方調節される、不全心臓における延長さ
れたCa2+一過性貯留の原因であると考えられる。
【0011】 Toyofukuら(J.Biol.Chem.1994;269:3088
‐3094)による詳細な突然変異誘発研究は、PLBの細胞質ドメインのいく
つかのアミノ酸がその阻害機能にとって重要であることを明らかにした。この研
究は、一部のアミノ酸を異なる電荷のアミノ酸に変異させたとき、PLB突然変
異体はHEK293細胞においてコトランスフェクションしたSERCA2aへ
の阻害作用を喪失することを示した。しかし、これらの突然変異体を担うPLB
が内因性の野生型PLBに優勢な負の作用を及ぼし、その結果として心筋細胞に
おいて内因性SERCA2aを刺激しうるのかどうかはまだ不明である。さらに
、これらのPLBの点突然変異の心筋細胞への移動機序が、内因性SERCA2
a活性を生じさせるためにどのようにして細胞質膜関門を越えるのかは不明であ
る。
【0012】 Arberら(Cell,88:393‐403;1997)による拡張型心
筋症の遺伝に基づくマウスモデルは、心室拡張と心不全の進行が心筋小胞体にお
ける特異的なCa2+循環欠損に依存することの証拠を提供する。マウスモデル
では、ホスホランバン(PLB)の遮断は、心不全に類似した構造的、機能的及
び分子表現型のスペクトルを回復した。さらに、PLB点突然変異のインビボで
の強制過剰発現を通してのホスホランバン‐SERCA2a相互作用の解除は、
主として心室筋細胞の収縮能を活性化した。従って、PLB‐SERCA2a相
互作用に干渉することは、心不全を予防するための新しい治療アプローチを提供
する可能性がある。
【0013】 PLB‐SERCA2a相互作用に干渉することは心不全の治療のための潜在
的治療標的になりうるという理解が存在するが、生存筋細胞による心筋収縮能を
高めるための外因性分子のインターナリゼーションはまだ解決されていない問題
である。治療薬を心筋細胞の細胞質と核に直接供給送達するための手段が提供さ
れねばならない。トランスロケーション特性を備えたペプチドのクラスであるペ
ネトラチンは、形質膜を横切って親水性化合物を運搬する能力を持つ。Schw
arzeら(Science 285:1569‐1572;1999)による
研究は、変性HIV TAT蛋白質(Genebankアクセス番号AF033
819)からのNH末端の11アミノ酸蛋白質形質導入ドメインを含むペネト
ラチンベースの融合蛋白質を用いた蛋白質形質導入へのアプローチを明らかにし
た。この非細胞型特異的移入系を使用すると、オリゴペプチド及びオリゴヌクレ
オチドを細胞質と核とに直接標的化することが可能になる。最もよく特徴づけら
れているトランスロケーションペプチドのひとつが、アンテナペディアの残基4
3〜58に対応するペプチド、ショウジョウバエ(Drosophila)転写
因子である。トランスロケーションペプチドは細胞膜の外側で荷電リン脂質と相
互作用すると考えられている。二重層の不安定化は、細胞膜を横切り、場合によ
って細胞質側に開口するペプチドを含む逆ミセルの形成をもたらす。カーゴ分子
を細胞内に移動させる輸送ペプチドの使用は新規ではないが、輸送ペプチドが心
筋細胞において良好に働くことは明らかにされていなかった。
【0014】 それ故、心筋細胞におけるPLB/SERCA2a相互作用を操作するために
、PLBの突然変異体または小分子阻害因子の使用を通してPLBを阻害する方
法、ならびに心臓病や心不全の治療のために、PLBのこれらの突然変異体又は
小分子阻害因子を、筋小胞体膜関門を横切って心筋細胞の細胞質内に輸送する手
段が求められている。本発明はこれらの必要を満たし、それに伴う利益も提供す
る。
【0015】 (発明の開示) 心組織におけるCa2+取込みへのホスホランバンの作用を阻害することによ
って心不全の治療のための方法を提供することが本発明の利点である。
【0016】 心筋細胞内でのホスホランバンと筋小胞体Ca2+ATPアーゼ(SERCA
2a)の相互作用を阻害することにより、不全心臓における収縮能を高め、高血
圧症を有する個人において血圧を低下させるように機能する、小ペプチド複合体
と組換え蛋白質の両方を提供することが本発明のもうひとつの利点である。
【0017】 野生型、突然変異体、又はトランケートされたPLBに共有結合した輸送ペプ
チドから成る化合物のファミリーを提供することが本発明のさらにもうひとつの
利点である。
【0018】 本発明の最初の実施態様では、PLBとSERCA2aの正常な抑制相互作用
を選択的に中断し、主として心筋収縮能を活性化させる能力を持つ野生型又は突
然変異形態のPLBの発現を促進する組換えアデノウイルスを構築する。
【0019】 本発明の第二の実施態様では、PLBの組換えアデノウイルス突然変異体(K
3E/R14E)であるコントラクチリンをホスホランバンに結合して、リン酸
化を模倣させる。これは筋小胞体のカルシウムポンプの活性化を導き、従って心
筋収縮能を上昇させる。
【0020】 本発明の3番目の実施態様では、1)16残基の輸送ペプチドと2)トランケ
ートされたホスホランバン蛋白質又は同様のペプチドの融合から成る化合物を、
レセプタ非依存的に細胞膜を横切って輸送する。ひとたび心筋細胞の細胞質内に
入ると、トランケートされたホスホランバン又は同様のペプチドは内因性ホスホ
ランバンのSERCA2aとの相互作用の競合的阻害因子として働く。
【0021】 (好ましい実施形態の詳細な説明) Ca2+サイクルの欠陥が心不全への移行(transition)に果たす役割を直接
的に評価するために、筋肉特異的LIMタンパク質(MLP)欠損マウスの心筋
症を、PLBをコードする遺伝子を除去することにより逆転できる。MLPの無
くなったマウスは、多くのヒト拡張型心筋症の表現型特性を、分子、細胞、およ
び生理学的レベルで示す。末期拡張型心筋症の均一な特性は、心臓壁応力の顕著
な増加であり、これに伴って心房心室壁が薄くなり、心収縮性および弛緩の低下
も伴う。カルシウムサイクルは、心弛緩および収縮性の両方に重要であり、筋小
胞体からのカルシウムの取込みおよび放出を制御する経路の欠陥は、心不全の進
行を駆動する主要な候補である。
【0022】 MLPの欠損に加えて、PLBの欠損したマウスの創製は、MLP単一ノック
アウト(MLPKO)マウスに通常見られる、全てのヒト心不全の表現型特徴か
らの回復を示す。MLPKOマウスにおけるPLB切除に関連した機能的利点は
、特に、PLBとSERCA2aの間の直接的相互作用の欠失を反映するかを決
定するために、本発明の出願人は、PLBとSERCA2aの間の機能的阻害相
互作用を妨害する、PLB遺伝子の点変異を操作した。PLBに点変異をコード
する組換えアデノウイルスの創製により、心不全における興奮−収縮共役の進行
的欠陥は、PLBによるSERCA2aの阻害の増強に関連し、心肥大症トラン
スジェニックモデルの設定への、ホスホランバン欠損症の導入により、心機能は
回復されることが示される。これらの結果は、SERCA2aの心特異的過剰発
現を指示する導入遺伝子を有するMLP欠損マウスも、心筋症表現型の回復を示
すという事実により独立的に支持される。合わせて考慮すると、これらの結果に
より、筋小胞体カルシウムサイクルは、心不全の進行に重要であり、心不全の進
