JP2002502103A - 平形発熱体と平形発熱体の応用 - Google Patents

平形発熱体と平形発熱体の応用

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オピッツ、ハンス
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Abstract

(57)【要約】 一つの平形の発熱体の、加熱可能のパイプ、加熱可能の輸送装置及び熱ロールへの応用に関し、この平形の発熱体は一つの固有導電性ポリマーを含む薄い抵抗層と、抵抗層の片側に間隔を置いて配置した少なくとも2個の電極を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は平形発熱体、特に抵抗発熱体と平形発熱体の応用に関する。 熱の発生源として、抵抗発熱体が種々の分野で使用されている。この発熱体は
充分高い温度を得るためには普通発熱体に高い電圧を加える必要がある。しかし
この高い電圧は特に物質の加熱に使用する場合又は人体と接触する場合に安全性
を損なうおそれがある。更に従来の抵抗発熱体はその使用材料のために、特に長
期使用の場合にその多くは低い温度にしか適していない。従来の技術の提案の中
には、抵抗発熱体の複雑な構成を必要とし、そのためこの抵抗発熱体の適用可能
性が限定される。
【0002】 本発明の課題は、長期使用においても高い表面出力を備え、従って高い温度を
得ることができ、同時に発熱体での電圧が低い発熱体を提供することである。更
にこの発熱体は多方面に使用可能で簡単に接続できるものでなければならない。
【0003】 本発明は更に抵抗発熱体を使用した加熱可能のパイプに関する。 パイプは多方面、例えば物質の輸送に使用される。このようなパイプが例えば
地中又は寒冷地の屋外に敷設される場合には、パイプの中を送られる物質が低温
のために固化してパイプを閉塞するおそれがある。
【0004】 従って本発明のもう一つの課題は、簡単な手段で加熱でき、多方面に使用可能
のパイプを提供することである。
【0005】 本発明は更に物質用の加熱可能の輸送装置に関する。 例えば気体又は液体のような材料は、鉄道の貨車又は貨物自動車に積載された
タンクで輸送されることが多いが、環境の温度が低い場合にタンクの中の物質が
凍結して場合によってはタンクの破損を招くことさえある。そのような車両に発
熱体を取付けるには、発熱体に対する種々の要求があり、又発熱体と車両との間
の熱の伝達の問題がある。このようなタンクは危険物も輸送するので、その場合
には発熱体による局部的な温度の上昇を避けることが重要である。又例えば発熱
体がタンクから離脱したような事故の場合にも物質の凍結を防止しなければなら
ない。
【0006】 従って本発明のもう一つの課題は、輸送の際に凍結、爆発又は火災のような危
険を招くことがなく、物質を所定の温度に維持することができる、物質用の輸送
装置を提供することである。
【0007】 本発明は更に熱ロール、特に複写ロール又はフィルムロールとして使用される
熱ロールに関する。 加熱技術の多くの分野において、所定の温度に加熱できるロールの利用が必要
になる。従来このようなロールは断熱材の中に抵抗線を埋め込んだ発熱体を用い
て製作されていた。或いは例えば複写用の熱ロールにはハロゲンランプを備えた
ロールも使用される。この両方の熱ロールの欠点は、製作に費用が掛かるか又は
伝熱効率が低い点である。
【0008】 従って本発明の課題は、簡単な構造を備え、低電圧で運転でき、同時に高い伝
熱効率を有する熱ロールを提供することである。更に本熱ロールは広く使用され
るものでなければならない。
【0009】 本発明は、加熱電流が最適に貫流できる一つの適当な抵抗素材である抵抗発熱
体によりこの課題が解決できると言う知見に基づくものである。
【0010】 本発明は更に、その他の課題が、加熱電流が最適に貫流できる一つの適当な抵
抗素材を有し、平形に構成され、且つその表面にわたって一様な熱の放出が保証
される一つの抵抗発熱体を特にパイプ、輸送装置及び熱ロールに設けることによ
り解決できると言う知見に基づくものである。
【0011】 これらの課題は本発明によれば一つの平形発熱体によって解決され、その発熱
体は一つの固有導電性ポリマーを含む一つの薄い抵抗層と、この抵抗層の片側に
間隔を置いて配置された少なくとも二つの平形電極とを有する。 本発明の発熱体では、その抵抗層が一つの固有導電性ポリマーを有する。
【0012】 この本発明の抵抗層に使用されるポリマーは、ポリマーの分子に沿って電流が
流れるように構成されている。このポリマーの構造により加熱電流がポリマーに
沿って抵抗層を流れる。ポリマーの電気抵抗により熱が発生し、これが被加熱体
に伝えられる。この際加熱電流は両電極の間の最短距離をとるのではなく、ポリ
マー構成の構造に従う。従って電流の通路の長さはポリマーによって規定される
ので、層の厚さが薄い場合でも電圧による絶縁破壊を伴うことなく比較的高い電
圧を加えることができる。大きな電流、例えば投入電流の場合でも絶縁破壊のお
それはない。更に電流は最初に第一の電極、次にポリマーの構造に沿った抵抗層
の中の通路に配分されるので、抵抗層の中に一様な温度分布が得られる。これは
電極に電圧を加えた直後に現れる。
【0013】 本発明に使用されるポリマーにより、抵抗発熱体を高い電圧例えば配電電圧で
運転することも可能である。得られる加熱出力は運転電圧の二乗に比例して増加
するので、本発明の抵抗発熱体により大きな加熱出力、従って高い温度を得るこ
とができる。電流密度は本発明によれば、導電性ポリマーに沿った比較的長い電
流の通路により、或いは少なくとも二つの直列に接続された、本発明に使用され
る固有導電性ポリマーを含む電気的帯域の形成により最少となる。
【0014】 更に本発明に使用される固有導電性ポリマーは長期間安定である。この安定性
の理由の一つは特にこのポリマーが伸張性を有し、温度が高くなってもポリマー
鎖が切れて電流の通路が遮断されるようなことは起こらないことである。温度変
動が繰り返されてもポリマー鎖の損傷は起こらない。これに対して従来の抵抗発
熱体で、導電性が例えば炭素の骨格で構成されている場合には熱膨張により電流
の通路が切れて過熱が発生し、そのため激しい酸化により抵抗層の絶縁破壊を生
ずるようになる。このような老化現象は本発明の固有導電性ポリマーには認めら
れない。
【0015】 本発明に使用される固有導電性ポリマーは反応性の環境例えば空気中の酸素の
中でも対老化性である。更にこの抵抗素材の電流の流れは電子の電気伝導による
ものである。従って電流の作用の下での電解反応による抵抗層の自己破壊現象は
本発明の固有導電性ポリマーでは発生しない。本発明の抵抗発熱体の場合、表面
加熱出力の長期にわたっての損失は、例えば500℃の高温と例えば50 kW/m2の高 表面加熱出力においても極めて僅かであり、ゼロに近い。
【0016】 本発明に使用される抵抗層は、固有導電性ポリマーの使用により全体として均
質な構造を有し、層の全体にわたって一様な加熱が可能である。
【0017】 この抵抗発熱体は本発明によれば、好ましくは高電気伝導性の材料から成り、
抵抗層の片面に配置された二つの電極により接続される。この接続の形式により
本発明に使用される固有導電性ポリマーの作用を特に有効に利用できる。負荷さ
れた電流は先ず第一の電極で配分され、次にポリマーの構造に沿って抵抗層の厚
さを貫流して第二の接続電極に導かれる。従ってこの電流の通路は、両方の電極
がその間に抵抗層をはさむ構成によって更に延長される。この電流の流れにより
抵抗層の厚さを少なくすることができる。
【0018】 本発明の発熱体は更に広範囲に使用可能であるという特徴を有する。電極とは
抵抗層の片側を介して接続される。従って抵抗層の反対側には接続個所がなく、
平らに形成されている。このような平らな面はこれを被加熱体に直接取リ付ける
ことを可能にする。この抵抗発熱体と被加熱体との間の接触面には接続部材が介
在することがないので、理想的な熱伝達が可能になる。
【0019】 好ましい実施の形態によれば、抵抗層の両方の平形電極に対して反対側に一つ
の平形の浮動電極を配置する。 浮動電極とは本発明においては、電源と接続していない電極のことである。こ
れには電源との電気的接触を防止する絶縁層を設けることもできる。 この浮動電極が抵抗層の電流の流れを支持する。この実施の形態では、電流は
最初の電極で分岐し、ここから抵抗層の厚さを通って反対側の浮動電極に流れ、
ここで抵抗層の厚さを通って第一の電極のある側に配置した第二の電極に達する
ように更に送られる。
【0020】 発熱体のこの実施の形態では、電流は実質的に抵抗層の面に直角にその厚さを
通過する。ここで実質的には抵抗層に二つの帯域が形成される。その第一の帯域
では電流は接続された第一の電極から浮動電極に実質的に垂直に流れ、第二の帯
域ではこの浮動電極から接続された第二の電極に実質的に垂直に流れる。この配
置により直列接続の複数の抵抗も形成される。この現象の結果、個々の帯域での
部分電圧は負荷された電圧よりも少なくなる。即ち、個々の帯域での電圧は本発
明のこの実施の形態の場合,負荷電圧の半分になる。このように本発明の発熱体 では抵抗層での電圧が低下して安全上の危険を確実に避けることができ、そのた
め適用の可能性も更に多岐にわたる。例えばこの発熱体を、被加熱体と直接接触
する用途又は人がサービスする又は使用するために被加熱体に触れなければなら
ないような用途にも使用することができる。
【0021】 更に接続した電極の間に設けた空間は並列に接続した追加の抵抗として作用す
る。空気をこの空間の絶縁材として選べば、この抵抗は電極相互間の間隔と抵抗
層の表面抵抗によって決定される。
【0022】 両方の電極と浮動電極は優れた熱伝導度を有するのが好ましい。その値は200
W/mKを超え、好ましくは250 W/mKを超えることができる。局部的過熱はこの電極
の優れた熱伝導度によって直ちに解消する。過熱はこの場合層の厚さの方向にの
み発生することができるが、本発明の抵抗発熱体の場合に実現可能の僅かの層の
厚さでは殆ど問題にならない。この抵抗発熱体のもう一つの利点として、外部か
ら、例えば被加熱体からもたらされた局部的温度上昇もこの抵抗発熱体により理
想的に解消することができる。
【0023】 両方の電極と浮動電極とは好ましくは優れた電気伝導度の材料により構成され
る。例えば電極の比電気抵抗を10-4Ωcm未満、好ましくは10-5Ωcm未満とするこ
とができる。適した材料としては例えば銀又は銅がある。そのような電極材料の
選択により、平形電極に負荷した電流を、抵抗層に流れる前に電極で分配してか
ら送ることが保証される。こうして抵抗層の中の加熱電流の通過が一様になり、
抵抗層の実質的に完全な加熱が達成される。このような抵抗発熱体は従って一様
な熱を放出することができる。特にこのような電極材料を選択すれば、その長さ
又は幅の幾つかの場所で電極により電圧を加える必要のないような大きな抵抗発
熱体の製作が可能であり、従って平面に沿って電流供給配線を設ける必要がなく
なる。このような複数の接点の設置は、本発明では抵抗発熱体が大きな面積又は
長さを覆うような実施の形態、例えば面積が60 cm2を超える、好ましくは80 cm2 を超えるような場合にのみ選定される。多数の接点の設置が必要になる抵抗発熱
体の大きさは、電極材料の選定の他に接点の場所によっても左右される。例えば
電極の表面の中心に近づくことができ、そこで接点を作ることができれば、前述
よりも大きい面積の場合でも複数の接点の設置を省略することができる。
【0024】 更に単一の接点で作動可能な抵抗発熱体の大きさは、選定した電極の厚さに左
右される。一つの実施の形態によれば、両方の電極と浮動電極とはそれぞれ50乃
至150μm、好ましくは75乃至100μmの範囲の厚さを有する。この僅かの厚さは更
に、この抵抗発熱体に発生した熱を容易に放出できると言う利点がある。又薄い
電極は屈曲性に富み、抵抗層の熱膨張の際に電極が抵抗層から外れて電気の接触
が中断するような事故が避けられる。
【0025】 抵抗層も本発明によれば薄い。その厚さは単に絶縁破壊電圧により制限される
だけで、普通0.1乃至2 mm、好ましくは 1 mmである。抵抗層の僅かな層厚の利点
としては、そのために可能な短い所要加熱時間、急速な熱の放出、及び高い表面
加熱出力を挙げることができる。しかしこのような層厚は本発明の抵抗発熱体の
場合にのみ可能である。本発明が使用するポリマーにより、一つには抵抗層の電
流の通路が予め定められ、僅かの層厚で、電圧の絶縁破壊を避けるために充分の
長さを設けることができる。他方では抵抗発熱体の片側の接触により抵抗層を低
下した電圧の帯域に区分することが可能で、こうして絶縁破壊の危険を更に低減
することができる。
【0026】 本発明の抵抗発熱体の利点は、抵抗層が電気抵抗の正の温度係数(PTC)を有す れば更に強化される。この温度係数により達成可能な最高温度に関する自己制御
効果が得られる。この効果は、抵抗層のPTCにより、抵抗素材の中の電流の流れ が温度に依存して制御される結果として得られる。温度が高くなるほど電流の強
さは減少し、最後にはある熱的平衡状態において測定できない程小さくなる。従
って局部過熱や抵抗素地の溶融が確実に防止できる。例えば本発明の発熱体と被
加熱体との接触が不充分であって、そのために熱の伝達が低下して局部的に温度
の上昇を招くおそれがある場合には、この自己制御効果は本発明の発熱体にとっ
て大きな意味がある。
【0027】 抵抗層の材料としてPTC材料の選定により、更にこの抵抗層の全体が実質的に 同じ温度で加熱されると言う結果が得られる。それにより一様な熱の放出が可能
になリ、これは抵抗発熱体の個々の使用分野に対して重要であろう。
【0028】 本発明によれば、両方の電極及び場合によっては浮動電極に面した抵抗層の表
面をメタライズすることができる。このメタライズ法により抵抗層の表面に金属
層が形成され、電極乃至浮動電極と抵抗層との間の電流の流れが改善される。更
にこの実施の形態の場合、抵抗層から浮動電極への熱の伝達とそれにより被加熱
体又は対象物への熱の伝達も改善される。表面のメタライジングは金属の溶射に
より実施できる。このようなメタライジングは抵抗層の本発明で使用される材料
の場合にのみ実施可能で、例えばめっきのような高価なメタライズ法が不要とな
り、製作費が著しく削減される。
【0029】 固有導電性ポリマーは好ましくは一種のポリマーをドープして得られる。ドー
ピングは金属又は半金属のドーピングである。これらのポリマーにおいて不純物
の導体が化学的にポリマー鎖と結合して不純物が導入される。ドープされた原子
とマトリックスの分子とが所謂電荷移動錯体を形成する。ドーピングにより電子
がポリマーの満たされた電子帯からドープした材料に移行して正孔が形成され、
ポリマーに半導体に類似の電気的性質が付与される。この実施の形態では化学反
応により金属原子又は半金属原子がポリマーの構造に導入乃至そこに蓄積され、
それにより自由電荷が形成されて、これがポリマー構造に沿っての電流の流れを
可能にする。自由電荷は自由な電子又は正孔の形で存在する。こうして電子の導
体が生成する。
【0030】 好ましくはドーピングの際にポリマーにドーピング材料を次の量添加された。
即ちドーピング材料の原子数とポリマー分子数との比が少なくとも1:1、好ま
しくは2:1と10:1との間とする。この比率により、実質的に全てのポリマー分 子に少なくとも1個のドーピング材料の原子がドープされた状態が得られる。こ の比率の選定により、ポリマーのコンダクタンスとそれによる抵抗層のコンダク
タンス並びに抵抗層の抵抗の温度係数とを調節することができる。
【0031】 本発明に使用される固有導電性ポリマーは本発明の抵抗発熱体に黒鉛を添加せ
ずに抵抗層用の材料として使用されるけれども、もう一つの実施の形態では抵抗
層に黒鉛粒子を追加することができる。これらの粒子は抵抗層全体の導電性に寄
与し、好ましくは相互に接触することなく、特に格子や骨格を形成しない。これ
らの黒鉛粒子はポリマーの構造に固定されずに自由に動ける状態にある。黒鉛粒
子が二つのポリマー分子と接触すると、電流は一つのポリマー鎖から黒鉛を介し
て次のポリマー鎖に飛び移り、抵抗層の導電性は更に向上する。同時に黒鉛は自
由に動けるので抵抗層の表面にも現れ、そこで両方の電極又は浮動電極との接触
を改善するように作用する。
