JP2013519871A - リン脂質プロファイリング及びガン - Google Patents
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Abstract
【選択図】 図6
Description
シル鎖を有するホスファチジルエタノールアミン(PE)及び/又はPS36:2、PS38:2、PS40:2及びPS42:2を含んでなる群から選ばれる1個もしくは2個のモノ−不飽和脂肪アシル鎖を有するホスファチジルセリン(PS)及び/又はPI34:1、PI36:1、PI38:1、PI34:2、PI36:2及びPI38:2を含んでなる群から選ばれる1個もしくは2個のモノ−不飽和脂肪アシル鎖を有するホスファチジルイノシチド(PI)である。
図1.無損傷のホスファチジルコリン種へのソラフェン処理の影響。LNCaP細胞をソラフェン(100nM)又はビヒクル(標準)で72時間処理した。脂質抽出物を調製し、ホスファチジルコリン種をESI−MS/MSによりMRMモードで分析した。主要な
種のm/z及びそれらの種の指定を示す。Stdは脂質標準を指す。3対の試料(1−3)において脂質プロファイリングを行い、それらの平均として表わした。個々の脂質種に関するソラフェン処理試料対標準試料における倍−変化(fold−change)(log2)として変化を表わす。
図2.A.悪性の前立腺組織試料対正常な前立腺組織試料の対抗する(matched)5対において、脂肪酸シンターゼ(FASN)の発現を、ウェスターンブロッティング分析により測定し、発現をβ−アクチン発現に標準化した。腫瘍組織対対抗する(matching)正常な組織の比として値を表わす。B.悪性組織対正常な組織の対抗する5対におけるPC種の相対的な存在量を、ESI−MS/MSによりMRMモードで記録した。左のパネルにおいて、正常な試料(黒い棒)及び悪性の試料(灰色の棒)中の全ホスファチジルコリンレベルと比較される個々の脂質種の%として結果を表わし;そして右のパネルにおいて、個々の脂質種に関して正常な試料対悪性試料における倍−変化(log2)として結果を表わす。
図3.(A)脂質過酸化生成物へのソラフェン、H2O2及びパルミチン酸の影響。LNCaP細胞を外因性(exogenous)パルミチン酸(75μM)の存在下又は不在下に、ソラフェン(100nM)又はビヒクル(標準)で72時間処理した。最後の2時間の間、細胞を200μMのH2O2に暴露した。脂質過酸化アッセイキットを用い、等量の細胞を脂質過酸化生成物に関して分析した。データは平均±SE(n=4)を示す。★H2O2暴露なしの標準と有意に異なる(p<0.05)。♯H2O2又はソラフェンのみを用いる処理と有意に異なる(p<0.05)。
図4.(A)CD36−陽性細胞による認識への初めからの脂質生成の影響。LNCaP細胞を外因性パルミチン酸(75μM)の存在下又は不在下に、ソラフェン(100nM)又はビヒクル(標準)で72時間処理した。最後の30分の間、細胞を300μMのH2O2に暴露した。細胞をトリプシン処理し、Cell Tracker Orange
CMRAで標識し、CD36をコードするプラスミド(pCD36)又は対応する空ベクター(empty vector)(pEF−BOS)を用いてトランスフェクションされたCOS−7細胞の上にプレート化した。1時間後、培養物を広範囲に洗浄し、画像化した。Adobe Photoshopソフトウェアを用いて蛍光を定量した。データは平均±SE(n=3)を示す。★標準と有意に異なる(p<0.05)。(B)酸化的ストレス−誘導細胞死への細胞の感受性への初めからの脂質生成の影響。LNCaP細胞を外因性パルミチン酸(75μM)の存在下又は不在下に、ソラフェン(100nM)又はビヒクル(標準)で、あるいは10%パルミチン酸、45%リノール酸及び45%リノレン酸の混合物(PUFA)(合計75μM)で72時間処理した。最後の24時間の間、細胞を300μMのH2O2に暴露した。細胞を集め、トリパンブルーで染色し、細胞の生存性を評価した。データは平均±SE(n=3)を示す。★標準と有意に異なる(p<0.05)。
図5.(A)ドキソルビシンのフリップ−フロップ速度へのソラフェンの影響。LNCaP細胞をソラフェン(100nM)と一緒に、又はそれなしで72時間培養した。最後の24時間の間、細胞にNBD−DHPE(10μM)を加えた。分析から1時間前に、細胞をビヒクル又はベラパミル(100μM)で処理した。等量の細胞を集め、ドキソルビシン(10μM)を加え、NBD蛍光を継続的に監視し、ドキソルビシンによるNBDのクエンチングのレベルを決定した。データは平均±SE(n=4)を示す。★標準と有意に異なる(p<0.05)。(B)LNCaP細胞におけるドキソルビシン堆積へのソラフェンの影響の定量。LNCaP細胞をパルミチン酸(75μM)の存在下又は不在下に、ソラフェン(100nM)を用いて、又は用いずに72時間処理した。分析から30分前に、細胞に10μMのドキソルビシンを加えた。細胞抽出物を調製し、ドキソルビシン含有率を蛍光測定により決定した。データは平均±SE(n=4)を示す。★標準と有意に異なる(p<0.05)。(C)LNCaP細胞におけるドキソルビシン−誘導細胞毒性へのソラフェン及びパルミチン酸の影響。LNCaP細胞をパルミチン酸(75μM)の存在下又は不在下に、ソラフェン(100nM)を用いて、又は用いずに72時間処理
した。最後の24時間の間、細胞にドキソルビシン(4μM)又はビヒクルを加えた。細胞を集め、トリパンブルーを用いて染色し、細胞生存性を評価した。データは平均±SE(n=6−12)を示す。★標準と有意に異なる(p<0.05)。♯ソラフェン又はドキソルビシンのみと有意に異なる(p<0.05)。
