JP2002510386A - リゾリン脂質の濃度変化に関連する癌の検出方法 - Google Patents

リゾリン脂質の濃度変化に関連する癌の検出方法

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Abstract

(57)【要約】 この発明は、被験者から採取された体液サンプル中のリゾリン脂質の濃度を測定するステップと、こうして得られた濃度を、癌のない健常者から採取されたサンプル中の存在濃度と比較して、癌が存在するかしないかを示すリゾリン脂質の変化レベルを求めるステップとにより、癌が存在するかを検査するための方法である。この発明の方法は、被験者中の女性生殖器癌および乳癌のような癌の診断および予後のために、更に、所定の時間にわたる治療の結果を監視するために使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 リゾリン脂質の濃度変化に関連する癌の検出方法 I.関連出願との相互参照 本出願は、1997年3月21日に出願された同時係属の米国特許出願第08/822,128 号の一部継続出願である。 II.序 本発明は、被験者由来の体液サンプル中のリゾリン脂質またはその成分の脂肪 酸の濃度を検査することにより、リゾリン脂質の濃度変化との相関を有する癌、 特に、女性生殖器癌(gynecological cancers)および乳癌が存在するかを調べる ために被験者をスクリーニングする方法に関する。 III.発明の背景 ヒトの種々の癌を早期に検出するための癌マーカーが現在必要となっている。 乳癌および女性生殖器癌は、女性にとって深刻な死亡要因であり、早期介入が課 題となっている。例えば、卵巣癌は、女性の悪性疾患による死亡の四番目に大き な原因である(American Cancer Society,Cancer J.Clin.,43:7-26(1993)) 。より治療可能性の高い初期の段階で診断を行えば、現時点では診断時に患者の 70%が進行疾患状態にある卵巣癌において生存率を増大させることができるであ ろう。利用可能な最良の血清マーカーであるCA125は、単独のマーカーとして卵 巣癌のスクリーニングに使用するのに十分な感度も特異性も備えていない(Einh orn et al.,Obstet.Gynecol.,80:14-18(1992))。特に、初期段階の卵巣癌 を有する患者の50%までは、血清中にCA125が検出されない(Schapira et al.,A nn.Intern.Med.,118:838-843(1993))。子宮頸癌や子宮癌を検出するための 血漿マーカーも血清マーカーも存在しない。更に、乳癌があるかを調べるための 有効な血清スクリーニング試験も存在しない。マーカーとしてCA125を使用する 場合の偽陽性結果の割合は約2%であり、検出された各早期癌に対して約100例の 偽陽性結果が得られている(Jacobs et al.,BMJ,313:(7069):1355-1358(1996) ;Dortum et al.,E.J.Cancer 32A(10):1645-1651(1996);Muto et al.,Gyneco logic Oncol.51(1):12-20(1993);Jacobs et al.,Lancet 1(8580):268-271(198 8))。 被験者のスクリーニングを経済的かつ迅速に行って、癌、特に、女性生殖器癌 および乳癌を早期に検出し、被験者の予後を明確化し、更に、これらの癌の治療 に対する被験者の反応を監視するためのより信頼できるマーカーが、これらの疾 患の予後を向上させるために必要である。 ホスファチジルコリン(PC)は、アラキドン酸およびリノール酸のような多価 不飽和脂肪酸の主供給源の1つである。前者は、多数の生物活性を有するエイイ コサノイドの前駆物質である。PCを加水分解すると、リゾホスファチジルコリン (LysoPC)および成分脂肪酸を生成するが、これはシグナル伝達に関係すること が示唆された(Asaoka et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:4917-4921(19 93);Yoshida et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:6443-6446(1992))。増大 する多数の証拠から、酸化された低密度リポタンパク質中に高濃度で存在するLy soPC(レビューについては、Steinberg et al.,Eng.J.Med.320:915-924(198 9)を参照されたい)は、アテローム形成および他の炎症性疾患において重要な役 割を果たしている可能性があることが示唆される。例えば、LysoPCは、培養内皮 細胞中において、血小板由来増殖因子AおよびB鎖をコードする遺伝子の転写なら びにヘパリン結合表皮細胞増殖因子様タンパク質(HB-EGF)を増大させること( Kume and Gimbrone,J.Clin.Invest.93:907-911(1994))、更に、ヒト単球中 においてHB-EGFをコードするmRNAを増大させること(Nakano et al.,Proc.Nat l.Acad.Sci.USA,91:1069-1073(1994))が報告されている。これらの遺伝子 産物はいずれも、平滑筋細胞および繊維芽細胞に対する強力な分裂促進物質であ る(Higashiyama et al.,Science 251:936-939(1991);Ross,Nature(Lond.)362 :801-809(1993))。LysoPCはまた、in vitroでプロテインキナーゼCを活性化す ること(Sasaki et al.,FEBS Letter 320:47-51(1993))、ヒト Tリンパ球の活性化を増大させること(Asaoka et al.,Proc.Natl.Acad.Sci .USA,89:6447-6451(1992))、更に、膜透過性ジアシルグリセロールまたはホ ルボールエステルのいずれか一方により誘発されるマクロファージへのHL-60細 胞の分化を促進すること(Asaoka et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:49 17-4921(1993))が報告されている。 また、LysoPCは、リゾホスホリパーゼによる加水分解(Tokumura et al.,Bio chim.blophys.Acta 875:31-38(1986))を介して生物活性リゾホスファチジン 酸(LPA)の供給源になりうる(レビューについては、Moolenaar et al.,Rev. Physiol.Biochem.Pharmacol.119:47-65(1992)を参照されたい)。卵巣癌活性 化因子(OCAF)は、卵巣癌腹水から単離され(Mills et al.,Cancer Res.48:1 066(1988);Mills et al.,J.Clin.Invest.86:851(1990)、ならびに米国特許 第5,326,690号および同第5,277,917号)、多数の形態のLysoPAからなることが確 認された(Xu et al.,Clin.Cancer Res.1:1223-1232(1995))。LysoPAは、卵 巣癌患者の腹水中に存在する強力な腫瘍増殖因子であることが確認された(Id. )。癌患者由来の赤血球および血清中の全リゾホスファチジルコリン(LysoPC) レベルに焦点をあてた従来の研究からは、乳癌患者ではLysoPCの変化はないとい う結論が導かれた(Kal'nova,Vopr .Onkol. 35(7):795-801(1989))。赤血球お よび全血に焦点をあてた研究において、転移性乳癌を有する患者では、全リン脂 質に対する全リゾリン脂質の割合は増大することが観測された。Damanskii,Vop r .Onkol. 38(10):1194-202(1992)。これらの研究では、特定のリゾリン脂質の レベルの評価は行われず、脂肪酸組成の研究も行われなかった。更に、他の形態 の癌を有する患者についても乳癌患者についても、血清中、血漿中、尿中、なら びに未分画血液および赤血球を除く他のいずれの体液中のリゾリン脂質の評価も 行われなかった。従って、これらの研究からは、癌患者の血漿/血清中において 特定のリゾリン脂質が変化するという結論も予測も得られないであろう。 IV.発明の概要 従って、本発明には、癌のない健常者中のリゾリン詣質のレベルに対する被験 者中の特定のリゾリン脂質の濃度変化との相関を有する癌、例えば、卵巣癌、子 宮癌、卵管癌、および子宮頸癌のような女性生殖器癌、ならびに乳癌のような他 の癌の診断、予後の決定、および監視を行う方法が含まれる。 この方法は、被験者から採取された体液のサンプル中のリゾリン脂質の濃度を 検査することによって行われる。この場合の測定値としては、1)被験者由来の サンプル中に存在する特定の選ばれたリゾリン脂質、例えば、LysoPCまたはLyso PAの濃度、2)特定の飽和度もしくは不飽和度の脂肪酸および/または特定の鎖 長の脂肪酸を有する選ばれたリゾリン脂質のサブタイプ(例えば、パルミトイル -LysoPCまたはリノレオイル-LysoPC)の濃度あるいはグリセロールバックボーン に結合した特定の長鎖アルコールを有するサブタイプの濃度、3)サンプル中に 存在する全リゾリン脂質の濃度、4)被験者から採取された単一サンプル中の最 初の1種のリゾリン脂質、例えばLysoPCの濃度、続いて測定されるもう1種のリゾ リン脂質、例えばLysoPAの濃度を使用することができる。単一のサンプルから同 時にまたは逐次に異なるリゾリン脂質の測定を行うことにより、本発明の方法を 使用した癌の検出の感度および/または特異性を増大させることができるので、 偽陰性または偽陽性の結果の出現率は低減する。 このほか、被験者および健常者から採取されたサンプルにおいて、特定のリゾ リン脂質を構成する特定の組合せの脂肪酸の濃度の比を測定して比較してもよい 。 