JP2002515447A - 抑制されない血管内フィブリンクロット形成の予防および治療のための組成物および方法 - Google Patents

抑制されない血管内フィブリンクロット形成の予防および治療のための組成物および方法

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Abstract

(57)【要約】 抑制されない血管内フィブリンクロットの予防および治療のための、線維素溶解性または抗凝血性薬剤が赤血球キャリアに対して生物適合的に結合されていることを特徴とする組成物および方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) 血管内クロットによる血管閉塞は、心筋梗塞、卒中、および肺動脈塞栓症を含
む種々の病状を引き起こすかまたは/およびその病理発生に寄与しており、従っ
て重要な医学上の問題の一つを代表するものである。これらの病気または状態の
治療においては、プラスミノーゲンアクチベーター等の線維素溶解薬が最近使用
されているが、それらの有効性および安全性は、特に深静脈血栓症および肺動脈
塞栓症等の、特異的なプロトロンビンの状態下では、なお大いに関心が持たれて
いる。
【0002】 肺動脈血栓塞栓症は主な死因の一つであり、最もしばしば深静脈血栓症の合併
症である。統計学は肺動脈血栓症の95%より多くが、下肢の深静脈の血栓の結
果として生ずることを示している。医学の進歩にもかかわらず、塞栓症および深
静脈血栓症の発生率および/または認知は増加しているようである。この増加は
、損傷患者のより高い生存と、関節置換のための整形外科手術の増加と、さらに
留置カテーテルの広範囲な使用、ならびに特に老年の患者における医学的および
外科手術的手技における全体的な増加に帰されてきた。結果として、肺動脈塞栓
症の発生率を減じるためには、深静脈血栓症の予防および治療法が必要である。
【0003】 深静脈血栓症を促進する因子は早くも19世紀に定義されており、鬱血、血管
壁の異常、および血液凝固システムの変化を含む。 深静脈血栓症の最も危険性の高いグループは、30分間またはそれ以上の全身
麻酔を必要とする外科手術患者、分娩後の患者、左右の心室不全のある患者、下
肢を含めて骨折または損傷をもつ患者、脚部に慢性深静脈機能不全のある患者、
長期間ベッドで療養している患者、癌患者、肥満の人、およびエストロゲンを使
用している患者である。深静脈血栓症の治療は、ヘパリン等の抗凝血剤の使用を
最もよく含む。しかしながら、この周知の薬剤を以てしても、安全性と有効性の
両者を与える抗凝血剤治療の最適領域に関しての一致はまだない。抗凝血剤治療
に加えて、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼ等の血栓溶解薬が、急性の深
静脈血栓症の管理に用いられてきた。
【0004】 ストレプトキナーゼ、スタフィロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベー
ターまたはtPA、およびウロキナーゼは、プラスミノーゲンアクチベーターと
して知られる一群の薬剤のなかまである。これらの化合物は、フィブリンを消化
するプロテアーゼであるプラスミンを活性化することにより、血管内クロットを
溶解する。プラスミンの不活性先駆物質であるプラスミノーゲンは、一つのペプ
チド結合の切断によりプラスミンに変わる。プラスミン自体は非特異的なプロテ
アーゼであり、フィブリンクロットならびに、いくつかの凝固因子を含む他の血
漿タンパク質を消化する。
【0005】 心筋梗塞および卒中の治療においては、プラスミノーゲンアクチベーターを用
いる線溶療法が有用であることが示されている。しかしながらこれらの薬剤を、
深静脈領域等の他の血管領域において形成されるかまたは位置するクロットの溶
解に適用することは、ボーラス投与後の極めて迅速な消失および不活性化により
制限される(Plow, E. 等、1995. FASEB J. 9 : 939 - 945 ; Narita, M. 等
、1995. J. Clin. Invest. 96 : 1164 - 1168)。tPAおよびウロキナーゼは
共に、循環しているプラスミノーゲンアクチベーターインヒビターにより迅速な
不活性化を受け、プラスミン自体は、循環している糖タンパク質であるα−2ア
ンチプラスミンにより不活性化される(Collen, D. 1996. Circulation 93 : 85
7 - 865 ; Reilly, C. 等、1991. Arterioscl. Thromb. 11 : 1276 - 1286 )。
α−2−アンチプラスミンはスタフィロキナーゼを不活性化するが、一方ストレ
プトキナーゼはこの内在性の糖タンパク質インヒビターに対してより抵抗性があ
る(Collen, B. 等、1993. Eur. J. Biochem. 216 : 307 - 314)。プラスミノ
ーゲンアクチベーターの治療用線量は、プラスミノーゲンアクチベーターインヒ
ビターならびにα−2−アンチプラスミンの潜在的な阻害活性を圧倒することが
可能ではあるが、他のプラスミノーゲンアクチベーターのインヒビターも存在し
(C1−インヒビター、α−2−マクログロブリン、アンチトリプシン)、プラ
スミノーゲンアクチベーターを用いた治療にあたり、血栓溶解反応を通じて経時
的にその減少に寄与している(Collen, D. 1996. Circulation 93 : 857 - 865
)。かかる不活性化、またはプラスミノーゲンアクチベーターおよびプラスミン
の分解は、線溶療法の有効性を減少させ、従って血管の再閉塞の予防に失敗する
【0006】 この問題を克服するべく、プラスミノーゲンアクチベーターを静脈内に長期間
にわたって注入することが試みられたが、ほとんど成功していない;失敗は、プ
ラスミノーゲンアクチベーターの血管外沈着の後に起こりやすい、出血および抑
制されない組織タンパク質分解等の、有害な副作用に帰された。
【0007】 そこで、深静脈血栓症におけるこれらの薬剤の有効性を改良するべく、プラス
ミノーゲンアクチベーターの血中の半減期の延長、インヒビターによる不活性化
からのプラスミノーゲンアクチベーターの防御、プラスミノーゲンアクチベータ
ーのフィブリンおよびthrombiへのターゲッチング、を含むいくつかの異なるア
プローチが試みられた。たとえば、化学修飾およびリポソームへのプラスミノー
ゲンアクチベーターの取り込みが、循環におけるプラスミノーゲンアクチベータ
ーの半減期を延長させるべく用いられた(Kajihara, J. 等、1994. Biochim. Bi
ophys. Acta 1199 : 202 - 208 ; Heeremans, J. 等、1995. Thromb. Haemost.
