JP2002501747A - ヒト・成長因子ホモログ - Google Patents

ヒト・成長因子ホモログ

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JP2002501747A JP2000529435A JP2000529435A JP2002501747A JP 2002501747 A JP2002501747 A JP 2002501747A JP 2000529435 A JP2000529435 A JP 2000529435A JP 2000529435 A JP2000529435 A JP 2000529435A JP 2002501747 A JP2002501747 A JP 2002501747A
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コーレイ、ニール・シー
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ゲグラー、カール・ジェイ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト・成長因子ホモログ(HGFH)及びHGFHを特定し、コードするポリヌクレオチドを提供する。また本発明は、発現ベクター、宿主細胞、抗体、アゴニスト、及びアンタゴニストを提供する。また本発明は、HGFHの発現に関連する疾病の処置又は予防方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、ヒト・成長因子ホモログの核酸及びアミノ酸配列、及び細胞増殖及
び発達の障害の診断、予防、処置におけるこれらの配列の使用法に関するもので
ある。
【0002】 (発明の背景) 細胞間伝達は、多細胞生物の発達及び生存に必要不可欠である。細胞間伝達は
、シグナリング細胞によりタンパク質の分泌と、それらのタンパク質の標的細胞
によるインターナリゼーションを介して達成される。成長因子は、シグナリング
細胞と標的細胞との間の細胞間伝達を媒介する分泌タンパク質の一例である。シ
グナリング細胞の内部において、成長因子が合成され、分泌経路を通して輸送さ
れる。分泌経路への流入は、シグナルペプチド配列、殆どの分泌タンパク質のN
末端にあるタンパク質識別モチーフ(protein sorting motif)によって媒介さ れる。分泌経路内では、シグナル配列が、その同属の成長因子からタンパク分解
によって除去される。大抵の成長因子は、分泌経路内において更なる翻訳後修飾
も受ける。このような修飾としては、グリコシル化、リン酸化、及び分子内ジス
ルフィド結合形成等を挙げることができる。それらの分子の細胞外空間への分泌
後、いくつかの成長因子は、オリゴマー形成するか、又は細胞外基質の成分と結
合する。分泌された成長因子は、それらの標的細胞の表面上の特定の受容体に結
合し、その結合した受容体は、セカンドメッセンジャーシグナル伝達経路を開始
させる。これらのシグナル伝達経路は、標的細胞における特定の細胞応答を誘発
させる。これらの応答としては、遺伝子発現の調節、及び細胞分割、細胞分化、
及び細胞の運動の促進又は阻害等を挙げることができる。
【0003】 大抵の成長因子は、最初期の環境において細胞に作用する局所性メディエータ
である。そのような局所作用は、シグナリング細胞がその標的細胞にの物理的に
近接すること、細胞外の基質成分による成長因子の隔離、標的細胞のよる成長因
子のインターナリゼーション及び分解、及び成長因子の循環からの排除によって
維持される。
【0004】 成長因子は、広く、かつ重複した3つのクラスの何れかに区別される。第1の
最も広いクラスは、幅広い効果を有する大きいポリペプチドの成長因子を含む。
これらの因子としては、上皮細胞成長因子(EGF)、繊維芽細胞成長因子(F
GF)、トランスフォーミング成長因子β(TGF−β)、インスリン様成長因
子(IGF)、神経成長因子(NGF)、及び血小板由来成長因子(PDGF)
等が挙げられ、それぞれ多数の関連する因子のファミリーを形成している。一般
的に、大きいポリペプチドの成長因子は、様々な種類の細胞に対して分裂促進因
子として作用し、創傷治癒、骨の合成及び再構築、細胞外の基質の合成、及び上
皮組織、表皮組織、及び結合組織の増殖を促進する。TGF−β、EGF、及び
FGFファミリーの幾つかのメンバーは、胎仔の組織の分化における誘導性シグ
ナルとしても機能する。しかし、大きいポリペプチド成長因子の幾つかは、限定
された標的組織の組に対して特定の機能を果たす。例えば、マウス成長/分化因
子9(GDF−9)は、卵巣においてのみ発現されるTGF−βファミリーのメ
ンバーである(McPherron, A. C.及びLee, S. -J. (1993) J. Biol. Chem. 268:
3444-3449)。NGFは、特に神経栄養性因子として機能し、神経細胞の成長及 び分化を促進する。
【0005】 大きいポリペプチドの成長因子、及びそれらが開始させるシグナル伝達経路は
、多くの場合、線虫、ショウジョウバエ、酵母菌、及び哺乳動物にわたる真核生
物において保存されている。原核生物も、形態形成及び芽胞形成のような生活環
の移行に必要な「成長因子」を作り出す(Albertini, A. M.ら (1987) J. Bacte