本発明は、少なくとも部分的には、LysoPCおよびLysoPAのようなリゾリン脂質 が、女性生殖器癌、例えば、卵巣癌、および他の癌を有する被験者の体液中で変 化するという発見に基づいている。本発明の方法に使用するための好ましいリゾ リン脂質には、sn-3位に、ホスフェート、またはコリン、イノシトール、エタノ ールアミン、グリセロール、もしくはセリンなどで誘導体化されたホスフェート を有し、sn-1位またはsn-2位に、アシル結合によりグリセロールバックボーンに 連結された単一脂肪酸鎖を有し、他のsn-l位またはsn-2位にヒドロキシルを有す るグリセロールバックボーンが含まれる。 このほか、グリセロールバックボーンのsn-1位に、アルキルまたはアルケニル 結合で連結された長鎖アルコールを有し、sn-2位にヒドロキシルを有する場合も 含まれる。これらの化合物は、次の一般構造を有する。 sn-1リゾリン脂質 sn-2リゾリン脂質 式中、Xは、アシル結合、アルキル結合、またはアルケニル結合を介して結合 された任意の脂肪酸または長鎖アルコールであり、具体的には、18:0、16:0、1 8:1、18:2、20:4n-6、および22:6n-3が挙げられるが、これらに限定されるもの ではなく、R1は、アシル結合を介してリン脂質のグリセロールバックボーンに連 結された任意の脂肪酸であり、具体的には、パルミチン脂肪酸、パルミトレイン 脂肪酸、ステアリン脂肪酸、オレイン脂肪酸、リノール脂肪酸、アラキドン脂肪 酸、およびドコサヘキサン脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されるものでは ない。 R2は、任意の誘導体化ホスフェートであり、具体的には、水素、コリン、イノ シトール、エタノールアミン、グリセロール、およびセリンが挙げられるが、こ れらに限定されるものではない。 本発明の方法を使用して検出されるリゾリン脂質としては、LysoPA、LysoPC、 LysoPS、LysoPE、LysoPI、およびLysoPGが挙げられるが、これらに限定されるも のではない。 被験者の癌の予後のための本発明のもう1つの実施形態では、癌を有する被験 者のリゾリン脂質濃度を所定の時間間隔で逐次測定し、所定の時間にわたりこれ らの化合物の濃度を比較することにより、癌の予後および治療の成否を決定する 。特定の癌に対して、被験者から採取されたサンプル中のリゾリン脂質の濃度が 後で増大した場合には、生きている腫瘍細胞の数が増大したと考えられ、リゾリ ン脂質の濃度が低下した場合には、生きている腫瘍細胞の数が減少したと考えら れる。 本発明の方法の更にもう1つの実施形態では、被験者から得られた血漿サンプ ル中の第1のタイプのリゾリン脂質の濃度の測定と同時にまたは逐次的に、少な くとも1つの他のタイプのリゾリン脂質の濃度の測定を行うことにより、被験者 中の癌の検出の感度および/または特異性を向上させる。 本発明の更にもう1つの実施形態では、CA125のような別の癌細胞マーカーの濃 度を測定することにより、癌の検出の感度および/または特異性を更に向上させ る。 本発明の特定の実施形態では、被験者から採取されたサンプル中のLysoPCおよ び/またはLysoPAの濃度を測定することにより、被験者中に女性生殖器腫瘍が存 在するかを診断する。被験者から得られたサンプル中のリゾリン脂質の濃度の所 定の時間にわたる変化率を測定することにより、診断を行ってもよい。 本発明のもう1つの実施形態では、最初に、被験者から得られた体液サンプル 中のLysoPCのようなリゾリン脂質に含まれる特定の脂肪酸の比を測定し、これら の脂肪酸の比を、癌のない健常者から採取されたサンプル中のリゾリン脂質に含 まれるそれと同じ脂肪酸の比と比較することにより、癌の診断を行う。正常なサ ンプル中のリゾリン脂質に含まれる脂肪酸の比の値と比べて、被験者から得られ たサンプル中のリゾリン脂質に含まれる脂肪酸の比の値が変化した場合には、癌 が存在すると考えられる。被験者から得られたサンプル中のリゾリン脂質に含ま れる脂肪酸の比の値が特定の範囲内に含まれる場合には、被験者から得られたサ ンプル中のリゾリン脂質に含まれる異なる脂肪酸の比を測定し、正常なサンプル 中のリゾリン脂質に含まれるそれと同じ脂肪酸の比と比較する。この第2の比の 値に変化が見られた場合には、癌が存在すると考えられる。後述する実施例では 、試験サンプル中のLysoPCに含まれる脂肪酸の比を使用して乳癌の診断を行う。 更にもう1つの実施形態は、リゾリン詣質の濃度を測定するための試薬を含有 し、場合により、抗リゾリン脂質抗体を含む診断用キットである。 本発明の利点は、特定のリゾリン脂質の存在と関連する癌を初期の段階で検出 することができること、および検出の特異性および感度が増大するため、早期の 介入が容易になり、被験者の予後が改良されることである。更に、本発明の方法 を用いると、乳癌の検出に対する陽性および偽陰性の結果の数を減少させること ができる。 V.図面の簡単な説明 図1A〜1C。対照被験者および癌患者の血漿中のホスファチジルコリン(PC)( 1A)およびLysoPC(1B)の濃度ならびにLysoPC/Pcの比(1C)を示すグラフ。デ ータは、7人の対照および17人の卵巣癌患者に対する平均値±SEで示されている 。卵巣癌患者から得られた血漿のLysoPC濃度(**p<0.01)およびLysoPC/PCモル 比(**p<0.01)には、対照と比較して有意差が観測された。 図2。対照被験者および卵巣癌患者の血漿PCの脂肪酸組成(全脂肪酸に対するm ol%)を示すグラフ。(16:0=パルミチン酸、18:0=ステアリン酸、18:1=オレイ ン酸、18:2n-6=リノール酸、20:4n-6=アラキドン酸) 図3。対照被験者および卵巣癌被験者の血漿LysoPCの脂肪酸組成(全脂肪酸に 対するmol%)を示すグラフ。卵巣癌被験者では、対照と比較して、パルミチン 酸(16:0)(**p<0.01)およびステアリン酸(18:0)(***p<0.001)の濃度は有 意に高く、オレイン酸(18:1)(*p<0.05)およびリノール酸(18:2n-6)(***p <0.001)の濃度は低かった。 図4。対照被験者および卵巣癌被験者の血漿PCおよびLysoPCの16:0(パルミチン 酸)/18:2n-6(リノール酸)のモル比を示すグラフ。データは、7人の対照およ び17人の卵巣癌患者に対する平均値±SEで示されている。血漿LysoPCの場合、血 漿PCの場合と比較して有意差が観測された(***p<0.001)。 図5。卵巣癌患者および対照(「健常者」)の[LysoPC/PC]×[パルミトイル-Ly soPC(16:0)/リノレオイル-LysoPC(18:2n-6)]月の値を示すグラフ。垂直線 は、7人の対照および17人の卵巣癌患者に対する平均値±SEを表している。卵巣 癌患者由来の血漿では、対照と比較して有意に高い値が観測された(***p<0.001 )。 図6。卵巣癌患者および対照被験者から得られた血漿中のLysoPAの濃度を示す グラフ。垂直線は、9人の対照および52人の卵巣癌患者に対する平均値±SEを表 している。卵巣癌患者由来の血漿では、対照と比較して有意に高い濃度のLysoPA が観測された(***p<0.001)。 図7。活動性(active)疾患および静止性(quiescent)疾患を有する患者の血 漿中のLysoPAの濃度を対照と比較して示したグラフ。左の3つのバーは、全LysoP Aを表し、右の3つのバーは、多価不飽和脂肪酸だけを含むLysoPAを表している。 バーは、9人の対照および52人の卵巣癌患者に対する平均値±SEを表している。 疾患の静止期にある患者と比較してまたは対照と比較して、活動性疾患を有する 患者では、LysoPAおよび飽和脂肪酸含有LysoPAの濃度が有意に高いことが分かっ た。 VI.発明の詳細な説明 本発明は、被験者由来の体液サンプル中のリゾリン脂質の濃度変化と相関を有 する癌のスクリーニングを行う方法を提供する。リゾリン脂質としては、リゾホ スファチジン酸(LysoPA)、リゾホスファチジルコリン(LysoPC)、リゾホスフ ァチジルセリン(LysoPS)、リゾホスファチジルイノシトール(LysoPI)、リゾ ホスファチジルエタノールアミン(LysoPE)、およびリゾホスファチジルグリセ ロール(LysoPG)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本 発明の方法には、被験者由来のLysoPCのようなリゾリン脂質の脂肪酸成分の比を 健常者のものと比較することにより、乳癌のスクリーニングを行い、乳癌が存在 するかを調べることがふくまれる。被験者は非ヒト動物であってもよいが、好ま しくはヒト動物である。 これらのリゾリン脂質の濃度増加と相関を有する癌としては、卵巣、子宮頸、 および子宮の腫瘍などの女性生殖器腫瘍、ならびに他の癌が挙げられるが、これ らに限定されるものではない。白血病のような特定の癌には、これらのリゾリン 脂質の濃度増加との相関はない。従って、好ましくは、本発明の方法は、癌のな い被験者(「健常者」)由来の体液中で見いだされる濃度に対する被験者由来の 体液中のリゾリン脂質の濃度の増加と相関を有することが知られているかまたは そうした相関を有することが示される癌の検出に関する。 本発明の方法に有用な化合物は、sn-3位に、ホスフェート、またはコリン、イ ノシトール、エタノールアミン、グリセロール、もしくはセリンなどで誘導体化 されたホスフェートを有し、sn-1位またはsn-2位に、アシル結合によりグリセロ ールバックボーンに連結された単一脂肪酸鎖を有し、他のsn-1位またはsn-2位に ヒドロキシルを有するグリセロールバックボーンを含有するリゾリン脂質である 。このほか、グリセロールバックボーンのsn-1位に、アルキルまたはアルケニル 連結基で連結された長鎖アルコールを有し、sn-2位にヒドロキシルを有する場合 も含まれる。 これらの化合物は、次の一般構造を有する。 