JP2002506648A - 突然変異体組換えアレルゲン - Google Patents

突然変異体組換えアレルゲン

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Abstract

(57)【要約】 新規の組換えアレルゲンが開示される。アレルゲンは、天然アレルゲンに由来する非天然突然変異体である。全体的α−炭素主鎖三次構造は、本質的に保存される。このような組換えアレルゲンの製造方法、ならびにそれらの用途も開示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 産業上の利用分野 本発明は、天然アレルゲンに由来する非天然突然変異体である新規の組換えア
レルゲンに関する。さらに本発明は、このような組換えアレルゲンの、ならびに
組換えアレルゲンを含有する医薬組成物、例えばワクチンの製造方法に関する。
さらに別の実施態様では、本発明は、被験者における免疫応答の生成方法、被験
者の予防接種または治療、ならびに本発明の組成物の製造方法に関する。
【0002】 発明の背景 遺伝的素因を有する個体は、種々の環境源から生じる抗原に対して、即ち個体
が曝露されるアレルゲンに対して感作される(アレルギー性)ようになる。アレ
ルギー反応は、予め感作された個体が同一のまたは同種のアレルゲンに再曝露さ
れる場合に起きる。アレルギー反応は、枯草熱、鼻管炎、鼻炎および喘息から、
例えばミツバチまたはスズメバチに刺されたりまたは昆虫に噛まれたりすること
に応答した全身性アナフィラキシーそして死までの範囲に及ぶ。反応は即時的で
あり、種々のアトピー性アレルゲン、例えば草本、樹木、雑草、昆虫、食物、薬
剤、化学物質および香料から生じる化合物により引き起こされる。
【0003】 しかしながら、個体が初めてアレルゲンに曝露された場合には、応答は生じな
い。初期適応応答は時間が掛かり、通常はいかなる症状も引き起こさない。しか
し、アレルゲンと反応し得る抗体およびT細胞は産生された場合、その後のあら
ゆる曝露が症状を起こさせ得る。したがって、アレルギー反応は、免疫応答それ
自体が有意の疾病状態を生じ、これが生命を危険に曝し得る。
【0004】 アトピー性アレルギーに関与する抗体は、主にIgEクラスのイムノグロブリ
ンに属する。IgEは、マスト細胞および好塩基球の表面の特定の受容体に結合
する。特定のアレルゲンとマスト細胞に結合したIgEとの複合体形成後、細胞
表面の受容体架橋は、受容体を介してのシグナリングおよび標的細胞の生理学的
応答を生じる。脱顆粒は、とりわけ、ヒスタミン、ヘパリン、好酸球に対する走
化性因子、気管支平滑筋の長期収縮を引き起こすロイコトリエンC4,D4およ
びE4の放出を生じる。その結果生じる作用は、実際、全身性または局所性であ
り得る。
【0005】 抗体介在性過敏症反応は4つのクラス、即ちI 型、II型、III 型およびIV型に
分けられる。I 型アレルギー反応は、抗原曝露後数秒または数分以内に生じる古
典的即時型過敏症反応である。これらの症状は、アレルゲン特異的IgEにより
媒介される。 一般に、アレルギー反応は、例えば花粉、ハウスダストダニ、動物の体毛およ
びふけ、毒液ならびに食物製品中に存在するタンパク質アレルゲンに対する応答
として観察される。
【0006】 アレルギー反応を低減または排除するためには、アレルギーワクチンの細心の
制御および反復投与が一般的に用いられる。アレルギー予防接種は、かなり長期
間に亘る漸増用量での非経口的、鼻腔内または舌下投与により伝統的に実施され
、患者の減感作をもたらす。正確な免疫学的メカニズムは分からないが、しかし
アレルゲン特異的T細胞の表現型において誘導される差異は特に重要であると考
えられる。
【0007】 抗体結合エピトープ(B細胞エピトープ) Fab抗原複合体のX線結晶分析は、抗体結合エピトープについての理解を増大
した。この種の分析によれば、抗体結合エピトープは、直接相互作用を可能にす
る抗体の原子からの距離内にある15〜25アミノ酸残基からの原子を包含する抗原
の表面の一区画と定義され得る。抗原−抗体相互作用の親和性は、ファンデルワ
ールス相互作用、水素結合またはイオン結合が単独に関与するエンタルピーから
は予測できない。界面からの水分子のほぼ完全な排除に関連したエントロピーは
、同様のサイズのエネルギー関与を表す。これは、相互作用分子の外形間の完全
適合が抗原−抗体高親和性相互作用の基礎を成す主因子であることを意味する。
【0008】 アレルギー予防接種 予防接種の概念は、免疫系の2つの基本的特徴、即ち特異性と記憶を基礎とす
る。予防接種は、レシピエントの免疫系を用意して、同様のタンパク質への反復
曝露時に、免疫系は、例えば微生物感染のチャレンジに対してより厳しく応答す
る立場にある。ワクチンは、レシピエントにおけるこのような防御的免疫応答を
生じる目的のための予防接種に用いられるよう意図されたタンパク質の混合物で
ある。防御は、ワクチンおよび同一抗原中に存在する構成成分のみを包含する。
【0009】 他の種類の予防接種と比較して、アレルギー予防接種は、アレルギー患者にお
ける進行中の免疫応答の存在により複雑にされる。この免疫応答は、アレルゲン
への曝露時にアレルギー症状の放出を媒介するアレルゲン特異的IgEの存在を
特徴とする。したがって、天然供給源からのアレルゲンを用いるアレルギー予防
接種は、最終的結果において、患者に対して生命を脅かすものである副作用の固
有の危険性を有する。
【0010】 この問題を阻止するためのアプローチは、3つのカテゴリーに分けられる。実
際問題として、1つより多いカテゴリーからの測定がしばしば組合される。測定
の第一のカテゴリーは、実質累積用量に到達するための長時間に亘る何回かの小
用量の投与を含む。測定の第二のカテゴリーは、ゲル物質、例えば水酸化アルミ
ニウム中へのアレルゲンの組入れによるアレルゲンの物理的修飾を含む。水酸化
アルミニウム処方物は、アジュバント作用と、活性アレルゲン構成成分の組織濃
度を低減するアレルゲン徐放のデポー製剤作用を有する。測定の第三カテゴリー
は、アレルギー原性を低減する目的のためのアレルゲンの化学的修飾、即ちIg
E結合を含む。
【0011】 アレルギー予防接種成功の背後にある詳細なメカニズムは、依然として議論の
的である。しかしながら、T細胞が免疫系の全体的調節に重要な役割を演じる、
ということは一致している。現在のコンセンサスによれば、2つの極端なT細胞
表現型Th1 およびTh2 間の関係が個体のアレルギー状態を確定する。アレルゲン
で刺激すると、Th1 細胞は、インターフェロン−γに支配されるインターロイキ
ンを分泌して防御免疫をもたらし、個体は健常である。他方で、Th2 細胞はイン
ターロイキン4および5を主に分泌して、IgE合成および好酸球増加をもたら
して、個体はアレルギーになる。in vitro研究は、関連T細胞エピトープを含有
するアレルゲン由来ペプチドを用いたチャレンジによりアレルゲン特異的T細胞
の応答を変える可能性を示した。したがって、新規のアレルギーワクチンに対す
る最新アプローチは大いにT細胞の取扱いを基礎にしており、その目的はT細胞
を無症候性にする(アネルギー誘発)か、またはTh2 表現型からTh1 表現型に応
答を変えることである。
【0012】 WO97/30150(参考文献1)では、親タンパク質と比較した場合にタンパク質分
子がアミノ酸配列中に特定の突然変異の分布を有するタンパク質分子の集団が特
許請求されている。記載内容から、発明は、親タンパク質と比較して修飾されて
いるが、しかし親タンパク質(天然アレルゲン)と同一方法で取り入れられ、消
化され、T細胞に提示される類似体の産生に関する、と思われる。それにより、
修飾T細胞応答が得られる。修飾タンパク質のライブラリーは、技術指示PM(
倹約突然変異誘発Parsimonious Mutagenesis)を用いて調製される。
【0013】 WO92/02621(参考文献2)では、組換えDNA分子が記載されており、この分
子は、ブナ目の樹木のアレルゲンの少なくとも1つのエピトープを有するポリペ
プチドをコードするDNAを包含し、アレルゲンはAln g 1 、Cor a 1 およびBe
t v 1 から選択される。ここに記載された組換え分子はすべて、天然アレルゲン
の配列に対応するアミノ酸配列またはアミノ酸配列の一部を有する。
【0014】 WO90/11293(参考文献3)は、中でも、ブタクサ花粉の単離アレルゲンペプチ
ドに、そして修飾ブタクサ花粉ペプチドに関する。そこに開示されたペプチドは
、天然アレルゲンの配列に、そしてその天然イソ型に対応するアミノ酸配列を有
する。 アレルゲンの化学的修飾 アレルゲンの化学的修飾のためのいくつかのアプローチが採用されてきた。70
年代初頭のアプローチとしては、アレルゲンとポリマーの化学的カップリング、
そしてホルムアルデヒドを用いたアレルゲンの化学的架橋による、いわゆる「ア
レルゴイド」の産生が挙げられる。これらのアプローチの背後の論理的根拠は、
化学的配位子の付着によるIgE結合エピトープの無作為破壊と、それによるI
gE結合の低減であったが、一方で複合体の分子量増大により免疫原性は保持さ
れた。「アレルゴイド」産生の固有の欠点は、化学的架橋の工程の制御の難しさ
、ならびにその結果生じる高分子複合体の分析および標準化の難しさに関連する
。「アレルゴイド」は、臨床的用途において一般的であり、そしてIgE結合エ
ピトープの無作為破壊のために、慣用的ワクチンと比較した場合、より高用量が
投与され得るが、しかし安全性および効能パラメーターは慣用的ワクチンの使用
よりも改良されているわけではない。
【0015】 さらに近年のアレルゲンの化学修飾のためのアプローチは、アレルゲンの三次
構造の全体的崩壊、したがってIgE結合の排除を目指しているが、これは、本
質的治療標的がアレルゲン特異的T細胞であると仮定している。このようなワク
チンは、最小T細胞エピトープを表すアレルゲン配列由来合成ペプチド、連結T
細胞エピトープを表すより長いペプチド、免疫優性T細胞エピトープの領域を表
すより長いアレルゲン配列由来合成ペプチド、あるいは組換え技術により半分に
切断されたアレルゲン分子を含有する。この論理的根拠を基礎にした別のアプロ
ーチは、「低IgE結合」組換えイソ型の使用の提案であった。近年、天然アレ
ルゲンは不均一で、同種アレルゲンとそれらのアミノ酸の約25%までが置換され
た変異体を含有する、ということが明らかになってきた。いくつかの組換え同種
アレルゲンは、おそらくは不可逆的変性の、そしてそれ故の三次構造の全体的崩
壊のためにIgE結合に際して低有効性であるということが判明している。
【0016】 in vitro突然変異誘発およびアレルギー予防接種 in vitro特定部位の突然変異誘発によりアレルゲン性を低減しようとする試み
