【発明の詳細な説明】
pADPRTインヒビターを用いる炎症および炎症性疾患の処置法
本発明は、動物または哺乳類の炎症および関節炎を含む炎症性疾患の処置法に
関する。また本発明は、全身性感染から生じるまたはリポ多糖類によるインフェ
ステーションから生じる、グラム陰性およびグラム陽性内毒素症状の両方を持っ
動物または哺乳類の処置法にも関係する。これらの方法には、治療上有効量のp
ADPRT抑制化合物の使用が必要である。
背景技術
pADPRT抑制化合物の使用は、癌やウイルス感染の処置用として報告され
ている。これらの処置法の具体例は、U.S.特許No.5464871、54
73074、5482975、5484951、5516941および5583
155に記載されている。
出版文献において、核酵素ポリ−ADPリボース・ポリメラーゼ(pADPR
T)の新規インヒビターである5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロン
(INH2BP)は最近になって、Ha−rasトランスフェクション内皮細胞
系におけるインビボ腫瘍形成を抑制することが認められている[Bauerらの「Int
.J.Oncol.」(8、239−252、1995年),“5−ヨード−6−アミ
ノ−1,2−ベンゾピロン(INH2BP)を用いる処置による、ras−形質
転換ウシ内皮細胞系の腫瘍形成の、成長関連酵素経路の変異と明らかな喪失”;
Bauerらの「Biochimie」(77、347−377、1995年),“ポリ(AD
P−リボース)ポリメラーゼの非共有結合リガンドである5−ヨード−6−アミ
ノ−1,2−ベンゾピロンによる悪性表現型の逆転”]。またINH2BPによ
る処置は、トポイソメラーゼIおよびIIおよびMAPキナーゼ活性において変化
をもたらす[Bauerらの「Int.J.Oncol.」(8、239−252、1995年
),“5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロン(INH2BP)を用い
る処置による、ras−形質転換ウシ内皮細胞系の腫瘍形成の、成長関連酵素経
路の変異と明らかな喪失”;Bauerらの「Biochimie」(77、347−377、
1995年),“ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの非共有結合リガンド
である5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロンによる悪性表現型の逆転
”]。考察効果に基づき、癌治療におけるINH2BPの潜在的使用に関する仮
説が提案されている[Bauerらの「Int.J.Oncol.」(8、239−252、19
95年),“5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロン(INH2BP)
を用いる処置による、ras−形質転換ウシ内皮細胞系の腫瘍形成の、成長関連
酵素経路の変異と明らかな喪失”;Bauerらの「Biochimie」(77、347−3
77、1995年),“ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの非共有結合リ
ガンドである5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロンによる悪性表現型
の逆転”]。
悪性成長および炎症性経過は、一定の細胞シグナル形質導入経路、たとえばM
APキナーゼの活性化を分配する[Kyriakisらの「J.Biol.Chem.」(271、
24313−24316、1996年),“アラームの響き:ストレスや炎症に
よって活性化されるタンパクキナーゼ・カスケード”;Ferrell J.E.の「TI
BS」(21、460−466、1996年),“異様なスイッチの始動:タン
パクキナーゼ・カスケードはグレード入力をスイッチ様出力に如何に変換しうる
か”]。慢性炎症は、たとえば腸管上皮の場合に証明されるように、発癌性形質
転換になることが少なくない[Kawaiらの「CancerRes.」(53、5172−5
175、1993年),“リポ多糖類誘発炎症によるラットの膀胱腫瘍形成の増
加”;Rosinらの「CanserRes.」(54(7Suppl.)、1929s−1933s
、1994年),“炎症、染色体の不安定性、および癌:住血吸虫症モデル”;
Choiらの「Gut.」(35、950−954、1994年),“Crohn病およ
び潰瘍性大腸(結腸)炎における結腸直腸癌の類似性:発癌と予防に対する暗示”
]。慢性炎症と発癌性形質転換の因果関係に基づき、この研究の目的は、INH2
BPがインビトロおよびインビボの炎症経過に影響を及ぼすかどうかを調べる
ことであった。我々の研究では、多発性前炎症性メディエイタの産生は、細菌性
リポ多糖類(内毒素、LPS)によって誘発された。LPSは、数多くの細胞反
応を誘発することが知られ、かつ全身性炎症応答を引き起こす。LPS誘発の前
炎症性メディエイタとしては、腫瘍壊死アルファ因子(TNF)、インターロイ
キン−I、インターフェロン−ガンマが包含され、一方、抗炎症性メディ
エイタとしては、インターロイキン−10(IL−10)やインターロイキン−
13が包含される[Deltenreらの「Acta Gastroenterol Belg.」(58、193
−200、1995年),“胃癌:ヘリコバクター幽門跡”;Beutlerの「J.In
vest.Med.」(42、227−235、1995年),“TNF、免疫および炎
症性疾患:過去10年間のレッスン”;Lilesらの「J.InfectDis.」(172、
1573−1580、1995年),“評論:炎症に必然的に伴なうシトキンの
命名と生物学的重要性および宿主免疫応答”;Giroirの「Critical Car.Med.」
(21、780−789、1993年),“敗血症性ショック:内因性炎症性カ
スケードを中断する新しいアプローチ”]。これら炎症性シトキンの産生の結果
として、LPSは炎症性遊離ラジカル(酸素が中心、たとえばスーパーオキシド
;および窒素が中心のラジカル、たとえば酸化窒素[NO])のおよびプロスタ
グランジンの産生を起こす[Nathanの「FASEB J.」(6、3051−3
064、1992年),“補乳類細胞の分泌産物としての酸化窒素”;Vane J.
R.の「Proc.Roy.Soc.Lond B」(343、225−246、The Croonian Lec
ture 1993年),“内皮:血液循環のマイストロ(maestro)”;Szabo C.の「
New Horizons」(3、3−32、1995年),“種々形態の循環ショックにお
ける酸化窒素の産生の変化”]。炎症におけるNOの産生は、NOシンターゼの
異なるイソフォーム(isoform)(iNOS)の発現に基づくが、炎症性シトキン
の産生は、シクロオキシゲナーゼの異なるイソフォーム(シクロオキシゲナーゼ
−2、COX−2)の発現によって説明される[Nathanの「FASEB J.」
(6、3051−3064、1992年),“哺乳類細胞の分泌産物としての酸
化窒素”;Vane J.R.の「Proc.Roy.Soc.Lond B」(343、225−246
、The Croonian Lecture 1993年),“内皮:血液循環のマイストロ”;Sza
boC.の「New Horizons」(3、3−32、1995年),“種々形態の循環ショ
ックにおける酸化窒素の産生の変化]。iNOS、COX−2、並びに上述の前
炎症性シトキンおよび遊離ラジカルは、LPS誘発の炎症性応答において重要な
役割を演じる[Nathanの「FASEB J.」(6、3051−3064、19
92年),“哺乳類細胞の分泌産物としての酸化窒素”;Vane J.R.の「Proc.
Roy.Soc.Lond B」(343、225−246、The Croonian
Lecture 1993年),“内皮:血液循環のマイストロ”;SzaboC.の「New Hor
izons」(3、3−32、1995年),“種々形態の循環ショックにおける酸
化窒素の産生の変化]。さらに、NO(またはその毒性副生物であるパーオキシ
ニトリット(亜硝酸塩))は、発癌性経過への炎症性応答の形質転換になる基本メ
ディエイタとして意味づけられている[Bartschらの「Pharmacogenetics」(2
、272−277、1994年),“ヒト癌病因学における内因性で形成したN
−ニトロソ化合物およびニトロシル化剤”;Liuらの「Carcinogenesis」(15
、2875−2877、1992年),“ウッドチャックの肝炎ウイルス表面抗
原は、肝細胞でのNO合成を誘発する”;Ohshimaらの「Mutation Res.」(30 5
、253−264、1994年),“慢性感染および癌危険因子としての炎症
経過:発癌における酸化窒素の可能な役割”]。最新の研究で、我々は最初に、
INH2BPによる処置が、LPS誘発モデルの炎症においてインビボで、炎症
性メディエイタの腫瘍壊死アルファ因子[TNF]、インターロイキン−10、
インターロイキン−6、NO、およびプロスタグランジンの産生に影響を及ぼす
かどうかを調べた。
前炎症性メディエイタの産生に先行する数多くの細胞内経過がある。チロシン
・キナーゼの活性化[Levitzki A.の「Eur.J.Biochem.」(226、1−13
、1994年),“シグナル−形質導入療法 疾病管理への新しいアプローチ”
;Novogrodekyらの「Science 264U(Wash)」(1319−1322、199
4年),“リポ多糖類誘発の致死毒性のチロシン・キナーゼインヒビターによる
予防”;Marczinらの「Am.J.Physiol.」(265、H1014−1018、1
993年),“チロシン・キナーゼインヒビターは、大動脈平滑筋細胞における
内毒素およびIL−1ベータ誘発のNO合成を抑止する”];ミトゲン−活性化
タンパクキナーゼ(MAPキナーゼ)[Matsudaらの「J.Leukocyte Biol.」(56
、548−553、1994年),“ミトゲン−活性化タンパク(MAP)
キナーゼ/MAPキナーゼ・カスケードによって仲介されるシグナリング経路”
;L' Allemain G.の「Progr.Growth Factor Res.」(5、291−334、1
994年),“MAPキナーゼ経路の解読”;Cowleyらの「Cells」(77、8
41−852、1994年),“MAPキナーゼの活性化は、PC12分化お
よびNIH3T3細胞の形質転換に対して必要十分である”];および核因子カ
ッパB(NF−kB)経路[Baeuerleらの「Ann.Rev.Immunol.」(12、14
1−179、1994年),“免疫系におけるNF−Bの機能と活性化”;Schr
eckらの「Free Radical Res.Comm.」(17、221−237、1992年),
“核因子カッパB:真核生物細胞の酸化ストレス−応答転写因子(評論)”;Mu
llerらの「Immunobiol.」(187、233−256、1993年),“リポ多
糖類影響のメディエイタである核因子カッパB”]は、炎症性応答の重要な因子
として認められ、かつ炎症性メディエイタの発現または産生に寄与する。従って
、我々はまた、INH2BPがMAPキナーゼのLPS誘発活性化やLPSによ
るNF−kBにも影響を及ぼすかどうかをも調べた。最新の研究結果から、IN
H2BPはLPS誘発炎症性応答の多重成分(multiple components)の調整によつ
て、潜在的な抗炎症性効果を有することが証明される。
発明の概要
本発明の1つの側面は、動物または哺乳類の炎症または炎症性疾患の処置法で
あって、該方法は、上記動物または哺乳類に対して有効量のpADPRT抑制化
合物を投与する工程から成る。
本発明の他の側面は、有効量のpADPRT抑制化合物を投与する工程から成
る、動物または哺乳類の炎症または炎症性疾患の処置法であって、ここで、pA
DPRT抑制化合物は、下記の化合物群から選ばれる。
式:
[式中、R1,R2,R3,R4,R5およびR6はそれぞれ、水素、ヒドロキシ、
アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキルまたはフェノールの群から選ば
れ、必要に応じてアルキル、アルコキシ、ヒドロキシもしくはハロで置換されて
よく、かつR1,R2,R3,R4,R5およびR6の1つのみがアミノである]の
化合物;式:
[式中、R1,R2,R3,R4およびR5はそれぞれ、水素、ヒドロキシ、アミ
ノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキルまたはフェノールの群から選ばれ、
必要に応じてアルキル、アルコキシ、ヒドロキシもしくはハロで置換されてよく
、かつR1,R2,R3,R4およびR5の1つのみがアミノである]の化合物;お
よび式:
[式中、R1,R2,R3,R4およびR5はそれぞれ、水素、ヒドロキシ、アミ
ノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキルまたはフェノールの群から選ばれ、
必要に応じてアルキル、アルコキシ、ヒドロキシもしくはハロで置換されてよく
、かつR1,R2,R3,R4およびR5の1つのみがアミノである]
の化合物。
好ましいpADPRT化合物としては、6−アミノ−1,2−ベンゾピラン、
3−ニトロソベンズアミド、5−アミノ−1(2H)−イソキノリノン、7−アミ
ノ−1(2H)−イソキノリノンおよび8−アミノ−1(2H)−イソキノリノンが
挙げられる。
さらに本発明の他の側面として、動物または哺乳類の両グラム陰性およびグラ
ム陽性誘発症状の処置法が包含され、該方法は、動物または哺乳類に対して治療
上有効量のpADPRT抑制化合物を投与する工程から成る。
さらにまた本発明の他の側面は、動物または哺乳類に対して治療上有効量のp
ADPRT抑制化合物を投与する工程から成る、動物または哺乳類の両グラム陰
性およびグラム陽性誘発の内毒素症状の処置法であって、ここで、上記抑制化合
物は上述の化合物I、化合物II、または化合物IIIの群から選ばれる。
さらにまた本発明の他の側面は、動物または哺乳類に対して治療上有効量のp
ADPRT抑制化合物を投与する工程から成る、動物または哺乳類の両グラム陰
性およびグラム陽性誘発の内毒素症状の処置法であって、ここで、上記抑制化合
物は化合物I,IIまたはIIIと同様な上記構造式を有する。
さらにまた本発明の他の側面は、有効量のpADPRT抑制化合物を投与する
工程から成る、動物または哺乳類の関節炎の処置法であって、ここで、上記抑制
化合物は化合物I,IIまたはIIIと同様な上記構造式を有する。