【0032】 黒鉛粒子の添加量は抵抗層の全容積に対して好ましくは最大20容積%、特に最
大5容積%で、その平均粒径は最大0.1μmとする。このように添加量が僅かで直
径が小さいので、電流が通過可能の黒鉛格子の形成を避けることができる。こう
して電流の流れは実質的にポリマー分子を介して電子の電気伝導により行われる
ようにすれば、上述の特徴が得られることが確認される。特に電気伝導は、必要
な黒鉛粒子の接触が機械的熱的負荷により容易に破損する黒鉛格子乃至黒鉛骨格
を使用せずに、伸張性,対老化性のあるポリマーに沿って行われる。
【0033】 固有導電性ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリビニル樹脂、ポリアクリル
酸誘導体並びにそれらの共重合体のような導電性重合体のみならず、導電性のポ
リアミドとその誘導体、ポリフルオロハイドロカーボン、エポキシ樹脂,及びポ
リウレタンが使用できる。特にポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、エポキシ
樹脂、ポリウレタン並びにそれらの混合物が好ましい。ここでポリアミドは更に
粘着性があって本発明の抵抗発熱体の製造に有利である。ポリアセチレンのよう
な幾つかのポリマーは酸素と反応しやすくそのため対老化性が劣っているので本
発明には使用できない。
【0034】 使用されるポリマー分子の長さは、ポリマーの種類とその構造によって大きく
左右されるが、少なくとも500Å 以上、好ましくは4000Å以上である。
【0035】 一つの実施の形態では抵抗層が一つの支持材料を有する。この支持材料は固有
導電性ポリマーの担体として、又スペーサとして、特に両方の電極と浮動電極と
の間のスペーサとして作用する。この支持材料は、抵抗発熱体が機械的負荷に耐
えることができるようにこれに剛性を付与する。更に支持材料の使用の場合抵抗
層の層厚を正確に調整することができる。支持材料としてはガラス球,ガラス繊
維、石綿、セラミック、例えばチタン酸バリウム、又はプラスチックが使用され
る。支持材料が布地又はマット、例えばガラス繊維の形状の場合には,これを固
有導電性ポリマーからなる素材に浸漬、即ち固有導電性ポリマーをこれに浸透さ
せることができる。その場合層の厚さは格子又はマットの厚さによって決まる。
その際ドクターブレード、塗布又は公知のシルクスクリーニングの方法が使用で
きる。
【0036】 支持材料は好ましくは平らな多孔性の電気絶縁性材料である。そのような材料
により、加熱電流がポリマー構造を通らずに支持材料を流れることを更に阻止で
きる。
【0037】 目的とする層厚からの最少の許容差が表面上で例えば1%の層の形成の可能性
は、特に本発明の僅かな層厚の場合に極めて重要で、偏差が大きければ接続した
両方の電極と浮動電極とが接触するおそれがある。又表面上の層厚のばらつきも
生成する温度に影響して、温度分布が不均一になる。
【0038】 支持材料は更に、電流の流れが両方の電極と浮動電極との間の最短距離をとら
ずに、充填材料の所で向きを変えるか又は分割されるように作用する。こうして
供給されるエネルギーが最適に活用される。
【0039】 次に本発明の対象を添付した図面を基にして説明する。図1は本発明の発熱体 の一つの実施の形態の部分断面図、図2は複数の浮動電極を備えた一つの実施の 形態の側面概念図、図3は図2の実施の形態に形成された帯域の原理略図である。
【0040】 発熱体1は薄い抵抗層2と間隔を置いて配置され、抵抗層を実質的に完全に覆
った2個の電極3及び4を有し、抵抗層2の反対側に1個の浮動電極5が配置され、 これが電極3と4とこれらの間の間隙との全体とにより形成された表面を介して
抵抗層を覆っている。電極3と4は電源(図示せず)に接続され、電流は先ず電
極3で別れて次に抵抗層2をその表面に対して実質的に垂直の方向に浮動電極5 まで流れ、この中から更に抵抗層2を通って電極4に入り、ここから発熱体を離
れる。電極3と4の接続によっては電流は反対の方向に流れることができる。図
示した実施の形態では電極3と4との間に絶縁層が空間により形成される。
【0041】 図2に薄い抵抗層2を備えた発熱体を示す。抵抗層2の片側に2個の平形電極3と4
とその間に配置された複数の浮動電極5が設けてある。電極3と4と浮動電極5とは
それぞれ離して配置され、抵抗層2の反対側に更に複数の浮動電極5が設けてある
。電極3と4とに加えた電流はこの構成では、抵抗層2と浮動電極5とを図の矢印の
方向に貫流する。この電流の流れの際に、抵抗層2は直列の複数の電気抵抗とし て作用し、そのため高い出力が得られ、同時に抵抗層の個々の範囲乃至帯域の電
圧は僅かである。この構成で抵抗層2の厚さの抵抗だけでなく、浮動電極5の間乃
至浮動電極5と電極3乃至4との間の表面抵抗も利用される。更に接続された電極 の間に大きな間隔が置かれているので、これらの電極が直接接触するおそれがな
いという利点がある。
【0042】 図3は、本発明の抵抗発熱体の一つの実施の形態を電気技術的寸法で示した原 理の概略説明図である。全体の抵抗発熱体の所要の表面加熱出力を基にして、先
ず接続した電極に加えるべき全電圧と、個々の常に直列に接続された部分帯域に
加えられた一様の最大部分電圧との商とから、抵抗発熱体の幅の中の必要な加熱
帯域の数を算定する。加熱帯域の長さをSとし、個々の帯域の幅Zを次式により算
出する。 Z= (B-n・A / 2 − 2・K)/n ここで: B= 平形発熱体の全幅(mm) A= 片側の浮動電極の間隔乃至浮動電極と電極との間隔(mm) K= 両端の帯状部の幅(mm) n= 個々の直列接続の加熱帯域の数 抵抗層の片面ともう片方の面に交互に設けられた個々の電極乃至浮動電極の幅
は、二つの帯域の幅の和と抵抗層の片側に配置された電極の間隔Aから得られる 。
【0043】 抵抗発熱体の個々の帯域の加熱出力NZ は次式により算出される。 NZ = UZ・IG = UZ 2・L= UZ 2・S・Z / ρ・D ここで: U= 個々の適用の場合に必要な抵抗発熱層の電気絶縁(絶縁耐力)に基づい た部分抵抗に加えられる許容最大帯域電圧(V) I = 直列接続により全ての部分抵抗で一定で全電流に等しい電流の強さ(
A) L = 固有導電性ポリマーの抵抗層の電気コンダクタンス(S) ρ= ポリマー層の比抵抗(Ω・mm) S = 抵抗発熱体の電極の長さ(mm) Z = 個々の加熱帯域の幅(mm) D = 抵抗層の厚さ(mm)
【0044】 電極並びに浮動電極は本発明の発熱体では金属フィルム乃至金属薄板で構成で
きる。更に抵抗層の反対側の導電層は黒色のプラスチックで被覆してもよい。こ
の追加した層により本発明の発熱体が黒体としての機能を備え、得られた放射線
の深部効果を作ることが可能になる。
【0045】 本発明の発熱体では、抵抗層の片側に多数の電極を設けることができる。その
場合多数の電極を絶縁間隔により離して並べて、それぞれ電圧を加えることがで
きるように電極対として配置すれば、発熱体を帯域別に加熱することが可能にな
る。
【0046】 電極間に設けた間隙に絶縁材料を設けることにより、電極間の絶縁を実現する
方法も本発明の範疇にある。絶縁材料としては従来の誘電体、特にプラスチック
が使用できる。
【0047】 被加熱体に面した発熱体の表面を電圧のない状態に保つ必要がある場合には、
抵抗層乃至浮動電極をポリエステル、PTFE、ポリイミドなどのフィルムで被覆す
ることができる。これらの従来の絶縁材料を簡単な形状例えばフィルムとして使
用するには、本発明の発熱体の場合、浮動電極に接点を設けずこれが平滑な表面
を備えるようにすれば可能になる。抵抗層は、異なる比抵抗を有する種々の抵抗
材料を積層した構造を備えてもよい。
【0048】 このような実施の形態には、抵抗層の中の材料を適当に選定して被加熱体に熱
を放出すべき抵抗層の側面がより高い温度を有するようにすることができ、その
際異なる加熱電流を例えば別々の加熱線を用いて抵抗層の個々の層に分けて送る
ようなことは必要がないという利点がある。この場合、使用するポリマーの比抵
抗を、電極に接する層から、被加熱体乃至対象物に面する側面に向かって増大す
るように選べば、この効果が達成できる。
【0049】 本発明の抵抗発熱体は、使用する抵抗層と接触方法とにより、例えば24Vのよ うな低い電圧でも、又例えば240V, 400V及び1000Vまでの高い電圧でも運転する ことができる。
【0050】 本発明の抵抗発熱体を使用すれば10 kW/m2以上、好ましくは30 kW/m2以上の表
面加熱出力が得られる。この発熱体により60 kW/m2までの出力が達成可能で、こ
の60 kW/m2までの加熱出力は、1 mmの厚さの抵抗層によっても達成される。長期
の出力の低下は、240Vの電圧を連続負荷した場合1年で0.01%未満である。
【0051】 抵抗発熱体により到達可能の温度は選定したポリマーの熱的性質により限定さ
れるが、240℃以上500℃までの範囲である。特に目的の温度での電気伝導が更に
電子の電気伝導であるようなポリマーを選定する必要がある。
【0052】 本発明に使用される抵抗層を用いて、種々の形状の発熱体が得られる。幅より
も長さが大きい帯状の抵抗発熱体も可能で、その場合の電極はテープ状で帯状の
全長にわたってその幅の方向に並べて配置される。正方形の形状も本発明の発熱
体により可能である。
【0053】 抵抗発熱体は例えばパイプの内側又は外側に設けることができる。この場合、
抵抗発熱体から被加熱体例えばパイプへの熱伝導が接点により妨げられるのは好
ましくないので、本発明の発熱体の接触が片面であるのは有利である。又被加熱
体と抵抗発熱体との間の絶縁も電気の伝導層の側に接点個所がないので簡単にな
る。
【0054】 本発明の範疇において、固有導電性ポリマーをある温度範囲にわたって電気抵
抗の負の温度係数を有するように選定することができる。例えば温度係数がある
温度、例えば80℃から正になるようにすることも可能である。
【0055】 本発明のもう一つの課題は、内側のパイプの外側を少なくとも部分的に直接又
は中間層を介して、固有導電性ポリマーを有する抵抗層で覆い、抵抗層の外側に
少なくとも2個の、抵抗層を少なくとも部分的に覆う平形の電極を離して並べて 配置した構成の加熱可能のパイプにより解決される。
【0056】 本発明のパイプでは、その抵抗層が一つの固有導電性ポリマーを有する。この
本発明の抵抗層に使用されるポリマーは、ポリマーの分子に沿って電流が流れる
ように構成されている。このポリマーの構造により加熱電流がポリマーに沿って
抵抗層を流れる。ポリマーの電気抵抗により熱が発生し、これが被加熱体の内側
のパイプに伝えられる。この際加熱電流は両電極の間の最短距離をとるのではな
く、ポリマー構成の構造に従う。従って電流の通路の長さはポリマーによって規
定されるので、層の厚さが薄い場合でも電圧による絶縁破壊を伴うことなく比較
的高い電圧を加えることができる。大きな電流、例えば投入電流の場合でも絶縁
破壊のおそれはない。更に電流は最初に第一の電極、次にポリマーの構造に沿っ
た抵抗層の中の通路に配分されるので、抵抗層の中に一様な温度分布が得られる
。これは電極に電圧を加えた直後に現れる。
【0057】 本発明に使用されるポリマーにより、パイプを高い電圧例えば配電電圧で運転
することも可能である。得られる加熱出力は運転電圧の二乗に比例して増加する
ので、本発明のパイプにより大きな加熱出力、従って高い温度を得ることができ
る。電流密度は本発明によれば、導電性ポリマーに沿った比較的長い電流の通路
により、或いは少なくとも二つの直列に接続された、本発明に使用される固有導
電性ポリマーを含む電気的帯域の形成により最少となる。
【0058】 更に本発明に使用される固有導電性ポリマーは長期間安定である。この安定性
の理由の一つは特にこのポリマーが伸張性を有し、温度が高くなってもポリマー
鎖が切れて電流の通路が遮断されるようなことは起こらないことである。温度変
動が繰り返されてもポリマー鎖の損傷は起こらない。これに対して従来の加熱可
能のパイプに使用された抵抗発熱体の場合には、導電性が例えば炭素の骨格で構
成されているので、熱膨張により電流の通路が切れて過熱が発生し、そのため激
しい酸化により抵抗層の絶縁破壊を生ずるようになる。このような老化現象は本
発明の固有導電性ポリマーには認められない。
【0059】 本発明に使用される固有導電性ポリマーは反応性の環境例えば空気中の酸素の
中でも対老化性である。更にこの抵抗素材の電流の流れは電子の電気伝導による
ものである。従って電流の作用の下での電解反応による抵抗層の自己破壊現象は
本発明の加熱可能のパイプでは発生しない。抵抗層により得られた表面加熱出力
の長期にわたっての損失は、例えば500℃の高温と例えば50 kW/m2の高表面加熱 出力においても極めて僅かであり、ゼロに近い。
【0060】 加熱可能のパイプが例えば地中に埋設され或いは近づき難い場所に使用された
場合、度重なる修理は不可能ではないにしても望ましくないので、この長期の安
定性乃至対老化性は本発明のパイプにとって特に重要である。
【0061】 本発明に使用される抵抗層は、固有導電性ポリマーの使用により全体として均
質な構造を有し、層の全体にわたって一様な加熱が可能である。
【0062】 このパイプは本発明によれば、好ましくは高電気伝導性の材料から成り、抵抗
層の片面に配置された二つの電極により接続される。この接続の形式により本発
明に使用される固有導電性ポリマーの作用を特に有効に利用できる。負荷された
電流は先ず第一の電極で配分され、次にポリマーの構造に沿って抵抗層の厚さを
貫流して第二の接続電極に導かれる。従ってこの電流の通路は、両方の電極がそ
の間に抵抗層をはさむ構成によって更に延長される。この電流の流れにより抵抗
層の厚さを少なくすることができる。
【0063】 本発明のパイプは更に広範囲に使用可能であるという特徴を有する。電極とは
抵抗層の片側を介して接続される。この抵抗層は内側のパイプとは反対側にあり
、従って接続のために容易に近づくことができる。抵抗層の反対側の内側のパイ
プに面した側には接続個所がなく、従って平らに形成されている。このような平
らな面はこの面を内側のパイプに直接取付けることを可能にする。この抵抗層と
加熱される内側のパイプとの間の接触面には接続部材が介在することがないので
、内側のパイプへの理想的な熱伝達が可能になる。
【0064】 この本発明の構成により、パイプを簡単に加熱できる。内側のパイプに既に製
作場所で抵抗層と電極と場合によっては中間層とを取付けておき、この完成した
状態で現地でパイプ配管の中に組み込むようにすることが可能である。
【0065】 本発明のパイプの一つの実施の形態によれば、これには高い電気伝導度を有す
る材料の中間層が内側のパイプと抵抗層との間に設けてある。
【0066】 この場合中間層は浮動電極として用いられる。浮動電極とは本発明においては
、電源と接続していない電極のことである。これには電源との電気的接触を防止
する絶縁層を設けることもできる。
【0067】 この浮動電極が抵抗層の電流の流れを支持する。この実施の形態では、電流は
最初の電極で分岐し、ここから抵抗層の厚さを通って反対側の浮動電極に流れ、
ここで抵抗層の厚さを通って第一の電極のある側に配置した第二の電極に達する
ように更に送られる。中間層は内側のパイプとはフィルムで絶縁される。電源に
接続されていない中間層との絶縁は、ポリイミド、ポリエステル及びシリコーン
ゴム製の公知のフィルムにより実施することができる。
【0068】 加熱可能のパイプのこの実施の形態では、電流は実質的に抵抗層の面に直角に
その厚さを通過する。ここで実質的には抵抗層に二つの帯域が形成される。その
第一の帯域では電流は電源に接続された第一の電極から浮動電極に実質的に垂直
に流れ、第二の帯域ではこの浮動電極から電源に接続された第二の電極に実質的
に垂直に流れる。この配置により直列接続の複数の抵抗も形成される。この現象
の結果、個々の帯域での部分電圧は負荷された電圧よりも少なくなる。即ち、個
々の帯域での電圧は本発明のこの実施の形態の場合,負荷電圧の半分になる。こ のように本発明のパイプでは抵抗層での電圧が低下して安全上の危険を避けるこ
とができ、そのため適用の可能性も更に多岐にわたる。例えば本発明のパイプを
湿った範囲又は例えば湿った地中で使用するか、又は人がパイプに触れなければ
ならないような場合に利用される。
【0069】 更に電源に接続した電極の間に設けた空間は並列に接続した追加の抵抗として
