JP2002525113A - 膜関連組織化タンパク質 - Google Patents

膜関連組織化タンパク質

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JP2002525113A JP2000572362A JP2000572362A JP2002525113A JP 2002525113 A JP2002525113 A JP 2002525113A JP 2000572362 A JP2000572362 A JP 2000572362A JP 2000572362 A JP2000572362 A JP 2000572362A JP 2002525113 A JP2002525113 A JP 2002525113A
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ラル、プリーティ
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ボーグン、マライア・アール
リュ、アイナ・ディー
タング、ワイ・トム
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト膜関連組織化タンパク質(HJNCT)と、HJNCTを同定しコードするポリヌクレオチドとを提供する。本発明はまた、発現ベクター及び宿主細胞、抗体、アゴニスト、アンタゴニストを提供する。更に、本発明は、HJNCTの発現に関連する疾患の診断または治療方法、予防方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、ヒト膜関連組織化タンパク質(human membrane-associated organi
zational proteins)の核酸配列及びアミノ酸配列、並びにこれらの配列を用い
た癌を含む細胞増殖異常症、自己免疫/炎症性疾患、神経障害、発達障害、小胞
輸送障害、胃腸疾患及び腎障害の診断及び治療、予防に関する。
【0002】 (発明の背景) 細胞は細胞膜に取り囲まれており、細胞膜は細胞を囲み、周囲と性質の異なる
細胞内環境を維持する。真核生物は多数の細胞内小器官及び膜に囲まれた小胞構
造を有する点で原核生物と区別される。膜関連の組織化タンパク質は、細胞膜、
細胞小器官膜、及び小胞膜の特定の部位におけるシグナルタンパク質及び輸送タ
ンパク質の凝集及び形成の原因となる。例えば、シナプス後シグナルタンパク質
において、膜関連の組織化タンパク質はイオンチャネル及び受容体クラスター化
の原因となる。ゴルジ仲介輸送及び分泌において、膜関連の組織化タンパク質は
槽 積層及び小胞格納を制御する。膜関連の組織化タンパク質は、隣合う細胞同
士及び細胞と細胞外マトリックスの接する部位である細胞結合を形成する役割も
演じる。細胞結合は、細胞の形体、強度、柔軟性、運動性、及び接着力に影響を
及ぼす。
【0003】 PDZドメイン PDZと呼ばれる保存されたタンパク質ドメインは、細胞膜のサイトソル面で働
く種々のタンパク質内に認められる。PDZ含有タンパク質は、細胞間シグナルイ
ベントに影響を与える多機能タンパク質複合体の集合を配位結合させる。PDZド
メインは、例えばチャネル、受容体、シグナル酵素の局在化、及び細胞−細胞接
触部位への分子接着に影響を与えるタンパク質/タンパク質相互作用モチーフで
ある。PDZドメインは、このドメインが最初に発見された3個のタンパク質に名
付けられている。それらはPSD-95(シナプス後部濃度95)、Dlg(ショウジョウ
バエ致死( 1 ) ディスク大−1)、及びZO-1(閉鎖帯−1)である。これらのタ
ンパク質は各々、神経シナプス伝達、腫瘍抑制、細胞結合形成に重要な役割を演
じる。これらのタンパク質の発見により、種々の原核生物及び真核生物において
60を超える追加PDZ含有タンパク質が同定された。PDZドメインの大部分は真核
MAGUK(膜関連グアニル酸キナーゼ)タンパク質ファミリーで見い出され、この
タンパク質ファミリーのメンバーは神経性受容体及びチャネルの細胞内ドメイン
に結合する。しかし、PDZドメインは種々の膜局在タンパク質、例えばプロテイ
ンチロシンホスファターゼ、セリン/スレオニンキナーゼ、Gプロテインコファ
クター、及びシナプス関連タンパク質、例えばsyntrophin及びニューロンの酸化
窒素シンターゼ(nNOS)内にも見い出される。9個までのPDZドメインが1個の
タンパク質で同定されているが、一般に、任意のタンパク質1個に約1個から3
個のPDZドメインが見い出される(例えばPunting, C.P. ら. (1997) Bioessays
19:469-479、Fanning, A.S. 及び J.M. Anderson (1999) J. Clin. Invest. 103
:767-772を参照)。
【0004】 X線結晶学は、PDZ ドメインが一般的には6個のβストランド及び2個のαヘ
リックスを形成するアミノ酸を約80個から100個含む緻密な球状構造である
ことを示している。PDZドメインは、ポリペプチド鎖内で回転部分を導入し緊密
化及びフォールドされたポリペプチドの安定化を促進するグリシン残基に富む傾
向がある。GLGF(グリシン−ロイシン−グリシン−フェニルアラニン)配列モチ
ーフは、幾つかのPDZドメイン内で保存される。GLGF配列は、通常GLGF上流に約
6残基見つけられたアルギニンが先行する。PDZドメインは、バリン及びセリン
またはスレオニンを含むトリペプチドモチーフに結合する。このモチーフが欠失
していたり保存的置換を含むリガンドもあるが、PDZドメインを結合するリガン
ドの大多数はこのモチーフを含有する。
【0005】 PDZ含有タンパク質は、おそらく欠陥細胞シグナル伝達に関連する障害に関与
している(Ponting、上述)。例えば、PDZドメインは発達において重要な役割を
演じていることを示しており、PDZ含有タンパク質LIMキナーゼIをコードする遺
伝子は複合発達障害の1つであるウィリアムズ症候群を患う患者から末消される
【0006】 PDZが仲介するニューロンのシグナル伝達 細胞は、細胞外シグナルを受信し処理することにより、周囲と伝達し、周囲に
反応する。これらのシグナルは、活性化特異的細胞膜受容体に結合するホルモン
、サイトカイン、及びペプチドの形をとっている。活性化受容体は、遺伝子発現
、タンパク質分泌、細胞周期進行、及び 細胞分化に影響を与える細胞反応の広
い範囲で最高点に達する胞内シグナル形質導入経路を開始する。シグナル形質導
入の開始イベントは、活性化細胞膜受容体のサイトソルドメインへの細胞内シグ
ナル伝達タンパク質の近接を必要とする。これらの細胞内膜関連シグナル伝達タ
ンパク質は、活性化受容体を下流2次伝令系統へ交接し、複合多タンパク質シグ
ナル形質導入経路の調節及び共調において鍵となる役割を演じる。
【0007】 PDZタンパク質は、シナプス後膜においてイオンチャネル及び神経伝達物質受
容体のクラスター化の際に重要な役割を演じる。この組織活性は、ニューロンの
発達及びシナプス形成性に必須である(Ponting、上述)。ニューロン受容体及
びチャネルのクラスター化を阻害する突然変異は、マウスの周産期致死率の原因
となる。MAGUKタンパク質は特に、哺乳動物の海馬において優勢な興奮神経伝達
物質であるグルタミン酸塩に反応するニューロン受容体及びイオンチャネルのク
ラスター化に重要である。特に、PSD-95、PSII3-93、 SAP-97(シナプス関連タ
ンパク質97)、SAP-102、及びchapsyn 110のPDZ ドメインは、N-メチル-D-アス
パラギン酸(NMDA)グルタミン酸受容体及びシェーカー型カリウムチャネルのサ
イトソルC末端と結合し、これらのクラスター化を発生させる。
【0008】 新奇なシナプスのPDZタンパク質であるHomerは、最近ラット脳内で同定された
。HomerはMAGUKタンパク質と類似の機能を発揮するが、MAGUKタンパク質とは互
いに大きく異なっており、新奇な別個のPDZタンパク質ファミリーを表すことが
可能である。HomerのmRNAは6.5 kb長で、186個のアミノ酸のタンパク質をコ
ードする。Homerは単一PDZ様ドメインを含み、ホスホイドシチノ関連代謝調節型
グルタミン酸受容体のカルボキシ末端に結合する。PDZ様ドメインは、PSD-95等
のタンパク質のPDZドメインに見られるようなGLGF配列及び進行性アルギニンを
含む。そうでなければ、HomerとPDZファミリーの伝達されたメンバーとの間には
10%以下のアミノ酸配列しか同定されない。欠失構造より判明したことは、Ho
merのアミノ末端108アミノ酸は、GLGF配列を含み、Homerをグルタミン酸受容
体に結合させるのに必須ということである。Homer mRNAの発現は、前頭において
発作ニューロン活性化及び薬物導入ニューロン活性化によって強力に上方制御さ
れる(Brakeman, P.R.ら (1997) Nature 386:284-288)。
【0009】 詳細な免疫組織化学分析により、Homerは興奮シナプスにおいて富化されるこ
とが判明した。さらに、Homer遺伝子の発現はシナプス活性により発達的に調整
され、生後3週間から4週間に増加するシナプス活性と同時発生するラット前頭
におけるピーク発現を伴う。成体内では、Homer mRNAは覚醒ラット海馬に急速に
導入される。Homerは、線条内のコカインによって急速に導入されるので、ドー
パミン受容体の調整にも関連している(Brakeman、上述)。
【0010】 総括すると、Homerはニューロンの機能及び発達に主要な役割を演じているこ
とをこれらの観察は示唆している。Homerはおそらくシグナル形質導入 に関係し
、受容体の空間標的化に影響を与える。興奮シナプスにおけるHomerの選択発現
は、シナプス形成及びグルタミン酸仲介神経伝達物質の調整における役割を強く
支えている。
【0011】 ゴルジ内の槽積層 ゴルジ装置(ゴルジ)は、積層した円板型槽膜から構成される細胞小器官であ
り、動物細胞の分裂間期に核周辺に見られる。ゴルジは、分泌経路を交差する時
に分泌タンパク質及び細胞膜タンパク質を翻訳後修飾する酵素を含む。修飾酵素
の多くは規則正しい配列で機能し、ゴルジ内で独自の分布を有し、ゴルジ構造が
修飾酵素の機能にとって重要であることを示唆している。分泌タンパク質及び細
胞膜タンパク質は、ドナー膜から出芽して標的膜に格納し融合する分化した小胞
内で、ゴルジを透過して輸送される。槽積層は、格納イベントの分化形態として
見ることが可能であり、その中で1つの槽は別の槽を融合することなく格納する
。有糸分裂中にゴルジは、2個の娘細胞に分割される多数の小さな小胞及び細管
に分解される。小胞融合は、おそらくは小胞格納の阻害によって、有糸分裂中に
阻害される。細胞が有糸分裂から出る際、ゴルジ槽は改質及び再積層をし、小胞
輸送が再開する。
【0012】 小胞は、格納及び融合に先立ち、標的膜につなぎ留められる。小胞面上タンパ
ク質Giantinは、ゴルジのサイトソル面上で受容体GM130に順番に結合されている
サイトソルタンパク質p115に結合する。GM130は、緊密に会合する周辺細胞膜タ
ンパク質であり、この細胞膜タンパク質は、らせんコイル延長杆状体構造を有し
、二量体の外観を呈する。有糸分裂中に、GM130はサイクリン依存キナーゼによ
ってリン酸化される。リン酸化はp115のGM130への結合を抑制し、小胞つなぎ留
め(tethering)及び格納を阻害し、小胞の融合を阻害する。
【0013】 ゴルジ再構成積層タンパク質(GRASP65)は、槽積層の阻害及び維持のいずれ
かまたは両方及び小胞格納において役割を演じることが可能なゴルジタンパク質
として同定された。GRASP65抗体は、細胞遊離(cell-free)系統において槽積層
を防止する。ラットGRASP65遺伝子は、テストした全ラット組織に発現し、二量
体として存在する外観を呈する65 kDa周辺細胞膜タンパク質をコードする。GRAS
P65の相同体は、出芽酵母及び分裂酵母に存在する。
【0014】 GRASP65は、有糸分裂及び非有糸分裂(nonmitotic)条件下でGM130と相互作用
する。GRASP65/GM130複合体はp115と相互作用し、3つのタンパク質全てが小胞
格納及び槽積層における役割をもって複合体として機能する示唆する。GM 130の
ようにGRASP65は有糸分裂中に重度にリン酸化される。GRASP65はN末端でミリス
トイル化され、これはゴルジ膜への関与の説明となる。タンパク質は、2個の不
完全反復ドメイン(GI 4432587、 SEQ ID NO 10におけるF16からS108まで及びWI
12からP202)を含み、これらのドメインの後に細胞周期調整に関与する高セリ
ンC末端ドメインが続く。GM 130の結合部位は、2次反復ドメイン内でG194から1
201までのアミノ酸にマップされる。1次反復ドメインは、2次反復ドメインに
類似しているが、GM 130には結合しない。GM 130上のGRASP65結合部位は、4個
の疎水性アミノ酸を含めてGM 130のC末端にマップされる。GRASP65とGM 130との
相互作用は、PDZドメイン含有タンパク質のリガンドへの結合に似ている。GRASP
65 のGM 130への結合部位内のGYGY配列は、PDZドメインの保存GLGF配列に類似し
ている。更に、PDZタンパク質は、リガンドのC末端にある4個のアミノ酸を認識
する(例えば、Warren, G. 及び V. Malhocra (1998) Curr. Opin. Cell Biol.
10:493-498、Lowe, M. ら. (1998) Trends Cell Biol. 8:40-44、Barr, FA.ら (
1997) Cell 91:253-262、Barr, FA.ら (1998) EMBO J. 17:3258-3268.)。
【0015】 細胞小器官または細胞表面へのタンパク質輸送の欠陥は、多数のヒトの疾患及
び障害に関与している。膜結合受容体輸送及びイオンチャネル輸送の欠陥は、嚢
胞性線維症(嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子)、グルコース−ガラ
クトース吸収不良症候群(Na+/グルコース共輸送体)、コレステロール過剰血
症(低濃度リポプロテイン受容体)、及び真性糖尿病(インスリン受容体)の形
成に関与している。異常ホルモン分泌は、尿崩症(バソプレシン)、高血糖症及
び低血糖症(インスリン、グルカゴン)、グレーブス病、及び甲状腺腫(甲状腺
ホルモン)及びクッシング病及びアディソン病(副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
)を含む疾患に関係している。
【0016】 癌細胞は、過剰な量のホルモンまたは他の生理活性ペプチドを分泌する。この
過剰分泌に関係する疾患には、膵島細胞腫瘍からのインスリン分泌の増加による
空腹時低血糖症、副腎髄質及び交感神経性傍神経節腫の褐色細胞腫からのエピネ
フリン及びノルエピネフリンの増加による高血圧症、及びカルチノイド症候群が
含まれ、また、カルチノイド症候群には、腸管腫瘍から分泌される過剰な量の血
管作動性物質(セロトニン、ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジン及
びポリペプチドホルモン)に起因する腹部痙攣、下痢、及び弁膜性心疾患が含ま
れる。生理活性ペプチドの異所性合成及び分泌は、肺癌及び膵臓癌のACTH 及び
バソプレシン、肺癌及び膀胱癌の副甲状腺ホルモン、肺癌及び乳癌のカルシトニ
ン、及び延髄甲状腺癌腫の甲状腺誘導ホルモンを含めて発生する。
【0017】 細胞結合 細胞結合(cell junction)は、隣合う細胞同士及び細胞と周囲の細胞外マト
リックスが接する部位であり、細胞結合は、細胞膜に関与する細胞内タンパク質
複合体及び細胞外タンパク質複合体から構成される。更に、細胞形質と交差する
細胞骨格単繊維は、ヒト細胞結合タンパク質を用いて細胞皮質に組み込まれる。
細胞結合は、サイトカイン、増殖因子等のシグナルに敏感に反応する動的構造で
あり、シグナル形質導入も可能である。細胞結合の動的特性は、細胞形状、強度
、柔軟性、運動性及び接着に影響する。細胞−細胞接触及び細胞−基質接触は、
しばしば腫瘍性形質転換細胞内で離開され、管理されていない細胞増殖及び転移
のメカニズムを示唆する。
【0018】 密着結合は、上皮細胞及び内皮細胞外周付近に存在する。(Balda, M.S. 及び
K. Matter (1998) .J. Cell. Sci. 111:541-547、Lampugnani, MG. 及び E. De
jana (1997) Curr. Opin. Cell. Biol. 9:674-682.に詳しい。)上皮及び内皮は
、体区画(基底外側)を外部周囲または位相同形空間(先端側)から分離する極
性細胞の単層である。先端ドメイン及び基底外側のドメインは極性化され、脂質
、膜関連タンパク質等、異なる細胞膜成分を含む。密着結合は、細胞の周囲の連
続的周囲封鎖を構成し、細胞シートを横断する溶質の拡散へのバリヤーを形成す
る。密着結合は、先端膜ドメインと基底外側膜ドメインの境界としても機能し、
受容体等の膜関連タンパク質が区画間で外側拡散することを防止し、細胞極性を
維持する。
【0019】 上皮細胞極性の維持は、多数の上皮器官の固有機能に必須である。例えば、腎
臓において再吸収及び分泌は、特異チャネル及び頂膜への輸送体の極性挿入に依
存し、頂膜への輸送体は間質及び血液空間に近接する腎の細管内腔または基底外
側膜を内張りする。細胞膜タンパク質の欠陥極性化は、腎の嚢胞性疾患につなが
る(Wilson, PD. (1997) Am. J. Physiol. 272:F434-F442.)。密着結合透過の
離開は広範囲の胃腸病理学に関与しているので、密着結合のバリヤー機能も重要
である。アスピリン、エタノール等、胃の密着結合透過を増加させる薬は、H+
オンの粘膜への逆拡散を許容することによって胃の粘膜損傷を誘導し増幅する。
異常密着結合透過は、クローン病等の炎症性腸疾患の原因ともなりうる。ある種
のバクテリア毒素は、腸管上皮密着結合異常を発生させ、固有腸管吸収及び分泌
に必要な電気化学勾配の散逸によって下痢の一因となる。密着結合の構造的及び
機能的離開も、肝臓の共通胆管に関与する遺伝性慢性肝臓病及び胆汁うっ滞にお
いて観察される(Balda, M.S. ら. (1992) Yale J. Biol. Med. 65:725-735)。
【0020】 ZO-l及びZO-2(密着結合)を含む密着結合のタンパク質成分である細胞形質タ
ンパク質は、密着結合における細胞膜に関与している。ZO-lはアクチンPDZドメ
イン含有タンパク質であり、スペクトリンに関与し、従って密着結合を細胞骨格
に連結可能である。密着結合のその他の細胞形質成分には、cingulin、7H6抗原
、symplekin、及び小RabファミリーGTPアーゼが含まれる。密着結合ストランド
の最初の同定成分は、実際の細胞間結合を形成し、4回膜貫通ドメインを有する
65 kDタンパク質多層細胞膜タンパク質occludinであった。ZO-l結合は、occludi
nのカルボキシ末端領域であり、occludinを密着結合に局在させることが可能で
ある。タンパク質の最近同定されたファミリーであるclaudinも、密着結合スト
ランドの成分である。
【0021】 claudinは、これもまた4回保存膜貫通ドメインを含む22-25 kDタンパク質で
あるが、occludinとの配列相同性を有しない(Furuse, M. ら. (1998) J. Cell
Biol. 141:1539-1550)。claudinファミリーの少なくとも8個のメンバーはマウ
スから作製された。特にclaudin-2はclaudinファミリーの最祖先メンバーである
。これまで研究された8個のclaudinは全て異なる組織分布を有し、特にclaudin
-6は、発達的に調整されている様相を呈している(Morita, K.ら(1999) Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 96:511-516)。claudin-2の発現は、主として肝臓及び腎
臓に制限され、脳における発現レベルは低い(Furuseら、上述)。claudin-l及
びclaudin-2は共に免疫螢光法によって専ら密着結合に局在し、密着結合を欠くc
laudin-l及びclaudin-2のcDNAのマウス線維芽細胞への導入は、密着結合の形成
を導入する(Furuse, M.ら. (1998) J. Cell Biol. 143:391-401)。occludin発
現が少数の短いストランドを導入するのに伴い、occludinは副タンパク質、clau
dinは密着結合ストランドの主要構成成分の外観を呈する。
【0022】 膜貫通タンパク質の他のクラスは異なる型の細胞結合形成に関与し、細胞接着
はインテグリン、カドヘリン、及びセレクチンである。インテグリンは、局所接
着、細胞と細胞外マトリックス間に発生するアクチンに基づく細胞結合における
膜貫通受容体である。インテグリンは、今では細胞表面分子第2クラスが一次イ
ンテグリン受容体によって仲介される接着の型を修飾するような外観を呈する。
特に、ヘパラン硫酸プロテオグリカンのファミリーであるシンデカンは、細胞骨
格の下方組織の接着及び修飾において共受容体として働く。例えば、インテグリ
ンは一次線維芽細胞の付着及び拡散移動(spreading)には十分であるが、基質
分子とシンデカンの相互作用を介する二次シグナルは、局所接着及びストレス繊
維形成の後段階で必要である。シンデカンのグリコサミノグリカン鎖は、増殖因
子、プロテアーゼ、及びプロテアーゼ阻害剤と同様に、フィブロネクチン、ラミ
ニン、テネイシン、コラーゲン等の基質タンパク質のヘパラン結合ドメインと相
互作用する。シンデカンは、タンパク質キナーゼC及びサーク/cortactin 経路
を含む下方シグナル伝達経路の成分とも相互作用する(Woods, A.ら (1998) Mat
rix Biol. 17:477-483、Rapraeger, AC. 及び V.L. Ott (1998) Curr. Opin. Ce
ll Biol. 10:620-628)。
【0023】 最近発見されたタンパク質であるsynteninは、シンデカンの細胞形質ドメイン
と相互作用し、シンデカンと細胞骨格の連結を形成する(Grootjans, J.J. ら (
1997) Proc Natl. Acad. Sci. USA 94:13683-13688)。synteninは、2個の縦列
PDZドメイン(GI 3342560、SEQ ID NO 12のK 110からP193及びF194から1274)を
含み、両ドメインはシンデカン結合のために必要とされる。synteninは、細胞膜
においてシンデカンを用いて共クラスター化(cocluster)し、その局在はシン
デカン1、2、及び4の過剰発現に影響される。synteninの過剰発現は、結果的
により大きく、より扁平な、多数の細胞表面突起を有する細胞となり、syntenin
の膜動力学及びマイクロフィラメント組織の効果を実証する(Grootjansら、上
述)。
【0024】 新規のヒト膜関連組織化タンパク質及びそれらをコードするポリヌクレオチド
の発見により、癌を含む細胞増殖異常症、自己免疫/炎症性疾患、神経障害、発
達障害、小胞輸送障害、胃腸疾患及び腎障害の診断及び治療、予防に有用な新規
の組成物を提供することで当分野のニーズに答えることができる。
【0025】 (発明の要約) 本発明は、総称して「HJNCT」、個別には「HJNCT-1」、「HJNCT-2」、「HJNCT
-3」及び「HJNCT-4」と呼ばれる実質的に精製されたポリペプチドであるヒト膜
関連組織化タンパク質を提供する。本発明の一実施態様では、SEQ ID NO:1−4(
配列番号:1−4)及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を
含む実質的に精製されたポリペプチドを提供する。
【0026】 更に本発明は、SEQ ID NO:1−4及びそれらの断片からなる一群から選択された
アミノ酸配列の少なくとも1つと95%以上のアミノ酸同一性を有する実質的に
精製された変異体を提供する。本発明はまた、SEQ ID NO:1−4及びそれらの断片
からなる一群から選択されたアミノ酸配を含むポリペプチドをコードする単離さ
れ実質的に精製されたポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、SEQ ID NO:
1−4及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドと90%以上のポリヌクレオチド配列同一性
を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列を提供する。
