JP2007521294A - 初期血管内凝血を選択的に分解する組成物及び方法 - Google Patents

初期血管内凝血を選択的に分解する組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

静脈内フィブリン塊の制御できない形成の予防及び処置の組成物及び方法であって、静脈内に形成された病的な初期凝血塊を選択的に分解でき、先在する止血塊の望まない分解のリスクを最小化し、繊維素溶解剤または抗凝血剤を赤血球キャリヤに生体適合的に連結するものを提供する。

Description

イントロダクション
本出願は、1998年5月21日に出願された米国仮出願番号第60/086,262号を優先権としてクレームし、1999年5月12日に出願されたPCT出願PCT/US99/10547号の一部継続出願である、米国特許第6,488,927号として現在発行された、1999年12月3日に出願された米国出願番号第09/454,666の分割出願であり、2002年9月23日に出願された米国出願番号第10/253,518号の一部継続出願である。
発明の背景
血管内凝血塊による血管の閉塞は、心筋梗塞、(脳)卒中、肺塞栓を含む種々の疾患状態の発病を引き起こし、および/または寄与し、従って重要な医学問題を意味する。プラスミノーゲン・アクチベータなどの繊維素溶解は、これらの疾患または状態の治療に最近使用されたが、それらの効果および安全性は、殊に深部静脈血栓症および肺塞栓などの特定の保護血栓状態下では、いまだ大きな懸念が存在する。
死亡に導く原因となる肺血栓性塞栓症は、深部静脈血栓症の最も頻繁におきる合併症である。統計は、肺塞栓の95%より多くが、下肢の深部静脈系の血栓から生じることを示す。医薬品での進歩にも拘わらず、塞栓症および深部静脈血栓症の発生および/または認知は、増加しているように見える。この増加は、外傷患者のより高い生存に起因するものと考えられ、整形外科での関節置換術の増加、留置カテーテルの広範囲の使用、ならびに医学的および外科的な手続き、特に高年齢の患者に対する総体的な増加による。この結果として、深部静脈血栓症の予防および処置方法は、肺塞栓の発生の減少のために要求される。
深部静脈血栓症を進展する因子は、早くも19世紀に明示され、うっ血、血管壁の異常および血液凝固系の変性を含む。深部静脈血栓症の最も高いリスク群は、全身麻酔を30分以上要する外科患者、分娩後患者、左右心室不全の患者、下肢を含む骨折または損傷を有する患者、脚の慢性深部静脈機能不全を有する患者、長期のベッド休養にある患者、癌患者、肥満者およびエストロゲン使用者である。深部静脈血栓症の治療は、ヘパリンなどの抗凝血剤の使用を最も頻繁に含む。しかし、このよく知られた薬剤でさえ、安全性および有効性の両方が得られる抗凝血剤治療の最適投与計画についての合意が得られていない。抗凝血剤治療に加え、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼなどの血栓溶解剤は、急性深部静脈血栓症の管理に使用されている。
フィブリン血栓による急性血管閉塞はまた、一般的であり、手術の危険な合併症である。極めて重要な血管に塞栓を起こしうる、静脈(例えば、肺塞栓)および動脈(例えば、動脈再閉塞)血栓の進行は、手術中後の病的状態および死亡を増加する。心肺バイパス手術、経皮冠動脈血管形成術および頸動脈血管内膜切除術および他の介入は、小さな血栓の形成により悪化しえ、深刻かつ永続的な神経障害を引き起こす。
虚血が健康への唯一の強迫である環境と対照的に(例えば、急性心筋梗塞、AMI)、外科的環境での血栓の管理は、抗血栓治療自体により与えられた外傷部位およびその周囲の出血の付加されたリスクにより、悪化する。また、単一血管を閉塞する成熟した凝血塊の溶解が、繊維素溶解介入(治療)の初期の目標であるAMIと対照的に、手術後抗血栓管理の目標は、手術後の凝血塊による閉塞のリスクがある(予防)、多様的な血管領域での適当な血量を維持することである。外科的環境においては、理想的な血栓予防薬は、手術中および手術後すぐに形成した止血フィブリン塊を溶解しないで、手術後および回復期に進行した初期の病的な血栓を効果的に溶解する。
存在する薬剤の実在する欠点に加え(下記参照)、外科的環境での血栓予防剤の広範囲の使用は、追加の理由のために限定された熱意を支え続ける。出血の重要性は、外科的な診療でひどく明白であり、血栓予防で頻繁に非難されるものの、無言の血栓事象の臨床的な重要性は(肺および脳微小塞栓症)、発症時に症状の進行を遅延しえ、他の原因に起因すると考えられるので、低く評価される。
現在のアプローチは、保護の手法を提供するが、外科的環境において、すべて限定された利益/リスク比を有する。機械的なフィルターは、大きな凝血塊を捕らえるが、動脈再閉塞または脳微小塞栓の予防に使用することはできない。抗凝血剤(例えば、低分子量ヘパリン)は、血管床の血栓症の発生を減ずるが、投薬は、手術後の出血のリスクにより限定される。ヘパリンは、次々に外傷感染および裂開が生じる可能性を増しうる、外傷ヘマトマス(hematomas)の発生を増加することが報告されている。アスピリンおよび抗-GPIIb/IIIa剤は、血小板凝集を抑制するが、フィブリンモノマーの形成および凝血塊の増殖を防止できない。深刻な副作用に加えて(上記で部分的に議論)、個々の特別な抗凝血剤は、凝血塊の形成の特定の機構を抑制するが(例えば、血小板の活性化またはフィブリン形成)、抗血栓症保護の100%の忠誠を提供するものではない。すでに形成された初期の病的な血栓を溶解するモダリティは、抗凝血剤にもかかわらずまたはその非適用性のために、ひどく必要とされる。
プラスミノーゲン・アクチベータ(PA's)は、理論上はこれらの目的に使用されうる効果的な血栓溶解剤であるが、これらは、迅速な血中クリアランスおよび不活性化、細胞外マトリックスの非選択的劣化および止血フィブリンプラグを含む、血栓予防用途に根本的に不適切である。出血のリスクは、外科的環境でのそれらの使用を事実上妨げる。潜在する止血フィブリンプラグに作用することなく、存在する抗血栓剤戦略は、初期の凝血塊の選択的分解を許容しない。
ストレプトキナーゼ、スタフィロキナーゼ、組織型プラスミノーゲン・アクチベータまたはtPA、およびウロキナーゼは、プラスミノーゲン・アクチベータとして知られる薬剤のファミリーの一員である。これらの化合物は、プラスミン、フィブリンを消化するプロテアーゼを活性化することにより、血管内凝血塊を溶解する作用をする。プラスミンの不活性なプレカーサーである、プラスミノーゲンは、単独ペプチド結合の開裂により、プラスミンに変換される。プラスミン自身は、フィブリン塊、並びにいくつかの凝固因子を含む、他の血漿タンパクを消化する、非特異性プロテアーゼである。