図6.13人の前立腺ガン患者からのリン脂質種における、前立腺腫瘍組織対正常な前立腺組織においての相対的変化(log2)の平均。リン脂質を脂質の種類(PC、PE、PS及びPI)に従って整理する。クラスター分析は、患者を主要な2つのグループに分けた。クラスターA:脂質生成性表現型を有する9人の患者(図6A);クラスターB:脂質生成性表現型を有していない4人の患者(図6B)。
本発明の目的は、患者における腫瘍の脂質生成性を決定するための試験管内法を提供することであり、該方法は;少なくとも1種のモノ−不飽和リン脂質及び少なくとも1種のポリ−不飽和リン脂質の、腫瘍試料対正常な試料における相対的な発現レベルを決定することを含んでなり;ここで該モノ−不飽和リン脂質の相対的な発現レベルにおける向上及び該ポリ−不飽和リン脂質の相対的な発現レベルにおける低下は、より侵略的な脂質生成性表現型に関する指標である。
から;あるいはそのような被験者に由来する細胞又は細胞系からを含む複数の手段により、正常な試料を得ることができる。正常な試料は以前に確立された標準、例えば以前に特性化されたガン細胞系も含む。従って、本発明に従って行われる試験又はアッセイを、確立された標準と比較することができ、各回に比較のための正常な試料を得ることは必要でないかも知れない。
chips)上で使用するための微小水泡を与える。
ゼ及びATP−シトレートリアーゼの阻害剤を含むが、これらに限られない。該阻害剤を単独治療(mono−therapy)として、あるいは既知のガン治療において用いられる増感剤として用いることができる。従って、本発明に従う試験管内法を用い、患者が抗−脂質生成治療に反応するか否かを決定することもできる。
とができる。例えばlog2としてのようないずれかの適した方法で相対的な発現レベルを表わすことができる。
ずれの分子を用いることもできる。微小水泡に関する親和性を有する分子を用い、そのような分子は微小水泡上に存在する分子に共有結合又は非−共有結合することができることを意味する。好ましくは、該微小水泡上に存在する分子は、膜−結合分子である。好ましくは、微小水泡に関する高い親和性を有する分子を用いる。好ましくは、親和性は解離定数として表わされる。好ましくは、微小水泡に関する0.1nMより低い、より好ましくは10nMより低い解離定数を有する分子を用いる。より好ましくは、微小水泡に関する10−15Mより低い解離定数を有する分子を用いる。他の好ましい態様において、0.1〜10nmの範囲内の解離定数を有する微小水泡に関する親和性を用いる。親和性の決定方法は当該技術分野において既知である。好ましくは、Johnson et al.著,Journal of Molecular Biology 368(2):434−449に記載されている方法を用いる。
は;ストレプタビジン又はアビジン及びビオチン;抗体及び抗原;リガンド及び受容体、レクチン及び糖類、タンパク質A及び/又はタンパク質G−イムノグロブリン不変部ならびにTagペプチド配列及びTag抗体である。親和性リンカー及び結合パートナーという用語は、それらの機能を指す。従って、上記の親和性リンカー−結合パートナーの組み合わせをいかように用いるかに依存して、用語は互換的である。例えばビオチンが表面に結合している場合、それは親和性リンカーであることができるか、あるいはそれが微小水泡に結合している場合、それは結合パートナーであることができる。親和性リンカーを表面に結合させるいずれの方法を用いることもできる。コーティングされた表面に親和性リンカーを結合させる方法は、表面の材料又は親和性リンカーの性質に依存して異なる。熟練者は、表面材料の型及び選ばれる親和性リンカーに適した正しい方法を選ぶことができるであろう。親和性リンカーを表面に結合させる方法は、熟練者に既知である。抗体を金属又はケイ素表面に結合させる方法は、当該技術分野において周知である。好ましい方法は、Bioelectrochemistry Volume 66,Issues 1−2,April 2005,Pages 111−115に記載されている。抗体をガラス表面に結合させる方法も既知であり、J Colloid Interface Sci.2002 Aug 1;252(1):50−6に記載されている。特別な態様において、親和性リンカーは抗体種、タンパク質、アプタマー、排泄(passage)からの微小水泡を選択的に制限する表面及び微小水泡への選択的付着性を有する表面より成る群から選ばれ;ここでタンパク質は特にレクチン又は他の糖結合化合物を含んでなるリストから選ばれ;且つここでレクチンは特にGNA、NPA、コンカナバリンA又はシアノビリンを含んでなる群から選ばれる。
Berlin Heidelberg Mew York,ISBN 3−540−65555−7を参照されたい)。利点は、マイクロ流体系が通常の顕微鏡系より速く操作を実行する能力を有しながら、化学品及び流体の消費量がずっと少ないことである。
最適化されることである。より好ましくは、該流路の高さは0.5mmより低い。その利点は、血漿の粘度を有する流体の場合にこの高さが最適であることである。好ましくは、該流路は1mmより小さい幅を有する。その利点は、これが、該流体と接触している該コーティングされた表面の最小の接触面積を生ずるからである。好ましくは、該最小の接触面積は、該コーティングされた表面積より小さい。好ましくは、該最小の接触面積は、100〜10000平方マイクロメーターである。好ましい態様において、該最小の接触面積は、1平方ミリメーターより小さい。この利点は、これが表面積検査時間(inspection time)を制限し、表面積当たりに集められる水泡の濃度を増加させることである。より好ましくは、該最小の接触面積は、1平方マイクロメーター〜0.1平方ミリメーターである。
BIOLOGY David J.Beebe,Glennys A.Mensing,Glenn M.Walker Annual Review of Biomedical Engineering,August 2002,Vol.4,Pages 261−286に記載されている。
細胞培養及び処理