作用する。空気をこの空間の絶縁材として選べば、この抵抗は電極相互間の間隔
と抵抗層の表面抵抗によって決定される。この間隔は抵抗層の厚さよりも大きい
ことが好ましく、例えば抵抗層の厚さの2倍とする。
【0070】 両方の電極と浮動電極は優れた熱伝導度を有するのが好ましい。その値は200
W/mKを超え、好ましくは250 W/mKを超えることができる。局部的過熱はこの電極
の優れた熱伝導度によって直ちに解消する。過熱はこの場合層の厚さの方向にの
み発生することができるが、本発明のパイプの場合に実現可能の僅かの層の厚さ
では殆ど問題にならない。このパイプのもう一つの利点として、内部から、例え
ば被加熱体の内側のパイプからもたらされた局部的温度上昇もこの抵抗発熱体に
より理想的に解消することができる。このような局部的温度上昇は、例えば部分
的に満たされたパイプの場合に、空気を満たした範囲でのパイプから空気への熱
伝達が少なくなるので、発生することがある。
【0071】 この加熱可能のパイプには、内側のパイプに配置された抵抗層が大きな負荷に
耐え、局部的な温度上昇を伴うことがないという利点がある。組み立てられて特
に地中に埋設されたパイプに作用する機械的負荷は、普通半径方向に生成する。
この方向は抵抗発熱体の抵抗層の中を電流が流れる方向に相当する。従ってこの
ような負荷の場合、電流が圧力負荷に対して直角に流れるような抵抗発熱体の場
合とは異なり、圧力が生ずる個所の抵抗を増大することはない。
【0072】 本発明の加熱可能のパイプのもう一つの実施の形態では、導電性材料から成る
内側のパイプに抵抗層が直接配置される。
【0073】 一つの電極から次の電極への電流の流れは、この実施の形態の場合抵抗素材と
内側のパイプを経由する。本発明のパイプの抵抗層に掛かる低い電圧のために、
この場合浮動電圧として作用する内側のパイプに電流を流しても安全上の危険を
生ずるおそれはない。同時にこの実施の形態で生じた熱を、パイプの中を通る物
質に好適に放出することができる。この実施の形態では内側のパイプは全周を完
全に抵抗層で覆われ、抵抗層は電極により実質的に完全に覆われている。しかし
電気的理由から電極の間に設けた間隔はこの実施の形態にも存在している。
【0074】 もう一つの実施の形態では、抵抗層並びにその上に配置した電極が軸方向に延
びており、電極は外周の方向に間隔を置いて抵抗層の上に配置してある。 抵抗層と電極とを長さの方向に延長してあるので、パイプのある所定の長さを
加熱することができる。その際電流の供給は両方の電極のそれぞれ1箇所でのみ 実施すればよい。
【0075】 一つの好ましい実施の形態によれば、抵抗層は内側のパイプの外周の一部の範
囲のみを覆い、軸方向に縦に延びている。好ましくは抵抗層と電極の長さはパイ
プの長さに相当する。 この実施の形態においては、抵抗層又は場合によっては中間層が内側のパイプ
に接するある所定の範囲を介して、熱がパイプに放出される。内側のパイプが優
れた熱伝導度を有するようなパイプの場合には、抵抗層から放出された熱は内側
のパイプの全外周にわたって分布されて、パイプの中の物質をその全外周で加熱
することができる。この構造により僅かの費用の設備で物質が充分加熱される。
但しこの実施の形態は、本発明の構成の加熱可能のパイプによってのみ実現可能
であり、このような構成のみが、抵抗層の長期の使用の際に水や空気中の酸素の
ような反応性物質の影響の下で損傷されずに、優れた表面出力を達成することが
できる。
【0076】 抵抗層は好ましくは、取り付けた状態でパイプの下側に相当する外周の部分的
範囲を覆うようにする。こうすれば完全に満たされていないパイプの場合にも、
加熱すべき物質がこの部分的範囲と接触して確実に急速に加熱される。
【0077】 本発明のパイプの場合、両方の電極と中間層とに、比電気抵抗が10-4Ωcm未満
、好ましくは10-5Ωcm未満の材料を使用するのが好ましい。適した材料はアルミ
ニウム又は銅である。これは本発明のパイプの場合に特に重要である。パイプは
普通配管例えばパイプラインの敷設に用いられる。本発明のパイプから成る配管
では抵抗層と電極との長さが増大するので、電極の電気抵抗が少ない方が好まし
い。そのような電極材料を使用すれば、全体の出力の損失を招くおそれのある電
極の表面における電圧降下を避けることができる。更にこの伝導度のお陰で電極
の中で電流の急速な分散が確実に行われ、実質的に抵抗層の全体と従ってパイプ
の長さとが迅速に一様に加熱され、その際電極の長さ乃至幅の幾つかの個所で電
圧を加える必要はない。従ってパイプに沿って電源供給配線を設けることも不要
である。この種のパイプの長さは1 mまでである。数箇所の接続個所は、本発明 によれば、パイプが長い実施の形態の場合にのみ用いられる。数箇所の接続個所
が有意義に成る長さは、電極材料の選定の他に接続の設置場所にも左右される。
電極の長さの中央が近づき易くそこに接続することができれば、前述の長さより
も長い場合でも、数箇所の接続個所を不要にすることができる。
【0078】 更に単一の接点で作動可能なパイプの長さは、選定した電極の厚さに左右され
る。一つの実施の形態によれば、両方の電極と中間層とはそれぞれ50乃至150μ m、好ましくは75乃至100μmの厚さを有する。この僅かの厚さは更に、この抵 抗層に発生した熱を中間層から容易にパイプに放出できると言う利点がある。又
薄い電極は屈曲性に富み、抵抗層の熱膨張の際に電極が抵抗層から外れて電気の
接触が中断するような事故が避けられる。
【0079】 しかし長い配管の場合、電極の数箇所の接続個所が必要になり得る。これは本
発明のパイプの場合容易に解決できる。電極は外側でのみ接続されるので、接近
が容易である。即ち、一つの配管にパイプに沿って延びる電流用配線を設け、電
極を間隔を置いて電源に接続することができる。こうして本発明の長いパイプも
運転可能になる。
【0080】 抵抗層も本発明によれば薄い。その厚さは単に絶縁破壊電圧により制限される
だけで、普通0.1乃至2 mm、好ましくは 1 mmである。抵抗層の僅かの層厚の利点
としては、そのために可能な短い所要加熱時間、急速な熱の放出、及び高い表面
加熱出力を挙げることができる。しかしこのような層厚は使用される固有導電性
ポリマーと接続の方法によってのみ可能である。本発明が使用するポリマーによ
り、一つには抵抗層の電流の通路が予め定められ、僅かの層厚で、電圧の絶縁破
壊を避けるために充分の長さを設けることができる。他方では片側の接触により
抵抗層を低下した電圧の帯域に区分することが可能で、こうして絶縁破壊の危険
を更に低減することができる。
【0081】 本発明の抵抗発熱体の利点は、抵抗層が電気抵抗の正の温度係数(PTC)を有す れば更に強化される。この温度係数により達成可能な最高温度に関する自己制御
効果が得られる。この効果は抵抗層のPTCにより、抵抗素材の中の電流の流れが 温度に依存して制御される結果として得られる。温度が高くなるほど電流の強さ
は減少し、最後にはある熱的平衡状態において測定できない程小さくなる。従っ
て局部過熱や抵抗素地の溶融が確実に防止できる。
【0082】 この効果は本発明の場合に特に重要である。例えばパイプが液状物質により半
分までしか満たされていないと、この満たされた範囲でパイプの中の空気の範囲
よりも多くの熱が排出される。従来の抵抗発熱体の場合には熱が良く排出されな
いためこれが加熱して溶融する場合もあるが、本発明の加熱可能のパイプでは自
己制御効果によりこのような溶融事故は避けられる。
【0083】 抵抗層の材料としてPTC材料の選定により、更にこの抵抗層の全体が実質的に 同じ温度で加熱されると言う結果が得られる。それにより一様な熱の放出が可能
になり、これは例えば温度に敏感な物質をパイプで送るような場合にパイプの個
々の使用分野に対して重要であろう。
【0084】 本発明によれば、両方の電極及び中間層に面した抵抗層の表面をメタライズす
ることができる。このメタライズ法により抵抗層の表面に金属層が形成され、電
極乃至浮動電極と抵抗層との間の電流の流れが改善される。更にこの実施の形態
の場合、抵抗層から浮動電極への熱の伝達とそれにより内側のパイプへの熱の伝
達も改善される。表面のメタライジングは金属の溶射により実施できる。このよ
うなメタライジングは抵抗層の本発明で使用される材料の場合にのみ実施可能で
、例えばめっきのような高価なメタライズ法が不要となり、製作費が著しく削減
される。
【0085】 固有導電性ポリマーは好ましくは一種のポリマーをドープして得られる。ドー
ピングは金属又は半金属のドーピングである。これらのポリマーにおいて不純物
の導体が化学的にポリマー鎖と結合して不純物が導入される。ドープされた原子
とマトリックスの分子とが所謂電荷移動錯体を形成する。ドーピングにより電子
がポリマーの満たされた電子帯からドープした材料に移行して正孔が形成され、
ポリマーに半導体に類似の電気的性質が付与される。この実施の形態では化学反
応により金属原子又は半金属原子がポリマーの構造に導入乃至そこに蓄積され、
それにより自由電荷が形成されて、これがポリマー構造に沿っての電流の流れを
可能にする。自由電荷は自由な電子又は正孔の形で存在する。こうして電子の導
体が生成する。
【0086】 好ましくはドーピングの際にポリマーにドーピング材料を次の量添加された。
即ちドーピング材料の原子数とポリマー分子数との比が少なくとも1:1、好ま
しくは2:1と10:1との間とする。この比率により、実質的に全てのポリマー分 子に少なくとも1個のドーピング材料の原子がドープされた状態が得られる。こ の比率の選定により、ポリマーのコンダクタンスとそれによる抵抗層のコンダク
タンス並びに抵抗層の抵抗の温度係数とを調節することができる。
【0087】 本発明に使用される固有導電性ポリマーは本発明のパイプに黒鉛を添加せずに
抵抗層用の材料として使用されるけれども、もう一つの実施の形態では抵抗層に
黒鉛粒子を追加することができる。これらの粒子は抵抗層全体の導電性に寄与し
、好ましくは相互に接触することなく、特に格子や骨格を形成しない。これらの
黒鉛粒子はポリマーの構造に固定されずに自由に動ける状態にある。黒鉛粒子が
二つのポリマー分子と接触すると、電流は一つのポリマー鎖から黒鉛を介して次
のポリマー鎖に飛び移り、抵抗層の導電性は更に向上する。同時に黒鉛は自由に
動けるので抵抗層の表面にも現れ、そこで両方の電極又は中間層乃至内側のパイ
プとの接触を改善するように作用する。
【0088】 黒鉛粒子の添加量は抵抗層の全容積に対して好ましくは最大20容積%、特に最
大5容積%で、その平均粒径は最大0.1μmとする。このように添加量が僅かで 直径が小さいので、電流が通過可能の黒鉛格子の形成を避けることができる。こ
うして電流の流れは実質的にポリマー分子を介して電子の電気伝導により行われ
るようにすれば、上述の特徴が得られることが確認される。特に電気伝導は、必
要な黒鉛粒子の接触が機械的熱的負荷により容易に破損する黒鉛格子乃至黒鉛骨
格を使用せずに、伸張性,対老化性のあるポリマーに沿って行われる。
【0089】 固有導電性ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリビニル樹脂、ポリアクリル
酸誘導体並びにそれらの共重合体のような導電性重合体のみならず、導電性のポ
リアミドとその誘導体、ポリフルオロハイドロカーボン、エポキシ樹脂,及びポ
リウレタンが使用できる。特にポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、エポキシ
樹脂、ポリウレタン並びにそれらの混合物が好ましい。ここでポリアミドは更に
粘着性があって内側のパイプや中間層に容易に取り付けられるので、本発明のパ
イプの製造に有利である。ポリアセチレンのような幾つかのポリマーは酸素と反
応しやすくそのため対老化性が劣っているので本発明には使用できない。 使用されるポリマー分子の長さは、ポリマーの種類とその構造によって大きく
左右されるが、少なくとも500Å 以上、好ましくは4000Å以上である。
【0090】 一つの実施の形態では抵抗層が一つの支持材料を有する。この支持材料は固有
導電性ポリマーの担体として、又スペーサとして、特に両方の電極と中間層乃至
電子導電性の内側のパイプとの間のスペーサとして作用する。この支持材料は、
抵抗層が機械的負荷に耐えることができるようにこれに剛性を付与する。更に支
持材料の使用の場合抵抗層の層厚を正確に調整することができる。支持材料とし
てはガラス球,ガラス繊維、石綿、セラミック、例えばチタン酸バリウム、又は
プラスチックが使用される。支持材料が布地又はマット、例えばガラス繊維の形
状の場合には,これを固有導電性ポリマーからなる素材に浸漬、即ち固有導電性
ポリマーをこれに浸透させることができる。その場合層の厚さは格子又はマット
の厚さによって決まる。その際ドクターブレード、塗布又は公知のシルクスクリ
ーニングの方法が使用できる。
【0091】 支持材料は好ましくは平らな多孔性の電気絶縁性材料である。そのような材料
により、加熱電流がポリマー構造を通らずに支持材料を流れることを更に阻止で
きる。
【0092】 目的とする層厚からの最少の許容差が表面上で例えば1%の層の形成の可能性
は、特に本発明の僅かな層厚の場合に極めて重要で、偏差が大きければ接続した
両方の電極と中間層又は内側のパイプとが接触するおそれがある。又表面上の層
厚のばらつきも生成する温度に影響して、温度分布が不均一になる。
【0093】 支持材料は更に、電流の流れが両方の電極と中間層又は内側のパイプとの間の
最短距離をとらずに、充填材料の所で向きを変えるか又は分割されるように作用
する。こうして供給されるエネルギーが最適に活用される。
【0094】 本発明のもう一つの対象を添付した図面により説明する。図4は断熱層のない
本発明のパイプの一つの実施の形態の断面図であり、図5は断熱層付きの本発明
のパイプの一つの実施の形態の断面図である。
【0095】 図4では、加熱可能のパイプ10は、内側のパイプ11と内側のパイプ11の全周を 覆うようにこの上に配置した抵抗層12とから成る。抵抗層12の上に、平形に形成
された2個の電極13と14が電気絶縁16により離れて配置される。電流が一つの電 源(図示せず)から電極13,14に加えられると、電流は抵抗層12を流れて電極13
から内側のパイプ11に達する。内側のパイプ11はこの実施の形態では好ましくは
導電性の材料から成る。電流は内側のパイプ11の管壁を通って抵抗層12から電極
14に流れる。この加熱電流により抵抗層12の全体が加熱され、この熱を内側のパ
イプ11を介してパイプの内部に放出する。
【0096】 図5では、内側のパイプ11の外周の一部に抵抗発熱体12、13,14、15、16が設 けてある。この発熱体は一つの内側のパイプ11に面した導電層15を有する。この
層15は平らに形成され、その内側のパイプ11に対して反対の側が一つの抵抗層12
で覆われている。抵抗層12の上に2個の電極13と14が間隔を置いて配置してある 。内側のパイプ11の抵抗発熱体と接触していない部分は断熱層17で覆われている
。この断熱層17の回りに断熱外装18があり、これは断熱層17の他に抵抗発熱体12
、13,14、15、16を含む。パイプは更に電流供給装置19を備える。電流供給装置
19は、内側のパイプ11の軸に平行に断熱外装18の中を通る給電線19aに連結して いる。この給電線19aはパイプの全長に延びてパイプの端部で電源(図示せず) に接続するか、又は次のパイプの給電線19aに繋がる。内側のパイプ11に面した 導電層15と内側のパイプ11との間には熱伝導を改善する材料を設けることができ
る。これには伝熱性ペースト、伝熱材料付きのまくら、シリコーンゴムなどがあ
る。抵抗発熱体12、13,14、15、16はこの実施の形態では内側のパイプ11の曲面
に合せて、直接の熱伝導が確保されるように形成することもできる。
【0097】 電極13、14は図示の実施の形態ではパイプの長さの方向に延び、その外周に並
べて配置してある。或いは電極13、14を抵抗層12の上にパイプの外周の方向に、
軸方向に並べて配置するのも本発明の範疇に属する。 パイプの軸に平行に延びる給電線により、それぞれ本発明の構成を備えたパイ
プ部材を前後に並べて配置し、パイプ部材の個々の抵抗発熱体への電流供給を並
列に接続する。この給電線は断熱外装により損傷乃至例えば水との接触が防止さ
