JP2002502585A - 抗原存在下においてエフェクター複合体を形成する可変領域融合ペプチド - Google Patents

抗原存在下においてエフェクター複合体を形成する可変領域融合ペプチド

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JP2002502585A
JP2002502585A JP2000521118A JP2000521118A JP2002502585A JP 2002502585 A JP2002502585 A JP 2002502585A JP 2000521118 A JP2000521118 A JP 2000521118A JP 2000521118 A JP2000521118 A JP 2000521118A JP 2002502585 A JP2002502585 A JP 2002502585A
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ウォルト マホニー,
グレッグ ウインター,
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ロシュ ダイアグノスティックス コーポレイション
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Abstract

(57)【要約】 本発明の融合ポリペプチドは、エフェクター配列に結合した可変領域配列を含む。このポリペプチドは、抗原が存在する場合を除いて、溶液中で安定な複合体を形成しない。抗原に接触する際に、2つの可変領域配列はともに結合し、それは順にそのエフェクター配列を並置へと駆動する。一方のエフェクター配列の他方との相補は、多くの治療的または診断的適用を有する酵素の活性化のような、エフェクター機能を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願に対する参照) 本願は、米国仮出願60/065,719(1997/11/14提出、係争
中)の優先権の利益を請求する。優先出願はその全体において本明細書中で参考
として援用される。
【0002】 (技術分野) 本発明は、一般的に、免疫化学およびペプチドの会合の分野に関する。より詳
細には、本発明は、抗原の存在下において二量体化を駆動する可変領域を有する
融合ペプチドを得るためのシステムを提供する。
【0003】 (背景) 抗体分子は、比較的非特異的なエフェクター機能を特異的な標的に指向するよ
うに進化によって設計されてきた。個体の抗体の貯蔵は、無限の多様な外来抗原
に対して感作され得る。以前に遭遇した抗原の再訪の際に、誘導された抗体は結
合し、そして補体カスケードのエレメント、すなわちこれらの全ての能力を有す
るFcレセプター保有細胞を活動させる。
【0004】 現代の生体分子化学者は、診断的および治療的な目的のために抗体の標的特異
性を利用している。抗体に標識を接続することによって、試験溶液における抗原
の検出または定量が可能になる。抗体に薬物を接続することによって、特定の細
胞または組織を標的化することが可能になる。抗体によってエフェクター機能を
送達する新しい方法は、明らかに利点がある。
【0005】 慣用的な臨床測定で使用されるイムノアッセイは、生物学的試料中の目的の分
析物に対して特異的な抗体を含む。アッセイに基づく分離において、複合体の検
出は、形成された複合体が、反応しなかった分析物から、反応しなかった抗体か
ら、または両方のいずれかから生理学的に分離される過程を含む(米国特許第3
,646,346号)。この複合体は、初め液体相で形成され得、引き続いて、
固相試薬に捕らえられ得るかまたは変化した生理学的もしくは化学的特性に基づ
いて分離され得る(例えば、ゲルろ過または沈降)。あるいは、これらの試薬の
1つが他の試薬と接触する前に固相に接続され得、次いでこの複合体は反応しな
かった薬剤を含まない固相の洗浄により回収され得る。
【0006】 同質アッセイ(homogeneous assay)において、複合体の存
在は、複合体に取り込まれた結果として反応物の少なくとも1つが捕らえるまた
は失う特性によって検出される。当該分野に公知の同質アッセイは、異なる試薬
に対する蛍光色素と蛍光色素消滅因子との対(米国特許第3,996,345号
、同第4,161,515号、同第4,256,834号、および同第4,26
1,968号);異なる試薬に対する酵素と酵素インヒビターとの対(米国特許
第4,208,479号および同第4,233,401号);および異なる試薬
に対する発色団と発色団修飾因子との対(米国特許第4,208,479号)に
関連するシステムを含む。特に強力な同質アッセイシステムは、クローン化され
た酵素ドナーイムノアッセイ(米国特許第4,708,929号)である。酵素
β−ガラクトシダーゼの2つのサブユニットは、遊離の分析物を含む試料の存在
下を除いて、分析物特異的抗体によって定量的に影響される検出可能シグナルを
提供するために会合する。
【0007】 抗体工学における最近の進歩は、種々の人為的に操作された抗体およびキメラ
を産生してきた。これらの分子の多くは、安定性、大きさ、低い産生費用、より
高い親和性、またはさらなる機能(例えば二重特異性(bispecifici
ty))のような局面において、天然の抗体より優れている。
【0008】 抗体の単離された重鎖および軽鎖の可変ドメイン(VHおよびVL)は、Fvフ
ラグメントとして知られるヘテロ二量体を構成し、これは単一の抗原結合ポケッ
トを含む。Fvフラグメントは低いタンパク質濃度で解離し得る。Kleinら
は、紫外線差分光学(ultraviolet difference spe
ctroscopy)を使用して、IgGの単離された可変ドメインと定常ドメ
インとの相互作用の平衡的および動力学的局面を測定した。軽鎖可変ドメインと
Fd’(重鎖可変ドメインを含む重鎖フラグメント)との間の平衡結合曲線は、
pH5.4で1.2×106-1であった。続いて、Hamelらは、VHとVL との間の会合は抗原特異性に依存せず、そしていくつかの可変ドメインは別の抗
体分子由来の対応物とよりよく会合することを見出した。
【0009】 単離されたFvフラグメントは、固形腫瘍組織の浸透、低い抗原性、および改
良された薬学動態学に対してよりよい特性を有すると予想される。VHおよびVL の解離を防ぐために、2つの可変ドメインがペプチドリンカーによって相互に連
結された同一のポリペプチド鎖の一部である単鎖可変領域(scFv)が構築さ
れ得る(Tsumotoら)。イムノグロブリンFvフラグメントを安定化する
ためのストラテジーの比較は、Glockshuberらに記載されている。
【0010】 抗体分子の種々の他の構築物が調製されている。ヒト以外の種のモノクローナ
ル抗体は、特異的抗体の各々のVHおよびVLの3つの抗原結合CDR領域を、ヒ
トのVHおよびVLのフレームワークに配置することによってヒト化され得る。例
えば、EP0329400を参照のこと。
【0011】 抗体結合部位が分子キメラの一部である構築物もまた調製されている。Mea
daらは、抗体結合モノドメインがVargula luciferase上に
生物工学されたキメラ分子の調製を提唱した。Uedaら(1992)は、マウ
スIgMとヒトEGFレセプターの細胞質部分を結合する人為的なキメラ細胞表
面レセプターを構築した。このキメラレセプターは、抗原結合活性およびタンパ
ク質チロシンキナーゼ活性の両方を示したが、キナーゼ活性は構成的であり、そ
して抗原結合に非依存的であった。CH2ドメインを欠くIgMを用いて、自己
リン酸化はハプテン−BSA総合体の濃度増加に伴い増加した。一価のハプテン
はリン酸化を誘導し得なかったが、総合体による刺激を阻害した。
【0012】 米国特許第4,859,609号(Dullら)は、予め決定されたレセプタ
ーのリガンド結合ドメインおよび異種レポーターポリぺプチドを含むハイブリッ
ドレセプターを構築した。このハイブリッドレセプターはアッセイを行うのに有
用であると言われる。このリガンド結合ドメイン(イムノグロブリン以外の物)
は、リガンドの結合に対して立体配置的な変化を起こした(これは、次々にC末
端に結合されたレポーターペプチドに影響する)。モデルレセプター分子はホス
ホリルキナーゼである。ハイブリッドレセプターが試験試料と共にインキュベー
トされ、次いで立体配置的な変化が試料におけるリガンドの存在に相関されるア
ッセイ方法が請求される。
【0013】 (発明の要旨) 本発明の融合ポリペプチドは、エフェクター配列に連結された可変領域配列を
含む。このポリペプチドは、組み合わされる可変領域が特異的でない抗原が存在
することを除いて、溶液において安定な複合体を形成しない。この抗原は2つの
ポリペプチド上の可変領域配列を共にもたらす(これは、次々にエフェクター配
列を近位に駆動する)。1つのエフェクター配列の他のエフェクター配列との相
補性は、治療的または診断的重要性のエフェクター機能を提供する。
【0014】 本発明の実施態様は生成物の実施態様を含む。特に、本発明は、抗原の存在下
において相互に複合体を形成する一対の融合ポリペプチド(第1のエフェクター
配列に連結された第1の可変ドメイン配列を含有する第1の融合ポリペプチド、
および第2のエフェクター配列に連結された第2の可変ドメイン配列を含有する
第2の融合ポリぺプチドからなる)を含み、ここで溶液が抗原を含む場合、この
溶液中の第1および第2の可変ドメイン配列の間での複合体形成は安定化され、
ここで第1および第2の可変ドメイン配列それぞれに結合されなかった場合、抗
原を含む溶液において第1および第2のエフェクター配列は相互に複合体を形成
せず、そしてここで抗原の存在下において第1および第2の融合ポリペプチドに
おける可変ドメイン間での複合体形成は、エフェクター配列間の複合体形成を生
じる。本発明のポリペプチドは溶液において自由に可溶であり、そして膜タンパ
ク質ではない。
【0015】 特定の実施態様において、このポリぺプチドは共有結合的につながれない。本
発明はまた、ポリペプチド対のメンバーとして実施するために適合された1つま
たは他の融合ポリペプチドを含む。
【0016】 例示的なエフェクター配列は酵素フラグメントおよび毒素フラグメントである
。エフェクター配列が酵素フラグメントである場合、ポリぺプチドは好ましくは
、1つ以上の以下の特性を有する:1)基質の生成物への変換は、2つの融合ポ
リぺプチドおよび抗原を含有する溶液において2つの融合ポリぺプチドを含み抗
原を含まない溶液においてよりもさらに迅速に生じる;2)第1および第2の融
合ペプチドチは、抗原の存在下において相互に複合体を形成した場合を除いて触
媒活性を有さない;3)基質は2つの酵素フラグメントの間での複合体形成を促
進しない。
【0017】 一対の融合ポリぺプチドを調製する以下の工程を包含する方法もまた実施され
る:a)溶液が抗原を含む場合、この溶液において安定な複合体を形成する第1
の可変ドメイン配列および第2の可変ドメイン配列を選択する工程;b)抗原を
含む溶液において相互に複合体を形成しない第1のエフェクター配列および第2