さらにまた本発明の他の側面は、有効量のpADPRT抑制化合物を投与する
工程から成る、動物または哺乳類のChron病の処置法であって、ここで、上記抑
制化合物は化合物I,IIまたはIIIと同様な上記構造式を有する。
さらにまた本発明の他の側面は、有効量のpADPRT抑制化合物を投与する
工程から成る、動物または哺乳類のBarrett病の処置法であって、ここで、上記
抑制化合物は化合物I,IIまたはIIIと同様な上記構造式を有する。
本発明のpADPRT抑制化合物は、U.S.特許No.5464871、5
473074、5482975、5484951、5516941および558
3155に記載の方法に従って製造することができる。
本発明の方法で用いるのに好ましい抑制化合物としては、ハロ基がヨード、R
基の1つがアミノであり、R基の1つが上記U.S.特許に記載の如くニトロソ
またはニトロであってもよく、しかし好ましいR基がアミノである化合物が含ま
れる。また、pADPRT抑制活性は、ヨード成分がアミノ成分に隣接するとき
に著しく示されることが認められた。いずれにせよ、本発明の方法で使用される
化合物は、pADPRT抑制活性を有するべきである。
かかる化合物は、それ単独でまたは好ましくは、当該分野で公知の医薬的に許
容しうる酸付加塩または他の適当な医薬担体といっしょに使用されてよい。図面の簡単な説明
図1.J774細胞におけるLPS誘発の(a)ニトリット(亜硝酸塩)産生、
(b)6−ケトプロスタグランジンF1α産生、(c)TNF産生および(d)
ミトコンドリア呼吸の抑止に対するINH2BPの効果。TNFは4hで測定し
、他の全てのパラメータはLPS後24hで測定した。**は対照(コントロー
ル)(p<0.01)mと比較したときのLPSに対する応答の有意変化を示し
;##はLPS単独(p<0.01)と比較したときのLPSの存在下のINH2
BPの有意効果を示し;n=6〜12ウェル。
図2.INH2BPはJ774およびRAW264.7細胞におけるiNOS
発現を抑制する。(a)対照条件下(レーン1)、LPS処置の4h後(レーン2)
およびINH2BP(100μM)の存在下細胞中のLPS処置の4h後(レーン
3)の、J774細胞(A)およびRAW264.7マクロファージ(B)にお
けるiNOSおよび18s mRNAの代表的ノーザン斑点(Northern blots)、
(b)対照条件下(CおよびC+INH2BP)およびLPS処置(LPSおよび
LPS+INH2BP)の12h後のJ774細胞のホモジネートにおけるiN
OS活性に関するINH2BPの効果、**は対照(p<0.01)と比較した
ときのLPSの有意効果を示し;##はINH2BP(p<0.01)による有
意抑制を示し;n=4、(c)INH2BPの存在または非存在下、対照J77
4細胞およびLPSの12h後の細胞における代表的iNOSウェスタン斑点(
Western blot)。
図3.(a)INH2BP(100μM)をLPSの2h前、LPSといっし
よに、またはLPSの2,4および6h後に付与したときのニトリット蓄積の時
間に依存する抑制損失、(b)LPSとIFNの組合せによって刺激されるJ7
74細胞におけるニトリット蓄積に対するINH2BPの効果;n=6〜12ウ
ェル。
図4.全長(full length)(−1592bp)または欠失(deletional)(−367
bp)iNOSプロモータールシフェラーゼ構造(構築物)のいずれかで一時的に
トランスフェクションしたRAW264.7細胞における、LPSによるルシフ
ェラーゼ活性の誘発に対するINH2BPの効果。全長構造または欠失構造(黒
色バー)のいずれかでトランスフェクションした細胞において、LPS(10μ
g/ml、4h)による処置は、対照値に対して10〜12倍のルシフェラーゼ
活性の誘発になった。INH2BPとの共同処置は、全長構造でトランスフェク
ションした細胞においてルシフェラーゼ活性のLPS−仲介増加を抑制したが、
−367bp欠失構造(灰色バー)でトランスフェクションした細胞では有意効
果はなかった。データは対照細胞に対してルシフェラーゼ活性の倍増加で表示し
、かっそれぞれのベーターガラクトシダーゼ活性に対して修正する。*はLPS
単独(p<0.05)と比較したときのLPS存在下のINH2BPの有意効果
を示し;n=4それぞれのトランスフェクション。
図5.INH2BPは意識のあるラットにおけるiNOSの誘発を抑止する。
対照ラット(c)、INH2BP(INH2BP)を注射したラット;LPS(1
5mg/kg i.p.、6h)を注射したラットにおける肺ホモジネート(a)お
よび血漿(プラズマ)ニトリット−ニトレート濃度(b)のiNOS活性;および
INH2BP(10mg/kg i.p.)をLPSの10分前(INH2BP+LP
S)またはLPSの2h後(LPS+INH2BP)に付与して処置した効果。
**は対照(p<0.01)と比較したときのLPSの有意効果を示し;##は
pADPRTインヒビター(p<0.01)による有意抑制を示し;n=4〜5
。
図6.LPS投与(4mg/kg i.p.)の90分後のマウスにおけるLPS
誘発のTNF、IL−10およびIL−6応答に対するINH2BP(10mg
/kg i.p.)の効果。**は対照(p<0.01)と比較したときのLPSの
有意効果を示し;##はINH2BP(p<0.01)による応答の有意増加を
示し;n=4〜5。
図7.INH2BPは、内毒素ショックに付したマウスの生存を改善する:マ
ウスにおける内毒素誘発(120mg/kg i.p.)の死亡率に対するINH2B
P前処置(0.3〜10mg/kg)の効果;各グループでn=7〜8匹。
図8.(a)100μM−PD98059または150μM−INH2BPの
存在または非存在下、ビヒクルまたはLPS(10μg/ml)を24h処置し
たRAW264.7細胞におけるMAPキナーゼ活性、データは典型的な実験で
得た値を示し、3つの異なる実験日で類似の結果が認められた。(b)150μ
M−INH2BPの存在または非存在下、ビヒクルまたはLPS処置の24h後
のRAW264.7細胞における代表的なゲルMAPキナーゼ・アッセイ、レー
ン1〜4はそれぞれ以下のグループを示す:1:ビヒクル処置対照、2:LPS
処置、3:150μM−INH2BP存在下のビヒクル処置、4:150μM−
INH2BP存在下のLPS処置。
図9.pADPRTのINH2BPによる抑制は、対照J74細胞の核抽出物
のおよびINH2BP(100μM)の存在または非存在下のLPS処置の90
分後の細胞におけるNF−kBウェスタン斑点の核転座を変えない。
図10.カラゲナン誘発の足浮腫の発生に対するINH2BPの効果が記載。
データはカラゲナン注射の1〜4h後の足容積を示す(平均値±S.E.M.、
各グループのn=6匹)。1時間の足容積に有意増加があり(p<0.01)、
1〜4時間においてINH2BPの足浮腫発生の有意抑制があった(**p<0.
02)。
図11.コラーゲン誘発関節炎の発病に対するINH2BPの効果が記載。関
節炎マウス(マウスが示す関節炎の臨床的スコア>1)の割合(%)を示す。21
日目の矢印は、第2コラーゲン免疫処置の時間を示し、25日からの水平バーは
、INH2BP(N=6)またはVEHICLE(ビヒクル)(N=10)による処
置の開始の時間を示す。
図12.コラーゲン誘発関節炎の苛酷に対するINH2BPの効果が記載。コ
ラーゲン誘発関節炎中の平均関節炎スコア。21日目の矢印は、第2コラーゲン
免疫処置の時間を示し、25日からの水平バーは、INH2BP(n=6)また
はビヒクル(n=10)による処置の開始の時間を示す。26日から関節炎スコ
アに有意増加があり(Ip<0.01)、26〜35日間でINH2BPによる
関節炎スコアの有意抑止があった(#p<0.05)。
発明の好ましい具体例の説明
本明細書で用いる定義:
“抗炎症性”疾患とは、体組織の炎症がある疾患あるいは状態を指称する。か
かる疾患としては、たとえばChron病、Barrett病、関節炎、多発性硬化症、心筋
症疾患、大腸炎、感染性髄膜炎、脳炎等が挙げられる。
“医薬的に許容しうる酸付加塩”とは、生物学的有効性と遊離塩基の性質を保
持し、および塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、メタ
ンスルホン酸、サリチル酸等との反応によって得られる塩を指称する。
“ADPRT”とは、アデノシンジホスホリボース・トランスフェラーゼを指
称し、ADP−リボースの重合を触媒する真核生物の特異的DNA−結合核タン
パクである、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(EC2.4.99)とし
ても公知である。該酵素プロセスはDNAに依存する。
“アルキル”とは、飽和または不飽和の分枝鎖もしくは直鎖炭化水素基を指称
する。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル
、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
“アルコキシ”とは、−O−アルキルの基を指称する。典型的なアルコキシ基
としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびペントキシ等が挙
げられる。
“シクロアルキル”とは、3〜8個の炭素原子含有の飽和モノ環式炭化水素基
を指称し、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘ
キシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
“置換フェニル”とは、可能な異性フェニル基の全てを指称し、たとえばアル
キル、アルコキシ、ヒドロキシまたはハロの群から選ばれる置換基でモノまたは
ジ置換したものが挙げられる。
“ハロ”とは、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードを指称し、ヨードが好
ましい。
本発明のpADPRT抑制化合物(特に上述の化合物I、IIまたはIIIの如き
化合物)は、効力ある、特異的で非毒性の抗炎症性化合物であって、たとえば関
節炎、Chron病、Barrett病などの炎症に関して公知の状態および疾病に使用する
ことができる。また、これらの化合物は、グラム陰性およびグラム陽性誘発感染
に付随する状態、特にグラム陰性感染に付随する状態(およびリポ多糖類状況や
敗血症に付随する状態を含む)での処置に有用である。かかる化合物は特に、毒
性があっても、極めて少ないという点で有用である。
実際に、本発明化合物またはその医薬的に許容しうる塩は、動物または哺乳類
において、炎症性状態もしくは疾患の抑制および/または炎症または炎症性疾患
の発生の予防において十分な量で投与され、かつかかる使用目的に最適な医薬剤
形で使用される。
本明細書に記載の活性化合物および塩の投与は、治療作用物質の場合の許容さ
れる投与方式のいずれかによって行なうことができる。これらの投与方法として
は、経口、非経口、経皮、皮下などの全身もしくは局所投与、あるいは局所的な
投与方式が挙げられる。これらの薬物の好ましい投与方法は経口投与である。あ
る特定の場合、組成物を他の非経口剤形で投与することが必要となりうる。
組成物は、意図される投与方式に基づき、固体、半固体または液体投与剤形、
たとえば注射剤、錠剤、坐剤、丸剤、時間−放出力プセル剤、粉剤、液剤、懸濁
液等の剤形で、好ましくは単位投与剤形であってよい。組成物は、有効量の活性
pADPRT抑制化合物またはその医薬的に許容しうる塩を含有し、さらに、該
組成物は通常の医薬賦形剤や医学で慣用されている他の薬効のあるもしくは製薬
上の薬物または作用物質、担体、佐剤、希釈剤等を含有してもよい。
固体組成物の場合の賦形剤としては、医薬グレードのマンニトール、ラクトー
ス、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン・ナトリウム、タルク、
セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムが包含され、また同類
のものも使用しうる。上記の活性pADPRT抑制化合物は、たとえば担体とし
てポリアルキレングリコール(プロピレングリコールなど)を用いて坐剤として
調剤されてもよい。
液体、特に注射用組成物はたとえば、水、食塩水、水性ブドウ糖、グリセロー
ル、エタノールなどの製薬液への活性化合物の溶解、分散等を行なうことにより
、注射溶液もしくは懸濁液を形成することによって調製することができる。
要すれば、投与される医薬組成物は、最小量の非毒性助剤物質、たとえば湿潤
剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤や、酢酸ナトリウム、トリエタノールアミン・オ
レエートなどの他の物質を含有してもよい。
また要すれば、投与される医薬組成物は、リン脂質、陰荷電リン脂質と、コレ
ステロール、コレステロールの脂肪酸エステルまたは不飽和脂肪酸から選ばれる
化合物から成るリポソーム製剤を含有してもよい。典型的な中性リン脂質として
は、L−a−ホスファチジルコリン、L−a−ホスファチジルイノシトール、L
−a−ホスファチジル−セリン、L−a−ホスファチジルイノソトール、L−a
−ホスファチジン酸、L−a−ホスファチジルグリセロール、L−a−リゾホス
ファチジルコリン、スフィンゴミセリンおよびカルジオリピンが挙げられる。
典型的な陰荷電リン脂質としては、ジアセチルホスフェートまたはホスホジグ
リセリド、たとえばジラウロイル,ジミリストイルホスフェート、ジパルミトイ
ルホスフェート、ジステロイルホスフェートが挙げられる。
典型的なコレステロールおよびコレステロールエーテル類としては、コレステ
ロール、3S−ヒドロキシ−5−コレステン、ポリオキシエタニルコレステリル
・セバケート、コレステロール−5,6−エポキシド、コレステリル・アセテー
ト、コレステリル・n−ブチルエーテル、コレステリル・カプレート、コレステ
リル・ドデカノエート、コレステリル・エチルエーテル、コレステリル・ヘプタ
デカノエート、コレステリル・メチルエステルが挙げられる。
典型的な不飽和脂肪酸としては、アラキドン酸、ドコサヘキサン酸、エライジ
ン酸、エルカ酸、リノール酸、ネルボン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、ペ
トロセリン酸が挙げられる。ハロニトロ化合物は、カプセル化またはU.S.特
許出願No.08/020035[名称:リポソーム製剤並びにその作成および