sn-1リゾリン脂質 sn-2リゾリン脂質 式中、Xは、アシル結合、アルキル結合、またはアルケニル結合を介して結合 された任意の脂肪酸または長鎖アルコールであり、具体的には、18:0、16:0、18 :1、18:2、20:4n-6、および22:6n-3が挙げられるが、これらに限定されるもので はなく、R1は、アシル結合を介してリン脂質のグリセロールバックボーンに連結 された任意の脂肪酸であり、具体的には、パルミチン脂肪酸、パルミトレイン脂 肪酸、ステアリン脂肪酸、オレイン脂肪酸、リノール脂肪酸、アラキドン脂肪酸 、およびドコサヘキサン脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されるものでは ない。 R2は、任意のホスフェート誘導体であり、具体的には、水素、コリン、イノシ トール、エタノールアミン、グリセロール、およびセリンのホスフェート誘導体 が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 これらのリゾリン脂質には、in vitroおよびin vivoで癌細胞に対する増殖促 進活性またはシグナル伝達活性を有するという共通の性質がある。例えば、こう した活性は、細胞質ゾルの遊離カルシウムの増加(Xu et al.,Clin.Cancer.Res.1 :1223-1232(1995))、または他のシグナル伝達経路の活性化(Moolenaar,Curre nt Opinion in Cell Biol.7:(2):203-210(1995);Moolenaar,J.Biol.Chem.270(22 ):12949-12952(1995);Jalink et al.,Biochim.Biophys.,Acta1198(2-3):186-196 (1994);およびXu et al.,Biochem.J.309:933-940(1995))と関連づけられる。 A. 発明の利用 本発明の方法からはいくつかの思恵が得られる。第lに、この方法は、多数の 被験者に対して迅速かつ経済的なスクリーニングを提供することにより、癌の早 期診断を促進し、結果として癌患者の生活の質を向上させかつ生存率を改良する ことができる。 本発明の方法を予後に使用することにより、医療専門家は、初期癌を有する被 験者に治療が必要であるかまたは治療の必要はないかを決定することができる。 また、これにより、特定の治療形態、例えば、外科手術、化学療法、放射線療法 、または生物学的療法が有効でないと考えられる被験者を特定することができる であろう。このような情報が得られれば、癌患者に対して、治療に対するより良 い反応が得られるように治療計画を改善し、生活の質を向上させ、更に、生存を 改善することができるであろう。 また、本発明の方法は、別の治療薬を使用するように治療を変更しなければな らない患者を特定するために使用することもできる。こうすることにより、治療 に対する患者の反応を調べるための「二次検査(second look)」の侵襲的手法 を施す必要はなくなり、更に、特定のタイプの治療の継続、中止、または変更を 行 う必要があるかの判断が容易になるであろう。 かなり多くの進行癌患者で癌の再発が起こると思われるので、本発明の方法を 使用して早期に検査を行い、所定の期間にわたり監視を継続すれば、癌の兆候が 現れる前に初期の潜伏性(すなわち、隠れた)再発を特定することができるであ ろう。また、これらの目的のために本発明の方法を使用すると、癌患者に対して 、治療に対する反応を改善し、生活の質を向上させ、更に、生存を改善すること ができる。 このほか、本発明の方法を用いると、良性腫瘍と悪性腫瘍との識別が容易にな るであろう。超音波法のような手法を用いてまたは理学的検査により、卵巣など の器官中の塊を初期に検出することができる。その後、本発明の方法を用いて、 癌が存在するかを診断することができる。これにより、外科的介入の必要性の回 避、および/または継続的監視を行うことが適切である被験者の特定が可能とな り、結果として、癌患者の早期検査および生存が改善されるであろう。 本発明の方法の更にもう1つの用途は、未知の原発腫瘍の発生部位の特定であ る。腹腔内または身体の他の部分にある悪性腫瘍の発生部位の組織は、従来の技 法を用いて特定することができない。この情報は、医療専門家が腫瘍に対して最 も適切な治療を行えるようにするのに役立つ。本発明の方法を使用してリゾリン 脂質および/または特定のタイプのリゾリン脂質の濃度を測定することにより、 腫瘍の発生部位に関する情報を得ることができるであろう。例えば、リゾリン脂 質の濃度の増大を調べることにより、リンパ種と、女性生殖器腫瘍よりもリゾリ ン脂質の濃度が低いと思われる腸腫瘍とを区別することができるであろう。 癌に関連するリゾリン脂質の濃度を測定する以外に、本発明の方法を使用して 他の癌細胞マーカーの測定を行い、癌検出の感度および/または特異性を向上さ せることも可能である。こうしたマーカーとしては、CAl25、Tac、可溶性IL2受 容体α、mCSF、OVX1、CEA、PSA、CA15-3、CA19.9が挙げられるが、これらに限定 されるものではない。 感度を増大させるために特に有用な測定は、所定の時間にわたるリゾリン脂質 および他の癌マーカーの濃度の測定または所定の時間にわたるリゾリン脂質の変 化率単位での濃度測定であり、これにより偽陽性の結果が減少する。 更に、本発明の方法により測定されるリゾリン脂質の濃度に関する情報から、 早期癌の検出の改良を行うために、また多数の被験者をスクリーニングして癌が 存在するかを調べるために、超音波法、生体組織検査、腹腔鏡検査もしくは外科 手術、乳房撮影、生体組織検査またはMRI(磁気共鳴画像法)のような別の手法 を用いるべきかを提示することが可能である。 乳癌に対して、本発明は、初期の陰性の結果(すなわち、癌の兆候が見られな いという結果)に基づいて乳房撮影または生体組織検査のようなより侵襲的また は望ましからぬ手法の必要な女性の数を低減しうる予備スクリーニング法を提供 する。 B. リゾリン脂質および/またはその成分の脂肪酸を検出することにより癌を 診断する方法 本発明は、被験者に癌が存在するかを診断する方法を提供する。特定の実施形 態において、本発明は、被験者から採取された体液サンプル中のリゾホスファチ ジルコリン(LysoPC)およびリゾホスファチジン酸(LysoPA)の濃度の増大を検 出する方法を提供する。体液は、血漿、血清、尿、唾液、腹水、脳脊髄液、また は胸膜液であってよい。 本発明の方法は次のように行われる。脂質の抽出および分析により、または後 述する抗体に基づくアッセイにより、先に規定したリゾリン脂質の濃度を測定す る。この場合の測定値としては、1)被験者由来のサンプル中に存在する特定の 選ばれたリゾリン脂質、例えば、LysoPCまたはLysoPAの濃度、2)特定の飽和度 もしくは不飽和度の脂肪酸および/または特定の鎖長の脂肪酸を有する選ばれた リゾリン脂質のサブタイプ(例えば、パルミトイル-LysoPCまたはリノレオイル- LysoPC)の濃度あるいはグリセロールバックボーンに結合した特定の長鎖アルコ ールを有するサブタイプの濃度、3)サンプル中に存在する全リゾリン脂質の濃 度、4)被験者から採取された単一サンプル中の最初の1種のリゾリン脂質、例え ばLysoPCの濃度、続いて測定されるもう1種のリゾリン脂質、例えばLysoPAの 濃度を使用することができる。単一のサンプルから同時にまたは逐次に異なるリ ゾリン脂質の測定を行うことにより、本発明の方法を使用した癌の検出の感度お よび/または特異性を増大させることができるので、偽陰性または偽陽性の結果 の出現率は低減する。 リゾリン脂質の測定値は、濃度(すなわち、サンプルの液体体積に対するリゾ リン脂質の存在量(例えば、μmol/ml))として求めるか、または被験者のサン プル中の他の化合物、例えば、他のリゾリン脂質、リン脂質、アルブメン、およ びクレアチニンの濃度に対して規格化した後で使用することができる。 具体的には、ステアリン酸またはパルミチン酸のような特定のタイプの飽和脂 肪酸鎖を有するLysoPCなどのリゾリン脂質の濃度を測定し、それと異なるタイプ の脂肪酸鎖を有するリゾリン脂質、例えば、オレイン酸およびリノール酸のよう な不飽和脂肪酸鎖を有するLysoPCの濃度と比較する。次に、サンプル中のホスフ ァチジルコリン(PC)などの成分の全量を用いて、これらの値を規格化する。こ のような測定値を用いると、脂肪酸鎖のタイプにかかわらず、リゾリン脂質単独 、例えば、LysoPC単独の全量を測定値として用いるよりも、癌の存在をより特異 的にまたはより高感度で検出することが可能となる。更に、リゾリン脂質の濃度 を、それと同等なリン脂質と比較することも可能である。例えば、LysoPCの濃度 をサンプル中のPCの濃度と比較することが可能である(後述の実施例および図1 〜5を参照されたい)。 最初に、リゾリン脂質および/または特定のリゾリン脂質種の生理学的(「正 常」)濃度を、癌のない被験者で測定する。続いて、癌のスクリーニングの対象 となる被験者から得られた体液サンプル中のリゾリン脂質の濃度を測定し、健常 者で得られた濃度と比較する。リゾリン脂質の濃度が正常値と比較して高い場合 には、癌が存在するとの診断を行うことが可能である。このほか、先に述べたよ うに、この濃度を他の化合物の濃度に対して規格化した後で比較してもよい。 被験者から採取されたサンプル中で検出されるリゾリン脂質の濃度は、次のよ うにして測定してもよい。後述するように、最初に、脂質を抽出する。次に、標 準的な手法、例えば、ガスクロマトグラフィー、HPLC、ELISA、NMR、酵素を 用いた生化学的アッセイ、または他のアプローチを使用して、リゾリン脂質の量 を定量する。あるいは別法として、抗体に基づくアッセイで抗リゾリン脂質抗体 を使用することにより、サンプル中のリゾリン脂質の存在量を定量する。これに ついても、後で詳細に説明する。正常な対照と比較してリゾリン脂質の濃度が有 意に増大した場合、例えば、正常値から標準偏差分またはそれ以上増大した場合 、癌が存在すると考えられる。 このほかの診断ツールとして、先に述べたように、選ばれたリゾリン脂質種の 濃度を測定し規格化する。これらの種の濃度が増大した場合、癌が存在すると考 えられる。これにより、アッセイの感度および特異性を増大させることが可能で ある。 