JPH0717412B2 - 流動層炉用原料投入装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、セメント原料の造粒炉
をはじめとする各種の流動層炉に対し粉粒体原料を投入
するための装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に流動層炉は、底部から導入するガ
スなどの流体で粉粒体原料を流動化させることによりそ
の原料と流体との間で反応や熱交換を行わせる容器であ
る。原料が、広い表面積を介して均一にガス等と接触す
るため、ロータリキルン（回転窯）などと比べて反応等
の効率が高く、したがって設備の占有スペースや必要な
燃費、有害排気ガスなどの面でも有利であるとされてい
る。流出するガス内に混じる粉粒体原料を捕集して再び
炉内に入れるなどの目的で、流動層炉のガス流出口には
通常、サイクロンが接続される。原料のうち少なくとも
一部は、このようなサイクロンを経て流動層炉へ投入さ
れるわけである。

【０００３】しかし流動層炉は、原料を流動化させ得る
条件でガスを受け入れており、下流側にあるサイクロン
の内部よりも圧力が高いため、サイクロンから流動層炉
内への原料の投入は容易ではない。サイクロンから下方
へ続く原料の供給管を流動層炉へ直接つないだのでは、
流動層炉よりサイクロン内へガスが流入（逆流）し、原
料を押し戻すとともにサイクロン内での吹き上げによっ
て原料の捕集を困難にする。このことは、一単位が微小
・軽量である粉粒体を圧力の高い炉内に原料として投入
するという流動層炉の特徴から当然に生じる課題であ
る。

【０００４】そこで従来は、図６のように、サイクロン
１０３から流動層炉１０１へ至る粉粒体原料の供給管１
０７のうちに二重の開閉ダンパ１０４を設けている。直
列につないだ二つのダンパ１０４ａ・１０４ｂのうち少
なくとも一方を閉じてガスの逆流（吹き上げ）を防止し
ながら、一つずつを順に開いて下方へ落下させるためで
ある。すなわち、まず下のダンパ１０４ｂを閉じた状態
で上のダンパ１０４ａを開き、続いて上のダンパ１０４
ａを閉じて下のダンパ１０４ｂを開く。こうすれば粉粒
体は間欠的に、両ダンパ１０４ａ・１０４ｂ間の容積分
を一サイクルあたりの最大払出し量として下方の供給管
１０７へ落とされ、重力の作用で炉１０１の内部へ投入
される。

【０００５】この図６の例は特開昭６２−２３０６５７
号公報に記載のもので、セメントクリンカの製造装置の
一部を示している。図において流動層炉１０１は造粒炉
（多孔板のないいわゆる噴流層形式だが、広義の流動層
炉に含まれる）、符号１１３は焼成炉（これも流動層
炉）、符号１０３のほか１１１もサイクロン、１１２は
ダンパ、そして１１４および１１５はさらに下流側への
粉粒体の払出し装置であって、内部に堆積した粉粒体自
身によって密封性をもたらす公知の気密排出装置（いわ
ゆるＬバルブ）である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】図６に示した二重開閉
ダンパ１０４は、流動層炉１０１から管１０７を経てサ
イクロン１０３へ逆流するガスを完全には遮断すること
ができない。ダンパ１０４内のシール部分（弁体とそれ
が接触する座面との間）に粉粒体の一部が咬みこまれた
り挟まったりするので、同部分の密封性が常に保たれる
とは限らないからである。とくに、下のダンパ１０４ｂ
を閉じて上のダンパ１０４ａを開くことにより内部に粉
粒体原料を堆積させ、上のダンパ１０４ａ内にまで原料
が詰まったのちにそのダンパ１０４ａを閉じる際には、
そのシール部分に原料が極めて咬みこまれやすい。シー
ル部分に粉粒体が咬みこまれると、当然ながらその周囲
に隙間ができ、それを通してサイクロン１０３へ向けて
ガスが逆流する。したがって流動層炉１０１への原料の
投入が難しくなったり、サイクロン１０３での原料捕集
効率が低下したりする場合が多い。