プラスミノーゲン・アクチベータによる繊維素溶解治療は、心筋梗塞および(脳)卒中の処置に有益であることが示された。しかし、深部静脈領域などの他の血管領域で形成されまたは留まる凝血塊を分解するこれらの薬剤の用途は、ボーラス投薬後、非常に急激に排泄および不活性化することにより限定される(Plow, E. et. al. 1995. FASEB J. 9: 939-945; Narita, M. et. al. 1995. J. Clin.Invest. 96: 1164-1168)。tPAおよびウロキナーゼの両者は、循環するプラスミノーゲン・アクチベータ抑制剤により急激な不活性化を受け、プラスミン自体は、循環する糖タンパク、α−2−抗プラスミンにより、不活性化される(Collen, D. 1996. Circulation 93: 857-865; Reilly, C. et. al. 1991. Arterioscl. Thromb. 11: 1276-1286)。ストレプトキナーゼは、この内部糖タンパク抑制剤に、より抵抗しうるので、α−2−抗プラスミンは、スタフィロキナーゼを不活性化する(Collen, B. et. al. 1993. Eur. J. Biochem. 216: 307-314)。プラスミノーゲン・アクチベータの治療投薬量は、プラスミノーゲン・アクチベータ抑制剤の潜在的抑制活性を圧倒し得るが、α−2−抗プラスミン、プラスミノーゲン・アクチベータの他の抑制剤はまた存在し(C1−抑制剤、α−2−マクログロブリン、抗トリプシン)、プラスミノーゲン・アクチベータによる処置に対する繊維素溶解応答が時間とともに減少するのに寄与する。プラスミノーゲン・アクチベータおよびプラスミンのそのような不活性化または劣化は、血栓溶解治療の有効性を減じ、従って、血管の再閉塞の防止に失敗する。
この問題を克服するために、長期間、静脈内にプラスミノーゲン・アクチベータを注入する試みでは、ほとんど成果がなかった;失敗は、出血、止血塊ならびに有害な結果を引き起こす初期の止血塊の分解、およびプラスミノーゲン・アクチベータの血管外沈殿後に起こる抑制できない組織タンパク質分解などの有害な副作用に起因すると考えられる。
従って、いくつかの異なるアプローチが、血液中のプラスミノーゲン・アクチベータの半減期の延長;抑制剤による不活性化からプラスミノーゲン・アクチベータを保護;ならびにフィブリンおよび血栓へのプラスミノーゲン・アクチベータの補足;を含む深部静脈血栓でのこれらの薬剤の効果を改良するために試みられた。例えば、化学修飾およびプラスミノーゲン・アクチベータのリポソームへの組み込みが、循環においてプラスミノーゲン・アクチベータの半減期を延長するために使用された(Kajihara, J. et. al. 1994. Biochim. Biophys. Acta 1199: 202-208; Heeremans, J. et. al. 1995. Thromb. Haemost. 73: 488-494)。しかし、これらの研究は、リポソーム封入プラスミノーゲン・アクチベータの活性が、立体的制限により強く損なわれることを示した。
改変された薬物速度論的特性、増量された抑制剤抵抗、およびより高い繊維素溶解力を有するtPA化合物がまた、 遺伝子操作により製造された(Collen. D. 1996. Circulation 93: 857-865; Collen. D. 1993. Lancet 342: 34-36; Krishnamurti, C. et. al. 1996. Blood 87: 14-19; Lijnen, R. and D. Collen. 1992. Ann. NY Acad. Sci. 667: 357-364 )。いくつかの研究室では、 プラスミノーゲン・アクチベータとフィブリン認識抗体との結合を調査し、またはプラスミン産出を凝血塊に集中するために血小板を活性化した(Holvoet, P. et. al. 1993. Circulation 87: 1007-1016; Runge, M. et. al. 1996. Circulation 94: 1412-1422; Fears, R. and G. Poste. 1994. Fibrinolisis 8: 203-213)。しかし、凝血塊成分に親和性を有するそのように結合したプラスミノーゲン・アクチベータは、凝血塊の表面層のみに結合し、凝血塊内部に入り込まない(Sakharov, D. and D. Rijken. 1995. Circulation 92: 1883-1890)。加えて、形成した凝血塊の表面領域を限定するので、凝血塊は、注入された”フィブリン特異的”プラスミノーゲン・アクチベータの小画分にのみ結合する。そのような捕捉はまた、先在する望ましい止血塊と有害な結果をもたらす初期凝血塊を区別することを失敗する。
さらに、今日まで、修飾プラスミノーゲン・アクチベータのためのこれらの方法はいずれも、有害な副作用の増大に導きうる、組織内でのプラスミノーゲン・アクチベータの沈殿を防止しない;それらはすべて、血液タンパク質の分子を超えないサイズの分子または分子錯体を表す。そのような沈殿は、組織内でプラスミン活性をもたらす。活性化プラスミンは、細胞外マトリックスを減らし、従って、血管リモデル、血管浸透性の異常な向上および内皮下層の部分的な露出でさえ引き起こす(Plow et al. 1995. FASEB J. 9: 939-945; Shreiber et al. 1995. J. Cell. Physiol. 165: 107-118)。
従って、排出率の減少およびプラスミノーゲン・アクチベータの劣化のみならず、血管外組織でのプラスミノーゲン・アクチベータの沈澱を防止する、プラスミノーゲン・アクチベータの修飾方法のニーズがある。さらに、先在する止血塊の最小の効果を有しながら、その中から初期の凝血塊を選択的に捕捉する、組成物及び方法が、必要とされる。
赤血球(RBCs)は、通常120日の寿命を有し、従って薬剤および生体分子の天然キャリアを務めうる。自系のRBCsは、患者の血液から容易に得られ、薬物を載せて、再注入される。RBCsは、RBCsの内部体積中に載せた薬剤のキャリアとして使用された(Poznansky, M. and R. Juliano. 1984. Pharmacol. Rev. 36: 277-324; Kirch, M. et al. 1994. Biotechnol. App. Biochem. 19: 331-363; Kinoshita, K. and T. Tsong. 1978. Nature 272: 258-260)。加えて、架橋剤としてストレプトアビジン−ビオチンペアを使用する方法を含む、RBCsへのタンパク質の結合方法が開発された。
ストレプトアビジンは、高い親和性の4つのビオチン結合部位を有する60kDaのタンパク質であり、ストレプトアビジン−ビオチンペアは、生体臨床医学において、架橋剤として広く使用される(Wilchek, M. and E. Bayer. 1988. Anal. Biochem. 171: 1-32)。いくつかのグループは、in-vivoでのガンマ−免疫シンチグラフィー用(Kalofonos, H. et al. 1990. J. Nucl. Med. 31: 1791-1796)、および薬剤捕捉用(Pardridge, W. et al. 1995. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 5592-5596; Muzykantov, V. et al. 1996. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 5213-5218)のストレプトアビジン−ビオチン技術用途を報告した。さらにまた、ストレプトアビジンは、動物またはヒトで未知の有害な反応を誘発する(Kalofonos, H. et al. 1990. J. Nucl. Med. 31: 1791-1796)。RBCsのビオチン化は、寿命およびin vivoでの動物の細胞の生体適合性に効果を有しない様式で、達成されうる(Suzuki, T. and G. Dale. 1987. Blood 70: 791-795; Muzykantov, V. et al. 1991. Blood 78: 2611-2618)。
