JP2002510974A - ヒトnk−3関連前立腺特異的遺伝子−1 - Google Patents

ヒトnk−3関連前立腺特異的遺伝子−1

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ホメオボックス遺伝子のNKファミリーの新規なメンバーに関する。詳細には、ヒトNK-3前立腺特異的遺伝子1(NKX3.1)タンパク質をコードする単離された核酸分子が提供される。NKX3.1ポリペプチドもまた、それを産生するためのベクター、宿主細胞、および組換え方法と同様に提供される。本発明はさらに、NKX3.1活性のアゴニストおよびアンタゴニストを同定するためのスクリーニング方法に関する。前立腺ガンおよび他のガンを検出するための診断方法、ならびに前立腺ガンおよび他のガンのための治療法もまた提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 ヒトNK-3関連前立腺特異的遺伝子-1 発明の背景 発明の分野 本発明は、ホメオボックス遺伝子のNKファミリーの新規なメンバーに関する。 より詳細には、ヒトNK-3関連前立腺特異的遺伝子(NKX3.1)をコードする、単離 された核酸分子が提供される。NKX3.1ポリペプチドはまた、それらを産生するた めのベクター、宿主細胞および組換え方法と同様に提供される。本発明はさらに 、NKX3.1活性のアゴニストおよびアンタゴニストを同定するためのスクリーニン グ方法に関する。前立腺ガンおよび他のガンを検出するための診断方法ならびに 前立腺ガンおよび他のガンの治療方法もまた、提供される。 関連分野 身体セグメントの同一性の制御の原因であるいくつかのDrosophila遺伝子中の 保存的DNA配列エレメントとしてのホメオボックスの発見は、他の生物における 関連遺伝子の検索を促進した。これまでに、ホメオボックスは全ての後生生物の ゲノムにおいて発見された。そして数百の独特のホメオボックス遺伝子がマウス およびヒトで定義された(Gehring,W.J.ら、Annu.Rev.Biochem.63:487〜526(19 94);Stein,S.ら、Mech.Develop.55:91〜108(1996))。ホメオボックスは60 アミノ酸ドメイン(ホメオドメインと呼ばれる)をコードし、これは、いくつか の原核生物タンパク質のDNA結合ドメインおよび酵母交配焦点の生成物に構造的 に関連すると認識されているヘリックス−ターン−ヘリックスモチーフを含む( Laughon,AおよびScott,M.P.、Nature 310:25〜31(1984);Shepherd,J.C.W.ら、 Nature 310:70〜71(1984))。NMRおよび結晶学的分析によってホメオドメイン がDNAに結合することが確認されている(Kissinger,C.R.ら、Cell 63:579〜590 (1990);Otting,G.ら、EMBO J.9:3085〜3092(1990))。これらの遺伝子が変異 される場合に生成される表現型の性質により推定されるように、生化学的分析お よび遺伝学的分析の両方により、ホメオボックス遺伝子の生成物が転写調節分子 であることが確立されている(McGinnis,W.およびKrumlauf,R.Cell 68:283〜302 (1992))。 公知のホメオドメインの推定アミノ酸配列は、主な鑑別子として役立ち、これ は最少の20の異なるグループに分類され得る(Gehring,W.J.ら、Annu.Rev.Bioch em.63:487〜526(1994);Stein,S.ら、Mech.Develop.55:91〜108(1996))。 ホメオボックス遺伝子のNKファミリー(これは、NK-1からNK-4までの4つの関連 するDrosophila遺伝子により最初に定義された)は、2つの異なるクラスに分け られ得る。NK-2、NK-3およびNK-4は互いに、他のホメオボックス遺伝子よりも関 連し、一方、NK-1は相対的により異なる(Kim,Y.およびNirenberg,M.,Proc.Natl .Acad.Sci.USA 86:7716〜7720(1989))。マウスにおいて、6個のNK-2様遺伝 子が同定されている(Price,M.ら、Neuron 8:241〜255(1992);Lints,T.J.ら 、Development 119:419〜431(1993))。これらのうちの3個はNK-2に他のものよ りも関連し、これらはそれ自体異なるサブクラスを形成し得る(Lints,T.J.ら、 Development 119:419〜431(1993))。 ホメオボックス遺伝子の機能を特徴付けるという点を目標とした研究の大部分 は、主にその進化の法則に着目している(McGinnis,W.およびKrumlauf,R.Cell 6 8:283〜302(1992);Krumlauf,R.Cell 78:191〜201(1994))。顕著な例は遺伝 子のHoxファミリーであり、このメンバーは、異なる種の前後体軸に沿って、胚 形成の期間におけるパターン形成に重要な役割を果たすことが実証されている( Krumlauf,R.Cell 78:191〜201(1994))。Hox遺伝子のいくつか、ならびに他 のクラスのホメオボックス遺伝子のメンバーもまた、器官形成の間に発現され、 そしてこれらの内の少数は成体組織においても発現されることが報告されている 。驚くべきことに、十分に分化した組織および器官におけるホメオボックス遺伝 子の潜在的な役割が受ける注目は、比較的少ない。しかし、細胞集団の分化した 状態を維持し、かつ成体における特異的な細胞型の再生を指向する機能をパター ン付けする必要性は、明らかである。 前立腺組織の発生および維持に関するメカニズムはほとんど理解されていない 。成人男性の二次性性的表現型における正常な発達および連続的な発現は、アン ド ロゲン依存性であることが長年認識されているが、アンドロゲンが作用する遺伝 子または分化した組織の発達を導く下流の経路については比較的ほとんど未知で ある。前立腺の発達と同様に、前立腺ガンのもととなる基本的メカニズムもまた 不明なままであるが、しかし、アンドロゲン調節およびその欠損は重要な役割を 果たす。発達中の前立腺および成熟前立腺の両方において、前立腺特異的細胞性 機能の維持はアンドロゲンによる連続的な刺激を必要とする;前立腺ガン組織に おいて、この細胞性分化の相互的な欠損(これは疾患の進行の間に生じる)は、 前立腺細胞によるアンドロゲン応答性の欠損に広範に付随する。これらの広範に 対立するプロセスのいずれかに関与する遺伝子の同定は、おそらく両方に関与す る基本的メカニズムのより深い理解を導く。 今までのところ、前立腺ガン組織において見出される分化した表現型の進行的 欠損において重要な役割を果たす遺伝子は知られていないが、しかし、種々の実 験は、疾患の発生および/または進行を抑制するヒト第8p染色体上の1つ以上の 遺伝子の存在を示す。数人の研究者は、ヘテロ接合性(LOH)欠損の研究にもと づいて、染色体バンド8p21が前立腺ガン組織の80%までにおいて欠失された遺伝 子座標を含むことを見出している(Suzukiら、Genes,Chromosomes and Cancer 1 3:168〜174(1995)、Bovaら、Cancer Res.53:3869〜3873(1993)、MacGroganら、G enes,Chromosomes and Cancer 10:151〜159(1994)、Trapmanら、Cancer Res.54: 6061〜6064(1994)、Macoskaら、Cancer Res.55:5390〜5395(1995)、およびVoc keら、Cancer Res.56:2411〜2416(1996))。さらに、ヒト第8染色体の高度転移 性Dunningラット前立腺ガン細胞株への導入は、その転移能力を有意に減少させ る(Ichikawaら、Cancer Res.54:2299〜2302(1994))。ヒト前立腺ガン株(LNCa P)由来のサブクローンの誘導の間の8pの欠損は、アンドロゲン応答性の欠失に 相関する(Konigら、Urol.Res.17:79〜86(1989))。 発明の要旨 前立腺特異的ヒト遺伝子(NKX3.1)(これは8p21にマップされ、そしてDrosop hila NK遺伝子ファミリーに関連するホメオドメイン含有タンパク質をコードす る)がクローン化された。この遺伝子は、前立腺の発達および成体における前 立腺分化のアンドロゲン駆動性維持に両方において役割をはたし得る。成体ヒト におけるNKX3.1の発現は前立腺および睾丸に制限され、そして種々の細胞株(前 立腺ガン腫組織由来の3つの株を含む)においてアッセイされる場合、この遺伝 子は、アンドロゲン依存性前立腺ガン腫細胞株LNCaPにおいて単独で発現された 。LNCaP細胞におけるNKX3.1発現の詳細な研究は、この遺伝子がアンドロゲンに よって転写的に調節されることを実証した。従って、新規前立腺特異的遺伝子NK X3.1は、前立腺組織のアンドロゲン駆動性分化および前立腺ガンの進行の間の分 化の欠損という反対のプロセスにおいての中心的な役割を果たすことについての 候補である。 従って、本発明は、図1または2(配列番号2または4)に示されるアミノ酸 配列、または1997年4月28日にATCC受託番号209005として寄託されたcDNAクロー ンによってコードされるアミノ酸配列を有するヒトNK-3関連前立腺特異的遺伝子 1(NKX3.1)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核 酸分子を提供する。本発明はまた、図5A〜C(配列番号8)に示されるアミノ酸 配列、または1997年4月28日にATCC受託番号209006として寄託されたゲノムクロ ーンによってコードされるアミノ酸配列を有するヒトNK-3関連前立腺特異的遺伝 子1(HPFCA19)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、単離され た核酸分子を提供する。 本発明はまた、本発明の単離された核酸分子を含む組換えベクター、および組 換えベクターを含む宿主細胞、ならびにこのようなベクターおよび宿主細胞を作 製する方法、ならびに組換え技術によりNKX3.1ポリペプチドまたはペプチドの産 生のためにこれらを用いる方法に関する。 本発明はさらに、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドによってコードさ れるアミノ酸配列を有する単離されたNKX3.1ポリペプチドを提供する。 本発明はまた、NKX3.1により誘導される細胞性応答を増強または阻害し得る化 合物を同定するためのスクリーニング方法を提供し、この方法はNKX3.1を発現す る細胞と候補化合物を接触させる工程、細胞性応答をアッセイする工程、および 細胞性応答を標準的な細胞性応答と比較する工程を包含し、標準とは、候補化合 物の非存在下で接触がなされる場合にアッセイされる;これによって標準を超え る増加した細胞性応答は化合物がアゴニストであることを示し、そして標準を超 えて減少した細胞性応答は化合物がアンタゴニストであることを示す。 本発明は前立腺ガンおよび他のガンの診断に有用な診断方法を提供する。 本発明のさらなる局面は、身体におけるNKX3.1活性の増加したレベルが必要な 個体を処置するための方法に関する。この方法は、このような個体に、本発明の 単離されたNKX3.1ポリペプチドまたはそのアゴニストの治療的に有効な量をを含 む組成物を投与する工程を包含する。 図面の簡単な説明 図1は、NKX3.1のヌクレオチド(配列番号1)配列および推定アミノ酸(配列 番号2)配列を示す。約123〜約153のアミノ酸残基はホメオドメインを構成する (図1の下線領域)。タンパク質は約26kDaの推定分子量を有する。 図2は、NKX3.1のヌクレオチド(配列番号3)配列および推定アミノ酸(配列 番号4)配列を示す。約123〜約153のアミノ酸残基はホメオドメインを構成する (図2の下線領域)。ヌクレオチド配列は配列番号1のヌクレオチド配列と1つ のヌクレオチドで異なる。タンパク質は約26kDaの推定分子量を有し、そして図 1(配列番号2)に示されるタンパク質と1つのアミノ酸が異なる。 図3(A)は、NKX3.1タンパク質(配列番号2)、NK-3、NK-2およびNK-4(配列番 号5〜7)のアミノ酸配列間の類似性の領域を示す。記されたボックス残基はNK X3.1と正確に一致する。(B)は、ヒトおよびマウスNKX3.1のアミノ酸配列(配 列番号9から14)間の類似性の領域を示す。 図4A〜Fは、NKX3.1アミノ酸配列の分析を示す。α、β、ターン、およびコイ ル領域;親水性および疎水性;両親媒性領域;可撓性領域;抗原性指数、および 表面確率が示されている。「抗原性指数−Jameson-Wolf」のグラフにおいて、図 1(配列番号2または4)のアミノ酸残基1〜13、18〜24、35〜89、103〜113、 117〜130、173〜185は、NKX3.1タンパク質の示された高度抗原性領域に対応する 。 図5A〜Cは、NKX3.1のゲノムクローンのヌクレオチド配列(配列番号8)を示 し、これはプロモーター領域を含む。コンセンサス「CAT」および「TATA」ボッ クスおよび最初のATGには下線を付した。 図6はpHE4a発現ベクター(配列番号25)の模式図を示す。カナマイシン耐性 マーカー遺伝子、マルチクローニングサイトリンカー領域、oriC配列およびlacI qコード配列の位置が示される。 図7はpHE4aプロモーターの調節エレメントのヌクレオチド配列を示す(配列 番号26)。2つのlacオペレーター配列、Shine-Dalgarno配列(S/D)および末端 HindIIIおよびNdeI制限部位(イタリック)が示される。 詳細な説明 本発明は、図1または2(配列番号2または配列番号4)に示されるアミノ酸 配列を有するNKX3.1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離され た核酸分子を提供する(これらはクローニングされたcDNAを配列決定することに より決定された)。本発明のNKX3.1タンパク質は、NK-3、NK-2およびNK-4(図3 )(配列番号5〜7)と配列相同性を共有する。図1または2(配列番号1また は配列番号3)に示されるヌクレオチド配列は、アメリカンタイプカルチャーコ レクション、Patent Depositry、10801 University Boulevard,Manassas,VA20 110-2209に1997年4月28日に寄託され、そして受託番号209005が与えられたPSX- λ-1(NKX3.1)クローンを配列決定することによって得られた。寄託されたクロ ーンは、pBluescript SK(-)プラスミド(Stratagene,La Jolla,CA)に含まれ ている。図5A〜C(配列番号8)に示されるゲノムクローンのヌクレオチド配列 は、アメリカンタイプカルチャーコレクション、Patent Depositry、10801 Univ ersity Boulevard,Manassas,VA20l10-2209に1997年4月28日に寄託され、そし て受託番号209006が与えられたHPFCA19クローンを配列決定することによって得 られた。 核酸分子 他に示されない限り、本明細書中でDNA分子を配列決定することによって決定 されたすべてのヌクレオチド配列は、自動化DNA配列決定機(例えば、Applied B iosystems,Inc.,からのModel 373)を用いて決定され、そして本明細書中で決 定されるDNA分子によってコードされるポリペプチドのすべてのアミノ酸配列は 、 上記のように決定されるDNA配列の翻訳によって推定された。従って、この自動 化アプローチによって決定された任意のDNA配列について当該分野において公知 のように、本明細書中で決定される任意のヌクレオチド配列はいくつかの誤差を 含み得る。自動化によって決定されるヌクレオチド配列は、配列決定されるDNA 分子の実際のヌクレオチド配列に対して、代表的には少なくとも約90%同一、よ り代表的には少なくとも約95%から少なくとも約99.9%同一である。実際の配列 は、当該分野において周知の手動DNA配列決定方法を含む他のアプローチによっ てさらに正確に決定され得る。当該分野においてまた公知のように、実際の配列 と比較した、決定されるヌクレオチド配列における単一の挿入または欠失は、ヌ クレオチド配列の翻訳においてフレームシフトを引き起こし、その結果、決定さ れるヌクレオチド配列によってコードされる推定アミノ酸配列は、配列決定され るDNA分子によって実際にコードされるアミノ酸配列とは完全に異なる。このよ うな差異は、このような挿入または欠失の点にて始まる。 本明細書中に提供される情報、例えば、図1、2、または5A〜Cのヌクレオチ ド配列を使用して、NKX3.1ポリペプチドをコードする本発明の核酸分子は、標準 的クローニングおよびスクリーニング手順(例えば、出発物質としてmRNAを使用 してcDNAをクローニングする手順)を使用して得られ得る。本発明の実例として 、図1、2または5A〜C(配列番号1、3または8)に記載される核酸分子は、 正常前立腺組織由来のcDNAライブラリー中に発見された。遺伝子はまた、以下の cDNAライブラリーH0169(HPFC)、S0150(HPIA)中で同定される。図1または2 (配列番号1または配列番号3)のNKX3.1cDNAの決定されたヌクレオチド配列は 、図1または2(配列番号1または3)中のヌクレオチド配列の1〜3位で開始 コドン、および約26kDaの推定分子量を有する、234アミノ酸残基のタンパク質を コードするオープンリーディングフレームを含む。ホメオドメイン内に、図1ま たは2(配列番号2または4)に示されるNKX3.1タンパク質は、NK-3に約77%同 一であり、NK-2に63%同一であり、そしてNK-4に53%同一である(図3A)。ゲノ ムクローンのヌクレオチド配列は図5A〜C(配列番号8)に示される。 マウスNKX3.1遺伝子は、ホメオボックス配列を含むヒトNKX3.1プローブとのハ イブリダイゼーションによりゲノムライブラリーから単離された。マウスゲノム PstIライブラリーをスクリーニングするためにヒトプローブを使用して、単一の 強くハイブリダイズするコロニーを同定した。配列分析は、図1(配列番号2) に示されるヒトNKX3.1タンパク質および図3Aに示されるマウスホモログが、N末 端領域で約43%同一であることを明らかにした。これらはホメオドメイン領域に おいて100%同一性を有し、そしてC末端領域において約67%同一である(図3B) 。 本発明の新規に同定された遺伝子はショウジョウバエNK-3遺伝子に最も密接に 関連しており(ホメオドメイン内において47/60 aa同一性)、それゆえNKX3.1と 命名した。より長いストレッチの完全な同一性はホメオドメインのaa 40〜60に わたり、そしてNK-3とNKX3.1の間で独自に保存される。この領域はコンセンサス ホメオドメインのヘリックスIIおよびヘリックスIIIの間の領域ならびにヘリッ クスIIIの全長を含み、このことは他のNKファミリーメンバーと比較した場合、 ショウジョウバエおよび哺乳動物NK-3様遺伝子のこの部分の構造および機能にお ける共通の精妙さを示唆する。NKX3.1のホメオドメインはマウス配列と同一であ り、そしてコアDrosophila NKファミリーメンバー(NK-2、NK-3およびNK-4)の 各々と相同性のブロックを共有する。相同性の最も長いストレッチはホメオドメ インのaa43〜58の非常に強く保存されたブロック内にあり、これは54位にチロシ ンを含む(これはNKファミリーの遺伝子およびその公知の脊椎動物ホモログの共 通の特徴である)(Lintzら、Deveopment 119:419〜431(1994);Gehringら、Annu .Rev.Biochem.63:487〜526(1994))。NKX3.1およびそのマウス対応物はショウジ ョウバエNK-3遺伝子の最初の哺乳動物ホモログを表す。 ほとんどの脊椎動物ホメオボックス遺伝子の代表である、NKX3.1のオープンリ ーディングフレームは2つのエキソン間に分割され、第2のこのエキソンは全ホ メオボックス領域を含む。分析されたcDNAの各々は、オープンリーディングフレ ームの末端を超えて約200Kbで終結し、そしてゲノム配列から推定される転写開 始部位に基き、成熟mRNAのこの領域はプロセッシングされたメッセンジャーの丁 度1Kbよりも大きいことを説明する。しかし、ノーザン分析は、成熟NKX3.1mRNA が約3.5Kb長であることを示し(以下の実施例4を参照のこと)、これは長い3' 非翻訳領域(<3.5Kb)の存在を示し、新規に同定されたマウス遺伝子内で見出 されるように、これはおそらく第2のエキソン内にコードされる。 従って、本発明は、ATCC受託番号209005または209006として、および図1また は2(配列番号2、4)に示されるような、同定されたcDNAまたはゲノムクロー ンによりコードされるアミノ酸配列を有するNKX3.1ポリペプチドをコードするヌ クレオチド配列を提供する。 当業者が認識するように、配列決定エラーの可能性に起因して、寄託されたク ローンによりコードされる推定NKX3.1ポリペプチドは約234アミノ酸を含むが、2 20〜250アミノ酸の範囲であり得る。 示されるように、本発明の核酸分子は、RNAの形態(例えばmRNA)で、またはD NAの形態(例えば、クローニングにより得られるかまたは合成的に生産されるcD NAおよびゲノムDNAを含む)であり得る。このDNAは二本鎖または一本鎖であり得 る。一本鎖DNAまたはRNAは、センス鎖(sense strand)としても知られるコード鎖 (coding strand)であり得、またはアンチセンス鎖(anti-sense strand)とも呼ば れる非コード鎖(non-coding strand)であり得る。 「単離された」核酸分子によって、そのネイティブな環境から取り出された核 酸分子(DNAまたはRNA)が意図される。例えば、ベクター中に含まれる組換えDN A分子は、本発明の目的のために単離されていると考えられる。単離されたDNA分 子のさらなる例は、異種の宿主細胞において維持される組換えDNA分子、または 溶液中の(部分的または実質的に)精製されたDNA分子を含む。単離されたRNA分 子は、本発明のDNA分子のインビボまたはインビトロでのRNA転写物を含む。本発 明に従う単離された核酸分子は、合成的に生成されたような分子をさらに含む。 本発明の単離された核酸分子としては、図1、2または5A〜C(配列番号1、 3または8)に示されるオープンリーディングフレームを含むDNA分子;図1, 2(配列番号2または4)に示されるNKX3.1タンパク質のコード配列を含むDNA 分子;および遺伝子コードの縮重に起因して、さらにNKX3.1タンパク質をコード が、上記のものとは実質的に異なる配列を含むDNA分子が挙げられる。もちろん 、遺伝子コードは当該分野において周知である。それゆえ、このような縮重改変 体を生成することは当業者にとって慣用的である。 さらに、本発明は配列番号1または3(これらは以下の関連するGenbank cDNA クローンから決定された:AA492170(配列番号27)およびAA855030(配列番号2 8))の広範な部分に関するヌクレオチド配列を有する核酸分子を提供する。 さらに、本発明は配列番号1または3(これらは以下の関連するcDNAクローン から決定された:HPIAA91R(配列番号29)およびHAWAU13R(配列番号))の広範 な部分に関するヌクレオチド配列を有する核酸分子を提供する。 別の局面において、本発明は、1997年4月28日にATCC受託番号209005または20 9006として寄託されたプラスミド中に含まれる寄託クローンによってコードされ るアミノ酸配列を有するNKX3.1ポリペプチドをコードする単離された核酸分子を 提供する。好ましくは、この核酸分子は上記の寄託クローンによってコードされ るポリペプチドをコードする。本発明はさらに、図1、2もしくは5A〜C(配列 番号1、3もしくは8)に示されるヌクレオチド配列、またはNKX3.1 cDNAもし くは上記の寄託クローンに含まれるゲノム配列のヌクレオチド配列を有する単離 された核酸分子、あるいは上記の配列の1つに相補的な配列を有する核酸分子を 提供する。このような単離された分子(特にDNA分子)は、染色体とのインサイ チュハイブリダイゼーションによる遺伝子マッピングのための、および例えば、 ノーザンブロット分析によるヒト組織におけるNKX3.1遺伝子の発現を検出するた めのプローブとして有用である。 本発明はさらに、本明細書中に記載の単離された核酸分子のフラグメントに関 する。寄託されたクローンのヌクレオチド配列、または図1、2、もしくは5A〜 C(配列番号1、3もしくは8)に示されるヌクレオチド配列を有する単離され た核酸分子のフラグメントにより、少なくとも約15nt長、およびより好ましくは 少なくとも約20nt長、なおより好ましくは少なくとも約30nt長、ならびにさらに より好ましくは、少なくとも約40nt長のフラグメントが意図され、これらは本明 細書中に議論される診断プローブおよびプライマーとして有用である。当然のこ とながら、50、75、100、125、150、175、200、225、250、300、325、350、375 、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675または700nt 長のより長いフラグメントもまた、寄託クローンの全てではないにしろ、ほとん どのヌクレオチド配列に対応するフラグメントと同様に、または図1、2もしく は5A〜C(配列番号1、3、もしくは8)に示されるように、本発明に従って有 用である。例えば、少なくとも20nt長のフラグメントにより、寄託されたクロー ン のヌクレオチド配列または図1,2もしくは5A〜C(配列番号1、3もしくは8 )に示されるヌクレオチド配列由来の20以上の連続した塩基を含むフラグメント が意図される。 本発明の好ましい核酸フラグメントは、NKX3.1タンパク質のエピトープ保有部 分をコードする核酸分子を含む。詳細には、本発明のこのような核酸フラグメン トには、以下をコードする核酸分子が含まれる:図1または2(配列番号2また は4)における約1〜約13のアミノ酸残基を含むポリペプチド;図1または2( 配列番号2または4)における約18〜約24のアミノ酸残基を含むポリペプチド; 図1または2(配列番号2または4)における約35〜約89のアミノ酸残基を含む ポリペプチド;図1または2(配列番号2または4)における約103〜約113のア ミノ酸残基を含むポリペプチド;図1または2(配列番号2または4)における 約117〜約130のアミノ酸残基を含むポリペプチド;および図1または2(配列番 号2または4)における約173〜185のアミノ酸残基を含むポリペプチド。