73 : 488 - 494)。しかしながらこれらの研究は、リポソームに封入されたプラ
スミノーゲンアクチベーターの活性が、立体制限により強度に弱められることを
示した。また、改変された薬物動態学的性質と、インヒビターに対する増強され
た抵抗性と、より高い線維素溶解能とを有する遺伝学的に設計されたtPA化合
物も産生された(Collen, D. 1996. Circulation 93 : 857 - 865 ; Collen, D.
1993. Lancet 342 : 34 - 36 ; Krishnamurti, C. 等、1996. Blood 87 : 14 -
19 ; Lijnen, R. およびD. Collen. 1992. Ann. NY Acad. Sci. 667 : 357 - 3
64)。いくつかの研究室は、プラスミン産生をクロットに局在化させるべく、フ
ィブリンまたは活性化された血小板を認識する抗体を用いてプラスミノーゲンア
クチベーターの結合を探究してきた(Halvoet, P.等、1993. Circulation 87 :
1007 - 1016 ; Runge, M. 等、1996. Circulation 94 : 1412 - 1422 ; Fears,
R.およびG. Poste. 1994. Fibrinolysis 8 : 203 - 213)。しかしながら、クロ
ット成分に対する親和性をもつかかる結合されたプラスミノーゲンアクチベータ
ーは、クロットの表層にのみ結合し、クロット内部に侵入しない(Sakharov, D.
およびD. Rijken. 1995. Circulation 92 : 1883 - 1890)。さらに、形成され
たクロットの限られた表面積が故に、クロットは注入された「フィブリンに特異
的な」プラスミノーゲンアクチベーターのごく一部としか結合しない。
【0008】 さらに、現在までのところ、これらのプラスミノーゲンアクチベーター修飾法
は、いずれもプラスミノーゲンアクチベーターの組織における沈着を予防せず、
このことが有害な副作用の増加に導く可能性がある;それらはすべて血液タンパ
ク質の大きさを超えない大きさをもつ分子または分子複合体を表わす。かかる沈
着は、組織におけるプラスミンの活性化に導く。活性化されたプラスミンは細胞
外マトリックスを分解し、従って血管のリモデリング、異常な血管透過性の上昇
、および内皮下層の部分的な露出までも引き起こす(Plow等、1995. FASEB J. 9
: 939 - 945 ; Shreiber等、1995. J. Cell. Physiol. 165 : 107 - 118)。 従って、プラスミノーゲンアクチベーターの除去および分解の速度を減じるだ
けでなく、組織におけるプラスミノーゲンアクチベーターの沈着を予防するプラ
スミノーゲンアクチベーターの修飾法が必要である。
【0009】 赤血球(RBC)は、通常120日間の寿命を持ち、それゆえ薬物および生体
分子についての天然のキャリアとして役立つことが可能である。自己のRBCは
患者の血液から容易に取得可能であり、薬剤が負荷され、そして再注入される。
RBCは、RBCの内部容積に負荷された薬剤のへの担体として用いられてきた
(Poznansky, Mおよび R. Juliano. 1984. Pharmacol. Rev. 36 : 277 - 324 ;
Kirch, M. 等、1994. Biotechnol. App. Biochem. 19 : 331 - 363 ; Kinoshit
a, K. およびT. Tsong. 1978. Nature 272 : 258 - 260)。さらに、ストレプト
アビジン−ビオチンペアをクロスリンカーとして 用いる方法を含め、RBCへ
のタンパク質の結合法が開発された。
【0010】 ストレプトアビジンは60kDaのタンパク質であり、4つの高親和性ビオチ
ン結合部位を有しており、またストレプトアビジン−ビオチン対は架橋結合剤と
して生物医学において広く用いられている(Wilchek, M.およびE. Bayer. 1988.