行において、PLBがSERCA2a活性の阻害において重要な調節的役割を示
す明白な証拠が提供される。よって、これはPLBが、鍵となる治療標的である
可能性を指摘する。
【0023】 MLP−PLBノックアウト(DKO)マウスのさらなる研究により、心筋症
変異の設定でPLB欠損を誘導することにより、最大の心収縮能の刺激が得られ
得る。基底レベルでのDKO心臓の収縮性は、最大β−アドレナリン作用性刺激
後に、野生型心臓の収縮性と同程度であった。この結果により、SRカルシムポ
ンプ機能のPLBによる持続性阻害を取り除いた後、心筋症心臓の心収縮機能に
関して、本質的に「この上ない回復」が得られることが示唆される。PLBは、
サイクリックAMP依存性プロテインキナーゼAおよびカルシウム/カルモジュ
リン依存性キナーゼの両方によるリン酸化の直接的な基質であるので、cAMP
依存性刺激による心収縮性の調節は、PLBのリン酸化を介して起こり得、次い
でこれは、SERCA2aとの阻害性相互作用を防ぐ。
【0024】 PLBのリン酸化の背景にある理論によると、心筋症MLP欠損マウスの、P
LB欠損の設定での極めて普通のレベルへの「この上ない回復」は、心収縮性の
持続性阻害における律速段階の除去を単に反映し得る。この理論に一致して、R
ockman等(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:70
00〜7005:1998)による研究は、MLP欠損マウスにおけるβ−アド
レナリン作用性脱感作の軽減もまた、拡張型心筋症表現型をかなり回復し得るこ
とを実証した。PLBは少なくとも3つの調節成分(cAMP依存性プロテイン
キナーゼ、カルシウム/カルモジュリン依存性キナーゼ、およびプロテインホス
ファターゼ)と相互作用するSRタンパク質であるので、心収縮能向上に対する
PLB欠如の主な効果は、PLBとSERCA2aの慢性的相互作用を反映する
のか、或いは、この救済効果は、PLBと他の既知または新規な心タンパク質と
の相互作用に関連するのかを決定すべきである。
【0025】 野生型および変異形のPLBの発現を強制する組換えアデノウイルスを使用し
て、本発明は、PLBとSERCA2aの間の正常な阻害性相互作用を選択的に
妨害でき、カテコールアミンの非存在下で心室筋細胞の心収縮性を主に活性化で
きる、PLBの点変異体を提供する。図1は、DKOマウスで観察された回復効
果に関与する機序の概略を示す。PLBおよびMLPの両方が、筋肉特異的タン
パク質であり、従って、筋細胞生存経路を促進または抑制する外因性応力シグナ
ルではなく、表現型の進行および回復に必要な筋肉細胞自律経路が存在するに違
いない。PLBとMLPは、タンパク質レベルで直接的に相互作用しないので、
回復の基礎としてのPLBとMLPの間の直接的相互作用は排除されるので、P
LB調節経路を、拡張型心筋症の発症に連関させる、生化学的調節経路ではなく
、生理学的調節経路が存在するに違いない。図1に示したように、正常な心臓で
は、SR−カルシウム貯蔵は、SERCA2aの活性を通じて維持され、これに
より、カルシウムがSRに取り込まれ、その結果、正常な心臓弛緩が維持され、
壁応力が減少する。続いて、カルシウム放出チャネルを介する、SRのカルシウ
ム放出により、正常な素量的なカルシウム放出が起こり、その結果、心筋フィラ
メントが活性化され、心筋収縮に至る。従って、SRにCa2+含量が増強され
ることにより、Ca2+の放出が増強され、これに対応して心筋収縮性が増加す
る。
【0026】 SERCA2aの活性は、PLBとSERCA2aの直接的相互作用の阻害効
果により調節され、これは、β−アドレナリン作動性刺激の送達後に、PLBの
cAMP依存性リン酸化により軽減され得る。心不全の設定において、鈍いβ−
アドレナリン作動性応答により生じるPLBの阻害性効果のために、SERCA
2aの機能は相対的に減少している。結果として、PLBのリン酸化度は減少し
、PLBとの慢性的な相互作用を介して、SERCA2aは構成的に阻害され、
正常レベルに比べて、SRカルシウム含量は相対的に減少する。このカルシウム
貯蔵の減少は、カルシウム放出チャネルを介した、カルシウムの量的放出の減少
を引き起こし、その結果、単一細胞カルシウム過渡応答およびインビボでの心収
縮性は減少する。DKOマウスでは、PLBの阻害効果は、図1に示されるよう
に除去されており、よって、SRカルシウムポンプに対するPLBの下流阻害効
果から系は解放され、その結果、SRカルシウム取込みは維持され、正常レベル
へと壁応力は減少する。同時に、このSRカルシウム含量の増加により、正常な
カルシウム素量的放出は維持され、これにより、正常な収縮性および弛緩が維持
される。
【0027】 筋肉特異的LIMタンパク質ノックアウトおよび二重ノックアウトマウス 本発明の試験は、2つの独立的な筋肉特異的遺伝子のホモ接合型切除を有する
、二重ノックアウト(DKO)マウスモデルを使用して実施した。この戦略のた
めに、PLBノックアウト(PLBKO)マウスを、拡張型心筋症の複雑なイン
ビボでの心不全表現型の、分子的、構造的および生理学的特性を有する、MLP
ノックアウト(MLPKO)マウスと交配する。これらのマウスのF3世代を、
実際の実験に使用して、PLBKOまたはMLPKO系の、観察されたDKO系
の心表現型に対する全てのあり得るバックグラウンド効果を排除する。
【0028】 MLPKOマウス(6.34±0.22mg/g、n=8)は、年齢および性
の一致した野生型マウス(4.60±0.21mg/g、n=7;p<0.00
1)と比べて、心臓/体重比の顕著な増加を示す。DKOマウス(5.13±0
.19mg/g、n=9)での心臓/体重比は、MLPKOマウスよりも有意に
小さく(p<0.01)、野生型と統計学的差異はない。DKOマウスの心臓重
量減少が、MLPKOマウスで観察された破壊された細胞骨格表現型の回復に関
連しているかを評価するために、電子顕微鏡解析を、MLPKOおよびDKO同
腹仔の心臓で実施する。MLP−/−の背景におけるPLBの切除は、筋原繊維
錯綜配列および塊状の繊維化巣を含む、MLP欠損心臓に元来観察された、広範
囲の非構造的欠陥を回復する。これらのデータにより、PLBの切除は、全心臓
塊の増加を防ぐだけでなく、MLPKO心筋症マウスの心筋細胞再構築の組織破
壊および繊維症を防ぐことが示唆される。
【0029】 インビボの全体的な心機能に観察された顕著な低下が、DKOマウスで回復さ
れるかを評価するために、心エコー図法を、年齢の一致した同腹仔を用いて実施
する。表1に記述したように、心室拡張予防が、DKOマウスで確認される。M
LPKOマウスは、肥大した心房心室を有し、これは、左心室拡張終末期径(L
VEDD)および収縮終末期径(LVESD)の増加により判明し、一方、DK
Oマウスは、正常範囲のLVEDDを有する。短縮率の比率(FS%)および外
周繊維短縮平均速度(平均Vct)(収縮期心機能の指標である)は、表1に示
したように、年齢の一致したDKO同腹仔で向上する。対照として同腹仔ではな
い野生型マウスと比較すると、DKOマウスの大半の心エコー図データは、野生
型マウスと類似しているが、FS%は、DKOマウスでは僅かに減少している。
さらに、DKOマウスの心機能は、6ヶ月令を超えても正常な範囲に維持されて
