JP2002521635A - 鉄道または汎用車両用のデイスクブレーキパッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 鉄道または汎用車両用のデイスクブレーキパッド（１）の定着板（２）に幾つかのリベット（４）で夫々固定された幾つかの細長い摩擦体（３１…３７）。各摩擦体の外形は、スタジアムの形状の輪郭をなしていて、二つの半円形状の端部は、夫々平行な側辺により接続されている。固定用のリベット（４）は、対応する摩擦体（L1…L7）の最大長手延伸方向へ相互に距離を置いて配列されている。最大長手延伸部の方向は、何れも走入方向（E）に対して角度αをなしている。進入角（α）は、摩擦体装置の各種の摩擦体により異なるが、４５°よりは決して大きくはない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 技術分野 本発明は、定着板と定着板に固定した複数の摩擦体を持つ、鉄道または汎用車
両用のデイスクブレーキパッドに関する。

【０００２】 従来の技術 デイスクブレーキは車両の利用価値の高い構成部品である。デイスクブレーキ
は、車両をできるだけ短い時間内にかなりの速度をある程度減速させ、停止させ
なければならない。高度な重量のゆえに、鉄道および汎用車両は高度な慣性力制
動を要し、それはブレーキパッドを通して行われることとなる。

【０００３】 有効なブレーキ操作の過程では、制動力がデイスクブレーキパッドからブレー
キ板へ効率良く伝達される必要がある。摩擦体面積の広いものは、著しく大きな
慣性力制動をブレーキ板に伝達することができることが公知である。しかしなが
ら、そのような摩擦体は濡れた状態の路面では、乾いた状態の路面のブレーキ反
応と同じ効果を発揮することはできない。一般的には、ウエットフェーディング
（湿潤退化）とも言われている。

【０００４】 濡れた状態でのより優れた動作性能は、ブレーキパッドを複数のより小さな摩
擦体に分けることによって得られる。定着板に溶接またはリベット接合されてい
る円筒摩擦体は、ドイツ特許DE-C１９７２７７０５で知られている。この公知の
摩擦体装置である摩擦体は、分離した点でのみ、例えば中央のリベット手段で定
着板に接続されている。高度な慣性力制動と面に受ける力とにより、そのような
点接合は動作中に外れる可能性がある。その結果、制動能力規模の低下をもたら
すばかりか、状況によっては、ブレーキ板全体の破損にもつながる。それ故、公
知の多要素ブレーキパッドにおける濡れた状態でのより優れた動作性能は、パッ
ドの安定性を犠牲にしたものであった。

【０００５】 ドイツ特許ＤＥ−２９５０８３２２Ｕは、少なくとも１片の圧縮された摩擦材
が母型板に固定されている鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキパッドを開示
している。摩擦材ブロックと母型板の間に配置されているのは、リベットベース
を構成する金属の中間板である。摩擦材ブロックは、母型板から離れた位置にあ
る中板の壁面に、機械的または非機械的接続手段によって固定されている。広い
面積の中間板は、複数のリベットによって母型板に接続され、摩擦体の大きな一
区分と比較的小さな中間板では各々にリベットが一つだけ設けられている。中間
板を用いることにより、母型板を再利用することが可能となり、リベット接続の
利用にもかかわらず、摩擦材の経済上の利用効率を優れたものにする。ここでは
、濡れた状態での動作性能の改善は探求されず、また達成されていない。

【０００６】 米国特許ＵＳ−Ａ−５５３８１０８では、中板の弾性アームに複数の円筒形ま
たは多角形パッドエレメントが各々中央の点接続により取り付けられた、鉄道或
いは汎用車両用の別のブレーキパッドを開示している。後者はパッドの担体に固
定されている。

【０００７】 発明，目的，解決，利点の説明 この発明の目的は、天候に左右されず効果を発揮し、また経済的に製造され、
優れた安定性をもつブレーキパッドを提供することにある。

【０００８】 本発明によれば、この目的は、第１に請求項１に記載の特徴によって解決され
る。

【０００９】 本発明によれば、この目的は、第２に請求項７に記載の特徴によって解決され
る。

【００１０】 本発明は、多くの利点を組合わせている。即ち、本発明の主な利点は、多要
素ブレーキパッドをもつ従来のデイスクブレーキであっても、濡れた状態での動
作性能が改善されたことである。