は、いくつかのアレルゲン、例えばDer f 2 (Takai 等、参考文献4)、Der P
2 (Smith 等、参考文献5)、39 kDa Dermatophagoides farinae アレルゲン(
Aki 等、参考文献6)、ミツバチ毒ホスホリパーゼA2(Forster 等、参考文献7
)、Ara h 1 (Burks 等、参考文献8)、Ara h 2(Stanley 等、参考文献9)
、Bet v 1 (Ferreira等、参考文献10および11)、カンバのプロフィリン(Wied
emann 等、参考文献12)、およびOry s 1 (Alvarez 等、参考文献13)を用いて
実施されてきた。
【0017】 これらのアプローチの背後の論理的根拠も、アレルゲン特異的T細胞に向けて
いるが、一方同時に、組換え突然変異アレルゲンの三次構造の崩壊によるIgE
結合の低減または排除によりIgE媒介性副作用の危険を低減する。これらのア
プローチの背後の論理的根拠には、優性IgE結合エピトープの概念は含まれず
、そしてB細胞および抗体生成も包含する新規の防御免疫応答の開始についての
概念は含まれない。
【0018】 Ferreira等(参考文献11)による論説は、IgE結合を低減するための特定部
位の突然変異誘発の使用を記載する。Bet v 1 の三次元構造はその論説に述べら
れているが、しかし著者等は、その半分が低度の溶媒曝露を示す突然変異のため
の表面曝露アミノ酸残基の予測にその構造を用いない。むしろ彼等は、ここに記
載された保存表面領域の構造ベースの同定の概念とは異なるタンパク質中の機能
性残基の予測のために開発された方法を用いる。著者等はα−炭素主鎖三次構造
の保存を考察しているが、しかしこの概念は、療法的戦略の一部ではなく、in v
itroIgE結合を査定するために含まれたに過ぎない。さらに、示された証拠は
、CDスペクトルの標準化がある比率の標本の変性の評価を妨げるため、適切で
なく、これは一般的問題である。記載された療法的戦略は、アレルゲン特異的T
細胞における耐性誘導を目指し、新規の免疫応答の開始は記述されていない。
【0019】 Wiedemann 等(参考文献12)による論説は、モノクローナル抗体エピトープ特
性化のための特定部位の突然変異誘発およびペプチド合成の使用を記載する。著
者等は、抗原の三次構造についての知識を有し、そして彼等はこの知識を用いて
突然変異のための表面曝露アミノ酸を選択する。用いられる算法は、相同配列と
は異なるアミノ酸が選択されるため、本発明により記載されたものとは逆である
と言える。本研究は、表面曝露アミノ酸の置換がモノクローナル抗体の結合特性
を修飾する能力を有することを実証しているが、これは一般的知識を考慮すると
意外ではない。記載された実験は、アレルギー患者の血清IgEのようなポリク
ローナル抗体の結合に際しての調節を査定するよう意図されていない。含有され
た実験の1つは血清IgEを適用し、この実験は定量的査定には適していないが
、しかしIgE結合が実施された突然変異の影響を受けるとは思われない。
【0020】 Smith 等(参考文献5)の論説は、モノクローナル抗体エピトープマッピング
およびIgE結合低減のための特定部位の突然変異誘発の使用を記載する。著者
等は三次構造についての知識を有さず、α−炭素主鎖三次構造の保存を査定しよ
うとしていない。用いられた算法は、突然変異のために選択されたアミノ酸が実
際に分子表面に曝露されることを保証しない。記載された突然変異体の1つだけ
がIgE結合の実質的低減をもたらす。この突然変異体は検査された全抗体の結
合を欠き、これは三次構造が崩壊されていることを示す。著者等は、療法的戦略
を明示しておらず、そして新規の免疫応答の開始は記述されていない。
【0021】 Colombo 等(参考文献14)による論説は、特定部位の突然変異誘発とペプチド
合成の使用によるIgE結合エピトープの研究を記載する。著者等は、分子表面
のエピトープの存在を説明するために相同タンパク質の結晶構造に基づいた三次
元コンピューターモデル構造を用いる。一次構造相同性を示す異なるアレルゲン
上のエピトープのさらなる存在は、エピトープを表す合成ペプチドを用いて処理
される。療法的戦略は、一価IgE結合エピトープを表すこの合成ペプチドを用
いた治療を基礎にしている。同種アレルゲン間の保存表面領域ならびに新規防御
免疫応答の開始の療法的概念は、記述されていない。
【0022】 Spangfort 等(参考文献15)による論説は、主要なカンバのアレルゲンの三次
元構造および保存表面曝露パッチを記載する。本論説は、主要IgE結合エピト
ープも特定部位の突然変異誘発も記述せず、どちらも療法的適用を扱っていない
。 前記の研究のうち、表面曝露アミノ酸の置換によりIgE結合が低減されたも
のはないが、一方α−炭素主鎖三次構造は保存されている。前記のアプローチの
背後の論理的根拠は優性IgE結合エピトープの概念を含まず、そしてそれは新
規防御免疫応答の開始の療法的概念を含まない。
【0023】 発明の目的 本発明の背後の論理的根拠 本発明は、独自の論理的根拠に基づいている。この論理的根拠によれば、好結
果のアレルギー予防接種のメカニズムは進行中のTh2 型免疫応答の改変ではなく
、むしろB細胞による三次エピトープ認識および抗体形成を包含する新規のTh1
型免疫応答の平行開始である。このモデルは、特異的IgEのレベルが好結果予
防接種治療の影響を受けず、そして好結果治療がしばしばアレルゲン特異的Ig
G4の実質的上昇を伴うという観察により支持される。さらに、アレルゲンチャ
レンジ前後の鼻生検の研究は、Th2 様表現型を有するT細胞の低減を示さず、む
しろTh1 様T細胞の増大が観察される。ワクチン(または医薬組成物)が気道以
外の別の経路を通じて投与される場合、新規のTh1 様免疫応答が進行中のTh2 応
答とは物理的に離れた位置で生じ、それにより2つの応答が平行して存在するの
を可能にすると仮定される。
【0024】 本発明の背後の論理的根拠の別の重要な局面は、優性IgE結合エピトープの
存在の断定である。これらの優性IgE結合エピトープは、抗体結合を収容する
のに十分大きい三次構造依存凝集性表面領域により構成され、関連種からの同種
アレルゲン、変異体および/または同一アレルゲン間で保存される、と提案され
る。同一アレルゲン上の類似エピトープを結合し得る交差反応性IgEの存在は
、アレルギー患者がしばしばいくつかの密接に関連した種、例えばハンノキ、カ
ンバおよびハシバミ、多数の草本種、あるいはハウスダストダニ属デルマトファ
ゴイデス(Dermatophagoides)のいくつかの種と反応するという臨床的観察によ
り支持される。それは、関連種からの同一アレルゲン間のIgE交差反応性およ
び同一アレルゲンとのIgEの結合を阻害するあるアレルゲンの能力を実証する
実験室的実験によりさらに支持される(Ipsen et al., 1992、参考文献16)。
曝露および免疫応答が用量依存様式で関連することは周知である。これらの観察
の組合せを基礎にして、保存表面領域は非保存表面領域より高用量で免疫系に曝
露されて、より高い親和性を有する、それゆえ「優性IgE結合エピトープ」と
呼ばれるIgE抗体の生成を引き起こす、と仮定される。
【0025】 この論理的根拠によれば、アレルゲンが天然アレルゲンのものと本質的に同一
であるα−炭素主鎖三次構造を有し、したがって、IgE結合低減を目指した突
然変異誘発の標的を表す保存パッチ周囲の領域の表面トポロジーの保存を保証す
る、ということが肝要である。これらの判定基準を満たすことにより、アレルゲ
ンは相対的に高用量で投与される可能性を有し、安全性を弱体化することなく防
御免疫応答を生成するに際してその効力を改良する。
【0026】 発明の要約 本発明は、アレルゲンのα−炭素主鎖三次構造を保持しながらの、限定された
重要な位置への人工アミノ酸置換の導入に関する。 本発明は、天然アレルゲンから得られる非天然突然変異体である組換えアレル
ゲンであって、B細胞エピトープの少なくとも1つの表面曝露、保存アミノ酸残
基が、前記天然アレルゲンが生じた分類学上の目内のあらゆる既知の相同タンパ
ク質のアミノ酸配列中の同一位置に生じない別の残基により置換され、前記突然
変異アレルゲンが前記天然アレルゲンと本質的に同一のα−炭素主鎖三次構造を
有し、そして突然変異化アレルゲンとの特異的IgE結合が前記天然アレルゲン
との結合と比較して低減される組換えアレルゲンを提供する。
【0027】 このような組換えアレルゲンは、以下の: a)前記天然アレルゲンが生じる分類学上の目内のすべての既知の相同タンパ
ク質中に70%より大きい同一性で保存される天然アレルゲン中のアミノ酸残基を
同定し、 b)少なくとも20%の溶媒アクセシビリティーを有することにより前記の三次
元アレルゲン分子の表面の少なくとも400 Å2 に亘って密着連結される保存アミ
ノ酸残基の少なくとも1つのパッチであって、少なくとも1つのB細胞エピトー
プを包含する前記の少なくとも1つのパッチを画定し、そして c)特定の位置では非保存性であるが、アレルゲン分子の全体的α−炭素主鎖
三次構造を本質的には保存する別のアミノ酸により前記の少なくとも1つのパッ
チ中の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換する ことにより得られる。
【0028】 突然変異化アレルゲンとの特異的IgE結合は、供給源特異的IgE反応性ア
レルギー患者からの血清またはそれらのプールを用いた免疫検定における天然同
種アレルゲンまたは類似の組換えタンパク質と比較して、好ましくは少なくとも
5%、さらに好ましくは少なくとも10%低減される。 本発明の組換えアレルゲンは、適切には、特に樹木、草本、香草、真菌、ハウ
スダストダニ、ゴキブリ、ならびに動物の毛およびふけから生じる吸入アレルゲ
ンに由来する。樹木、草本および香草からの重要な花粉アレルゲンは、分類学上
の目のブナ目(Fagales )、オリーブ目(Oleales )およびマツ目(Pinales )
、例えば特にカンバ(Betula)、ハンノキ(Alnus )、ハシバミ(Corylus )、
シデ(Carpinus)およびオリーブ(Olea)、イネ目(Poales)、例えばドクムギ
属(Lolium)、フェルム属(Phelum)、スズメノカタビラ属(Poa )、シノドン
属(Cynodon )、ダクチリス属(Dactylis)およびライムギ属(Secale)、キク
目(Asterales )およびイラクサ目(Urticales )、例えば特にブタクサ属(Am
brosia)およびヨモギ属(Artemisia )の香草から生じるものである。
【0029】 真菌からの重要な吸入アレルゲンは、例えば特にアルテルナリア属(Alternar
ia)およびクラドスポリウム属(Cladosporium)から生じるものである。その他