いる(n=2)。心房心室拡張の減少にも関わらず、DKO心臓にはいくらかの
肥大があるようである。LVEDDとLV後壁の厚さの比は、DKOマウスでは
顕著に減少し、こは、DKOマウスの壁応力が、MLKPOまたは野生型マウス
に比較して減少していることを示す。これらの結果は、DKOマウスの全体的な
心機能が、対照心臓のパラメータと同程度の範囲で保存されていることを示す。
PLB欠損についてヘテロ接合型であるマウスは、MLKPOおよびDKOマウ
スに比べて、中間の機能的回復レベルを示し、これは、PLBの部分的切除によ
り、MLPKOマウスにおいて、心不全表現型がかなり機能的に改善され得るこ
とを示唆する。
【0030】
【表1】 MLPKOマウスは、β−アドレナリン作動性応答の顕著な鈍化およびアデニ
ル酸シクラーゼ活性の減少を示した。マウスにおける相同的組換えによるPLB
の切除により、心収縮能は、正常心臓の最大β−アドレナリン作動性刺激による
レベルと同等なレベルまで増大し得る。PLBの切除は、拡張型心筋症に関連し
た、血行動態欠陥および顕著なβ−アドレナリン受容体脱感作を逆転し得ること
を確認するために、麻酔したマウスに心カテーテルを適用し、評価する。
【0031】 数個の独立的な血行動態パラメータが、DKOマウスにおける、循環鬱血を伴
う重度の心機能不全の、正常なレベルへの回復を実証する。基線でのLV収縮性
(LVdP/dtmaxにより評価)およびLV弛緩(LVdP/dtminに
より評価)は、図2aおよび2bに示したように、野生型マウスよりも高いよう
であり、PLBKOマウスと同等である。PLBの切除により、図2cに見られ
るように、MLPKO心筋症マウスに観察された顕著に上昇したLV拡張終末期
圧は逆転する。
【0032】 図2dの解析は、Tau(LV弛緩および収縮機能の指標である)もまた、D
KOマウスで基準化され、これは壁応力の向上と一致する。これらのデータによ
り、PLBの切除は、心筋症MLPKOマウスにおける、収縮期および拡張期の
両方の機能不全を回復できることが示唆される。β−アドレナリン作動性刺激に
対するLVdP/dtmaxおよびLVdP/dtminの鈍い応答が、図2e
および2fに示されるように、MLPKOマウスで観察され、MLPKOマウス
に重篤なβ−アドレナリン脱感作が存在することを示す。DKOマウスでは、ド
ブタミンにより、心収縮性(LVdP/dtmax)および弛緩(LVdP/d
tmin)は全く刺激されず、これは図2eおよび2fに再度示されている。こ
れらのパラメータは、DKO心臓において基底条件下で、その最大レベルにまで
すでに刺激されている。
【0033】 ドブタミンによる野生型心臓の最大刺激後に、LVdP/dtmaxおよびL
VdP/dtminは、任意のカテコールアミン刺激の非存在下で、DKOマウ
スにおけるこれらのパラメータと識別不可能である。この証拠は、PLBとSE
RCA2aの相互作用は、正常および心筋症心臓の両方において心収縮性を抑制
し、よって、この相互作用を阻害すれば、任意のカテコールアミン刺激の非存在
下で心機能を最大化する上で主な効果を奏効し得ることを確認する。図2hは、
ドブタミンに対する変時性応答は、DKOマウスおよびMLPKOマウスの両方
において保存され、よって、ペースメーカー細胞型に対する心筋細胞へのβ−ア
ドレナリン性応答の特異性が実証される。
【0034】 DKOマウスにおけるインビボでの心機能の回復に関与する機序を決定するた
めに、Ca2+シグナル伝達の数個の独立的なパラメータを評価する。DKOマ
ウスにおける変化したCa2+ホメオスタシスが、血行動態変化、細胞内Ca 過渡応答およびSRのCa2+サイクルに関連したタンパク質の発現をもたら
すことは明らかである。MLPKO筋細胞は、図3a〜cに示されるように、正
常レベルの拡張期Ca2+濃度を有し、振幅の減弱されたCa2+過渡応答を示
す。崩壊速度は、MLPKOマウスにおいて僅かに加速され、これにより代償機
序が、MLPKOマウスのCa2+取込みの終了中に作動する。PLBの切除は
、Ca2+過渡応答の期間が短いこと、崩壊が速いこと、および振幅が保存され
ていることに関連する。図3dは、SRのCa2+含量は、野生型マウスと比べ
て、MLPKOマウスで有意に減少し、DKOマウスで増加していることを示す
。図3eに示した定量的イムノブロットにより、MLP欠損は、SERCA2a
、PLBおよびカルセケストリンのタンパク質レベルの有意な変化に関連しない
ことが判明し、これは、MLPKOマウスのCa2+サイクルの欠陥は、SER
CA2aまたはホスホランバンのタンパク質レベルの減少を単に反映するのでは
なく、ECカップリングの機能的障害に基づくものであることが示唆される。
【0035】 心不全の特徴的特性の1つは、胚遺伝子プログラムの再活性化であり、これは
、血行動態負荷の増加に対する代償性応答に寄与し得る。DKOマウスでの血行
動態の改善が、転写レベルでの変化の回復を伴うかを確認するために、ANF、
α−骨格アクチン、およびβ−MHCmRNA(心不全の十分に確立された胚マ
ーカーである)の発現を調べる。図4aおよび4bに示されるように、MLPK
Oマウスの心室は、26倍のANFの増加、13倍のα−骨格アクチンの増加、
および8倍のβ−MHC mRNAの増強を示す。DKOマウスは、僅か1.9
倍のANFの増加を示し、α−骨格アクチンまたはβ−MHC mRNAは有意
に増加しない。従って、PLBの切除は、主に、MLPKOマウスの胚遺伝子プ
ログラムの誘導を抑制する。
【0036】 前記の研究により、PLBの切除は、心収縮性における心不全および関連した
欠陥の独立的パラメータを回復する。回復効果の機序を規定するために、PLB
とSERCA2aの慢性的相互作用が、事実、正常および心筋症心臓の両方にお
いて心収縮性に律速であるかを評価することが必要である。DKOマウスの基底
心機能の、最大カテコールアミン刺激後の野生型マウスのものと同等のレベルへ
の「この上ない回復」により、この相互作用の阻害は、任意のカテコールアミン
刺激の非存在下で、心機能を最大化する上で主な効果を奏効し得ることが示唆さ
れる。
【0037】 PLBの組換えアデノウイルス導入遺伝子変異体 PLBの特定のアミノ酸残基が、SERCA2aに対するその阻害効果を維持
するのに必要であるという知識を使用して、PLBの数個の単一の点変異、V4
9A(配列番号2)、E2A(配列番号3)、R14E(配列番号4)、S16
N(配列番号5)、PLBの二重点変異、K3E/R14E(配列番号6)およ
びセンスおよびアンチセンスPLB(配列番号1)導入遺伝子を、SERCA2
aに対するPLBの阻害効果を破壊するために操作できる。インビボでのネズミ
心遺伝子導入のための組換えアデノウイルスを使用すると、PLBの単一点変異
の1つである、V49Aを過剰発現する筋細胞は、収縮性の増加を示すが、野生
型PLBを過剰発現する筋細胞は、非感染筋細胞に比べて、収縮性の減少を示し
、これは図5に実証されている。SERCA2aとPLBの間の相互作用の妨害
の実行可能性および有用性は、明確に実証されていると結論づけることができる
。PLB−SERCA2aの相互作用は、インビボでの基底心収縮性および弛緩
の設定値を確立するための律速段階のようであり、よってこの相互作用の崩壊は
