JP2002515965A - 抗体触媒反応の調節による有機化合物の検出 - Google Patents

抗体触媒反応の調節による有機化合物の検出

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Abstract

(57)【要約】 この発明は、試料中に標的有機分子が存在することを測定する方法を提供するものであり、その方法は、(A)第一に、標的有機分子とリポーター分子の接合体である基質分子を、試料に添加し、第二に(1)標的有機分子が試料中に存在している場合、標的有機分子を認識して結合し、および(2)標的有機分子が試料中に存在していない場合、基質分子を認識して結合する触媒性モノクローナル抗体を試料に添加し、次いで第三に標的有機分子が存在していないことを示す試料中の変化、すなわち抗体触媒反応の生成物を検出して、試料中に有機分子が存在していることを突きとめ、または(B)第一に、標的分子に対して相補的な分子およびリポーター分子の接合体である基質分子を試料に添加し、第二に(1)標的分子が試料中に存在している場合、標的有機分子を認識して結合し、および(2)標的分子が試料中に存在している場合に限り、基質分子を認識して結合する触媒性モノクローナル抗体を試料に添加し、次いで第三に標的分子が存在していることを示す試料中の変化、すなわち抗体触媒反応の生成物を検出して、試料中に標的有機分子が存在することを突きとめる、ことからなる方法である。

Description

【発明の詳細な説明】 抗体触媒反応の調節による有機化合物の検出 発明の背景 抗体は、診断免疫検定法、すなわち抗原とこれに対応する抗体の間の特異的相 互作用に基づいた検定法に、重要な用途がある。標的分子(一般に臨床上重要な 分子)の存在および/または量を確認する手段として免疫検定法を用いることは 公知である。 酵素も診断検定法に重要な用途がある。酵素は、標的に結合して標的を変化さ せ、その反応生成物は検出の手段を提供する。比較的少数の臨床上重要な分子が 市販の酵素と呈色反応を行いやすいが、呈色反応を行いやすい分子、例えばグル コースは、簡単で便利なディップスティック(dipstick)法で検定することがで きる(参考文献1〜12)。 抗体が酵素の機能を真似たり触媒反応を仲介することができることは公知であ る。各種の化学変化が、基質の遷移状態の類似体に対して生成する抗体によって 触媒されてきている(参考文献13〜22)。これらの反応の中で最もよく研究 され、天然酵素に近い反応速度を有する少数の反応形の反応は、活性化されたエ ステル部分が抗体によって触媒される加水分解反応である(参考文献13、14 、23〜33)。 出願人の発明より前には、一般に有用な診断免疫検定法に、抗体触媒反応を利 用した者はいなかった。その理由は、明らかである。 第一に、標的分子の抗体触媒反応は、検出法の基礎として提案されているが(参 考文献34)、大部分の標的は公知のいずれの抗体触媒反応も受けにくい。第二 に、一部少数の標的がある種の抗体触媒反応を受けやすいが、この反応型の大部 分は実用的な速度より低い速度で触媒される。第三に、標的分子は、比較的まれ に、実用的な反応速度が得られる可能性のある反応型(例えば、エステルの加水 分解反応)を受けやすいものがあるが、そのような反応の生成物は簡単な検定法 ではごくまれにしか検出可能でない。第四に、速い反応を受けやすいように特別 に処置された活性化基質で、臨床上重要な標的分子はない。最後に、抗体触媒反 応は、生成物が阻害する現象によって妨害されることが多い、すなわち、その反 応の生成物が抗体に強く結合して、その後の基質との反応が妨害される場合が多 い。 生成物による妨害は、各種の方策によって回避することできるが、依然として 触媒性抗体を実際に応用する際の障害であると考えられている(参考文献35) 。 上記の問題点がなかったら、診断免疫検定法の基本として触媒性抗体を使用す ることは、ヒトに感染する最もありふれた病原体であるクラミジア・トラコマチ ス(Chlamydia Trachomatis)由来の特定のタンパク質の存在やフェニルアラニ ンの血漿濃度の増大、すなわちフェニルケトン尿症の診断所見を始めとして、臨 床上重要な標的分子を検出するのに非常に貴重である。抗体が標的に選択的に結 合できれば、検定法の特異性が高まるであろう。すなわち、人工酵素が代謝回転 を行う(すなわち単一の酵素分子が、多数の基質分子を変化させ、その結果、信 号を増幅する)ことができれば、感度が高まる。 クラミジア・トラコマチス クラミジア・トラコマチスは、ありふれた性感染症である。米国では、毎年、 クラミジアの新しい症例が三百万〜四百万件発生し、その年間経費は、14億ド ルである(参考文献36)。クラミジアに感染すると、HIV感染の危険性が3 〜5倍に増大するようである(参考文献37)。 クラミジア感染症は、確実にかつ安価に治癒させることができるが、診断が難 しい(参考文献37)。発展途上国にとっては、診断検定法と検出装置が、高価 であるとか、医療陣に分かりにくいとか、入手不能であるとかで、特に困った問 題である。したがって、クラミジア感染を迅速にかつ安価に検出するのに使用で きる新規の使用しやすい検定法が開発されれば、世界中で問題が解決され、早期 の診断と治療を行うことができる。 現在、培養微生物の単離、封入体についての試料の直接検査、またはクラミジ ア抗原の抗体による検出が、現用検出システムの根底となっている。細胞培養 クラミジアを細胞培養で単離する方法は、依然として、クラミジア感染症を診 断する際の貴重な基準法である。淋病性リンパ肉芽腫(Lymphogranuloma Venure um)(LGV)の株は、多くの細胞系内でよく増殖するが、非LGV株は培養し にくい。McCoy細胞またはHeLa細胞が最も普通に使用される。DEAE デキストラン(正電荷を有する分子)で培養細胞を前処理することは、一般に、 組織細胞と基本小体の間の静電反発を少なくするために推奨されている。非LG V株の回収は、細胞単層上で平板培養する前に接種物を遠心分離することによっ て改善され、LGV株の場合は、改善されない。典型的に、非LGV株は、細胞 単層中に広がるLGV株と異なり、取り込まれる各々生きている基本小体に対す る単一の封入体を生成する。接種した後40〜70時間の間に、細胞質内封入体 が、Giemsa、Macchiavell、またはGimenez株によって 、いずれの細胞系中にも検出できる。McCoy細胞にはヨウ素を使用できる。 しかし、モノクローナル抗体による免疫蛍光染色法が、初代培養物中の封入体を 検出する感度が最も高い方法である。 経験が浅い研究室は、特にヨウ素染色法の場合、偽陽性の結果になることが多 い。正常封入体が、末熟な職屓によって、異常であると間違われることがある。 バイアルびん内で行う培養物の方が感受性が高いが、ミクロタイター培養(micr otiter culture)の方が、多数の培養を行う研究室にとって安価でかつ好適であ る。抗原の単離が、診断法において最も敏感な要素である。偽陰性の培養物は、 尿道内ではなくて尿道口でのサンプリング、汚染した綿棒、不適当な輸送媒体、 または直腸および子宮頸でのサンプリングによる培養汚染が原因である(参考文 献36)。直接免疫蛍光抗体試験法(DFA) 単離法または直接検出法は、クラミジア・トラコマチスが存在しているの実証 することができないことが多い。したがって、血清学的な応答が、病原体の唯一 の指標である。直接蛍光抗体試験法は、抗原として固定生物を使用し、主要外膜 タンパク質(Major Outer Membrane Protein)(MOMP)に対する種特異的フルオレセイン接合モノクロ ーナル抗体を利用して、直接塗抹標本中のクラミジアを検出する(参考文献38 、39)。これらの抗体は、尿道、子宮頚、結膜および鼻咽頭の試料中の細胞内 封入体より優勢な細胞なし基本小体(EB)を実証することができる。訓練によ って、基本小体の大きさが小さいにも関わらず、基本小体を得る際の高度の特異 性を得ることができる(参考文献36)。しかし、この検定法は、技術的に難し く、主観的でかつ労働集約的である。未熟な観察者は、アーティファクト(偽性 シグナル)をクラミジアのEBであると解釈することがある。そのうえ、ごく少 数の研究所しかこの検定を日常的に実施する設備をもっていないので、試料は分 析を行うため中央機関へ運ばねばならない(参考文献40)。酵素免疫検定法(EIAまたはELISA) 酵素免疫検定法は、クラミジアのリポ多糖に対して作られたモノクローナル抗 体またはポリクローナル抗体を標識化して用いて、試料中の封入体を確認する。 試料は、分光光度計を用いて分析する。この方法の場合、それほど徹底的には訓 練されていない職員が多数の試料を処理することができ、かつクラミジア抗原を 培養法より迅速に同定することができるので、多くの研究所がこの方法を好んで いる。しかし、EIA法は、クラミジアを検出するのに、培養法や蛍光顕微鏡法 より、一般に感度が低くかつ特異性が低い。EIA法は、細胞培養の場合有効で あるが、基本小体を直接検出するには不適当である(参考文献36)。