【発明の詳細な説明】
3−ベンジルピペリジン化合物
本発明は、式Iで表わされる化合物およびそれらの生理学的に許容される塩お
よび溶媒和物に関する:
式中、
R1は、2−または3−インドリル基であり、この基は未置換であるか、又は
1個または2個のHal、CN、A、AO、OH、CONH2、CONHA、C
ONA2、COOHおよび/またはCOOAにより置換されており、又はR1は、
5H−1,3−ジオキソロ−[4,5−f]−7−インドリルであり、
R2は、ベンジル基であり、この基は未置換であるか、又は1個、2個または
3個のA、AO、OH、Hal、CN、NO2、NH2、NHA、NA2、CF3、
COA、CONH2、COOH、CONHA、CONA2、OSO2Aおよび/ま
たはOSO2CF3により置換されており、又はR2は、フェニルヒドロキシメチ
ルであり、
Halは、F、Cl、BrまたはIであり、
Aは、炭素原子1〜10個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル基であり、
この基は1〜5個のFおよび/またはCl原子により置換されていてもよく、又
はAは、炭素原子3〜10個を有するシクロアルキル基であり、
kは、0または1であり、
mは、1、2、3または4である。
類似構造を有する化合物は、例えば刊行物WO95/02592またはWO9
5/33743に開示されている。
本発明は、有用な性質を有する新規化合物、特に医薬の製造に使用することが
できる新規化合物を見出すという目的に基づいている。
ここに、式Iで表わされる化合物およびそれらの塩が良好な寛容性を伴う有用
な薬理学的性質を有することが見出された。これらの化合物は、中枢神経系に対
する作用を示し、強力な抗てんかん作用性および特に抗虚血作用性を有する(こ
れは、ラットの中大脳動脈の一時的閉鎖モデルにおいて、また神経学的測定値の
減少により証明されている)。これらの物質は、神経保護作用性を有する強力な
σ−レセプターリカンドである(M.O’Neill等によるEuropean
J.Pharmacol.,283(1995),217〜225)。σ−レ
セプターリカンドとして作用する化合物はまた、NMDAイオンチャンネル複合
体に影響を及ぼす(H.Yamamoto等によるJ.Neuroscienc
e(]995),15(1),731〜736をまた、参照できる)。σ−アゴ
ニストはまた、年令関連記憶障害に対して好ましい効果を有する(Mauric
e等によるBrain Research,733(1996),219〜23
0参照)。或る種の式Iで表わされる化合物はさらにまた、強力な5−HT再取
込み抑制作用を示す。このような化合物の場合、特に良好な抗うつ作用、不安解
消作用、ならびに強迫障害(OCD)、食事障害(例えば、過食症)、遅発性ジ
スキネジー、学習障害、年令依存性記憶障害および精神病に対する正の作用が予
測される。
式1で表わされる化合物およびそれらの生理学的に許容される酸付加塩は、良
好な寛容性を伴い、特に有用な薬理学的性質を有する。これらの化合物は、精神
分裂病、認識欠損、不安症、うつ病、悪心、遅発性ジスキネジー、胃腸器官障害
またはパーキンソン病の処置に適している。これらの化合物は、中枢神経系に対
する作用を示し、特に5−HT再取込み抑制作用を示す。セロトニン再取込み抑
制のエクスービボ試験では、シナプトソーム取込み抑制(Wong等によるNe
uropsychopharmacol.,8(1993),23〜33)およ
びp−クロロアンフェタミン拮抗作用(Fuller等によるJ.Pharma
col.Exp.Ther.,212(1980),115〜119)が使用さ
れる。
σ−リガンドとして、これらの化合物は神経保護作用を有することから、これ
らの化合物はまた、特に卒中の処置、脳および骨髄損傷の処置、およびまた心臓
停止後の虚血状態の処置に、治療剤として適している。
従って、式Iで表わされる化合物は、脳神経系の機能障害および炎症を処置す
るための動物医療およびヒト医療の両方に適している。これらの化合物は、脳梗
塞(脳卒中)、例えば卒中および脳虚血の後遺症の予防および制御に、およびま
た神経弛緩薬の錐体外路運動副作用およびパーキンソン病の処置、急性および症
候群性アルツハイマー病の処置およびまた筋萎縮性側索硬化症の処置に使用する
ことができる。これらの化合物はまた、脳および骨髄損傷の処置に、治療薬とし
て適している。しかしながら、これらの化合物はまた、不安解消薬、抗うつ薬、
抗精神病薬、神経弛緩薬、抗高血圧薬の医薬活性化合物として、および/または
強迫障害、睡眠障害、遅発性ジスキネジー、学習障害、年令依存性記憶障害、過
食症などの食事障害および/または性機能障害に正の影響を及ぼす医薬活性化合
物としても適している。
従って、本発明は、式Iで表わされる化合物およびそれらの生理学的に許容さ
れる酸付加塩に関する。
本発明は特に、下記群から選択される式Iで表わされる化合物およびそれらの
塩および溶媒和物に関する:
a)3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]インドール;
b)3−[4−(3−フェニルヒドロキシフェニルピペリジン−1−イル)ブ
チル]インドール;
c)3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−フルオ
ロインドール;
d)3−ベンジル−1−[4−(5−フルオロインドール−3−イル)ブタノ
イル]ピペリジン;
e)3−ベンジル−1−[4−(5−クロロインドール−3−イル)ブタノイ
ル]ピペリジン;
f)3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−カルボ
キシインドール;
g)メチル 3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]イン
ドール−5−カルボキシレート;
h)メチル (−)−3−{4−[3−(3R’)−ベンジルピペリジン−1
−イル]ブチル}インドール−5−カルボキシレート;
i)メチル (+)−3−{4−[3−(3S’)−ベンジルピペリジン−1
−イル]ブチル}インドール−5−カルボキシレート;
j)3−{4−[3−(3R’)−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}
−6−メトキシインドール;
k)3−{4−[3−(3S’)−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}
−6−メトキシインドール;
l)(+)−3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]イン
ドール;
m)(−)−3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]イン
ドール;
n)3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−クロロ
インドール;
o)3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−メトキ
シインドール;
p)3−{4−[3−(4−フルオロベンジル)ピペリジン−1−イル]ブチ
ル}−5−フルオロインドール;
q)7−{4−[(3R)−3−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}−
5H−1,3−ジオキソロ[4,5−f]インドール;
r)7−{4−[(3S)−3−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}−