【００１１】 各々の摩擦体を少なくとも２つのリベットで留めたことは、安定性に有利な効
果をもたらしている。作動中、万一リベットが一つ外れてしまっても、摩擦体は
二つ目のリベットで支えられ、さらに特別には三つ目のリベットで支えられ、デ
イスクブレーキへの損傷は著しく減る。

【００１２】 各々の摩擦体の摩擦表面の細長い形（第一の解決法）及び多角形（第二の解決
法）は均一な磨耗を促進する。

【００１３】 経済的な利点は顕著である。円筒摩擦体を有するブレーキパッドと比較すると
、同等の制動範囲でより少ない摩擦体を定着板に固定すれば済む。製造費用は摩
擦体の数の減少に伴って減少する。これはより経済的な生産を可能にする。

【００１４】 本発明のさらなる実施例によれば、各々の摩擦体が縦方向に配置された三つの
リベットで定着板に固定された場合、第一の解決法は特に有利である。

【００１５】 第二の解決法の好ましい実施例では、各々の摩擦体が正三角形の多角外形を有
しており、相互に等間隔で配置された三つのリベットで定着板に接続されている
ことを特徴としている。各々の摩擦体のほぼ三角形及び基本的な形は、構造を比
較的まとまりのある均一なものにし、摩擦体を定着板の上にぎっしり詰めること
を可能にする。隣接した摩擦体間の間隔は比較的狭くすることができ、一つの定
着板に接した摩擦表面が、一方では個別的に、他方では比較的広い面積に渡って
発揮され、相応じて高い制動動作を発揮する。

【００１６】 本発明の更に有利な実施例は、従属項で特徴づけられている。

【００１７】 発明を実施するための最良の形態 本発明は以下に図示された好適な実施例を参照して説明される。 図１から図４の好適な実施例では、デイスクブレーキパッド１は定着板２およ
び７の摩擦体３の同一平面配列を持ち、各摩擦体３は三つのリベット４で定着板
２にそれぞれ固定されている。この好適な実施例では、各々の摩擦体３は半円形
を持つ（スタジアム型の）細長い外形の容器を有している。この容器内には、適
宜な摩擦材が押し込められている。図中では、この摩擦材は省略されているが、
これはリベットにより摩擦体が定着板に固定されているのを見えるようにするた
めである。

【００１８】 摩擦パッド表面から離間している定着板２の後部表面に取り付けられているの
は、燕尾６であって、その補助によりブレーキパッド１は、図中には示されてい
ないブレーキパッド台座に固定されている。

【００１９】 七つの摩擦体３１〜３７全ての主長軸Ｌ1〜Ｌ７の方向は、図１において鎖線
で示される進入方向Ｅに対し鋭角に配列されている。進入方向Ｅとは、ブレーキ
パッド１が擦れ合わされる相手部材（図示省略）の相対的な運動方向である。摩
擦体３１の傾斜角αは図１に示されている。細長く、スタジアム型の摩擦体３は
進入方向Ｅに対して幾分異なった傾斜角をもっている。摩擦体３１及び３２の傾
斜角はほぼ同じである。摩擦体３３の傾斜角は更に鋭角であり、摩擦体３４はそ
れにも増して鋭角である。摩擦体３５，３６，３７の傾斜角もまた鋭角であるが
、別の部分に位置している。即ち、摩擦体３５〜３７の最大主長軸の方向Ｌ５〜
Ｌ７は、進入方向Ｅの反対側に鋭角に向けられている。進入方向Ｅに対して＋角
度（時計回り方向の角度）、−角度（反時計回り方向の角度）の何れの場合でも
、角度αは最大でも４５°かそれよりも小さい。進入方向Ｅに対して、それぞれ
の摩擦体３がこの斜角の配置をとった結果、比較的均一な制動配分と同一平面の
制動面の磨耗を生じることができ、優れた制動効力を発揮する。従来の多要素ブ
レーキパッド構造と比較し、濡れた状態での動作性能は著しく改善される。多要
素ブレーキパッドとしては摩擦体の数が少ないので、摩擦体３１〜３７の製造及
び接続は経済的である。