れている。 断熱層は、内側のパイプとは反対の方向の輻射による熱の損失を防ぎ、抵抗発
熱体からの熱を主として内側のパイプの方向に導く野に役立つ。断熱層は断熱材
料からと必要があればこれに反射層を追加して構成することができる。
【0098】 パイプの全体を断熱層で覆い、抵抗層並びに平形の電極と中間層とを断熱層の
内側のパイプに面して設けた長手の溝に収めることも可能である。この場合、抵
抗層乃至中間層により覆われていない内側のパイプの外周の残りの範囲を介して
の熱の放出は断熱層により妨げられる。絶縁層の中への抵抗発熱体の配置により
絶縁層は内側のパイプの残りの範囲を介して内側のパイプと確実に接触する。図
4及び図5に示した実施の形態は複数の押付け装置を追加することができる。これ
らの押付け装置はそれぞれ図示した加熱可能のパイプの上の外側に例えば接着テ
ープ又はテンションリングにより取り付けるか、或いは図5に示した実施の形態 では抵抗発熱体の外側に直接配置することができる。後者の場合には、これは多
孔性ゴム製であってもよい。特に大きなパイプの場合には膨張可能又は発泡可能
の複数のセルを抵抗発熱体の内側のパイプに対して反対側に設けてもよい。これ
らの押付け装置により一定の押付け圧力とその結果の抵抗発熱体から内側のパイ
プへの良好な熱伝達が保証される。
【0099】 図2に示すような抵抗発熱体も利用できる。この抵抗発熱体は本発明のパイプ の中で、電源に接続された電極が配置された抵抗発熱体の側が内側のパイプの反
対側であるようにして用いられる。電極と浮動電極とは好ましくは、パイプの円 周の上に離して軸方向に延びるように配置する。これにより外周の上に複数の帯
域が形成され、そのそれぞれに負荷された電圧よりも低い電圧が加えられる。電
気的な大きさは、原理の略図3に相当したそのような抵抗発熱体とこれと関連し た計算式とを使用して決定される。
【0100】 内側のパイプは本発明の加熱可能のパイプの場合には、例えば金属又はプラス
チック製、特にポリカーボネート製である。内側のパイプに電気伝導度のない材
料を選定すれば、抵抗発熱体は内側のパイプと抵抗層との間に一つの中間層を有
することができる。しかしそのような内側のパイプの場合に、電極と抵抗層のみ
を含む抵抗発熱体を設けるのも本発明の範疇に属する。この実施の形態の場合に
は加熱電流は一方の電極から抵抗層の抵抗素材、即ち導電性ポリマーを通っても
う一方の電極に流れる。本発明のパイプの場合にも、ポリマーの構造が抵抗素材
を通っての充分の電流の流れとその結果の充分な熱の発生とを引き起こすので、
前述のような電流の経路は可能である。
【0101】 電流供給装置を介して抵抗発熱体の電極と連結する給電線を断熱外装の外側の
表面に導くのは本発明の範疇に属する。 電流と接続する電極の間の絶縁部材は従来の誘電体、特にプラスチックであっ
てもよい。 発熱体に電流を供給するための接続は、必要に応じて任意の長さの絶縁リッツ
線により、或いは又堅く接着した接点により形成し、その際公知の接続システム
を使用することができる。 抵抗層に、電気抵抗の温度係数が負の材料を使用するのも、本発明の範疇に属
する。
【0102】 電気抵抗の負の温度係数の場合には、必要な投入電流は極めて少なくてよい。
更に抵抗層の材料を、本発明に使用する抵抗素材がある特定の温度例えば80℃に
おいて、この温度から電気抵抗の温度係数は正になるように逆に規制されるよう
に選定することができる。 抵抗層は、異なる比抵抗を有する種々の抵抗材料を積層した構造を備えてもよ
い。 このような実施の形態には、抵抗層の中の材料を適当に選定して被加熱体に熱
を放出すべき抵抗層の側面がより高い温度を有するようにすることができ、その
際異なる加熱電流を例えば別々の加熱線を用いて抵抗層の個々の層に分けて送る
ようなことは必要がないという利点がある。この場合、使用するポリマーの比抵
抗を、電極に接する層から、加熱すべきパイプに面する側面に向かって増大する
ように選べば、この効果が達成できる。
【0103】 本発明のパイプは、使用する抵抗層と接触方法とにより、例えば24Vのような 低い電圧でも、又例えば240V, 400V及び1000Vまでの高い電圧でも運転すること ができる。 本発明のパイプでは、10 kW/m2以上、好ましくは30 kW/m2以上の表面加熱出力
が得られる。このパイプにより60 kW/m2までの出力が達成可能で、この60 kW/m2 までの加熱出力は、1 mmの厚さの抵抗層によっても達成される。長期の出力の低
下は、240Vの電圧を連続負荷した場合1年で0.01%未満である。
【0104】 パイプにより到達可能の温度は選定したポリマーの熱的性質により限定される
が、240℃以上500℃までの範囲である。 本発明のパイプは任意の長さのパイプ部材であってもよい。そのようなパイプ
部材は、他の本発明のパイプ又は従来の加熱できないパイプ部材を選んで連結し
配管とすることができる。こうして例えば凍結を避けるためにある温度に調節し
なければならない配管の範囲のみを加熱することが可能になる。この選択的加熱
により配管の経費を最適にすることができる。本発明のパイプは長さ10 cm から
2 mまで製作可能である。 又パイプの長さの一部に本発明の構造を設けることも可能である。更に本発明
のパイプの断熱層の中に1個又は複数の抵抗発熱体を半径方向又は軸方向に配置 することもできる。この場合、抵抗発熱体を例えば断熱層の複数の長さ方向の溝
に円周上で分散して配置してもよい。
【0105】 発熱体の電極に直流を加え、且つ内側のパイプが導電性の材料製であれば、内
側のパイプの所でパイプの腐食を防止する陰極防食電圧を発生することができる
。 前記のパイプは更に、内側のパイプが従来のパイプで作られこれが二つ割の外
装で囲まれ、その際少なくとも片方の半割の外装が一つの抵抗発熱体を含むよう
に構成することもできる。この外装はガラス繊維又は発泡体のような断熱材で作
るのが好ましい。 本発明のパイプを用いて、パイプの凍結のおそれのある地域に例えばパイプラ
インを敷設することができる。
【0106】 本発明のもう一つの課題は、物質を収容するタンクを備え、そのタンクの外側
の少なくとも一部が直接又は一つの中間層を介して、固有導電性ポリマーからな
る一つの薄い抵抗層に覆われ、その抵抗層の外側に少なくとも2個の平形の電極 が間隙を置いて抵抗層の少なくとも一部を覆うように配置してある、物質用の加
熱可能の輸送装置に関する。 このタンクは本発明の輸送装置により簡単に、確実に加熱される。
【0107】 本発明の輸送装置では、その抵抗層が一つの固有導電性ポリマーを有する。こ
の本発明の抵抗層に使用されるポリマーは、ポリマーの分子に沿って電流が流れ
るように構成されている。このポリマーの構造により加熱電流がポリマーに沿っ
て抵抗層を流れる。ポリマーの電気抵抗により熱が発生し、これが加熱されるタ
ンクに伝えられる。この際加熱電流は両電極の間の最短距離をとるのではなく、
ポリマー構成の構造に従う。従って電流の通路の長さはポリマーによって規定さ
れるので、層の厚さが薄い場合でも電圧による絶縁破壊を伴うことなく比較的高
い電圧を加えることができる。大きな電流、例えば投入電流の場合でも絶縁破壊
のおそれはない。更に電流は最初に第一の電極、次にポリマーの構造に沿った抵
抗層の中の通路に配分されるので、抵抗層の中に一様な温度分布が得られる。こ
れは電極に電圧を加えた直後に現れる。
【0108】 本発明に使用されるポリマーにより、輸送装置を高い電圧例えば配電電圧で運
転することも可能である。得られる加熱出力は運転電圧の二乗に比例して増加す
るので、本発明の輸送装置により大きな加熱出力、従って高い温度を得ることが
できる。電流密度は本発明によれば、導電性ポリマーに沿った比較的長い電流の
通路により、或いは少なくとも二つの直列に接続された、本発明に使用される固
有導電性ポリマーを含む電気的帯域の形成により最少となる。
【0109】 更に本発明に使用される固有導電性ポリマーは長期間安定である。この安定性
の理由の一つは特にこのポリマーが伸張性を有し、温度が高くなってもポリマー
鎖が切れて電流の通路が遮断されるようなことは起こらないことである。温度変
動が繰り返されてもポリマー鎖の損傷は起こらない。これに対して加熱可能の輸
送装置に使用される従来の抵抗発熱体で、導電性が例えば炭素の骨格で構成され
ている場合には熱膨張により電流の通路が切れて過熱が発生し、そのため激しい
酸化により抵抗層の絶縁破壊を生ずるようになる。このような老化現象は本発明
の固有導電性ポリマーには認められない。
【0110】 本発明に使用される固有導電性ポリマーは反応性の環境例えば空気中の酸素の
中でも対老化性である。従って電流の作用の下での電解反応による抵抗層の自己
破壊現象は本発明の加熱可能の輸送装置では発生しない。この抵抗層により得ら
れる表面加熱出力の長期にわたっての損失は、例えば500℃の高温と例えば50 kW
/m2の高表面加熱出力においても極めて僅かであり、ゼロに近い。 本発明に使用される抵抗層は、固有導電性ポリマーの使用により全体として均
質な構造を有し、層の全体にわたって一様な加熱が可能である。
【0111】 この輸送装置は本発明によれば、好ましくは高電気伝導性の材料から成り、抵
抗層の片面に配置された二つの電極により接続される。この接続の形式により本
発明に使用される固有導電性ポリマーの作用を特に有効に利用できる。負荷され
た電流は先ず第一の電極で配分され、次にポリマーの構造に沿って抵抗層の厚さ
を貫流して第二の接続電極に導かれる。従ってこの電流の通路は、両方の電極が
その間に抵抗層をはさむ構成によって更に延長される。この電流の流れにより抵
抗層の厚さを少なくすることができる。
【0112】 本発明の輸送装置は更に広範囲に使用可能であるという特徴を有する。電極と
は抵抗層の片側を介して接続される。これはタンクの反対側であり、接続のため
の接近が容易である。抵抗層の反対側のタンクに面した側には接続個所がなく、
平らに形成されている。このような平らな面は抵抗層をタンクに直接取り付ける
ことを可能にする。この抵抗発熱体と被加熱体との間の接触面には接続部材が介
在することがないので、理想的な熱伝達が可能になる。
【0113】 本発明のタンクの一つの実施の形態によれば、これには高い電気伝導度を有す
る材料がタンクと抵抗層との間に設けてある。 この場合中間層は浮動電極として用いられる。浮動電極とは本発明においては
、電源と接続していない電極のことである。これには電源との電気的接触を防止
する絶縁層を設けることもできる。 この浮動電極が抵抗層の電流の流れを支持する。この実施の形態では、電流は
最初の電極で分岐し、ここから抵抗層の厚さを通って反対側の浮動電極に流れ、
ここで抵抗層の厚さを通って抵抗層のタンクに対して反対側に配置した第二の電
極に達するように更に送られる。中間層はタンクとはフィルムで絶縁される。接
続されていない中間層との絶縁は、ポリイミド、ポリエステル及びシリコーンゴ
ム製の公知のフィルムにより実施することができる。
【0114】 加熱可能の輸送装置のこの実施の形態では、電流は実質的に抵抗層の面に直角
にその厚さを通過する。ここで実質的には抵抗層に二つの帯域が形成される。そ
の第一の帯域では電流は電源に接続された第一の電極から浮動電極に実質的に垂
直に流れ、第二の帯域ではこの浮動電極から電源に接続された第二の電極に実質
的に垂直に流れる。この配置により直列接続の複数の抵抗も形成される。この現
象の結果、個々の帯域での部分電圧は負荷された電圧よりも少なくなる。即ち、
個々の帯域での電圧は本発明のこの実施の形態の場合、負荷電圧の半分になる。
このように本発明の発熱体では抵抗層での電圧が低下して安全上の危険を確実に
避けることができ、そのため適用の可能性も更に多岐にわたる。例えば本発明の
輸送タンクは、人がタンクに触れなければならないような用途にも使用可能であ
る。物質の輸送の際本発明の装置は天候の条件に曝される。特に雨や雪の場合装
置は水と接触する可能性があるが、本発明の装置では抵抗層の電圧が特に低いの
で、安全上の危険が生ずるおそれはない。更に本発明の装置は従来の電源例えば
一つのバッテリで運転可能である。そのため鉄道車両や貨物自動車に簡単に積載
できる。後者の場合本発明の装置は貨物自動車のバッテリをその電源として使用
できるので、更に構成が簡単になる。
【0115】 更に電源に接続した電極の間に設けた空間は並列に接続した追加の抵抗として
作用する。空気をこの空間の絶縁材として選べば、この抵抗は電極相互間の間隔
と抵抗層の表面抵抗によって決定される。この間隔は抵抗層の厚さよりも大きい
ことが好ましく、例えば抵抗層の厚さの2倍とする。
【0116】 両方の電極と浮動電極は優れた熱伝導度を有するのが好ましい。その値は200
W/mKを超え、好ましくは250 W/mKを超えることができる。局部的過熱はこの電極
の優れた熱伝導度によって直ちに解消する。過熱はこの場合層の厚さの方向にの
み発生することができるが、本発明の輸送装置の場合に実現可能の僅かの層の厚
さでは殆ど問題にならない。この輸送装置のもう一つの利点として、外部から、
例えば環境から直射日光によりもたらされた局部的温度上昇もこの抵抗発熱体に
より理想的に解消することができる。このような温度上昇は又例えば部分的に満
たされたタンクの場合に、空気の入っている範囲はタンクから空気への熱伝達が
少ないので、内部から発生することもある。
【0117】 この加熱可能の輸送装置には、タンクに配置された抵抗層が大きな負荷に耐え
、局部的な温度上昇を伴うことがないという利点がある。タンクに作用する機械
的負荷は、普通半径方向に生成する。この方向は抵抗発熱体の抵抗層の中を電流
が流れる方向に相当する。従ってこのような負荷の場合、電流が圧力負荷に対し
て直角に流れるような抵抗発熱体の場合とは異なり、圧力が生ずる個所の抵抗を
増大することはない。
【0118】 本発明の加熱可能の輸送装置のもう一つの実施の形態においては、導電性材料
から成るタンクに抵抗層が直接配置される。
【0119】 一つの電極から次の電極への電流の流れは、この実施の形態の場合抵抗素材と
タンクを経由する。本発明の輸送装置の抵抗層に掛かる低い電圧のために、この
場合浮動電圧として作用するタンクに電流を流しても安全上の危険を生ずるおそ
れはない。同時にこの実施の形態で生じた熱を、タンクの中にある物質に好適に
放出することができる。この実施の形態ではタンクは全周を完全に抵抗層で覆わ
れ、抵抗層は電極により実質的に完全に覆われている。しかし電気的理由から電
極の間に設けた間隔はこの実施の形態にも存在している。
【0120】 もう一つの実施の形態では、抵抗層並びにその上に配置した電極が軸方向に延
びており、電極は外周の方向に間隔を置いて抵抗層の上に配置してある。
【0121】 抵抗層と電極、場合によっては中間層とにより形成された抵抗発熱体が長さの
方向に延びているので、タンクのある所定の範囲を加熱することができる。その
際電流の供給は両方の電極のそれぞれ1箇所でのみ実施すればよい。
【0122】 一つの好ましい実施の形態によれば、抵抗層はタンクの外周の一部の範囲のみ
を覆い、軸方向に縦に延びている。好ましくは抵抗層と電極の長さはタンクの長
さに相当する。
【0123】 この実施の形態においては、抵抗層と電極並びに場合によっては中間層により
構成された発熱体がタンクに接するある所定の範囲を介して、熱がタンクに放出
される。タンクが優れた熱伝導度を有するような輸送装置の場合には、抵抗発熱
体から放出された熱はタンクの全周にわたって分布されて、タンクの中の物質を
その全周で加熱することができる。この構造により僅かの費用の設備で物質が充
分加熱される。但しこの実施の形態は、本発明の構成の加熱可能の輸送装置によ
ってのみ実現可能であり、このような構成のみが、抵抗層の長期の使用の際に水
や空気中の酸素のような反応性物質の影響の下で損傷されずに、優れた表面出力
を達成することができる。
【0124】 抵抗層は好ましくは、取り付けた状態でタンクの下側に相当する外周の部分的
範囲を覆うようにする。こうすれば完全に満たされていないタンクの場合にも、
加熱すべき物質がこの部分的範囲と接触して確実に急速に加熱される。
【0125】 本発明の輸送装置の場合、両方の電極と中間層とに、比電気抵抗が10-4Ωcm 未満、好ましくは10-5Ωcm 未満の材料を使用するのが好ましい。適した材料は アルミニウム又は銅である。これは本発明の輸送装置の場合に特に重要である。