【０００７】二重開閉ダンパ１０４より下は炉１０１内
まで原料を重力投入するものとした図６の例とは別に、
近年、炉体側壁に原料の吹込み手段（圧縮空気等ととも
に炉内に原料を入れる手段。エジェクタなど）を設けて
ダンパの下に接続する例も見うけられる。原料の投入を
確実化するとともに、その投入先位置などを調整して反
応等の制御に役立てようとするものだが、かかる場合に
は、サイクロン下方の管内の圧力が図６の例よりも高く
なり上記の不都合がさらに発生しやすくなる。この点
は、炉内ガスの濃度（密度）を上げてボリュームを減ら
し、かつ反応速度の向上をはかるべく流動層炉内の圧力
を高くする場合にも同様である。

【０００８】また、原料の吹込み手段を用いる場合に
は、上記した逆流に関する不都合とは別に、流動層炉へ
の原料の投入が間欠的であることによる不都合も生じや
すい。二重開閉ダンパからは間欠的に原料が落とされる
ので、吹込み手段の内部に原料がない時にも圧縮空気等
が吹き出されてその量が多くなり、その空気等の消費量
が設備的またはコスト的に無視できなくなったり、流動
層炉内のガス成分や温度の条件が不適当になったりする
可能性もある。

【０００９】本発明の目的は、サイクロンへのガスの逆
流を効果的に防止するとともに、流動層炉内への原料の
投入を連続的に行うことのできる流動層炉用原料投入装
置を提供し、上述の不都合を解消することである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の流動層炉用原料
投入装置は、流動層炉のガス流出口に接続されたサイク
ロンより粉粒体原料を流動層炉内へ投入する装置であっ
て、a)二重の開閉ダンパを上記サイクロンの下部に接続
し、b)それらダンパを経た原料を圧縮ガスにて吹き入れ
る吹込み手段を流動層炉内へ向けて接続するとともに、
c)上流・下流間の通気（ガスの流れ）を遮断し原料を溜
めて吹込み手段へその原料の連続払出しをする払出し手
段を、上記ダンパと吹込み手段との間に設けた−もの
である。

【００１１】この原料投入装置については、請求項２に
記載したように、d)上記の払出し手段の上部（払出し手
段と二重開閉ダンパとの間。その付近のほぼ同一圧力の
部分を含む）とサイクロンへのガス流路とを通気管でつ
なぐのもよい。

【００１２】上記c)の払出し手段としては、請求項３〜
５に記載したようにつぎのものを使用することができ
る。すなわち、 c-1) 粗粒を粉砕する機能のあるロータリダンパ（ロー
タリバルブなどとも呼ばれる）、 c-2) 原料の送出し経路のうちに上りの部分を含むスク
リューコンベヤ（パドルスクリューコンベヤやリボンス
クリューコンベヤ・カットフライトスクリューコンベヤ
などをも含む）、 c-3) 原料の流動化部分と、同部分の底部へ至るガス導
入管、上方より同部分の側壁下部へ至る原料供給管、お
よび同部分の上部から吹込み手段へ続く原料・ガスの流
出管とを含む容器。なお、このc-3)の容器に用いるガス
は、流動層炉内のガスもしくは吹込み手段に用いるガス
と同じにすればよいが、他のガスを使用することもでき
る。