riol. 169:1480-1484)。最近には、細菌の芽胞形成成長因子Bに類似した酵母 菌のタンパク質が特定された(Johnston, Mら (1994) Science 265:2077-2082)
【0006】 成長因子の第2のクラスとしては、標的特異性の範囲が限られた、造血性成長
因子等が挙げられる。これらの因子は、例えばBリンパ球、Tリンパ球、赤血球
、血小板、好酸球、好塩基球、好中球、マクロファージ、及びそれらの幹細胞前
駆体等のような血球の増殖及び分化を刺激する。これらの因子としては、コロニ
ー刺激因子(例えば、G−CSF、M−CSF、GM−CSF、及びCSF1−
3)、エリスロポイエチン、及びサイトカイン等が挙げられる。サイトカインは
、例えば組織の損傷やウイルス又は微生物の感染のような外的な傷害に応じて免
疫系の細胞が分泌する、特定化した造血因子である。サイトカインは、組織の修
復や、炎症、及び免疫応答の変調において機能を発揮する。サイトカインとして
は、インターロイキン、IL1〜IL13;インターフェロン、IFN−α、−
β、及び−γ;及び腫瘍壊死因子、TNF−α及び−βが挙げられる。
【0007】 成長因子の第3のクラスとしては、細胞増殖以外の高度に特定化したプロセス
の調節におけるホルモンとしての機能を主に果たす、小さいペプチド因子が挙げ
られる。これらの因子は、一般的に20個未満のアミノ酸からなる長さで、より
大きい前駆体タンパク質のタンパク分解によるプロセシングによって生成される
。それらの因子を幾つか挙げると、ボンベシン、バソプレッシン、オキシトシン
、エンドセリン、トランスフェリン、アンジオテンシンII、血管作用性小腸ペ
プチド、ブラジキニン、及び関連するペプチド等がある(Pimentel, E. (1994)
Handbook of Growth Factors, CRC Press, Ann Arbor, MI; Mckay, I. 及びLeig
h, I., eds. (1993) Growth Factors: A Practical Approach, Oxford Universi
ty Press, New York, NY; 及びHabenicht, A., ed.(1990) Growth Factors, Dif
ferentiation Factors, and Cytokines, Springer-Verlag, New York, NY)。
【0008】 成長・分化因子は、in vitroでの細胞の新生物性トランスフォーメーション及
びin vinoでの腫瘍の進行において重要な役割を果たす。大きいポリペプチドの 成長因子が過剰発現すると、培地における細胞の増殖及びトランスフォーメーシ
ョンが促進される。更に、腫瘍細胞と正常な細胞とでは、一定の成長因子の発現
に相違が認められる。例えば、ノーザン法による解析の結果から、肝細胞腫及び
他のトランスフォーメーションした細胞系及び正常な組織における様々なレベル
でのヒト・肝細胞腫由来成長因子のmRNAの発現の相違が分かった(Nakamura
, Hら(1994) J. Biol. Chem. 269:25143-25149)。in vinoでの腫瘍細胞による 大きいポリペプチドの成長因子の不適切な発現は、腫瘍の血管新生及び及び転移
の原因となり得る。更に、幾つかの大きいポリペプチドの成長因子は、腫瘍性タ
ンパク質との構造的及び機能的関連性を有すると共に、癌と相互関係を有する発
癌遺伝子の産物との構造的及び機能的関連性を有する。或る種のFGF及びPD
GFファミリーメンバーは、それ自体腫瘍性タンパク質と相同であり、EGF、
NGF、及びFGFファミリーの幾つかのメンバーの受容体は、プロトオンコジ
ーンによってコードされる。成長因子は、プロトオンコジーン及びオンコサプレ
ッサー遺伝子の転写の調節にも影響を与える(Primentel, 前出)。
【0009】 加えて、幾つかの大きいポリペプチドの成長因子は、胎仔の発達において必要
不可欠の役割を果たす。例えば、ショウジョウバエDrosophila melanogasterで は、ねじれ原腸形成(Twisted Gastrulation)(TSG)タンパク質は、ヒト・
結合組織成長因子に類似の分泌タンパク質、TGF−β活性によって誘導される
PDGF関連タンパク質である。TSGタンパク質は、ショウジョウバエの胎仔
における或る背部細胞予定運命の特定化に必要である。この特定化は、胎仔の背
腹軸の確立に寄与する。この背腹軸は、成体の全身の計画のための枠組みとなる
。TSGの活性が損なわれると、原腸形成の時に始まる発達の異常が表面化によ
って死に至る(Mason, E. D.ら(1994) Genes Dev. 8:1489-1501; 及びZusman, S
. B.及びWeischaus, E. F. (1985) Dev. Biol. 111:359-371)。
【0010】 新規なヒト成長因子ホモログ及びそれをコードするポリヌクレオチドの発見に
より、細胞の増殖及び発達の障害の診断、処置、及び予防に役立つ新規な組成物
が得られ、当分野における必要性が満たされることになる。
【0011】 (発明の概要) 本発明は、それぞれ「HGFH−1」、「HGFH−2」、「HGFH−3」
、及び「HGFH−4」と称し、集合的に「HGFH」と称する、実質的に精製