のエフェクター配列を選択する工程;c)第1の可変ドメイン配列が第1のエフ
ェクター配列に連結される第1の融合ポリぺプチド、および第2の可変ドメイン
配列が第2のエフェクター配列に連結される第2の融合ポリぺプチドを調製する
工程;および、d)第1の融合ポリぺプチドが、溶液が抗原を含む場合この溶液
において安定化される第2の融合ポリぺプチドと複合体を形成し、ポリペプチド
間の結合の際に、酵素活性が再構成されることを確認する工程。
【0018】 さらなる実施態様は、抗原の存在に依存する様式において基質を生成物に変換
する方法に関し、この方法は、抗原、基質、および一対の融合ポリぺプチドを含
む環境を作る工程を包含する。この環境は、例えば、本発明に従う治療的または
薬学的組成物で処置される個体内の微小環境であり得るか、あるいはアッセイの
ための反応混合物に存在するインビトロ環境であり得る。
【0019】 診断的な実施態様は、試料における抗原量を測定する方法を包含し、試料、一
対の融合ポリぺプチド、および融合ポリぺプチドのエフェクター酵素のための基
質を含む反応混合物を調製する工程、次いでこの反応混合物において形成された
任意の生成物を測定する工程、を包含する。
【0020】 本発明の他の実施態様は以下の説明から明らかである。
【0021】 (発明の詳細な説明) 本発明は、特定の基質(「抗原」と呼ばれる)が存在する場合に互いに結合す
るという特性を有する融合ペプチド対を提供する。抗原に誘導される結合の結果
として、エフェクター配列は、有用な化学的効果もしくは生物学的効果を作製し
得る様式で、または抗原の存在を反映する完全な標識複合体を構成し得る様式で
集まる。
【0022】 本発明の融合ペプチドは、より大きなタンパク質または分子複合体の一部であ
り得るが、各融合ペプチドは最小限、以下の要素を含む: ・複合体形成反応の駆動体(これは抗原の存在下において、対立の(oppo
sing)ペプチド上のその対立の可変ドメインと安定な複合体を形成するとい
う特性を有する、可変ドメイン配列である); ・複合体形成反応のレポーター(エフェクター配列と呼ばれ、これは可変配列
が複合化されないかぎり、対立ペプチド上でエフェクターと実質的に結合せず、
そして目的の酵素的、化学的または生物学的特性を有する); ・可変ドメイン配列とエフェクター配列との間の共有結合(これはペプチド結
合、ポリペプチドリンカー配列、または要求される機能的活性を融合ペプチドが
有することを許容する様式で可変ドメインおよびエフェクターを共有結合的に結
合する任意の他のタイプの化学構造であり得る)。
【0023】 1つの実施例は、図6に示される。この図面は、複合配置にある融合ポリペプ
チド対のポリペプチド骨格の推定3次元構造を示す。2つの直線は、抗原ニワト
リ卵リゾチームに対して特異的なモノクローナル抗体の、VHおよびVLドメイン
(左および右)を示す。抗原の存在下において、このドメインは対立するβ−プ
リーツシートの界面に沿って結合し、これは図面の底部に向かって配向される抗
原結合ポケットを形成する。各可変ドメインは、破線で示されるように、C末端
でリンゴ酸デヒドロゲナーゼの単量体サブユニットに連結される。この酵素の単
量体サブユニットは、通常、活性酵素複合体を形成するために界面に沿って自己
結合する。本発明における使用に適合される場合、このサブユニットの界面は自
己結合を避けるように、しかしこの可変領域ドメインにより駆動される場合は結
合を許容するように改変される。混合物中の抗原の存在は、活性酵素に対する基
質を提供することにより、および生成物形成を測定することにより検出され得る
【0024】 以下は、本発明の作製および使用に関する十分な説明である。これらの融合タ
ンパク質対は、後の節で記載される、多くの診断的および治療的適用を有する。
【0025】 この開示において概説される技術に加えて、本発明の実施は、当該分野の技術
の範囲内である分子生物学、遺伝工学、微生物学、細胞生物学、生化学、および
免疫学の従来の技術を使用する。これらの技術は、標準的な教科書(例えば、「
Molecular Cloning:A Laboratory Manua
l」、第2版(Sambrookら、1989);「Oligonucleot
ide Synthesis」(M.J.Gait編、1984);「Anim
al Cell Culture」(R.I.Freshney編、1987)
;「Methods in Enzymology」(Academic Pr
ess、Inc.);「Handbook of Experimental
Immunology」(D.M.Weir&C.C.Blackwell編)
;「Gene Transfer Vectors for Mammalia
n Cells」(J.M.Miller&M.P.Calos編、1987)
;「Current Protocols in Molecular Bio
logy」(F.M.Ausubelら編、1987);「PCR:The P
olymerase Chain Reaction」(Mullisら編、1
994);「Current Protocols in Immunolog
y」(J.E.Coliganら編、1991))で十分に説明される。種々の
ポリペプチド架橋剤は、Hermanson,G.T.「Bioconjuga
te Techniques」、Academic Press:New Yo
rk、1996;およびS.S.Wong、CRC Press、1993によ
る「Chemistry of Protein Conjugation a
nd Cross−linking」)において記載される。
【0026】 当業者は、本発明のポリペプチドの調製および集合に関するいくつかの戦略的
選択を有する。一般的に、このポリペプチドは順に各々議論される以下の工程を
含む方法により得られる: ・溶液が目的の抗原を含む場合、この溶液中で安定化される複合体を形成する
2つの可変ドメイン配列を選択する工程; ・エフェクター機能を提供することを補完し、そして抗原を含む溶液中で互い
に実質的には複合しない、2つの同一なまたは非同一なエフェクター配列を選択
する工程; ・1つの可変ドメイン配列および1つのエフェクター配列をそれぞれ含む融合
ペプチドを調製する工程;ならびに ・その2つの融合ペプチドが所望の機能的特性を有することを確認する工程。
【0027】 2つの可変領域ドメイン配列は、他の組み合わせでも可能であるが(例えば、
ベンス・ジョーンズ構造における同種または異種のVL−VL対、およびT細胞可
変領域対)、通常はVHおよびVLドメインである。可変ドメイン配列は、完全に
インタクトな可変領域ドメインに対応し得、または長さがより長くおよびより短
く、すなわちアミノ酸の変換,挿入、もしくは欠失を受け入れ得る。不変ではな
いが代表的には、各可変ドメインは、インタクトな可変領域中に見出される3つ
のCDR領域を有する。変更に対して感受性なのは、抗原結合部位および可変領
域対間の界面を組み立てる(make up)セグメントであり、変化は必要な
結合特性を損なわないようになされるべきである。可変領域ドメインは、ヒト由
来、マウス由来、もしくは任意の他の種のものであり得、またはそれらは複数の
種のキメラもしくはコンセンサスとして設計される人工配列であり得る。ヒト由
来の可変領域(すなわち、ヒトフレームワーク残基を有する)は、望まない免疫
原性を最小限にするため、治療的適用に関して目的のものである。また目的のも
のは、ラクダ由来の可変領域、すなわち可変領域間の親和性を減少するラクダ科
の変異を組み込むために改変された可変領域である。
【0028】 「抗原」(これに対し、可変領域対が結合する)は、低分子薬物あるいは、十
分な親和性および特異性で可変領域対を選択または可変領域対を結合するために
使用され得るハプテン、タンパク質、核酸、炭水化物、プロテオグリカン、糖脂
質、もしくは任意の構造物であり得る。可変領域対の二量化を誘導する抗原はま
た、「駆動体抗原(driver antigen)」とも言われる。
【0029】 特定の抗原に対する特異性を用いた可変領域の惹起および選択は、当該分野に
おいて標準的な慣例である。抗体を惹起、精製および改変する際に使用される一
般的な技術、およびイムノアッセイの設計および実行は、Handbook o
f Experimental Immunology(D.M.Weir&C
.C.Blackwell編);Current Protocols in
Immunology(J.E.Coliganら編、1991);David
Wild編、The Immunoassay Handbook(Stoc
kton Press NY、1994);およびR.Masseyeff、W
.H.Albert、およびN.A.Staines編、Methods of
Immunological Analysis(Weinheim:VCH
Verlags gesellschaft mbH、1993)において見
出される。ハイブリドーマ技術に関しては、読者は一般的にHarrow&La
ne(1988)、米国特許第4,491,632号、同第4,472,500
号、および同第4,444,887号、ならびにMethods in Enz
ymology,73B:3(1981)に参照される。簡潔には、免疫原は必
要に応じて免疫原性を増強するために改変され(例えば、グルタルアルデヒドと
凝集、またはKLHのようなキャリアに結合することによる)、次いでアジュバ
ント、好ましくは最初の投与についてはフロイント完全アジュバント、ブースタ
ー用量についてはフロイント不完全アジュバントと混合される。モノクローナル
抗体を産生するための最も一般的な方法は、免疫化された動物から回収された脾
細胞または他の抗体産生細胞を不朽化およびクローン化することである。クロー
ンは、エプスタイン−バーウイルスでトランスフェクトすることによる、または
腫瘍形成DNAで形質転換することによる非産生骨髄腫との融合のような手順で
不朽化される。処理された細胞はクローン化および培養され、そして所望される
特異性の抗体を産生するこのクローンが選択される。特異性試験は通常、イムノ
アッセイによりクローンの上清で実施される。
【0030】 特異的可変領域を抗体またはT細胞から得るための他の方法は、免疫応答性細
胞またはウイルス粒子のライブラリーを標的抗原と標的抗原に接触させる工程、
および陽性的に選択されたクローンを発生させる工程を含む。免疫応答性ファー
ジは免疫グロブリン可変領域セグメントをその表面上に発現させるように構築さ
れ得る。Marksら、New Engl.J.Med.335:730,19
96;WO特許出願94/13804、92/01047、90/02809;
およびMcGuinnessら、Nature Biotechnol.14:
1149、1996を参照のこと。所望される特異性のファージは、固相に接着
された抗原への粘着性により選択され、次いでE.coli中で増幅される。
【0031】 抗原依存性結合の特性を用いての可変領域のスクリーニングは、抗原の存在お
よび非存在下における一方の可変領域の他方との結合をアッセイする工程を含む