5H−1,3−ジオキソロ[4,5−f]インドール;
s)3−{4−[(3R)−3−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}−
5−フルオロインドール;
t)3−{4−[(3S)−3−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}−
5−フルオロインドール;
u)3−{4−[(3R)−3−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}イ
ンドール−5−カルボニトリル;
v)3−{4−[(3S)−3−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}イ
ンドール−5−カルボニトリル;
および
w)3−{4−[3−(4−フルオロフェニルヒドロキシメチル)ピペリジン
−1−イル]ブチル}インドール−5−カルボニトリル。
化合物(d)、(e)および(f)は、中間体として使用される。
例えばAのように、数回に渡って現れるようなすべての基については、それら
の意味は相互に独立している。
溶媒和物の用語は、例えば半水化物、1水化物または2水化物、あるいはまた
アルコールとの付加化合物を意味する。
基Aは、アルキルであり、炭素原子1〜10個、好ましくは1個、2個、3個
、4個、5個または6個、特に1個または2個を有する。従って、アルキルは特
に、例えばメチルであり、さらにまたエチル、n−プロピル、イソプロピル、n
−ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルであり、さらにまたペンチル
、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメ
チルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メ
チルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,
3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプ
ロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−ト
リメチルプロピルであることができ、さらにまたフルオロメチル、ジフルオロメ
チル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリクロロエチルまたはペンタフルオ
ロエチルであることができる。
シクロアルキルは特に、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたは1−アダマンチルである。
OAは、好ましくはメトキシであり、さらにまたエトキシ、n−プロポキシ、
イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシまたはter
t−ブトキシであることができる。NHAは、好ましくはメチルアミノであり、
さらにまたエチルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチル
アミノ、sec−ブチルアミノまたはtert−ブチルアミノであることができ
る。NA2は、好ましくはジメチルアミノであり、さらにまたN−エチル−N−
メチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジイソプロピルアミ
ノまたはジ−n−ブチルアミノであることができる。結果として、CO−NHA
は、好ましくはN−メチルカルバモイルまたはN−エチルカルバモイルであり;
CONA2は、好ましくはN,N−ジメチルカルバモイルまたはN,N−ジエチ
ルカルバモイルである。
Halは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、特にフッ素または塩素で
ある。kは、0または1であり、好ましくは0である。kが1である場合、実際
に活性な化合物の合成用の中間体に関係する。
mは、1、2、3または4であり、特に3または4である。
基R1は、2−または3−インドリル基であり、この基は、好ましくは未置換
であるか、あるいは1個または2個、特に1個の、Hal、CN、A、AO、O
H、CONH2、CONHA、CONA2、COOHおよび/またはCOOAによ
り置換されている。基R1はさらにまた、5H−1,3−ジオキソロ[4,5−
f]−7−インドリルであることができ、この基はまた、未置換であるか、ある
いは、1個または2個の、好ましくはHal、CN、A、AOまたはOHにより
置換されている。しかしながら、この基は特に、未置換の形態で存在する。
従って、R1は、好ましくは2−または3−インドリル、5−または6−メチ
ルインドール−2−イル、5−または6−メチルインドール−3−イル、5−ま
たは6−メトキシインドール−2−イル、5−または6−メトキシインドール−
3−イル、5−または6−ヒドロキシインドール−2−イル、5−または6−ヒ
ドロキシインドール−3−イル、5−または6−フルオロインドール−2−イル
、5−または6−フルオロインドール−3−イル、5−または6−シアノインド
ール−2−イル、5−または6−シアノインドール−3−イル、5−または6−
クロロインドール−2−イル、5−または6−クロロインドール−3−イル、5
−または6−カルボキシインドール−2−イル、5−または6−カルボキシイン
ドール−3−イル、5−または6−メトキシカルボニルインドール−2−イル、
5−または6−メトキシカルボニルインドール−3−イル、5H−1,3−ジオ
キソロ[4,5−f]インドール−7−イルであり、さらにまた5−または6−
ブロモインドール−2−イル、5−または6−ブロモインドール−3−イル、5
−
または6−エチルインドール−2−イル、5−または6−エチルインドール−3
−イル、5−または6−トリフルオロメチルインドール−2−イル、5−または
6−トリフルオロメチルインドール−3−イル、5−または6−イソプロピルイ
ンドール−2−イル、5−または6−イソプロピルインドール−3−イル、5−
または6−ジメチルアミノインドール−3−イルまたは5−または6−ジメチル
アミノインドール−2−イル、5−または6−エトキシインドール−3−イルあ
るいは5−または6−エトキシインドール−2−イルであることができる。
基R2は、好ましくはベンジルまたはフェニルヒドロキシメチルであり、この
基は、未置換であるか、あるいは1個、2個または3個の、Hal、OH、OA
、A、NH2、NHA、NA2、CONH2、CONHA、CONA2、COOH、
COA、CF3、CN、OSO2A、OSO2CF3および/またはNO2により置
換されている。従って、R2は、特に好ましくはベンジルまたはフェニルヒドロ
キシメチルであるか、あるいは1個のHalにより置換されているベンジルまた
はフェニルヒドロキシメチル、すなわち、例えばp−フルオロベンジルまたは、
p−フルオロフェニルヒドロキシメチル、p−メチルベンジルまたはp−メチル
フェニルヒドロキシメチル、p−クロロベンジルまたはp−クロロフェニルヒド
ロキシメチルであることができる。さらにまた好ましくは、R2は、p−アミノ
ベンジル、p−メチルアミノベンジル、p−ジメチルアミノベンジル、p−エチ
ルアミノベンジル、p−シアノベンジル、m−フルオロベンジル、m−メチルベ
ンジルまたはm−メチルフェニルヒドロキシメチル、p−ニトロベンジルまたは
p−ニトロフェニルヒドロキシメチルであることができる。
本明細書の全体をとおして、1つの分子中に数個が存在するすべての基は、同
一または相違することができる、すなわち相互に独立している。
