JP2002518001A - G3bpタンパク質に対するモノクローナル抗体及びその使用 - Google Patents

G3bpタンパク質に対するモノクローナル抗体及びその使用

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パルケル,フアビエンヌ
ケニヒスベルグ,ミレイユ
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バルラ,イザベル
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アバンテイス・フアルマ・エス・アー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、G3BPタンパク質に対するモノクローナル抗体及びそれらを産生する細胞系に関する。本発明はまた、医薬及び診断用試薬を製造するためのこれらの抗体またはその誘導体の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、G3BPタンパク質に対するモノクローナル抗体及びそれらを産生
する細胞系に関する。本発明はまた、医薬及び診断用試薬を得るためのこれらの
抗体またはその誘導体の使用に関する。
【0002】 一般的にp21Rasタンパク質と呼ばれているras遺伝子の産生物は、該
産生物の研究に使用されたすべての真核生物中で細胞分裂をコントロールするた
めに極めて重要な機能を果たしている。該タンパク質に特有の幾つかの修飾は該
タンパク質の正常なコントロール機能を喪失させ、タンパク質を癌原性にする。
例えば、多くのヒト腫瘍には修飾されたras遺伝子が存在していた。また、p
21Rasタンパク質の超発現は細胞の増殖異常を生じさせる。全体としてヒト
の癌の30%にはp21Rasタンパク質が関与している。
【0003】 従って、腫瘍学の分野ではこれらのp21Rasタンパク質の正確な機能を理
解することが研究の重要な目的の1つとなっている。
【0004】 現在では、トランスデューサー機能をもつGタンパク質がp21Rasタンパ
ク質の機能を解明するモデルとして利用されている。双方のタンパク質が多くの
共通点を有しているからである。GTPに結合した活性型p21タンパク質とG
DPに結合した不活性型p21タンパク質とは細胞中で均衡している。Rasタ
ンパク質が誘発されていない休止細胞中では大部分のRasタンパク質がGDP
結合型である。細胞が刺激されると、ヌクレオチド交換因子GEFが活性化され
、GDPが排泄されてGTPで置換される。ここでRasタンパク質は活性コン
ホメーションになり、そのエフェクターであるGAPタンパク質“GTPアーゼ
活性化タンパク質”を認識して刺激し得る。次に複合体Ras−GTP−GAP
が1種または複数のタンパク質と相互作用してシグナルを伝達し、細胞の生物学
的応答を引き出すと考えられる。Ras−GTPとGAPとが結合すると、GT
Pの加水分解が生じ、同時に、Rasタンパク質はGDPに結合した不活性型に
戻る。
【0005】 癌原性p21Rasタンパク質の場合には、該タンパク質が突然変異を有して
おりこの突然変異によって不活性型に戻ることができない。ここで均衡が破れて
活性型のRasが過剰になる。
【0006】 活性型p21Rasと不活性型p21Rasとのこのように複雑な均衡は、R
asタンパク質の生化学的特性に固有の複数の要因(GDP及びGTPに対する
相対的親和性、ヌクレオチドの交換速度、など)と、特にGAPタンパク質のよ
うなRasタンパク質の活性を変調する外的要因との双方によってコントロール
される。
【0007】 GAPタンパク質は、すべての真核生物体内に存在するサイトゾルタンパク質
であり、正常なp21タンパク質に結合したGTPの加水分解を強力に促進する
能力を有している(Trahey et Mc Cormick 1987)。
GAPタンパク質は、異なる機能を確保する2つのドメインを有している。GA
Pタンパク質のカルボキシ末端は、Rasタンパク質と結合してそのGTPアー
ゼ活性を増進する触媒活性を有している。GAPタンパク質の他端ではアミノ末
端の下流にドメインSH2及びSH3が並列に存在し、これらは別のタンパク質
との相互作用に関与する。
【0008】 出願人は、Ras依存性シグナル伝達カスケード中の補助タンパク質を既に同
定した。即ち、国際出願WO96/16169は、GAPのSH3ドメインに結
合し得るG3BPと名付けたタンパク質(“GAP−SH3結合タンパク質”)
の同定、クローニング、配列決定及びキャラクタリゼーションを記載している。
該出願は特に、G3BPがGAPのエフェクターであること、即ち、Ras依存
性シグナル伝達経路に下流で関与する因子であることを示している。また、Pa
rkerらの論文(Mol.Cell.Biol.16(1996)2561)
は、このタンパク質の配列、そのGAP結合能力、などを記載している。このタ
ンパク質は抗癌療法の開発に重要な新しいターゲットである。
【0009】 G3BPタンパク質は、遍在的に発現される68kDaのサイトゾルタンパク
質である。G3BPタンパク質及び対応する遺伝子の配列を配列1及び配列2に
示す。466個のアミノ酸から成るこのタンパク質はhnRNP(ヘテロ核RN
P)のファミリーに所属し、RNAに結合するタンパク質に特徴的な複数のドメ
インを含んでいる: −2つのドメイン即ちRNP2(aa342−347)とRNP1(aa378
−385)とから成るRRMドメイン(aa342−385); −アミノ酸のうちのアルギニン及びグリシンに富むドメイン(aa429−46
1); −酸付加ドメイン(aa144−221)。
【0010】 出願人はここでG3BPタンパク質の作用メカニズムに注目した。この観点か
ら出願人は、G3BPのタンパク質の種々のドメインに対する種々の抗体を作製
し、G3BPの活性に拮抗する抗体またはG3BPのエフェクターを構成する抗
体を研究した。
【0011】 本発明に導いた一方の根拠は、腫瘍細胞及びヒト腫瘍(結腸腺癌、乳腫瘍)中
でG3BPタンパク質の超発現が証明されたことにあり、他方の根拠は、G3B
Pタンパク質に対する幾つかの抗体がヒト腫瘍細胞中でアポトーシスを誘発し得
るという意外な知見が得られたことにある。予想外にもこれらの抗体は、G3B
Pタンパク質が超発現している腫瘍細胞中ではアポトーシスを誘発するが、G3
BPの発現が少ないヒトの正常細胞中では無毒性であることが証明された。
【0012】 本発明の第一の目的は、G3BPタンパク質に対する抗体であって多様な種類
の腫瘍細胞中でアポトーシスを誘発し得るモノクローナル抗体を提供することで
ある。
【0013】 より特定的には本発明の目的は、G3BPタンパク質のN末端部に存在するエ
ピトープを認識し得るモノクローナル抗体を提供することである。好ましくはエ
ピトープは、G3BPタンパク質のアミノ酸位置1−144に存在するエピトー
プであり、より好ましくはG3BPタンパク質のアミノ酸位置1−72に存在す
るエピトープである。いっそう好ましくはエピトープは、G3BPタンパク質の
アミノ酸位置22−55に存在するエピトープであり、よりいっそう好ましくは
アミノ酸位置22−34から成るエピトープである。