。固相酵素またはフルオレセイン標識結合試験は非常に適切であり、そしてUe
daらによるUSSN 08/663,922で完全に記載されている(これを
、その全体を本明細書中で参考として援用する)。重鎖と軽鎖との間の結合は、
H1とCLとの間の結合に主に起因する。10可変領域対の中の約1つが、さら なる結合なしで本発明の使用のために定常領域から解離された場合の十分低い結
合定数を有することが見積もられる。この結合定数は、界面に沿って残基と相互
作用する機能であると推定される。従って、抗原依存性結合を有する可変ドメイ
ンは、この選択戦略を使用して、任意の抗原に対して得られ得る。
【0032】 1つの可変領域の他方に対する結合定数を有すべき選択された可変領域対は、
抗原の存在下では少なくとも10倍高くあるべきであり、そして少なくとも約1
2、103、104、または105倍高くある場合は累進的にさらに好ましい。抗
原の存在しない際の結合は、一般的に108-1より少なく、そして好ましくは 106-1より少ない。抗原の存在下での可変領域相互の結合、および可変領域 複合体に対する抗原の結合は、一般的には108-1を越え、好ましくは約101 0-1を越え、そしてさらに好ましくは1012-1を越える。所望ならば、結合 定数は界面に沿うアミノ酸を変えることにより改変され得る。本発明を実施する
ために親和性を測定することは、意図した状況において抗原が存在または非存在
する際に有意な差異が観察される限り、必要ではない。
【0033】 エフェクター配列は、可変領域ドメインによりともに駆動される場合を除いて
、それらの融合ポリペプチド中にある場合には互いに結合しないという特性を有
する。大部分の例において、エフェクター配列はまた、抗原が存在するか否かに
関わらす、可変領域ドメインと結合されなければ互いに結合しない。融合ポリペ
プチド中でともに駆動された場合、エフェクター配列は、界面で代表的には10
オングストロームより少なく解離されて互いに相互作用する。抗原により駆動さ
れない場合のエフェクター配列相互の結合は、意図される使用環境において一般
的には108-1より少なく、そして好ましくは106-1より少ない。エフェク
ター配列が補酵素フラグメントである場合には、酵素基質(または、反応混合液
中の他の組成物)は、エフェクター配列の結合を誘導し得ないべきである。低レ
ベルの非駆動性結合はより許容され、そして抗原の非存在下での可変領域相互の
結合がごくわずかである場合には、補助でさえあり得る。結合の程度は、当該分
野で公知の技術(例えば、ゲル濾過、ブロッティング技術、および定量的固相分
離アッセイ)により測定され得る。結合定数を測定するために特に都合の良い方
法は、Pharmacia(Uppsala、Sweden)により作製された
BIAcoreTMSPRバイオセンサーを製造者の指示に従って(特に、BIA
technology handbookを参照のこと)使用することである。
【0034】 これらの特性を有するエフェクター配列は、新規のコンピューターモデリング
のような任意の公知の技術によって調製され得るが、所望のエフェクター機能を
有するタンパク質のフラグメントまたはサブユニットを自己結合することととも
に開始することはより簡便である。次いでこのタンパク質は、結合を避けるよう
に、しかしこのユニットがともに駆動される場合は界面として作用し得る表面を
維持するように改変される。使用され得る改変のいくつかのタイプが存在する。
サブユニット結合がジスルフィド結合により安定化される場合、次いでシステイ
ンはブロックされ得るか、または好ましくは別のアミノ酸で置換され得る。非共
有結合力に起因する強力なサブユニット結合が存在する場合、次いで結合定数が
有意に低くなるまで各サブユニットのポリペプチド長を減少することが可能であ
り得る。
【0035】 第3のアプローチにおいて、界面残基は種々の試験組み合わせにおいて変異さ
れる。X線結晶学データが入手可能である場合、相互作用に関与すると思われる
残基(例えば、対立の疎水性側鎖または対立の陰性および陽性に荷電された側鎖
)に関してのいくつかの予測がなされ得る。酵素活性を集合させることにおける
サブユニットまたはフラグメント界面の重要性は十分確立されている:例えば、
Jonesら(1985、Biochemistry 24:5852,18)
、Wardら(1987、Biochemistry 26:4131)、およ
びBabeら(1992、Protein Science 1:1244)を
参照のこと。別の例において、Luらは、フルクトース−1,6−ビスホスファ
ターゼに対する二量体−二量体界面の重要性を証明した。酵素機構解剖のための
ツールとしての部位特異的変異誘発に関する一般的なアプローチは、Wagne
rらによりTrends Biotechnol.8:263、1990におい
て概説される。ファージディスプレイライブラリーにおける候補エフェクター配
列の発現は、異なる変異候補物のスクリーニングにおいて補助され得る。
【0036】 以下の界面の切断または適合、および以下に記載されるような以下の任意の基
質特異性特徴の変更において、エフェクター基質は、天然酵素のサブユニットま
たはフラグメントと、一般的には少なくとも約70%のオーダー、および可能な
らば少なくとも約80%または90%のオーダーの同一性程度を有する。同一性
は、適合形態における同じオーダー(ギャップまたは挿入に関するペナルティー
が全くない状態)で保存される天然分子の連続配列におけるアミノ酸の割合とし
て計算され、そしてこれは酵素特異性とは独立している。天然酵素が非同一フラ
グメントまたはサブユニットに関して作製される場合、ポリペプチド対はまた、
通常、非同一エフェクター配列を有する。天然酵素が、同一フラグメントまたは
サブユニットに関して作製される場合、ポリペプチド対は、通常非同一である可
変領域配列とは独立して、同一または非同一のエフェクター配列を有し得る。例
えば、エフェクター配列が非同一である場合、どのエフェクター配列がどの可変
ドメイン配列に接着するかに関する選択は、実験的に決定される。
【0037】 相互作用エフェクター配列は、エピトープの形成、レセプターに対するリガン
ド、酵素または毒素のようないくつかの化学的または生物学的目的のエフェクタ
ー機能を提供するために互いに相補的である。それぞれのこれらの実施態様が関
連する内容は、後の章に記載される。
【0038】 多数の酵素は、相補するサブユニットまたはフラグメントを有する。これらの
間には、還元剤としてNADPHを用いて、ジヒドロ葉酸からテトラヒドロ葉酸
を再生するジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)がある。DHFR機能におけ
るいくつかのアミノ酸の役割は、解明されており、そしてその結晶構造が得られ
ている。Dickerら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.
USA.90;Leeら、1996、Biochemistry 35:701
2〜20。V.harveyi由来のルシフェラーゼのβ2ホモダイマーのX線
結晶構造は、決定されており、そしてその活性部位が部分的に記載されている。
Fisherら、1996、J.Biol.Chem.271:21956〜6
8、Thodenら、1997、Protein Sci 6:13〜23;T
annerら、1997、Biochemistry 36:665〜72;B
aldwinら、1995、Curr.Opin.Struct.Biol.5
:798〜809。いくつかの生物由来のアルカリホスファターゼの正確な結晶
構造が得られている。Hulettら、1991、J.Biol.Chem.2
66:1077〜84。E.coliアルカリホスファターゼの疎水性のコアは
、マルトース結合タンパク質、OmpAのシグナルからのコアで首尾よく置換さ
れている。Laforetら、1989、J.Biol.Chem.264:1
4478〜85。広範に研究されてきた他の酵素の構造としては、ペニシリンア
ミダーゼ、チトクロムCオキシダーゼ、ラクトースパーミアーゼ、マルトースパ
ーミアーゼ、チトクロムb5レダクターゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、チオレド
キシン、バルナーゼ(barnase)、およびβガラクトシダーゼが挙げられ
る。
【0039】 別の例はリボヌクレアーゼである。ウシRnase−Aは、124アミノ酸の
一本鎖からなる(13,683分子量)。サブチリシンによる限定消化に供した
場合、残基Ala20とSer21との間のペプチド結合が、切断される。2つ
のフラグメント、S−ペプチド(残基1〜20)およびS−タンパク質(残基2
1〜124)は、分離され得、そして再構成されて、完全に活性な複合体リボヌ
クレアーゼSを与え得る。Simonsonら、1992、Biochemis
try 31:8661;Varadarajanら、1992、Bioche
mistry 31:12315;Kimら、1992、Biochemist
ry 31:12304。
【0040】 細胞傷害性機能を有するエフェクターペプチドとしては、コレラ毒素およびコ
レラ毒素Bサブユニット、E.coli熱易動性エンテロトキシンおよびそのB
サブユニット、Bordetella pertussis毒素ならびにそのサ
ブユニットS2、S3、S4、およびS5(いずれかの組み合わせ)、ジフテリ
ア毒素およびそのβ毒素フラグメント、シガおよびシガ様毒素、ブドウ球菌α溶
血毒、ビブリオ熱安定直接溶血毒、α−サルシン、リシン、そしてアブリンのよ
うな細菌毒素が挙げられる。
【0041】 他の細胞傷害性エフェクターペプチドは、コリシン;T1リボヌクレアーゼ(
真菌リボヌクレアーゼを含む);T2リボヌクレアーゼ(植物型および種子のR
Naseおよびリボソーム不活性タンパク質の両方)のようなRNaseである
。また目的のものは、RNaseA、精液RNase、RNaseダイマー、好
酸球誘導ニューロトキシン、好酸球カチオン性タンパク質、オンコナーゼ、カエ
ルリボヌクレアーゼ、およびアンジオゲニンを含むRNaseAスーパーファミ
リーのメンバーである。本発明における使用のために意図されるのはまた、細胞
表面レセプター(細胞傷害性リボヌクレアーゼキメラ)に対するリガンドに結合
することにより、細胞型選択のために操作されるRNaesである。RNase
キメラの重大な概説について、読者は、Youleら、1993、Crit.R
ev.Ther.Drug Carrier Syst.10:1〜18を参照
する。Priorら(1996、Bioconjugate Chem.7:2
3〜29)は、バルナーゼを結合したpseudomonas外毒素のキメラ分
子を記載している。このタンパク質は、エンドトキシン送達経路を通って細胞に
送達されるそのRNase活性に起因して細胞に毒性である。
【0042】 エフェクター配列を選択することにおける重要な考慮は、終結残基の位置であ
る。可変領域配列が、2つの酵素エフェクター配列を共に駆動し得ることが必要