従って、本発明は特に、式Iにおいて、その分子中に存在する前記基の少なく
とも一つが、上記好適意味の一つを有する化合物に関する。いくつかの好適化合
物群が、以下で式Ia〜Ikで表わされる。これらの式Ia〜Ikは式Iに対応
し、そして詳細に記載されていない基は式Iに示されている意味を有する:
式Iaにおいて、R1は、未置換3−インドリルである;
式Ibにおいて、R1は、5−位で置換されている3−インドリルである;
式Icにおいて、kは0であり、かつmは4である;
式Idにおいて、kは1であり、かつmは3である;
式Ieにおいて、R1は、Ibに記載の意味を有し、かつ置換基はHal、メ
トキシカルボニル、CNまたはカルボキシルである;
式Ifにおいて、R1は、5H−1,3−ジオキソロ[4,5−f]インドー
ル−7−イルである;
式Igにおいて、R2は、未置換ベンジルである;
式Ihにおいて、R2は、Igに記載の意味を有するが、このベンジル環は一
個の置換基を有する形態で存在する;
式Iiにおいて、R2は、Ihに記載の意味を有し、かつ置換基はHalであ
る;
式Ijにおいて、R2は、未置換または1個の置換基を有するフェニルヒドロ
キシメチルである;
式Ikにおいて、R2は、Ijに記載の意味を有し、かつ置換基はHalであ
る。
本発明はさらにまた、式Iで表わされる化合物およびそれらの塩および溶媒和
物の製造方法に関し、この方法は、式II:
(式中、R2は、上記意味を有する)
で表わされる化合物を、式III:
R1−(CH2)m−(CO)k−L (III)
(式中、LはCl、Br、I、OH、OCOA、OCOPh、OSO2Aまたは
OSO2Arであり、ここでArはフェニルまたはトリルであり、Aはアルキル
であり、又はLは、別の反応性エステル化OH基または容易に親核的に置換でき
る離脱性基であり、R1、mおよびkは、請求項に記載の意味を有する)
で表わされる化合物と反応させる;あるいは
還元的アミノ化により、式IV:
R1−(CH2)m-1−CHO (IV)
(式中、R1およびmは、請求項に記載の意味を有する)
で表わされる化合物を、式IIで表わされる化合物と反応させること;又は
1個または2個以上の水素原子の代わりに、1個または2個以上の還元可能な
基、例えばC=Oを含有する、および/または1個または2個以上の追加のC−
C−および/またはC−N結合を含むこと以外は式Iに相当する化合物を、還元
剤により処理する;又は
1個または2個以上の水素原子の代わりに、1個または2個以上の加溶媒分解
可能な基を含むこと以外は式Iに相当する化合物を、加溶媒分解剤により処理す
ること;および/または
例えばOH基の生成によりOA基を開裂させることにより、および/またはC
N、COOHまたはCOOA基を誘導体化することにより、基R1および/また
はR2を任意に、別の基R1および/またはR2に変換すること、および/または
例えば一級または二級N原子をアルキル化し、および/または式Iで表わされる
塩基または酸を、酸または塩基により処理することによって、その塩の一種に変
換する
ことを特徴とする方法である。
別法として、式Iで表わされる化合物は刊行物(例えば、Houben−We
y1によるMethoden der Organishen Chemie[
有機化学の方法]、Georg−Thieme出版社、Stuttgart;O
rganic Reactions,John Wiley & Sons,I
nc.,New York;DE−A4101686)に記載の方法などのそれ
自体公知の方法により、すなわち当該反応に適する、公知の反応条件などの反応
条件の下に製造される。この場合、それ自体公知であるが、ここでは詳細に説
明されていない変法を使用することもできる。
所望により、出発物質はまた、これらを反応混合物から単離することなく、直
ちにさらに反応させて式Iで表わされる化合物を生成させるような方法により、
その場で生成させることもできる。
好ましくは、式Iで表わされる化合物は、式IIで表わされる化合物を式II
Iで表わされる化合物と反応させることにより得られる。一般に、式IIおよび
式IIIで表わされる出発物質は公知である;式IIおよび式IIIで表わされ
る未知化合物は、公知化合物と同様にして、容易に製造することができる。
式IIで表わされるピペリジン誘導体は、大部分が公知である。これらが市販
されていないか、または未知である場合、これらの化合物は、それ自体公知の方
法により製造することができる。
式IIIで表わされるインドール誘導体は、大部分が公知であり、或る場合に
また、市販されている。さらにまた、これらの化合物は、求電子的置換により、
または或る場合、親核性芳香族置換により、公知化合物から製造することもでき
る。使用される出発物質は好ましくは、対応するインドール−3−アルカン酸[
この化合物は、ジャップ−クリンゲマン(Japp−Klingemann)方
式のフィッシャー(Fischer)インドール合成と同様にして製造すること
ができ、この方法については、Bottcher等によるJ.med.Chem
.,1992,35,4020〜4026またはIyer等によるJ.Chem
.Soc.Perkin Trans,II,1973,872〜878を参照
することができる]である。例えばテトラヒドロフラン中で水素化リチウムアル
ミニウムによりOH基を還元するように公知方法により、可能な限り、先行の還
元を行った後、反応性離脱性基Lの導入によって、ピペラジン誘導体と反応させ
るための酸化合物を次いで、製造する。
式IIで表わされる化合物と式IIIで表わされる化合物との反応は、アミン
化合物のアルキル化またはアシル化にかかわり刊行物から公知である方法などの
方法に従い進行させる。これらの成分は、溶媒を存在させることなく、必要に応
じて封鎖管内またはオートクレーブ内で、相互に縮合させることができる。しか
しながら、これらの化合物を、通常の溶媒の存在下に反応させることもできる。
適宜な溶媒は、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;アセト
ン、ブタノンなどのケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n
−ブタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン(THF)またはジオキ
サンなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド(DMF)またはN−メチルピロ
リドン(NMP)などのアミド類;アセトニトリルなどのニトリル類;であり、
およびまたこれらの溶媒の相互混合物または水との混合物であることもできる。
酸結合剤を添加すると好ましいことがあり、例えばアルカリ金属またはアルカリ
土類金属の水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、あるいはアルカリ金属またはアル
カリ土類金属、好ましくはカリウム、ナトリウムまたはカルシウムの弱酸の別種
の塩、あるいはまたトリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノ
リンなどの有機塩基を添加することができ、あるいは過剰量の式IIで表わされ
るピペラジン誘導体を好ましく添加することができる。反応時間は、使用される
条件に依存して、数分ないし14日間であり;反応温度は、約0〜150°、通
常20〜130°である。
この反応を行う前に、含まれている別のアミノ基を適当な保護基の導入により
、アルキル化またはアシル化から保護する必要があることがある。アミノ保護基
の用語は一般に周知であり、アミノ基を化学反応から保護するのに適するが、所