使用法、1993年2月19日出願]の記載に従って、リポソーム製剤の二層リ
ポソームに分配してもよい。
第1の具体例において、最初にリポソームを形成し、次いでC−アミノ,ニト
ロソまたはニトロ化合物を加える。C−アミノ,ニトロソまたはニトロ化合物は
、カプセル化するよりはむしろ、脂質二層のリポソームに分配する(配置する)
。この組成物を作成するため、典型例として、ホスファチジルコリン、ジセチル
ホスフェートおよびコレステロールなどの成分を、クロロホルムなどの溶剤とブ
レンドする。ブレンド後、クロロホルムを追い出す。次いで、これに水を加える
。リポソームに水を加えると、多層板状の(multilamellar)リポソームが作成
される(すなわち、該リポソームは多数の層を有するタマネギの皮に類似する)
。次工程として、それらを凍結し、解凍する。液体窒素中で急速に凍結させる。
急速な凍結および解凍の目的は、リポソームの寸法をより均一にするためである
。
このときのリポソームの寸法はまちまちであり、1回以上、たとえば5回で取扱
う。解凍は、37度の水浴で起る。凍結および解凍前に、混合物を音波破砕する
。音波破砕と解凍の組合せは、皮の数を減じる。目標は、単板状系(unilamellar
system)を作ることである。このとき、C−ニトロソ化合物を加え、10ミリモ
ル(Mu)濃度を得る。濃度は15ミリモル以上であってもよい。この濃度の脂
質で、60mlバッチの場合、総脂質濃度は648mgで、60mlの水を加え
る。ホスファチジルコリンは500mg、コレステロールは36mg、ジセチル
ホスフェートは112mgである。
混合物のリポソーム濃度の増加は、混合物がより多くのC−アミノ,ニトロソ
またはニトロ化合物を含有するのを可能ならしめる。たとえば、上記混合物の現
状濃度を2倍にすることができる。60ミルバッチの場合、上記数値を2倍にす
ることができ、1000mgのホスファチジルコリン、224mgのジセチルホ
スフェートおよび72mgのコレステロールを有する。濃度の減少は、そこに入
れるC−ニトロソ化合物の量を減じる。仮定の60mlバッチの場合、C−アミ
ノ化合物アプローチの上限は、15ミリモル濃度のC−アミノ化合物である。3
−ニトロソベンズアミドの場合、60mlバッチに対して135mgである。
次工程として、再水和する。次いでプロセスの次工程は、押出機(カナダ、ブ
リティッシュ・コロンビア、バンクーバーのリペックス・ビオメンブランズ・In
c.)を用いる押出である。
押出プロセスは2つの目的、すなわち、(1)リポソームの寸法の均一化およ
び(2)滅菌に役立つ。
押出には典型例として、0.1ミクロンフィルターによる濾過が含まれ、かつ
その後に通常、混合物を凍結乾燥する(混合物から水を取出し、微粉末とする)
。これによって溶解性が改善される結果、約40ミリモル溶液に調合でき、これ
は凍結乾燥前の濃度の約3倍である。凍結乾燥は粉末脂質と粉末C−アミノ化合
物の混合物を生成する。そこで、同量のC−アミノ化合物とより少量の液体を用
いて、濃度の高い混合物を作成することができる。たとえば、同重量のC−アミ
ノ,ニトロソまたはニトロ化合物を有しうるが、元の容量の3分の1以下である
。
上記プロセスの工程を改変、たとえば凍結乾燥といった工程を削除することが
できよう。
この第1具体例のプロセスは、C−アミノ,ニトロソまたはニトロ化合物を有
意的にカプセル化するものではない。化合物をリポソームの中間に有する代わり
に、化合物は膜自体に存在する。リポソームの膜内に分配されたC−アミノ,ニ
トロソまたはニトロ化合物は、標的細胞に移行し、脂質はC−アミノ,ニトロソ
またはニトロ化合物を細胞膜の中へ運ぶだろう。
このプロセスは好ましくは、直径約0.05〜0.45ミクロン、好ましくは
約0.1〜0.2ミクロンのリポソームを作成する。単板状または多層板状のリ
ポソームが有効である。
押出の第2目的は、混合物を滅菌することである。滅菌するため、リポソーム
を一般に直径が45ミクロン以下となるように作成する。0.05ミクロン以下
の寸法が、理論的に作用するだろう。第1具体例のプロセスは、たとえば水中の
3NOBAのみが0.5ミリモル濃度を有するという利点を持つ。かかるリポソ
ーム組成物は15ミリモルの濃度を達成する。
さらに、水溶液中の3−NOBAのみとは異なり、NOBA含有リポソーム溶
液は、アスコルビン酸に対し耐性である。このことから、該溶液は実験室におけ
るマウス実験に有用となる。溶液はNOBAモノマーまたはNOBAダイマーを
含有してもよい。
第2の具体例において、出発物質として脂質成分の被膜を用い、該被膜を薬物
の水溶液で水和する。これは自動的に、薬物を閉じ込める(カプセル化する)脂
質を形成する。これは、リポソーム膜不透過性の化合物といっしょに生じる。か
かる化合物の一例は、U.S.特許No.5262564(1993年11月1
6日特許)に記載のもの、たとえば3−NOBAのL−シスチン−スルフィン酸
アダクトである。
皮下投与、筋肉内または静脈内注射および注入の場合、一般に非経口の注射投
与が用いられる。注射剤は、注射の前に液体に溶解するのに適当な液状溶液もし
くは懸濁液または固体形状などの通常の形状で製造することができる。
非経口投与のためより最近に案出されたアプローチでは、遅放出性または持続
放出性システムの移植(植込み)が採用され、これは、U.S.特許No.37
10795の記載に従って、一定レベルの投与量の維持を確実にする。
上記医薬組成物のいずれも、活性成分として、0.1〜99%、好ましくは1
〜70%の活性pADPRT抑制化合物、特に上記式I、IIまたはIIIのハロ−
C−アミノ,ニトロソまたはニトロ化合物を含有しうる。
慢性炎症は、各種組織における発癌性形質転換を促進することが知られている
。核酵素ポリ−ADPリボース・ポリメラーゼ(pADPRT)の新規インヒビ
ターである5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロン(INH2BP)は
最近、種々の細胞シグナル形質導入経路を調節し、かつHa−rasトランスフ
ェクション内皮細胞系によるインビボ腫瘍形成を取消すことが認められた。本発
明の1つの側面として、インビトロおよびインビボの、炎症性メディエイタ腫瘍
壊死アルファ因子(TNF)、インターロイキン−10(IL−10)およびイ
ンターロイキン−6(IL−6)、酸化窒素(NO)およびプロスタグランジン
の産生に関して内毒素(細菌性リポ多糖類、LPS)による活性化に対するpA
DPRT抑制化合物、たとえばINH2BPの効果が証明される。さらに、本発
明は、インビトロのミトゲン−活性化タンパクキナーゼ(MAPキナーゼ)およ
び核因子kB(NF−kB)の活性化に対するpADPRT抑制化合物、たとえ
ばINH2BPの効果を示す。培養したJ774およびRAW264.7マクロ
ファージにおいて、LPSは、プロスタグランジン代謝産物の産生、TNFの放
出および誘発性イソフォームのNOシンターゼ(iNOS)の発現を誘発した。
プロスタグランジンおよびNOの産生は、用量に依存してINH2BPによって
抑制され、一方、TNF−アルファの短時間放出の影響はなかった。INH2B
Pは、全長(−1592bp)ネズミ・マクロファージiNOSプロモータール
シフェラーゼ構造で一時的にトランスフェクションしたRAW細胞におけるLP
S仲介のルシフェラーゼ活性を顕著に抑止したが、−367bpからなる欠失構
造においてはそうではなかった。インビボのINH2BP前処置(ラットのLP
SによるiNOSの誘発を抑制)は、LPS誘発のTNFおよびIL−6応答に
影響を及ぼさず、かつLPS−誘発IL−10産生を高めた。INH2BP前処
置は、致死モデルの内毒素ショックにおけるマウスの生存を顕著に改善した。こ
れらの結果から、pADPRT抑制化合物、たとえばINH2BPはインビトロ
お
よびインビボの効力ある抗炎症性作用を有することが証明される。
ポリ−ADPリボース・シンセターゼ(PARS)は、DNA単鎖破壊によっ
て活性化される核酵素である。PARSの大規模な活性化は、過酸化水素−パー
オキシニトリットまたは電離線誘発の広範なDNA単鎖破壊に応じて、細胞損傷
において頂点に達するエネルギー消耗の無益サイクル(futile cycle)を起こす
。パーオキシニトリットの産生は最近、関節炎やカラゲナン誘発の足浮腫を含む
種々の炎症において証明された。本発明は、ラットモデルのカラゲナン誘発の足
浮腫およびマウスモデルのコラーゲン誘発の足浮腫において1〜4hで、PAR
S,pADPRT抑制化合物、たとえば5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベン
ゾピロン(INH2BP)の新規で効力のあるインヒビターの効果を示す。雄D
MA/1Jマウスにおけるコラーゲン誘発関節炎は、1日目と21日目のタイプ
IIコラーゲンの2回の注射で誘発した。マウスのINH2BP(1日当り0.5
g/kg)による経口処置は、関節炎の発病時(25日)に開始したが、26〜
35日目の関節炎の臨床徴候の発生を遅らせた。INH2BP処置動物は、ひざ
と足で調べたように、関節炎指数の減少(関節炎スコア:ビヒクル処置マウスで
見られるスコアの20〜50%)と、組織状態の改善を示した。これらのデータ
から、PARSインヒビターINH2BPは、インビボINH2BPで抗炎症性効
果を示すことが証明され、かつ投与の開始を比較的に遅くしても、コラーゲン誘
発関節炎の経過を遅らせることができた。本発明のデータによって、PARS活
性化は関節炎、あるいは他種の炎症および炎症性疾患の発生において役割を演じ
るという見方が支持される。
次に挙げる実施例は本発明を例示するのに役立つもので、本発明を狭くしたり
、その技術的範囲を制限すると解釈すべきではない。実施例1
細胞培養:
マウスマクロファージセルラインJ774およびRAW264.7を、スザボ
ら、1996、「DNA鎖切断、ポリ−ADPリボシルシンセターゼの活性化、
および細胞エネルギー消耗はマクロファージ内およびペルオキシ亜硝酸塩(perox
ynitrite)に曝された平滑筋細胞における細胞毒性に関与する」、Pro c.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93
:1753−1758;ジ
ンガレリら、1996、「ペルオキシ亜硝酸塩−媒介DNA鎖切断はポリ−AD
Pリボシルシンセターゼを活性化し、細菌性リポポリサッカライドで刺激された
マクロファージにおける細胞エネルギー消耗を引き起こす」、J.Immuno l.156
:350−358に開示のように、ダルベッコ修正イーグル培地(D
MEM)で培養した。別の研究では、腹膜マクロファージは雄性ウィスターラッ
トから得、インビトロで24時間LPSの存在下あるいは非存在下で、INH2
BPと共に、あるいは非存在下で培養した。ラットを殺し、腹膜マクロファージ
を摘出し、DMEMで培養した。細胞をE.Coli LPS(10mg/ml)
あるいはLPSおよびINF(50μ/ML)で、様々の濃度(1−150mM)の
INH2BPあるいは他の薬理学的インヒビターの存在下あるいは非存在下で、
種々の時間処理した。
MAPキナーゼ関連アッセイ:
未処理の細胞をPBSで洗浄し、集め、100万個の細胞あたり100mlの
溶解緩衝液(50mMトリス−塩酸、pH7.4、1%NP−40、0.4M N
aCl、0.1mM NAVO3、50mM KF、1mM EGTA、2mM P
MSF、25nMオカダイックアシッド(okadaic acid)、ロイペプチン、アプロ
チニン、アルナスタチンおよびアンチパインを各1mg/ml)を用いて溶解し
た。溶解は20分間氷上で行い、エッペンドルフ(Eppendorf)遠心機を
用いて、13000rpmで14分間遠心分離した。上清を集め、そのタンパク
含量をバイオーラド(Bio−Rad)染料アッセイを用いて測定した。
ゲルMAPキナーゼアッセイにおいて:
タンパク試料(50mg/レーン)を固定化ミエリン塩基性タンパク(MBP、
250mg/mlゲル)を含有する100%SDS−PAGEゲル内で電気泳動
した。電気泳動後、ゲルを50mMトリス−塩酸、pH7.7緩衝液(25ml、
20分間)で1回洗浄し、ついで25%イソプロパノール含有の同緩衝液で30
分間ずつ2回ィンキュベーションした。ゲルをついで該トリス-塩酸緩衝液で洗
浄し、50mMトリス−塩酸pH7.7、mM2−メルカプトエタノール、5M
グアニジン塩酸塩(50mL)溶液に、30分後にインキュベーション溶液を替え
ながら、1時間浸漬した。ゲルを50mMトリス−塩酸pH7.7、Mm2−メ
ルカプトエタノール、0.04%NP−40の溶液を16時間かけて5回替えな
がらインキュベーションすることにより、タンパクを再度栄養供給した。ゲルを
2回洗浄し、50mMトリス−塩酸pH7.7、5mM MgCl2、7mM 2−
メルカプトエタノール含有溶液内で半時間プレインキュベーションした。最終イ
ンキュベーションは、10mMの32p−g]ATP(50mCi/測定)を補足し
た同溶液内で1時間行った。インキュベーション終了後、10%TCA(3×2
5ml)および10%酢酸(3×25ml)を用いて、非結合の放射活性が無くな
るまで洗浄し、乾燥し、オートラジオグラフィーに付した;サカキら、1995
「成長因子−誘導細胞増殖に対するセラミドの増強効果」、Biochem.J .311
:829−834。
MAPキナーゼウェスタンブロッティング:
細胞抽出タンパク100mgを10%SDS−PAGEゲルに賦し、電気泳動
し、ニトロセルロース膜上にトランスブロットし、イムノプローブした。第1抗
体(抗−MAPキナーゼ)をUBIから得、第2抗体はアルカリホスファターゼ標
識した、NENバイオラボから得た。測定は増強ケミルミネセンス(化学発光)に
より行った;バウエルら、1995、「成長関連酵素経路の変法とラス−形質変
換ウシアンドセリアルセルラインの、5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾ
ピロン(INH2BP)処理による発癌性の明白な喪失」、Int.J.Onco l.8
:239−252。
細胞核抽出物の調製およびNF−kBウェスタンブロッティング:
細胞をLPSでINH2BPの存在下または非存在下で90分間処理した。ミ
ニ細胞核抽出物を、ハサナインら、1993、「DNA−結合因子の増強ゲル可
動性シフトアッセイ」、Anal.Biochem.213:162−7に開示
のように調製した。細胞を暫時スクレープし、暫時遠心分離し、得られたペレッ
トを400mlの冷緩衝液A[ヘペス、pH7.9(10mM)、KCl(10mM)
、EDTA(0.1mM)、EGTA(0.1mM)、DTT(1mM)、PMSF(0.