【0027】 更に、本発明は、SEQ ID NO:1−4及びそれらの断片からなる一群から選択され
たアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと厳密な条件
の下でハイブリダイズする単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。ま
た本発明は、SEQ ID NO:1−4及びそれらの断片からなる一群から選択されたアミ
ノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと相補的な配列を含
む単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。
【0028】 本発明はまた、核酸を含むサンプルにおいて、ポリヌクレオチドを検出する方
法であって、(a)ポリヌクレオチド配列の相補体を、少なくとも1つのサンプ
ルのポリヌクレオチドとハイブリダイズして、ハイブリダイゼーション複合体を
形成する過程と、(b)そのハイブリダイゼーション複合体を検出する過程とを
含み、そのハイブリダイゼーション複合体の存在とサンプルにおけるポリヌクレ
オチドの存在とが相関性を有する、検出方法を提供する。本発明の一実施態様で
は、ハイブリダイゼーションの前にポリヌクレオチドを増幅する過程を含む。
【0029】 本発明はまた、SEQ ID NO:5−8及びそれらの断片からなる一群から選択された
ポリヌクレオチド配列を含む単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。
また、本発明は、SEQ ID NO:5−8及びそれらの断片からなる一群から選択された
ポリヌクレオチド配列と90%以上のポリヌクレオチド配列同一性を有する単離
され精製されたポリヌクレオチド変異配列を提供する。更に本発明は、SEQ ID N
O:5−8及びそれらの断片からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含
むポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単離され精製されたポリヌクレオチ
ドを提供する。
【0030】 本発明は更に、SEQ ID NO:1−4及びそれらの断片からなる一群から選択された
アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも1
つの断片を含む発現ベクターを提供する。別の実施態様では、この発現ベクター
は宿主細胞内に含まれる。
【0031】 本発明はまた、ポリペプチドを製造する方法であって、(a)ポリペプチドの
発現に好適な条件の下、ポリヌクレオチドの少なくとも1つの断片を有する発現
ベクターを含む宿主細胞を培養する過程と、(b)その宿主細胞の培地からその
ポリペプチドを回収する過程とを含む製造方法を提供する。
【0032】 本発明はまた、SEQ ID NO:1−4及びそれらの断片からなる一群から選択された
アミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを含む医薬品組成物を好
適な医薬用担体と共に提供する。
【0033】 更に本発明は、SEQ ID NO:1−4及びそれらの断片からなる一群から選択された
ポリペプチドと結合する精製された抗体を提供する。また、本発明は、そのポリ
ペプチドの精製されたアゴニスト及びアンタゴニストを提供する。
【0034】 本発明はまた、HJNCTの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予
防方法であって、SEQ ID NO:1−4及びそれらの断片からなる一群から選択された
アミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを含む医薬品組成物を好
適な医薬用担体と共に患者に効果的な量投与することを含む、治療または予防方
法を提供する。
【0035】 本発明はまた、HJNCTの発現または活性の増大に関連した疾患の治療または予
防方法であって、SEQ ID NO:1−4及びそれらの断片からなる一群から選択された
アミノ酸配列を有するポリペプチドのアンタゴニストを患者に効果的な量投与す
ることを含む、治療または予防方法を提供する。
【0036】 (本発明の記載について) 本発明のタンパク質及び核酸配列、方法について説明する前に、本発明は、こ
こに開示した特定の装置及び材料、方法に限定されず、その実施形態を変更でき
ることを理解されたい。また、ここで用いられる用語は、特定の実施例のみを説
明する目的で用いられたものであり、後述の請求の範囲によってのみ限定され、
本発明の範囲を限定することを意図したものではないということも理解されたい
【0037】 本明細書及び請求の範囲において単数形を表す「或る」、「その(この等)」
は、文脈で明確に示していない場合は複数形を含むことに注意されたい。従って
、例えば「或る宿主細胞」は複数の宿主細胞を含み、その「抗体」は複数の抗体
は含まれ、当業者には周知の等価物なども含まれる。
【0038】 本明細書で用いた全ての科学技術用語は、別の方法で定義されていない限り、
本発明の属する技術分野の一般的な技術者が普通に解釈する意味と同じである。
本明細書で記述したものと類似、或いは同等の全ての装置及び材料、方法は本発
明の実施及びテストに使用できるが、好適な装置及び材料、方法をここに記す。
本明細書に記載の全ての文献は、本発明に関連して使用する可能性のある文献に
記載された細胞系、プロトコル、試薬、ベクターを記述し開示するために引用し
た。従来の発明を引用したからと言って、本発明の新規性が損なわれると解釈さ
れるものではない。
【0039】 (定義) 「HJNCT」は、天然、合成、半合成或いは組換え体など全ての種(特にウシ、
ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ及び好ましくは人類を含む哺乳動物)から得られる
実質的に精製されたHJNCTのアミノ酸配列を指す。
【0040】 用語「アゴニスト」は、HJNCTと結合したとき、HJNCTの効果を増大する、或い
はその持続時間を延長する分子を指す。このアゴニストには、HJNCTに結合して
その効果を変調するタンパク質、核酸、糖質、任意の他の分子を含み得る。
【0041】 「アレル変異配列」は、HJNCTをコードする遺伝子の別の形を指す。アレル変
異配列は、核酸配列における少なくとも1つの変異によって生じ、変異mRNA若し
くは変異ポリペプチドになり、これらの構造や機能は変わる場合もあれば変わら
ない場合もある。天然或いは組換え体のすべての遺伝子には、アレル形が存在し
ないもの、1つ或いは多数存在するものがある。一般にアレル変異配列を生じる
変異は、ヌクレオチドの自然な欠失、付加、或いは置換による。これらの各変異
は、単独或いは他の変異と同時に起こり、所定の配列内で一回或いはそれ以上生
じる。
【0042】 HJNCTをコードする「変異」核酸配列は、様々なヌクレオチドの欠失、挿入、
或いは置換が起こっても、HJNCTと同じポヌクレオチド或いはHJNCTの機能特性の
少なくとも1つを備えるポリペプチドである。この定義には、HJNCTをコードす
るポリヌクレオチド配列の正常の染色体の遺伝子座ではない位置でアレル変異配
列と不適当或いは予期せずハイブリダイゼーション、及びHJNCTをコードするポ
リヌクレオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて、容易に検出可能
な或いは検出困難な多形性を含む。コードされたタンパク質も変異され得り、サ
イレント変化を生じHJNCTと機能的に等価となるアミノ酸残基の欠失、挿入、或
いは置換を含み得る。意図的なアミノ酸置換は、生物学的或いは免疫学的にHJNC
Tの活性が保持される範囲で、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及
び/または両親媒性についての類似性に基づいて成され得る。たとえば、負の電
荷をもつアミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含み得り、正の電荷を
もつアミノ酸は、リジン及びアルギニンを含み得り、そして近い親水性値をもち
非電荷極性頭基を有するアミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシ
ン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラ
ニン及びチロシンを含みうる。
【0043】 用語「アミノ酸」及び「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリ
ペプチド、タンパク質配列、それらの任意の断片、天然の分子または合成された
分子を指す。HJNCTの断片である「断片」及び「免疫原性断片」、「抗原性断片
」は、好ましくはアミノ酸約5〜約15個の長さであり、最も好ましくはアミノ
酸14個の長さであり、HJNCTのある生物学的活性または免疫学的活性を保持す
る。ここでは、「アミノ酸配列は自然発生タンパク質分子のアミノ酸配列である
が、アミノ酸配列及び類似の用語は、列記したタンパク質分子に関連する完全で
元のままのアミノ酸配列に限定されるわけではない。
【0044】 「増幅」は、核酸配列の追加的な複製を生成することに関連する。増幅は、一
般にはこの技術分野では周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて行わ
れる。
【0045】 「アンタゴニスト」は、HJNCTと結合したとき、HJNCTの生物学的または免疫学
的活性の効果の程度を低下させたり、その持続時間を短縮する分子を指す。アン
タゴニストは、タンパク質、核酸、糖質、抗体またはHJNCTの効果を減少させる
の他の分子である。
【0046】 用語「抗体」は、抗原決定基と結合可能なFab及びF(ab')2及びそれらの断片
などの、無傷の分子及びFv断片を指す。HJNCTポリペプチドと結合する抗体は
、抗体を免疫する目的の小さなペプチドを含む無傷の分子またはその断片を用い
て調整可能である。動物(例えば、マウス、ラット、若しくはウサギ)を免疫化
するのに使用されるポリペプチド或いはオリゴペプチドは、RNAの翻訳から引き
出されたり、化学的に合成され得り、必要に応じて担体プロテインと結合するこ
とも可能である。ペプチドと化学的に結合した一般に用いられる担体は、ウシ血
清アルブミン、チログロビン、及びキーホールリンペットヘモニアン(KLH)を
含む。次ぎに、この結合したペプチドを用いて動物を免疫化する。
【0047】 用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触する分子のフラグメント(即ちエピ
トープ)を指す。タンパク質或いはタンパク質の断片が、宿主動物を免疫化する
のに用いられるとき、このタンパク質の種々の領域は、抗原決定基(タンパク質
上の所定の領域或いは三次元構造体)に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得
る。抗原決定基は、抗体と結合するために無傷の抗原(即ち、免疫応答を引き出
すために用いられる免疫原)と競合し得る。
【0048】 用語「アンチセンス」は、特定の核酸配列のセンス鎖と相補的な核酸配列を含
む全ての組成物を指す。アンチセンス分子は、合成や転写を含む任意の方法で作
り出すことができる。相補的ヌクレオチドは、一度細胞に導入されると、細胞に
よって作られた天然の配列と結合して二重鎖を形成し、転写や翻訳を阻害する。
「マイナス(−)」という表現はアンチセンス鎖、「プラス(+)」という表現
はセンス鎖を指す。
【0049】 用語「生物学的活性」は、自然発生分子の構造的、調節的、或いは生化学的機
能を有するタンパク質を指す。同様に、「免疫学的に活性」とは、天然或いは組
換え体のHJNCT、合成のHJNCTまたはそれらの任意のオリゴペプチドが、適当な動
物或いは細胞の特定の免疫応答を誘発して特定の抗体と結合する能力のことであ
る。
【0050】 用語「相補的」及び「相補性」は、許容の塩と許容の温度条件の下で、塩基対
の形成によってポリヌクレオチドが自然に結合することを指す。例えば、配列「
A−G−T」と相補的な配列「T−C−A」と結合する。2つの一本鎖分子間の
相補性は、幾つかの核酸が結合するのみの部分的な場合、或いは一本鎖間に完全
な相補性が存在して完全な相補性となる場合があり得る。核酸鎖間の相補性の程
度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率及び強度に大きな影響を与える
。このことは、核酸鎖間の結合に左右される増幅反応、並びにペプチド核酸(PN
A)分子の設計若しくは使用において特に重要である。
【0051】 「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」または「所定のアミノ酸配列を
含む組成物」は広い意味で、所定のヌクレオチド配列或いはアミノ酸配列を含む
任意の組成物を指す。この組成物は、乾燥した製剤或いは水溶液、無菌組成物を
含み得る。HJNCT若しくはHJNCTの断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む
組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。このプローブ
は、凍結乾燥状態で保存可能であり、糖質などの安定化剤と結合可能である。ハ
イブリダイゼーションにおいて、プローブは、塩(例えば、NaCl)及び界面活性
剤(例えば、SDS)、その他の物質(例えば、デンハート液、乾燥ミルク、サケ
精子DNAなど)を含む水溶液に展開され得る。
【0052】 「コンセンサス配列」は、不要な塩基を分離するために再配列された核酸配列
であって、XL-PCRTM(Perkin Elmer, Norwalk, CT)を用いて5'及び/または3
'の方向に延長されて再配列された核酸配列、或いはGELVIEW 断片構築システム
(GCG, Madison, WI)などのフラグメントの構築のためのコンピュータプログラ
ムを用いて2つ以上のインサイトクローン社の重複配列から構築された核酸配列
を指す。延長及び構築の両方によってコンセンサス配列に構築されるものもある
【0053】 用語「ポリヌクレオチドの発現と相関性を有する」は、ノーザン分析によるHJ
NCTをコードする核酸配列と同じ或いは関連する核酸の検出が、サンプル内のHJN
CTをコードする核酸の存在を示すことから、HJNCTをコードするポリヌクレオチ
ドからの転写物の発現と相関性を有すること指す。
【0054】 「欠失」は、1個以上のアミノ酸残基若しくは核酸残基が欠如するアミノ酸配
列若しくは核酸配列の変化を指す。
【0055】 本明細用語「誘導体」とは、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列の
化学修飾のことである。ポリヌクレオチド配列の化学修飾には、例えば、アルキ
ル基、アシル基、或いはアミノ基による水素の置換がある。誘導体ポリヌクレオ
チドは、自然分子(未修飾の分子)の生物学的或いは免疫学的機能を少なくとも
1つ保持するポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドとは、もとのポリ
ペプチドの生物学的機能、或いは免疫学的機能を少なくとも1つ保持する、グリ
コシル化、ポリエチレングリコール化、或いは任意の同様のプロセスによって修
飾されたものである。
【0056】 「類似性」とは、相補性の程度を表す用語である。これには、部分的類似性と
完全な類似性とがあり得る。この「同一性」は「類似性」とも言える。同一の配
列が標的の核酸とハイブリダイゼーションするのを少なくとも部分的に阻止する
部分的に相補的な配列は、「実質的に同様」と呼ばれる。完全に相補的な配列と
標的の配列とのハイブリダイゼーションの抑制は、厳密性を低下させた条件の下
ハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロッティング或いはノーザンブロッ
ティング法、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて検査される。実質的に同
様の配列或いはハイブリダイゼーションプローブは、厳密性を低下させた条件の
下、完全に相補的な配列と標的の配列との結合に対して競合して抑制する。これ
は、厳密性を低下させた条件では、2つの配列の互いへの結合が特異的(即ち、
選択的)に相互作用しなけらばならず、厳密性を低下させた条件の下では非特異
的な結合が許容されるということではない。部分的な相補性ともいえない(例え
ば、30%未満の類似性或いは同一性)第2の標的配列を用いて、非特異的結合
が存在しないことの検査が可能である。非特異的結合が存在しない場合は、実質
的に類似配列或いはプローブが第2の非相補的標的配列とハイブリダイゼーショ
ンしない。
【0057】 句「百分率同一性」又は「%同一性」とは、2つ以上のアミノ酸配列或いは核
酸配列の比較で見つかった配列類似性の百分率のことである。この百分率同一性
は、例えば、MEGALIGNプログラム(DNASTAR Madison WI)など電子装置を用いて決
定可能である。このMEGALIGNプログラムは、様々な方法、例えば、クラスター方
法に従って、2つ以上の配列間のアライメントを作り出すことが可能である(例
えば、Higgins, D.G.及びP.M. Sharp (1988) Gene73:237-244.を参照)。各方法
のパラメーターは、MEGALIGNによるデフォルトパラメーター或いはユーザが指定
する。クラスターアルゴリズムが、全ての組の間の距離を測って、配列を各クラ
スターに分類する。これらのクラスターは、組によって整列され、次ぎにグルー
プに分けられる。2つのアミノ酸の配列間の百分率類似性、例えば配列Aと配列
Bの百分率類似性は、配列Aと配列Bの一致する残基の合計数を、配列Aの長さ
から配列Aのギャップ残基数と配列Bのギャップ残基数とを差し引いたもので除
し、それに100を掛けることによって得られる。2つのアミノ酸配列間の低い
類似性或いは非類似性のギャップは、百分率類似性の決定には含まれない。核酸
配列間の百分率同一性はまた、クラスター法或いはJotun Hein法などの当分野で
周知の別の方法によってカウント或いは計算することも可能である(例えば、Hei
n. J. (1990) Methods Enzymol. 183:626-645.を参照)。配列間の同一性はまた
、例えば、ハイブリダイゼーションの条件を変えるなどの当分野で周知の別の方
法によって決定することも可能である。
【0058】 「ヒト人工染色体(HAC)」は、6kb〜10MbのサイズのDNA配列を含み得り、
安定した分裂染色体の分離及び維持に必要な全ての要素を含む直鎖状の微小染色
体である(Harrington, J.J.等 (1997) Nat Genet. 15:345-355を参照)。
【0059】 用語「ヒト化抗体」とは、もとの結合能力を保持しつつよりヒトの抗体に似せ
るために、非抗原結合領域のアミノ酸配列が変異された抗体分子である。
【0060】 「ハイブリダイゼーション」とは、核酸の一本鎖が相補的な一本鎖と塩基対を
形成して結合する全てのプロセスである。
【0061】 用語「ハイブリダイゼーション複合体」とは、相補的な塩基対間の水素結合の
形成によって、2つの核酸配列間に形成された複合体のことである。ハイブリダ
イゼーション複合体は溶液中(例えば、CtまたはRt分析)で形成される
か、或いは溶液中の1つの核酸配列と固体の支持物(例えば、紙、膜、フィルタ
ー、チップ、ピン、或いはスライドガラス、または細胞及びその核酸を固定する
任意の適当な基板)に固定されたもう一つの核酸配列との間で形成され得る。
【0062】 用語「挿入」或いは「付加」は、自然発生の分子の配列に対して、1個以上の
アミノ酸残基或いはヌクレオチドがそれぞれ追加されるアミノ酸配列或いは核酸
配列の変化を指す。
【0063】 「免疫応答」とは、炎症性疾患及び外傷、免疫異常、感染症、遺伝病などと関
係する症状のことである。これらの症状は、細胞系及び全身防衛系に影響を及ぼ
すサイトカイン及びケモカイン、別の情報伝達分子などの様々な因子の発現によ
って特徴づけられ得る。
【0064】 本明細書において「マイクロアレイ」とは、基板上に配列された様々なポリヌ
クレオチドのアレイのことである。
【0065】 本明細書のマイクロアレイの記述における「エレメント」或いは「アレイエレ
メント」とは、基板の表面に配列されたハイブリダイゼーション可能なポリヌク
レオチドのことである。
【0066】 用語「変調」とは、HJNCTの活性の変化のことである。変調の例として、HJNCT
のタンパク質活性の特性、或いは結合特性、またはその他の生物学的特性、機能
的特性或いは免疫学的特性の変化がある。
【0067】 句「核酸」或いは「核酸配列」とは、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポ
リヌクレオチド、或いはそれらの断片を指す。また、一本鎖若しくは二本鎖のセ
ンス鎖或いはアンチセンス鎖であるゲノム若しくは合成起源のDNA或いはRNAと、
またペプチド核酸(PNA)や任意のDNA様物質、RNA様物質も指す。本明細書にお
いて「断片(またはフラグメント)」とは、(例えば、同じゲノム内の任意の別
の配列とは異なる)SEQ ID NO:5−8を特別に同定する独特のポリヌクレオチド配
列の領域を含む核酸配列のことである。例えば、SEQ ID NO:5−8は、ハイブリダ
イゼーション及び増幅技術に有用であり、更に、関連ポリヌクレオチド配列から
SEQ ID NO:5−8を区別する類似性の検査にも有用である。SEQ ID NO:5−8の断片
は、少なくともヌクレオチド15〜20個の長さである。この断片に対応するSE
Q ID NO:5−8の正確な長さ及びSEQ ID NO:5−8の領域は、断片の使用目的に基づ
いた当分野で一般的な技術の1つを用いて日常業務的に決定できる。また、断片
は翻訳された場合、完全長のポリペプチドの抗原性などのいくつかの機能的特徴
或いはATP結合部位などの構造的ドメイン特徴を維持したポリペプチドを形成
し得る。
【0068】 用語「機能的に関係した」及び「機能的に結合した」とは、機能的に関係する
核酸配列のことである。コードされたポリペプチドの転写をプロモータが制御す
る場合、そのプロモーターはコードする配列と機能的に関係する或いは機能的に
結合する。機能的に関係した或いは機能的に結合した核酸配列は近接して同じ読
み枠内に存在し得るが、リプレッサー遺伝子などのある種の遺伝子要素は、ポリ
ペプチドをコードする配列とは近接して結合していないが、ポリペプチドの発現
を調節するオペレーター配列とは結合したままである。
【0069】 用語「オリゴヌクレオチド」とは、PCR増幅、ハイブリダイゼーション、或い
はマイクロアレイに使用可能な核酸配列のことであり、その長さは少なくとも6
ヌクレオチドから60ヌクレオチドである。好ましくは約15から30ヌクレオ
チドであり、さらに好ましいくは約20から25のヌクレオチドである。本明細
書において、オリゴヌクレオチドは、当技術分野では同一と定義される「アンプ
リマー」及び「プライマー」、「オリゴマー」と実質的に同じである。
【0070】 「ペプチド核酸」(PNA)とは、末端がリジンで終わるアミノ酸残基のペプチ
ドバックボーンに結合した、約5ヌクレオチド以上の長さのオリゴヌクレオチド
を含むアンチセンス分子又は抗遺伝子剤のことである。この末端のリジンにより
、この組成物が溶解性を有する。PNAは、相補的な一本鎖DNAやRNAに優先的に結
合して転写物の伸長を止め、ポリエチレングリコール化して細胞において寿命を
延ばし得る。(例えば、Nielsen, P.E.他(1993) Anticancer Drug Des. 8:53-63
を参照)。
【0071】 用語「サンプル」とは、その最も広い意味で用いられている。HJNCTをコード
する核酸若しくはその断片、HJNCT自体を含むと推測される生物学的サンプルに
は、体液と、細胞からの抽出物や細胞から単離された染色体や細胞内小器官、膜
と、細胞と、溶液中又は固体の支持物に固定されたゲノムDNA,RNA,cDNAと、組
織又は組織プリント等も含まれ得る。
【0072】 用語「特異的結合」または「特異的に結合する」とは、タンパク質或いはペプ
チドとアゴニスト或いは抗体、アンタゴニストとの間の相互作用のことである。
この相互作用は、結合する分子によって認識される、例えば、抗原決定基つまり
エピトープなどのタンパク質の特定の構造の存在によって左右される。例えば、
抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、結合していない標識した「