望の化学反応が分子中の別の部位で行われた後に容易に分離される基に関する用
語である。このような保護基およびこれらの基の導入および分離は、多数の参考
文献および参考書から当業者にとって周知であるから、これらについて、ここで
はさらに詳細に説明する必要はない。
式Iで表わされる化合物はさらにまた、式IIで表わされる化合物を使用する
、式IVで表わされる化合物の還元的アミノ化により得ることもできる。式IV
および式IIで表わされる出発物質は、数種について公知である。これらが未知
である場合、これらの化合物は、それ自体公知の方法により製造することができ
る。
この還元的アミノ化は、例えばNaBH3CNおよびNaBH(OAc)3など
の還元剤の存在下に行うことができる。
式Iで表わされる化合物はさらにまた、水素原子の代わりに、1個または2個
以上の還元可能な基および/または1個または2個以上の追加のC−C結合およ
び/またはC−N結合を有する前駆化合物を、好ましくは−80〜+250°の
温度において少なくとも1種の不活性溶媒の存在下に、還元剤で処理することに
よって得ることもできる。
還元性基(水素により置換可能な基)は、特にカルボニル基中の酸素、ヒドロ
キシル、アリールスルホニルオキシ(例えば、p−トルエンスルホニルオキシ)
、n−ベンゼンスルホニル、n−ベンジルまたはo−ベンジルである。
基本的に、1個の基のみを有する化合物、あるいは相互に隣接している2個ま
たは3個以上の前記基または追加の結合を有する化合物をそれぞれ、式Iで表わ
される化合物に還元的に変換することができる。この場合、出発化合物中に含有
されている式I中における置換基は同時に還元される。この目的には、好ましく
は発生期水素または複合金属水素化物が使用され、さらにまたウォルフ−キッシ
ュナー(Wolff−Kishner)還元、および遷移金属触媒とともに水素
ガスを用いる還元が使用される。
還元剤として発生期水素を使用する場合、これは、例えば金属を弱酸または塩
基により処理することによって生成させることができる。すなわち、例えばアエ
ンとアルカリ金属水酸化物溶液との混合物または鉄と酢酸との混合物を使用する
ことができる。エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アミルまたはイソ
アミルアルコールなどのアルコール類あるいはフェノール中に溶解したナトリウ
ムまたは別種のアルカリ金属の使用もまた、適当である。必要に応じて、エタノ
ールを添加して、アルカリ−水性溶液中のアルミニウム−ニッケル合金をまた使
用することができる。水性−アルコール性または水性溶液中のナトリウムまたは
アルミニウムアマルガムもまた、発生期水素の発生に適している。この反応はま
た、不均質相で行うこともでき、水性およびベンゼンまたはトルエン相を有利に
使用することができる。
使用できる追加の還元剤として、LiAlH4、NaBH4、ジイソブチルアル
ミニウム水素化物またはNaAl(OCH2CH2OCH3)2H2などの複合金属
水素化物、およびまたジボランは特に有利であり、所望により、BF3、AlC
l3またはLiBrなどの触媒を添加することができる。この目的に適する溶媒
は、特にジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、THF、ジオキサ
ン、シクリムまたは1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類およびベンゼン
などの炭化水素類である。NaBH4を用いて還元する場合、メタノールまたは
エタノールなどのアルコール類は第一番の、最も重要な溶媒として適しており、
さらにまた水および水性アルコールも適している。これらの方法に従い、還元は
、好ましくは−80〜+150°、特に約0°〜約100°の温度で行う。
酸アミド中の−CO基は、約0〜66°の温度においてTHF中のLiAlH4
を用いて、CH2基に還元することができる。
さらにまた、1個または2個以上のカルボニル基は、ウォルフ−キッシュナー
法に従い、例えば無水エタノール中で加圧下に約150〜250°の温度におい
て、無水ヒドラジンで処理することによりCH2基に還元することができる。触
媒として、ナトリウムアルコレートを有利に使用することができる。この還元は
また、ハング−ミンロン(Huang−Minlon)法に従い、ジエチレング
リコールまたはトリエチレングリコールなどの高沸点水混和性溶媒中で水酸化ナ
トリウムなどのアルカリの存在下にヒドラジンハイドレートと反応させることに
より行うこともできる。一般に、反応混合物を、約3〜4時間、沸騰させる。
次いで、水を留去し、生成されたヒドラゾンを約200°までの温度で分解さ
せる。ウォルフ−キッシュナー還元はまた、ジメチルスルホキシド中で室温にお
いてヒドラジンを用いて行うこともできる。
さらにまた、例えばラネーNiまたはPdなどの遷移金属の触媒作用下に、H2
ガスを用いることにより或る種の還元を行うことができる。この方法で、例え
ばCl、Br、I、SHなどを置き換えることができ、また或る場合にはOH基
を水素により置き換えることができる。同様に、ニトロ基は、メタノール中でP
d/H2を用いる接触水素添加により、NH2基に変換することができる。
1個または2個以上の水素原子の代わりに、1個または2個以上の加溶媒分解
可能な基を含むこと以外は式Iに相当する化合物を、加溶媒分解、特に加水分解
させ、式Iで表わされる化合物を生成させることができる。
さらにまた、それ自体公知の方法により、式Iで表わされる化合物を別の式I
で表わされる化合物に変換することができる。
式Iにおいて、R1がCONH2、CONHAまたはCONA2により置換さ
れている基である化合物は、式Iで表わされる対応置換化合物の、部分的加水分
解による誘導体化によって得ることができる。さらにまた、先ず式Iで表わされ
るシアノ置換化合物を酸化合物に加水分解し、次いでこの酸化合物を、一級また
は二級アミンによりアミデートに変換することができる。遊離のカルボン酸とア
ミンとを、ペプチド合成の条件下に反応させると好適である。この反応はまた、
脱水剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドまたはN−(3−ジメチルアミ
ノプロピル)−N−エチルカルボジイミドなどのカルボジイミド、さらにまた無
水プロパン−無水ホスホン酸(Angew.Chem.,92,129(198
0))、ジフェニルホスホリルアジドまたは2−エトキシ−N−エトキシカルボ
ニル−1,2−ジヒドロキノリンの存在下に、不活性溶媒、例えばジクロロメタ
ンなどのハロゲン化炭化水素、THFまたはジオキサンなどのエーテル、DMF
またはジメチルアセトアミドなどのアミドあるいはアセトニトリルなどのニトリ
ル中で、約−10〜40°、好ましくは0〜30°の温度において、好ましく行
うこともできる。
しかしながら、ニトリル化合物は、特に好ましくは、アミド化合物から出発し
て、例えばトリクロロアセチルクロライド/Et3Nを用いて[Synthes
is,(2),184(1985)]あるいはPOCl3を用いて(J.Org
.Chem.,26,1003(1961))、水を分離することによって、逆
の様相で製造することもできる。
得られた式Iで表わされる塩基は、酸を用いて対応する酸付加塩に変換するこ
とができる。この反応に適する酸は、生理学的に許容される塩を生成させる酸で
ある。従って、無機酸、例えば硫酸、ヒドロハロ酸(例えば塩酸または臭化水素
酸)、リン酸(例えばオルトリン酸)、硝酸、スルファミン酸、およびまた有機
酸、特に脂肪族、脂環族、芳香族脂肪族、芳香族またはヘテロ環状の一塩基性ま
たは多塩基性カルボン酸、スルホン酸あるいは硫酸、例えばギ酸、酢酸、プロピ