子宮頸微 生物叢(A群連鎖球菌、アシネトバクター・カルコアセチカス(Acinetobacter calcoaceticus)、大腸菌(E.coli)、ガーディネラ・バジナリス(Gardinella vaginalis)、淋菌(Neisseria gonorrhoea)、B群連鎖球菌、肺炎杆菌(Klebs iella pneumoniae)、を含む尿病原体類)、糞便、またはFc仲介により黄色ブ ドウ球菌に結合した免疫グロブリンのFc仲介結合が主として交差反応性によっ て、上記検定法を妨害することが報告されている(参考文献41〜44)。これ らの試験法は、危険度が高い個体群と症候性の患者の場合、十分に機能するが、 EIA法の予測値は、培養物中に見出される封入体の数に直接関係し、感染度が 低い患者群または無症状の患者の場合、感度が低くなる。現時点では、この方法 は、子宮頸および尿道以外の部位由来の試料に使用することが推奨されている( 参考文献36)。DNAハイブリッド形成 クラミジア・トラコマチスのrRNAに相補的な一本鎖DNAを、アクリジニ ウムエステルで標識化し、プローブとして使用する。数回のインキュベーション と洗浄のステップの後、試料を磁力で分離し、ルミノメーター(Luminometer) で読み取る(参考文献38)。この検定法は、感度が低いため、感染の危険度が 低いかないしは中位の患者に由来の試料には、椎奨されていない。 フェニルケトン尿症 もう一つの臨床上重要な標的分子は、フェニルアラニンである。フェニルアラ ニンの濃度が高いことは、フェニルケトン尿症(PKU)、すなわち新生児10 ,000人中1人に見られるフェニルアラニンの代謝の先天的異常を示している 。 古典的フェニルケトン尿症患者は、出産時には正常に見えるが、 治療しないでおくと、一歳までに知能遅延が重篤になる。知能欠陥のため施設に 収容されている全患者の推定1%がPKUである。治療しないフェニルケトン尿 症患者の余命は、劇的に低下し、死亡率が20歳までに50%、30歳までに7 5%である(参考文献45)。 フェニルケトン尿症の早期診断は、回復不能の知能遅延を予防することができ るので、不可欠である。フェニルアラニンは必須アミノ酸であるので、フェニル アラニンの摂取制限を行うと、レベルが低下して知能遅延が防止される(参考文 献46)。高フェニルアラニン血症を放置しておくと、小児期を通じて(および 恐らくは成人期まで)脳損傷が起こるので、摂取制限を無期限に続けることが推 奨されている(参考文献47)。摂取制限の効果は、血漿中のフェニルアラニン を検定することでしか信頼性のある監視を行うことができない。古典的PKUの 有効処方箋としては、4週齢までに低フェニルアラニンの合成食品の食事を開始 する方法がある。中枢神経系の損傷が始まってから食事管理を開始すると、知能 遅延は回復しないが、行動は改善される(参考文献48、49)。 米国では、新生児のスクリーニングが強制的に行われているが、新生児は典型 的には退院の直前に一回しか検査されない。最初のスクリーニングで検出を逃れ るPKUを持った新生児が増加しており、この傾向は、この欠陥を明らかにする ために、十分なタンパク質消費を行わせる必要があることと関連している。つま り、検査を余りに早く行うと、検出し損うことがあり、このことは、最近、早期 に退院させる傾向があるので頻繁に起こっている。また、最初の生後数日間、タ ンパク質含量が比較的少ない母乳を摂取する新生児が増加している(参考文献5 0)。帝王切開で出産した幼児には、通常の新生児看護が行われないことが多く 、該疾患の検査がなされない ことがしばしばある(参考文献36)。そのうえに、高フェニルアラニン血症の 現在利用可能な選別検定法は、特異的ではあるが(99.9%)、高感度ではな い(参考文献46)。感度は、検査が行われる年齢に依存しているので、陽性検 査のための限界が設定されている。24時間齢未満で4mg/dLカットオフの 場合、PKUを持った新生児の16%が見逃される。24〜48時間齢の場合、 2.2%が見逃される。現在、2〜4週間の時点での再スクリーニングは、費用 効率がよくないと考えられている(参考文献48)。 上述のように、古典的PKUは、高フェニルアラニン血症の患者全体の約半分 を占めている。良性の高フェニルアラニン血症は、フェニルアラニンヒドロキシ ラーゼの部分的欠乏に対応し、PKU患者の残り半分を占めている。この疾患は 、フェニルアラニンのレベルがあまりひどく上昇しないので、古典的フェニルア ラニン尿症の臨床発見に至らない。あまり厳しくない食事療法によって、または 全く食事管理を行わずに、安全なフェニルアラニン血中濃度を維持できる。した がって、血中濃度が容易に監視できれば、高フェニルアラニン血症の全患者の約 99%が利益を得るであろう。高フェニルアラニン血症の症例の残りの1%は、 フェニルアラニンの代謝のための必須補助因子であるテトラヒドロビオプテリン (BH4)の欠損によって起こる。この欠損は、BH4の合成または代謝に関与し ている酵素類の内の一つ、すなわちジヒドロビオプテリン・シンテターゼ(悪性 高フェニルアラニン血症I)、ジヒドロビオプテリン・レダクターゼ(悪性高フ ェニルアラニン血症XI)またはグアノシン三リン酸・シクロヒドロラーゼ(悪 性高フェニルアラニン血症III)の欠損を反映している。これらの症状のフェ ニルアラニン血清中濃度は、20mg/dlより高い濃度まで上昇する(参考文 献 51)。またBH4は、カテコールアミン類、セロトニン、5−ヒドロキシイン ドール酢酸などのような神経伝達物質の合成、および正常な神経学的機能の維持 のために不可欠なので、BH4補助因子が欠損している患者は、低フェニルアラ ニンの食事に反応しない。早期に診断し、L−ドーパおよび5−ヒドロキシ−ト リプトファンを補充しても、補助因子欠損患者の発病は早期に現れ、続いて脳お よび脳幹神経節の進行性機能不全が起こり、そして数年以内に死亡する(参考文 献47)。BH4欠損に続く高フェニルアラニン血症のまれな患者は、監視が改 善されても利益を得ないであろう。 予防計画の重要な問題は、母体の高フェニルアラニン血症という比較的新しい 現象である(参考文献47)。栄養療法の出現によって、PKUの患者の生殖機 能が成熟し、そして食事制限によって治療しなかったPKUの女性から生まれた 遺伝的に正常な新生児の92%が知能遅延を表す。これらの子孫のIQ点数は、 出産期における母体のフェニルアラニンレベルと逆比例することが分かっており 、高レベルであるが、小脳症、先天性心臓病疾患および発作がよく起こる。食事 制限が妊娠の前または妊娠時のごく初期に開始されていれば、この有害な結果は 、予防まで行えないとしても、改善することができる。 簡単なディップスティック検定法を行えば、他の方法では見逃されるであろう PKU幼児の診断が容易となる。迅速かつ安価な方法であれば、繰返し検査を行 って感度を高めることができる。また、その検出システムが簡単で経済的であれ ば、幼児が十分なタンパク質を消費して、該欠陥を十分に表した後、追跡看護を 行う間、小児科病院でPKUを日常的に診断することができる。そのうえ、触媒 性抗体のディップスティック検定法によって、これまで実行できな かった重要な臨床処置である、長期間の食事看護を受けている患者のフェニルア ラニンのレベルの監視が可能になる。上記の後者のグループに新しく加わるのは 、その正常な胎児が母体の高フェニルアラニン血症による危険にされているPK Uの妊婦である。 高フェニルアラニン血症の標準の選別検定法は、細菌抑制検定法と蛍光検定法 である。比色試験法でPKUを選別することができる。他の検定法の「陽性」の PKU検査結果を確認するのに、薄層クロマトグラフィー(TLC)および高性 能液体クロマトグラフィー(HPLC)が一般に用いられる。HPLCは、長期 間にわたって食事管理を受けている患者のフェニルアラニン濃度を監視するのに 採用されている。PKUの検出に利用できる現在の諸検定法の評価を以下に簡単 に述べる。ガスリー細菌抑制試験法 1961年に、ロバート・ガスリーが、フェニルアラニンの半定量的な細菌学 的抑制検定法を開発した。未測定量(unmeasured quantity)の血液をかかとの 穿刺によって入手し、濾紙の上に集め、次に細菌培養物の上に載せる。その寒天 培地に混合されているβ−2−チエニルアラニンが、フェニルアラニン利用の競 合抑制剤として働いて、枯草菌(Bacillus subtilis)の正常な細菌増殖を抑制 する(参考文献50)。PKUを持った患者に由来の試料中のフェニルアラニン の濃度が高いと、フェニルアラニンの抑制に打ち勝ち、該疾患のインジケータと して細菌の増殖が観察される。 ガスリーの細菌抑制試験法は、簡単でかつ比較的安価であるため、PKUのス クリーニングに、依然として最も広く使用されている検定法である(参考文献4 9)。試料は、収集が容易であるし、かつ 検査室への輸送中安定であるが、この検定法は偽陰性の試験結果を生じることが ある(参考文献49)。抗生物質を静脈に投与して治療された幼児は、細菌の増 殖を損うのに十分な濃度を有している。試料を採取する領域を減菌するために使 用した局所抗菌剤も、ガスリー検定法の正確さを妨害することがある。蛍光分析法 自動蛍光分析法は、ガスリー検定法より正確でかつ定量的である。円形濾紙上 で乾燥した血液から、フェニルアラニンを0.2mlのメタノールで溶出させる 。