JP4401673B2 - 洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚または粘膜に対する化学物質の刺激低減方法及び組成物であって、特に、衣料、硬質表面、毛髪、身体等に適用する洗浄剤の刺激低減方法及び洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の汚れに対する洗浄において、洗浄力の良好な洗浄剤組成物については、数多くの提案がなされている。例えば優れた洗浄力を発揮する界面活性剤や水道水の高度を低下させるビルダー、また汚れを分解するプロテアーゼなどを用いて優れた洗浄力を提供することが行われている。しかしながら、洗浄力が優れているだけでは、本当の意味での良好な洗浄剤組成物であるということはできない。例えば、皮膚、毛髪等の身体の洗浄では当然のことであるが、如何なる洗浄においても洗浄剤が身体に触れることがあるため、洗浄剤の皮膚または粘膜に対する刺激性(本発明における刺激性)は極めて低いことが望まれる。
このような要望に対して、蛋白変性作用を有するアニオン界面活性剤にアミンオキシドを混合することによりその蛋白変性力を低下させて洗浄剤の刺激性を低下させることが行われてきた(例えば、非特許文献1参照)。また、洗浄力の優れたアニオン界面活性剤から蛋白変性作用の低いノニオン界面活性剤へ代替することが行われてきた(例えば、特許文献1参照)。一方、プロアントシアニジン(例えば、特許文献2参照)、桜皮の抽出物(例えば、特許文献3参照)、訶子の抽出物(例えば、特許文献4参照)を配合し、植物成分により洗浄剤の刺激性を低下させている。
これらの洗浄剤の中には従来品に比べて刺激性が低下する場合が認められるが、未だ十分なものであるということができるレベルまでには至っていない。また、刺激性を低下させるために、優れた洗浄力を有する成分の削除や低比率化、第三成分による着色など、洗浄力が低下しまう場合がしばしば認められた。
一方、本発明の構成と実施例等が類似している先行技術を調査したところ以下のものがあったが、下記のように本発明とは異なる(後記の%は、質量%である)。
洗浄力向上のためにLASが20%、CMCが1%、シリケートが10%配合されている洗浄剤組成物の例(例えば、特許文献5参照)があるが、プロテアーゼは7500APU/洗剤gより少量であり、課題も本発明と異なる。
過酸化物を含有する漂白洗浄剤組成物において、洗浄力向上のため、α−SFが20%配合されている組成物の例(例えば、特許文献6参照)があるが、シリケートが10%配合されており、課題も異なる。
洗浄力向上のため、LASが17%、ホウ砂が2.5%配合されている組成例(例えば、特許文献7参照)があるが、プロテアーゼが7500APU/洗剤gより少量であり、課題も異なる。
本出願人の出願特許において、洗浄力向上のためにアニオン界面活性剤LASが10%、CMCが0.5%配合した組成の例(例えば、特許文献8参照)があるが、プロテアーゼが7500APU/洗剤gより少量であり、課題も異なる。また、LAS15%、過炭酸ナトリウム/炭酸ナトリウム比が1/1配合されている組成例(例えば、特許文献9参照)があるが、シリケートの配合量は5%であり、課題も異なる。さらに、収斂性を有する物質による刺激の低下が知られており、収斂性を有する物質の中に渋味を有するものがあるが、収斂性と渋味に相関性は認められない(例えば、非特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−3900号公報
【特許文献2】
特開2001−172680号公報
【特許文献3】
特開平9−279185号公報
【特許文献4】
特開平9−176686号公報
【特許文献5】
特開昭61−16998号公報、実施例1
【特許文献6】
特開平8−92594号公報、実施例1
【特許文献7】
特開2001−513517号公報、例8のC、D
【特許文献8】
特開2001−139996号公報、実施例1
【特許文献9】
特開2001−187898号公報、比較例2
【非特許文献1】
油化学、29号、866頁(1980)
【非特許文献2】
フレグランスジャーナル臨時増刊、No.6、P.270、(1986)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、身体の表面、特に皮膚または粘膜に対する化学物質の刺激をできるだけ低減させる方法及び低刺激性でかつ良好な洗浄力を有する洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、蛋白脱水作用を有する物質、渋味を有する物質、皮膜形成機能を有する物質、血管収縮作用を有する物質から選ばれる少なくとも1種を用いることにより、皮膚または粘膜に対する化学物質の刺激を低減させること及びこれらの物質を配合して低刺激性でかつ良好な洗浄力を有する洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記(1)〜(4)である。