【００２０】 それぞれの独立したブレーキ本体は定着板２に三つのリベット４で接続されて
いる。三つのリベット４は、接続された摩擦体３の最も長い辺の軸に沿って配列
されている。このようにして摩擦体は確実に且つ均一に定着板２に取り付けられ
ており、そして摩擦体に接続されたリベットの一つまたは全てが緩み、剪断され
る危険性は最小限になる。

【００２１】 スタジアム型の形をした細長い外形の替わりに、別な細長い外形である摩擦体
を使用することができる。卵形、角柱、または多角形の外形が可能である。しか
しながら、スタジアム型の細長い外形は容易な製造と、濡れた状態での優れた動
作性能を保証する。別の好ましい細長い形は、角が直角でない平行四辺形である
。記述された好適な実施例では、摩擦体の長さ対幅の比率は約２：１で、この比
率は、異なる比率、例えば１．２：１〜２．２：１の間、及びそれ以上の使用に
より左右される。

【００２２】 デイスクブレーキパッド１１の別な好適な実施例が図５及び６に示されている
。デイスクブレーキパッド１１は、前記で説明された好適な実施例に構造が類似
した定着板１２と、三つのリベット１４で定着板１２に各々固定された同一平面
配列の五つの摩擦体１３とを持っている。各々の摩擦体は、多角形、とりわけ三
角形の外形であり、角は丸みを帯びている。三辺全てが同じ長さであり、各々に
対して６０°の角度で配置され、正三角形を成している。図５に示すとおり、三
角形の摩擦体１３は、互いに近い間隔で並べて、間隙を相対的に小さく保ってい
る。これにより、摩擦体どうしが分離していても、有効な制動面が定着板１２の
面積のなかで大きな割合で占めることになる。図５で示される三角形の外形を持
つ摩擦体１３の配置は、第一の好適な実施例における摩擦体３の配置と同様に、
濡れた状態での優れた動作性能を有しており、この場合においても三つのリベッ
ト１４で各々の摩擦体が定着板１２に固定されているため、同等の高い安定性が
得られる。

【００２３】 図６に示されるように、各々の摩擦体１３は、摩擦材１６が取り付けられた基
板１５を有している。リベット１４を適宜なリベット結合工具を用いて設置する
ため、摩擦材の層１６にはリベット１４の軸上に穴１７が設けられている。しか
しながら、摩擦材の層１６は図示された摩擦体１３の外形と一致する外形の基板
１５に一体である容器に配置することもできる。

【００２４】 正三角形に替わり、長さの異なった側面を有する三角形を含むその他の多角外
形を用いることもできる。側面の数とデザインは母型板の形に合わせることがで
きる。しかしながら、それらは経済上の理由から、摩擦体全てが同一の外形を有
し、また容易且つ大規模な製造が可能であることを考慮して選ばれなければなら
ない。

【００２５】 本発明の概念の範囲内では、図示のとおり、好適な実施例は数々の変形が可能
である。摩擦体の数と正確な外形および構成は、問題点や他の末端の変化に適応
して合わせることができる。各々の摩擦体は、適当な手段で順番に定着板に固定
された基板上に設置することができる。一片の摩擦体の取り付けは、直接、定着
板２の上に、または定着板２に向けることが可能である。摩擦体自体の定着板へ
の接続の状態もまた図示されたリベットの配置に限られるものではない。例えば
、摩擦体に接続された担体物質を定着板中の開放部に適応して圧縮成形する等、
他の型枠固定の接続もまた可能である。しかしながら、このリベット配置は、一
般に好都合な組立てと製造を保証する最も容易なタイプの固定法を構成している
。

【発明の効果】

上述の如く、本発明によれば、天候に左右されず十分な制動効果を発揮し、ま
た経済的に安価に製造され、且つ優れた安定性をもつブレーキパットを提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるデイスクブレーキパッドの第一の好適な実施例の平面図である。