15分間、振盪した後、円形濾紙を排棄し、次に、コハク酸緩衝剤、ニンヒド リンおよびL−ロイシル−L−アラニンを含有してなる試薬(pH5.8)0. 20mlを添加する。その混合物を、60℃の水浴中に80分間入れ、次に室温 まで冷却させる。次に、炭酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムカリウムおよび硫酸 銅からなる銅試薬2.5mlを添加する。この溶液を、20〜30℃の水浴中に 10〜20分間入れる。これらの条件下で、フェニルアラニンは、1時間は安定 で、活性化させて382nmと490nmのそれぞれの発光ピークを有する蛍光 産物を生成する(参考文献52)。 この検定法の感度を改善するのには、血漿または血清の試料が多量に必要であ る。この検定法はpHに対して非常に敏感であるので、この敏感さが誤差の主な 原因である。pH単位がわずかに0.1シフトしても、蛍光が15%相対的に変 化するので、緩衝液の新しいバッチを調製したときに、標準に対する早期読取り 値を正確に再現することが不可能になる。また、偽陽性は、試薬のL−ロイシル −L−アラニンに起因するが、この試薬はブランドごとにおよびロッ トごとに相当変化する(参考文献52)。この蛍光分析法は、高価でかつ単調で 長たらしい。そのうえに、アンピシリンなどの抗生物質は、自然に蛍光を発する ことが分かっており、その血清中に抗生物質を含有している幼児の正確な診断を 妨げている(参考文献50)。塩化鉄(III)試験法および2,4−ジニトロフェニルヒドラジン試験法(D NPH)を含む比色試験法 塩化鉄(III)試験法は、各種の色を発することによって、尿中の各種の薬 剤や代謝産物を同定するに用いられる検定法である。塩化鉄(III)試験法に おける緑色は、PKUに対して陽性の検査結果を示す。2,4−ジニトロフェニ ルヒドラジン試験法は、塩化鉄(III)試験法によって得られたPKUの陽性 検査結果を確認するために使用される。DNPH試薬を添加して10分後、黄色 の沈殿が発生したら、α−ケト酸類が存在していることを示す。 これらの選別試験法は、ともに高感度であるが、特異的でない。いずれの試験 法でも陽性の検査結果は、フェニルアラニンの最も信頼できる検定法で確認しな ければならない。フェニルピルビン酸などの尿中代謝産物の測定値は、これら代 謝産物が4〜6週齢までは尿中に存在しないので、一般にフェニルアラニンの血 中濃度を測定する場合のように信頼性が高くない。クロマトグラフィー 上記諸検定法の内の一つから得られた陽性検査結果を確認するため、一次元の 薄膜クロマトグラフィー(TLC)を実施することが多い。TLCによって、尿 の試料から、異常なアミノ酸パターンを固定することができる。6個もの尿試料 を、アミノ酸標準品が含ま れている単一プレート上で検定することができる。若年幼児の尿は高濃度の尿ア ミノ酸類を含有しているので、プールした幼児の尿が、偽陽性の検査結果を回避 するために用いる対照として使用できる。二次元のTLCも、特に、一次元のT LCから陽性に検査結果が得られた後、アミノ酸の分離が一層明瞭であったとき に採用できる。一次元と二次元のクロマトグラフィーとも、二枚ずつプレートを つくって、一方はニンヒドリンで染色し、一方はイサチンで染色する。イサチン は、プロリンとヒドロキシプロリンの同定を可能とし、かつフェニルアラニンを 含むいくつかのアミノ酸に対して独特の色を発生する。またイサチンは、大部分 のアミノ酸類によって生成するピンク色とは異なり鮮やかな黄色を発生する抗生 物質などの妨害物の同定も、可能とする。 この検定法は、PKUに対する比色試験法の「陽性の」検査結果を確認するの に使用できるが、完全ではない。もし、異常な検査結果が二次元のクロマトグラ フィーから得られたならば、HPLC検定法を血清または血漿の試料に対して実 施して、異常アミノ酸を確認し定量することが椎奨される。機械的な観点では、 TLCのプレートが小さいと、この検定法の継続時間が短くなる。しかし、薄膜 クロマトグラフィーは、相変わらず、労働集約的でかつ時間のかかる方法である 。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)が、生物学的流体中のフェニルア ラニンと代謝産物を同定し定量するのに用いる貴重な標準法である。しかし、設 備装置が高価でかつ手順が面倒である。 明らかに、診断酵素免疫検定法で標的を検出できるようにする方法が必要であ る。というのは、このような方法は、その存在の有無が病状または障害に関連し ている臨床上重要な標的分子の存在の有 無を迅速かつ正確に診断評価するからである。この発明は、そのような必要性に 答えるものである。 発明の概要 この発明は、容易に検出されるリポーター分子を生成するよう設計された基質 に対して作用する人工酵素を調節する標的分子の性能によって、標的の有機分子 を検出することを可能とするものである。標的分子は、インヒビターであっても よく、その場合は、リポーター分子が生成したときは標的分子が存在しないこと を示し、また、標的分子は、補助因子であってもよく、その場合は、リポーター 分子が生成したときは標的分子が存在していることが示す。 インヒビター検定法 この発明は、インヒビター検定法で例示するように、多数の触媒性モノクロー ナル抗体(この明細書では、cMabと呼称する)に特徴的な、生成物阻害(pr oduct inhibition)という従来は望ましいことではなかった特性をうまく利用し て、いかなる有機分子でも定性的にまたは定量的に同定できる新しい一般的方法 のための基礎を提供するものである。 この発明は、いかなる標的有機分子をも、直接にまたは僅かに構造の修飾を行 って(例えば、リンカー部分を結合させる)、リポーター分子に共有結合させて 、その標的有機分子を触媒性抗体の基質にすることができ、そしてその標的有機 分子が、該基質分子の抗体によって触媒される開裂反応の生成物(または、該生 成物に密接に 関連する分子)として、その反応の競合インヒビターであるという構成を利用す るものである。この阻害は、標的有機分子が該生成物のうちの一つと同一である 場合、「生成物阻害」と呼び、または、標的が、その生成物中にリンカー基が付 加されて存在しているため、生成物に似ているが同一ではない場合、「生成物関 連阻害」と呼称する。 この発明は、インヒビター検定法で例示するように、基質がリンカーの位置で 開裂するとリポーター分子を生成するような具合に、開裂可能なリンカーによっ てリポーター分子に結合させた標的有機分子の接合体である基質を、試料に添加 することによって、試料中に標的有機分子が存在しないことを判定する方法を提 供するものである。 この方法では、さらに、試料に対し、標的有機分子に結合するcMabが添加 されるが、標的有機分子が試料中に存在しない場合、cMabが基質分子に結合 してこれを開裂する。最後に、この方法は、試料中に、抗体触媒反応によってリ ポーター分子が生成されて、それにより標的有機分子が存在しないことを意味す るという変化を、検出するものである。 出願人の発明より前には、その生成物によって不活性化された触媒性抗体が実 際に使用されたことはなかった。出願人は、合理的に得られる生成物感受性酵素 が、原標的有機分子(該酵素の反応生成物と同一かまたは密接に似ている)の特 異的でかつ敏感な検定法に使用できることを発見した。すなわち、例示として、 この標的分子が存在している場合は、人工酵素が阻害されるので、標的分子とリ ポーター分子(例えば、発色団)の接合体である基質分子は、開裂されない。標 的分子が存在しない場合は、十分に活性の酵素が無色 の基質分子を開裂して、発色団のリポーター分子を放出する。色の強度(または 吸光度の大きさ)は、標的分子の濃度とは逆に変化するので、標的分子を定性的 、半定量的または定量的に同定するのに利用できる。 補助因子検定法 この発明は、補助因子検定法で例示するように、基質分子の抗体触媒反応が標 的分子の抗体との同時結合を必要とする要領で、如何なる標的分子をも基質分子 と会合させることができる構成を利用するものである。その標的分子は、反応に 不可欠なものであり、補助因子(cofactor)と呼ばれている。 この発明は、補助因子検定法で例示するように、基質分子がリンカーの位置で 開裂するとリポーター分子を生成するような具合に、開裂可能なリンカーによっ てリポーター分子に結合させた「相補的分子」(すなわち、非共有結合相互作用 によって標的分子の基に相補的な官能基を有する分子)の接合体である基質分子 を、試料に添加することによって、試料中に標的有機分子が存在することを判定 する方法を提供するものである。この方法では、さらに、標的有機分子と基質分 子の両者に結合してその基質分子を開裂するcMabが試料に添加されるが、標 的が存在しない場合、cMabは基質分子と反応しない。最後に、この方法は、 試料中に、抗体触媒反応によってリポーター分子が生成されて、それにより標的 有機分子が存在することを意味するという変化を、検出するものである。 出願人の発明より前には、選択された種、例えば金属イオンだけが抗体触媒反 応で補助因子として有用であると考えられていた。出 願人は、補助因子として機能する性能は、一般に、生物学的に興味深い標的分子 に特有なものであると、判定した。