であるので、相互作用しているエフェクターの終結残基間の3次構造の距離は、
相互作用している可変領域の距離に最適に適合する。融合ペプチドの最も一般的
な配置は、それぞれのエフェクターのN末端に結合したそれぞれの可変領域のC
末端に関してであるが、他の配置が、可能である。広がり(spread)の一
致を増強するために、可変領域またはエフェクター、あるいは両方からの2、3
の残基を切り取ることもまた可能である。逆のアプローチ(すなわち、1つまた
は両方の鎖上の可変配列とエフェクター配列との間にリンカー配列を付加するこ
と)は、リンカーの長さの増加とともに、ますますより困難になる。近接ドメイ
ンの間のコネクターを介する構造シフトの先例は、確実に存在するが、しかし免
疫グロブリン自身により最も著しく提示される。リンカーが必要である場合、ヘ
リックスを形成すると予測される配列のような強固な架橋を形成する候補ととも
に開始することが明らかである。しかし、問題は、最も避けられ、そして意図し
た目的に必要な場合、可変領域上の範囲を慎重に一致させてエフェクター機能を
調整するエフェクター配列を選択することは、価値がある。
【0043】 次に、この可変領域およびエフェクターは、経験的試験のために種々の融合ポ
リペプチド候補として調製される。本開示に使用される場合、用語「融合ポリペ
プチド」とは、天然に生じるタンパク質において通常一緒に(または少なくとも
同じ配置において)生じることのない2以上のアミノ酸配列で作製されたポリペ
プチドである。融合ポリペプチドは、代表的に、PCRタイプの増幅または適切
な発現ベクターの使用のどちらかによりそれをコードする組換えポリヌクレオチ
ドを発現することにより調製されるが、ポリペプチド合成または架橋試薬を用い
る別々のポリペプチドの結合体化もまた使用され得る。本発明の融合タンパク質
は、溶液中において自由に可溶性であるように設計され、そして膜タンパク質で
はない。
【0044】 候補融合ポリペプチドの試験は、ポリペプチド鎖が、適切な条件下で集合する
こと、およびエフェクター配列が、集合体上で相互作用することを確証すること
を含む。このポリペプチドは、分析物の存在下で互いに優先的に複合体を形成す
るべきであるが、複合体生成は、エフェクター配列に対する基質またはレセプタ
ーのような反応環境における他の可能な化合物によって誘導性であるべきでない
。互いに「複合体形成する」かまたは整合するエフェクター配列の能力は、差分
光法または円比色分光法のような技術により測定され得る。さらに通常は、サブ
ユニットの複合体形成は、組み合わせられたエフェクター配列の活性を提供する
集合化ポリペプチド対の能力から推論される:予測された特異性の触媒活性(エ
フェクターが酵素である場合)、または細胞傷害性活性(エフェクターが毒素で
ある場合)。
【0045】 本発明はまた、「束縛された」組成物を含む。本実施態様において、ポリペプ
チド対は、鎖間の共有結合または架橋を介して相互に連結される。この架橋は、
ジスルフィド結合、アミノ酸側鎖間のペプチド結合、または架橋剤でのポリペプ
チドの処理により作製された化学的部分であり得る。この架橋は、可変ドメイン
またはエフェクタードメインの二量体化を安定化させないために選択されそして
配置されて、ポリペプチドを解離し、そして連結位置の周囲を旋回することを可
能にする。結果として、このエフェクターは、抗原との可変ドメイン配列の会合
により正確な位置に駆動されるまで、完全に活性な形態ではまだ存在しない。し
かし、抗原が存在する場合、この反応は、ほぼ2分子である。束縛の結果として
、この酵素の活性は、抗原の存在下においてより高くなるが、抗原の不在下での
バックグラウンドもまたより高くなる。低レベルの活性を示す候補ポリペプチド
対は、界面に沿って対立する鎖の各々へのさらなるシステインの取り込みによっ
て、この様式で適合され得る。エフェクターを引き起こすことなしに、束縛され
た効果を作製して持続的に活性化された形態を仮定するために適切な位置の1つ
の例は、可変ドメイン配列にほぼ基づく。
【0046】 一旦、全ての所望の性質を有する一対の融合ポリペプチドが得られると、他の
ポリペプチドのための原型として役立ち得る。免疫グロブリン可変領域ドメイン
の折り畳みは、異なった特異性の可変領域間で一致する。従って、1つの可変領
域ドメインは、エフェクター配列の他の頂上に対して置換され得る。あるいは、
新規の特異性の可変領域のCDRは、可変ドメイン界面の会合特性を妨げること
を無効にすることに気をつけて、証明される融合ポリペプチドのフレームワーク
にカセットされ得る。置換または変異によりエフェクター配列の特徴を修飾する
こともまた可能である。例えば、エフェクターが酵素である場合、触媒部位付近
の変異は、基質特異性を変化させるために使用され得る。Hoganら(199
5、Biochemistry 34:4225)は、酵素L−乳酸デヒドロゲ
ナーゼに関するこのプロセスを記載する。酵素はまた、新規の基質に対する変異
体の有効なスクリーニングを可能にし得る繊維状ファージ上に提示され得る(S
oumillionら、Appl.Biochem.Biotechnol.)
【0047】 本発明の融合ポリペプチド対は、臨床医学および研究の両方において多数の応
用を有する。特定の目的の2つの応用は、生物薬剤およびアッセイ試薬としてで
ある。
【0048】 融合ポリペプチドの使用は、一般に、抗原、基質、および一対の融合ポリペプ
チドを含む環境を作成することにより、抗原の存在に依存する様式において、基
質の生成物への変換に関する。例えば、その環境は、本発明に従った治療的また
は薬学的組成物で処置される個体の内側の微小環境、またはアッセイのための反
応混合物において存在するインビトロ環境であり得る。
【0049】 ヒト治療のための生物薬剤として使用するために適合される場合、可変領域配
列、エフェクター配列、およびリンカー配列(使用される場合)は、代表的に、
できる限りヒト配列に似るように選択されて、免疫原性を回避する。可変領域の
特異性およびエフェクターの機能は、実施態様の性質に依存する。獣医学および
エキソビボでの治療的使用もまた意図される。
【0050】 他の治療的実施態様は、プロドラッグ活性化に関する。この場合、組み合わさ
れたペプチド対の可変領域は、小さな人工的な分子に対して特異的であり、これ
をアクチベーターと呼ぶ。エフェクター配列は会合して、プロドラッグを活性型
に変換し得る酵素を形成する。プロドラッグおよびアクチベーターの両方は、一
般的な循環において過剰量のプロドラッグとともに薬物リザーバーとして作用す
る。アクチベーターは、次にプロドラッグを活性化するポリペプチド対を集合さ
せる能力を除いてその生物学的効果において代表的に、不活性である。アクチベ
ーターが小さいので、経口、経鼻、または吸入により潜在的に投与され得る。結
果として、プロドラッグは、予備的な基礎でのみ投与され得、次にアクチベータ
ーを用いて継続中の基礎に基づき有効量を滴定され得る。
【0051】 プロドラッグ自体の活性型が、注射または他のいくつかの侵襲性の手順により
投与される巨大な分子である場合が目的である。この例は、GM−CSF、EP
O、およびインスリンのような成長因子を含む任意のポリペプチド薬物を含む。
ポリペプチド薬物は、USSN 60/[係属中;代理人事件番号33746−
30011.00]において概要を説明したストラテジーに従ってプロドラッグ
に変換され得る。そのストラテジーは、プロドラッグを不活性ループ配置に形成
するために、架橋試薬を用いることに関する。そのループは、アミノ酸配列にお
けるプロテアーゼ認識配列、または他に架橋試薬内の酵素切断可能基のどちらか
を含む。酵素切断可能架橋剤の例は、USSN 08/883,632において
概要を説明され、そしてグリコシダーゼ、ホスファターゼ、アミダーゼまたはエ
ステラーゼにより切断可能であるものを含む。プロドラッグ活性化を媒介するポ
リペプチド対の組み合わせたエフェクター配列は、ペプチド認識配列または架橋
剤のどちらかに対する一致する触媒活性を有する。
【0052】 他の治療的な実施態様は、薬物ターゲッティングに関する。この場合、組み合
わせたペプチド対の可変領域は、特定の組織または特定の細胞において、標的物
質に対して特異的である。適切な標的物質は、造血系における特定の細胞に対す
るCDマーカーの1つのような組織特異的抗原、造血細胞におけるアシアログリ
コプロテインレセプター、血管壁におけるインテグリン、または肥満細胞のIg
EおよびIgE分泌リンパ球を含む。他の標的物質は、前立腺特異的抗原、ガン
胎児性の抗原、およびガングリオシド(黒色腫細胞において富化される)のよう
な悪性腫瘍マーカー、またはいくつかの感染された細胞によって提示されるウイ
ルスコアタンパク質のような感染性マーカーを含む。一致するエフェクターは、
いくつかの形態を取り得る。1つの形態において、それは、細胞特異的溶解を誘
導するマーカーを有する細胞においてのみ集合する毒素である。別の形態におい
て、それは、プロドラッグアクチベーターである。プロドラッグは、一般的な循
環においてであるが、ポリペプチド対の標的化集合の効力により、標的細胞の表
面近くで活性化されるのみである。適切なプロドラッグは、以前に記載されたも
のを含み、そしてまた、活性化可能な形態における小分子化合物を含む。目的の
ものは、ホスフェート、アセチルまたはアミド基の付加または除去により活性化
可能なものである。
【0053】 薬学的組成物の調製は、薬学的調製物の調製に対する一般的に受容された手順
に従って実施される。例えば、Remington’s Pharmaceut
ical Sciences 第18版(1990)、E.W.Martin編
、Mack Publishing Co.、PAを参照のこと。ヒトの使用に
適した薬学的調製物は、滅菌され、そして実質的に放線菌を含まない。全身性の
分布のために、投与は、代表的に静脈内または筋肉内であるが、他の経路が可能
である;または組成物は、意図した効果の部位の近くに局所的に投与され得る。
組成物の処方は、代表的に、会合対の融合ポリペプチドの両方を含むが、それら
はまた、別々の部位または別々の時間に投与され得る。代わりに、1つまたは両
方のポリペプチドは、裸のDNAまたは対応するコード配列を有する発現ベクタ
ーで置換されて、インサイチュでポリペプチドの発現を可能にし得る。
【0054】 アッセイ試薬としての使用のために意図される場合、ポリペプチド対は、試料
中で検出されるかまたは定量される抗原に対して特異的な可変領域を有する。エ
フェクター配列は、次いで2次試薬で標識化され得るエピトープを形成するため
に簡単に集合し得るが、より代表的には活性酵素を直接形成する。
【0055】 1つのアッセイの実施態様は、組織切片の免疫組織化学のための試薬である。
可変領域は、標的組織における抗原に対して特異的であり、そして酵素は、染色
または高電子密度粒子の沈澱物を触媒する。この様式において、組織は、基質と
混合されたかまたは基質の後のどちらかのポリペプチド対を含む単一の試薬で発
色されて、複数のインキュベーションおよび間接的な免疫染色の洗浄工程を回避
し得る。