の重要な吸入アレルゲンは、デルマトファゴイデス属(Dermatophagoides)から
のハウスダストダニからのもの、ゴキブリからのもの、哺乳類、例えばネコ、イ
ヌおよびウマからのものである。さらに、本発明の組換えアレルゲンは、毒液ア
レルゲン、例えば昆虫例えば分類学上の目の膜翅目からのもの、例えばミツバチ
(Apidae上科)、スズメバチ(Vespidea上科)およびアリ(Formicoidae 上科)
に刺されたり、噛まれたりして生じるものから得られる。
【0030】 特異的アレルゲン構成成分としては、例えば、ブナ目(Fagales )のBet v 1
(B. verrucosa、カンバ)、Aln g 1 (Alnus glutinosa 、ハンノキ)、Cor a
1 (Corylus avelana 、ハシバミ)およびCar b 1 (Carpinus betulus、シデ)
が挙げられる。その他は、Cry j 1 (マツ目Pinales )、Amb a 1 および2 、Ar
t v 1 (キク目Asterales )、Par j 1 (イラクサ目Urticales )、Ole e 1 (
オリーブ目Oleales )、Ave e 1 、Cyn d 1 、Dac g 1 、Fes p 1 、Hol l 1 、
Lol p 1 および5 、Pas n 1 、Phl p 1 および5 、Poa p 1 、2 および5 、Sec
c 1 および5 、ならびにSor h 1 (種々の草本花粉)、Alt a 1 およびCla h 1
(真菌)、Der f 1 および2 、Der p 1 および2 (ハウスダストダニ、それぞれ
D. farinaeおよびD. pteronyssinus)、Bla g 1 および2 、Per a 1 (ゴキブリ
、それぞれBlatella germanicaおよびPeriplaneta americana )、Fel d 1 (ネ
コ)、Can f 1 (イヌ)、Equ c 1 、2 および3 (ウマ)、Apis m 1および2 (
ミツバチ)、Ves g 1 、2 および5 、Pol a 1 、2 および5 (すべてスズメバチ
)ならびにSol I 1 、2 、3 および4 (ハリアリ、fire ant)である。
【0031】 一実施態様では、組換えアレルゲンはBet v 1 から得られる。置換の例は、Th
r10Pro、Asp25Gly、(Asn28Thr+Lys32Gln )、Glu45Ser、Asn47Ser、Lys55Asn、
Thr77Ala、Pro108Gly および(Asn28Thr、Lys32Gln、Glu45Ser、Pro108Gly )で
ある。明らかなように、組換えアレルゲンは1つ又はそれ以上の置換を有し得る
【0032】 別の実施態様では、組換えアレルゲンは、ミツバチ上科(Apidae)、スズメバ
チ上科(Vespidea)およびヤマアリ上科(Formicoidae )からの毒液アレルゲン
から得られる。 さらに別の実施態様では、組換えアレルゲンは、Ves v 5 から得られる。置換
の例は、Lys72AlaおよびTyr96Alaである。明らかなように、組換えアレルゲンは
1つ又はそれ以上の置換を有し得る。
【0033】 本発明は、本明細書中に記載したような組換えアレルゲンの製造方法であって
、以下の: a)天然アレルゲンが生じる分類学上の目内のすべての既知の相同タンパク質
中に70%より大きい同一性で保存される前記天然アレルゲン中のアミノ酸残基を
同定し、 b)少なくとも20%の溶媒アクセシビリティーを有することにより画定される
前記アレルゲン分子の三次元構造の表面の少なくとも400 Å2 に亘って密着連結
される保存アミノ酸残基の少なくとも1つのパッチであって、少なくとも1つの
B細胞エピトープを包含する前記の少なくとも1つのパッチを画定し、そして c)特定の位置では非保存性であるが、アレルゲン分子の全体的α−炭素主鎖
三次構造を本質的には保存する別のアミノ酸により前記の少なくとも1つのパッ
チ中の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換する 工程を包含する方法も提供する。
【0034】 この方法では、最良の結果は、溶媒アクセシビリティーに関して前記の少なく
とも1つのパッチのアミノ酸残基を等級付けし、そしてより溶媒アクセシブルな
ものの内の1つ又はそれ以上のアミノ酸を置換することにより得られる。 一般に、本発明の方法では、前記のB細胞エピトープまたは前記の少なくとも
1つのパッチ中の1つ又はそれ以上のアミノ酸残基の置換は、部位特異的突然変
異誘発により実行される。
【0035】 α−炭素主鎖三次構造の保存は、突然変異誘発の前後のX線結晶分析またはN
MRにより同一構造を得ることにより、最良に確定される。突然変異を説明する
構造的データの不存在下では、区別できないCDスペクトルまたは免疫化学デー
タ、例えば抗体反応性は、構造確定分子の分析により得られたデータと比較した
場合、α−炭素主鎖三次構造の保存を有望にし得る。
【0036】 さらに、本発明は、本明細書中に定義したような組換えアレルゲンを、医薬と
して許容可能な担体および/または賦形剤、ならびに任意にアジュバントと組合
せて包含する医薬組成物を提供する。 このような医薬組成物は、アレルギー罹患患者において天然アレルゲンにより
引き出されるアレルギー反応に対するワクチンの形態であり得る。
【0037】 さらに別の局面では、本発明は、被験者における免疫応答の生成方法であって
、本明細書中に定義した少なくとも1つの組換えアレルゲン、または本明細書中
に定義した少なくとも1つの組換えアレルゲンを含有する医薬組成物を患者に投
与することを包含する方法に関する。 本発明の医薬組成物は、本明細書中に定義した少なくとも1つの組換えアレル
ゲンを医薬として許容可能な物質および/または賦形剤と混合することを包含す
る工程により調製し得る。
【0038】 特定の実施態様では、本発明は被験者の予防接種または治療であって、本明細
書中に定義した少なくとも1つの組換えアレルゲンまたは本明細書中に定義した
医薬組成物を被験者に投与することを包含する予防接種または治療に関する。 本発明の医薬組成物は、前記の方法により得られる。 別の実施態様では、本発明の組換えアレルゲンは、アレルギー反応の治療、防
止または軽減のための方法であって、本明細書中に定義した少なくとも1つの組
換えアレルゲンまたは本明細書中に定義した医薬組成物を被験者に投与すること
を包含する包含する方法に用いるのに適している。
【0039】 発明の詳細な説明 置換のための判定基準 三次構造が確定されている(例えば、X線結晶分析またはNMR電子顕微鏡に
より)分子に関しては、置換アミノ酸(単数または複数)を保有する突然変異体
は、好ましくは以下の判定基準を満たすべきである: 1.分子の全体的α−炭素主鎖三次構造は保存されるべきである。保存される
のは、2Åより小さい構造と比較して、原子配位体の平均二乗平均偏差と定義さ
れる。これは、以下の2つの理由のために重要である:a)天然アレルゲンの全
表面は考え得る抗体結合エピトープの重複連続体を構成する、と考えられる。分
子の大多数の表面は置換(単数または複数)に影響されず、したがってその抗体
結合特性を保持し、このことが、天然アレルゲン上にも存在するエピトープに向
けられる新規の防御抗体特異性の生成にとって重要である。b)保存寿命に関す
るならびに体液中への注入時の両方の安定性。
【0040】 2.置換されるアミノ酸(単数または複数)は表面に位置し、したがって抗体
結合に接近しやすい必要がある。表面に位置するアミノ酸は、少なくとも20%、
適切には20〜80%、さらに適切には30〜80%の溶媒(水)アクセシビリティーを
有する三次元構造中のアミノ酸と定義される。溶媒アクセシビリティーは、溶媒
(水、r=1.4 Å)分子に匹敵する半径を有する球にアクセシブルな分子の面積
と定義される。
【0041】 3.置換アミノ酸(単数または複数)は、400 Å2 より大きい保存パッチ中に
位置すべきである。保存パッチは、表面曝露保存アミノ酸残基および主鎖の密着
連結領域と定義される。保存アミノ酸残基は、分類学上の目内の相同タンパク質
のすべての既知の(推定)アミノ酸配列の整列により定義される。配列の90%よ
り多くの同一アミノ酸残基を有するアミノ酸位置は、保存されたと考えられる。
保存パッチは、大多数の患者のIgEが向けられるエピトープを含有すると予測
される。
【0042】 4.保存パッチ内では、突然変異誘発のためのアミノ酸は、好ましくは保存パ
ッチの中心付近に位置するほとんどの溶媒(水)アクセシブルなものの内で優先
的に選択されるべきである。 優先的には、極性アミノ酸残基は、別の極性残基により置換され、非極性アミ
ノ酸残基は、別の非極性残基により置換される。
【0043】 ワクチンの調製は、一般に当業界で周知である。ワクチンは、典型的には、注
射用の液体溶液または懸濁液として調製される。このようなワクチンは、また、
鼻投与を可能にするために乳化または処方し得る。当該免疫原性構成成分(本明
細書中に定義した組換えアレルゲン)を、医薬として許容可能な、そしてさらに
活性成分と相溶性である賦形剤と適切に混合し得る。適切な賦形剤の例は、水、
食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、ならびにそれらの組
合せである。ワクチンは、その他の物質、例えば湿潤剤、乳化剤、緩衝剤または
ワクチンの効力を増強するアジュバントを付加的に含有し得る。
【0044】 ワクチンは、最も頻繁には、皮下または筋肉内注射により非経口的に投与され
る。別の経路による投与に適した処方物としては、経口処方物および座薬が挙げ
られる。経口投与用ワクチンは、適切には、このような処方物に関して普通に用
いられる賦形剤、例えば製剤等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステ
アリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム
等とともに処方され得る。組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、ピル、カプ
セル、徐放性処方物、アエロゾル、粉末または顆粒として処方し得る。
【0045】 ワクチンは、投与処方物と相溶性であるような方法で、そして治療的に有効お
よび免疫原性であるような量で投与される。ワクチン内に含有される活性構成成
分の量は、治療される被験者、とりわけ治療に応答する被験者の免疫系の能力、
投与経路、ならびに被験者の年齢および体重に依存する。適切な投与量は、約0.
0001μg 〜1000μg の範囲内で変わり得る。
【0046】 前記のように、効果増大は、処方物にアジュバントを付加することにより得ら
れる。このようなアジュバントの例は、リン酸塩緩衝化生理食塩水中の0.05〜0.
