JP2002522641A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【発明の名称】 シャフト炉
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物質からなる装入材料(2)をシャフト炉(1)内へ上方から供給できるようになっていて、前記シャフト炉(1)の下側3分の1の領域に還元ガスを供給するための複数のガス導入口(3)が一平面内に設けられており、さらに、ガス供給ダクト(6)を介して下側の前記ガス供給口(3)と接続されている環状空間(5)によって外側を囲まれているシャフト炉(1)であって、
前記シャフト炉の外形は、前記ガス導入口(3)の領域に、拡径部(7)を有し、前記シャフト炉の壁は、前記拡径部(7)の領域内に配置された前記ガス導入口(3)と前記装入材料(2)との間に環状キャビティ(8)が形成されるように設計され、
前記拡径部(7)円錐台形状を形成する表面を形成し、前記拡径部の線が水平面に対してなす角度が、前記シャフト炉内に位置している材料の安息角度よりも小さい角度とされていることを特徴とするシャフト炉
【請求項2】
請求項1に記載のシャフト炉において、前記シャフト炉は直接還元型のシャフト炉であることを特徴とするシャフト炉。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシャフト炉において、前記粒状物質は、酸化鉄及び/又は海綿鉄を含有する粒状材料であることを特徴とするシャフト炉。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシャフト炉(1)において、前記拡径部(7)の領域内に、前記環状キャビティ(8)を互いに隔離されている部分どうしへと分割するための複数の手段(11)が設けられ、該手段は、前記シャフト炉をなす前記壁に対して固定されているあるいは前記壁内に固定されていることを特徴とするシャフト炉
【請求項5】
請求項記載のシャフト炉(1)において、前記拡径部(7)の領域内に、前記環状キャビティ(8)を分割するための前記手段(11)が、互いに等間隔をなして、2〜16個、設けられていることを特徴とするシャフト炉
【請求項6】
請求項5記載のシャフト炉(1)において、前記手段(11)は、好ましくは4〜8個、設けられていることを特徴とするシャフト炉。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載のシャフト炉(1)において、前記環状キャビティ(8)を分割するための前記手段(11)が、鉛直方向に配置された金属シートおよび/またはプレートにより形成されていることを特徴とするシャフト炉。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれかに記載のシャフト炉(1)において、前記環状キャビティ(8)を分割するための前記手段(11)に加えて、さらに、前記環状空間(5)内に、前記環状空間(5)を互いに隔離されている部分同士へと分割するための手段(12)が設けられ、ガスが、前記互いに隔離された部分のそれぞれへと互いに独立的に、外部(15)から前記シャフト炉(1)内へと供給されるようになっていることを特徴とするシャフト炉
【請求項9】
請求項記載のシャフト炉(1)において、前記環状空間(5)を分割するための前記手段(12)と前記環状キャビティ(8)を分割するための前記手段(11)とが、前記環状空間(5)の1つの部分が前記環状キャビティ(8)の所定数の部分に対して割り当てられその結果対応している各部分からガスを供給し得るように、構成されていることを特徴とするシャフト炉
【請求項10】
請求項記載のシャフト炉(1)において、前記環状空間(5)を分割するための前記手段(12)の数が、前記環状キャビティ(8)を分割するための前記手段(11)の数と等しされ、この場合に、前記環状空間(5)の1つの部分が前記環状キャビティ(8)の1つの部分に対して割り当てられていることを特徴とするシャフト炉
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載のシャフト炉(1)において、前記環状空間(5)の各部分の鉛直方向断面が、ガス供給箇所(15)から周方向にそれぞれの端部(12)へと向かうにつれて減少するように構成されていることを特徴とするシャフト炉