【0056】 他のアッセイの実施態様は、分離型アッセイである。固相捕捉を用いる古典的
な免疫アッセイのいずれかまたは別の型の分離は、本発明のポリペプチド対を用
いて適合されそして単純化され得る。1つの実施例において、プラスティック表
面は、抗原特異的捕捉抗体でコートされ、表面は、試料と接触され、次いで、表
面は、ポリペプチド対と接触される。試料中の抗原の存在は、ポリペプチドの抗
原誘導集合により媒介される、基質の産物への迅速な変換により現れる。結合抗
原とポリペプチドとの接触と基質の供給との間に必要とされる洗浄工程は存在し
ない。
【0057】 本発明の融合ポリペプチドは、同種の免疫アッセイのために特によく適合され
る。定量的なアッセイは、試料、ポリペプチド対および基質を含む反応混合物を
調製することに単純に関する。生成物への基質の変換の速度は、集合したポリペ
プチド対の数に直接関連し、順に試料中の抗原の量に直接関連する。抗原の不在
下におけるポリペプチドの二量体化構定数が低い場合、反応混合物の成分は、原
則として任意のオーダーで混合され得る。便宜上、2つのポリペプチドおよび基
質は、予め合わされ得、次いで試料に添加されるとすぐに発色反応が始まる。形
成された生成物(または消費された基質)は、手動でかまたは自動化手順のどち
らかで、混合後の特定の時間で測定され得るか、または速度が、反応の開始に続
いて測定され得る。
【0058】 しかし、ポリペプチドの一過性の集合が、抗原の不在下でさえもいつも起こり
、そしてポリペプチド−基質混合物が、混合後の適切な時点で使用される場合減
衰することが認識される。分析物の不在下における二量体崩壊時間が、数秒を越
える場合、これは、よりいっそう問題である。この場合、反応混合物が、試料お
よびポリペプチド対と最初に調製され、そして基質が後で添加される、2段階反
応が好ましくあり得る。別の可能な選択肢は、使用の時間の近くでポリペプチド
対と基質を予め混合し、そして約0〜4℃で混合物を維持することである。試料
および試薬との反応混合物は、0〜4℃でまずインキュベートされ、次いで37
℃で加温される。可変領域による抗原結合は、しばしば温度に完全に独立してお
り、一方、産物の変換は、しばしば温度感受性であり、変換反応の活性化エネル
ギーに依存する。記載された様式における温度を操作することにより、基質の変
換は、結合反応の時間がほぼ平衡にになり得るまで加温に基づいてのみ始まる。
【0059】 本発明の任意のアッセイの実施態様は、慣用的な臨床化学分析に適している。
適切な生物学的または臨床的試料としては、尿、血漿、血清、および組織学的切
片が挙げられるがこれらに限定されない。検出または定量のための適切な抗原と
しては、フェリチン、前立腺特異的抗原、α胎児タンパク質、ガン胎児性抗原、
hCG、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、プロゲステロン、T3およびT4
、遊離T3およびT4、アルドステロン、インスリンなどのような特定の臨床状
態と関連する抗原が挙げられる。治療において投与される薬物または乱用の薬物
もまた適切である。乱用の薬物としては、LSDおよび他のハルシノーゲン(h
alucinogene)、アンフェタミン、バルビツール酸塩、カンナビノー
ルなどが挙げられる。正確度および精度を最適化するために、ポリペプチドの集
合の際に形成された酵素は、好ましくは、溶液中の深色変化に関する反応である
。本発明の同質アッセイに関する特定の目的の基質は、X−galである。
【0060】 本発明のアッセイにおいて使用される試薬(ポリペプチド対の各メンバー、酵
素基質、および抗原基準物質を含む)は、別々に梱包され得るか、または分配を
容易にするためにキットの形態で任意の組み合わせで梱包され得る。試薬は、適
切な容器において提供され、そして代表的にアッセイ手順のための取扱説明書と
一緒に梱包され提供される。
【0061】 本明細書に記載された全ての特許、特許明細書、論文、および刊行物(前出お
よび下方の両方)は、本明細書中に参考として援用される。
【0062】 本明細書に従う融合ポリペプチドの開発および使用のさらなる例示は、以下の
実施例の章に提供される。実施例は、当業者の開業医のためのさらなるガイドと
して提供され、そしていずれの方法においても制限されることを意味しない。
【0063】 (実施例) (実施例1:VLおよびVHの抗原依存性会合) この実施例は、タイトルHyHEL−10を有する抗ニワトリ卵リゾチーム(
抗HEL)モノクローナル抗体由来の可変領域配列を用いて実施された結合実験
を記載する。Fvフラグメントは、排除クロマトグラフィーにより測定される場
合、39kDaのサイズの3分子複合体を形成することが以前に公知であった。
滴定マイクロ熱量測定法により測定されたその会合定数(Ka)は、30℃で4
.2×108-1と同程度であると以前に報告された。
【0064】 Fvフラグメントを、本質的にTsumotoら(J.Biol.Chem
269:28777、1994)に記載されたように、pKTN2で形質転換さ
れたBL21(DE3)により発現した。VLおよびVHを、緩衝液勾配(0〜2
M NaClを含む20mM Tris緩衝液(pH8.8))を用いたFPL
C MonoQ HR5/5アニオン交換カラム(Pharmacia)で分離
した(これらの条件下で本質的にVLは吸着しない)。あるいは、可変領域配列 を別々に発現し、65%硫酸アンモニウムで沈澱し、水に溶解し、0.1Mリン
酸緩衝液中で透析し、そして必要に応じてDEAE樹脂を用いてさらに精製した
。さらに詳細については、読者は、Uedaら、Nature Biotech
nology 14:1714、1996を参照する。
【0065】 SPRバイオセンサーBIAcoreTMまたはBiacoreTM2000(P
hrmacia)を用いて、室温で結合動力学を分析した。測定を一般に、5μ
l/分のHBS緩衝液(10mM HEPES(pH7.44)、150mM
NaCl、3.4mM EDTA、0.05% TweenTM20)の連続流で
行なった。野生型または変異型VLフラグメントへのVHフラグメントまたはHE
Lの結合を測定するために、最小量の精製タンパク質を緩衝液として5mM蟻酸
(pH3.2)を用いてCM5センサーチップにアミン結合により固定した。V H およびHEL濃度の種々の組み合わせでの試料を、HBSに希釈し、そしてイ ンジェクションした。可能なかぎり変性を防ぐために、使用の直前にストックV H 溶液を解凍し、希釈し、そして4℃で5分間、15krpmで遠心分離した。
【0066】 HELは、速いオンおよびオフ速度でVL固定化センサーチップにかなりの数 の結合を示した。一方、VHフラグメントだけは、ベースラインの僅かな増加を 除いて、応答単位(RU)の時間依存的な増加を示さなかった。1.84μMま
での濃度で、VHはVLチップに結合しなかった。対応するVLとのHyHEL− 10VHの平衡定数は、検出限界未満(<105/M)であった。
【0067】 VHの会合を無能にする固定化VLの一部分の配向に起因し得る二相性の解離を
観察した。この可能性を試験するために、VHインターフェースに位置された1 つのリジン残基(Lys47)のトレオニンへの変異を有する変異VLを作製し て、可能なフラグメント会合を排除した。HyHEL−8 VLに相同であるこ の変異(VLK49T)を有するモノクローナル抗体(Mab)は、抗原結合ア フィニティーを保持している(Lavoieら)。変異VLを発現し、精製し、 そしてセンサーチップ上に固定化した。VH(1.9μM)の固定化濃度および 種々の濃度のHEL(0〜1.4μM)を含む分析物をセンサーチップに適用し
た場合、非常に遅い解離が観察された。1.4μM HEL(600秒〜800
秒)のRUから計算されたKdは、2.73×10-5±1.43×10-6/秒で あった。解離相中のRUレベルは、HEL濃度と相関した。野生型VLチップの 場合として、非常に少量のVHフラグメントが、HELの不在下においてVL( K49T)センサーチップに結合することを観察した。結果は、センサーチップ
上でHEL誘導Fv安定化を示した。
【0068】 会合速度定数は、HEL濃度に依存する6.36×103/M/秒(1.4μ Mで)から9.28×104/M/秒(88nMで)まで変動する単純な2分子 モデルに基づいてカーブフィッティングすることにより得た。適切な平衡会合定
数K-2を、ほぼ熱量計によって得られた値である2.3×108〜3.4×109 /Mであることを計算した。
【0069】 過剰にビオチン化した野生型VLフラグメントをVLプレート調製に使用した場
合、吸収応答を激しく阻害した。これは、Lys49のビオチン化により引き起
こされたと考えられる。なぜなら、他のリジンまたはN末端NH2基は、HEL またはVHとのファンデルワールス接触の範囲でないからである。
【0070】 理論により限定された解釈なしに、抗原依存性Fv安定化の可能な機構の1つ
は、HELへのVHおよびVLの同時の結合が、VL-H表面残基のいくつかの構 造変化を誘導し、複合体の安定化の増加を導くことである。
【0071】 (実施例2:繊維状ファージを用いたVLおよびVH結合試験) (HyHEL−10のVL−ドメインポリペプチドの調製) HELに対して特異的である抗体HyHEL−10のVHおよびVLの構造遺伝
子の上流にpe1Bシグナルペプチド配列をコードするベクタープラスミドpK
TN2(Tsumoto,Kら、J.Biol.Chem.69、28777〜
28782、1994)から、pe1B、VLおよびssi転写終結配列をコー ドするその670bp部分を、制限酵素NheIおよびEcoRIにより切断し
、アガロース電気泳動で精製した。このDNAフラグメントを、制限酵素Xba
IおよびEcoRIを用いることにより、T7プロモーターを有するベクターp
ET20b(Novagen Inc.)を消化することにより得られたDNA
フラグメントと連結し、VL−発現ベクターpETVLhelを調製した。次い で、そのゲノム上にT7ポリメラーゼ遺伝子を有するE.coli BL21(
DE3)をこのベクターで形質転換し、そして形質転換細胞をLB培地中で30
℃で培養した。細胞が、1L培地中で飽和密度に達したとき、それらを遠心分離
により収集し、そして0.5m MPTGを含む新鮮な1LのLB培地に再懸濁
し、次いで、さらに24時間連続的に培養した。細胞を遠心分離により再び収集
し、次いで、硫酸アンモニウムを、66%飽和までその上清に添加し、それによ
り上清中のタンパク質を沈澱させた。沈澱物を遠心分離により収集し、そして少
量の水に溶解した。水溶液を10mMリン酸緩衝液(pH7.0)中に透析し、
そして続いて1/4体積のDEAEセルロースを培地中のVL以外のタンパク質 を吸着させるために添加した。このプロセスを2回以上繰り返すことにより、9
5%以上の精製度でVL−ドメインポリペプチドを得る。
【0072】 (M13ファージ上に提示されたHyHEL−10のVH−ドメインポリペプ チドの調製) 最初に、プルック(pluck)2000(日本特許公開第129516/1