【0014】 好ましい特定実施態様によれば、本発明はまた、1998年6月9日付けでC
.N.C.M.に登録番号I−2038で寄託されたハイブリドーマ細胞系G3
B 1F1 1D1によって分泌されるMab 1F1と命名された抗体に関す
る。
【0015】 本発明はまた、上記に定義のモノクローナル抗体から誘導された抗体を包含す
る。本発明の定義によれば、誘導された抗体という表現は、本発明のモノクロー
ナル抗体のイディオタイプ及び特にキメラ抗体、一本鎖抗体及びFabフラグメ
ントを含む任意の分子を意味する。このようなキメラ抗体はMorrisonら
,J.Bacteriol.159:870(1984);Nebergerら
,Nature 312:604−608(1984);Takedaら,Na
ture 314:452−454(1985)に記載された技術によって作製
され得る。これらの文献の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする
。本発明抗体のイディオタイプを含むFabフラグメントは当業者に公知の任意
の技術によって作製され得る。このようなフラグメントの非限定例としては、抗
体のペプシン消化によって産生され得るフラグメントであるF(ab′)フラ
グメント、F(ab)フラグメントのジスルフィド架橋の還元によって得られ
るFab′フラグメント、及び、抗体をパパイン及び還元剤で処理することによ
って産生され得るFabフラグメントがある。
【0016】 本発明はまた、上記に定義のモノクローナル抗体から誘導された一本鎖抗体S
cFvを目的とする。このような一本鎖抗体は米国特許第4,946,778号
、第5,132,405号及び第5,476,786号に記載の技術によって得
られる。
【0017】 本発明はまた、上記に記載のモノクローナル抗体から誘導された一本鎖抗体を
コードする遺伝子を含む核酸配列に関する。このような配列の作製及び抗体をi
n vivo発現させるための配列の使用は国際特許出願WO94/29446
に記載されている。該特許出願の記載内容は参照によって本発明に含まれるもの
とする。
【0018】 本発明はまた、上記に記載のモノクローナル抗体から誘導された一本鎖抗体を
コードする核酸配列を含むウイルスベクターまたはプラスミドベクターを目的と
する。より特定的には、本発明のベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス
、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、HSVウイル
スなどのようなウイルスに由来のベクターである。
【0019】 本発明はまた、ヒトまたは動物の外科的または内科的治療に使用される医薬組
成物を製造するための、上記ScFvをコードする核酸配列または該配列を含む
ベクターの使用に関する。本発明はまた、上記に定義のようなベクター、特にウ
イルスベクター、または、核酸配列を含む任意の医薬組成物に関する。
【0020】 本発明はまた、本発明のモノクローナル抗体を分泌し得るハイブリドーマ細胞
系を目的とする。
【0021】 特に、1998年6月9日付けでCollection Nationale
des Cultures de Microorganismes(C.N
.C.M.)に登録番号I−2038で寄託されたMab 1F1抗体を分泌す
るハイブリドーマ細胞系G3B 1F1 1D1が本発明の目的である。
【0022】 本発明はまた、(1)G3BPタンパク質またはN−末端ドメイン(aa 1
−144)の少なくとも一部を含むそのフラグメントによって免疫感作された動
物の脾臓細胞とミエローマ細胞とを、ハイブリドーマ形成可能条件下で融合させ
る段階と、(2)上記ハイブリドーマのうちで種々の腫瘍細胞系中でアポトーシ
スを誘発し得るモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを検出し単離する
段階とから成る、種々の腫瘍細胞系中でアポトーシスを誘発し得るモノクローナ
ル抗体の産生方法に関する。
【0023】 本発明はまた、医薬を製造するための上記に定義の抗体の使用に関する。より
特定的には本発明は、異常増殖性疾患を治療または予防する医薬を製造するため
の上記抗体の使用に関する。
【0024】 本発明はまた、医薬として許容される担体に任意に混合された治療有効量の本
発明の抗体に関する。前記量は腫瘍細胞中でアポトーシスを誘発し得る治療的に
有効な量である。
【0025】 本発明の抗体はまた、G3BPタンパク質を同定または定量するための診断用
試薬として使用され得る。G3BPタンパク質が腫瘍細胞中で超発現されること
、及び、この超発現が細胞増殖現象のマーカーとなることは実際に確認されてい
る。従ってこれらの抗体は、G3BPタンパク質の超発現を生じさせる増殖異常
性疾患の診断に特に有効である。
【0026】 本発明はまた、上記に定義のモノクローナル抗体を診断用試薬として使用する
こと、及び、上記に定義のモノクローナル抗体を含む診断用キットを提供するこ
とを目的とする。
【0027】 抗体を、色原性、蛍光性、ビオチン系、放射性、などのマーカーに結合させて
もよい。抗体は、免疫標識法、免疫組織化学法、フローサイトメトリー、ラジオ
イムノアッセイ(RIA)または酵素免疫定量法(ELISA)及び任意の種類
の公知の診断用キットに使用され得る。
【0028】 本発明の抗体はまた、G3BPタンパク質の機能研究に使用され得る。この機
能研究によって特に、G3BPタンパク質から誘導されアポトーシス活性を有し
ている新規なペプチドを同定し得る。この観点から本発明はまた、G3BPタン
パク質から誘導されアポトーシスを誘発し得る新規なペプチドを提供する。好ま
しくは本発明のペプチドはN末端フラグメントを含む。より好ましくはこれらの
ポリペプチドはG3BPタンパク質の最初の14個のアミノ酸に対応するドメイ
ンを少なくとも含む。
【0029】 本発明はまた上記以外の別の特徴及び利点を有しており、これらの別の特徴及
び利点は後述の実施例から明らかにされるであろう。但し、実施例は本発明の代
表例であると理解されるべきであり、本発明の範囲はこれらの実施例の記載に限
定されないことを理解されたい。
【0030】 (図面の簡単な説明) 図1は、ウェスタンブロット法で同定された抗体Mab 1F1によって認識
されるG3BPの種々のドメインを表す。
【0031】 図2a及び図2bは、種々の細胞系中のG3BPタンパク質の発現レベルの比
較を表す。
【0032】 図3は、HCT116細胞に対する抗体Mab 1F1のマイクロインジェク
ションの効果を示す。
【0033】 図4は、ヒトのG3BPタンパク質とG3BP2タンパク質との配列比較を示
す。N末端配列を比較すると、トレマ記号で示すような幾つかの相異が観察され
る。
【0034】 材料及び方法 使用した細胞系 HCT116:突然変異遺伝子Ki−rasとDCC腫瘍サプレッサー遺伝子
の突然変異とを有しているヒト結腸癌に由来の上皮細胞。所要培養培地:DME
M,10%ウシ胎仔血清,1%ペニシリン/ストレプトマイシン,1%グルタミ
ン。
【0035】 Hke−3及びHK2−6:修飾によってKi−ras遺伝子を欠失し、その
結果として腫瘍発生能を喪失したHCT116細胞(Shirasawa,..