【図２】 図１の第一の側面図である。

【図３】 図１の第二の側面図である。

【図４】 第一の好適な実施例の下から見た図である。

【図５】 本発明によるデイスクブレーキパッドの第二の好適な実施例の概略平面図であ
る。

【図６】 図５のVI−VI線に沿う断面図である。

【符号の説明】

１，１１ ブレーキパッド ２，１２ 定着板 ３，１３，３１，３２，３３，３４，３５，３６，３７ 摩擦体 ４，１４ リベット ６ 燕尾 １５ 基板 １６ 摩擦材の層 １７ 穴 Ｌ１，Ｌ２，Ｌ３，Ｌ４，Ｌ５，Ｌ６，Ｌ７ 長手方向 Ｅ 進入方向

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＪＰ，ＵＳ

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】定着板(２)及び定着板に固定された複数の摩擦体(３,３１，３
   ７)を有し、各々の摩擦体が細長い外形を持ち、少なくとも二つのリベット(４)
   により定着板(２)に接続された鉄道や汎用車両用デイスクブレーキパッドであっ
   て、各々の摩擦体にはリベット結合用工具によりリベットを取り付けるための穴
   が設けられ、また各摩擦体の長手方向(Ｌ１，Ｌ７)が進入方向Ｅに対して０＜α
   ≦４５°の鋭角αに配置されていることを特徴としているデイスクブレーキパッ
   ド。
2. 【請求項２】摩擦体(３)の細長い外形が、二つの平行な側壁と丸みを帯びた
   端壁とを持つスタジアム型をしていることを特徴とする請求項１に記載のデイス
   クブレーキパッド。
3. 【請求項３】摩擦体(５)が小判形の細長い外形であることを特徴とする請求
   項１に記載のデイスクブレーキパッド。
4. 【請求項４】各々の摩擦体(３１，３７)が、長手方向(Ｌ１，Ｌ７)に配置さ
   れた三つのリベット４によって定着板２に固定されていることを特徴とする請求
   項１乃至３の何れかに記載のデイスクブレーキパッド。
5. 【請求項５】摩擦体(３１，３７)の長手方向(Ｌ１，Ｌ７)が進入方向Ｅに対
   して、又は／及び進入方向Ｅの反対側に対して、少なくとも部分的に異なった鋭
   角で配置されていることを特徴とする請求項１乃至４の何れかに記載のデイスク
   ブレーキパッド。
6. 【請求項６】摩擦体の最小直径に対する最大直径の比率が１．２〜２．２の
   範囲内であることを特徴とする請求項１乃至５の何れかに記載のデイスクブレー
   キパッド。
7. 【請求項７】定着板(１２)及び定着板に固定された多角形の複数の摩擦体を
   有するデイスクブレーキパッドであって、各々の摩擦体が丸みをおびた隅を有し
   、定着板(１２)に少なくとも二つのリベット(１４)で直接接続され、適宜なリベ
   ット結合用工具によりリベット(１４)を設置するための穴(１７)が設けられてい
   ることを特徴とするデイスクブレーキパッド。
8. 【請求項８】各々の摩擦体(１３)が正三角形の外形を有しており、相互に等
   間隙に配置され、三つのリベット(１４)により定着板(２)に接続されていること
   を特徴とする請求項７に記載のデイスクブレーキパッド。
9. 【請求項９】定着板と、複数の摩擦体と、各々の該摩擦体を該定着板に接続
   する少なくとも２つのリベットとを備え、該複数の摩擦体の各々は摩擦面とその
   裏側の該定着板に対面する取り付け面を有し、該複数の摩擦体の各々には該摩擦
   面側に向けて少なくとも２つの穴が設けられ、各々の該摩擦体を該定着板に適宜
   なリベット結合用工具を用いてリベット接合できるようになっている、鉄道及び
   汎用車両用ディスクブレーキパッド。
10. 【請求項１０】定着板と、複数の摩擦体と、各々の該摩擦体を該定着板に接
    続する少なくとも２つのリベットとを備え、該複数の摩擦体の各々は長手方向に
    最大の延伸部を持つ細長い外形を有し、その長手方向が該ディスクブレーキパッ
    ドの進入方向に対して、０＜α≦４５°の鋭角αをなして配置されている鉄道及
    び汎用車両用ディスクブレーキパッド。