オン酸、ピバリン酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマー
ル酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸、サリチル酸、2−フェ
ニルプロピオン酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、イソ
ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−
ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、
ナフタレンモノスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸およびラウリル硫酸を使用
することができる。
所望により、式Iで表わされる遊離塩基は、分子中に別の酸基が存在していな
い場合、強塩基、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ムまたは炭酸カリウムで処理することにより、それらの塩から遊離させることが
できる。
式1で表わされる化合物が遊離酸基を有する場合、塩基で処理することによっ
て、同様に塩を形成させることができる。適当な塩基は、アルカリ金属水酸化物
、アルカリ土類金属水酸化物、あるいは一級、二級または三級アミンの形態の有
機塩基である。
本発明による式Iで表わされる化合物は、それらの分子構造の結果としてカイ
ラルであることができ、従って2種のエナンチオマー形態または多くのジアステ
レオマー形態で存在することができる。1個または2個以上のカイラル中心が存
在する結果として、これらの化合物は、ラセミ体または光学活性の形態で存在す
ることができる。
本発明による化合物のラセミ体あるいは立体異性体の薬理学的活性は、相違す
ることがあることから、ジアステレオマーまたはエナンチオマーを使用すること
が望ましいことがある。これらの場合、最終生成物、あるいはまた中間体でさえ
も、当業者に公知の化学的または物理的手段によりエナンチオマーに分割するこ
とができ、あるいはこのような分割を合成に採用することさえできる。
ラセミ体アミン化合物の場合、光学活性分割剤との反応によって、混合物から
ジアステレオマーを生成させる。適当な分割剤は、例えば光学活性酸、例えばR
およびS形の酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リ
ンゴ酸、乳酸、適当にN−保護されたアミノ酸あるいは種々の光学活性カンファ
ースルホン酸である。光学活性分割剤(例えば、シリカゲルに結合させたジニト
ロベンゾイシルフェニルグリシン、セルローストリアセテートまたは炭水化物の
別種の誘導体またはカイラルに誘導体化されたメタアクリレートポリマー)を用
いるクロマトグラフイによるエナンチオマー分離も有利である。この目的に適す
る溶出剤は、水性またはアルコール性溶剤混合物である。
ラセミ体酸化合物の場合、光学活性塩基、例えばRおよびS形の1−フェニル
エチルアミン、1−ナフチルエチルアミン、ジヒドロアビエチルアミン、シンコ
ニンまたはシンコニジンを同様に使用することもできる。
しかしながら、特定の条件下において、合成中においてさえも、対応するエナ
ンチオマー的に純粋な中間体を使用することができ、この中間体は、上記諸方法
の一つによって製造することができる。この場合、引続く合成の経過中に、その
カイラリティは保有される。
本発明はまた、式Iで表される化合物およびそれらの生理学的に許容される塩
を、特に非化学的方法による医薬製剤の製造に使用することに関する。この場合
、これらの化合物は、少なくとも1種の固体、液体および/または半液体の賦形
剤または助剤とともに、所望により1種または2種以上の別種の活性成分と組み
合わせで、適当な剤型にすることができる。
本発明はさらにまた、少なくとも1種の式Iで表される化合物および/または
その生理学的に許容される塩の一種を含有する組成物、特に医薬製剤に関する。
これらの製剤は、ヒトおよび動物医療における医薬として使用することができる
。使用できる賦形剤には、経腸投与(例えば経口投与)または非経口投与または
局所投与に適しており、かつまた新規化合物と反応しない、有機または無機物質
、例えば水、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン
、炭水化物類(例えば乳糖またはデンプン)、ステアリン酸マグネシウム、タル
クおよび石油ゼリーがある。錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ、ジュース
、滴剤または座薬は、特に経腸投与に使用され、溶液、好ましくは油性または水
性溶液およびまた懸濁液、エマルジョンまたはインプラントは非経口投与に使用
され、そして軟膏、クリームまたは粉末は局所投与に使用される。新規化合物は
また、凍結乾燥させることができ、得られる凍結乾燥物は、例えば注射製剤の製
造に使用することができる。
上記製剤は、殺菌することができ、そして/または助剤、例えば滑剤、保存剤
、安定剤および/または湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩類、緩衝物質、着
色剤、風味付与剤および/または芳香物質を含有することができる。所望により
、
これらの製剤はまた、1種または2種以上の追加の活性化合物、例えば1種また
は2種以上のビタミン類を含有することができる。
式Iで表される化合物およびそれらの生理学的に許容される塩は、ヒトまたは
動物身体における治療的処置および病気の制御に使用することができる。
これらの化合物は、中枢神経系の障害の処置に適しており、例えば緊張状態、
うつ状態、不安状態、精神分裂症、胃腸器官障害、嘔吐、遅発性ジスキネジー、
パーキンソン病および/または精神病などの障害の処置および高血圧症の処置に
おける副作用[例えば、α−メチルドーパ(α−methyldopa)による
副作用]の処置に適している。これらの化合物はまた、内分泌学および婦人科学
の分野で、例えば先端巨大症、性機能不全症、二次無月経症、月経前期症候群、
望ましくない産床婦乳汁分泌の治療に、およびまた脳障害(例えば偏頭痛)の予
防および治療に、特に老人医学において、或る種の麦芽アルカロイドと同様に使
用することができる。
特に好ましいものとして、これらの化合物はまた、脳梗塞(脳卒中)、例えば
卒中および脳虚血の後遺症の制御に、およびまた脳および骨髄損傷の処置に、治
療剤として使用することができる。
この場合、本発明による物質は一般に、類似の作用を有する公知製剤と同様に
投与され、好ましくは投与単位あたりで、約0.1〜500mg、特に0.2〜
300mgの用量で投与される。一日薬用量は、好ましくは、約0.001〜2
50mg/体重kgである。
しかしながら、各特定の患者に対する特定の薬用量は、あらゆる種類の因子、
例えば使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事
、投与の時機および経路、排泄速度、医薬の組み合わせおよび治療に関連する特
定の障害の重篤度に依存する。経口投与が好ましい。
本明細書全体をとおして、全部の温度は、℃で示されている。以下の例におい
て、「慣用の仕上げ処理」の用語は、次の意味を有するものとする:必要に応じ
て、水を添加し、この混合物を、最終生成物の構造に依存して、必要に応じて、
pH2〜10に調整し、次いで酢酸エチルまたはジクロロメタンにより抽出し、
この有機相を分離採取し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで濾過し、蒸発さ