5mM)、ペプスタチンA(1mg/ml)、ロイペプチン(10mg/ml)、お
よびアプロチニン(10mg/ml)]に、25mlの1%NP−40の存在下、
氷
冷下15分間再懸濁した。ついで、試料を渦巻撹拌し、10,000gで1分間
遠心分離し、得られたペレットを100mlの緩衝液B[ヘペス、pH7.9(2
0mM)、NaCl(400mM)、EDTA(1mM)、EGTA(1mM)、DT
T(1mM)、PMSF(0.5mM)、ペプスタチンA(mg/ml)、ロイペプチ
ン(10mg/ml)、およびアプロチニン(10mg/ml)]に再懸濁した。ロ
ッカープラットフォーム上で4℃15分間振とう後、試料を4℃で15 100
,100gで15分間遠心分離した。70ml部ずつ150mlのSDS−PAG
E試料緩衝液で処理した。ウェスタンブロッティングを、ウサギ抗−マウスNF
−kB1次抗体(サンタ・クルズ・バイオテクノロギー、サンタ・クルズ、CA)
のツイーンTBS(0.02%)の1:750を用いて上記の如く行った。
亜硝酸塩または亜硝酸塩/硝酸塩濃度の測定:
刺激後24時間後の培養上清中の亜硝酸塩を、スザボら、1996、「DNA
鎖切断、ポリ−ADPリボシルシンセターゼの活性化、および細胞エネルギー消
耗はマクロファージ内およびペルオキシ亜硝酸塩(peroxynitrite)に曝された平
滑筋細胞における細胞毒性に関与する」、Proc.Natl.Acad.Sc i.U.S.A.93
:1753−1758;ジンガレリら、1996、「ペルオ
キシ亜硝酸塩−媒介DNA鎖切断はポリ−ADPリボシルシンセターゼを活性化
し、細菌性リポポリサッカライドで刺激されたマクロファージにおける細胞エネ
ルギー消耗を引き起こす」、J.Immunol.156:350−358;ス
ザボら、1994、「スペルミンは免疫−刺激J774.2マクロファージにお
ける酸化窒素の生成を阻害する:血清因子の要求」、Br.J.Pharmac ol.112
:355−356に開示の如く、グリース(Griess)試薬(1
%スルファニルアミドおよび0.1%ナフチルエチレンジアミンの5%燐酸溶液)
を培地100ml試料に加えて、測定した。550nmにおける光学濃度(OD5 50
)をスペクトラマックス(Spectramax)250マイクロプレートリーダー(モレキ
ュラー・デバイシス、サニーベイル、CA)を用いて測定した。血漿試料中の総
亜硝酸塩/硝酸塩濃度の測定のため、硝酸塩は硝酸塩還元酵素とインキュベーシ
ョンすることにより亜硝酸塩に還元した;ジンガレリら、1996、「ペルオキ
シ亜硝酸塩−媒介DNA鎖切断はポリ−ADPリボシルシンセターゼを活性
化し、細菌性リポポリサッカライドで刺激されたマクロファージにおける細胞エ
ネルギー消耗を引き起こす」、J.Immunol.156:350−358。
6−ケトプロスタグランジンF1aの測定:
LPS刺激4時間後の6−ケトプロスタグランジンF1a生成を、細胞培養上清
100ml試料内で、特異的放射免疫測定法を用いて測定した;スザボら、19
94、「スペルミンは免疫−刺激J774.2マクロファージにおける酸化窒素
の生成を阻害する:血清因子の要求」、Br.J.Pharmacol.112
:355−356。
サイトカイン測定:
血漿および細胞培養上清中のサイトカインレベルをELISAで測定した。I
L−10およびIL−6の血漿レベルは、エンドーゲン(エンドーゲン・インコ
ーポレィテッド、ボストン、MA)のELISAキットを用いて測定した。TN
F−αの血漿および細胞培養上清中の濃度は、ゲンザイム(ゲンザイム・コーポ
レイテッド、ボストン、MA)のELISAキットを用いて測定した;スザボら
、1997、「イソプロテレナールは腫瘍壊死因子、インターロイキン−10、
インターロイキン−6および酸化窒素の生成を調節し、内毒素血症の血管性低反
応性の発生に対して保護する」、Immunology 90:95−100。
ミトコンドリア呼吸の測定:
24時間後のミトコンドリア呼吸は、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−
イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドのホルマザンへのミトコンド
リア−依存還元によって、評価した;スザボら、1996、「DNA鎖切断、ポ
リ−ADPリボシルシンセターゼの活性化、および細胞エネルギー消耗はマクロ
ファージ内およびペルオキシ亜硝酸塩(peroxynitrite)に曝された平滑筋細胞に
おける細胞毒性に関与する」、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S. A.93
:1753−1758;ジンガレリら、1996、「ペルオキシ亜硝酸
塩−媒介DNA鎖切断はポリ−ADPリボシルシンセターゼを活性化し、細菌性
リポポリサッカライドで刺激されたマクロファージにおける細胞エネルギー消耗
を引き起こす」、J.Immunol.156:350−358。
iNOSmRNAのノーザンブロッティング
細胞を、INH2BPの存在下または非存在下でLPSに4時間さらしたのち
、全RNAを、TRIZOLを用いて記載されているように抽出した。15mg
の全RNAを含むアリコートを、3%ホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲ
ル電気泳動にかけた。RNAをナイロンメンブランにブロッティングして移し、
UV自己架橋させた。メンブランを、ランダムプライミング(Pharmacia,Pisca
taway,NJ)により[32P]dCTP(比活性3,000Ci/mM;NEN)で標
識したネズミiNOScDNAプローブ(106cpm/mL)と、42℃にて一晩
、記載されているようにしてハイブリダイゼーションした(Lowensteinら,1993,
“Macrophage nitric oxide synthase gene:two upstream regions mediate ind
uction by interferon gamma and lipopolysaccharide,”Proc .Natl.Acad.Sc i.U.S.A. 90:9730-9734)。ハイブリダイゼーションしたフィルターを、53℃
にて、2×クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、0.1%SDSおよび2.5m
M NaHPO4、1mM EDTA、0.1%SDS溶液で順次に洗浄した。iN
OSのプロービングの後、沸騰した5mM EDTAでメンブランから脱離させ
、ハウスキーピング遺伝子としての18SリボソームRNAについて[32P]放射
能標識オリゴヌクレオチドプローブと再びハイブリダイゼーションした。洗浄し
たのち、Phosphor Imagerスクリーンを用い、一晩露光した。
iNOSウェスタンブロッティング
細胞を、pADPRT阻害剤の存在下および非存在下に、LPSで20時間処
理した。次いで、冷却したPBS中で細胞を破壊し、14000Gで30秒間遠
心した。上清を除去し、RIPA(500mL)、アプロチン(10mg/mL)お
よびPMSF(0.5mM)を含む溶解緩衝液を加えた。試料を22ゲージの針
に通すことによりDNAをせん断した。タンパク質含量は、Bradford法(BIO-Ra
d)により測定した。サイトゾルタンパク質(200mg/レーン)をSDS-P
AGE緩衝液に加え、5分間煮沸し、7.5%SDS−PAGEで分離し、等速
電気泳動緩衝系を使用するSemi-Dry法を用いてニトロセルロース膜(0.2mm
)へ移した。3%ゼラチン中で1時間ブロッキングしたのち、洗浄し、トゥイ
ーンTris緩衝塩水(TTBS)および1%ゼラチン中、TTBS中1:1000
(0.0%)の一次ウサギ抗マウスiNOS(upstate Biotechnology,Lake Pla
cid,NY)で試料を2.5時間イムノブロッティングした。アルカリホスファター
ゼコンジュゲートヤギ抗ウサギiGG抗体を二次抗体として使用した。抗体結合
を、炭酸緩衝液中のニトロブルー テトラゾリウム/5−ブロモ−4−クロロイ
ンドリルホスフェート(NBT/BCIP)(BIO−RAD)によって視覚化
した。
iNOS活性の測定
細胞を、pADPRT阻害剤の存在下および非存在下に、LPSで12時間処
理した。J774細胞のホモジネートまたは肺ホモジネートにおけるL−アルギ
ニンのL−シトルリンへのカルシウム非依存性変換の測定値を、記載されている
ようにiNOS活性の指標として使用した(Szaboら,1994,“Spermine inhibi
ts the production of nitric oxide in immuno-stimulated J744.2 macrophage
s:requirement of a serum factor,”Br .J.Pharmacol. 112:355-356)。細胞
を破壊するか、または肺を、50mM Tris HCl、0.1mM EDTA、0.1
mM EGTAおよび1mMフェニルメチルスルホニルフルオライド(pH7.4
)からなるホモジネーション緩衝液に入れ、Tissue Tearor 985-370ホモジナイ
ザー(Biospec Products,Racine,WI)を用い、緩衝液中、氷の上でホモジネー
ションした。次いで、ホモジネート中での[3H]-L-アルギニンの[3H]-L-シト
ルリンへの変換を測定した。ホモジネート(30mL)を[3H]-L-アルギニン
(10mM,5kBq/チューブ)、NADPH(1mM)、カルモジュリン(
30nM)、テトラヒドロビオプテリン(5mM)、およびEGTA(5mM)
の存在下に、22℃にて20分間インキュベーションした。EGTA(2mM)
とEDTA(2mM)を含有する0.5mLの氷冷HEPES緩衝液(pH5.5
)で希釈することにより反応を止めた。反応混合物をDowex 50W(Na+型)
カラムに注ぎ、溶出した[3H]-L-シトルリン活性をシンチレーション計測によ
り測定した。
iNOSプロモーターの機能アッセイ
我々の実験条件の下では、J774細胞は、リン酸カルシウム、リポフェクチ
ンおよびリポフェクタミン法を使用してそれら細胞を一過性トランスフェクショ
ンする我々の試みには耐性であったので、トランスフェクション試験は、RAW
264.7細胞で行った。レポーター遺伝子ルシフェラーゼの上流に5’ネズミ
マクロファージiNOSプロモーター領域を組み込んだリポーター遺伝子構築物
でAW264.7細胞を一過性トランスフェクションすることにより、iNOS
プロモーター活性を評価した;Lowensteinら,1993,“Macrophase nitric oxid
e synthase gene:two upstream regions mediate induction by interferon gam
ma and lipopolysaccharide,”Proc .Natl.Acad.Sci.U.S.A..99:9730-9734;
(Dr.Charles J.Lowenstein.Johns Hopkins Universityより提供された)。
2種類の構築物を使用した:完全長のプロモーター構築物(約1592bp)と約
367bpからなる欠失構築物。細胞を6ウェルのカルチャープレートに集密度約
50%で加え、カチオンリポソーム(Lipofectin,Gibco)を用い、等モルの各
iNOSプロモータールシフェラーゼ構築物でトランスフェクションした。トラ
ンスフェクション効率の違いを調整するために、細胞をpSV40−b−ガラク
トシダーセで同時トランスフェクションした。トランスフェクション後、細胞を
一晩回復させ、次いで培地単独(コントロール)、LPS(10mg/mL)、
またはLPS+INH2BP(100mM)で処理した。4時間処理したのち、
細胞をPBS中で1回洗浄し、リポーター溶解緩衝液(Promega)中で溶菌し、
ルシフェラーゼ活性を分析し、各粗(raw)-ガラクトシダーゼ活性について較正
し、コントロール細胞(トランスフェクション後、培地単独で処理)を越える増
加倍数で表示する。
インビボ実験
雄性Wisterラットおよび雄性BALB/cマウスをCharles River Laboratori
es(Wilimington,MAまたはBudapest,Hungary)より入手した。動物に餌と水を
自由に与え、照明は12時間周期で維持した。ラットにE.coli LPS(15m
g/kg)を腹腔内注射し、6時間後に屠殺した。亜硝酸塩/硝酸塩測定のた
めにプラズマ試料を採取し、iNOS測定のために肺試料を採取した。個々のラ
ット群を、LPS注射の10分前またはLPS注射の2時間後にINH2BP(
10mg/kgi.p.)で処理した。
LPS誘導性のサイトカイン応答の測定に関する実験では、マウスに、体重1
0gあたり0.1mLの容量で賦形薬またはINH2BP(10mg/kg)のいず
れかを腹腔内注射した。30分後、4mg/kgのLPSを腹腔内投与した。マウ
スをLPS処置の90分後に屠殺し、血液を、EDTAを含む氷冷したエッペン
ドルフチューブに採取し、4℃にて10分間遠心した。分析するまでプラズマを
−7℃で保存した。
マウスを用いるいくつかの実験では、0時間目でマウスにLPS(120mg
/kg)を腹腔内注射し、生存をLPS投与後42時間監視した。それぞれの群
のマウスには、LPS投与の18時間前、4時間前、0時間後、6時間後、24
時間後および30時間後に、賦形薬またはINH2BPによる処置(0.1〜10
mg/kg腹腔内)を施した。
材料
DMEM、RPMI、TRIZOLおよびウシ胎児血清は、Gibco(Grand Isl
and,NY)から入手した。[3H]NAD+および[32P]NAD+は、DuPont NEN(
Boston,MA)より入手した。アルコールデヒドロゲナーゼおよびND+は、Boeh
ringer Mannheim(Indianapolis,IN)より入手した。PD98059は、Cal B
iochem(La Jolla,CA)より入手した。その他の試薬はすべてSigma(St.Louis
,MO)より入手した。
統計学的評価
の平均±標準誤差で示す。スチューデント無対(unpaired)t−テストを群間の
平均値の比較に使用した。0.05未満のp値は、統計学的有意であるとみなし
た。
結果
INH2BPは、J774マクロファージにおいてLPS誘導性の一酸化窒素
およびプロスタグランジンを抑制するが、TNF−a産生は抑制しない。
INH2BP処理は、J774マクロファージにおいてLPS誘導性の一酸化
窒素形成の用量依存的阻害をもたらした(図1a)。INH2BPは、6−ケト
プロスタグランジンF1aのLPS誘導性の産生を同様に抑制した(図1b)が、
TNFの産生は抑制せず(図1c)、LPS誘導性のミトコンドリア呼吸の抑制
を元の水準に戻した(図1d)。INH2BPは、iNOSmRNAおよびタン
パク質発現の著しい阻害をもたらした(図2a〜c)。INH2BPによる亜硝
酸塩産生の阻害は、iNOS誘導の刺激の前とは対照的に、薬剤をLPS投与の
数時間後に投与した場合に大きく減少した(図3a)。さらに、iNOSに対す
るINH2BPの阻害効果は、LPSをインターフェロンガンマ(INF−g5
0μ/mL)と組み合わせて免疫刺激に使用した場合に大きく減少した(図3b)
。
INH2BPによるiNOSプロモーター誘導の選択的抑制
INH2BPによるiNOSの調節をさらに試験するために、我々は、ネズミ
マクロファージiNOSプロモーター−ルシフェラーゼ構築物を用いる一過性分
析を行った。以前のデータ(Lowensteinら,1993,“Macrophase nitric oxide
synthase gene:two upstream regions mediate induction by interferon gamma
and lipopolysaccharide”Proc .Natl.Acad.Sci.U.S.A. 90:9730-9734)と
一致して、我々は、LPSによるルシフェラーゼ活性の約10倍〜12倍の誘導
によって証明されるように、LPSが介在するネズミマクロファージiNOSの
転写調節に関係する重要な役割を見い出した。完全長のプロモーター構築物(約
1592bp)でトランスフェクトした細胞を、INH2BPで同時処置すると
、LPSが介在するルシフェラーゼ活性が完全に阻害された(図4)。しかし、