、β−アドレナリン性経路を短絡化し得る。
【0038】 モノクローナルPLB抗体(アフィニティーバイオリージェンツ)に対する、
センスPLB(sPLB)、アンチセンスPLB(asPLB)、E2A、R1
4E、S16N、およびK3E/R14Eを発現しているアデノウイルス導入遺
伝子を含む筋細胞の追加的なウェスタンブロット解析を、図6aに示す。添加の
ばらつきのためにα−アクチンに基準化し、導入遺伝子を欠くアデノウイルス/
SR対照と比較した、PLBタンパク質含量の定量化により、sPLB、E2A
、およびR14E変異体は、PLBタンパク質レベルを、150%(PLB
PLB)、72%および57%それぞれ増加することが示される。これに対し
、asPLBおよびS16Nは、筋細胞内のPLBタンパク質含量を54%およ
び33%減少させる。K3E/R14E導入遺伝子により関連された筋細胞の導
入により、異なるパターンの五量体PLBが形成される。PLB(五量体)に
加えて、複数のPLBバンドが出現する。これは、対照と比較して、量の少ない
PLBを伴う。
【0039】 ウェスタンブロットバンドパターンの性質をさらに、心筋細胞の代わりに、P
LB欠損Sol8細胞に置換することにより評価する。Sol8細胞を、導入遺
伝子sPLBまたはK3E/R14E単独または組合せを発現している、組換え
アデノウイルスで感染させる。図6bに見られるように、ウェスタンブロットに
より、モノクローナルPLB抗体は、sPLBにより感染された細胞中のPLB
は検出するが、K3E/R14Eは検出できないことが示される。Sol8細胞
を、アデノウイルス導入遺伝子の組合せで感染させると、複数のPLBバンドが
形成される。さらに、PLB五量体は、上のバンドが出現すると同時に量が減少
する。PLBは、非阻害性五量体との平衡で存在する、単量体として、SERC
A2aと相互作用しそれを主に阻害することは十分に確立されている。この知識
に基づき、K3E/R14Eおよび野生型PLBのヘテロ五量体は、野生型PL
Bのホモ五量体よりも安定であろう。それ故、ヘテロ五量体の単量体への解離(
これによりSERCA2aは阻害される)は、好ましくない。K3E/R14E
は、内因性PLBと相互作用し、かかる複合体を形成し、ホモ五量体形成の減少
を伴う。同じように、単量体K3E/R14Eは、SERCA2a−PLB相互
作用部位を遮断することにより、内因性野生型PLBの非阻害性競合物質として
作用し得る。
【0040】 変異体およびアンチセンスPLBの、SERCA2aに対する効果はさらに、
SRカルシウム取込み活性の決定により評価する。様々なCa2+濃度で測定し
たSRによるCa2+取込みの初期速度は、SERCA2aの活性を反映する。
図7に示したように、組換えアデノウイルス導入遺伝子K3E/R14Eおよび
asPLBで感染させた新生仔ラット筋細胞は、導入遺伝子を含まない対照と比
較して、同じ活性のために、SERCA2aにより必要とされるCa2+濃度の
減少を示し、これは、SERCA2a活性の刺激を示す。取込み活性が最大の半
分である、Ca2+濃度のEC50は、(μmol/L)、導入遺伝子を含まな
い対照(SR−)については、0.20±0.02であり、K3E/R14Eに
ついては0.11±0.01であり、asPLBについては0.13±0.01
である。K2E/R14EおよびasPLBのSERCA2aに対する効果も、
成体ラット筋細胞で調べる。アデノウイルス導入遺伝子K3E/R14Eは、E
50を有意(36%)に減少させるが、asPLB感染の結果としての変化は
、統計的有意性の範囲内ではない。新生仔と成体心筋細胞の間の効果のこの見か
けの矛盾はおそらく、異なる発達段階での筋細胞におけるPLBの量の違いに関
連するのだろう。PLBは、成体において、新生仔心筋のほぼ2倍である。
【0041】 K3E/R14EおよびasPLBのSERCA2aに対する効果をさらに調
べるために、新生仔筋細胞での細胞内Ca2+過渡応答を、indo1蛍光指示
薬を使用して測定する。各実験条件から得られたindo1比率計量的データを
、それぞれ最大および最小の各収縮性Ca2+過渡応答に基準化し、次いで整列
させ平均化する。図8に示したように、K3E/R14EおよびasPLBの崩
壊曲線を、LacZ対照の左に配置する。さらに、ほとんどの拡張期時点で、K
3E/R14Eは、LacZとは有意に異なり、一方、数個の拡張期時点で、a
sPLBもまたLacZとは有意に異なる。LacZ、K3E/R14E、およ
びasPLBの崩壊の半減期(RT50)は、0.28秒(100%)、0.2
0秒(73%)、および0.22秒(79%)とそれぞれ決定される。K3E/
R14E(73%)およびasPLB(79%)の数値は、ウイルス発現Lac
Zから得られた数値とは有意に異なる(p<0.05)。
【0042】 様々なPLBの点変異、またはPLBのセンスまたはアンチセンス配列を使用
して、アデノウイルス導入遺伝子を作成するのに加えて、PLBペプチドに対し
て産生れ、従ってRNAとして発現された抗体も、アデノウイルスベクターに挿
入できる。ポリクローナルPLB抗体(「コントラクチリン」、すなわち機能亢
進領域をもつニワトリ抗体ペプチド)を産生するために、ニワトリを、細胞質ド
メインのアミノ酸3〜19を示すPLBペプチドを用いて繰返し免疫化する。1
5、42および54日目に投与した、3回のブースター免疫化後、全IgYを、
市販で入手できる精製システム(EGGstractIgY精製システム−プロ
メガ)を使用して、卵黄から精製する。陽性免疫応答が確認されると、脾臓およ
び骨髄からリンパ球を収集する。抗体の軽鎖および重鎖の両方からの超可変領域
の形のRNAが、これらの細胞から得られ、RT−PCRにより増幅し、その方
法は公知である。
【0043】 次いで、増幅され精製された超可変領域RNAを、単一cDNA(配列番号9
)に融合させ、続いて、ファージ表面タンパク質をコードする、プラスミドベク
ターにフレーム内にクローン化する。標準的なプラークディスプレイ技術を使用
して、ニワトリの免疫ライブラリーを発現するファージを、PLBペプチドに対
する陽性応答により選択する。PLBに特異的に結合するファージの一連の濃厚
化の後、20のクローンをELISA用に選択する。次いで、得られた5つの最
善の結合物質を、放射性Ca2+輸送アッセイを使用して解析する。2つの最善
のSRCa2+輸送の活性化物質をさらに解析する。両方のクローンが、Ca のSRへの輸送速度を劇的に刺激することが判明する。
【0044】 コントラクチリン(PLB抗体)より生成された組換え体タンパク質が、生細
胞内でも機能できることを示すために、コントラクチリンを発現しているアデノ
ウイルスベクターを構築した。アデノウイルス導入遺伝子を感染させた新生児お
よび成体ラット心筋細胞のウエスタンブロット解析によって、コントラクチリン
が心臓細胞で発現されうることが示されている。放射活性Ca2+輸送解析によ
り、変異体およびアンチセンスPLBの場合、コントラクチリンが細胞質Ca 除去を加速することが示されている。
【0045】 相補的アプローチにおいては、アデノウイルストランスフェクションよりもプ
ラスミドトランスフェクションを遺伝子デリバリーのために使用した。一緒にト
ランスフェクトした緑色蛍光タンパク質によってモニタしたように、K3E/R