1 %溶液としての水酸化およびリン酸アルミニウム(alum)、0.25%溶液として
用いられる糖の合成ポリマーである。阻止代用物として用いられる細菌細胞、例
えばC. parvum 、グラム陰性細菌の内毒素またはリポ多糖類構成成分との混合物
、生理学的に許容可能な油ビヒクル、例えばマンニドモノアレエート中の乳濁液
(Aracel A)またはペルフルオロカーボンの20%溶液を有する乳濁液(例えば、
Fluosol-DA)も用い得る。その他のアジュバント、例えばフロイント完全および
不完全アジュバント、ならびにQui1A およびRIBIも用い得る。
【0047】 非常にしばしば、作用を保証するために、ワクチンの多投与が必要である。し
ばしば、ワクチンは初期投与とその後の接種またはその他の投与として投与され
る。予防接種の数は、典型的には1〜50の範囲であり、通常は35を越えない。予
防接種は、普通は、隔週〜隔月で、3ヶ月〜5年の期間、実施される。これは、
所望レベルの予防または治療効果を生じるよう意図される。
【0048】 組換えアレルゲンは、徴候が生じた年の期間中にアレルギー応答に対するある
種の防御を提供するのに適切である薬物製剤として用い得る(予防)。通常は、
防御効果を保持するために、治療は毎年反復されねばならない。鼻適用のために
処方された製剤は、この目的に特に適している。 以下の実施例により本発明をさらに説明するが、それらは本発明を限定するも
のではない。
【0049】 実施例 実施例1 ブナ目(Fagales )花粉アレルゲン内の共通エピトープの同定 主要カンバ花粉アレルゲンBet v 1 は、分類学的に関連した樹木、即ちブナ目
(例えば、ハシバミおよびシデ)の花粉からの主要アレルゲンと約90%のアミノ
酸配列同一性を示し、そしてカンバ花粉アレルギー患者はしばしば、これらのBe
t v 1 相同タンパク質に対してアレルギー交差反応性の臨床症状を示す。
【0050】 Bet v 1 はさらに、ある種の果物(例えば、リンゴおよびサクランボ)および
野菜(例えば、セロリおよびニンジン)中に存在するアレルギータンパク質と約
50〜60%の配列同一性を示し、Bet v 1 とこれらの食物関連タンパク質との間の
アレルギー交差反応性の臨床証拠が存在する。 さらに、Bet v 1 は、病因関連タンパク質(PR-10 )と呼ばれる植物タンパク
質の一群と有意の配列同一性(20〜40%)を共有するが、しかしながらこれらの
PR-10 タンパク質に対するアレルギー交差反応性についての報告はない。
【0051】 分子モデリングは、ブナ目および食物アレルゲンならびにPR-10 タンパク質の
構造が、Bet v 1 構造と同一であるよう類似することを示唆する。 アレルギーBet v 1 交差反応性に関する構造的基礎は、Gajhede 等(1996,参
考文献17)により報告されており、この場合、Bet v 1 の分子表面の3つのパ
ッチは同一で、既知の主要樹木花粉アレルゲンに関して共通であり得る。したが
って、Bet v 1 上のこれらのパッチを認識するあらゆるIgEは他のブナ目主要
花粉アレルゲンと交差反応し、それに結合して、アレルギー症状を生じ得る。こ
れらの共通パッチの同定は、参考文献17に報告されたα−炭素主鎖三次構造に
より明示されるBet v 1 の分子表面の分析と組合せて、主要樹木花粉アレルゲン
のすべての既知のアミノ酸配列の整列後に実施した。さらに、パッチは、結合時
に抗体により覆われる面積を基礎にしてある最小サイズ(>400Å2 )を有するよ
うに画定した。
【0052】 部位特異的突然変異誘発のためのアミノ酸残基の選択 部位特異的突然変異誘発のためのアミノ酸残基は、これらの修飾が、臨床的樹
木花粉アレルギー交差反応性を示す患者の大多数からの血清IgEの結合に影響
を及ぼすと予測されるため、Bet v 1 特異的領域および共通パッチ中に存在する
残基の間で選択した。
【0053】 それぞれのパッチ内の各アミノ酸残基の溶媒曝露の相対的配向およびパーセン
テージを、それらの原子配位体を基礎にして算出した。低度の溶媒曝露(<20 %
)を示す残基は、構造の考え得る崩壊または抗体相互作用の欠損のために、突然
変異誘発に関連するとはみなされなかった。残りの残基を、それらの溶媒曝露程
度によって等級付けした。
【0054】 配列整列 BLAST サーチにより、GenBank およびEMBL配列データベースから、疑問配列(
Bet v 1 No.2801, WHO IUIS Nomenclature Subcommittee on Allergens(アレ
ルギーに関する専門用語小委員会))と相同の配列を得た(Altschul等、参考文
献18)。0.1 未満のBLAST 報告確率を有する全配列を考慮に入れて、相同配列
の非重複リストを含有するリストを構築した。これらをCLUSTAL W (Higgins 等
、参考文献19)により整列させ、完全リストまたは分類学上の関連種のみを考
慮しながら、配列中の各位置に関して、同一性パーセンテージを算出した。全12
2 配列が、Bet v 1 No. 2801と相同で、このうち57配列が分類学上の関連種から
生じている。
【0055】 Bet v 1 をコードする遺伝子のクローニング フェノール抽出およびLiCl沈降により、ベチュラ・ベルコサ(Betula ver
rucosa)の花粉(Allergon, Sweden)からRNAを調製した。オリゴ(dT)−
セルロースアフィニティークロマトグラフィーをエッペンドルフ管中でバッチ方
式で実施し、市販キット(Amersham)を用いて二本鎖cDNAを合成した。Bet
v 1 をコードするDNAをPCRにより増幅して、クローン化した。要するに、
鋳型としてcDNAを、そしてそれぞれBet v 1 のアミノ末端および3’−不翻
訳領域に対応する位置のcDNAの配列に適合するよう設計されたプライマーを
用いて、PCRを実施した。プライマーを5’末端で延長して、指向クローニン
グのために制限部位(NcoIおよびHindIII )をpKK233-2中に収容した。
【0056】 pMAL-c中へのサブクローニング Bet v 1 をコードする遺伝子を、その後、マルトース結合タンパク質融合ベク
ターpMAL-c(New England Biolabs )中にサブクローニングした。PCRにより
遺伝子を増幅し、malEを用いて枠内でサブクローニングして、マルトース結合タ
ンパク質(MBP)-Bet v 1タンパク質融合オペロンを生成したが、ここではM
BPおよびBet v 1 は、参考文献15に記載されているように、開裂時にBet v
1 の真正アミノ末端配列を復元するために配置される因子Xa プロテアーゼ開裂
部位により分離された。要するに、鋳型として挿入されたBet v 1 およびそれぞ
れタンパク質のアミノ−およびカルボキシ末端に対応するプライマーを有するKK
233-3 を用いて、PCRを実施した。プロモーター近位プライマーを5‘末端で
延長して、枠内因子Xa プロテアーゼ開裂部位をコードする4つのコドンを収容
した。両プライマーを5’末端でさらに延長して、クローニングのために制限部
位(KpnI)を収容した。PCR人工物の頻度を低減するために20サイクルのPC
Rを用いて、Bet v 1 コード遺伝子をサブクローニングした。
【0057】 in vitro突然変異誘発 鋳型として挿入されたBet v 1 を有する組換えpMAL-cを用いて、PCRにより
、in vitro突然変異誘発を実施した。4つのプライマーを用いた3回のPCR反
応により、各突然変異体Bet v 1 遺伝子を生成した。 各DNA鎖について1つの、各突然変異を収容する2つ突然変異特異的オリゴ
ヌクレオチドプライマーを合成した(図1および2参照)。出発点として突然変
異化ヌクレオチド(単数または複数)を用いて、両プライマーを5’末端で7ヌ
クレオチド、そして3’末端で15ヌクレオチド、延長した。延長ヌクレオチドは
、実際領域のBet v 1 遺伝子と配列が同一であった。
【0058】 2つの一般に適用可能なプライマー(図2では「全−センス」および 「全ナ
ンセンス」と示されている)をさらに合成し、すべての突然変異体に用いた。こ
れらのプライマーは15ヌクレオチド長で、Bet v 1 から約1キロ塩基上流および
下流のpMAL-cベクターの領域に配列が対応する。上流プライマーの配列はセンス
鎖に由来し、下流プライマーの配列はナンセンス鎖から由来する(図2参照)。
【0059】 本質的には標準手法(Saiki 等、1988、参考文献20)によって、2つの個々
のPCR反応を実施したが、但し、PCR人工物の頻度を低減するために、温度
周期は20回だけ実施した。各PCR反応は、鋳型として挿入されたBet v 1 、な
らびに有意義な組合せの1つの突然変異特異的プライマーおよび1つの一般的に
適用可能なプライマーを有するpMAL-cを用いた。三重パッチ突然変異体中の4つ
のアミノ酸置換(Asn28Thr、Lys32Gln、Glu45Ser、Pro108Gly )の導入を、段階
法で前記と同様に実施した。先ず、Glu45Ser突然変異を、次にPro108Gly 突然変
異を、そして最後にAsn28Thr、Lys32Gln突然変異を、鋳型としてそれぞれ挿入Be
t v 1 No.2801 、Bet v 1 (Glu45Ser)、 Bet v 1(Glu45Ser、Pro108Gly )を
有するpMAL-cを用いて導入した。
【0060】 アガロースゲル電気泳動および電気溶離、その後のエタノール沈降により、P
CR生成物を精製した。鋳型として最初の2回のPCR反応からの併合PCR生
成物ならびに一般的適用可能プライマーを用いて、第三PCR反応を実施した。
再び、20周期の標準PCRを用いた。アガロースゲル電気泳動および電気溶離、
その後のエタノール沈降により、PCR生成物を精製し、制限酵素(BsiWI/EcoR
I )で切断して、同一酵素で制限された挿入Bet v 1 を有するpMAL-cに指向的に
結合した。
【0061】 図3は、以下に示した9つのBet v 1 突然変異のすべての概観を示す: Thr10Pro、Asp25Gly、Asn28Thr+Lys32Gln、Glu45Ser、Asn47Ser、Lys55Asn、
Glu60Ser(非パッチ)、Thr77AlaおよびPro108Gly 。4つの突然変異を有するさ
らに4つの突然変異体も調製した(Asn28Thr、Lys32Gln、Glu45Ser、Pro108Gly
)。これらのうち、5つをさらなる検査のために選択した: Asn28Thr +Lys32G
ln、Glu45Ser、Glu60Ser、Pro108Gly および三重パッチ突然変異体Asn28Thr、Ly
s32Gln、Glu45Ser、Pro108Gly 。
【0062】 ヌクレオチドシーケンシング Bet v 1 コード遺伝子のヌクレオチド配列の確定を、サブクローニングの前後
、ならびにin vitro突然変異誘発の後にそれぞれ実施した。 0.1 g/l アンピシリンを補充したLB培地中で一夜、飽和まで増殖させた細菌
培地10 ml からのプラスミドDNAを、Qiagenチップ20カラム上で精製し、Sequ
enase バージョン2.0 DNAシーケンシングキット(USB )を供給元の忠告にし
たがって用いて、シーケンシングした。