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のシャフト炉(1)において、前記ガス供給ダクト(6)のそれぞれに対して、前記シャフト炉(1)の外部から操作可能であって前記ガス供給ダクト(6)から堆積物を除去し得るような、およびガス流通方向において前記ガス供給ダクト(6)へと連なる前記環状空間(5)から堆積物を除去し得るような、クリーニングデバイス(13,14)が割り当てられていることを特徴とするシャフト炉
【請求項13】
請求項12記載のシャフト炉(1)において、前記クリーニングデバイス(13,14)が、前記ガス供給ダクト(6)の延長線上において前記環状空間(5)の外壁を貫通した突入デバイスとして構成されていることを特徴とするシャフト炉
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載のシャフト炉(1)において、前記拡径部(7)が、上方から下方に向けて拡径しており、前記拡径部の円錐台形状を形成する表面の母線が水平面に対してなす角度が、0°〜25°とされていることを特徴とするシャフト炉
【請求項15】
請求項1記載のシャフト炉(1)において、前記拡径部の円錐台形状を形成する表面の母線が水平面に対してなす角度が、0°とされていることを特徴とするシャフト炉
【請求項16】
請求項1〜1のいずれか一項に記載のシャフト炉(1)において、前記ガス供給ダクト(6)が、矩形断面を有するものとされ、前記ガス供給ダクト(6)が、底部から上方に向かうにつれて先細となるようなテーパー形状とされ、前記ガス供給ダクト(6)の内側エッジが、丸められていることを特徴とするシャフト炉
【請求項17】
請求項1記載のシャフト炉(1)において、前記シャフト炉の外側を囲んでいる前記環状空間(5)から前記ガス供給ダクト(6)への移行部(10)が、下方に向けて傾斜するように構成されていることを特徴とするシャフト炉
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シャフト炉に関するものであり、より詳細には、直接還元型のシャフト炉に関するものであって、この場合、特に酸化鉄および/または海綿鉄を含有した粒状材料のような粒状材料から成る装入材料をシャフト炉内へと上方から供給でき、シャフト炉の下側3分の1の領域に還元ガスを供給するための複数のガス導入口が一平面内に設けられており、さらに、ガス供給ダクトを介して下側のガス供給口と接続されている環状空間によって外側を囲まれているような、シャフト炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
特に上記のタイプのような直接還元型のシャフト炉といったようなシャフト炉は、従来から多くの形態で知られている。そのようなシャフト炉は、全体的に円筒形中空として構成されており、例えば酸化鉄および/またはスポンジ状鉄を含有した粒状材料ような粒状材料から成る装入材料が、シャフト炉の上部内へと供給されるようになっている。周状に配列され、シャフト炉の下側3分の1の領域に配置された複数のガス導入口を使用することにより、例えば溶融ガス化炉から放出された還元ガスが、シャフト炉内へとしたがって固体装入材料内へと注入される。高温のダストを含有した還元ガスは、固体装入材料内を上方側へと通り抜け、その際、装入材料内の酸化鉄を、完全にまたは部分的に、海綿鉄へと還元する。
【0003】
完全にまたは部分的に還元された酸化鉄は、シャフト炉の底部領域とガス導入口領域との間に配置された排出装置によって、シャフト炉外へと取り出され、シャフト炉内に位置している装入材料の柱は、重力によって下方へと沈下する。
【0004】
シャフト炉は、その構成のために、できる限り完全に一様な反応過程を保証できるものでなければならず、また、装入材料の一様な沈下を発生させ得るものでなければならない。
【0005】
オーストリア国特許発明明細書第387,037号には、ガス媒体によって装入材料を熱処理するためのシャフト炉が開示されている。この場合、還元ガスの導入のために、シャフト炉内に供給される装入材料に対して環状スカートによって保護されガス導入口が設けられている。環状スカートとシャフト炉ケーシングの環状拡径部との間には、環状キャビティが設けられている。このため、導入される還元ガスは、シャフト炉の周縁方向にわたって拡散した状態で装入材料に対して到達することができる。
【0006】