.Sasazuki.(1993)Science 260,85−88参照)
。所要培養培地:DMEM,10%ウシ胎仔血清,400μg/mlのジェネチ
シン,1%ペニシリン/ストレプトマイシン,1%グルタミン。
【0036】 H460:突然変異遺伝子Ki−rasを有しているヒトの非小細胞性肺癌に
由来の上皮細胞。所要培養培地:DMEM,10%ウシ胎仔血清,1%ペニシリ
ン/ストレプトマイシン,1%グルタミン。
【0037】 H1299:ATCCから入手。突然変異遺伝子N−rasとp53遺伝子の
欠失とを有しているヒト肺癌に由来の上皮細胞。所要培養培地:DMEM,10
%ウシ胎仔血清,1%ペニシリン/ストレプトマイシン,1%グルタミン。
【0038】 HeLa:ras遺伝子の突然変異を有していないヒト子宮頚癌に由来の上皮
細胞。所要培養培地:DMEM,10%ウシ胎仔血清,1%ペニシリン/ストレ
プトマイシン,1%グルタミン。
【0039】 HT−29:ATCCから入手。p53遺伝子の突然変異を有しているがra
s遺伝子の突然変異を有していないヒト結腸癌に由来の上皮細胞。所要培養培地
:DMEM,10%ウシ胎仔血清,1%ペニシリン/ストレプトマイシン,1%
グルタミン。
【0040】 DLD−1:ATCCから入手。Ki−ras遺伝子とp53遺伝子との突然
変異を有しているヒト結腸癌に由来の上皮細胞。所要培養培地:DMEM,10
%ウシ胎仔血清,1%ペニシリン/ストレプトマイシン,1%グルタミン。
【0041】 T47:ATCCから入手。乳癌患者の胸水から単離した細胞。所要培養培地
:RPMI,10%ウシ胎仔血清,1%ペニシリン/ストレプトマイシン,1%
グルタミン。
【0042】 BT20:ヒト乳癌に由来の細胞。所要培養培地:RPMI,10%ウシ胎仔
血清,1%ペニシリン/ストレプトマイシン,1%グルタミン。
【0043】 MCF−7:ヒト乳癌に由来の細胞。所要培養培地:RPMI,10%ウシ胎
仔血清,1%ペニシリン/ストレプトマイシン,1%グルタミン。
【0044】 T24:ATCCから入手。Ha−ras遺伝子の突然変異を有しているヒト
膀胱癌に由来の細胞。所要培養培地:RPMI,10%ウシ胎仔血清,1%ペニ
シリン/ストレプトマイシン,1%グルタミン。
【0045】 NHDF:Boerhinger Ingelheimから入手。突然変異遺
伝子を有していない一次培養物中の正常なヒト皮膚線維芽細胞(成人)。製造業
者が要求する培地。
【0046】 実施例 実施例1:モノクローナル抗体の作製 1.1−G3BPタンパク質の産生 Parkerら(Mol.Cell.Biol.16(1996)2561)
に記載のプロトコルに従ってSF9細胞の培養物を調製した。バッファHNTG
(50mMのHepes,pH7.5、150mMのNaCl、1%のトリトン
X100、10%のグリセロール、1mMのMgCl、1mMのEGTA)中
で、ホスファターゼインヒビター(1mMのNaVO、10mMのNa 、10mMのNaF)及びプロテアーゼインヒビター(1μg/mlのロ
イペプチン、1μg/mlのトリプシンインヒビター、1μg/mlのペプスタ
チンA、2μg/mlのアプロチニン、10μg/mlのベンズアミジン、1m
Mのフェニルメタンスルホニルフルオリド、1μg/mlのアンチパイン、1μ
g/mlのキモスタチン)の存在下で細胞を溶解する。溶解液を遠心し(15,
000g、15分)、洗浄バッファHG(50mMのHepes,pH7.5、
10%のグリセロール、1mMのEGTA、ホスファターゼインヒビター及びプ
ロテアーゼインヒビターの存在下)で5倍に希釈する。次に、ヘパリン−セファ
ロース高速流ゲル(Pharmacia LKB)から成るゲルを1mlのゲル
あたり15mgのタンパク質の割合で供給しながら溶解液を12時間インキュベ
ートし、同じバッファ(50mMのHepes、0.030MのNaCl、0.
2%のトリトンX100、10%のグリセロール、1mMのMgCl、1mM
のEGTA)に平衡させる。複合体をPharmaciaのK26カラムに移す
。10倍容の平衡バッファ(50ml/時)でカラムを洗浄し、次いでタンパク
質を100mMのNaClバッファ、次いで600mMのNaClバッファに溶
出させる。GAP−SH3結合の活性を含む画分を集めて、HGバッファで10
倍に希釈し、アガロース−ポリリボウリジル酸AGPOLY(U)カラム(6型
カラム、19cm×1cm、Pharmacia)に、1mlのゲルあたり1
.3mgのタンパク質の割合で充填する。カラムを同じバッファ中で5ml/c
−1の流速で予め平衡させる。HNGバッファ(60mMのNaCl)で
洗浄後、229mlのバッファを使用し0.06−0.32MのNaClの直線
勾配で夾雑タンパク質を溶出させ、0.7MのNaClの存在下でG3BPタン
パク質を溶出させる。POLY(U)クロマトグラフィー後に得られたG3BP
タンパク質を含有する画分を集めて、プロテアーゼインヒビターを加えた燐酸塩
バッファpH7.5で12倍に希釈し、60mMのNaClを含む同じバッファ
中で30ml時−1の流速で予め平衡させた1mlのMonoS HR5/5カ
ラム(Pharmacia)に充填する。カラムを洗浄した後、40mlのバッ
ファを使用し0.06−1MのNaClの直線勾配でタンパク質を溶出させる。
G3BPタンパク質は0.15M NaClと0.2M NaClとの間に溶出
する。
【0047】 1.2−マウスの免疫感作プロトコル 6週齢の雌のBALB/cマウスに25μgのG3BPを腹腔内注入し、これ
を免疫感作0日目(D0)とした。免疫感作14日目(D14)に2回目の腹腔
内注入、次いで45日目(D45)及び80日目(D80)にそれぞれ3回目及
び4回目の注入を行った。5回目の注入(10μgのG3BPタンパク質)は1
65日目(D165)に静脈内経路で行い、その3日後に脾臓細胞を抽出して融
合させた。脾臓細胞を、一方ではマウスのミエローマ細胞SP2/O−Ag14
に融合させ、他方ではマウスのミエローマ細胞X63Ag8/653に融合させ
た。脾臓細胞/ミエローマ細胞の比は5:1である。ポリエチレングリコールP
EG pm 1500(最終濃度40%)の存在下でリンパ球ハイブリダイゼー
ションを行う。ウェルあたり10,000個のBalb/Cマウスの腹腔内マク
ロファージが存在する16個の96ウェルプレートを準備した。脾臓細胞の使用
量はウェルあたり2.5×10−10細胞の範囲である。使用した培地は、
RPMI 1640(Biowhittaker et Gibco)、2mM
のグルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、100mMのヒポキサンチン、
0.4μMのアミノプテリン、16μMのチミジンを含むHAT、220%の補
体を除去したウシ胎仔血清、100U/mlのペニシリン、100μg/mlの
ストレプトマイシンを含む。
【0048】 融合3日後に最初のクローンが出現する。融合7日後に培地を交換し、最後に
融合10日後にウェルあたり5000個のマクロファージを加える。1つのハイ
ブリドーマだけが生じたウェルを同定し、上清を採取してスクリーニングする。
【0049】 融合によって得られたハイブリドーマの上清をウェスタンブロット法でスクリ
ーニングする。ER22細胞及びHCT116細胞の細胞抽出物(50μg)、
