JP2002511521A - 耐紫外光容器を備えた食器洗い用洗剤製品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外光耐性容器を備えた食器洗い洗剤製品の提供 【解決手段】本発明はジアミン含有洗剤組成物含有食器洗い製品、特に手作業用食器洗い製品を開示する。洗剤組成物を入れた容器または壜は紫外光に対し有効な抵抗性をもち、それにより消費者により洗剤製品を完全に使用し終わるまで洗剤組成効の変色を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本発明は紫外（ＵＶ）光透過に対する耐性を有する容器に食器洗い用洗剤組成
物を入れた食器洗い用洗剤製品に関する。更に詳しくは、本発明は紫外光耐性容
器を備え、該容器に油脂のクリ−ニングに特に有効であるが紫外光を受けると変
色し易い低分子量有機ジアミンを入れてなる手作業による食器洗い用洗剤組成物
に関する。本発明の洗剤組成物は粒状、ペ−スト状、ゲル状或は液状の任意の形
態であることができる。

【０００２】

【従来の技術】発明の背景 代表的な市販の手作業による食器洗い用洗剤組成物は軟水中での充分な潤滑性
能を確保するために２価のイオン（Ｍｇ、Ｃａ）を含有する。しかし、アニオン
性、非イオン性、或は追加的界面活性剤（例えばアルキルジメチルアミンオキシ
ド、アルキルエトキシレ−ト、アルカノイルグルコ−スアミド、アルキルベタイ
ン）を含む調合製品中に２価のイオンが存在すると、水への該製品の混和が遅く
なり（従って素早い泡立ちが少なくなり）、すすぎ洗いが不充分となり、低温安
定性も低くなる。その上、Ｃａ／Ｍｇを含有する安定な食器洗い用洗剤の調製は
ｐＨが高くなるにつれて生ずるＣａ及びＭｇに随伴する沈殿問題のために困難と
なる。

【０００３】 過去においては、食器洗い用洗剤組成物にはジアミンの二酸塩が使用されてき
た。このような状態下では、これらの物質は幾つかの制限があり、その一つはク
リニ−ニング効果が比較的低い水の硬度（<７０ｐｐｍ）範囲に制限されること
である。先行技術はまたＣ₂スペ−サ−、例えばエチレンジアミン二酸塩および
エトキシル化ジアミンの使用を提唱したが、これらのスペ−サ−は共に食器洗い
用洗剤組成物の性能を厳しく制限するものであつた。以下に詳細に記載する特定
のジアミンを８〜１２のｐＨ（１０％溶液で測定して）をもつ界面活性剤と共に
食器ケア組成物中で使用すると、従来技術による洗剤組成物中でＭｇイオンまた
はＣａイオンを使用するのに比べて、強固な食物の汚れを清浄にし、グリ−ス／
油の除去を改善することが決定された。意外にも、これらの有機ジアミンは汚れ
、特に脂肪酸及び蛋白を含む汚れ、の存在下で泡立ちの安定性も改善する。更に
、本明細書に述べるジアミンの強力な油脂除去性能は洗剤組成物からＭｇ／Ｃａ
イオンの低減／除去を可能にし、同時に潤滑性能における効果はこれを維持する
。その上、Ｍｇ／Ｃａを除去すると洗剤組成物の溶解、すすぎ洗い及び低温製品
安定性効果をも改善する。

【０００４】 本発明で使用するジアミンは界面活性剤と併用すると感覚上の利点をも付与す
る。このジアミンが腺剤組成物中に存在すると、洗浄液につるつるした感触を生
じさせ、皮膚に“やさしい”感じを与えることが判明した。ジアミンはまた、洗
浄液に殺菌効果をも生ずることが見出された。しかし、本発明で提供する特定の
組成物は特に比較的高いｐＨ範囲をもつ洗浄性界面活性剤及び適宜酵素を含む（
これらのすべてはコンタクト・レンズクリ−ナ−には望ましくないであろう）食
器洗い用に設計したものである。これらの効果は広範囲の水の硬度（８〜１，０
００ｐｐｍまたはそれ以上）に亙り比較的高いｐＨ（８〜１２）の洗剤組成物中
で低分子量有機ジアミンの使用により達成されることも判明した。