本発明 者らは、上記のポリペプチドフラグメントが、NKX3.1タンパク質の抗原性領域で あることを決定した。NKX3.1タンパク質の他のこのようなエピトープ保有部分の 決定方法は、以下に詳細に記載される。 別の局面において、本発明は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条 件下で、上記の本発明の核酸分子(例えば、ATCC受託物209005または209006に含 まれる寄託クローン)中のポリヌクレオチドの一部にハイブリダイズするポリヌ クレオチドを含む単離された核酸分子を提供する。「ストリンジェントなハイブ リダイゼーション条件」によって、50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、1 5mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶 液、10%デキストラン硫酸、および20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液 中での42℃での一晩のインキュベーション、続いて約65℃での0.1×SSC中でのフ ィルターの洗浄が意図される。 ポリヌクレオチドの「一部」にハイブリダイズするポリヌクレオチドによって 、参照ポリヌクレオチドの少なくとも約15ヌクレオチド(nt)、そしてより好まし くは少なくとも約20nt、さらにより好ましくは少なくとも約30nt、そしてさらに より好ましくは約30〜70ntにハイブリダイズするポリヌクレオチド(DNAまたはR NA のいずれか)が意図される。これらは、上に議論したように、そして以下でより 詳細に議論されるように、診断用プローブおよびプライマーとして有用である。 例えば、「少なくとも20nt長」のポリヌクレオチドの一部により、参照ポリヌ クレオチドのヌクレオチド配列(例えば、寄託されたクローン、または図1、2 もしくは5A〜C(配列番号1、3もしくは8)に示されるようなヌクレオチド配 列)由来の20以上の連続したヌクレオチドが意図される。もちろん、ポリA配列 (例えば図1、2または5A〜C(配列番号1、3または8)に示されるNKX3.1 cD NAの3'末端ポリ(A)トラクト(tract))のみに、またはT(もしくはU)残基 の相補的なストレッチ(stretch)にハイブリダイズするポリヌクレオチドは、本 発明の核酸の一部にハイブリダイズするために使用される本発明のポリヌクレオ チドに含まれない。なぜなら、このようなポリヌクレオチドは、ポリ(A)スト レッチを含む任意の核酸分子またはその相補体(例えば、実際には任意の二本鎖 cDNAクローン)にハイブリダイズするからである。 示されるように、NKX3.1ポリペプチドをコードする本発明の核酸分子は、それ 自体ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸分子;ポリペプチドおよびさ らなる配列をコードする配列(例えばアミノ酸リーダー配列または分泌配列(例 えばプレ、またはプロ、またはプレプロタンパク配列)をコードする配列);上 記のさらなるコード配列を伴ってまたは伴わずに、さらなる非コード配列を伴う 、ポリペプチドのコード配列(例えば、イントロンおよび非コード5'および3'配 列(転写、mRNAプロセシングにおいて役割(例えば、リボソーム結合およびmRNA の安定性)を演じる転写非翻訳配列(例えば、スプライシングおよびポリアデニ ル化シグナルを含む)を含むがこれらに限定されない);さらなるアミノ酸をコ ードするさらなるコード配列(例えばさらなる機能性を提供するもの)を含み得 るが、これらに限定されない。従って、ポリペプチドをコードする配列は、マー カー配列(例えば、融合ポリペプチドの精製を促進するペプチドをコードする配 列)と融合され得る。本発明のこの局面の特定の好ましい実施態様において、マ ーカーアミノ酸配列は、とりわけ、ヘキサヒスチジンペプチド、例えば、pQEベ クター(QIAGEN,Inc.)に提供されるタグ(多くのものは市販されている)であ る。Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821-824(1989)に記載されるように、 例えば、ヘキサヒスチジンは融合タンパク質の簡便な精製のために提供される。 「HA」タグはインフルエンザ血球凝集素タンパク質(これはWilsonら、Cell 37: 767(1984)により記載されている)に由来するエピトープに対応する、精製に有 用な別のペプチドである。以下に議論するように、他のこのような融合タンパク 質は、NまたはC末端でFcと融合したNKX3.1を含む。 本発明はさらに、本発明の核酸分子の改変体に関し、これはNKX3.1タンパク質 の一部、アナログまたは誘導体をコードする。改変体は、天然の対立遺伝子改変 体のように天然に生じ得る。「対立遺伝子改変体」により、生物の染色体上の所 定の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代替的な形態のひとつが意図される。 Genes II,Lewin,B.編、John Wiley & Sons,New York(1985)。天然には生じない 改変体は、当該分野に公知の変異誘発技術を使用して生成され得る。 このような改変体は、ヌクレオチドの置換、欠失または付加により生成した改 変体を含み、これは1つ以上のヌクレオチドを含み得る。この改変体は、コード 領域、非コード領域または両方で変化され得る。コード領域での変化は、保存的 または非保存的なアミノ酸の置換、欠失または付加を生成し得る。これらの中で 特に好ましいものは、サイレントな置換、付加および欠失であり、これはNKX3.1 タンパク質またはその一部の特性および活性を変化しない。このことに関してま た特に好ましいものは、保存的置換である。 本発明のさらなる実施態様には、以下のヌクレオチド配列に少なくとも95%、 96%、97%、98%または99%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオ チドを含む単離され核酸分子含む;(a)配列番号2または4のアミノ酸配列を有 するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;(b)配列番号2または4のア ミノ酸配列を有するが、N-末端メチオニンを欠失するポリペプチドをコードする ヌクレオチド配列;(c)ATCC受託番号209005または209006に含まれるクローンに よりコードされる完全なアミノ酸配列を有する全長NKX3.1ポリペプチドをコード するヌクレオチド配列;(d)NKX3.1ポリペプチドのホメオドメイン(図1または 2(配列番号2または4)のアミノ酸残基123〜153を構成すると推定される)を コードするヌクレオチド配列;あるいは(e)(a)、(b)、(c)または(d)の任意のヌ クレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列。 NKX3.1ポリペプチドをコードする参照ヌクレオチド配列に、例えば、少なくと も95%「同一の」ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによって、そのポ リヌクレオチドのヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチド配列がNKX3.1ポリペプ チドをコードする参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチドあたり5つまでの 点変異を含み得ることを除いて、参照配列に同一であることが意図される。換言 すれば、参照ヌクレオチド配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を 有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列における5%までのヌクレオチ ドが欠失され得るか、もしくは別のヌクレオチドで置換され得るか、または参照 配列において全ヌクレオチドの5%までの多くのヌクレオチドが、参照配列中に 挿入され得る。参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5'もしくは 3'末端位置において、または参照配列中のヌクレオチド間で個々に、もしくは参 照配列内の1つ以上の連続したグループのいずれかに散在されて、これらの末端 位置の間の任意の位置で生じ得る。 実際問題として、任意の特定の核酸分子が、例えば図1、2または5A〜Cに示 されるヌクレオチド配列あるいは寄託されたcDNAクローンのヌクレオチド配列に 少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一であるかどうかは、Bestfit プログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix,Geneti cs Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,WI5 3711)のような既知のコンピュータープログラムを使用して従来どおり決定され 得る。Bestfitは、SmithおよびWaterman,Advances in Applied Mathematics 2: 482-489(1981)の局所的相同性アルゴリズムを用いて、2つの配列間の最も相同 性の高いセグメントを見出す。Bestfitまたは任意の他の配列整列プログラムを 使用して、特定の配列が本発明による参照配列に、例えば95%同一であるか否か を決定する場合、当然のことながらパラメーターは、同一性の百分率が、参照ヌ クレオチド配列の全長にわたって計算されるように、そして参照配列の総ヌクレ オチド数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるように設定される。 本出願は、図1、2または5A〜C(配列番号1、3または8)に示される核酸 配列;あるいは寄託されたクローンの核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、 98%または99%同一である核酸分子に関し、それらがNKX3.1活性を有するポリペ プチドをコードするか否かとは無関係である。これは、特定の核酸分子がNKX3.1 活性を有するポリペプチドをコードしない場合でさえ、当業者はなお、例えばハ ィブリダィゼーションプローブまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー のような核酸分子の使用方法を知っているからである。NKX3.1活性を有するポリ ペプチドをコードしない本発明の核酸分子の使用としては、とりわけ、以下が挙 げられる:(1)cDNAライブラリーにおけるNKX3.1遺伝子またはその対立遺伝子改 変体の単離;(2)Vermaら、Human Chromosomes:A Manual of Basic Techniques,P ergamon Press,New York(1988)に記載されているような、NKX3.1遺伝子の正確な 染色体位置を提供するための中期染色体展開物へのインサイチュハイブリダイゼ ーション(例えば、「FISH」);および特定の組織でのNKX3.1 mRNA発現を検出 するためのノーザンブロット解析。 しかし、図1、2または5A〜C(配列番号1、3または8)に示される核酸配 列あるいは寄託されたクローンの核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98% または99%同一の配列を有する核酸分子であって、実際にNKX3.1タンパク質活性 を有するポリペプチドをコードする核酸分子が好ましい。「NKX3.1活性を有する ポリペプチド」により、特定の生物学的アッセイによって測定した場合に、本発 明のNKX3.1タンパク質の活性に類似するが同一である必要はない活性を示すポリ ペプチドが意図される。例えば、NKX3.1タンパク質活性は、以下の実施例7に記 載されるDNA結合実験を使用して測定され得る。 もちろん、遺伝コードの縮重により、当業者は寄託したクローンの核酸配列ま たは図1、2または5A〜C(配列番号1、3または8)に示される核酸配列と 少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一である配列を有する多数の核 酸分子が「NKX3.1タンパク質活性を有する」ポリペプチドをコードするこ とを直ちに認識する。実際、これらのヌクレオチド配列の縮重改変体は全て、同 じポリペプチドをコードするので、このことは上記の比較アッセイを実施しなく とも当業者に明らかである。縮重改変体でない核酸分子については、妥当な数の ものがNKX3.1タンパク質活性を有するポリペプチドをコードすることは、 当該分野においてさらに認識される。これは、タンパク質の機能に顕著に影響す る可能性が低いかまたはその可能性のないアミノ酸置換(例えば、一つの脂肪族 アミノ酸を第二の脂肪族アミノ酸で置換すること)を当業者らは十分に知ってい るからである。 例えば、表現型にサイレントなアミノ酸置換を作製する方法に関するガイダン スは、Bowie,J.U.ら、「Deciphering the Mess age in Protein Sequences:Tolerance t o Amino Acid Substitutions」Science 2 47:1306−1310(1990)に提供され、その中で著者らは、タンパ ク質が、驚くべきことにアミノ酸置換に寛容であることを示す。 ベクターおよび宿主細胞 本発明はまた、本発明の単離されたDNA分子を含むベクター、この組換えベ クターで遺伝子操作された宿主細胞、および組換え技術によるNKX3.1ポリ ペプチドまたはそのフラグメントの産生に関する。 ポリヌクレオチドは、宿主における増殖のための選択マーカーを含むベクター に結合され得る。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈澱物のよ うな沈澱物中か、または荷電脂質との複合体で導入される。ベクターがウイルス である場合、ベクターは、適切なパッケージング細胞株を用いてインビトロでパ ッケージングされ得、次いで宿主細胞に形質導入され得る。 DNAインサートは、適切なプロモーター、例えば、ファージλPLプロモータ ー、E.coli lac、trp、およびtacプロモーター、SV40初期 および後期プロモーター、ならびにレトロウイルスLTRのプロモーターなどに 作動可能に結合されるべきである。他の適切なプロモーターは、当業者に公知で ある。発現構築物は、転写開始のための部位、終結のための部位、および転写さ れた領域において翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含む。構築物によっ て発現される成熟転写物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるポリペプチド の最初の翻訳開始コドンおよび翻訳されるポリペプチドの最後に適切に位置する 終止コドン(UAA、UGAまたはUAG)を含む。 示されるように、発現ベクターは、好ましくは、少なくとも1つの選択マーカ ーを含む。このようなマーカーとしては、真核生物細胞培養についてはジヒドロ 葉酸レダクターゼ、またはネオマイシン耐性、ならびにE.coliおよび他の 細菌における培養についてはテトラサイクリン耐性遺伝子、またはアンピシリン 耐性遺伝子が挙げられる。適切な宿主の代表的な例としては、細菌細胞(例えば 、E.coli細胞、Streptomyces細胞、およびSalmonel la typhimurium細胞);真菌細胞(例えば酵母細胞);昆虫細胞 (例えば、Drosophila S2細胞およびSpodoptera Sf 9細胞);動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、およびBowes黒色 腫細胞);ならびに植物細胞が挙げられるが、これらに限定されない。上記の宿 主細胞のための適切な培養培地および条件は当該分野で公知である。 本発明の実施における発現ベクターの使用に加えて、本発明は、目的のタンパ ク質をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたオペレーターおよび プロモーターエレメントを含有する新規な発現ベクターをさらに包含する。この ようなベクターの一例は、下記に詳細に説明されるpHE4aである。 図6および7にまとめるように、pHE4aベクターの成分(配列番号25) には、1)選択マーカーとしてのネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子 、2)E.coliの複製起点、3)T5ファージプロモーター配列、4)2つ のlacオペレーター配列、5)シャイン−ダルガーノ(Shine−Delg arno)配列、6)ラクトースオペロンリプレッサー遺伝子(lacIq)、 および7)多クローニング部位リンカー領域が含まれる。複製起点(oriC) は、pUC19(LTI、Gaithersburg、MD)に由来する。プロ モーター配列およびオペレーター配列は、合成的に作製された。核酸配列の合成 的産生は、当該分野において周知である。CLONTECH 95/96カタロ グ(215頁〜216頁、CLONTECH、1020 East Meado w Circle、Palo Alto、CA 94303)。pHE4aベク ターは、1998年2月25日にATCCに寄託され、そして受託番号2096 45を授与された。 NKX3.1をコードするヌクレオチド配列(配列番号1または3)は、pH E4aをNdeIおよびXbaI、BamHI、XhoIもしくはAsp718 のいずれかで制限し、そしてゲル上により長いフラグメント(多クローニング部 位領域は約310ヌクレオチドである)を単離することによって、そのベクター のプロモーターおよびオペレーターに作動可能に連結されている。適切な制限部 位を有する、NKX3.1をコードするヌクレオチド配列(配列番号1または3) を、例えば、実施例1に記載のPCRプロトコルに従って、(5'プライマーと して)NdeIのための制限部位を有するPCRプライマー、および(3'プラ イマーとして)XbaI、BamHI、XhoI、またはAsp718のいずれ かのための制限部位を有するPCRプライマーを使用して作製する。PCRイン サートをゲル精製し、そして適合性酵素で制限する。インサートおよびベクター を、標準的なプロトコルに従って連結する。 上記のように、pHE4aベクターはlacIq遺伝子を含む。lacIqは 、lacオペレーターの厳格な調節を付与する、lacI遺伝子の対立遺伝子で ある。Amann,E.ら,Gene 69:301−315(1988);S tark,M.,Gene 51:255−267(1987)。lacIq遺 伝子は、lacオペレーター配列に結合し、下流(すなわち、3’)配列の転写 をブロックする、リプレッサータンパク質をコードする。しかし、lacIq遺 伝子産物は、ラクトースまたはイソプロピルB−D−チオガラクトピラノシド( IPTG)のような特定のラクトースアナログのいずれかの存在下で、lacオ ペレーターから解離する。したがって、NKX3.1は、pHE4aベクターを 含む非誘導宿主細胞において、認められる量では産生されない。しかし、IPT Gのような薬剤の添加によるこれらの宿主細胞の誘導は、NKX3.1コード配 列の発現を生じる。 pHE4aベクターのプロモーター/オペレーター配列(配列番号26)は、 T5ファージプロモーターおよび2つのlacオペレーター配列を含む。一方の オペレーターは、転写開始部位の5'側に位置し、他方は、同部位の3'側に位置 する。これらのオペレーターは、lacIq遺伝子産物との組合せで存在する場 合、lacオペロン誘導因子(例えば、IPTG)の非存在下で、下流配列の厳 格な抑制を付与する。lacオペレーターから下流に位置する、作動可能に連結 した配列の発現は、lacオペロン誘導因子(例えば、IPTG)の添加により 誘導され得る。lacIqタンパク質へのlac誘導因子の結合は、lacオペ レーター配列からのその遊離、および作動可能に連結された配列の転写開始を生 じる。遺伝子発現のlacオペロン調節は、Devlin,T.,Textbo ok of Biochemistry with Clinical Cor relations,第4版(1997)802頁〜807頁に概説される。 pHE4シリーズのベクターは、NKX3.1コード配列を除いて、pHE4 aベクターのすべての成分を含む。pHE4aベクターの特徴は、最適化された 合成T5ファージプロモーター、lacオペレーター、およびシャイン−ダルガ ーノ配列を含む。さらに、これらの配列はまた、間隔をおいて最適に配置され、 その結果、挿入された遺伝子の発現が厳格に調節され得、そして高レベルの発現 が誘導の際に生じ得る。 本発明のタンパク質の産生における使用に適切な公知の細菌性プロモーターに は、E.coli lacIおよびlacZプロモーター、T3およびT7プロ モーター、gptプロモーター、λPRおよびPLプロモーター、ならびにtr pプロモーターが含まれる。適切な真核生物プロモーターには、CMV前初期プ ロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期のSV40 プロモーター、レトロウイルスLTRのプロモーター(例えば、ラウス肉腫ウイ ルス(RSV)のもの)、ならびにメタロチオネインプロモーター(例えば、マ ウスメタロチオネイン−Iプロモーター)が含まれる。 pHE4aベクターはまた、AUG開始コドンの5'側にシャイン−ダルガー ノ配列を含む。シャイン−ダルガーノ配列は、AUG開始コドンから約10ヌク レオチド上流(すなわち、5')に一般に位置する短い配列である。これらの配 列は、本質的には、原核生物リボソームをAUG開始コドンへ指向させる。 したがって、本発明はまた、本発明のタンパク質の産生のために有用な発現ベ クターに関する。本発明のこの局面は、pHE4aベクター(配列番号25)に よって例示される。 細菌における使用に好ましいベクターには、pQE70、pQE60、および pQE−9(Qiagenから入手可能);pBSベクター、Phagescr iptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a、 pNH18A、pNH46A(Stratageneから入手可能);ならびに ptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRI T5(Pharmaciaから入手可能)が含まれる。好ましい真核生物ベクタ ーには、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、およびpSG (Stratageneから入手可能);ならびにpSVK3、pBPV、pM SG、およびpSVL(Pharmaciaから入手可能)がある。他の適切な ベクターは当業者に容易に明らかである。 宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DE AE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフ エクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染または他の方法によって 達成され得る。このような方法は、Davisら、Basic Methods In Molecular Biology(1986)のような多くの標準 的研究室マニュアルに記載されている。 ポリペプチドは、融合タンパク質のような改変された形態で発現され得、そし て分泌シグナルだけでなく、さらなる異種の機能的領域も含み得る。例えば、さ らなるアミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域が、宿主細胞における、精製の間の、 または続く取り扱いおよび保存の間の、安定性および持続性を改善するために、 ポリペプチドのN末端に付加され得る。また、ペプチド部分が、精製を容易にす るためにポリペプチドへ付加され得る。そのような領域は、ポリペプチドの最終 調製の前に除去され得る。とりわけ、分泌または排出を生じるため、安定性を改 善するため、および精製を容易にするために、ペプチド部分をポリペプチドへ付 加することは、当該分野でよく知られており、そして慣用技術である。好ましい 融合タンパク質は、タンパク質の安定化のために有用な免疫グロブリン由来の異 種領域を含む。例えば、EP−A−0 464 533(カナダ対応出願第20 45869号)は、別のヒトタンパク質またはその一部とともに、免疫グロブリ ン分子の定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。多くの場合、 融合タンパク質中のFc部分は、治療および診断における使用に十分に有利であ り、したがって、例えば、改善された薬物動態学的特性を生じる(EP−A 0 232 262)。他方、いくつかの使用について、融合タンパク質が、記載 される有利な様式で、発現され、検出され、そして精製された後に、Fc部分を 欠 失させ得ることが望ましい。これは、Fc部分が、治療および診断における使用 に対して障害となると判明する場合(例えば、融合タンパク質が免疫のための抗 原として使用される場合)である。薬物探索において、例えばhIL5レセプタ ーのようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定するための高 処理能力スクリーニングアッセイの目的で、Fc部分と融合されている。D.B ennettら、Journal of Molecular Recogni tion 第8巻:52−58(1995)、およびK.Johansonら、 The Journal of Biological Chemistry第 270巻:第16号;9459−9471(1995)を参照。 