組換えG3BPタンパク質、対照タンパク質SAM68を7.5%のドデシル硫
酸ナトリウムを含むポリアクリルアミドゲル(SDS−PAGE)で電気泳動に
かけ、次いでポリ二フッ化ビニリデン膜(PVDF Millipore Co
rpo.)に転移させた。非特異的結合をECLバッファ(20mMのトリス,
pH7.4、150mMのNaCl、0.05%のトゥイーン20)中の2%ス
キムミルクによって室温で20分間ブロックする。
【0050】 次に、ブロッキングバッファで1/50に希釈した種々の上清と共に膜を4℃
で一夜インキュベートする。ECLバッファ−0.05%トゥイーン20で洗浄
後、ペルオキシダーゼにコンジュゲートした抗マウス抗体及び化学発光試薬EC
L(NEN Life Science Product)と共にインキュベー
トすることによって結合タンパク質を検出する。
【0051】 このスクリーニングによって3つのハイブリドーマを採取した。採取したハイ
ブリドーマをG3B 1E1、G3B 1F1 1D1及びG3B11H7と呼
ぶ。
【0052】 実施例2−Mab 1F1抗体によって認識されるエピトープの同定 Parkerら(Mol.Cell.Biol.16(1996)2561)
に記載の技術に従って組換えバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞(SF9)
の発現系中でG3BPタンパク質の種々のフラグメントを産生させた。これらは
フラグメント“1”(aa 72−350)、“2”(aa 72−235)、
“3”(aa 144−341)、“4”(aa 236−350)及び“5”
(aa 299−466)である。バキュロウイルス系で産生させたこれらのフ
ラグメントをウェスタンブロット法で試験した。
【0053】 2.1−ウェスタンブロット法によるタンパク質の検出 培養培地を除去した後、増殖細胞を4℃の燐酸塩バッファ中で2回洗浄する。
1mlのHNTGバッファ(50mMのHEPES,pH7.5、150mMの
NaCl、1%のトリトンX−100、10%のグリセロール、1mMのMgC
、1mM)+ホスファターゼインヒビター(1mMのNaVO、10m
MのNa、10mMのNaF)+プロテアーゼインヒビター(1μg
/mlのロイペプチン、1μg/mlのトリプシンインヒビター、1μg/ml
のペプスタチンA、10μg/mlのベンズアミジン、1mMのフェニルメチル
スルホニルフルオリド、1μg/mlのアンチパイン、1μg/mlのキモスタ
チン)の存在下で培養容器で直接溶解させる。7.5%のドデシル硫酸ナトリウ
ム(SDS)−ポリアクリルアミド(PAGE)を含むアクリルアミド電気泳動
ゲルでタンパク質を分離し(16時間、60ボルト)、次に半液体転移法によっ
てタンパク質をポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)膜(Millipore
Corp.)に転移させる。25mMのトリス塩基、グリシン192、0.15
%のSDS、20%のメタノールから成る転移バッファ中で60ボルトの電圧下
、4℃で3時間転移させる。膜をPBSで洗浄し、次いで0.05%のトゥイー
ン20と2%のスキムミルクとを加えたPBS中で室温で2時間飽和させる。膜
を、第一抗体を含むECLバッファ(20mMのトリス,pH7.4、150m
MのNaCl)+0.05%のトゥイーン20+2%のスキムミルク中で4℃で
12時間インキュベートする。MAB 1F1抗体を1/10000に希釈する
。次いでECLバッファ+0.05%トゥイーン20による室温で10分間の膜
の洗浄を4回または5回繰り返す。次に第二抗体(抗マウス抗体)をECL+0
.05%のトゥイーン20の存在下で室温で45分間添加する。抗体がペルオキ
シダーゼに結合すると、Enhanced ChemiLuminescenc
e(ECL)法によってタンパク質を検出し得る。膜をPBSバッファ+0.0
5%トゥイーン20で4回または5回洗浄し、ECL試薬中で1分間インキュベ
ートする。製造業者(NEN Life Science Product)の
指示通りの手順で検出する。
【0054】 結果を図1に示す。結果は、Mab 1F1抗体がフラグメント“1”(aa
72−350)及び“2”(aa 72−235)を検出し得ることを示す。
フラグメント“2”に共通のゾーンを含む中央フラグメント“3”(aa 14
4−341)は認識されない。フラグメント“4”(aa 236−350)及
び“5”(aa 299−466)も認識されない。
【0055】 これらの結果は、Mab 1F1抗体によって認識されるエピトープがG3B
Pタンパク質のN末端領域、最初の144個のアミノ酸に対応するゾーン、より
特定的にはG3BPタンパク質の酸ドメイン(aa 144−221)の上流に
位置する最初の100個のアミノ酸を含むゾーンに局在することを示す。
【0056】 実施例3:種々の細胞系中のG3BPタンパク質の発現レベル ヒト結腸直腸腫瘍及び種々の腫瘍細胞系中のG3BPタンパク質の発現レベル
を試験した。
【0057】 3.1−種々のヒト細胞系中のG3BPの発現レベル この実験では、培養細胞を掻取りによって採取し、2000rpmで5分間遠
心して残渣を回収する。次に細胞を10mMのHepesバッファ,pH7.2
、140mMのKCl、5mMのMgCl、0.2%のNP40及びプロテア
ーゼインヒビター中で4℃で45分間溶解させる。溶解液を14000rpmで
10分間遠心し、上清を採取する。タンパク質を定量し、上清をLaemmli
4Xバッファで変性し、95℃で10分間処理する。
【0058】 種々の溶解液のタンパク質を、10%アクリルアミド、10ウェル、1.5m
m厚のSDS−PAGE Novexミニゲルに、ウェルあたり50μg均等量
で載せる。
【0059】 泳動後、PVDF膜に電気転移させ、3%のBSAを含むTTBSバッファ〔
20mMのトリス,pH7.5、150mMのNaCl、0.1%のトゥイーン
20、0.02%のナトリウムアジド〕中で膜を不動態化する。サンプルをウェ
スタンブロット法で処理する。
【0060】 3%のBSAを含むTTBSバッファ中で0.2μg/mlに希釈したMab
1F1抗体と共に膜を2時間インキュベートする。次にTTBSによる10分
間の膜の洗浄を4回繰り返し、ペルオキシダーゼで標識した抗マウス抗体と共に
1時間インキュベートし、TTBSによる10分間の膜の洗浄を新たに4回繰り
返す。次に、膜をECL(化学発光)NEN−DupontキットによってEC
L Amershamフィルムに現像する。
【0061】 結果を図2aに示す。得られたフィルムは、正常な線維芽細胞系NHDFに比
較すると全部の被験腫瘍細胞系中でG3BPタンパク質が超発現していることを
示す。この超発現のレベルは、細胞系によってばらつきがあるが、細胞系中のr
as遺伝子の活性化状態には依存しない。HCT116、H460またはDLD
−1のような突然変異遺伝子Ki−rasを有する細胞系はG3BPタンパク質
を多少とも強力に発現し、HeLa細胞またはHT29細胞のようなras遺伝
子の突然変異を有していない細胞系もまた同様に強力な様々のG3BP発現レベ
ルを有している。
【0062】 しかしながら、Ki−ras遺伝子が欠失したHKe−3細胞及びHK2−6
細胞では、起原となる細胞HCT116に比べてG3BPの発現レベルが低下し