【０００５】 しかし、このようなジアミンをを含有する食器洗い用洗剤組成物に関連する１
つの主要な問題は紫外光、例えば日光にこのような組成物を露出すると組成物が
変色する傾向があることである。食器洗い用製品は、消費者が使用する前に、必
ずではないにしても、しばしば繰り返し、且つ長時間に亙り紫外光（例えば日光
）に露出される。代表的手作業用食器洗い製品の洗剤組成物は消費者にとつて美
的に快適である色彩に特に合わして造られる。特に、透明または半透明な壜また
は他の収納容器を使用した場合に、目的とする洗剤組成物の色が仮にも変化する
ことがあれば、製品の品質についての消費者の認識に負の影響を与えることがあ
り、その上、実際にも洗剤組成物中のジアミン成分の付随する変質により生ずる
クリ−ニング性能の低下をも導くことになる。従って、紫外光により有意に変化
しないジアミン配合成分を食器洗い製品に含有させることが望ましい。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】

従って、当該技術分野における上述の開示のも拘らず、消費者が食器洗い洗剤
製品を使い果たすまで維持される包装の外観に加えて、優れた性能をもつ食器洗
い製剤製品を提供することが望ましい。その点で、望ましい特定の要件は紫外光
に露出されても有意に変化しない食器洗い洗剤製品を提供することである。

【０００７】 発明の概要 本発明は、改善された油脂除去性能と、泡立ち効果、改善された低温安定性、
優れた溶解性、並びに改善された粘つく食品の汚れ除去及び殺菌性を有する、ジ
アミン含有洗剤組成物、特に手作業食器洗い用ジアミン含有洗剤組成物を入れた
食器洗い製品を提供することにより、上述の要求を叶えるものである。最も重要
なことは、上述の洗剤組成物が入れてある容器または壜が紫外光を効果的に阻止
し、それにより消費者が食器洗い製品を完全に使用しきるまで容器（壜）内の洗
剤組成物の変色を阻止することである。或はまた、容器ではなく洗剤組成物自体
に紫外光阻止剤を含ませてもよい。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本発明の一面によれば、改善された食器洗い用洗剤製品が提供される。洗剤製
品は閉鎖した容器を備え、この容器中に洗剤組成物が収納されている。容器は洗
剤組成物を小出しでき、小出し後閉鎖できる開口部を備える。容器の壁は容器中
の洗剤組成物を紫外光から実質上防御するのに有効量の紫外光遮断剤を含む。洗
剤組成物はａ）ｐＫ１とｐＫ２とが共に約８．０〜約１１．５のｐＫ１値とｐＫ
２値とをもつ有効量の低分子量有機ジアミンと、ｂ）ｐＨが約８〜約１２である
有効量の洗浄性界面活性剤とを含む。

【０００９】

【発明の実施の形態】

従って、本発明は、消費者が洗剤製品を使い終わるまで製品の体裁（外観）を
維持できることに加えて、優れた性能をもつ食器洗い用製品を有利に提供するも
のである。本発明はまた、食器洗い用製品が紫外光に露出されても有意に変化し
ない点で特に望ましい特徴を備えるものである。

【００１０】 本明細書中、部、％及び比は他に特定されなければすべて重量によるものであ
る。全ての引用文献の関連部分はこれらを参照することにより本明細書に援用す
る。

【００１１】 好適な実施態様の詳細な記載 本発明は必須要件として食器洗い用洗剤組成物、及び独特の配合成分をもつ洗
剤組成物がその目標色を維持するように紫外光を遮断、遅延、或はさもなければ
抑制する容器を備えるものである。従来、本発明で意図するような特に選択され
たジアミンは食器洗い用組成物中に配合されなかつたし、変色の問題も認識また
は提示もされなかつた。通常の処方者はそのような問題を予想もしなかつたし、
本明細書に記載のような解決策は認識しなかつたであろう。高密度ポリエチレン
などで造られた壜であることができる容器は以下に詳細に記載するような紫外光
遮断剤を含む。ここに使用する“紫外光遮断剤”とは紫外光の有害な作用から洗
剤組成物を保護するのに充分量の紫外光を遮断、反射、抑制できる任意の物質を
意味する。従って、紫外光の“遮断”量は容器中の食器洗い用洗剤組成物の処方
により変化する。紫外光遮断剤はで容器中に存在するのが好ましいが、洗剤組成
物自体中に存在してもよい。但し、この“有効量”は容器の大きさに依存して大
きく変化する。通常、有効量は容器の風袋重量に基づいて約０．０００１〜約１
重量％、より好適には約０．０００１〜約０．８重量％、最も好適には約０．０
１〜約０．４重量％である。紫外光遮断剤は紫外光が容器を貫通して洗剤組成物
と接触しないように容器壁中に充分に分散されることが重要である。

【００１２】 紫外光遮断剤 本発明の必須の一面は上述した定義に適合する任意の物質であることができる
紫外光遮断剤を使用することにある。本発明で使用するのに適した紫外光遮断剤
の例はベンゾトリアゾ−ル、オルトヒドロキシベンゾフェノン、二酸化チタン及
びそれらの混合物である。最も好適な紫外光遮断剤は置換ベンゾトリアゾ−ルで
ある。本発明で使用する特定の置換ベンゾトリアゾ−ルはチバ・ガイギ−社から
チヌビン（Tinuvin）の商品名で商業的に入手できる。