14E−およびasPLB−トランスフェクト筋細胞は、アデノウイルスベクタ
ーをトランスフェクトした細胞と比較して、それぞれRT50の43%(p<0
.05)および9%(p<0.1)の減少を示した。したがってアデノウイルス
または共トランスフェクション技術のどちらかによる心筋細胞へのK3E/R1
4EおよびasPLBの導入は、拡張期Ca2+過渡応答の持続時間を減少させ
る。これらの結果は、Ca2+過渡応答の変化が、PLBの除去がCa2+過渡
応答期間の短縮、よりはやい減衰、および振幅の保持に関連することを確かにす
るDKOマウス対MLPKOマウスの発見を反映していると考えられた。一緒に
考えると、これらのデータは、K3E/R14EおよびasPLBはSERCA
2a活性を刺激し、結果として筋細胞でのよりはやいCa2+過渡応答となるこ
とを確かにする。
【0046】 PLB変異体の結果としてのSERCA2a活性の増強およびCa2+過渡応
答の加速が収縮期動作の変化をもたらすかどうかを決定するために、エッジ検出
を使用し、筋細胞収縮性を解析した。成体ウサギ筋細胞にLacZ、K3E/R
14EまたはasPLBのアデノウイルス導入遺伝子を感染させた。3日間のイ
ンキュベーション期間の後、異なる群間で自発的収縮細胞の数には有意な違いが
ある(LacZ<<asPLB<K3E/R14E)。表2は筋細胞収縮性にお
けるK3E/R14EおよびasPLBの効果を提供する。表に示したように、
LacZ対照と比較すると、K3E/R14Eは74%まで分別短縮を増加させ
、RT50での25%減少および+dL/dtでの115%増加も同時に起こる
。asPLB感染の後に筋細胞収縮性を試験した場合、筋細胞の分別短縮は57
%まで有意に増加する一方、RT50および+dL/dtの変化は有意でないこ
とが明らかになっている。
【0047】
【表2】 得られたデータは、SERCA2a活性の増加が、筋細胞の弛緩の加速に転換
されることを示している。K3E/R14E感染筋細胞は分別短縮の上昇を示し
、このことはSERCA2a活性の増強によるCa2+のSR負荷における増加
を示している。さらにK3E/R14E感染はCa2+のSR負荷の増加による
振動Ca2+量の増加にほとんど関連していると考えられる減少である、自発的
収縮筋細胞の数を増加させる。共に考えると、これらのデータは、K3E/R1
4Eは、SERCA2aのその抑制を有意に減少させる方法にて内因性野生型P
LBに影響を与え、したがって野生型PLB上の顕著な抑制効果を持つことを示
している。
【0048】 PLB活性の抑制に対するペプチドに基づいた治療 さらにまた、本発明は、PLB機能が変異体PLB分子で内因性PLBを圧倒
することによるドミナントネガティブ様式で抑制されることができ、この抑制は
心不全での機能の改善を導くという発見に基づいて、ホスホランバン活性の抑制
に関するペプチドに基づいた治療およびそのような治療に関するデリバリー方法
を提供する。
【0049】 標的細胞系に影響を与えるためのPLB−SERCA2a相互作用の抑制剤の
ような治療薬剤に関して、細胞膜を介した細胞室内への内在化の方法を持たなけ
ればならない。前記抑制剤のデリバリーの方法は、PLBペプチドに基づいた輸
送または浸潤のどちらかの方法であってよく、またはアデノウイルスまたは脂質
小胞に基づいた輸送を含んでもよい。この目的のために、輸送ペプチドおよびP
LBタンパク質分子の融合体からなる化合物を構築した。輸送ペプチドはアンテ
ナペディアに対する配列からの16残基、ショウジョウバエ転写因子タンパク質
を含む。前記複合体の第二のペプチドは、PLBタンパク質の切断配列であり得
る。さらなる治療利益は、天然のPLBタンパク質およびPLBタンパク質の変
異体または切断型に相当するペプチドを用いて行い得る。
【0050】 輸送ペプチド−PLB複合体の1つの有益な機能は、心筋細胞内でのPLBと
SERCA2aとの間の相互作用の抑制であり、結果として疾患心臓における収
縮性を増大する。本発明はまた、結果として血管拡張および血圧の低下となるで
あろう循環系の動脈/細動脈を取り巻く平滑筋層内でのPLBのSERCA2a
との相互作用も抑制する可能性がある。したがって、心疾患の治療において二重
の利点があり、第一は心不全での心臓収縮性の増強であり、他は高血圧の個人に
おける血圧の低下である。また、神経組織でのSERCA1−PLB相互作用の
ような、他の細胞型のSERCAタンパク質とのPLB相互作用の阻害も予想さ
れる。
【0051】 前記分子の心臓に流れ込む血流中への導入は、冠動脈に局在させたカテーテル
を用いて行うのがもっともよい。前記分子が心筋細胞を囲む細胞外環境中にある
場合、すばやく心筋内に入り、PLBのSERCA2aとの結合を抑制する。ト
ランスロケーション機能は、細胞膜を通してレセプター非依存的様式でそれ自身
および付着した「カーゴ」ペプチドを素早くトランスロケーションさせる能力を
示す輸送ペプチドに帰する。いったん心筋細胞の細胞室内に入ると、PLB断片
は、SERCA2aとの内因性PLB相互作用の競合阻害剤として働く可能性が
ある。
【0052】 結合によるPLB阻害がない場合、SERCA2aはより効率的にSR内へC
2+をそそぎ込み、それによって心筋細胞のより強くはやく収縮する能力を増
加させる。より強い心筋細胞の収縮性は、より強力な心臓収縮性に変換する。イ
ンビボにおいて、本発明は、心不全の治療として機能でき、最も簡単に投与でき
、心臓が左心補助装置(LVAD)を必要とし、またはすでに移植されている患
者においてもっとも効果的である。
【0053】 アンテナペディアの残基43〜58はよく特性化されたトランスロケーション
ペプチドであり、本発明においてうまく働く一方、本発明はこの方法の輸送に限
定されない。他の可能性のある輸送の方法には、輸送ペプチドおよびカーゴペプ
チドに連結する8−分岐ポリリジン骨格の使用が含まれるが、この多分岐構造に
限定はされない。1つの長いペプチドとして1つのPLBペプチドに接着した1
つの標的ペプチドからなる化合物もまた調査されてきた。さらにまた、細菌内で
ヘキサヒスチジン(H6)タグ化ペネトラチンおよびペネトラチン−PLB組換
え体タンパク質を産出するために多くのDNA構築体も考慮されてきた。ペネト
ラチンペプチドは、タンパク質のアミノ末端またはカルボキシ末端どちらかで存
在するように作製した。
【0054】 PLBの細胞質断片が、全PLB分子のようにSERCA2aの細胞質部分に
対する結合親和性を強く持つことが示されてきた。したがって、いったん輸送−
PLB分子が心筋細胞の細胞室内にあると、PLB断片は、SERCA2aとの
内因性PLBの相互作用の競合抑制剤として働くと予想される。
【0055】 治療の本型は、医学治療に対して難治性の心臓ポンプ機能の重度の減少を患っ
ており、心臓移植を待っている間に機械的補助装置を必要とする患者に対して好
適である。さらに、PLB変異体のドミナントネガティブ機能に対する明示した
分子機構を、阻害小分子に対する高処理スクリーニングの設計および履行で使用
できる。
【0056】 以下の実施例は本発明を制限することなしに、例示することを意図している。
【0057】 実施例1 超音波心臓検査のためのノックアウトマウス系統の作製 拡張性心筋症の心不全表現系のインビボでの複合体の構造的、生理学的特徴を