LNCaP及びCOS−7細胞は、American Type Culture Collection(Manassas,VA)から得た。加湿インキュベーター中で37℃において、10%FCS(Invitrogen,Carlsbad,CA)が補足されたRPMI 1640培地中で5%CO2/95%空気雰囲気を用い、細胞を培養した。形態の検査及び核型決定(karyotyping)により、基準とすること(authentication)に関して細胞系を調べた。マイコバクテリウム・ソランギウム・セルロスム(mycobacterium Sorangium cellulosum)から精製されたソラフェン A(ソラフェン)は、Dr.Klaus Gerth及びDr.Rolf Jansenにより親切に提供された(Helmholtz−Zentrum fuer Infektionsforschung,Braunschweig,Germany)(Bedorf et al.著,1993年;Gerth et al.著,1994年)。
LNCaP細胞をソラフェン又はビヒクル(エタノール)で24時間処理した。最後の4時間、培地に2−14C−標識アセテート(57mCi/ミリモル;2μCi/皿;Amersham International,Aylesbury,UK)を加えた。以前に記載された(De Schrijver et al.著,2003年)修正Bligh−Dyer法に従って、脂質を抽出した。種々の脂質の種類への2−14C−アセ
テートの導入を分析するために、TLC分析を行い、以前に記載された通りに(De Schrijver et al.著,2003年)、定量のためのPhosphorImagerスクリーン(Molecular Dynamics,Sunnyvale,CA)に脂質を暴露した。
新しい急速−冷凍された(snap−frozen)前立腺ガン組織及び対抗する正常な試料を、限局性前立腺ガンに関する根治的恥骨後式前立腺摘除術を受けた患者から得た。脂質分析及びウェスターンブロッティング分析に用いられる組織に隣接する領域の組織学的分析により、正常な組織及び腫瘍組織を同定した。
小さい修正を有する以前に記載された方法を用い(Van Veldhoven and Bell著,1988年;Van Veldhoven et al.著,1998年;Van Veldhoven et al.著,1997年)、Bligh−Dyer脂質抽出物(De Schrijver et al.著,2003年)につきリン脂質、トリグリセリド及びコレステロールの定量を行った。
ESI−MS/MS分析のための脂質抽出物を調製するために、組織又は細胞を1.6mlの0.1N HCl:CH3OH 1:1(v/v)中で均質化した。CHCl3(0.8ml)及び200μg/mlの酸化防止剤、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(Sigma)を加えた(Milne et al.著,2006年)。脂質標準を加えた後、200gにおける5分間の遠心により、有機画分を集めた。試料を蒸発させ、CH3OH:CHCl3:NH4OH(90:10:1.25 v/v/v)中で再構成し、自動操縦ナノフロー/イオン源(robotic nanoflow/ion source)(Advion Biosciences)が備えられたハイブリッド四重極線状イオントラップ質量分析計(hybrid quadrupole linear ion trap mass spectrometer)(4000 QTRAP 系;Applied Biosystems,Foster City,CA)上で、エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(ESI−MS/MS)により脂質を分析した。個々の種の定量のために、系をMRMモードで運転した。データを標準試料(未処理の細胞又は対抗する正常な組織)に対する倍変化として表わし、Heatmap Builderソフトウェア(Clifton Watt,Stanford University,USA)を用いてヒートマップとして示した。
細胞脂質組成への、腫瘍に関連する初めからの脂質生成の影響を研究するために、我々は高い脂質生成活性を有するLNCaP前立腺ガン細胞を、既知の脂肪酸合成の阻害剤であるソラフェンAで処理した(Beckers et al.著,2007年)。2−14C−アセテート導入により、脂肪酸合成の阻害及び従って初めからの脂質生成が確証された(図1A)。
はこれらの種に不明確な、又は小さい正味の影響を有した。全体的に、より多くの不飽和(>3個)を有するPC種のレベルは、種に依存して最高で8−倍に増加した。別の脂質生成性前立腺ガン細胞系である22Rv1において脂質生成を阻害する時も、ポリ不飽和へのシフトを検出することができた(データは示されていない)。
要するに、これらのデータは、ガン細胞における初めからの脂質生成が細胞に飽和及びモノ−不飽和アシル鎖を与え、それは細胞に膜成分を補充し、同時にリン脂質の相対的な飽和度、特にホスファチジルコリン(PC)のそれを向上させることを示している。
細胞培養及び処理
実施例1を参照されたい。
実施例1を参照されたい。パルミチン酸救済(rescue)実験の場合、以前に記載された通りに(Brusselmans et al.著,2005年)パルミチン酸(Sigma,St.Louis,MO)を脂肪酸非−含有ウシ血清アルブミン(BSA)(Invitrogen,Carlsbad,CA)に錯体化させた。
等量の細胞を氷−冷PBS中でこすり取り、氷上に15分間保ち、次いで音波処理した(10発(10 bursts))。3,000gにおける10分間の遠心の後、脂肪酸過酸化物分解から生成するマロンジアルデヒド及び4−ヒドロキシアルケナールの量を定量する脂質過酸化アッセイキット(Oxford Biomedical Research,Oxford,MI)を用いて上澄み液を分析した。