プラスミノーゲン・アクチベータの機能的な活性の明白な減少のない、プラスミノーゲン・アクチベータを含む、タンパク質のビオチン化が、開示された(Muzykantov, V. et al. 1986. Biochem. Biophys. Acta, 884: 355-363; Muzykantov, V. et al. 1995. Anal. Biochem., 226: 279-287; Muzykantov, V. et al. 1996. J. Pham. Exp. Ther., 279: 1026-1034)。in vivo研究において、ストレプトアビジン結合のビオチン化RBCsを有する抗体、酵素ペルオキシダーゼおよび繊維素溶解スチレプトキナーゼなどの、種々のビオチン化タンパク質の多価結合が成し遂げられ、in vivoでSA/b−RBCに結合するこれらのタンパク質の高い機能活性が、報告された(Muzykantov. V. et al. 1985. FEBS Lett. 182: 62-66; Muzykantov, V. et al. 1986. Biochim. Biophys. Acta 884: 355-363; Muzykantov, V. et al. 1987. Am. J. Pathol. 128: 226-234)。
しかし、ストレプトアビジン架橋剤を介する、b−RBCsへのビオチン化タンパク質の多価結合は、キャリアRBCsの生体適合性を大いに損なう。b−RBCsへのストレプトアビジン結合は、補体の古典的および代替的な経路の両方の同一源の限定の排除を導き、そのために、血しょう中でSA/b−RBCの溶解を引き起こす(Muzykantov, V. et al. 1991. Blood 78: 2611-2618; Muzykantov, V. et al. 1992. Int. J. Artif. Organs 15: 620-627; Muzykantov, V. et al. 1993. FEBS Lett. 318: 108-112)。ストレプトアビジン誘導架橋およびビオチン化RBC膜での補体抑制剤、DAFおよびCD59の膜再分配は、補体活性化および溶解の適当なメカニズムを表す(Muzykantov, V. et al. 1992. Biochim. Biophys. Acta 1107: 119-125; Zaltzman. A. et al. 1995. Biochem. J. 305: 651-656)。加えて、C3b補体成分の固着は、肝臓および脾臓吸収を介した血流からのSA/b−RBCの上昇した排除率をもたらすことを示した(Muzykantov, V. et al. 1992. Int. J. Artif. Organs 15: 620-627; Muzykantov, V. et al. 1996. Anal. Biochem. 214: 109-119)。従って、ストレプトアビジンを介したRBCキャリアへの薬剤多価結合は、in vivoでそれらの標的に配送され得ない。
SA/b−RBCキャリアの生体適合性の欠如は、結合方法の改変を通じて克服されうる。例えば、ストレプトアビジンのb−RBCsへの一価の結合は、RBC当たり、ビオチン化型タンパク質を10分子まで結合可能な血清安定化キャリアSA/b−RBCを、製造することが証明された(Muzykantov, V. et al. 1991. Biochem. J. 273: 393-397; Muzykantov, V. et al. 1992. Biochim. Biophys. Acta 1107: 119-125; Muzykantov, V. et al. 1993. Anal. Biochem. 208: 338-342; Muzykantov, V. and R. Taylor. 1994. Anal. Biochem. 223: 142-148; Muzykantov, V. et al. 1996. Anal. Biochem. 214: 109-119)。B−RBCキャリアである、ストレプトアビジンを介したビオチン化型タンパク質(b−IgG)との一価の結合は、動物での静脈内の注入後、溶解または肝臓吸収の証拠なしに、少なくとも1日安定な錯体として循環した(Muzykantov, V. et al. 1996. Anal. Biochem. 214: 109-119)。これらの研究において、SA/b−RBCとのb−IgG一価結合の半減期が、非結合のb−IgGの半減期を超えることもまた、見いだされた(Muzykantov, V. et al. 1996. Anal. Biochem. 214: 109-119)。
本明細書で示すように、SA/b−RBCキャリアへのビオチン化プラスミノーゲン・アクチベータの一価結合が、血流中のプラスミノーゲン・アクチベータの長期の循環を起こし、組織中のプラスミノーゲン・アクチベータの沈澱を減じた。さらに、本明細書で示すように、SA/b−RBCキャリアへのウロキナーゼ・プラスミノーゲン・アクチベータのビオチン化溶解受容体の一価結合、(b−suPAr)およびビオチン化組織プラスミノーゲン・アクチベータの一価結合(tPA)は、受容体/RBC錯体(b−suPAr/SA/b−RBC錯体)およびtPA/RBC錯体の形態で、それぞれ血流中のこれらのビオチン化プラスミノーゲン・アクチベータの長期の循環を起こす。さにまた、本明細書で示すように、b−suPAr/SA/b−RBC錯体は、血流中での長期の循環後でさえ単鎖ウロキナーゼ・プラスミノーゲン・アクチベータへの結合能力を保持し、この繊維素溶解プレカーサー(scuPA)のRBCキャリア(例えば、b−suPAr/SA/b−RBC錯体へ)に結合する受容体への非共有結合は、scuPA活性および血清抑制剤への大きな抵抗性をもたらし、その結果、凝血塊自体の上昇した繊維素溶解活性を提供する。本明細書に示すように、tPAの肺血管吸収は、ビオチン化RBCへのtPA架橋によりtPA/RBC錯体を形成することによって増加し、その増加は、より大きな血管でtPA/RBC錯体のレベルを超えるレベルに見える。加えて、tPAおよびsuPArのヒトCR1に対するモノクロナール抗体への結合は、赤血球への線溶活性抗血栓剤の特異的な結合を促進し、非特異的結合および錯体の組織吸収を制限することを本明細書で示す。
さらに、本明細書に示すように、RBCアルター(alters)などのキャリアへの抗血栓剤の結合は、先に形成された(止血)塊および血管外組織に比較的不浸透な抗血栓剤を提供する繊維素溶解プロフィールであり、これにより、その循環および初期の血管内凝血塊内部に組み込まれる可能性を延長し、その中からのそれらの迅速な溶解を提供しながら、出血のリスクを減少する。
従って、本発明は、存在する凝血塊中への浸透を抑制する大きさ、たとえば赤血球などのキャリアに生体適合的に連結する、抗血栓剤などの治療薬を含む組成物、および先在する(止血)塊の溶解を避けながら、初期血管内凝血塊の選択的分解にこれらの組成物を使用する方法に関する。
発明の概要
本発明の目的は、治療薬、好ましくは抗血栓剤、より好ましくは繊維素溶解剤であって、大きさが赤血球と同程度のキャリアの表面に生体適合的に連結し、長期間循環し、初期血管内凝血塊を選択的に分解するものを含む、組成物を提供することである。好ましい態様として、キャリアは赤血球を含む。連結は、ストレプトアビジンによる赤血球などのビオチン化キャリアに、ビオチン化治療剤を架橋することにより、好ましく達成される。あるいは、治療剤は、モノクロナール抗体などの特異的な赤血球表面タンパク質に高い親和性を有する分子に結合し、その後投与により、赤血球に特異的に結合する。赤血球キャリアに特異的なモノクロナール抗体の例は、ヒトCR1に対するモノクロナール抗体である。