ガス供給システムのこの構成は、大きな欠点を有している。シャフト炉の内壁は、従来から、例えば耐火煉瓦といったような耐火材料によって内張りされている。しかしながら、そのような環状スカートは、個々の耐火煉瓦から形成することができない。なぜなら、シャフト炉ケーシングに対して、上側周縁部を介してしか接続されていないからである。しかしながら、原理的には、このタイプのガス供給システムは、一体型で形成することができる。すなわち、単一部材から形成することができる。それでもなお、この目的のためにシャフト炉ケーシングをなす個々のセグメントは、環状スカートのうちの、シャフト炉ケーシング上に懸架されている部分と一緒に、その都度、一個の耐火材料から形成されなければならない。しかしながら、セグメントのサイズのために、また、セグメントの形状的複雑さのために、これを実行するのは極めて困難である。
【0007】
さらに、このようにして形成された環状スカートは、シャフト炉の最初の装填時につぶれてしまう場合がある。例えばプロセスに依る体積増加によって装入材料から発生する側方力は大きなものである。したがって、環状スカートは、すぐに外側に押し出されてしまう。
【0008】
独国特許明細書第34 22 185号には、ガス化炉と直接還元型シャフト炉とからなる構成が開示されている。直接還元型シャフト炉は、底部上に、複数のスクリューコンベヤを備えている。これらスクリューコンベヤは、星形をなすように配置されており、粒状材料をシャフト炉外へと搬出するために使用される。スクリューコンベヤの内側端部は、シャフト炉の中央部の円錐形取付部内に取り付けられている。この円錐形取付部の下側に、溶融ガス化炉が連結されている。よって、還元ガスは、溶融ガス化炉から、円錐形取付部を通じてシャフト炉内へと流入するようになっている。さらに、還元ガスは、環状スカートとシャフト炉ケーシングとによって形成されている環状空間内に開口している少なくとも1つのガス導入口を介して、シャフト炉内に供給される。この環状スカートの状況は、先のオーストリア国特許発明明細書第387,037号の場合と同じである。すなわち、すぐに側方に押し出されてしまう、および/または、そこを通過する装入材料による摩擦力のために、摩耗してしまう。このことは、環状スカートと同じ高さに配置されている円錐形取付部についても当てはまり、装入材料の観点からは、シャフト炉の横断面が減少する。したがって、円錐形取付部の領域においておよび環状スカートの領域において装入材料から発生する横方向の実効的な力もまたシャフト炉の他の領域におけるよりも、実質的に大きい。しかも、横断面が減少した領域においては、装入材料は、焼成領域、凝集、及び橋絡を形成する傾向にある。これらは、装入材料の一様な沈下を阻害する。
【0009】
例えば米国特許明細書第3,816,101号や米国特許明細書第4,046,557号のような従来技術においては、シャフト炉を環状に囲んでいる環状キャビティ内へと還元ガスがまず最初に導入され、環状キャビティからの複数のガス供給ダクトが、シャフト炉ケーシングの円錐台状拡径部内に連通しているような、シャフト炉が開示されている。環状キャビティは、鉛直方向断面においては、矩形断面を有しており、シャフト炉内に開口しているガス供給ダクトは、この環状空間の底部からおよび/または内壁から離れるように延びている。
【0010】
このようなガス供給システムは、シャフト炉の周縁上にわたって一様に分散するように還元ガスを供給しようとする場合には、不適切である。装入材料が各ガス導入口に対して直接寄り掛かってしまうために、シャフト炉内へのガス導入箇所の数は、したがって、装入材料内へのガス導入箇所の数は、いずれの場合においても、ガス導入口と同数でしかない。
【0011】
ダストを含有した還元ガスが使用される場合には、ダストが、シャフト炉内へのガス供給ダクトの口部に堆積することとなり、装入材料に対するガスの透過性を減少させ、その結果、さらなるダストの堆積を招き、最終的には、ガス供給ダクトを詰まらせてしまう。さらに、ダストは環状空間の底部上にも堆積する。極端な状況においては、装入材料からの粒状材料さえもが、環状空間内に侵入する。ガス供給システム内に堆積してしまった固形物は、シャフト炉を停止させて空にしないと除去することができない。ガス供給ダクトの閉塞によって引き起こされる装入材料を通してのガス通路内の障害は、装入材料の不均一な還元を引き起こし、製品品質の低下を引き起こす。
【0012】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明の目的は、従来技術における上記欠点を回避し得るようにガス供給システムが構成されているような、シャフト炉を、特に直接還元型のシャフト炉を、提供することである。
【0013】
特に、本発明におけるガス供給システムは、従来の耐火材料から容易に製造することができ、装入材料に起因する横方向作用力に対して十分な機械的安定性を有したものである。ダストを含有した還元ガスシャフト炉の周縁上において一様に分散することができ、そのため、装入材料内を一様に分散することができ、ガス供給チャネルの閉塞を防止することができる。