というのは、それらが、典型的に、水素結合 または塩橋を形成する官能基を有し、そしてこれらの基を利用して特別に調製さ れた基質分子の抗体結合反応および/または抗体触媒反応に参画させることがで きるからである。出願人は、合理的に構築した標的要求酵素(この場合、cMa bがその酵素である)が標的分子の特異的でかつ敏感な検定法に使用できること を発見した。すなわち、例示であるが、標的分子が存在しなければ、この人工酵 素は無色の基質分子と結合して反応することはない。標的が存在している場合は 、基質分子が結合し、標的酵素がその基質分子と反応し、その結果、発色団のリ ポーター分子を生成する。色の強度(または吸光度の大きさ)は、標的分子の濃 度に直接関連して変化するので、標的分子を定性的、半定量的または定量的に同 定するのに利用できる。 請求の範囲に記載の発明の利点:出願人は、触媒性抗体を使用して 、標的有機化合物を検出することに関連した前述のような問題点を克服した。こ れらの問題点は、すべて、最もまれな標的分子だけが、有用な触媒性抗体に対す る基質であるという事実に関連している。出願人の解決法は、標的有機分子が基 質分子ではなくて、むしろ基質分子の抗体触媒反応に対するインヒビターまたは 補助因子として作用して、それによりリポーター分子の産生を調節するという二 つの相補的検定法に基づいている。インヒビター検定法または補助因子検定法で は、標的分子が酵素を調節するので、その酵素の代謝回転によって、標的酵素が 結合した結果またはその結合がない結果生じるシグナルが大きく増幅され、標的 分子の敏感な 検定法が得られる。インヒビター検定法または補助因子検定法のいずれにおいて も、標的分子と触媒性抗体の相互作用は、その抗体の抗原結合部位で起こるので 、標的分子と抗体の結合は特異的であり、標的分子の特異的な検定法がもたれさ れる。 さらに、この発明の諸方法は、「ディップスティック」法のフォーマットを有 する医療キットに容易に使用される(すなわち、触媒性抗体と基質を含浸させた ディップスティックを被検流体で飽和させて、その結果標的の存在の有無を示す 比色法となる)。この「ディップスティック」のフォーマットは、PKUまたは クラミジア感染を検出する簡単な検定法に対する要望に応えるものである。 図面の簡単な説明 図1は、例示のリポーター分子の構造を示す。 図2および図3は、フェニルアラニンを検出する方法を実施するのに必要な例 示の試薬を示す。 図4および図5は、クラミジアを検出する方法を実施するのに必要な例示の試 薬を示す。 図6および図7は、ベンゾイル−エクゴニンを検出する方法を実施するのに必 要な例示の試薬を示す。 発明の詳細な説明 この出願で使用される以下の語句は、以下に詳しく説明する意味を有する。定義 「基質分子」は、ここでは、抗体で触媒される反応を受ける分子を意味する。 「標的分子」は、ここでは、被検有機分子である。 「変化させる」は、ここでは、リポーター分子が検出できるように、基質分子 を共有結合で修飾することを意味する。 「リポーター分子」は、ここでは、容易に検出される分子を意味する。検出は 、色、吸光度、ルミネセンス、蛍光またはリン光の特性によって行われる。 「阻害する」は、ここでは、例えば生成物阻害などの如何なる合理な種類の阻 害をも意味する。 「生成物関連阻害」は、ここでは、リンカー基(例えば、COOH)が付加さ れる点だけで反応生成物とは異なる化学構造による阻害を意味する。 「インヒビター検定法」は、ここでは、抗体触媒反応のインヒビターであると いう標的の性能に基づいて、標的分子が存在しないことを検定する検定法を意味 する。 「補助因子検定法」は、ここでは、抗体触媒反応の補助因子であるという標的 の性能に基づいて、標的分子が存在していることを検定する検定法を意味する。 「活性化されたエステル」は、ここでは、カルボン酸の容易に開裂されるエス テル、およびフェノールもしくはヒドロキシクマリン誘導体のような芳香族の種 のヒドロキシル誘導体を意味する。 「相補的な」は、ここでは、他の分子の一つ以上の対応する基に非共有結合で 結合するよう空間的に配置された官能基(例えば、COOH、−NH2、−OH )を有していることを意味する。 「標的基質分子」は、ここでは、標的分子と基質分子の相補的部分の非共有相 互作用に当てられる原子の配向を保持する要領で、標的分子が基質分子と共有結 合している化学構造体を意味する。 「陽性の」試験結果は、ここでは、例えばインヒビター検定法でリポーター分 子を生成しないか、または、補助因子検定法でリポーター分子を生成するような 、標的分子の存在を表示または暗示する試験結果を意味する。 ここに記載の発明を一層十分に理解できるように、以下に説明する。 インヒビター検定法 この発明は、インヒビター検定法で例示するように、試料中の標的有機分子の 存在の有無を判定する方法を提供するものである。この方法は、さらに、試料を 得て、その試料に基質分子を添加することを含むものである。この方法には、さ らに、試料中の標的有機分子または基質分子を認識するが、両者が試料中に存在 している場合は標的有機分子に優先的に結合するcMabを試料に添加すること が含まれる。標的分子が試料中に存在しない場合は、cMabは、基質分子に排 他的に結合する。基質分子のこの結合および反応は、標的有機分子は存在してい ないことを意味する検出可能な変化を生じる。 この基質は、標的有機分子の変異体である。すなわち、それは、リポーター分 子に共有結合した標的分子である。標的分子が存在している場合は、基質分子は 試料中でcMabとの結合について標的分子と競合し、また、標的分子が存在し ていない場合は、基質分子 はcMabに結合する。基質分子のcMabとの結合は、リポーター分子の生成 によって検出される。 cMabは、標的有機分子が試料中に存在している場合、その標的有機分子を 認識して結合し、また、標的有機分子が試料中に存在しない場合、基質分子を認 識して結合する。 試料の検出可能な変化は、基質分子の抗体触媒反応の生成物であり、すなわち 、基質分子からのリポーター分子の放出(解放)である。この変化が検出される とき、標的分子は試料中に存在しない。触媒性モノクローナル抗体は、基質分子 に比べて標的分子に対し十分な親和力を有し、陽性の試験結果が考えられる標的 の濃度範囲でかつ採用されている基質分子の濃度において、抗体は、基質分子に 比べて標的に優先的に結合する。 典型的な実用面では、基質分子は、触媒抗体のKmに近いかまたはそのKmよ り低い濃度で存在し、陽性の試験結果とみなすべき標的の最低濃度は、その触媒 性抗体に対する標的分子のKiに近いかまたはそのKiより大きい。標的分子が 存在しない場合は、cMabは試料中に添加された基質分子とだけ結合できるの で、その変化は試料中に有機分子が存在しないことを判定している。試料中に検 出可能な変化が起こらないことは、試料中に標的分子が存在することを意味し、 標的分子に対して「陽性の」試験を構成している。 この発明の好ましい実用面におけるエステルの加水分解反応は、触媒性抗体が リポーター分子を生成する化学反応の一つであり、簡単のため、以下の説明はそ のことを中心に述べる。そうするものの、カーポネートの加水分解反応および第 四級アミン類の脱離反応を含む他の各種反応も有用である(参考文献53〜55 )。 標的分子は、99%強の純度のために必要な程度に、クロマトグ ラフィーで精製され、そしてカルボン酸基を含有している場合、エステル類の標 準合成法、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドカップリング法によって、リ ポーター分子のヒドロキシル基に直接カップリングさせて、基質分子を得る。標 的分子がカルボン酸基を含有していない場合、カルボン酸基を含有する標的分子 の誘導体を合成する。 標的分子が単純なカルボキシルアミドまたはエステルを含有している場合、そ のカルボキシル基の加水分解によって容易に遊離カルボン酸が提供される。カル ボン酸、エステルまたはアミドのいずれもが標的分子中に存在していない場合、 標的分子は、標的分子の他の官能基から離れた位置にカルボン酸基を含有するよ うに、新たに合成する。上記のように化学的に修飾された標的分子は、次にエス テル結合によってリポーター分子のヒドロキシル基に連結されて、基質分子が得 られる。 リポーター分子は、標的分子のカルボン酸またはカルボン酸を含有するように 上記のように修飾された標的分子のカルボン酸に、エステル結合によって連結す るためのヒドロキシル基を有している。そのリポーター分子は、エステル結合の 開裂によって放出されると、色、吸光度、ルミネセンス、蛍光またはリン光を変 化させる特性を有している。 好ましい実施態様におけるリポーター分子は、リポーター分子のエステル結合 が開裂されると色および/または吸光度が変わる特性を有する分子である。リポ ーター分子のエステル結合が開裂すると、リポーター分子のヒドロキシル基が遊 離し、そのリポーター分子のヒドロキシル基は、検定法のpHで(典型的には、 pH7〜10で)イオン化する特性をもっている。リポーター分子のヒドロキシ ル基 がイオン化すると、色の発生と関連する吸光度の増大と8λmaxのシフト、ま たは視覚もしくは分光光度計によって検出される色の変化が起こる。