995号)のベクター部分pTZ18UをpTZ19Uに改変することにより、
ベクタープラスミドプルック2001を調製した。このプルック2001は、p
e1Bシグナルペプチド配列、HyHEL−10のVLおよびVH構造遺伝子の部
分、c−mycタグ、M13ファージ遺伝子3タンパク質(g3p)のC−末端
、M13起源アンピシリン耐性遺伝子、およびプラスミドpUCシリーズ由来の
起点を有する。続く操作を実行し、ベクタープラスミドプルック2001からV L 構造遺伝子を除去した。すなわち、pe1Bシグナル配列およびVH構造遺伝子
とそれらのコドンの読み枠に一致する下流のc−mycタグおよびg3c C末
端とを組み合わせるために、PCR反応をテンプレートとしての1ngのプルッ
ク2001および配列番号1および2においてそれぞれ同定された50pmol
の各プライマーを使用して、2.5ユニットのPfu DNAポリメラーゼ(S
tratagene)、最終濃度0.2nMのdNTPおよび10μlの10×
反応液を含む100μlの反応液中で実施した。次いで、このように得られた3
80bpのDNAフラグメントを、制限酵素SfiIおよびNotIで消化し、
そしてSfiIおよびNotIで消化されたプルック2001ベクターのフラグ
メントと連結した。生じたプラスミドの制限酵素分析から、これは標的の1つで
確認され、そしてプルック2010と名付けた。E.coli XL−1Blu
e(Δ(lac)、endA1、gyrA96、hsdR17(rk-、mk+
、recA1,re1A1、supE44、thil、[F’、laclq、l
acZ ΔM15、proAB、TM10(tet’)])をプルック2010
で形質転換し、そしてコロニーを12.5mg/lのテトラサイクリンおよび1
%グルコースを含む5mlのLB培地中で37℃で一晩培養した。この培養物か
ら、50μlを取り出し、25μlのM13VCSファージ(Stratage
ne SC200251、>101 pfu/ml)と、37℃で20分間混合 した。次いで、混合物を100mg/lのアンピシリンおよび70mg/lのカ
ナマイシンを含む5mlのLB培地に移し、16時間37℃で多種の振盪で培養
した。培養物を細胞を除去するために遠心分離に供し、そしてその上清をファー
ジ溶液として使用されるまで4℃で貯蔵した。
【0073】 (マイクロタイタープレートへのVLおよびHELの固定化およびVH−ファー
ジを用いるELISA) マイクロタイタープレートへVLおよびHELを固定化するために、それらを 製造者の指示書に従ってビオチンNHS(Pierce)でビオチン化した。1
0μg/mlのストレプトアビジン(Wako)を含むPBS(10mMリン酸
緩衝液(pH7.2)、150mMNaCl)溶液を、1ウェルあたり100μ
lの割合でマイクロタイタープレート(Falcon3912)に注ぎ、そして
プレートにストレプトアビジンを吸着させるために4℃で一晩保存した。溶液を
除去した後、プレートを200μ1の結合緩衝液(2%スキムミルク/PBS)
で、室温で1時間ブロックした。このようにして得られたストレプトアビジンプ
レートを0.1% TweenTM20を含むPBS(PBS−T)で2回洗浄し
、そして連続して10mg/mlの濃度にPBSで希釈されたビオチン化リゾチ
ームをプレートに100μ1注ぎ、そして1時間室温で保存した。溶液の除去後
、プレートをPBS−Tを用いて2回すすいだ。このプレート中に0、0.1m
g/mlまたは10mg/lのVLをPBS中に含む10μ1の試料、および3 0分前に等量の結合緩衝液と混合された90μlのVH−ファージ溶液を添加し 、そして生じた混合液を1時間37℃でインキュベートした。さらに2回洗浄し
た後、結合緩衝液中に100μlの1/5000希釈されたペルオキシダーゼ標
識化抗M13抗体(Pharmacia)を添加した。プレートを37℃で1時
間後に5回洗浄し、次いで、プレートに固定されたM13ファージの定量のため
にオルトフェニルエネジアミンを用いて通常の色発色法により490nmでの吸
収に対して、試料を測定した。
【0074】 別の実験もまた、ビオチン化リゾチームの代わりにビオチン化VLを、および 試料としてのVLの代わりにリゾチームを使用して実施され、そして得られた結 果を最初の実験の結果と比較した。
【0075】 結果を図2に示す。この図において、VL1−0は、ビオチン化VLのバッチ1
が、プレートにおける固相上に固定化され、そしてVHファージおよび0μg/ mlHELをインキュベーションのためにその中に添加したことを意味する。こ
の場合、ビオチン化VLのバッチ1を350μ1の0.1mo1/1 NaHC O3(pH8.3)、150mmo1/1 NaCl中の精製された500μg のVLを混合することにより調製し、そして3.5μ1のDMSO中の100μ gのビオチン−NHCを混合し、30分間室温で反応し、その後、0.02%ア
ジ化ナトリウムを含むPBS中で透析した。VL1について、HELの最終濃度 0.1および10μg/mlをそれぞれ有する試料で測定をした。ビオチン化さ
れたVLすなわちVL2(3.5μ1のVL1のビオチン−NHS溶液の代わりに 1μlのビオチン−NHS溶液を使用して調製した)のバッチ2を固相上に固定
化し、測定をまた同様の方法で実施した。さらに、−−HEL−0は、ビオチン
化HELをプレートの固相上に固定化し、VH−ファージと共に0μg/mlの 濃度のVLをインキュベーションのためにその上に添加したことを意味する。試 験したVLの濃度は、0μg/ml、1μg/mlおよび10μg/mlであっ た。VH−ファージを独立したのコロニーの3種類のファージ試料(ファージ1 、2および3)から調製した。
【0076】 図2に示すように、結合したM13ファージの量が、試料中の同時に存在する
タンパク質(HELまたはVL)の増加する濃度と共に増加し、両方の場合にお いて、VLおよびHELは、プレートの固相上に固定化されることが確認された 。
【0077】 (VH−ファージを用いたELISAによる試料中のHEL濃度の測定) 上記の手順(c)と同様に、プレートの固相上にビオチン化VLを固定化する ことにより、および試料中のHEL濃度を変化させることにより、結合したVH
−ファージの量を測定し、そして測定に基づき校正曲線を描いた。
【0078】 結果を図3に示し、これは本発明の方法が高感度であり、そして最終濃度が0
.015μg(15ng)/mlまたはそれより高い抗原を測定するのに十分再
現性があることを示す。この感度は、本質的に従来のサンドウィッチELISA
法により提供されるのと同じである。
【0079】 (実施例3:酵素レポーター分子を用いた分離アッセイ) (E.coliアルカリホスファターゼ発現についてのプラスミド調製) E.coli XL1−blueの染色体DNAを、公知の方法(Sambr
ook、Fritsh、Maniatis、「Molecular Cloni
ng、第2版」、1989)により抽出し、アルカリホスファターゼ(この遺伝
子: PhoA、EC3.1.3.1)をコードする1450bpの部分を、P
CRによって増幅した。PCR産物の末端にNotI部位を付加するために、配
列番号3および4のオリゴヌクレオチドを、PCRプライマーとして使用した。
より具体的には、35サイクルのPCRプロセスを、それぞれ、50pmolの
プライマーを含有する、100μlの反応液中のテンプレートDNAとしてのE
.coli XL1−Blueの1ngの染色体DNA、および2.5ユニット
のTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmers)を用いて実施し
た。PCRによって得られたアルカリホスファターゼ遺伝子フラグメントを、制
限酵素NotIで消化し、そしてアガロース電気泳動において精製した。発現ベ
クターpET20b(Novagen Inc.)を、NotIで消化し、ウシ
小腸由来ホスファターゼ(Takara)で処理し、そしてアルカリホスファタ
ーゼDNAフラグメントと連結した。生成されたプラスミドの制限酵素分析から
、このプラスミドが標的のプラスミドであることが確認され、pAPと名づけら
れた。
【0080】 (VH−アルカリフォスファターゼ発現プラスミドの調整) ベクタープラスミドpKTN2(pelBbシグナル配列をコードする480
bpの部分、およびVHをPCRによって増幅し、PCR産物に3’末端Hin dIII部位を付加するために、配列番号5および6のオリゴヌクレオチドを、
PCRプライマーとして用いた。さらに詳細には、PCR反応を、50pmol
ずつのプライマーを含む100μlの反応液中のテンプレートDNAとしてのp
KTN2プラスミド、および2.5ユニットのPfu DNAポリメラーゼを用
いて行った。得られたDNAフラグメントを、EcoRVおよびHindIII
を用いて消化し、そしてアガロース電気泳動により精製した。得られた産物を、
EcoRVおよびHindIIIで消化したpAPと連結し、そしてアガロース
電気泳動により精製した。このようにして、VH−アルカリホスファターゼ(VH −AP)発現プラスミドを調製した。このプラスミドの制限酵素分析より、この
プラスミドは、標的のプラスミドであると確認され、pVHAPと名づけられた 。
【0081】 (E.coliにおける、VH−APキメラタンパク質の発現および精製) 自身のゲノム中にT7ポリメラーゼを有する、E.coli BL21(DE
3)LysSを、塩化カルシウム法により、pVHAPで形質転換し、そして、 1.5%寒天および抗生物質(50 mg/l アンピシリンおよび34mg/
lクロラムフェニコール)を含むLB培地中で37℃で一晩培養し、コロニーを
形成させた。これらのコロニーを、抗生物質(50mg/lのアンピシリンおよ
び34mg/lクロラムフェニコール)を含む5mlのLB培地に移し、28℃
で再び一晩培養した。飽和密度に達した細胞を、遠心分離法により集め、そして
抗生物質(50 mg/l カルベニシリンおよび34mg/lクロラムフェニ
コール)を含む新鮮な50mlのLB培地中に懸濁した。これに続いて、それら
を3〜4時間28℃で培養し、次いで1リットルの培地に移した。細胞密度が、
OD600=0.3〜0.4に達したときに、最終的に0.1mMのIPTGを加 え、VH−APキメラタンパク質の発現を誘導した。細胞を一晩培養し、そして 20μlの培養液を直接用い、これらをSDSポリアクリルアミド電気泳動に供
して標的タンパク質が発現していることを確かめた。細胞を、遠心分離によって
集め、超音波処理緩衝液(59mM NaH2PO4、10mM Tris−HC
l:pH8.0)中で溶解した。次いで、細胞壁をフレンチプレスで破壊し、不
溶性画分を、SW50.1ローターを用いた超遠心分離(3200 rpmにて
1時間)によって取り除き、溶解産物を調製した。
【0082】 得られたVH−APキメラタンパク質を、2段階で精製した。1段階目は、タ ンパク質のC末端にコードされている6×His配列を用いたTALONTM
etal Chelating Columnにより、そして2段階目は陰イオ
ン交換カラムによって行なった。最初に、TALONTM金属キレート樹脂(Cl