輸送装置用のタンクは普通かなりの長さに製作される。そのような輸送装置の場
合の抵抗発熱体も長くなるので、電極の電気抵抗が少ない方が好ましい。そのよ
うな電極材料を使用すれば、全体の出力の損失を招くおそれのある電極の表面に
おける電圧降下を避けることができる。更にこの伝導度のお陰で電極の中で電流
の急速な分散が確実に行われ、実質的に抵抗層の全体と従ってタンクの長さとが
迅速に一様に加熱され、その際電極の長さ乃至幅の幾つかの個所で電圧を加える
必要はない。従ってパイプに沿って電源供給配線を設けることも不要である。こ
の種のタンクの長さは1 mまでである。数箇所の接続個所は、本発明によれば、 タンクが長い実施の形態の場合にのみ用いられる。数箇所の接続個所が有意義に
成る長さは、電極材料の選定の他に接続の設置場所にも左右される。電極の長さ
の中央が近づき易くそこに接続することができれば、前述の長さよりも長い場合
でも、数箇所の接続個所を不要にすることができる。
【0126】 更に単一の接点で運転可能な輸送装置の長さは、選定した電極の厚さに左右さ
れる。一つの実施の形態によれば、両方の電極と中間層とはそれぞれ50乃至150 μm、好ましくは75乃至100μmの厚さを有する。この僅かの厚さは更に、この 抵抗層に発生した熱を中間層から容易にタンクに放出できると言う利点がある。
又薄い電極は屈曲性に富み、抵抗層の熱膨張の際に電極が抵抗層から外れて電気
の接触が中断するような事故が避けられる。
【0127】 しかし長いタンクの場合、電極の数箇所の接続個所が必要になり得る。これは
本発明の輸送装置の場合容易に解決できる。電極は外側でのみ接続されるので、
接近が容易である。即ち、一つのタンクにこのタンクに沿って延びる電流用配線
を設け、電極を間隔を置いて電源に接続することができる。こうして本発明の任
意の長さの輸送装置も運転可能である。
【0128】 抵抗層も本発明によれば薄い。その厚さは単に絶縁破壊電圧により制限される
だけで、普通0.1乃至2 mm、好ましくは 1 mmである。抵抗層の僅かの層厚の利点
としては、そのために可能な短い所要加熱時間、急速な熱の放出、及び高い表面
加熱出力を挙げることができる。しかしこのような層厚は使用される固有導電性
ポリマーと接触の方法によってのみ可能である。本発明が使用するポリマーによ
り、一つには抵抗層の電流の通路が予め定められ、僅かの層厚で、電圧の絶縁破
壊を避けるために充分の長さを設けることができる。他方では抵抗発熱体の片側
の接触により抵抗層を低下した電圧の帯域に区分することが可能で、こうして絶
縁破壊の危険を更に低減することができる。
【0129】 本発明の輸送装置の利点は、抵抗層が電気抵抗の正の温度係数(PTC)を有すれ ば更に強化される。この温度係数により達成可能な最高温度に関する自己制御効
果が得られる。この効果によりタンクの過熱とそのために生ずるタンクの中での
反応を避けることができる。この効果は、抵抗層のPTCにより、抵抗素材の中の 電流の流れが温度に依存して制御される結果として得られる。温度が高くなるほ
ど電流の強さは減少し、最後にはある熱的平衡状態において測定できない程小さ
くなる。従って局部過熱や抵抗素地の溶融が確実に防止できる。この効果は本発
明の場合に特に重要である。例えばタンクが液状材料に半分までしか満たされて
いないと、この満たされた範囲でパイプの中の空気の範囲よりも多くの熱が排出
される。従来の抵抗発熱体の場合には熱が良く排出されないためこれが加熱して
溶融する場合もあるが、本発明の加熱可能のパイプでは自己制御効果によりこの
ような溶融事故は避けられる。
【0130】 抵抗層の材料としてPTC材料の選定により、更にこの抵抗層の全体が実質的に 同じ温度で加熱されると言う結果が得られる。それにより一様な熱の放出が可能
になリ、これは例えば温度に敏感な物質をタンクで送るような場合に個々の使用
分野に対して重要であろう。
【0131】 本発明によれば、両方の電極及び場合によっては中間層に面した抵抗層の表面を
メタライズすることができる。このメタライズ法により抵抗層の表面に金属層が
形成され、電極乃至浮動電極と抵抗層との間の電流の流れが改善される。更にこ
の実施の形態の場合、抵抗層から浮動電極への熱の伝達とそれによりタンクへの
熱の伝達も改善される。表面のメタライジングは金属の溶射により実施できる。
このようなメタライジングは抵抗層の本発明で使用される材料の場合にのみ実施
可能で、例えばめっきのような高価なメタライズ法が不要となり、製作費が著し
く削減される。
【0132】 固有導電性ポリマーは好ましくは一種のポリマーをドープして得られる。ドー
ピングは金属又は半金属のドーピングである。これらのポリマーにおいて不純物
の導体が化学的にポリマー鎖と結合して不純物が導入される。ドープされた原子
とマトリックスの分子とが所謂電荷移動錯体を形成する。ドーピングにより電子
がポリマーの満たされた電子帯からドープした材料に移行して正孔が形成され、
ポリマーに半導体に類似の電気的性質が付与される。この実施の形態では化学反
応により金属原子又は半金属原子がポリマーの構造に導入乃至そこに蓄積され、
それにより自由電荷が形成されて、これがポリマー構造に沿っての電流の流れを
可能にする。自由電荷は自由な電子又は正孔の形で存在する。こうして電子の導
体が生成する。
【0133】 好ましくはドーピングの際にポリマーにドーピング材料を次の量添加された。
即ちドーピング材料の原子数とポリマー分子数との比が少なくとも1:1、好ま
しくは2:1と10:1との間とする。この比率により、実質的に全てのポリマー分 子に少なくとも1個のドーピング材料の原子がドープされた状態が得られる。こ の比率の選定により、ポリマーのコンダクタンスとそれによる抵抗層のコンダク
タンス並びに抵抗層の抵抗の温度係数を調節することができる。
【0134】 本発明に使用される固有導電性ポリマーは本発明の輸送装置に黒鉛を添加せず
に抵抗層用の材料として使用されるけれども、もう一つの実施の形態では抵抗層
に黒鉛粒子を追加することができる。これらの粒子は抵抗層全体の導電性に寄与
し、好ましくは相互に接触することなく、特に格子や骨格を形成しない。これら
の黒鉛粒子はポリマーの構造に固定されずに自由に動ける状態にある。黒鉛粒子
が二つのポリマー分子と接触すると、電流は一つのポリマー鎖から黒鉛を介して
次のポリマー鎖に飛び移り、抵抗層の導電性は更に向上する。同時に黒鉛は自由
に動けるので抵抗層の表面にも現れ、そこで両方の電極又は中間層乃至タンクと
の接触を改善するように作用する。
【0135】 黒鉛粒子の添加量は抵抗層の全容積に対して好ましくは最大20容積%、特に最
大5容積%で、その平均粒径は最大0.1μmとする。このように添加量が僅かで直
径が小さいので、電流が通過可能の黒鉛格子の形成を避けることができる。こう
して電流の流れは実質的にポリマー分子を介して電子の電気伝導により行われる
ようにすれば、上述の特徴が得られることが確認できる。特に電気伝導は、必要
な黒鉛粒子の接触が機械的熱的負荷により容易に破損する黒鉛格子乃至黒鉛骨格
を使用せずに、伸張性,対老化性のあるポリマーに沿って行われる。
【0136】 固有導電性ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリビニル樹脂、ポリアクリル
酸誘導体並びにそれらの共重合体のような導電性重合体のみならず、導電性のポ
リアミドとその誘導体、ポリフルオロハイドロカーボン、エポキシ樹脂,及びポ
リウレタンが使用できる。特にポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、エポキシ
樹脂、ポリウレタン並びにそれらの混合物が好ましい。ここでポリアミドは更に
粘着性があってタンク又は抵抗層への取付けが容易になるので、本発明の輸送装
置の製造に有利である。ポリアセチレンのような幾つかのポリマーは酸素と反応
し易くそのため対老化性が劣っているので本発明には使用できない。
【0137】 使用されるポリマー分子の長さは、ポリマーの種類とその構造によって大きく
左右されるが、少なくとも500Å 以上、好ましくは4000Å以上である。
【0138】 一つの実施の形態では抵抗層が一つの支持材料を有する。この支持材料は固有
導電性ポリマーの担体として、又スペーサとして、特に両方の電極と中間層乃至
タンクとの間のスペーサとして作用する。この支持材料は、抵抗層が機械的負荷
に耐えることができるようにこれに剛性を付与する。更に支持材料の使用の場合
抵抗層の層厚を正確に調整することができる。支持材料としてはガラス球,ガラ
ス繊維、石綿、セラミック、例えばチタン酸バリウム、又はプラスチックが使用
される。支持材料が布地又はマット、例えばガラス繊維の形状の場合には、これ
を固有導電性ポリマーからなる素材に浸漬、即ち固有導電性ポリマーをこれに浸
透させることができる。その場合層の厚さは格子又はマットの厚さによって決ま
る。その際ドクターブレード、塗布又は公知のシルクスクリーニングの方法が使
用できる。
【0139】 支持材料は好ましくは平らな多孔性の電気絶縁性材料である。そのような材料
により、加熱電流がポリマー構造を通らずに支持材料を流れることを更に阻止で
きる。
【0140】 目的とする層厚からの最少の許容差が表面上で例えば1%の層の形成の可能性
は、特に本発明の僅かな層厚の場合に極めて重要で、偏差が大きければ接続した
両方の電極と中間層乃至タンクとが接触するおそれがある。又表面上の層厚のば
らつきも生成する温度に影響して、温度分布が不均一になる。
【0141】 支持材料は更に、電流の流れが両方の電極と中間層乃至タンクとの間の最短距
離をとらずに、充填材料の所で向きを変えるか又は分割されるように作用する。
こうして供給されるエネルギーが最適に活用される。
【0142】 次に本発明の輸送装置を添付した図面を基にして説明する。図6は、断熱層の ない本発明の装置の一つの実施の形態の断面図、図7は断熱層の中に設けた抵抗 発熱体付きの本発明の装置の一つの実施の形態の断面図、図8は一つの本発明の 装置の図7に示した実施の形態の斜視図である。
【0143】 図6の装置20は一つのパイプ状のタンク21とタンク21の上に配置されこの全周 を覆う抵抗層22から成る。抵抗層22の上に平形の2個の電極23と24とが電気絶縁 層26を挟んで配置してある。電源(図示せず)からの電流は電極23、24に加えら
れ、抵抗層22を貫流して、片方の電極23からタンク21に流れる。タンク21はこの
実施の形態では好ましくは導電性材料から成る。電流はタンク21の壁を流れて、
抵抗層22を通って第2の電極24に達する。この加熱電流により抵抗層22の全体が 加熱され、タンク21を介して熱がタンクの内部に放出される。
【0144】 図7では、パイプ状のタンク21の外周の一部に抵抗発熱体が設けてある。これ はタンク21に面した導電層25を備える。この層25は平形に形成され、この層のタ
ンク21の反対側は抵抗層22で覆われている。抵抗層22の上に2個の電極23と24 が離れて配置してある。タンク21は抵抗発熱体とは接触していない範囲で断熱層
27で覆われている。この断熱層27を囲んで断熱外装28があり、これは断熱層27の
他に抵抗発熱体22、23,24,25,26を包含する。この装置は更に電流供給装置29
を備え、電流供給装置29は、パイプ状のタンク21の軸に平行に断熱外装28を貫通
する給電線29aに繋がっている。給電線29aは断熱外装28の全長に延び、その端部
で、電源(図示せず)に接続するか又は抵抗発熱体と断熱層27とを備えタンク21
に配置された断熱外装28の給電線29aに接続する。タンク21に面した導電層25とタ
ンク21との間には熱伝達を改善する材料、例えば伝熱ペースト、伝熱材料製まく
ら、シリコーンゴムなどを設けることができる。抵抗発熱体22、23,24,25,26
はこの実施の形態ではタンク21の曲面に合せて、直接の熱伝導が確保されるよ うにすることもできる。
【0145】 電極23、24は図示の実施の形態ではタンク21の長さの方向に延び、外周の方向
に並べて配置してある。或いは電極23、24を抵抗層22の上にタンク21の外周の方
向に長く、軸方向に並べて配置するのも本発明の範疇に属する。 タンクの軸に平行に延びる給電線により、抵抗発熱体と断熱層とを備えた複数
の断熱外装をタンクの上に前後に並べて配置し、個々の抵抗発熱体への電流供給
は並列に接続することができる。この給電線は断熱外装により損傷乃至例えば水
分との接触が防止されている。
【0146】 抵抗発熱体は断熱外装の中でタンクの下側に接するように配置するのが好まし
く、発熱体のこの位置では、少ししか満たされていないタンクの場合にも発熱体
からの熱がよく拡散されると言う利点がある。
【0147】 図8においてタンク21はその長さの大部分が断熱外装28に囲まれている。断熱 外装28の中には抵抗発熱体22、23,24,25,26並びに給電線29aと電流供給設備2
9が配置してある。抵抗発熱体は断熱外装28の長さの広い範囲にわたって延び、 断熱外装28の中で終わる。給電線29aが断熱外装の端部から出て、電源(図示せ ず)に接続することができる。本発明の輸送装置を車両又は貨物自動車に積載す
るための固定装置は図8に略示してある。この固定設備を、タンクを固定装置に 取り付けた際に断熱外装にも又抵抗発熱体にも圧力負荷が掛からない配置にする
のが好ましい。
【0148】 図2に示すような抵抗発熱体も使用できる。この抵抗発熱体は本発明の輸送装 置の中で、電源に接続された電極が配置される抵抗発熱体の側がタンクの反対側
であるようにして用いられる。電気的な大きさは、原理の略図3に相当したその ような抵抗発熱体とこれと関連した計算式とを使用して決定する。この抵抗発熱
体は本発明の装置の中で電極が配置される抵抗発熱体の側がタンクの反対側であ
るようにして用いられる。電極と浮動電極は一つの円筒形のタンクの場合に、そ
れらをタンクの外周の上で間隔を置いて軸方向に延びるように配置するのが好ま
しい。こうして外周の上に複数の帯域が形成され、そのそれぞれの電圧は加えら
れた電圧よりも低い。
【0149】 断熱層は、タンクとは反対方向の輻射による熱損失を防ぎ、抵抗発熱体の熱を
主としてタンクの方向に導くのに役立つ。断熱層は断熱材料と必要があれば追加
の反射層とから構成することができる。
【0150】 タンクの全体を断熱層で覆い、抵抗層並びに平形の電極と中間層とをタンクに
面して設けた断熱層の長手の溝に収めることも可能である。この実施の形態の場
合、発熱体がタンクに触れるある規定された範囲を介して熱をタンクに放出する
ことができる。同時にタンクの残りの範囲を介しての熱の放出は断熱層により妨
げられる。断熱層の中への抵抗発熱体の配置により断熱層は残りの範囲を介して
タンクと確実に接触する。そのような実施の形態は、優れた熱伝導度のタンクを
備えた装置に対しても使用できる。これらのタンクの場合、抵抗発熱体により生
じた熱はタンクの壁の全表面に分布されて、タンクの中の物質を更に加熱する。
この構成により一つには抵抗発熱体の赤外線による物質の加熱と、もう一つには
抵抗発熱体とタンク壁とによる直接の加熱とが行われる。
【0151】 図示した実施の形態は複数の押付け装置を追加することができる。これらの押
付け装置はそれぞれ図示した本発明の装置の上の外側に例えば接着テープ又はテ
ンションリングにより取り付けるか、或いは図7及び8に示した実施の形態では抵
抗発熱体の外側に直接配置することができる。後者の場合には、これは多孔性ゴ
ム製であってもよい。特に膨張可能又は発泡可能の複数のセルを抵抗発熱体のタ
ンクに対して反対側に設けてもよい。これらの押付け装置により一定の押付け圧
力とその結果の抵抗発熱体からタンクへの良好な熱伝達が保証される。タンクは
好ましくはパイプ状であるが、他の形状例えば断面が矩形でもよい。
【0152】 このタンクは本発明の装置の場合、例えば金属製又はプラスチック製、特にポ
リカーボネート製であってもよい。タンク用に導電性のない材料を選定すれば、
抵抗発熱体はタンクと抵抗層との間に中間層を設けることができる。しかしその
ようなタンクの場合、電極と抵抗層のみの抵抗発熱体を設けることも本発明の範
疇に属する。この実施の形態の場合、加熱電流は一方の電極から抵抗層の抵抗素
材、即ち導電性ポリマーを通って他の電極に流れる。このような電流の流れによ
っても、ポリマーの構造により抵抗素材を通して充分の電流が流れて充分の熱が
発生するので、この流れは本発明の装置の場合でも可能である。