本発明の方法を用いて決定されたリゾリン脂質の濃度は、癌が存在するかを調 べるための診断およびスクリーニングならびに癌を有する被験者の予後の決定を 行うために使用することができる。更に、被験者から採取されるサンプル中のリ ゾリン脂質の濃度を所定の時間にわたり測定することにより、治療に対する癌の 反応を監視することも可能である。 このほか、所定の時間にわたるリゾリン脂質の濃度の変化率を測定することも 可能であり、これによって癌の存在をより高感度でまたはより特異的に検出する ことができる。 癌の診断評価および予後評価を行うために、種々の方法を利用することができ る。例えば、本発明のin vitro診断アッセイ法には、生物学的サンプル中のリン 脂質の検出が含まれるため、診断または予後の手法の一部分として使用し、患者 のリゾリン脂質濃度が異常であるかを調べることが可能である。このようなアッ セイ法としては、ガスクロマトグラフィー、NMR、およびHPLCのように当技術分 野で周知の技法が挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み入れるBligh and Dyer,Can.J.Biochem.Physiol.37:911-917(1959)に記載されているような抽 出手順を使用して、体液の試験サンプルから脂質を抽出してもよい。薄層クロマ トグラフィーを使用して種々のリン脂質を分離してもよく、これについては、例 えば、参照により本明細書に組み入れるThomas and Holub,Biochim.Biophys.Act a, 1081 :92-98(1991)に記載されている。次に、例えば、参照により本明細書に組み 入れるGaudette et al.,J.Biol.Chem.268:13773-13776(1993)に記載されている ように、紫外光を使用してプレート上でリン脂質およびリゾリン脂質を可視化す る。可視化されたリン脂質からの抽出によって脂肪酸を検出し、ガスクロマトグ ラフィー(参照により本明細書に組み入れるSkeaff and Holub,In M.Lagarde(ed .),Biology of Eicosanoids,Vol.152,pp.63-76,Inserm,Paris(1987)を参照され たい)、HPLC、またはNMRなどの手順を使用して定量してもよい。脂肪酸を含む リゾリン脂質の濃度は、ガスクロマトグラフィーによる脂肪酸含有量の算定から 誘導することができ、ヘプタデカン酸のような内部標準を用いて検量することが できる。このほか、リゾリン脂質の濃度は、リン脂質から単離した後またはリン 脂質の一部分として単離した後、NMRまたはHPLCにより求めることができる。 抽出によるリゾリン脂質濃度の直接的測定のほかに、リゾリン脂質と反応する モノクロナール抗体のような抗体をアッセイに使用して、試験サンプル中のリゾ リン脂質の濃度を求めることもできる。例えば、標準的な手順を用いて抗リン脂 質抗体を標識し、これを、固相および液相のラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍 光結合アッセイ、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのように液体 サンプル中のリゾリン脂質の存在の検出に抗体を使用するアッセイ(例えば、Uo tila et al.,J.Immunol Methods 42:11(1981)を参照されたい)、ならびに蛍光 技法(Sikora et al.,(eds).,Monoclonal Antibodies,pp.32-52,Blackwell Scie ntific Publications,(1984))で使用する。 リゾリン脂質に対抗して誘導されるモノクロナール抗体は、リゾリン脂質を検 出するためのアッセイに使用されるが、このモノクロナール抗体は、確立された 手順に従って、例えば、リゾリン脂質、その断片、またはそれらの機能的等価物 で種々の宿主動物を免役することによって産生させることができる。このような 宿主動物としては、2、3例を挙げると、ウサギ、マウス、ラット、ヤギが挙げら れる。ただし、これらに限定されるものではない。宿主種にもよるが、種々のア ジュバントを使用して宿主動物における免疫応答を増大させてもよく、こうした アジュバントとしては、フロイントアジュバント(完全および不完全)、水酸化 アルミニウムのような鉱質ゲル、プルロニック(pluronic)ポリオールのような界 面活性物質、ポリアニオン、ペプチド、油エマルション、キーホールリンペット ヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびに潜在的に有用なヒトアジュバント 、例えば、BCG(Bacille Calmette-Gucrin)およびCoryncbacterium parvumが挙 げられる。ポリクロナール抗体は、免疫動物の血清から誘導される抗体分子の不 均一集団である。 特定の抗原に対する抗体の均一集団であるモノクロナール抗体は、培養物中の 連続細胞系によりまたはファージ展示ライブラリーを使用して抗体分子を産生さ せる任意の技法によって得ることができる。こうした技法としては、Kohlerおよ びMilsteinのハイブリドーマ法(Nature 356:495-497(1975))、ヒトB細胞ハイ ブリドーマ法(Kosbor et al.,Immunology Today 4:72(1983):Cole et al.,Proc .Nat'l Acad.Sci.USA 80:2026-2030(1983))、およびEBVハイブリドーマ法(Col e et al.,Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77 -96(1985))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような抗 体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDなどのいずれの免疫グロブリンクラスに属する ものてあってもよいし、それらのいずれのサブクラスに属するものであってもよ い。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養は、in vitroで行って もよいしin vivoで行ってもよい。 特定のリゾリン脂質を認識する抗体断片の使用および作製は、周知の技法によ り行ってもよい。例えば、このような断片としては、抗体分子をペプシンで消化 することにより生成可能なF(ab')2断片、およびF(ab')2断片のジスルフィド架橋 を還元することにより作製可能なFab断片が挙げられるが、これらに限定される ものではない。このほか、所望の特異性を有するモノクロナールFab断片の迅速 かつ容易な同定を可能にすべく、Fab発現ライブラリーを作製してもよい(Scien ce 246:1275-1281(1989))。 先に述べたアッセイに使用するためにリゾリン脂質に対する抗体を調製する手 順については、既に報告されている。例えば、ホスファチジルイノシトール抗体 およびホスファチジン酸抗体を産生させる手順についての報告がある(Keating et al.,Biochem.J.317(Pt.3):643-646(1996);Fukami et al.,Proc.Nat'l.Acad.S ci.USA85:9057-9061(1988);Fukami et al.,Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA 85(23):90 57-9061(1988);およびMatuoka et al.,Science,239(4840):640-643(1988)を参照 されたい)。 本発明のもう1つの実施形態において、乳癌などの癌を検出するために被験者 を予備スクリーニングにかけてもよい。被験者由来の血清または他の体液のサン プルで、LysoPCのような特定のリゾリン脂質の脂肪酸組成を測定する。リゾリン 脂質中の特定の脂肪酸の比、例えば、パルミチン酸:リノール酸(16:0/18:2n-6 )を、健常者(すなわち、乳癌のない被験者)から採取されたサンプルより得ら れたそれと同じ脂肪酸の比と比較する。健常者から得られた比の値と比較して、 被験者から得られた比の値が有意に変化した場合には、癌が存在すると考えられ る。試験サンプルから得られる比に対して「カットオフ」値を設定することが望 ましく、この値を超えるサンプルは癌に対して陽性であると判定される。後述す る実施例中の特定の実施形態では、カットオフ値は、データに基づいて少なくと も3.5であることが示された。更に、下限値と上限値とで規定される範囲が「更 に試験が必要な」結果に相当するように、試験サンプルから得られる比に対して 下限値を設定することが好ましい。LysoPCのような特定のリゾリン脂質中の脂肪 酸の比がこの範囲内に含まれる場合には、第2の試験を行い、それと同じリゾリ ン脂質中の異なる脂肪酸の比の値を、もとの試験サンプル中のそれと同じリゾリ ン脂質中のこれらの脂肪酸の比と比較する。試験サンプルから得られたこの第2 の比の値が第2のカットオフ値を超えた場合には、この被験者は癌を有すると判 定される(また、例えば、乳房撮影のような更なるスクリーニングが必要である )。後述する実施例中の特定の実施形態では、カットオフ値1.00を使用して乳癌 の存在を調べた。LysoPCのようなリゾリン脂質中の脂肪酸の比をこのように2段 階で解析すると、感度は増大し、偽陰性および偽陽性の結果は低減する。特に、 本発明の方法を用いると、乳癌の存在を調べるための乳房撮影のような手順の必 要な個体数を減少させることが可能であり、その結果、コストや設備を削減する ことができる。 C. 癌を有する被験者を監視する方法 本発明はまた、所定の時間にわたり患者の癌を追跡する方法を提供する。例え ば、癌患者由来の体液サンプル中のLysoPCのようなリゾリン脂質の濃度を測定す る。