Anal. Biochem. 171 ; 1 - 32)。いくつかのグループは、ストレプトアビジン
−ビオチン技術のインヴィヴォにおける適用を、ガンマイムノシンチグラフィー
について(Kalofonos, H. 等、1990. J. Nucl. Med. 31 : 1791 - 1796)、また
薬剤ターゲッチングについて(Pardridge, W. 等、1995. Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 92 : 5592 - 5596 ; Muzykantov, V. 等、1996. Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 93 : 5213 - 5218)報告した。さらに、ストレプトアビジンは動物または
ヒトにおいて何ら既知の有害反応を誘導しない(Kalofonos, H. 等、1990. J. N
ucl. Med. 31 : 1791 - 1796)。RBCのビオチニル化は、動物におけるこれら
の細胞のインヴィヴォでの寿命および生物適合性に何ら影響をもたない方法で行
なうことができる(Suzuki, T. およびG. Dale. 1987. Blood 70 : 791 - 1795
; Muzykantov, V. 等、1991. Blood 78 : 2611 - 2618)。
【0011】 プラスミノーゲンアクチベーターを含め、プラスミノーゲンアクチベーターの
機能活性を有意に減じることのない、タンパク質のビオチニル化が報告されてい
る(Muzykantov, V. 等、1986. Biochem. Biophys. Acta, 884 : 355 - 363 ; M
uzykantov, V. 等、1995. Anal. Biochem. , 226 : 279 - 287 ; Muzykantov, V
. 等、1996. J. Pharm. Exp. Ther. , 279 : 1026 - 1043。インヴィトロの研究
では、抗体、酵素ペルオキシダーゼ、およびフィブリン溶解性ストレプトキナー
ゼ等の種々のビオチニル化されたタンパク質と、ストレプトアビジンを結合され
たビオチニル化したRBCとの多価結合(SA/b−RBC)が行なわれ、イン
ヴィトロにおいてSA/b−RBCに結合するこれらのタンパク質の高度に機能
的な活性が報告された(Muzykantov, V. 等、1985. FEBS Lett. 182 : 62 - 66
; Muzykantov, V. 等、1986. Biochim. Biophys. Acta 884 : 355 - 363 ; Muzy
kantov, V. 等、1987. Am. J. Pathol. 128 : 226 - 234)。
【0012】 しかしながら、ビオチニル化されたタンパク質の、 b−RBCに対するスト
レプトアビジンクロスリンカーを介する多価結合は、キャリアRBCの生物適合
性を大いに悪化させる。b−RBCに対するストレプトアビジンの結合は、補体
の古典および第二経路の両者の同種拘束の排除に導き、それにより血漿内でのS
A/b−RBCの溶解を引き起こす(Muzykantov, V. 等、1991. Blood 78 : 26
11 - 2618 ; Muzykantov, V. 等、1992. Int. J. Artif. Organs 15 : 620 - 62
7 ; Muzykantov, V. 等、1993. FESE Lett. 318 : 108 - 112)。ストレプトア
ビジンに誘導される架橋結合と、ビオチニル化されたRBC膜における補体抑制
因子、DAFおよびCD59の膜再分布とは、補体の活性化および溶解の最もあ
りそうなメカニズムを表わしている(Muzykantov, V. 等、1992. Biochem. Biop
hys. Acta, 1107 : 119 - 125 ; Zaltman, A. 等、1995. Biochem. J. 305 : 65
1 - 656)。さらに、C3b補体成分の固定が、肝臓および脾臓の取り込みを介
した、血流からのSA/b−RBCの排除の速度の増加に導くことが示された(
Muzykantov, V. 等、1992. Int. J. Artif. Organs 15 : 620 - 627 ; Muzykant
ov, V. 等、1996. Anal. Biochem. 214 : 109 - 119)。
【0013】 従って、ストレプトアビジンを介してRBCキャリアに多価に結合された薬剤
は、インヴィヴォではそれらのターゲットにデリバーされることはあり得ない。
SA/b−RBCキャリアの、この生物適合性の欠如は、結合法の修正によって
克服されることが可能である。たとえば、RBC当りビオチニル化されたモデル
タンパク質10個までの分子と結合可能な、血清に安定性のあるキャリアSA
/b−RBCを産生するべく、b−RBCへのストレプトアビジンの1価性の結
合が証明された(Muzykantov, V. 等、1991. Biochem. J. 273 : 393 - 397 ; M
uzykantov, V. 等、1992. Biochim. Biophys. Acta 1107 : 119 - 125; Muzykan
tov, V. 等、1993. Anal. Biochem. 208 : 338 - 342 ; Muzykantov, V. および
