【発明の詳細な説明】
ウィンドウガラスの濡れ状態を検出する装置
従来の技術
本発明は独立請求項の上位概念記載の装置に関する。
先行の特許出願明細書(整理番号19621627号)には光学的なレインセ
ンサと評価装置とを有する装置が記載されている。レインセンサは光を放射する
送信器と、放射された光に応働してセンサ信号を評価装置へ送出する受信器とを
用いてウィンドウガラスの濡れ状態を検出する。光学的なビーム路にこのレイン
センサの測定区間としてのウィンドウガラスが位置している。
レインセンサの測定回路は受信器に到来する光量を検出するための積分段とし
てのコンデンサと、所定の時点から積分された光量が所定の時間間隔内で予め設
定された閾値を上回った場合にトリガ信号を評価装置へ送出する比較器段とを有
する。この場合送信器の光および場合により外部光から成る全光量は別々の時間
間隔で測定される。評価装置はクロック発生器ないしタイマを有しており、この
クロック発生器は比較器段がトリガ信号を発生するまでの積分時間に相応するカ
ウント値を形成する。
全光量測定に対する第1の時間間隔でレインセンサの送信器がスイッチオンさ
れ、光が測定区間としてのウィンドウガラスを介して受信器へ放射される。この
場合同時に周囲からの外部光も受信器に達する。積分時間から全光量に対する値
が導出される。外部光測定に対する第2の時間間隔ではレインセンサの送信器が
遮断され、外部光のみが受信器に達するようにされる。この第2の積分時間から
外部光量に対する値が導出される。
全光量と外部光量との間の差から、ウィンドウガラスの濡れ状態に相応する有
効光量が求められる。この有効光量に依存して例えば自動的に車両のウィンドウ
ワイパ装置が駆動される。
この場合の欠点は新たな外部光測定が全光量が変化した場合にしか行われず、
したがって全光量が変わらない場合の外部光の変化が識別されない点である。
また全光量がしばしば変化する場合、例えば影の多い道路を走行する場合やト
ンネル走行時などに、外部光測定が同様に頻繁に行われて送信器ダイオードの不
規則なスイッチオン・スイッチオフ時間が発生していしまい、送信器のビームパ
ワーの望ましくない不規則な変動を生じさせる欠点がある。
ここで特に不利なのは、外部光量が全光量との関連においてしか評価されず、
個別の外部光評価が行われないことである。昼夜の判別も行われていない。
ウィンドウガラスの濡れ状態を検出する送信器および受信器に加えて昼夜の判
別を行うフォトセルを有しており、レインセンサのトリガ感度を制御できるレイ
ンセンサは市販でも周知である。ただしこの場合、フォトセルはレインセンサの
付加的な構成素子でありセンサの製造のコストが高くなる欠点がある。
本発明の利点
本発明の独立請求項の特徴部分に記載の構成を有する装置は、外部光が検出さ
れ昼夜の判別の点で評価される利点を有する。この場合短い時間間隔における所
定数の外部光測定の後、より長い時間間隔にわたる外部光測定を行うか、または
僅かな外部光量を正確に検出するための小さな閾値を用いた外部光測定を行う。
特に有利には、レインセンサはただ1つの受信器を有しており、この受信器は
ウィンドウガラスの濡れ状態を表す送信器の光と、昼夜を判別するための外部光
とを検出する。
従属請求項に記載の手段により独立請求項の特徴部分に記載の構成の有利な実
施形態および改善形態が得られる。特に有利には、この装置をウィンドウワイパ
装置および別の装置の駆動制御に用いることができる。ウィンドウガラスの濡れ
状態および/または昼夜の判別に依存して例えばウィンドウガラスワイパが駆動
され、ヘッドランプのスイッチオンないしオフ、またはサンルーフの操作が行わ
れる。
有利にはさらに外部光量に依存してレインセンサの感度または切換閾値または
センサ信号の増幅度を調整することができる。
図面
本発明の実施例を図示し、以下に詳細に説明する。図1にはレインセンサ装置
のブロック回路図が示されでおり、図2のaには送信器電流の信号特性が示され
ており、図2のbには積分された光量の信号特性が示されており、図2のcには
そのつど設定される閾値が時間に関して示されている。
実施例の説明
図1にはレインセンサ装置のブロック回路図が示されている。送信器12とし
てのダイオードは送信器の電流回路内でバッテリ電圧UBatから給電される。電
流回路のスイッチ24は送信器電流Iを切り換える。送信器12から放射された
光は光学的な測定区間13、例えば車両のウィンドウガラスを介して受信器14