所定の時間が経過した後、該リゾリン脂質の濃度を測定し、該患者から最初 に得られた濃度と比較する。所定の時間にわたリリゾリン脂質の濃度増加が観測 された場合には、生きている腫瘍細胞の数が増加したと考えられ、従って、患者 中に存在する癌が増大したと考えられる。反対に、リゾリン脂質の濃度低下が観 測された場合には、癌の存在量が減少したと考えられる。 このほか、各サンプルからLysoPAなどの2つ以上のタイプのリゾリン脂質を測 定してもよい。これらの測定から得られた情報に基づいて、医療専門家は、特定 の治療薬または手順を変更、中断、または開始するように治療を調節し、患者の 予後および生存を改善することができる。 D. 診断用キツト 被験者由来の体液サンプル中のリゾリン脂質の濃度を測定するための本明細書 に記載の方法はまた、例えば、予めパッケージ化された診断用キットを使用して 実施してもよい。このようなキットには、リゾリン脂質の濃度を求めるための試 薬、例えば、種々の液体サンプルから脂質を抽出するための試薬が含まれる。こ の試薬には、サンプルの輸送時または貯蔵時におけるリゾリン脂質の追加生成ま たは加水分解を抑制するために、緩衝剤のような補助剤、およびEDTAのような薬 剤が含まれる。このほか、診断用キットには、抗リゾリン脂質抗体のような標識 抗体試薬、または抗体の組合せが含まれていてもよく、こうした抗体は、癌を有 する被験者を診断するために、例えば、臨床環境下で、便利に使用することが可 能である。キットにはまた、本発明の方法を実施するための、および/またはサ ンプルを診断室に移動して処理するための装置もしくは容器、ならびに本発明の 方法を実施するための適切な取扱説明書が含まれていてもよい。 本発明の方法を実証するために、また当業者が該方法を使用する際の助けとな るように、次のような実施例を提示する。これらの実施例は、本特許に対して交 付された特許証により許諾された開示または保護の範囲をなんら制限するもので はない。 VII.実施例:卵巣癌患者の血漿中のLysoPCおよびその成分である脂肪酸の検出 A. 被験者 この実施例には、Toronto General Hospitalに入院中で上皮卵巣癌であると診 断された年齢36歳〜74歳(平均年齢55歳)の17人の被験者が含まれていた。これ らの被験者のうちの7人は、活動性疾患を有すると診断された。9人の被験者は、 分析時、シスプラチニウムを用いた化学療法を受けていた。M.D.Anderson Cance r Center(テキサス州Houston)で化学療法のサイクル期間中であった活動性白血 病を有する6人の被験者もまた、比較のために含めた。対照の被験者は、年齢46 歳〜63歳(平均年齢52歳)の7人の健常な女性であった。 B. 血漿サンプル EDTAの入ったVacutainer(ニュージャージー州RutherfordのBecton Dickinson and Company)中に血液(7ml)を吸入し、血漿を分離させた(1,600×g、15分 間)。この血漿を-20℃で貯蔵し、7日間以内に分析した。 C. 脂質抽出およびリン脂質分析 参照により本明細書に組み入れるBligh and Dyer,Can.J.Biochem.Physiol.37: 911-917(1959)の方法にいくらかの変更を加えて、血漿脂質を抽出した。各血漿 サンプル0.5mlに、クロロホルム/メタノール(1:2v/v)3.75mlを添加し、その 内容物を1分間攪拌した。遠心処理により血漿タンパク質の大部分をペレットに した後、クロロホルム/メタノール抽出物を新しい管に移し、クロロホルム1.25 mlと十分に混合した。H2O1.75mlを添加し、内容物を軽く攪拌し、遠心処理にり 相分離させた。下側クロロホルム層を取り出した後(第1の抽出物)、残存する 水相にクロロホルム2.5mlおよび濃HCl63μlを添加した。遠心処理の後、クロロ ホルム層を回収した(第2の抽出物)。第1および第2(酸性化)のクロロ ホルム抽出液を窒素下で濃縮し、シリカゲルプレート(Silica Gel 60)(ニュ ージャージー州GibbstownのEM Science)上にスポッティングした。参照により 本明細書に組み入れるThomas and Holub,Biochim.Biophys.Acta,1081:92-98(199 1)の方法に従って、2次元TLC[次元1:クロロホルム/メタノール/14.8N水酸化 アンモニウム:65:35:5.5(v/v/v)および次元2:クロロホルム/メタノール/88 %ギ酸/水:55:28:5:1(v/v/v/v)]によりリン脂質を分離した。2回のクロマト グラフステップの間、窒素下においてTLCプレートを40℃で30分間乾燥させた。 このプレートに8-アニリノ-1-ナフタレン-スルホン酸(ANS)(ミズーリ州St.Loui sのSigma)の0.1%水溶液を噴霧し、紫外光下で観察することにより、リン脂質 を検出した(Gaudette et al.,J.Biol.Chem.,268:13773-13776(1993))。PCおよ びLysoPCに相当するスポットをプレートから掻き取り、アセチルクロリド/メタ ノール5:50(v/v)2mlを使用して85℃において2時間にわたリシリカゲルの存在下 でメチル基転移させた。内部標準として既知量のヘプタデカン酸(17:0)を使用 した。メチル基転移の後、脂肪酸メチルエステルを石油エーテルで抽出し、Mode l 5890 Aガスクロマトグラフィー(デラウェア州WilmingtonのHewlett Packard )を使用して定量した。これについては、先に述べたように、参照により本明細 書に組み入れる(Skeaff and Holub,In M.Lagarde,(ed),Biology of Eicosanoid s,Vol.152,pp.63-76,Inserm,Paris(1987))に記載されている。本明細書に提示 したPCおよびLysoPCの濃度は、ガスクロマトグラフィー(GC)により求めた脂肪 酸含有量から誘導し、ヘプタデカン酸で検量した。 スチューデントのt検定によりデータを解析し、p<0.05のときに有意差有りと した。 D. 結果 1. 血漿PCおよびLysoPCの濃度 血漿PC濃度は、卵巣癌被験者(1.08±0.07μmol/ml、平均値±SE)において正常 な対照(1.26±0.17μmol/ml)よりも平均して14%低かったが、この差違は有意な ものではなかった(p<0.2)(図1A)。これに対して、卵巣癌被験者における血漿Ly soPC濃度は対照に比べて有意に高かった(平均43%;p<0.01)(図1B)。対照および 卵巣癌被験者に対応する値は、125.6±7.1nmol/ml(平均値±SE)および179.7±10 .0nmol/mlであった。LysoPCのPCに対するモル比もまた、卵巣癌患者(0.17±0.01 、平均値±SE)においては対照の被験者(0.11±0.02)と比較して著しく高かった( 図1C)。 対照および卵巣癌被験者のどちらにおいても、この方法によって得られた血漿 PCおよびLysoPC全体のうちそれぞれ98%および88%以上がl回目のクロロホルムの 中に抽出された(中性抽出物)。血漿PC全体に占める割合はわずかなものでしか ないが、卵巣癌被験者から得られた血漿の酸性抽出物中には、正常な対照と比べ て有意に大きな量(21.6対14.4nmol/ml;p<0.05)が観察された。 2. 血漿PCおよびLysoPCの脂肪酸組成 対照と卵巣癌患者の間には、血漿PCの脂肪酸組成の有意な差違はなかった(図 2)。これに対して、卵巣癌被験者の血漿LysoPCには、総脂肪酸に対するmol%で 表したとき、対照と比べて有意に高濃度のパルミトイル-およびステアロイル-Ly soPC種、および低濃度のオレオイル-および特にリノレオイル-LysoPC種が含まれ ていた(図3)。卵巣癌被験者における血漿パルミトイル-LysoPCのリノレオイル -LysoPCに対するモル比(5.3±0.3、平均値±SE)は、対照のそれ(3.0±0.4) よりも有意に高かった(図4)。 3. 血漿パルミトイル-LysoPCとリノレオイル-LysoPCのモル比による濃度の比 較の卵巣癌の指標としての可能性 血漿LysoPCの濃度(図1B)およびLysoPCのモル比(図1C)およびパルミトイル -LysoPC/リノレオイル-LysoPC(図4)は、卵巣癌被験者において、正常な対照と 比較して有意に高い濃度を示し、それぞれ、p<0.01、p<0.01およびp<0.001で あったが、いくつかの被験者から得られたデータは対照から得られたデータとオ ーバーラップした。そこで、[LysoPC/PCモル比]×[パルミトイル-LysoPC/リノレ オイル-LysoPCモル比]の値を計算した。対照の間の値(0.324±0.054、平均値± SE)を卵巣癌被験者(0.928±0.092、平均値±SE)と比較した。図5に示すよう に、卵巣癌の被験者の平均値は対照と比べて極めて高かった(p<0.001)。さらに 、17被験者中の15被験者は対照の平均値±ISD(0.0450)よりも高い値を有し、17 被験者中の13被験者は対照の平均値±2SD(0.596)よりも大きかった。 VIII.実施例:卵巣癌患者の血漿中のLysoPAおよびその構成成分の脂肪酸の検出 A. 被験者および血漿サンプル 血液は、トロント病院の婦人科腫瘍学診療所(Gynecological Oncology Clinic of the Toronto Hospital)の52人の一連の卵巣癌患者から集めた。血液を、リ ゾリン脂質あるいはリン脂質の代謝または生成を減少させるためにEDTAが入った 管に集めた。正常なサンプルは、対照としての9人の健康なボランティアから得 た。サンプルを上記のようにして遠心分離して血小板および他の血液成分を除去 し、血漿を−20℃で凍らせた。血漿のLysoPAおよび他のリゾリン脂質を下に記載 する方法でアッセイした。患者について、活動しているまたは休止した病気が存 在するかどうかを臨床的な知見に基づいて評価した。 B. LysoPAの精製 LysoPAを、上にLysoPCについて記載した通りだが、酸性でのクロロホルム抽出 物または第2の酸性での抽出物を定量した点のみ異なる方法で精製した。 