解析するために、いくつかのノックアウトマウスの系統を、2つの独立した筋肉
特異的遺伝子の同型接合体切断を内含する二重ノックアウト(DKO)マウスモ
デルを使用して作製し、実施した。この戦略のために、PLB−/−(ホスホラ
ンバン欠損)同型接合体マウスをMLP−/−(筋肉特異的LIMタンパク質)
同型接合体マウスと配合した。F1子孫をMLP−/−×PLB−/−同型接合
体交配より作製し、ついで交配してMLP+/−、PLB+/−二重異型接合体
遺伝子型を作製した。F2子孫をMLP+/−/PLB+/−二重異型接合体交
配より作製し、これによって変異体MLP対立遺伝子に関して同型接合体であり
、変異体PLB対立遺伝子に対して異型接合体であるマウス、またはMLP野生
型であり、変異体PLB対立遺伝子に対して異型接合体であるマウスを作製した
。F3子孫をMLP−/−/PLB+/−配合によって作製し、MLP−/−
PLB−/−(DKO)、MLP−/−/PLB+/+(MLPKO)およびM
LP+/+/PLB−/−(MLPKO/PLBhet)同胞子を作製し、また
はMLP+/+/PLB+/−交配からMLP+/+/PLB−/−(PLBK
O)、MLP+/+/PLB+/+(野生型)およびMLP+/+/PLB+/ (PLBhet)同胞子を作製した。遺伝を標的とした交配の遺伝子型をPC
Rまたは尾生検から単離したゲノムDNAによって決定した。
【0058】 さまざまなノックアウトマウス系統の血流力学的特性を評価するために、心臓
にカテーテルを通し、超音波心臓検査を、アベルチン(2.5%、20μl/k
g体重)またはキシラジン(0.005mg/g)と塩酸ケタミン(0.1mg
/g)のいずれかで麻酔した対象上において行った。経胸壁Mモード超音波心臓
図検査トレーシングにより、MLPKOマウスが壁運動の減少を伴う室拡張をし
ていることが示唆され、このことは心機能の抑制および壁ストレスの増加を示し
、一方で、DKOマウスでは室サイズおよび心機能は正常である。野生型(WT
)、n=7、MLPKO、n=8、DKO、n=9およびPLBKO、n=5に
関する基準線パラメータは図2a−dで示す。データは平均±SEMとして表し
た。MLPKO対他の群、p<0.5、**p<0.001、WT対DKO、 p<0.01。図2e−hにおいて、血流力学的査定は、ドブタミンの連続的
注射に対するβ−アドレナリン性応答で行い、WT(□)、n=7、MLPKO
(●)、n=8、およびDKO(○)、n=9マウスである。MLPKO対WT
またはDKO、p<0.05、p<0.01、p<0.001、WT対D
KO、∋p<0.01。
【0059】 実施例2 カルシウム過渡応答(transient)解析 SRカルシウム含量およびカルシウム過渡応答におけるPLB阻害の効果を評
価するために、筋細胞を野生型またはノックアウトマウスの左心室壁より単離し
た。細胞内カルシウムの変化をモニタするために、前記単離した筋細胞をカルシ
ウム感受性色素、フルオ−3−AM(1μg/ml)と共に室温にて30分間イ
ンキュベートした。次いでこの筋細胞を反転顕微鏡のステージ上の組織チャンバ
ーに移し、1Hzの速度にて連続的に刺激し、一定量のSRカルシウム負荷を保
持した。細胞内蛍光を測定するために、この筋細胞を480nmの励起波長にて
発光させた。蛍光のすべての変化をマイクロフルオロメーター(FM−1000
、Solamere Technologies)を使用して510nmでモニ
タし、以後のCellsoft(D.Bergman、カルガリー大学)ソフト
ウェアを用いた解析のためにデジタルで記録した。蛍光値を式
【数1】 [Ca2+]i=K(F−Fmin)/(Fmax−F) Kは864nMと仮定し、式中Fは実験に基づいて得られた蛍光値、を用いて
換算した。Fmaxは灌流溶液へ10μMのイオノマイシンを添加することで決
定し、Fminはそれぞれの筋細胞について灌流溶液に4mMのMnClを添
加することで決定した。
【0060】 単離した筋細胞のSRカルシウム含量を標準カフェインパルスプロトコールを
用いて評価した。カルシウム過渡応答の安定した記録にしたがって、10mMカ
フェインの20秒パルスを筋細胞に与えた。このプロトコールは結果として、ゆ
っくりと基準値に減衰して戻る急速カフェイン誘導過渡応答となる。SRカルシ
ウム含量は、このカフェイン誘導カルシウム過渡応答の積分面積として定義した
。図3aはWT、MLPKOおよびDKO筋細胞での応答性細胞内カルシウム過
渡応答を例証している。MLPKO筋細胞は通常のレベルの拡張期カルシウム濃
度でのカルシウム過渡応答の振幅の減衰を示した。DKO筋細胞は、持続期間が
短く、より速く減衰し、振幅が保持されたカルシウム過渡応答を示した。図3b
に示すように、カルシウム過渡応答の振幅はMLPKO筋細胞内で有意に弱くな
り、DKO筋細胞では回復した。図3cは、細胞内拡張期カルシウム濃度が、3
つの異なる群の筋細胞間で異ならなかったことを示している。図3dにおいて、
WTマウスと比較したときに、SRカルシウム含量がMLPKOマウスにて有意
に減少し、DKOマウスでは増加した。図3eでは、代表的な定量的免疫ブロッ
ティングによって、MLP欠失が、SERCA2a、PLBおよびカルセケスト
リンのタンパク質レベルの有意な変化と関連しないことが明らかになった。
【0061】 実施例3 変異体PLBアデノウイルスの構築および遺伝子移送 ヒトPLBをコードしているI.M.A.G.E.共同cDNAクローンはG
enome System,Inc.を通して入手可能であった。PLBの全コ
ード配列を含むDNA断片を、公知の大腸菌(E.coli)クローニングベク
ター(ATCC受け入れ番号87047)であるpBluescriptII
KSベクター内にサブクローン化した。センス変異(Val49Ala)を、S
tratageneより商業的に入手可能なPCRに基づいた変異導入系を用い
て導入した。野生型および変異体ヒトPLBを発現している組換え体アデノウイ
ルスを、プラスミドpJM17とRSVプロモーターおよびSV40ポリA配列
を含むシャトルプラスミドとの間の相同組換えによって作製した。濃縮したウイ
ルス調製品を標準のプロトコールを使用して滴定した。効率よいインビボでの心
臓遺伝子移送を、1日齢新生児マウスの心臓にアデノウイルスベクターを注入す
ることで行った。筋細胞をマウス心臓内への注射の後4週間で単離し、細胞短縮
を測定した。変異体導入遺伝子を含む筋細胞を、マーカーとしてGFPを発現し
ているアデノウイルスベクターを共にトランスフェクトすることで同定した。
【0062】 実施例4 PLB阻害剤−輸送ペプチド複合体の構築 PLB阻害分子を、輸送ペプチドとPLBタンパク質を直接ポリリシン骨格に
付着させて作製した。あるいはPLB分子はまた繰り返しカーゴペプチド配列に
接着した輸送配列からなる単一長ペプチドとして作製できた。輸送ペプチドはア
ンテナペディアの残基43〜58(Seq.ID.No.7)、ショウジョウバ
エ転写因子タンパク質で構成された。カーゴペプチドは、PLBの最初の16残
基(Seq.ID.No.8)を使用して誘導した。このカーゴ配列はまた、野
生型PLBまたは変異体PLBの任意の区画から由来可能であることに注意する
ことが重要である。