(1)下記(a)〜(d)から選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする皮膚または粘膜に対する化学物質の刺激低減方法。
(a)蛋白脱水作用を有する物質
(b)渋味を有する物質
(c)皮膜形成機能を有する物質
(d)血管収縮作用を有する物質
(2)界面活性剤を含有する洗浄剤組成物において、下記(a)〜(d)から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする洗浄剤の刺激低減方法。
(a)蛋白脱水作用を有する物質
(b)渋味を有する物質
(c)皮膜形成機能を有する物質
(d)血管収縮作用を有する物質
(3)(A)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルカンスルホン酸塩(SAS)、アルキル硫酸塩(AS)、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(α−SF)から選ばれるアニオン界面活性剤が少なくとも10質量%であり、かつ、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩(AES)以外のサルフェート型アニオン界面活性剤及びスルホネート型アニオン界面活性剤の合計量が20質量%を超える量であって、
(B)プロテアーゼが7500APU/洗剤g超える量であり、
(C)下記(a)〜(d)から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
(a)蛋白脱水作用を有する物質
(b)渋味を有する物質
(c)皮膜形成機能を有する物質
(d)血管収縮作用を有する物質
(4)(D)スルホネート型アニオン界面活性剤10質量%を超え50質量%以下、または、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩(AES)以外のサルフェート型アニオン界面活性剤及びスルホネート型アニオン界面活性剤の合計量が20質量%を超え50質量%以下、
(E)過酸化物が10質量%超え70質量%以下、
(F)前記(E)と炭酸ナトリウムとの質量比が5/5〜10/0、
(G)シリケート0.05〜5質量%未満又は、CMC0.05〜5質量%を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
【0006】
本発明の上記(1)については、皮膚または粘膜に対する刺激低減方法であって、前記部位に適用又は作用する組成物に広汎に応用でき、例えば、洗浄剤、化粧品、医薬品、食品等の刺激低減方法として有用である。
【0007】
本発明の上記(2)の洗浄剤組成物の刺激低減方法に関し、組成物中の界面活性剤は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などの各種界面活性剤等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これら界面活性剤は、組成物中合計で、好ましくは5〜50質量%である。さらに、好ましくは、刺激性を有するサルフェート型アニオン界面活性剤及びスルホネート型アニオン界面活性剤の合計量が10〜50質量%、特に、20質量%を超え50質量%以下配合された洗浄剤組成物の刺激低減方法である。
【0008】
本発明の上記(1)〜(3)に使用される(a)〜(d)成分について以下に詳細に説明する。
(a)蛋白脱水作用を有する物質としては、蛋白質中の水分を低減させる作用を有する物質であり、好ましくは、後記の蛋白脱水作用の評価法において、水分含有率を75%以下、特に、50〜70%にするような物質が好適である。
蛋白脱水作用を有する好ましい物質として、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどの重炭酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどの硫酸塩などが好適である。
蛋白脱水作用を有する物質の使用量または、組成物中の配合量は、好ましくは0.05〜5質量%であり、0.05質量%未満では、充分な効果が得られないことがあり、5質量%を超えると効果が飽和する。
【0009】
【蛋白脱水作用の評価法】
ゼラチン(牛骨由来の酸処理、ゼリー強度:250ブルーム)の20質量%水溶液(40℃)をガラス板(ビニルテープで囲い形成)に塗布し、20℃、湿度60%の室内で24時間放置することにより作成したゼラチンフィルム(縦×横×厚み=10mm×50×1mm)を試料とする。