されたポリペプチド、ヒト成長因子ホモログを提供する。或る実施態様では、本
発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号
:1の断片、配列番号:3の断片、配列番号:5の断片、及び配列番号:7の断
片からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、実質的に精製されたポリペプ
チドを提供する。
【0012】 更に本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、又は配列番号:
7のアミノ酸配列、又はそれらの配列の何れかの断片と少なくとも90%のアミ
ノ酸配列同一性を有する、実質的に精製された変異体を提供する。また本発明は
、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:1の
断片、配列番号:3の断片、配列番号:5の断片、及び配列番号:7の断片から
なる群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、単離され
精製されたポリヌクレオチドを提供する。また本発明は、配列番号:1、配列番
号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:1の断片、配列番号:3の断
片、配列番号:5の断片、及び配列番号:7の断片からなる群から選択されたア
ミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、少なくとも9
0%のポリヌクレオチド配列同一性を有する、単離され精製されたポリヌクレオ
チド変異体を包含する。
【0013】 加えて、本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:
7、配列番号:1の断片、配列番号:3の断片、配列番号:5の断片、及び配列
番号:7の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコ
ードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件の下でハイブリダイズする
、単離された精製されたポリヌクレオチドを提供すると共に、配列番号:1、配
列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:1の断片、配列番号:3
の断片、配列番号:5の断片、及び配列番号:7の断片からなる群から選択され
たアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的な配
列を有する、単離された精製されたポリヌクレオチドを提供する。
【0014】 また本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、
配列番号:2の断片、配列番号:4の断片、配列番号:6の断片、及び配列番号
:8の断片からなる群から選択されたポリヌクレオチド配列を含む、単離され精
製されたポリヌクレオチドを提供する。更に本発明は、配列番号:2、配列番号
:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:2の断片、配列番号:4の断片
、配列番号:6の断片、及び配列番号:8の断片からなる群から選択されたポリ
ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌクレオチ
ド配列同一性を有する、単離され精製されたポリヌクレオチド変異体を提供する
と共に、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号
:2の断片、配列番号:4の断片、配列番号:6の断片、及び配列番号:8の断
片からなる群から選択されたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに相
補的な配列を有する、単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。また本
発明は、配列番号:2のヌクレオチド535番−570番、配列番号:4のヌク
レオチド124番−156番、配列番号:6のヌクレオチド30番−62番、及
び配列番号:8のヌクレオチド147番−182番からなる群から選択されたポ
リヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーションプローブとして用いられる、
若しくはオリゴヌクレオチドを設計するために役立つポリヌクレオチド断片を提
供する。
【0015】 更に本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、
配列番号:1の断片、配列番号:3の断片、配列番号:5の断片、及び配列番号
:7の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコード
するポリヌクレオチドの少なくとも断片を含む発現ベクターを提供する。別の実
施態様では、発現ベクターは、宿主細胞内に含められる。
【0016】 また本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、