【0063】 PLB阻害分子を、4輸送ペプチドをPLBの最初の16残基とマッチしてい
る4ペプチドに結合することで構築した。骨格リンカーは8−分岐リシンであり
、一般的に多重抗原性ペプチド(MAP)合成で使用されたものである。MAP
樹脂の最初の4分岐をアンテナペディアペプチドを合成するのに使用した。次い
で、次の4分岐を脱保護し、PLBカーゴペプチドの合成の開始点として使用し
た。したがって、初期の特性化のために使用したこの特定のPLB阻害剤はアン
テナペディアペプチドの4分岐およびPLBカーゴペプチドの4分岐を持った。
あるいは、PLB阻害剤は互いに単一ペプチド結合によって接着したカーゴおよ
び輸送ペプチド、または互いにジスルフィド結合によって接着したカーゴおよび
輸送ペプチドを持つ単一ペプチドとして構築できた。PLB阻害分子を単離した
新生児ラット心筋細胞内に効果的にトランスロケーションし、図5aおよびbで
見ることのできる結果である、結果としての細胞の収縮性の増加が示された。非
感染筋細胞と比較した場合、V49A PLB点変異を過剰発現している筋細胞
は収縮性の増加を示し、一方、野生型PLBを過剰発現した筋細胞は収縮性の減
少を示した。
【0064】 実施例5 ペネトラチンペプチドTATおよびANT 細胞レベル研究をおこない、2つのペネトラチンに基づくペプチド、2つの変
異体PLB−ペネトラチンペプチドおよび2つの多重抗原ペプチド(MAP)の
、単離したマウス心筋細胞の収縮サイクルを強化する能力を評価した。2つのペ
ネトラチンに基づいたペプチドには、それぞれANT(Seq.ID.No.1
4)の5’末端またはTAT(Seq.ID.No.15)の3’末端のどちら
かに接着するPLB配列の20残基部分を持つ、PLB−ANT(Seq.ID
.No.10)およびTAT−PLB(Seq.ID.No.11)が含まれる
。2つの変異体PLBペプチド、変異体PLB−ANT(Seq.ID.No.
12)およびTAT−変異体PLB(Seq.ID.No.13)は、PLB配
列の20残基のS16E変異を示す。多重抗原ペプチドには8ペネトラチン領域
をもつMAP(ANT)および4ペネトラチン領域および4PLB領域を持つM
APが含まれる。
【0065】 それぞれのペネトラチン−PLBペプチドを、単離したマウス心筋細胞の収縮
サイクルを強化するその能力を測定して評価した。理想はペネトラチンPLBペ
プチドがPLB−SERCA2a相互作用のドミナントネガティブ阻害剤として
働くことである。単離した心筋細胞上でのTAT−PLBペプチドの結果を表3
に示す。このデータに関しては、試験をいくつかの心筋細胞の組で繰り返し行い
、TAT−PLBペプチドあり(試料1−7)、およびペプチドなし(対照1−
8)での収縮サイクルを通した相対的長さの変化を決定した。それぞれの試料に
は10μMのTAT−PLBペプチドの濃度を添加し、一方対照にはペプチドを
添加しなかった。
【0066】
【表3】 測定は毎20ミリ秒毎に行い、長さの単位は任意であるが、しかし一般的に1完
全細胞長のオーダーに基づいた。パーセント収縮は(最大長−最小長)を最大長
で割ったものとして計算した。時間対長さのプロットは、そこから最も直線の部
分を選択したU型曲線となり、「U」の左側は収縮を表し、右側は弛緩を表して
いる。r2棒は、どれくらいデータが曲線にフィットしているかを示し、1.0
が完全フィットを示す。
【0067】 筋細胞においてより大きく、より速い収縮への傾向があるように見られた一方
で、T検定解析では、データの大きな変動のためになんの統計学的な差も同定さ
れなかった。
【0068】 実施例6 ヘキサヒスチジンタグ化ペネトラチン 多くのDNA構造を、細菌内でヘキサヒスチジン(H6)タグ化ペネトラチン
およびペネトラチン−PLB組換え体タンパク質を産出するために作製した。商
業的に入手可能である発現ベクターpRSET(Invirogen)を使用し
、組換え体タンパク質H6−ANT(Seq.ID.No.16)を作製した。
この組換え体タンパク質はPLBに接着していない一方で、心臓に入ったときに
このタンパク質を検出するのに使用するエピトープタグを持つように作製した。
H6−PLB(S16E変異体)−ANTタンパク質およびH6 PLB (V
49A変異体)ANTタンパク質(それぞれSeq.ID.No.18および1
9)に加えて、H6−wtPLB−ANT(Seq.ID.No.17)のH6
−ANTの変形体もまた、PLB配列を含んで発現させた。H6−ベータ−ガラ
クトシダーゼ−ANT、H6−TATおよびH6−ベータ−ガラクトシダーゼ−
TATはまた低レベルで発現した(配列は記載していない)。TrpがPheに
変異された残基68および67での2つの変異を持つ非機能的ANT−ペネトラ
チンを、他の3つのペネトラチン−PLBタンパク質に対する陰性対照として作
製した。
【0069】 これらの組換え体ペネトラチンに基づいたタンパク質の心臓収縮における効果
を測定するために、1匹のマウスに腹腔内に2mgのH6−ANTペプチドを注
射した。第二のマウスには腹腔内に2mgのH6−ANT変異体タンパク質を注
射した。3時間のインキュベーション期間の後、マウスを犠牲死し、心臓を解析
のために取り除いた。心臓内の血液を大動脈弓を通して流体を後方へ押すことで
取り除いた。それぞれの心臓を心房組織、左心室組織および右心室組織に切り裂
いた。すべての組織を、大量の生理学的平衡化PBS溶液内で洗浄し、液体窒素
内で瞬間冷凍した。次いでこの組織を8M尿素、2% トリトン−X100内で
、10分間で溶解し、同量の上清を15%PAGE上で電気泳動した。バンドを
PVDF膜に写した。この膜を溶解物がエピトープタグ化タンパク質を含んだか
どうかを同定するために坑His抗体で標識した。
【0070】 本明細書で開示された本発明は、心筋細胞内でのホスホランバンと筋小胞体
Ca2+−ATPase間の相互作用を抑制するかまたは変更することを介した
心不全の治療のさまざまな方法を提供する。本発明は、以上で提供された実施例
に関して記述してきたが、さまざまな変更が、本発明の意図を逸脱せずに行われ
うることを理解すべきである。したがって、本発明は以下の請求項によってのみ
制限される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、心不全の進行におけるPLB−SERCA2a相互作用の役割につい
ての作動モデルを図示する図である。
【図2】 図2は、DKOマウスにおけるインビボでの心臓機能不全の回復についての血
行動態解析(a〜d)およびドブタミンの連続注入に対するβ−アドレナリン作
動性応答の血行動態評価(e〜h)を示し、図2aは、LV圧の最大一次導関数
、LVdP/dtmaxのプロットを示す。図2bは、LV圧の最小一次導関数
、LVdP/dtminのプロットを示す。図2cは、LV拡張終末期圧のプロ
ットを示す。図2dは、Tauのプロットを示す。図2eは、LV圧の最大一次
導関数、LVdP/dmaxのグラフを示す。図2fは、LV圧の最小一次導関
数LVdP/dtminのグラフを示す。図2gは、LV拡張終末期圧のグラフ
を示す。図2hは、心拍数のグラフを示す。
【図3】 図3は、DKO筋細胞における生理学的カルシウムシグナル伝達欠陥の回復に
ついての解析からの、プロットデータを示し、図3aは、WT、MLPKOおよ