【0014】
本発明においては、上記目的は、シャフトの外径がガス導入口の領域に拡径部を有しシャフト炉をなす壁が、拡径部の領域内に配置されたガス導入口と、装入材料との間に、環状キャビティが形成されるように、設計されることによって達成される
【0015】
本発明ガス供給システムの設計によって、まず第1に、従来の耐火煉瓦から形成することが極めて困難であって、機械的にも不安定な環状スカートを使用する必要なく、供給ガスをシャフト炉の周縁上にわたって一様に分散させつつ供給することができる。
【0016】
他の有利な特徴点においては、拡径部の領域内に、環状キャビティを互いに隔離されている部分同士へと分割するための複数の手段が設けられ、この手段は、シャフト炉をなす壁に対して固定されているか或いはシャフト炉をなす壁内に固定されている。
【0017】
環状キャビティを分割するための手段は、実質的に互いにほぼ等間隔をなして、2〜16個、好ましくは4〜8個、拡径部の領域内に設けられる。これにより、環状キャビティは、複数の部分に分割される。
【0018】
好ましくは、環状キャビティを分割するためのこのような手段は、鉛直方向に配置された金属シートおよび/またはプレートにより形成され、いずれにしてもこのような手段が環状キャビティの鉛直方向断面を完全に通るようなサイズとされる。
【0019】
他の有利な実施形態においては、環状キャビティを分割するための手段に加えて、さらに、環状空間内に、環状空間を互いに隔離されている部分同士へと分割するための手段が設けられ、ガスは、互いに隔離された各部分へと互いに独立的に、外部からシャフト炉内へと供給されるようになっている。
【0020】
環状空間の分割と環状キャビティの分割とは装入材料を通じるガスの通過の一時的失敗の際に還元ガスが最小抵抗の通路を通り、その結果、還元ガスが装入材料のうちの一部領域をより多く通過し、他の領域については還元ガスが「供給過小」となる、というリスクを回避し、あるいは低減ので好都合であることを証明した。
【0021】
好ましくは、この場合、環状空間を分割するための手段及びキャビティを分割するための手段は、いずれの場合でも、環状空間の1つの部分が環状キャビティの複数の部分に対して割り当てられ、その結果、それぞれの環状空間の部分を介してこの部分に対応する環状キャビティの各部分ガスを供給し得るように構成される。
【0022】
この場合、環状空間を分割するための手段の数が、環状キャビティを分割するための手段の数と等しいものとされ、環状空間の1つの部分が環状キャビティの1つの部分に対して割り当てられていることが、特に好ましい。
【0023】
環状空間およびキャビティを、例えば耐火材料や金属シート等といったような適切な手段によって分割することにより、個別的に制御された状態でガス量に暴露される複数の個別領域が形成される。例えば、局所的に変化する装入材料透過性にかかわらず、各装入材料の領域に対して同量のガスを導入することができる。しかしながら、プロセスによっては、領域ごとに互いに異なるガス量でもって、装入材料内にガスを供給することもできる。
【0024】
本発明によるシャフト炉のさらなる有利な実施形態においては、環状空間の各部分の鉛直方向断面が、ガス供給箇所からそれぞれの部分の端部へと周方向にテーパー形状に設計される。
【0025】
この結果、ガス供給箇所からそれぞれの場所の端部にわたダスト含有ガスの速度が、環状空間の周方向における断面が一定とされている場合に減少するようには、減少することがない、あるいは、環状空間の周方向における断面が一定とされている場合に減少するようには、大きく減少することがない。したがって、ガス速度は、環状空間のすべての場所において十分に大きなままであり、環状空間内へのダストの堆積を防止することができる。
【0026】
さらに有利な実施形態においては、ガス供給ダクトのそれぞれに対して、シャフト炉の外部から操作可能であり、ガス供給ダクトから堆積物を除去し得るか、又はガス流通方向においてガス供給ダクトへと連なる環状空間から堆積物を除去し得る、クリーニングデバイスが割り当てられる。
【0027】
プロセスの失敗により、環状空間内にまたはガス供給ダクト内に、堆積物ができてしまう可能性がある。このような堆積物は、1つまたは複数のクリーニングデバイスを使用することにより、クリーニングすることができる。拡径部によって形成されるキャビティが、放出された材料を十分に収容できるくらいの十分に大きな容積を有していることが特に有利である。そうでなければ、ガス供給ダクトが詰まってしまうからである。このようにして、シャフト炉を空にしたりあるいはシャフト炉から装入材料を抜き取ったりすることが、避けられる。