【００１３】 特に好適な置換ベンゾトリアゾ−ルは下記の式：

【化１４】 で表わされるチヌビン３２６（Tinuvin 326、チバ・ガイギ-）である。

【００１４】 他の好適な置換ベンゾトリアゾ−ルは下記の式：

【化１５】 で表わされるチヌビンＰ（Tinuvin P; (商品名)、チバ・ガイギ-）である。

【００１５】 好適なオルトヒドロキシベンゾフェノンは下記に式：

【化１６】 で表わされるユビヌル Ｄ４９[Uvinul D49 (商品名)]である。

【００１６】 更に他のオルトヒドロキシベンゾフェノンは下記に式：

【化１７】 で表わされるユビヌル ＭＳ−４０[Uvinul MS-40 (商品名)]である。

【００１７】 ジアミン 本発明の他の必須面は洗剤組成物中に有機ジアミンを含むことである。ジアミ
ンが手作業食器洗い用洗剤組成物に約８以上のｐＨで配合されると、界面活性作
用の促進剤として食器洗い分野で長い間知られた低濃度で使用されるＣａ／Ｍｇ
イオンの代替物として該イオンより一層有効である。ジアミンは同時に、Ｃａ／
Ｍｇの使用に随伴する欠点なしに、油脂のクリ−ニング、泡立ち、溶解、及び低
温安定性における有利な効果を与える。洗剤組成物のｐＨ（１０％水溶液として
測定した時の）は好適には約８〜約１２、より好適には約８．２〜約１２、更に
好適には約８．５〜約１１、更になお好適には約８．５〜約１０．８である。界
面活性剤：有機ジアミンの好適な重量比は約４０：１〜約２：１で、最も好適に
は約１０：１〜約５：１である。

【００１８】 更に、本発明で使用するジアミンは実質上不純物を含まないことが好ましい。
すなわち、“実質上不純物を含まない”とはジアミンの純度が９５％以上、すな
わち好適には９７％、より好適には９９％、更に好適には９９．５の純度である
ことを意味する。商業的に供給されるジアミン中に存在することができる不純物
の例として２−メチル−１，３−ジアミノブタン及びアルキルヒドロピリミを挙
げることができる。更に、ジアミンはジアミンの分解及びアンモニアの生成を避
けるために酸化性反応剤を含むべきではない。加うるに、アミンオキシド及び／
または他の界面活性剤が存在するならば、アミンオキシド及び／または他の界面
活性剤は過酸化水素を含まないものでなければならない。アミンオキシドまたは
アミンオキシド界面活性剤ペ−スト中の過酸化水素の好適な量は０〜４０ｐｐｍ
、より好適には０〜１５ｐｐｍである。アミンオキシド及びベタイン中のアミン
不純物は、もし存在するとすれば、過酸化水素については上に述べた範囲に最少
量化されるべきである。

【００１９】 本発明の組成物は“悪臭”がないことが好ましい。すなわち、容器上部空間の
匂いが消費者から拒否的臭覚反応を醸し出させないことが好ましい。これは多く
の方法により達成できるが、その中には望ましくない匂いを隠す香料の使用、酸
化防止剤、キレ−ト剤などのような安定剤の使用、及び／または実質上不純物を
含まないジアミンの使用がある。如何なる理論に束縛されることを欲するもので
はないが、本発明組成物の悪臭の大部分の原因はジアミンに存在する不純物であ
ると思われる。

【００２０】 これらの不純物はジアミンの調製中に、或は貯蔵中に形成され得る。不純物は
また本発明組成物の調製中に、或は貯蔵中にも形成され得る。酸化防止剤及びキ
レ−ト剤のような安定剤の使用により組成物の調製時点から消費者による最終的
な使用の時点及びそれ以後までにわたり組成物中のこれらの不純物の形成を抑制
または阻止できる。従って、香料、安定剤の添加により、及び／または実質上不
純物を含まないジアミンの使用により、これらの悪臭の形成を除去、抑制、及び
／または阻止することが最も好ましい。