C. LysoPA脂肪酸の分析 TLCによって分離されたLysoPAについて、シリカゲルの存在下、2mlの塩化アセ チル/メタノール5:50(v/v)を用いて85℃で2.5時間にわたってメチル基転移反応 をおこなった。ヘタデカン酸(17:0)を内標準として用いた。メチル基転移反応に 続いて、LysoPAに含まれる脂肪酸から誘導された脂肪酸メチルエステルを石油エ ーテルで抽出し、5890A型ガスクロマトグラフ(Hewlett Packard,Wilmington, Delaware)を用いたガスクロマトグラフィー(GC)により定量した。この方 法は、SeaffおよびHolubにより記載されており(Skeaff and Holub,In:M.La g arde(ed.)Biology of Eicosanoids and Related Substances in Blood and Vasc ular Cells.152:63-76,Paris,Inserm(1987))、この文献を参照により本明細 書に組み入れる。本明細書に示したLysoPAの濃度はすべて、GCによって定量され 、ヘプタデカン酸で検定された脂肪酸成分に由来する。 D. 結果 この実施例は、卵巣癌患者では、LysoPA全体の濃度が正常な被験者と比較して 著しく上昇していることを示している(図6に示す)。さらに、図6に示された患 者から得られた血漿サンプルについて活動しているまたは休止した病気が存在す るかどうか評価すると、LysoPA全体および多不飽和脂肪酸を有するLysoPAの量は 、正常な被験者から得られた血漿中のこれらの成分の相当する濃度よりも有意に 高かった。多不飽和脂肪酸鎖を有するLysoPAの濃度は、図7に示されるように休 止状態の病気を有する何人かの患者において増加する。卵巣癌はしばしば再発す るので、これらの結果は、臨床的な分析によっては検出することができない隠れ た腫瘍を有する患者の存在を反映している可能性がある。 E. 考察 LysoPCおよびLysoPAのようなリゾリン脂質(LPAs)は、ヒト血漿の正常な構成 要素である。血漿中のLysoPCの多くはアルブミンと結合している(Skipski et al .,Biochem.J.104(2):340-52(1967))。健康な個体の血漿中のLysoPCの絶対濃 度は、研究によってかなりばらつきがある(Skipski et al.,上出;Philips and Dodge,J.Lipid Res.8:676-681(1967);Gillet and Besterman,Atherosclero sis 22:111-124(1975);Kriat et al.,J.Lipid Res.34:1009-1019(1993))。血 漿リン脂質全体に対するパーセンテージとして表した場合にはLysoPCは常に約6. 5%存在することが観察されるので、このばらつきは研究した個体群の間での総血 漿脂質含有量の違いを反映しているものと思われる。健康な対照における血漿Ly soPCの概算値は(PCが血漿リン脂質全体の68%存在すると仮定;Skipski et al.,上出;Gillett and Besterman,上出)、総リン脂質の7.5±1.0%(平均 値±S.E.)であり、これは以前の文献の値とだいたい一致している。本研究にお けるやや高めの値は、LysoPC全体のおよそ12%が回収される第2の酸性での抽出 段階の使用を反映したものと思われる。これに対して、卵巣癌の患者の血漿中に おいては、LysoPCは総リン脂質の11.8±0.8%存在している。また、卵巣癌の患者 の血漿中において、LysoPAは総リン脂質の0.05%存在している。相対的に、卵巣 癌患者の血漿においては健康な対照と比較して、LysoPCに関しては、パルミトイ ルおよびステアロイル-LysoPC種が増加し、オレオイルおよびリノレオイル-Lyso PC種が減少し、アラキドノイル-LysoPCは変化しない。 これらの実施例の結果から明らかなように、卵巣癌の患者から得られた血漿に おいては正常な対照から得られた血漿と比較して、LysoPA、特に多不飽和脂肪酸 を有するLysoPAの濃度が上昇する。LysoPA、特に多不飽和脂肪酸を有するLysoPA の濃度の上昇は、腹水の存在、ラジオグラフによる病気の徴候、または身体の診 察のいずれかによって明らかにされた、活動状態にある病気を有する個体におい てより著しい。この増加は、卵巣癌患者のうちかなり多くの患者においてLysoPA の濃度が上昇することを示す散点図(図6)から明らかである。この増加は、患 者を現在病気が活動状態にあるものと現在病気が活動していないものとに分けた 場合に、より明白である(図7)。病気が活動していないまたは休止状態である 被験者のうちかなり多くの割合(およそ50%)が、2年以内に再発する。これは 、図7に示されるLysoPAの濃度、および特に多不飽和脂肪酸を有するLysoPAの濃 度の増加によって示されると思われる。このように、血漿中のLysoPAの濃度、特 に多不飽和脂肪酸を有するLysoPAの濃度を測定することにより、治療に対する反 応を示す方法および再発の早期発見の方法を提供することができる。治療中のま たは病気が休止状態の患者におけるCA125の濃度の測定から、診断に先だって患 者の研究を推定することができることから、これらの結果は、LysoPAの濃度、特 に多不飽和脂肪酸を有するLysoPAの濃度の測定が、卵巣癌の存在について被験者 に初期のスクリーニングをおこなうために本発明の方法に使用した場合十分な感 受性および特異性を有することを示している。 LysoPAの濃度、特に多不飽和脂肪酸を有するLysoPAの濃度の測定は、単独で、 または、LysoPC、他のリゾリン脂質、CA125、mCSF、TAC、可溶性IL2受容体アル ファおよび他の既知のおよび未知の標識を含むがこれらに限定されない複数の標 識の研究と組み合わせて、初期の卵巣癌の検出に対する高い感受性および/また は特異性を実現するために用いることができる。 上の結果は、リゾリン脂質レベルの測定により、初期の、治療可能な段階の癌 患者を識別する可能性を示唆している。リゾリン脂質のレベルはまた、余後の標 識の提供または特定の形の治療に反応しやすい患者の識別に利用できる。さらに 、このような測定は個々の患者に合わせた治療の助けとなり、また以前に治療し た患者の病気の再発の識別を可能にする。 特定の理論に結びつけることを意図するものではないが、ある種の癌において LysoPCおよびLysoPAの生成が増加することが、これらの脂質の血漿および血清濃 度の上昇の原因であると思われる。卵巣癌患者の血漿中のLysoPCおよびLysoPAの 上昇に関与する供給源およびメカニズムはわかっていないが、本発明者らは卵巣 癌細胞が増加するリゾリン脂質の供給源であると考えている。ホスホリパーゼA1 (PLA1)またはPLA2またはPLDの活性の増加は、本実施例において観察されたLysoP CおよびLysoPAの血漿濃度の上昇と一致するであろう。PLA2はPCのsn-2位から脂 肪酸を開裂して第1飽和脂肪酸を含むLysoPCを生じるので、これはLysoPCの飽和 種(パルミトイルおよびステアロイル)の増加の原因であろう。PLA1はsn-1位か ら脂肪酸を開裂するので、これは第1不飽和脂肪酸(リネオイル、アラキドン、 DHA)を有するLysoPAの原因であろう。これは、ホスホリパーゼの役割を意味し 、増加したLysoPCが第1飽和脂肪酸を含むのでホスホリパーゼA2(PLA2)の役割を 、そして、増加したLysoPAが不飽和脂肪酸を含むのでPLA1の役割を意味する。PL DはLysoPC、LysoPS、LysoPI、LysoPEおよびLysoPGをLysoPAに変換する役割を果 たしていると考えられる。PLDの機能の活性が血清または血漿中に存在するLysoP Cのレベルを変え得る可能性がある。PLDの活性の減少が卵巣癌患者のLysoPCレベ ルの増加を引き起こすと考えられる。 LysoPCおよびLysoPAは、多くの文献で細胞を活性化すると言われてきた。上記 の実施例は、卵巣癌患者の血漿において正常な対照と比較してLysoPCおよびLyso PAの濃度が著しく上昇することを証明している。この現象はすべての癌に共通の ものではないようで、試験した白血病の患者6人のうち5人は正常な対照から得 たサンプルと比べて血漿のLysoPCレベルが極めて低かった(正常の半分以下)。 卵巣癌患者の血漿中において、対照の被験者と比べてパルミトイル-およびステ アロイル-LysoPC種のパーセンテージが有意に高いのに対して、オレオイルおよ び特にリノレオイル-LysoPCは有意に低い。LysoPC/PCおよびパルミトイル-LysoP C/リノレオイル-LysoPCのモル比もまた、対照の被験者と比較して卵巣癌患者の 血漿中で有意に上昇している。さらに、血漿の[LysoPC/PC]×[パルミトイル-Lys oPC/リノレオイル-LysoPC]の計算値は対照と比較して患者で極めて高い。最後に 、LysoPAおよび多不飽和脂肪酸を有するLysoPAの濃度は卵巣癌患者の血漿中の方 が高かった。これらの値は、卵巣癌患者の初期の診断、余後、および治療のモニ ターのための指標として用いることができる。 IX. 実施例:定着した病気を有する乳癌患者の血清中のLysoPCの脂肪酸組成の 変化 A. 被験者 MD Anderson Cancer Center(Houston,Texas)において、23人の十分に定着し た病気を有する乳癌忠者(採血の平均6.9年前に診断された)から分析用の血液 サンプルの提供を受けた。Guelph大学(Guelph,Ontario,Canada)において栄養 摂取/運動の研究のために募った24人の健康な女性を対照被験者として使った。 乳癌患者の平均年齢は59歳(30-77歳の範囲)で、対照被験者の平均年齢は36歳 (27-55歳の範囲)であった。 B. 血清サンプル 血液(7ml)を抗凝血物質が入っていないバキュテーナー(vacutainer)に引 き入れ、室温で20分放置して凝固をおこす。