【0028】
最も単純な例においては、クリーニングデバイスは、便宜的には、ガス供給ダクトの実質的に延長線上において環状空間の外壁を貫通した撹拌装置として構成される。
【0029】
好ましい実施形態においては、拡径部は、円錐台形状に形成された表面を形成し、拡径部の母線は、シャフト炉内に収容されている装入材料の安息角度よりも小さい水平方向角度を形成している。
【0030】
これにより、円錐台形状に形成された表面シャフト炉の鉛直方向内壁の一部と装入材料とによって、環状キャビティが形成されることとなり、ガス導入口を通してのガス供給を、一様に分散させることができる。ここで、『安息角度』という用語は、装入材料からなる円錐の形成する表面の母線が水平面と形成する場合の自然な安息角度を意味している。
【0031】
好ましくは、拡径部の形成された表面の母線が水平となす角度は、0°〜25°であり、これにより、拡径部は、上から下に向けて広がることとなる。海綿鉄、鉱石ペレット、または粒状鉱石の安息角度は、およそ35〜40°である。これら2つの角度の差は、したがって、還元ガスを最適に拡散させ得るに十分に大きな環状空間を形成する。
【0032】
特に好ましくは、形成された表面の母線が水平となす角度は、0°である。この設計においては、装入材料と、形成された表面または形成された表面に配置されているガス導入口との間の間隔、ダスト状物質や装入材料の粒状物質がガス導入ダクト内を通過するというリスクを最小化する
【0033】
また、ガス導入口が、あるいは、ガス供給ダクトとこれらガス供給ダクトを囲む耐火材料とによって形成されているガス供給システムが、装入材料に起因する実効的な横方向力に耐え得るくらいに、シャフト炉の壁を貫通しているガス供給ダクトの寸法が小さく維持されていることにより、ガス供給システムは、機械的安定性も有している。
【0034】
ガス供給システムは、また、ガス供給システムの各部材が直下に位置する部材によって支持されていることにより、例えば耐火煉瓦といったような従来の耐火材料から容易に形成することができる。例えば環状スカートといったような、上部エッジだけによってシャフト炉壁に連結されるような部材は不要である。
【0035】
有利な改良の結果として、ガス供給ダクトは、実質的に矩形断面を有するものとされ、ガス供給ダクトは、底部から上方に向かうにつれて先細となるテーパー形状とされ、ガス供給ダクトの内側エッジは、丸められる。これにより、シャフト炉内部に形成される材料のない環状キャビティであるにもかかわらずガス供給ダクトに形成された堆積物は、自動的にクリーニングされる。すなわち、シャフト炉内における材料の下方移動によって、自動的にクリーニングされる。
【0036】
他の有利な改良においては、シャフト炉の外側を環状に囲んでいる環状空間と、ガス供給ダクトと、の間の移行部は、下方に向けて傾斜するように構成されている。したがって、還元ガスに由来するダスト状物質は、環状空間内に堆積することがなく、装入材料に由来し、プロセスに起因した欠陥よって環状空間内に侵入する物質が、環状空間に留まることがない。そうではなく、重力のために、そのような材料は、下方に向けて拡径しているガス導入口を通してシャフト炉内に戻される。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明によるシャフト炉について、図1〜図5を参照して、以下において、より詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明によるシャフト炉(1)を示している。このシャフト炉においては、粒状材料からなる装入材料(2)を、シャフト炉(1)内へと上方から供給することができるようになっている(供給デバイスは図示されていない)。シャフト炉(1)の下側3分の1の領域には、一平面内に、複数のガス導入口(3)が設けられている。還元ガスは、これらガス導入口(3)を通して装入材料(2)内に注入される。粒状材料をシャフト炉(1)から排出するための複数のスクリューコンベヤ(4)が、シャフト炉(1)の底面上に設けられている。
【0039】