A」及びその抗体を含む反応において、エピトープAを含むポリペプチドが存在
するか或いは結合していない無標識の「A」が存在すると、抗体と結合する標識
Aの量が減少する。
【0073】 用語「厳密な(stringent)条件」とは、ポリヌクレオチドと請求項に記載さ
れたポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションが可能な条件である。厳密な
条件は、塩濃度及び有機溶剤(例えば、ホルムアミド)の濃度、温度、及び当分
野で周知の別の条件によって決められる。詳細には、塩の濃度を下げたり、ホル
ムアミドの濃度を上げたり、またハイブリダイゼーションの温度を上げることで
厳密性を高めることができる。
【0074】 用語「実質的に精製された」とは、自然の環境から取り除かれてから、単離或
いは分離された核酸配列或いはアミノ酸配列であって、自然に結合している構成
要素が少なくとも約60%以上除去されたものであり、好ましくは約75%以上
の除去、最も好ましいのは約90%以上除去されたものである。
【0075】 「置換」とは、一つ以上のアミノ酸またはヌクレオチドをそれぞれ別のアミノ
酸またはヌクレオチドに置き換えることである。
【0076】 「基板」とは、膜、フィルター、チップ、スライド、ウエハ、ファイバー、磁
気或いは非磁気のビード、ゲル、管、プレート、ポリマー、微細粒子、毛管を含
む好適な固体或いは半固体の支持物のことである。基板は、ポリヌクレオチドや
ポリペプチドが結合する壁及び溝、ピン、チャネル、孔などの様々な表面形態を
有する。
【0077】 「形質転換」とは、外来DNAが入り込み受容体細胞を変化させるプロセスのこ
とである。形質転換は、当分野で周知の種々の方法により、自然或いは人工の条
件の下で起こり得り、原核宿主細胞若しくは真核宿主細胞の中に外来核酸配列を
挿入する任意の周知の方法によって行うことができる。この形質転換の方法は、
形質転換される宿主細胞のタイプによって選択される。この方法には、ウイルス
感染、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、リポフェクション、及び微粒子
照射が含まれるが、限定されるものではない。「形質転換された」細胞には、導
入されたDNAが自律的に複製するプラスミドとして或いは宿主染色体の一部とし
て複製可能である安定的に形質転換された細胞が含まれる。さらに、限られた時
間に一時的に導入DNA若しくは導入RNAを発現する細胞も含まれる。
【0078】 「変異体」とは、一つ以上のアミノ酸が変異したアミノ酸配列である。この変
異体には、例えばロイシンとイソロシンとの置換のような、置換されたアミノ酸
が類似の構造或いは類似の化学特性を有する「保存的」変異が含まれる。稀では
あるが、変異体には、グリシンをトリプトファンで置換する「非保存的」変異も
含まれる。また、類似の小さな変異には、アミノ酸の欠失、挿入、或いはその両
方が含まれる。当分野で周知の例えばLASERGENETMソフトウエアを用いて、生物
学的或いは免疫学的活性を損なうことなく、どのアミノ酸残基を置換、挿入、或
いは欠失させるかを決めることができるであろう。
【0079】 ポリヌクレオチド配列の文脈の中で用いられる用語「変異配列」とは、HJNCT
に関連したポリヌクレオチド配列を含み得る。この定義は、例えば、「アレル」
、「スプライス」、「種」、「多形性」変異配列についてもあてはまる。スプラ
イ変異配列は基準分子と極めて同一性が高い可能性があるが、mRNAプロセシング
中のエキソンの交互のスプライシングによってポリヌクレオチドの数が多くなっ
たり、少なくなったりする。対応するポリペプチドは、機能ドメインが加わった
り、ドメインが減ったりし得る。種変異配列は、種によって異なるポリヌクレオ
チド配列である。できたポリペプチドは、互いに高いアミノ酸同一性を有する。
多形性変異配列は、所定の種と種の間の特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列に
おける変異である。多形性変異配列はまた、ポリヌクレオチド配列の1つの塩基
が異なる「1つのヌクレオチド多形性」(SNP)も含み得る。SNPの存在は、例え
ば、或る集団、病態、病態の特徴を表し得る。
【0080】 (発明) 本発明は、新規のヒト膜関連組織化タンパク質(HJNCT)及びHJNCTをコードす
るポリヌクレオチドの発見に基づき、癌を含む細胞増殖異常症、自己免疫/炎症
性疾患、神経障害、発達障害、小胞輸送障害、胃腸疾患及び腎障害の診断、治療
、及び予防におけるそれらの組成物の使用に関する。
【0081】 表1は、HJNCTをコードする完全長のヌクレオチド配列の構築に用いたIncyte
クローンを示す。列1及び列2はそれぞれ、ポリペプチド及びポリヌクレオチド
のSEQ ID NOを示す。列3は、各HJNCTをコードする核酸が同定されたIncyteクロ
ーンのクローンIDを示し、列4は、それらのクローンが単離されたcDNAライブラ
リを示す。列5は、Incyteクローン及びそれらに対応するcDNAライブラリを示す
。cDNAライブラリが示されていないクローンは、プールされたcDNAライブラリに
由来する。列5のクローンは、各HJNCTのコンセンサスヌクレオチド配列の組み
立てに用いられ、ハイブリダイゼーション技術における断片として有用である。
【0082】 表2の各列は、本発明の各ポリペプチドの様々な特性を示し、列1はSEQ ID N
O、列2は各ポリペプチドにおけるアミノ酸残基の数、列3は潜在リン酸化部位
、列4は潜在グリコシル化部位、列5はシグネチャ(signature)配列及びモチ
ーフを有するアミノ酸残基、列6はBLAST解析によって同定された相同配列、列
7は配列相同性及びタンパク質モチーフから各ポリペプチドを特徴付けるために
用いる分析方法を示す。
【0083】 図1A−図1Cに示されているように、HJNCT-1は、ラットHomer (GI 1913909
; SEQ ID NO:9)と化学的及び構造的類似性を有している。詳細には、HJNCT-1と
ラットHomerとの同一性は72%である。更に、図1Aに示されているように、
残基T65からF93までの範囲では、HJNCT-1とラットHomerとの同一性は100%で
ある。この領域内において、HJNCT-1は、残基G90からF93まで及びR84のアルギニ
ン残基の推定上のGLGFセグメントを含む。HJNCT-2は、ラットGRASP65 (GI 44325
87; SEQ ID NO: 10)と化学的及び構造的類似性を有している。詳細には、HJNCT-
2とラットGRASP65との同一性は71%である。HJNCT-2の残基L50からI62までの
範囲では、HJNCT-2とラットGRASP65との同一性は100%であり、この領域はGM
130がGRASP65に結合するために重要な領域であることが示されている。HJNCT-2
はラットGRASP65と同様に、多くの潜在リン酸化部位を含み、且つ潜在Nミリスト
イル化部位を有する。図2に示されているように、HJNCT-3は、マウスclaudin-2
(GI 3335184; SEQ ID NO:11)と化学的及び構造的相同性を有している。詳細に
は、HJNCT-3とマウスclaudin-2との同一性は91%である。図3A及び図3Bに
示されているように、HJNCT-4は、マウスsyntenin (GI 3342560; SEQ ID NO:12)
.と化学的及び構造的相同性を有している。詳細には、HJNCT-4とマウスsyntenin
との同一性は61%である。
【0084】 表3の列は、組織特異性と、HJNCTをコードするヌクレオチド配列に関連した
疾患若しく異常症、症状とを示している。表3の列1は、ヌクレオチドの配列番
号(SEQ ID NO)を示している。列2は、列1のヌクレオチド配列の断片を示し
ている。例えば、SEQ ID NO:5−8を同定し、SEQ ID NO:5−8と関連するポリヌク
レオチド配列とを区別する、ハイブリダイゼーション若しくは増幅の技術におい
て、これらの断片は有用である。これら断片によりコードされるポリヌクレオチ
ドは、例えば、免疫原性ペプチドとして有用である。列3は、HJNCTを発現する
組織カテゴリー、及びHJNCTを発現する全組織におけるその割合を示す。列4は
、HJNCTを発現する組織に関連する、疾患若しくは異常症、症状、並びにHJNCTを
発現する全組織におけるそれらの割合を示す。注目すべきは、HJNCT-1の生殖組
織、神経組織及び胎児細胞株における発現と、HJNCT-2の癌及び細胞増殖に関連
する組織における発現と、HJNCT-3癌性、胎児、増殖性、胃腸及び泌尿器組織に
おけるの発現と、HJNCT-4の癌性、胎児、増殖性及び胃腸組織における発現とに
注目されたい。列5は、各cDNAライブラリのサブクローニングに用いたベクター
を示す。
【0085】 表4の列は、HJNCTをコードするcDNAのクローンが単離されたcDNAライブラリ
の作製に用いられた組織の説明を示す。列1は、ヌクレオチドのSEQ ID NOを示
し、列2はそれらのクローンが単離されたcDNAライブラリを示し、列3は列2の
cDNAライブラリに対応する組織の由来及び詳細を示す。
【0086】 本発明はまた、HJNCTの変異体を含む。好適なHJNCTの変異体は、HJNCTアミノ
酸配列と少なくとも約85%、より好適には少なくとも約90%、最も好適には
少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有し、HJNCTの機能的若しくは構造
的特徴の少なくとも1つを有する。
【0087】 本発明はまた、HJNCTをコードするポリヌクレオチドを含む。特定の実施例で
は、本発明は、HJNCTをコードするSEQ ID NO:5−8からなる一群から選択された
配列を有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0088】 本発明はまた、HJNCTをコードするポリヌクレオチド配列の変異配列を含む。
詳細には、そのようなポリヌクレオチド変異配列は、HJNCTをコードするポリヌ
クレオチド配列と少なくとも約85%、より好適には少なくとも約90%、もっ
とも好適には少なくとも約95%のポリヌクレオチド配列同一性を有する。本発
明の特定の実施態様では、SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択された配列と少
なくとも約85%、より好適には少なくとも約90%、最も好適には約95%の
ポリヌクレオチド配列同一性を有する、SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択さ
れた配列の変異配列を含む。上記の任意のポリヌクレオチドの変異配列は、HJNC
Tの機能的若しくは構造的特徴の少なくとも一つを有するアミノ酸配列をコード
し得る。
【0089】 遺伝暗号の縮重により作り出され得るHJNCTをコードする種々のポリヌクレオ
チド配列には、既知の自然発生する任意の遺伝子のポリヌクレオチド配列と最小
の類似性しか有しないものも含まれることを、当業者は理解するであろう。した
がって本発明には、可能なコドン選択に基づいた組み合わせの選択によって作り
出され得る可能なポリヌクレオチド配列の変異の全てが含まれ得る。これらの組
み合わせは、自然発生のHJNCTのポリヌクレオチド配列に適用される標準的なト
リプレット遺伝暗号を基に作られ、全ての変異が明確に開示されていると考慮す
る。
【0090】 HJNCTをコードするヌクレオチド配列及びその変異配列は、好適に選択された
厳密な条件の下で、自然発生のHJNCTのヌクレオチドとハイブリダイズ可能なこ
とが望ましいが、非自然発生のコドンを含めるなどの実質的に異なったコドンの
使用を有するHJNCT又はその誘導体をコードするヌクレオチド配列を作り出すこ
とは有益となり得る。特定のコドンが宿主によって利用される頻度に基づいてコ
ドンを選択して、ペプチドの発現が特定の真核細胞又は原核宿主に発生する割合
を高めることが可能である。コードされたアミノ酸配列を変えないで、HJNCT及
びその誘導体をコードするヌクレオチド配列を実質的に変更する別の理由は、自
然発生の配列から作られる転写物より例えば長い半減期など好ましい特性を備え
るRNA転写物を作ることにある。
【0091】 本発明はまた、HJNCT及びその誘導体をコードするDNA配列又はそれらの断片を
完全に合成化学によって作り出すことも含む。作製後にこの合成配列を、当分野
で良く知られた試薬を用いて、種々の入手可能な発現ベクター及び細胞系の何れ
の中にも挿入可能である。更に、合成化学を用いて、HJNCTまたはその任意の断
片をコードする配列の中に突然変異を導入することも可能である。
【0092】 更に本発明には、種々の厳密性条件の下で、請求項に記載されたポリヌクレオ
チド配列とハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド配列が含まれる。詳しくは、
記載のSEQ ID NO:5−8またはその断片とハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド
配列が含まれる。(例えば、Wahl, G.M.及びS.L. Berger (1987) Methods Enzymo
l. 152:399-407; 及び Kimmel. A.R. (1987) Methods Enzymol. 152:507-511.を
参照)。例えば、厳密な塩濃度は、通常は約750mM未満の塩化ナトリウムと
約75mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、好ましくは約500mM未満の
塩化ナトリウムと約50mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、最も好ましく
は約250mM未満の塩化ナトリウムと約25mM未満のクエン酸三ナトリウム
である。例えば、ホルムアミドなどの有機溶剤を使用しないと、厳密性の低いハ
イブリダイゼーションになり、約35%以上のホルムアミド、更に好ましくは5
0%以上のホルムアミドを使用すると、厳密性の高いハイブリダイゼーションに
なる。温度の厳密条件は、通常は約30℃以上であり、より好ましくは約37℃
以上であり、最も好ましくは約42℃以上である。その他の変更できるパラメー
ターには、ハイブリダイゼーション時間、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)など
の薬品の濃度、キャリアDNAの含有の有無があり、当分野の技術者には周知であ
る。必要な様々な条件を組み合わせることで、厳密性の程度を変えることができ
る。好適な実施例では、ハイブリダイゼーションは、温度が30℃で、750m
Mの塩化ナトリウムと75mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDSで行う。よ
り好適な実施例では、温度が37℃で、500mMの塩化ナトリウムと50mM
のクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアミド、100μg/m
lの変性サケ精子DNA(ssDNA)で行う。最も好適な実施例では、温度が42℃で
、250mMの塩化ナトリウムと25mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS
、50%のホルムアミド、200μg/mlのssDNAで行う。これらの条件の有
用な変更は、当分野の技術者には明らかである。
【0093】 ハイブリダイゼーションの後の洗浄過程にも、様々な厳密性の程度がある。洗
浄の厳密な条件は、塩濃度と温度によって決められる。上記したように、塩濃度
を下げること或いは温度を上げることで洗浄の厳密性を高めることができる。例
えば、洗浄過程での塩濃度の厳密な条件は、好ましくは約30mM未満の塩化ナ
トリウムと約3mM未満のクエン酸三ナトリウムであり、更に好ましくは約15
mM未満の塩化ナトリウムと約1.5mM未満のクエン酸三ナトリウムである。
洗浄過程の温度の厳密な条件は、通常は約25℃以上であり、好ましくは約42
℃以上であり、更に好ましくは約68℃以上である。好適な実施例では、洗浄過
程は、温度が25℃で、30mMの塩化ナトリウムと3mMのクエン酸三ナトリ
ウム、0.1%SDSで行われる。より好適な実施例では、洗浄過程は、温度が4
2℃で、15mMの塩化ナトリウムと1.5mMのクエン酸三ナトリウム、0.
1%SDSで行われる。最も好適な実施例では、洗浄過程は、温度が68℃で、1
5mMの塩化ナトリウムと1.5mMのクエン酸三ナトリウム、0.1%SDSで
行われる。更なるこれらの条件の変更は、当分野の技術者には明らかである。
【0094】 当分野で周知のDNAのシークエンシング方法を用いて、本発明の何れの実施例
も実行可能である。この方法には、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、SE
QUENASE(US Biochemical, Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer)
、熱安定性T7ポリメラーゼ(Amersham, Pharmacia Biotech Piscataway NJ)、
或いはELONGASE増幅システム(Life Technologies, Gaithersburg MD)にみられる
ような校正エキソヌクレアーゼとポリメラーゼとの組み合わせなどの酵素が用い
られる。好ましくは、Hamilton MICROLAB2200液体転移システム(Hamilton, Ren
o, NV)、PTC200 Thermal Cycler200(MJ Research, Watertown MA)及びABI CA
TALYST 800 (Perkin-Elmer) などの装置を用いて配列の準備を自動化する。次に
、ABI 373或いは377 DNAシークエンシングシステム(Perkin-Elmer)、MEGABACE 1
000 DNAシークエンシングシステム(Molecular Dynamics. Sunnyvale CA)または
当分野で周知の他の方法を用いてシークエンシングを行う。得られた配列を当分
野で周知の様々なアルゴリズムを用いて分析する(例えば、Ausubel, F.M. (1997
) Short Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York NY,
unit 7.7; Meyers, R.A. (1995) Molecular Biology and Biotechnology, Wiley
VCH, New York NY, pp. 856-853.を参照)。
【0095】 部分的なヌクレオチド配列を利用し、当分野で周知のPCR法をベースにした種
々の方法を用いてHJNCTをコードする核酸配列を伸長し、プロモーターや調節要
素などの上流にある配列を検出する。例えば制限部位PCR法を利用する1つの方
法では、一般的なプライマー及びネスト化プライマーを用いてクローニングベク
ター内のゲノムDNAから未知の配列を増幅する。(例えば、Sarkar, G. (1993) P
CR Methods Applic 2:318-322を参照)。逆PCR法を用いる別法では、広範な方向
に伸長して環状化した鋳型から未知の配列を増幅するプライマーを用いる。この
鋳型は、既知のゲノム遺伝子座及びその周辺の配列を含む制限断片に由来する。
(例えば、Triglia, T.等(1988)Nucleic Acids Res. 16:8186を参照)。キャ
プチャPCR法を用いる第3の方法は、ヒト及び酵母菌人工染色体DNAの既知の配列
に隣接するDNA断片のPCR増幅を含む。(例えば、Lagerstrom, M.他(1991)PCR
Methods Applic 1:111-119を参照)。この方法では、多数の制限酵素による消化
及びライゲ−ションを用いて、PCRを行う前に未知の配列の領域の中に組換え二
本鎖配列を挿入することが可能である。また、当分野で周知の別の方法を用いて
未知の配列を得ることも可能である。(例えば、Parker, J.D. 他 (1991)Nucleic
Acids Res. 19:3055-3060を参照)。更に、PCR、ネスト化プライマー、PROMTERF
INDERライブラリを用いれば、ゲノムDNA内の歩行が可能である(Clontech, Palo
Alto CA)。この方法ではライブラリをスクリーニングする必要がなく、イント
ロン/エキソン接合部を探すのに有用である。全てのPCR法をベースにした方法
では、プライマーは、市販のOLIGO 4.06 Primer Analysis software(National
Biosciences社, Plymouth MN)或いは別の好適なプログラムなどを用いて、長さ
が22〜30ヌクレオチド、GC含有率が50%以上、約68℃〜72℃の温度
で鋳型に対してアニールするよう設計される。
【0096】 完全長cDNAのスクリーニングのときは、大きなcDNAを含むようにサイズが選択
されたライブラリを用いるのが好ましい。更に、オリゴd(T)ライブラリが完全
な長さのcDNAを産生できない場合は、遺伝子の5'領域を有する配列を含むもの
が多いランダムに初回抗原刺激を受けたライブラリが有用である。ゲノムライブ
ラリは、5'非転写調節領域への配列の伸長に有用であろう。
【0097】 市販のキャピラリー電気泳動システムを用いて、シークエンシングまたはPCR
産物のヌクレオチド配列のサイズの分析、または確認が可能である。詳しくは、
キャピラリーシークエンシングには、電気泳動による分離のための流動性ポリマ
ー、及び4つの異なったヌクレオチドに特異的なレーザーで活性化される蛍光色
素、放出された波長の検出に利用するCCDカメラを使用することが可能である。
出力/光強度は、適切なソフトウェア(例えば、GENOTYPER 及び SEQUENCE NAVI
GATOR, Perkin-Elmerを参照)を用いて電気信号に変換され、サンプルのローデ
ィングからコンピュータ分析までのプロセス及び電子データ表示がコンピュータ
制御可能である。キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプルに少量しか存在し
ない場合もあるDNAの小片のシークエンシングに特に適している。
【0098】 本発明の別の実施例では、HJNCTをコードするポリヌクレオチド配列またはそ
の断片を組換えDNA分子に用いて、適切な宿主細胞内にHJNCT、その断片または機
能的等価物を発現させることが可能である。遺伝暗号固有の宿重により、実質的
に同じ或いは機能的に等価のアミノ酸配列をコードする別のDNA配列が作られ得
り、これらの配列をHJNCTのクローン化及び発現に利用可能である。
【0099】 種々の目的でHJNCTをコードする配列を変えるために、当分野で一般的に知ら
れている方法を用いて、本発明のヌクレオチド配列を組換えることができる。こ
の目的には、遺伝子産物のクローン化、プロセシング及び/または発現の調節が
含まれるが、これらに限定されるものではない。ランダムな断片によるDNAの混
合や遺伝子断片と合成オリゴヌクレオチドのPCR再組み立てを用いて、ヌクレオ
チド配列の組換えが可能である。例えば、オリゴヌクレオチドの仲介による定方
向突然変異誘発を利用して、新しい制限部位を生成する突然変異の導入、グリコ
シル化パターンの変更、コドン優先の変更、スプライスバリアントの生成等が可
能である。
【0100】 別の実施例によれば、HJNCTをコードする配列は、当分野で周知の化学的方法
を用いて、全体或いは一部が合成可能である(例えば、Caruthers. M.H.等(198
0)Nucl. Acids Res. Symp. Ser 7:215-223; 及びHorn, T.他(1980)Nucl. Aci
ds Res. Symp. Ser.225-232を参照)。別法として、化学的方法を用いてHJNCT自
体またはその断片を合成することが可能である。例えば、ペプチド合成は種々の
固相技術を用いて実行可能である(例えば、Roberge, J.Y.等(1995) Science 26
9:202-204を参照)。また、合成の自動化は例えばABI 431Aペプチドシンセサイ
ザ(Perkin Elmer)を用いて達成し得る。更にHJNCTのアミノ酸配列または任意
のその一部は、直接的な合成の際の変更、及び/または化学的方法を用いた他の
タンパク質または任意のその一部からの配列との組み合わせにより、変異体ポリ
ペプチドを作ることが可能である。
【0101】 このペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィー(例えば、Chiez, R.M.