【0063】 組換えBet v 1 および突然変異体の発現および精製 組換えBet v 1 (Bet v 1 No.2801 および突然変異体)を、マルトース結合タ
ンパク質に融合した大腸菌DH 5a 中で過剰発現させて、参考文献15に記載され
ているように精製した。要するに、組換え大腸菌細胞を37℃で増殖させて436nm
で1.0 の光学密度としたが、その場合、Bet v 1 融合タンパク質の発現は、IP
TGの付加により誘導した。誘導後3時間目に、遠心分離により細胞を収穫し、
溶解緩衝液中に再懸濁させて、超音波処理により破壊した。超音波処理とさらな
る遠心分離後、組換え融合タンパク質をアミロースアフィニティークロマトグラ
フィーにより単離し、その後、因子Xaを用いたインキュベーションにより開裂
した(参考文献15)。因子Xa開裂後、組換えBet v 1 をゲル濾過により単離
し、必要な場合には、極微量のマルトース結合タンパク質を除去するために、も
う一回アミロースアフィニティークロマトグラフィー処理を施した。
【0064】 精製組換えBet v 1 を限外濾過により約5 mg/ml に濃縮し、4 ℃で保存した。
精製組換えBet v 1 調製物の最終収量は、大腸菌細胞培養1リットル当たり2 〜
5 mgであった。 精製組換えBet v 1 調製物は、銀染色SDS−ポリアクリルアミド電気泳動後
に単一バンドとして現れ、見掛けの分子量は17.5 kDaであった。N末端シーケン
シングは、cDNAヌクレオチド配列から由来する予測配列を示し、定量的アミ
ノ酸分析は予測アミノ酸組成を示した。
【0065】 組換えBet v 1 No. 2801は、天然Bet v 1 と免疫化学的に区別できない、とい
うことを我々は以前に示している(参考文献15)。 ウサギポリクローナル抗体を用いた免疫電気泳動 7つの突然変異体Bet v 1 を組換えBet v 1 タンパク質として生成し、前記と
同様に精製して、カンバ花粉から単離されたBet v 1 に対して生じたポリクロー
ナルウサギ抗体に対するそれらの反応性に関して検査した。生来の条件下で免疫
電気泳動(ロケットライン免疫電気泳動法)により分析した場合、ウサギ抗体は
すべての突然変異体を沈降し得たが、これは突然変異体が保存α−炭素主鎖三次
構造を有したことを示す。
【0066】 これらの結果は、Bet v 1 の分子表面に導入された非天然置換が、全体的α−
炭素主鎖三次アレルゲン構造の歪みを伴わずに天然Bet v 1 に対して生じたポリ
クローナル抗体応答を低減し得る、ということを示唆した。ヒトポリクローナル
IgE−応答に及ぼす作用を分析するために、突然変異体Glu45Ser、Pro108Gly
、Asn28Thr+Lys32GlnおよびGlu60Serをさらなる分析のために選択した。
【0067】 Bet v 1 Glu45Ser突然変異体 位置45のグルタミン酸は、高度の溶媒曝露(40%)を示し、ブナ目アレルゲン
に関して共通の分子表面パッチ中に位置する(パッチI)。セリン残基は、Bet
v 1 相同PR-10 タンパク質のいくつかにおいて位置45を占めることが判明したが
、これは、α−炭素主鎖三次構造の歪みを伴わずにグルタミン酸がセリンに置換
されることを物語っている。さらに、既知のブナ目アレルゲン配列で位置45にセ
リンを有するものはないので、セリンによるグルタミン酸の置換は非天然Bet v
1 分子を生じる。
【0068】 組換えGlu45Ser Bet v 1突然変異体を用いたT細胞増殖検定 Spangfort 他、1996a に記載されているように、分析を実行した。組換えBet
v 1 Glu45Ser突然変異体は、組換えおよび天然と類似の刺激指数で、3種類の異
なるカンバ花粉アレルギー患者からのT細胞株における増殖を誘導し得る、とい
うことが判明した。
【0069】 組換えGlu45Ser Bet v 1の結晶化および構造確定 本質的にはSpangfort 他、1996b (参考文献21)に記載されているのと同様
に、25℃で蒸気拡散により、組換えGlu45Ser Bet v 1の結晶を成長させた。 Glu
45Ser Bet v 1 を、5 mg/ml の濃度で、等容積の2.0 M 硫酸アンモニウム、0.1
M クエン酸ナトリウム、1 %(v/v )ジオキサン、pH6.0 と混合し、100x容積
の2.0 M 硫酸アンモニウム、0.1 M クエン酸ナトリウム、1 %(v/v )ジオキサ
ン、pH6.0 に対して平衡させた。24時間平衡後、種子の供給源として組換え野
生型Bet v 1 の結晶を用いて、参考文献21に記載したシーディング法を適用す
ることにより、結晶成長を誘導した。
【0070】 約2ヶ月後、結晶を収穫して、参考文献21に記載したようなRigaku回転陽極
から発生させたX線を用いて分析し、分子置換を用いて構造を解明した。 Bet v 1 Glu45Ser突然変異体の構造 突然変異の構造的作用を、三次元Bet v 1 Glu45Serタンパク質結晶を成長させ
ることにより処理し、回転陽極から発生させたX線により分析した場合に3.0 Å
分解能に分解した。位置45におけるグルタミン酸のセリンへの置換を、Bet v 1
Glu45Ser構造電子密度マップにより立証したが、これも全体的α−炭素主鎖三次
構造が保存されることを示した。
【0071】 Bet v 1 Glu45Ser突然変異体のIgE結合特性 カンバアレルギー患者由来の血清IgEのプールを用いて、流体相IgE阻害
検定で、Bet v 1 Glu45Ser突然変異体のIgE結合特性を組換えBet v 1 と比較
した。 組換えBet v 1 no. 2801を1:5 (Bet v 1 no. 2801: ビオチン)のモル比でビ
オチニル化した。阻害検定を以下のように実施した:血清標本(25μl )を固相
抗IgEとともにインキュベートし、洗浄して、再懸濁し、ビオチニル化Bet v
no. 2801(3.4 nM)および所定の突然変異体(0 〜28.6 nM )の混合物とともに
さらにインキュベートした。アクリジニウムエステル標識化ストレプタビジンと
ともにインキュベーション後、固相に結合したビオチニル化Bet v 1 no. 2801の
量を測定RLU から概算した。緩衝剤および阻害剤としての突然変異体を用いて得
られたRLU 間の比率として、阻害の程度を算出した。
【0072】 図4は、非ビオチニル化Bet v 1 によるおよびBet v 1 Glu45Ser突然変異体に
よるアレルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えBet v 1
の結合の阻害を示す。 血清プール中に存在する血清IgEとの結合の50%阻害に達するのに必要なそ
れぞれの組換えタンパク質の量に、明瞭な差が認められる。組換えBet v 1 は約
6.5 ngで50%阻害に達するが、一方、Bet v 1 Glu45Ser突然変異体に関する対応
濃度は、約12 ng である。これは、Bet v 1 Glu45Ser突然変異体中に導入された
点突然変異が、約2の因子により特異的血清IgEに対する親和性を下げる、と
いうことを示す。 Bet v 1 Glu45Ser 突然変異体により到達する阻害の最大レベ
ルは、組換えBet v 1 と比較して明らかに低い。これは、Glu45Ser置換後、血清
プール中に存在する特異的IgEのいくつかがBet v 1 Glu45Ser突然変異体を認
識できなくなる、ということを示し得る。
【0073】 Bet v 1 突然変異体Asn28Thr+Lys32Gln それぞれ位置28および32のアスパラギン酸塩およびリシンは高度の溶媒曝露(
それぞれ35%および50%)を示し、ブナ目アレルゲンに関して共通の分子表面パ
ッチ中(パッチII)に位置する。構造中で、アスパラギン酸塩28およびリシン32
は、分子表面で互いに密接して位置し、水素結合を介して相互作用すると思われ
る。トレオニンおよびグルタミン酸塩残基は、Bet v 1 相同PR-10 タンパク質の
いくつかで、それぞれ、位置28および32を占めることが判明したが、これは、α
−炭素主鎖三次構造の歪みを伴わずに、アスパラギン酸塩およびリシンをトレオ
ニンおよびグルタミン酸塩に置換し得ることを物語っている。さらに、天然同種
アレルゲン配列で位置28および32にトレオニンおよびグルタミン酸塩を有するも
のはないので、置換は非天然Bet v 1 分子を生じる。
【0074】 Bet v 1 突然変異体Asn28Thr+Lys32GlnのIgE結合特性 前記のカンバアレルギー患者由来の血清IgEのプールを用いて、流体相Ig
E阻害検定で、突然変異体Asn28Thr+Lys32GlnのIgE結合特性を組換えBet v
1 と比較した。 図5は、非ビオチニル化Bet v 1 によるおよびBet v 1 突然変異体Asn28Thr+L
ys32Gln によるアレルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換
えBet v 1 の結合の阻害を示す。
【0075】 血清プール中に存在する血清IgEとの結合の50%阻害に達するのに必要なそ
れぞれの組換えタンパク質の量に、明瞭な差が認められる。組換えBet v 1 は約
6.5 ngで50%阻害に達するが、一方、Bet v 1 突然変異体Asn28Thr+Lys32Glnに
関する対応濃度は、約12 ng である。これは、Bet v 1 突然変異体Asn28Thr+Ly
s32Gln中に導入された点突然変異が、約2 の因子により特異的血清IgEに対す
る親和性を下げる、ということを示す。
【0076】 Bet v 1 突然変異体Asn28Thr+Lys32Glnにより到達される阻害の最大レベルは
、組換えBet v 1 と比較して明らかに低い。これは、Asn28Thr+Lys32Gln置換後
、血清プール中に存在する特異的IgEのいくつかがBet v 1 突然変異体Asn28T
hr+Lys32Glnを認識できなくなる、ということを示し得る。 Bet v 1 突然変異体Pro108Gly 位置108 のプロリンは高度の溶媒曝露(60%)を示し、ブナ目アレルゲンに関
して共通の分子表面パッチ(パッチIII )中に位置する。グリシン残基は、Bet
v 1 相同PR-10 タンパク質のいくつかで、位置108 を占めることが判明したが、
これは、α−炭素主鎖三次構造の歪みを伴わずに、プロリンをグリシンに置換し
得ることを物語っている。さらに、天然同種アレルゲン配列で位置108 にグリシ
ンを有するものはないので、グリシンによるプロリンの置換は非天然Bet v 1 分
子を生じる。
【0077】 Bet v 1 Pro108Gly 突然変異体のIgE結合特性 前記のカンバアレルギー患者由来の血清IgEのプールを用いて、流体相Ig
E阻害検定で、Bet v 1 Pro108Gly 突然変異体のIgE結合特性を組換えBet v
1 と比較した。 図6は、非ビオチニル化Bet v 1 によるおよびBet v 1 Pro108Gly 突然変異体
によるアレルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えBet v
1 の結合の阻害を示す。
【0078】 血清プール中に存在する血清IgEとの結合の50%阻害を到達するのに必要な
それぞれの組換えタンパク質の量に、明瞭な差が認められる。組換えBet v 1 は
約6.5 ngで50%阻害に達するが、一方、Bet v 1 Pro108Gly に関する対応濃度は