せ、この残留物をシリカゲル上のクロマトグラフイ(これによりまた、以下に記
載の異性体の分離が生じる)および/または結晶化により精製する。Rf値は、
シリカゲル上の薄層クロマトグラフイにより得た。(M+1)*値は、FAB−
MS[高速原子衝突質量分析(Fast Atom Bombardment
Mass Spectroscopy)]により測定した。示されている光学活
性化合物の比旋光度はそれぞれ、遊離塩基の溶液で測定した。例1
a)THF中の4−(5−フルオロインドール−3−イル)ブタン酸[この化
合物は、例えば対応置換アニリンのジアゾ化、このジアゾニウム塩をエチル1−
オキソシクロヘキサン−2−カルボキシレートとジャップ−クリンゲマン法によ
り縮合させることによる対応する4−(5−フルオロ−2−エトキシカルボニル
インドール−3−イル)ブタン酸の生成、引続くそのエトキシカルボニル基の脱
カルボキシル化によって得られる]を、水素化リチウムアルミニウムを用いる還
元に付す。慣用の仕上げ処理の後、4−(5−フルオロインドール−3−イル)
ブタノールが得られる。
この生成物を、メタンスルホニルクロライドとの反応によって、反応性4−(
5−フルオロインドール−3−イル)ブチルメタンスルホネートに変換する。
b)アセトニトリル100ml中の4−(5−フルオロインドール−3−イル
)ブチルメタンスルホネート2.80g(0.0098mol)、(S)−(+
)−マンデル酸/3−ベンジルピペリジン3.20g(0.0097mol)お
よびエチルジイソプロピルアミン3.80g(0.0294mol)の混合物を
、水蒸気浴上で約96時間、加熱する。この反応混合物を次いで、濾過および濃
縮し、この残留物を酢酸エチル中に溶解し、次いで水により抽出する。この有機
相を仕上げ処理し、この残留物をシリカゲルカラムで酢酸エチルを用いてクロマ
トグラフイに付す。フラクションを濃縮し、この残留物を酢酸エチル中に溶解し
、次いでエタノール性塩酸を用いて、3−{4−[(3S)−3−ベンジルピペ
リジン−1−イル]ブチル}−5−フルオロインドールの塩酸塩を沈殿させ、次
いで仕上げ処理する;融点:152.0〜153.0℃;αD、20(+)9.7
°(c 1.0、ジメチルスルホキシド)。
同様に、4−(5−フルオロインドール−3−イル)ブチルメタンスルホネー
トと(R)−(−)−(3−ベンジルピペリジン)マンデレートとの反応によっ
て、対応する3−{4−[(3R)−3−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチ
ル}−5−フルオロインドールの塩酸塩が得られる;融点:153.0〜154
.0℃;αD 20(−)10.8°(c 1.0、ジメチルスルホキシド)。
同様にして、下記の化合物が得られる:
(+)−3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]インドー
ル;融点:74〜75°;αD 20(+)22.1°(c 1.0、ジメチルスル
ホキシド);
(−)−3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]インドー
ル;融点:73〜74°;αD 20(−)22.8°(c 1.0、ジメチルスル
ホキシド);
メチル (+)−3−{4−[3−(3S’)−ベンジルピペリジン−1−イ
ル]ブチル}インドール−5−カルボキシレート;αD 20(+)6.0°(c1
.0、ジメチルスルホキシド);
メチル (−)−3−{4−[3−(3R’)−ベンジルピペリジン−1−イ
ル]ブチル}インドール−5−カルボキシレート;αD 20(−)8.1°(c1
.0、ジメチルスルホキシド);
3−{4−[(3R’)−3−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}−6
−メトキシインドール、塩酸塩;融点:218〜221°;αD 20(−)7.3
°(c 1.0、ジメチルスルホキシド);
3−{4−[(3S’)−3−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}−6
−メトキシインドール、塩酸塩;融点:217〜220°;αD 20(+)7.5
°(c 1.0、ジメチルスルホキシド)。例2
工程b)でマンデル酸を添加しない点を除いては、例1a)およびb)と同様
であるが、4−(5−フルオロインドール−3−イル)ブタン酸から出発し、3
−ベンジルピペリジンとの反応による4−(5−フルオロインドール−3−イル
)ブチルメタンスルホネートを経て、3−[4−(3−ベンジルピペリジン−
1−イル)ブチル]−5−フルオロインドール、塩酸塩を得る;融点:163〜
165°。
同様に、
4−(インドール−3−イル)ブチルメタンスルホネートを、3−ベンジルピ
ペリジンと反応させることにより、3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−
イル)ブチル]インドール、塩酸塩が得られる;融点:134〜136°;
4−(5−クロロインドール−3−イル)ブチルメタンスルホネートを、3−
ベンジルピペリジンと反応させることにより、3−[4−(3−ベンジルピペリ
ジン−1−イル)ブチル]−5−クロロインドール、マロン酸塩が得られる;融
点:127〜129°;
4−(5−フルオロインドール−3−イル)ブチルメタンスルホネートを、3
−(4−フルオロベンジル)ピペリジンと反応させることにより、3−{4−[
3−(4−フルオロベンジル)ピペリジン−1−イル]ブチル}−5−フルオロ
インドールが得られる。例3
アセトニトリル中の等量の3−ベンジルピペリジンおよび3−(4−クロロブ
チル)−5−シアノインドール(この化合物は、例えば対応するアルコール化合
物のハロゲン化によって得られ、このアルコール化合物は、4−(5−シアノイ
ンドール−3−イル)ブタン酸の還元により、例1a)と同様に製造することが
できる)の溶液を、室温で約6時間、撹拌する。慣用の仕上げ処理およびカイラ
ル化合物の分割の後、3−{4−[(3S)−3−ベンジルピペリジン−3−イ
ル]ブチル}−5−シアノインドール、αD 20(+)8.9°(c 1.0)ジ
メチルスルホキシド)が塩酸塩として得られる;融点:65〜67°(無定形)
;あるいは対応する3−{4−[(3R)−3−ベンジルピペリジン−3−イル
]ブチル}−5−シアノインドール、αD 20(−)10.4°(c 1.0、ジ
メチルスルホキシド)が塩酸塩として得られる;融点:65〜75°(無定形)
。同様にして、下記の化合物を製造することができる:
7−{4−[(3R)−3−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}−5H
−1,3−ジオキソロ[4,5−f]インドール、Rf:0.4(CHCl3:
MeOH 95:5中);
7−{4−[(3S)−3−ベンジルピペリジン−1−イル]ブチル}−5H
−1,3−ジオキソロ[4,5−f]インドール、Rf:0.4(CHCl3:
MeOH 95:5中)。例4
等モルの3−ベンジルピペリジンおよび4−(5−メトキシインドール−3−
イル)ブタン酸(この化合物は、例1aと同様にして製造される)を、室温で2
−クロロ−1−メチルピリジニウムアイオダイドの添加下に反応させる。慣用の
仕上げ処理の後、3−ベンジル−1−[4−(5−メトキシインドール−3−イ
ル)ブタノイル]ピペリジンが得られる。
同様にして、下記の化合物が製造される:
3−ベンジル−1−[4−(5−フルオロインドール−3−イル)ブタノイル
]ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(5−クロロインドール−3−イル)ブタノイル]
ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(6−クロロインドール−3−イル)ブタノイル]
ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(6−フルオロインドール−3−イル)ブタノイル
]ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(6−メトキシインドール−3−イル)ブタノイル
]ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(6−エトキシインドール−3−イル)ブタノイル
]ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(5−エトキシインドール−3−イル)ブタノイル
]ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(5−シアノインドール−3−イル)ブタノイル]
ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(6−シアノインドール−3−イル)ブタノイル]
ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(5−フルオロインドール−2−イル)ブタノイル
]ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(5−クロロインドール−2−イル)ブタノイル]
ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(6−クロロインドール−2−イル)ブタノイル]
ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(6−フルオロインドール−2−イル)ブタノイル
]ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(6−メトキシインドール−2−イル)ブタノイル
]ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(6−エトキシインドール−2−イル)ブタノイル
]ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(5−エトキシインドール−2−イル)ブタノイル
]ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(5−シアノインドール−2−イル)ブタノイル]
ピペリジン;
3−ベンジル−1−[4−(6−シアノインドール−3−イル)ブタノイル]
ピペリジン。例5
3−ベンジル−1−[4−(5−メトキシインドール−3−イル)ブタノイル
]ピペリジンを、THF中で水素化リチウムアルミニウムと反応させる。慣用の
仕上げ処理の後、3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−
5−メトキシインドール、塩酸塩が得られる;融点:222〜224°。
同様にして、下記の化合物を製造することができる:
3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−フルオロイ
ンドール;
3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−クロロイン
ドール;
3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−6−クロロイン
ドール;
3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−6−フルオロイ
ンドール;
3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−6−メトキシイ
ンドール;
3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−6−エトキシイ
ンドール;
3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−エトキシイ
ンドール;
3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−シアノイン
ドール;
3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−6−シアノイン
ドール;
2−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−フルオロイ
ンドール;
2−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−クロロイン
ドール;
2−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−6−クロロイン
ドール;
2−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−6−フルオロイ
ンドール;
2−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−6−メトキシイ
ンドール;
2−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−6−エトキシイ
ンドール;
2−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−エトキシイ
ンドール;
2−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−5−シアノイン
ドール;
2−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]−6−シアノイン
ドール。例6
3−[4−(3−ベンゾイルピペリジン−1−イル)ブチル]インドールを、
THF中でホウ水素化ナトリウムとの反応による還元に付す。慣用の仕上げ処理
の後、3−[4−(3−フェニルヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)ブチ
ル]インドール、塩酸塩が得られる;融点:181〜183°。
同様に、下記の化合物が製造される:
3−[4−(3−フェニルヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)ブチル]
−5−フルオロインドール;
3−{4−[3−(3R’)−フェニルヒドロキシメチルピペリジン−1−イ
ル]ブチル}−6−メトキシインドール:
3−{4−[3−(3S’)−フェニルヒドロキシメチルピペリジン−1−イ
ル]ブチル}−6−メトキシインドール;
3−[4−(3−フェニルヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)ブチル]
−5−クロロインドール;
3−[4−(3−フェニルヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)ブチル]
−5−メトキシインドール;
3−{4−[3−(4−フルオロフェニルヒドロキシメチル)ピペリジン−1
−イル]ブチル}−5−フルオロインドール;
3−{4−[3−(3R)−フェニルヒドロキシメチルピペリジン−1−イル
]ブチル}−5−フルオロインドール;
3−{4−[(3S)−3−フェニルヒドロキシメチルピペリジン−1−イル
]ブチル}−5−フルオロインドール;