及び F.Z. Regnier (1990)Methods Enzymol. 182:392-421を参照)を用いて実質
的に精製可能である。合成されたペプチドの組成は、アミノ酸分析或いはシーク
エンシングにより確認することができる(例えば、Creighton. T. (1983) Protei ns, Structures and Molecular Properties , WH Freeman, New York, NYを参照)
【0102】 生物学的に活性なHJNCTを発現させるために、HJNCTをコードするヌクレオチド
配列またはその誘導体を好適な発現ベクターに挿入する。この発現ベクターは、
好適な宿主に挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調節に必要な要素を
含む。これらの要素には、ベクター及びHJNCTをコードするポリヌクレオチド配
列におけるエンハンサー、構成型及び発現誘導型のプロモーター、5'及び3'の
非翻訳領域などの調節配列が含まれる。このような要素は、その長さ及び特異性
が様々である。特定の開始シグナルによって、HJNCTをコードする配列のより効
果的な翻訳を達成することが可能である。このようなシグナルには、ATG開始
コドン及びコザック配列などの近傍の配列が含まれる。HJNCTをコードする配列
及びその開始コドン、上流の調節配列が好適な発現ベクターに挿入された場合は
、更なる転写調節シグナルや翻訳調節シグナルは必要なくなるであろう。しかし
ながら、コーディング配列或いはその断片のみが挿入された場合は、インフレー
ムのATG開始コドンを含む外来性の翻訳調節シグナルが発現ベクターに含まれ
なければならない。外来性の翻訳要素及び開始コドンは、自然及び合成の様々な
ものから得ることが可能である。用いられる特定の宿主細胞系に好適なエンハン
サーを含めることで発現の効率を高めることが可能である。(例えば、Scharf, D
. 他 (1994) Results Probl. Cell Differ. 201−18-162.を参照)。
【0103】 当業者に周知の方法を用いて、HJNCTをコードする配列、好適な転写及び翻訳
調節要素を含む発現ベクターを作製することが可能である。これらの方法には、 in vitro 組換えDNA技術、合成技術、及びin vivo遺伝子組換え技術が含まれる。
(例えば、 Sambrook, J. 他. (1989) Molecular Cloning. A Laboratory Manual , Cold Spring Harbor Press, Plainview NY, 4章及び8章, 及び16-17章; 及び
Ausubel, F.M. 他. (1995) Current Protocols in Molecular Biology, John W
iley & Sons, New York NY, ch. 9章及び13章1−4章を参照)。
【0104】 種々の発現ベクター/宿主系を利用して、HJNCTをコードする配列の保持及び
発現が可能である。これらには、限定するものではないが、組換えバクテリオフ
ァージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌な
どの微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転換された酵母菌や、ウイルス発現ベ
クター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系や、ウイルス発現ベ
クター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイル
ス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド
)で形質転換された植物細胞系や、動物細胞系などが含まれる。本発明は使用さ
れる宿主細胞によって限定されるものではない。
【0105】 細菌系では、多数のクローニングベクター及び発現ベクターが、HJNCTをコー
ドするポリヌクレオチド配列の使用目的に応じて選択可能である。例えば、HJNC
Tをコードするポリヌクレオチド配列の日常的なクローニング、サブクローニン
グ、増殖には、PBLUESCRIPT(Stratagene, La Jolla CA)またはpSPORT1プラスミ
ド(GIBCO BRL)などの多機能の大腸菌ベクターを用いることができる。ベクター
の多数のクローニング部位にHJNCTをコードする配列をライゲーションするとlac
Z遺伝子が破壊され、組換え分子を含む形質転換された細菌の同定のための比色
スクリーニング法が可能となる。更に、これらのベクターを用いて、クローニン
グされた配列のin vitroでの転写、ジデオキシンスクリーニング、ヘルパーファ
ージによる一本鎖の救出、入れ子状態の欠失を作り出すことが可能である。(例
えば、Van Heeke, G.及びS.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5509
.を参照)。例えば、抗体の産生のためなどに多量のHJNCTが必要な場合は、HJNCT
の発現をハイレベルで誘導するベクターが使用できる。例えば、強力に発現を誘
発するT5またはT7バクテリオファージプロモーターを含むベクターを使用できる
【0106】 HJNCTの発現に酵母の発現系の使用が可能である。α因子やアルコールオキシ
ダーゼやPGHプロモーターなどの構成型或いは誘導型のプロモーターを含む多
種のベクターが、酵母菌サッカロミセス−セレビジエまたはPichia pastoris
使用可能である。更に、このようなベクターは、発現したタンパク質の分泌か細
胞内への保持のどちらかを誘導し、安定した増殖のために宿主ゲノムの中に外来
配列を組み込む。(例えば、上記のAusubel.; 及びBitter, G.A. 他 (1987) Meth
ods Enzymol.153:51-794: Scorer. C. A. 他 (1994) Bio/Technology 121−181-
184.を参照) 植物系もHJNCTの発現に使用可能である。HJNCTをコードする配列の転写は、例
えば、CaMV由来の35S及び19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターが単独で
、或いはTMV(Takamatsu, N.等(1987)EMBO J 6:307-311)由来のオメガリーダ
ー配列と組み合わせて促進される。これらの作製物は、直接のDNA形質転換或い
は病原体を介したトランスフェクションによって、植物細胞の中に導入可能であ
る。(例えば、The McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)
McGraw Hill NY, pp.191-196を参照)。
【0107】 哺乳動物細胞では、多種のウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウ
イルスが発現ベクターとして用いられる場合、後発プロモーター及び3連リーダ
ー配列からなるアデノウイルス転写物/翻訳複合体にHJNCTをコードする配列を
結合し得る。ウイルスのゲノムの非必須のE1またはE3領域への挿入により、
感染した宿主細胞にHJNCTを発現する生ウイルスを得ることが可能である(Logan
, J.及びShenk, T.(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659を参照)。さ
らに、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの転写エンハンサーを用い
て、哺乳動物宿主細胞における発現を増大させることが可能である。タンパク質
を高レベルで発現させるために、SV40またはEBVを基にしたベクターを用いるこ
とが可能である。
【0108】 ヒト人工染色体(HAC)を用いて、プラスミドで発現しそれに含まれているも
のより大きなDNAの断片を供給可能である。治療のために約6kb〜10MbのHACs
を作製し、従来の輸送方法(リポソーム、ポリカチオンアミノポリマー、または
ベシクル)で供給する。(例えば、Harrington. J.J. 他 (1997) Nat Genet.15:3
45-355.を参照)。
【0109】 哺乳動物系の組換えタンパク質の長期にわたる産生のためには、株化細胞にお
けるHJNCTの安定した発現が望ましい。例えば、発現ベクターを用いて、HJNCTを
コードする配列を株化細胞に形質転換することが可能である。このような発現ベ
クターは、ウイルス起源の複製及び/または内在性の発現要素や、同じ或いは別
のベクターの上の選択マーカー遺伝子を含む。ベクターの導入の後、細胞を選択
培地に移す前に、強化培地で約1〜2日の間増殖させる。選択マーカーの目的は
選択的な媒介物に対する抵抗性を与えるとともに、その存在により導入された配
列をうまく発現する細胞の増殖及び回収が可能となる。安定的に形質転換された
細胞の耐性クローンは、その細胞型に好適な組織培養技術を用いて増殖可能であ
る。
【0110】 任意の数の選択系を用いて、形質転換された細胞系を回収することが可能であ
る。選択系には、以下のものに限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミジン
キナーゼ遺伝子及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が含まれ
、それぞれtk又はapr細胞において使用される。(例えば、Wigler, M. 他 (1
977) Cell 11:223-232; 及びLowy, I. 他(1980) Cell 22:817-823を参照)。また
代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択のベースとして用いること
ができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはアミノグ
リコシッドネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え、als或いはpatはクロル
スルフロン(cHJNCTsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラー
ゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(例えば、Wigl
er, M. 他. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567-3570; Colbere-Garapin,
F. 他(1981) J. Mol. Biol. 150:1-14を参照)。さらに選択に利用できる遺伝子
、例えば、代謝のために細胞が必要なものを変えるtrpB及びhisDが文献に記載さ
れている(例えば、Hartman, S.C.及びR.C. Mulligan(1988)Proc. Natl. Acad
. Sci. 85:8047-51を参照)。アニトシアニン、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clon
tech)、βグルクロニダーゼ及びその基質GUS,ルシフェラーゼ及びその基質ル
シフェリンなどの可視マーカーが用いられる。緑色蛍光タンパク質(GFP)(Clon
tech, Palo Alto, CA)も使用できる。これらのマーカーを用いて、トランスフォ
ーマントを特定するだけでなく、特定のベクター系に起因する一過性或いは安定
したタンパク質発現を定量することが可能である(例えば、Rhodes, C.A.他(19
95)Methods Mol. Biol. 55:121−791を参照)。
【0111】 マーカー遺伝子の発現の存在/不在によって目的の遺伝子の存在が示されても
、その遺伝子の存在及び発現の確認が必要な場合もある。例えば、HJNCTをコー
ドする配列がマーカー遺伝子配列の中に挿入された場合、HJNCTをコードする配
列を含む形質転換された細胞は、マーカー遺伝子機能の欠落により特定可能であ
る。または、1つのプロモーターの制御下でマーカー遺伝子がHJNCTをコードす
る配列と一列に配置することも可能である。誘導または選択に応答したマーカー
遺伝子の発現は、通常タンデム遺伝子の発現も示す。
【0112】 一般に、HJNCTをコードする核酸配列を含み、HJNCTを発現する宿主細胞は、当
業者に周知の種々の方法を用いて特定することが可能である。これらの方法には
、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーションや、PCR法、核酸或いはタン
パク質の検出及び/または数量化のための膜系、溶液ベース、或いはチップベー
スの技術を含むタンパク質生物学的試験法または免疫学的アッセイが含まれるが
、これらに限定されるものではない。
【0113】 特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらかを用いるHJ
NCTの発現の検出及び計測のための免疫学的な方法は、当分野で周知である。こ
のような技法には、酵素に結合したイムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジ
オイムノアッセイ(RIA)、蛍光標示式細胞分取器(FACS)などがある。HJNCT上
の2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いた、2部位のモ
ノクローナルベースイムノアッセイ(two-site, monoclonal-based immunoassay
)が好ましいが、競合の結合アッセイも用いることもできる。これらのアッセイ
及びその他のアッセイは、当分野では十分に知られている。(例えば、 Hampton.
R. 他.(1990) Serological Methods, a Laboratory Manual. APS Press. St Pa
ul. MN, Sect. IV; Coligan, J. E. 他Current Protocols in Immunology, Gree
ne Pub. Associates and Wiley-Interscience, New York. NY; 及びPound, J.D.
(1990) Immunochemical Protocols, Humans Press, Totowa NJ)。
【0114】 種々の標識方法及び結合方法が当業者には周知であり、様々な核酸アッセイお
よびアミノ酸アッセイに用いられ得る。HJNCTをコードするポリヌクレオチドに
関連する配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーションプローブ或
いはPCRプローブを生成する方法には、オリゴ標識化、ニックトランスレーショ
ン、末端標識化、または標識されたヌクレオチドを用いるPCR増幅が含まれる。
別法として、HJNCTをコードする配列、またはその任意の断片をmRNAプローブを
生成するためのベクターにクローニングすることも可能である。当分野では周知
であり市販されているこのようなベクターを、T7,T3,またはSP6などの好適なR
NAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドの追加によって、in vitroでのRNA
プローブの合成に用いることができる。これらの方法は、例えば、Amersham Pha
rmacia Biotech及びPromega(Madison WI)、U.S. Biochemical Corp(Clevelan
d OH)が市販する種々のキットを用いて行うことができる。容易な検出のために
用い得る好適なレポーター分子或いは標識には、基質、コファクター、インヒビ
ター、磁気粒子、及び放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、色素産生剤など
が含まれる。
【0115】 HJNCTをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培地
でのこのタンパク質の発現及び回収に好適な条件の下で培養される。形質転換さ
れた細胞から産生されたタンパク質が分泌されるか細胞内に留まるかは、使用さ
れるその配列及び/またはそのベクターによる。HJNCTをコードするポリヌクレ
オチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜及び真核細胞膜を透過するHJNCTの分
泌を誘導するシグナル配列を含むように設計できることは、当業者には理解され
よう。
【0116】 更に、挿入した配列の発現調節能力または発現したタンパク質を所望の形にプ
ロセシングする能力によって宿主細胞株が選択される。このようなポリペプチド
の修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(
lipidation)、及びアシル化が含まれるが、これらに限定されるものではない。
タンパク質の「prepro」形を切断する翻訳後のプロセシングを利用して、標的タ
ンパク質、折りたたみ及び/または活性を特定することが可能である。翻訳後の
活性のための特定の細胞装置及び特徴のある機構をもつ種種の宿主細胞(例えば
、CHO、HeLa、MDCK、MEK293、WI38)がAmerican Type Culture Collection(ATC
C; Bethesda, MD)より入手可能であり、外来のタンパク質の正しい修飾及びプ
ロセシングを確実にするために選択される。
【0117】 本発明の別の実施例では、HJNCTをコードする自然或いは変更された、または
組換えの核酸配列を上記した任意の宿主系の融合タンパク質の翻訳となる異種配
列に結合させる。例えば、市販の抗体によって認識できる異種部分を含むキメラ
HJNCTタンパク質が、HJNCTの活性のインヒビターに対するペプチドライブラリの
スクリーニングを促進し得る。また、異種タンパク質部分及び異種ペプチド部分
が、市販の親和性基質を用いて融合タンパク質の精製を促進し得る。このような
部分には、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパ
ク質(MBP)、チオレドキシン(Trx)、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、6
−His、FLAG、c−mc、赤血球凝集素(HA)が含まれるが、これらに限定されるも
のではない。GST及びMBP、Trx、CBP、6−Hisによって、固定されたグルタチオン
、マルトース、フェニルアルシン酸化物(phenylarsine oxide)、カルモジュリ
ン、金属キレート樹脂のそれぞれで同族の融合タンパク質の精製が可能となる。
FLAG、c−mc、及び赤血球凝集素(HA)によって、これらのエピトープ標識を特
異的に認識する市販のモノクロナール抗体及びポリクロナール抗体を用いた融合
タンパク質の免疫親和性の精製ができる。また、HJNCTをコードする配列と異種
タンパク質配列との間にあるタンパク質分解切断部位を融合タンパク質が含むよ
うに遺伝子操作すると、HJNCTが精製の後に異種部分から切断され得る。融合タ
ンパク質の発現と精製の方法は、Ausubel. (1995、前出 ch 10).に記載されてい
る。市販されている様々なキットを用いて、融合タンパク質の発現及び精製を促
進できる。
【0118】 本発明の別の実施例では、TNTウサギ網状赤血球可溶化液またはコムギ胚芽抽
出系(Promega)を用いてin vitroで放射能標識したHJNCTの合成が可能である。こ
れらの系は、T7またはT3、SP6プロモーターと機能的に結合したタンパク質をコ
ードする配列の転写と翻訳をつなげる。翻訳は、好ましくは35Sメチオニンで
ある放射能標識されたアミノ酸前駆体の存在の下で起こる。
【0119】 HJNCTの断片は、組換え生成物だけでなく固相技術を用いて直接的なペプチド
合成によって作製され得る(例えば、前出のCreighton, pp. 55-60.を参照)。タ
ンパク質の合成は、手動或いは自動で行われ得る。自動合成は、例えば431Aペプ
チドシンセサイザ(Perkin Elmer)を用いて行うことが可能である。HJNCTの種
々の断片は別々に合成して、次ぎに結合させて完全長分子を生成する。
【0120】 (治療) HJNCTのある領域とヒト膜関連組織化ンパク質のある領域との間に、例えば配
列及びモチーフの文脈における化学的及び構造的類似性が存在する。更に、HJNC
Tの発現は、生殖組織、神経組織、発達組織、癌性組織、胎児組織または増殖性
組織、胃腸組織及び泌尿器組織、並びに炎症及び免疫応答と密接な関係がある。
従って、HJNCTは、癌を含む細胞増殖異常症、自己免疫/炎症性疾患、神経障害
、発達障害、小胞輸送障害、胃腸疾患及び腎障害においてある役割を果たすと考
えられる。HJNCTの発現または活性の増大に関連する疾患の治療においては、HJN
CTの発現または活性を低下させることが望ましい。また、HJNCTの発現または活
性の低下に関連する疾患の治療においては、HJNCTの発現または活性を増大させ
ることが望ましい。
【0121】 従って、一実施例において、HJNCTの発現または活性の低下に関連した疾患の
治療または予防のために、患者にHJNCTまたはその断片や誘導体を投与すること
が可能である。限定するものではないが、このような疾患の例には、細胞増殖異
常が含まれ、その中には日光性角化症及びアテローム性動脈硬化、滑液包炎、硬
変、肝炎、混合型結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間ヘモグロビン尿
症、真性多血症、乾癬、原発性血小板血症、並びに腺癌及び白血病、リンパ腫、
黒色腫、骨髄腫、肉腫、及び奇形癌、具体的には、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、
乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓
、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、子宮の癌などが
含まれ、また、自己免疫/炎症性疾患も含まれ、その中には後天性免疫不全症候
群(AIDS)及び副腎機能不全、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎
、アミロイド症、貧血、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血
、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性多腺性内分泌カンジダ性外胚葉ジストロフィ
(APECED)、気管支炎、胆嚢炎、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、
皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、赤芽球症、
結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレー
ブス病、橋本甲状腺炎、過好酸球増加症、過敏性大腸症候群、多発性硬化症、重
症筋無力症、心筋又は心膜炎症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵炎、多発性筋炎、
乾癬、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェ−グレン症候群、全身
性アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、血小板減少症、
潰瘍性大腸炎、ウェルナー症候群、癌合併症、血液透析、体外循環と、ウィルス
感染症及び細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、原虫感染症、蠕虫の感染症
、外傷が含まれ、また、神経障害も含まれ、その中には、癲癇、虚血性脳血管障
害、脳卒中、大脳新生物、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、痴呆
、パーキソン病及びその他の錐体外路障害、筋萎縮性側策硬化及びその他の運動
ニューロン障害、進行性神経性筋萎縮症、色素性網膜炎、遺伝性運動失調、多発
性硬化症及び他の脱髄疾患、細菌性及びウイルス性髄膜炎、脳膿瘍、硬膜下蓄膿
症、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎及び神経根炎、ウイルス性
中枢神経系疾患と、クールー及びクロイツフェルト‐ヤコブ病、Gerstmann-Stra
ussler-Scheinker症候群を含むプリオン病(prion disease)と、致死性家族性
不眠症、神経系性栄養病及び代謝病、神経線維腫症、結節硬化症、小脳網膜血管
芽腫(cerebelloretinal hemangioblastomatosis)、脳3叉神経血管症候群、中
枢神経系性精神薄弱及び他の発生障害、脳性麻痺、神経骨格異常症(neuroskele
tal disorder)、自律神経系障害、脳神経障害、脊髄病、筋ジストロフィー及び
他の神経筋障害、末梢神経疾患、皮膚筋炎及び多発性筋炎と、遺伝性、代謝性、
内分泌性、及び中毒性ミオパシーと、重症筋無力症、周期性四肢麻痺と、気分性
及び不安性精神障害、及び妄想性精神病と、静座不能、健忘症、緊張病、糖尿病
性ニューロパシー、錐体外路性終末欠陥症候群、ジストニー、分裂病性精神障害
、帯状疱疹後神経痛、トゥーレット病が含まれ、また、発達障害も含まれ、その
中には尿細管性アシドーシス、貧血、クッシング症候群、軟骨形成不全性小人症
、デュシェンヌ‐ベッカー型筋ジストロフィ、癲癇、性腺形成異常、WAGR症候群
(ウィルムス腫瘍、無虹彩症、尿生殖器異常、精神薄弱)、スミス‐マジェニス
症候群(Smith- Magenis syndrome)、脊髄形成異常症候群、遺伝性粘膜上皮異形
成、遺伝性角皮症、シャルコー‐マリー‐ツース病及び神経線維腫症などの遺伝
性神経病、甲状腺機能低下症、水頭症、舞踏病(Syndenham's chorea)及び脳性小