配列番号:1の断片、配列番号:3の断片、配列番号:5の断片、又は配列番号
:7の断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドの製造方法であって、(a)前記
ポリペプチドの発現に適した条件の下で前記ポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドの少なくとも断片を含む発現ベクターを含む宿主細胞を培養する過程と
、(b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含む、ポ
リペプチドの製造方法を提供する。
【0017】 また本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、
配列番号:1の断片、配列番号:3の断片、配列番号:5の断片、又は配列番号
:7の断片のアミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを、適切な
医薬用担体と共に含む医薬品組成物を提供する。
【0018】 更に本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、
配列番号:1の断片、配列番号:3の断片、配列番号:5の断片、又は配列番号
:7の断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する、精製された抗体を包
含すると共に、前記ポリペプチドに対する精製されたアゴニスト及び精製された
アンタゴニストを包含する。また本発明は、細胞増殖の障害の処置又は予防方法
であって、そのような処置が必要な患者に、HGFHのアンタゴニストを有効な
量投与する過程を含む、細胞増殖の障害の処置又は予防方法を提供する。また本
発明は、発達障害の処置又は予防方法であって、そのような処置が必要な患者に
、実質的に精製されたHGFHを含む医薬品組成物を有効な量投与する過程を含
む、発達障害の処置又は予防方法を提供する。
【0019】 また本発明は、核酸を含む生物学的サンプルにおける配列番号:1、配列番号
:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:1の断片、配列番号:3の断片
、配列番号:5の断片、又は配列番号:7の断片のアミノ酸配列を含むポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドの検出方法であって、(a)配列番号:1、
配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:1の断片、配列番号:
3の断片、配列番号:5の断片、又は配列番号:7の断片を含むポリペプチドを
コードするポリヌクレオチド配列に相補的な分子と、前記生物学的サンプルの前
記核酸の少なくとも1種類とをハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複
合体を形成する過程と、(b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過
程であって、前記ハイブリダイゼーション複合体の存在が前記生物学的サンプル
におけるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在と相互関係を有する
、該過程とを有する、核酸を含む生物学的サンプルにおける配列番号:1、配列
番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:1の断片、配列番号:3の
断片、配列番号:5の断片、又は配列番号:7の断片のアミノ酸配列を含むポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドの検出方法を提供する。或る実施態様で
は、ハイブリダイゼーションを実施する過程の前に、前記生物学的サンプルの前
記核酸をポリメラーゼ連鎖反応法によって増幅する。
【0020】 (発明の実施の形態) 本発明のタンパク質、ヌクレオチド配列、及び方法について説明する前に、本
発明は、ここに開示した特定の方法論、プロトコル、細胞系、ベクター、及び試
薬に限定されず、それらは様々に変更可能であることを理解されたい。また、本
明細書において用いられる用語法は、特定の実施例のみを説明する目的で用いら
れたものであり、請求項の記載のみによって限定される本発明の範囲を限定する
ことを意図したものではないということも理解されたい。
【0021】 本明細書及び請求の範囲において、単数を表す「或る」及び「その(この)」
と形容されたものは、前後関係でそうでないことが明らかである場合以外は、複
数の意味も含んでいることに注意しなければならない。従って、例えば「或る宿
主細胞」なる表記が表すものには、複数のそのような宿主細胞が含まれ、「或る
抗体」なる表記は、1種または複数の種類の抗体及び当業者に周知のその等価物
等も表している。
【0022】 本明細書における全ての科学技術専門用語は、特別に定義されていない限り、
本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者に一般に理解されるのと