本発明の他の目的は、患者に先在する(止血)塊の溶解を避けながら、初期血管内凝血塊の制御できない形成を予防および処置する方法を提供することであり、初期血管内凝血塊の制御できない形成に苦しむ患者に、大きさが赤血球と同程度またはより大きいキャリアに生体適合的に連結する抗血栓剤などの治療剤を含む組成物を、投与することを含む。
発明の詳細な説明
本発明は、深部静脈血栓、肺塞栓および血管内フィブリン塊の制御できない形成により特徴づけられる他の疾病または症候群を、予防および処置する組成物および方法を提供する。本発明は、治療剤、好ましくは抗血栓剤、より好ましくはプラスミノーゲン・アクチベータの、赤血球(RBC)と同程度の大きさのキャリアへの生体適合的な連結に基づく。好ましいキャリアは、RBCである。RBCキャリアまたはRBCsと大きさが同程度のキャリア(3〜5ミクロン)は、長期の循環、限定された組織吸収および薬剤の凝血塊中への最小の浸透を与える。プラスミノーゲン・アクチベータのストレプロアビジンによるビオチン化RBCsへの一価結合は(ここでSA/b−RBCとみなす)、本発明の生体適合的な連結方法の例として提供される。ビオチン化プラスミノーゲン・アクチベータは、ここでb−PAsとみなす。生体適合的な連結の他の例は、モノクロナール抗体などのビオチン化分子へのプラスミノーゲン・アクチベータの架橋であり、その後、全血中の赤血球などのキャリアと特異的に連結する。この連結方法で有益な抗体の例は、ヒトCR1に対するモノクロナール抗体である。
実験は、ストレプトアビジンによるビオチン化RBCsへのb−PAsの結合を調査するために行われた。in vitro試験の結果は、ストレプトアビジンが、ビオチン化RBCへのb−PAsの特異的かつ効果的な結合を提供することを示した。
Figure 2007521294
フィブリン平板溶解試験およびフィブリン塊(125I-フィブリノーゲンから形成)からの放射性標識ヨウ素の放出試験を行ったとき、b−PA/SA/b−RBC結合は、安定性および高い繊維素溶解活性の表示を示した。b−PA/SA/b−RBC結合が、フィブリン塊が形成される前に、125I-フィブリノーゲン溶液に加えられたとき、その後の繊維素溶解は、71±12%に達した。非結合b−PAは、フィブロン塊の96±5.5%溶解を誘発した。従って、SA/b−RBCへのb−PAの結合は、PAの著しい繊維素溶解活性を危うくしない。
RBC−結合プラスミノーゲン・アクチベータの半減期(すなわち、血液からの劣化及び排出率)はまた、in vivoのラットで試験された。125I-scuPA、125I-ウロキナーゼ、125I-ストレプトキナーゼ、または125I-tPAの血中クリアランス動態は、5μg/kg用量でのscuPAまたはtPAの静脈内注入の後に決定された。注入後1時間以内に、scuPAの血液レベルは、注入用量の5%未満に低下した。対照的に、SA/b−RBCに結合したscuPAの血液レベルは、1時間の時点で10倍高く、24時間まで依然として高いレベル(注入用量の20%)であった。同様の結果が、tPA、ウロキナーゼおよびストレプトキナーゼでも見られた。静脈内注入後の24時間のRBCsへのこれらの生体適合的な連結に対し、プラスミノーゲン・アクチベータ血液レベルの曲線下面積の薬物動態解析は、RBC−結合PAsの半減期が、非結合PAsを桁違いに超えることが明らかになった。
さらに、SA/b−RBCキャリアとのビオチン化プラスミノーゲン・アクチベータの結合は、51Crで標識されたキャリアRBCの血管内溶解を引き起こさず、脾臓を除く組織において、RBCの生体内分布を変化しなかった。b−PA/SA/b−RBCの脾臓吸収は、約4倍に上昇した。しかし、化学的に修飾されたRBCsの脾臓吸収のこの様な増加は、文献でよく知られている。重要なことには、b−PA/SA/b−RBC結合の注入後、プラスミノーゲン・アクチベータの組織吸収は、目に見えて減少した。例えば、脳組織内の125I-tPAレベル(血液中のパーセントで表す)は、18.3±1.1%であるのに対し、125I−b−tPA/SA/b−RBCのそのパラメータは、1.8±0.5%であった。従って、RBCキャリアとの結合は、脳での吸収を10倍の減少をもたらす。
tPAの場合、組織分布データは、RBCへのtPAの結合が、循環においてその生体学利用能を延長するだけでなく、その肺血管吸収をも劇的に増加することを明らかにした。注入後1時間、標識されたtPAの20%は、125I−tPA/RBCを注入されたラットの肺で見いだされ、溶解できる125I−tPAの注入後に見られた値の100倍高い値であった。その上、tPA/51Cr−RBCの肺吸収は、非修飾RBCよりもわずかに高い(1.2%に対し3.8%)。従って、tPA/RBCを注入されたラットの肺は、放射性標識RBCよりも放射性標識tPAを5倍も多く含むのに対し、放射性標識RBCと放射性標識tPAの比は、血液を含む全ての他の組織で1に等しかった。これは、肺、肺血管系へのtPAの重要な移動があったことを示し、他の器官では見られなかった(器官特異的効果)。キャリアRBCからのtPAのこの移動は、迅速に起こり、数位時間続いた。加えて、125I−tPA/RBCの肺/血液比は、放射性標識tPAのものより20倍高いのに対し、腎臓、脳、および心臓での、これらの器官/血液比は10倍低く、データは、RBCへのtPAの連結が、肺を除く器官による吸収を、強く制限することを示した。
実験はまた、血液中の不活性化プラスミノーゲン・アクチベータを活性化する戦略を決定するために行われた。ウロキナーゼ受容体(suPAr)の溶解できる形態は、scuPA への結合、不活性scuPAの活性uPAへの変換、ならびに血しょう抑制剤による抑制からの保護が報告された(Higazi, A. et al. 1995. J. Biol. Chem. 270: 17375-17380; Higazi, A. et al. 1996. Blood 87: 3545-3549)。しかし、血液中のsuPArの半減期は、静脈内注入後数分の範囲と短い。従って、ビオチン化suPArは、SA/ビオチン化RBCsに連結し、in vivoでsuPArの半減期を延長した。この連結は、SA/b−RBC分子あたり、suPArを1.3×10分子まで有するb−suPAr/SA/b−RBCとして指定された錯体を生じた。ビオチン化RBCsへのストレプトアビジンの結合なしに、RBCへのsuPArの結合は、より低い規模であった(suPArが1.2×10分子/RBC)。
b−suPAr/SA/b−RBCの単一鎖ウロキナーゼ・プラスミノーゲン・アクチベータへ(scuPA)の結合能力は、b−suPAr/SA/b−RBCまたは損なわれていないRBCsと、125I−標識scuPAを培養することにより試験した(scuPAの非特異的結合をコントロールとして使用した)。RBCあたり、0.06+0.1×10125I−標識scuPAが結合する間に、b−suPAr/SA/b−RBCあたり、1.5+0.1×10125I−標識scuPA分子が結合したことが、見いだされた。従って、b−suPAr/SA/b−RBC錯体が効果的および特異的にsuPAに結合する。