LNCaP細胞を、ソラフェン及び/又はパルミチン酸の存在下又は不在下で72時間培養した。細胞をH2O2(300μM)に30分間暴露した。細胞をトリプシン処理し、Cell Tracker Dye Orange CMRA(C34551)で標識
した。標識されたLNCaP細胞(1.5x105)を、続いて、ガラスのカバースライド上で培養され、CD36−コード構築物(pCD36)又は対応する空ベクター(pEF−BOS)(両方ともR.Thorne,University of Newcastle,Australiaにより親切に提供された)を用いてトランスフェクションされたCOS−7細胞の単層の上に層化した(layered)。細胞を1mlのRPMI培地中で37℃において1時間共−培養した。広範囲に洗浄した後、培養物を固定し、画像化した。Adobe Photoshopソフトウェア(San Jose,CA)を用い、CellTracker Dyeの蛍光シグナルを測定した。
ドキソルビシンのフリップ−フロップ速度の測定のために、細胞をソラフェン又はビヒクルで72時間処理した。処理の最後の24時間の間、10μMのNBD−ホスファチジルエタノールアミン(NBD−PE;Invitrogen)を加えた。トリプシン処理により細胞を収穫する1時間前に、ベラパミルを100μMの濃度で加えた。原形質膜を横切るドキソルビシンフリップ−フロップ速度を、ドキソルビシンによるNBD−PEのクエンチングの故のNBDの蛍光における減少として測定した(Regev et al.著,2005年)(詳細に関し、補足的方法(Supplemental Methods)を参照されたい)。
ソラフェン及び/又は他の化合物に暴露してから示される時間の後に、トリプシン処理及び遠心により、付着細胞及び浮遊細胞を集め、両方の細胞集団を合わせた。以前に記載された(De Schrijver et al.著,2003年)トリパンブルー色素排除アッセイを用い、生存細胞及び死細胞をカウントした。
Tukeyポストホックテストを用いる一元ANOVA(one−way ANOVA)により結果を分析した。P−値<0.05は、統計的に有意であると考えられた。与えられるすべてのデータは、図の凡例に示される通り、平均±SEを示す。
ガン細胞における初めからの脂肪酸合成の調節は、細胞膜の脂質過酸化への感受性(susceptibility)に影響する。
飽和及びポリ不飽和アシル鎖は、それらの構造的及び生理化学的性質の点で劇的に異なる。重要な差の1つはそれらの過酸化への感受性である。この過程において、フリーラジカルは細胞膜中の脂質から電子を抽出し、それは酸化された脂質種の生成を生ずる。これらの脂質種は重要な生物学的機能を有し、究極的にマロンジアルデヒド(MDA)及び4−ヒドロキシアルケナールを含むもっと小さい反応性生成物に分解され得、それらは高レ
ベルで発現されると細胞損傷を引き起こし得る(Deininger and Hermetter著,2008年;Rabinovich and Ripatti著,1991年;Schneider et al.著,2008年)。メチレン(CH2)基中の二重結合の間の水素は特に反応性なので、ポリ不飽和アシル鎖はもっとずっと過酸化を受け易い。ガン細胞における初めからの脂肪酸合成の調節が、細胞膜のリン脂質における飽和及びポリ不飽和アシル鎖の間のバランスに影響するという我々の発見に基づき、我々は、この代謝経路の調節がラジカル−誘導脂質過酸化へのガン細胞の感受性に影響するか否かを評価した。LNCaP細胞をソラフェンで3日間処理し、次いでH2O2に暴露した。脂質過酸化の生成物を測色法により測定した。ソラフェン処理は脂質過酸化生成物のレベルを有意に増加させ(図3)、それはソラフェン処理を用いて観察されるリン脂質のポリ不飽和へのシフトと一致する。より高いレベルのフリーラジカルを生ずる外因性H2O2を用いる処理は過酸化生成物のさらなる増加を誘導し、ソラフェンが増感効果を媒介することを示している。興味深いことに、培地に外因性パルミチン酸を補足することによる飽和アシル鎖の部分的な補充は、これらの変化を大きく逆転させ、強化される脂質生成が、リン脂質ポリ不飽和化の程度を制限することにより、ガン細胞を脂質過酸化に対してより感受性でなくするという考えを支持している。
細胞膜中の酸化されたリン脂質はコンホメーション変化を経、それは酸化されたアシル鎖が疎水性膜の内部から極性水性環境中に突き出ることを強制し、極性水性環境においてそれらは内在性パターン認識リガンドとして機能することが知られている(Hazen著,2008年)。露出細胞表面の酸化されたリン脂質、特に酸化されたPC種は、スカベンジャー受容体CD36により認識され得る。この受容体は、例えば宿主組織のサーベイランス(surveillance)及び損傷を受けた細胞、老化した細胞又はアポプトシス細胞(apoptotic cell)のクリアランスに含まれる先天性免疫細胞上で発現される。我々は、ガン細胞における初めからの脂質生成の阻害がリン脂質のポリ不飽和の程度及びそれらの過酸化に対する感受性を向上させることを決定したので、我々は脂質生成の調節がCD36−陽性細胞によるガン細胞の認識に影響するか否かを調べた。ソラフェンの存在下又は不在下で培養されたLNCaP細胞を、CD36−発現構築物(pCD36)又は空ベクター(pEF−BOS)を用いてトランスフェクションされたCOS細胞上に重ねて置いた(Thorne et al.著,1997年)。広範囲の洗浄の後、結合LNCaP細胞をカウントした。図4Aに示される通り、ソラフェン処理及び続く単時間のH2O2への暴露は、実質的にCD36−結合LNCaP細胞の数を増加させた。外因性パルミチン酸の添加は、これらの影響を妨害した。これらの発見は、腫瘍−関連脂質生成が、膜リン脂質の飽和度、特にPCのそれを高めることにより、細胞表面上における酸化されたポリ不飽和種の露出を制限することを示唆している。この反応はCD36−陽性細胞による腫瘍細胞の認識を最小にし得、おそらく免疫系からの脂質生成性ガン細胞の逃避を助長し得る(Hazen著,2008年)。