【００１３】

【作用】本発明の原料投入装置は、上記a)の二重開閉ダ
ンパとともにc)の払出し手段を備えるため、流動層炉か
らサイクロンへ向けてガスが逆流することを効果的に防
止する。c)の払出し手段は上流・下流間の通気を遮断す
る性質を有し、粉粒体原料の咬みこみ等によって低下し
がちな二重開閉ダンパの密封性を補うことから、両者の
作用で高い密封性がもたらされるからである。ガスの逆
流が防止されるため、流動層炉への原料の投入がスムー
ズに行えるうえ、サイクロンにおける原料の捕集効率も
高い。また、b)の吹込み手段における圧縮ガスの圧力を
高くしても逆流は生じにくく不都合がないが、そのガス
の圧力を高くできることは、吹込みによる炉内への原料
の投入を確実かつ理想的な状態で行えることにもつなが
る。同様に、炉内ガスそのものの圧力を高くしても逆流
が生じにくいが、炉内圧力を高くできるということは、
反応速度の向上やガスボリュームの減少・炉体のコンパ
クト化が可能になるといった利点にも通じる。

【００１４】本発明の装置はさらに、連続的かつスムー
ズに原料を流動層炉内へ投入する。a)のダンパは、機能
上、間欠的にのみ原料を払い出してc)の払出し手段まで
落下させるが、そのc)の払出し手段は、そうした原料を
一旦溜めたうえ連続的にb)の吹込み手段にまで払い出せ
るからである。b)の吹込み手段にとって、連続的に供給
される原料を炉内へ吹き入れることは、同じ原料が間欠
的に供給される場合よりも容易で、より低圧かつ少量の
ガスによってスムーズに、もちろん連続的に行うことが
できる。また、原料を含まずに圧縮ガスのみを炉内に吹
き入れるという状態がなくなるので、圧縮ガスの消費量
が過剰になったり炉内のガス成分や温度の条件が不適当
もしくは不安定になったりする恐れもまずない。

【００１５】請求項２に記載の装置によると、d)の通気
管によって上記c)の払出し手段の上部と前記サイクロン
の内部とが同じ圧力になるため、a)のダンパを通ってサ
イクロンの下部へガスが吹き上げる（逆流する）ことが
ない。したがって、たとえば仮にこの装置の上記した本
来の密封性が損なわれた場合や、炉内の圧力がかなり高
めに設定された場合などにおいても、サイクロンにおけ
る原料の捕集性能が低下することはない。払出し手段の
上部から通気管に至るガスは、その通気管を通ってサイ
クロンへのガス流路、すなわち流動層炉のガス流出口か
らサイクロンに入る正常なガス流れに合流するので、サ
イクロンの捕集性能を阻害しないばかりか、通気管内の
ガスに混じった粉粒体原料を再びサイクロンに捕集させ
て流動層炉への投入経路へ戻すという好ましい作用をも
たらす。

【００１６】払出し手段として上記c-1)のロータリダン
パを使用する請求項３の装置では、そのロータリダンパ
が、上流・下流間の通気を遮断するとともに、原料を一
旦溜めて連続的に払い出す。ロータリダンパは、横にし
た円筒状のケーシングの内部で水平な軸を中心に羽根車
が回転するものだが、羽根車の先端部とケーシング内面
との間の隙間が小さく、かつその羽根車の上面やケーシ
ングの内面上に原料が堆積するためその隙間が実質上さ
らに小さくなり、そのことによって通気を遮断する。ま
たそのように堆積した原料を、羽根車の連続回転によっ
て掻き出すように連続的に払い出すことができる。この
ロータリダンパは、c-1)に記したように粗粒のものを粉
砕する機能を有しており、粗粒が原料に含まれていると
きにもそれを細かく粉砕してb)の吹込み手段へ供給する
ので、吹込み手段においてガス量節約等のために小径の
管路を使用する場合にも、その詰まりが防止される。