ていること、しかしながら発現が消滅してはいないことが確認された。
【0063】 ヒト生検組織中のG3BPの発現レベル 健常組織または腫瘍組織のサンプルをスライドガラスに固定した。各スライド
ガラス上の組織に40μlのHNTGバッファを滴下してサンプルを可溶化する
。抽出物を14000rpmで10分間遠心し、上清を採取する。タンパク質を
定量し、Laemmli 4Xバッファで95℃で10分間熱処理することによ
って変性する。
【0064】 20−30μgのタンパク質のサンプルを、7.5%ドデシル硫酸ナトリウム
を含むポリアクリルアミドゲル(SDS−PAGE)で電気泳動させ、次いでポ
リ二フッ化ビニリデン膜(PVDF Millipore Corpo.)に転
移させる。非特異的結合を、ECLバッファ(20mMのトリス,pH7.4、
150mMのNaCl、0.05%のトゥイーン20)中の2%スキムミルクに
よって室温で2時間ブロックする。
【0065】 次に、ブロッキングバッファで0.2μg/mlに希釈したMab 1F1抗
体と共に膜を4℃で一夜インキュベートする。ECLバッファ−0.05%トゥ
イーン20で洗浄した後、ペルオキシダーゼにコンジュゲートした抗マウス抗体
及び化学発光試薬ECL(NEN Life Science Product
)と共にインキュベートすることによって結合タンパク質を検出する。
【0066】 図2bに示す結果は、G3BPタンパク質が中程度に分化した腺腫中及び高度
に分化した腺腫中で超発現していることを示す。
【0067】 実施例4:ヒト腫瘍細胞の生存率に対するMab 1F1抗体のマイクロイン
ジェクションの効果 この実施例は、多様な種類の腫瘍細胞中でアポトーシスを誘発し得る本発明の
抗体の特性を証明する。
【0068】 以下に記載のプロトコルに従ってMab 1F1モノクローナル抗体を注入し
た。注入すべき溶液をPBSに透析し、0.45μmのUltraFree M
illiporeフィルターで濾過し、遠心(14000rpmで5分間)した
後で、細い針の付いた“マイクロローダ”(Roucaire)で微小毛細管に
導入する。細胞のサイズに従って、注入時間を0.1−0.3秒に設定し、注入
圧力を50hPa−150hPaの範囲に設定する。1つの条件毎に約200個
の細胞に注入を行った。
【0069】 HCT116、H460、H1299、HeLaまたはHKe−3細胞に10
mg/mlのMab 1F1モノクローナル抗体を微量注入し、注入後の3日間
をビデオ顕微鏡で撮影し録画する(2画像/分)。注入された細胞の変化(分裂
、細胞死、形態変化)をフィルムの読取りによって観察し、定量(1時間あたり
の分裂細胞または死滅細胞の数)し得る。縮合及び断片化(アポトーシスを生じ
た細胞で観察されるイベント)後に支持体から分離する細胞だけを計数する。
【0070】 HCT116細胞にMab 1F1抗体を注入することによって得られた結果
を図3に示す。Mab 1F1抗体注入の12時間後以降に細胞死が高いパーセ
ンテージで誘発され、24−48時間の範囲にピークが存在する。
【0071】 HCT116細胞中でMab 1F1抗体を種々の用量で試験した。10mg
/mlから3mg/mlの範囲では細胞死の誘発効果は同等である。即ち、Ma
b 1F1抗体は、注入された細胞の少なくとも50%の細胞死を誘発する。1
mg/mlの抗体用量では効果が著しく低下する。
【0072】 対照としてマウスの免疫グロブリンを10mg/mlの濃度でHCT116細
胞に注入すると、細胞死は全く生じない。注入された細胞は正常な分裂を続ける
【0073】 HCT116細胞中でMab 1F1抗体が示したこの毒性作用は、アポトー
シスを開始した細胞のDNAの切れ目を特異的に検出し得る蛍光性“TUNEL
”法の使用によって確認された。
【0074】 方眼の付いたカバーガラス(cellocates−Roucaire)に細
胞を播種し、4ウェルプレートに載せる。播種の2日後、これらのカバーガラス
上の細胞にMab 1F1抗体または対照となるマウスの免疫グロブリンを10
mg/mlで注入する。注入後、細胞を定温器に戻して40時間維持する。細胞
を4%のホルムアルデヒドで15分間固定し、0.2%のトリトンX−100で
5分間処理して浸透性にし、燐酸塩バッファで数回洗浄する。次に以下の抗体を
使用して37℃で1時間二重標識する: −注入された細胞を検出するための1/400に希釈したテキサスレッドで標
識した抗マウス抗体、 −アポトーシス細胞のDNAの切れ目を特異的に緑色に標識するBoerhi
ngerの“In situ細胞死検出”キット。
【0075】 次にカバーガラスを固定培地(Vectashield−Biosys)中の
スライドガラスに取り付ける。
【0076】 種々の色を選択するフィルターによって蛍光中で観察すると、一方で注入され
た細胞、他方でアポトーシス細胞を計数し得る。
【0077】 上記手順で行った独立の3つの実験の結果、40時間後のHCT116細胞の
アポトーシスによる細胞死は9−18%である。対照として免疫グロブリンを同
じ条件で注入したHCT116細胞では細胞死が全く生じないことが確認される
【0078】 H460、H1299、HeLa及びHKe−3細胞に対しても同様にMab
1F1抗体のマイクロインジェクション後の録画試験を行うと、注入の12時
間後から60時間後までに少なくとも50%の細胞の細胞死が生じた図3のグラ
フに示した結果と同様の結果が得られた。
【0079】 HCT116細胞及びH460細胞で“TUNEL”標識試験を行うと、同等
の結果が得られた(抗体注入の40時間後に9−18%の細胞がアポトーシスを
開始している)。
【0080】 実施例5:健常なヒト線維芽細胞NHDFの生存率及び増殖に対するMab 1F1抗体のマイクロインジェクションの効果 5.1−健常なヒト線維芽細胞NHDFの生存率に対するMab 1F1抗体
のマイクロインジェクションの効果 Mab 1F1抗体を微量注入した増殖性NHDF細胞の録画試験は、注入後
60時間は細胞死が全く観察されないこと、及び、正常な細胞分裂が続けられて
いることを示す。
【0081】 5.2−健常なヒト線維芽細胞NHDFの増殖に対するMab 1F1抗体の
マイクロインジェクションの効果 培養中の正常細胞には増殖因子が供給される必要がある。細胞から増殖因子が
奪われると、細胞はいわゆる“非増殖”期、即ち休止状態になり、DNAの複製
をもはや行わない。従って、培養培地に添加したチミジンの類似体であるブロモ
デオキシウリジンを取込むことができない。ブロモデオキシウリジンをDNAに
取込むことができるのは増殖中の細胞だけである。
【0082】 休止状態のNHDF細胞にMab 1F1抗体を10mg/mlの濃度で微量
注入し、これらの細胞を増殖因子とブロモデオキシウリジン(BrdU)とを含
む培地に戻し、24時間の接触によって抗−BrdU抗体に固定させて着色する
と、細胞増殖の33%が阻害されていることが確認される。
【0083】 この阻害は、Mab 1F1抗体を注入した細胞中のBrdUを取込んだ細胞
のパーセンテージと、マウスの免疫グロブリンを注入した細胞中のBrdUを取
込んだ細胞(対照)のパーセンテージとを比較することによって計算される。
【0084】 別の抗G3BPモノクローナル抗体(11H7)を同じ条件でNHDF細胞に