R. Taylor. 1994. Anal. Biochem. 223 : 142 - 148 ; Muzykantov, V. 等、199
6. Anal. Biochem. 214 : 109 - 119;)。ストレプトアビジンを介して、ビオ
チニル化されたモデルタンパク質(b−IgG)と1価性に結合されたb−RB
Cキャリアは、動物における静脈注射の後、少なくとも1日は安定な複合体とし
て循環し、溶解または肝臓による摂取の証拠はなかった(Muzykantov, V. 等、1
996. Anal. Biochem. 214 : 109 - 119)。また、これらの研究において、SA
/b−RBCと1価性に結合されたb−IgGの半減期は、未結合 b−IgG
のそれを有意に上回ることも発見された( Muzykantov, V. 等、1996. Anal. Bi
ochem. 214 : 109 - 119)。
【0014】 SA/b−RBCキャリアに対するビオチニル化されたプラスミノーゲンアク
チベーターの1価性の結合が、血流中のプラスミノーゲンアクチベーターの循環
の延長と、組織におけるプラスミノーゲンアクチベーターの沈着の減少という結
果に終わることが、現在では証明されている。また、SA/b−RBCキャリア
に対しての、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター用のビオチニル化さ
れた可溶性リセプター(b−suPAr)の1価性の結合と、ビオチニル化され
た組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)の1価性の結合とは、これら
のビオチニル化されたプラスミノーゲンアクチベーターの血流における循環が、
リセプター/RBC複合体(b−suPAr/SA/b−RBC複合体)、およ
びtPA/RBC複合体の形で各々延長される結果に終わることも、現在発見さ
れている。さらに、 b−suPAr/SA/b−RBC複合体が、血流中にお
ける延長された循環の後においても、単鎖ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチ
ベーター(scuPA)との結合能を保持していること、およびRBCキャリア
に結合されたリセプターに対するこの線維素溶解性先駆物質(scuPA)の非
共有結合が、scuPAの活性化および血漿インヒビターに対するより大きい抵
抗性に導き、従ってクロット自体に対する亢進された線維素溶解活性を提供する
ことが現在発見されている。また、tPA/RBCを形成するべく、tPAをビ
オチニル化されたRBCに対して架橋結合することにより、肺の血管によるtP
Aの摂取が増加し、より大きい血管におけるtPA/RBC複合体のレベルを上
回るレベルまで、その増加が見られることも発見された。従って、本発明はキャ
リアである赤血球細胞の分子に生物適合的に結合された線維素溶解性または抗凝
血性薬剤を含む組成物と、これらの組成物を深静脈血栓症を含む抑制されない血
管内クロット形成の治療に用いる方法とに関する。
【0015】 (発明の概要) 本発明の目的は、赤血球細胞キャリアの表面に生物適合的に結合された線維素
溶解性または抗凝血性薬剤を含む組成物を提供することである。 本発明のもう一つの目的は、赤血球キャリアに対して当該薬剤を生物適合的に
結合することにより、血液からの線維素溶解性または抗凝血性薬剤の除去速度を
減じるための、また組織における当該薬剤の沈着を減じるための方法を提供する
ことである。 本発明のもう一つの目的は、血液中において線維素溶解性のある単鎖ウロキナ
ーゼプラスミノーゲンアクチベーター(sucPA)の先駆物質を活性化する方
法であって、sucPAの、赤血球キャリアに生物適合的に結合されたそのリセ
プターへの結合を含む方法を提供することである。
【0016】 本発明のもう一つの目的は、肺血管による組織プラスミノーゲンアクチベータ
ーの摂取を亢進する方法であって、ビオチニル化された組織プラスミノーゲンア
クチベーターを、ストレプトアビジンを介し、ビオチニル化された赤血球に架橋
結合することと、前期架橋結合された組織プラスミノーゲンアクチベーターを動
物に投与することとを含む方法を提供することである。 本発明のもう一つの目的は、患者の血液中において、存在している血管内フィ
ブリンクロットの分解を、線維素溶解性薬剤により亢進する方法であって、赤血
球キャリアへ生物適合的に結合された線維素溶解性薬剤を含む組成物を患者へ投
与することを含む方法を提供することである。
【0017】 本発明のさらにもう一つの目的は、患者の抑制されない血管内クロット形成を
予防および治療する方法であって、血管内クロットの抑制されない形成を罹患し
ている患者に、赤血球キャリアに対し生物適合的に結合された線維素溶解性また
は抗凝血性薬剤を含む組成物を投与することを含む方法を提供することである。
【0018】 (発明の詳細な説明) 本発明は、深静脈血栓症、肺動脈塞栓症、および血管内フィブリンクロットの
抑制されない形成によって特徴づけられる他の病気または症候群の予防および治
療のための組成物および方法を提供する。本発明は、薬剤、好ましくは線維素溶
解性または抗凝血性薬剤、さらに好ましくはプラスミノーゲンアクチベーターの