上記試料3個を、所定の物質の15質量%水溶液200ml(20℃)に浸漬し、24時間後に取り出して、ティシュペーパーで試料表面の水分を拭き取り、試料の質量(W1)を測定する。次いで、前記試料を120℃、3時間乾燥後の質量(W2)を測定し、ゼラチンの水分含有率を下記の式にて算出する(試料3個の平均値を使用)。
水分含有率(%)=(W1−W2)/W2×100
【0010】
(b)渋味を有する物質としては、渋味の標準物質となるタンニン酸溶液を標準として、後記の渋味の評価法により、定義される。
渋味を有する物質として、好ましくは、オルト珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウムなどの珪酸塩およびシリカなどの酸化珪素、四ホウ酸ナトリウム、酸化ホウ素、ホウ砂、ホウ酸、メタホウ酸、メタホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムなどのホウ素化合物、アルミミョウバン、鉄ミョウバン、アルミニウムハイドロクロライド、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの鉄、クロム、アルミ、亜鉛、マグネシウムおよびその化合物などが挙げられる。上記の中で特に、オルト珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウムなどの珪酸塩およびシリカなどの酸化珪素、四ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、ホウ酸、メタホウ酸、メタホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムなどのホウ素化合物、が好適である。
渋味を有する物質の使用量または組成物中の配合量は、好ましくは0.05〜5質量%である。0.05質量%よりも少ないと充分な効果が得られないことがあり、5質量%を超えると効果が飽和してしまう。なお、オルト珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム等では、配合量が5質量%を超えると刺激低減効果が消失する。一般に、前記珪酸塩は、洗剤組成物中に5質量%を超えて配合されることが多い。
【0011】
【渋味の評価法】
試料を精製水に約2質量%となるように溶解し、0.1N塩酸または0.1N水酸化ナトリウムでpH7.0に調整し、最終濃度が1質量%となるように調製する。
渋味を比較するためのコントロールとしては同様の操作により調製した0.01質量%タンニン酸(関東化学社製)を用いる。健常な成人男子5名が各溶液20mLを口腔に含み、30秒後に渋味を感じる度合いをコントロールの0.01質量%タンニン酸と比較して評価する。モニター5名の中で3名以上がコントロールに比べて渋いと感じた試料を、渋味を感じる物質とする。
【0012】
(c)皮膜形成機能を有する物質としては、後記の皮膜形成機能の評価法により定義される物質である。皮膜形成機能を有する物質として、好ましくは、CMCナトリウムやCMCカリウムなどのCMCが好適である。
皮膜形成機能を有する物質の使用量または組成物中の配合量は、好ましくは0.05〜5質量%である。0.05質量%よりも少ないと充分な効果が得られないことがあり、5質量%を超えると効果は飽和してしまう。
【0013】
【皮膜形成機能の評価法】
試料の0.5〜1質量%水溶液50μL(マイクロリッター)をピペットマン(ギルソン社製)を用いてスライドグラス(松並硝子工業社製、白縁磨No.2S−1112)上に滴下して水平に保ったまま自然乾燥させた後、フィルム形成が観察されるものを皮膜形成機能を有する物質とする。
【0014】
(d)血管収縮作用を有する物質としては、後記の血管収縮作用の評価法により、定義される。血管収縮作用を有する物質としては、過酸化水素、水中で過酸化水素を発生する無機物である過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウムなどの過酸化物などが好ましい。血管収縮作用を有する物質の使用量または組成物中の配合量は、10質量%超え〜70質量%以下で、過酸化物/炭酸ナトリウムとの質量比率が5/5〜10/0であることが好ましい。10質量%以下では充分な効果が得られないことがあり、70質量%よりも多いと他の洗浄成分の配合が困難になる。
【0015】
【血管収縮作用の評価法】
赤木らが実施したごとく(第11回日本循環薬理学会)、体重約300gの雄性ラット(ウィスター/ST、Wistar/ST)を断頭、放血致死させた後、胸部を切開し、胸部大動脈を摘出する。そして、クレブス緩衝液(Krebs液)の入った器官槽(organ bath、バイオリサーチセンター社製等)のフックに吊るし、1gの負荷をかける。その後、フェニレフリン(Phenylephrine)で処理後、過酸化水素等を作用させた場合に誘発される張力変化についてアイソメトリックトランスデューサー(isometric transducer、いわしや岸本医科学産業社製、エー・ディー・インスツルメンツ・ジャパン等)を用いて測定する。