【００２１】 本発明の洗剤組成物はここに定義した“有効量”または“油脂除去−改善量”
の個々の成分を包含する。本明細書のジアミン及び本明細書に記載する添加剤の
“有効量”とは目標とするしみ及び汚れの少なくとも若干に対しクリニ−ニング
組成物の性能を９０％信頼度で直接的に或は有意に改善するのに充分な量を意味
する。従って、組成物の目標がある種の油脂汚れである組成物では組成物処方者
はそのような汚れに対するクリ−ニング性能を少なくとも直接的に改善するのに
充分なジアミンを使用するであろう。完全配合洗剤では後記実施例からわかるよ
うに、非常に種々のしみや汚れにわたりクリ−ニング性能を少なくとも直接的に
改善する量のジアミンを使用することが重要である。

【００２２】 既に述べたように、ジアミンはクリ−ニング性能を少なくとも直接的に改善す
る有効量で洗浄性界面活性剤と組合わせて洗剤組成物中で使用される。手作業食
器洗い用組成物に関して、そのような“使用量”はしみや汚れの種類や苛酷さに
よつて変わるだけでなく、洗浄水温度、洗浄水量、食器が洗浄水と接触している
時間の長さによつても変わる。

【００２３】 洗剤組成物を使用する人の癖や習慣はかなり異なるから、そのような組成物中
に約０．２５〜約１５重量％、好適には約０．５〜約１０重量％、より好適には
約０．５〜約６重量％のジアミンを含有させれば充分である。本発明はその幾つ
かの面の一面において、本発明は界面活性剤と特定のジアミンとを組合わせるこ
とによりグリ−ス状油汚れ／液状油汚れの除去を強化する手段を提供する。グリ
−ス状／液状油状の“日常”の汚れはトリグリセリド、脂質、複雑な多糖類、脂
肪酸、無機塩及び蛋白含有物の混合物である。

【００２４】 理論により制限されることなく、広範囲の水硬度（ＣａＣＯ₃として表わして
約１，０００ｐｐｍまでの水高度範囲）にわたつて有機ジアミンにより達成され
る強力なグリ−ス状油汚れ除去性能の有利な効果は、手作業食器洗い用洗剤中の
軟水中のグリ−ス状油汚れの除去を促進する二価イオンに対する必要性を減少さ
せる。慣用の手作業食器洗い用洗剤組成物から二価イオンを除去することは洗剤
製品を水と混和させる（溶解と云われる）速度、迅速な泡立ち性、すすぎ洗い性
及び低温安定性において有利な効果をもたらすので意義がある。

【００２５】 消費者の好みに応じて、本発明の組成物は約５０センチポアズ以上、好適には
約１００ポアズ以上、更に好適には約１００〜約４００ポアズの粘度に調合され
る。欧州人用処方には、組成物は約８００センチポアズまでの粘度で調合される
。その上、二価イオンの減少により達成される優れた溶解速度により、処方者が
手作業食器洗い用組成物を、優れた溶解速度及びクリ−ニング性能を維持しなが
ら、慣用の組成物より更に顕著に高粘度（例えば１０００センチポアズまたはそ
れ以上）でさえある特にコンパクトな組成物に造ることを可能となす。このこと
は、許容できる溶解速度を維持しながら高粘度のコンパクトな製品を造るのに大
きな潜在的利点をもつ。

【００２６】 ここに“コンパクト”或は“ウルトラ”とは慣用の液状洗剤に比べて水の含有量
が少ない洗剤組成物を意味する。水の含有量は洗剤組成物の５０重量％以下、好
適には３０重量％以下である。この濃厚製品は、より少量で使用できる製品を消
費者に提供し、またより少ない輸送コストで輸送できる製品を製造業者に提供す
る利点を有する。優れたグリ−ス状油汚れクリ−ニング性能と溶解性能とは洗剤
のｐＨを約８〜約１２の保つことにより得られる。このｐＨ範囲は使用時の（窒
素原子の一つにおける）非プロトン化ジアミン含有量を最大となすように選択さ
れる。

【００２７】 これは、ジアミンが高度にプロトン化されて残存するｐＨ緩衝能力が殆ど或は
全くない８未満のｐＨでジアミンが存在する[米国特許４,556,509;コルゲ−ト(C
olgate)参照]不良な状態、或は予めアミン塩を造つて使用するか、もしくは四級
化アミンを使用する不良な状態とは異なる。好適な有機ジアミンはｐＫ１及びｐ
Ｋ２が約８．０〜約１１．５の範囲、好適には約８．４〜約１１の範囲、さらに
好適には約８．６〜約１０．７５の範囲あるジアミンである。その性能と供給性
とを考慮すれば好適なジアミンは１,３-プロパンジアミン(pK1=10.5、pK2=8.8);
１,６-ヘキサンジアミン(pK1=11、pK2=10); １,３-ペンタンジアミン[ダイテツ
ク EP(Dytek EP)](pK1=10.5、pK2=8.9); ２-メチル-１,５-ペンタンジアミン[ダ
イテツクA(Dytek A)](pK1=11.2、 pK2=10.0)である。他の好適な物質はＣ₄〜Ｃ₈ の範囲のアルキレンペ−サ−をもつ一級−一級ジアミンである。 一般に、二級
ジアミン及び三級ジアミンより一級ジアミンの方が好ましい。