約367bpの欠失構築物でトランスフェクトした細胞を、同じく同時処置する
と、LPSが介在するルシフェラーゼ活性に対する有意な影響はなかった(図4
)。
INH2BPのインビボ抗炎症効果
INH2BPの前処置は、プラズマ亜硝酸塩/硝酸塩のLPS誘導性の増加、
および意識のあるラットにおける肺iNOS活性の増加を減少させた(図5)。
NO産生に対するINH2BPの阻害効果は、薬物をLPS刺激の数時間後に細
胞または動物に投与した場合には減少した(図5)。形質転換した細胞系と同様
、100mM INH2BPによる処置は、インビトロでLPS(10mg/mL
)により刺激された初代細胞(ラットから得た腹腔マクロファージ)における亜
硝酸塩産生を有意に減少させた(56±7%、p<0.01)(n=4)。
インビトロでの結果(図1c)と同様に、INH2BPは、マウスにおけるプ
ラズマTNFレベルのLPS誘導性の増加に対して有意な影響は及ぼさなかった
(図6a)。INH2BPは、LPS誘導性のIL−6産生にも影響を及ぼさな
かった(図6c)。しかし、INH2BPは、LPS誘導性のIL−10プラズ
マ応答の増大をもたらした(図6b)。
INH2BPによるマウスの前処置は、LPSの致死用量投与時の生存率にお
いて、有意で用量依存的な改善をもたらした(図7)。
INH2BP活性は、MAPキナーゼのLPS誘導性の活性化を破壊するが、N
F−κBの活性化と核移行には変化を及ぼさない。
iNOSの誘導および他の炎症メディエーターの産生に先立つ複数の細胞内過
程が存在する。チロシンキナーゼの活性化は、炎症メディエーターにおける重要
な因子であると認識されている(Levitzki,A,1994,“Signal-transduction t
herapy.A novel approach to disease management,”Eur .J.Biochem. 226:1-
13;Novogrodskyら,1994,“Prevention of lipopolysaccharide-induced lethal
toxicity by tyrosine kinase inhibitors,”Science 264(Wash):1319-22;Marc
zinら,1993,“Tyrosine kinase inhibotors surppress endotoxin-and IL-1-b
eta-induced NO synthesis in aortic smooth muscle cells,”Am .J.Physiol. 265:H1014-1018,mitogen-activated protein kinase(MAP kinase);Matsudaら
,1994,“Signaling pathways mediated by the mitogen-activated protein(
MAP)kinase/MAP kinase cascade,”J .Leukocyte Biol. 56:548-53;L'Allema
in,G.,1994,“Deciphering the MAP kinase pathway,”Progr.Growth Facto r Res. 5:291-334;Cowleyら,1994,“Activation of MAP kinase kinase is ne
cessary and significant for PC12 differentiation and for transformation
of NIH 3T3 cells,”Cells 77:841-52;and the NF-κB pathway;Baeuerleら,19
94,“Function and activation of NF-κB in the immunesystem,”Ann .Rev. Immunol. 12:141-79;Schreckら,1992,“Nuclear factor kappa B:an oxidativ
e stress-response transcription factor of eukaryotic cells(areview),”Fr ee Radical Res .Comm. 17:221-37;Mullerら,1993,“Nuclear factor kappa B
,a mediator of lipopolysaccharide effects,”Immunobiol. 187:233-56)。
したがって、我々は、炎症過程のINH2BPによる阻害作用におけるこれらの
経路の関与の可能性を解明するために、LPS刺激に応答するMPAキナーゼお
よびNF-κBの活性化にINH2BPが影響を及ぼすかどうかについて調べた。
刺激していないRAW264.7マクロファージにおいて、かなりの基底MA
Pキナーゼ活性が存在していた。LPS処置(10mg/mL、24時間)は、
ウェスタンブロット(示していない)によって示されるように、免疫反応性のM
APキナーゼ含量に影響を及ぼすことなく、MAPキナーゼ活性の約2.5倍の
増加を誘導した(図8)。INH2BP(150mM)による3日間の細胞の前
処理は、基底のMAPキナーゼ活性を約50%抑制し、MAPキナーゼのLPS
誘導性の増加を破壊した(示していない)。基底のMAPキナーゼ活性は、MA
Pキナーゼキナーゼ阻害剤(Pangら,1995,“inhibition of MAP kinase kinas
e blocks the differentiation of PC-12 cells induced by nerve growth fact
or,”J .Biol.Chem. 270:13585-8)、PD98059(100mM)によって
わずかに抑制され、LPS誘導性のMAPキナーゼ活性化もまた阻害された(図
8)。心筋細胞における最近のデータ(Singhら,1996,“Regulation of cytol
ine-inducible nitric oxide synthesis in cardiac myocytes and microvascul
ar endothelial cells,”J .Biol.Chem. 271:1111-1117)と一致して、LPS
誘導性の亜硝酸塩産生もまたPD 98059によって抑制された(53%、1
00mM、n=3)。
単核細胞系の領域における最近の観察(Baeuerleら,1994,“Function and a
c
tivation of NF-κB in the immune system,”Ann .Rev.immunol. 12:141-79)
と同様に、我々は、J774細胞およびRAW264.7細胞における基底(構
成性)の核NF−κBを見い出した。LPS刺激は、NF−κBの核移行の増加
をもたらし、INH2BPの阻害は、LPSに応答する核移行に影響しなかった
(図9)。
考察
ポリ(ADP−リボース)シンテターゼ(pADPRT)は、核内に豊富に存
在する、タンパク質修飾およびADP重合化酵素である(Uedaら,1985,“ADP-
ribosylation,”Ann .Rev.Biochem. 54:73-100)。pADPRTの生理学的機
能は、多くの議論の対象になってきた。pADPRTがDNA修復酵素であると
いう最初の提案とは対照的に、現在では、pADPRTはDNA修復には直接関
与しておらず(Lindahlら,1995,“Post-translational modification of poly
(ADP-ribose)polymerase induced by DNA strand breaks,”Trends Biochem .Sc i. 20:405-411)、pADPRT遺伝子を除去したトランジェニックマウス由来
の細胞が正常なDNA修復特性を有することが明らかになっている(Bukiら,19
95,“Identification of domains of poly(ADP-ribose)polymerase for protei
n binding and self association”J .Biol.Chem. 270:3370-3377)。生理学的
条件下で、pADPRTは数多くの細胞タンパク質やDNA部位に結合すること
ができ、多面発現的な細胞調節機能を発揮し得る(Bauerら,1995,“Modificat
ion of growth related enzyme pathways and apparent loss of tumorigenicit
y of a ras-transformed bovine endotherial cell line by treatment with 5-
iodo-6-amino-1,2-benzpyrone(INH2BP),”Int .J.Oncol. 8:239-252;Bauer
ら,1995,“Reversal of malignant phenotype by 5-iodo-6-amino-1,2-ben
zopyrone,a non-covalently binding ligand of poly(ADP-ribose)polymerase,
”Biochimie 77:347-377;Bukiら,1995,“Identification of domains of poly
(ADP-ribose)polymerase for protein binding and self association,”J .Bio l.Chem. 270:3370-3377)。pADPRT活性化はまた、特に放射線による傷害
およびオキシダントストレスの後、細胞死を誘導するメカニズムとしてはたらく
と提
唱されてきた(Cochrane,1991,“Mechanisms of oxidant injury of cells,”Molec .Aspects Med. 12:137-147;Berger,1991,“Oxidant-induced cytotoxic
ity:a challenge for metabolic modulation,”Am .J.Respir.Cell.Biol.B iol. 4:1-3)。pADPRTの重要な生理学的機能のうちの1つは、酵素の誘導
、遺伝子発現および細胞分化の調節であり得る(Bauerら,1995,“Modificatio
n of growth related enzymatic pathways and apparent loss of tumorigenici
ty of a ras-transformed bovine endothelial cell line by treatment with 5
-iodo-6-amino-1,2-benzopyrone(INH2BP),”Int .J.Oncol. 8:239-252;Baue
rら,1995,“Reversal of malignant phenotype by 5-iodo-6-amino-1,2-be
nzopyrone,a non-covalently binding ligand of poly(ADP-ribose)polymerase
,”Biochimie 77:347-377;Minagaら,1978,“Induction of cardiac L-ornithi
ne decarboxylase by nicotinamide and its regulation by putrescine,”Eur .J.Biochem. 91:577-85;Griffinら,1984,“The in vivo effect of benzami
de and phenobarbital on liver enzymes:poly(ADP-ribose)polymerase,cytoch
rome P-450,styrene oxide hydrolase,cholesterol oxide hydrolase,choles
terol oxide hydrolase,glutathione S-transferase and UDP-glucuronyl tran
sferase,”Biochem .Biophys.Res.Comm. 122:770-5)。INH2BPによるア
ルカリホスファターゼの誘導(Bauerら,1995,“Modification of growth rela
ted enzymatic pathways and apparent loss of tumorigenicity of a ras-tran
sformed bovine endothelial cell line by treatment with 5-iodo-6-amino-
1,2-benzopyrone(INH2BP),”Int .J.Oncol. 8:239-252)は、ある種のリン酸
化依存性酵素、たとえばMAPキナーゼ、トポイソメラーゼIおよびトポイソメ
ラーゼIIの不活化をもたらすようである。Ha-rasでトランスフェクトされたウ
シ内皮細胞においてINH2BPは発癌性を排除し、細胞増殖を抑制し、トポィ
ソメラーゼI、トポイゾメラーゼII、およびMAPキナーゼ活性を増加させ、
DNA-メチル-トランスフェラーゼおよびタンパク質キナーゼCを下方調節し、
ODCは、Rbタンパク質の低リン酸化(hypophosphorylation)を増大させ、
ras遺伝子の発現を癌遺伝子の損失なしに阻害する(Bauerら,1995,“Modif
ication of growth related enzymatic pathways and apparent loss of tumori
g
enicity of a ras-transformed bovine endothelial cell line by treatment w
ith 5-iodo-6-amino-1,2-benzopyrone(INH2BP),”Int .J.Oncol. 8:239-252
;Bauerら,1995,“Reversal of malignant phenotype by 5-iodo-6-amino-1,
2-benzopyrone,a non-covalently binding ligand of poly(ADP-ribose)polym
erase,”Biochimie 77:347-377)。
INH2BPの最近記載された抗癌作用(Bauerら,1995,“Modification of
growth related enzymatic pathways and apparent loss of tumorigenicity of
a ras-transformed bovine endothelial cell line by treatment with 5-iodo
-6-amino-1,2-benzopyrone(INH2BP),”Int .J.Oncol. 8:239-252;Bauerら
,1995,“Reversal of malignant phenotype by 5-iodo-6-amino-1,2-benzo
pyrone,a non-covalently binding ligand of poly(ADP-ribose)polymerase,”Biochimie 77:347-377)、および特にNO産生に関係する慢性炎症と癌との関連
(緒言を参照)に基づいて、ここで我々は、INH2BPがLPS誘導性の炎症
応答をインビトロおよびインビボで調節するかどうかを観察した。我々は、試験
した経路とメディエーターのいくつか(MAPキナーゼ、プロスタグランジン、
NO)が、INH2BPによって抑制されたが、他のメディエーター(TNF、
IL−6、NFκB)は影響されなかったか、あるいは増加した(IL−10)
ことを見い出した。概して、本発明のデータは、INH2BPなどのpADPR
T阻害化合物は抗炎症作用を発揮し、これらの作用の組み合わせが、このpAD
PRTの阻害剤で前処理された動物または哺乳類の生存率の改善の基礎となり得
ることを示している。実施例2
INH2BPはiNOSのLPS誘導性誘導を抑制する
背景技術では、種々の細胞において、前炎症性刺激に応答して、誘導可能な一
酸化窒素(NO)シンターゼのイソ体(iNOS)を発現させている。iNOS
によるNOの過剰産生は、ショックおよび炎症において重要な役割を演じ[Nath
anの(1992)“哺乳類細胞の分泌産物としてのNO”、FASEB J.,6:30
51−3064;Vane,J.R.のThe Croonian Lecture“内皮:血液循環の指揮者
”、Proc.Rov.Soc.Lond B、343:225−246;Szabo,C.の(19