b−suPAr/SA/b−RBC錯体(scuPA/b−suPAr/SA/b−RBC)に関連するscuPAの繊維素溶解活性は、その後試験した。125I−フィブリンおよびリン酸緩衝生理食塩水(凝結塊コントロール)、RBCキャリア単独、b−suPAr/SA/b−RBC錯体、scuPA/b−suPAr/SA/b−RBC錯体、またはscuPA単独のいずれかを含むフィブリン塊を製造した。凝結塊コントロールでは、37℃で120分の培養後、放射性標識の5%未満が上清に放出された。RBCキャリア単独でもb−scuPA/SA/b−RBC錯体(SA/b−RBCに直接結合するb−scuPA)でも、検出できる繊維素溶解は起こらなかった。しかし、同程度の用量のscuPA/b−suPAr/SA/b−RBC錯体は、95±4%の繊維素溶解を引き起こした。これらの結果は、SA/b−RBCに結合するb−suPArへのscuPAの結合は、scuPAの繊維素溶解活性を確かに促進し、b−suPAr/SA/b−RBC錯体は繊維素溶解剤として活性であることを示す。
b−suPAr/SA/b−RBC錯体のin vivoでの末路を決定するために、ラットに125I−suPAr/SA/51Cr−b−RBCを静脈内に注入し、錯体の血液レベルおよび生体分布を調査した。キャリアRBCへのsuPArの結合は、血流中のsuPArの半減期をかなり増加した。b−suPAr/SA/b−RBC錯体の20%が、注入後24時間まで測定できるものの、非結合suPArの血液レベルは3時間以内に検出できなくなった。
生体分布研究は、suPAr結合が、溶血反応またはキャリアRBCの網膜内吸収を導かないことを示した。事実、b−suPAr/SA/51Cr−b−RBC結合分布は、51Cr−RBCコントロールのそれと類似する。ラットへのb−suPAr/SA/51Cr−b−RBC注入後1時間、125I−scuPAの血球への結合を決定するために、血液サンプルを採取した。b−suPAr/SA/b−RBC錯体を注入したラットから採取した血液は、コントロール動物から採取した血液よりも、3倍多くscuPAに結合した。これらのデータは、b−suPAr/SA/b−RBCが循環中に機能的に活性であり、scuPAに結合可能であることを示す。結合の定量により、血流中1時間循環後、各b−suPAr/SA/b−RBC錯体が、約10分子のscuPAに結合することが明らかになった。この値は、ラットに注入する前のscuPAのb−suPAr/SA/RBC結合の初期レベルに類似する。従って、血流中の循環は、この錯体の結合能力を変えなかった。
架橋したプラスミノーゲン・アクチベータの繊維素溶解活性を、ラットin vivoで実験した。ラットに、非結合tPA250μg、またはキャリアRBCに結合したtPA50μgのいずれかを静脈内に注入し、10、60および180分後、血液を採取した。125I−フィブリノーゲンを、すべてのサンプルに添加し、血液を室温で凝固させた。本発明の安全性に関して重要な考察として、tPAでもtPA/RBCでも、試験濃度で凝血塊の形成をくい止めることはできなかった。凝血塊を37℃でその後培養し、凝血塊の溶解率を試験した。生理食塩水を注入したラットでは、自発的な繊維素溶解は、10分または60分のいずれかで10%を超えなかった。繊維素溶解は、非結合tPA注入後10分増大した。しかし、血液からのtPAの急速な排除の観点から予期されるように、tPA注入後60分で採取した血液の繊維素溶解率は、コントロール動物のそれをほんのわずか上回るものにすぎなかった。際だつことに、たとえtPA注入用量が5倍低くても、tPA/RBC注入後3時間でさえ、採取した血液は、著しい繊維素溶解活性を保持した(40%凝血塊溶解)。これらのデータは、キャリアRBCへのtPA結合が、in vivoで酵素的に活性なプラスミノーゲン・アクチベータの循環を著しく増加し、RBC結合により課されるかもしれない立体的な制限のいずれをも克服するレベルで血中のプラスミノーゲン・アクチベータのin vivoの半減期を延長した。
実験は、マウスRBCsでも行われた。これらの実験において、tPAを、エネルギー減少および機械損傷を最小にする、グルコースおよび3%ウシ血清アルブミン含有Krebs−Ringer緩衝液中の、洗浄したネズミRBCに結合させる。ラットRBCsで記載した方法を用いて、ビオチン化マウスRBCあたり、3〜4×10分子のビオチン化tPAまたはsuPArを、表2に示すように検出できる溶血反応なしに連結させた。これらの試験では、マウスRBCは、Krebs−Ringerグルコース(pH7.4)中の10μMBxNHSでビオチン化した。放射性標識アクチベーターを、BSA含有Krebs−Ringerグルコース中で、ストレプトアビジンによりb−RBCに連結させた。従って、マウスRBCを、ヒトおよびラットRBCsと同様にして結合させた。
Figure 2007521294
研究は、その後キャリアRBCの組織、特に血管組織へのtPA移動を試験するために行われた。肺血管系移動のモデルとして、臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、培養液中で使用した。RBCキャリアを、本発明の方法で構築した。RBCsは、タンパク質無し(天然RBC)、tPA(tPA/RBC)、suPAr(suPAr/RBC)、suPAr分子に結合したscuPA(scuPA−suPAr/RBC)、scuPA(scuPA/RBC)、または抗−TM/RBCのいずれかで行った。タンパク質分子を運ぶRBCは(3×10分子/RBC)を、HUVECで培養した(ウェルあたり2×10RBC、37℃で160分)。非結合細胞を、フェノールフリー培地で優しく洗浄することにより除去し、1mlの水を結合したRBCを溶解するために加えた。HUVEC−結合RBCの数を、細胞溶解物中に放出されたヘモグロビンにより放射された405nmでの吸収を測定することにより測定し、1000RBC/ウェルとして表した。結果を表3に示した。
Figure 2007521294
天然RBCに相当するレベルの結合により証明されるように、tPA/RBC、suPAr/RBC、scuPA−suPAr/RBCのいずれにおいても、HUVECに対し付着しなかった。対照的に、scuPA/RBC錯体または糖タンパク内皮表面、トロンボモジュリンに対する抗体に結合するRBC(陽性コントロールとして用いた)は、高い付着力であった。従って、赤血球キャリアに生体適合的に連結するウロキナーゼ受容体の、溶解可能な形態を含む錯体は、内皮細胞とウロキナーゼの潜在的に有害な相互作用を最小化する。
次に、125I−tPA/RBCをHUVECで培養し、非結合RBCを洗浄により除去し、ウェル中の125Iを測定した。HUVECは、125I−tPA/RBCで培養後、ウェルあたり8.1+0.2×10のtPA分子と結合した。表3に示した結果は、125I−tPAに結合する細胞量の5%のみが、ウェル中のRBC−関連tPA に起因することを示した(3×10分子の125I−tPA/RBC×1.7×10のRBC/ウェル=5.1×10分子のRBC/125I−tPA/ウェル)。従って、tPAは、RBCからHUVECへ移動し、本発明のRBCキャリアの成功した使用を証明する。
従って、本発明は、ヒトを含む動物の血流中で、血流中の治療剤の劣化および排出を低下するプラスミノーゲン・アクチベータおよび抗凝結剤などの抗血栓剤を含む治療剤の、半減期を延長するための新規な組成物を提供する。
本発明はまた、抗血栓剤などの治療剤により患者の血液中の凝血塊を選択的な分解を増加する方法を提供し、該方法は、患者に、治療剤、好ましくは抗血栓剤、より好ましくは赤血球キャリアまたは 大きさが赤血球と同程度のキャリアに、生体適合的に連結したプラスミノーゲン・アクチベータを含む組成物を投与することを含む。