【0016】
本発明の下記(3)について、詳細に説明する。
(3)(A)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルカンスルホン酸塩(SAS)、アルキル硫酸塩(AS)、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(α−SF)から選ばれるアニオン界面活性剤が少なくとも10質量%であり、かつ、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩(AES)以外のサルフェート型アニオン界面活性剤及びスルホネート型アニオン界面活性剤の合計量が20質量%を超える量であって、
(B)プロテアーゼが7500APU/洗剤g超える量であり、
(C)下記(a)〜(d)から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
(a)蛋白脱水作用を有する物質
(b)渋味を有する物質
(c)皮膜形成機能を有する物質
(d)血管収縮作用を有する物質
【0017】
上記(A)成分のアニオン界面活性剤は、その配合量が少なくとも10質量%、好ましくは10〜50質量%であり、かつ、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩(AES)以外のサルフェート型アニオン界面活性剤及びスルホネート型アニオン界面活性剤の合計量が20質量%を超え、好ましくは21〜50質量%とすると好適である。
上記(A)成分のアニオン界面活性剤の配合量が少なくとも10質量%、かつ、AES以外のサルフェート型アニオン界面活性剤及びスルホネート型アニオン界面活性剤の合計量が20質量%を超えるような洗浄剤組成物において、本発明の顕著な効果が得られる。上記のLAS、AOS、SAS、AS、α−SFの他に、サルフェート型アニオン界面活性剤として、アルキルアリルエーテル硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩等、また、スルホネート型アニオン界面活性剤として、ジアルキルスルホコハク酸塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等が使用できる。
【0018】
(B)成分のプロテアーゼは、サビナーゼ、アルカラーゼ、エスペラーゼ、エバラーゼ、カズサーゼ、ピュラフェクト、K−16などのアルカリセリンプロテアーゼが好ましい。(B)成分の配合量は文献(Agric.Biol.Chem, vol.55, 2251(1991))を基に活性を定義し、洗剤1gあたり7500APUを超えて配合され、特に、8000〜750000APU/洗剤gの範囲で配合されことが好ましい。
【0019】
本発明の洗浄剤組成物に使用される好ましいノニオン界面活性剤としては、以下のものが例示できる。
1)平均炭素数10〜20のアルコールにエチレンオキサイド(EO)を平均5〜30モル付加させたEO付加型ノニオン界面活性剤(アルキルエーテルエトキシレート)。
2)平均炭素数10〜20のアルコールにエチレンオキサイド(EO)およびプロピレンオキサイド(PO)を平均5〜30モル付加させたEO−PO付加型ノニオン界面活性剤。
3)下記式で表される脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤。
R1−CO(OR2)nOR3
(式中、R1は炭素数5〜21、好ましくは炭素数9〜17のアルキル基またはアルケニル基、R2は炭素数2〜4であり、EOが単独で、またはEOおよびPOが混合して付加してOR2を構成することが好ましい、R3は炭素数1〜4のアルキル基、好ましくは炭素数1〜2のアルキル基、nはOR2の平均付加モル数を示し、5〜30の数、好ましくは5〜20の数、を示す。)
ノニオン界面活性剤は、組成物中、好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは1〜30質量%配合される。
【0020】
好ましいカチオン界面活性剤としては、ジ長鎖アルキル(炭素数12〜18)ジ短鎖アルキル(炭素数1〜2)型4級アンモニウム塩、モノ長鎖アルキル(炭素数12〜18)トリ短鎖アルキル(炭素数1〜2)型4級アンモニウム塩、トリ長鎖アルキル(炭素数12〜18)モノ短鎖アルキル(炭素数1〜2)型4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0021】
好ましい両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ステアリン酸アミドエチルベタイン等のベタイン類や、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン誘導体類が挙げられる。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物には、通常、衣料用洗剤、食器洗い洗剤等に配合されるアルカリビルダー、キレートビルダー、その他、下記のような成分が配合できる。