遠心分離(1600×g、15分)によっ て血清を分離し、分析するまで−20℃で保存した。 C. 脂質の抽出およびリン脂質の分析 脂質の抽出およびリン脂質の分析を、上の実施例に記載したとおりだが、リン 脂質をクロロホルム/メタノール/氷酢酸/水:50:37.5:3.5:2 v/v/v/v溶媒系を使 用した1次元クロマトグラフィーによって分離する点のみ異なる方法で、Holub and Skeaff,Methods Enzymol.141:234-244(1987)の記載に従っておこなった。 上記文献を参照により本明細書に組み入れる。 PCおよびLysoPCに相当するバンドをプレートからこすり落として、シリカゲル の存在下でメタノールに溶かした濃硫酸2mlを用いて85℃で3時間にわたってメ チル基転移反応をおこなった。 D. 結果 LysoPC/PCの比は対照と乳癌群の間で非常に類似していた(それぞれ、0.093± 0.004および0.106±0.005)。LysoPCの脂肪酸組成は群の間で異なっていた。具 体的には、16:0の18:2n-6に対する比(パルミチン酸対リノール酸)は、対照(2 .32±0.13)と乳癌群(5.48±0.30)の間で有意に異なっていた(p<0.01)。比 の“限界点”(“cutoff point”)を3.50の値とし、試験された被験者のサンプ ルが3.50以上の16:0/18:2n-6の値を示す場合、彼らは乳癌であるとみなすことと した。試験された被験者のサンプルが、上記の比について3.5未満の値を示せば 、彼らを乳癌ではないとみなす。この実施例において、被験者の2/23または8.7% が擬陽性であるとみなされた(すなわち、乳癌であるが限界点を越えず、そのた め乳癌でない区分に入れられた)。擬陽性は見いだされなかった。 これらの結果は、この実施例において16:0/18:2n-6の比の値が3.00から3.50と なる範囲を設定することにより、さらに精密になる。この範囲に該当する試験サ ンプルについて、この試験サンプルにおけるLysoPC中の脂肪酸の別の組み合わせ の比を決定して対照の被験者から得られた値と比較する第二の試験をおこなう。 この実施例において、そのサンプルから得られた16:0/18:2n-6脂肪酸の値がこの 範囲内に入った、1人の癌患者および4人の対照被験者について、脂肪酸18:1/1 8:2n-6(オレイン酸/リノール酸)の比の値を決定した。第2の比に対して1.0の 限界点を設定した(すなわち、比が1.0以上であるとき乳癌の存在を示す)。こ の試験を用いると、擬陽性の数が1または4.3%に減少した一方で、擬陽性の比率 はゼロにとどまった。 これらの結果は、LysoPCのような血清中のリゾリン脂質の脂肪酸組成を分析し 、定着した病気を持つ被験者から得られた値を対照の被験者から得られたものと 比較することにより、定着した病気を持つ被験者の乳癌の存在を検出することが 可能であることを証明している。第2の試験(すなわち、構成要素の脂肪酸の異 なる組み合わせから得られる第2の比)を加えることにより、この方法の全体と しての検出力が増大する。 X. 実施例:新しく乳癌であると診断された女性の血清中のLysoPCの脂肪酸組成 の変化 A. 被験者 最近乳癌であると診断された15人の女性から手術の前に血液サンプルを採取し 、血清をCentre de Sante Publique du Quebec(Beauport Quebec)に届けた。15 人の癌でない、同年齢の女性の対照の被験者についても同様に血清サンプルをこ のセンターに送った。被験者の平均年齢は54歳であった(範囲は32-73歳)。 血清サンプルおよび脂質の抽出およびリン脂質の分析は、上に実施例8につい て記載したとおりにおこなった。 B. 結果 LysoPCの相対的な量については、癌の被験者と正常な被験者の間で差違が観察 されなかつたが、血清LysoPCの脂肪酸組成は異なった。16:0/18:2n-6の比は、対 照群(2.94±0.32)と比較して癌の被験者(4.62±0.35)で著しく大きかった( p<0.05)。LysoPC中の16:0/18:2n-6についての3.50の限界値(すなわち、乳 癌の存在を示すには3.5以上の値が必要である)を用いると、15人の乳癌被験者 のうちの4人が、この試験によって乳癌ではないと誤って決定された(擬陽性率 =26.7%)。15人のうち2人が、誤って乳癌であると決定された(擬陽性率=13. 3%)。16:0/18:2n-6の値が3.00から3.50の範囲内にあるサンプルについて、Lyso PC中の18:1/18:2n-6の値を決定する第2の試験をおこなって、少なくとも1.00の 限界点を用いると、擬陽性の比率がゼロに減った(LysoPC中の16:0/18:2n-6の比 が3.00から3.50の範囲にある4人の被験者全員の、LysoPC中の18:1/18:2n-6の比 が1.00以上であった)。擬陽性の数は15人のうちの3人または20%に増加した。 これらの結果は、本発明の方法により最近乳癌と診断されたばかりの患者(す なわち、ほとんどの場合転移の前)の乳癌の存在が検出できることを示している 。これにより乳癌の可能性のある女性の集団に対してより侵襲的な方法の前にス クリーニングをおこなうことが可能となる。 これらの乳癌を検出するための実施例において、乳癌の被験者および正常な被 験者に利用できるデータを、限界点、およびそれで見いだされなかった癌を有す る被験者を決定するためにさらに試験をおこなうべきサンプルの脂肪酸の比の値 の範囲を設定するために用いた。LysoPCのようなリゾリン脂質中の特定の脂肪酸 の組み合わせに対する限界点は、正常な被験者および新しく乳癌であると診断さ れた被験者から得られた追加されたデータから設定される。限界点は、許容でき ないレベルの擬陽性の結果(たとえば30%以上)を出さずに、擬陽性の結果を最 小にする(たとえば、10%以下)ように選択される。すなわち、限界点は、限界 点以下になって癌でないと識別される癌患者の数を最小にし、限界点以上になる が癌でない被験者の数もまた最小になるように決定される。試験する被験者のLy soPC中の2つの脂肪酸の比の値を正常な被験者のLysoPC中のこれらの脂肪酸の比 の値と比較することに加えて、ある組み合わせの脂肪酸の比の値を、別の組み合 わせの脂肪酸の比の値と比較することもできる。実施例において比較のための比 を作るのに用いられたLysoPC中の脂肪酸の特定の組み合わせ、すなわち16:0/18: 2n-6および18:1/18:2n-6に加えて、脂肪酸の他の組み合わせも比に用いることが できる。正常なサンプル中の同じ脂肪酸の量と比較して乳癌のサンプル中では存 在する量が異なるような脂肪酸を決定することにより、別の脂肪酸の組み合わせ を選択することができる。 本明細書にさまざまな刊行物を引用したが、それらを全体として参照により本 明細書に組み入れる。 本発明を、発明の趣旨または潜在的な特徴から離れない限り、上に具体的に開 示したものとは異なる形で実施することができることは、本発明が取り組んだ技 術分野における当業者には明白であろう。そこで、上に記載された本発明の特定 の実施態様はすべての点で説明的なものであって限定的なものでないとみなされ るべきである。本発明の範囲は、上記の記載に含まれる実施例に限定されること なく、添付した請求の範囲およびそれと同等のものに記載されるとおりである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CN,CU,CZ,EE,GE,GH,GW,HU,I D,IL,IS,JP,KG,KP,KR,KZ,LC ,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MK,MN, MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,US,UZ ,VN,YU (72)発明者 マイルズ,ゴードン,ビー. アメリカ合衆国 77005 テキサス州,ヒ ューストン,アンハースト ストリート 4124 (72)発明者 ホルブ,ブルース,ジェイ. カナダ国 エヌ1エル 1ジー9 オンタ リオ,グエルフ,リッジウェイ アベニュ ー 26 (72)発明者 ガウデット,ダグラス,シー. カナダ国 エヌ1ジー 4シー8 オンタ リオ,グエルフ,コートライト ロード イースト 3

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.被験者中のリゾリン脂質の濃度変化に関連する癌の有無を検査するための方 法であって、 該被験者から採取された体液サンプル中のリゾリン脂質の濃度を測定するス テップと、 こうして得られたリゾリン脂質の濃度を、癌のない健常者由来のサンプル中 のリゾリン脂質の濃度と比較するステップと、 を含み、 該健常者由来のサンプル中のリゾリン脂質の濃度と比較して該被験者由来の サンプル中のリゾリン脂質の濃度に変化が見られた場合に癌が存在するとみな す方法。 2.前記サンプル中の少なくとも1つの他のタイプのリゾリン脂質の濃度を測定 するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。 3.前記サンプル中の前記リゾリン脂質のサブタイプの濃度を測定するステップ を更に含む、請求項1に記載の方法。 4.前記被験者由来のサンプル中のパルミトイル-X、ステアロイル-X、オレオイ ル-X、リノレオイル-X、アラキドノイル-X、およびドコサヘキサノイル-X脂肪 酸〔ただし、Xは、LysoPC、LysoPA、LysoPS、LysoPI、LysoPE、およびLysoPG リゾリン脂質からなる群より選ばれる〕の濃度を測定するステップと、こうし て得られた濃度を対照の濃度と比較するステップとを更に含む、請求項3に記 載の方法。 5.前記サンプル中のパルミトイル-X対リノレオイル-Xのモル比の値を測定する ステップと、こうして得られた比を対照の比と比較するステップとを更に含む 、請求項4に記載の方法。 6.