図2は、複数のガス導入口(3)のうちの1つを示している。この場合、環状空間(5)が、シャフト炉(1)の外側を囲んでおり、ガス供給ダクト(6)が、ガス導入口と環状空間(5)とを連結している。シャフトの形状における拡径部(7)は、シャフト炉(1)のケーシングにおける水平方向セットバックとして構成されている。このため、ガス導入口(3)と装入材料(2)との間に、環状キャビティ(8)が形成されている。ガス供給ダクト(6)およびガス導入口(3)を通して供給される還元ガスは、キャビティ(8)内において最適に分散することができる。図2は、また、破線によって、キャビティを分割するためのキャビティ分割手段(11)と、環状空間(5)を分割するための環状空間分割手段(12)と、を示している。どちらの分割手段も、鉛直方向に配置された金属シートとして構成されている。クリーニング用開口(13)が、クリーニング用開口(13)の中心軸がガス供給ダクト(6)の中心軸と一致するようにして、環状空間(5)の外側ケーシングを貫通している。クリーニング用開口(13)は、外部から密封式に閉塞可能であるように、構成されている。必要であれば、例えばロッド(14)(直線状のロッド、または、曲がったタイプのロッド)を使用することによって、ガス供給ダクト(6)から、および、環状空間(5)の一部から、堆積物を除去することができる。
【0040】
図3は、図1におけるA−A断面を示している。見る方向としては、複数のガス供給ダクト(6)の所定のつの延在方向において鉛直方向下側から見上げる方向が、選択されている。ガス供給ダクト(6)の内側エッジ(9)は、丸められており、ガス供給ダクト(6)は、上方に向けて先細となるテーパー形状として構成されている。これにより、還元ガス中のダスト状物質がガス供給ダクト(6)内に堆積しないこと、また、仮にダスト状物質が堆積したにしても、ガス供給ダクト(6)が、粒状物質の下方移動によって自動的にクリーニングされること、が保証される。
【0041】
図4は、シャフト炉の内側から見た場合の、図2におけるB−B断面を示している。ガス供給ダクト(6)は、上から下に行くにつれて広がっており、環状空間(5)からガス供給ダクト(6)への移行部(10)は、下方に向かって傾斜するように設計されている。このことも、また、還元ガス中のダスト状物質を環状空間(5)内に堆積させることなく還元ガスとともにシャフト炉(1)内に導入することを確保することを意図したものである。
【0042】
図5は、図2におけるC−C断面を示す図であり、環状空間(5)が、ガス供給箇所(15)から周方向に端部(12)へと向かうにつれて減少するような断面積を有していることを示している。
【0043】
本発明は、図1〜図5に示した例示としての実施形態に限定されるものではなく、本発明の実施に際して使用可能であるような、当業者に公知のすべての手段を備えることができる。
【0044】
例えば、金属シートまたは金属プレートは、図2に示すサイズおよび形状に限定されるものではなく、材料に関連した要求やプロセスに関連した要求に応じて、例えば、図2に示すように装入材料内へと突出しない限りにおいて、矩形形状や円弧形状のものとすることや、より小さな寸法のものとすることができる。
【0045】
例示としての実施形態において示したように、環状空間は、シャフトに対して構造的に連結することができる。しかしながら、環状空間を、シャフトから離間してシャフトを同心的に囲むようなリング状パイプラインとすることもできる。その場合、リング状パイプラインとガス供給ダクトとの間の連結は、下向きに傾斜した拡径スプール(spur)コンジットを介して、行われる。これは、特に耐火構成に関して還元炉の構成にさらなる利点をもたらし、また、クリーニングの目的に関し、環状空間へのアクセス性の改良をもたらす。
【0046】
環状空間の断面の減少は、図5に示すように単に水平方向においてのみ減少するものとして構成されるだけではなく、これに代えてあるいはこれに加えて、環状空間の鉛直方向において減少するものとして構成することもできる。あるいは、リング状パイプラインの場合には、円錐形に先細りするような構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるシャフト炉を示す全体図である。
【図2】 シャフト炉の径方向拡径部を示す図であって、ガス供給ダクトと環状空間とが示されている。
【図3】 図1におけるA−A断面を示す断面図である。
【図4】 図2におけるB−B断面を示す断面図である。
【図5】 図2におけるC−C断面を示す断面図である。
【符号の説明】
シャフト炉
装入材料
3 ガス導入口
5 環状空間
6 ガス供給ダクト
7 拡径部
8 環状キャビティ
11 キャビティ分割手段
12 環状空間分割手段
13 クリーニング用開口(クリーニングデバイス)
14 ロッド(クリーニングデバイス)
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