95)“循環性ショックの種々の形態における一酸化窒素の産生の変更”、New
Horizons、3:3−32]、ガン原性形質転換しやすくする[Bartschらの(1
994)“ヒト癌病因学における内因的に形成されたN−ニトロソ化合物および
ニトロソ化剤”、Pharmacogenetics、2:272−7;Liuらの(1992)“
ウッドチャック肝炎ウイルス表面抗原は肝細胞においてNO合成を誘導する”、
Carcinogenesis、1515:2875−7;Ohshimaらの(1994)“ガンの
危険因子としての慢性感染および炎症プロセス:ガン原性における一酸化窒素の
可能な役割”、Mutation Res.、305:253−64]。マウスiNOS遺伝
子のプロモーター領域がクローニングされており、LPSおよびIFNに応答す
る誘導能力の原因となる別の領域が同定されている。iNOSのLPS媒介性誘
導は、NF−kBの可動化および核トランスロケーションに関与するように思わ
れる。iNOSの誘導は、チロシンキナーゼの薬理学的インヒビターおよびNF
−kB活性化によっても阻害される[Szabo,C.の(1995)“循環性ショック
の種々の形態における一酸化窒素の産生の変更”、New Horizons、3:3−32
]。
iNOS発現におけるINH2BPの阻害効果は、亜硝酸塩の産生の阻害、i
NOSmRNAの発現およびiNOSタンパク質の発現によって示される。IN
H2BPは、iNOS誘導のために刺激後回数を増やしながら適用される場合に
、徐々にその効果を失うので、調節はiNOS産生の初期段階で起こる。INH2
BPによるiNOS誘導の調節は、インビトロおよび動物の両方において起こ
る。さらに、我々のデータは、LPS誘導性シクロオキシゲナーゼ代謝物の産生
が、iNOSの誘導と同様に、INH2BPによって調節されることを示してい
る。前炎症性サイトカインによるシクロオキシゲナーゼ代謝物の産生は、新規m
RNAおよびタンパク質合成およびiNOS誘導のプロセスと類似したプロセス
によるCOX−2の発現によるものである[Vaneらの(1995)“抗炎症性薬
物の作用のモードへの新規洞察”、Inflamm.Res.、44:1−10]。しかし、
LPSによるTNFの誘導は、J774細胞内のこの作用剤によって影響を受け
ないので、炎症メディエーターのLPS誘導性発現の阻害は非特異的応答ではな
い。
興味深いことに、iNOSにおけるINH2BPの阻害効果は、LPSをIN
Fと組み合わせて免疫刺激に用いた場合、大きく減少した。この効果は、インタ
ーフェロン調節因子といったようなIFN誘導性転写因子が、上記作用剤による
iNOS誘導の阻害をバイパスするという事実によるものである[Martinらの(
1994)“一酸化炭素シンターゼの誘導におけるインターフェロン調節因子1
の役割”、J.Exp.Med.、180:977−84]。
これまでのインビトロの研究において、インビトロにおいてiNOSの誘導が
マクロファージ内の薬理学的インヒビターpADPRTによって調節されること
が示唆されている[Hauschildtらの(1992)“腫瘍壊死α因子によるL92
9細胞内における一酸化窒素シンターゼの誘導は、ポリ(ADPリボース)ポリ
メラーゼのインヒビターによって防止される”、Biochem.J.、288:255−
260;Pellat-Seceunykらの(1994)“ニコチンアミドは活性化マクロフ
ァージ内の一酸化窒素シンターゼmRNA誘導を阻害する”、Biochem.J.、29
7:53−58]。しかし、これらの研究では、pADPRTインヒビターであ
る30のアミノベンズアミドとニコチンアミドは、高濃度(10−30mM)で
用いられて総タンパク質とRNA合成を阻害し、さらにフリーラジカルスカベン
ジングといったような薬理作用ももつていた[“腫瘍壊死α因子によるL929
細胞内における一酸化窒素シンターゼの誘導は、ポリ(ADPリボース)ポリメ
ラーゼのインヒビターによって防止される”、Biochem.J.、288:255−2
60]。INH2BPを用いる本発明の実験は、iNOSmRNA転写プロセスに
おけるpADPRTの多面作用的関わりをさらに示唆するものである。INH2
BPによるiNOSプロモーターの調節を研究するために、マウスマクロファー
ジiNOSプロモータールシフェラーゼ構築物を用いる一次的感染アッセイを行
つた。欠失構築物のこれらのデータは、INH2BPが、1592bpと367
bpの間のマウスiNOSプロモーター領域に関与する転写イベントを調節する
ことを示唆する。ヒストンおよびヌクレアーゼのADPリボシル化は、緩んだク
ロマチン構造の維持に関与している[Bauerらの(1995)“成長関連酵素反応
の修飾および5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロン(INH2BP)
処理によるras形質転換ウシ内皮細胞系の腫瘍原性の明らかな減少”、Int.J.Onc
ol.、8:239−252;Bauerらの(1995)“ポリ(ADP−
リボース)ポリメラーゼの非共有結合リガンド、5−ヨード−6−アミノ−1,
2−ベンゾピロンによる悪性表現型の逆転”、Biochemie、77:347−37
7;Uedaらの(1985)“ADP−リボシル化”、Ann.Rev.Biochem.、54:
73−100]。Bauerらの(1995)“成長関連酵素反応の修飾および5−ヨ
ード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロン(INH2BP)処理によるras形質転
換ウシ内皮細胞系の腫瘍原性の明らかな減少”、Int.J.Oncol.、8:239−2
52;Bauerらの(1995)“ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの非共
有結合リガンド、5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロンによる悪性表
現型の逆転”、Biochemie、77:347−377といったような先の実験デー
タに基づいて、これらの実験系において、INH2BPなどのpADPRT阻害
化合物による前処理によって、pADPRTおよびヒストンの自己ポリ−ADP
−リボシル化が阻害されることが示唆されるのは合理的である。このような作用
がリラックス型染色質から凝縮染色質への転換の引き金となることが知られてお
り、ヌクレアーゼおよび他のDNA構造調節酵素のアップレギュレーションを介
して、プロモーター機能に影響を及ぼす[Bauerらの(1995)“成長関連酵
素反応の修飾および5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロン(INH2
BP)処理によるras形質転換ウシ内皮細胞系の腫瘍原性の明らかな減少”、Int
.J.Oncol.、8:239−252;Bauerらの(1995)“ポリ(ADP−リボ
ース)ポリメラーゼの非共有結合リガンド、5−ヨード−6−アミノ−1,2−
ベンゾピロンによる悪性表現型の逆転”、Biochemie、77:347−377]
。実施例3
MAPキナーゼにおけるINH2BPの阻害の影響およびNF−kBの活性化
これらの結果から、INH2BP処理がMAPキナーゼのLPS誘導性活性化
を阻害することが実証されている。これらのデータは形質転換された内皮細胞に
関する発見と類似している[Bauerらの(1995)“成長関連酵素反応の修飾
および5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロン(INH2BP)処理に
よるras形質転換ウシ内皮細胞系の腫瘍原性の明らかな減少”、Int.J.Oncol.、
8:239−252]。MAPキナーゼ活性化の阻害は、INH2BPによる多
面細胞応答トリガーによって起こると考え得る。MAPキナーゼは、LPSまた
は種々の前炎症性サイトカイン(TNF−α、インターロイキン−1、神経成長
因子)で処理された種々の細胞型内で活性化されることがわかっている[Kyriak
isらの(1996)“警鐘を鳴らす:ストレスおよび炎症によって活性化された
タンパク質キナーゼカスケード”、J.Biol.Chem.、271:24313−243
16;Matsudaら(1994)の“マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キ
ナーゼキナーゼ/MAPキナーゼカスケードによって媒介されたシグナル生成経
路”、J.Leukocyte Biol.、56:548−53;Cowleyらの(1994)“P
C12分化およびNIH3T3細胞の形質転換には、MAPキナーゼの活性化が
必要および十分条件である”、Cells、77:841−52;Pangらの(199
5)“MAPキナーゼキナーゼの阻害は、神経成長因子によって誘導されるPC
−12細胞の分化を遮断する”、J.Biol.Chem.、270:13585−8;Will
isらの(1996)“培養された単球およびアストログリア中の細菌性リポ多糖
によるマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ経路の分化誘導”Biochem.J.、3
13:519−524;Saklatvalaらの(1993)“インターロイキン1およ
び腫瘍壊死因子αは、培養細胞中で、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)
キナーゼキナーゼを活性化する”、FEBS Lett.、334:189−92]。種々
の細胞外シグナルは、異なるMAPキナーゼキナーゼ−キナーゼを介してMAP
キナーゼキナーゼ/MAPキナーゼカスケードに集まり、細胞応答の欠陥スペク
トルを引き出す[Kyriakisらの(1996)“警鐘を鳴らす:ストレスおよび炎
症によって活性化されたタンパク質キナーゼカスケード”、J.Biol.Chem.、27
1:24313−24316;Ferrell,JEの(1996)“スイッチを入れる:
タンパク質キナーゼカスケードはどのように類別された入力をスイッチ様出力に
変換しうるか”、TIBS、21:460−466]。MAPキナーゼまたはMAP
キナーゼキナーゼの封鎖は、多数の細胞内経路を変更し、細胞分化および増殖を
阻害する[Kyriakisらの(1996)“警鐘を鳴らす:ストレスおよび炎症によ
って活性化されたタンパク質キナーゼカスケード”、J.Biol.Chem.、271:2
4313−24316;Matsudaら(1994)の“マイトジェン活性化タンパ
ク質(MAP)キナーゼキナーゼ/MAPキナーゼ
カスケードによって媒介されたシグナル生成経路”、J.Leukocyte Biol.、56
:548−53;Cowleyらの(1994)“PC12分化およびNIH3T3細
胞の形質転換には、MAPキナーゼの活性化が必要および十分条件である”、Ce
lls、77:841−52;Pangらの(1995)“MAPキナーゼキナーゼの
阻害は、神経成長因子によって誘導されるPC−12細胞の分化を遮断する”、
J.Biol.Chem.、270:13585−8;Willisらの(1996)“培養された
単球およびアストログリア中の細菌性リポ多糖によるマイトジェン活性化タンパ
ク質キナーゼ経路の分化誘導”Biochem.J.、313:519−524;Saklatva
laらの(1993)“インターロイキン1および腫瘍壊死因子αは、培養細胞中
で、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼキナーゼを活性化する”
、FEBS Lett.、334:189−92]。近年、PD98059によるMAPキ
ナーゼキナーゼの阻害が、培養内皮細胞および心臓単球におけるiNOSmRN
Aの発現を抑制することが明らかにされている[Singhらの(1996)“心臓
単球および微小血管内皮細胞における細胞系誘導一酸化炭素の調節”、J.Biol.C
hem.、271:1111−1117]。この発見は、PD98059が、RAW
マクロファージにおいて、LPSによる亜硝酸塩の産生を目覚しく抑制するとい
う我々の観察と一致している。
NF−kBの活性化は炎症応答における主要経路であり、INFではなくてL
PSによるiNOSの誘導に関連しているので[Szabo,C.の(1995)“循環
性ショックの種々の形態における一酸化窒素の産生の変更”、New Horizons、3
:3−32;Martinらの(1994)“一酸化炭素シンターゼの誘導におけるイ
ンターフェロン調節因子1の役割”、J.Exp.Med.、180:977−84]、我
々は、NF−kBにおけるINH2BPの潜在的効果を調査しようとした。我々
が得た結果から、INH2BPが、NF−kBの活性化の核トランスロケーショ
ン、もしくはINH2BPによるNF−kB媒介細胞内イベントの調節を変更せ
ず、もしあったとしても、多くは、NF−kBの核トランスロケーションから遠
い細胞イベントにおいて起こることが実証される。実施例4
病態生理学的および治療的関連;INH2BPは
複数のレベルで炎症プロセスを調節する
前炎症性遺伝子iNOSおよびCOX−2の発現のpADPRTインヒビター
による抑制およびそれに続くNOおよびプロスタグランジンの形成の減少は、種
々の形態の炎症において有益である[Nathanの(1992)“哺乳類細胞の分泌
産物としてのNO”、FASEB J.,6:3051−3064;Vane,J.R.のThe Croo
nian Lecture“内皮:血液循環の指揮者”、Proc.Rov.Soc.Lond B、343:2
25−246;Szabo,C.の(1995)“循環性ショックの種々の形態における
一酸化窒素の産生の変更”、New Horizons、3:3−32;Vaneらの(1995
)“抗炎症剤の作用のモードへの新規洞察”、Inflamm.Res.、44:1−10]
。さらに、IL−10の放出の増加は、さらなる抗炎症作用をもたらす[Liles
らの(1995)“論説:炎症および宿主免疫応答に関連するサイトカインの命
名法および生物学的重要性”、J.Infect Dis.、172:1573−80;Giroi
rらの(1993)“敗血性ショックのメディエーター:内因性炎症カスケード
の妨害のための新規アプローチ”、Critical Car.Med.、21:780−9;Sza
boらの(1997)“イソプロテレナールは腫瘍壊死因子、インターロイキン1
0、インターロイキン6および一酸化窒素の産生を調節し、内毒血症における血
管の反応減退の進行を防止する”、Immunology、90:95−10O]。このよ
うな効果は、INH2BP前処理などのpADPRT阻害化合物による改良およ
び致死量の内毒素を投与したマウスの生存率に、有意に寄与するということが考
えられる。しかし、INH2BPが、種々の炎症メディエーターのLPS誘導性
発現において効果を発揮する正確なメカニズムの概要を得るにはさらに詳細な研
究が必要である。一方では、pADPRT活性またはpADPRTタンパク質の
結合は、炎症メディエーターの産生および/または炎症プロセスの化合物をコー
ドする遺伝子の発現の調節に関連していると考えられる。他方では、INH2B
PによるMAPキナーゼ活性の非直接的ダウンレギュレーション[Bauerらの(
1995)“成長関連酵素反応の修飾および5−ヨード−6−アミノ−1,2−
ベンゾピロン(INH2BP)処理によるras形質転換ウシ内皮細胞系の腫瘍原性
の明らかな減少”、Int.J.Oncol.、8:239−252]もまた、他の実験によ
って予測されたように、観察された効果に寄与することが考え
られる[Kyriakisらの(1996)“警鐘を鳴らす:ストレスおよび炎症によっ
て活性化されたタンパク質キナーゼカスケード”、J.Biol.Chem.、271:24
313−24316;Ferrell,JEの(1996)“スイッチを入れる:タンパク
質キナーゼカスケードはどのように類別された入力をスイッチ様出力に変換しう
るか”、TIBS、21:460−466]。本発明は、種々の炎症性疾患における
INH2BPといったようなpADPRT阻害化合物の治療能力を実証する。実施例5
一酸化窒素(NO)の毒性効果のいくつかは、NOとスーパーオキシドの急速
反応によって形成される反応性酸化物であるペルオキシ亜硝酸の産生に関連して
いる[Crowらの(1995)“一酸化窒素媒介性毒性におけるペルオキシ亜硝酸