イオン化状 態によって色を変えるこの特性は、単にpH指示薬であるという特性であり、そ してpH指示薬分子は、酵素の基質分子中に組み込まれて酵素反応によって放出 される場合、リポーター分子としてよく知られている(参考文献56〜58)。 このような具合に、基質分子のエステル結合が加水分解するとリポーター分子を 生成し、すなわち、そのリポーターのヒドロキシル基はもはやエステルに組み込 まれておらず、放出されたリポーター分子が色を変える。 エステルの加水分解反応は、基質分子のエステル結合が水分子の導入によって 開裂されて、ヒドロキシル基を含有するリポーター分子を放出することを意味す る。 pH指示薬の染料に基づいたリポーター分子のエステルは、「活性化」された エステル、すなわち芳香族のヒドロキシル基含有分子のエステルである。このよ うなリポーター分子のヒドロキシル基は、pKa値が低い(pKa<12)ので 、そのようなリポーターのエステルの加水分解反応は容易に起こるから、これら エステルの抗体触媒加水分解反応は高速で起こる。pH指示薬に基づいたリポー ター分子およびそれらのエステルの例示リストの表1を参照。 所望の特性を有する触媒性モノクローナル抗体を製造して以下のような標準方 法で同定する(参考文献13、17、26)。基質分子の構造と異なる基質分子 の遷移状態の類似体を以下の二つの方法で構築する。すなわち、(i)標的分子 とリポーターとの間のエステル結合をホスホン酸モノエステルで置換する、およ び(ii)リポーター分子を修飾し、担体タンパク質(例えば、キーホールリン ペットヘモシアニンまたはウシ血清アルブミン)に対する免疫原生接合体を製造 するための連結鎖を含有させる方法である。 一般に、マウスを標準のプロトコルで免疫化させて、免疫応答動物を、ELI SA法によって、マウス血漿を、免疫原生担体タンパク質と異なるタンパク質( 例えば、オボアルブミン)に連結させた遷移状態の類似体に対して試験して、同 定する(参考文献59)。 上記免疫応答動物の牌臓を取り出し、NS.1細胞と融合させてハイブリドー マを得る。ハイブリドーマー培地の上澄み液をELISA法で選別して、抗遷移 状態類似体抗体の産生者を同定する。次に、これら抗体を基質分子とともにイン キュベートして観察する。リポーター分子の生成が考えられる色の変化は、活性 のcMabが存在することを示す。次に、その活性cMabを、陽性の試験結果 を得ることを目的とする濃度範囲の標的分子によって、阻害の特性について選別 する。 触媒性抗体を得る別の標準法において、遷移状態の類似体を、その連結鎖によ ってカラム支持体に結合させて、免疫グロブリンのFabフラグメントの組合せ ライブラリーを示すファージをスクリーニング(選別)するのに用いられる(参 考文献60〜62)。遷移状態の類似体に結合する特性で、ファージ基質分子が 溶出され、そのFabフラグメントを大腸菌(E.coli)中に発現される。 上記の全抗体について、Faフラグメントを基質分子とともにインキュベートし て観察する。リポーター分子の生成が考えられる色の変化は、活性酵素が存在し ていることを示す。その活性Fabは、該検定法に要求される標的分子の濃度範 囲の標的分子による阻害で選別される。このような阻害反応は、従来、触媒性抗 体の有用な用途に対して障害であったが、今では不可欠の特性になっている。 陽性の検定結果を目的とする標的分子の最低濃度より低い大きさの標的分子の Ki(標的分子)による阻害のKを有する単一の触媒性抗体が、これらの検定法 にとって好ましい。あるいは、ある範囲のKiの値(標的分子)を有するいくつ かの酵素は、活性cMabのランダムスクリーニングによって同定されるので、 標的分子の潜在的濃度範囲を通して変わるKiを有する酵素のパネルを用いて、 非常に高感度の定量検定法を構築することができる。 基質分子の加水分解反応で生成する生成物の一つ、すなわち、カルボン酸含有 標的分子は、それ自体、触媒性抗体のインヒビターであるが、この生成物の濃度 、したがってリポーター分子の濃度は、阻害が起こる前に上昇する筈である。リ ポーター分子が生成することは、原試料中に標的分子が存在しないことを示す。 しかしながら、この検定法の感度をさらに高めるために、基質分子(好ましい実 施態様では、活性化されたエステル)を修飾して、遷移状態の類似体免疫原が基 づいている構造から化学構造を僅かに変えて、 (1)触媒性抗体の基質分子に対する結合を、試料の阻害性標的分子(Kiが 比較的低い)に対するその結合に比べて、弱くし(Kmが増大する)、そして (2)基質分子の加水分解反応で放出される生成物は、それ自体過剰な生成物 阻害を示さない、 ようにする。 Ki対Kmを最適化するために行う基質分子の修飾の範囲は、小さい(例えば 、エチル基によるメチル基の置換、または標的分子に対応する基質分子の位置に おける塩素の臭素による置換)。というのは、より広範囲にわたって変化させる と、修飾された基質分子を酵素が拒絶する。 インヒビター検定法の図式: 補助因子検定法 さらに、この発明は、試料中の標的有機分子の存在を測定する方法(例えば、 補助因子検定法)を提供するものである。この方法は、試料を得て、その試料に 基質分子を添加することを含むものである。この方法では、さらに、触媒性モノ クローナル抗体が試料に添加され、その抗体は、標的分子が存在しないときは、 基質分子の反応を触媒せず、標的分子が存在するときは、cMabが標的分子と 基質分子の両者に結合して基質分子の反応を触媒してリポーター分子を生成し、 そのリポーター分子の生成が試料中に標的有機分子が存在していることを示す。 cMabは、標的有機分子と基質分子を認識してこれら分子に結合し、標的有 機分子が試料中に存在している場合は、基質分子の化 学反応を触媒し、一方、標的有機分子が試料中に存在していない場合は、基質分 子を認識して結合することができずおよび/または基質分子の化学反応を触媒で きない。 試料中の検出可能な変化は、基質分子の抗体触媒反応の生成物、すなわち基質 分子からのリポーター分子の放出である。試料の検出可能な変化は、標的分子が 試料中に存在していることを意味し、標的分子の「陽性」試験を構成する。 基質分子は、(i)標的分子の対応する官能基と非共有結合を行う官能基を含 有する「相補的分子」および(ii)リポーター分子の接合体であり、基質分子 の抗体触媒反応が起こるとそのリポーター分子が生成される。その抗体は、標的 分子に結合して、標的分子の官能基を、基質分子の結合反応および/または触媒 反応に参画するように配向させ、このようにして標的分子はリポーター分子を生 成させるための補助因子として機能する。 基質分子の触媒による変換反応に参画するように、触媒自体の一部ではなくて 官能基を補充する酵素は、基質利用酵素触媒反応の現象に先例がある。例えば、 ペプチダーゼを、部位特異的突然変異誘発法によって主要な触媒性アミノ酸を除 くことにより修飾したところ、予想どおりに、酵素は活性を失った。しかし、欠 けているアミノ酸をペプチド基質分子中に入れたところ、活性が回復した(引用 文献63)。他の先例は、金属補助因子によるエステル結合またはアミド結合の 加水分解反応を触媒する抗体の生成に見られる(引用文献64)。これらの加水 分解酵素は、金属イオンを組み込んだ遷移状態類似体で免疫化することによって 得られた。この類似体によって引き出される抗体は、基質分子に対する結合部位 のみならず遊離金属に対する結合部位を有し、そして、これら抗体のうちいくつ かの場合、基質分子を加水分解するには遊離金属が必要であり、すなわちその金 属は必要な補助因子であった。 出願人は、その補助因子として機能する性能は、水素結合および塩橋を生成す るのに適した官能基、すなわち大部分の臨床上重要な標的分子に存在する種類の 基を有する一般的性能であることを突きとめた。与えられるいかなる標的に対し ても、標的分子の官能基を相補して水素結合または塩橋を生成できる基質分子を 設計することができ、そしてこの相補的分子をリポーター分子に結合させて基質 分子を得ることができる。基質分子の遷移状態類似体で免疫化すること(その類 似体には標的分子が共有結合している)によって、基質分子の適当な結合と反応 を行うために標的分子を要求する抗体を生成させることができる。その標的分子 は、標的分子と基質分子の非共有相互作用の原子立体配置に類似させる具合に該 類似体中に組み込まれ、得られた触媒抗体は、標的分子と基質分子の両者を同時 に収容できる結合ポケットを有している。このような類似体によってもたらたさ れた上記結合ポケットは、標的分子を配向させて、基質分子結合反応および/ま たは触媒反応に参画させる。その結果得られるのは、反応のための補助因子とし て標的分子を要求する人工酵素である。 実際面では、標的分子と基質分子の相互作用の共有結合形(すなわち、標的分 子と基質分子の非共有相互作用の形態を維持する標的−基質の分子)を合成して 、所望の人工酵素の選別用基質分子として利用する。この標的一基質分子の基質 分子部分は、抗体触媒反応を行う部位を含有し、そしてこの部位は、リポーター 分子が基質分子に組み込まれている開裂可能な結合部分である。 好ましい実施態様において、標的分子は、結合によって基質の加 水分解反応を安定化しおよび/または共有結合または酸−塩基触媒反応に参画す る要領で、基質分子と非共有結合を行って、リポーター分子の触媒による放出に 参画する。 