酸化されたリン脂質及びそれらの分解生成物が、細胞アポプトシスの誘導において重要な役割を果たすという証拠が増加しつつある(Dupertuis et al.著,2007年;Fruhwirth and Hermetter著,2008年;Tang
et al.著,2002年;West et al.著,2004年)。従って我々は、初めからの脂質生成の調節が酸化的ストレス−誘導細胞死へのガン細胞の感受性に影響するか否かを調べた。本来のLNCaP細胞はH2O2−誘導細胞死に十分に抵抗性であったが、ソラフェンを用いる予備処理は、トリパンブルー染色により示される通り、H2O2に反応してのそれらの死を顕著に増加させた(図4B)。これらの影響は、外因性パルミチン酸により妨害された。興味深いことに、培地に飽和脂肪酸及びポリ不飽和脂肪酸の混合物を補足すると、救済効果はずっと顕著でなくなった。全体的にこれらのデータ
は、脂質生成の増加が細胞膜の飽和の程度を変えることにより、ガン細胞を酸化的ストレス−誘導細胞死から保護するという考えを支持する。
膜脂質組成の調節は、脂質過酸化へのその影響の他に、膜成分の移動性に大きな影響を有することが知られている(Rabinovich and Ripatti著,1991年;Stillwell and Wassall著,2003年)。フリップ−フロップとも呼ばれる膜成分の横方向の移動性は、それが特異的な輸送物質により助長されなければ、低い速度で起こる。しかしながら、通常用いられる化学療法薬、例えばドキソルビシンを含むある外因性化合物の場合、受動的フリップ−フロップは細胞中への侵入の主要な機構である(Regev et al.著,2005年)。外因性ポリ不飽和脂肪酸を用いる細胞の処理はドキソルビシンの吸収を促進することが知られているので(Davies et al.著,1999年)、我々は、脂肪酸合成の阻害が膜フリップ−フロップ及びドキソルビシン吸収を促進するか否かを決定した。ドキソルビシンのフリップ−フロップを測定するために、ソラフェン又はビヒクルに暴露されたLNCaP細胞を7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールホスファチジルエタノールアミン(NBD−PE)、蛍光標識されたリン脂質で処理し、それは原形質膜の両リーフレット中に導入される。ドキソルビシンの添加の後、NBD蛍光の急速なクエンチングがあり、それは外側のリーフレット中のリン脂質とのドキソルビシンの会合により起こる。ドキソルビシンが内側のリーフレットに移動すると共に、さらなるNBDのクエンチングが観察される(Regev et al.著,2005年)。NBDクエンチングの監視は、ソラフェンがドキソルビシンのフリップ−フロップ速度における6−倍の増加を誘導することを示した(図5A)。P−糖タンパク質阻害剤であるベラパミルの存在下で類似の結果が得られたので、これらの影響は、ドキソルビシンのような疎水性分子を細胞から汲み上げるP−糖タンパク質の間接的な影響により引き起こされたのではなかった(図5A)。細胞抽出物の蛍光顕微鏡検査及び蛍光測定分析により評価される通り、向上したフリップ−フロップ速度にはドキソルビシンの細胞内堆積における有意な増加が伴った(図5B)。外因性パルミチン酸の添加は、ソラフェンの影響を妨害した(図5B)。ソラフェン処理はLNCaP細胞をドキソルビシンの細胞毒性効果に対して顕著に増感し、それはソラフェン−処理細胞におけるドキソルビシンの堆積の増加及び細胞死へのそれらの感受性の向上と一致した。標準的な培養条件下で生育されたLNCaP細胞はドキソルビシン−誘導細胞死に十分に抵抗性であったが(4μMにおいて8%の細胞死)(図5C)、単独で細胞の最高で20%において死を誘導するソラフェンを用いる予備処理は、細胞死の率を約50%に増加させた。この有力な効果は、Combination Index(CI)法(Chou and Talalay著,1984年)を用いて評価すると、相乗的であった。ドキソルビシン/ソラフェンの調べられたすべての比(80:1;40:1;20:1及び10:1)において、CI値は1より小さかった。パネルC実験において用いられた組み合わせ(4μM ドキソルビシン、100nM ソラフェン)は強く相乗的であった(0.1<CI<0.3)(データは示されていない)。外因性パルミチン酸の添加はこれらの影響を妨害し、細胞を死から大きく救済した(図5C)。前立腺ガン細胞系22Rv1を用いて類似の結果が得られた(データは示されていない)。ひとまとめにすると、これらのデータは、ガン細胞における初めからの脂質生成が化学療法薬の吸収に影響し、これらの薬剤へのガン細胞の反応を調節することを示している。
まとめると、実施例1及び2からの発見は、初めからの脂質生成の活性化により、ガン細胞はそれらの脂質供給の点でより自律性となり、同時にそれらの脂質組成を飽和の向上に向けてシフトさせること示している。さらに、該腫瘍−関連脂質生成はガン細胞に有意な利点を与え、それは、ガン細胞が発ガン性−及び治療薬−媒介の両方の障害にもかかわらずに生き残るのをそれが助けるからである。従って、リン脂質プロファイリングは、リ
ン脂質飽和の決定に基づき、脂質生成性、より侵略的且つ耐性の腫瘍を同定することを可能にする。
前立腺腫瘍組織及び対抗する正常な試料を、限局性前立腺ガンに関する根治的恥骨後式前立腺摘除術を受けた14人の患者から得た。直径が6又は8mmのパンチ生検器具を用いて前立腺組織試料を採取した。試料を液体窒素中で急速−冷凍し、脂質、タンパク質及びRNA抽出のために−80℃で保存した。Tissue−Tek OCT(Miles
Inc,Westhaven,CT)中に包埋された組織に隣接する領域の組織学的分析により、正常な組織及び腫瘍組織を同定した。連続切片を、ヘマトキシリン及びエオシン染色のために加工した。ガン試料をそれらのグリーソンスコアに関して評価し、それらが含有するガンのパーセンテージを見積もった。