の役割”、Current Top Microbiol.Immunol.、196:57−73;Pryorらの
(1995)“ペルオキシ亜硝酸の化学:一酸化窒素とスーパーオキシドの反応
からの生成物”、Am.J.Physiol.、L699−L772]。ペルオキシ亜硝酸の
形成は、内毒素によって引き起こされた全身性炎症などの種々の炎症状況におい
て確認されている[Szaboらの(1995)“循環性ショックの種々の形態にお
ける一酸化窒素の産生の変更”、New Horizons、3:3−32;関節炎;Kaurら
の“慢性炎症における一酸化窒素媒介性酸化的ダメージの証拠。リューマチ患者
由来の血清および関節液中のニトロチロシン”、FEBS Lett.、1359:9−1
2;およびカラギーナン誘発性;*Salveminiらの(1996)足(paw)浮腫
]。実のところ、NOシンターゼ(NOS)インヒビターおよびスーパーオキシ
ドジスムターゼ類似体を用いた薬理学的実験から、炎症プロセスの進行において
ペルオキシ亜硝酸が重要な病原性の役割を演じることが結論づけられた[StaboC
.の(1996)“ショック、炎症および虚血再潅流損傷の病態生理学における
ペルオキシ亜硝酸の役割”、Shock、6:79−88;*Salveminら(1996)
;*Zingarelliら(1977)]。さらに、関節炎の治療に現在使用されている
いくつかの作用剤は、実のところ、ペルオキシ亜硝酸のスカベンジャーであるこ
とが実証されている[Whitemanらの(1996)“抗炎症剤および抗生物質テト
ラサイクリンによる、ペルオキシ亜硝酸依存性チロシンのニトロ化およびα1−
アンチプロテイナーゼの不活性化”、Annals.of the Rheumatic
Diseases、55:383−7]。NO関連細胞毒性の重要な部分が、ペルオキシ
亜硝酸の形成によるという現実は、ペルオキシ亜硝酸の形成および作用に基づい
た新規な治療的アプローチの発達を必要とするようになってきている。
ペルオキシ亜硝酸が引き金となる細胞内経路のひとつは、DNA−本鎖切断お
よびポリ(ADP−リボース)シンセターゼ(PARS)の活性化に関連がある
[StaboC.の(1996)“ショック、炎症および虚血再潅流損傷の病態生理学
におけるペルオキシ亜硝酸の役割”、Shock、6:79−88;*Szabo(199
6b)]。PARSの顕著な活性化によって、その基質、NAD+の細胞内濃度
が急速に激減され、糖質分解、電子輸送および、それにともなうATP形成の速
度が遅くなり、最終的に細胞機能不全になる[*Berger(1991);*Cochrane
(1991)]。したがって、PARSのインヒビターは、これらの条件下で細
胞損傷に対する保護作用を示す。“PARS自殺仮説”として知られるこのメカ
ニズムは、これまでに、H2O2誘導オキシダントダメージおよび放射線損傷との
関係において特徴付けられており[*Berger(1991);*Cochrane(1991
)]、最近、内毒素ショック、発作、虚血−再灌流損傷および糖尿病におけるN
O−およびペルオキシ亜硝酸関連性細胞損傷に関係が有ることが明らかにされて
いる[Stabo C.の(1996)“ショック、炎症および虚血再灌流損傷の病態生
理学におけるペルオキシ亜硝酸の役割”、Shock、6:79−88;*Zhangら(
1994);*Hellerら(1995)]。
最近、Krogerらによって、関節炎におけるPARSの潜在的役割が提案されて
いる。ペルオキソクロム酸カリウム誘導モデルにおいて、ニコチンアミド処理に
よって平均関節炎スコアが25〜35%減少した[*Mieselら(1996)]。
しかし、フリーラジカルのスカベンジング活性とニコチンアミドのPARS阻害
効果の間に明確な区別を設けることができなかったので、その研究からは、阻害
のメカニズムは不明確なままであった[*Mieselら(1995)]。新規の、強
力なPARS活性インヒビターである[*Bauerら(1995a);*Bauerら(1
995b)]5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロン(INH2BP)
の助けを借りる本発明の実験において、本発明者らは、カラギーナン誘発性足浮
腫およびコラーゲン誘発性関節炎の過程におけるPARSの薬理学的阻害効
果を研究した。我々の実験の結果は、PARSを阻害することが炎症に抗う可能
性のひとつであるという考察を支持するものである。実施例6
カラギーナン誘発性足浮腫の誘発および評価
雄性ウィスターラット(250〜300g、チャールズ・リバー・ラボラトリ
ーズ、ウィルミントン、MA)を用いてこの実験を行った。動物の右の後ろ足に
1%カラギーナンを含む食塩水0.1mlを足底下注射を行った。INH2BP
処置動物またはビヒクル処置動物のいずれかに、この起炎剤を与えた。カラギー
ナン注射を行う前に、動物をINH2BP(0.5g/kg p.o.)で24時間
および2時間処置した。先行文献の記載にしたがって体積測定機にて足の体積を
迅速に測定した[*Sautebinら(1995)]。以後、60分間隔で同じ足の体
積を読み取り、開始時の読み取りと比較した。これらの実験には、ビヒクル処置
(n=6)およびINH2BP処置(n=6)動物を用いた。実施例7
コラーゲン誘発性関節炎の誘発と評価
雄性DBA/1Jマウス(9週齢、ジャクソン・ラボラトリー、バー・ハーバ
ー、ME)を用いて本実験を行った。ニワトリII型コラーゲン(CII)を0
.01Mの酢酸に2mg/mlの濃度となるように4℃にて一夜攪拌しながら溶
解した。溶解したCIIは使用するまで−70℃にて冷凍した。濃度2mg/m
lの結核菌H37raを加えることにより、完全フロイントアジュバント(CF
A)を調製した。注射前に、CIIを同量のCFAで乳化した。コラーゲン誘発
性関節炎を先行文献の記載に従って誘発した[Hugesらの(1994)“非マイ
トジェン性抗CD3モノクローナル抗体を用いることによる、自己免疫の実験モ
デルにおけるヘルパーT細胞低応答性の誘発”、J.Immunol.、153:3319
−3325]。第1日に、マウスの尻尾のつけ根に100mlのCIIを皮内注
射した。第21日に、第2回目のCII/CFAの注射を行った。第25日から
、ビヒクル(n=10)またはINH2BP(n=60(0.5g/kg p.o.
))のいずれかで24時間毎に動物を処置した。肉眼で見た0〜4の得点システ
ム[1−膨潤および/または足もしくは一本の指の赤み;2−2つの関節が
関節炎;3−2つ以上の関節が関節炎;4−足および指全体の重篤な関節炎]で
マウスの関節炎を毎日評価した。個々の足についての4個の得点を加算すること
によって、各マウスについての関節炎指数を算出した。実験の最終日(第35日
)に、動物を麻酔下で屠殺し、足(PAW)と膝を切除して、組織学的審査用に
固定した。組織学的審査は処置レジメを知らされていない研究者によって行った
。
データ分析および発表
カラギーナン誘発性足浮腫に関する実験については、処置および非処置動物の
足の体積を、不対スチューデントテストにて比較した。関節炎実験については、
マン−ホイットニーUテスト(2テール、独立的)を用いて関節炎指数における
統計的差異を試験した。測定の目盛りが序数なので、この非パラメーター的統計
量を用いては、平均よりもむしろメジアンを比較した。分散値は、代表的には、
非標準的分散であった[Hugesらの(1994)“非マイトジェン性抗CD3モ
ノクローナル抗体を用いることによる、自己免疫の実験モデルにおけるヘルパー
T細胞低応答性の誘発”、J.Immunol.、153:3319−3325]。
図10の値は、n個の観察の平均±標準誤差を示す(ここで、nはラットの数
である。各グループ6匹の動物。)。図11の値は、発生率(%)を示し、図1
2の値は、メジアンを示す。0.05以下のp値を統計的に有意であるとみなし
た(I’<0.05;**p<0.02)。
物質
5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロン(INH2BP)を以前に記載
の通り製造した(※Bauerらによる1995a;※Bauerらによる1995b)。ニワトリ・
コラーゲンII型はエラスチン・プロダクト社(Elastin Products Company,Inc.
、オーエンスビル、MO)製である。マイコバクテリウム・ツベルクローシスH
37Ra(Mycobacterium tuberculosisH37Ra)はディフコ(Difco、デト
ロイト、MI)製である。他の化学品は全てシグマ社(Sigma Chemical Co.社、
セントルイス、MO)製である。ラットの足へカラギーナンを足底下注射するこ
と
により足の大きさが時間に依存して増加し、3時間時に最大応答を示した(図1
0)。本カラギーナンによって誘発される足の浮腫は、INH2BPを用いて処
理することで有意に減少した(図10)。
マウスにおけるコラーゲンによって誘発した関節炎のモデルの場合、最初のコ
ラーゲンによる免疫感作後の26〜35日間、関節炎発生率の増加及び関節炎ス
コアの増加で証明される通り(図11〜12)、動物は徐々に関節炎を発生した
。INH2BPを用いて処置することにより、33日目まで関節炎の発生率は減
少し、また実験期間全般にわたって該疾患の重度が軽減された。30日目まで、
関節炎スコアは10まで増加し、一方INH2BPで処理した動物における中間
関節炎スコアはおよそ5を維持した(図12)。35日目まで、賦形薬で処理した
全ての動物およびINH2BPで処理したほとんどの動物がある程度の関節炎を
有していた(図11)。しかしながら、35日目でさえ中間関節炎スコアはINH2
BP処理によって有意に減少した(図12)。
35日目では、賦形薬で処理した関節炎の動物における足を組織学的評価した
ところ、より大きな足首の関節および末端の指への(好中球、マクロファージお
よびリンパ球)浸潤が混ざった塊を伴った重度の化膿性関節炎のサインを示した
。加えて、滑膜の激しいまたは穏やかな壊死、過形成およびか痴形成が、繊維症
を伴った近接筋肉組織への炎症の拡大および粘性産生の増加と併せて見られた。
該INH2BP動物において、炎症の程度は有意に減少した。それにもかかわら
ず、これらの動物において、いくつかのより大きな関節への穏やかな主に好中球
の浸潤を伴い、また滑膜の壊死および過形成を緩和するのに適度な大きさの有意
な程度の炎症がなお存在した。足における該発見と同様に、ひざにおいても重度
の化膿性関節炎のサインが見られたが、これはINH2BPを用いた処置によっ
て軽減された(図示せず)。
議論
ペルオキシ亜硝酸塩、オキシラジカルおよび誘導可能なシクロオキシゲナーゼ
の産物はいずれも独立して、例えば関節炎などの様々な形態の炎症の病原論にお
いて重要な因子であると提案されたことはなかった。(以下の文献を参照:序論
およびまた、Brahnの報告(1991)、「リウマチ関節炎の動物モデル。病因への糸
口と処置(Animal models of rheumatoid arthritis.Clues to etiology and t
reatment)」Clin .Orthop.Rel.Res. 265:42-53;Kaurらの報告(1994)、「慢
性炎症における一酸化窒素が媒介した酸化的障害の証拠。リウマチ患者からの血
清および滑膜液中のニトロチロシン(Evidence for nitric oxide-mediated oxid
ative damage in chronic inflammation.Nitrotyrosine in serum and synovia
l fluid from rheumatoid patients)」FEBS Lett.1359:9-12;OyanaguiYらの報
告(1994)、「一酸化窒素およびスーパーオキシドラジカルはラットにおける関節
炎アジュバントの初期および周囲の両方において含まれる(Nitric oxide and su
peroxide radical are involved in both initiation and envelopment of adju
vant arthritis in rats)」Life Sci. 54 PL 285-9;Mieselらの報告(1994)、「
マウスにおける関節炎のインビボ抑制およびヒト血球全般における酸素ラジカル
の食細胞産生の半ビボモジュレーションにおけるアロプリノールの影響(Effects
on allupurinol on in vivo suppression of arthritis in mice and ex vivo
modulation of phagocytic production of oxygen radicals in whole human bl
ood)」、Inflammation 6:597-612;Whitemanらの報告(1996)、「ペルオキシ亜
硝酸塩に対する保護はいくつかの抗炎症薬および抗生物質テトラサイクリンによ
るチロシンのニトロ化反応およびアルファ−1−抗タンパク分解酵素の失活に依
存する(Protection against peroxynitrite dependent tyrosine nitration an
d alpha 1-antiproteinase inactivation by some anti-inflammatory drugs an
d by the antibiotic tetracycline)」Annals .of the Rheumatic Diseases 55
:383-7;Andersonらの報告(1996)、「シクロオキシゲナーゼ(COX)−2を選択
的に阻害することにより、ラットアジュバント関節炎における炎症並びにCOX
−2およびインターロイキン6の発現が後退する(Selective inhibition of cyc
looxygenase(COX)−2 and interleukin 6 in rat adjuvant arthritis)」、J .Clin.Invest. 97:2672-2679。本研究はカラギーナンが誘発する足浮種モデル
においておよび該コラーゲンによって誘発される関節炎モデルにおいてINH2
BPの抗炎症性効果を示すものであるが、本研究によりPARSは炎症過程の進
行に関与し、およびPARSの薬理学的阻害は抗炎症能力を有するという点が支
持される。
INH2BPの作用の主要な様式は、DNA損傷によって特徴付けられる無益
細胞内カスケード(the futile intracellular cascade)の分断に関連している
であろう。様々な細胞型の炎症性関節におけるPARS活性化、ADPリボシル
化およびNAD+およびATP消耗。3−アミノベンズアミド、ニコチンアミド
およびINH2BPなどの様々なPARSのインヒビターを用いて本経路を阻害
することにより、多くの細胞型を損傷から保護することが示されている;※Coch
raneの報告(1991);Szaboらの報告(1996)、「ショック、炎症および虚血性再灌
流損傷の病態生理学におけるペルオキシ亜硝酸塩の役割(The role of peroxynit
rite in the pathophysiology of shock,inflammation and schemiareperfusio
n injury)」、Schock 6:79-88;※Szaboの報告(1996b)。
炎症性条件におけるNOの過剰生産はNOSの誘導性イソ型(iNOS)の抑制に起
因する;Nathanの報告(1992)、「哺乳類細胞の分泌産物としての一酸化窒素(Nit
ric oxide as a secretory product of mammalian cells)」、FASEB J. 6:3051-
3064;Szaboの報告(1995)、「様々な循環ショックの形態における一酸化窒素の産
生の改変(Alterations in nitric oxide production in various forms of cir
culatory shock)」、New Horizons 3:2-32;Southanらの報告(1996)、「アミノ
アルキルグアニジンのメルカプトアルキルグアニジンへの同時転移−誘導性イソ
型に対して選択性を有する新規なクラスの一酸化窒素シンターゼインヒビター(
Spontaneous rearrangement of aminoalkylguanidines into mercaptoalkylguad