、約15 ng である。これは、Bet v 1 Pro108Gly に導入された単一点突然変異が
、約2 の因子により特異的血清IgEに対する親和性を下げる、ということを示
す。
【0079】 Bet v 1 Pro108Gly 突然変異体により到達される阻害の最大レベルは、組換え
Bet v 1 と比較して多少低い。これは、 Pro108Gly置換後、血清プール中に存在
する特異的IgEのいくつかがBet v 1 Pro108Gly 突然変異体を認識できなくな
る、ということを示し得る。 Bet v 1 突然変異体Glu60Ser(非パッチ突然変異体) 位置60のグルタミン酸は高度の溶媒曝露(60%)を示すが、しかしながら、そ
れは、ブナ目アレルゲンに関して共通の分子表面パッチ中に位置しない。セリン
残基は、Bet v 1 相同PR-10 タンパク質のいくつかで、位置60を占めることが判
明したが、これは、α−炭素主鎖三次構造の歪みを伴わずに、グルタミン酸をセ
リンに置換し得ることを物語っている。さらに、天然同種アレルゲン配列で位置
60にセリンを有するものはないので、セリンによるグルタミン酸の置換は非天然
Bet v 1 分子を生じる。
【0080】 Bet v 1 Glu60Ser突然変異体のIgE結合特性 前記のカンバアレルギー患者由来の血清IgEのプールを用いて、流体相Ig
E阻害検定で、Bet v 1 Glu60Ser突然変異体のIgE結合特性を組換えBet v 1
と比較した。 図7は、非ビオチニル化Bet v 1 によるおよびBet v 1 Glu60Ser突然変異体に
よるアレルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えBet v 1
の結合の阻害を示す。Glu45Ser、Pro108Gly およびAsn28Thr+Lys32Gln突然変異
体に対比して、グルタミン酸60のセリンへの置換は、IgE結合特性に及ぼすい
かなる有意の作用も示さない。これは、定義されたブナ目共通パッチの外側の置
換が特異的血清IgEの結合に些細な作用を及ぼすだけであることを示し、この
ことは、保存アレルゲン分子表面領域が優性IgE結合エピトープを保有すると
いう概念を支持する。
【0081】 Bet v 1 三重パッチ突然変異体 三重パッチ突然変異体では、前記の3つの異なる共通ブナ目パッチに導入され
る点突然変異(Glu45Ser、 Asn28Thr +Lys32GlnおよびPro108Gly )は、4つの
アミノ酸置換を有する人工突然変異体を作製する際に同時に導入した。 Bet v 1 三重パッチ突然変異体の構造分析 円二色性(CD)分光学により、精製三重パッチ突然変異体の構造完全性を分
析した。図8は、ほぼ等濃度で記録された組換え体および三重パッチ突然変異体
のCDスペクトルを示す。2つの組換えタンパク質からのCDスペクトルのピー
ク振幅および位置の重複は、2つの調製物が等量の二次構造を含有することを示
しており、これは、α−炭素主鎖三次構造が導入アミノ酸置換に影響されないこ
とを強く示唆する。
【0082】 Bet v 1 三重パッチ突然変異体のIgE結合特性 前記のカンバアレルギー患者由来の血清IgEのプールを用いて、流体相Ig
E阻害検定で、Bet v 1 三重パッチ突然変異体のIgE結合特性を組換えBet v
1 と比較した。 図9は、非ビオチニル化Bet v 1 によるおよびBet v 1 三重パッチ突然変異体
によるアレルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えBet v
1 の結合の阻害を示す。前記の単一突然変異体に対比して、三重パッチ突然変異
体の阻害曲線は、組換え体に対してもはや平行でない。これは、三重パッチ突然
変異体中に導入された置換が、組換え体に比して、IgE結合特性およびエピト
ーププロフィールを変えたことを示す。平行性の欠損は、特異的血清IgEに対
する三重パッチ突然変異体親和性の低減の定量を難しくする。
【0083】 組換えBet v 1 は約6 ngで50%阻害に達するが、一方、Bet v 1 三重パッチ突
然変異体に関する対応濃度は、約30 ng であり、即ち、因子5による親和性低減
である。しかしながら、80%阻害に到達するためには、対応する値はそれぞれ20
ng および400ng であり、即ち因子20による低減である。 組換えBet v 1 三重パッチ突然変異体を用いたT細胞増殖検定 参考文献15に記載されているように、分析を実行した。組換えBet v 1 三重
パッチ突然変異体は、組換えおよび天然と類似の刺激指数で、3種類の異なるカ
ンバ花粉アレルギー患者からのT細胞株における増殖を誘導し得る、ということ
が判明した。これは、三重パッチ突然変異体が、抗体産生に必要な細胞免疫応答
を開始し得る、ということを示唆する。 実施例2 ベスプラ・ブルガリス(Vespula vulgaris)の毒液主要アレルゲン抗原5内の
共通エピトープの同定 抗原5は、ヒトにおける既知のアレルゲンである3つのスズメバチ科の毒液タ
ンパク質のうちの1つである。スズメバチ科には、スズメバチ、ホホナガスズメ
バチおよびジガバチが含まれる。スズメバチ毒液のその他の2つの既知のアレル
ゲンは、ホスホリパーゼA1 およびヒアルロニダーゼである。ベスプラ・ブルガ
リス( Vespula vulgaris )からの抗原5(Ves v 5 )はクローン化され、酵母
菌系で組換えタンパク質として発現されている(Monsalve他、1999、参考文献2
2)。組換えVes v 5 の三次元結晶構造は近年、1.8 Å分解能で確定された(調
製物で)。構造の主な特徴は、3つの積重層に配列された4つのβ鎖および4つ
のαらせんから成り、「α−β−αサンドイッチ」を生じる。異なるスズメバチ
種からの抗原5同一アレルゲン間の配列同一性は約90%で、これは保存分子表面
領域およびB細胞エピトープの存在を示唆する。
【0084】 樹木花粉アレルゲンに関して前記したのと同様に、スズメバチ抗原5アレルゲ
ンのすべての既知のアミノ酸配列の整列後に、 Ves v 5の三次元構造により明示
された抗原5の分子表面の分析と組合せて、共通パッチの存在および同定を実施
した。図10は、個々の整列抗原5残基およびVespula 抗原5配列の整列の溶媒
アクセスビリティーを示す(左パネル)。図10の右パネルには、着色されたVe
spula 抗原5:sのうちの保存領域を有する抗原5の分子表面が示されている。
【0085】 部位特異的突然変異誘発のためのアミノ酸残基の選択 部位特異的突然変異誘発のためのアミノ酸残基は、これらの修飾が、臨床的ス
ズメバチアレルギー交差反応性を示す患者の大多数からの血清IgEの結合に影
響を及ぼすと予測されるため、スズメバチに共通のパッチ中に存在する残基の内
で選択した。
【0086】 それぞれのパッチ内の各アミノ酸残基の溶媒曝露の相対的配向およびパーセン
テージを、それらの原子配位体を基礎にして算出した。低度の溶媒曝露を示す残
基は、構造の考え得る崩壊または抗体相互作用の欠損のために、突然変異誘発に
適しているとはみなされなかった。残りの残基を、それらの溶媒曝露程度によっ
て等級付けした。
【0087】 Ves v 5 をコードする遺伝子のクローニング Fang他、1988(参考文献23)に記載されているのと同様に、スズメバチ科の
ベスプラ・ブルガリス(Vespula vulgaris)の毒液酸腺から総RNAを単離した
。 Lu他、1993(参考文献24)に記載されたように、一次鎖cDNA合成、PC
R増幅およびVes v 5 遺伝子のクローニングを実施した。
【0088】 pPICZ αA 中へのサブクローニング Ves v 5 をコードする遺伝子を、その後、ピチア・パストリス(Pichia pasto
ris )中でのVes v 5 の分泌発現のために、 pPICZαA ベクター(Invitrogen)
中にサブクローニングした。PCRにより遺伝子を増幅し、ビール酵母菌のα因
子分泌信号に関するコード配列を用いて枠内でサブクローニングした。この構築
物中で、タンパク質の分泌中にピチア・パストリス(Pichia pastoris )Kex2プ
ロテアーゼ系によりin vivo で、α因子を切り離す。
【0089】 要するに、鋳型としてのVes v 5 およびそれぞれタンパク質のアミノ−および
カルボキシ末端に対応するプライマーを用いて、PCRを実施した。プライマー
を5’末端で延長して、クローニングのために制限部位(それぞれEcoRI および
XbaI)を収容した。Kex2開裂部位をコードするヌクレオチドは、この構築物中で
は、タンパク質のアミノ末端に対して上流18ヌクレオチドに位置し、アミノ末端
に6つの付加的アミノ酸Glu-Ala-Glu-Ala-Glu-Phe を有するVes v 5 の発現を生
じた。
【0090】 ピチア・パストリス(P. pastoris )中へのpPICZ αA-Ves v 5 の挿入 挿入されたVes v 5 遺伝子を有するpPICZ αA ベクターをSac I 制限により線
状化し、ピチア・パストリス(Pichia pastoris )ゲノム上のAOX1遺伝子座に挿
入した。挿入は、Invitorgen社の忠告にしたがって、ピチア・パストリス(Pich
ia pastoris )KM71細胞上での相同組換えにより実施した。
【0091】 in vitro突然変異誘発 鋳型として挿入されたVes v 5 を有する組換えpPICZ αA を用いて、PCRに
より、in vitro突然変異誘発を実施した。4つのプライマーを用いた3回のPC
R反応により、各突然変異体Ves v 5 遺伝子を生成した。 各DNA鎖について1つの、各突然変異を収容する2つ突然変異特異的オリゴ
ヌクレオチドプライマーを合成した(図11および12参照)。出発点として突
然変異化ヌクレオチド(単数または複数)を用いて、両プライマーを5’末端で
6〜7ヌクレオチド、そして3’末端で12〜13ヌクレオチド、延長した。延長ヌ
クレオチドは、実際領域のVes v 5 遺伝子と配列が同一であった。
【0092】 2つの一般に適用可能なプライマー(図12では「全−センス」および「全ナ
ンセンス」と示されている)をさらに合成し、すべての突然変異体に用いた。真
正アミノ末端を有するVes v 5 突然変異体の発現を保証するために、タンパク質
のアミノ末端に対応する1つのプライマーを、Xho I 部位を有する5’末端で延
長した。 pPICZαA ベクター中へのVes v 5 突然変異体遺伝子の挿入時に、Kex2
プロテアーゼ開裂部位をVes v 5 のアミノ末端のすぐ上流に再生した。第2のプ
ライマーは、Ves v 5 遺伝子から約300bp 下流に位置するpPICZ αA ベクターの
領域に配列が対応していた。Ves v 5 のアミノ末端に対応するプライマーの配列
はセンス鎖に由来し、下流プライマーの配列はナンセンス鎖に由来する(図11
参照)。
【0093】 本質的には標準手法(Saiki 等、1988、参考文献20)によって、2つの個々
のPCR反応を実施したが、但し、PCR人工物の頻度を低減するために、温度
周期は20回だけ実施した。各PCR反応は、鋳型として挿入されたVes v 5 、な
らびに有意義な組合せの突然変異特異的プライマーおよび一般的適用可能プライ
マーを有するpPICZ αA を用いた。