【0153】 電流供給装置を介して抵抗発熱体の電極と連結する給電線を断熱外装の外側の
表面に導くのは本発明の範疇に属する。 電流と接続する電極の間の絶縁部材は従来の誘電体、又は例えば空気であって
もよい。 発熱体に電流を供給するための接続は、必要に応じて任意の長さの絶縁リッツ
線により、或いは又堅く接着した接点により形成し、その際公知の接続システム
を使用することができる。
【0154】 抵抗層に、電気抵抗の温度係数が負の材料を使用するのも、本発明の範疇に属
する。 電気抵抗の負の温度係数の場合には、必要な投入電流は極めて少なくてよい。
更に抵抗層の材料を、本発明に使用する抵抗素材がある特定の温度例えば80℃に
おいて、この温度から電気抵抗の温度係数は正になるように逆に規制されるよう
に選定することができる。 抵抗層は、異なる比抵抗を有する種々の抵抗材料を積層した構造を備えてもよ
い。
【0155】 このような実施の形態には、抵抗層の中の材料を適当に選定してタンクに熱を
放出すべき抵抗層の側面がより高い温度を有するようにすることができ、その際
異なる加熱電流を例えば別々の加熱線を用いて抵抗層の個々の層に分けて送るよ
うなことは必要がないという利点がある。この場合、使用するポリマーの比抵抗
を、電極に接する層から、加熱すべきタンクに面する側面に向かって増大するよ
うに選べば、この効果が達成できる。
【0156】 本発明の輸送装置は、使用する抵抗層と接触方法とにより、例えば24Vのよう な低い電圧でも、又例えば240V, 400V及び1000Vまでの高い電圧でも作動するこ とができる。 本発明の輸送装置では、10 kW/m2以上、好ましくは30 kW/m2以上の表面加熱出
力が得られる。このタンクにより60 kW/m2までの出力が達成可能で、この60 kW/
m2までの加熱出力は、1 mmの厚さの抵抗層によっても達成される。長期の出力の
低下は、240Vの電圧を連続負荷した場合1年で0.01%未満である。
【0157】 輸送装置により到達可能の温度は選定したポリマーの熱的性質により限定され
るが、240℃以上500℃までの範囲である。 タンクの長さの一部のみに抵抗発熱体と断熱層とを備えた断熱外装を設けるこ
とも可能である。更に抵抗発熱体の大きさを用途により選定して、1個又は複数 の抵抗発熱体を断熱層の中に配置できるように選定することも可能で、この抵抗
発熱体はパイプ状のタンクの場合半径方向又は軸方向に延びることができる。こ
の場合抵抗発熱体を例えば断熱層に設けた長さ方向の複数の溝に配置するように
してもよい。
【0158】 前記の装置は更に、そのタンクが従来のタンクで作られこれが二つ割の外装で
囲まれ、その際少なくとも片方の半割の外装が一つの抵抗発熱体を含むように構
成することもできる。この外装はガラス繊維又は発泡体のような断熱材で作るの
が好ましい。
【0159】 本発明のもう一つの課題は、一つの熱ロールにより解決される。この熱ロール
は、一つのロールスリーブと、ロールスリーブの内側に配置した少なくとも1個 の平形の抵抗発熱体とから構成され、この抵抗発熱体は少なくとも2個の平形の 電極と、固有導電性ポリマーから成る薄い抵抗層を備える。
【0160】 本発明のロールでは、その抵抗層が一つの固有導電性ポリマーを有する。この
本発明の抵抗層に使用されるポリマーは、ポリマーの分子に沿って電流が流れる
ように構成されている。このポリマーの構造により加熱電流がポリマーに沿って
抵抗層を流れる。ポリマーの電気抵抗により熱が発生し、これが加熱されるロー
ルスリーブに伝えられる。この際加熱電流は両電極の間の最短距離をとるのでは
なく、ポリマー構成の構造に従う。従って電流の通路の長さはポリマーによって
規定されるので、層の厚さが薄い場合でも電圧による絶縁破壊を伴うことなく比
較的高い電圧を加えることができる。大きな電流、例えば投入電流の場合でも絶
縁破壊のおそれはない。
【0161】 更に電流は最初に第一の電極、次にポリマーの構造に沿った抵抗層の中の通路
に配分されるので、抵抗層の中に一様な温度分布が得られる。これは電極に電圧
を加えた直後に現れる。 本発明に使用されるポリマーにより、ロールを高い電圧例えば配電電圧で運転
することも可能である。得られる加熱出力は運転電圧の二乗に比例して増加する
ので、本発明の熱ロールにより大きな加熱出力、従って高い温度を得ることがで
きる。電流密度は本発明によれば、導電性ポリマーに沿った比較的長い電流の通
路により最少となる。
【0162】 更に本発明に使用される導電性ポリマーは長期間安定である。この安定性の理
由の一つは特にこのポリマーが伸張性を有し、温度が高くなってもポリマー鎖が
切れて電流の通路が遮断されるようなことは起こらないことである。温度変動が
繰り返されてもポリマー鎖の損傷は起こらない。これに対して熱ロールに使用さ
れる従来の抵抗発熱体で、導電性が例えば炭素の骨格で構成されている場合には
、熱膨張により電流の通路が切れて過熱が発生し、そのため激しい酸化により抵
抗層の絶縁破壊を生ずるようになる。このような老化現象は本発明の固有導電性
ポリマーには認められない。
【0163】 本発明に使用される固有導電性ポリマーは反応性の環境例えば空気中の酸素の
中でも対老化性である。従って電流の作用の下での電解反応による抵抗層の自己
破壊現象は本発明の熱ロールでは発生しない。この抵抗層により得られる表面加
熱出力の長期にわたっての損失は、例えば500℃の高温と例えば50 kW/m2の高表 面出力においても極めて僅かであり、ゼロに近い。 全体として本発明の抵抗層は固有伝導性ポリマーの使用により均質な構成を備
え、これが層全体にわたっての一様な加熱を可能にする。 抵抗層の材料としての固有伝導性ポリマーの選定により、一方では発熱体の充
分な屈曲性が確保され、そのため発熱体をロールの内面に確実に取り付けること
ができ、他方では大きな表面にわたって一様な熱が発生する。ロールスリーブの
内側にこの抵抗発熱体を設ければ、これは運転の際の機械的負荷から保護される
【0164】 更に導電性ポリマーを備えた抵抗発熱体は『黒体』としても使用される。この
黒体は全ての波長の放射線を放出することができる。温度が下がると放出される
放射線の波長は移動して赤外部に近づいてゆく。ロールの材料がこの放射線を透
過する材料例えばガラスやプラスチックの場合には、赤外線がロールから加熱し
ようとする品物に作用する。この深部効果により抵抗層自体には高い温度は必要
でない。
【0165】 一つの実施の形態によれば、電源に接続する電極の間に抵抗層が設けられ、こ
れらの電極が抵抗層を少なくとも部分的に覆う。この実施の形態では例えばロー
ルスリーブ自体が一つの電極として作用する。その際所定の厚さの抵抗層が直接
ロールの内側に設けられる。次に抵抗層のロールスリーブに面した側に対向電極
が配置される。電極と電極として作用するロールスリーブとに加えられる加熱電
流は実質的にその厚さを流れる。この構成の場合、ロールスリーブが抵抗層と直
接接触しているので、加熱しようとする品物への良好な熱の伝達が保証される。
【0166】 この実施の形態によれば、ロールスリーブの内側にも、ロールスリーブと反対
側の面が抵抗層で覆われた平形電極を配置してもよい。その場合この抵抗層の上
に更に電極を配置する。この場合加熱電流は両方の電極の間を流れ、ロールの表
面は電圧のない状態に保たれる。この実施の形態は特に、例えば装置の使用者が
熱ロールに直接接触する可能性のある場合に有利に使用される。
【0167】 もう一つの実施の形態によれば、少なくとも2個の平形の電極が、抵抗層のロ ールスリーブとは反対側に間隔を置いて配置されている。 ロールは本発明によれば、抵抗層の片面に配置された2個の電極により接続さ れる。この接続の方法により、本発明に使用される固有導電性ポリマーの作用が
特に有利に活用される。負荷された電流は先ず第1の電極で分けられ、次にポリ マーの構造に沿って抵抗層の厚さを実質的に面に直角な方向に貫流してから、第
2の電源に接続された電極に導かれる。従って電流の経路は、両方の電極がその 間に抵抗層を挟む構造に対して更に長くなっている。この電流の流れにより、抵
抗層の厚さを特に薄くすることができる。
【0168】 本発明のロールのこの実施の形態は更に、電極の接続を抵抗層の片側で実施す
るという利点を有する。これはロールスリーブの反対側であり、接続のための接
近が容易である。抵抗層の反対側のロールスリーブに面した側には接続個所がな
く、平らに形成されている。このような平らな面は抵抗層をロールスリーブに直
接取り付けることを可能にする。この抵抗発熱体と被加熱体との間の接触面には
接続部材が介在することがないので、ロールスリーブへの理想的な熱伝達が98%
まで可能になる。更に抵抗層からロールスリーブに、そこから更に被加熱体に一
様な熱の伝達が確実に行われる。
【0169】 抵抗層の電極と反対側には、導電性の優れた材料から成る中間層を、抵抗層と
ロールスリーブとの間に設ける。この中間層は浮動電極として作用する。この実
施の形態において抵抗層を直接ロールスリーブに設けることも本発明の範疇に属
する。中間層乃至抵抗層とロールスリーブとの間の電気絶縁は、簡単に例えばフ
ィルムにより実現できる。
【0170】 熱ロールのこの実施の形態では、電流は実質的に抵抗層の面に直角にその厚さ
を通過する。ここで実質的には抵抗層に二つの帯域が形成される。その第一の帯
域では電流は電源に接続された第一の電極から浮動電極に実質的に垂直に流れ、
第二の帯域ではこの浮動電極から電源に接続された第二の電極に実質的に垂直に
流れる。この配置により直列接続の複数の抵抗も形成される。この現象の結果、
個々の帯域での部分電圧は負荷された電圧よりも少なくなる。即ち、個々の帯域
での電圧は本発明のこの実施の形態の場合、負荷電圧の半分になる。このように
本発明の熱ロールでは抵抗層での電圧が低下して安全上の危険を確実に避けるこ
とができる。
【0171】 更に電源に接続した電極の間に設けた空間は並列に接続した追加の抵抗として
作用する。空気をこの空間の絶縁材として選べば、この抵抗は電極相互間の間隔
と抵抗層の表面抵抗によって決定される。この間隔は抵抗層の厚さよりも大きい
ことが好ましく、例えば抵抗層の厚さの2倍とする。
【0172】 両方の電極と浮動電極は優れた熱伝導度を有するのが好ましい。その値は200
W/mKを超え、好ましくは250 W/mKを超えることができる。局部的過熱はこの電極
の優れた熱伝導度によって直ちに解消する。過熱はこの場合層の厚さの方向にの
み発生することができるが、本発明の熱ロールの場合に実現可能の僅かの層の厚
さでは殆ど問題にならない。この熱ロールのもう一つの利点として、外部から、
例えば加熱しようとする品物からもたらされた局部的温度上昇もこの抵抗発熱体
により理想的に解消することができる。このような局部的温度上昇は、例えばロ
ールに熱が蓄積すれば内部からも引き起こされる。そのためにロールの内部に断
熱材料を設けることができる。
【0173】 この加熱可能の熱ロールには、ロールスリーブに配置された抵抗層が大きな負
荷に耐え、局部的な温度上昇を伴うことがないという利点がある。ロールスリー
ブに作用する機械的負荷は、普通半径方向に生成する。この方向は抵抗発熱体の
抵抗層の中を電流が流れる方向に相当する。従ってこのような負荷の場合、電流
が圧力負荷に対して直角に流れるような抵抗発熱体の場合とは異なり、圧力が生
ずる個所の抵抗を増大することはない。
【0174】 本発明によれば、抵抗層のロールスリーブに対して反対側に設けた電極は実質
的に円周全体に延び、軸方向に間隔を置いて配置される。 回転運動に使用される熱ロールの場合電流が両方のロール端部から供給される
ので、この配置は有利である。
【0175】 もう一つの本発明の実施の形態によれば、抵抗層は、異なる比抵抗を有する種
々の抵抗材料を積層した構造を備えてもよい。この実施の形態では抵抗層のロー
ルの内部に向いた側が小さい抵抗を有する材料から成るようにできる。この層の
上に更に材料を層として追加してその比抵抗が層から層に向かって上昇するよう
にすると、この配置でロールスリーブに面した側の抵抗層が最高の比抵抗を有す
るので、ここでかなりの電圧降下が起こり、この表面が強く加熱される。
【0176】 本発明のロールにおいては、電極と中間層とを10-4Ωcm 未満の比抵抗、好ま しくは10-5Ωcm未満の比抵抗を有する材料から構成するのが好ましい。適当な材
料は例えばアルミニウム又は銅である。これは本発明のロールの場合特に重要で
ある。例えば複写ロール又はフィルムロールとして使用される熱ロールは速やか
に加熱され且つ全長にわたって温度が一様でなければならない。そのような比抵
抗を有する電極材料を使用すれば、全体の出力の低下と表面の温度差を引き起こ
すような電極表面での電圧降下を避けることができる。更に導電性により、電極
の中での電量の迅速な分布が確保され、その結果実質的に抵抗層の全体と従って
ロールの全長とが迅速に一様に加熱されるようになる。
【0177】 更に表面を介してのロールの中での加熱速度と温度の生成とは、選定した電極
の厚さに左右される。一つの実施の形態によれば、両方の電極と中間層とはそれ
ぞれ50乃至150μm、好ましくは75乃至100μmの厚さを有する。この僅かの厚さは
更に、この抵抗層に発生した熱を中間層からロールスリーブに容易に放出できる
と言う利点がある。又薄い電極は屈曲性に富み、抵抗層の熱膨張の際に電極が抵
抗層から外れて電気の接触が中断するような事故が避けられる。
【0178】 抵抗層も本発明によれば薄い。その厚さは単に絶縁破壊電圧により制限される
だけで、普通0.1乃至2 mm、好ましくは 1 mmである。抵抗層の僅かの層厚の利点
としては、そのために可能な短い所要加熱時間、急速な熱の放出、及び高い表面
加熱出力を挙げることができる。しかしこのような層厚は使用した固有導電性ポ
リマーの場合にのみ可能であり、接続の方法により改善される。本発明が使用す
るポリマーにより、一つには抵抗層の電流の通路が予め定められ、僅かの層厚で
、電圧の絶縁破壊を避けるために充分の長さを設けることができる。他方では抵
抗発熱体の片側の接触により抵抗層を低下した電圧の帯域に区分することが可能
で、こうして絶縁破壊の危険を更に低減することができる。
【0179】 本発明のロールの利点は、抵抗層が電気抵抗の正の温度係数(PTC)を有すれば 更に強化される。この温度係数により達成可能な最高温度に関する自己制御効果
が得られる。この効果によりロールスリーブの局部的加熱が防止される。この効
果は、抵抗層のPTCにより、抵抗素材の中の電流の流れが温度に依存して制御さ れる結果として得られる。温度が高くなるほど電流の強さは減少し、最後にはあ
る熱的平衡状態において測定できない程小さくなる。従って局部過熱や抵抗素材
の溶融が確実に防止できる。この効果は本発明の場合に大きな意味がある。
【0180】 抵抗層の材料としてPTC材料の選定により、更にこの抵抗層の全体が実質的に 同じ温度で加熱されると言う結果が得られる。それにより一様な熱の放出が可能
になリ、これはロールの個々の使用分野に対して重要であろう。この可能性がな
ければ幾つかの分野において例えばロールにより貼りつけようとするフィルムが
充分加熱されていなかったため基質に接着しないような結果にもなる。
【0181】 本発明によれば、電極及び中間層に面した抵抗層の表面をメタライズすること
ができる。このメタライズ法により抵抗層の表面に金属層が形成され、電極乃至
中間層と抵抗層との間の電流の流れが改善される。更にこの実施の形態の場合、
抵抗層から浮動電極への熱の伝達とそれによりロールスリーブへの熱の伝達も改
善される。表面のメタライジングは金属の溶射により実施できる。このようなメ
タライジングは抵抗層の本発明で使用される材料の場合にのみ実施可能で、例え
ばめっきのような高価なメタライズ法が不要となり、製作費が著しく削減される
【0182】 固有導電性ポリマーは好ましくは一種のポリマーをドープして得られる。ドー
ピングは金属又は半金属のドーピングである。これらのポリマーにおいて不純物
の導体が化学的にポリマー鎖と結合して不純物が導入される。ドープされた原子
とマトリックスの分子とが所謂電荷移動錯体を形成する。ドーピングにより電子
がポリマーの満たされた電子帯からドープした材料に移行して正孔が形成され、
ポリマーに半導体に類似の電気的性質が付与される。この実施の形態では化学反
応により金属原子又は半金属原子がポリマーの構造に導入乃至そこに蓄積され、