idines-a novel class of nitric oxide synthase inhibitors with selectivit
y toward the inducible isoform)」Br .J.Pharmacol. 117:619-632。いくつ
かの証拠の道筋は、関節炎の病原論におけるiNOSおよびNOの過剰産生の役
割を提案している(以下の総説を参照:Stenovic-Racicらの報告(1993)、「一酸
化窒素と関節炎(Nitric oxide and arthritis)」、Anthr .Rhemat. 36:1036-104
4;※Evansらの報告(1995)。第一に、iNOSの発現および大量のNOの産生が
実験動物およびヒトからの軟骨細胞において見られた(Haeselmannらの報告(1994
)、“アルギネート培地中でのヒト関節細胞による一酸化窒素およびプロテオグ
リカンの合成(Nitric oxide and proteoglycan synthesis by human articular
chondrocytes in alginate
culture)」、FEBS Lett. 352:361-364;Sakuraiらの報告(1995)、「炎症性関
節炎における一酸化窒素の産生および誘導性一酸化窒素シンターゼの発現(Nitr
ic oxide production and inducible nitric oxide synthase expression in in
flammatory arthritis)」、J .Clin.Invest. 96:2357-63;Grabowskiらの報告(
1996)、「ヒトの関節から誘導された細胞における一酸化窒素の産生(Nitric oxi
de production in cells derived from the human joint)」、Br .J.Rheumatol
.35:207-12;Murrellらの報告(1996)、「一酸化窒素:重要な関節のフリーラジ
カル(Nitric oxide:an important articular free radical)」、J .Bone Joint Sur.-Am. 78:265-74。第二に、亜硝酸塩/硝酸塩(NOの分解生成物)の循環レ
ベルにおける増加が関節炎を持つ患者において見られた;(Farrellらの報告(199
2))、「滑膜液および血清試料中での亜硝酸塩の濃度の増加はリマチ疾患におけ
る一酸化窒素合成の増加を支持している(Increased concentrations of nitrite
in synovial fluid and serum samples suggest increased nitric oxide synt
hesis in rheumatic diseases)」Ann .Rhem.Dis. 51:1219-22;Stichtenothらの
報告(1995)、「尿の硝酸塩の排出はリウマチ関節炎を持つ患者において増加して
おり、およびプレドニソロンによって減少する (Urinary nitrate excretion i
s increased in patients with rheumatoid arthritis and reduced by prediso
lone)」、Ann .Rhem.Dis. 54.820-4。第3に、関節炎の発生はNOSの非イソ
型−選択インヒビターによって減少すると示されてきた(※Ialentialらの報告(
1993);McCartney-Francisらの報告(1993)、一酸化窒素シンターゼのインヒビタ
ーによる関節炎の抑制(Suppression of arthritis by an inhibitor of nitric
oxide synthase)」、J .Exp.Med. 178:749-753;Weinbergらの報告(1994)、「
自発性マウス自己免疫疾患の病原論、MRL−1pr/1prマウスでの一酸化
窒素産生および一酸化窒素シンターゼ発現の増加、並びにNG−モノメチル−L
−アルギニンの経口投与による自発性糸球体腎炎および関節炎の軽減における一
酸化窒素の役割(The role of nitric acid in the pathogenesis of spontaneo
us murine autoimmune disease,increased nitric oxide production and nitr
ic oxide synthase expression in MRL-1pr/1pr mice,and reduction of spont
aneous glomerulonephritis and
arthritis by orally administered NG-monomethyl-L-arginine)」、J .Exp.M ed. 1979:651-60;Stefanovic-Racicらの報告(1994)、「N−モノメチルアルギニ
ン、一酸化窒素シンターゼ・インヒビターは、ラットにおけるアジュバント関節
炎の発生を抑制する(N-monomethyl arginine,an inhibitor of nitric oxide
synthase,suppresses the development of adjuvant arthritis in rats)」Ar thr .Rheumat. 37:1062-9;およびより最近では、iNOSに対する選択性を有
するインヒビターによって(Connorらの報告(1995)、「誘導性一酸化窒素シンタ
ーゼの選択的阻害によるアジュバントによって誘発された関節炎の抑制(Suppre
ssion of adjuvant-induced arthritis by selective inhibition of inducible
nitric oxide synthase)」、Eur .J.Phamacol. 273:15-24。本観点において
、免疫刺激の前にPARSインヒビター(INH2BPと同様に3−アミノベン
ズアミド、ノコチンアミドを含む)を用いた多数の細胞型の前処理はiNOSの
代わりにmRNAの発現を抑制し、またNOの産生を減少させる(※Haushildt
らの報告(1992)、※Pellat-Seceunykらの報告(1994);Zingarelliらの報告(1996)
、“ペルオキシ亜硝酸塩が媒介したDNA鎖の切断はポリADPリボシルシンタ
ーゼを活性化し、およびバクテリア性リポポリサッカライドを用いて刺激したマ
クリオファージ中での細胞エネルギーの消耗を引き起こす(Peroxynitrite-medi
ated DNA strand breakage activates poly-ADP ribosyl synthetase and cause
s cellular energy depletion in macrophages stimulated with bacterial lip
opolysaccharide)」J .Immunol. 156:350-358;Szaboらの報告(1997)。これらの
実験データから、未だ解明されていない機構によってPARSはまたiNOS発
現過程を調節し、および本効果が様々な炎症の形態におけるPARS阻害の更な
る有利な作用様式を表していると結論できる。しかしながら、上記の発見を解釈
する際には注意を換気すべきである。例えば、上記に引用したインビボ研究にお
いて、PARSインヒビタ−3−アミノベンズアミドおよびニコチンアミドの極
端な高濃度(10〜30mM)が、iNOS誘導の抑制を示すために必要となる。これ
らの試薬のこういった高濃度により、総タンパク質の阻害およびRNA合成およ
び/またはフリーラジカル捕捉作用といった薬理学的作用がさらにもたらされ得
る。※Haushildtらの報告(1992)、※
Pellat-Seceunykらの報告(1994);Zingarelliらの報告(1996)、“ペルオキシ亜硝
酸塩が媒介したDNA鎖の切断はポリADPリボシルシンターゼを活性化し、お
よびバクテリア性リポポリサッカライドを用いて刺激したマクリオファージ中で
の細胞エネルギーの消耗を引き起こす(Peroxynitrite-mediated DNA strand br
eakage activates poly-ADP ribosyl synthetase and causes cellular energy
depletion in macrophages stimulated with bacterial lipopolysaccharide)
」J .Immunol. 156:350-358。一方、INH2BPはより低い非細胞毒素の濃度(
100〜300mM)でさえも、iNOSの発現を効果的に抑制する。しかしながら、
本試薬は細胞応答の二次的、多面モジュレーションを有するアルカリ性ホスファ
ターゼの誘導物質であるので、INH2BPの場合においていくつかの様式の作
用を考慮すべきである;※Bauerらの報告(1996)、※Szaboらの報告(1997))。P
ARS遺伝子の切除を伴う細胞または動物における実験においては、PARS自
体の阻害がiNOS誘導の過程を抑制するかどうかといった問題に明確に取り組
む必要がある。
エールリッヒ(Ehrlich)およびその同僚達の最近の研究において、兎の滑膜の
繊維芽細胞の培養において、サイトカインが誘発したコラゲナーゼの発現活性は
3−アミノベンズアミドによって抑制される;※Ehrlichらの報告(1995)。薬理
学的作用(それにもかかわらず、このものにより関節炎の過程の経過を抑制する
ことが期待される)や、用いた特定のインヒビターの性質または現実にPARS
の触媒活性の減少に関連するかどうかを決定することが現在では可能である。本
観点において、薬理学的インヒビターを用いた研究に基づくと、PARSが例え
ば主要組織適合性複合体クラスII遺伝子(※Hiromatsuらの報告(1992);Taniguc
hiらの報告(1993))、ras c-myc(※XBauerらの報告(1996);※Naganoらの報告(
1991))、DNAメチルトランスフェラーゼ(※XBauerらの報告(1996))および
プロテインキナーゼC(※Bauerらの報告(1996))などの様々な遺伝子の調節に
関係している。
併せて、本研究は局所的炎症性応答の発生の回復およびコラーゲンによって誘
発された関節炎の進行のINH2BPによる阻害を示す。最近の10年間PAR
Sの役割はDNAの修復の場合において提案されてきたが、最近の観察によりP
ARSに対する遺伝の切除がDNA修復を含まないことが示された:PAESノ
ックアウト動物は正常であり、生存可能であるように思われる(※Wangらの報告
(1995))。本観察により、PARSの薬理学的インヒビターの抗炎症性能力が強
調される。PARS阻害(iNOS阻害に対するものとして)は、侵入する微生
物がPARSを含有していないので、NOの重要な抗菌性効果を干渉していない
ように思われる。一方、PARS阻害は酸化剤で誘発される細胞毒性の一部を阻
害することが期待されるだけではなく、他のフリーラジカルスカベンジャーまた
は他の免疫抑制剤と併せて用いる場合により有効となることが期待される。本研
究の結果は、PARS単独または他の抗炎症剤と組み合わせることで前途有望な
新規な抗−炎症性アプローチを表している。
上記の例中で見られるのと同様な様式で、式IIおよびIIIの化合物をグラム陰
性およびグラム陽性感染の処置と同様に炎症または炎症性疾患を処置するのに使
用する。
これまでに記載の明細書は当業者が本発明を実行するのに充分可能であること
を考慮すべきである。実際、医薬処方の分野またはその関連分野において当業者
にとって明白である、本発明を実行するための上記に記載の様式の様々な改良法
は下記の請求の範囲の範囲内である。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成11年4月15日(1999.4.15)
【補正内容】
請求の範囲
1.動物または哺乳動物にpADPRT抑制化合物(3−アミノベンズアミドを
除く)の有効量を投与することを特徴とする、動物または哺乳動物における炎症
または炎症性疾患を治療する方法。
2.pADPRT抑制化合物が、式
(式中、R1,R2,R3,R4,R5およびR6は各々水素、ヒドロキシ、アミノ、
アルキル、アルコキシ、シクロアルキルまたはフェノールからなる群から選ばれ
、それらは適宜アルキル、アルコキシ、ヒドロキシまたはハロゲンで置換されて
いてもよく、またR1,R2,R3,R4,R5およびR6の1個だけはアミノである
)
で示される化合物および式
(式中、R1,R2,R3,R4およびR5は各々水素、ヒドロキシ、アミノ、アル
キル、アルコキシ、シクロアルキルまたはフェノールからなる群から選ばれ、そ
れらは適宜アルキル、アルコキシ、ヒドロキシまたはハロゲンで置換されていて
もよく、またR1,R2,R3,R4およびR5の1個だけはアミノである)
で示される化合物からなる群から選ばれる請求項1の方法。
3.該化合物が、6−アミノ−2−ベンゾピロン、5−アミノ−1(2H)−イ
ソキノリノン、7−アミノ−1(2H)−イソキノリノン、および8−アミノ−1
(2H)−イソキノリノンからなる群から選ばれる請求項2の方法。
4.該化合物が5−ヨード−6−アミノ−1,2−ベンゾピロンである請求項1
の方法。
5.動物または哺乳動物にpADPRT抑制化合物の治療上有効量を投与するこ
とを特徴とする、動物または哺乳動物におけるグラム陰性およびグラム陽性の両
方で誘引される内毒素症状を治療する方法。
6.該化合物が、式
(式中、R1,R2,R3,R4,R5およびR6は互いに独立して水素、ヒドロキシ
、アミノ、ニトロソ、ニトロ、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C3−C6)
アルコキシ、(C1−C7)シクロアルキルまたはフェニルおよびその医薬上許容
される塩からなる群から選ばれ、該6個のR1,R2,R3,R4,R5およびR6の
うち少なくとも3個は常に水素であり、かつ該6個のR1,R2,R3,R4,R5お
よびR6のうち少なくとも1個はアミノ基である)
で示される化合物から選ばれる請求項5の方法。
7.該化合物が、式
で示される構造式を有する請求項6の方法。
8.R4がアミノである請求項6の方法。
9.ハロゲンがヨードである請求項8の方法。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 43/00 A61P 43/00
C07D 217/24 C07D 217/24
311/08 311/08
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY,
DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I
T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ
,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,
NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L
S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ
,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL
,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,
BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E
E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU
,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,
KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M
D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL
,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,
SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,V
N,YU,ZW