児麻痺などの発作障害、脊髄二分裂、ウィリアムズ症候群、無脳症、頭蓋脊椎披
裂、先天性緑内障、白内障、感覚神経性聴力損失、また、例えば脳や副腎、腎臓
、骨格または生殖系などの患者の任意の組織及び器官、系を含む細胞増殖及び分
化、胚形成形、態形成に関連する任意の疾患とが含まれ、また、小胞輸送障害も
含まれ、その中には嚢胞性線維症、グルコース‐ガラクトース吸収不全症候群、
高コレステロール血症、糖尿病、尿崩症、高/低血糖症、グレーブス病、甲状腺
腫、クッシング病と、潰瘍性大腸炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍を含む胃腸疾患と、
後天性免疫不全症候群(AIDS)を含む小胞輸送障害に関連した別の症状と、枯草
熱や喘息、じんま疹を含むアレルギーと、自己免疫性溶血性貧血、増殖性糸球体
腎炎、炎症性腸疾患、多発性硬化症、重症筋無力症、リウマチ様変形性関節症、
硬皮、チェディアック‐東症候群、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデ
ス、トキシックショック症候群、外傷性組織損傷、ウイルス感染、細菌感染、真
菌感染、蠕虫感染、原虫感染が含まれ、また、生殖障害が含まれ、その中には、
プロラクチン産生異常と、卵管病、排卵異常、及び子宮内膜症、発情期異常、月
経周期異常、多嚢胞卵巣症候群、卵巣過剰刺激症候群、子宮内膜癌及び卵巣癌、
子宮筋腫、自己免疫異常、異所性妊娠、及び奇形発生を含む不妊症と、乳癌、線
維嚢胞性乳腺症、及び乳漏症と、精子形成異常、生理学上の精子異常、精巣癌、
前立腺癌、良性の前立腺過形成、前立腺炎、ペーロニー病、インポテンス、男性
乳房癌及び女性化乳房とが含まれ、また、胃腸疾患も含まれ、その中には、嚥下
障害、消化性食道炎、食道痙攣、食道狭窄、食道癌、消化不良、消化障害、胃炎
、胃癌、食欲不振、悪心、嘔吐、胃不全麻痺、洞または幽門の浮腫、腹部アンギ
ナ、胸焼け、胃腸炎、イレウス、腸管感染、消化性潰瘍、胆石症、胆嚢炎、胆汁
うっ滞、膵臓炎、膵臓癌、胆道疾患、肝炎、高ビリルビン血症、硬変症、肝臓の
受動性うっ血、ヘパトーム、感染性大腸炎、潰瘍性大腸炎、潰瘍性直腸炎、クロ
ーン病、ホイップル病、マロリー‐ヴァイス症候群、結腸癌、結腸閉塞、過敏性
腸症候群、短小腸症候群、下痢、便秘、胃腸出血、及び後天性免疫不全症候群(
AIDS)腸症、黄疸、肝性脳症、肝腎症候群、肝炎、肝脂肪症、血色素症、ウィル
ソン病、α-1-アンチトリプシン欠損症、ライ症候群、原発性硬化性胆管炎、肝
梗塞、門脈循環閉塞及び血栓、小葉中心壊死、肝臓紫斑病、肝静脈血栓、肝静脈
閉塞症、子癇前症、子癇、妊娠性急性肝脂肪、妊娠性肝臓内胆汁うっ滞と、結節
性再生及び腺腫、癌腫を含む肝癌とが含まれ、また、腎障害が含まれ、その中に
はアミロイド腎症、高血圧症、原発性アルドステロン症、副腎機能不全、腎不全
、腎炎、慢性腎炎、細管介在性腎炎(tubuloinserstitial nephritis)、多発生
嚢胞性疾患などの腎臓の嚢胞性疾患、腎異形成などの形成異常性奇形、皮質性ま
たは髄質性嚢胞症、常染色体優性及び劣性の先天性多嚢胞性腎異形成(PRD)な
どの先天性多嚢胞性腎異形成(PRD)、髄質性嚢胞症、海綿腎及び管状の異形成
、アルポート症候群、肺の腫瘍や脳底部の腫瘍などの腎臓に生理学的な影響を及
ぼす非腎癌、多発性骨髄腫、腎臓の腺癌、転移性の腎癌、腎毒性疾患、摂取また
は注入、吸入、吸収される任意の薬剤、化学薬品または生物学的製剤によって起
こる機能的または形態学的な腎臓の変化が含まれる。一般的な腎毒性薬剤は、重
金属、全ての種類の抗体、鎮痛薬、溶剤、シュウ酸症誘発剤、抗癌剤、除草剤、
殺虫剤、植物学的製剤、生物学的製剤、抗てんかん薬に大きく分類される。
【0122】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むHJNCTの発
現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、HJNCTまたはそ
の断片や誘導体を発現し得るベクターを患者に投与することも可能である。
【0123】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むHJNCT
の発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、実質的に精
製されたHJNCTを含む医薬品組成物を好適な医薬用担体と共に患者に投与するこ
とも可能である。
【0124】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むHJNCT
の発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、HJNCTの活
性を調節するアゴニストを患者に投与することも可能である。
【0125】 更なる実施例では、HJNCTの発現または活性の増大に関連した疾患の治療また
は予防のために、患者にHJNCTのアンタゴニストを投与することが可能である。
このような疾患の例には、上記した癌を含む細胞増殖異常症、自己免疫/炎症性
疾患、神経障害、発達障害、小胞輸送障害、胃腸疾患及び腎障害が含まれるが、
それらに限定するものではない。一実施態様では、HJNCTと特異的に結合する抗
体が直接アンタゴニストとして、或いはHJNCTを発現する細胞または組織に薬剤
を運ぶターゲッティング或いは運搬機構として間接的に用いられ得る。
【0126】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むHJNCTの発
現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防のために、HJNCTをコード
するポリヌクレオチドの相補体を発現するベクターを患者に投与することも可能
である。
【0127】 別の実施例では、本発明の任意のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニ
スト、相補的な配列、ベクターを別の好適な治療薬と組み合わせて投与すること
もできる。当業者は、従来の医薬原理にしたがって併用療法で用いる好適な治療
薬を選択可能である。治療薬との組み合わせにより、上に列記した種々の疾患の
治療または予防に相乗効果をもたらし得る。この方法を用いて少ない量の各薬剤
で医薬効果をあげることが可能であり、広範囲な副作用の可能性を低減し得る。
【0128】 HJNCTのアンタゴニストは、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可
能である。詳しくは、精製されたHJNCTを用いて抗体を作ったり、治療薬のライ
ブラリをスクリーニングしてHJNCTと特異的に結合するものを同定が可能である
。HJNCTの抗体も、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可能である。
このような抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、
一本鎖、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリによって作られたフラグメン
トが含まれる。但し、これらに限定されるものではない。治療用には、中和抗体
(即ち、二量体の形成を阻害するもの)が特に好ましい。
【0129】 抗体の産生のためには、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒト及びその他のも
のを含む種々の宿主が、HJNCTまたは任意の断片、または免疫原性の特性を備え
るそのオリゴペプチドの注入によって免疫化され得る。宿主の種に応じて、種々
のアジュバントを用いて免疫応答を高めることもできる。このようなアジュバン
トにはフロイントアジュバント、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲルアジュ
バント、リゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油性
乳剤、キーホールリンペットヘモシニアン、及びジニトロフェノールなどの界面
活性剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。ヒトに用いられるアジ
ュバントの中では、BCG(bacilli Calmette-Guerin)及びCorynebacterium parv um が特に好ましい。
【0130】 HJNCTに対する抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプチド、
または断片は、約5以上のアミノ酸からなるアミノ酸配列が望ましく、更に望ま
しいのは約10以上のアミノ酸からなるものである。これらのオリゴペプチド或
いはペプチド、またはそれらの断片は、天然のタンパク質のアミノ酸配列の一部
と同一であることが望ましく、小さな自然発生の分子のアミノ酸配列全体も含む
。HJNCTアミノ酸の短い伸展部は、KLHなどの別のタンパク質の配列と融合し、キ
メラ分子に対する抗体が産生され得る。
【0131】 HJNCTに対するモノクローナル抗体は、培地内の連続した細胞株によって、抗
体分子を産生する任意の技術を用いて作製することが可能である。これらの技術
には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びEBV−ハイブ
リドーマ技術が含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Kohler
, G. 等. (1975) Nature 256:495-497; Kozbor, D. 等. (1985) .J. Immunol. M
ethods 81−8-42; Cote, R.J. 等. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-20
30; Cole, S.P. 等. (1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120を参照)。
【0132】 更に、「キメラ抗体」の作製のために発達したヒト抗体遺伝子にマウス抗体遺
伝子をスプライシングするなどの技術が、好適な抗原特異性及び生物学的活性を
備える分子を得るために用いられる(例えば、Morrison, S.L.他. (1984) Proc.
Natl. Acad. Sci. 81−4851−4855; Neuberger, M.S.他. (1984) Nature 312:6
04-608; Takeda, S.等. (1985) Nature 314:452,454を参照)。別法では、当分
野で周知の方法を用いて、一本鎖抗体の産生のための記載された技術を適用して
、HJNCT特異性一本鎖抗体を生成する。関連する特異性を備えるが別のイディオ
タイプの組成の抗体は、ランダムな組み合わせの免疫グロブリンライブラリから
鎖混合によって生成することもできる(例えば、Burton D.R. (1991) Proc. Nat
l. Acad. Sci. 88:11120-3を参照)。
【0133】 抗体は、リンパ球集団の中のin vivo産生を誘発することによって、または免
疫グロブリンライブラリのスクリーニング又は文献に示されているような、高度
に特異的な結合試薬のパネルをスクリーニングすることによって、産生すること
もできる(例えば、Orlandi, R. 他. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. 86: 3833
-3837; Winter, G. 他. (1991) Nature 349:293-299を参照)。
【0134】 HJNCTに対する特異的な結合部位を含む抗体も産生することができる。例えば
、このような断片には、抗体分子のペプシン消化によって生成されるF(ab')に
断片と、F(ab')に断片のジスルフィド架橋を減じることによって生成されるFa
b断片が含まれるが、これらに限定されるものではない。別法では、Fab発現ライ
ブラリを作製することによって、所望の特異性とモノクローナルFab断片の迅速
且つ容易な同定が可能となる(例えば、Huse, W.D. 等. (1989) Science 254:12
75-1281を参照)。
【0135】 種々のイムノアッセイを用いてスクリーニングし、所望の特異性を有する抗体
を同定する。隔離された特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナ
ル抗体の何れかを用いる競合的な結合、または免疫放射線活性のための数々のプ
ロトコルが、当分野では周知である。通常このようなイムノアッセイには、HJNC
Tとその特異性抗体との間の複合体調整の計測が含まれる。二つの非干渉性HJNCT
エピトープに対して反応性のモノクローナル抗体を用いる、2部位モノクローナ
ルベースのイムノアッセイが好ましいが、競合的結合アッセイも利用することが
できる(Pound、前出)。
【0136】 ラジオイムノアッセイ技術と共にScatchard分析などの様々な方法を用いて、H
JNCT抗体の親和性を評価する。親和性を結合定数Kaで表すが、このKaは、平衡状
態の下でHJNCT抗体複合体のモル濃度を遊離抗体と遊離抗原のモル濃度で割った
ものである。多数のHJNCTエピトープに対して親和性が不均一なポリクロナール
抗体試薬の測定値Kaは、HJNCT抗体の平均親和性または結合活性を表す。特定
のHJNCTエピトープに単一特異的なモノクロナール抗体試薬のKaは、親和性の
真の測定値を表す。Ka値が10〜1012L/molの高親和性抗体試薬は、
HJNCT抗体複合体が激しい操作に耐えなければならないイムノアッセイに用いる
のが好ましい。Ka値が10〜10L/molの低親和性抗体試薬は、HJNCT
が抗体から最終的に活性化状態で解離する必要がある免疫精製(immunopurifica
tion)及び類似の処理に用いるのが好ましい。(Catty, D. (1988) Antibodies, Volume I: A Practical Approach . IRL Press, Washington, DC; Liddell, J. E
. and Cryer, A. (1991) A Practical Guide to Monoclonal Antibodies, John
Wiley & Sons, New York NY)。
【0137】 ポリクロナール抗体試薬の抗体価及び結合活性を更に評価して、あるダウンス
トリーム適用に対するこのような試薬の品質及び適性を調べる。例えば、少なく
とも1〜2mg/mlの特異的な抗体、好ましくは5〜10mg/mlの特異的
な抗体を含むポリクロナール抗体試薬の使用は、HJNCT抗体複合体を沈殿させな
ければならない処理に適している。様々な適用例における抗体の特異性及び抗体
価、結合活性、抗体の品質や使用法の指針は一般に入手可能である。(例えば、C
atty, 前出, 及びColigan 他、前出を参照)。
【0138】 本発明の別の実施例では、HJNCTをコードするポリヌクレオチド、またはその
任意の断片または相補配列が、治療目的で使用することができる。ある実施形態
では、HJNCTをコードするポリヌクレオチドの相補配列がmRNAの転写を阻止する
のに好適である場合、これを使用することができる。特に細胞は、HJNCTをコー
ドするポリヌクレオチドと相補的な配列で形質転換することもできる。したがっ
て、相補的分子または断片は、HJNCTの活性の調節、または遺伝子機能の調節の
ために使用することができる。このような技術は当分野では周知であり、センス
またはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは大きな断片が、HJNCTをコードす
る配列の制御領域から、またはコード領域に沿ったさまざまな位置から設計可能
である。
【0139】 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス又はワクシニア、又は様々な細菌
性プラスミド由来の発現ベクターを用いて、ヌクレオチド配列を標的の器官、組
織又は細胞集団に運ぶこともできる。当業者に周知の方法を用いてHJNCTをコー
ドポリヌクレオチドと相補的な核酸配列を発現するベクターを作製することがで
きる(例えば、前出のSambrook 他、及び前出のAusubel 他によるものを参照)。
【0140】 HJNCTをコードする遺伝子は、HJNCTをコードするポリヌクレオチド又はその断
片を高いレベルで発現する発現ベクターで、細胞又は組織を形質転換することに
よって止めることができる。このような作製物を用いて翻訳できないセンス又は
アンチセンス配列を細胞の中に導入することができる。DNAの中に組み入れられ
ない場合でも、このようなベクターは内在性のヌクレアーゼによって機能が損な
われるまでmRNA分子を転写し続ける。非複製ベクターでも一過性の発現を一ヶ月
以上に亘って続け、好適な複製要素がベクター系の一部である場合はさらに長く
持続し得る。
【0141】 上記した通り、遺伝子の発現は、HJNCTをコードする遺伝子の制御5’または
調節領域に対する相補的な配列またはアンチセンス分子(DNA或いはRNA、PNA)
を設計することによって調節することができる。転写開始部位、即ち開始部位か
ら−10と+10との間の領域に由来するオリゴヌクレオチドが好適である場合
と同様に、「三重らせん」と塩基対合法を用いて阻止することができる。三重ら
せん構造は、二重らせんがポリメラーゼ、転写因子、または調節分子の結合のた
めに十分に広がるのを阻止するため有益である。三重式DNAを用いる最近の治療
の進歩は文献に記載されている(例えば、Gee, J.E. 等. (1994) In: Huber, B.
E. 及び B.I. Carr, Molecular and Immunologic Approaches, Futura Publishi
ng Co., Mt. Kisco, NYを参照)。相補的な配列またはアンチセンス分子もまた
、転写物がリボソームに結合するのを阻止することによってmRNAの翻訳を阻止す
るように設計できる。
【0142】 酵素性RNA分子であるリボザイムは、RNAの特異的切断を触媒するために用いる
ことができる。リボザイム作用の機構には、相補的な標的RNAへのリボザイム分
子の配列特異性ハイブリダイゼーションが含まれ、ヌクレオチド鎖切断が続く。
例えば、HJNCTをコードする配列のヌクレオチド鎖切断を、特異的且つ効果的に
触媒する組換え型のハンマーヘッド型リボザイム分子が含まれる。
【0143】 任意の潜在的RNA標的の中の特異的なリボザイム切断部位が、後続の配列GU
A、GUU、及びGUCを含むリボザイム切断部位に対して、標的分子をスキャ
ニングすることによって初めに同定される。一度同定されると、切断部位を含む
標的遺伝子の領域に対応する15個から20個のリボヌクレオチドの短いRNA配
列を、オリゴヌクレオチドの機能を不全にする二次的な構造の特徴について評価
することが可能である。候補標的の適合性も、リボヌクレアーゼ保護アッセイを
用いて、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの容易性をテ
ストすることによって評価することが可能である。
【0144】 本発明の相補的なリボ核酸分子及びリボザイムは、当分野で周知の方法を用い
て、核酸分子の合成のために作製することができる。これらの方法には、固相ホ
スホラミダイト化合物などのオリゴヌクレオチドを化学的に合成する方法が含ま
れる。別法では、RNA分子がin vitro及びin vivoでHJNCTをコードするDNA配列の
転写によって生成され得る、このようなDNA配列はT7またはSP6等の好適なRNAポ
リメラーゼプロモータを用いて、種々のベクターの中に組み入れることが可能で
ある。別法では、相補的なRNAを構成的または誘導的に合成するこれらのcDNA作
製物は、細胞株、細胞、または組織の中に導入することができる。
【0145】 RNA分子を修飾することによって、細胞内の安定性を高め、半減期を長くする
ことができる。可能な修飾には、分子の5’及び/または3’端部でのフランキ
ング配列の追加、または分子のバックボーン内でのホスホジエステラーゼ結合よ
りむしろホスホロチオネート又は2’Oメチルの使用が含まれる、がこれらに限
定されるものではない。PNAの生成に固有のこの概念は、内在性のエンドヌクレ
アーゼによって容易には認識されないアデニン、シチジン、グアニン、チミン、
及びウリジンのアセチル−、メチル−、チオ−、及び同様の修飾形態だけでなく
、イノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(wybutosine)など
の従来のものでない塩基を含めることによって、これらの分子の全体に拡大する
ことができる。
【0146】 ベクターを細胞又は組織に導入する多数の方法が利用でき、in vivoin vitr o 、及びex vivoでの使用に等しく適している。ex vivoでの治療の場合、患者か
ら採取された肝細胞の中にベクターを導入して、自家移植で同じ患者に戻すため
にクローニング増殖される。トランスフェクション、リボソーム注入またはポリ
カチオンアミノポリマーによる運搬は、当分野で周知の方法を用いて実行するこ
とができる(例えば、Goldman, C.K. 他. (1997) Nature Biotechnology 15:462
-66:を参照)。
【0147】 上記したいかなる治療方法も、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル
、及び最も好ましいヒトなどの哺乳動物を含む、治療が必要な全ての被験者に適
用できる。
【0148】 本発明の別の実施例は、上記した全ての治療効果のために、医学上認められる
担体と共に医薬品或いは無菌組成物の投与に関連する。このような医薬品組成物
は、HJNCT、HJNCTに対する抗体、擬態、アゴニスト、アンタゴニスト、又はHJNC
Tのインヒビターなどからなる。この組成物は、単体で、或いは安定剤などの1
種類以上の別の薬剤と共に、無菌の生体適合性医薬品担体に投与することができ
る。このような医薬品担体には、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖、及び水な
どが含まれるがこれらに限定されるものではない。この組成物は、単独或いは薬
物又はホルモンなどの別の薬剤と共に投与することができる。
【0149】 本発明に用いられる医薬品組成物は、任意の数の経路を用いて投与することも
できる。この経路には、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ膜下腔内
、心室内、経皮性、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、異所性、舌下、または直腸が
含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0150】 活性処方成分に加えて、これらの医薬品組成物には、活性化合物を医薬的に使
用可能な薬剤にするのを容易にする、医薬品添加物及び補助剤を含む好適な薬学
的に認められる担体が含まれ得る。製剤及び投与についての詳しい技術について
は、最新版のRemington's Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing, PA)に
記載されている。
【0151】 経口投与用の医薬品組成物が、経口投与に好適な投与量において当分野で周知
の薬学的に許容される担体を用いて、製剤することができる。このような担体に
より、医薬品組成物が患者が摂取するために、錠剤、丸薬、糖衣剤、カプセル、
液体、ゲル状、シロップ剤、泥状物、懸濁液として製剤される。
【0152】 経口用に用いられる医薬品は、活性化合物と固体の薬品添加物とを混合し、得
られた顆粒の混合物を処理して、(所望に応じてすりつぶした後)タブレット或
いは糖衣錠コア(dragee cores)にする。好適な医薬品添加物とは、ラクトース
、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類、トウモロコシ、小
麦、米、ジャガイモ、又はその他の植物からのでんぷん、メチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースナトリウ
ムなどのセルロース、アラビアゴム及びトラガカントゴムを含むゴム、ゼラチン
及びコラーゲンなどのタンパク質などの炭水化物又はタンパク質賦形剤である。
必要に応じて、例えば、架橋結合したポリビニルピロリドン、かんてん、アルギ
ン酸、またはその塩であるアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤が
加えられる。
【0153】 糖衣錠コアは、濃縮糖溶剤などの好適なコーティングと共に用いられる。この
ような濃縮糖溶剤には、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボ
ポルゲル(carbopol gel)、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタ
ン、ラッカー溶剤、及び好適な有機溶媒または混合溶剤などが含まれ得る。染料
または色素が、製品の識別又は活性化合物の量、即ち薬用量を示すため、錠剤ま
たは糖衣錠に加えられる。
【0154】 経口用に用いられる医薬品製剤には、ゼラチンから作られたプッシュ−フィッ
ト型のカプセル、グリセロールまたはソルビトールなどのコーティングとゼラチ
ンからなる封入されたカプセルが含まれる。プッシュ−フィット型のカプセルに
は、ラクトース又はスターチなどの賦形剤や結合材、タルク又はステアリン酸マ
グネシウムなどの潤滑剤、所望に応じて安定剤と混合された活性処方成分が含ま
れる。ソフトカプセルでは、活性化合物が、安定剤と共に或いは安定剤なしで、
脂肪油、溶液、またはポリエチレングリコール溶液などの好適な溶液に溶解或い
は懸濁され得る。
【0155】 非経口投与用に好適な医薬品剤が、水溶液で製剤されるが、ハンクス液、リン
ガー液、生理緩衝食塩水などの生理学的に適合性のある緩衝剤が好ましい。水性