さらに、本明細書で説明するように、大きさが赤血球と同程度のキャリア、即ち、約3〜5ミクロンのキャリアへの、繊維素溶解剤または抗凝血剤などの抗血栓剤の連結はまた、先在する止血塊の面倒な分解のリスクを最小化しながら、外科的介入後形成される病的な初期凝血塊を、選択的に分解する組成物をもたらす。フィブリン塊は、機械的な収縮力、前血栓症部分の結合および因子XIIIトランスグルタミナーゼによる架橋を含む、迅速な成熟過程を経験し、その多孔性をほとんど明らかに制限する。従って、株化外科的止血塊および外傷部の血管外止血フィブリンは、初期血管内止血塊よりもずっと少なく血液成分へ浸透し得る。
外科的な止血が成し遂げられると、初期凝血塊への封入は認められるが、先在する凝血塊へのその浸透が制限される様に、プラスミノーゲン・アクチベータが運ばれ得る場合、手術後の出血リスクは低減する。この目標を達成する1つの手法は、赤血球(RBC)などの、例えば、3〜5ミクロンの大きさのキャリアに、プラスミノーゲン・アクチベータを連結することである。RBCへの連結は、生理的な凝血塊へのPAの物理的な浸透を制限し、その寿命を延長する。PA搬送のメカニズムは、一度外科的な止血が確保されると、予防的な投与が許容しうる。
これらの実験において、抗血栓剤組織プラスミノーゲン・アクチベータ(tPA)は、架橋剤としてストレプトアビジン(SA)ビオチンを用いて、RBCsに連結した。ビオチン化ラット、マウス、ヒトRBCs(RBC)に連結しうるビオチン化tPAの量(btPA)は、10分子/RBCから、非ビオチン化tPAの200分子未満の範囲である。多価ストレプトアビジンを用いたRBCへの付着は、タンパク質DAFおよびCD59を制御する補体を不活性化し、自系血清中で、RBC/SAの溶血反応を導く。しかし、100μm以下レベルのビオチンエステル中でビオチン化されたRBC(xが100以下である、bxRBC活性)は、補体を活性化せず、新鮮な同一源血清中で安定である。
RBCあたり6.5〜7.5×10のtPA分子を有するb10RBC/SA/tPA錯体の活性を、Murcianoらにより開示されたように(Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol 2002 282: L529-539)、125I−標識フィブリノゲンにトロンビンを添加することにより形成された、フィブリン塊中で試験した。RBC/tPAを注入した凝血塊は、上清中に125ヨウ素を放出しながら分解された。同様の結果は、同一源のRBCsに連結するtPAを用いた、ラット、マウスおよびヒト血しょうから形成された凝血塊でも観察された。新鮮血清中37℃で24時間の培養期間中、補体によるRBC/tPAの溶血反応は、コントロールRBCsに匹敵し、tPAの小画分のみがRBCsから分離した。フリーtPCおよびRBC/tPAによる、先在する凝血塊対初期フィブリン塊の分解は、in vtroで最初に比較された。フリーtPAは、初期凝血塊の90%溶解に対し、先在するものの50%分解を引き起こした(1.9倍の相違)。対照的に、RBCなどの、例えば3〜5ミクロンの大きさのキャリアに連結したtPAは、初期凝血塊の80%分解に対し、先在する塊の5%未満の分解を引き起こした(17倍の相違)。従って、RBCなどの、例えば3〜5ミクロンの大きさのキャリアに連結した抗血栓剤を含む、本発明の組成物は、抗血栓剤単独より、初期凝血塊に対して10倍以上大きな選択性を示す。
本発明の組成物の繊維素溶解効果は、静脈血栓のマウスモデルにおいても試験された。最初に、実験は、RBC輸送がマウスにおいて、tPA循環の延長を確認するために行われた。これらの実験において、注入後60分でも注入されたRBC/125I−tPAの50〜60%が血流中に止まるものの、フリー125I−tPAは、20分以内に血流中から消失した。次に、ラットにおいて、tPAの静脈内ボーラス後の血液中の繊維素溶解活性の存続期間が、RBC輸送により延長されることが、見いだされ確認された。フリーtPA注入後2分で採取した血液から形成された凝血塊の繊維素溶解は、促進されたが、この増進は、注入後20分以内に消失した。対照的に、RBC/tPA注入後60分で採取した血液から形成された凝血塊は、ほとんど完全に分解した。従って、ラットのように、フリーtPAではないが、活性RBC/tPAは、注入後、マウスで長期間循環する。
直径が3〜5ミクロンの放射性標識フィブリン微小塞栓(125I−ME)の注入により誘発される、肺塞栓症モデルは、in vivoの血管内凝血塊の繊維素溶解を試験するために使用された。125I−ME静脈内注入後すぐに、マウスおよびラットの肺に留まる血液細胞に凝集体を注入した(Murciano et al. Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 2002 282: L529-539; Bdeir et al. Blood 200 96: 1820-26)。125I−ME注入後1時間の、肺の放射能の測定が、肺塞栓の血管内繊維素溶解の定量的な測定を提供する(Murciano et al. Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 2002 282: L529-539)。
125I−ME後10分での、フリーtPA注入は、ほとんど完全に凝血塊を分解する。対照的に、塞栓より5分前にtPAを注入したときでさえ、繊維素溶解の20%未満は、血流からの迅速なクリアランスへの一致が見られた。対照的に125I−ME20分前に注入されたRBC/tPAが80%の繊維素溶解を引き起こすものの、125I−ME後、注入されたRBC/tPAは、肺塞栓の繊維素溶解を控えめに(40%未満)引き起こした。従って、初期凝血塊対先在する凝結塊の繊維素溶解率は、フリーtPAおよびRBC/tPAに対し、それぞれ0.2および2.2であった。
大きな、生死に関わる閉塞塊は、表面/質量比がより小さいため、微小塞栓より、浸透しにくく影響を受けにくい(Murciano et al. Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 2002 282: L529-539)。従って、大きな血管での閉塞清血栓を効果的に分解するための、RBC/tPA血栓予防活性を、頸動脈損傷のFeClモデルを用いて試験した。これらの実験において、血栓形成及び繊維素溶解を、ドップラー超音波により監視した。外膜へのFeCl溶液の適用後すぐに、頸動脈の血流量は実質的に検知できず、血管は、実験の全体で閉塞されたままであった(60分)。血栓形成前のフリーtPAの注入は、凝血塊の溶解を引き起こさず、再かん流を促進しなかった。血栓形成後10分でのフリーtPAまたはRBC/tPAの注入のいずれもなかった。しかし、血栓10分前でのRBC/tPAの注入は、凝血塊形成率には影響しないけれども、10〜20分以内に凝血塊を分解し始め、20〜30分でベースラインの約80%に到達する血流量に快復した。このモデルでの、初期凝血塊対先在する凝血塊の繊維素溶解率は、フリーtPAおよびRBC/tPAに対し、それぞれ0.2および3.3であった。
従って、これらの実験は、本発明の組成物の血栓予防に対する有益性を説明する。本明細書で示すように、治療剤、特に、RBCなどの、例えば3〜5ミクロンの大きさのキャリアへのプラスミノーゲン・アクチベータなどの抗血栓剤の錯化は、その寿命を著しく延長し、初期凝血塊の形成後すぐ、分解を可能としながら、血管からの抗血栓剤の拡散および先在する凝血塊の繊維素溶解を最小化し、これにより、繊維素溶解剤などの抗血栓剤を血栓予防薬に変換する。特に、RBC/tPAは、おそらくフィブリンへのtPAの拡散を制限することにより、in vitroで初期凝血塊の先在する凝血塊に対する溶解において、17倍の増進を示した。RBCによる生体適合的な輸送はまた、血栓後ではなく、前に混入した場合、tPA循環を延長し、肺塞栓および閉塞した動脈塞栓を分解する能力のある錯体を提供することにより、血液中でのその繊維素溶解活性の存続期間を著しく延長する。RBC/tPAは、肺塞栓の先在する凝血塊に対しフリーtPAよりも初期凝血塊を10倍選択的に溶解し、動脈塞栓に先在する凝血塊に対し初期凝血塊を、20倍選択的に溶解した。さらにまた、RBC/tPAの予防的注入は、血栓前または後に注入されたフリーtPAにより、分解への抵抗力を示すにもかかわらず、頸動脈での閉塞的な血栓の形成後すぐに分解した。従って、RBCまたは大きさがRBCと同程度もしくは大きいキャリアに、tPAなどの抗血栓剤等の治療剤を錯化することにより、治療剤を潜在的な血栓予防剤に変換する。