NKX3.1タンパク質は、硫酸アンモニウム沈澱またはエタノール沈澱、酸 抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロ マトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマト グラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマ トグラフィーを含む周知の方法によって組換え細胞培養物から回収され、そして 精製され得る。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」) が精製のために用いられる。本発明のポリペプチドは以下を含む:天然に精製さ れた産物、化学合成手順の産物、および原核生物宿主または真核生物宿主(例え ば、細菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を含む )から組換え技術によって産生された産物。組換え産生手順において用いられる 宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されていてもよく、ま たはグリコシル化されていなくてもよい。さらに、本発明のポリペプチドはまた 、いくつかの場合、宿主媒介プロセスの結果として、最初の改変された開始メチ オニン残基を含み得る。 NKX3.1ポリペプチドおよびフラグメント 本発明はさらに、寄託されたクローンによってコードされるアミノ酸配列、ま たは図1もしくは2(配列番号2もしくは4)のアミノ酸配列を有する、単離さ れたNKX3.1ポリペプチド、あるいは上記ポリペプチドの一部を含むペプチ ドまたはポリペプチドを提供する。 NKX3.1ポリペプチドのいくつかのアミノ酸配列が、タンパク質の構造ま たは機能の顕著な効果なしで改変され得ることが、当該分野において認識される 。配列におけるこのような差異が意図される場合、活性を決定するタンパク質の 重要な領域が存在するということは、思い出されるべきである。 したがって、本発明はさらに、実質的なNKX3.1ポリペプチド活性を示す か、またはNKX3.1タンパク質の領域(例えば、以下で議論するタンパク質 の一部)を含む、NKX3.1ポリペプチドのバリエーションを含む。このよう な変異体は、欠失、挿入、逆位、反復、およびタイプ置換を含む。上記のように 、表現型にサイレントである可能性が高いアミノ酸変化に関するガイダンスは、 Bowie,J.U.ら「Deciphering the Message in Protein Sequences:Tolerance to Am ino Acid Substitutions」Science 247:1 306−1310(1990)に見出され得る。 従って、図1または2(配列番号2または4)のポリペプチドのフラグメント 、誘導体またはアナログ、あるいは寄託されたcDNAまたはゲノムクローンによっ てコードされるものは、(i)1つ以上のアミノ酸残基が、保存的アミノ酸残基 または非保存的アミノ酸残基(好ましくは保存的アミノ酸残基)で置換されたも の(そのような置換されたアミノ酸残基は、遺伝コードによってコードされたも のであってもなくてもよい)、(ii)1つ以上のアミノ酸残基が置換基を含む もの、(iii)ポリペプチドが、ポリペプチドの半減期を増加させる化合物( 例えば、ポリエチレングリコール)のような別の化合物と融合しているもの、ま たは(iv)さらなるアミノ酸、例えば、IgG Fc融合領域ペプチドまたは リーダーもしくは分泌配列、あるいはこのポリペプチドまたはプロタンパク質配 列の精製に利用される配列が、成熟ポリペプチドに融合されているものであり得 る。このようなフラグメント、誘導体、およびアナログは、本明細書中の教示か らの当業者の範囲内であると見なされる。 特に興味深いのは、荷電したアミノ酸を別の荷電したアミノ酸および中性もし くは負に荷電したアミノ酸で置換することである。後者は、NKX3.1タンパ ク質の特徴を改善するための減少した正電荷を有するタンパク質を生じる。凝集 の防止は高度に望ましい。タンパク質の凝集は、活性の喪失を生じるだけではな く、薬学的処方物を調製する場合においてもまた、問題であり得る。なぜなら、 凝集物は免疫原性であり得るからである(Pinckardら、Clin Ex p.Immunol.2:331−340(1967);Robbinsら、Di abetes 36:838−845(1987);Clelandら、Crit .Rev.Therapeutic Drug Carrier System s 10:307−377(1993))。 示されるように、変化は好ましくはマイナーな性質であり、例えばタンパク質 の折り畳みにも活性にも顕著な影響を与えない保存的アミノ酸置換である(表1 を参照)。 表1.保存的アミノ酸置換 もちろん、当業者がなすアミノ酸置換の数は、上記のものを含む多くの要因に 依存する。一般的に言えば、任意の所定のNKX3.1ポリペプチドについての アミノ酸置換の数は、50、40、30、20、10、5、または3を超えない 。 機能に必須である、本発明のNKX3.1タンパク質中のアミノ酸は、当該分 野で公知の方法(例えば、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャン変異誘発 (CunninghamおよびWells,Science 244:1081 −1085(1989))により同定され得る。後者の手順は、分子のすべての 残基で単一のアラニン変異を導入する。次いで、得られた変異体分子は、生物学 活性(例えば、レセプター結合またはインビトロもしくはインビトロでの増殖活 性)について試験される。NKX3.1−DNA結合について重要な部位はまた 、構造解析(例えば、結晶化、核磁気共鳴または光親和性標識)により決定され 得る(Smithら、J.Mol.Biol.224:899−904(199 2)およびde Vosら、Science 255:306−312(199 2))。 本発明のポリペプチドは、好ましくは、単離された形態で提供され、そして好 ましくは実質的に精製されている。「単離されたポリペプチド」とは、そのネイ ティブな環境から取り出されたポリペプチドを意図する。したがって、組換え宿 主細胞内で産生され、そして/またはその中に含まれるポリペプチドは、本発明 の目的のために単離されていると考えられる。組換え宿主細胞から、部分的もし くは実質的に精製されたポリペプチドもまた、「単離されたポリペプチド」とし て意図される。例えば、NKX3.1ポリペプチドの組換え産生型は、Smit hおよびJohnson,Gene 67:31−40(1988)に記載され る一工程法により実質的に精製され得る。 本発明のポリペプチドは、寄託したcDNAによってコードされる、リーダー を含むポリペプチド;配列番号2または4のアミノ酸約1〜約234を含むポリ ペプチド;配列番号2または4のアミノ酸約2〜約234を含むポリペプチド; 配列番号2または4のアミノ酸約2〜約365を含むが、配列番号2または4の ポリペプチドのホメオドメインを欠くポリペプチド、および、寄託したクローン によってコードされるポリペプチドに対して、図1または2のポリペプチド(配 列番号2または4)に対して、少なくとも95%同一、なおより好ましくは少な くとも96%、97%、98%、または99%同一であるポリペプチドを含み、 そしてまた、少なくとも30アミノ酸、そしてより好ましくは少なくとも50ア ミノ酸を有するこのようなポリペプチドの部分を含む。 NKX3.1ポリペプチドの参照アミノ酸配列に少なくとも、例えば、95% 「同一の」アミノ酸配列を有するポリペプチドとは、そのポリペプチド配列が、 NKX3.1ポリペプチドの参照アミノ酸の各100アミノ酸毎に5つまでのアミノ 酸変化を含み得ることを除いて、そのポリペプチドのアミノ酸配列は参照配列と 同一であることが意図される。言い換えれば、参照アミノ酸配列に対して少なく とも95%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、参照配列に おいて5%までのアミノ酸残基が、欠失されるかもしくは別のアミノ酸で置換さ れ得、または参照配列における総アミノ酸残基の5%までの多数のアミノ酸が参 照配列に挿入され得る。これらの参照配列の改変は、参照アミノ酸配列のアミノ 末端位置もしくはカルボキシ末端位置でまたはこれらの末端位置の間のどこかで 、参照配列中の残基間で個々に、もしくは参照配列内で1つ以上の連続した群の いずれかに散在して、起こり得る。 実際に、任意の特定のポリペプチドが、例えば、図1または2(配列番号2ま たは4)に示されるアミノ酸配列、または寄託されたクローンによりコードされ るアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、96%、97%、98%、または 99%同一であるかどうかは、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix、Genetics Computer Group,Un iversity Research Park,575 Science D rive,Madison,WI 53711)のような公知のコンピューター プログラムを使用して従来通りに決定され得る。特定の配列が、本発明の参照配 列に、例えば、95%同一であるかどうかを決定するために、Bestfitま たは任意の他の配列アラインメントプログラムを使用する場合、当然のことなが ら、同一性のパーセンテージが参照アミノ酸配列の全長にわたって計算され、そ して参照配列内のアミノ酸残基の総数の5%までの相同性におけるギャップが許 容されるようにパラメーターが設定される。 本発明のポリペプチドは、SDS−PAGEゲル上でまたは分子ふるいゲルろ 過カラム上で分子量マーカーとして、当業者に周知の方法を用いて使用され得る 。 別の局面において、本発明は、本発明のポリペプチドのエピトープ保有部分を 含むペプチドまたはポリペプチドを提供する。このポリペプチド部分のエピトー プは、本明細書に記載のポリペプチドの免疫原性または抗原性エピトープである 。「免疫原性エピトープ」は、タンパク質全体が免疫原である場合、抗体応答を 誘発するタンパク質の一部として定義される。他方、抗体が結合し得るタンパク 質分子の領域は、「抗原性エピトープ」と定義される。タンパク質の免疫原性エ ピトープの数は、一般には、抗原性エピトープの数よりも少ない。例えば、Ge ysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998 −4002(1983)を参照。 抗原性エピトープを保有する(すなわち、抗体が結合し得るタンパク質分子の 領域を含む)ペプチドまたはポリペプチドの選択に関して、タンパク質配列の一 部を模倣する比較的短い合成ペプチドが、部分的に模倣されたタンパク質と反応 する抗血清を慣用的に誘発し得ることが当該分野で周知である。例えば、Sut cliffe,J.G.,Shinnick,T.M.,Green,N.およ びLearner,R.A.(1983)Antibodies that r eact with predetermined sites on pro teins.Science 219:660−666を参照。タンパク質反応 性血清を誘発し得るペプチドは、タンパク質の一次配列で頻繁に示され、1セッ トの単純な化学的法則により特徴付けられ得、そしてインタクトなタンパク質の 免疫優性領域(すなわち、免疫原性エピトープ)にも、アミノ末端またはカルボ キシル末端にも、制限されない。 したがって、本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、 本発明のポリペプチドに特異的に結合する、モノクローナル抗体を含む、抗体を 惹起するために有用である。例えば、Wilsonら、Cell 37:767 −778(1984)の777頁を参照。 本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、本発明のポリ ペプチドのアミノ酸配列内に含まれる、好ましくは少なくとも7個、より好まし くは少なくとも9個、そして最も好ましくは少なくとも約15〜約30個のアミ ノ酸の配列を含む。 NKX3.1特異的抗体を生成するために使用され得る抗原性ポリペプチドま たはペプチドの非限定的な例には、以下が含まれる:配列番号2または配列番号 4の約1から約13までのアミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番号2または 配列番号4の約18から約24までのアミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番 号2または配列番号4の約35から約89までのアミノ酸残基を含むポリペプチ ド;配列番号2または配列番号4の約103から約113までのアミノ酸残基を 含むポリペプチド;配列番号2または配列番号4の約117から約130までの アミノ酸残基を含むポリペプチド;および配列番号2または配列番号4の約17 3から約185までのアミノ酸残基を含むポリペプチド。上記のように、本発明 者らは、上記ポリペプチドフラグメントが、NKX3.1タンパク質の抗原性領 域であることを決定した。 本発明のエピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、任意の従来の手段に より産生され得る。Houghten,R.A.(1985)General method for the rapid solid−phase syn thesis of large numbers of peptides: specificity of antigen−antibody inte raction at the level of individual a mino acids.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82 :5131−5135。この「Simultaneous Multiple Peptide Synthesis(SMPS)」プロセスは、Hought enらの米国特許第4,631,211号(1986)にさらに記載される。 当業者が理解するように、本発明のNKX3.1ポリペプチドおよびその上記 のエピトープ保有フラグメントは、免疫グロブリン(IgG)の定常ドメインの 部分と結合され得、キメラポリペプチドを生じる。これらの融合タンパク質は、 精製を容易にし、そしてインビボで半減期の増加を示す。これは、例えば、ヒト CD4−ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物免疫グロブリン の重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質につい て示されている(EPA 394,827;Trauneckerら、Natu re 331:84−86(1988))。IgG部分によるジスルフィド結合 二量体構造を有する融合タンパク質はまた、単量体NKX3.1タンパク質また はタンパク質フラグメント単独よりも、他の分子と結合することおよびこれを中 和することにおいて、より効率的であり得る(Fountoulakisら、J .Biochem 270:3958−3964(1995))。 N末端およびC末端欠失変異体 1つの実施態様において、本発明は、1またはそれ以上の残基が、図1、図2 に示されるか、または寄託したクローンのcDNAによりコードされるNKX3 ポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ末端から欠失されたポリペプチドを提供す る。詳細には、1つの実施態様において、NKX3ポリペプチドのN末端欠失は 、 一般式m〜234によって記述され得る。ここで、mは、配列番号2において同 定されるアミノ酸残基の位置に対応する2から233までの任意の整数であり、 そして好ましくは、本明細書中に特定されるN末端欠失体において同定されるN 末端アミノ酸残基の1つに対応する。特定の実施態様において、本発明のNKX 3.1ポリペプチドのN末端欠失体は、以下のアミノ酸残基を含むか、あるいは 以下のアミノ酸残基からなる:配列番号2の これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた本発明に包含される 。 本発明のさらなる実施態様は、一般式1〜nによって記述される、本発明のN KX3ポリペプチドのC末端欠失体に関する。ここで、nは、配列番号2におい て同定されるアミノ酸残基の位置に対応する2から233までの任意の整数であ り、そして好ましくは、本明細書中に特定されるC末端欠失体の1つにおいて同 定される残基に対応する。特定の実施態様において、本発明のNKX3ポリペプ チドのC末端欠失体は、以下のアミノ酸残基を含むか、あるいは以下のアミノ酸 残基からなる:配列番号2の これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた本発明に包含される 。 本発明のさらなる実施態様は、一般式m〜nによって記述されるアミノ酸残基 を含むか、あるいはそのアミノ酸残基からなる、ポリペプチドフラグメントに関 する。ここで、mおよびnは、それぞれ、これらの記号について上記で特定した アミノ酸残基の任意のものに対応する。これらのポリペプチドをコードするポリ ヌクレオチドもまた本発明に包含される。 NKX3.1は、ホメオタンパク質であり、そして前立腺機能における役割を有 する。 NKX3.1およびそのマウス対応物は、ショウジョウバエ NK−3遺伝子 の最初の哺乳動物ホモログを表す。ヒトおよびマウスのタンパク質は、高度に相 同であり、ホメオドメイン領域内で100アミノ酸の同一性を共有し、そしてま た、ホメオドメインヘリックスIII領域内でショウジョウバエ遺伝子と同一であ り、そして他のホメオドメイン中でDNAと直接接触し、そしてDNA結合特異 性を規定する領域である、N末端アーム内でショウジョウバエ遺伝子とほぼ同一 である(Gehringら、Annu.Rev.Biochem.63:487 −526(1994))。54位のチロシンの保存(マウスおよびヒトのホメオ ドメインにおいて保存される)は、他のほとんどのホメオドメインタンパク質に よって優先的に結合される「TAAT」コアとは対照的に、NKファミリーメン バーで観察される「CAAG」結合ドメインについての独特のDNA結合特異性 を大部分規定する(Harvey,Dev.Biol.178:203−216 (1996)における概説を参照)。NKX3.1は、タンパク質が「CAAG 」DNAコアに優先的に結合するという点で、NKファミリー様DNA結合特性 を有する。このことは、NKX3.1が、のNKファミリータンパク質と、DN A結合特性において類似していることを確認する(実施例7を参照)。ヒトおよ びマウスホメオドメインの推定DNA結合領域は、ショウジョウバエのNK−3 の同じ領域と本質的に同一であるが、NK−2またはNK4とは同一でないとい う事実は、NK−3様ホメオドメインに独特である、なおより精緻なDNA結合 特異性を反映し得る。NKX3.1は、前立腺機能の転写調節において中心的役 割を果たしているよう(下記実施例を参照)であるので、これは、他のNK様タ ンパク質によって調節されるものと比較して、独特な遺伝子セットに転写調節を 標的化するための自明の機構を提供する。 ホメオドメインの外側では、マウスおよびヒトの遺伝子配列はまた、高度に保 存的であるが、ショウジョウバエNK−3とは強い相同性を有さない。最も好奇 心をそそるのは、マウスタンパク質とヒトタンパク質との間で高度に保存され、 そしてチロシンおよびセリン残基に非常に富む、アミノ酸のC末端ストレッチで ある。これらが翻訳後リン酸化の潜在的部位であるという事実、およびそれらが 、マウスとヒトとの間で強力に保存されている事実は、この領域が、タンパク質 機能の調節において何らかの役割を果たし得ることを示唆する。 NKX3.1の高度に限定された発現および観察されたアンドロゲン調節(下 記実施例5を参照)は、この遺伝子が、前立腺組織および/または他の尿生殖組 織のアンドロゲン駆動分化において何らかの役割を果たし得ることを示唆する。 マウスNKX3.1遺伝子についての研究は、この遺伝子が、成体における前立 腺表現型の維持ならびに前立腺発達の間のその確立における中心的役割を果たす 強力な候補であることを示す。妊娠後期の間にマウス胎児におけるNKX3.1 の発現は、前立腺芽形成の開始と一致し、サイチュ位置決め研究は、この時期の 発現は、前立腺芽、尿生殖洞、および精巣内の上皮細胞に限定されることを示す 。(下記実施例9を参照)NKX3.1はまた、いくつかの他の組織の上皮細胞 タイプでは、異なる段階で、より低いレベルで発現する(下記実施例9および1 0を参照)。このことは、上皮細胞発生における潜在的により広い役割を示す。 NKX3.1の胚性発現は、前立腺上皮がアンドロゲン応答性ではない時期に 生じる。このことは、発達初期の間のこの遺伝子の発現が、アンドロゲン依存性 ではないことを示す。しかし、発達の後期には、NKX3.1発現に急激な上昇 が存在する。この急激な上昇は、成体前立腺および精嚢発現のアンドロゲン駆動 性成熟と並行する(下記実施例9を参照)。これらのデータは、ヒトNKX3. 1発現が前立腺、精巣、およびアンドロゲン依存性前立腺ガン株においてのみ見 出されたという事実と一致する。さらに、発現の劇的で即時の喪失は、成体マウ スの去勢後に観察された。このことは、再び、LNCaP細胞におけるNKX3 .1についてのアンドロゲンの要求性(およびアンドロゲン応答性を消失してい る前立腺細胞株における発現の不在)と一致する。あわせると、これらの研究は 、NKX3.1およびそのマウス対応物は、泌尿生殖発達初期における参加に加 えて、前立腺組織の分化状態のアンドロゲン駆動性維持において何らかの役割を 果たし得ることを示唆する。 ガンの診断および予後 非常におもしろい観察は、この新規な前立腺特異的遺伝子NKX3.1が、そ の喪失が前立腺ガンの進行に関与し(下記実施例6を参照)、そして他の形態の ガンの進行にもまた関与し得る、染色体遺伝子座にマップされるという事実であ る。前立腺ガンにおいて、前立腺組織表現型の喪失と関連づけられる、アンドロ ゲン依存性増殖からアンドロゲン非依存性増殖への移行が存在する。アンドロゲ ン依存性細胞株LNCaPならびにアンドロゲン非依存性細胞株PC-3およびDU-145の 両方を使用したいくつかの研究を含む多くの研究が、アンドロゲン非依存性への この切り換えに取り組んでいるが、この基本的な移行を引き起こす基礎をなす機 構は未知のままである。 研究は、前立腺ガンの進行の間に生じる遺伝的変化を同定するための細胞遺伝 学的変化およびヘテロ接合性の喪失(LOH)の研究に集中し、そして前立腺ガ ンの進行の間に喪失する少なくとも2つの遺伝子を含むと考えられる、8p21 −22にまたがる領域を同定した。詳細な欠失マッピングは、バンド8p22− p21.3内で通常欠失される1.2Mbを同定し、他方、通常欠失の第2の領域 は、8p21−8p11.22の間に同定された。このことは、少なくとも2つ の腫瘍サプレッサー遺伝子が染色体8pに存在することを示唆する(Suzuk iら、Genes,Chromosomes,and Cancer 13:1 68−174(1995))。遠位の欠失領域は、肝細胞ガン、結腸直腸ガンお よび非小細胞肺ガンにおいて通常欠失する領域と重複する(Emiら、Geno mics 15:530−534(1992);Fujiwaraら、Gene s,Chromosomes,and Cancer 10:7−14(199 4))。近位領域(NKX3.1遺伝子はここにマップされる)は、60〜80 %という高率の前立腺ガンにおいて、欠失しており(Suzukiら、Gene s,Chromosomes,and Cancer 13:168−174( 1995)、Bovaら、Cancer Res.53:3869−3873( 1993)、MacGroganら、Genes,Chromosomes,a nd Cancer 10:151−159(1994)、Trapmanら、 Cancer Res.54:6061−6064(1994)、Macosk aら、Cancer Res.55:5390−5395(1995)、および Vockeら、Cancer Res.56:2411−2416(1996) )、そして結腸直腸ガンにおいて通常欠失する領域と重複する(Fujiwar aら、1993)。最近、DNA分析のために利用可能な最も正確な微小切 開手段を使用してVockeら(1996)は、8p12−21内のマーカーの 欠失が、非常に頻繁な事象(62〜75%)であり、そして初期の疾患および進 行した疾患において等しく起こりやすいことを見出した。彼らは、これらのデー タを、8p12−21での喪失が、アンドロゲン応答性の喪失および分化した前 立腺表現型の関連する喪失のおそらく前の、腫瘍発生における影響力の大きい初 期の事象であり得ることを示すものと解釈する。 NKX3.1遺伝子は、8p21に位置するようである(下記実施例6を参照 )ので、データは前立腺組織表現型のアンドロゲン駆動性維持における遺伝子の 役割と一致する。 したがって、前立腺ガンを有する哺乳動物における特定の組織は、対応する「 標準的な」哺乳動物(すなわち、前立腺ガンを有さない同じ種の哺乳動物)と比 較した場合、有意に減少したレベルのNKX3.1タンパク質およびNKX3.1 タンパク質をコードするmRNAを発現すると考えられる。さらに、前立腺ガン を有さない同じ種の哺乳動物からの血清と比較した場合、減少したレベルのNK X3.1タンパク質は、前立腺ガンを有する哺乳動物からの特定の体液(例えば 、血清、血漿、尿、および脊髄液)中に検出され得ると考えられる。したがって 、本発明は、前立腺ガンおよび他のガンの診断の間に有用な診断方法を提供する 。この方法は、哺乳動物細胞または体液におけるNKX3.1タンパク質をコー ドする遺伝子の発現レベルをアッセイする工程、およびその遺伝子発現レベルを 標準的なNKX3.1遺伝子発現レベルと比較する工程であって、標準に対する 遺伝子発現レベルの減少が、前立腺腫瘍または他のガンの指標である、工程を包 含する。 さらに、NKX3.1遺伝子は、当業者に周知である、ガンの進行の間におけ るこの遺伝子の変異および/または喪失についてのPCRベースまたは他のDN Aベースの試験において使用され得る。これは、前立腺ガンおよび他の形態のガ ンの進行およびこれらに対する可能性のある投薬法の応答性を診断的にモニター するために使用され得る。