ontech Laboratories Inc.による;カラム上部に2m
l)および20mlのタンパク質溶液を50mlのチューブ中で4℃で1時間穏
やかに攪拌し、カラム上に、ポリヒスチジン配列を有するタンパク質を吸着させ
た。樹脂を5mlのカラムに移し、そこで樹脂を洗浄し、そして20mMのME
S−Na緩衝液で溶出した。得られた画分のうち、タンパク質を含む画分を収集
し、そして透析チューブにアプライした。タンパク質を含む画分を、適切な量の
PEG6000で外側を覆うことにより濃縮し、次いで20mMのTris−C
l溶液(pH8.0)中で透析し、そして陰イオン交換カラム(MonoQ H
R5/5、Pharmacia)にアプライした。得られた画分を、SDSポリ
アクリルアミド電気泳動によって確認した。VH−APキメラタンパク質のみを 含む画分を収集および濃縮し、次いでTris溶液(0.1M Tris−Cl
、0.1M NaCl:pH8.0)中で透析を行った。これら上首尾な精製操
作を、標的キメラタンパク質が、SDSポリアクリルアミド電気泳動で一本のバ
ンドとして同定され得るまで行なった。得られたタンパク質を、BCAタンパク
質アッセイ(Pierce)により濃度について測定し、そして測定に使用する
まで4℃で保存した。
【0083】 (VH−アルカリホスファターゼを用いたHEL濃度の測定) 実施例1と同様に調製したVLプレートを用いて、PBS中に種々の濃度のH ELを含んだ10μlのサンプルおよび90μlのVH−APキメラタンパク質 溶液(0.1M Tris HCl中に4μg/ml:pH8.0)をそれぞれ
のウェルに加え、そして室温で2時間インキュベートした。それぞれのウェルを
0.1% Tweenを含んだPBS(PBS−T)を用いて4回洗浄し、基質
(1mM 4−ニトロフェニルホスフェート、Wako)を各ウェルに付き10
0μlの割合で加え、そして1時間30分経った後、発色(黄色)を410nm
の吸光度で測定した。
【0084】 その結果を図4に示す。この図は、1時間反応させた後のHELの最終濃度に
対して吸光度をプロットしたものであり、このプロットされた図は、2つの測定
値の平均である。この図から明らかなように、本発明の方法は、最終濃度が1n
g/mlである抗原物質の高感度でかつ再現性がある測定を保証することが確認
された。このアルカリホスファターゼをレポーター分子として用いることにより
達成されるこの測定感度は、繊維状ファージを用いた実施例1において報告され
た測定感度の約10倍である。
【0085】 (実施例4:蛍光色素を用いた均質アッセイ) (VHおよびVLの調製) 抗体HyHEL−10のVHおよびVLドメインの「構造」遺伝子およびベクタ
ープラスミドpKTN2を用いて、そして公知の手順もまた用いHyHEL−1
0のFvフラグメントを調製した。E.coli BL21(DE3)をpKT
N2で形質転換し、そして50m/lのアンピシリンを含んだ5mlのLB培地
中で30℃で培養し、続いて細胞密度が飽和に達するまで、50mlおよび1リ
ットルの培地中で連続的に培養した。細胞の収集後、それらを、0.4mM I
PTGを含む同じ培地中で24時間培養し、そして遠心分離物からの上清を、6
6%飽和硫酸アンモニウムを用いて塩析に供し、その沈殿物を50mMリン酸(
pH7.2)および0.2M NaCl中で透析した。1サイクルの遠心分離(
10k/rpm、10分間)後、サンプルを、同じ緩衝液で平衡化させたHEL
アフィニティーカラム(マニュアルに従い、10mg/mlのHELをPhar
macia Co.により製造されたCNBR活性化Sepharose(登録
商標)4Bに固定化した)に吸着させ、100mlの0.1M Tris−HC
l(pH8.5)および0.5M NaClで洗浄し、そして0.1Mのグリシ
ン緩衝液(pH2.0)10mlで溶出させた。溶出後直ちにサンプルを、等量
の1M Tris−HCl(pH7.5)により中和した。
【0086】 このプロセスにより、およそ10mgのFvフラグメントが、回収された。F
vフラグメントを、50mM Tris−HCl(pH8.8)中で透析し、そ
して陰イオン交換クロマトグラフィーカラム(MonoQ HR5/5、 Ph
amarcia Co.)により、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドに分
離した。VLはカラムにほとんど吸着されないので、非結合画分をVLとして得、
そして結合画分をVHとして得ることにより、VHおよびVLは、比較的容易に分 離し得る。分離後の両方のポリペプチドの純度は、SDSポリアクリルアミド電
気泳動により確認した場合、90%以上であることがわかった。
【0087】 (蛍光色素によるVHおよびVLの標識) 285μgの精製したVH(0.5 ml)を、0.2Mのリン酸ナトリウム (pH7.0)および0.1M NaClで透析した。ジメチルスルホキシド中
の、10mM(約5mg/ml)のフルオレセインスクシンイミドエステル(M
olecular Probes Inc.、Eugene、USA)4.5μ
lをこの透析した物質に加えた。混合物を十分に攪拌し、そして4℃で10時間
反応させる。同時に、ジメチルスルホキシド中の、10mM(約5mg/ml)
のローダミンXスクシンイミドエステル(Molecular Probes
Inc.、Eugene、USA)を4μlを235μgの精製し、同じ緩衝液
中で透析したVL(0.5ml)に加えた。混合物を十分に攪拌し、4℃で10 時間反応させた。タンパク質の色素に対するモル比は、1:2であった。等容量
の1M Tris−HCl(pH7.5)を加え、反応を終了させた。混合物を
、0.2M リン酸ナトリウム(pH7.0)および0.1M NaClで平衡
化したPD−10カラム(Pharmacia Co.)にゲル濾過するために
置き、そして未反応の色素を取り除いた。
【0088】 (HEL濃度の測定) 20μlのフルオレセイン標識したVHおよび25μlのローダミンXで標識 したVLを、0.2M リン酸ナトリウム(pH7.0)、0.1M NaCl 、および1%ウシ血清アルブミンから構成される溶液に加えた。混合物をキュベ
ットへ移し、そしてHITACHI850型の分光光度計を用いて、490nm
で励起して、500nmから650nmの範囲の蛍光波長で発光スペクトルを4
℃で測定した。常に攪拌しながら、HELを混合物に最終濃度が連続的に10n
g/mlから1mg/mlに増加していくように加え、そして発光スペクトルの
変化を記録した。
【0089】 その結果、HEL濃度が増加するにつれ、530nmでの蛍光のピーク強度は
減少し、そして603nmでのエネルギー伝達由来蛍光ピーク強度は増加するこ
とが観察された。変化が生じるために必要な時間は、数秒以内であった。図5に
示したように、3つの独立した実験により、620nmと530nmとの間の蛍
光ピーク強度の比の値の変化をとることにより、再現性がある抗原HELの濃度
の測定が可能となったことが示された。
【0090】 (実施例5:リンゴ酸デヒドロゲナーゼエフェクターとの融合ペプチドの構築
) 本実施例において、ミトコンドリアリンゴ酸デヒドロゲナーゼにもとづいた酵
素エフェクター配列を有する1対の融合ポリペプチドを得る。
【0091】 3次元コンピューターモデリングを、公知のアミノ酸配列およびBrookh
aven データベースから利用可能なX線結晶データを用いて行った。モノク
ローナル抗体HyHEL−10の重鎖および軽鎖の可変領域の配列を、インタク
トなFvフラグメントの結晶構造に課した。同種または異種のサブユニットを有
する種々の候補酵素を検討して、ポリペプチド鎖の末端によりつながれる距離が
、Fvフラグメントの2つのC末端アミノ酸によってつながれる距離とマッチす
るかどうかを決定した。結果を表1に示す:
【0092】
【表1】
【0093】 リンゴ酸デヒドロゲナーゼは、このタイプの構築物のために多数の利点を有す
る。3D構造は、1.87オングストロームまでが公知である;これは、末端の
間の距離が、VHおよびVLへ融合するのに適したホモダイマーである。融合した
タンパク質は、必要であれば、予想され得る活性を全く失うことなく、酵素のN
末端またはVHおよびVLのC末端の数アミノ酸を欠失することによって、任意に
互いに近い距離とし得る。リンゴ酸デヒドロゲナーゼは、ピコモル濃度の範囲の
検出限界を有する高感度アッセイに用いられ得る。リンゴ酸デヒドロゲナーゼは
、血漿または標準的な臨床アッセイにおいて試験されるようである他の生物学的
液体中に存在しない。リンゴ酸デヒドロゲナーゼは、他の臨床化学技術において
証明された標識であり、そして安定である。ミトコンドリアのリンゴ酸デヒドロ
ゲナーゼは、アロステリックに調節される。さらに、触媒作用のメカニズムは理
解されており、これは、望まれる他の基質への適応を容易にするはずである。
【0094】 図6は、複合体化した配置中の融合ポリペプチド対のポリペプチドバックボー
ンの予想される3次元構造を示す。2つの実線は、抗HEL抗体のVHドメイン およびVLドメイン(左および右)を示す。抗原(鶏卵リゾチーム)の存在下で は、これらのドメインは、示した様式で会合すると予想される。リンゴ酸デヒド
ロゲナーゼホモダイマー構造を、破線で示す。この構造は、酵素の2つのN末端
が可変領域の配列のC末端と対応するように回転させた。別々の可変領域ドメイ
ンのそれぞれとリンゴ酸デヒドロゲナーゼサブユニット(いくつかのアミノ酸が
除去されている可能性のある)との融合を、構造のゆがみもサブユニット間の相
互作用の妨害も起こすことなく行ない得る。
【0095】 図7は、cDNAライブラリーからの、ミトコンドリアリンゴ酸デヒドロゲナ
ーゼ(MDH)をコードする領域の上首尾な増幅を示す。クローニングベクター
中で隣接する配列にハイブリダイズするPCRプライマーを調製した。トラック
1(バンド無し):細胞質MDH特異的プライマーにより調製し、ミトコンドリ
アMDH特異的プライマーにより増幅したcDNA。トラック2(約1 kbの
バンド):細胞質MDH特異的プライマーにより調製し、細胞質MDH特異的プ
ライマーにより増幅したcDNA。トラック3(バンド無し):ミトコンドリア
MDH特異的プライマーにより調製し、細胞質MDH特異的プライマーにより増
幅したcDNA。トラック4(約1 kbのバンド):ミトコンドリアMDH特
異的プライマーにより調製し、ミトコンドリアMDH特異的プライマーにより増
幅したcDNA。トラック6〜8(バンド無し):コントロール。トラック9(
ラダー):分子量標準。
【0096】 配列番号7および8は、HyHEL−10の重鎖のアミノ酸配列および部分的
な核酸配列を提供する。配列番号9および10は、HyHEL−10の軽鎖のア
ミノ酸配列および核酸配列を提供する。配列番号11および12は、マウスMD
Hのアミノ酸配列および核酸配列を提供する。配列番号13および14は、ブタ
MDHのアミノ酸配列および核酸配列を提供する。
【0097】 MDHサブユニット界面の種々のアミノ酸が、二量体化定数が減少するように
置換されたMDH改変体を設計する。この界面は、図6に示される構造より容易