補助因子依存性という所望の特性を有するcMabを得るため、この標的−基 質分子の遷移状態類似体を標準法によって合成する。例えば、基質分子がエステ ル基によって結合されているリポーター部分を含有する場合、合成される遷移状 態類似体は、以下のように修飾された標的−基質分子に対応する。 (1)カルポン酸エステルをホスホン酸モノエステルで置換する、および (2)類似体の基質分子部分からの連結鎖を結合させて、免疫原生接合体を製 造しやすくする。 公知の方法を採用して、マウスを免疫化するかまたは標的−基質分子の遷移状 態類似体でファージ展示系を選別して、類似体結合モノクローナル抗体(抗体全 体またはFabフラグメント)が得られる。抗類似体Mabを、標的−基質分子 を加水分解する性能について選別する。得られた媒体性Mabを、遊離の標的分 子が試料中に存在している場合にそしてその場合に限り遊離基質分子を加水分解 すること、の性能について選別する。 このような特性を有する抗体は、補助因子として標的分子が存在していてリポ ーター分子の検出が標的分子の存在を表示する場合およびその場合に限り、基質 分子を変化させてリポーター分子を放出する。 補助因子検定法の図式: 発明のさらに別の面 インヒビター検定法または補助因子検定法において実施されるこの発明は、標 的有機分子の存在が関連している症状について患者を診察する方法をも提供する ものであり、患者由来の試料中に、標的有機分子が存在していることを、この発 明の方法にしたがって測定することを含み、その標的有機分子の存在が疾患の症 状の存在を表すものである。 さらに、この発明は、患者の疾患症状の経過を監視する方法を提供し、患者由 来の第一の試料中に標的有機分子が存在しているのをこの発明の方法に従って測 定し、次いでその測定された量を、患者由来の第二の試料中に存在する量と比較 することを含み、これらの試料は異なる時点で採取し、測定されたこれらの量の 差が疾患症状の経過を示すものである。 この発明は、患者由来の試料中に医薬が存在するのを検出する方法を提供する ものである。その医薬は、乱用物質、医薬または毒薬 であってもよい。 別の実施態様では、この発明の方法は、患者中の医薬の濃度の変化を監視する ことができる。このことは、症状を治療するのに治療指数の幅の狭い医薬を使用 する必要がある臨床状態の場合に重要である。治療指数未満では、その医薬は生 体内で無力であり、治療指数を越えるとその医薬は生体内で毒性の有害作用をも たらす。 この発明の方法に従って、触媒性モノクローナル抗体と基質分子を用いる場合 の適当な範囲は、利用する検定法のタイプに依存する。適当な範囲は、試料およ び標的分子の量によって変化する。適当な範囲は、1ナノモル〜1ミリモルであ る。 この発明の方法の場合、標的分子としてはフェニルアラニンでもよいが、それ に限定されない。さらに、試料としては細胞の試料、組織の試料、生物学的流体 の試料でもよいが、それに限定されない。非臨床試料としては、土壌、水、工業 もしくは法廷の試料もありうる。 この発明を実施する場合、患者(被献体)は、ヒト、または動物、例えばイヌ 、ウマ、ネコ、ウシ、ブタでもよい。 標的分子の試料は、臨床試料用の、外科生検、針生検、静脈穿刺、腰椎穿刺、 穿開法、胸腔穿刺、関節吸引、胃吸引、尿のサンプリングおよび糞便のサンプリ ングを含む公知の方法で得ることができる。 この発明に従って、抗体触媒反応によって、基質分子は、検出可能マーカー、 例えば放射性標識(125I)、比色分析用マーカー、蛍光分析用マーカー、リン 光マーカー、ルミネセンスマーカー、または第二の酵素反応の関与物を生成する 。 触媒性モノクローナル抗体は、アガロースまたはセファロースのようなマトリ ックスに結合させてもよい。あるいは、触媒性モノク ローナル抗体は、チューブに結合させる。さらに、その外、触媒性モノクローナ ル抗体は、ビードに結合させる。 検出ステップにおいて、変化は、試料の色の変化のような視覚的な変化とする ことができる。あるいは、その変化は、測定可能な差異または変化であれば、如 何なるものでも含まれる。その変化は、抗体で触媒される加水分解反応の生成物 であることが好ましい。当該技術分野の当業者は、この変化を測定することによ って、試料中の標的分子の存在の有無を突きとめることができる。 疾患症状としては、PKUのような代謝障害、およびクラミジア・トラコマチ スのような感染症がある。 検出される医薬としては、ヘロイン、コカインまたはバルビツレート類のよう な乱用物質、治療レベルを達成するかまたは毒性レベルを回避するため監視を必 要とする医薬、例えばジゴキシン、バンコマイシンまたはテオフィリン、殺虫剤 の主薬のような毒物類がある。実施例1 下記のプロトコルは、インヒビター検定法、すなわち標的有機分子(「標的分 子」と呼称する)が存在していないことを測定する方法を実施するのに使用する 試薬を製造する方法を教示する。「標的分子」は、臨床上重要ないずれの有機分 子でもよい。この実施例で用いる基質分子は、エステルであると仮定する。 方法 付加された「−COOH」または他の結合部が「標的分子」内にもともと存在 していない場合、付加された「−COOH」または他 の結合部を有する「標的分子」類似体を合成する。水素の代わりにカルボン酸基 を結合させるには、標的分子の化学構造によって異なる標準の方法を用いる(引 用文献65)。この実施例では、「標的分子−COOH」を得るため、標的分子 に「−COOH」を付加する。 基質分子すなわち「標的分子−COO−レポーター」を合成する。そして、こ の基質分子はある特性(例えば無色であること)を有しているが、開裂生成物の 「レポーター」は別のまたは改変された特性(例えば新しい色または異なる色) を有している。カルポン酸(標的分子−COOH)は、適当な方法、例えばSO Cl2で活性化される。この活性化された酸に、最小量の反応溶媒を用いて、ヒ ドロキシル含有リポーター分子、例えば2−シアノ−4−ニトロフェノールを添 加する。適当な時間が経過した後、溶媒を減圧で蒸発させ、残留物をカラムクロ マトグラフィーで精製して、「標的分子−COO−レポーター」を得る。 ホスホン酸モノエステルの免疫原、すなわち「標的分子−POO−レポーター 担体タンパク質」を合成し、この免疫原に対する抗体を発生させ、次いで「標的 分子−COO−レポーター」を加水分解する触媒性モノクローナル抗体(cMa b)を選別する。遷移状態の類似体の設計および合成は、一般的的にも(引用文 献13〜27、66)また特にエステル類の加水分解の場合についても(引用文 献13、17、26、27)公知であり、そしてカルポン酸エステルの「COO −R部分」をホスホン酸モノエステルの「POO−R」で置換して行われる。 標準の方法でcMabを製造する。マウスを免疫化するかまたはファージを選 別して、モノクローナル免疫グロブリンを生成させ、 これらの免疫グロブリンをcMab活性について選別する方法は公知である(引 用文献56)。Mabを、cMab活性について選別するため、そのMab(1 μmolar)を、pH7〜9のリン酸緩衝液中、1〜1000μmolarの 基質分子とともにインキュベートする。cMabなしの対照反応液中に生成する 量より多量にリポーターが生成することは、cMabによって触媒される反応が 存在することを示している。T−POO−レポーター(遊離の遷移状態類似体) によるcMab活性の阻害は、人工酵素が存在していることを裏付けている。 cMabを、標的分子すなわち反応生成物に構造が同一かまたか非常に似てい る分子による阻害を示すcMabについて選別する。生成物阻害は公知であり、 以前は、いくつの触媒性抗体の望ましくない特性であった。 標的分子による阻害についてcMabを選別するため、(i)cMab(1μ molar)を、試験によって識別される最低濃度に等しい濃度の標的分子とと もにインキュベートし、(ii)基質分子を加え、(iii)cMabと基質分 子を含有し標的分子を含有していない対照に対するリポーターの不在、すなわち 標的分子による阻害を示すリポーターの不在について観察し、(iv)標準のプ ロトコル(引用文献64〜66)によって標的分子のKiを求める。 標的分子を検出するのに所望の限界に近いかまたはそれより小さいKiを有す るcMabが見出されるまで選別を続ける(例えば、試験で識別される最低濃度 が、100μMの標的分子の濃度であれば、Kiは10μMで十分である)。実施例2 以下のプロトコルは、補助因子検定法、すなわち試料中の標的有機分子の存在 を測定する方法を実施するために用いる試薬を製造する方法を教示する。この検 定法は、以下の特徴:(i)標的分子に相補的な非共有結合ドメインおよび(i i)抗体触媒反応で変換されると検出可能になるリポータードメインを有する基 質分子を使用し、かつcMabも標的分子に結合した場合およびその場合に限り 基質分子を開裂する性能を有するcMabを使用することからなる方法である。 ヒドロキシル含有リポーター分子およびその官能基が水素結合または塩橋を生 成することによって標的分子の一つ以上の官能基を相補して結合するカルボン酸 のエステル「バインダー−COO−リポーター」として基質分子を構築する。