その他の成分として、以下のような成分を配合することができる。
(1)蛍光剤として、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ビス(スルホスチリル)ビフェニル塩[チノパールCBS−X]など。
(2)漂白活性化剤として、炭素数11〜19のアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸/塩、炭素数8〜19のアルカノイルオキシ安息香酸/塩など。
(3)表面改質剤として、微粉炭酸カルシウム、微粉ゼオライト、顆粒ゼオライト、ポリエチレングリコールなど。
(4)多孔質吸油剤として、非晶質無水珪酸、珪酸カルシウムなど。
(5)油ゲル化剤として、12−ヒドロキシステアリン酸、金属石鹸など。
(6)還元剤
亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムなど。
(7)崩壊剤
粉末セルロースの顆粒化品、架橋型カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなど。
(8)すすぎ剤として、シリコーン油など。
(9)香料
例えば、特開2002−146399号公報に記載の香料組成物など。
【0023】
本発明の洗剤組成物は、粉末洗剤、高嵩密度の粒状洗剤(高嵩密度洗剤)、タブレット洗剤、ブリケット洗剤、シート状洗剤、バー状洗剤、又は、粒状洗剤を水溶性フィルムやシートなどで個別包装した分包型洗剤等の固形洗剤組成物、液体洗剤組成物などの各種剤型に調製することができる。
粒状洗剤組成物の場合、嵩密度は、好ましくは、0.6〜1.2g/cm3、特に、0.7〜1g/cm3とすると好適である。
粒子径は、好ましくは、200〜2000μm、特に、300〜1500μmの範囲とすると好適である。平均粒子径は、好ましくは、300〜1200μm、特に、350〜1000μmとすると好適である。粒状洗剤組成物は、捏和押出造粒法、捏和破砕造粒法、転動造粒法、撹拌造粒法等の方法で製造できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、洗浄剤の刺激を低減できるので、衣料用、硬質表面用、毛髪および身体用の洗浄剤等として極めて有用である。
【0025】
【実施例】
【蛋白脱水作用の評価法】
ゼラチン(牛骨由来の酸処理、ゼリー強度:250ブルーム)の20質量%水溶液(40℃)をガラス板(ビニルテープで囲い形成)に塗布し、20℃、湿度60%の室内で24時間放置することにより作成したゼラチンフィルム(縦×横×厚み=10mm×50×1mm)を試料とした。
上記試料3個を、所定の物質の15質量%水溶液200ml(20℃)に浸漬し、24時間後に取り出して、ティシュペーパーで試料表面の水分を拭き取り、試料の質量(W1)を測定した。次いで、前記試料を120℃、3時間乾燥後の質量(W2)を測定し、ゼラチンの水分含有率を下記の式にて算出した(試料3個の平均値を使用)。
水分含有率(%)=(W1−W2)/W2×100
【0026】
上記の評価法で、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどは、水分含有率約60%、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどの硫酸塩は水分含有率約50%であった。
【0027】
【渋味の評価法】
試料を精製水に約2質量%となるように溶解し、0.1N塩酸または0.1N水酸化ナトリウムでpH7.0に調整し、最終濃度が1質量%となるように調製した。
渋味を比較するためのコントロールとしては同様の操作により調製した0.01質量%タンニン酸(関東化学社製)を用いた。健常な成人男子5名が各溶液20mLを口腔に含み、30秒後に渋味を感じる度合いをコントロールの0.01質量%タンニン酸と比較して評価した。モニター5名の中で3名以上がコントロールに比べて渋いと感じた試料を、渋味を感じる物質とした。
【0028】
上記評価法で、オルト珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、シリカ、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム十水和物、酸化ホウ素、ホウ砂、ホウ酸、メタホウ酸、メタホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、アルミミョウバン、テツミョウバン、アルミニウムハイドロクロライド、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等について、3名以上が0.01質量%タンニン酸よりも渋味を感じた。