同様に、NKX3.1タンパク質またはこのタンパク 質の変異体形熊に対する抗体は、当業者に周知のイムノアッセイを使用する、前 立腺ガンの進行および前立腺ガンに対する可能性のある投薬法の応答性をモニタ ーするためのマーカーとして使用され得る。 腫瘍診断が、既に、従来の方法に従ってなされている場合、本発明は、予後の インジケータとして有用である。ここで、減少したNKX3.1遺伝子発現を示 す患者は、上昇したレベルで遺伝子を発現する患者と比較して、より悪い臨床的 結果を経験する。 「NKX3.1タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルをアッセイする」 とは、第1の生物学的サンプルにおいて、NKX3.1タンパク質のレベルまた はNKX3.1タンパク質をコードするmRNAのレベルを、直接的に(例えば 、絶対的タンパク質レベルまたはmRNAレベルを決定または推定することによ って)、あるいは相対的に(例えば、第2の生物学的サンプルにおけるNKX3 .1タンパク質レベルまたはmRNAレベルに対して比較することによって)、 定性的または定量的に測定するかまたは推定することを意図する。 好ましくは、第1の生物学的サンプルにおけるNKX3.1タンパク質レベル またはmRNAレベルが測定または推定され、そして標準的なNKX3.1タン パク質レベルまたはmRNAレベル(標準は、前立腺ガンを有さない個体から得 られる第2の生物学的サンプルから得られる)に対して比較される。当該分野で 理解されるように、一旦標準的なNKX3.1タンパク質レベルまたはmRNA レベルが知られると、それは比較のための標準として繰り返し使用され得る。 「生物学的サンプル」とは、NKX3.1タンパク質またはmRNAを含む、 個体、細胞株、組織培養物、他の供給源から得られる任意の生物学的サンプルを 意図する。生物学的サンプルには、NKX3.1タンパク質を含む哺乳動物体液 (例えば、血清、血漿、尿、滑液、および髄液)、ならびに卵巣、前立腺、心臓 、胎盤、膵臓、肝臓、脾臓、肺、乳房、および臍帯組織が含まれる。 本発明は、哺乳動物において、ガンを検出するために有用である。詳細には、 本発明は、哺乳動物における前立腺ガンの診断の間に有用である。好ましい哺乳 動物には、サル(monkey)、類人猿(ape)、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、ウマ、 ウサギ、およびヒトが含まれる。特に好ましくはヒトである。 総細胞RNAは、ChomczynskiおよびSacchi、Anal.B iochem.162:156−159(1987)に記載される一工程グアニ ジンチオシアネートフェノールクロロホルム法を使用して生物学的サンプルから 単離され得る。次いで、NKX3.1タンパク質をコードするmRNAのレベル は、任意の適切な方法を使用してアッセイされる。これらには、ノーザンブロッ ト分析(Haradaら、Cell 63:303−312(1990))、S1 ヌクレアーゼマッピング(Fujitaら、Cell 49:357−367( 1987))、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ポリメラーゼ連鎖反応と組み合 わせた逆転写(RT−PCR)(Makinoら、Technique 2:2 95−301(1990))、およびリガーゼ連鎖反応と組み合わせた逆転写(R T−LCR)が含まれる。 生物学的サンプルにおけるNKX3.1タンパク質レベルのアッセイは、抗体 に基づく技術を用いて行い得る。例えば、組織でのNKX3.1タンパク質の発 現は、古典的な免疫組織学的方法を用いて研究され得る(Jalkanen,M .ら、J.Cell.Biol.101:976−985(1985);Jal kanen,M.ら、J.Cell.Biol.105:3087−3096( 1987))。 NKX3.1タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な他の抗体に基づく 方法は、イムノアッセイ、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)お よびラジオイムノアッセイ(RIA)を包含する。 適切な標識は当該分野で公知であり、そしてグルコースオキシダーセのような 酵素標識、ならびにヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、イオウ(35S)、 トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc) のような放射性同位体、ならびにフルオレセインおよびローダミンのような蛍光 標識、ならびにビオチンを含む。 治療法 NKX3.1活性の喪失は、前立腺ガンにおける分化した前立腺表現型の喪失 に何らかの役割を果たすようであるので、このタンパク質またはNKX3.1ア ゴニストの投与は、分化した前立腺組織の喪失を予防もしくは処置し、それによ って前立腺ガンを予防もしくは処置するために使用され得る。さらに、このタン パク質またはNKX3.1アゴニストの投与は、他の形態のガンを予防もしくは 処置するために使用され得る。 投与の様式 個体における標準的または正常なレベルのNKX3.1活性の減少によって引 き起こされる状態は、NKX3.1タンパク質またはNKX3.1アゴニストの投 与によって処置され得ることが理解される。したがって、本発明はさらに、増大 したレベルのNKX3.1活性を必要とする個体を処置する方法を提供し、この 方法は、このような個体においてNKX3.1活性レベルを増大させるに有効な 量の本発明の単離されたNKX3.1ポリペプチドまたはNKX3.1アゴニスト を含む薬学的組成物を、そのような個体に投与する工程を包含する。 一般的な提案として、1用量あたりに非経口的に投与されるNKX3.1ポリ ペプチドの薬学的に有効な総量は、患者体重につき約1μg/kg/日〜10mg /kg/日の範囲であるが、上記のように、これは治療上の裁量を受ける。より好 ましくは、この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日、そしてヒトについて 最も好ましくは、ホルモンについて約0.01と1mg/kg/日との間である。 継続的に投与される場合、NKX3.1ポリペプチドは、代表的には、約1μg/ kg/時間〜約50μg/kg/時間の用量速度で、1日あたり1〜4回の注射によ るか、または、例えば、ミニポンプを使用する連続的皮下注入によるかのいずれ かで投与される。静脈内バッグ溶液もまた使用され得る。 本発明のNKX3.1を含有する薬学的組成物は、経口、直腸内、非経口、槽 内、腟内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、液滴、または経皮パッチによるような) 、口腔粘膜に(bucally)、または経口もしくは経鼻スプレーとして投与され得る 。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性固体、半固体、または液体充填 剤、希釈剤、カプセル化材料、または任意の型の処方補助剤を意味する。本明細 書で使用される場合、用語「非経口」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨下(i ntrasternal)、皮下、および関節内の注射および注入を包含する、投与様式をい う。 NKX3.1の発現を調節し得る化合物の選択 本発明はまた、NKX3.1の5'隣接領域(これらのスプライス変異体のプロ モーターを含む)を含む、単離されたゲノムDNA分子を包含するので、本発明 のなお別の局面は、NKX3.1の発現を増強または阻害し得る化合物を同定す る方法に関する。そのような化合物の効果を決定するために、レポーター遺伝子 の前に、任意のNKX3.1の転写開始部位の5'側に位置するDNAの部分を連 結することによって、レポータープラスミドを構築する。次いで、NKX3.1 プロモーターからの発現を増加または減少させる能力について試験される化合物 は、レポーター構築物を有する細胞に投与され、そしてレポーター遣伝子発現に 対する各化合物の効果が、その発現レベルを、レポーター構築物を有するコント ロール細胞における発現レベルと比較することによって決定される。ここで、こ こで、試験化合物は、コントロール細胞には投与されていない。 NKX3.1遺伝子の5'隣接領域のDNA配列は、図5に示される(配列番号 8)(ATCC第209006号)。もちろん、ヌクレオチド配列は公知である ので、そのような核酸分子を合成的に産生するための慣用方法が利用可能である (例えば、Synthesis and Application of DN A and RNA,S.A.Narang編、1987、Academic Press,San Diego,CAを参照)。あるいは、本発明のこのよう な単離された核酸分子は、以下のように作製され得る。NKX3.1遺伝子のプ ロモーター領域を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する増幅により得る 。次いで、増幅フラグメントを適切なプラスミド(例えば、pCATTM(Pro mega,Madison,WI))中に挿入する。次いで、ネスト化した欠失 プラスミドを、Henikoff,Gene 28:351−359(1984 )に記載されるように、市販の「Erase−a−Base」システム(Pro mega,Madison,WI)を使用して作製する。したがって、遺伝子発 現を増強または阻害し得る、任意の本発明の単離された核酸分子を作製するため には、慣用実験法のみが必要とされる。 本発明の核酸分子には、NKX3.1プロモーターおよびシス作用性エンハン サーおよび/または遺伝子転写に影響し得るサイレンサーエレメントが含まれ得 る。単純化のために、本発明のこれらの単離された核酸分子を、以下で、「NK X3.1転写調節エレメント」または「転写エレメント」と呼ぶ。示されるよう に、遺伝子発現に対する本発明の転写エレメントの効果を決定するため、クロラ ムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)レポーター遺伝子の前に 連結された本発明の転写エレメントを含む、ネスト化欠失レポータープラスミド が作製され得る。本発明者らにより実際に作製された、本発明のこのような組換 えDNA分子は、pBLCAT2ベクターのXbaI部位に、両方向で挿入され た転写エレメントを含む(Luckow,B.,Schuets,G.,Nuc leic Acids Res.15:5490(1987))。 本発明により、本発明の転写エレメントを含む組換えDNA分子は、例えば、 ヒト絨毛ガン細胞株(JEG−3およびJAR)、ヒト前立腺ガン細胞株PC− 3、またはサル腎臓細胞株CV−1(これらはすべて、アメリカンタイプカルチ ャーコレクションから入手可能である)のような適切な細胞株を一過性にトラン スフェクトするために使用される。レポーター遺伝子分析のためにCATシステ ムを使用することに加えて、hGH一過性発現システム(Seldenら、Mo l.Cell Biol.6:3173−3179(1986))、またはβ− ガラクトシダーゼ(Anら、Mol.Cell Biol.2:1628−16 32(1982))およびキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラ ーゼ(Chuら、Nucleic Acids Res.13:2921−29 30(1985))の発現に基づく他のシステムもまた使用され得る。 本発明の転写エレメントは、従来の技術に従って、適切なベクターに挿入され 得る。従来の技術としては、連結のための末端平滑化または末端突出化、適切な 末端を提供するための制限酵素消化、適切であるように突出末端を埋めること、 所望でない接合を避けるためのアルカリホスファターゼ処理、および適切なリガ ーゼを用いる連結が挙げられる。そのような操作のための技術は、Maniatis,T .ら(下記)に開示され、そして当該分野において周知である。本発明の転写エ レメントを含有するクローンは、NKX3.1エンハンサーまたはサイレンサー領域DN Aについて特異的に選択する任意の手段(例えば、転写エレメントの全てまたは 一部に対して相補的な配列を含有する適切な核酸プローブを用いるハイブリダイ ゼーションによる)によって同定され得る。本発明の転写エレメントについて特 異 的なオリゴヌクレオチドプローブは、図5A〜Cに開示される配列を参照すること により単純に設計され得る。核酸ハイブリダイゼーションおよびクローン同定の ための技術は、Maniatis,T.ら(Moleclar Cloning,A Laboratory Manual,Col d Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY(1982))およびHames ,B.D.ら、(Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach,IRL Press, Washington,DC(1985))によって開示される。本発明の転写エレメントを含有す る所望のクローンの検出を容易にするために、上記の核酸プローブは、検出可能 な基を用いて標識され得る。そのような検出可能な基は、検出可能な物理的また は化学的特性を有する任意の物質であり得る。そのような物質は、核酸ハイブリ ダイゼーションの分野において十分に開発されており、一般的にそのような方法 において有用なほとんどの任意の標識が、本発明に適用され得る。特に有用なも のは、放射性標識(例えば、32P、3H、14C、35S、125Iなど)である。適切なシ グナルを提供し、そして十分な半減期を有する任意の放射性標識が、使用され得 る。オリゴヌクレオチドは、放射性標識され得る(例えば、Rigby,P.J.W.ら、J .Mol.Biol.113:237(1977)において記載されるように周知の手段による「ニッ クトランスレーション」により、そして例えば、Deen,K.C.ら、Anal.Biochem .135:456(1983)において記載されるようにT4 DNAポリメラーゼ置換合成による )。あるいは、ポリヌクレオチドはまた、非放射性マーカー(例えば、ビオチン 、酵素または蛍光基)を用いて標識される場合、核酸ハイブリダイゼーションプ ローブとして有用である。例えば、Leary,J.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.US A 80:4045(1983);Renz,M.ら、Nucl.Acids Res.12:3435(1984);およびRenz ,M.、EMBO J.6:817(1983)を参照のこと。 本明細書において使用される場合、「異種タンパク質」は、本発明の転写調節 エレメントとは異種である、ペプチド配列をいうことが、意図される。当業者は 、所望される場合、本明細書における教示もまた、そのような転写調節エレメン トによって、NKX3.1タンパク質、またはそのスプライス改変体をコードする遺伝 子配列の発現に適用されることを認識する。下記のスクリーニングアッセイにお ける使用のレポーター遺伝子は、NKX3.1タンパク質、もしくはそのスプライス改 変体、または異種タンパク質のいずれかをコードし得る。あるいは、レポーター 遺 伝子発現の検出は、mRNAレベル(例えば、NKX3.1 mRNAの検出のような)であり 得る。 本発明の転写調節エレメントの制御下のレポーター遺伝子を発現するために、 遺伝子は、調節エレメントに「作動可能に連結」されなければならない。作動可 能な連結は、所望の配列が転写または翻訳調節配列に、所望の配列の発現(すな わち、作動)を調節配列の影響または制御下に置くような方法において結合され る連結である。 2つのDNA配列(例えば、レポーター遺伝子およびレポーター遺伝子の5’末 端に連結されたプロモーター領域配列)は、プロモーター機能の導入がレポータ ー遺伝子の転写を生じる場合、および2つのDNA配列の間の連結の性質が、(1)フ レームシフト変異の導入を生じないか(レポータータンパク質活性がレポーター 遺伝子発現の検出のために必要な場合)、(2)レポーター遺伝子発現を指向する 発現調節配列の能力を妨げないか、または(3)レポーター遺伝子のプロモーター 領域配列により転写される能力を妨げない場合、作動可能に連結されるという。 従って、プロモーターは、プロモーターがそのDNA配列の転写に影響し得る場合 、DNA配列に作動可能に連結される。 同様の様式において、遺伝子発現を増強または抑制する、本発明の転写調節エ レメントは、そのようなプロモーターと作動可能に連結され得る。ヌクレオチド 鎖におけるエレメントの正確な配置は、エレメントが作動可能に連結されたプロ モーターの所望の効果が示され得る位置に位置する限り、重要ではない。DNAの ような核酸分子は、転写調節情報を含有する発現制御配列を含み、そしてそのよ うな配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結され る場合、ポリペプチドを「発現し得る」と言われる。完全な遺伝子発現制御のた めに、異種遺伝子に作動可能に連結される全ての転写および翻訳調節エレメント (またはシグナル)は、適切な宿主によって認識可能であるべきである。宿主に おける「認識可能な」ことによって、そのような宿主において、そのようなシグ ナルが機能的であることを意味する。 上記の方法を介して得られ、そして好ましくは、2本鎖形態である本発明のNKX 3.1転写調節エレメントは、異種遺伝子(例えば、レポーター遺伝子)と作動可 能に連結され(好ましくは発現ベクター中に)、そして宿主細胞(好ましくは真 核生物細胞)に導入され、レポーター遺伝子発現を評価し得る。好ましい真核生 物細胞としては、前立腺細胞株、絨毛癌細胞株、乳癌細胞株、前立腺癌細胞株お よび腎臓細胞株が挙げられる。 周知であるように、真核生物mRNAの翻訳は、第1メチオニンをコードするコド ンにおいて開始する。この理由により、真核プロモーターとレポーター遺伝子と の間の連結が、メチオニンをコードし得るいかなる介在コドンをも含まないこと を確実にすることが好ましい。そのようなコドンの存在は、融合タンパク質(AU Gコドンが異種タンパク質をコードするDNAと同一リーディングフレームに存在す る場合)またはフレームシフト変異(AUGコドンがレポーター遺伝子と同一リー ディングフレームでない場合)のいずれかの形成を生じる。 所望される場合、レポータータンパク質の融合タンパク質が、構築され得る。 例えば、レポータータンパク質をコードする配列は、特定の宿主からタンパク質 の分泌を可能にするか、または特定の細胞においてタンパク質の区画化を可能に するシグナル配列に連結され得る。そのようなシグナル配列は、シグナルペプチ ド配列が後の除去を受け入れられるように、特定のプロテアーゼ部位を有して、 または有さずに、設計され得る。あるいは、このタンパク質のネイティブのシグ ナル配列が、使用され得る。 本発明の転写調節エレメントは、抑制または活性化を可能にするために、選択 され得、その結果、作動可能に連結されたレポーター遺伝子が、調節され得る。 アンチセンスRNA配列を発現することが所望される場合、またはmRNA検出を介し たレポーター遺伝子発現のアッセイが所望される場合、翻訳シグナルは不要であ る。 所望される場合、レポーター遺伝子の3'の非転写および/または非翻訳領域は 、上記のクローニング方法によって得られ得る。3'非転写領域は、その転写終結 調節配列エレメントを保持し得;3'非翻訳領域は、その翻訳終結調節配列エレメ ントか、または真核生物細胞においてポリアデニル化を指向するエレメントを保 持し得る。ネイティブな発現制御配列シグナルが、宿主細胞において満足に機能 しない場合、次に宿主細胞において機能的な配列は、置換され得る。 本発明のDNA構築物を用いて哺乳動物細胞を形質転換するために、多くのベク ター系が利用可能である。ベクター系は、レポーター遺伝子産物を宿主細胞染色 体DNA中に挿入することが所望されるのか、または染色体外の形態において存在 させることが所望されるのかに依存する。レポーター遺伝子および作動可能に連 結されたプロモーターが、レシピエント真核生物細胞中に、非複製DNA(またはR NA)分子として導入される場合、直鎖状分子、またはより好ましくは、自律複製 が不可能な閉鎖共有結合環状分子のいずれかであり得、レポーター遺伝子の発現 は、導入された配列の一過性の発現を介して生じ得る。 遺伝的に安定的な形質転換体は、ベクター系または形質転換系を用いて構築さ れ得る。これにより、レポーター遺伝子は、宿主染色体中に組込まれる。そのよ うな組込みは、細胞内において、デノボで生じ得るか、または最も好ましい実施 態様においては、それ自身を宿主染色体中に機能的に挿入するベクターを用いる 形質転換により援助され得る。染色体に挿入し得るベクターとしては、例えば、 レトロウイルスベクター、トランスポゾンまたはDNA配列の染色体中への組込み を促進する他のDNAエレメント(特に、所望の染色体挿入部位に相同なDNA配列) が挙げられる。 導入DNAをその染色体中に安定的に組込んだ細胞はまた、所望の配列を有する 宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカーを導入することにより、選択さ れる。例えば、マーカーは、殺生剤耐性(抗生物質または銅などの重金属に対す る耐性)を提供し得る。選択マーカー遺伝子は、レポーター遺伝子と直接連結さ れ得るか、または同時トランスフェクションによって同一細胞に導入され得る。 別の実施態様において、導入された配列は、レシピエント宿主において自律複製 可能なプラスミドまたはウイルスベクター中に導入される。広範な種々の任意の ベクターは、以下に概要を述べるように、この目的のために使用され得る。特定 のプラスミドまたはウイルスベクターの選択において重要な要素は:ベクターを 含有するレシピエント細胞を認識し得、そしてベクターを含有しないレシピエン ト細胞から選択し得る容易さ;特定の宿主において所望されるベクターのコピー 数;ならびに異なる種の宿主細胞の間で、ベクターを「シャトル」し得ることが 所望されるか否か、を含む。 好ましい真核生物プラスミドとしては、ウシパピローマウイルス、ワクシニア ウイルス、およびSV40由来のプラスミドが挙げられる。そのようなプラスミドは 当該分野において周知であり、そして一般的であるか、または市販されている。 例えば、プラスミドコピー数を増幅するためにヘルパーウイルスと共に同時トラ ンスフェクトされ、そして宿主細胞の染色体中にプラスミドを組込むことが可能 である、哺乳動物細胞発現ベクター系が、記載されている(Perkins,A.S.ら、M ol.Cell Biol.3:1123(1983);Clontech,Palo Alto,California)。特に好ま しいのは、pCAT-Basic、pCAT-EnhancerおよびpCAT-Promoterベクター由来のベク ターである(Promega,Madison,WI)。 一旦、構築物を含有するベクターまたはDNA配列が、発現のために調製される と、DNA構築物は、任意の種々の適切な手段によって、適切な宿主細胞に導入さ れる。この手段としては、トランスフェクション、エレクトロポーレーションま たはリポソームによる送達が挙げられる。DEAEデキストラン、リン酸カルシウム 、および好ましくはトランスフェクション剤DOTAPは、トランスフェクションプ ロトコルにおいて有用であり得る。 インビトロにおけるベクターの導入後に、レシピエント細胞は、選択培地、す なわち、ベクターを含有する細胞の増殖について選択する培地において増殖する 。レポーター遺伝子の発現は、mRNAおよび所望される場合、レポータータンパク 質の産生を生じる。本発明に従って、この発現は、形質転換細胞において、連続 的な様式か、または制御された様式において生じ得る。所望される場合、インビ トロ培養物において、レポータータンパク質は、従来の方法(例えば、抽出、沈 殿、クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動など) に従って、単離および精製される。あるいは、レポータータンパク質発現のレベ ルは、従来タンパク質アッセイ(例えば、CAT発現系)に従って、アッセイされ 得る。 本発明のNKX3.1転写調節エレメント(すなわち、NKX3.1プロモーター、ならび に遺伝子発現を増強および/または抑制し得る単離された核酸分子)は、いずれ がNKX3.1もしくはその任意のスプライス改変体の発現に影響を与え得るのか決定 するための、薬物、リガンドおよび/または他のトランス活性化因子のスクリー ニングのために有用である。本発明によって、トランス活性化因子は、NKX3.1発 現をアップレギュレートまたはダウンレギュレートするそれらの能力によって同 定され得る。本明細書において使用する場合、「NKX3.1トランス活性化因子」に よって、薬物、リガンド、あるいは遺伝子発現を増強または抑制する本発明のNK X3.1転写調節エレメントに、直接的にまたは間接的のいずれかで相互作用し得る 他の化合物を意図する。本発明の転写調節エレメントに直接的に相互作用するそ のようなNKX3.1トランス活性化エレメントとしては、例えば、エレメントに直接 結合し、遺伝子発現を増強または抑制のいずれかをする因子が挙げられる。本発 明の転写調節エレメントに間接的に相互作用するNKX3.1トランス活性化因子とし ては、例えば、第2のトランス活性化因子(例えば、レセプター分子)(これ自 体は次に、単独でまたは第1のトランス活性化因子と複合体化してかのいずれか で、エレメントに結合して、遺伝子発現を増強または抑制のいずれかをする)に 結合し、その活性を誘導する因子が挙げられる。トランス活性化因子の1つのタ イプは、3重鎖形成オリゴヌクレオチドである。適切なオリゴヌクレオチドの投 与は、オリゴヌクレオチドとNKX3.1プロモーターの間での、3重らせんの形成を 生じ、これはプロモーターからの転写を阻害する(Ebbinghaus,S.W.ら、Gene Th erapy 3:287-297(1996);Roy,C.、Eur.J.Biochem.220.493-503(1994))。NKX 3.1遺伝子の5'領域のゲノム配列が、本明細書において与えられるので(図5A 〜Cおよび配列番号8を参照のこと)、当業者は、NKX3.1プロモーターからの発 現を阻害し得る適切なオリゴヌクレオチド(また「アンチセンス」オリゴヌクレ オチドとも呼ばれる)を容易に設計し得る。