3−{4−[(3R)−3−フェニルヒドロキシメチルピペリジン−1−イル
]ブチル}インドール−5−カルボニトリル;
3−{4−[(3S)−3−フェニルヒドロキシメチルピペリジン−1−イル
]ブチル}インドール−5−カルボニトリル;
3−{4−[3−(4−フルオロフェニルヒドロキシメチル)ピペリジン−1
−イル]ブチル}インドール−5−カルボニトリル、融点:157〜159°。例7
アセトニトリル中で例1bと同様に、4−(5−メトキシカルボニルインドー
ル−3−イル)ブチルメタンスルホネート0.0098mol(この化合物は、
例1aと同様にして製造される)および3−ベンジルピペリジン0.0097m
olの混合物を、水蒸気浴上で約96時間、加熱する。この反応混合物を慣用の
仕上げ処理に付し、次いで上記のとおりに精製する。メチル 3−[4−(3−
ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]インドール−5−カルボキシレート、
塩酸塩が得られる;融点:181〜183°。
同様にして、下記の化合物を製造することができる:
メチル 3−{4−[3−(4−フルオロベンジル)ピペリジン−1−イル]
ブチル}インドール−5−カルボキシレート;
メチル 3−{4−[3−(4−シアノベンジル)ピペリジン−1−イル]ブ
チル}インドール−5−カルボキシレート;
メチル 3−{4−[3−(4−エチルベンジル)ピペリジン−1−イル]ブ
チル}インドール−5−カルボキシレート;
メチル 3−{4−[3−(4−メチルベンジル)ピペリジン−1−イル]ブ
チル}インドール−5−カルボキシレート;
メチル 3−{4−[3−(4−メトキシベンジル)ピペリジン−1−イル]
ブチル}インドール−5−カルボキシレート;
メチル 3−{4−[3−(4−フルオロベンジル)ピペリジン−1−イル]
ブチル}インドール−6−カルボキシレート;
メチル 3−{4−[3−(4−フルオロベンジル)ピペリジン−1−イル]
ブチル}インドール−5−カルボキシレート;
メチル 3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]インドー
ル−6−カルボキシレート;
メチル 3−{4−[3−(4−シアノベンジル)ピペリジン−1−イル]ブ
チル}インドール−6−カルボキシレート;
メチル 3−{4−[3−(4−メチルベンジル)ピペリジン−1−イル]ブ
チル}インドール−6−カルボキシレート。例8
3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]インドール−5−
カルボキシレートおよびKOHの混合物を、エタノール中で加熱還流させる。慣
用の仕上げ処理後、3−[4−(3−ベンジルピペリジン−1−イル)ブチル]
5−カルボキシインドール、水化物が得られる;融点:144〜147°。
以下の例は、医薬製剤に関するものである。
例A:注射バイアル
二重蒸留水3リットル中の式Iで表わされる活性化合物100gおよびリン酸
水素二ナトリウム5gの溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、殺菌濾
過し、注射バイアルに充填し、凍結乾燥させ、次いで無菌条件の下にシールする
。各注射バイアルは活性化合物5mgを含有する。
例B:座薬
式Iで表わされる活性化合物20gと大豆レシチン100gおよびカカオ脂1
400gとの混合物を溶融し、型中に注入し、次いで冷却させる。各座薬は活性
化合物20mgを含有する。
例C:溶液
二重蒸留水940ml中の式Iで表わされる活性化合物1g、NaH2PO4×
2H2O 9.38g、Na2HPO4×12H2O 28.48gおよびベンザル
コニウムクロライド0.1gの溶液を調製する。この溶液をpH6.8に調整し
、全量を1リットルにし、次いで照射により殺菌する。この溶液は、点眼剤の形
態で使用することができる。
例D:軟膏
式1で表わされる活性化合物500mgを、無菌条件の下に、石油ゼリー99
.5gと混合する。
例E:錠剤
式Iで表わされる活性化合物1kg、乳糖4kg、ジャガイモデンプン1.2
kg、タルク0.2kgおよびステアリン酸マグネシウム0.1kgの混合物を
、常習的方法で圧縮し、各錠剤が活性化合物10mgを含有する錠剤を得る。
例F:被覆錠剤
例Eと同様にして、錠剤を圧縮成形し、次いで常習的方法で、ショ糖、ジャガ
イモデンプン、タルク、トラガカントゴムおよび着色剤からなる被膜により被覆
する。
例G:カプセル剤
硬質ゼラチンカプセルに、式Iで表わされる活性化合物2kgを常習的方法で
充填し、各カプセルが活性化合物20mgを含有するカプセル剤を得る。
例H:アンプル
二重蒸留水60リットル中の式Iで表わされる活性化合物1kgの溶液を、ア
ンプルに充填し、無菌条件の下に凍結乾燥させ、次いで無菌条件の下にシールす
る。各アンプルは活性化合物10mgを含有する。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07D 491/056 C07D 491/056
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY,
DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I
T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ
,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,
NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L
S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ
,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL
,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,
BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E
E,ES,FI,GB,GE,GH,HU,ID,IL
,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,
LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,M
K,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO
,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,
TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,Y
U,ZW
(72)発明者 プルッヒャー,ヘルムート
ドイツ連邦共和国 デー―64646 ヘッペ
ンハイム、ケーニッヒスベルガーシュトラ
ーセ 9
(72)発明者 グライナー,ハルトムート
ドイツ連邦共和国 デー―64331 ヴァイ
テルシュタット、クルーツシュトラーセ
57
(72)発明者 ゼイフリート,クリストフ
ドイツ連邦共和国 デー―64342 ゼーハ
イム―ユーゲンハイム、マチルデンシュト
ラーセ 6
(72)発明者 バーバー,アンドリュー
ドイツ連邦共和国 デー―64331 ヴァイ
テルシュタット、アム ピルゲルグラーベ
ン 7
(72)発明者 マルチネス,ヨゼフ−マリア
スペイン国 イー―08080 バルセロナ、
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