へ案内される。同様にバッテリ電圧UBatで作動される受信器14は定電流源と
して実現されており、この定電流源は検出された光量に依存してコンデンサ16
のチャージ電流、すなわち関連するコンデンサ電圧Uを形成する。このコンデン
サ電圧は光量の積分値に比例する。コンデンサ16は積分段を形成している。
コンデンサ16に対して並列に別のスイッチ18が配置されており、このスイ
ッチは閉成された状態でコ
ンデンサ16を短絡する。2つのスイッチ18、24は評価回路22例えばマイ
クロコントローラにより制御される。
コンデンサ電圧Uは後置接続された比較器20の入力側201に印加される。
比較器の出力側は評価回路22の入力側に接続されている。評価回路は比較器2
0の第2の入力側202へ第1の閾値S1および第2の閾値S2を印加する。
評価回路22は後置接続された装置、例えばウィンドウワイパおよびサンルー
フの図示されない制御装置に対する出力側261、262を有している。
図2のaにはスイッチ24により切り換えられる正規化された送信器電流Iが
時間tに関して示されている。
送信器12は全光測定に対するt1〜t3の一定の時間間隔Tg中にスイッチ
オンされ、続く外部光測定に対するt3〜t5の一定の時間間隔Tf中にはオフ
にされている。全光測定Tg中、送信器の光と、場合により光学的な測定区間1
3を介して受信器14に達することのある外部光とが検出される。全光測定Tg
および外部光測定Tfは例えば9msの測定サイクルMを成している。
連続する所定数の測定サイクルMの後、いわゆる夜間測定サイクルNに対して
、延長された時間間隔Tf’、例えば1sの時間間隔での外部光測定が行われる
。夜間測定サイクルNは例えば黄昏時または夜間に生じるきわめて僅かな外部光
量を検出する場合に適している。
図2のbにはコンデンサ電圧Uの信号特性が時間軸tに関して示されている。
コンデンサ16は時間間隔Tg、Tf、Tf’中に検出された全光量または外部
光量を積分し、それぞれの時間間隔の終了時にゼロにリセットする。短い線によ
り2つの閾値S1、S2が示されており、ここで第1の閾値S1は全光測定に対
して使用され、第2の閾値S2は外部光測定に対して使用される。
コンデンサ電圧Uがゼロにリセットされてからこの電圧Uが第1の閾値S1な
いし第2の閾値S2に達するまでの時間を全光測定に対する積分時間tgないし
外部光測定に対する積分時間tfと称する。
図2のcには評価回路22から比較器20の第2の入力側202へ交番的に印
加される閾値S1、S2が示されている。
図1の装置の機能を図2に即して詳細に説明する。t1〜t5の時間範囲はそ
れぞれの測定サイクルMないし夜間測定サイクルNを表している。第1の測定サ
イクルMの電圧特性は例えば日中検出された全光量および外部光量を表しており
、このサイクルにおいては外部光成分がきわめて大きくなっている。第2の測定
サイクルMおよび夜間測定サイクルNは夜間に典型的
な僅かな外部光成分を有する電圧特性を示している。
各測定サイクルM、Nの時点t1で全光測定の時間間隔Tg(例えば6ms)
が開始され、送信器の光および外部光が同時に受信器14によって検出される。
このために送信器電流回路のスイッチ24は評価回路22によって閉成されて送
信器電流Iが流れ、送信器12により光が測定区間から受信器14へ放射される
。受信器14は検出された全光量に比例してコンデンサ16をチャージするチャ
ージ電流を形成する。第1のスイッチ18は開放されており、コンデンサ16を
介して電圧Uが形成される。電圧Uは比較器20へ供給される。この比較器20
の第2の入力側202へ第1の閾値S1が印加される。
評価回路22に設けられているクロック発生器は評価回路によって作動され、
2μsごとにカウントレベルを増加させる。
時点t2でコンデンサ電圧Uは第1の閾値S1に達し、比較器20はトリガ信
号21を評価回路22へ送出される。これに応じてクロック発生器はスイッチオ
フされる。クロック発生器のカウントレベルは全光量の積分時間tg=t2−t
1に相応する。前述のクロック発生器の分解能および測定期間ではカウントレベ
ルは9〜3000のインクリメントの間の値を有しており、この場合大きな全光
量は小さな積分時間tgおよび小さなカウント値に相応する。
評価回路22では求められた積分時間tgから逆数形成器によって逆数が形成
され、小数点位置を回避するために係数と乗算され、一時記憶される。16Bit