アンチセンス設計にとって特に有用 な1つの領域は、5'非翻訳領域であり(J.Biol.Chem.266:18162-18171(1991) )、これは当然のことながらcDNAに含まれないが、本明細書において開示される ゲノム配列中に含まれる。 従って、1つの局面において、本発明は、任意の所定の化合物が、NKX3.1プロ モーターからの発現をアップレギュレートまたはダウンレギュレート(NKX3.1産 生の増加または減少をもたらす)し得るか否かを決定するためのスクリーニング アッセイを提供する。 スクリーニングアッセイは、(1)本発明のNKX3.1転写調節エレメントおよびレ ポーター遺伝子を有する組換え核酸分子でトランスフェクトされた宿主細胞を提 供する工程であって、ここで転写エレメントは、レポーター遺伝子に作動可能に 連結される、工程;(2)候補NKX3.1トランス活性化因子をトランスフェクトされ た宿主細胞に投与する工程;ならびに(3)レポーター遺伝子発現に対する効果を 測定する工程、を包含する。 好ましい実施態様において、本発明は、NKX3.1プロモーターからの発現を変化 させ得る物質を同定するためのスクリーニングアッセイを提供し、このアッセイ は、以下の工程: (a)試験細胞において、レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程であって 、ここでこの試験細胞は、NKX3.1のプロモーターを含有するDNA分子と作動可 能に連結されたレポーター遺伝子を含有する組換えDNA分子を用いて形質転換 され、そしてここで候補NKX3.1トランス活性化因子は、この試験細胞に投与さ れる、工程; (b)コントロール細胞において、このレポーター遺伝子の発現レベルを測定する 工程であって、ここでこのコントロール細胞は、工程(a)の組換えDNA分子を用 いて形質転換される、工程;および (c)この試験細胞におけるこのレポーター遺伝子の発現レベルとこのコントロー ル細胞におけるこのレポーター遺伝子のレベルを比較する工程、 を包含する。 適切な、そして好ましい宿主細胞、トランスフェクション方法、発現ベクター 、プロモーター、およびレポーター遺伝子は、上記に記載され、そして当該分野 において公知である。 遺伝子治療 遺伝子治療は、有効な治療を欠く疾患状態および遺伝的障害を処置するための 方法として、提案されている。遺伝子治療技術はまた、タンパク質の発現を制御 し、そして細胞の事象を調節するその能力を評価するための方法として適用され 得る。 本発明のNKX3.1遺伝子のゲノムクローンが、単離された(図5A〜C)。この クローンは、前立腺組織特異的プロモーターであるようである、NKX3.1遺伝子の プロモーター領域を含有する。従って、NKX3.1プロモーター領域は、目的の任意 の遺伝子の発現を遺伝子治療技術において駆動するための、前立腺特異的DNAエ レメントとして有用であり得る。プロモーターエレメントは、図5A〜Cにおい て示される。 従って、例えば、患者由来の細胞は、エキソビボでポリペプチドをコードする ポリヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNA)を用いて、操作され得、次いで操作 された細胞は次にポリペプチドで処置されるべき患者に提供され得る。例えば、 細胞は、所望のポリペプチドをコードするRNAを含有するレトロウイルスプラス ミドベクターの使用によって、エキソビボにおいて操作され得る。そのような方 法は、当該分野において周知であり、そして本発明におけるそれらの使用は、本 明細書における開示から明らかである。 同様に、細胞は、当該分野で周知の手順によって、インビボにおいてポリペプ チドを発現するために、インビボにおいて操作され得る。例えば、ポリヌクレオ チドは、上記のように、複製欠損レトロウイルスベクターにおける発現のために 操作され得る。次にレトロウイルス発現構築物が、単離され得、そして所望のポ リペプチドをコードするRNAを含有するレトロウイルスプラスミドベクターを用 いて形質導入されるパッケージング細胞中に導入され得、その結果パッケージン グ細胞は、今や目的の遺伝子を含有する感染性ウイルス粒子を産生する。これら のプロデューサー細胞は、インビボにおいて細胞を操作するため、およびインビ ボにおいてポリペプチドを発現するために患者に投与され得る。そのような方法 による目的のポリペプチドの投与のための、これらおよび他の方法は、本発明の 開示から当業者にとって明らかである。 上記のレトロウイルスプラスミドベクターが由来し得るレトロウイルスとして は、モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルスの ようなレトロウイルス、ハーヴェイ(Harvey)肉腫ウイルス、トリ白血症ウイルス 、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、アデノウイルス、骨髄増 殖性肉腫ウイルス、およびマウス乳腺腫瘍ウイルスが挙げられるが、これらに限 定されない。1つの実施態様において、レトロウイルスプラスミドベクターは、 モロニーマウス白血病ウイルス由来である。 レトロウイルスプラスミドベクターは、パッケージング細胞株を形質導入する ために使用され、プロデューサー細胞株を形成する。トランスフェクトされ得る パッケージング細胞株の例としては、Miller A.、Human Gene Thrapy 1:5-14(19 90)に記載されるように、PE501、PA317、Y-2、Y-AM、PA12、T19-14X、VT-19-17- H2、YCRE、YCRIP、GP+E-86、GP+envAm12、およびDAN細胞株が挙げられるが、こ れらに限定されない。ベクターは、当該分野で公知の任意の手段を介して、パッ ケージ細胞に形質導入され得る。そのような手段としては、エレクトロポレーシ ョン、リポソームの使用、およびCaPO4沈殿が挙げられるが、これらに限定され ない。1つの代替として、レトロウイルスベクタープラスミドベクターは、リポ ソーム中に封入され得るか、または脂質と結合され、次に宿主に投与され得る。 プロデューサー細胞株は、感染性レトロウイルスベクター粒子を生成し、これ は、所望のポリペプチドをコードする核酸配列を含む。このようなレトロウイル ス粒子は,次にインビトロまたはインビボのいずれかにおいて、真核生物細胞を 形質導入するために、使用され得る。形質導入された真核生物細胞は、ポリペプ チドをコードする核酸配列を発現する。形質導入され得る真核生物細胞としては 、胚性幹細胞、胚性癌細胞、ならびに線維芽細胞、上皮細胞および内皮細胞が挙 げられるが、これらに限定されない。 レトロウイルスベクターに加え、種々のベクターもまた、遺伝子送達のために 開発されている。これらのベクターは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、 アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、およびレトロウイルス構築物に 由来する(総説のために、Friedmann,T.、Trends Genet 10:210-214(1994);Jo lly,D.、Cancer Gene Therapy 1(1994);Mulligan,R.C.、Science 260:926-93 2(1993);Smith,F.ら、Rest.Neurol.Neurosci.8:21-34(1995)を参照のこと) 。HSV-1に基づくベクター(組換えウイルスベクターおよびアンプリコンベクタ ーの両方を含む)、ならびにアデノウイルスベクターは、細胞核において染色体 外の状態にあり、そして限定された長期の遺伝子発現を媒介すると考えられ得る 。HSV-1アンプリコンベクターは比較的高力価まで増殖され得(107形質導入単位 /ml)、そして外来DNAの大きなフラグメント(1ビリオン中に10のコンカテマ ーのコピーをともなう、少なくとも15kb)を受け入れる能力を有し得る。ア ンプリコンベクターに匹敵する力価において利用可能なAAVベクター(rAAV)は 、アデノウイルスまたはヘルパーウイルスとしてのヘルペスウイルスとの組み合 わせにおいて、有糸分裂後のならびに有糸分裂細胞に、遺伝子(<4.5kb)を送 達し得る。長期のトランスジーン発現は、「エピソームの」エレメントの複製お よび形成によってか、および/または宿主細胞ゲノム中にランダムにまたは特定 の位置への組込みを介して、達成される(総説について、Samulski,R.J.、Curr ent Opinion in Genetics and Development 3:74-80(1993);Muzyczka,N.,Cur r.Top.Microbiol.Immunol.158:97-129(1992)を参照のこと)。HSV、アデノ ウイルスおよびrAAVベクターは、全て安定な粒子中にパッケージングされる。レ トロウイルスベクターは、7〜8kbの外来DNAを受け入れ得、そして宿主細胞ゲノ ム中に組込み得る。近年の研究は、異なるウイルス由来のエレメントが、ベクタ ーの送達容量を増加するために組み合わせられ得ることを実証した。例えば、HI Vビリオンのエレメント(マトリクスタンパク質およびインテグラーゼを含む) のレトロウイルスベクターへの組込みは、トランスジーンカセットが非有糸分裂 および有糸分裂細胞の核への進入、ならびに潜在的にこれらの細胞のゲノムへの 組込みを可能にし(Naldini,L.ら、Science 272:263-267(1996));そして水疱性 口炎ウイルスエンベロープ糖タンパク質(VSV-G)の封入は、レトロウイルス粒子 の安定性を増加する(Emi,N.ら、J.Virol.65:1202-1207(1991))。別の例と して、HSVベクター内への、エプスタイン‐バーウイルス(EBV)由来のエレメン ト−DNA複製起点、oriP、およびEBNA-1の封入は、分裂するヒト細胞におけるベ クターの核での複製を可能にする(WangおよびVos、印刷中)。 HSVおよびAAVの両方は、分裂中の細胞および分裂中でない細胞に遺伝子を送達 し得る。一般的に、HSVビリオンは、AAVビリオンよりも高度に感染性であると考 慮され、ウイルス粒子:感染性単位の比は、HSVについては10(Browne,H.ら、j .Virol.70:4311-4316(1996))、およびAAVについては数千まで(Snyder,R.O .ら、Current Protocols in Human Gentics、Dracopoli,N.ら、John Wiley an d Sons:New York(1996)、1〜24頁)の範囲内であり、そして両方は、広範な種 の範囲を有する。これらのベクターは、直鎖状の、二本鎖DNAを核に送達する。 複製コンピテントなHSVヘルパーウイルスがベクターDNAを伴う場合、それは、ロ ー リングサークルとして複製を開始する。ヘルパーウイルスが、複製欠損であるか 、または存在しない場合、アンプリコンDNAは、いずれの規定されるエピソーム 構造をも有しない、直鎖状染色体外エレメントとして存在すると考えられる。 HSV-1ベースのベクターは、HSV-1ヘルパーウイルスが存在下で、HSV-1ビリオ ンにおいて、コンカテマー(concatenate)としてDNAの複製およびパッケージン グを可能にする(Kwong,A.D.およびFrenkel,N.、Viral Vectors、M.G.Kaplitt およびA.D.Loewy編、Academic Press:New York(1995)、25-42頁)。HSV-1または AAVのいずれかに基づくベクターは、当該分野で周知のHSV-1またはAAVいずれか のヘルパーウイルスパッケージング系を用いて生成され得る。さらに、ベクター は、Fraefel,C.ら(J.Virol.70:7190-7197(1996))によるヘルパーウイルスな しのパッケージング系を使用して、ヘルパーウイルスなしで、生成され得る。 これらの遺伝子治療ベクターは、ヘルペスウイルス粒子コートまたはアデノ随 伴ウイルス粒子コートのいずれかにおいて封入される場合、標的宿主細胞に結合 し得、そしてベクターによって保有されるポリヌクレオチド配列を標的宿主細胞 に導入し得る。 癌および腫瘍の処置のために、遺伝子治療は、腫瘍細胞に対して毒性であるか 、または毒性効果を誘発し得るタンパク質を発現する遺伝子を、腫瘍細胞に導入 するために使用され得る。ベクターによる新生物細胞への移入のための遺伝子は 、通常は宿主新生物細胞における遣伝子産物の発現によって宿主細胞を標的化す る遺伝子から選択される。「遺伝子産物」とは、広範に特定の遺伝子によってコ ードされる遺伝子をいう。本発明の目的のために、遺伝子産物はまた、遺伝子の 転写産物(特にアンチセンスRNAとしての使用のため)を含む。遺伝子は、その 遺伝子産物が宿主細胞を同定するために作用し、宿主細胞を、化学療法剤に対し てより感受性にするために宿主細胞の増殖を減速させるかまたは一過的に刺激す るか、および/またはその産物が宿主細胞を細胞死へと標的化する遺伝子から選 択される。細胞死は、宿主細胞(遺伝子産物を含有する)、引き続く処置(物理 的または化学的処置のいずれか)と接触させることにより達成され得る。あるい は、遺伝子産物自体が、宿主細胞を死滅させるために作用し得るか、または細胞 増殖を減速させ得る。そのような遺伝子および遺伝子産物は、当該分野において 公知 である。本ハイブリッドベクターによって標的化される宿主細胞は、ハイブリッ ドベクターが感染して、そして所望の遺伝子産物を発現し、従ってハイブリッド ベクターによって感染した新生物細胞を構成し得る細胞である。 有用な遺伝子産物は:細胞増殖を抑制する転写因子をコードする腫瘍サプレッ サー遺伝子(例えば、網膜芽細胞腫についてのRb遺伝子または結腸癌におけるp53 遺伝子(Huangら、Science 242:1563-1566(1988);Barkerら、Science 249:912-9 15(1980)));細胞から放出される毒性タンパク質(例えば、EGFリガンドと結合 した毒素を含有する融合タンパク質(Heinbrookら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:4697(1990)));それ自体が選択的に細胞を死滅し得る産物(例えば、宿主 細胞がさらなる細胞増殖および分裂を行い得ないように作用する複製タンパク質 のような必須の細胞タンパク質についてのアンチセンス核酸(Rosengbergら、Nat ure 313:703-706(1985);Preissら、Nature 313:27-32(1985)McGarryら、Proc.N atl.Acad.Sci.USA 83:399-403(1986)));およびチミジンキナーゼのような プロドラッグ活性化遺伝子(Krammら、Brain Pathology 5:345-381(1995))、を含 む。 従って、本発明の1つの実施態様は、上記のレトロウイルスまたはアンプリコ ンベクターのいずれかに含まれる目的のポリペプチドをコードし、そして本発明 のNKX3.1プロモーター領域の制御下に配置される核酸配列を提供する。従って、 目的の遺伝子に作動可能に連結されたNKX3.1前立腺特異的プロモーターエレメン トを有するそのようなベクターは、そのような遺伝子の発現を前立腺組織に特異 的に標的化し得るベクターを提供する。 染色体アッセイ 本発明の核酸分子はまた、染色体同定に有用である。この配列は、個々のヒト 染色体上の特定の位置に特異的に標的化され、そしてその位置とハイブリダイズ し得る。本発明に従う染色体へのDNAのマッピングは、それらの配列を、疾患に 関連した遺伝子と相関づけることにおいて重要な第一段階である。 この点における特定の好ましい実施態様において、本明細書中で開示されるcD NAは、NKX3.1タンパク質遺伝子のゲノムDNAをクローニングするために用いられ る。これは、一般的に市販されている、種々の周知の技術およびライブラリーを 用いて達成され得る。次いで、この目的のための周知の技術を用いて、インサイ チュ染色体マッピングのためにゲノムDNAが用られる。 さらに、いくつかの場合において、配列は、cDNAからPCRプライマー(好ましく は、15〜25bp)を調製することにより、染色体にマッピングされ得る。遺伝子の 3'非翻訳領域のコンピューター分析を用いて、ゲノムDNAにおいて1より多いエ キソンにまたがらず、従って、増幅プロセスを複雑化しないプライマーを迅速に 選択する。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含有する体細胞 ハイブリッドのPCRスクリーニングのために用いられる。 中期染色体スプレッドに対するcDNAクローンの蛍光インサイチュハイブリダイ ゼーション(「FISH」)を用いて、一工程で、正確な染色体位置を提供し得る。この 技術は、50または60bp程度の短いcDNA由来のプローブと共に用いられ得る。この 技術の概説については、Vermaら、Human Chromosomes:A Manual of Basic Tech niques,Pergamon Press,New York(1988)を参照のこと。 一旦、配列が正確な染色体位置にマッピングされると、染色体上の配列の物理 的な位置は、遺伝子マップデータと相関づけられ得る。このようなデータは、例 えば、V.McKusick,Mendelian Inheritance In Man(Johns Hopkins University ,Welch Medical Libraryからオンラインで入手可能である)に見出される。次い で、同じ染色体領域にマッピングされた遺伝子と疾患との間の関係が、連鎖解析 (物理的に隣接した遺伝子の共遺伝)によって同定される。 次に、罹患個体と非罹患個体との間でのcDNAまたはゲノム配列における差異を 決定することが必要である。変異がいくつかまたは全ての罹患個体において認め られるが、いずれの正常個体にも認められない場合、その変異は、疾患の原因因 子である可能性が高い。 NKX3.1遺伝子は、8p21(前立腺癌の60〜80%までにおいて欠失し、このことが 前立腺組織表現型のアンドロゲン駆動性の維持におけるこの遺伝子についての役 割を示唆する)に位置するようである(以下の実施例6を参照のこと)。 本発明に一般的に記載されるように、以下の実施例を参照することにより、本 発明は、より容易に理解されるが、以下の実施例は、例示の目的で提供され、限 定として意図されない。 実施例 実施例1:E.coliにおけるNKX3.1の発現および精製 細菌性発現ベクターpQE9(pD10)を、本実施例において、細菌性発現のために使 用する(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue Chatsworth,CA,91311)。pQE9はアン ピシリン抗生物質耐性(「Ampr」)をコードし、そして細菌の複製起点(「ori」)、IPT G誘導性プロモーター、リボゾーム結合部位(「RBS」)、QIAGEN,Inc.,(前出) より販売されるニッケル−ニトリロ三酢酸(「Ni-NTA」)親和性樹脂を用いる親 和性精製を可能にするヒスチジン残基をコードする6つのコドン、および適切な 単一の制限酵素切断部位を含む。これらのエレメントは、ポリペプチドをコード する挿入されたDNAフラグメントが、そのポリペプチドのアミノ末端に共有結合 的に連結された6つのHis残基(すなわち、「6×Hisタグ」)を伴うポリペプチ ドを発現するように、配置される。 疎水的リーダー配列を欠失するNKX3.1タンパタ質の所望の部分をコードするDN A配列を、NKX3.1タンパク質の所望の部分のアミノ末端配列、および寄託された 構築物におけるcDNAコード配列の3'配列とアニールするPCRオリゴヌクレオチド プライマーを用いて寄託されたcDNAクローンから増幅する。pQE9ベクターにおけ るクローニングを容易にする制限部位を含むさらなるヌクレオチドを、それぞれ 、5'および3'プライマー配列に付加する。 成熟タンパク質のクローニングのために、5'プライマーは、下線を付したBam HI制限部位、続いて図1のNKX3.1配列のアミノ末端コード配列に相補的な18ヌク レオチドを含む、配列5'-GCGGGATCCATGCTCAGGGTTCCGGAG-3'(配列番号15)を 有する。当然のことながら、当業者は、5'プライマーが始まるタンパク質コード 配列における点は、完全な配列より短いか、または長い完全なNKX3.1タンパク質 の任意の所望の部分コードするDNAセグメントを増幅するために変化し得ること を、理解する。3'プライマーは、下線を付したHindIII制限部位、続いて図1の NKX3.1 DNA配列中の非コード配列に相補的な18ヌクレオチドを含む、配列5'-GCGAGCTT TTACCCAAAAGCTGGGCT-3'(配列番号16)を有する。 増幅されたNKX3.1 DNAフラグメントおよびベクターpQE9を、BamHIおよびHindI IIで消化し、次いで消化されたDNAを、一緒に連結する。制限化されたpQE9ベク ターへNKX3.1 DNAを挿入することによって、IPTG誘導性プロモーターの下流に、 かつ開始AUGおよび6つのヒスチジンコドンとインフレームに、NKX3.1タンパク 質コード領域を配置する。 連結混合物で、標準的な手順(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:a L aboratory Manual、第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spri ng Harbor,N.Y.(1989)に記載されるような手順)を使用してコンピテントなE.c oliを形質転換する。プラスミドpREP4の複数のコピーを含有するE.coli株M15/re p4(lacリプレッサーを発現し、カナマイシン耐性(「Kanr」)を付与する)を 使用して、本明細書において記載される説明のための実施例を行う。NKX3.1タン パク質の発現に適切である多くの株の1つにすぎないこの株は、QIAGEN,Inc.( 前出)より市販されている。形質転換体は、アンピシリンおよびカナマイシン存 在下におけるLBプレート上で増殖するその能力によって同定される。プラスミド DNAを耐性コロニーから単離し、そしてクローニングされたDNAの同一性を、制限 分析、PCRおよびDNA配列決定によって確認する。 所望の構築物を含むクローンを、アンピシリン(100μg/ml)およびカナマイシ ン(25μg/ml)の両方を補充したLB培地における液体培養物中で一晩(「O/N」)増殖 させる。O/N培養物を用いて約1.25〜1:250の希釈率で大規模培養物に接種する。 細胞を、0.4と0.6との間の600nmでの光学密度(「OD600」)にまで増殖させる。次い で、イソプロピル-b-D-チオガラクトピラノシド(「IPTG」)を添加して1mMの最終濃 度にして、lacIリプレッサーを不活化することにより、lacリプレッサー感受性 プロモーターからの転写を誘導する。細胞をさらに3時間から4時間の間引き続 きインキュベートする。次いで細胞を遠心分離により採集する。 次に、細胞を6Mグアニジン-HCl,pH8中で、4℃で3〜4時間の間、攪拌する。 細胞の細片を遠心分離によって除去し、そしてNKX3.1を含有する上清をニッケル −ニトリロ三酢酸(「NiNTA」)親和性樹脂カラム(QIAGEN,Inc.(前出)より入手 可能)にロードする。6×Hisタグを有するタンパク質は、NI-NTA樹脂に高親和性 で結合し、そして単純な一工程手順において精製され得る(詳細については、Th e QIAexpressionist,1995,QIAGEN,Inc.(前出)を参照のこと)。手短には、 上清を、6Mグアニジン-HCl,pH8中でカラムにロードして、カラムを10容量の6M グアニジン-HCl,pH8でまず洗浄して、次に、10容量の6Mグアニジン-HCl,pH6で 洗浄し、最後にNKX3.1を6Mグアニジン-HCl,pH5を用いて溶出する。 次に、精製されたタンパク質を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)または50mM Na-酢酸,pH6緩衝液および200mM NaClに対して透析することにより、再生する。 あるいは、タンパク質は、Ni-NTAカラムに固定化されている間に首尾良く再折り 畳みされ得る。推奨される条件は、以下のとおりである:プロテアーゼインヒビ ターを含有する、500mM NaCl、20%グリセロール、20mM Tris/HCl、pH7.4中の6M 〜1M尿素の直線な勾配を用いて再生する。再生は、1.5時間以上の時間にわたり 行われるべきである。再生後、タンパク質を、250mMイミダゾール添加によって 、溶出し得る。イミダゾール、PBSまたは50mM酢酸ナトリウム,pH6緩衝液および 200mM NaClに対する最後の透析工程によって除去する。精製されたタンパク質を 、4℃にて保存するか、または-80℃で凍結する。 実施例2:.バキュロウイルス発現系におけるNKX3.1タンパク質のクローニング および発現 この例示的実施例において、プラスミドシャトルベクターpA2GPを用いて、タ ンパク質をコードするクローニングされたDNAを、NKX3.1タンパク質を発現する バキュロウイルスに、バキュロウイルスリーダー、およびSummersら、A Manual of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Culture Procedures、T exas Agricultural Experimental Station Bulletin第1555号(1987)に記載のよ うな標準的な方法を用いて挿入する。この発現ベクターは、Autographa califor nica核多角体病ウイルス(AcMNPV)の強力なポリヘドリンプロモーター、続いてバ キュロウイルスgp67タンパク質の分泌シグナルペプチド(リーダー)およびBamH I、XbaIおよびAsp718のような都合良い制限部位を含む。シミアンウイルス40( 「SV40」)のポリアデニル化部位を、効率的なポリアデニル化のために用いる。 組換えウイルスの平易な選択のために、プラスミドは、同じ方向で、弱いDrosop hilaプロモーターの制御下で、E.coli由来のβガラクトシダーゼ遺伝子を含み、 続いて、ポリヘドリン遺伝子のポリアデニル化シグナルを含む。