DNA濃度の決定を用い、脂質分析に用いられる試料に加えられる標準及びランニング溶液(running solution)の量を標準化した。試料を音波処理し、ホモジナイゼーション緩衝液(5x10−2M Na2HPO4/NaH2PO4緩衝液 pH7.4;2M NaCl及び2x10−3M EDTA)中で希釈した。ニシン精子DNA(Promega,Madison,WI;0−5μg DNA/125μl)を用い、ホモジナイゼーション緩衝液中の種々の希釈液を作ることにより、標準曲線を作成した。次に、試料を37℃で1時間インキュベーションし、ライシスを増進させた。その後、2μg/mlのHoechst 33258試薬(Calbiochem,La Jolla,CA)を加えた。
Dounceホモジナイザーを用い、800μlのPBS中で約40mgの組織を均質化することにより、試料の脂質抽出物を作った。100μlのアリコートをDNA分析のために取っておいた。残る700μlを、テフロンの内張りを有するガラス管に移し、900μlの1N HCl:CH3OH 1:8(v/v)、800μlのCHCl3及び500μgの酸化防止剤2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)(Sigma,St.Louis,MO)を加えた。最初の試料のDNAの量に基づいて適した脂質標準を加えた(DNAのmg当たりに:150ナノモルのPC26:0;50ナノモルのPC28:0;150ナノモルのPC40:0;75ナノモルのPE28:0;8.61ナノモルのPI25:0及び3ナノモルのPS28:0)。回転振盪機中における5分間の混合及び相分離(4℃での5分間の17300gにおける高速遠心)の後、ガラスパスツールピペットを用いて下部の有機画分を集め、Savant Speedvac spd111v(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を用いて蒸発させた。残る脂質ペレットを−20℃で保存した。
質量分析(MS)のために、脂質ペレットを、最初の組織試料のDNAの量に依存して
(DNAの1μg当たりに1μlのランニング溶液)ランニング溶液(CH3OH:CHCl3:NH4OH;90:10:1.25,v/v/v)中で再構成した。自動的試料注入のためのAdvion TriVersa自動操縦ナノフロー/イオン源装置(Advion Biosciences,Ithaca,NY)が備えられたハイブリッド四重極線状イオントラップ質量分析計(4000 QTRAP 系;Applied Biosystems,Foster City,CA)上で、エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(ESI−MS/MS)によりPL種を分析した。測定の前に、試料をランニング溶液中で希釈した。ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)及びホスファチジルイノシトール(PI)種の測定のために1/30の希釈を用いた。ホスファチジルエタノールアミン(PE)種の分析のために、1/3希釈を用いた。
Cluster 3.0 ソフトウェア[Eisen,M.B.,P.T.Spellman,P.O.Brown,and D.Botstein著,Cluster analysis and display of genome−wide expression patterns.Proc Natl Acad Sci USA,95(25):1998年,p.14863−8.]のセントロイドリンケージクラスタリングアルゴリズム(centroid linkage clustering algorithm)を用いることにより、クラスタリング分析を行った。Java TreeView 1.1.5.ソフトウェア[Saldanha,A.J.著,Java Treeview−extensible visualization of microarray data.Bioinformatics,20(17):2004年,p.3246−9]を用いてクラスタリングの結果を視覚化した。
腫瘍試料の特性
ガン組織対正常な組織における、ならびに個々の患者の腫瘍組織の間におけるPLプロファイルにおける変化を研究するために、限局性前立腺ガンに関する根治的恥骨後式前立腺摘除術を受けた14人の前立腺ガン患者から、約40mgの前立腺腫瘍組織及び隣接する正常な前立腺組織を得た。組織学的検査によりにより、すべての腫瘍組織を、少なくとも80パーセントの腫瘍組織を含むと確認した。
無損傷のPL種を調べるために、我々はProf.R.Derua and Prof.E.Waelkens(Department of Molecular Cell
Biology,K.U.leuven)と共同して社内で(in house)開発された質量分析に基づく方法を用いた。この方法はBruegger et al[Brugger,B.,G.Erben,R.Sandhoff,F.T.Wieland,and W.D.Lehmann著,Quantitative analysis of biological membrane lipids at the low
picomole level by nano−electrospray ionization tandem mass spectrometry.Proc Natl Acad Sci USA,94(6):1997年.p.2339−44]及びMilne et al[Milne,S.,P.Ivanova,J.Forrester,and H.Alex Brown著,Lipidomics:an analysis of cellular lipids by ESI−MS.Methods,39(2):2006年,p.92−103]により記載された案に基づいており、それを自動的試料注入のためのTriversa自動操縦ナノフロー/イオン源装置が備えられたABI 4000 QTRAP質量分析計上で用いるために適応させた。