【００１７】同じく払出し手段としてc-2)のスクリュー
コンベヤを使用する請求項４の装置では、同コンベヤが
上述の必要な作用をなす。すなわち同コンベヤは、原料
の送出し経路のうちに上りの部分を有するため、そこに
必ず原料が一旦堆積するが、堆積したその原料自体によ
り、つまりいわゆるマテリアルシールによって上流・下
流間の通気を遮断する。また原料をそのように堆積させ
てスクリューを連続的に回すので、当然、原料を連続払
出しすることになる。スクリューコンベヤとしてパドル
スクリューやリボンスクリュー・カットフライトスクリ
ューなどの各コンベヤを用いる場合や、通常のスクリュ
ーコンベヤであってもケーシングの内面とスクリュー本
体との間に隙間のあるような場合には、粗粒が送り出さ
れにくいので、請求項３の装置と同様、吹込み手段にお
いて管路の詰まりが防止される。なお、このように送り
出されない粗粒は定期的に排出してやるとよい。

【００１８】c-3)の容器を含む請求項５の装置では、払
出し手段としてその容器が下記のように作用する。すな
わち、前記a)のダンパから供給される原料はまず原料供
給管内に堆積してその原料自体による密封性（マテリア
ルシール）を発揮し、上流側にあるa)のダンパとこの原
料供給管より下流側の部分との間の通気を遮断する。流
動化部分では、ガス導入管を経て底部から導入されるガ
スによって上記原料が流動化し、上部の流出管からオー
バーフローして連続的に払い出される。粗粒のものは、
流動化しないで流動化部分の底部にたまる（それらはた
とえば定期的に排出してやる）ため、やはり吹込み手段
が詰まるという不都合が発生しない。

【００１９】

【実施例】図１(ａ)・(ｂ)に本発明の第一実施例を示
す。図中、符号１は流動層炉で、たとえばセメント焼成
設備のうち原料粉を熱間で造粒するための炉である。炉
１の内部には分散板（多孔板）１ａがあり、その上に原
料粉を供給するとともに下方から高温度のガスを送るこ
とによってその分散板１ａ上に流動層１ｂを形成し、原
料の加熱・造粒等を進める。造粒された粒体は、炉１の
側面に接続された溢流管１ｃからとり出され、一方の高
温ガスは、上部の流出口１ｄから流路２ａを経てサイク
ロン３に入る。ガス中には微小な原料粉が浮遊するほ
か、流路２ａにおいて管２ｂより原料粉が投入される
が、これらは、ガスによって予熱されながらサイクロン
３においてガス（上方へ出る）と分離され、下方の供給
管７ａへ落ちる。供給管７ａ内に至った原料粉は、その
下の二重開閉ダンパ４など（後述）を経て供給管７ｄよ
り炉１内に投入される。しかしながら、供給管７ｄは比
較的高圧の炉１内に近くて供給管７ａの内部よりも圧力
が高いことから、この実施例では、それら供給管７ａ・
７ｄの間に以下のような原料投入装置を設けている。

【００２０】原料投入装置は、図１(ａ)のように二重開
閉ダンパ４とロータリダンパ１０・エジェクタ５を上か
らこの順に配置して原料粉供給管７ｂ・７ｃでつなぐこ
とにより構成し、さらに通気管８などを図のとおり接続
している。二重開閉ダンパ４は、電動バタフライ式の二
つのダンパ４ａ・４ｂを上下に直列につないだものあ
る。下のダンパ４ｂを閉じた状態で上のダンパ４ａを開
き、続いて上のダンパ４ａを閉じて下のダンパ４ｂを開
く−といった要領で、圧力の高い供給管７ｄの側から
のガスの吹き上げ（逆流）を防止しながら原料粉を間欠
的に払い落とす。またエジェクタ５は、内部の水平（に
近い）部分に落ちる原料粉を、ブロア６からの圧縮エア
によって供給管７ｄ内へ移送し、かつ流動層炉１内へ吹
き込むよう構成した吹込み手段である。