特 定の標的分子に適応させた基質分子のカルボン酸部分の合成を含む一般的なプロ トコルを標準法で実施する。好ましい実施態様のヒドロキシル含有部分は、イオ ン化状態を変えると、色と吸光度が変わる上記特性を有する芳香族のヒドロキシ ル化合物である。 標的分子と基質分子の間の非共有相互作用が共有結合で置換されている標的− 基質分子の「標的分子−バインダー−COO−レポーター」を構築する。この標 的−基質分子は、標的分子と基質分子について考えられる非共有相互作用の主な (水素でない)原子の距離と形態を維持するよう設計されている。例を挙げると 、水素結合の相互作用R−CH2−O−H……NH2−Rは、R−CH2−NH− NHRまたはR−CH2O−NH2Rの種で置換され、そして塩橋R−C(O)O- ……H3+−Rは、R−C(O)NH−N+2−Rで置換される。 カルポン酸エステルの代わりにホスホン酸モノエステルを含有し、 担体タンパク質に対する連結鎖を有する、標的−基質分子の遷移状態類似体を合 成して、「標的分子−バインダー−POO−リポーター−担体タンパク質」を得 て、この免疫原に対す抗体を発生させ、次いで前記標的−基質分子における「バ インダー」と「レポーター」のエステル結合を加水分解してリポーター分子を生 成する触媒性モノクローナル抗体(cMab)を選別する。遷移状態類似体の構 成および合成は、一般的にもまた特にエステルを加水分解する場合においても、 公知である。マウスを免疫化するかファージを選別してモノクローナル免疫グロ ブリンを生成させ、次いてこれらの免疫グロブリンをcMab活性について選別 する方法も公知である。MabをcMab活性について選別するため、Mab( μM)をpH7〜9のリン酸緩衝液中、1〜1000μMの標的一基質分子とと もにインキュベートする。Mabなしの対照反応液中で生成する量より多量にリ ポーターが生成することは、cMabが存在することを示す。 上記のように、共有結合している標的−基質分子に対して活性であることが同 定されているcMabを、遊離標的分子が存在している場合または存在していな い場合の遊離基質分子に対する加水分解活性について選別する。所望の限界に等 しい濃度で標的分子の存在下または非存在下で、cMab(1μM)を、リン酸 緩衝食塩水中、基質分子(1〜1000μM)とともにインキュベートする。所 望の抗体は、標的分子が存在している場合および標的分子が存在していない場合 およびその場合に限り、基質分子を加水分解する抗体である。その酵素のKmは 、標準の方法(引用文献71、72)で測定される。理想的なcMabは、標的 分子の所望の限界に近いかまたは該限界より低いKm(基質分子が過剰な状態で )を有している。実施例3Aおよび3B 触媒性抗体によるフェニルアラニンの検定法 前記考察に基づいて、血漿の成分のフェニルアラニンの簡単な検定法を以下に 述べる。この検定法は、抗体で触媒してリポーター分子を生成することによって 潜伏発色団を活性化する反応の標的分子による阻害または標的分子による促進( 補助因子の効果)に基づいて比色法の終点を提供するように設計されている。フ ェニルアラニンは、カルボン酸基を含有しているので、この標的分子をエステル 結合によってリポーター分子に結合させるために修飾を行う必要はなく(実施例 3A)、そして、フェニルアラニンの官能基によって相補的基質分子を構築する ことができる(実施例3B)。 3A. 阻害検定法(図2) 1.標的分子の名称: フェニルアラニンが標的分子構造体Aである。 2.基質分子の合成: フェニルアラニンのカルポン酸基を、エステルに変換し、標的分子をリ ポーター分子を結合させて、基質分子Bを提供する。この場合、そのリポーター 分子は発色団である。 3.遷移状態類似体の合成および触媒性抗体の製造: 標的分子のカルボニルをリポーター分子に結合したカルボキシルエステ ルの代わりに、遷移状態類似体として、ホスホン酸エステルCを合成する。 4.触媒性抗体の選別: Cに対して生成したモノクローナル抗体を、基質分子Bに 対する触媒活性について選別する。 5.生成物−類似体の阻害の選別: 基質分子Bに対し活性の触媒性 モノクローナル抗体を、診察濃度カットオフ範囲0.4〜0.6mMにおける標 的分子Aによる阻害に対する感受性について選別する。 3B. 補助因子検定法(図3) 1.標的分子の名称: 上記のように、被検体のフェニルアラニンが標的分子構造体Aである。 2.標的分子−基質分子相互作用の設計 フェニルアラニンの電荷を有するアンモニウム基は、標的分子Aおよび 相補的基質分子との間の静電相互作用の部位を提供する。この基質分子は、エス テル結合によってリポーター分子に接続される相補的結合ドメインを有している 。 3.標的分子−基質分子の相互作用の共有結合形の合成: Xのカルボキシレート基とAのアンモニウム基の相互作用は、主原子( 水素以外)の交換配置を保持する共有結合種Yに類似させることができる。 4.遷移状態類似体の合成: Yの遷移状態類似体は、リポーター分子に結合されたカルボン酸エステ ルの代わりに、ホスホン酸モノエステルを用いて構築してZが得られる。 5.標的分子に依存して基質分子を加水分解するcMabの選別: Zに対するモノクローナル抗体の、Yを加水分解するものを選別し、そしてYを 加水分解するこれら触媒性抗体の、Aが0.4〜0.6mMという診断濃度範囲 で存在している場合に限り、Xを加水分解するものを選別する。実施例4Aおよび4B クラミジア・トラコマチスの主要外膜タンパク質(MOMP)の触媒性抗体に よる検定法 MOMPは、付着の臨床事象、食菌作用の誘発、食胞融解小体の融解の阻害、 感染性、毒性、および免疫と疾病発生機序に関与する宿主の免疫応答の活性を調 節するようである(引用文献73)。この40kDの表面が露出している外膜タ ンパク質は、全細胞壁タンパク質の60%以上を占めている。またMOMPは、 クラジミア・トラコマチス分離菌の一次血清型別抗原である(引用文献39、4 0)。現在まで、クラジミア・トラコマチスの15種の血清型が確認されている 。血清型A、B、BaおよびCは、トラコーマの発症因子であり、血清型D〜K は、オキュロジェニタルインフェクション(oculogenital infection)の主な原 因であり、そして血清型L1、L2およびL3は、性病性リンパ肉芽腫を主とし て発生する(引用文献74)。有効な検定法は、少なくともオキュロジェニタル 関連の血清型、好ましくはヒトの病原の15種の血清型すべてを検出しなければ ならない。 異なる血清型のアミノ酸配列を比較分析した結果、MOMPの遺伝子が高度に 保存されたタンパク質構造をコードしていることを示している。この構造は、一 様の間隔を置いて位置している四つのドメインを有することが特徴であり、これ らドメインの部分の配列は、 異なる血清型によって変化している。MOMPのアミノ酸配列のこれら可変ドメ イン(VD)の位置は、VDI(aa64〜83)、VDII(aa139〜1 60)、VDIII(aa224〜137)およびVDIV(aa288〜31 7)である。VDI、VDIIおよびVDIIIは、血清型−、亜種−、セログ ループーまたは種特異的抗体の生成を誘発する隣接抗原決定基を有している。こ れら決定基は、トリプシンによって開裂されやすいことおよび抗体と結合しやす いことによって分かるように、外部環境に向かって突出している。VDIとVD IIは、最大のインターセログループ配列の変化を示し、血清型特異的決定基の 位置である。このタンパク質のC末端に位置しているVDIVは、これらドメイ ンのうち最大であり、かつ種特異的である(引用文献66)。 MOMPmRNAの配列分析に基づいて、VDIV領域は3種のサブドメイン に分割することができる。VDIVのN末端領域(aa288〜295)は、電 荷を有し、かつ弱い親水性を有する。C末端領域(aa307〜317)は、血 清型FとGを除いて、高い電荷を有し、かつ親水性である。VDIVの中央領域 (aa296〜306)は電荷をもっておらず強い疎水性であり、かつ高度に保 存されている。9個のアミノ酸の配列TTLNPTIAG(aa298〜306 )がK以外のすべての血清型に見られ、Kの血清型は305位の残基としてアラ ニンの代わりにトレオニンをもっている。VD4における中央配列TTLNPT Iは15種の血清型すべてに存在し、検定法の優れた標的分子になっている(引 用文献75〜76)。 VDIVのこの領域に対するモノクローナル抗体を製造し、コーティング抗原 として全基本小体を用い、ELISA法によって選別 した。種特異的エピトープはモノクローナル抗体6Eによって位置を決定した。 なお、抗体6Eは、ペプチドLNPTIA(aa300〜305)と強く反応し た。亜種特異的エピトープは、モノクローナル抗体10Eiiによって同定した 。なお、抗体10Eiiは、配列IFDT(aa294〜297)に結合するこ とが見出された(引用文献77)。生存可能なクラミジアの表面の二つのトレオ ニン残基(IFDTTTLNPTIA)には近づきにくいといわれている。とい うのは、これらの存在は、抗体の結合には必要でないからである。別の研究で、 同じ亜種/種の領域を含む16個のアミノ酸からなるペプチドに対してモノクロ ーナル抗体CT47が生成した。