注入した。 表1:NHDF細胞の細胞増殖に対するG3BP特異的抗体注入の効果
【0085】
【表1】
【0086】 免疫グロブリンは細胞増殖を妨害しないが、11H7抗体はMab 1F1抗
体の効果と同様の効果を有すること、即ち32−33%の増殖阻害を生じさせる
ことが確認された。
【0087】 この阻害の原因は、Mab 1F1抗体または11H7抗体によって内因性G
3BPタンパク質がブロックされることにある。この点で、この増殖阻害が正常
なNHDF細胞中では一時的でしかなく、いかなる場合にも細胞死を生じさせな
いことに注目されたい。実際、抗体は細胞質中で自然に分解され、(注入の約4
0時間後に)細胞の正常なサイクルが回復する。
【0088】 実施例4及び5に示した結果は、Mab 1F1抗体は、G3BPが超発現し
ている被験ヒト腫瘍細胞の少なくとも50%でアポトーシスを誘発するが、G3
BPの発現が少ない正常なヒト細胞に注入されたときは無毒性であることを証明
する。腫瘍細胞中のこの効果はras遺伝子の活性化状態には恐らく無関係であ
ろう。更に、Mab 1F1抗体は、休止細胞に注入されたときは正常なNHD
F細胞の増殖を一時的に停止または抑制する。
【0089】 実施例6:ハイブリドーマG3B 1F1 1D1を出発材料とする細胞内抗
−G3BP抗体をコードするDNA配列のクローニング及び発現 この実施例は、Mab 1F1モノクローナル抗体の特性を再現する細胞内抗
体をコードする核酸配列のクローニング及び発現を記載する。
【0090】 6.1−DNA配列の作製 細胞内抗体をコードするDNA配列(ScFvフラグメント)を米国特許第4
,946,778号に記載の技術によって調製する。この配列を次に、哺乳類細
胞中で機能プロモーターのコントロール下に配置する。
【0091】 Chirguin S.H.ら(Biochemistry 18,5294
(1979)によって記載された技術に従ってハイブリドーマG3B 1F1
1D1の細胞培養物からRNA poly Aを単離する。任意のヘキサヌクレ
オチドから形成されたマウスのプライマーを用いてこれらのRNAを逆転写反応
させる。得られたcDNAは2つのPCR反応のマトリックスとして使用できる
【0092】 第一のPCR反応はH鎖の可変フラグメント(VH)をVH特異的プライマー
によって増幅させる反応であり、第二のPCR反応は、マウス配列に由来の10
個のプライマーの混合物を使用してVLフラグメントを得る反応である。
【0093】 340bp及び325bpの2つのフラグメントをこのようにして作製し、V
HのcDNAをVL.PCRのcDNAの5′に正確に配置し得るリンカーによ
って結合させる(Recombinant Phage Antibody S
ystem Mouse ScFv Module,Pharmacia,27
−9400−01)。
【0094】 融合した核酸配列VH−リンカー−VLを次に、細胞内抗体を発現させ得るフ
ァージミドに挿入する。この発現によって、抗原を正しく認識する細胞内抗体が
容易に同定及び選択される。この段階では、G3BPを認識し得る抗体をELI
SAアッセイで選択する(Recombinant Phage Antibo
dy System Expression Module,Pharmaci
a,27−9401−01)。
【0095】 6.2−修飾された細胞内抗体の機能評価 修飾された細胞内抗−G3BP抗体をコードする配列をファージミドから制限
によって単離し次いでベクターSV2(Schweighofferら,Sci
ence,256,825−827(1992))またはpCDNA3(InV
itrogen,V790−20)に挿入する。このようにして得られたプラス
ミドをpSV−ScFvG3BPまたはpCDNA3ScFvG3BPと命名す
る。以下に記載の試験によって機能を評価する。
【0096】 (a)固定化していない哺乳類NHDF細胞及び形質転換細胞系(HCT11
6、H460、Hke−3、H1299、Hela)へのマイクロインジェクシ
ョンによる機能評価。従来技術に記載された技術によって形質転換細胞系中のア
ポトーシスを観察し、細胞生存率に対する細胞内抗体の効果をMab 1F1抗
体の活性との比較によって測定する。
【0097】 (b)形質転換細胞系及び正常細胞に対するneo耐性試験による機能評価。
プラスミドpCDNA3G3BPを形質転換細胞系(HCT116、Hke−3
、H460、H1299、Hela)及び非形質転換ヒト細胞にトランスフェク
トする。トランスフェクションの3日後に、形質転換細胞をジェネチシンの存在
下で選択する。この試験では、一本鎖抗体を、腫瘍細胞の増殖を阻害するG3B
Pフラグメント(このフラグメントに対応する核酸配列を同じ発現ベクターに含
ませる)に比較する。
【0098】 (c)病巣形成の阻害による機能評価。一本鎖抗体の病巣形成阻害能力を国際
特許WO94/29446に記載の技術によって試験する。腫瘍体積の縮小試験
ではRas以外の癌遺伝子で形質転換させた場合についても試験する。
【0099】 (d)このScFvの発現がG3BP1によるRNA結合活性及び/またはR
NAのエンドヌクレアーゼ切断に与える影響の試験に基づく機能評価。実際、M
ab 1F1モノクローナル抗体のマイクロインジェクションによって誘発され
るアポトーシスは、特異的タンパク質因子との相互作用の解離、または、RNA
結合活性及び/またはエンドリボヌクレアーゼ開裂活性の変化として現れる。得
られたScFv抗体の特性はまた、これらの相互作用を変化させる能力に基づい
て決定され得る。
【0100】 実施例7:G3BP1タンパク質の上のMab 1F1抗体の別の認識ドメイ
ンの同定。ヒトのG3BPタンパク質とG3BP2(またはG3BPh)タンパ
ク質との配列比較。
【0101】 G3BPタンパク質はタンパク質の1つのファミリーに属しており、このファ
ミリーには、G3BPにヌクレオチドのレベルで60.9%、タンパク質のレベ
ルで58.9%の一致を示す短いG3BP2タンパク質(AF 051311、
GenBank)と、G3BP2配列(短い形態)の790に99ヌクレオチド
のインサートを有している長いG3BP2タンパク質(AB 014560、G
enBank)とが存在する。
【0102】 G3BPタンパク質とG3BP2タンパク質とのタンパク質配列を比較すると
、タンパク質の主要ドメインが保存されていることが判明する。即ち: 1−Mab1F1モノクローナル抗体のターゲットとなるN末端領域(この領域
はNTF2(核輸送因子2)タンパク質と相同性を有している); 2−酸領域; 3−タンパク質−タンパク質相互作用に関与するPXXPモチーフに富む領域; 4−RNAで認識されるRRMドメイン及び付加モチーフと“RGG”(アルギ
ニン、グリシン、グリシン)ボックスとを含む領域。
【0103】 ウェスタンブロット試験では意外にも、Mab1F1モノクローナル抗体は組
換えG3BP2タンパク質(短い形態)を認識できない。N末端配列を比較する
と、図4にトレマ記号で示すような複数の相異が観察される。
【0104】 種々の分岐領域をすべて包含するペプチドを使用して、G3BPタンパク質の
上の抗体認識ドメインの正確な位置を判断する。
【0105】 第一段階では、上記のタンパク質の配列比較によって種々のペプチド(A−F