、キャリアとして作用するRBCに対する生物適合性の結合に基づくものであり
、当該薬剤の循環の延長および組織による摂取の制限を提供する。ビオチニル化
されたRBCに対するストレプトアビジンを介したプラスミノーゲンアクチベー
ターの1価性結合(本文ではSA/b−RBCと呼ぶ)は、生物適合性結合法に
ついての本発明の一つの例となる。ビオチニル化されたプラスミノーゲンアクチ
ベーターは、本文ではb−PAと呼ぶ。 b−PAの、ビオチニル化されたRBCに対するストレプトアビジンを介した
結合を調べるべく、実験を行なった。インヴィトロでの検査の結果は、ストレプ
トアビジンが、ビオチニル化されたRBCに対してb−PAの特異的かつ有効な
結合を提供することを示した(表1)。
【0019】
【表1】
【0020】 フィブリンプレート溶解分析法において、またフィブリンクロット(125
−フィブリノーゲンから形成された)からの放射能標識されたヨウ素の放出分析
法において検査された場合には、b−PA/SA/b−RBC結合体は安定であ
って、高い線維素溶解活性を発揮することが示された。フィブリンクロットの形
成に先立ち、125I−フィブリノーゲン溶液にb−PA/SA/b−RBC結
合体が添加された場合には、その後の線維素溶解は71±12%に達した。未結
合PAは、フィブリンクロットの96±5.5%の溶解を誘導した。従って、b
−PAをSA/b−RBCに対して結合することは、PAの線維素溶解活性を有
意に悪化させることはない。
【0021】 また、RBC−結合プラスミノーゲンアクチベーターの半減期(すなわち、分
解および血液からの除去)を、インヴィヴォにおいてラットで検定した。125 I−scuPA、125I−ウロキナーゼ、125I−ストレプトキナーゼ、ま
たは125I−tPAの血液クリアランスの動態を、scuPAまたはtPAの
5μg/kgの線量での静脈内注射に続いて測定した。注射後1時間以内に、s
ucPAの血中レベルは注入された線量の5%未満に低下した。対照的に、SA
/b−RBCが結合されたscuPAの血中レベルは1時間の時点で10倍高く
、その後24時間まで高いレベル(注射された線量の20%)に存続した。同様
の結果がtPA、ウロキナーゼ、およびストレプトキナーゼについても見られた
。静脈内注射後の24時間にわたり、プラスミノーゲンアクチベーターの血中レ
ベルの曲線の下の部分の面積を、RBCに対して生物適合的に結合されたそれら
に対して薬物動態分析し、RBCに結合されたPAの半減期が未結合PAのそれ
を数倍程度の大きさで上回ることが示された。
【0022】 さらに、ビオチニル化されたプラスミノーゲンアクチベーターの、SA/b−
RBCキャリアとの結合は、51Crで標識されたキャリアRBCの血管内溶解
を引き起こさず、また脾臓を除く全ての組織において、RBCの生体内分布を変
えることはなかった。脾臓によるb−PA/SA/b−RBCの摂取は、約4倍
に高められた。しかしながら、脾臓による化学的に修飾されたRBCの摂取のか
かる増加は、文献においては周知である。重要なことは、b−PA/SA/b−
RBC結合体の注射後に、プラスミノーゲンアクチベーターの組織による摂取が
著しく減少したことである。たとえば、脳組織における125I−tPAのレベ
ル(血液中のそれの百分率として表わされた)は、18.3±1.1%であるの
に対し、125I−b−tPA/SA/b−RBCのパラメータは1.8±0.
5%であった。従って、RBCキャリアとの結合は、脳における摂取を10倍減
少させた。
【0023】 tPAの場合には、組織分布のデータは、RBCへのtPAの結合により、循
環中のその生物学的利用能が引き伸ばされるだけでなく、肺の血管によるその摂
取も劇的に増加することを示した。注射の1時間後では、20%の放射能標識t
PAが125I− tPA / RBCを注射されたラットの肺において検出され
、その値は可溶性の125I−tPAの注射の後に見られるものより100倍高
い。しかし、肺によるtPA/51Cr−RBCの摂取は、未修飾RBCのそれ
よりほんのわずか高いにすぎない(3.8%対1.2%)。従って、tPA/R
BCを注射されたラットの肺は、放射能標識されたRBCよりも5倍多くの放射
能標識tPAを含むが、一方血液を含めた他の全ての組織においては、放射能標
識されたRBCに対する放射能標識されたtPAの比は1に等しかった。このこ
とは、肺すなわち、肺の血管系へのtPAの有意な転移があったことを示唆して
おり、この結果は他の器官では見られなかった(器官特異的効果)。キャリアR
BCからのtPAのこの転移は急速におこり、数時間続いた。さらに、125
− tPA / RBCの肺対血液比は、放射標識されたtPAのそれよりも20
倍高かったのに対し、腎臓、脳、および心臓では、これらの器官対血液比は10
倍低く、データはRBCへのtPAの結合が肺以外の器官による摂取を強く制限
することを示している。
【0024】 また、血液中の不活性プラスミノーゲンアクチベーターを活性化するための戦
略を決定するための実験も行なわれた。可溶型のウロキナーゼリセプター(su
PAr)はscuPAと結合し、不活性scuPAを活性uPAに変えること、
ならびに血漿インヒビターによる阻害からそれを保護することが報告されている
(Higazi, A. 等、1995. J. Biol. Chem. 270 : 17375 - 17380 ;Higazi, A.