挿入された遺伝 子は、野生型ウイルスDNAとの細胞媒介性相同組換えのためにウイルス配列の両 側に隣接して、クローニングされたポリヌクレオチドを発現する生存可能なウイ ルスを産生する。 当業者に容易に理解されるように、構築物が、必要ならば、シグナルペプチド およびインフレームAUGを含む、転写、翻訳、分泌などのための適切に配置され たシグナルを提供する限り、多くの他のバキュロウイルスベクターを、上記のベ クター(例えば、pAc373、pVL941、およびpAcIM1)の代わりに用い得る。このよ うなベクターは、例えば、Luckowら、Virology 170:31〜39に記載される。 図1に示される(配列番号2)寄託されたクローン中に、NKX3.1タンパク質を コードするcDNA配列を、遺伝子の5'配列および3'配列に対応するPCRオリゴヌク レオチドプライマーを用いて増幅する。 5'プライマーは、下線を付したBamHI制限部位、続いて図1に示す、成熟タン パク質の示されたN末端で開始する成熟NKX3.1配列の18塩基を含む、配列5'-GCGG GATCC CATGCTCAGGGTTCCGGAG-3'(配列番号17)を有する。3'プライマーは、下線 を付したBamHI制限部位、続いて図1の3'非コード配列に相補的な18ヌクレオチ ドを含む、配列5'-GCGGATCCTTACCCAAAAGCTGGGCT-3'(配列番号18)を有する。 増幅されたフラグメントを、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc.,La Jolla,Ca)を用いて、1%アガロースゲルから単離する。次いで、このフラグ メントを、BamHIで消化し、そして、再度1%アガロースゲル上で精製する。こ のフラグメントを本明細書において「F1」と称する。 プラスミドを、制限酵素BamHIで消化し、そして必要に応じて、当該分野で公 知の慣用技術を用いて、仔ウシ腸ホスファターゼを用いて脱リン酸化し得る。次 いで、このDNAを、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc.,La Jolla,Ca) を用いて1%アガロースゲルから単離する。このベクターDNAを、本明細書中で 「V1」と称する。 フラグメントF1および脱リン酸化プラスミドV1を一緒に、T4 DNAリガーゼで連 結する。E.coli HB101またはXL-1 Blue(Stratagene Cloning Systems,La Joll a,CA)細胞のような他の適切なE.coli宿主を、連結混合物で形質転換し、そし て培養プレートに塗布する。PCR法(ここで、プライマーの1つは遺伝子を増幅 するために使用され、第2のプライマーは、十分にベクターの内部由来であり、 その結果NKX3.1遺伝子フラグメントを含有する細菌コロニーのみがDNAの複製を 示す)を用いて、ヒトNKX3.1遺伝子を有するプラスミドを含有する細菌を同定す る。クローン化フラグメントの配列を、DNA配列決定によって確認する。このプ ラスミドを、本明細書中で、pBacNKX3.1と称する。 5μgのプラスミドpBacNKX3.1を、FelgnerらProc.Natl.Acad.Sci.USA 84: 7413-7417(1987)によって記載されるリポフェクション法を用いて、1.0μgの市 販の線状化バキュロウイルスDNA(「BaculoGoldTM baculovirus DNA」,Pharmin gen,San Diego,CA.)とともに同時トランスフェクトする。1μgのBaculoGoldT M ウイルスDNAおよび5μgのプラスミドpBacNKX3.1を、50μlの無血清グレース培 地(Life Technologies Inc.,Gaithersburg,MD)を含むマイクロタイタープレ ートの滅菌ウェル中で混合する。その後、10μlのリポフエクチンおよび90μlの グレース培地を添加し、混合し、そして室温にて15分間インキュベートする。次 いで、このトランスフェクション混合物を、無血清グレース培地1mlを有する35 mm組織培養プレート内に播種されたSf9昆虫細胞(ATCC CRL 1711)に滴下する。 新たに添加した溶液を混合するために、プレートを前後に揺らす。次いでプレー トを、27℃で5時間インキュベートする。5時間後に、トランスフェクション溶 液をプレートから除去し、そして10%ウシ胎児血清を補充した1mlのグレース昆 虫培地を添加する。プレートをインキュベータに戻して、培養を、27℃で4日間 継続する。 4日後、上清を回収し、そしてSummersおよびSmith(前出)に記載されるよう にプラークアッセイを行う。「Blue Gal」(Life Technologies Inc.,Gaithers burg)を有するアガロースゲルを用いて、青色染色されたプラークを生じるgal 発現クローンの簡素な同定および単離を可能にする。(このタイプの「プラータ アッセイ」の詳細な説明はまた、Life Technologies Inc.、Gaithersburg、によ って配布されるThe user's guide for insect cell culture and baculovirolog y(9〜10頁)においても見い出され得る)。適切なインキュベーション後、青 色染色されたプラークをマイクロピペッター(例えば、Eppendorf)のチップで 拾う。次いで、組換えウイルスを含む寒天を、200μlのグレース培地を含む微小 遠心管中に再懸濁する。そして、組換えバキュロウイルスを含む懸濁液を用いて 、35mmディッシュに播種されたSf9細胞に感染させる。4日後、これらの培養デ ィッシュの上清を収集し、次いでそれらを4℃で保存する。この組換えウイルス をV-NKX3.1と称する。 NKX3.1遺伝子の発現を確認するために、Sf9細胞を、10%熱非働化FBSを補充し たグレース培地中で増殖させる。細胞に、約2の感染多重度(「MOI」)で組換 えバキュロウイルスV-NKX3.1を感染させる。6時間後にその培地を除去し、そし てメチオニンおよびシステインを除いたSF900 II培地(Life Technologies Inc. ,Rockville,MDから入手可能)に置き換える。放射標識タンパク質が所望され る場合、42時間後に、5μCiの35S-メチオニンおよび5μCiの35S-システイン (Amershamから入手可能)を添加する。細胞をさらに16時間インキュベートし、 次いで細胞を遠心分離により収集する。上清中のタンパク質および細胞内タンパ ク質をSDS-PAGE、続いて(放射性標識された場合)オートラジオグラフィーによ り分析する。精製タンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列の微量配列決定を用い て、成熟タンパク質のアミノ末端配列、および従って分泌シグナルペプチドの切 断点および長さを決定し得る。 実施例3:哺乳動物細胞におけるNKX3.1のクローニングおよび発現 代表的な哺乳動物発現ベクターは、プロモーターエレメント(mRNAの転写の開 始を媒介する)、タンパク質コード配列、ならびに転写の終結および転写物のポ リアデニル化に必要なシグナルを含む。さらなるエレメントとしては、エンハン サー、Kozak配列、ならびにRNAスプライシングのためのドナー部位およびアクセ プター部位に隣接する介在配列が挙げられる。非常に効率的な転写を、SV40由来 の初期および後期プロモーター、レトロウイルス(例えば、RSV、HTLVI、HIVI) 由来の長末端反復(LTR)ならびにサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモー ターを用いて達成し得る。しかし、細胞性エレメント(例えば、ヒトアクチンプ ロモーター)もまた使用され得る。本発明の実施における使用に適切な発現ベク ターとしては、例えば、pSVLおよびpMSG(Pharmacia,Uppsala,Sweden)、pRSV cat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)、ならびにpBC12MI(ATCC 67109) のようなベクターが挙げられる。使用され得る哺乳動物宿主細胞としては、ヒト Hela細胞、293細胞、H9細胞およびJurkat細胞、マウスNIH3T3細胞およびC127細 胞、Cos1細胞、Cos7細胞およびCV1細胞、ウズラQC1-3細胞、マウスL細胞、なら びにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。 あるいは、遺伝子は、染色体に組み込まれたその遺伝子を含む安定な細胞株に おいて発現され得る。選択マーカー(例えば、dhfr、gpt、ネオマイシン、また はハイグロマイシン)との同時トランスフェクションは、トランスフェクトされ た細胞の同定および単離を可能にする。 トランスフェクトされた遺伝子はまた、増幅され、大量のコードされたタンパ ク質を発現し得る。DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)マーカーは、目的の遺伝 子の数百または数千ものコピーを有する細胞株を開発するのに有用である。別の 有用な選択マーカーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(Murphyら、Bi ochem J.227:277-279(1991);Bebbingtonら、Bio/Technology 10:169-175(1992 ))。これらのマーカーを使用して、哺乳動物細胞を選択培地において増殖させ 、そして最も高い耐性を有する細胞を選択する。これらの細胞株は染色体に組み 込まれた増幅された遺伝子を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およ びNSO細胞は、タンパク質の産生にしばしば使用される。 発現ベクターpC1およびpC4は、ラウス肉腫ウイルスの強力なプロモーター(LT R)(Cullenら、Molecular and Cellular Biology,438-447(1985年3月))お よびCMVエンハンサーのフラグメント(Boshartら、Cell 41:521-530(1985)) を含む。複数のクローニング部位(例えば、制限酵素切断部位BamHI、XbaI、お よびAsp718を有する)は、目的の遺伝子のクローニングを容易にする。ベクター はさらに、ラットプレプロインシュリン遺伝子の3'イントロン、ポリアデニル化 シグナル、および終結シグナルを含む。 実施例3A:COS細胞におけるクローニングおよび発現 発現プラスミドpNKX3.1HAを、NKX3.1をコードするcDNAを発現ベクターpcDNAI/ AmpまたはpcDNAIII(これらは、Invitrogen,Inc.から入手し得る)へクローニン グすることによって作製する。 発現ベクターpcDNAI/ampは以下を含む:(1)E.coliおよび他の原核生物細胞に おける増殖に有効なE.coli複製起点;(2)プラスミド含有原核生物細胞の選択の ためのアンピシリン耐性遺伝子:(3)真核生物細胞における増殖のためのSV40複 製起点;(4)CMVプロモーター、ポリリンカー、SV40イントロン;(5)cDNAが都 合良くCMVプロモーターの発現制御下におかれ、そしてポリリンカーにおける制 限部位の手段によってSV40イントロンおよびポリアデニル化シグナルに作動可能 に連結され得るように配置された、赤血球凝集素フラグメント(すなわち、精製 を容易にするための「HA」タグ)をコードするいくつかのコドンに続く終止コド ンおよびポリアデニル化シグナル。HAタグは、Wilsonら、Cell 37:767(1984)に よって記載されたインフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープ に対応する。標的タンパク質へのHAタグの融合は、HAエピトープを認識する抗体 を用いた、組換えタンパク質の容易な検出および回収を可能にする。pcDNAIIIは さらに、選択可能なネオマイシンマーカーを含む。 NKX3.1をコードするDNAフラグメントを、組換えタンパク質発現がCMVプロモー ターによって指向されるように、ベクターのポリリンカー領域にクローン化する 。プラスミド構築戦略は、以下のとおりである。寄託されたクローンのNKX3.1 c DNAを、E.coliにおけるNKX3.1発現のためのベクターの構築について先に記載さ れるのと同じように、都合の良い制限部位を含むプライマーを用いて増幅する。 適切なプライマーは、以下の本実施例に使用されるプライマーを含む。5'プライ マーは、下線を付したBamHI部位、コザック配列、AUG開始コドン、および完全な NKX3.1の5'コード領域の18ヌクレオチドを含み、以下の配列を有する:5'-GCGGG ATCC CATGCTCAGGGTTCCGGAG-3'(配列番号17)。3'プライマーは、下線を付したBa mHI制限部位、終止コドン、3'コード配列の18塩基を含み、以下の配列を有する (3'末端に):5'-GCGGATCCTTACCCAAAAGCTGGGCT-3'(配列番号18)。 PCR増幅DNAフラグメントおよびベクターpcDNAI/Ampを、BamHIで消化し、次い で連結する。連結混合物で、E.coli株SURE(Stratagene Cloning Systems,11099 North Torrey Pines Road,La Jolla,CA 92037より入手可能)を形質転換し、 そして形質転換培養物をアンピシリン培地プレートにプレートして、次いでイン キュベートしてアンピシリン耐性コロニーの増殖を可能にする。プラスミドDNA を耐性コロニーから単離し、そしてNKX3.1をコードするフラグメントの存在につ いて制限分析または他の手段によって試験する。 組換えNKX3.1の発現のために、COS細胞を、例えば、Sambrookら,Molecular C loning:a Laboratory Manual,Cold Spring Laboratory Press,Cold Spring Ha rbor,New York(1989)に記載のようにDEAE-DEXTRANを用いて、上記のように発現 ベクターでトランスフェクトする。細胞を、ベクターによるNKX3.1の発現のため の条件下でインキュベートする。 NKX3.1-HA融合タンパク質の発現を、例えば、Harlowら,Antibodies:A Labora tory Manual,第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harb or,NewYork(1988)に記載の方法を用いて放射標識化および免疫沈降法によって 検出する。この目的のため、トランスフェクションの2日後に、細胞を、35S-シ ステインを含む培地中で8時間インキュベートすることによって標識する。細胞 および培地を採取し、そして細胞を洗浄し、そしてWilsonら(上記に引用される )に記載されるように界面活性剤含有RIPA緩衝液:150mM NaCl、1% NP-40、0. 1% SDS、0.5% DOC、50mM TRIS、pH7.5で溶解する。タンパク質を、HA特異的モ ノクローナル抗体を用いて細胞溶解物および培養培地から沈降させる。次いで、 沈降されたタンパク質を、SDS-PAGEおよびオートラジオグラフィーによって分析 する。期待されるサイズの発現産物は、細胞溶解物において観察され、これはネ ガティブコントロールにおいては見られない。 実施例3B:CHO細胞におけるクローニングおよび発現 ベクターpC4を、NKX3.1タンパク質の発現のために使用する。プラスミドpC4は 、プラスミドpSV2-dhfr(ATCC受託番号37146)の誘導体である。このプラスミド は、SV40初期プロモーターの制御下で、マウスDHFR遺伝子を含む。これらのプラ スミドでトランスフェクトされているジヒドロ葉酸活性を欠如するチャイニーズ ハムスター卵巣細胞または他の細胞は、化学療法剤メトトレキサートを補充した 選択培地(αマイナスMEM、Life Technologies)中で細胞を増殖させることによ って選択され得る。メトトレキサート(MTX)に耐性である細胞におけるDHFR遺伝 子の 増幅は、十分に考証されている(例えば、Alt,F.W.,Kellems,R.M.,Bertino, J.R.およびSchimke,R.T.,1978,J.Biol.Chem.253:1357-1370、Hamlin,J.L.およ びMa,C.1990,Biochem.et Biophys.Acta,1097:107-143、Page,M.J.およびSy denham,M.A.1991,Biotechnology 9:64-68を参照のこと)。漸増濃度のMTXにお いて増殖した細胞は、DHFR遺伝子の増幅の結果として、標的酵素DHFRを過剰産生 することによって薬物への耐性を生じる。第2の遺伝子がDHFR遺伝子と連鎖する 場合、通常、同時増幅され、そして過剰発現される。増幅した遺伝子の1,000を 超えるコピーを有する細胞株を開発するためにこのアプローチを使用し得ること は、当該分野において公知である。続いて、メトトレキサートが取り除かれると 、宿主細胞の1つ以上の染色体に組み込まれた増幅遺伝子を含む細胞株が得られ る。 プラスミドpC4は、目的の遺伝子の発現のために、ラウス肉腫ウイルス(Culle nら、Molecular and Cellular Biology,1985年3月:438-447)の長末端反復(LT R)の強力なプロモーター、およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)(Boshart ら、Cell 41:521-530(1985))の前初期遺伝子のエンハンサーから単離されたフ ラグメントを含む。プロモーターの下流には、遺伝子の組み込みを可能にするBa mHI、XbaI、およびAsp718制限酵素切断部位が存在する。これらのクローニング 部位の後ろに、プラスミドは、ラットプレプロインスリン遺伝子の3'イントロン およびポリアデニル化部位を含む。他の高効率プロモーターもまた、例えば、ヒ トβアクチンプロモーター、SV40初期もしくは後期プロモーター、または他のレ トロウイルス(例えば、HIVおよびHTLVI)由来の長末端反復の発現のために使用 され得る。ClontechのTet-OffおよびTet-On遺伝子発現系および類似する系は、 哺乳動物細胞において調節された方法でNKX3.1を発現するために使用され得る(G ossen,M.およびBujard,H.1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547-5551)。mRNA のポリアデニル化のために、他のシグナル(例えば、ヒト成長ホルモンまたはグ ロビン遺伝子由来)も、同様に使用され得る。染色体に組み込まれた目的の遺伝 子を有する安定な細胞株もまた、選択マーカー(例えば、gpt、G418、またはハ イグロマイシン)との同時トランスフェクションに際して選択され得る。最初は 、1つより多い選択マーカー(例えば、G418およびメトトレキサート)を使用す ることが、有利である。 プラスミドpC4を、制限酵素BamHIで消化し、次いで仔ウシ腸ホスファターゼを 用いて、当該分野で公知の手順によって脱リン酸化する。次いで、ベクターを、 1%アガロースゲルから単離する。 リーダー配列を含む完全NKX3.1タンパク質をコードするDNA配列を、この遺伝 子の5'および3'配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅 する。5'プライマーは、下線を引いたBamHI制限酵素部位、続いて、真核生物に おける翻訳を開始するために効率的なシグナル(Kozak,M.,J.Mol.Biol.196: 947-950(1987)により記載される)、および図1(配列番号1)に示した18塩基 のNKX3.1のコード配列を含む以下の配列を有する:5'GCGGGATCCCATGCTCAGGGTTCC GGAG3'(配列番号17)。3'プライマーは、下線を引いたBamHI制限部位、続いて 、図1(配列番号1)に示したNKX3.1遺伝子の非翻訳領域に相補的な18ヌクレオ チドを含む以下の配列を有する:5'GCGGATCCTTACCCAAAAGCTGGGCT3'(配列番号19 )。 増幅させたフラグメントを、エンドヌクレアーゼであるBamHIで消化し、次い で1%アガロースゲルで再度精製する。次いで、単離したフラグメントおよび脱 リン酸化ベクターを、T4 DNAリガーゼで連結する。次いで、E.coli HB101または XL-1 Blue細胞を形質転換し、そして例えば制限酵素分析を用いてプラスミドpC4 に挿入されたフラグメントを含む細菌を同定する。 活性なDHFR遺伝子を欠如するチャイニーズハムスター卵巣細胞を、トランスフ ェクションのために使用する。5μgの発現プラスミドpC4を、リポフェクチン法 (Felgnerら、前出)を用いて、0.5μgのプラスミドpSV2-neoとともに同時トラ ンスフェクトする。プラスミドpSV2-neoは、優性選択マーカー(G418を含む一群 の抗生物質に対する耐性を与える酵素をコードするTn5由来のneo遺伝子)を含む 。細胞を、1mg/mlのG418を補充したαマイナスMEMに播種する。2日後、細胞を トリプシン処理し、そして10、25、または50ng/mlのメトトレキサートおよび1m g/ml G418を補充したαマイナスMEM中のハイブリドーマクローニングプレート( Greiner,Germany)に播種する。約10〜14日後、単一のクローンをトリプシン処 理し、次いで異なる濃度のメトトレキサート(50nM、100nM、200nM、400nM、800 nM)を用いて、6ウェルペトリ皿または10mlフラスコに播種する。次いで、最高 濃度のメトトレキサートで増殖するクローンを、さらに高濃度のメトトレキサー ト(1μM、2μM、5μM、10mM、20mM)を含む新たな6ウェルプレートに移す 。同じ手順を、100〜200μMの濃度で増殖するクローンが得られるまで繰り返す 。所望の遺伝子産物の発現を、例えば、SDS-PAGEおよびウェスタンブロット分析 または逆相HPLC分析によって分析する。 実施例4:NKX3.1 mRNA発現の組織分布 NKX3.1発現の組織特異性を試験するために、2つの別個のノーザン分析を、と りわけSambrookら(上で引用)により記載された方法を使用して、重複するセット のヒト組織由来のmRNAを用いて行った。 材料および方法 NKX3.1タンパク質の完全ヌクレオチド配列(配列番号1)を含むcDNAプローブを 、製造者の説明書に従って、rediprimeTM DNA標識システム(Amersham Life Scie nce)を使用して32Pで標識した。標識後、プローブを、製造者のプロトコール番 号PT1200-1に従って、CHROMA SPIN-100TMカラム(Clontech Laboratories,Inc.) を使用して精製した。次いで、精製した標識プローブを使用して、様々なヒト組 織を、NKX3.1 mRNAについて試験した。 種々のヒト組織(H)またはヒト免疫系組織(IM)を含む多重組織ノーザン(MTN)ブ ロットを、Clontechから得、そして、製造者のプロトコール番号PT1190-1に従っ て、ExpressHybTMハイブリダイゼーション溶液(Clontech)を使用して、標識プ ローブを用いて試験する。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の後、ブロットを マウントし、-70℃で一晩フィルムに曝露し、そしてフィルムを標準的手順に従 って現像する。 細胞株を10%ウシ胎仔血清を含有する培地で増殖した。ヒト末梢血液リンパ球 (HuPBL)を正常なドナー(Ficoll-Paque,Pharmacia)から単離した。全細胞性RN Aを、Trizol RNA単離試薬(Gibco BRL)を用いて、それぞれの細胞株から単離し た。10マイクログラムのアリコートを、1%アガロース−ホルムアルデヒドゲル で分離し、そして基本的に記載されるように(Sambrookら、1988)、ナイロンメン ブレン(Hybond-N,Amersham)に移した。フィルターを、SLURP(7mM Tris-HCl p H7.5、4×SSC、10%硫酸デキストラン、0.8×デンハート液、40%ホルムアミド 、20mg/mLサケ精子DNAおよび0.5%SDS)中で1時間、プレハイブリダイズした。 NKX3.1またはグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)cDNAを、ランダム プライミングによって32P dCTPで標識し、変性し、プレハイブリダイゼーション ミックスに添加し、そして一晩42℃でハイブリダイズした。フィルターを42℃で 10分間洗浄し、次いで、室温で2×SSC/0.1%SDSで洗浄し、続いて、65℃で40分 間0.2×SSC/0.1%SDSで高ストリンジェンシー洗浄した。次いで、洗浄したフィル ターを乾燥し、そしてX線フィルムに曝露した。 結果 大量の3.5kb NKX3.1 mRNAを、前立腺において、およびずっと低いレベルで精 巣で検出した。NKX3.1 mRNAは、いくつかの他の成体組織(脳、腎臓、小腸、膵 臓、心臓、肝臓、肺、胸腺、脾臓、胎盤、結腸、リンパ球、および卵巣を含む) においては検出されなかった。本発明者らはまた、多様な培養細胞(形質転換お よび非形質転換ヒト細胞株を含む)において、NKX3.1 mRNAの発現を試験した(表 1、下記)。NKX3.1発現は、ホルモン応答性アンドロゲンレセプターポジティブ LNCaP前立腺癌細胞株においてのみ見られた。しかし、NKX3.1発現は、2種のア ンドロゲンレセプターネガティブ細胞株(PC-3およびDU-145)のいずれにおいて も観察されず、そしてまた、様々な組織起源の他の11種の細胞においても観察さ れなかった。興味深いことに、試験した他のHOX遺伝子は、いくつかの同じ細胞 株において発現され、このことはNKX3.1が独自に制限された組織発現パターンを 示すことをさらにより強く指し示す。これらの知見は、NKX3.1が、確かに新規な 前立腺特異的遺伝子であることを示す。NKX3.1は、ホメオボックスファミリーの メンバーであるので、これは、特定の細胞型の発達カスケードを確立することに 関与し得、このことは、この遺伝子が前立腺組織の発達および分化における役割 を有し得ることを示唆している。