に同定され、そして、約3残基が種々の組み合わせで変化している。会合の程度
を、直接分子量分析またはBIAcoreTM結合(実施例1に概要を記載した通
り)のいずれかにより決定する。次いで、それら単独では二量体化しない候補を
、リンゴ酸基質の存在下での二量体化について再スクリーニングする。
【0098】 次いで、組換えポリヌクレオチドを、軽鎖のL108または重鎖のHis11
6を候補改変MDH配列のN末端に連結させて調製する。発現される融合ポリペ
プチドを、基質駆動会合についてではなく、抗原駆動会合についての判定基準に
ついて試験し、そして融合ポリペプチドがリンゴ酸の変換を触媒する抗原依存能
力を試験する。エフェクターサブユニット界面のアミノ酸または可変ドメイン配
列とエフェクター配列との間の結合を調整する配列の変更および試験のさらなる
くり返しを、必要に応じて行ない、ポリペプチド対の特性を最適化する。 参考文献
【0099】
【表2】
【0100】
【0101】 米国特許第4,859,609号、Dullら、Hybrid recepto
rs convenient for assay 米国特許第5,030,576号、Dullら、Hybrid recepto
rs convenient for assay さらなる参考文献が、本明細書を通じて様々な箇所で見出され得る。
【0102】
【表3】
【0103】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に従う試料中の抗原濃度を測定するための手順を例示する、ブ
ロックダイアグラムである。
【図2】 図2は、可変分析の存在下で、ビオチン化されたVLまたはビオチン化された ニワトリ卵リゾチーム(HEL)に結合するVHファージの量を示す棒グラフで ある。
【図3】 図3は、プレート中の固相上に固定されたビオチン化VLに結合するVHファー
ジの量に基づいて調製された、HELの濃度に関する検量線である。
【図4】 図4は、HEL濃度対試料の吸収をプロットしたグラフであり、これはプレー
ト中の固相上に固定されたビオチン化VLに結合するアルカリホスファターゼ標 識されたVHの量を示す。
【図5】 図5は、フルオレセイン標識されたVHとローダミンX標識されたVLとの間の
蛍光強度比におけるHEL濃度対増加をプロットしたグラフである。
【図6】 図6は、抗原の存在下で相互作用する、本発明の2つの融合ポリペプチドを表
す線画である。可変領域配列(直線によって示される)は、エフェクター配列(
点線によって示される)の相互作用を駆動し、それは酵素活性を再編成する。こ
の実施例において、組み合わせた可変領域はこのモデル抗原のニワトリ卵リゾチ
ームに特異的であり、そしてエフェクター配列はミトコンドリアリンゴ酸デヒド
ロゲナーゼの単量体サブユニットである。
【図7】 図7は、ミトコンドリアリンゴ酸デヒドロゲナーゼに対するクローン化したコ
ード領域のサイズを示す、ゲルのハーフトーン複写物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウインター, グレッグ イギリス国 シービー2 1ティーキュー ケンブリッジ, トリニティー カレッ ジ (番地なし) Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA07 CA01 CA04 CA07 DA06 EA04 GA11 HA01 HA03 4B050 CC03 LL01 LL03 4H045 AA10 BA41 CA40 DA76 DA89 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗原存在下において相互に複合体を形成する一対の融合ポリ
    ペプチドであって、以下; a)第1のエフェクター配列に連結される第1の可変ドメイン配列を含む、第1
    の融合ポリペプチド; b)第2のエフェクター配列に連結される第2の可変ドメイン配列を含む、第2
    の融合ポリペプチド; から構成され、 ここで、該融合ポリペプチドを含む溶液における該抗原の存在が、該第1の可
    変ドメイン配列と該第2の可変ドメイン配列との間の複合体形成を促進し; ここで、該第1のエフェクター配列および該第2のエフェクター配列は、それ
    ぞれ該第1の可変ドメイン配列および該第2の可変ドメイン配列に結合されない
    場合、抗原を含む溶液において相互に複合体を形成せず; そして、ここで該抗原の存在下において該融合ポリペプチドにおける該第1の
    可変ドメイン配列と該第2の可変ドメイン配列との間の複合体形成が、該第1の
    エフェクター配列と該第2のエフェクター配列との間で複合体を形成する、 一対の融合ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 前記第1の可変ドメイン配列および前記第2の可変ドメイン
    配列がそれぞれ、VHおよびVL配列である、請求項1に記載の一対の融合ポリペ
    プチド。
  3. 【請求項3】 前記第1のエフェクター配列および前記第2のエフェクター
    配列が、一対の酵素フラグメントまたは一対の毒素フラグメントである、請求項
    1または請求項2に記載の一対の融合ポリペプチド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の一対の融合ポリペプチドで
    あって、前記第1のエフェクター配列および前記第2のエフェクター配列が、基
    質の生成物への変換のための触媒活性を提供することを補完する酵素の2つの同
    一または同一でないフラグメントであり; そしてここで、該基質の該生成物への変換が、該2つの融合ポリペプチドを含
    むが抗原を含まない溶液においてよりも、該2つの融合ポリペプチドおよび該抗
    原を含む溶液においてさらに迅速に起こる、一対の融合ポリペプチド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の一対の融合ポリペプチドで
    あって、前記第1のエフェクター配列および前記第2のエフェクター配列が、基
    質の生成物への変換のための触媒活性を提供することを補完する酵素の2つの同
    一または同一でないフラグメントであり; そしてここで、前記第1の融合ポリペプチドおよび前記第2の融合ポリペプチ
    ドが、前記抗原存在下において相互に複合体を形成する場合を除いて酵素活性を
    有さない、一対の融合ポリペプチド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載の一対の融合ポリペプチドで
    あって、前記第1のエフェクター配列および前記第2のエフェクター配列が、基
    質の生成物への変換のための触媒活性を提供することを補完する酵素の2つの同
    一または同一でないフラグメントであり; そしてここで、該基質は該2つの酵素フラグメント間の複合体形成を促進しな
    い、一対の融合ポリペプチド。
  7. 【請求項7】 前記触媒活性がNDPキナーゼ、エノラーゼ、アスパラギン
    酸デヒドロゲナーゼ、およびリンゴ酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択され
    る、請求項4〜6のいずれかに記載の一対の融合ポリペプチド。
  8. 【請求項8】 前記第1のエフェクター配列および前記第2のエフェクター
    配列が、ミトコンドリアリンゴ酸デヒドロゲナーゼの単量体サブユニットに少な
    くとも約80%同一で各々独立している、請求項1〜7のいずれかに記載の一対
    の融合ポリペプチド。
  9. 【請求項9】 前記第1の融合ポリペプチドおよび前記第2の融合ポリペプ
    チドが分析物の非存在下の溶液において本質的に分離したままである、請求項1
    〜8のいずれかに記載の一対の融合ポリペプチド。
  10. 【請求項10】 前記第1の融合ポリペプチドおよび前記第2の融合ポリペ
    プチドが共有結合的に束縛される、請求項1〜8のいずれかに記載の一対の融合
    ポリペプチド。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の一対の融合ポリペプチ
    ドを調製する方法であって、以下の工程、 a)第1の可変ドメイン配列および第2の可変ドメイン配列を選択する工程であ
    って、ここで溶液における前記抗原の存在が該可変ドメイン配列間での複合体形
    成を促進する工程; b)該抗原を含む溶液において相互に複合体を形成しない第1のエフェクター配
    列および第2のエフェクター配列を選択する工程; c)該第1の可変ドメイン配列が該第1のエフェクター配列に連結される第1の
    融合ポリペプチド、および該第2の可変ドメイン配列が該第2のエフェクター配
    列に連結される第2の融合ポリペプチドを調製する工程;ならびに、 d)該第1の融合ポリペプチドが、溶液が該抗原を含む場合、該溶液において安
    定化される該第2の融合ポリぺプチドと複合体を形成することを確認する工程、
    を包含する、方法。
  12. 【請求項12】 抗原の存在に依存する様式において基質を生成物に変換する方
    法であって、該抗原、該基質、および請求項4〜8のいずれかに記載の一対の融
    合ポリペプチドを含む環境を作る工程を包含する、方法。
  13. 【請求項13】 試料における抗原を検出する方法であって、以下の工程、 a)該試料および請求項1〜10のいずれかに記載の一対の融合ポリペプチドを
    含む反応混合物を調製する工程; b)前記第1のエフェクター配列と前記第2のエフェクター配列の間で形成され
    る複合体を測定する工程;ならびに、 c)工程b)で測定された該複合体と、該試料における該抗原の存在、非存在、
    または量とを相関する工程、 を包含する、方法。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の方法であって、前記第1のエフェクター配
    列および前記第2のエフェクター配列が、基質の生成物への変換のための触媒活
    性を提供することを補完する酵素の2つのフラグメントであり、ここで工程a)
    で調製された反応混合物がさらに該基質を含有し、そしてここで工程b)の測定
    する工程が該反応混合物において形成された該生成物を測定する工程を包含する
    、方法。
  15. 【請求項15】 請求項13または請求項14に記載の、試料における抗原を検
    出するためのキットであって、請求項1〜10のいずれかに記載の一対の融合ポ
    リペプチドの各々を含むパッケージを包含する、キット。
JP2000521118A 1997-11-14 1998-09-24 抗原存在下においてエフェクター複合体を形成する可変領域融合ペプチド Withdrawn JP2002502585A (ja)

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