抗血栓剤および赤血球などの生体適合キャリアを含む組成物の製造は、既知の結合方法に従って行い、ビオチン、ストレプトアビジン、およびモノクロナール抗体を介して一価架橋により実証される。しかし、この開示で当業者に明白であるように、生体適合連結の他の例、即ち、溶解により実証されるキャリアの貧弱な生体適合性をもたらさない、化学結合、結合した受容体を介した非共有結合、または付着の他の手法、および増加した食作用もまた、使用されうる。
自系注入は、待機手術では標準的な実務である。他の薬剤のRBC輸送を探索するヒトにおける研究からの結果は、自己提供(auto-donated)RBCへの抗血栓剤(例えば、tPAなどの繊維素溶解剤)などの治療剤の結合および手術後の錯体再注入は、技術的に可能であることを示す。活性化ポリエチレングリコール(PEG)を介するRBCへの連結などの代替的な生体結合技術は、生体適合性を誘発し、非自系RBCへの免疫反応を最小化しうる。PEGを介するRBCsへの治療剤の連結は、穏当な品質保持期限を有する普遍的ドナーRBC/tPAを生成することにより、提案する戦略の適用可能性を広げうる。さらに、血流で、RBCsに治療剤を直接連結することができる。ヒトRBCは、免疫錯体に結合し、RBC自身のオプソニン作用なしに、それらをマクロファージに移動する、補体受容体I(CRI)を所有する。動物に注入されたCRIモノクロナール抗体および抗CRI免疫抱合体は、RBCに結合し、細胞損傷を引き起こすことなしに、長期間循環する。従って、抗CRI/抗血栓剤結合はまた、RBC抽出、修飾または注入の必要性なしに、予防に使用される。
この開示により当業者に理解されるように、RBCsに選択的な他の抗体は、同様に、抗CRIと類似な様式で用いられ得る。本発明の組成物はまた、脳内の繊維素溶解で安全であることが予測される。フリーtPAは、虚血性脳梗塞で再かん流を改善するが、出血性脳卒中で脳内の二次的損傷を引き起こす。脳血管での止血塊の予期しない分解に加え、脳内へのプラスミノーゲン・アクチベータなどの抗血栓剤の拡散は、脳水腫およびマトリックスリモデリングを悪化させ、神経への直接的な細胞毒性を引き起こす。RBC/tPAなどの本発明の組成物は、血管区画中でより長く保持されるため、より安全であると信じられる。
好ましい態様において、本発明の組成物は、深部静脈血栓症を含む制御できない血管内フィブリン塊形成により特徴づけられる、疾患または状態の患者に、静脈内投与のための薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む。そのような薬学的に許容できる賦形剤は、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、臨床実務で静脈内注入に容認される他の液状無菌賦形剤を含む。
本出願により当業者に理解されるように、これらの実験で使用される抗血栓剤のモデル、tPAは、その治療プロフィールが、RBC輸送などの例えば、3〜5ミクロンの大きさのキャリアと錯化することにより、誘発または好ましく変わる、多数の治療剤のちょうど1つを表す。そのような治療剤の例は、抗炎症剤、タンパク質Cなどの抗凝血剤、血流中の毒素を不活性化する酵素を含むが、これらに限定されない。本発明の組成物は、好ましくは、薬剤の単一薬用量のボーラス静脈内注入として、全身的に投与される(例えば、プラスミノーゲン・アクチベータを0.1〜1.0mg/kg)。予防的に使用される場合、本発明の組成物は、好ましくは、動脈血栓に大きな影響を加える特異な外科手術環境において、安全かつ血栓予防に効果的であるように投与される。
例えば、血管形成後数時間、初期の止血塊形成が比較的成熟するとき、患者は、予め形成されたRBC/tPA錯体、または循環するRBCに結合する、scuPA−suPAr/抗CRI結合の注入が行われる。循環中でのRBC結合錯体の寿命は、RBCに対するtPAまたはscuPA分子の数により、数時間から数週間の間で変化しうる。錯体は、組織または成熟したフィブリン塊にほとんど、または全くアクセスせず、プラスミノーゲンによる医学的な鎮圧のために、不活性な形態で血流中を循環する。しかし、初期フィブリン塊が血管内で形成され始める場合には、完全な錯体として合体し、地理的に強制された領域で繊維素溶解をもたらす。
以下の制限されない例は、本発明のさらなる説明のために提供される。

例1:ビオチン化、タンパク質の放射性標識、プラスミノーゲン・アクチベータ結合の製造、RBCへのタンパク質の結合および繊維素溶解活性の評価
ビオチンエステル、6−ビオチニルアミノカプロン酸 N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(BxNHS)を、10mMまたは1mMの最終濃度になるよう100%ジメチルホルムアミドに溶解した。組織型プラスミノーゲン・アクチベータ(tPA)、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼおよび可溶なウロキナーゼ・プラスミノーゲン・アクチベータ受容体(suPAr)を、BxNHSの10倍モル過剰量でビオチン化した。新鮮な1mMのBxNHSの8μlを、100μlのタンパク質溶液に添加する(1mg/mlホウ酸緩衝生理食塩水、BBS、pH8.1)。氷上で1時間培養後、過剰な非反応BxNHSを、一晩透析により排除した。ビオチン化タンパク質を、製造者(Pierce)の忠告に従い、ヨードゲン(iodogen)−被覆管を用いて、125ヨウ素で放射性標識した。100μgのビオチン化タンパク質および100μCiの125ヨウ化ナトリウムを、20分間100μgのヨードゲンで被覆した管中、氷上で培養し、ngあたり約500cpmの特異的放射活性を有するストレプトアビジンを得た。過剰のヨウ素を透析により排除した。放射性標識タンパク質の95%より多くは、TCAにより沈澱可能であった。
新鮮なヘパリン化血液2mlを、その後5分間、1500rpmで遠心分離し、上清(即ち、血しょう)を排除した。沈殿物をその後再懸濁し、標準遠心分離(1mlの沈殿物あたり10mlのPBS、1500rpm、5分、4回)によりPBSで洗浄し、洗浄したRBCの100%懸濁物を作る。PBS(0.9ml)を、その後0.1mlのRBC沈殿物に加えた(即ち、洗浄したRBCの10%懸濁液を作る)。100μlの300mMホウ酸(pH9.0)を、1.0mlの10%RBCに加えた。DMFA中のBxNHSをその後この懸濁液に加え、反応混合物中での最終BxNHS濃度が10μMに等しいものおよびb10−RBCを得た。最初に、0.1MのBxNHS/DMFA原液1μlを、99μlのDMFAに加えた。その後、この新鮮な1mMのBxNHS/DMFAの10μlを、1mlの10%RBCに加え、十分に混合した。20度で、30分間定期的に穏やかな振動を加えながら培養後、過剰な非反応BxNHSを、2mg/mlBSA含有PBS(BSA−PBS)で標準的な遠心分離により、反応混合物から除去した。BSA−PBS中の10%ビオチン化RBC懸濁液を、製造した。