それにより自由電荷が形成されて、これがポリマー構造に沿っての電流の流れを
可能にする。自由電荷は自由な電子又は正孔の形で存在する。こうして電子の導
体が生成する。
【0183】 好ましくはドーピングの際にポリマーにドーピング材料を次の量添加された。
即ちドーピング材料の原子数とポリマー分子数との比が少なくとも1:1、好ま
しくは2:1と10:1との間とする。この比率により、実質的に全てのポリマー分 子に少なくとも1個のドーピング材料の原子がドープされた状態が得られる。こ の比率の選定により、ポリマーのコンダクタンスとそれによる抵抗層のコンダク
タンス並びに抵抗層の抵抗の温度係数とを調節することができる。
【0184】 本発明に使用される固有導電性ポリマーは本発明のロールに黒鉛を添加せずに
抵抗層用の材料として使用されるけれども、もう一つの実施の形態では抵抗層に
黒鉛粒子を追加することができる。これらの粒子は抵抗層全体の導電性に寄与し
、好ましくは相互に接触することなく、特に格子や骨格を形成しない。これらの
黒鉛粒子はポリマーの構造に固定されずに自由に動ける状態にある。黒鉛粒子が
二つのポリマー分子と接触すると、電流は一つのポリマー鎖から黒鉛を介して次
のポリマー鎖に飛び移り、抵抗層の導電性は更に向上する。同時に黒鉛は自由に
動けるので抵抗層の表面にも現れ、そこで両方の電極又は中間層乃至ロールスリ
ーブとの接触を改善するように作用する。
【0185】 黒鉛粒子の添加量は抵抗層の全容積に対して好ましくは最大20容積%、特に最
大5容積%で、その平均粒径は最大0.1μmとする。このように添加量が僅かで直
径が小さいので、電流が通過可能の黒鉛格子の形成を避けることができる。こう
して電流の流れは実質的にポリマー分子を介して電子の電気伝導により行われる
ようにすれば、上述の特徴が得られることが確認できる。特に電気伝導は、必要
な黒鉛粒子の接触が機械的熱的負荷により容易に破損する黒鉛格子乃至黒鉛骨格
を使用せずに、伸張性,対老化性のあるポリマーに沿って行われる。
【0186】 固有導電性ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリビニル樹脂、ポリアクリル
酸誘導体並びにそれらの共重合体のような導電性重合体のみならず、導電性のポ
リアミドとその誘導体、ポリフルオロハイドロカーボン、エポキシ樹脂,及びポ
リウレタンが使用できる。特にポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、エポキシ
樹脂、ポリウレタン並びにそれらの混合物が好ましい。ここでポリアミドは更に
粘着性があって、ロールスリーブや中間層への取付けが容易になるので本発明の
ロールの製造に有利である。ポリアセチレンのような幾つかのポリマーは酸素と
反応しやすくそのため対老化性が劣っているので本発明には使用できない。 使用されるポリマー分子の長さは、ポリマーの種類とその構造によって大きく
左右されるが、少なくとも500Å 以上、好ましくは4000Å以上である。
【0187】 一つの実施の形態では抵抗層が一つの支持材料を有する。この支持材料は固有
導電性ポリマーの担体として、又スペーサとして、特に両方の電極と中間層乃至
ロールスリーブとの間のスペーサとして作用する。この支持材料は、抵抗層が機
械的負荷に耐えることができるようにこれに剛性を付与する。そのような剛性は
、発熱体をロールスリーブに押し付けるための例えばテンションリングのような
押付け装置により作ることができる。更に支持材料の使用の場合抵抗層の層厚が
正確に調整される。支持材料としてはガラス球,ガラス繊維、石綿、セラミック
、例えばチタン酸バリウム、又はプラスチックが使用される。支持材料が布地又
はマット、例えばガラス繊維の形状の場合には,これを固有導電性ポリマーから
なる素材に浸漬、即ち固有導電性ポリマーをこれに浸透させることができる。そ
の場合層の厚さは格子又はマットの厚さによって決まる。その際ドクターブレー
ド、塗布又は公知のシルクスクリーニングの方法が使用できる。
【0188】 支持材料は好ましくは平らな多孔性の電気絶縁性材料である。そのような材料
により、加熱電流がポリマー構造を通らずに支持材料を流れることを更に阻止で
きる。 目的とする層厚からの最少の許容差が表面上で例えば1%の層の形成の可能性
は、特に本発明の僅かな層厚の場合に極めて重要で、偏差が大きければ接続した
両方の電極と中間層とが接触するおそれがある。又表面上の層厚のばらつきも生
成する温度に影響して、温度分布が不均一になる。 支持材料は更に、電流の流れが両方の電極と中間層との間の最短距離をとらず
に、充填材料の所で向きを変えるか又は分割されるように作用する。こうして供
給されるエネルギーが最適に活用される。
【0189】 次に本発明のロールを添付した図面に基づいて説明する。 図9は電極の間に挿入された抵抗層を備えた本発明の熱ロールの一つの実施の 形態、図10は抵抗層の片面に並べて配置された2個の電極を備えた本発明の熱ロ ールの縦断面図である。
【0190】 図9に、ロールスリーブ31の内面が平形の電極33で覆われている熱ロール30を 示す。この電極33の内側に抵抗層32が配置され、これは電極33に対して反対側に
もう一つの電極34を備える。ロールの内部には、断熱材37があり、これはロール
の内部空間を満たして内側の電極34に接している。この図示した実施の形態では
、電極33と34が電源(図示せず)に接続する。抵抗32を貫流する電流が抵抗層を
加熱し、これからロールスリーブ31を加熱するために熱を伝える。
【0191】 図10に本発明の熱ロール30の一つの実施の形態を示す。この実施の形態では、
抵抗層32は直接ロールスリーブ31に配置してあり、抵抗層のロールスリーブに対
して反対側を、2個の電極33と34が実質的に完全に覆っている。電極33と34は絶 縁層36により分離されている。絶縁層36の材料には従来の誘電体、例えば空気又
はプラスチックが用いられる。 電極34は複写ロールの左側で、電極33はその右側で電源(図示せず)に連結す
る。加熱電流はこの実施の形態では、電極33から、好ましくは優れた導電性材料
から成るロールスリーブに流れ、そこから抵抗32を通って電極34に戻るか、或い
はこの反対に流れる。 抵抗層の片側に少なくとも2個の電極が配置されその反対側に優れた導電性の 材料から成る中間層が設けてあれば、加熱電流は一方の電極から抵抗層を通って
中間層に流れ、ここを通ってから抵抗層より片方の電極に流れる。抵抗の材料の
選択により、ロールスリーブが非導電性材料の場合でさえも中間層を省略するこ
とが可能である。この場合加熱電流は抵抗層を貫流し、その際ポリマーの構造に
より抵抗素材の全体が加熱される。ロールスリーブも又導電性材料で形成し、電
流の通路に用いられるようにしてもよい。この場合電極に加えられた電流は一方
の電極から抵抗素材を通り、ロールスリーブを流れてから抵抗素材を貫流して他
方の電極に達する。
【0192】 抵抗素材への電流が片側から供給される前述の全ての実施の形態において、帯
域に掛かる電圧は両側への電流供給の場合の半分に減少する。 電極の間に設けた間隔は並列に接続した追加の抵抗として作用する。抵抗36と
して空気を選べば、抵抗は抵抗相互の間隔とその表面抵抗によって決定される。
【0193】 図2に示すような抵抗発熱体も利用できる。この抵抗発熱体は本発明の熱ロー ルに、電源に接続された電極が配置された抵抗発熱体の側でロールスリーブの反
対側に用いられる。電気的な大きさは、原理の略図3に相当したそのような抵抗発
熱体とこれと関連した計算式とを使用して決定される。 熱ロールの表面に電圧のない状態を保持するには、抵抗発熱体とロールスリー
ブとの間にポリエステル、ポリイミドなどのフィルムの形の公知の絶縁材を挿入
すれば良い。電極への電流供給には、平形の発熱体の場合の公知の接続技術、ス
リップリング又は電気的接点として役立つ軸受を使用するのが好ましい。
【0194】 電極としては使用の目的により例えば金属フィルムや金属の薄板が用いられる
。抵抗発熱体を押付け装置によりロールスリーブに押付けるのも本発明の範疇に
属する。押付け装置としては、例えば同時に電極にもなるテンションリングを使
用することができる。抵抗発熱体とロールスリーブとの間の熱伝達の改善には、
フィルムの形の熱可塑性プラスチック又は伝熱性ペーストを抵抗発熱体とロール
スリーブとの間に挿入してもよい。
【0195】 本発明のロールの場合、複数の抵抗発熱体をロールの内部にロールの長さにわ
たって相互に間隔を置いて設けることもできる。しかしロールの内部に設けた一
つの一貫した抵抗層の上に複数の電極をセグメントの形で取り付けるのも本発明
の要旨に属する。これらのセグメントは、抵抗発熱体で覆われたロールスリーブ
の全内周にわたって延び、容易にロールに挿入することができ、迅速な組立てが
可能である。更に本発明のロールに、それぞれ対として作用し選択的に電流を加
えられる複数の電極を設ければ、ロールの個々の範囲の加熱が可能になる。これ
らの電極は好ましくは全周にわたって延び、軸方向に間隔を置いている。この熱
ロールをフィルムロールとして使用する場合には、例えばロールの縁の部分の加
熱を追加できる。この熱の供給の追加により、周辺の部分の温度の低下を追加の
加熱により補正できるので、被加熱体に接触する範囲にわたって一様な温度の分
布の達成が可能である。
【0196】 抵抗素材は、本発明の範疇においてこれが電気抵抗の負の温度係数を有するよ
うに選定することもできる。そのような実施の形態の場合には、必要な投入電流
は極めて少なくてよい。本発明の抵抗素材がある特定の温度例えば80℃の温度か
ら電気抵抗の温度係数は正になるようにすることができる。
【0197】 本発明のロールは、使用する抵抗層と接触とにより、例えば24Vのような低い 電圧でも、又例えば240V, 400V及び1000Vまでの高い電圧でも運転することがで きる。 本発明のロールでは、10 kW/m2以上、好ましくは30 kW/m2以上の表面加熱出力
が得られる。この熱ロールにより60 kW/m2までの出力が達成可能で、この60 kW/
m2までの加熱出力は、1 mmの厚さの抵抗層によっても達成される。長期の出力の
低下は、240Vの電圧を連続負荷した場合1年で0.01%未満である。 このロールにより到達可能の温度は選定したポリマーの熱的性質により限定さ
れるが、240℃以上500℃までの範囲である。 本発明の熱ロールは写真複写機の複写ロールやフィルムによる材料のシール用
のフィルムロールに特に適している。
【0198】 本発明によれば導電性ポリマーとして、抵抗発熱体、加熱可能のパイプ及び熱
ロールの抵抗層の中には、ポリマーの中に添加された金属原子又は半金属原子に
より導電性を有するポリマーが使用される。これらのポリマーは好ましいことに
半導体により得られる範囲の値、即ち102Ωcmまで、好ましくは最高105Ωcmまで
の体積抵抗率を有する。このようなポリマーは、ポリマー分散液、ポリマー溶液
又はポリマーに、ポリマー分子1個に対して約1個の金属又は半金属原子になるよ
うな量の金属又は半金属化合物又はその溶液を添加すれば得られる。この混合物
に幾らか過剰の還元剤を加えて公知の熱分解により金属又は半金属原子を形成す
る。次にその際生成した又は残存したイオンを洗浄して除去し、得られた分散溶
液又は粒状体に場合によってはグラファイト又はカーボンブラックを加えてもよ
い。
【0199】 本発明に使用される導電性ポリマーは好ましくはイオンを含まず、遊離のイオ
ンの含有量は抵抗層の全重量に対して1重量%以下とする。イオンは上述のよう に洗浄により除去するか、又は適当な還元剤を加える。還元剤はイオンを完全に
還元できる量を添加する。微量のイオンを含むか、好ましくはイオンのない状態
で使用される導電性ポリマーは電流の作用の下でも抵抗層の耐久性が優れている
。既に実証されたようにかなりの量のイオンを含むポリマーは、電気分解反応に
より抵抗層が自己分解するので、電流の作用を受けてその対老化性が低下する。
これに対して本発明に使用される伝導性ポリマーは僅かのイオン濃度のために長
期の通電下でも老化し難い。本発明に使用される導電性ポリマーの上述の製造の
際に述べた還元剤としては、加工の際に熱分解するのでイオンを形成しない還元
剤例えばヒドラジン、又はポリマー自体と化学反応する例えばホルムアルデヒド
、或いは過剰量又は反応生成物の洗浄除去が容易な例えばホスフィン酸塩である
。金属又は半金属としては、銀、ヒ素、ニッケル、グラファイト又はモリブデン
が好ましい。特に好ましいのは純粋の熱分解により副生成物無しに金属又は半金
属を形成する金属又は半金属化合物で、特に水素化又はニッケルカルボニルが有
利に使用される。本発明に使用される伝導性ポリマーは例えば、次の配合で得ら
れる混合物をポリマーに1-10重量%(ポリマーに対して)加えて製造される。
【0200】 例1: フルオロハイドロカーボンポリマーの分散液(水中の固形分55%)1470重量部、 架橋剤1重量部、10%硝酸銀溶液28重量部、白亜6重量部、アンモニア8重量部 、カーボンブラック20重量部、グラファイト214重量部、ヒドラジン一水和物11 重量部。
【0201】 例2: アクリル樹脂分散液(水中に60重量%)1380重量部、架橋剤1重量部、10%硝酸
銀溶液32重量部、白亜10重量部、アンモニア12重量部、カーボンブラック6重量 部、グラファイト310重量部、ヒドラジン一水和物14重量部。
【0202】 例3: 蒸留水2200重量部、スチレンモノマー1000重量部、両性電解質石鹸(15%)600重 量部、二リン酸ナトリウム2重量部、過硫酸カリウム60重量部、硫酸ニッケル60 重量部、次亜リン酸ナトリウム60重量部、アジピン酸30重量部、グラファイト24
0重量部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 198 23 494.5 (32)優先日 平成10年5月26日(1998.5.26) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (31)優先権主張番号 198 23 531.3 (32)優先日 平成10年5月26日(1998.5.26) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (31)優先権主張番号 198 23 498.8 (32)優先日 平成10年5月26日(1998.5.26) (33)優先権主張国 ドイツ(DE) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 3K034 AA02 AA05 AA06 AA07 AA08 AA15 BB08 BB13 CA17 CA32 CA33 3K092 PP11 PP18 PP20 QA02 QA05 QB02 QB15 QB17 QB21 QB25 QB31 QC20 QC25 QC26 RF02 RF13

Claims (76)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一つの導電性ポリマーを含む一つの薄い抵抗層(2)と、該抵 抗層(2)の片側に間隔を置いて配置された少なくとも2個の平形電極(3,4)とから 成る平形発熱体(1)において、前記ポリマーが金属又は半金属のドーピングによ り生成した固有導電性を有することを特徴とする前記発熱体。
  2. 【請求項2】 前記抵抗層(2)の前記両方の平形電極(3,4)に対して反対側に
    一つの平形浮動電極(5)を配置することを特徴とする請求項1記載の発熱体。
  3. 【請求項3】 前記電極(3,4、5)が10-4Ωcm未満の、好ましくは10-5Ωcm未満
    の比電気抵抗を有する一つの材料から成ることを特徴とする請求項1又は2記載の
    発熱体。
  4. 【請求項4】 前記電極(3,4、5)が50乃至150μm、好ましくは75乃至100μm の範囲の厚さを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発熱 体。
  5. 【請求項5】 前記抵抗層が0.1乃至2 mm、好ましくは1 mmの厚さを有する ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発熱体。
  6. 【請求項6】 前記抵抗層(2) が電気抵抗の一つの正の温度係数を有するこ