懸濁注射液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデ
キストランなどの懸濁液の粘性を高める物質を含み得る。更に、活性化合物の懸
濁液は、好適な油性注入懸濁液として製剤され得る。好適な親水性溶液または媒
体には、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチル、トリグリセリド又はリボソー
ムなどの合成脂肪酸が含まれる。非脂質ポリカチオンアミノポリマーが、運搬目
的で使用される。随意選択により、懸濁液は高濃度の溶液が可能となるよう化合
物の溶解性を高める好適な安定剤または薬剤を含み得る。
【0156】 局部または鼻腔投与のために、特定の障壁に浸透する好適な浸透剤が製剤に用
いられる。このような浸透剤は当業者には周知である。
【0157】 本発明の医薬品組成物は、当分野で周知の方法、例えば従来の混合、溶解、顆
粒化、糖衣化、溶離(levigating)、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥
処理を用いて製造され得る。
【0158】 医薬品組成物は塩類として製剤され、限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳
酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等の多くの酸と共に形成可能である。塩分は対
応する遊離塩基系よりも、水溶剤または他のプロトン溶剤に溶けやすい。別の場
合の好ましい薬剤の形態には、1から50mMヒスチジン、0.1%〜2%スク
ロース、及び2〜7%マンニトールの幾つか或いは全てを含み、pHの範囲が4
.5〜5.5であり、使用前に緩衝剤と結合する凍結乾燥粉末を用いることがで
きる。
【0159】 医薬品組成物が調合された後、それらは適当な箱に詰められ、指定した症状の
薬としてラベルが貼られる。HJNCTの投与のため、このようなラベルには、量、
頻度、及び投与の方法が含まれるであろう。
【0160】 本発明に用いる好適な医薬品組成物には、目的を達成するため、効果的な量の
活性処方成分を含む組成物が含まれる。当業者は、自分の能力で十分に効果的な
服用量を決めることができる。
【0161】 どのような組成物であっても、治療に効果的な薬用量は、初めは、例えば腫瘍
細胞の腫瘍細胞アッセイで、或いは動物モデルのどちらかで推定することができ
る。通常、動物モデルには、マウス、ウサギ、イヌ、又はブタなどが用いられる
。動物モデルはまた、好適な濃縮範囲及び投与の経路を決めるのに用いることが
できる。このような治療をもとに、ヒトへの有益な薬用量及び投与経路を決定す
ることができる。
【0162】 医学的に効果的な薬用量は、症状や容態を回復させる、たとえばHJNCT又はそ
の断片、HJNCTの抗体、HJNCTのアゴニストまたはアンタゴニスト、インヒビター
などの活性処方成分の量に関連する。薬用有効度及び毒性は、たとえば、ED50 (服用に対して集団の50%に医薬的効果がある)またはLD50(服用に対して
集団の50%に致命的である)統計を計算するなど、細胞培養または動物実験に
おける標準的な薬剤手法によって決定することができる。毒性効果と治療効果と
の薬用量比は治療指数であり、LD50/ED50と示すことができる。高い治療指
数を示す医薬品組成物が望ましい。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られた
データが、ヒトへの適用のために、薬用量の範囲を調剤するのに用いられる。こ
のような組成物が含まれる薬用量は、毒性を殆ど或いは全く含まず、ED50を含
む血中濃度の範囲であることが望ましい。薬用量は、用いられる投与形態及び患
者の感受性、投与の経路によって、この範囲内で様々である。
【0163】 正確な薬用量は、治療が必要な患者に関する要素を考慮して、実務者によって
決められるであろう。薬用量及び投与は、効果的なレベルの活性成分を与えるた
め或いは所望の効果を維持するために調節される。薬用量の要素として考慮され
るものには、疾患の重症度、患者の一般的な健康状態、年齢、体重、及び患者の
性別、投与の時間及び頻度、併用する薬剤、反応感受性、及び治療に対する応答
が含まれる。作用器官が長い医薬品組成物は、三日か四日に一度、一週間に一度
、二週間に一度、特定の製剤の半減期及びクリアランス率によって左右され、投
与され得る。
【0164】 通常の薬用量は投与の経路によって異なるが、約0.1〜100,000μg
までの最大約1グラムまでである。特定の薬用量及び運搬の方法に関するガイダ
ンスは文献に記載されており、一般に当分野の実務者はそれを利用することがで
きる。当業者は、タンパク質またはインヒビターとは異なったヌクレオチドの製
剤を利用するであろう。同様に、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの運搬は、
特定の細胞、状態、位置などに対して特異的であろう。
【0165】 (診断) 別の実施例では、HJNCTに特異的に結合する抗体が、HJNCTの発現によって特徴
付けられる疾患の診断、またはHJNCTやHJNCTのアゴニストまたはアンタゴニスト
、インヒビターで治療を受けている患者をモニターするためのアッセイに用いら
れる。診断に有用な抗体は、治療のところで記載した方法と同じ方法で製剤され
る。HJNCTの診断アッセイには、抗体及び標識を用いてヒトの体液或いは細胞や
組織から採取されたものからHJNCTを検出する方法が含まれる。これらの抗体は
、修飾をして或いはしないで使用され、レポーター分子の共有結合性或いは非共
有結合性の接着によって標識化され得る。当分野で周知の種々のレポーター分子
が用いられるが、その内の幾つかは上記した。
【0166】 HJNCTを測定するためのELISA,RIA,及びFACSを含む種々のプロトコルは、当
分野では周知であり、変わった或いは異常なレベルのHJNCTの発現を診断する元
となるものを提供する。正常或いは標準的なHJNCTの発現の値は、複合体の形成
に適した条件の下、正常な哺乳動物、好ましくはヒトである被験者から採取した
体液または細胞とHJNCTに対する抗体とを結合させることによって決定する。標
準的な複合体形成の量は種々の方法で定量され得るが、測光法(photometric)
が好ましい。被験者のHJNCTの発現の量、制御及び疾患、生検組織からのサンプ
ルが標準値と比較される。標準値と被験者との間の偏差が、疾患を診断するパラ
メーターとなる。
【0167】 別の実施例によれば、HJNCTをコードするポリヌクレオチドを診断のために用
いることもできる。用いられるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチド配列
、相補的なRNA及びDNA分子、及びPNAが含まれる。ポリヌクレオチドを用いて、
疾患と相関し得るHJNCTを発現する生検組織における遺伝子の発現を検出及び定
量する。この診断アッセイを用いて、HJNCTの不在、存在、及び過度の発現を調
べ、治療中のHJNCTレベルの制御を監視する。
【0168】 ある実施形態では、HJNCTまたは近縁の分子をコードする遺伝子配列を含むポ
リヌクレオチド配列を検出可能なPCRプローブを用いたハイブリダイゼーション
によって、HJNCTをコードする核酸配列を同定することが可能である。例えば5'
調節領域である高度に特異的な領域か、例えば保存されたモチーフであるやや特
異性の低い領域から作られているかのプローブの特異性と、ハイブリダイゼーシ
ョン或いは増幅の厳密性(最大、高い、中間、または低い)は、プローブがHJNC
Tをコードする自然界の配列のみを同定するかどうか、或いはアレルや関連配列
コードする自然界の配列のみを同定するかどうかによって決まるであろう。
【0169】 プローブはまた、関連する配列の検出に利用され、HJNCTをコードする任意の
配列からのヌクレオチドを50%以上含むのが望ましい。目的の本発明のハイブ
リダイゼーションプローブには、DNAあるいはRNAが可能であり、SEQ ID NO:5−8
の配列、或いはHJNCT遺伝子のプロモーター、エンハンサー、イントロンを含む
ゲノム配列に由来し得る。
【0170】 HJNCTをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプローブの作
製方法には、HJNCT及びHJNCT誘導体をコードするポリヌクレオチド配列をmRNAプ
ローブの作製のためのベクターにクローニングする方法がある。このようなベク
ターは市販されており、当業者には周知であり、好適なRNAポリメラーゼ及び好
適な標識されたヌクレオチドを加えることによって、in vitroでRNAプローブを
合成するために用いられる。ハイブリダイゼーションプローブは、例えば32
或いは35Sなどの放射性核種、或いはアビジン/ビオチン(biotin)結合系に
よってプローブに結合されたアルカリホスファターゼなどの酵素標識等の種々の
レポーターの集団によって標識され得る。
【0171】 HJNCTをコードするポリヌクレオチド配列を用いて、HJNCTの発現に関連する疾
患を診断することが可能である。このような疾患の例には、このような疾患の例
には、細胞増殖異常が含まれ、その中には日光性角化症及びアテローム性動脈硬
化、滑液包炎、硬変、肝炎、混合型結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜
間ヘモグロビン尿症、真性多血症、乾癬、原発性血小板血症、並びに腺癌及び白
血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、及び奇形癌、具体的には、副腎、膀胱
、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、
筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺
、子宮の癌などが含まれ、また、自己免疫/炎症性疾患も含まれ、その中には後
天性免疫不全症候群(AIDS)及び副腎機能不全、成人呼吸窮迫症候群、アレルギ
ー、強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己
免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性多腺性内分泌カンジダ性外
胚葉ジストロフィ(APECED)、気管支炎、胆嚢炎、接触皮膚炎、クローン病、ア
トピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、リンパ球毒素性一時性リンパ球減
少症、赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候
群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、過好酸球増加症、過敏性大腸症候群、
多発性硬化症、重症筋無力症、心筋又は心膜炎症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵
炎、多発性筋炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェ−グ
レン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症
、血小板減少症、潰瘍性大腸炎、ウェルナー症候群、癌合併症、血液透析、体外
循環と、ウィルス感染症及び細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、原虫感染
症、蠕虫の感染症、外傷が含まれ、また、神経障害も含まれ、その中には、癲癇
、虚血性脳血管障害、脳卒中、大脳新生物、アルツハイマー病、ピック病、ハン
チントン病、痴呆、パーキソン病及びその他の錐体外路障害、筋萎縮性側策硬化
及びその他の運動ニューロン障害、進行性神経性筋萎縮症、色素性網膜炎、遺伝
性運動失調、多発性硬化症及び他の脱髄疾患、細菌性及びウイルス性髄膜炎、脳
膿瘍、硬膜下蓄膿症、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎及び神経
根炎、ウイルス性中枢神経系疾患と、クールー及びクロイツフェルト‐ヤコブ病
、Gerstmann-Straussler-Scheinker症候群を含むプリオン病(prion disease)
と、致死性家族性不眠症、神経系性栄養病及び代謝病、神経線維腫症、結節硬化
症、小脳網膜血管芽腫(cerebelloretinal hemangioblastomatosis)、脳3叉神
経血管症候群、中枢神経系性精神薄弱及び他の発生障害、脳性麻痺、神経骨格異
常症(neuroskeletal disorder)、自律神経系障害、脳神経障害、脊髄病、筋ジ
ストロフィー及び他の神経筋障害、末梢神経疾患、皮膚筋炎及び多発性筋炎と、
遺伝性、代謝性、内分泌性、及び中毒性ミオパシーと、重症筋無力症、周期性四
肢麻痺と、気分性及び不安性精神障害、及び妄想性精神病と、静座不能、健忘症
、緊張病、糖尿病性ニューロパシー、錐体外路性終末欠陥症候群、ジストニー、
分裂病性精神障害、帯状疱疹後神経痛、トゥーレット病が含まれ、また、発達障
害も含まれ、その中には尿細管性アシドーシス、貧血、クッシング症候群、軟骨
形成不全性小人症、デュシェンヌ‐ベッカー型筋ジストロフィ、癲癇、性腺形成
異常、WAGR症候群(ウィルムス腫瘍、無虹彩症、尿生殖器異常、精神薄弱)、ス
ミス‐マジェニス症候群(Smith Magenis syndrome)、脊髄形成異常症候群、遺伝
性粘膜上皮異形成、遺伝性角皮症、シャルコー‐マリー‐ツース病及び神経線維
腫症などの遺伝性神経病、甲状腺機能低下症、水頭症、舞踏病(Syndenham's cho
rea)及び脳性小児麻痺などの発作障害、脊髄二分裂、ウィリアムズ症候群、無脳
症、頭蓋脊椎披裂、先天性緑内障、白内障、感覚神経性聴力損失、また、例えば
脳や副腎、腎臓、骨格または生殖系などの患者の任意の組織及び器官、系を含む
細胞増殖及び分化、胚形成形、態形成に関連する任意の疾患とが含まれ、また、
小胞輸送障害も含まれ、その中には嚢胞性線維症、グルコース‐ガラクトース吸
収不全症候群、高コレステロール血症、糖尿病、尿崩症、高/低血糖症、グレー
ブス病、甲状腺腫、クッシング病と、潰瘍性大腸炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍を含
む胃腸疾患と、後天性免疫不全症候群(AIDS)を含む小胞輸送障害に関連した別
の症状と、枯草熱や喘息、じんま疹を含むアレルギーと、自己免疫性溶血性貧血
、増殖性糸球体腎炎、炎症性腸疾患、多発性硬化症、重症筋無力症、リウマチ様
変形性関節症、硬皮、チェディアック‐東症候群、シェーグレン症候群、全身性
エリテマトーデス、トキシックショック症候群、外傷性組織損傷、ウイルス感染
、細菌感染、真菌感染、蠕虫感染、原虫感染が含まれ、また、生殖障害が含まれ
、その中には、プロラクチン産生異常と、卵管病、排卵異常、及び子宮内膜症、
発情期異常、月経周期異常、多嚢胞卵巣症候群、卵巣過剰刺激症候群、子宮内膜
癌及び卵巣癌、子宮筋腫、自己免疫異常、異所性妊娠、及び奇形発生を含む不妊
症と、乳癌、線維嚢胞性乳腺症、及び乳漏症と、精子形成異常、生理学上の精子
異常、精巣癌、前立腺癌、良性の前立腺過形成、前立腺炎、ペーロニー病、イン
ポテンス、男性乳房癌及び女性化乳房とが含まれ、また、胃腸疾患も含まれ、そ
の中には、嚥下障害、消化性食道炎、食道痙攣、食道狭窄、食道癌、消化不良、
消化障害、胃炎、胃癌、食欲不振、悪心、嘔吐、胃不全麻痺、洞または幽門の浮
腫、腹部アンギナ、胸焼け、胃腸炎、イレウス、腸管感染、消化性潰瘍、胆石症
、胆嚢炎、胆汁うっ滞、膵臓炎、膵臓癌、胆道疾患、肝炎、高ビリルビン血症、
硬変症、肝臓の受動性うっ血、ヘパトーム、感染性大腸炎、潰瘍性大腸炎、潰瘍
性直腸炎、クローン病、ホイップル病、マロリー‐ヴァイス症候群、結腸癌、結
腸閉塞、過敏性腸症候群、短小腸症候群、下痢、便秘、胃腸出血、及び後天性免
疫不全症候群(AIDS)腸症、黄疸、肝性脳症、肝腎症候群、肝炎、肝脂肪症、血
色素症、ウィルソン病、α-1-アンチトリプシン欠損症、ライ症候群、原発性硬
化性胆管炎、肝梗塞、門脈循環閉塞及び血栓、小葉中心壊死、肝臓紫斑病、肝静
脈血栓、肝静脈閉塞症、子癇前症、子癇、妊娠性急性肝脂肪、妊娠性肝臓内胆汁
うっ滞と、結節性再生及び腺腫、癌腫を含む肝癌とが含まれ、また、腎障害が含
まれ、その中にはアミロイド腎症、高血圧症、原発性アルドステロン症、副腎機
能不全、腎不全、腎炎、慢性腎炎、細管介在性腎炎(tubuloinserstitial nephr
itis)、多発生嚢胞性疾患などの腎臓の嚢胞性疾患、腎異形成などの形成異常性
奇形、皮質性または髄質性嚢胞症、常染色体優性及び劣性の先天性多嚢胞性腎異
形成(PRD)などの先天性多嚢胞性腎異形成(PRD)、髄質性嚢胞症、海綿腎及び
管状の異形成、アルポート症候群、肺の腫瘍や脳底部の腫瘍などの腎臓に生理学
的な影響を及ぼす非腎癌、多発性骨髄腫、腎臓の腺癌、転移性の腎癌、腎毒性疾
患、摂取または注入、吸入、吸収される任意の薬剤、化学薬品または生物学的製
剤によって起こる機能的または形態学的な腎臓の変化が含まれる。一般的な腎毒
性薬剤は、重金属、全ての種類の抗体、鎮痛薬、溶剤、シュウ酸症誘発剤、抗癌
剤、除草剤、殺虫剤、植物学的製剤、生物学的製剤、抗てんかん薬に大きく分類
される。HJNCTをコードするポリヌクレオチド配列は、サザーン法やノーザン法
、ドットブロット法、或いはその他の膜系の技術、PCR法、ディップスティック
(dipstick)、ピン(pin)、ELISA式アッセイ、及び変異HJNCTの発現を検出す
るために患者から採取した体液或いは組織を利用するマイクロアレイに使用する
ことが可能である。このような質的或いは量的方法は、当分野では周知である。
【0172】 特定の形態において、HJNCTをコードするヌクレオチド配列は、関連する疾患
、特に上記した疾患を検出するアッセイにおいて有用であろう。HJNCTをコード
するヌクレオチド配列は、標準的な方法で標識化され、ハイブリダイゼーション
複合体の形成に好適な条件の下、患者から採取した体液或いは組織のサンプルに
加えることができるであろう。好適な培養期間の後、サンプルを洗浄し、シグナ
ルを定量して標準値と比較する。患者のサンプルのシグナルの量が、制御サンプ
ルと較べて著しく変わっている場合は、サンプル内のHJNCTをコードするヌクレ
オチド配列の変異レベルにより、関連する疾患の存在が明らかになる。このよう
なアッセイを用いて、動物実験、臨床試験、或いは個人の患者の治療を監視にお
ける、特定の治療効果を推定することが可能である。
【0173】 HJNCTの発現に関連する疾患の診断の基準となるものを提供するために、正常
あるいは標準的な発現の概要が確立される。これは、ハイブリダイゼーション或
いは増幅に好適な条件の下、動物或いはヒトの何れかの正常な被験者から抽出さ
れた体液或いは細胞と、HJNCTをコードする配列或いはその断片とを結合させる
ことにより達成され得る。標準的なハイブリダイゼーションは、正常な被験者か
ら得た値と周知の量の実質的に精製されたポリヌクレオチドが用いられる実験か
らの値とを比較することによって定量可能である。正常なサンプルから得た標準
的な値を、疾患の症状を示す被験者から得た値と比較可能である。標準値と被験
者の値との偏差を用いて疾患の存在を確定する。
【0174】 疾患の存在が確定され治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーショ
ンアッセイを通常ベースで繰り返して、被験者における発現のレベルが正常な患
者に示される値に近づき始めたかどうかを推定することが可能である。繰り返し
行ったアッセイの結果を、数日から数ヶ月の期間の治療の効果を見るのに用いる
ことができる。
【0175】 癌では、個体からの生体組織における異常な量の転写物が、疾患の発生の素因
を示し、また実際に臨床的症状が出る前に疾患を検出する方法を提供することが
可能である。この種のより明確な診断により、医療の専門家が予防方法或いは積
極的な治療法を早くから利用して、癌の発生または進行を防ぐことが可能となる
【0176】 HJNCTをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドのさらなる診断へ
の利用には、PCRの利用が含まれ得る。このようなオリゴマーは、化学的な合成
、酵素を用いた生成、或いはin vitroで生成され得る。オリゴマーは、好ましく
はHJNCTをコードするポリヌクレオチドの断片、或いはHJNCTをコードするポリヌ
クレオチドと相補的なポリヌクレオチドの断片を含み、最適な条件の下、特定の
遺伝子や条件を識別するために利用される。また、オリゴマーは、やや低い厳密
性条件の下、近縁のDNA或いはRNA配列の検出及び/または定量のため用いること
が可能である。
【0177】 HJNCTの発現を定量するために用いられ得る方法には、ヌクレオチドの放射標
識或いはビオチン標識、調節核酸の相互増幅(coamplification)、及び標準的
な曲線に結果が加えられたものが含まれる(例えば、Melby, P.C.等(1993) J. I
mmunol. Methods, 159:235-44;Duplaa, C.等(1993) Anal. Biochem. 229-236を
参照)。多数のサンプルの定量速度が、目的のオリゴマーが種々の希釈液に含ま
れ、分光光度法或いは非色応答により迅速に定量するELISA型のアッセイを用い
ることによって加速された。
【0178】 別の実施例では、本明細書で記載した任意のポリヌクレオチド配列由来のオリ
ゴヌクレオチドまたはそれより長い断片を、マイクロアレイにおける標的として
用いる。マイクロアレイを用いて、同時に極めて多くの遺伝子の発現レベルを監
視し、遺伝子の変異、突然変異及び多形性を識別する。この情報は、遺伝子機能
の決定、疾患の遺伝的根拠の解釈、疾患の診断、及び治療薬剤の活性の監視及び
開発に有用である。
【0179】 当分野で周知の方法でマイクロアレイを準備して使用し、分析する。(例えば
、Brennan, T.M. 他 (1995) 米国特許第5,474,796号;Schena, M. 他 (1996) Pro
c. Natl. Acad. Sci. 93:10614-10619; Baldeschweiler 他(1995) PCT出願番号W
O95/251116; Shalon, D.他 (1995) PCT出願番号WO95/35505; Heller, R.A. 他(1
997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2150-2155; 及び Heller, M.J. 他 (1997) 米
国特許第5,605,662号を参照) 本発明の別の実施例ではまた、HJNCTをコードする核酸配列を用いて、自然発
生のゲノム配列をマッピングするのに有用なハイブリダイゼーションプローブを
生成することが可能である。この配列は、以下のものに対してマッピングされる
。特定の染色体、染色体の特定領域または人工生成の染色体、例えば、ヒト人工
染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、細菌P1生
成物或いは単一染色体cDNAライブラリである。(例えば、Harrington, 1.3. 他
(1997) Nat Genet. 15:345-355; Price, C.M. (1993) Blood Rev. 5−87-134,
及びTrask, B.J. (1991) Trends Genet. 7:149-154を参照) in sit蛍光ハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的染色体マッピング
技術及び遺伝マップデータと相関するであろう(例えば、Heinz-Ulrich, 他によ
る(1995) in Meyers, 前出, pp. 965-968.を参照)。遺伝子マップデータの例は
、種々の科学誌あるいはOnline Mendelian Inheritance in Man(OMIM)のサイ
トで見付けることができる。物理的な染色体マップ上のHJNCTをコードする遺伝
子の位置と特定の疾患との相関性、或いは特定の疾患に対する素因が、このよう
な疾患と関係するDNAの領域を決定するのに役立つ。本発明のヌクレオチド配列
を用いて、正常者と、保有者、及び感染した者との遺伝子配列における違いを検
出することもある。
【0180】 染色体標本のin sitハイブリダイゼーション、及び確定した染色体マーカーを
用いた結合分析などの物理的マッピング技術を用いて、遺伝子マップを拡張する
こともできる。マウスなどの別の哺乳動物の染色体上での遺伝子の配置により、
たとえ特定のヒト染色体の数或いはアームが分かっていなくても、関連するマー
カーが明らかになることが多い。新規の配列を、物理的なマッピングによって、
染色体アームに割り付けることもできる。このことは、位置クローニング或いは
別の遺伝子発見技術を用いて遺伝的疾患の研究をしている研究者にとって、価値
ある情報である。疾患或いは症候群の位置が、例えば血管拡張性失調症の11q22-
23などの特定の遺伝子領域に遺伝子結合によって大まかに決定されると、その領
域に対するどの配列マッピングも、さらなる調査のための関連する遺伝子或いは
調節遺伝子を表す(例えば、Gatti, R.A.他による(1988)Nature 336:577-580
を参照)。また、目的の本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者、保有者、
即ち感染者の間の、転位置、反転などによる染色体位置の違いを検出することも
ある。
【0181】 本発明の別の実施例では、HJNCT、その触媒作用断片或いは免疫原断片または
そのオリゴペプチドを、種々の任意の薬剤スクリーニング技術における化合物の
ライブラリのスクリーニングに用いることができる。このようなスクリーニング
に用いる断片は、溶液に遊離、固体支持物に固定、細胞の表面上に保持、或いは
細胞内に存在する。HJNCTとテストされる薬剤との複合体を結合することによる
形成は計測されることもある。
【0182】 薬剤スクリーニングに用いる別の方法は、目的のタンパク質に対して、好適な