のクロック発生器ではこの係数は有利には65535、すなわち16進法におけ
るFFFFである。これに代えて求められた積分時間tgがまず一時記憶され、
続いて評価される。
時点t3で評価回路22によって予め設定された6msの全光測定に対する時
間間隔Tgが終了する。送信器電流回路に対するスイッチ24が開放され、送信
器電流Iがゼロとなり送信器12が遮断される。同時にスイッチ18が閉成され
てコンデンサ16が短絡され、再び開放される。これによりコンデンサ16は積
分段として後続の時間間隔Tfのために再び準備される。スイッチ18の開放お
よび閉成は図2では時間的に分離されていない。
第2の閾値S2は比較器20の入力側202に印加される。この閾値は例えば
第1の閾値S1の1/8の値である。
例えば3msの外部光測定に対する時間間隔Tfが開始され、この外部光測定
に比例するコンデンサ電圧Uがコンデンサ16により形成される。クロック発生
器が再び作動される。
時点t4で電圧Uは比較器20に印加された第2の閾値S2に達する。比較器
20はトリガ信号21を評
価回路22へ送出する。これにより外部光測定に対する積分時間tfに相応する
クロック発生器のカウントレベルが停止され、検出される。このカウントレベル
は3msの積分時間Tfと前述の分解能では0〜1500のインクリメントを有
する。
図2のbでは、第2の測定サイクルM中に第2の閾値S2に達していない。こ
れは外部光成分がきわめて小さい場合に生じる。その場合には最大の積分値tf
ここでは1500のインクリメントが評価回路22によって検出される。
僅かな外部光量で同様に積分値tfを求めることができるようにするために、
所定数の測定サイクルM例えば5回の測定サイクル、または所定の時間1s〜1
minの後に、延長された外部光測定に対する時間間隔Tf’を有する夜間測定
サイクルNが行われる(例えばTf’=1s)。この延長された時間間隔Tf’
ではどんなに暗くても外部光量に比例するコンデンサ電圧Uは第2の閾値S2に
達し、クロック発生器により積分時間tfが求められる。時間間隔Tf’は図2
では縮尺通りには示されていない。
外部光測定に対する積分時間tfは、上述の全光測定に対する積分時間と同様
に評価され、一時記憶される。
時点t5で外部光測定に対する時間間隔Tf、Tf’は終了し、スイッチ18
を介してコンデンサ16が
短絡される。電圧Uがコンデンサ16を介してゼロにリセットされると、スイッ
チ18は再び開放される。その時点での測定サイクルM、Nの時点t5は後続の
測定サイクルM、Nの時点t1に対応している。全光測定に対する時間間隔Tg
は外部光測定に対する時間間隔Tf、Tf’に続く。
異なる閾値S1、S2に関連する積分時間tg、tfまたはそこから求められ
た値を更に評価するために、測定と同時にではあるがこれとは独立してこれらの
積分時間または値が相互に比較できるように変換される。同じ測定サイクルM、
Nで求められた値により全光量と外部光量との差から有効光量が計算され、有効
光信号が形成される。この信号は評価回路22の第1の出力側261を介して後
置接続された装置のための制御装置へ供給される。光学的なレインセンサではこ
の有効光信号と例えば降水、霧または汚れによるウィンドウガラスの濡れ状態と
が相関される。
レインセンサが車両のウィンドウガラス、例えばフロントガラスの濡れ状態を
検出する場合、通常有効光信号は後置接続される装置としての車両のウィンドウ
ワイパの自動制御のために、この有効光信号が例えば装置によって予め設定され
た切換閾値を下回った場合に使用される。
これに代えてまたは付加的に、有効光信号は車両のサンルーフの制御に使用さ
れる。つまりレインセンサ
によって降雨が検出された際にサンルーフを調整したりまたは閉めたりする。
さらに有効光信号はヘッドランプやフォグランプの制御のために評価され、予
め定められた降雨量または霧密度からこれらのランプがスイッチオンおよび再ス
イッチオフされる。
付加的に外部光量は全光量とは独立に評価される。これは全光量から導出され
る外部光量を第2の出力側262を介して制御装置または別の制御装置に供給す
ることにより行われる。この制御装置により外部光量およびこれに関連する昼夜
判別に依存して後置接続された装置が駆動制御される。
例えば夜間走行時またはトンネル走行時には暗さを本発明の装置により判別し