等、1996. Blood 87 : 3545 - 3549)。しかしながら、血液中でのsuPArの
半減期は短く、静脈注射後数分間の範囲にある。従って、インヴィヴォにおける
suPArの半減期を延長するべく、ビオチニル化されたsuPArをSA/ビ
オチニル化RBCに結合した。この結合は、 SA/b−RBC分子当り1.3
x10個までのsuPAr分子をもつ、b−suPAr/SA/b−RBCと
呼ばれる複合体を生じた。ビオチニル化されたRBCに結合されたストレプトア
ビジンがない場合には、RBCキャリアへのsuPArの結合は低めの大きさで
あった(1.2x10個のsuPAr分子/RBC)。
【0025】 b−suPAr/SA/b−RBC複合体の、単鎖ウロキアーゼプラスミノー
ゲンアクチベーター(scuPA)に対する結合能を、125I−標識されたs
cuPAをb−suPAr/SA/b−RBCか、またはインタクトなRBCs
(scuPAの非特異的な結合の対照として用いられた)と共にインキュベート
することにより、インヴィトロにおいて検定した。b−suPAr/SA/b−
RBC当りでは1.5+0.1x10分子の125I−scuPAが結合した
のに対し、RBC当りではわずかに0.06+0.01x10125I−s
cuPAが結合したにすぎなかった。従って、b−suPAr/SA/b−RB
C複合体は、有効かつ特異的にscuPAに結合する。
【0026】 次に、b−suPAr/SA/b−RBC複合体に結合されたscuPA(s
cuPA/b−suPAr/SA/b−RBC)の線維素溶解活性を調べた。125 I−フィブリンと、リン酸緩衝化生理食塩水(対照クロット)か、RBC
キャリアのみか、b−suPA/SA/b−RBC複合体か、scuPA/b−
suPAr/SA/b−RBC複合体か、またはscuPAのみのいずれかとを
含むフィブリンクロットを調製した。対照のクロットでは、37℃にて120分
間のインキュベーションの後、放射能標識の5%未満が上清に放出された。RB
Cキャリアのみでも、b−suPA/SA/b−RBC複合体(SA/b−RB
Cに直接結合されたb−scuPA)でも、検出可能な線維素溶解は引き起こさ
れなかった。遊離のscuPAは約10%の線維素溶解を引き起こした。しかし
ながら、同様の線量のscuPA/b−suPAr/SA/b−RBC複合体は
、95±4%の線維素溶解を引き起こした。これらの結果は、SA/b−RBC
と結合したb−suPAr結合体に対するscuPAの結合が、実際にscuP
Aの線維素溶解活性を刺激することと、b−suPAr/SA/b−RBC複合
体に線維素溶解薬としての活性があることとを示している。
【0027】 インヴィヴォにおけるb−suPAr/SA/b−RBC複合体の動態を決定
するため、ラットに125I−suPAr/SA/51Cr−b−RBCを静脈
内注射し、当該複合体の血中レベルおよび生体内分布を調べた。キャリアRBC
に対するsuPArの結合は、血流中のsuPArの半減期を有意に増加させた
。未結合suPArの血中レベルは、3時間までは検出不能であったが、b−s
uPAr/SA/b−RBC複合体の20%が注射の24時間後まで測定可能で
あった。
【0028】 生体内分布の研究により、suPArの結合は溶血、またはキャリアRBCの
細網内皮細胞による摂取を導かないことが示された。事実、結合されたb−su
PAr/SA/51Cr−b−RBCの分布は、対照の51Cr− RBCの分
布のものと同様であった。 b−suPAr/SA/51Cr−b−RBCのラ
ットへの注射の1時間後に、血液細胞に対する125I−scuPAの結合を測
定するため、血液サンプルを取得した。b−suPAr/SA/b−RBC複合
体を注射されたラットから取得された血液は、対照動物から取得された血液より
3倍多くのscuPAを結合した。これらのデータは、b−suPAr/SA/
b−RBCが循環において機能的に活性があり、scuPAとの結合が可能であ
ることを示している。この結合の定量化により、血流中において1時間循環した
後に、各b−suPAr/SA/b−RBC複合体が約10分子のscuPA
と結合することが明らかにされた。この値は、ラットに注射する前の、b−su
PAr/SA/b−RBCのscuPA結合の開始レベルと同様である。従って
、血流内での循環は、この複合体の結合能を変化させなかった。
【0029】 架橋結合されたプラスミノーゲンアクチベーターの線維素溶解活性を、ラット
においてインヴィヴォで調べた。250μgの未結合tPAか、またはキャリア
RBCに結合された50μgのtPAをラットに静脈内注射し、10分、60分
、および180分後に血液を採集した。125I−フィブリノーゲンをすべての
試料に添加し、室温にて血液を凝固させた。tPAもtPA/RBCも、調べた
濃度においてはクロット形成を抑制せず、このことは、本発明の安全性の見地か
ら重要な考察である。次いで、クロットを37℃にてインキュベートし、クロッ
ト溶解の速度を調べた。自発的に生じる線維素分解は、生理食塩水を注射された
ラットにおいて、10分または60分後のどちらでも、10%を超えなかった。
線維素溶解は、未結合tPAの注射の10分後に増加した。しかしながら、血液
からのtPAの迅速な除去の観点から期待されたように、tPA注射の60分後
に取得された血液中の線維素溶解速度は、対照動物のそれをごくわずかに上回る
のみであった。驚くべきことには、tPA/RBCの注射の3時間後に取得され
た血液であっても、注射されたtPAの線量が5倍低くても、有意な線維素溶解