)を合成した: ペプチドA:LLNQAPDMLHRFY G3BPタンパク質のアミノ酸22−34 ペプチドB:LLNKAPEYLHRFY G3BP2タンパク質のアミノ酸22−34 ペプチドC:HGGLDSNGKPADAV G3BPタンパク質のアミノ酸42−55 ペプチドD:HGGVDASGKPQEAV G3BP2タンパク質のアミノ酸42−55 ペプチドE:LLSNNNQALRRFMQ G3BPタンパク質のアミノ酸97−111 ペプチドF:HNDIFRYQDEVFG G3BPタンパク質のアミノ酸127−139。
【0106】 次にこれらのペプチドについて以下の能力を試験した: (i)ELISA試験でMab1F1抗体を認識する能力; (ii)ウェスタンブロット試験でMab1F1抗体によるG3BPタンパク質
の認識を阻害する能力。
【0107】 (i)ELISA試験によるペプチドA−Fの試験 炭酸塩バッファ(0.1M,pH9.6)中の10mg/mlのペプチドの溶
液を96ウェルのプレートに4℃で一夜吸着させることによって固定した。PB
Sで1回洗浄した後、PBSバッファ/1%BSA中でウェルを室温で4時間維
持して飽和させた。PBS/0.05%トゥイーンで3回洗浄した後、種々のウ
ェルを次に、PBS/0.2%BSA中の精製Mab1F1抗体の希釈物(10
ng/mlから1pg/mlまで)に室温で1時間接触させた。PBSバッファ
/0.05%トゥイーンで3回洗浄した後、ウェルをペルオキシダーゼに結合し
た抗マウス抗体の希釈物(PBS/0.2%BSA(Pharmacia)で1
/1000に希釈)と共に室温で1時間インキュベートした。PBSバッファ/
0.05%トゥイーンで3回洗浄した後、10mlのHOとOPD錠剤と10
0mlのメタノールと25mlのHとを混合することによって比色反応を
進行させた。50mlの4NのHSOで反応を停止させ、492nmで分光
光度読取りを行った(標準フィルター620nm)。
【0108】 得られた結果によれば、この試験ではペプチドAが最も反応性であり、ELI
SA試験でMab1F1抗体を認識できることが判明する。これらの結果は、M
ab1F1抗体によって認識されるエピトープがG3BPのアミノ酸22−34
によって形成されるドメインに存在することを示す。1E1抗体で行った同じ実
験でも等しい結果が得られた。
【0109】 (ii)Mab1F1抗体によるG3BPタンパク質の認識を阻害するペプチ
ドA−Fの能力に関するウェスタンブロット試験 ウェスタンブロット法によるタンパク質の検出を実施例2に記載の技術(2.
1:ウェスタンブロット法によるタンパク質の検出)に従って行った。競合のた
めに、抗体を膜に接触させる前にペプチドの希釈物と共に37℃で2時間プレイ
ンキュベートした。各ペプチドについて、2種類の濃度、即ち抗体に対して10
倍及び100倍のモル過剰量で試験した。次いで実施例2.1に記載の手順で検
出した。
【0110】 得られた結果は、ペプチドA及びCが(主として100×のモル過剰量のとき
に)G3BPタンパク質とMab1F1抗体との相互作用に置換し得ることを示
す。
【0111】 これらの結果を総合すると、ペプチドA(G3BPのアミノ酸22−34)及
びペプチドC(G3BPのアミノ酸42−55)がMab1F1抗体による認識
に関与するG3BPのドメインに対応することが示唆される。
【0112】 従って、G3BPと短い形態G3BP2との配列比較によって、種々のペプチ
ドを同定し、G3BPによるアポトーシスのコントロールに関与するこれらのペ
プチドの役割を解明し得る。これらの結果から、これらのペプチドの種々の用途
が考えられる。特に分子モデルの作製、これらのペプチドまたはこれらのペプチ
ドを取込んだポリペプチドと同じ効果をもつ小分子の作製にこれらのペプチドを
使用し得る。これらのペプチドは更に、G3BPタンパク質と相互作用する細胞
性因子に置換し得る。タンパク質が二量体を形成できることは証明されているの
で、この細胞性因子はG3BP自体でもよい。この因子はまた公知の因子(Ra
sGAP)でもよく、または新しく同定された因子でもよい。このためには、樹
脂に結合したこれらのペプチドを使用してG3BPと相互作用する細胞性因子を
探索し得る。最後にこれらのペプチドの使用によって、タンパク質−タンパク質
相互作用の阻害に基づく治療有効分子の確実なスクリーニングが得られる。
【0113】 実施例8:G3BP1のフラグメントの構築及びこれらのフラグメントのアポ
トーシス活性 実施例7で得られた結果に基づいて、G3BPのN−末端フラグメントを発現
させ得るプラスミドを構築し、これらのフラグメントのアポトーシス活性を試験
した。このために、フラグメントを以下のプライマーからPCRによって増幅し
た:
【0114】
【化1】
【0115】 フラグメント(1−150)及び(42−150)をPCRによって増幅し(
50℃で30サイクル)、制限酵素SalI及びNotIによって加水分解し、
次いで、市販のベクターpCMV/cyto(Invitrogen,pSho
oter Vector mannual II,version C)に挿入
した。
【0116】 得られたフラグメントの配列を以下に示す。ベクター由来の翻訳配列を大文字
で示す。G3BP cDNAの配列を小文字で示す。下線領域はTag myc
をコードするベクターの配列に対応する。
【0117】
【化2】
【0118】 対応するポリペプチドを以下に示す。このポリペプチドは、配列1に示す配列
のG3BPタンパク質のアミノ酸1−50に対応するフラグメントを含む。この
フラグメントは以下に太文字で示される。
【0119】
【化3】
【0120】
【化4】
【0121】 対応するポリペプチドを以下に示す。このポリペプチドは、配列1に示す配列
のG3BPタンパク質のアミノ酸15−50に対応するフラグメントを含む。こ
のフラグメントは以下に太文字で示される。
【0122】
【化5】
【0123】 G3BPのヌクレオチド配列のフラグメント1−150及び42−150を含
む構築物を形質転換細胞系NIH3T3Ras及びNIH3T3Rafにトラン
スフェクトした。これらの細胞系は、NIH3T3細胞を癌遺伝子Ki−Ras
Val12または癌ウイルスv−Rafの形態によって形質転換させた後に得ら
れた。
【0124】 アポトーシスを検出するために、2mgのプラスミドにリポフェクタミン(G
ibco−BRL)をトランスフェクトし、トランスフェクションの48時間後
にFACS分析によってアポトーシスを測定した。アポトーシスを生じた細胞は
サブG1期の細胞に対応する。
【0125】 これらの条件で、G3BPの配列の(アミノ酸1−50を含むG3BPのフラ
グメントをコードしている)フラグメント1−150を発現する構築物は、アポ
トーシス(4因子)を誘発し得るが、G3BPの配列の(アミノ酸15−50を
含むG3BPのフラグメントをコードしている)フラグメント42−150を発
現する構築物はこの特性を有していない。
【0126】 これらの結果は、G3BPのアミノ酸1−14に対応するドメインがアポトー
シスの誘発に関与するドメインであることを示す。B3BPのこのドメインを同
定し、G3BPのアミノ酸1−14に対応するドメインを含むポリペプチドがア
ポトーシスのコントロールに果たす役割を証明すれば、これらのポリペプチドが
細胞増殖異常を含む疾患の予防、軽減及び/または治療に使用できると期待し得