この抗体は、ヘキサペプチドのTAIFDT( aa292〜297)とAIFDTT(aa293〜298)に対して反応せず 、IFDTTT(aa294〜299)、血清型C、L1およびクラミジア・ト ラコマチスの14種の血清型の基本小体に結合することが見出された。CT47 は、パラトープに対して高い親和力を示すだけでなく、広範囲の血清学的特異性 を示し、天然のタンパク質に対し生成するそのカウンターパートに比べて、配座 の歪みの減少に主として寄与している(引用文献78)。 その後、オーバーラップペプチド法を用いてさらに研究されている。この研究 で、MOMPに対して生成する3種の他のモノクローナル抗体E4、L1−4ま たはL1−24がVDTVに対して反応性を示したことが確認された。これら抗 体は、各々異なる認識パターンを持っていたが、すべてが、種保存(specie-con served)領域由来のペプチドTLNPTIとLNPTIAに強く結合していた。 さらに、モノクローナル抗体E4は、亜種エピトープであることがすでに同定さ れているSATAIFを認識した。競合阻害検定法に おいて、E4だけが、ATAIFDTTTLNPTIAGおよびFDTTTLN PTIAGによって阻害された。L1−4またはL1−24の中和活性は阻害さ れなかった。 上記考察をもとにして、クラミジア検定法を、抗体触媒反応のMOMPの阻害 、または抗体触媒反応の補助因子としてのMOMPの活性化に基づいて構想する ことができる。 細胞の試料中のMOMPを検出法を以下に示す。 4A 阻害検定法(図4) 1.標的分子の配列の名称: MOMPは、特異的検定法の最高の標的分子である。この検定法は、M OMPプラグメントAA:種特異的で露出し接近しやすく、かつ抗原性である9 個のアミノ酸の配列TTLNPTIAG(aa298〜306)で作成される。 アスパラギン(aa301)が、触媒抗体を得るのに便利な配座を提供 する。 2.基質分子の合成: アスパラギン−301の末端カルボニルを、アスパラギンの炭素のフレ ームワークをリポーター分子に連結するエステルに変換して基質分子を得る。こ の場合、リポーターは潜伏発色団である。BB 3.遷移状態類似体の合成: 末端アスパラギンのカルボニルと標識を連結するカルボキシルエステル の代わりのホスホン酸エステル基が遷移状態類似体として機能する。CC 4.触媒性抗体の選別: 類似体CCに対し生成したモノクローナル抗体を、基質分子BBに対す る触媒活性について選別する。 5.生成物阻害の選別: 基質分子BBに対して活性の触媒性モノクローナル抗体を、標的分子配 列AAおよびMOMP自体による阻害に対する感受性について選別する。 4B 補助因子検定法(図5) 1.標的分子の配列の名称: 上記のように、MOMP(具体的に述べるとaa298〜306の配列 )が好ましい標的分子であり、そのペプチドAAは検定法の開発に適している。 2.標的分子−基質分子相互作用の設計:AA中303位のトレオニオンは、相補的基質分子XXに対し水素結合 を行う部位を提供する。上記基質分子は、リポーターに対しエステル結合で接続 される相補的結合ドメインを有している。 3.標的分子−基質分子相互作用の共有結合形の合成: AAのトレオニンとXXの結合部位との相互作用は、主な(水素でない )原子の空間配向を保持する、共有結合された種YYによって類似させることが できる。 4.遷移状態類似体の合成 YYの遷移状態類似体は、リポーター分子に連結されているカルボン酸 エステルの代わりにホスホン酸モノエステルを用いてZZを製造して構築する。 5.標的分子に依存して基質分子を加水分解するCMabの選 別: ZZに対するモノクローナル抗体の、YYを加水分解するものを選別し 、次にそのYYを加水分解する抗体の、AAが存在する場合およびAAが存在す る場合に限りXXを加水分解するものを選別する。実施例5Aおよび5B ベンゾイル・エクゴニンの触媒性抗体による検定法 生物学的試料中の医薬を定性的にまたは定量的に簡単に検定する方法が不足し ている。以下の実施例では、最近にコカインを体験したことを判定するのに用い られる、コカインの代謝産物のベンゾイル・エクゴニンの簡単な検出法の作成に ついて述べる。ベンゾイル・エクゴニンは、カルボン酸基を含有しているので、 この標的分子をリポーター分子に結合したり(実施例5A)、または相補的基質 分子を構築する(実施例5B)ために、修飾する必要は全くない。 5A 阻害検定法(図6) 1.標的分子の名称 ベンゾイル・エクゴニンが標的分子構造体AAAである。 2.基質分子の合成 ベンゾイル・エクゴニンのカルボン酸基を、標的分子とリポーター分子 に連結するエステル結合に変えて基質分子BBBを提供する。この場合、リポー ター分子は発色団である。 3.遷移状態類似体の合成と触媒性抗体の生成 標的分子のカルボニルをレポーター分子に連結するカルボ キシルエステルの代わりに、ホスホスン酸エステルCCCを遷移状態類似体とし て合成する。 4.触媒性抗体の選別 CCCに対して生成したモノクローナル抗体を、基質分子BBBに対す る触媒活性について選別する。 5.生成物類似体阻害の選別 基質分子BBBに対して活性の触媒性モノクローナル抗体を、標的分子AAA による阻害に対する感受性について選別する。 5B 補助因子検定法(図7) 1.標的分子の名称 上記のように、被検体のベルゾイルエクゴニンが標的分子構造体AAA である。 2.標的分子・基質分子相互作用の設計 ベンゾイル・エクゴニンの電荷を有するアンモニュウム基が、標的分子AAA と相補的基質分子XXXの間の静電相互作用の部位を提供する。上記基質 分子は、リポーター分子に対しエステル結合で接続される相補的結合ドメインを 有している。 3.標的分子−基質分子相互作用の共有結合形の合成:XXXカルボキシレ ート基とAAAのアルキルアンモニウム基の相互作用は、主な(水素でない)原 子の空間配向を保持する共有結合種YYYによって類似させることができる。 4.遷移状態類似体の合成: YYYの遷移状態類似体は、リポーター分子に連結されて いるカルボン酸エステルの代わりにホスホン酸モノエステルを用いてZZZを製 造して構築する。 5.標的分子に依存して基質分子を加水分解するcMabの選別: ZZZに対するモノクローナル抗体の、YYYを加水分解するものを選 別し、次にそのYYYを加水分解する抗体の、AAAが存在する場合に限りXX を加水分解するものを選別する。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.試料中の標的有機分子の存在の有無を確認する方法であって、 a.基質分子を試料に添加し、 b(i)標的有機分子が試料中に存在している場合、標的有機分子を認識して結 合し、または (ii)標的有機分子が試料中に存在していない場合、基質分子を認識し、結合 しおよび変化させる、触媒性モノクローナル抗体を、試料中に添加し、次に c.標的有機分子が存在していないことを示す試料中の変化、すなわち基質分子 の抗体触媒反応によるリポーター分子の生成を検出して、試料中の標的有機分子 の存在の有無を確認する、 ことを含んでなる方法。 2.試料中の標的有機分子の存在の有無を確認する方法であって、 a.(i)標的有機分子が試料中に存在している場合、標的有機分子を認識して 結合し、ならびに (ii)標的有機分子が試料中に存在している場合、基質分子を認識し結合し、 および変化させる、触媒性モノクローナル抗体を、試料中に添加し、 b.リポーター分子および非共有結合の相互作用によって標的を相補する分子の 接合体である基質を添加し、次いで c.標的有機分子が存在していることを示す試料中の変化、すなわち、基質分子 の抗体触媒反応によるリポーター分子の生成を検出して、試料中に標的有機分子 が存在していることを確認する、 ことを含んでなる方法。 3.標的有機分子がフェニルアラニンである請求の範囲1または2 に記載の方法。 4.試料が細胞の試料由来の試料である請求の範囲1または2に記載の方法。 5.試料が組織の試料由来の試料である請求の範囲1または2に記載の方法。 6.試料が生物学的流体である請求の範囲1または2に記載の方法。 7.患者がヒトの患者である請求の範囲1または2に記載の方法。 8.患者が動物の患者である請求の範囲1または2に記載の方法。 9.動物の患者がイヌ、ウマ、ネコ、ウシまたはブタである請求の範囲8記載の 方法。 10.リポーター分子が検出可能なマーカーである請求の範囲1または2に記載 の方法。 11.検出可能なマーカーが放射性標識を含有している請求の範囲10記載の方 法。 12.放射性標識が125Iである請求の範囲11記載の方法。 13.検出可能なマーカーが呈色マーカーである請求の範囲10記載の方法。 14.検出可能なマーカーが蛍光マーカーである請求の範囲10記載の方法。 15.検出可能なマーカーが化学ルミネセンスまたは生物ルミネセンスのマーカ ーである請求の範囲10記載の方法。 16.検出可能なマーカーが酵素反応の生成物である請求の範囲10記載の方法 。 17.触媒性モノクロール抗体がフェニルアラニンを認識して結合する請求の範 囲1または2に記載の方法。 18.変化が視覚変化である請求の範囲1または2に記載の方法。 19.視覚変化が試料中の色の変化である請求の範囲18記載の方法。
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