ショットガン法において全脂質抽出物から直接、リン脂質の個々の種類を検出するために、タンデム質量分析(MS/MS)において種々の前駆体イオン及び中性脱離スキャンを行った。この方法は、脂質の特別な種類に焦点を当てることを可能にし、スペクトルの複雑性を軽減し、ベースラインノイズを除去する。4つの主要なPLの種類:PC、PE、PS及びPIを分析した。PC種は正のイオンモードで、MS/MSモードにおける断片化の後のホスホコリン頭部基ピークに対応するm/z 184に関する前駆体スキャンにおいて、検出された。PE種は正のイオンモードで、ホスホエタノールアミンのnl.に対応するイオンを与える衝突−誘導分解により検出された。PS及びPIは負のイオンモードスキャンで、それぞれnl.87及びprec.241に関して測定された。
クラスターA(図6A)(患者3、4、5、6、7、9、10、11及び13)は、完全に飽和したPL種における顕著な減少、1個もしくは2個の不飽和(両アシル鎖を一緒
にした中に)を有する種における増加及び3個より多い不飽和を有するPL種における減少を特徴とする。このパターンはPC画分において最もあからさまであり、それは脂質生成スイッチにより大部分が説明され得るので、それを「脂質生成プロファイル」と呼ぶ(下記を参照されたい)。
クラスターB(図6B)(患者1、2、8及び14)は、脂質生成プロファイルのない腫瘍を含有する。
患者12は、腫瘍と正常な組織の間でPLプロファイルにおいてほとんど変化を示さず、クラスターA又はB内に分類され得ない。
Claims (31)
- 患者における腫瘍の脂質生成性を決定するための試験管内法であって、少なくとも1種のモノ−不飽和リン脂質及び少なくとも1種のポリ−不飽和リン脂質の、腫瘍試料対正常な試料における相対的な発現レベルを決定することを含んでなり、かつ、該モノ−不飽和リン脂質の相対的な発現レベルにおける向上及び該ポリ−不飽和リン脂質の相対的な発現レベルにおける低下は、より侵略的な脂質生成性表現型に関する指標である、試験管内法。
- 少なくとも1種の飽和リン脂質の、腫瘍試料対正常な試料における相対的な発現レベルを決定することをさらに含んでなり、かつ、該飽和リン脂質の相対的な発現レベルにおける低下、該モノ−不飽和リン脂質の相対的な発現レベルにおける向上及び該ポリ−不飽和リン脂質の相対的な発現レベルにおける低下は、より侵略的な脂質生成性表現型に関する指標である請求項1に記載の試験管内法。
- 患者における腫瘍の脂質生成性を決定するための試験管内法であって、腫瘍試料及び正常な試料において少なくとも1種のモノ−不飽和リン脂質及び少なくとも1種のポリ−不飽和リン脂質の発現レベルを決定することを含んでなり、かつ、正常な試料と比較される腫瘍試料におけるモノ−不飽和リン脂質対ポリ−不飽和リン脂質の比の増加は、より侵略的な脂質生成性表現型に関する指標である、試験管内法。
- 患者における腫瘍の脂質生成性を決定するための試験管内法であって、患者における腫瘍の脂質生成プロファイルを決定することを含んでなり、かつ、1個もしくは2個の不飽和(両アシル鎖を一緒にした中に)を有する種における増加ならびに3個より多い不飽和を有するPL種における減少は、より侵略的な脂質生成性表現型に関する指標である、試験管内法。
- 患者における腫瘍の脂質生成プロファイルを決定することをさらに含んでなり、かつ、飽和種における減少、1個もしくは2個の不飽和(両アシル鎖を一緒にした中に)を有する種における増加ならびに3個より多い不飽和を有するPL種における減少は、より侵略的な脂質生成性表現型に関する指標である請求項4に記載の試験管内法。
- リン脂質がグリセロリン脂質、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン及びホスホイノシチドを含んでなる群から選ばれる請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
- 飽和リン脂質がPC30:0、PC32:0、PC34:0、PC36:0及びPC38:0を含んでなる群から選ばれる飽和ホスファチジルコリン種及び/又はPE36:0及びPE38:0を含んでなる群から選ばれる飽和ホスファチジルエタノールアミン及び/又はPS36:0、PS38:0、PS40:0及びPS42:0を含んでなる群から選ばれる飽和ホスファチジルセリン及び/又はPI34:0、PI36:0及びPI38:0を含んでなる群から選ばれる飽和ホスファチジルイノシチドである請求項2、5又は6のいずれか1つに記載の方法。
- モノ−不飽和リン脂質がPC28:1、PC30:1、PC30:2、PC32:1、PC32:2、PC34:1、PC34:2、PC36:1、PC36:2、PC38:1、PC38:2、PC40:1及びPC40:2を含んでなる群から選ばれる、1個もしくは2個のモノ−不飽和脂肪アシル鎖を有するホスファチジルコリン(PC)である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- モノ−不飽和リン脂質がモノ−不飽和ホスファチジルコリン(PC)PC34:1である請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