結合親和性を有する化合物のスクリーニング処理能力を高めるために用いられる
(例えば、Geysen,他による(1984) PCT出願番号 WO84/03564を参照)。この方法
では、相当な数の異なる小さな試験用化合物が、プラスチックピン或いは他の基
板の上に合成される。試験用化合物は、HJNCT、或いはその断片と反応してから
洗浄される。次ぎに、結合されたHJNCTが、当分野で周知の方法で検出される。
精製されたHJNCTはまた、前記した薬剤をスクリーニングする技術に用いられる
プレート上で直接被覆することもできる。別法では、非中和抗体を用いて、ペプ
チドを捕らえ、固体支持物に固定することもできる。
【0183】 別の実施例では、HJNCTと結合可能な中和抗体がHJNCTと結合するため試験用化
合物と特に競合する、競合的薬剤スクリーニングアッセイを用いることができる
。この方法では、抗体が、HJNCTと1つ以上の抗原決定因子を共有するどのペプ
チドの存在も検出する。
【0184】 別の実施例では、発展途上の分子生物学技術にHJNCTをコードするヌクレオチ
ド配列を用いて、限定はされないが、現在知られているトリプレット暗号及び特
異的な塩基対相互作用などのヌクレオチド配列の特性に依存する新しい技術を提
供することができる。
【0185】 当分野の技術者であれば、更なる説明がなくても前述の説明だけで最大限に本
発明を利用できるであろう。したがって、以下に記載する特定の実施例は、例示
目的であって本発明を限定するものではない。
【0186】 前出及び以下に記載した全ての特許出願、特許、刊行物、特に米国出願(1998
年9月25日に提出した、代理人整理番号PF-0590P)、米国出願(1998年10月13日
に提出した、代理人整理番号PF-0613P)及び米国出願(1999年5月4日に提出した
、代理人整理番号PF-0700P)を引用することをもって本明細書の一部とする。
【0187】 (実施例) 1 cDNAライブラリの作製 RNAは、表4に示した組織から単離した。LUNGNOT23及びOVARTUT2 cDNAライブ
ラリの作製のために、この凍結組織をPolytron-PT 3000 ホモジナイザー(Brinkm
an Instruments, Westbury, NY)を用いて、TRIZOLTM試薬(1 gm 組織/10 ml TRIZ
OL試薬; GIBCO BRL)、フェノール及びグアニジニウムイソチオシアネートの単層
性溶液にホモジナイズして溶解した。氷上で短時間インキュベートした後、クロ
ロホルを加え(1:5 v/v)、混合液を遠心分離器にかけて相を分離させた。上側の
水相を新しい試験管に移してから、イソプロパノールを加えてRNAを沈殿させた
。このRNAを、RNA分解酵素を含まない水に再懸濁して、DNA分解酵素で処理した
。必要な回数酸性フェノールクロロホルムで抽出を行って純度を高め、酢酸ナト
リウム及びエタノールで再沈殿させた。BLADNOT04 cDNAライブラリ作製のために
、この凍結組織をPolytron-PT 3000 ホモジナイザー(Brinkman Instruments)を
用いて、グアニジニウムイソチオシアネート溶液にホモジナイズして溶解した。
L8-70M超遠心分離器(Beckman tostruments, Fullerton CA)のSW28ローターで、
この溶解物を5.7Mの塩化セシウムにおいて、外界温度、25,000回転/毎分で
18時間遠心分離した。PH7.4の酸性フェノールでRNAを抽出して、0.3Mの酢酸ナ
トリウム及び2.5倍量のエタノールで沈殿させ、RNA分解酵素を含まない水に再懸
濁し、37℃でDNA分解酵素で処理した。RNAの抽出及び沈殿を繰り返した。OVARDI
T04 cDNAライブラリ作製のために、例えばPOLY(A)PURE mRNA 精製キット(Ambion
, Austin TX)またはHPLCなどの他のRNA単離キットを用いて、組織溶解液から直
接単離した。
【0188】 OLIGOTEXキット(QIAGEN, Chatsworth CA)を用いて、各RNAからポリ(A+)RNA
を単離した。SUPERSCRIPTプラスミドシステム(Life Technologies)の推奨プロト
コルに従って、ポリ(A+)RNAを用いてcDNAの合成及びcDNAライブラリの作製を
行った。このcDNAをSepharose CL4Bカラム(Amersham Pharmacia Biotech)上で分
画し、400bpを越えるcDNAはpINCY (Incyte Pharmaceuticals, Palo Alto CA)
に結合させた。この組換えプラスミドをDH5αコンピテント細胞またはElectroMA
X 細胞(Life Technologies)に導入した。
【0189】 2 cDNAクローンの単離 REAL Prep 96 プラスミド精製キット (QIAGEN)を用いて、プラスミドDNAを細
胞から遊離して精製した。このとき、以下の変更点を除いて推奨プロトコルに従
った。その変更点とは、1)細菌を、0.4%のグリセリン及び25mg/Lの
カルベニシリンを含む1mlの無菌Terrific Broth (Life Technologies) で培
養する。2)培養物を19時間インキュベートした後、細胞を0.3mlの溶解
緩衝液で溶解する。4)イソプロパノールによる沈殿の後、プラスミドDNAペレ
ットをそれぞれ、0.1mlの蒸留水に再懸濁した。この後、DNAサンプルを4
℃で保管した。
【0190】 3 シークエンシング及び分析 cDNAのシークエンシング反応は、標準的な方法で、或いはABI CATALYST 800 (
Perkin-Elmer) thermal cyclerまたはPTC-200 thermal cycler (MJ Research)と
HYDRAマイクロディスペンサー(Robbins Scientific) またはMICROLAB 2200 (Ham
ilton) 液体転移システムとの組み合わせなどの高スループット装置で行った。c
DNAのシークエンシング反応の準備には、Amersham Pharmacia Biotech社の試薬
、またはABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequencing ready reactionキッ
ト(Perkin-Elmer)などのABIシークエンシングキットに含まれる試薬を用いた。c
DNAのシークエンシング反応の電気泳動的な分離及び標識したポリヌクレオチド
の検出には、MEGABACE 1000 DNAシークエンシングシステム(Molecular Dynamics
)、標準ABIプロトコル及び塩基対呼び出しソフトウェアを用いるABI PRISM 373
または377シークエンシングシステム(Perkin-Elmer)、当分野で周知のその他の
配列解析システムを用いた。cDNA配列の読み枠は、標準的な方法(Ausubel, 1997
, 前出, unit 7.7)を用いて決定した。cDNA配列の幾つかを選択して、本実施例
の5に記載した方法で配列を延長した。
【0191】 cDNAのシークエンシングから得たポリヌクレオチド配列の構築及び解析は、当
分野の技術者に周知のアルゴリズムを利用したソフトウェアを組合せて行った。
表5は、利用したツール、ソフトウェア、アルゴリズム、それらの説明、引用文
献、閾値パラメーターの概要を示す。表5の列1は用いたツール及びプログラム
、アルゴリズム、列2はそれらの簡単な説明、列3は引用することで本明細書の
一部とした引用文献、列4の記載部分は2つの配列の一致度の評価に用いたスコ
ア及び確率値、他のパラメータを示す(確率値が高ければ高いほど配列間の相同
性が高くなる)。配列の解析には、MACDNASIS PROソフトウェア(Hitachi Softwa
re Engineering, S. San Francisco CA)及びLASERGENEソフトウェア (DNASTAR)
を用いた。
【0192】 ポリヌクレオチド配列の確証は、BLAST及び動的計画法、ジヌクレオチド最近
接分析に基づいたプログラム及びアルゴリズムを用いて、ベクター及びリンカー
、ポリA配列を取り除き、あいまいな塩基対をマスクすることで行った。次に、
BLAST及びFASTA、BLIMPSに基づいたプログラムを用いて、公共のデータベースで
あるGenBankの霊長類及びげっ歯類、哺乳類、脊椎動物、真核生物のデータベー
スやBLOCKSデータベースなどから選択した配列に対してこれらの配列を問合わせ
て注釈を得た。Phred及びPhrap、Consedに基づいたプログラムを用いて完全長の
ポリヌクレオチド配列の中にこれらの配列を構築して、BLAST及びFASTA、BLIMPS
に基づいたプログラムでオープンリーディングフレームのためにスクリーンした
。完全長のポリヌクレオチド配列を翻訳して対応する完全長のアミノ酸配列を引
き出し、GenBankデータベース(上記)及びSwissProt、BLOCKS、PRINTS、PFAM、Pr
ositeなどのデータベース、またはPFAMなどのHidden Markov Model (HMM)に基づ
いたタンパク質ファミリーデータベースに対して問い合わせてこれらの完全長の
配列を分析した。HMMは、確率を利用して遺伝子ファミリーのコンセンサス一次
構造を解析する(例えば、Eddy, SR. (1996) Curr. Opin. Str. Biol. 6:361-36
5を参照)。
【0193】 完全長のポリヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の構築及び分析に用いる上記
のプログラムは、SEQ ID NO:5−8からのポリヌクレオチド配列の断片の同定にも
使用できる。約20から4000までのヌクレオチドの断片はハイブリダイゼー
ション及び増幅に有用であり、上記の発明で説明した。
【0194】 4 ノーザン分析 ノーザン分析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験用技
術であり、特定の細胞種或いは組織からのRNAが結合されている膜への標識され
たヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを伴う(例えば、Sambrook,前出,
7章; 及び Ausubel. F.M. 他、前出, 4章及び16章を参照)。
【0195】 BLASTに用いる類似のコンピュータ技術を用いて、GenBank或いはLIFESEQ(Inc
yte Pharmaceuticals)のようなヌクレオチドデータベース内の同一或いは関連
する分子を検索する。この分析は多くの膜系ハイブリダイゼーションより非常に
速度が速い。さらにコンピュータ検索の感度を変更して、任意の特定の一致が、
厳密な一致或いは相同的一致の何れかとして分類されるかを確定することができ
る。検索の基準は、 (%配列同一性×%最大BLASTスコア)/100 として定義される積スコアである。積スコアは、2つの配列間の類似度及び配列
一致の長さの両方を考慮する。例えば、積スコア40の場合、その一致は1〜2
%誤差の範囲内で正確であり、70ではその一致は正確であろう。類似分子は通
常、15〜40の範囲の積スコアを示す分子を選択することにより同定されるが
、それより低いスコアでも関連した分子が同定される場合もある。
【0196】 ノーザン分析の結果は、HJNCTをコードする転写物が発生したライブラリの分
布割合として報告される。分析には、器官/組織及び疾患によるcDNAライブラリ
の分類も含まれる。器官/組織のカテゴリーには、心血管、皮膚、発生、内分泌
、胃腸、造血/免疫、筋骨格、神経、生殖、泌尿が含まれる。疾患のカテゴリー
には、癌、炎症/外傷、細胞増殖、神経、貯留(pooled)が含まれる。それぞれの
カテゴリーについて、目的の配列を発現するライブラリの数を数えて、それを全
ての範囲のライブラリの数で割った。各組織に特異的に発現する割合(パーセン
ト)と各疾患で発現する割合を表3に示した。
【0197】 5 HJNCTをコードするポリヌクレオチドの延長 SEQ ID NO:5の完全長の核酸配列は、完全長の分子の好適な断片から設計した
オリゴヌクレオチドプライマーを用いて、その断片を延長して作製した。アンチ
センスポリヌクレオチドの延長を開始するためのプライマー、及びセンスポリヌ
クレオチドの延長を開始するためのプライマーをそれぞれ合成した。これらのプ
ライマーを用いて既知の配列の「外側への」延長を促進し、目的の領域の新しい
未知のヌクレオチド配列を含むアンプリコンを作り出す。開始プライマーは、OL
IGO4.06(National Biosciences, Plymouth, MN)或いは他の適切なプログラム
を用いて、約22個から約30個のヌクレオチドからなる長さで、約50%以上
のGC含量を有し、かつ約68〜約72℃の温度で標的配列にアニールするよう
にcDNAから設計する。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体化を生ず
るようなヌクレオチドのストレッチは避ける。
【0198】 この配列の延長のために選択されたヒトcDNAライブラリー(Life Technologie
s)を用いる。2段階以上の延長が必要な場合、若しくは望ましい場合は、既知
領域をさらに延長するための別のプライマーの組を設計する。
【0199】 XL-PCRキット(Perkin-Elmer Corp., Norwalk, CT)の説明書の指示に従って
処理を行い、また酵素と反応混合物とを徹底的に混合することにより、高い忠実
度の増幅を行う。それぞれ40pmolの各プライマーと、推奨された濃度のキ
ットの他の全ての成分とから増幅を開始する場合、PTC-200thermal cycler(MI
Research, Inc., Watertown, MA)を用いて、以下のパラメータ、即ち、 ステップ1 94℃で1分間(初期変性) ステップ2 65℃で1分間 ステップ3 68℃で6分間 ステップ4 94℃で15秒間 ステップ5 65℃で1分間 ステップ6 68℃で7分間 ステップ7 ステップ4〜6をさらに15サイクル反復 ステップ8 94℃で15秒間 ステップ9 65℃で1分間 ステップ10 68℃で7分15秒間 ステップ11 ステップ8〜10を12サイクル反復 ステップ12 72℃で8分間 ステップ13 4℃(その温度を保持) でPCRを行う。
【0200】 反応混合物の5〜10μlのアリコットを、低濃度の(約0.6〜0.8%)
アガロースミニゲル上での電気泳動で解析して、何れの反応物が配列を延長する
ことに成功したかを決定する。最も大きな生成物を含むと考えられるバンドを選
択して、ゲルから切り出し、QIAQUICK DNAゲル精製キット(QIAGEN Inc.)を用
いて精製し、クレノウ酵素を用いて末端の延び出しを切り取って、再連結及びク
ローニングが容易になる平滑末端を作る。
【0201】 エタノール沈殿の後、生成物を13μlの連結バッファーに再溶解し、1μl
のT4-DNAリガーゼ(15単位)及び1μlのT4ポリヌクレオチドキナーゼを加
えて、その混合物を室温で2〜3時間、或いは16℃で終夜インキュベートする
。(40μlの適切な培養液の中の)コンピテントな大腸菌細胞を、3μlの連
結混合物を用いて形質転換し、80μlのSOC培養液で(例えば、Sembroo、前出
、Appendix A, p. 2を参照)で培養する。37℃で1時間インキュベートした後
、大腸菌混合物を、カルベニシリン(2x carb)を含むLuria Bertani(LB)ア
ガー(例えば、Sembrook、前出、Appendix A, p. 1を参照)上に蒔く。後日、い
くつかのコロニーを各プレートから無作為に選択し、適切な市販の滅菌96穴マ
イクロタイタープレートの各ウェル内に入れられた150μlの液状のLB/2x
carb培地で培養する。さらに後日、それぞれ5μlの終夜培養した各培養物を
非滅菌96穴プレート内に移し、水で1:10に希釈した後、各サンプルの内の
5μlをPCRアレイに移す。
【0202】 PCR増幅のため、4単位のrTthDNAポリメラーゼを含む18μlの濃縮PCR反応
混合物(3.3x)、ベクタープライマー、並びに延長反応に用いられる遺伝子
特異的プライマーの一方或いは両方を各ウェルに加える。増幅は以下の条件、即
ち ステップ1 94℃で60秒間 ステップ2 94℃で20秒間 ステップ3 55℃で30秒間 ステップ4 72℃で90秒間 ステップ5 ステップ2〜4をさらに29サイクル反復 ステップ6 72℃で180秒間 ステップ7 4℃(そのまま保持) で行う。
【0203】 PCR反応物のアリコットを、分子量マーカーと共にアガロースゲル上で移動さ
せる。PCR産物のサイズを元の部分的なcDNAと比較して、適切なクローンを選択
し、プラスミドに連結して、配列決定を行う。
【0204】 同様に上述の手順で、SEQ ID NO:5のヌクレオチド配列を利用し、この延長の
ために設計したオリゴヌクレオチドと好適な遺伝子ライブラリを用いて5′調節
配列を得た。
【0205】 SEQ ID NO:6−8の完全長の核酸配列は、完全長分子の好適な断片から設計した
オリゴヌクレオチドプライマーを用いてその完全長分子の好適な断片を延長して
作製した。既知の断片の5'の延長を開始するため、或いは既知の断片の3'の延
長を開始するために、プライマーを合成した。開始プライマーは、OLIGO 4.06ソ
フトウェア(National Biosciences)或いは他の適切なプログラムを用いて、約
22個から約30個のヌクレオチドの長さで約50%以上のGC含量を有し、か
つ約68〜72℃の温度で標的配列にアニールするように設計した。ヘアピン構
造及びプライマー−プライマー二量体が生じないようにヌクレオチドを延長した
【0206】 選択されたヒトcDNAライブラリを用いてこの配列を延長した。2段階以上の延
長が必要な場合、若しくは望ましい場合は、追加或いはネスト化プライマーの組
を設計する。
【0207】 当分野で既知の方法を利用したPCR法で高い忠実度で増幅した。PCRはPTC-200
thermal cycler (MJ Research, Inc.)用いて96ウェルブロックプレートで行っ
た。反応混合液は、鋳型DNA及び200nmolの各プライマー、Mg2+と(NH4)2 SO4とβ−メルカプトエタノールを含む緩衝液、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham
Pharmacia Biotech)、ELONGASE酵素(Life Technologies)、Pfu DNAポリメラーゼ
(Stratagene)を含む。プライマーの組、PCI AとPCI Bに対して以下のパラメータ
ーで増幅を行った。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2及び3、4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管 別法では、プライマーの組、T7とSK+に対して以下のパラメータで増幅を行った
。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 57℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2及び3、4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管。
【0208】 各ウェルのDNA濃度は、1X TE及び0.5μlの希釈していないPCR産物に溶解
した100μlのPICOGREEN定量試薬(0.25% (v/v) PICOGREEN; Molecular Probe
s, Eugene OR)を不透明な蛍光光度計プレート(Coming Costar, Acton MA)の各ウ
ェルに分配してDNAが試薬と結合できるようにして測定する。このプレートをFlu
oroskan II (Labsystems Oy, Helsinki, Finland)でスキャンして、サンプルの
蛍光を計測してDNAの濃度を定量化する。反応混合物の5〜10μlのアリコッ
トを1%のアガロースミニゲル上での電気泳動によって解析し、何れの反応物が
配列を延長することに成功したかを決定する。
【0209】 延長したヌクレオチドを脱塩及び濃縮してから384ウェルのプレートに移し
、CviJIコレラウィルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madi
son WI)で消化し、pUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結する
前に音波処理またはせん断を行った。ショットガンシークエンシングのために、
消化したヌクレオチドを低濃度(0.6〜0.8%)のアガロースゲル上に分離
して断片を切断し、寒天をAgar ACE (Promega)で消化した。T4リガーゼ(New Eng
land Biolabs, Beverly MA)を用いて延長したクローンをpUC 18ベクター(Amersh
am Pharmacia Biotech)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で制限部
位の延び出しを処理してコンピテント大腸菌細胞に形質移入した。形質移入した
細胞を選択して抗生物質を含む培地に移し、それぞれのコロニーを切りとってLB
/2Xカルベニシリン培養液の384ウェルプレートに37℃で一晩培養した。
【0210】 細胞を溶解して、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)及びPfu
DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて以下の手順でDNAをPCR増幅した。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 72℃で2分間 ステップ5 ステップ2及び3、4を29回繰り返す ステップ6 72℃で5分間 ステップ7 4℃で保管。 上記したようにPICOGREEN試薬(Molecular Probes)でDNAを定量化した。DNA回収
率の悪いサンプルは、上記した条件で再び増幅した。サンプルを20%のジメチ
ルサルホサイド(dimethysulphoxide)(1:2, v/v)で希釈し、DYENAMIC DIRECTキ
ット(Amersham Pharmacia Biotech)またはABI PRISM BIGDYE Terminator cycle
sequencing ready reactionキット(Perkin-Elmer)を用いてシークエンシングし
た。
【0211】 同様に上述の手順で、SEQ ID NO:6−8のヌクレオチド配列を利用し、この延長
のために設計したオリゴヌクレオチドと好適な遺伝子ライブラリを用いて5′調
節配列を得た。
【0212】 6 個々のハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 SEQ ID NO:5−8から導き出されたハイブリダイゼーションプローブを用いて、
cDNA、mRNA、またはゲノムDNAをスクリーニングする。約20の塩基対からなる
オリゴヌクレオチドの標識について特に記すが、より大きなcDNAフラグメントの
場合でも基本的に同じ手順を用いる。オリゴヌクレオチドを、OLIGO4.06ソフト
ウェア(National Bioscience)のような最新式のソフトウェアを用いてデザイ
ンし、50pmolの各オリゴマーと、250μCiの[γ‐32P]アデノシン三リ
ン酸(Amersham, Chicago, IL)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NE
N、Boston MA)とを組み合わせて用いることにより標識する。標識されたオリゴ
ヌクレオチドを、SEPHADEX G-25超精細排除デキストランビードカラム(Amersha
m Pharmacia Biotech)を用いて実質的に精製する。毎分10カウントの標識
されたプローブを含むアリコットを、次のエンドヌクレアーゼ、Ase I、Bgl II
、Eco RI、Pst I、Xba1或いはPvu II(DuPont NEN)の1つを用いて切断したヒ
トゲノムDNAの典型的な膜ベースのハイブリダイゼーション解析において用いる
【0213】 各切断物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画して、ナイロン製メ
ンブラン(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)に転写する。ハイ
ブリダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取り除
くため、ブロットを、段階的に厳密性が増す条件で最大0.1xクエン酸ナトリ
ウム食塩水及び0.5%ドデシル硫酸ナトリウムまで順次室温にて洗浄する。ハ
イブリダイゼーションパターンをオートラジオグラフィーで視覚化して比較する
【0214】 7 マイクロアレイ 化学結合方法及びインクジェット装置を用いて、基板の表面上でアレイ要素を
合成することが可能である(例えば、上記Baldeschweilerを参照)。ドットブロ
ット法またはスロットブロット法に類似したアレイを利用し、要素を熱、UV、
機械的または化学的結合方法を用いて基板の表面に配置し結合させる。典型的な
アレイは、手作業または利用可能な方法や機械を用いて作製することができ、任
意の適正な数の要素を含み得る。ハイブリダイゼーションの後、ハイブリダイズ
していないプローブを取り除き、スキャナーを用いて蛍光のレベル及びパターン
を決定する。スキャンした画像を分析して、マイクロアレイ上で要素にハイブリ
ダイズする各プローブの相補性の程度及び相対的な量/発現レベルを調べること
が可能である。
【0215】 完全長のcDNA、発現遺伝子配列断片(EST)、或いはそれらの断片が、マイク
ロアレイの要素を構成し得る。ハイブリダイゼーションに好適な断片を、LASERG
ENEソフトウェア(DNASTAR)などの当分野で公知のソフトウェアを用いて選択す
ることが可能である。本発明の核酸配列の1つに対応する完全長のcDNA、EST、
或いはそれらの断片、或いは本発明に関連するcDNAライブラリから任意に選択さ