RBCへのストレプトアビジンの付着のために、20μlのSA原液(PBC中1mg/ml)を、100μlのb−RBC10%懸濁液に添加し、十分に混合した。これは、5×10b−RBCあたり1μgのSAの添加を与える(b−RBCあたり約2×10分子)。20度で、30分間定期的に穏やかな振動を加えながら培養後、BSA−PBS中の非結合SAを、標準的な遠心分離により除去した。
SA/b−RBCへのビオチン化プラスミノーゲン・アクチベータまたはsuPArの付着のために、5μlのb−PAまたはb−suPArS原液(PBS中1mg/ml)を、100μlのSA/b−RBC10%懸濁液に添加し、十分に混合した。これは、2×10SA/b−RBCあたり1μgのb−PAまたはb−suPArの添加を与える(SA/b−RBCあたり約3.5×10分子)。b−PAまたはb−suPArを、その後、SA/b−RBC10%懸濁液で、1時間培養した(定期的に穏やかな振動、20℃)。BSA−PBS中の非結合タンパク質を、標準的な遠心分離により除去した。SA/b−RBCへのb−PAまたはb−suPAr結合を定量するために、放射性標識b−PAまたはb−suPArを、トレーサーとして使用した。
タンパク質を、ヨードゲン(Pierce, Rockford, IL)を用いて125I−Na(Perkin Elmer, Boston, MA)で放射性標識し、RBCをMuzykantovらが記載するように(Anal. Biochem. 1996 241: 109-119)、51Crで放射性標識した。
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)/3%ウシ血清アルブミン中、51Cr/125I−tPA懸濁液は、4℃で少なくとも4日間安定だった。補体による溶血反応を試験するために、コントロールRBC、RBC/SAまたはRBC/SA/tPAを、新鮮な血清中、37℃で1時間培養し、遠心分離し(5分、1200g)、および放出されたヘモグロビンを、分光光度法により405nmで決定した。
例2:in vivoでのプラスミノーゲン・アクチベータの投与
ラットにおいて放射性標識された調整物の生体内分布を研究するために、放射性標識PAもしくはsuPAr、またはキャリアRBCに連結したこれらのタンパク質を1μg含有する0.5ml生理食塩水の注入を、麻酔下で尾静脈に行った。in vivo投与後のRBC−連結プラスミノーゲン・アクチベータをトレースするために、20〜50μlの125I−b−PA/SA/b−RBC10%懸濁液を、麻酔下ラットの尾静脈を介して注入した。注入後の表示時間において(5分〜24時間)、麻酔下ラットを、瀉血により犠牲にした。血液と内部器官を採取した。器官は、血液がなくなるまで緩衝液で洗浄し、重さを量った。血液および内部器官アリコート(aliquot)での125Iの放射活性を、その後、ガンマカウンターを使用して決定した。血しょうを、その後、血液の遠心分離により血液から分離し、血しょうの放射活性を測定した。結果を、組織、血液または血しょうのグラムあたりのcpmとして、平均±標準誤差(M±SE)として計算した。統計上の比較は、一元配置等分散分析(one-way analysis of eqaul variance)(ANOVA)を用いて、p<0.05の統計上の優位性のレベルで、Student-Newman-Keuls法に従って行った。
例3:in vitroでの凝血塊溶解
フィブリン塊を、CaClおよび125I−フィブリノゲンでトレース標識したトロンビン(20mMおよび0.2ユニット/ml最終濃度)を−フィブリノゲン(3mg/mL)に添加することにより形成した。先在する凝血塊の溶解を模擬するために、凝血塊を、個々の繊維素溶解剤、または生理食塩水(コントロール)で、20分間20℃でオーバーレイした。初期凝血塊を溶解するために、繊維素溶解剤を、CaClおよびトロンビンを加える前に、125I−フィブリノゲンに直接加えた。繊維素溶解を始めるために、凝血塊を37℃で放置し、上清の放射活性をガンマカウンターで測定した(Perkin Elmer, Boston, MA)。
例4:in vivoでのRBC、tPAおよびRBC/tPA循環
51Cr−RBC、125I−tPAまたは51Cr−RBC/125I−tPAを、麻酔下ラットまたはマウスの尾静脈に注入した。選択された時間に、100〜200μlの血液をヘパリン中へ動物から採取し、1200gで遠心分離し、血しょう上清およびRBC沈殿物中の放射活性を測定した。動物を、注入後1〜3時間で犠牲にし、器官中の放射活性をガンマカウンターで分析した。
例5:tPAまたはRBC/tPA注入後採取した血液から形成した凝血塊の分解
コントロールRBC、フリーtPA、RBC/tPAまたは生理食塩水(コントロール)を、ラットまたはマウスの静脈内に注入した。表示した時間に、100〜200μlの血液アルコートを、抗凝血剤の不存在下で抜き出し、125I−フィブリノゲンのトレース量と迅速に混合し、ホウケイ酸塩管中で、20℃で凝血塊に配分した。20分成熟後、凝血塊を、生理食塩水でオーバーレイし、37℃で培養し、125ヨウ素の放出を測定した。
例6:tPAまたはRBC/tPAによる肺塞栓の分解
125I−フィブリン微小塞栓(125I−ME)懸濁液を、記載されるように製造し(Murciano, J. C. et al. 2002. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 282: L529-539およびBdeir, K. et al. 2000. Blood 96: 1820-1826)、麻酔下マウスに注入した。125I−ME注入後、RBC50%懸濁液、RBCを含有する350μlサンプルを、生理食塩水またはtPA(0.5mg/Kg)またはRBC/tPAと混合した。動物を、125I−ME注入後1時間で犠牲とし、肺を分離し、生理食塩水で洗浄し、残余の放射活性をガンマカウンターで測定した。
例7:RBC/tPAによる頸動脈血栓の分解
我々は、記載された急性頸動脈血栓のマウスモデルを使用した(Ferrehi, P. M. et al., 1998. Circulation 97: 1002-1008)。血管の閉塞を、記録系に連結した0.5VBの流量プローブを用いて、Doppler超音波により決定した(Transonic, Ithaca, NY)。完全な閉塞は、FeClによる血管損傷8〜10分以内で発生し、コントロール動物の血管は、実験が60分で終結するまで閉塞し続けた。FeCl適用前または完全な閉塞後10分のいずれかにおいて、PBS、RBC、tPA0.7mg/Kg単独もしくはRBCとの混合、またはRBC/tPA(0.5mg/KgtPA含有)溶液の350μlを、反対側の頸静脈を通して注入した。

Claims (6)

  1. 大きさが赤血球に類似のキャリアに生体適合的に結合する治療薬を含む、組成物。
  2. キャリアが赤血球である、請求項1に記載の組成物。
  3. 治療薬が抗血栓剤である、請求項1に記載の組成物。
  4. 被験者に先在する止血塊を容認しながら、請求項3の組成物を被験者に投与することを含む、被験者の初期血管内凝血を選択的に溶解する方法。
  5. 請求項3の組成物および薬学的に許容できる賦形剤を含む、血栓予防薬。
  6. 請求項5の血栓予防薬を被験者に投与することを含む、初期血管内凝血形成の予防方法。
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