- ポリ−不飽和リン脂質がPC32:3、PC34:2、PC34:3、PC34:4、PC36:2、PC36:3、PC36:4、PC36:5、PC36:6、PC38:3、PC38:4、PC38:5、PC38:6、PC38:7、PC40:3、PC40:4、PC40:5、PC40:6、PC40:7、PC40:8、PC42:3、PC42:4、PC42:5、PC42:6、PC42:7、PC42:8、PC42:9、PC42:10、PC42:11、PC44:3、PC44:4、PC44:5、PC44:6、PC44:7、PC44:8、PC44:9、PC44:10、PC44:11及びPC44:12を含んでなる群から選ばれるポリ−不飽和ホスファチジルコリン(PC)である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- ポリ−不飽和リン脂質がPC36:3、PC38:3、PC36:4、PC38:4、PC40:4、PC36:5、PC38:5、PC40:5を含んでなる群から選ばれるポリ−不飽和ホスファチジルコリン(PC)である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- ポリ−不飽和リン脂質がポリ−不飽和ホスファチジルコリン(PC)36:4又はPC38:4である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- モノ−不飽和リン脂質がPE32:1及びPE34:2を含んでなる群から選ばれる1個もしくは2個のモノ−不飽和脂肪アシル鎖を有するホスファチジルエタノールアミン(PE)である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- ポリ−不飽和リン脂質がPE36:4、PE38:4及びPE40:4を含んでなる群から選ばれるポリ−不飽和ホスファチジルエタノールアミン(PE)である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- モノ−不飽和リン脂質がPS36:2、PS38:2、PS40:2及びPS42:2を含んでなる群から選ばれる1個もしくは2個のモノ−不飽和脂肪アシル鎖を有するホスファチジルセリン(PS)である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- ポリ−不飽和リン脂質がPS38:4、PS40:4、PS38:5、PS40:5及びPS38:6を含んでなる群から選ばれるポリ−不飽和ホスファチジルセリン(PS)である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- モノ−不飽和リン脂質がPI34:1、PI36:1、P38:1、PI34:2、PI36:2及びP38:2を含んでなる群から選ばれる1個もしくは2個のモノ−不飽和脂肪アシル鎖を有するホスファチジルイノシチド(PI)である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- ポリ−不飽和リン脂質がPI36:4及びPI38:4を含んでなる群から選ばれるポリ−不飽和ホスファチジルイノシチド(PI)である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- モノ−不飽和リン脂質がモノ−不飽和ホスファチジルコリン(PC)PC34:1であり、且つここでポリ−不飽和リン脂質がポリ−不飽和ホスファチジルコリン(PC)PC36:4及び/又はPC38:4である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- 腫瘍が前立腺ガン、乳ガン、肺ガン、結腸ガン、胃ガン、卵巣ガン、子宮内膜ガン、肝臓ガン、食道ガン、膀胱ガン、口腔ガン、甲状腺ガン、膵臓ガン、網膜ガン及び皮膚ガン、好ましくは前立腺ガンを含んでなる群から選ばれる請求項1〜19のいずれか1つに記載の方法。
- 侵略的脂質生成性表現型に関する1種もしくはそれより多い他のバイオマーカーの、腫瘍試料対正常な試料における相対的な発現又はリン酸化/活性化を測定することをさらに含んでなり、ここで該1種もしくはそれより多い他のバイオマーカーの相対的な発現における増加、該モノ−不飽和リン脂質の相対的な発現レベルにおける向上及び該ポリ−不飽和リン脂質の相対的な発現レベルにおける低下はより侵略的な脂質生成性表現型の指標である請求項1〜20のいずれか1つに記載の方法。
- 侵略的脂質生成性表現型に関する1種もしくはそれより多い他のバイオマーカーがFASN、ACCA、コリンキナーゼ及びACLYから選ばれる請求項21に記載の方法。
- リン脂質の発現レベルを、ESI−MS/MS又はMALDI−TOF及びMSに基づくリン脂質画像化を含む他の質量分析に基づく方法によるリン脂質の分析を介して決定する請求項1〜22のいずれか1つに記載の方法。
- 患者における腫瘍の脂質生成性を決定するための、請求項1〜23のいずれか1つに記載の予後的又は予測的試験管内法の使用。
- 分析されるべき試料から単離されるリン脂質のESI−MS/MSあるいは他のMSに基づく試料調製のための試薬を含んでなる、請求項1〜23のいずれか1つに記載の試験管内法を実施するためのキット。
- 酸化防止剤、溶媒及び標準を含んでなる請求項25に記載のキット。
- マイクロ流体チップならびに微小水泡に関する親和性を有するかあるいは微小水泡粒子を結合させることができる分子又は薬剤がコーティングされた表面に微小水泡を固定するためのコーティングされた表面を含んでなる請求項25に記載のキット。
- 該微小水泡に関する親和性を有するかあるいは微小水泡粒子を結合させることができる分子又は薬剤が;抗体種、タンパク質、アプタマー、排泄(passage)からの微小水泡を選択的に制限する表面及び微小水泡への選択的付着性を有する表面を含んでなる群の1つもしくはそれより多くである請求項25に記載のキット。
- タンパク質がレクチン又は他の糖結合化合物を含んでなるリストから選ばれる請求項28に記載のキット。
- レクチンがGNA、NPA、コンカナバリンA又はシアノビリンを含んでなる群から選ばれる請求項29に記載のキット。
- マイクロ流体チップが請求項26〜29において定義されるコーティングされた表面を含む請求項27〜30のいずれか1つに記載のキット。
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