NKX3.1発現は、両方の試験したアンドロゲン非 依存性細胞株において明らかに無くなっていたが、アンドロゲン依存性細胞株で あるLNCaPにおいては無くなっていなかったことにもまた興味が持たれ、これは この遺伝子の発現が、アンドロゲンで調節され得ることを示している。 表1 ノーザンブロット分析に使用した細胞株細胞株を、以下の供給元から得、および/または以下の研究所により寛大にも提 供された:1 J.Vilcek,NYU Medical Center;2 ATCC;3 A.Rabson,Center for advance d Biotechnology and Medicine;4 C.Gelinas,Center for Advanced Biotechn ology and Medicine;5 The Cancer Institute of New Jersey;6 S.Ward,Uni versity of Medicine and Dentistry New Jersey。 実施例5A:NKX3.1のアンドロゲン調節 NKX3.1は、LNCaP細胞で発現され、これは、増殖および腫瘍形成に対して生理 学的レベルのアンドロゲンの存在に依存する(Burnesら、Prostate 9:247-259(1 986);Oleaら、Endocrinology 126:1457-1463(1990))ので、本発明者らは、NKX 3.1 mRNAレベルがアンドロゲン刺激に対して応答性であるか否かを試験した。 材料および方法 アンドロゲン調節実験の場合、PC3またはLNCaP細胞の平行培養物を、ウシ胎仔 血清(10%)含有培地中でインキュベートするか、または示したように10%チャコ ールデキストランで処理したヒト血清(Sigma)含有培地中でインキュベートした 。合成アンドロゲンR1881(NEN-Dupont)を100%エタノールに溶解した。偽誘導培 養物を、等容量の100%エタノール単独で処理した。次いで、ノーザン分析を実 施例4で上記したように行った。 結果 標準血清含有増殖培地(コントロール細胞)において、NKX3.1 mRNAを、ノー ザン分析にて、以前の細胞株調査で見られたレベルと類似のレベルで、検出した 。しかし、細胞を、アンドロゲン刺激の非存在下で増殖した場合、NKX3.1メッセ ージは検出不可能なレベルまで減少した。0.3nm程度の低さの濃度でのこれらの 培養物への合成アンドロゲンR1881の添加は、コントロールレベルに対するNKX3. 1 mRNAの復元を生じ、そしてより高濃度のR1881は、発現遺伝子における用量依 存増加を生じた。対照的に、NKX3.1 mRNAは、R1881の非存在下または存在下のい ずれにおいても、アンドロゲン非依存性前立腺癌株PC-3では検出されなかった。 実験は、LNCaP細胞におけるNKX3.1発現が、アンドロゲンの存在または不在に対 して非常に感受性であり、そして、アンドロゲン刺激が、転写レベルでありかつ ホルモン刺激時にさらなる細胞タンパク質の合成を必要としないということを実 証した。これらの結果は、NKX3.1がアンドロゲン刺激に対する前立腺細胞の初期 応答の一部であり、そしてこの遺伝子が正常前立腺組織の分化および癌の進行の 間に見られる正常分化の逆転における中心的役割を果たす候補であるという可能 性を生じる。 実施例5B:精巣摘除に応答してのNKX3.1調節 前立腺内の分化した機能の維持は、アンドロゲン依存性であることが十分に確 立されている(Davis,P.およびEaton,C.L.,J.Endocrinol.131:5-17(1991) )。去勢誘導アンドロゲン欠乏は、前立腺特異的分泌タンパク質をコードする遺 伝子の迅速な遮断を生じる(Mills,L.S.ら、EMBO J.6:3711-3717(1987))。Nk x-3.1が精巣摘除に応答して調節されているか否かを決定するために、去勢後、 しかし萎縮状態が始まる前の、種々の時点で収集した前立腺から、RNAを抽出し た。 材料および方法 精巣摘除を、6週齢CD-1マウスにおいて、ラットについて記載されたように行 った(Waynforth,H.B.,Experimental and Surgical Techniques in the Rat, Academic Press Inc.,San Diego,CA(1980))。RNAを、去勢後の各時点で、2 匹のマウスからプールした全ての前立腺から抽出した。ノーザンブロットオート ラジオグラムの濃度測定分析を、Bioimage Software version 4.6P(Bioimage In c.,Ann Arbor,MI)を用いて行った。 結果 前立腺から抽出したRNAのノーザンブロット分析は、去勢後24時間までに、定 常状態レベルのNKX3.1 mRNAが、ほぼ10倍減少したことを明らかにした。96時間 までに、このレベルが、30倍減少した。これらのデータは、高レベルのNKX3.1発 現の維持が、精巣アンドロゲンを必要とすることを示唆している。同一のRNAブ ロットを、引き続いて、分泌前立腺インヒビターであるmp12(これは、アンドロ ゲン依存性であることが実証されている(Mills,L.S.ら、EMBO J.6:3711-3717( 1987)))をコードするmRNAを検出するプローブを用いて、ハイブリダイズした。 ダウンレギュレーションの反応速度論および程度の比較は、mp12 mRNAのレベル が、去勢後24時間までに、70倍よりも大きく減少されたことを示した。96時間で は、mp12 mRNAはもはや、ノーザン分析では検出不可能であり、一方、NKX3.1 mR NAは、基底レベルまで減少し、これは少なくともさらに数日間維持された。これ らのデータは、NKX3.1発現がアンドロゲン応答性であることを示唆しているが、 これはまた、低い基底レベルの発現がアンドロゲン依存性ではないかもしれない ことを示している。 実施例6:NKX3.1の染色体マッピング NKX3.1遺伝子の染色体位置を実証するために、20kbゲノムNKX3.1クローンを、 ヒト染色体分裂中期拡散物に対する、インサイチュハイブリダイゼーションにお ける蛍光プローブとして使用した(Lawrenceら、Cell 52:51-61(1988))。 材料および方法 NKX3-1λゲノムクローンを、標準的技術(Sambrookら、1989)によって、単離 した。このDNAを、ジゴキシゲニン-11-dUTP(Borhringer Mannheim)を用いてニ ックトランスレーションし、インサイチュハイブリダイゼーションを、Johnson ら、Methods in Cell Biol.35:73-99(1991)に詳述されるように行った。個々の 染色体を、DAPIを用いて対比染色し、そしてDAPIおよび遺伝子シグナルの両方を 含むカラーデジタル画像を、荷電対(charged couple)デバイスカメラ(Photometr ics,Inc.Tucson,AZ)および可変励起波長フィルター(これは、画像のシフト なしに多重カラー画像を記録することが可能である(Johnsonら、Genetic analsy s:Techniques and applications 8:75-76(1991)))と組み合わせて3バンドパス フィルターセット(Chroma Technology,Inc.Brattleboro,VT)を用いて記録し た。8p上の1つより多い遺伝子の位置を分析する実験において、各DNAプローブ を、ジゴキシゲニンまたはビオチン(Gibco/BRL)のいずれかを用いて、別々に標 識し、そしてこれら2つを、三重標識実験におけるハイブリダイゼーション間の 各DNAプローブについて異なった割合で混合した。引き続いて、ハイブリダイズ したシグナルを、ローダミン結合抗ジゴキシゲニン抗体およびFITC-ストレプト アビジン(Boehringer-Mannheim)を用いて、検出した。個々のプローブを、記録 したシグナルの赤:緑の比に基づいて同定した。画像をISEEソフトウェアパッケ ージ(Inovision Corp.Durham,NC)を用いて分析し、いくつかの場合において、 遺伝子シグナルを、明瞭さのために、最終画像において、疑似カラー化した。 結果 およそ20の分裂中期染色体拡散物を目で分析した。これらのほとんどは、少な くとも1つの第8染色体において、真のハイブリダイゼーションの特徴である二 重シグナルを有した。二重シグナルは、他のいずれの染色体においても検出され なかった。高解像度画像分析と組み合わせた、部分的な長さの測定と蛍光結合と の組合せを用いた、10の個々の染色体の詳細な分析は、NKX3.1遺伝子が8p21バン ド内に位置していることを示した。8pのこの領域と関連した対立遺伝子欠損は、 しばしば、前立腺癌組織において報告されており、2つの部位(1つは8p22バン ド内、および他は8p21バンド内)で起こると考えられており、これは、NKX3.1バ ンド位置の正確な配置を決定的に重要なものにする。それ故、NKX3.1の位置は、 8p21上のマーカーを用いた遺伝子の同時マッピングによって確認され、そして予 備的証拠は、この遺伝子が、しばしば前立腺癌細胞において欠損している8p21部 位の数メガベース内にすぎないことを示している。8p21のこの領域内の遺伝子は 、アンドロゲン駆動分化前立腺表現型の欠失に関与していると考えられるので、 これがその遺伝子であり得ると示唆することは合理的である。このことは、前立 腺分化の維持におけるNKX3.1に対する役割と一致する。 実施例7:NKX3.1ホメオドメインはNKeDNA結合特異性を示す ヒトおよびマウスNKX3.1 cDNAは、そのホメオドメインとDrosophila NK-3のホ メオドメインとの高度の配列類似性を有する。特に良好に保存されているのは、 ヘリックスIIIおよびN末端アームにおける残基であり、これらは他のホメオド メインのDNA結合特異性を決定すること(Damante,G.およびDi Lauro,R.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 88:5388-5392(1991);Ebu Isaac,V.ら、Biochem.34:7 127-7134(1995))、およびDNAと直接接触すること(Gehring,W.J.ら、Cell 78:21 1-223(1994))が公知である。NKX3.1ホメオドメインは、54位にチロシン残基を含 み、これは、NKホメオドメインの最も顕著な特徴であり、そして原型の(例えば 、Antennadia様)ホメオドメインに関連する、このクラスのホメオドメインの異 型DNA結合特異性の大きな原因である(Chen,C.Y.およびSchwartz,R.J.,J.Bi ol.Chem.270:15626-15633(1995);Damante,G.およびDi Lauro,R.,Proc.Na tl.Acad.Sci.USA 88:5388-5392(1991);Damante,G.ら、Nucleic Acids Res .22:3075-3083(1994);Guazzi,S.ら、EMBO J.9:3631-3639(1990);Harvey,R .P.,Dev.Biol.178:203-216(1996))。特に、NK-2は、他のほとんどのホメオ ドメインにより認識される原型「TAAT」コアよりもむしろ「CAAG」コアを含むDN A部位と優先的に相互作用することが示されている(Chen,C.Y.およびSchwartz ,R.J.,J.Biol.Chem.270:15626-15633(1995);Damante,G.およびDi Lauro,R.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88.5388-5392(1991))。 マウスNKX3.1ホメオドメインのDNA結合特異性を調査するために、ゲル移動性 シフト分析を、高精製組換えタンパク質を用いて行った。プロリンおよびアルギ ニン残基(これらは、E.coli.において非効率的に翻訳される)のその高含有量 を考えると、全長マウスNKX3.1は、細菌細胞において不十分に発現されると予測 された(Abate,C.ら、Mol.Cell.Biol.11:3624-3632(1991))。それ故、マウ スホメオドメイン(NKX3.1HD)を含む領域は、E.coliにおいてヘキサヒスチジン 融合ポリペプチドとして発現され、そしてニッケルアフィニティークロマトグラ フィーによって、高度に精製されたタンパク質を得た。ヒトNKX3.1HDをまた、産 生し、精製して、そして予想されたように、これらのタンパク質は、それらの発 現、精製およびDNA結合特性に関して同様に挙動した。 材料および方法 インビトロ転写/翻訳を、pBluescript-NKX3.1プラスミドを鋳型として使用し て、TnT連結転写/翻訳システム(Promega)を用いて、製造者のプロトコールに従 って、行った。 NKX3.1ホメオドメイン(NKX3.1 HD)をE.collにおいて産生するために、アミノ 酸122〜128をコードする配列を、細菌発現プラスミドであるpQE-9(Quiagen)のBa mHIおよびHindIII部位にクローニングするための制限部位を含むプライマーを用 いてPCRで増幅した。ポリペプチドを、E.collにおいて、ヘキサヒスチジン融合 タンパク質として産生し、前記したニッケルアフィニティークロマトグラフィー により精製した(Catron,K.M.ら、Mol.Cell.Biol.13:2354-2365(1993))。 DNA結合実験を以下のように行った。手短に言うと、漸増量のタンパク質を、 結合緩衝液[10mM Tris-HCl(pH.6)、50mM NaCl、5%グリセロール、5%ショ糖 、0.2mM EDTA、7.5mM MgCl2、0.5mg/mLウシ血清アルブミン、0.1%NP-40、10mM DTT、500μg polydidC]中で、4×104cpmの32P標識二本鎖オリゴヌクレオチドと ともに、20分間室温で、インキュベートした。DNA結合部位の配列は、以下のと おりであった(上端鎖が示される): 結果 NKX3.1HDのDNA結合特異性を、NK様およびアンテナペディア(Antennapedia) 様ホメオドメインについて同定した様々なDNA部位を使用してゲルシフト分析を 用いて試験した。このDNA部位は以下のとおりであった:(i)NKX2.1ホメオドメイ ン(Guazzi,Sら、EMBO J.9:3631-3639(1990))の共通DNA部位(TCAAGTG)およびCAAG コア内のヌクレオチド置換を含むこの部位の変異形(TCACGTG);および(ii)アン テナペディア様ホメオドメイン(Msx1)について同定した共通DNA部位(CTAATTG)、 TAATコア内のヌクレオチド置換を含むこの部位の変異形(CTACTTG)、またはTAAT コアのヌクレオチド置換の3'を含む変異形(CTAATGG)(Catron,K.M.ら、Mol.Cell. Biol.13;2354-2365(1993);Guazzi,Sら、EMBO J.9:3631-3639(1990))。これらDNA 部位についてのNKX3.1HDの相対的DNA結合親和性を比較するため、ゲルシフト分 析を等モル量のそれぞれの部位を使用して、様々な濃度の精製タンパク質を用い て実行した。試験した様々なDNA部位のうち、NKX3.1HDは、「CAAG」コアを含む 部位と優先的に相互作用した。NKX3.1HDはまた、より低い見かけの親和性にもか かわらず、「TAAT」コアを含むDNA部位にも結合した。この相互作用の特異性は 、「CAAG」または「TAAT」コア内に置換を含むDNA部位へのNKX3.1HD結合の欠如 から明らかであった。これらの結果は、NKX3.1HDが、NK-2ホメオドメインに類似 のDNA結合特異性、すなわち「CAAG」コアを含むDNA部位との優先的な結合および 「TAAT」コアを含むDNA部位との相対的に低い親和性の相互作用を示すことを実 証する。 実施例8:前立腺内におけるマウスNKX3.1の発現 マウス前立腺は、形態学および機能の両者において異質である4対の構成成分 から構成される(Frohman,M.,Meth.Enzymol.218.340-356(1993))。前立腺内のNKX 3.1発現をより特徴付けるために、腹側の前立腺、背外側の前立腺および凝固腺 (前方の前立腺)を成体動物から摘出した。葉への前立腺の顕微解剖を記述(Su gimura,Y.ら.Biol.Reprod.34:961-971(1986))のように実施した。背外側の前立 腺を、その背側のおよび外側の構成成分にさらに細分割した(Sugimura,Y.らBiol .Reprod.34:961-971(1986))。 NKX3.1 mRNAが4つの葉の間に異なって分布しているかどうかを決定するため に、ノーザンブロット分析を、個々の葉のプールから抽出したRNAについて実行 した。すべの4つの葉は、ハウスキーピング遺伝子βアクチンと比較して類似の 定常レベルでNKX3.1を発現した。このことは、この遺伝子がそれらの間で共有さ れる機能を調節するために重要であり得ることを示唆する。 前立腺内でのNKX3.1の細胞分布を特徴付けるために、全て4つの構成成分の組 織学的切片へのインサイチュハイブリダイゼーションを実施した。インサイチュ ハイブリダイゼーションは、マウスNKX3.1の3'非コード領域に完全に由来する53 0bpのBgl II-PstIフラグメントを使用して、基本的に記載(Bogarad,L.D.ら、Dev elop.Biol.133;537-549(1989))されたように実施した。成体前立腺の構造は比較 的単純で、主に分泌上皮細胞で裏打ちされた一連の分枝管からなる(Sugimura,Y. らBiol.Reprod.34:961-971(1986))。この管は、管の間に点在するまばらな結合 組織を有する高密度の間質スリーブ(stromal sleeve)により覆われる。アンチセ ンスおよびコントロールセンスプローブとハイブリダイズさせた連続切片の分析 は、アンチセンスプローブのみでシグナルを示し、ハイブリダイゼーションの特 異性を確認した。各葉の切片ではハイブリダイゼーションシグナルを、管を裏打 ちする上皮細胞上に排他的に検出した。間質細胞はNKX3.1の検出可能な発現を示 さなかった。個々の葉由来の上皮細胞にわたるシグナルの強度に識別可能な相違 はなかった。これらの観察は、NKX3.1 mRNAが成体前立腺中の上皮細胞に制限さ れ、そして前立腺の分化した機能維持においてこの遺伝子の役割と一致してい ることを実証する。 これらの観察は、尿道上皮の高度に特化した前立腺上皮への分化に、NKX3.1を 強く関連付ける。NKX3.1タンパク質が、転写因子として機能するようであり、そ の発現が前立腺原基に制限されると仮定すれば、NKX3.1遺伝子は、前立腺の分化 を駆動することにおいて主要な役割を演じているようである。成体動物の4つ全 ての構成成分葉におけるこの遺伝子の連続的な発現は、この遺伝子がさらに、こ の組織の維持に関与し得ることを示唆する。 実施例9:マウス発達中のNKX3.1発現 NKX3.1の潜在的な役割に関する見識を獲得するために、胎児および成体組織中 のその発現を検査した。まず、RNアーゼプロテクション分析を、妊娠後期胎児お よび成体から得られた組織を使用して実施した。妊娠後17.5日の胎児からの幾つ かの組織を調査し、そしてこの腎臓および発達中の生殖腺中においてNKX3.1発現 が低いレベルであること、甲状腺ではかろうじて検出可能なレベルであること、 そして検査した幾つかの他の組織では発現の検出可能なレベルがないことを見出 した。発達中の泌尿生殖器系におけるNKX3.1発現を考えて、性的に未熟な(2〜 4週齢)雄性マウス、性的に成熟した(8〜12週齢)雄性マウス、ならびに性的 に未熟および成熟した雌性マウスから得た組織もまた調査した。NKX3.1発現を、 性的に未熟および成熟した雄性マウスの前立腺、精嚢および精巣において観察し た。さらに、性的に未熟なマウスに対して、顕著により高いレベルのNKX3.1を、 性的に成熟したマウスの前立腺および精嚢において検出した。対照的に、NKX3.1 は、未熟なまたは成熟した雌性泌尿生殖器系からの組織において検出可能でなか った。 これらの観察をより検証するために、NKX3.1の発現を、ノーザンブロット分析 により、成体雄性マウス(8から12週齢)から得た組織を使用して試験した。約 3.2kBの転写物を、精嚢もしくは膀胱および前立腺のプールしたサンプルから調 製された総RNA中に検出したが、幾つかの他の組織から調製した総RNAには検出し なかった。RNアーゼプロテクション分析の結果と合せると、これらの知見は、NK X3.1が、発達中の泌尿生殖器系において、限定された組織分布を示し、そしてそ の発現は、性的に成熟した雄で最も増大することを実証する。 前立腺および精嚢共に、高レベルのNKX3.1を発現するが、その成長および発達 にアンドロゲンを要求する(Cunha,G.R.,Cancer 74:1030-1044(1994);Cunha,G.R .ら,Endocrine Reviews 8:338-362(1987))。NKX3.1の発現は、去勢したマウス の前立腺中では、本質的に検出不可能であったので、ヒトNKX3.1が前立腺癌細胞 においてアンドロゲン調節されることを示す結果と合せて、これらのデータは、 アンドロゲン剌激がNKX3.1発現の維持に要求されることを示唆する。 マウスの胚発生中のNKX3.1の局在化した発現 マウスの胚発生中のNKX3.1の発現パターンをより描写するために、インサイチ ュハイブリダイゼーションを妊娠14.5〜17.5日目のマウス胎児からの凍結切片に ついて実施した。RNアーゼプロテクションの結果に基づいて、この分析は雄性泌 尿生殖器系の発達に焦点を合わせた。 材料および方法 RNAの単離および発現の分析:組織を、雄性または雌性Swiss-Websterマウスま たは妊娠後17.5日目の胎児からの摘出のより得、そして新鮮に凍結(-70℃)させ たか、あるいはPel-Freez Biologicalsから購入した。偽手術または去勢したマ ウスからの凍結組織を、手術後2日目に、Taconic Farms,Inc.から入手した。RN Aを、Trizol RNA単離試薬(GIBCO-BRL)を使用して、製造業者のプロトコルに従っ て調製した。RNアーゼプロテクション分析を、本質的には記述(Krieg,P.A.およ びMelton,D.A.,Meth.Enzymol.155:397-415(1987))されたとおりに、NKX3.1 cDNA の様々なサブクローン化フラグメントから調製したアンチセンスまたはセンスリ ボプローブを使用して行った。L32リボソームタンパク質遺伝子に特異的なアン チセンスリボプローブは、(Shen,M.M.and Leder,P.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89 :8240-8244(1992))に記載された。RNアーゼプロテクション分析を、イントロン- エキソンスプライス接合部に及ぶプローブAを用いて行った;類似の結果がプロ ーブBまたはCを使用しても得られた。ノーザンブロット分析を、本質的には記 載(Ausubel,F.ら,Current Protocols in Molecular Biology,K.Janssen編,Joh n Wiley and Sons,Inc.,New York,New York(1995))されたとおり、ナイロンフィ ルター膜(Hybond-N,Amersham)を使用して行った。フィルターを、SLURP(7mM Tri s-HCl(pH7.5),4×SSC,10%デキストラン硫酸,0.8×Denhard溶液、40%ホルムア ミド、20mg/mlサケ精子DNAおよび0.5%SDS)中、42℃にて1時間プレハイブリダ イズさせた。プローブを、ランダムプライミング(Ausubel,F.ら,Current Protoc ols in Molecular Biology,K.Janssen編,John Wiley and Sons,Inc.,New York,N ew York(1995))により32P-dCTPで標識し、そしてフィルターを、42℃で一晩ハイ ブリダイズさせた。フィルターを2×SSC/0.1%SDS中で42℃にて10分間洗浄し、 次いで室温で10分間、続いて2×SSC/0.1%SDS中で65℃にて40分間高ストリンジ ェンシー洗浄をおこなった。 インサイチュハイブリダイゼーション:Nkx3.1 cDNAの領域に対応するジゴキ シゲン標識リボプローブ(プローブD,E,F)を、記載(Catron,K.M.ら,Mech.Dev.55: 185-199(1996))のとおりに合成した。Swiss Websterマウス胎児の性別を決定す るために、ゲノムDNAを尾より単離し、Sry遺伝子に対するプライマーを用いてPC Rを行った(Hogan,B.ら、Manipulating the mouse embryo,Cold Spring Harbor L aboratory Press,Cold Spring Harbor(1994))。胎児を4%パラホルムアルデヒ ド/リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で、4℃にて2日間固定し、そして30%ショ 糖/PBS+0.1%Tween(PBT)の溶液に移し、6%H2O2/PBTで漂白し、次にPBTで3回 洗浄した。切片を1μg/mlロテイナーゼ(roteinase)K/PBTで処理後、2mg/mlグリ シン/PBTおよびPBTで連続的に洗浄した。切片をプレハイブリダイゼーション溶 液(5%ホルムアルデヒド、5×SSC(pH4.5),50μg/ml酵母tRNA,1%SDS,50μg/m lヘパリン)中で65℃にて1時間インキュベートした後、ジゴキシゲニン標識リブ ローブで65℃にて一晩ハイブリダイズした。切片は以下の溶液中で各3回洗浄し た:70℃の、50%ホルムアルデヒド/5×SSC(pH4.5)/1%SDS:65℃の50%ホル ムアミド/5×SSC(pH4.5):室温のTris-HCl緩衝化生理食塩水/0.1%Tween(TB ST)/2mMレビマミゾール。次に切片を、5%ヒツジ血清/TBST中でブロックし、そ して抗ジゴキシゲニン-AP Fabフラグメント抗体(Boehringer)中で4℃にて一晩 インキュベートした。切片をTBST中で、次いでNTMT[100mM NaCl,100mM Tris-HCl (pH9.5),50mM MgCl2,0.1%Tween,2mMレビマミゾール]中で各4回洗浄し、 そして10%ポリビニルアルコール/NTMT中に溶解した4-ニトロブルーテトラゾ リウムクロライド/5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェートにおいて 16時間発色させ、続いてマウントした。 