前記被験者由来のサンプル中の[X/PC]×[パルミトイル-X/リノレオイル -X]の値を測定するステップと、こうして得られた値を対照の値と比較するス テップとを更に含む、請求項4に記載の方法。 7.前記被験者由来のサンプル中の他の癌細胞マーカーの濃度を測定するステッ プを更に含む、請求項1に記載の方法。 8.前記他の癌細胞マーカーが、CA125、Tac、可溶性IL2受容体α、mCSF、OVX1 、CEA、PSA、CA15-3、およびCA19.9からなる群より選ばれる、請求項7に記載 の方法。 9.前記癌が、卵巣癌、卵管癌、子宮癌、腹腔組織内癌腫症、および子宮頸癌か らなる群より選ばれる女性生殖器癌である、請求項1に記載の方法。 10.リゾリン脂質の濃度を測定する前記ステップが、前記サンプルを、リゾリ ン脂質と結合する抗リゾリン脂質抗体に接触させるステップと、該結合抗体を 検出するステップとを含む、請求項1に記載の方法。 11.前記サンプル中のリゾリン脂質の脂肪酸の組成および該リゾリン脂質の該 脂肪酸の濃度を測定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。 12.前記リゾリン脂質が、sn-3位にホスフェートまたは誘導体化ホスフェート を有しsn-1位またはsn-2位にアシル結合で連結された単一脂肪酸鎖を有し他の sn-1位またはsn-2位にヒドロキシルを有するグリセロールバックボーンを含ん でなるsn-1またはsn-2リゾリン脂質である、請求項1に記載の方法。 13.前記リゾリン脂質が、sn-3位にホスフェートまたは誘導体化ホスフェート を有しsn-1位にアルキルまたはアルケニル結合で連結された長鎖アルコールを 有しsn-2位にヒドロキシルを有するグリセロールバックボーンを含んでなるsn -1リゾリン脂質である、請求項1に記載の方法。 14.前記リゾリン脂質が、一般構造: sn-1リゾリン脂質 sn-2リゾリン脂質 〔式中、Xは単一鎖脂肪酸または長鎖アルコールであり、R1は単一鎖脂肪酸で あり、R2は誘導体化ホスフェートである〕 を有する、請求項12または13に記載の方法。 15.前記Xが、18:0、16:0、18:1、18:2、20:4n-6、および22:6n-3からなる群 より選ばれる、請求項14に記載の方法。 16.前記R1が、パルミチン脂肪酸、パルミトレイン脂肪酸、ステアリン脂肪酸 、オレイン脂肪酸、リノール脂肪酸、アラキドン脂肪酸、およびドコサヘキサ ン脂肪酸からなる群より選ばれる、請求項14に記載の方法。 17.前記R2が、水素、コリン、イノシトール、エタノールアミン、グリセロー ル、およびセリンからなる群より選ばれる、請求項14に記載の方法。 18.前記リゾリン脂質が、LysoPC、LysoPA、LysoPS、LysoPE、LysoPI、および LysoPGリゾリン脂質からなる群より選ばれる、請求項1に記載の方法。 19.特定の飽和度もしくは不飽和度の脂肪酸および/または特定の鎖長の脂肪 酸を有するリゾリン脂質の濃度を測定するステップを更に含む、請求項1に記 載の方法。 20.特定の長鎖アルコールを有するリゾリン脂質の濃度を測定するステップを 更に含む、請求項1に記載の方法。 21.前記サンプルが、血漿、血清、尿、唾液、腹水、脳脊髄液、または胸膜液 からなる群より選ばれる、請求項1に記載の方法。 22.前記癌が、癌のない健常者由来のサンプルに対する被験者中のリゾリン脂 質の濃度増加の存在と関連する、請求項1に記載の方法。 23.被験者から採取された体液サンプル中に癌の有無を検査するための方法で あって、 (a) 該被験者由来の体液サンプル中のリゾリン脂質の濃度を測定するステッ プと、 (b) 該被験者由来のサンプル中の該リゾリン脂質の脂肪酸の濃度を測定する ステップと、 (c) ステップaおよびbで得られた値を対照から得られた値と比較するステッ プと、 を含み、 対照から得られた値に対してステップaおよびbで得られた値に変化が見られ た場合に癌が存在するとみなす方法。 24.前記濃度を、他のリゾリン脂質、リン脂質、アルブメン(albumen)、お よびクレアチニンからなる群より選ばれる化合物の濃度に対して規格化する、 請求項23に記載の方法。 25.前記リゾリン脂質が、LysoPC、LysoPA、LysoPS、LysoPE、LysoPl、および LysoPGリゾリン脂質からなる群より選ばれる、請求項23に記載の方法。 26.前記癌が女性生殖器癌である、請求項23に記載の方法。 27.前記癌が乳癌である、請求項23に記載の方法。 28.前記リゾリン脂質の濃度が所定の時間にわたり所定の変化率を呈するよう に、前記リゾリン脂質の濃度を所定の時間間隔で逐次測定する、請求項1に記 載の方法。 29.所定の時間にわたり被験者中に癌が存在するかを監視する方法であって、 a)最初に該被験者から採取した体液サンプル中のリゾリン脂質の濃度を測定 するステップと、 b)所定の時間が経過した後で該被験者から採取した体液サンプル中のリゾリ ン脂質の濃度を測定するステップと、 c)ステップaおよびbで得られた濃度を比較することにより、最初に該被験者 から採取したサンプル中のリゾリン脂質の濃度に対して、所定の時間が経過し た後で該被験者から採取したサンプル中のリゾリン脂質の濃度が増大したか低 下したかを調べて癌が存在するかの判定を行うステップと、 を含み、 所定の時間が経過した後のサンプル中のリゾリン脂質の濃度が増大した場合 には、生きている腫瘍細胞の数が増加したとみなし、低下した場合には、生き ている腫瘍細胞の数が減少したとみなす方法。 30.前記腫瘍が、卵巣癌、卵管癌、子宮癌、腹腔組織内癌腫症、および子宮頸 癌からなる群より選ばれる女性生殖器癌である、請求項29に記載の方法。 31.前記腫瘍が乳癌である、請求項29に記載の方法。 32.リゾリン脂質の濃度を測定する前記ステップが、前記サンプルを抗リゾリ ン脂質抗体に接触させるステップを含む、請求項29に記載の方法。 33.前記サンプル中のリゾリン脂質の脂肪酸の組成および該リゾリン脂質に含 まれる該脂肪酸の濃度を測定するステップを更に含む、請求項29に記載の方 法。 34.特定の長鎖アルコールを有するリゾリン脂質の濃度を測定するステップを 更に含む、請求項29に記載の方法。 35.前記リゾリン脂質が、sn-3位にホスフェートまたは誘導体化ホスフェート を有しsn-1位またはsn-2位にアシル結合で連結された単一脂肪酸鎖を有し他の sn-1位またはsn-2位にヒドロキシルを有するグリセロールバックボーンを含ん でなるsn-1またはsn-2リゾリン脂質である、請求項29に記載の方法。 36.前記リゾリン脂質が、sn-3位にホスフェートまたは誘導体化ホスフェート を有しsn-1位にアルキルまたはアルケニル結合で連結された長鎖アルコールを 有しsn-2位にヒドロキシルを有するグリセロールバックボーンを含んでなるsn -1リゾリン脂質である、請求項29に記載の方法。 37.前記リゾリン脂質が、LysoPC、LysoPA、LysoPS、LysoPE、LysoPI、および LysoPGリゾリン脂質からなる群より選ばれる、請求項29に記載の方法。 38.被験者中の女性生殖器癌を検出するための方法であって、 該被験者から採取された体液サンプル中のリゾリン脂質の濃度を測定するス テップと、 こうして得られたリゾリン脂質の濃度を、癌のない健常者由来のサンプル中 のリゾリン脂質の濃度と比較するステップと、 を含み、 該健常者由来のサンプル中のリゾリン脂質の濃度に対して、該被験者由来の サンプル中のリゾリン脂質の濃度が増大した場合には、女性生殖器癌が存在す るとみなす方法。 39.被験者中の癌を検出するための方法であって、 該被験者から採取された体液サンプル中のリゾリン脂質の脂肪酸の濃度の比 の値を測定するステップと、 癌のない健常者から採取されたサンプル中のリゾリン脂質に含まれるそれと 同じ脂肪酸の濃度の比の値と比較するステップと、 を含み、 該健常者から採取されたサンプルの比の値に対して、該被験者のサンプルの 比の値が変化した場合には、癌が存在するとみなす方法。 40.前記変化が増大である、請求項39に記載の方法。 41.前記癌が乳癌であり、前記リゾリン脂質がLysoPCである、請求項40に記 載の方法。 42.前記被験者由来のサンプル中のLysoPCに含まれる脂肪酸の濃度の比の値が 少なくとも3.4である、請求項40に記載の方法。 43.前記LysoPCに含まれる脂肪酸がパルミチン脂肪酸およびリノール脂肪酸で ある、請求項41に記載の方法。 44.前記被験者由来のサンプル中のLysoPCに含まれる脂肪酸の濃度の比の値が 3.4よりも小さくかつ3よりも大きい場合、前記体液サンプル中のLysoPCに含 まれる異なる脂肪酸の比の値を測定し、該異なる脂肪酸の比の値が少なくとも 1であれば乳癌が存在するとみなす、請求項41に記載の方法。 45.前記脂肪酸がオレイン脂肪酸およびリノール脂肪酸である、請求項44に 記載の方法。 46.前記癌が、卵巣癌、卵管癌、子宮癌、腹腔組織内癌腫症、および子宮頸癌 からなる群より選ばれる女性生殖器癌である、請求項39に記載の方法。 47.前記リゾリン脂質が、LysoPC、LysoPA、LysoPS、LysoPE、LysoPI、および LysoPGリゾリン脂質からなる群より選ばれる、請求項39に記載の方法。 48.前記被験者のリゾリン脂質の濃度が所定の時間にわたり所定の変化率を呈 するように、前記リゾリン脂質の濃度を所定の時間間隔で逐次測定する、請求 項38に記載の方法。 49.被験者から採取された体液サンプル中のリゾリン脂質の濃度を調べること により、癌のない健常者に対する被験者中のリゾリン脂質の濃度の変化に関連 した癌を検出するための診断用キットであって、 被験者から採取された体液サンプル中のリゾリン脂質の濃度を測定するため の試薬を含んでなる診断用キツト。 50.前記試薬が抗リゾリン脂質抗体を含む、請求項49に記載の診断用キット 。 51.輸送時または貯蔵時のサンプル中におけるリゾリン脂質の生成または加水 分解を抑制するための試薬を更に含んでなる、請求項49に記載の診断用キッ ト。
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