【0094】 「協奏、迅速PCR精製系」(Life Technologies )を用いることにより、P
CR生成物を精製した。鋳型として最初の2回のPCR反応からの併合PCR生
成物ならびに両一般的適用可能プライマーを用いて、第3PCR反応を実施した
。再び、20周期の標準PCRを用いた。「協奏、迅速PCR精製系」(Life Tec
hnologies )により、PCR生成物を精製し、制限酵素(XhoI/XbaI )で切断し
て、同一酵素で制限されたpPICZ αA ベクターに指向的に結合した。図13は、
Ves v 5 突然変異のすべての概観を示す。
【0095】 ピチア・パストリス(P. pastoris )中へのpPICZ αA-Ves v 5 突然変異体の
挿入 挿入されたVes v 5 遺伝子を有するpPICZ αA ベクターをSac I 制限により線
状化し、ピチア・パストリス(Pichia pastoris )ゲノム上のAOX1遺伝子座に挿
入した。挿入は、Invitorgen社の忠告にしたがって、ピチア・パストリス(Pich
ia pastoris )KM71細胞上での相同組換えにより実施した。
【0096】 ヌクレオチドシーケンシング Ves v 1 コード遺伝子のヌクレオチド配列の確定を、サブクローニングの前後
、ならびにin vitro突然変異誘発の後にそれぞれ実施した。 0.1 g/l アンピシリンを補充したLB培地中で一夜、飽和のために増殖させた
細菌培地10 ml からのプラスミドDNAを、Qiagenチップ20カラム上で精製し、
Sequenase バージョン2.0 DNAシーケンシングキット(USB )を供給元の忠告
にしたがって用いて、シーケンシングした。
【0097】 組換えVes v 5 の発現および精製 ピチア・パストリス(Pichia pastoris )KM71株の組換え酵母菌細胞を、酵母
菌窒素ベース、ビオチン、グリセロールおよびヒスチジンを含有する100ml のp
H6.0 リン酸塩緩衝液を含入する500ml ボトル中で、A600nm が4〜6になるま
で225 rpm で軌道振盪しながら、30℃で増殖させた。遠心分離により細胞を収集
し、グリセロールの代わりにメタノールを含有する同様の緩衝化培地10 ml 中に
再懸濁させた。毎日0.05 ml のメタノールを添加しながら、30℃で7 日間、イン
キュベーションを継続した。
【0098】 遠心分離により細胞を収穫し、収集培養液を限外濾過により濃縮した。50 mM
酢酸アンモニウム緩衝液、pH4.6 に対する透析後、標本を、同一緩衝液で平衡
させたFPLC(Pharmacia ) SE-53陽イオン交換カラムに適用した。カラムを、0
〜0.1 M NaCl、50 mM 酢酸アンモニウム線状勾配で溶離した。約0.4 M Na
Clで溶離する組換えVes v 5 ピークを収集し、0.02 N酢酸に対して透析した。
約10 mg/mlに濃縮後、精製Ves v 5 を4 ℃で保存した。
【0099】 組換えVes v 5 の結晶化 25℃で蒸気拡散法により、Ves v 5 の結晶を成長させた。結晶化のために、5
μl の5 mg/ml Ves v 5 を5 μl の18%PEG6000、0.1 M クエン酸ナトリウム
、pH6.0 と混合し、1mlの18%PEG6000、0.1 M クエン酸ナトリウム、pH
6.0 に対して平衡させた。
【0100】 未変性のVes v 5 結晶から100Kで、重原子誘導体の混入後に、X線回析データ
を収集し、Ves v 5 の三次元構造を解明するために用いた(図10参照。調製物
中に手書き)。 ウサギポリクローナル抗体を用いた免疫電気泳動 2つのVes v 5 突然変異体を組換えVes v 5 タンパク質として生成し、組換え
Ves v 5 に対して生じたポリクローナルウサギ抗体に対するそれらの反応性に関
して検査した。本来の条件下で免疫電気泳動により分析した場合、ウサギ抗体は
、組換えVes v 5 ならびに両突然変異体を沈降し得たが、これは突然変異体が保
存α−炭素主鎖三次構造を有したことを示す。
【0101】 特異的血清IgEの阻害 スズメバチ毒液アレルギー患者由来の血清IgEのプールを用いて、流体相I
gE阻害検定で、Ves v 5 突然変異体のIgE結合特性を組換えVes v 5 と比較
した。 阻害検定は、Bet v 1 の代わりにビオチニル化組換えVes v 5 を用いて、前記
と同様に実施した。
【0102】 Ves v 5 Lys72Ala突然変異体 位置72のリシンは、高度の溶媒曝露(70%)を示し、スズメバチ抗原5に関し
て共通の分子表面パッチ中に位置する。相対的配向および高度の溶媒曝露は、α
−炭素主鎖三次構造の歪みを伴わずに、リシン72をアラニン残基に置換し得るこ
とを物語っている。さらに、天然同種アレルゲン配列で位置72にアラニンを有す
るものはないので、アラニンによるリシンの置換は非天然Ves v 5 分子を生じる
【0103】 Ves v 5 Lys72Ala突然変異体のIgE結合特性 前記のカンバアレルギー患者由来の血清IgEのプールを用いて、流体相Ig
E阻害検定で、Ves v 5 Lys72Ala突然変異体のIgE結合特性を組換えVes v 5
と比較した。 図1 4は、非ビオチニル化Ves v 5 によるおよびVes v 5 Lys72Ala突然変異体
によるアレルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えVes v
5 の結合の阻害を示す。
【0104】 血清プール中に存在する血清IgEとの結合の50%阻害に達するのに必要なそ
れぞれの組換えタンパク質の量に、明瞭な差が認められる。組換えVes v 5 は約
6 ngで50%阻害に達するが、一方、Ves v 5 Lys72Ala突然変異体に関する対応濃
度は、40 ng である。これは、 Ves v 5 Lys72Ala 突然変異体中に導入された単
一点突然変異が、約6 の因子により特異的血清IgEに対する親和性を下げる、
ということを示す。Ves v 5 Lys72Ala突然変異体により到達される阻害の最大レ
ベルは、組換えVes v 5 と比較して有意に低い。これは、Lys72Ala置換後、血清
プール中に存在する特異的IgEのいくつかがVes v 5 Lys72Ala突然変異体を認
識できなくなる、ということを示し得る。
【0105】 Ves v 5 Tyr96Ala突然変異体 位置96のチロシンは高度の溶媒曝露(65%)を示し、スズメバチ抗原5に関し
て共通の分子表面パッチ中に位置する。相対的配向および高度の溶媒曝露は、三
次元構造の歪みを伴わずに、チロシン96をアラニン残基に置換し得ることを物語
っている。さらに、天然同種アレルゲン配列で位置96にアラニンを有するものは
ないので、アラニンによるチロシンの置換は非天然Ves v 5 分子を生じる。
【0106】 Ves v 5 Tyr96Ala突然変異体のIgE結合特性 前記のカンバアレルギー患者由来の血清IgEのプールを用いて、流体相Ig
E阻害検定で、Ves v 5 Tyr96Ala突然変異体のIgE結合特性を組換えVes v 5
と比較した。 図1 4は、非ビオチニル化Ves v 5 によるおよびVes v 5 Tyr96Ala突然変異体
によるアレルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えVes v
5 の結合の阻害を示す。
【0107】 血清プール中に存在する血清IgEとの結合の50%阻害に達するのに必要なそ
れぞれの組換えタンパク質の量に、明瞭な差が認められる。組換えVes v 5 は約
6 ngで50%阻害に達するが、一方、Ves v 5 Tyr96Ala突然変異体に関する対応濃
度は、40 ng である。 これは、 Ves v 5 Tyr96Ala 突然変異体中に導入された単一点突然変異が、約
6 の因子により特異的血清IgEに対する親和性を下げる、ということを示す。
【0108】 Ves v 5 Tyr96Ala突然変異体により到達される阻害の最大レベルは、組換えVe
s v 5 と比較して有意に低い。これは、Tyr96Ala置換後、血清プール中に存在す
る特異的IgEのいくつかがVes v 5 Tyr96Ala突然変異体を認識できなくなる、
ということを示し得る。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】 Bet v 1 突然変異体番号1に用いられる突然変異体特異的オリゴヌクレオチド
プライマーを示す。突然変異化ヌクレオチドには下線を付す。
【図2】 2つの一般的適用可能プライマー(図の「全センス」および「全ナンセンス」
)を示す。これらは全突然変異体のためにに合成され、使用された。
【図3】 全Bet v 1 突然変異の概観を示す。
【図4】 非ビオチニル化Bet v 1 によるおよびBet v 1 Glu45Ser突然変異体によるアレ
ルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えBet v 1 の結合の
阻害を示す。
【図5】 非ビオチニル化Bet v 1 によるおよびBet v 1 突然変異体Asn28Thr+Lys32Gln
によるアレルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えBet v
1 の結合の阻害を示す。
【図6】 非ビオチニル化Bet v 1 によるおよびBet v 1 Pro108Gly 突然変異体によるア
レルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えBet v 1 の結合
の阻害を示す。
【図7】 非ビオチニル化Bet v 1 によるおよびBet v 1 Glu60Ser突然変異体によるアレ
ルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えBet v 1 の結合の
阻害を示す。
【図8】 ほぼ等濃度で記録された組換え体および三重パッチ突然変異体のCDスペクト
ルを示す。
【図9】 非ビオチニル化Bet v 1 によるおよびBet v 1 三重パッチ突然変異体によるア
レルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えBet v 1 の結合
の阻害を示す。
【図10】 個々の整列抗原5残基およびVespula 抗原5配列の整列の溶媒アクセスビリテ
ィーを示す(左パネル)。図10の右パネルには、Vespula 抗原5:sのうちの
保存領域を有する抗原5の分子表面が示されている。
【図11】 センス鎖から由来するVes v 5 のアミノ末端に対応するプライマーの配列を示
す。下流プライマーの配列は、ナンセンス鎖から由来する。
【図12】 2つの一般的適用可能プライマー(図の「全センス」および「全ナンセンス」
)を示す。これらは全突然変異体のためにに合成され、使用された。
【図13】 全Ves v 5 突然変異の概観を示す。
【図14】 非ビオチニル化Ves v 5 によるおよびVes v 5 Lys72Ala突然変異体によるアレ
ルギー患者のプールからの血清IgEとのビオチニル化組換えVes v 5 の結合の