【００２８】 ｐＫ１およびｐＫ２の定義 本明細書で使用する“ｐＫ１およびｐＫ２”とは
“ｐＫａ”として当業者に集合的に知られた型の量である。ｐＫａはこの化学分
野の専門家に普通に知られたのと同様に使用される。ここに述べる値は“臨界安
定定数（Critical Stability Constant）第２巻、アミン”（Smith 及び Martel
共著、ニウ−ヨ−ク及びロンドン所在の Plenum Press、1975）のような文献か
ら得ることができる。ｐＫａに関する他の情報はジアミンの供給社であるデュポ
ンにより供給される情報のような関連会社の文献から得ることができる。

【００２９】 ここで使用する実用定義として、ジアミンのｐＫａは２５℃の全水性溶液中、
及び０．１〜０．５Ｍイオン強度について特定される。ｐＨａは温度及びイオン
強度により変化できる平衡定数である。従って、文献に報告されたｐＫａ値はそ
の測定法及び条件に依存して一致しない時もある。この不明確さを無くすために
本発明でｐＫａについて使用する適切な状態及び／または文献は本明細書で定義
した通りであり、すなわち“臨界安定定数：第２巻、アミン”において定義した
通りである。１つの代表的測定方法は酸の水酸化ナトリウムによる電位差滴定法
であり、ｐＫａ値の決定はシュガ−及びディ−ン（Shugar and Dean）による“T
he Chemist’s Ready Reference Handbook”(McGraw Hill、米国、ニュ−ヨ−ク
、 1990) に記載され紹介された適切な方法による。

【００３０】 ｐＫ１及びｐＫ２を約８．０未満に低下させるジアミンの置換及び構造上の変
成は望ましくなく、性能の損失を生ずることが決定された。これはエトキル化ジ
アミン、ヒドロキシエチル置換ジアミン、スペ−サ−基（例えばJeffamine EDR
148）における窒素原子に対しベ−タ位（及びベ−タ−位より軽度の望ましくな
さでガンマ−位）に酸素原子をもつジアミンをを生成させる置換を含む。その他
に、エチレンジアミン系物質も好ましくない。

【００３１】 本発明で有用なジアミンは下記の構造を有する：

【化１８】

【００３２】 式中、Ｒ₁〜Ｒ₄は独立的にＨ、メチル、−CH3CH2及びエチレンオキシドから選
ばれ；Cx及びCyは独立的にメチレン基または分枝アルキル基から選ばれ、ｘ＋ｙ
は約３〜約６で、Ａは適宜存在でき、ジアミンのｐＫａ値を所望の範囲に調整す
るように選択される電子供与基または電子吸引基から選ばれる。Ａが存在する場
合には、ｘ及びｙは共に１またはそれより大きくなければならない。

【００３３】 好適なジアミンの例としては下記のものが挙げられる：

【００３４】 ジメチルアミノプロピルアミン：

【化１９】

【００３５】 １，６−ヘキサンジアミン

【化２０】

【００３６】 １，３−プロパンジアミン

【化２１】

【００３７】 ２−メチル−１，５−ペンタンジアミン

【化２２】

【００３８】 １−メチル−ジアミノプロパン

【化２３】

【００３９】 ジェファミンEDR 148(Jeffamine EDR 148）

【化２４】

【００４０】 イソホロンジアミン

【化２５】

【００４１】 １，３−ビス（メチルアミン）−シクロヘキサン

【化２６】 及びそれらの混合物。

【００４２】 中性に近いｐＨ範囲（７〜８）でＣａ／Ｍｇの代りにほぼ等モル量の置換体と
して有機ジアミンを試験すると、有機ジアミンはＣａ／Ｍｇと同等の油脂クリ−
ニング性能を供与するに過ぎない。このクリ−ニング性能の達成はＣａ／Ｍｇの
使用またはｐＨ８未満でのジアミンの使用、或はｐＨ８未満での有機ジアミン二
酸塩の使用によつては不可能である。

【００４３】 本発明の洗剤組成物は、既知の慣用の洗剤組成物に比べて少量のＭｇ／Ｃａを
適宜含むことができる。別の云い方で云うと、本発明組成物は好適にはカルシウ
ム及びマグネシウムから選ばれる有効二価イオンを約１．５％以下で、より好ま
しくは約０．６％以下で使用するのが好適である。本発明の組成物は添加した二
価イオンを実質上含まない（すなわち約０．１％未満である）のが最も好適であ
る。