てヘッドランプ、付属品照明装置その他がスイッチオンされる。ハイビームとロ
ービームとの間の切換も同様に制御装置によって行われる。
一般的にはウィンドウガラスワイパ/ウォッシャ装置と同時に作動されるヘッ
ドランプワイパ/ウォッシャ装置において、ワイパ/ウォッシャ装置の手動また
は自動のスイッチオンは明るい場合にはウィンドウガラスのワイパ/ウォッシャ
装置のトリガのみとなる。なぜなら日中遮断されていたヘッドランプには洗浄の
必要がないからである。
車両の換気制御は暗さが検出された場合のサンルー
フの自動閉鎖により付加的な温度センサに関連して行われる。
ウィンドウガラスの湿り状態の識別は同様に昼夜の判別に関連して評価される
。例えば外部光量がレインセンサの感度または切換閾値の調整またはセンサ信号
の増幅に用いられる。暗い場合には最高の感度ないし最小の切換閾値が評価回路
22で調整され、明るい場合には最小の感度ないし最大の切換閾値が評価回路2
2で調整される。これにより例えば自動のウィンドウワイパ装置の最適な応答が
保証される。
選択的な実施例では夜間測定サイクルNにおける外部光測定に対して外部光測
定の時間間隔Tfが維持されるが、比較器20に供給される第2の閾値S2は低
減され、僅かな外部光量が検出される。評価回路22の種々の抵抗回路を介して
、例えば2、8、または16の第2の閾値S2の最適な閾値状態が実現される。
さらに閾値S2の低減は時間間隔Tf’の延長と共に実現することができる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成11年7月8日(1999.7.8)
【補正内容】
請求の範囲
1. 測定回路とセンサ信号のための評価回路(22)とを有するレインセン
サを備えており、
前記測定回路は光を放射する送信器(12)と放射された光および外部光に応
働してセンサ信号を送出する受信器(14)とを有しており、
かつ前記測定回路は前記受信器に到来した光の光量を検出する積分段(16)
と、所定の時点(t1、t3)から積分された光量が閾値(S1、S2)を上回
った場合にトリガ信号(21)を前記評価回路(22)へ送出する比較器段(K
)とを有しており、
送信器(12)の光および場合により外部光から成る全光量の測定と、送信器
(12)の遮断時に検出される外部光の測定とは個別の一定の時間間隔(Tg、
Tf、Tf’)で行われる、
ウィンドウガラスの濡れ状態および光量を検出する装置において、
外部光を検出し昼夜の判別に関して評価するために、一定の短い時間間隔(T
f)における所定数の外部光の測定の後、より長い時間間隔(Tf’)にわたる
外部光測定が行われるか、またはより小さい閾値(S2)を用いた外部光測定が
行われる、
ことを特徴とするウィンドウガラスの濡れ状態および光量を検出する装置。
2. 前記時間間隔(Tg、Tf、Tf’)の長さが評価回路(22)により
定められている、請求項1記載の装置。
3. 外部光の測定に対して延長された時間間隔(Tf’)の期間は10ms
から10sである、請求項1記載の装置。
4. 前記所定の期間は1sから1minの間である、請求項1記載の装置。
5. 外部光測定に対する第2の閾値(S2)は全光測定に対する第1の閾値
(S1)よりも小さく、有利には係数8だけ小さい、請求項1記載の装置。
6. 外部光測定に対する第2の閾値(S2)は可変に調整可能であるか、ま
たは異なる値に調整可能である、請求項1記載の装置。
7. ウィンドウワイパおよび別の装置、例えばヘッドランプ、ヘッドランプ
ワイパ/ウォッシャ装置、付属品照明装置、サンルーフまたはパワーウィンドウ
の制御のために使用される、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
8. 外部光量に依存してセンサ信号の増幅度、レインセンサの感度または切
換閾値が評価回路(22)で調整可能である、請求項7記載の装置。
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フロントページの続き
(72)発明者 ヴォルフガング ヘルマン
ドイツ連邦共和国 D―85354 フライジ
ング ガンツェンミュラーシュトラーセ
4
(72)発明者 ヘンリー ブリッツケ
ドイツ連邦共和国 D―77815 ビュール
フォルレンシュトラーセ 3
(72)発明者 ギュンター ハーデラー
ドイツ連邦共和国 D―77815 ビュール
イム グリューン 34 アー