【0029】
【皮膜形成機能の評価法】
試料の0.5〜1質量%水溶液50μL(マイクロリッター)をピペットマン(ギルソン社製)を用いてスライドグラス(松並硝子工業社製、白縁磨No.2S−1112)上に滴下して水平に保ったまま自然乾燥させた後、フィルム形成が観察されるものを皮膜形成機能を有する物質とした。
【0030】
上記評価法で、CMCナトリウム(日本製紙社サンローズB1B)は、皮膜形成機能を有する。
【0031】
【血管収縮作用の評価法】
赤木らが実施したごとく(第11回日本循環薬理学会)、体重約300gの雄性ラット(ウィスター/ST、Wistar/ST)を断頭、放血致死させた後、胸部を切開し、胸部大動脈を摘出する。そして、クレブス緩衝液(Krebs液)の入った器官槽(organ bath、バイオリサーチセンター社製等)のフックに吊るし、1gの負荷をかけた。その後、フェニレフリン(Phenylephrine)でトレーニングし、過酸化水素等を作用させた場合に誘発される張力変化についてアイソメトリックトランスデューサー(isometric transducer、いわしや岸本医科学産業社製、エー・ディー・インスツルメンツ・ジャパン等)を用いて測定した。
【0032】
上記評価法で、過酸化水素、過炭酸ナトリウム等が血管収縮作用を示した。
【0033】
【刺激性の評価法】
表−1〜4に記載した組成物を5%質量となるように蒸留水を用いて懸濁し、フィンチャンバー(大正製薬社輸入のFinn Chamber ( Epitest, Finland ) on Scanpor tape ( Norgesplaster, Norway):商品名)の直径7.5mmのろ紙に20μL滴下し、自分が敏感肌と感じている成人男性10人の背部(無疹部)に貼付けた。48時間後にパッチを除去し、その後24時間経過時に以下に示す本邦基準(川村 太郎, 日皮会誌, 80, p.301, 1970)に準じて評価を行なった。評価点は10人の点数の平均点より算出した。
<評価基準>
点数 症状
0 反応なし
1 軽い紅斑
2 紅斑
3 紅斑+浮腫
4 紅斑+浮腫+丘疹、漿液性丘疹、小水疱
5 大水疱
【0034】
本条件でアニオン界面活性剤の刺激性を評価したところ、LASを蒸留水に0.5〜5質量%溶解した場合は4.0点、また、LAS2.5%とAS2.5%を溶解した場合は5.0点となり、鈴木らの報告[鈴木加余子、皮膚、vol.41, (2),p.130(1999)]と同様に、アニオン界面活性剤の刺激性の評価法として妥当であることが示された。
【0035】
表1〜4における例1〜8は、高嵩密度粒状衣料用洗剤、例9〜24は、高嵩密度粒状衣料用漂白洗剤、例25、26は、液体衣料用洗剤、例27、28は、手洗い食器洗い用洗剤に好適な洗浄剤組成物である。なお、例12〜16、22〜24が実施例で、その他の例は参考例である。
表1〜4から、いずれの実施例においても皮膚刺激性は極めて低い結果となった。
なお、実施例では、皮膚刺激性について評価したが、粘膜の刺激性についても皮膚刺激性と同様の結果が得られると推定される。
【0036】
なお、上記例で使用した成分は、下記の通りである。
α−SF−Na:炭素数14〜16のアルキル基をもつα−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩、ライオン(株)製、純分70%、固形分72〜73%LAS:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸カリウム(洗剤組成物製造の際に、ライオン(株)製ライポンLH−200(LAS−H純分96%)を48%水酸化カリウム水溶液で中和することにより調製したもの)
石けん:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67%、
タイター:40〜45℃、脂肪酸ナトリウムの組成は、C12:15.0%、C16:21.5%、C18: 1.5%、C181(不飽和1):48.0%、
分子量:289)
AOS:炭素数14〜18のアルキル基をもつα−オレフィンスルホン酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分55%の水性スラリー)
AS:ライオン(株)製、サンノールLM−1100NT
アルキル基をもつアルキル硫酸ナトリウム(ライオン社製、サンノールLM−1100NT)
SAS:アルカンスルホン酸ナトリウム(クラリアント社製、炭素数14〜17のアルキル基をもつホスタプール(Hostapur)SAS93)
SN:リパールNTD(ジアルキルスルホコハク酸塩、ライオン化学社製)
MT:リポタックTE−P(高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、ライオン化学社製)