【００４４】 本発明の洗剤組成物に使用する界面活性剤はアニオン性、両性、もしくは非イ
オン性界面活性剤またはそれらの混合物から選択される。本発明で使用するのに
好適なアニオン性界面活性剤としては、線状アルキルベンゼンスルホン酸塩、ア
ルファ−オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、スルホン酸メチル
エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアルコキシ硫酸塩、アルキルスルフォン
酸塩、アルキルアルコキシル化硫酸塩、サルコシネ−ト、アルキルアルコキシカ
ルボキシレ−ト、及びタウリネ−トが挙げられる。

【００４５】 本発明で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、アルキルジアルキルアミンオ
キシド、アルキルエトキシレ−ト、アルカノイルグルコ−スアミド、アルキルポ
リグルコシド、アルキルベタイン、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる
。高度に好適な１実施態様では非イオン性界面活性剤はアルキル硫酸塩、アルキ
ルアルコキシ硫酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。

【００４６】 他の高度に好適な実施態様では、両性界面活性剤はアミンオキシド、アルキル
ベタイン、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。更に他の高度に好適な
実施態様では、非イオン性界面活性剤はアルカノイルグルコ−スアミド、アルキ
ルポリグルコシド、エトキル化脂肪族アルコ−ル、及びそれらの混合物からなる
群から選ばれる。アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との混合物を使
用する場合にはアニオン性界面活性剤：非イオン性界面活性剤の重量比は好まし
くは約５０：１〜約１：５０、より好ましくは約５０：１〜約３：１である。ま
た、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との混合物が存在する場合に
は本発明による手作業食器洗い組成物はプロテア−ゼ酵素、アミラ−ゼ酵素また
はそれらの混合物を更に含むことが好ましい。更にまた、これらの手作業食器洗
い洗剤の実施態様ではハイドロトロ−プを更に含むことが好ましい。好適なハイ
ドロトロ−プとしてはトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、クメンスル
ホン酸、キシレンスルホン酸のそれぞれナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウ
ム塩、或は置換された水溶性アンモニウム塩が挙げられる。

【００４７】 本発明の洗剤組成物はまた下記のものから選ばれた１種またはそれ以上の洗剤
添加物を含むことができる：汚れ除去ポリマ−、分散剤、多糖類、研削剤、殺菌
剤、変色抑制剤、ビルダ−、酵素、染料、緩衝剤、殺カビ剤或は白カビ抑制剤、
昆虫忌避剤、香料、ハイドロトロ−プ、増粘剤、加工助剤、起泡促進剤、増白剤
、防食助剤、安定剤、酸化防止剤、及びキレ−ト剤。本発明による洗剤組成物中
にはカチオン性界面活性剤も適宜存在させることができるが、好適な実施態様で
はカチオン性界面活性剤は実質上含まれない。更に本発明組成物は実質上ハロゲ
ンイオン（塩素イオン、フツ素イオン、臭素イオン、或はヨウ素イオン）を含ま
ず、また尿素も実質上含まない。ここに“実質上含まない”とは上記特定の成分
の添加量が全組成物の約１重量％未満、好適には約０．１重量％未満、より好ま
しくは０重量％であることを意味する。

【００４８】 その上、本発明の食器洗い洗剤組成物はまた好適にはプロテア−ゼ、リパ−ゼ
、アミラ−ゼ、セルァ−ゼ、及びそれらの混合物からなる群から選ばれた酵素、
より好ましくはプロテア−ゼ及びアミァ−ゼから選ばれた酵素をも含むことがで
きる。組成物が酵素を含む場合には、過酸化水素を含まないように組成物を処方
することが重要である。これは過酸化物は酵素と反応して組成物に添加した酵素
の如何なる性能上の効果をも破壊できるからである。従って少量の過酸化水素さ
えも酵素含有組成物について問題を生ずることができる。しかし、ジアミンは存
在する過酸化水素と反応することができ、酵素安定剤としての効果を示し、過酸
化水素が酵素と反応するのを阻止できる。

【００４９】 ジアミンによる酵素安定化作用の唯一の欠点は過酸化水素との反応により生成
した窒素化合物がジアミン含有組成物中に存在できる悪臭の原因となると考えら
れることである。ジアミンが酵素の安定剤としての効果をもつことはまた、組成
物にジアミンを最初に添加して遂行しようとする効果、すなわち、油脂汚れクリ
−ニング、起泡、溶解、及び低温安定性を組成物に付与することを妨げる。従っ
て、過酸化水素を実質上含まない成分を使用するか、及び／またはジアミンは酵
素安定剤として作用できるけれども悪臭化合物を発生させる可能性があること、
またジアミンの主要役割を遂行するジアミンの有効量が減少することから、非ジ
アミン酸化防止剤を使用することによつて、本発明組成物中に不純物として存在
する過酸化水素の量も最少とすることが好ましい。