【００２１】ロータリダンパ１０は、図１(ｂ)に示すよ
うに、水平な円筒部分を含むケーシング１１内で軸１２
とともに羽根車１３が一定方向へ回転するという、公知
の粉粒体払出し手段の一種である。羽根車１３の上面や
ケーシング１１の上部内面に原料粉が堆積するため、上
下に通じる隙間が小さくて、シール性、すなわち上流
（図の上方）と下流（図の下方）との間の通気を遮断す
る性質が元来そなわっている。しかしこの例では、その
シール性をさらに向上し、かつ、粗粒分の粉砕機能を高
める目的で、構造上、新たな工夫を施している。その一
点は、羽根車１３の各先端に、位置調整可能なように薄
板１４を取り付けたことであり、これによってケーシン
グ１１の内面との隙間を各部の摩耗等に関係なく極力小
さくし、シール性を向上することができた。もう一点
は、ケーシング１１内の下部に簀の子状のグリズリ部材
１５を配置したことで、これと羽根車１３との間で挟み
つぶすことによって粗粒分を粉砕できるようにした。し
たがってこのロータリダンパ１０は、上部に溜めた原料
粉を羽根車１３の回転によって連続的に払い出すという
本来の性能に加えて、高いシール性と粗粒の粉砕機能と
を有している。シール性にすぐれることは、図１(ａ)に
おいて、ダンパ４のもつシール性と相俟って供給管７ｄ
からサイクロン３へのガスの吹き上げ（逆流）を確実に
防止し、また粗粒粉砕機能があることは、速度を高める
ために比較的小径にしてある供給管７ｄ内に原料粉が詰
まるのを効果的に防止することができる。なお羽根車１
３には、上記の薄板１４に代えて、ブラシ状に密集した
金属ワイヤなどを取り付けるのもよい。

【００２２】このように構成した図１(ａ)の原料投入装
置によって、通常は、原料粉が流動層炉１内へ円滑に投
入され、またサイクロン３における原料粉の捕集効率も
良好であるが、その状態は、同装置の使用条件や使用期
間等に拘わらず常に維持されるわけではない。たとえ
ば、ダンパ４においては弁体とそれが接触する座面との
間に原料粉が挟まることを皆無とはできないし、ロータ
リダンパ１０においても各部の摩耗が進行したとき薄板
１４を位置調整するまではシール性が高くないからであ
る。そのためこの例では、ロータリダンパ１０のケーシ
ング１１内に直結する供給管７ｂとサイクロン３へのガ
ス流路２ａとの間を、バルブ８ａを含む通気管８によっ
て結んでいる。バルブ８ａを開いたときは、この通気管
８によってロータリダンパ１０の内部とサイクロン３の
内部とが同じ圧力になるため、サイクロン３の下部への
ガスの吹き上げを防止でき、原料粉の正常な捕集が可能
になるからである。

【００２３】つづいて図２(ａ)・(ｂ)に本発明の第二実
施例について示す。この実施例も、図１(ａ)と同様、流
動層炉（図示省略）への粉粒体原料の投入装置として二
重開閉ダンパ（同）と払出し手段および吹込み手段
（同）を組み合わせるが、その払出し手段として、図１
におけるロータリダンパ１０に代えて図２のスクリュー
コンベヤ２０を使用するものである。スクリューコンベ
ヤ２０は、水平な円筒状ケーシング２１の内側にスクリ
ュー２２を通し、このスクリュー２２を回転駆動するこ
とによって、投入口２３（図１の供給管７ｂに接続）か
らくる原料を払出し口２５（図１の供給管７ｃに接続）
へ送る。

【００２４】スクリューコンベヤは元来、粉粒体を連続
的に払い出すことができるが、この例のスクリューコン
ベヤ２０は、ケーシング２１内の少なくとも一箇所に粉
粒体を充満させ、充満した粉粒体そのものによるいわゆ
るマテリアルシールによって上流・下流間に高いシール
性をもたらすよう構成している。すなわち、払出し口２
５の手前に上り管２４を設け、払い出す粉粒体が、これ
を越えてオーバーフローするまで必ず内部に充満するよ
うにした。したがって上り管２４はケーシング２１の筒
部上面より高くしている。粉粒体の連続払出しができて
シール性も高いことから、このスクリューコンベヤ２０
は機能上、図１のロータリダンパ１０と同様に使用する
ことができる。なお、ケーシング２１の底部とスクリュ
ー２２との間には適当な隙間を設け、粗粒分がそこに滞
るようにするとともに作業員が適宜それを排除するもの
とすれば、後続の吹込み手段において詰まりが発生しに
くく、その点でも好都合である。