阻害を示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年5月1日(2000.5.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 BA31 CA04 DA05 EA04 GA11 HA01 HA03 4C085 AA03 AA15 BB03 BB04 CC32 EE05 EE06 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 CA30 CA40 CA51 DA86 EA22 FA72 FA74

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然アレルゲンに由来する非天然突然変異体であることを特
    徴とする組換えアレルゲンであって、B細胞エピトープの少なくとも1つの表面
    曝露、保存アミノ酸残基が、前記天然アレルゲンが生じた分類学上の目内のあら
    ゆる既知の相同タンパク質のアミノ酸配列中の同一位置に生じない別の残基によ
    り置換され、前記突然変異アレルゲンが前記天然アレルゲンと本質的に同一のα
    −炭素主鎖三次構造を有し、そして突然変異化アレルゲンとの特異的IgE結合
    が前記天然アレルゲンとの結合と比較して低減されている組換えアレルゲン。
  2. 【請求項2】 以下の: a)前記天然アレルゲンが生じる分類学上の目内のすべての既知の相同タン
    パク質中に70%より大きい同一性で保存される天然アレルゲン中のアミノ酸残基
    を同定し、 b)少なくとも20%の溶媒アクセシビリティーを有することにより前記のア
    レルゲン分子の三次元構造の表面の少なくとも400 Å2 に亘って密着連結される
    保存アミノ酸残基の少なくとも1つのパッチであって、少なくとも1つのB細胞
    エピトープを包含する少なくとも1つのパッチを画定し、そして c)特定の位置では非保存性であるが、アレルゲン分子の全体的α−炭素主
    鎖三次構造を本質的には保存する別のアミノ酸により前記の少なくとも1つのパ
    ッチ中の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換する ことにより得られる請求項1に記載の組換えアレルゲン。
  3. 【請求項3】 突然変異化アレルゲンとの特異的IgE結合が、少なくとも
    5%、好ましくは少なくとも10%低減されることを特徴とする請求項1または2
    に記載の組換えアレルゲン。
  4. 【請求項4】 突然変異体および天然アレルゲン分子のα−炭素主鎖三次構
    造を比較した場合に、原子配位体の平均二乗平均偏差が2Åより小さいことを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組換えアレルゲン。
  5. 【請求項5】 前記の少なくとも1つのパッチが15〜25のアミノ酸残基の原
    子を包含することを特徴とする請求項2に記載の組換えアレルゲン。
  6. 【請求項6】 前記の少なくとも1つのパッチが溶媒アクセシビリティーに
    関して等級づけされ、より溶媒アクセシブルなアミノ酸の内の1つ又はそれ以上
    のアミノ酸が置換されることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の組換
    えアレルゲン。
  7. 【請求項7】 20〜80%の溶媒アクセシビリティーを有する前記の少なくと
    も1つのパッチの1つ又はそれ以上のアミノ酸残基が置換されることを特徴とす
    る請求項6に記載の組換えアレルゲン。
  8. 【請求項8】 前記の少なくとも1つのパッチ中で400 Å2 当たり1 〜5 の
    アミノ酸残基が置換されることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の組
    換えアレルゲン。
  9. 【請求項9】 前記B細胞エピトープまたは前記少なくとも1つのパッチ中
    の1つ又はそれ以上のアミノ酸残基の置換が部位特異的突然変異誘発により実行
    されることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の組換えアレルゲン。
  10. 【請求項10】 吸入アレルゲンに由来することを特徴とする請求項1〜9
    のいずれかに記載の組換えアレルゲン。
  11. 【請求項11】 花粉アレルゲンに由来することを特徴とする請求項10に
    記載の組換えアレルゲン。
  12. 【請求項12】 分類学上の目のブナ目(Fagales )、オリーブ目(Oleale
    s )またはマツ目(Pinales )から生じる花粉アレルゲンに由来することを特徴
    とする請求項10に記載の組換えアレルゲン。
  13. 【請求項13】 Bet v 1 に由来することを特徴とする請求項12に記載の
    組換えアレルゲン。
  14. 【請求項14】 前記B細胞エピトープまたは前記少なくとも1つのパッチ
    の少なくとも1つのアミノ酸残基が置換されることを特徴とする請求項13に記
    載の組換えアレルゲン。
  15. 【請求項15】 置換(単数または複数)がThr10Pro、Asp25Gly、(Asn28T
    hr+Lys32Gln)、Glu45Ser、Asn47Ser、Lys55Asn、Thr77Ala、Pro108Gly または
    (Asn28Thr、Lys32Gln、Glu45Ser、Pro108Gly )であることを特徴とする、請求
    項14に記載の組換えアレルゲン。
  16. 【請求項16】 分類学上の目のイネ目(Poales)から生じる花粉アレルゲ
    ンに由来することを特徴とする請求項11に記載の組換えアレルゲン。
  17. 【請求項17】 分類学上の目のキク目(Asterales )またはイラクサ目(
    Urticales )から生じる花粉アレルゲンに由来することを特徴とする請求項11
    に記載の組換えアレルゲン。
  18. 【請求項18】 ハウスダストダニアレルゲンに由来することを特徴とする
    請求項10に記載の組換えアレルゲン。
  19. 【請求項19】 デルマトファゴイデス(Dermatophagoides)から生じるダ
    ニアレルゲンに由来することを特徴とする請求項18に記載の組換えアレルゲン
  20. 【請求項20】 ゴキブリアレルゲンに由来することを特徴とする請求項1
    0に記載の組換えアレルゲン。
  21. 【請求項21】 動物アレルゲンに由来することを特徴とする請求項10に
    記載の組換えアレルゲン。
  22. 【請求項22】 ネコ、イヌまたはウマから生じる動物アレルゲンに由来す
    ることを特徴とする請求項21に記載の組換えアレルゲン。
  23. 【請求項23】 毒液アレルゲンに由来することを特徴とする請求項1〜9
    のいずれかに記載の組換えアレルゲン。
  24. 【請求項24】 分類学上の目の膜翅目(Hymenoptera )から生じる毒液ア
    レルゲンに由来することを特徴とする請求項23に記載の組換えアレルゲン。
  25. 【請求項25】 分類学上の目であるスズメバチ目(Vespidea)、ミツバチ
    目(Apidae)およびアリ目(Formicoidae )からの毒液アレルゲンに由来するこ
    とを特徴とする請求項24に記載の組換えアレルゲン。
  26. 【請求項26】 Ves v 5 に由来することを特徴とする請求項23〜25の
    いずれかに記載の組換えアレルゲン。
  27. 【請求項27】 少なくとも1つのアミノ酸が置換されることを特徴とする
    請求項23〜26のいずれかに記載の組換えアレルゲン。
  28. 【請求項28】 置換がLys72AlaまたはTyr96Alaであることを特徴とする請
    求項25〜27のいずれかに記載の組換えアレルゲン。
  29. 【請求項29】 請求項1〜29に記載の組換えアレルゲンの製造方法であ
    って、以下の: a)前記天然アレルゲンが生じる分類学上の目内のすべての既知の相同タン
    パク質中に70%より大きい同一性で保存される天然アレルゲン中のアミノ酸残基
    を同定し、 b)少なくとも20%の溶媒アクセシビリティーを有することにより前記のア
    レルゲン分子の三次元構造の表面の少なくとも400 Å2 に亘って密着連結される
    保存アミノ酸残基の少なくとも1つのパッチであって、少なくとも1つのB細胞
    エピトープを包含する前記の少なくとも1つのパッチを画定し、そして c)特定の位置では非保存性であるが、アレルゲン分子の全体的α−炭素主
    鎖三次構造を本質的には保存する別のアミノ酸により前記の少なくとも1つのパ
    ッチ中の少なくとも1つのアミノ酸残基を置換する 工程を特徴とする方法。
  30. 【請求項30】 溶媒アクセシビリティーに関して前記少なくとも1つのパ
    ッチのアミノ酸残基を等級付けし、そしてより溶媒アクセシブルなアミノ酸の内
    の1つ又はそれ以上のアミノ酸を置換することを特徴とする請求項29に記載の
    方法。
  31. 【請求項31】 前記B細胞エピトープまたは前記少なくとも1つ尾パッチ
    中の1つ又はそれ以上のアミノ酸残基の置換が部位特異的突然変異誘発により実
    行されることを特徴とする請求項29または30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 医薬として用いるための請求項1〜28のいずれかに記載
    の組換えアレルゲン。
  33. 【請求項33】 請求項1〜28のいずれかに記載の組換えアレルゲンを、
    任意に医薬として許容可能な担体および/または賦形剤、ならびに任意にアジュ
    バントと組合せて包含することを特徴とする医薬組成物。
  34. 【請求項34】 アレルギー患者において天然アレルゲンにより引き出され
    るアレルギー反応に対するワクチンの形態であることを特徴とする請求項33に
    記載の医薬組成物。
  35. 【請求項35】 被験者における免疫応答の生成方法であって、請求項1〜
    28に記載の少なくとも1つの組換えアレルゲンまたは請求項33〜34のいず
    れかに記載の医薬組成物を患者に投与することを包含する方法。
  36. 【請求項36】 請求項33〜34のいずれかに記載の医薬組成物の製造方
    法であって、請求項1〜28のいずれかに記載の少なくとも1つの組換えアレル
    ゲンを医薬として許容可能な物質および/または賦形剤と混合することを包含す
    る方法。
  37. 【請求項37】 請求項1〜28のいずれかに記載の少なくとも1つの組換
    えアレルゲンまたは請求項33〜34のいずれかに記載の医薬組成物を被験者に
    投与することを包含する被験者の予防接種または治療方法。
  38. 【請求項38】 請求項36に記載の方法により得られる医薬組成物。
  39. 【請求項39】 アレルギー反応の治療、予防または軽減のための方法であ
    って、請求項1〜28のいずれかに記載の組換えアレルゲン、あるいは請求項3
    3〜34または38のいずれかに記載の医薬組成物を被験者に投与することを包
    含する方法。
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