【００５０】 更に、本発明の食器洗い洗剤組成物は、特に約９未満のｐＨで調製する場合に
は、炭酸水素ナトリウムを含むことができる。炭酸水素ナトリウムが存在する場
合には、それは全組成物の約０．５〜約５重量％、好適には約１〜約３重量％の
量で含まれる。

【００５１】 以下に、本発明を説明する実施例を記載するが、本発明をこれらに限定するこ
とを意味するものでも、或は本発明の範囲をこれらにより規定するものでもない
。文中で使用する部、％、及び比は他に特に規定しなければすべて重量によるも
のである。

【００５２】 下記実施例において、すべての量或は濃度は組成物の重量％として表わした。

【実施例】

【００５３】 実施例１ 下記の液状食器洗い洗剤組成物を造り、チバ・ガイギ−社から商業的に購入し
たチヌビン３２６（Tinuvin 326）約０．３重量％を含有する高密度ポリエチレ
ン（HDPE）壜形態の容器に詰めた。この壜を長期間（１４日間）紫外光に暴露し
たが、意外にも洗剤組成物はその元の色を保持した。

【００５４】

【表１】

【００５５】紫外光試験 下記の洗剤組成物のサンプルを造り、紫外光遮断剤を含有しない高密度ポリエ
チレンで造つた容器、及び紫外光遮断剤のチヌビン３２６ を０．３重量％含有
する高密度ポリエチレンで造つた容器中にそれぞれ詰めた。これらの容器を１４
日間に亙り紫外光に暴露した（太陽からの紫外光に洗剤組成物を約１年間暴露し
たことに模擬する）。この暴露期間の後に、組成物の色変化をハンタ−・カラ−
探差器を使用して読み取つた。それぞれの紫外光試験の結果を下記表IIに記載す
る：

【００５６】

【表２】

【００５７】

【表３】

【００５８】 意外にも、紫外光遮断剤を含む容器中のサンプルは元の、すなわち新鮮な洗剤
製品サンプルの色と有意には異ならなかつたが、紫外光遮断剤を含まないサンプ
ル製品は長期の紫外光暴露の結果として変色した。

【００５９】

【表４】

【００６０】 ＡＥＳ中のエトキシル化度は０．６〜約３の範囲である。ジアミンはジメチル
アミノプロピルアミン；１，６−ヘキサンジアミン；１，３−プロパンジアミン
；２−メチル−１，５−ペンタンジアミン；１，３−ペンタンジアミン；１−メ
チル−ジアミノプロパン；から選択した。アミラ−ゼはタ−マミル（Termamyl）
（登録商標）；フンガミ−ル（Fungamyl）（登録商標）；デュラミ−ル（Duramy
l）（登録商標）；バン（BAN）（登録商標）から選択した。アミラ−ゼはWO95/2
6397号及びノボ・ノルディスク（Novo Nordisk）による同時継続出願に係るPCT/
DK 96/00056号明細書に記載されている。リパ−ゼはアマノ−P（Amano-P）；エ
ム１・リパ−ゼ（M1 Lipase）（登録商標）；リポマツクス（Lipomax）（登録商
標）；リポラ−ゼ（Lipolase）（登録商標）；及びフミコ−ラ・ラヌギノ−ザ菌
株（ Humicola lanuginosa strain） DSM 4106から選択した。

【００６１】 プロテア−ゼはサビナ−ゼ（Savinase）（登録商標）；マクサタ−ゼ（Maxata
se）（登録商標）；マクサスカル（Maxascal）（登録商標）；マクサペム１５（
Maxapem １５）（登録商標）；サブチリジン BPN及びBPN′；プロテア−ゼB；プ
ロテア−ゼA；プロテア−ゼD；プリマ−ゼ（Primase）（登録商標）；デュラツ
ィ−ム（Durazyme）（登録商標）；オプティクリ−ン（Opticlean）（登録商標
）；オプティマ−ゼ（Optimase）（登録商標）；及びアルカラ−ゼ（Alcalase）
（登録商標）から選択した。ハイドロトロ−プはトルエンスルホン酸、ナフタレ
ンスルホン酸、クメンスルホン酸、キシレンスルホン酸のそれぞれナトリウム塩
、カリウム塩、アンモニウム塩、水溶性置換アンモニウム塩から選択した。DTPA
はジエチレントリアミンペンタ酢酸塩キレ−ト剤である。