【００２５】図３は本発明の第三実施例に関するもの
で、スクリューコンベヤ３０を傾斜配置して粉粒体原料
の払出し手段（図１のロータリダンパ１０や図２のコン
ベヤ２０に代わるもの）とする例である。スクリューコ
ンベヤ３０は、図２のものと同様にケーシング３１とス
クリュー３２・投入口３３・払出し口３５などを有する
が、上り管を設ける代わりに、払出し口３５のある側を
上にして３０°程度傾斜させる。払い出される粉粒体が
ケーシング３１の最低部分よりその内径以上の高さを上
るように傾斜させているので、少なくとも投入口３３寄
りの低位置部分ではケーシング３１内に粉粒体が充満
し、いわゆるマテリアルシールが実現する。なおこの例
では、ケーシング３１の最低部分に粗粒だまり３６を設
け、その下にさらに回転弁３７を接続して粗粒の選別と
排出を容易にしている。

【００２６】払出し手段としてのスクリューコンベヤ
は、スクリュー本体が部分的に切り欠かれた、広い意味
でのスクリューコンベヤであってもよい。図４は、その
ような広義のスクリューコンベヤの一例としてパドルス
クリューコンベヤ４０を使用する実施例である。ケーシ
ング４１に粉粒体の投入口４３と上り管４４・払出し口
４５があることは図２のコンベヤ２０と同じであるが、
そのケーシング４１の内部では不連続な板状のパドル４
２が回転する。このようなパドルスクリューコンベヤ４
０によっても粉粒体は連続的に払い出すことができ、ま
た上り管４４があるため、マテリアルシールによるシー
ル性がもたらされる。パドル４２同士の間に隙間がある
ので粗粒分の払出し効率が低いが、そのことは、後続の
吹込み手段において粗粒による詰まりが起きにくい点で
かえって好都合である。なお、パドルスクリューコンベ
ヤ以外にも、リボンスクリューやカットフライトスクリ
ュー等を用いたコンベヤを原料投入装置における払出し
手段として使用することもできる。

【００２７】つづく図５に示す縦型の容器５０は、一部
に粉粒体を堆積させ、その部分でのマテリアルシールに
よって上流・下流間の通気を遮断するとともに、粉粒体
を、流動化させることによって連続的に払い出すよう構
成した払出し手段である。図中の符号５１はその流動化
部分であり、下方の部分に分散板５１ａを備える。ま
た、符号５２は流動化のためのガスの導入管、５３は粉
粒体を堆積させて流動化部分５１へ供給する原料供給
管、そして５４は、流動化してオーバーフローする粉粒
体をガスとともに払い出す流出管である。粉粒体原料に
混入した粗粒のものは、分散板５１ａ上に停滞して流動
化せず、流出管５４へ至ることもないので、吹込み手段
を詰まらせる不都合がない。

【００２８】

【発明の効果】本発明の原料投入装置にはつぎのような
効果がある。すなわち、 1) 流動層炉からサイクロンへ向けてのガスの吹き上げ
（逆流）が効果的に防止されるため、流動層炉への粉粒
体原料の投入がスムーズに行えるうえ、サイクロンにお
ける原料の捕集効率が高い。

【００２９】2) 粉粒体原料が連続的に流動層炉内へ投
入されるので、吹込みのための圧縮ガスの消費量が少な
く、また炉内のガス成分や温度の条件を不適当にする恐
れも少ない。