活性(40%のクロット溶解)が保持されていた。これらのデータは、キャリア
RBCに対するtPAの結合が、酵素学的に活性のあるプラスミノーゲンアクチ
ベーターの循環をインヴィヴォにおいて有意に増加させ、血液中のプラスミノー
ゲンアクチベーターのインヴィヴォにおける半減期を、RBCへの結合によって
負荷されるはずのいかなる立体化学的制限をも克服するレベルにまで引き伸ばし
たことを示している。
【0030】 従って本発明は、プラスミノーゲンアクチベーター等の線維素溶解薬と、抗凝
血剤とを含む薬剤の、ヒトを含めた動物の血流における半減期を、血流中におけ
る当該薬剤の分解および除去を減じることにより延長するための、新規な組成物
を提供する。本発明はまた、患者の血液中のプラスミノーゲンアクチベーターに
よるフィブリンクロットの溶解を亢進するための方法であって、赤血球キャリア
に対し生物適合的に結合されたプラスミノーゲンアクチベーターを含む組成物を
患者に投与することを含む方法を提供する。従って、本発明の当該組成物は、抑
制されない血管内クロット形成を罹患している患者に、赤血球キャリアに対し生
物適合的に結合された線維素溶解性または抗凝血性薬剤を含む組成物を投与する
ことにより、患者の抑制されない血管内クロット形成を予防および治療すること
において有用である。
【0031】 生物適合性の赤血球キャリアを含む組成物の調製は、既知の結合法に従って行
なわれ、ビオチンおよびストレプトアビジンを介する1価性の架橋結合によって
例示される。しかしながら、この開示に対し、当業者には明らかなように、他の
生物適合的結合、すなわち化学的結合、結合されたリセプターを介する非共有結
合、または溶解および亢進された食作用に例示される、RBCキャリアの生物適
合性の悪化に導かない、他の付加手段もまた使用することができる。好ましい態
様においては、本発明の組成物はさらに、深静脈血栓症を含む抑制されない血管
内フィブリンクロット形成によって特徴づけられる病気または状態にある患者に
静脈内投与するための、製薬上許容される賦形剤を含む。プラスミノーゲンアク
チベーターに加えて、このデリバリーシステムは、抗凝血剤等の他の薬剤のデリ
バリーにも有用と考えられる。本発明の組成物は、好ましくは当該薬剤の単回の
治療線量の静脈内ボーラス注射として体系的に投与される(たとえば、プラスミ
ノーゲンアクチベーターについては0.1〜1.0mg/kg)。 本発明をさらに説明するため、以下の制限しない例が提供される。
【0032】
【例】
例1:結合されたプラスミノーゲンアクチベーターの調製 − ビオチニル化、タンパク質の放射能標識、RBCへのタンパク質の結合、およ
び線維素溶解活性の評価 ビオチンエステル、6−ビオチニルアミノカプロン酸N−ヒドロキシスクシン
イミドエステル(BxNHS)を、100%ジメチルホルムアミドに溶解し、最
終濃度を10mMまたは1mMとした。組織プラスミノーゲンアクチベーター(tP
A)、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、および可溶性ウロキナーゼプラスミ
ノーゲンアクチベーターリセプター(suPAr)を、10倍過剰のモル比のB
xNHSにおいてビオチニル化した。新鮮な1mMBxNHSの8マイクロリット
ルを100μlのタンパク質溶液(ホウ酸緩衝食塩水、BBS、pH8.1中に1m
g/ml)に添加した。氷上で1時間インキュベートした後、過剰な未反応BxN
HSを一晩透析して除去した。ビオチニル化されたタンパク質を、アイオドゲン
コートチューブ(Iodogen-coated tubes) を使用し、製造業者(Pierce)の忠告
に従って125ヨウ化物を用いて放射能標識した。100μgのアイオドゲンを
用いてコートしたチューブ内で、100μgのビオチニル化されたタンパク質と
、100μCiの125ヨウ化ナトリウムとを、氷上にて20分間インキュベー
トし、ngあたり約500cpmの比放射能を有するストレプトアビジンを生じ
た。過剰のヨウ素を透析により除去した。放射能標識されたタンパク質の95%
より多くがTCAにより沈殿可能であった。
【0033】 次いで、2ミリリットルの新鮮なヘパリン添加血を1,500rpmにて5分
間遠心分離し、上清(すなわち血漿)を除去した。次いで、PBSを用いてペレ
ットを再懸濁し、標準的な遠心分離により洗浄し(1mlのペレット当り10ml
のPBS、1,500rpm、5分間、4回)、洗浄されたRBCの100%懸
濁液とした。次に、0.1mlのRBCペレットにPBS(0.9ml)を加え
た(すなわち、洗浄されたRBCの10%懸濁液を作成)。100マイクロリッ
トルの300mMホウ酸(pH9.0)を、1.0mlの10%RBCに加えた。
次いでこの懸濁液に、反応混合物中のBxNHSの、10μMに等しい最終濃度
を取得するべく、またb10−RBCを取得するべく、DMFA中のBxNHS
を加えた。まず、ストック溶液である0.1M BxNHS/DMFAの1μl
を、99μlのDMFAに加えた。次いで、この新鮮な1mM BxNHS/D
MFA溶液の10μlを、1mlの10%RBCに添加し、十分に混合した。周
期的に穏やかに振盪しながら20℃にて30分間インキュベートした後、過剰な
未反応のBxNHSを、2mg/mlのBSAを含んでいるPBS(BSA−P
BS)を用いた標準的な遠心分離により、反応混合物から除去した。 BSA−
PBS中のビオチニル化されたRBCの10%懸濁液が調製された。
【0034】 b−RBCにストレプトアビジンを付加するため、20μlのSAストック溶
液(PBS中に1mg/ml)を、100μlのb−RBC10%懸濁液に添加し