【００６２】 従って、このように本発明を詳細に記載したが、本発明の範囲から逸脱するこ
となく種々の改変を行うことができること、及び本発明は明細書に記載したとこ
ろのものに限定されると考えるべきではないことは当業者に明らかであろう。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，Ｅ Ａ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，Ｇ Ｈ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ， ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，Ｍ Ｗ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ， ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，Ｚ Ｗ (71)出願人 ＯＮＥ ＰＲＯＣＴＥＲ ＆ ＧＡＮＢＬ Ｅ ＰＬＡＺＡ，ＣＩＮＣＩＮＮＡＴＩ， ＯＨＩＯ，ＵＮＩＴＥＤ ＳＴＡＴＥＳ ＯＦ ＡＭＥＲＩＣＡ (72)発明者 コーデンブロック，ロバート ヘンリー アメリカ合衆国ケンタッキー州、ヴェロ ナ、オーク、クリーク、ロード 13228 (72)発明者 オーエンズ，ロバート アメリカ合衆国オハイオ州、シンシナチ、 クレスト、ロード 3299 Ｆターム(参考） 3E067 AA04 AA05 AB96 AB99 BB22A CA13 4H003 AB14 AB19 AB27 AB31 AC03 AC08 AC15 AD04 DA17 EA19 EA25 EB03 EB07 EB08 EB13 EB20 EB22 EC02 EC03 ED02 FA14

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗剤組成物を小出しでき、小出し後閉めることができる開口
   部を備えた容器に洗剤組成物を入れて閉めてなる食器洗い用洗剤製品において、
   該容器が、 ａ）８．０〜１１．５の範囲内のｐＫ１値及びｐＫ２値をもつ、有効量の低
   分子量有機ジアミンと、 ｂ）有効量の、ｐＨが８〜１２の洗剤性界面活性剤 とを含む洗剤組成物を入れてなり、且つ該容器中の洗剤組成物から紫外光の作用
   を実質上阻止するのに有効量の紫外光遮断剤を含む容器壁を備えることを特徴と
   する、食器洗い用洗剤製品。
2. 【請求項２】 紫外光遮断剤がベンゾトリアゾ−ル、オルトヒドロキシベン
   ゾフェノン、二酸化チタン及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項
   １記載の食器洗い用洗剤製品。
3. 【請求項３】 紫外光遮断剤が下記の式 【化１】 で表わされる、請求項１記載の食器洗い用洗剤製品。
4. 【請求項４】 紫外光遮断剤が下記の式 【化２】 で表わされる、請求項１記載の食器洗い用洗剤製品。
5. 【請求項５】 紫外光遮断剤が下記の式 【化３】 で表わされる、請求項１記載の食器洗い用洗剤製品。
6. 【請求項６】 紫外光遮断剤が下記の式 【化４】 で表わされる、請求項１記載の食器洗い用洗剤製品。
7. 【請求項７】 紫外光遮断剤が容器の０．０００１〜１重量％の量で存在す
   る、請求項１記載の食器洗い用洗剤製品。
8. 【請求項８】 界面活性剤：ジアミンの重量比が４０：１〜２：１である、
   請求項１ないし７のいずかに記載の食器洗い用洗剤製品。
9. 【請求項９】ジアミンが下記の式 【化５】 （式中、Ｒ₁〜Ｒ₄は独立的にＨ、メチル、エチル及びエチレンオキシドから選ば
   れ、Ｃｘ及びＣｙは独立的にメチレン基または分枝アルキルから選ばれ、ｘ＋ｙ
   は３〜６で、Ａは適宜存在するが、ジアミンのｐＫを所望の範囲に調整するよう
   に選ばれる電子供与性または電子求引性基であり、Ａが存在する場合にはｘ及び
   ｙの両者共に２またはそれ以上でなければならない） で表わされるジアミンからなる群から選ばれる、請求項１ないし７のいずかに記
   載の食器洗い用洗剤製品。
10. 【請求項１０】 ジアミンが下記の式 【化６】 で表わされるジメチルアミノプロピルアミン； 【化７】 で表わされる１,６−ヘキサンジアミン； 【化８】 で表わされる１,３−プロパンジアミン； 【化９】 で表わされる２−メチル−１，５−ペンタンジアミン； 【化１０】 で表わされる１−メチル−ジアミノプロパン； 【化１１】 で表わされるジェファミンＥＤＲ１４８； 【化１２】 で表わされるイソホロンジアミン； 【化１３】 で表わされる１,３−ビス（メチルアミン）−シクロヘキサン； 及びそれらの混合物； からなる群から選ばれる、請求項１ないし７のいずかに記載の食器洗い用洗剤製
    品。