ノニオン(EO15):ダイアドール13(三菱化学社製)の酸化エチレン平均15モル付加体(ライオン化学社製)
ノニオン(EO15PO3):ダイアドール13(三菱化学製)の酸化エチレン平均15モル及び酸化プロピレン平均3モル付加体(ライオン化学製)
AX:ラウリルメチルアミンオキシド(ライオン社製)
LDE:ラウリルジエタノールアミド(川口ファインケミカル)
【0037】
その他成分
ゼオライト:A型ゼオライト (水澤化学製、シルトンB)
アクリル酸マレイン酸共重合体:商品名ソカランCP7(BASF社製)
ポリアクリル酸Na:ポリアクリル酸ナトリウム(日本純薬製、アロンビスS)
クエン酸Na:クエン酸ナトリウム(試薬)
炭酸Na:炭酸ナトリウム(旭硝子製、粒灰)
炭酸K:炭酸カリウム(旭硝子製)
珪酸Na:JIS1号ケイ酸ナトリウム(日本化学製)
硫酸Na:中性無水芒硝(日本化学製)
塩化Na:塩化ナトリウム(試薬)
重炭酸Na:重炭酸ナトリウム(試薬)
ホウ酸Na:ホウ砂(試薬)
過ホウ酸Na:過ホウ酸ナトリウム(試薬)
亜硫酸Na:三井化学(株)製、無水亜硫酸ナトリウム
PEG:ポリエチレングリコール#600(ライオン製)
蛍光剤CBS:チノパールCBS−X(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
蛍光剤AMS: チノパールAMS−GX(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
CMC:カルボキシメチルセルロースナトリウム(日本製紙社製サンローズB1B)
サビナーゼ12T:プロテアーゼ(ノボザイムズ社)
サビナーゼ16L:プロテアーゼ(ノボザイムズ社)
ライペックス50T:リパーゼ(ノボザイムズ社製)
ターマミル60T:アミラーゼ(ノボザイムズ社製)
セルザイム0.7T:セルラーゼ(ノボザイムズ社製)
過炭酸Na:被覆化過炭酸ナトリウム(三菱ガス化学製 SPC−D)
TAED:テトラアセチルエチレンジアミン(ワービック社)
漂白活性化剤OBC:ホソカワミクロン社製エクストルード・オーミックスEM−6型に、漂白活性化剤である4−デカノイルオキシ安息香酸とポリエチレングリコール(PEG)#6000(ライオン(株)製)とC14アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム粉末品(リポランPB−800、ライオン(株)製)を質量比で70/25/5になるように混合した後、投入し、混練押し出しすることにより径が0.8mmφのヌードル状の押し出し品を得た。この押し出し品(60℃)を、ホソカワミクロン社製フィッツミルDKA−3型により、混練押し出し造粒品を導入するのと同じ方向から導入し、また助剤としてA型ゼオライト粉末5質量%を同様に供給し、粉砕して得られた平均粒径700μmの漂白活性化剤造粒物。
漂白活性化剤OBS:漂白活性化剤として、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いて、上記と同様にして造粒した漂白活性化剤造粒物。
香料組成:特開2002−146399号公報、表11〜18に記載の組成。
色素:特開2002−180093号公報、実施例に記載の色素
エタノール:関東化学社製試薬
過酸化水素:三菱ガス化学社製、純分35%品
ジエタノールアミン:日本触媒社製
トリエタノールアミン:日本触媒社製
水:水道水(東京都平井)
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
Claims (1)
- (A)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルカンスルホン酸塩(SAS)、アルキル硫酸塩(AS)、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(α−SF)から選ばれるアニオン界面活性剤が少なくとも10質量%であり、かつ、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩(AES)以外のサルフェート型アニオン界面活性剤及びスルホネート型アニオン界面活性剤の合計量が20質量%を超え50質量%以下であって、
(B)プロテアーゼが7500APU/洗剤g超える量であり、
(C)カルボキシメチルセルロースナトリウムの0.05〜5質量%と、
過酸化水素及び過炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種の過酸化物の10質量%超え70質量%以下を含有し、
前記過酸化物と炭酸ナトリウムとの質量比が5/5〜30/1である洗浄剤組成物。
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