る。
【0127】 実施例9:huG3BP1のフラグメントによる融合タンパク質の構築 実施例7で同定したペプチドを発現し得る構築物を作製する。ペプチドに対応
する配列を安定させるためにGST(グルタチオン S−トランスフェラーゼ)
タンパク質に融合させる。
【0128】 オリゴヌクレオチドの配列: センスオリゴヌクレオチドの各々は、5′端にNcoI部位を復元する4個の
ヌクレオチドを有しており、3′端に終止コドン(TAA)及びBamHI部位
を形成する1組のヌクレオチドを有している。
【0129】
【化6】
【0130】 オリゴヌクレオチド対を80℃から室温に冷却することによってハイブリダイ
ズさせ、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Boehringer)によってリン
酸化し、ベクター“pBCcollGSTfusion”のNcoI部位及びB
amHI部位に挿入する。このベクターは真核細胞中でGST融合タンパク質を
SV40プロモーター(Genbank、X78316)から発現させ得る。次
いでプラスミドをヒト腫瘍細胞系Hela及びH1299(材料及び方法の項に
記載)にトランスフェクトし、誘発されたアポトーシスを実施例8に記載のよう
にFACSで測定する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ウェスタンブロット法で同定された抗体Mab 1F1によって認識されるG
3BPの種々のドメインを表す。
【図2a】 図2aは、種々の細胞系中のG3BPタンパク質の発現レベルの比較を表す。
【図2b】 図2bは、種々の細胞系中のG3BPタンパク質の発現レベルの比較を表す。
【図3】 HCT116細胞に対する抗体Mab 1F1のマイクロインジェクションの
効果を示す。
【図4】 ヒトのG3BPタンパク質とG3BP2タンパク質との配列比較を示す。N末
端配列を比較すると、トレマ記号で示すような幾つかの相異が観察される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 G01N 33/574 C12P 21/08 33/577 G01N 33/574 C12R 1:91) 33/577 C12N 15/00 C //(C12N 5/10 5/00 B C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AU,BA,BB,BG,BR ,CA,CN,CU,CZ,GD,GE,HR,HU, ID,IL,IN,IS,JP,KP,KR,LC,L K,LR,LT,LV,MG,MK,MN,MX,NO ,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,SK,SL, TR,TT,UA,US,UZ,VN,YU,ZA (72)発明者 デユシエーヌ,マルク フランス国、エフ−94370・スシ−アン− ブリ、リユ・ドユ・ジエネラル・ドウ・ラ ルミナ、71 (72)発明者 バルラ,イザベル フランス国、エフ−94510・ラ−ク−アン −ブリ、リユ・ドユ・8・メ・1945、14 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA44 GA03 4B064 AG27 CA20 CC24 DA03 4B065 AA91X AB05 AC14 CA25 CA44 4C085 AA14 BB36 DD22 DD23 DD32 EE01 EE06 FF24 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA76 EA20 EA50 FA72

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多様な種類の腫瘍細胞中でアポトーシスを誘発し得るG3B
    Pタンパク質に対するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 G3BPタンパク質のアミノ酸位置1−144の間に存在す
    るエピトープを認識し得るモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】 G3BPタンパク質のアミノ酸位置1−72の間に存在する
    エピトープ、好ましくはG3BPタンパク質のアミノ酸位置22−55の間に存
    在するエピトープ、より好ましくはアミノ酸位置22−34から成るエピトープ
    を認識し得る請求項1または2に記載のモノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】 1998年6月9日付けでC.N.C.M.に登録番号I−
    2038で寄託されたハイブリドーマ細胞系G3B 1F1 1D1によって分
    泌されるモノクローナル抗体Mab 1F1であることを特徴とする請求項1か
    ら3のいずれか一項に記載の抗体。
  5. 【請求項5】 医薬を製造するための請求項1から4のいずれか一項に記載
    の抗体の使用。
  6. 【請求項6】 異常増殖性疾患を治療または予防する医薬を製造するための
    請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体の使用。
  7. 【請求項7】 医薬として許容される担体に任意に混合された治療有効量の
    請求項1から4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体を含み、前記量は腫
    瘍細胞中でアポトーシスを誘発する治療的に有効な量であることを特徴とする医
    薬組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1から4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体
    を分泌し得るハイブリドーマ細胞系。
  9. 【請求項9】 1998年6月9日付けでC.N.C.M.に登録番号I−
    2038で寄託されたハイブリドーマ細胞系G3B 1F1 1D1。
  10. 【請求項10】 (1)G3BPタンパク質またはN−末端ドメイン(aa
    1−144)の少なくとも一部を含むそのフラグメントによって免疫感作され
    た動物の脾臓細胞とミエローマ細胞とを、ハイブリドーマが形成され得る条件下
    で融合させる段階と、(2)前記ハイブリドーマのうちで種々の腫瘍細胞系中で
    アポトーシスを誘発し得るモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを検出
    し単離する段階とから成ることを特徴とする種々の腫瘍細胞系中でアポトーシス
    を誘発し得るモノクローナル抗体の産生方法。
  11. 【請求項11】 診断用試薬とすることを特徴とする請求項1から4のいず
    れか一項に記載の抗体の使用。
  12. 【請求項12】 請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体を含むことを
    特徴とする診断用キット。
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