、十分に混合した。これにより、5x10個のb−RBC当り、1μgのSAの
添加(b−RBC当り約2x10分子)が供給される。周期的に穏やかに振盪
しながら30分間20℃にてインキュベートした後、未結合のSAを、BSA−
PBS中での標準的な遠心分離により除去した。
【0035】 SA/b−RBCに対し、ビオチニル化されたプラスミノーゲンアクチベータ
ーまたはsuPArを付加するため、5μlのb−PAまたはb−suPArの
ストック溶液(PBS中に1mg/ml)を、SA/b−RBCの10%懸濁液
100μlに添加し、十分に混合した。これは、2x10個のSA/b−RBC
当り、1μgのb−PAまたはb−suPArの添加(SA/b−RBC当り約
3.5x10分子)を供給する。次いで、b−PAまたはb−suPArを、
SA/b−RBCの10%懸濁液と共に1時間インキュベートした(周期的に
穏やかに振盪、20℃)。未結合タンパク質を、BSA−PBSを用いた標準的
な遠心分離により除去した。SA/b−RBCに対するb−PAまたはb−su
PArの結合を定量するため、放射能標識されたb−PAまたはb−suPAr
をトレーサーとして使用した。
【0036】 例2:結合されたプラスミノーゲンアクチベーターのインヴィヴォでの投与 放射能標識された標品の生体内分布をラットにおいて研究するため、放射能標
識された1μgのPAまたはsuPArを含んでいる0.5mlの生理食塩水か
、またはキャリアRBCに結合されたこれらのタンパク質を、麻酔下に尾部の静
脈内に注射した。インヴィヴォでの投与の後、RBCに結合されたプラスミノー
ゲンアクチベーターを追跡するため、20〜50μlの125I−b−PA/S
A/b−RBCの10%懸濁液を、麻酔されたラットの尾部静脈から注射した。
注射後の指示された時間(5分〜24時間)に、麻酔されたラットを瀉血により
犠牲にした。血液および内部の器官を収集した。器官は、生理食塩水を用いて血
液がなくなるまですすぎ、秤量した。次いで、血液および内部器官のアリコート
中の125Iの放射能を、ガンマカウンターを用いて測定した。次に、血液の遠
心分離により血液から血漿を分離し、血漿中の放射能を測定した。結果を、組織
、血液、または血漿のグラム当りのcpmとして,平均値±標準誤差(M±SE
)として計算した。統計学的な比較は、均等分散の片方向分析(ANOVA)と
、それに続くスチューデント・ニューマン・ケウルス(Student-Newman-Keuls)
法を用い、p<0.05の統計学的有意性の水準において行なった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヒガジ, アブド アル−ルーフ アメリカ合衆国 ペンシルヴァニア州 19004、バラ−シンワイド、ベルモント アベニュー #502 50 (72)発明者 ムルシアノ, ファン カルロス アメリカ合衆国 ペンシルヴァニア州 19139、フィラデルフィア、スプルース ストリート 4641、アパートメント 4 (72)発明者 サインズ, ダグラス アメリカ合衆国 ペンシルヴァニア州 19096、ワインウッド、トレント ロード 101 Fターム(参考) 4C084 AA02 AA17 BA03 CA36 DC05 NA14 ZA362 ZA542 ZC192 4H011 AA02 BB19 DH11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤血球キャリアに対し生物適合的に結合された線維素溶解性
    または抗凝血性薬剤を含む組成物。
  2. 【請求項2】 ビオチニル化されたプラスミノーゲンアクチベーターか、ま
    たはプラスミノーゲンアクチベーター前駆体に対するストレプトアビジンを介し
    てビオチニル化された赤血球キャリアに1価性に架橋結合されたビオチニル化さ
    れたリセプターを含む組成物。
  3. 【請求項3】 血液中の先駆型のウロキナーゼを活性化する方法であって、
    血液中の前記不活性ウロキナーゼを、赤血球キャリアに生物適合的に結合された
    可溶型のウロキナーゼリセプターを含む組成物と接触させることを含む、前記方
    法。
  4. 【請求項4】 動物の血流中からの線維素溶解性または抗凝血性薬剤の除去
    の速度を減じるため、および前記動物の組織における当該薬剤の沈着を減じるた
    めの方法であって、請求項1に記載の組成物を前記動物に投与することを含む、
    前記方法。
  5. 【請求項5】 動物の血液中に存在しているフィブリンクロットの分解を亢
    進する方法であって、請求項1に記載の組成物を前記動物に投与することを含む
    、前記方法。
  6. 【請求項6】 動物の血管内クロットの抑制されない形成を予防および治療
    するための方法であって、血管内クロットの抑制されない形成に罹患している動
    物に、請求項1に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
  7. 【請求項7】 組織プラスミノーゲンアクチベーターの肺による摂取を亢進
    する方法であって、ビオチニル化された組織プラスミノーゲンアクチベーターを
    、ビオチニル化された赤血球に、ストレプトアビジンを介して架橋結合すること
    と、前記架橋結合された組織プラスミノーゲンアクチベーターを動物に投与する
    ことを含むことを特徴とする、前記方法。
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