結果 インサイチュハイブリダイゼーションの結果は、NKX3.1が男性の泌尿生殖器系 のいくつかの性的に二型性の組織によって、ならびに性的に二型性でない組織( 背側大動脈、肺、および小腸を含む)によって発現されたことを実証する。興味 深いことに、NKX3.1は、主に内胚葉由来の組織によって発現し、そしてしばしば 分泌機能を有する上皮細胞において見出される。 男性の泌尿生殖器系内において、NKX3.1の発現は、発生中の尿生殖洞において 、妊娠後14.5日目に観察され、そして腹側前立腺芽(bud)において、妊娠後17.5 日目に観察された。男性の泌尿生殖器系の発生の間に、初期の尿生殖洞は、3つ の領域にさらに分裂し、これは膀胱、尿道の前立腺部分および膜部分、ならびに 尿道の海綿体部を生じる。尿生殖洞の中央(骨盤)領域の外部出芽(outbudding) は、胚発生の後期段階の前立腺の形成を担う。従って、妊娠14.5日目のNKX3.1の 発現は、尿生殖洞の骨盤領域の外部出芽において観察され、予定尿道においては より低レベルの発現であった。特に、発現は、周囲の間葉に陥入しつつある上皮 細胞に限定され、最も高いレベルは、先端において観察される。その後、妊娠後 17.5日目に、NKX3.1の発現は、発生中の腹側の前立腺芽において見出される。NK X3.1発現はまた、背外側および前方の前立腺芽において観察されたが、膀胱の上 皮内壁においては観察されなかった。さらに、NKX3.1発現はまた、妊娠14.5日目 および17.5日目の発生試験において観察された。発現は、髄質索(精細管を形成 する)に局在し、そして間隙性の間葉にも精巣の線維性の外層を形成する細胞に も観察されなかった。精管にも精巣上体にも、NKX3.1の発現は観察されなかった 。 さらに、NKX3.1発現は、いくつかの性的な二型性でない組織(例えば、妊娠14 .5日目の背側大動脈を裏打ちする内皮細胞において、)観察された。興味深いこ とに、NKX3.1は、内皮細胞一般において発現しないが、その代わり、その発現は 発生中の後腎の腎臓の近くに存在する背側大動脈の領域、ならびに背側大動脈か ら生じる腎動脈に限定される。別の性的に二型性でない組織において、NKX3.1の 低レベルの発現が肺の気管支を裏打ちする上皮細胞において観察された。最後に 、NKX3.1の発現はまた、小腸(ここで、発現は、粘液分泌性の杯細胞に対応する ようである細胞の限られた集団に局在している)において観察された。 実施例10:胚発生の間のNKX3.1発現の時間的および空間的パターン その可能性のある発生的機能のさらなる洞察を得るために、胚の原腸形成から 器官形成の段階まで(e6.5〜e10.5)および器官形成の後期段階(e15.5)におけ るNKX3.1の発現を試験した。これらの研究は、Hoxおよび他の既知のホメオボッ クス遺伝子とは顕著に異なる、発現の興味深いパターンを明らかにし、そしてNK X3.1を上皮細胞の異なる集団の分化と関係付ける。 材料および方法 マウスNKX3.1の3'非コード領域由来の530塩基の35S-標識アンチセンスRNAプロ ーブを、記載されるように(Bogaradら、1989)、パラホルムアルデヒド固定FVB /N胚の連続するパラフィン切片とハイブリダイズした。一つおきの切片において 使用した対応するセンスプローブは、特異的なパターンでハイブリダイズしなか った。 結果 胚発生の間のNKX3.1発現の時間的および空間的パターンを決定するために、種 々の段階のマウス胚の連続する切片を、mRNAの3'非コード領域由来のアンチセン スRNAプローブを用いるインサイチュハイブリダイゼーションによって分析した 。e6.5およびe7.5の胚の切片の分析は、バックグラウンドを超えるいかなるハイ ブリダイゼーションも示さなかった。このことは、この遺伝子が、妊娠の間にお いて活性化されないことを示す。NKX3.1の顕著な発現は、最初にe8.5胚において 検出され、そして前方の軸傍間葉に局在した。発生中の中脳および後脳に隣接す る間葉は、NKX3.1を発現した(見かけの前方境界は、前腸憩室のレベルのすぐ後 方)。この頭部の軸傍間葉は、頭部の全ての随意筋の供給源であり、さらに、 ヒヨコにおいて、骨格エレメント、真皮、および髄膜に貢献する(Noden,D.M. 、Am.J.Anat.168 257-276(1983);Noden,D.M.、Develop.Biol.96:144-165 (1983))。大部分がHox遺伝子によりパターン化された体節と比較して、前方の 軸傍間葉の運命を特定する遺伝的メカニズムについてはほとんど知られていない 。この組織におけるNKX3.1の発現は、この組織における細胞特異性を決定する可 能性のある経路における最初の洞察を提供する。 NKX3.1の発現はまた、e8.5胚においてより成熟した前方の体節において見出さ れるが、新たに濃厚になった体節および分節していない前原体節期の中胚葉は、 ハイブリダイゼーションシグナルを示さなかった。この発現パターンは、NKX3.1 が、体節分化と並行する様式で、頭−尾の順序で活性化されることを示唆する。 標識された体節内で、発現は均一ではなかったが、腹側領域に限定された。体節 におけるNKX3.1発現の開始は、上皮体節の真皮性筋節(最初に上皮配置を保有す る)、および硬節(その細胞の間葉表現型により、明らかに区別可能であり、NK X3.1は硬節細胞に限定される)への区画化と良く相関した。この発現の空間時間 的パターンは、前原体節期の中胚葉において最初に活性化されるHox遺伝子のパ ターン(発現は分散した体節境界に前方へ広がる、Krumlauf,R.、Cell 78:191-2 01(1994))とは異なる。体節におけるHox対NKX3.1の発現の対照的なパターンは 、軸傍中胚葉の分化におけるこれらの遺伝子についての異なる機能を反映するよ うである。領域的に限定された、Hox遺伝子発現の重複するパターンは、特異的 な椎骨の表現型に翻訳される分子「コード」の基礎を形成するかもしれない(Ke sselおよびGruss、1991)。Hox遺伝子に帰属するパターン化する機能(例えば、 肋骨の成長)は、移植研究に基づいて、体節への明らかな分節化の開始前に確立 すると示唆されてきた(Kienyら、Develop.Biol.28:142-161(1972))。一方、 NKX3.1は、体節分化において、より一般的な機能を有し得る(例えば、体節細胞 に間葉表現型を付与することによる)。体節の硬節および真皮性筋節への分裂は 、NKX3.1によって調節され得る、椎骨発生における重要な段階である。 e9.5における発現パターンは、e8.5胚において観察されるものと類似していた 。NKX3.1 mRNAは、体節形成の領域の前方の分節していない軸傍間葉において発 現し続けたが、e8.5に比べて、および分化中の体節の硬節においてレベルが減少 し ていた。発現の前後方向の勾配は、体節において明らかであり、より成熟した前 方の体節は、より後方で分化を始めたばかりのものより、より少ないシグナルを 示す。最も高いレベルのNKX3.1発現は、硬節発生の初期段階と相関するようであ り、そして発現は明らかに真皮性筋節に存在しなかった。より成熟した体節にお けるNKX3.1のダウンレギュレーションはまた、体節分化における初期の機能につ いて議論する。 e10.5の胚の分析は、硬節細胞および頭部間葉、ならびにいくつかの新しい部 位(最も注目に値するのは軸間葉)における持続するNKX3.1の発現を明らかにし た。軸間葉は、脊索を囲み、神経管の直下にある、細胞のルーズな網目構造から なり、体節が由来するより高密度な軸傍間葉とは組織学的に異なる(Verbout,A .J.「Advances in anatomy,embryology and cell biology」、The Developme nt of Vertebral Column、90巻、Springer-Verlag、New York(1985))。NKX3.1発 現は、前後方向の軸全体に沿って、軸間葉において観察された。これらの細胞は 、硬節細胞と連続しているが、これらは、形態学的に異なり、異なる胚起源であ ることの示唆を誘発している(Dawes,B.、Mus Musculus.Philos.Trans.R.S oc.Lond.[Biol.]218:115-170(1931))。より最近、著者らは硬節および軸間 葉について、単に組織学的基準に基づき、共通の体節起源について議論した(Ver bout,A.J.、「Advances in anatomy,embryology and cell biology」、The Dev elopment of Vertebral Column、90巻、Springer-Verlag、New York(1985))。NK X3.1 mRNAの両方の細胞集団における検出は、2つの間の遺伝的関連を提供する ことにより、後者の仮説を強力に支持する。NKX3.1は、分化中の体節細胞におい て、軸間葉の運命を特定することにおける役割を担い得る。 e10.5胚において見られる発現の第二の新しい部位は、腹部大動脈の壁である 。腹部大動脈は、軸間葉に近接する位置において発生する。実際に、硬節、軸間 葉、および大動脈の壁を隔てる明らかな形態学的境界は存在しない(Verbout,A.J .、「Advances in anatomy,embryology and cell biology」、The Development of Vertebral Column、90巻、Springer-Verlag、New York(1985))。腹部大動脈 の長さに沿って散在する細胞は、NKX3.1を発現し、明らかな前方境界は、心臓の レベルのすぐ尾側であった。これらの細胞は、血管壁形成に参加するために補充 さ れている軸間葉細胞を表し得る。内皮細胞の胚起源は、十分に特徴付けられてい るが、発生中の血管における血管平滑筋の起源は、ほとんど定義されておらず、 前駆細胞を同定するマーカーは報告されていない(Owens,G.K.、Physiol.Rev .75:487-509(1995))。NKX3.1は、腹部大動脈における血管平滑筋細胞分化の初 期マーカーを表し得る。 e15.5までに、体節の誘導体におけるNKX3.1の発現は、もはや検出可能ではな かった。しかし、強力な発現は、腹部大動脈において、および発生中の腎臓血管 系において観察された。インサイチュハイブリダイゼーションの限られた細胞分 解能は、明解な解釈を妨げるが、NKX3.1は大動脈の内皮裏打ちに存在しないよう である。平滑筋細胞分化の初期マーカーである平滑筋α−アクチンを検出する免 疫染色(Owens,G.K.、Physiol.Rev.75:487-509(1995))は、連続切片におい て、これらの血管におけるNKX3.1の発現との完全な重複を明らかにした。これら の観察に基づき、NKX3.1は、軸間葉から大動脈壁に補充される細胞において、平 滑筋細胞表現型の特定に関与するようである。大動脈壁における発現は、後方に おいてより強く、そして心臓に向かって次第に消えていった。e10.5胚における 本発明者らの観察と一致して、NKX3.1は、血管においては、心臓レベルの前方に は検出されなかった。 NKX3.1の顕著な発現はまた、e15.5胚における発生中の切歯および臼歯におい て検出された。歯の発生における最初の証拠は、e12.5胚において検出可能な口 腔上皮の肥厚である(Cohn,S.A.、Am.J.Anat.101:295-320(1957))。この歯 堤は、歯乳頭を構成する神経堤に由来する間葉細胞に囲まれるようになる上皮芽 に発達する。e15.5までに、歯堤の陥入は、発生の帽状期の開始を特徴付ける。 歯堤はまた、2つの異なる層(内部および外部エナメル層)に分化し始める。NK X3.1は、内部および外部エナメル層の間の接合部の歯堤の深い陥入において主に 発現する。歯乳頭の周囲間葉は、NKX3.1を発現しなかった。発生中の歯のこの限 られた発現パターンは、NKX3.1が歯上皮内の細胞の局地的な分化に関与すること を示唆する。 NKX3.1のコード領域におけるホメオボックスの存在は、この遺伝子が、他のホ メオドメインタンパク質との類似性により、細胞分化の特定の状態の確立に関与 する遺伝子を調節する可能性が高い転写因子をコードすることの推定証拠を提供 する。体節におけるNKX3.1の発現の開始は、全体的な上皮構造から2つの形態学 的に異なる成分を有する構造への移行と呼応して生じるようである;NKX3.1は、 それが発現する硬節細胞集団を生じる上皮から間葉への移行を調節し得る可能性 がある。軸中胚葉および腹部大動脈壁におけるNKX3.1発現の観察は、NKX3.1が、 体節細胞の亜集団を特定の細胞運命に向けて方向付けすることに関与することを 示し得る。発生中の歯の特定領域におけるNKX3.1の分布はまた、上皮細胞のコミ ットメントにおける役割と一致する。 本発明が上記の記載および実施例において特に記載された以外に実施され得る ことは明らかである。 本発明の多くの改変および変形は、上記の教示の観点から可能であり、従って 、これらは、添付の請求の範囲内である。 本明細書において引用される全ての刊行物(特許、特許出願、学術誌文献、実 験室マニュアル、書籍、または他の文書を含む)の全体の開示は、本明細書にお いて参考として援用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 13/08 C07K 14/47 35/00 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/02 5/10 1/68 Z C12P 21/02 G01N 33/50 P C12Q 1/02 Z 1/68 C12P 21/08 G01N 33/50 C12N 15/00 ZNAA 5/00 A C12P 21/08 A61K 37/02

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.単離された核酸分子であって、以下: (a)配列番号2または4の約1〜約234のアミノ酸を含むポリペプチドをコ ードするポリヌクレオチド; (b)配列番号2または4の約2〜約234のアミノ酸を含むポリペプチドをコ ードするポリヌクレオチド; (c)配列番号2または4の約123〜約153のアミノ酸を含むポリペプチドをコ ードするポリヌクレオチド; (d)ATCC受託番号209005または209006に含まれるcDNAクローンによってコー ドされるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド; (e)(a)、(b)、(c)、または(d)の相補体; (f)(a)のポリヌクレオチドを改変することによって作製されるポリヌク レオチド改変体であって、ここで: (1)該改変は、ヌクレオチド挿入、欠失、または置換、あるいはそれらの 任意の組み合わせを含む;および (2)改変の数は、(a)に存在するヌクレオチドの総数の5%以下である ; (h)(b)のポリヌクレオチドを改変することによって作製されるポリヌク レオチド改変体であって、ここで: (1)該改変は、ヌクレオチド挿入、欠失、または置換、あるいはそれらの 任意の組み合わせを含む;および (2)改変の数は、(b)に存在するヌクレオチドの総数の5%以下である ; (i)(c)のポリヌクレオチドを改変することによって作製されるポリヌク レオチド改変体であって、ここで: (1)該改変は、ヌクレオチド挿入、欠失、または置換、あるいはそれらの 任意の組み合わせを含む;および (2)改変の数は、(c)に存在するヌクレオチドの総数の5%以下であ る; (j)(d)のポリヌクレオチドを改変することによって作製されるポリヌク レオチド改変体であって、ここで: (1)該改変は、ヌクレオチド挿入、欠失、または置換、あるいはそれらの 任意の組み合わせを含む;および (2)改変の数は、(d)に存在するヌクレオチドの総数の5%以下である ; (k)(e)のポリヌクレオチドを改変することによって作製されるポリヌク レオチド改変体であって、ここで: (1)該改変は、ヌクレオチド挿入、欠失、または置換、あるいはそれらの 任意の組み合わせを含む;および (2)改変の数は、(e)に存在するヌクレオチドの総数の5%以下である 、からなる群より選択される、単離された核酸分子。 2.前記ポリヌクレオチドが、配列番号1、3、または8の完全なヌクレオチド 配列を有する、請求項1に記載の核酸分子。 3.前記ポリヌクレオチドが、配列番号2または4の完全なアミノ酸配列を有す るNKX3.1ポリペプチドをコードする配列番号1、3、または8のヌクレオチド配 列を有する、請求項1に記載の核酸分子。 4.前記ポリヌクレオチドが、ATCC受託番号209005または209006に含まれるcDNA クローンの完全なヌクレオチド配列を有する、請求項1に記載の核酸分子。 5.前記ポリヌクレオチドが、ATCC受託番号209005または209006に含まれるcDNA クローンによってコードされる完全なアミノ酸配列を有するNKX3.1ポリペプチド をコードするヌクレオチド配列を有する、請求項1に記載の核酸分子。 6.ストリンジエントなハイブリダイゼーション条件下で、請求項1に記載の (a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、または(g)のヌクレオチ ド配列と同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズす るポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子であって、ここで、該ハイブリダ イズするポリヌクレオチドが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件 下では、A残基のみまたはT残基のみからなるヌクレオチド配列を有するポリヌ クレオチドにはハイブリダイズしない、単離された核酸分子。 7.単離された核酸分子であって、請求項1に記載の(a)、(b)、(c)、 (d)、(e)、または(f)のアミノ酸配列を有するNKX.1ポリペプチドのエ ピトープ保有部分のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む、単離さ れた核酸分子。 8.請求項7に記載の単離された核酸分子であって、以下:配列番号2または配 列番号4の約1〜約13のアミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番号2または配 列番号4の約18〜約24のアミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番号2または配 列番号4の約35〜約89のアミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番号2または配 列番号4の約103〜約113のアミノ酸残基を含むポリペプチド;配列番号2または 配列番号4の約117〜約130のアミノ酸残基を含むポリペプチド;および配列番号 2または配列番号4の約173〜約185のアミノ酸残基を含むポリペプチド、からな る群より選択されるNKX3.1ポリペプチドのエピトープ保有部分をコードする、単 離された核酸分子。 9.組換えベクターを作製するための方法であって、請求項1に記載の単離され た核酸分子をベクターに挿入する工程を包含する、方法。 10.請求項9に記載の方法によって産生される、組換えベクター。 11.組換え宿主細胞を作製する方法であって、請求項10に記載の組換えベク ターを宿主細胞に導入する工程を包含する、方法。 12.請求項11に記載の方法によって産生される、組換え宿主細胞。 13.NKX3.1ポリペプチドを産生するための組換え方法であって、請求項12に 記載の組換え宿主細胞を、該ポリペプチドが発現される条件下で培養する工程、 および該ポリペプチドを回収する工程を包含する、方法。 14.単離されたポリペプチドであって、以下: (a)配列番号2または4の約1〜約234のアミノ酸を含むポリペプチド; (b)配列番号2または4の約2〜約234のアミノ酸を含むポリペプチド; (c)配列番号2または4の約123〜約153のアミノ酸を含むポリペプチド; (d)ATCC受託番号209005または209006に含まれるcDNAクローンによってコー ドされるアミノ酸配列を含むポリペプチド; (e)(a)、(b)、(c)、または(d)のポリペプチドのいずれか1つ の部分を保有するエピトープを含むポリペプチド; (f)(a)のアミノ酸配列を改変することによって作製されるポリペプチド 改変体であって、ここで: (1)該改変は、挿入、欠失、または置換、あるいはそれらの任意の組み合 わせを含む;および (2)該改変の数は、(a)に存在するアミノ酸の総数の5%以下である; (h)(b)のポリヌクレオチドを改変することによって作製されるポリペプ チド改変体であって、ここで: (1)該改変は、挿入、欠失、または置換、あるいはそれらの任意の組み合 わせを含む;および (2)該改変の数は、 (b)に存在するアミノ酸の総数の5%以下である ; (i)(c)のアミノ酸を改変することによって作製されるポリペプチド改変 体であって、ここで: (1)該改変は、挿入、欠失、または置換、あるいはそれらの任意の組み合 わせを含む;および (2)該改変の数は、(c)に存在するアミノ酸の総数の5%以下である; (j)(d)のアミノ酸を改変することによって作製されるポリペプチド改変 体であって、ここで: (1)該改変は、挿入、欠失、または置換、あるいはそれらの任意の組み合 わせを含む;および (2)該改変の数は、(d)に存在するアミノ酸の総数の5%以下である、 からなる群から選択される、単離されたポリペプチド。 15.NKX3.1タンパク質のエピトープ保有部分を含む単離されたポリペプチドで あって、該部分が、以下:配列番号2または配列番号4の約1〜約13のアミノ酸 残基を含むポリペプチド;配列番号2または配列番号4の約18〜約24のアミノ酸 残基を含むポリペプチド;配列番号2または配列番号4の約35〜約89のアミノ酸 残基を含むポリペプチド;配列番号2または配列番号4の約103〜約113のアミノ 酸残基を含むポリペプチド;配列番号2または配列番号4の約117〜約130のアミ ノ酸残基を含むポリペプチド;および配列番号2または配列番号4の約173〜約1 85のアミノ酸残基を含むポリペプチド、からなる群より選択される、単離された ポリペプチド。 16.請求項14に記載のNKX3.1ポリペプチドに特異的に結合する、単離された 抗体。 17.請求項14に記載のポリペプチドのアゴニスト。 18.前立腺ガンを処置する方法であって、請求項14に記載のポリペプチドの 有効量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する、方法。 19.前立腺ガンを処置する方法であって、請求項17に記載のアゴニストの有 効量を、それが必要な患者に投与する工程を包含する、方法。 20.NKX3.1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核 酸分子であって、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を除いて、該ポリペプチ ドが、以下: (a)配列番号2の約1〜約234のアミノ酸を含むポリペプチドをコードする ヌクレオチド配列; (b)配列番号2の約2〜約234のアミノ酸を含むポリペプチドをコードする ヌクレオチド配列; (c)配列番号4の約1〜約234のアミノ酸を含むポリペプチドをコードする ヌクレオチド配列; (d)配列番号4の約2〜約234のアミノ酸を含むポリペプチドをコードする ヌクレオチド配列; (e)ATCC受託番号209005および209006に含まれるクローンによってコードさ れるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;ならび に (f)(a)、(b)、(c)、(d)、または(e)のヌクレオチド配列の いずれかに相補的なヌクレオチド配列、 からなる群より選択される配列を有する、単離された核酸分子。 21.単離されたNKX3.1ポリペプチドであって、少なくとも1つの保存的アミノ 酸置換を除いて、該ポリペプチドが、以下: (a)配列番号2の約1〜約234のアミノ酸; (b)配列番号2の約2〜約234のアミノ酸; (c)配列番号4の約1〜約234のアミノ酸; (d)配列番号4の約2〜約234のアミノ酸; (e)ATCC受託番号209005および209006に含まれるクローンによってコードさ れるアミノ酸配列を有するNKX3.1ポリペプチドのアミノ酸配列;ならびに (f)(a)、(b)、(c)、(d)、または(e)のポリペプチドのいず れか1つのエピトープ保有部分のアミノ酸配列、 からなる群より選択される配列を有する、単離されたNKX3.1ポリペプチド。 22.NKX3.1プロモーターからの発現を改変し得る物質の同定のためのスクリー ニングアッセイであって、以下の工程: (a)試験細胞中のレポーター遺伝子の発現のレベルを測定する工程であって 、該試験細胞が、NKX3.1のプロモーターを含むDNA分子に作動可能に連結された レポーター遺伝子を含む組換えDNA分子で形質転換され、そして候補NKX3.1トラ ンス作用性因子が、該試験細胞に投与される、工程; (b)コントロール細胞中の該レポーター遺伝子の発現のレベルを測定する工 程であって、該コントロール細胞が、工程(a)の組換えDNA分子で形質転換さ れる、工程;および (c)該試験細胞中の該レポーター遺伝子の発現のレベルを、該コントロール 細胞中の該レポーター遺伝子のレベルと比較する工程、 を包含する、スクリーニングアッセイ。 23.ガンに対する動物の素因を決定する方法であって、配列番号1および3の 154位のDNA多型性についてスクリーニングする工程を包含する、方法。 24.前立腺特異的遺伝子治療法であって、以下の工程: (a)NKX3.1プロモーターに作動可能に連結される遺伝子を含むベクターを、 前立腺細胞に導入する工程;および (b)該ベクターに細胞中で該遺伝子を発現させる工程、 を包含する、前立腺特異的遺伝子治療法。 25.単離された核酸分子であって、以下: (a)配列番号1のコード領域からの50の連続するヌクレオチド;および (b)(a)の相補体、 からなる群より選択されるヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
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