びDKO筋細胞における、一連の代表的な細胞内Ca2+過渡応答のグラフであ
る。図3bは、Ca2+過渡応答の振幅の棒グラフである。図3cは、細胞内拡
張期Ca2+濃度の棒グラフである。図3dは、SRのCa2+含量の棒グラフ
である。図3eは、MLP欠損のイムノブロットである。
【図4】 図4aは、DKOマウスにおける心不全表現型の胚遺伝子マーカーの回復につ
いてのドットブロット解析を示す。図4bは、野生型、MLPKO、およびDK
O筋細胞のmRNAの相対誘導を比較した棒グラフである。
【図5】 図5は、PLBとSERCA2aの間の相互作用の阻害を示し、図5aは、筋
細胞の長さの変化をプロットした一連のグラフである。図5bは、細胞の長さの
変化のデータの要約である。
【図6】 図6aは、モノクローナルPLBに対する、センスPLB(sPLB)、アン
チセンスPLB(asPLB)、E2A、R14E、S16N、およびK3E/
R14Eを発現しているアデノウイルス導入遺伝子を含む筋細胞のウェスタンブ
ロット解析である。図6bは、PLB、sPLBおよびK3E/R14Eによる
細胞の感染力の結果を示すウェスタンブロットである。図6cは、SolB細胞
のPLB感染力のウェスタンブロット解析を示す。
【図7】 図7は、示した遺伝子を発現しているアデノウイルスで感染させた、新生仔ラ
ット心筋細胞のホモジネートにおける、SRのCa2+取込みのプロットである
【図8】 図8は、indo1蛍光により促進された筋細胞のCa2+過渡応答から得ら
れたデータのプロットを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ディルマン、 ウオルフガング アメリカ合衆国 92093−0613−スィー カリフォルニア州 ラ ホラ メイル コ ード 0613−スィー ギルマン ドライブ 9500 (72)発明者 ミナミサワ、 スザンヌ アメリカ合衆国 92093−0613−スィー カリフォルニア州 ラ ホラ ベイシック サイエンス ビルディング 5027 メイ ル コード 0613−スィー ギルマン ド ライブ 9500 (72)発明者 ヘー、 フアピン アメリカ合衆国 92093−0613−スィー カリフォルニア州 ラ ホラ メイル コ ード 0613−スィー ギルマン ドライブ 9500 (72)発明者 ホシジマ、 マサヒコ アメリカ合衆国 92093−0613−スィー カリフォルニア州 ラ ホラ ベイシック サイエンス ビルディング 5027 メイ ル コード 0613−スィー ギルマン ド ライブ 9500 (72)発明者 メイヤー、 マーカス アメリカ合衆国 92093−0613−スィー カリフォルニア州 ラ ホラ メイル コ ード 0613−スィー ギルマン ドライブ 9500 (72)発明者 スコット、 クリストファー アメリカ合衆国 92093−0613−スィー カリフォルニア州 ラ ホラ ベイシック サイエンス ビルディング 5033 メイ ル コード 0613−スィー ギルマン ド ライブ 9500 (72)発明者 ワン、 イビン アメリカ合衆国 92093−0613−スィー カリフォルニア州 ラ ホラ メイル コ ード 0613−スィー ギルマン ドライブ 9500 (72)発明者 シルヴァーマン、 グレッグ ジェイ. アメリカ合衆国 92093−0613−スィー カリフォルニア州 ラ ホラ メイル コ ード 0613−スィー ギルマン ドライブ 9500 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA06 EA02 HA01 HA17 4C084 AA02 AA13 BA41 BA44 CA53 NA14 ZA372 ZA422 4C085 AA13 AA14 AA21 EE01

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホスホランバン欠乏を誘導することを含む、心不全の治療の
    ための方法。
  2. 【請求項2】 外因性ホスホランバン蛋白質がホスホランバン欠乏を誘導す
    る、請求項1に記載の心不全の治療のための方法。
  3. 【請求項3】 外因性ホスホランバン蛋白質が、PLBの突然変異体、セン
    スPLB、アンチセンスPLB、トランケートされたPLB、天然PLB、及び
    PLBに対する抗体から成る群から選択される、請求項2に記載の心不全の治療
    のための方法。
  4. 【請求項4】 PLBの突然変異体がPLBの点突然変異体を含む、請求項
    3に記載の心不全の治療のための方法。
  5. 【請求項5】 PLBに対する抗体がコントラクチリンを含む、請求項3に
    記載の心不全の治療のための方法。
  6. 【請求項6】 複合体として第一ペプチドと第二ペプチドから成り、第一ペ
    プチドが輸送ペプチドを含み、第二ペプチドがカーゴペプチドを含む、ホスホラ
    ンバン活性を阻害するためのペプチドベースの治療薬。
  7. 【請求項7】 輸送ペプチドが、ペネトラチン、アデノウイルス、細菌及び
    脂質小胞ベースの輸送ペプチドから成る群から選択される、請求項6に記載のペ
    プチドベースの治療薬。
  8. 【請求項8】 カーゴペプチドが、PLBの突然変異体、センスPLB、ア
    ンチセンスPLB、トランケートされたPLB、及び天然PLB蛋白質から成る
    群から選択される、請求項6に記載のペプチドベースの治療薬。
  9. 【請求項9】 第一ペプチドが細胞膜を横断して第二ペプチドを輸送する、
    請求項6に記載のペプチドベースの治療薬。
  10. 【請求項10】 第一ペプチドと第二ペプチドが共有結合によって結合して
    いる、請求項6に記載のペプチドベースの治療薬。
  11. 【請求項11】 共有結合が分枝ポリリシン骨格、単ペプチド結合、又はジ
    スルフィド結合から成る、請求項10に記載のペプチドベースの治療薬。
  12. 【請求項12】 PLB‐SERCA2a相互作用の阻害によって心筋収縮
    能を高めることを含む、心不全の治療のための方法。
  13. 【請求項13】 心筋小胞体のCa2+ATPアーゼへのPLBの作用を阻
    害することによって心筋収縮能が高められる、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 外因性ホスホランバン蛋白質を使用してホスホランバン欠
    乏を抑制する、請求項12に記載の方法。
  15. 【請求項15】 外因性ホスホランバン蛋白質が、PLBの突然変異体、セ
    ンスPLB、アンチセンスPLB、トランケートされたPLB、天然PLB、及
    びPLBに対する抗体から成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 PLBの突然変異体がPLBの点突然変異体を含む、請求
    項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 PLBに対する抗体がコントラクチリンを含む、請求項1
    5に記載の心不全の治療のための方法。
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