れたcDNAを、ガラススライドなどの好適な基質に整列する。cDNAは、例えばUV
交差結合(UV cross-linking)を利用してスライドに固定してから、熱処理及び
化学処理を施し、最後に乾燥させる(例えば、 Schena, M. 他. (1995) Science
270:467-470; 及び Shalon, D. 他. (1996) Genome Res. 6:639-645を参照)。蛍
光プローブを準備して、基質上の要素にハイブリダイゼーションするために用い
る。上記した方法でこの基質を分析する。
【0216】 8 相補的ポリヌクレオチド HJNCTをコードする配列或いはその任意の一部に対して相補的な配列は、自然
発生のHJNCTの発現の低下即ち阻害するために用いられる。約15〜約30個の
塩基対を含むオリゴヌクレオチドの使用について記すが、より小さな或いはより
大きな配列の断片の場合でも本質的に同じ方法を用いることができる。Oligo4.0
6ソフトウェア(National Biosciences)及びHJNCTのコーディング配列を用いて
、適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害するためには、最も独特な
5′配列から相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、これを用いてプロモーター
がコーディング配列に結合するのを阻害する。翻訳を阻害するためには、相補的
なオリゴヌクレオチドを設計して、リボソームがHJNCTをコードする転写物に結
合するのを阻害する。
【0217】 9 HJNCTの発現 HJNCTの発現及び精製は、細菌またはウイルスを基にした発現系を用いて行う
ことができる。細菌でHJNCTが発現するために、抗生物質耐性及びcDNAの転写レ
ベルを高める誘導性のプロモーターを含む好適なベクターにcDNAをサブクローニ
ングする。このようなプロモーターには、lacオペレーター調節要素に関連する
T5またはT7バクテリオファージプロモーター及びtrp-lac(tac)ハイブリッド
プロモーターが含まれるが、これらに限定されるものではない。組換えベクター
を、BL21(DE3)などの好適な細菌宿主に形質転換する。抗生物質耐性をもつ細菌
が、イソプロピルβ−Dチオガラクトピラノシド(IPTG)で誘発されるとHJNCTを
発現する。真核細胞でのHJNCTの発現は、昆虫細胞株または哺乳動物細胞株に一
般にバキュロウイスルスとして知られているAutographica californica核多面性
ウイルス(AcMNPV)を感染させて行う。バキュロウイルスの非必須ポリヘドリン遺
伝子を、相同組換え或いは転移プラスミドの媒介を伴う細菌の媒介による遺伝子
転移のどちらかによって、HJNCTをコードするcDNAと置換する。ウイルスの感染
力は維持され、強いポリヘドリンプロモータによって高いレベルのcDNAの転写が
行われる。組換えバキュロウイルスは、多くの場合はSpodoptera frugiperda (S
f9)昆虫細胞に感染に用いられるが、ヒト肝細胞の感染にも用いられることもあ
る。後者の感染の場合は、バキュロウイルスの更なる遺伝的変更が必要になる。
(例えば、Engelhard. E. K.他 (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3224-32
27; Sandig, V. 他 (1996) Hum. Gene Ther. 7:1937-1945.を参照)。
【0218】 殆どの発現系では、HJNCTが、例えばグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)
、またはFLAGや6-Hisなどのペプチドエピトープ標識で合成された融合タンパク
質となるため、未精製の細胞溶解物からの組換え融合タンパク質の親和性ベース
の精製が素早く1回で行うことができる。Schistosoma japonicumからの26キ
ロダルトンの酵素GSTによって、タンパク質の活性及び抗原性を維持した状態で
固定されたグルタチオンで融合タンパク質の精製が可能となる(Amersham Pharma
cia Biotech)。精製の後、GST部分を特定の操作部位でHJNCTからタンパク分解的
に切断できる。アミノ酸8個のペプチドであるFLAGで、市販のモノクロナール及
びポリクロナール抗FLAG抗体(Eastman Kodak)を用いた免疫親和性の精製が可能
となる。6個のヒスチジン残基が連続して伸展した6-Hisによって、金属キレー
ト樹脂(QIAGEN)で精製が可能となる。タンパク質の発現及び精製の方法は、Ausu
bel (1995,前出, ch 10, 16)に記載されている。これらの方法で精製したHJNCT
を直接用いて以下のアッセイを行うことができる。
【0219】 10 HJNCT活性の実証 HJNCT-1活性のアッセイは、PDZ誘導性の膜貫通受容体のクラスター形成を測定
する(Ponting、前出)。培養した細胞株を、HJNCT-1をコードするcDNA及びEGF
受容体或いはNMDA受容体のどちらかとで同時にトランスフェクトする。対照細胞
株を上記のcDNAの内の1つのみでトランスフェクトする。同時にトランスフェク
トされた細胞株におけるEGF受容体或いはNMDA受容体のクラスター形成を検出し
て、間接型の免疫蛍光及びイメージ解析システムと共にこれらの受容体に特異的
な市販の抗体を用いて定量化する。受容体のクラスター形成の量がHJNCT-1活性
量に正比例する。
【0220】 HJNCT-2活性は、in vitroアッセイ(Barr (1998)、前出)において、GM130へ結
合する能力によって実証される。in vitroでの転写-翻訳の共役反応は、放射能
標識した[35S]-メチオニンの存在の下、HJNCT-2及びGM130をコードするプラ
スミドで行う。免疫沈降は、HJNCT-2の抗体で、in vitroでの転写-翻訳の反応に
おいて行われる。免疫沈降した物質を、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルア
ミドゲル電気泳動法及びオートラジオグラフィーで分析して、免疫沈降中のHJNC
T-2及びGM130の双方を同定する。GM130スポットを切り取って、ラジオアイソト
ープカウンタでカウントする。回収した放射活性の量がサンプル内のHJNCT-2の
活性に比例する。
【0221】 HJNCT-3活性のアッセイは、マウス線維芽細胞に発現した際の密着結合鎖の形
成を誘導するHJNCT-3の能力を測定する(Furuse, M. et al. (1998) J. Cell Bi
ol. 143:391-401)。HJNCT-3をコードするcDNAを哺乳動物発現ベクターにサブク
ローニングして、マウスL線維芽細胞にトランスフェクトする。トランスフェク
トされた細胞を、グルタルアルデヒド固定の後、凍結割断電子顕微鏡によって分
析し、トランスフェクトさていない細胞と比較する。トランスフェクトされた細
胞の細胞接触部位における溝及び鎖の網の存在を対照細胞と比較することで、HJ
NCT-3の活性が求められる。
【0222】 HJNCT-4活性のアッセイは、培養した細胞株にHJCNT-4が過剰に発現する際の細
胞骨格フィラメント網の破壊を測定する(Rezniczek, GA. 他 (1998) J. Cell B
iol. 141:209-225)。HJNCT-4をコードするcDNAを、高レベルでcDNAを発現する
哺乳動物発現ベクターにサブクローニングする。この作成物をカンガルーネズミ
PtK2またはラット前立腺癌804G細胞などの培養細胞にトランスフェクトする。ケ
ラチン及びビメンチンなどのアクチンフィラメント及び中間径フィラメントを、
当分野で周知の抗体及び方法を利用して、免疫蛍光顕微鏡で視覚化する。共焦点
画像技術を利用して、細胞骨格フィラメントの構造の評価及び存在量の定量化を
行うことができる。詳細には、細胞の表面の吐出部がHJNCT-4の活性を示してい
る。
【0223】 11 機能的アッセイ HJNCTの機能は、哺乳動物細胞培養系において生理学的に高められたレベルで
のHJNCTをコードする配列の発現によって評価する。cDNAを、cDNAを高いレベル
で発現する強いプロモーターを含む哺乳動物発現ベクターにサブクローニングす
る。このようなベクターには、pCMV SPORTTM (Life Technologies.)及びpCR 3.1
(Invitrogen, Carlsbad, CA)が含まれ、どちらもサイトメガロウイルスプロモ
ーターを含んでいる。5〜10μgの組換えベクターを、好ましくは内皮由来か
造血由来のヒト細胞株にリポソーム製剤或いは電気穿孔法によって一過性に形質
移入する。更に、標識タンパク質をコードする配列を含む1〜2μgのプラスミ
ドを同時に形質移入する。標識タンパク質の発現により、形質移入された細胞と
形質移入されていない細胞とを区別できる。また、標識タンパク質の発現によっ
て、cDNAの組換えベクターからの発現を正確に予想できる。このような標識タン
パク質には、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clontech)、及びCD64またはCD64-GFP融
合タンパク質が含まれる。レーザー光学に基づいた技術を利用した自動流動細胞
計測法(FCM)を用いて、GFPまたはCD64-GFPを発現する形質移入された細胞を同定
し、その細胞のアポトーシス状態や他の細胞特性を評価する。また、FCMで、先
行した或いは同時の細胞死の現象を診断する蛍光分子の取り込みを検出して計量
する。これらの現象には、プロピジウムヨウ化物でのDNAの染色によって計測さ
れる核DNA内容物の変化と、ブロモデオキシウリジンの取り込み量の低下によっ
て計測されるDNA合成の下方調節と、特異的な抗体との反応性によって計測され
る細胞表面及び細胞内のタンパンク質の発現の変化と、蛍光複合アネキシンVタ
ンパク質の細胞表面への結合によって計測される原形質膜組成の変化とが含まれ
る。流動細胞計測法は、Ormerod, M. G.による (1994) Flow Cytometry Oxford,
New York, NY.に記載されている。
【0224】 遺伝子発現におけるHJNCTの影響は、HJNCTをコードする配列とCD64またはCD64
-GFPのどちらかが形質移入された高度に精製された細胞集団を用いて評価するこ
とができる。CD64またはCD64-GFPは形質転換された細胞表面で発現し、ヒト免疫
グロブリンG(IgG)の保存された領域と結合する。形質転換された細胞と形質転換
されない細胞とは、ヒトIgGかCD64に対する抗体のどちらかで被覆された磁気ビ
ードを用いて分離することができる(DYNAL. Lake Success. NY)。mRNAは、当分
野で公知の方法で細胞から精製することができる。HJNCT及び目的の他の遺伝子
をコードするmRNAの発現は、ノーザン分析やマイクロアレイ技術で分析すること
ができる。
【0225】 12 HJNCTに特異的な抗体の産生 ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE;例えば、Harrington, M.G. (1990)
Methods Enzymol. 182:488-495を参照)または他の精製技術で実質的に精製され
たHJNCTを用いて、標準的なプロトコルでウサギを免疫化して抗体を作り出す。
【0226】 別法では、HJNCTアミノ酸配列をLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて
解析して免疫原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを合成してこれ
を用いて当業者に周知の方法で抗体を産生させる。C末端付近の、或いは隣接す
る親水性領域内のエピトープなどの適切なエピトープの選択については、当分野
で周知である(例えば、前出のAusubel, 1995,11章を参照)。
【0227】 通常、約15残基の長さのオリゴペプチドを、Applied Biosystemsのペプチド
シンセサイザABI 431Aペプチドシンセサイザー(Perkin-Elmer)を用いてfmoc法
のケミストリにより合成し、N−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシ
ンイミドエステル(MBS)を用いた反応によりKLH(Sigma-Aldrich, St. Louis M
O)に結合させて、免疫原性を高める(例えば、前出のAusubel, 1995を参照)。フ
ロイントの完全アジュバントにおいてオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウ
サギを免疫化する。得られた抗血清の抗ペプチド活性を検査するには、例えばペ
プチドをプラスチックに結合し、1%BSAを用いてブロックし、ウサギ抗血清と
反応させて洗浄し、さらに放射性ヨウ素標識されたヤギ抗ウサギIgGと反応させ
る。
【0228】 13 特異的抗体を用いる自然発生HJNCTの精製 自然発生HJNCT或いは組換えHJNCTを、HJNCTに特異的な抗体を用いるイムノア
フィニティークロマトグラフィにより実質的に精製する。イムノアフィニティー
カラムは、CNBr-活性化SEPHAROSE(Amersham Pharmacia Biotech)のような活性
化クロマトグラフィー用レジンと抗HJNCT抗体とを共有結合させることにより構
築する。結合の後、そのレジンを製造者の使用説明書に従って、ブロックし洗浄
する。
【0229】 HJNCTを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、HJNCTを優先的に吸
着できる条件で(例えば、界面活性剤の存在下において高イオン強度のバッファ
ーで)そのカラムを洗浄する。そのカラムを、抗体とHJNCTとの結合を切るよう
な条件で(例えば、pH2〜3のバッファー、或いは高濃度の尿素またはチオシ
アン酸塩イオンのようなカオトロピックイオンで)溶出させ、HJNCTを回収する
【0230】 14 HJNCTと相互作用する分子の同定 HJNCT又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬(例
えば、Bolton他 (1973) Biochem. J. 133:529を参照)で標識する。マルチウェ
ルプレートに予め配列しておいた候補の分子を、標識したHJNCTと共にインキュ
ベートし、洗浄して、標識したHJNCT複合体を有する全てのウェルをアッセイす
る。様々なHJNCT濃度で得られたデータを用いて、候補の分子とHJNCTとの関連、
親和性、数について数値を計算する。
【0231】 当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の記載した方法
及びシステムの種々の改変を行うことができるであろう。特定の好適実施例に基
づいて本発明を説明したが、本発明の範囲が、そのような特定の実施例に不当に
制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或いは関連す
る分野の専門家には明らかな、本明細書に記載の本発明の実施方法における様々
な改変は、特許請求の範囲に含まれるものである。
【0232】 (表の簡単な説明) 表1は、HJNCTをコードする完全長の配列を作り出すために用いた、ポリペプ
チド配列及びヌクレオチド配列の配列番号(SEQ ID NO)、クローンID番号、cDN
Aライブラリ、cDNA断片を示す。
【0233】 表2は、潜在モチーフ及び相同配列を含む各ポリペプチド配列の特徴、及びHJ
NCTの同定に用いた方法及びアルゴリズムを示す。
【0234】 表3は、各核酸配列の有用な断片と、ノーザン分析によって決定された各核酸
配列の組織特異的発現パターンと、これらの組織に関連した疾患や異常症、症状
と、各DNAがクローニングされたベクターとを示す。
【0235】 表4は、HJNCTをコードするcDNAクローンを単離したcDNAライブラリを作製す
るために用いた組織を示す。
【0236】 表5は、HJNCTの分析に用いたツール及びプログラム、アルゴリズム、その説
明、引用文献、閾値パラメーターを示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 LASERGENEソフトウェア(DNASTER Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアライン
メントプログラムを用いて作成したHJNCT-l (Incyte Clone 2687924; SEQ ID NO
: 1)とラットHomer (GI 1913909; SEQ ID NO:9)との間のアミノ酸配列アライン
メントを示す。
【図1B】 LASERGENEソフトウェア(DNASTER Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアライン
メントプログラムを用いて作成したHJNCT-l (Incyte Clone 2687924; SEQ ID NO
: 1)とラットHomer (GI 1913909; SEQ ID NO:9)との間のアミノ酸配列アライン
メントを示す。
【図1C】 LASERGENEソフトウェア(DNASTER Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアライン
メントプログラムを用いて作成したHJNCT-l (Incyte Clone 2687924; SEQ ID NO
: 1)とラットHomer (GI 1913909; SEQ ID NO:9)との間のアミノ酸配列アライン
メントを示す。
【図2】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
作成したHJNCT-3 (Incyte Clone 2594049; SEQ ID NO:3) とマウスclaudin-2 (G
I 3335184; SEQ ID NO: 11)との間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図3A】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
作成したHJNCT-4 (Incyte Clone 5139028; SEQ ID NO:4)とマウスsyntenin (GI
3342560; SEQ ID NO: 12),との間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図3B】 LASERGENEソフトウェアのマルチシーケンスアラインメントプログラムを用いて
作成したHJNCT-4 (Incyte Clone 5139028; SEQ ID NO:4)とマウスsyntenin (GI
3342560; SEQ ID NO: 12),との間のアミノ酸配列アラインメントを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/00 A61P 13/00 4H045 3/08 13/12 13/00 25/00 13/12 29/00 25/00 35/00 29/00 37/00 35/00 43/00 105 37/00 C07K 14/47 43/00 105 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 5/00 A C12Q 1/68 A61K 37/02 (31)優先権主張番号 60/172,228 (32)優先日 平成11年5月4日(1999.5.4) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU ,ZA,ZW (72)発明者 コーレイ、ニール・シー アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・#30・デールアベニュ ー 1240 (72)発明者 ゲグラー、カール・ジェイ アメリカ合衆国カリフォルニア州94025・ メンロパーク・オークランドアベニュー 1048 (72)発明者 ボーグン、マライア・アール アメリカ合衆国カリフォルニア州94577・ サンレアンドロ・サンティアゴロード 14244 (72)発明者 リュ、アイナ・ディー アメリカ合衆国カリフォルニア州95136・ サンノゼ・パークベルモントプレイス 55 (72)発明者 タング、ワイ・トム アメリカ合衆国カリフォルニア州95118・ サンノゼ・ランウィックコート 4230 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA19 BA80 CA01 CA04 CA07 CA09 CA11 CA20 DA02 DA03 DA06 EA02 EA04 GA11 HA13 HA14 4B063 QA01 QA13 QA17 QQ43 QQ53 QR08 QR32 QR40 QR42 QR56 QR62 QR84 QS25 QS34 QX02 4B064 AG01 CA02 CA10 CA19 CE12 DA01 DA13 4B065 AA26X AA58X AA72X AA90X AA93X AA93Y AB01 AC14 BA02 BD14 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA17 BA01 BA22 CA01 CA04 DC50 MA01 NA14 ZA011 ZA661 ZB071 ZB111 ZB212 ZB261 ZC022 ZC351 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 DA75 EA20 EA50 FA71 FA74 GA26

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SEQ ID NO:1乃至SEQ ID NO:4(配列番号:1−4)及びそれ
    らの断片からなる一群より選択されたアミノ酸配列を有する実質的に精製された
    ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1のアミノ酸配列と少なくとも95%のアミノ酸配
    列同一性を有する実質的に精製された変異体。
  3. 【請求項3】 請求項1のポリペプチドをコードする単離され精製された
    ポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項3のポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌ
    クレオチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列。
  5. 【請求項5】 厳密な条件の下で請求項3のポリヌクレオチドとハイブリ
    ダイズする単離され精製されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単離
    され精製されたポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 ポリヌクレオチドの検出法であって、 (a)請求項6のポリヌクレオチドをサンプル内の少なくとも一つの核酸とハ
    イブリダイズさせて、それによりハイブリダイゼーション複合体を形成する過程
    と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記ハイ
    ブリダイゼーション複合体の存在が、前記サンプル内の前記ポリヌクレオチドの
    存在と相関性を有する、該過程とを含むことを特徴とする検出法。
  8. 【請求項8】 前記ハイブリダイゼーションの前に前記ポリヌクレオチド
    の増幅過程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の検出法。
  9. 【請求項9】 SEQ ID NO:5乃至SEQ ID NO:8及びそれらの断片からなる一
    群より選択されたポリヌクレオチド配列を有する単離され精製されたポリヌクレ
    オチド。
  10. 【請求項10】 請求項9のポリヌクレオチドと少なくと90%のポリヌ
    クレオチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異配列。
  11. 【請求項11】 請求項9のポリヌクレオチドと相補的な配列を有する単
    離され精製されたポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 請求項3のポリヌクレオチドの少なくとも一つの断片を
    含む発現ベクター。
  13. 【請求項13】 請求項12の発現ベクターを含む宿主細胞。
  14. 【請求項14】 ポリペプチドの製造方法であって、 (a)前記ポリペプチドの発現に好適な条件の下で、請求項13の宿主細胞を
    培養する過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むこと
    を特徴とする製造方法。
  15. 【請求項15】 好適な医療用担体と共に請求項1のポリペプチドを含む
    医薬品組成物。
  16. 【請求項16】 請求項1のポリペプチドと特異的に結合する精製された
    抗体。
  17. 【請求項17】 請求項1のポリペプチドの精製されたアゴニスト。
  18. 【請求項18】 請求項1のポリペプチドの精製されたアンタゴニスト。
  19. 【請求項19】 HJNCTの発現または活性の低下に関連する疾患の治療ま
    たは予防が必要な患者に、請求項15の医薬品組成物を効果的な量投与する過程
    を含む、HJNCTの発現または活性の低下に関連する疾患を治療または予防する方
    法。
  20. 【請求項20】 HJNCTの発現または活性の増大に関連する疾患の治療ま
    たは予防が必要な患者に、請求項18のアンタゴニストを効果的な量投与する過
    程を含む、HJNCTの発現または活性の増加に関連する疾患を治療または予防する
    方法。
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