【００３０】3) 請求項２に記載の装置によると、摩耗
等によって仮にこの（請求項１の）装置本来の性能が十
分発揮されないときや、炉内の圧力が予定以上に高く設
定された場合などにおいても、サイクロンの下部へガス
が吹き上げることがなく、原料の捕集性能が低下しな
い。

【００３１】4) 請求項３〜５の各装置では、それぞれ
ロータリダンパ・スクリューコンベヤ・容器がガスの吹
き上げ防止や原料の連続払出しをすることにより上記の
効果が発揮されるほか、吹込み手段における吹込み管の
詰まりも防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一実施例に関する図面で、図１(ａ)
は流動層炉などとともに原料投入装置の全体を示す模式
図、同(ｂ)は、その原料投入装置のうちロータリダンパ
（払出し手段）のみを断面で示す詳細図である。

【図２】本発明の第二実施例に関する図面で、原料投入
装置のうち払出し手段として使用するスクリューコンベ
ヤの断面図（図２(ａ)）と、その側面図（同(ｂ)）であ
る。

【図３】本発明の第三実施例に関する図面で、原料投入
装置のうち払出し手段として使用する傾斜型のスクリュ
ーコンベヤの断面図である。

【図４】本発明の第四実施例に関する図面で、原料投入
装置のうち払出し手段として使用するパドルスクリュー
コンベヤの断面図（図４(ａ)）とその側面図（同(ｂ)）
である。

【図５】本発明の第５実施例に関する図面で、原料投入
装置のうち払出し手段として使用する容器の断面図であ
る。

【図６】従来の原料投入装置を、流動層炉などとともに
示す模式図である。

【符号の説明】 １ 流動層炉 ３ サイクロン ４ 二重開閉ダンパ ５ エジェクタ（吹込み手段） ８ 通気管 １０ ロータリダンパ（払出し手段） ２０・３０・４０ スクリューコンベヤ（払出し手段） ５０ 容器（払出し手段）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石鉢 俊幸 東京都千代田区神田美土代町１番地 住友 セメント株式会社内 (72)発明者 橋本 勲 兵庫県明石市川崎町１番１号 川崎重工業 株式会社 明石工場内 (72)発明者 渡辺 達也 兵庫県明石市川崎町１番１号 川崎重工業 株式会社 明石工場内 (72)発明者 金森 省三 兵庫県神戸市中央区東川崎町３丁目１番１ 号 川崎重工業株式会社 神戸工場内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 流動層炉のガス流出口に接続されたサイ
   クロンより、粉粒体原料を流動層炉内へ投入する装置で
   あって、 二重の開閉ダンパを上記サイクロンの下部に接続し、そ
   れらダンパを経た原料を圧縮ガスにて吹き入れる吹込み
   手段を流動層炉内へ向けて接続するとともに、上流・下
   流間の通気を遮断し原料を溜めて吹込み手段へその原料
   の連続払出しをする払出し手段を、上記ダンパと吹込み
   手段との間に設けたことを特徴とする流動層炉用原料投
   入装置。
2. 【請求項２】 上記の払出し手段の上部とサイクロンへ
   のガス流路とを通気管でつないだ請求項１に記載の流動
   層炉用原料投入装置。
3. 【請求項３】 上記の払出し手段を、粗粒粉砕機能のあ
   るロータリダンパとした請求項１または２に記載の流動
   層炉用原料投入装置。
4. 【請求項４】 上記の払出し手段を、原料の送出し経路
   のうちに上りの部分を含むスクリューコンベヤとした請
   求項１または２に記載の流動層炉用原料投入装置。
5. 【請求項５】 上記の払出し手段を、原料の流動化部分
   と、同部分の底部へ至るガス導入管、上方より同部分の
   側壁下部へ至る原料供給管、および同部分の上部から吹
   込み手段へ続く原料・ガスの流出管とを含む容器とした
   請求項１または２に記載の流動層炉用原料投入装置。