    とを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発熱体。
  7. 【請求項7】 前記抵抗層(2)の電極(3,4)と浮動電極(5)とに面した表面が メタライズされていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の発熱体
  8. 【請求項8】 前記電極の間隔が前記抵抗層(2)の厚さの約2倍であることを
    特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の発熱体。
  9. 【請求項9】 前記ドーピングが一つの金属又は半金属のドーピングである
    ことを特徴とする請求項8記載の発熱体。
  10. 【請求項10】 ドーピングのために前記ポリマーに一つのドーピング剤を
    一つの次のような量、即ち前記ドーピング剤の原子と前記ポリマーの分子数との
    比が少なくとも1:1、好ましくは2:1及び10:1の間にあるような量添加すること
    を特徴とする請求項8又は9記載の発熱体。
  11. 【請求項11】 前記抵抗層(2)が追加としてグラファイト粒子を有するこ とを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の発熱体。
  12. 【請求項12】 前記グラファイト粒子が前記抵抗層の全容積に対して最大
    20容積%、好ましくは最大5容量%の量存在し、その平均直径が最大0.1μmであ ることを特徴とする請求項11記載の発熱体。
  13. 【請求項13】 前記抵抗層の中の自由なイオンの量が前記抵抗層の全容積
    に対して最大1重量%であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載 の発熱体。
  14. 【請求項14】 前記固有導電性ポリマーがポリアミド、アクリル、エポキ
    シ又はポリウレタンの一つを含むことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに 記載の発熱体。
  15. 【請求項15】 前記抵抗層(2)が一つの支持材料を含むことを特徴とする 請求項1乃至14のいずれかに記載の発熱体。
  16. 【請求項16】 前記支持材料が一つの平形の多孔質の電気絶縁性材料であ
    ることを特徴とする請求項14記載の発熱体。
  17. 【請求項17】 一つの内側のパイプ(11)の外側が少なくとも部分的に直接
    、又は一つの固有導電性ポリマーを含む一つの薄い抵抗層(12)を備えた中間層(1
    5)を介して覆われており、前記抵抗層(12)の外側には少なくとも2個の前記抵抗 層(12)を少なくとも部分的に覆った平形の電極(13,14)が間隔を置いて配置して ある加熱可能のパイプ(10)。
  18. 【請求項18】 高い電気伝導度を有する材料から成る一つの中間層(15)が
    前記内側のパイプ(11)と前記抵抗層(12)の間に配置してあることを特徴とする請
    求項17記載のパイプ。
  19. 【請求項19】 前記抵抗層(12)が前記内側のパイプ(11)の上に直接配置し
    てあり、前記内側のパイプ(11)が高い電気伝導度を有する材料から成ることを特
    徴とする請求項17記載のパイプ。
  20. 【請求項20】 前記抵抗層(12)並びにその上に配置された前記電極(13,14
    )が軸方向に縦に伸び、且つ前記電極(13,14)が前記抵抗層(12)の上に外周方向に
    間隔を置いて配置されていることを特徴とする請求項17乃至19の何れかに記載の
    パイプ。
  21. 【請求項21】 前記抵抗層(12)が前記内側のパイプ(11)の外周の一部の範
    囲のみを覆っており、且つ軸方向に縦に延びていることを特徴とする請求項20記
    載のパイプ。
  22. 【請求項22】 前記電極(13,14)及び前記中間層(15)が10-4Ωcm未満の、好
    ましくは10-5Ωcm 未満の比電気抵抗を有する一つの材料から成ることを特徴と する請求項17乃至21の何れかに記載のパイプ。
  23. 【請求項23】 前記電極(13,14)及び前記中間層(15)が50乃至150μm、好 ましくは75乃至100μmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項17乃至22の
    何れかに記載のパイプ。
  24. 【請求項24】 前記抵抗層(12)が0.1乃至2 mm、好ましくは1 mmの厚さを 有することを特徴とする請求項17乃至23の何れかに記載のパイプ。
  25. 【請求項25】 前記抵抗層(12) が電気抵抗の一つの正の温度係数を有す ることを特徴とする請求項17乃至24の何れかに記載のパイプ。
  26. 【請求項26】 前記抵抗層(12)の電極(13,14)と中間層(15)とに面した表 面がメタライズされていることを特徴とする請求項17乃至25の何れかに記載のパ
    イプ。
  27. 【請求項27】 前記固有導電性ポリマーがドープされていることを特徴と
    する請求項17乃至26の何れかに記載のパイプ。
  28. 【請求項28】 前記ドーピングが一つの金属又は半金属のドーピングであ
    ることを特徴とする請求項27記載のパイプ。
  29. 【請求項29】 ドーピングのために前記ポリマーに一つのドーピング剤を
    一つの次のような量、即ち前記ドーピング剤の原子と前記ポリマーの分子数との
    比が少なくとも1:1、好ましくは2:1及び10:1の間にあるような量添加すること
    を特徴とする請求項27又は28記載のパイプ。
  30. 【請求項30】 前記抵抗層(12)が追加としてグラファイト粒子を有するこ
    とを特徴とする請求項17乃至29の何れかに記載のパイプ。
  31. 【請求項31】 前記グラファイト粒子が前記抵抗層の全容積に対して最大
    20容積%、好ましくは最大5容量%の量存在し、その平均直径が最大0.1μmであ ることを特徴とする請求項30記載のパイプ。
  32. 【請求項32】 前記抵抗層の中の自由なイオンの量が前記抵抗層の全容積
    に対して最大1重量%であることを特徴とする請求項17乃至31の何れかに記載の
    パイプ。
  33. 【請求項33】 前記固有導電性ポリマーがポリアミド、アクリル、エポキ
    シ又はポリウレタンを含むことを特徴とする請求項17乃至32の何れかに記載のパ
    イプ。
  34. 【請求項34】 前記抵抗層(12)が一つの支持材料を含むことを特徴とする
    請求項17乃至33の何れかに記載のパイプ。
  35. 【請求項35】 前記支持材料が一つの平形の多孔質の電気絶縁性材料であ
    ることを特徴とする請求項34記載のパイプ。
  36. 【請求項36】 物質を収容するための一つのタンク(21)を含み、前記タン
    ク(21)のその外側が少なくとも部分的に直接、又は一つの固有導電性ポリマーを
    含む一つの薄い抵抗層(22)を備えた一つの中間層(25)を介して覆われており、前
    記抵抗層(22)の外側には少なくとも2個の前記抵抗層を少なくとも部分的に覆っ た平形の電極(23,24)が間隔を置いて配置してある物質用の加熱可能の輸送装置(
    20)。
  37. 【請求項37】 高い電気伝導度を有する材料から成る一つの中間層(25)が
    前記タンク(21)と前記抵抗層(22)の間に配置してあることを特徴とする請求項36
    記載の輸送装置。
  38. 【請求項38】 前記抵抗層(22)が前記タンク(21)の上に直接配置してあり
    、前記タンク(21)が高い電気伝導度を有する材料から成ることを特徴とする請求
    項37記載の輸送装置。
  39. 【請求項39】 前記タンク(21)が一つの円筒形を有することを特徴とする
    請求項36乃至38の何れかに記載の輸送装置。
  40. 【請求項40】 前記抵抗層(12)並びにその上に配置された前記電極(13,14
    )が軸方向に縦に伸び、且つ前記電極(13,14)が前記抵抗層(12)の上に外周方向に
    間隔を置いて配置されていることを特徴とする請求項17乃至19の何れかに記載の
    輸送装置。
  41. 【請求項41】 前記抵抗層(12)が前記内側のパイプ(11)の外周の一部の範
    囲のみを覆っており、且つ軸方向に縦に延びていることを特徴とする請求項38記
    載の輸送装置。
  42. 【請求項42】 前記電極(23,24)が10-4Ωcm未満の、好ましくは10-5Ωcm未
    満の比電気抵抗を有する一つの材料から成ることを特徴とする請求項36乃至41の
    何れかに記載の輸送装置。
  43. 【請求項43】 前記電極(23,24)が50乃至150μm、好ましくは75乃至100μ
    mの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項36乃至42の何れかに記載の輸送 装置。
  44. 【請求項44】 前記抵抗層(22)が0.1乃至2 mmの厚さを有することを特徴 とする請求項36乃至43記載の輸送装置。
  45. 【請求項45】 前記抵抗層(22) が電気抵抗の一つの正の温度係数を有す ることを特徴とする請求項36乃至44の何れかに記載の輸送装置
  46. 【請求項46】 前記抵抗層(22)の電極(23,24)と中間層(25)とに面した表 面がメタライズされていることを特徴とする請求項36乃至45の何れかに記載の輸
    送装置。
  47. 【請求項47】 前記固有導電性ポリマーがドープされていることを特徴と
    する請求項36乃至46記載の輸送装置。
  48. 【請求項48】 前記ドーピングが一つの金属又は半金属のドーピングであ
    ることを特徴とする請求項47記載の輸送装置。
  49. 【請求項49】 ドーピングのために前記ポリマーに一つのドーピング剤を
    一つの次のような量、即ち前記ドーピング剤の原子と前記ポリマーの分子数との
    比が少なくとも1:1、好ましくは2:1及び10:1の間にあるような量添加すること
    を特徴とする請求項47又は48記載の輸送装置。
  50. 【請求項50】 前記抵抗層(22)が追加としてグラファイト粒子を有するこ
    とを特徴とする請求項36乃至49の何れかに記載の輸送装置。
  51. 【請求項51】 前記グラファイト粒子が前記抵抗層の全容積に対して最大
    20容積%、好ましくは最大5容量%の量存在し、その平均直径が最大0.1μmであ ることを特徴とする請求項50記載の輸送装置。
  52. 【請求項52】 前記抵抗層の中の自由なイオンの量が前記抵抗層の全容積
    に対して最大1重量%であることを特徴とする請求項36乃至51の何れかに記載の
    輸送装置。
  53. 【請求項53】 前記固有導電性ポリマーがポリアミド、アクリル、エポキ
    シ又はポリウレタンの一つを含むことを特徴とする請求項36乃至52の何れかに記
    載の輸送装置。
  54. 【請求項54】 前記抵抗層(22)が一つの支持材料を含むことを特徴とする
    請求項36乃至52記載の輸送装置。
  55. 【請求項55】 前記支持材料が一つの平形の多孔質の電気絶縁性材料であ
    ることを特徴とする請求項55記載の輸送装置。
  56. 【請求項56】 前記輸送装置が一つの電流供給装置(29)を含み、これが前
    記タンク(21)の外側に軸方向に前記タンク(21)の全長にわたって延び、且つ前記
    電極(23,24)と少なくとも2箇所で接触していることを特徴とする請求項36乃至58
    の何れかに記載の輸送装置。
  57. 【請求項57】 一つのロールスリーブ(31)と前記ロールスリーブ(31)の内
    側に配置した平形の抵抗発熱体を含み、その際前記抵抗発熱体が少なくとも2個 の平形の電極(33,34)と一つの固有導電性ポリマーとを含む一つの薄い抵抗層(32
    )とから成る熱ロール(30)。
  58. 【請求項58】 前記抵抗層(32)が前記平形の電極(33,34)の間に配置して あリ、これを前記電極(33,34)が少なくとも部分的に覆っていることを特徴とす る請求項57記載の熱ロール。
  59. 【請求項59】 少なくとも2個の平形の前記電極(33,34)が前記抵抗層(32)
    の前記ロールスリーブ(31)に対して反対側に間隔を置いて配置されていることを
    特徴とする請求項57又は58記載の熱ロール。
  60. 【請求項60】 前記抵抗層(32)と前記ロールスリーブ(31)との間に電気伝
    導度の高い材料から成る一つの中間層(35)が配置されていることを特徴とする請
    求項59記載の熱ロール。
  61. 【請求項61】 前記電極(33,34)が実質的に全周にわたって伸び、且つ軸 方向に間隔を置いて配置されていることを特徴とする請求項59又は60記載の熱ロ
    ール。
  62. 【請求項62】 前記抵抗層(22)が異なる比電気抵抗を有する異なる抵抗材
    料を積層した構造を有することを特徴とする請求項57乃至61の何れかに記載の熱
    ロール。
  63. 【請求項63】 前記電極(33,34)と前記中間層(35)が10-4Ωcm未満の、好ま
    しくは10-5Ωcm未満の比電気抵抗を有する一つの材料から成ることを特徴とする
    請求項57乃至62の何れかに記載の熱ロール。
  64. 【請求項64】 前記電極(33,34) と前記中間層(35)が50乃至150μm、好ま
    しくは75乃至100μmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項57乃至63の何
    れかに記載の熱ロール。
  65. 【請求項65】 前記抵抗層が0.1乃至2 mm、好ましくは1 mmの厚さを有す ることを特徴とする請求項57乃至64の何れかに記載の熱ロール。
  66. 【請求項66】 前記抵抗層(32) が電気抵抗の一つの正の温度係数を有す ることを特徴とする請求項57乃至65の何れかに記載の熱ロール。
  67. 【請求項67】 前記抵抗層(32)の電極(33,34)と中間層(35)とに面した表 面がメタライズされていることを特徴とする請求項57乃至66の何れかに記載の熱
    ロール。
  68. 【請求項68】 前記固有導電性ポリマーがドープされていることを特徴と
    する請求項57乃至67の何れかに記載の熱ロール。
  69. 【請求項69】 前記ドーピングが一つの金属又は半金属のドーピングであ
    ることを特徴とする請求項68記載の熱ロール。
  70. 【請求項70】 ドーピングのために前記ポリマーに一つのドーピング剤を
    一つの次のような量、即ち前記ドーピング剤の原子と前記ポリマーの分子数との
    比が少なくとも1:1、好ましくは2:1及び10:1の間にあるような量添加すること
    を特徴とする請求項68又は69記載の熱ロール。
  71. 【請求項71】 前記抵抗層(32)が追加としてグラファイト粒子を有するこ
    とを特徴とする請求項57乃至70の何れかに記載の熱ロール。
  72. 【請求項72】 前記グラファイト粒子が前記抵抗層の全容積に対して最大
    20容積%、好ましくは最大5容量%の量存在し、その平均直径が最大0.1μmであ ることを特徴とする請求項71記載の熱ロール。
  73. 【請求項73】 前記抵抗層の中の自由なイオンの量が前記抵抗層の全容積
    に対して最大1重量%であることを特徴とする請求項57乃至72の何れかに記載の
    熱ロール。
  74. 【請求項74】 前記固有導電性ポリマーがポリアミド、アクリル、エポキ
    シ又はポリウレタンの一つを含むことを特徴とする請求項57乃至73の何れかに記
    載の熱ロール。
  75. 【請求項75】 前記抵抗層(32)が一つの支持材料を含むことを特徴とする
    請求項57乃至74の何れかに記載の熱ロール。
  76. 【請求項76】 前記支持材料が一つの平形の多孔質の電気絶縁性材料であ
    ることを特徴とする請求項75記載の熱ロール。
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