同じ意味を有する。ここに説明したものと類似のまたは等価な方法や材料を本発
明の実施や試験において用いることができるが、好適な方法、装置、及び材料を
本明細書において説明する。本明細書に記載された全ての文献は、本発明の関連
において用いられ得る文献で報告された細胞系、ベクター、及び方法論を説明し
開示する目的で引用されたものであり、引用により本明細書の一部とする。また
本明細書のあらゆる開示内容を、本発明におけるそのような開示内容が従来技術
に先行しないということを認めるものと解釈してはならない。
【0023】 (定義) 本明細書において、HGFHは、任意の種、具体的にはウシ、ヒツジ、ブタ、
マウス、ウマ、及び好ましくはヒト等のような哺乳動物に由来し、天然の、合成
の、半合成の、又は組換え体の何れかの起源から得られる実質的に精製されたH
GFHのアミノ酸配列である。
【0024】 本明細書において、用語「アゴニスト」は、HGFHに結合したときHGFH
の効果を強めたり、その効果の持続時間を長くさせる分子である。アゴニストに
は、HGFHに結合し、その効果を変調するタンパク質、核酸、糖質や、任意の
他の分子が含まれ得る。
【0025】 本明細書において「アレル」或いは「アレル配列」とは、HGFHをコードす
る遺伝子の対立形である。アレルは、核酸配列の少なくとも一箇所の変異によっ
て生じ、変異したmRNA或いはポリペプチドを生ずるが、その変異したmRN
A或いはポリペプチドの構造や機能が変わる場合もあれば変わらない場合もある
。所定の天然の遺伝子または組換え遺伝子には、アレル形が存在しないもの、1
つ存在するもの、或いは多数存在するものがある。一般にアレルを生じる変異は
ヌクレオチドの自然な欠失、付加並びに置換に因るものである。このタイプの変
異はそれぞれ単独で、或いは他の変異と同時に、所定の配列内で1回又は2回以
上生じ得る。
【0026】 本明細書において、HGFHをコードする「変異」核酸配列とは、異なるヌク
レオチド残基の置換、挿入や欠失を含み、結果的に同一の、または機能的に等価
なHGFHをコードするポリヌクレオチドとなるものである。この定義には、H
GFHをコードするポリヌクレオチド配列の通常の染色体上の遺伝子座以外の座
位を有する多型、アレルとの不適切なまたは予期しないハイブリダイゼーション
によって起こる多型、及びHGFHをコードするポリヌクレオチドの特定のオリ
ゴヌクレオチドプローブを用いて容易に検出可能な、或いは検出が困難な多型が
含まれている。コードされたタンパク質も同様に「変異」したものであり得、サ
イレント変異を生じて結果的に機能的に等価なHGFHとなるアミノ酸残基の欠
失、挿入並びに置換を含むものであり得る。意図的なアミノ酸の置換は、HGF
Hの生物学的活性が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水
性並びにまた両親媒性についての類似性に基づいて生じさせることができる。例
えば負に荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ、正に
荷電したアミノ酸にはリジン及びアルギニンが含まれ、近い親水性値を有する荷
電していない極性頭基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、及びバ
リン;グリシン及びアラニン;アスパラギン及びグルタミン;セリン及びスレオ
ニン;及びフェニルアラニン及びチロシンが含まれる。
【0027】 本明細書において「アミノ酸」又は「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペ
プチド、ポリペプチド、又はタンパク質の配列、又はそれらの何れかの断片であ
り、自然発生の分子又は合成した分子である。この文脈で、「断片」、「免疫原
性断片」又は「抗原性断片」は、HGFHの断片で、好ましくは約5個〜約15
個のアミノ酸からなる長さを有し、かつHGFHの生物学的活性又は免疫学的活
性を保持しているものである。ここで、「アミノ酸配列」が自然発生タンパク質
分子のアミノ酸配列を指している場合に、「アミノ酸配列」や類似の用語は、そ
のアミノ酸配列を本明細書に記載のタンパク質分子に関連する完全で元のままの
アミノ酸配列に限定する意味で用いられているわけではない。
【0028】 本明細書において「増幅」は、核酸配列の更なるコピーを生成することであり
、通常は当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)を用いて行われる
(例えばDieffenbach, C.W.及びG.S. Dveksler (1995) PCR Primer. a Laborato ry Manual , Cold Spring Harbor Press, Plainview, NY, pp.1-5参照)。
【0029】 本明細書において、用語「アンタゴニスト(拮抗物質)」は、HGFHに結合
したとき、HGFHの生物学的又は免疫学的効果の大きさを低下させたり、効果
の継続時間を短縮させる分子である。アンタゴニストとしては、HGFHの効果
を低下させるタンパク質、核酸、糖質、抗体、または他の分子等が挙げられる。
【0030】 本明細書において、用語「抗体」は、完全な抗体分子を意味するとともに、例
えばFa、F(ab')2、及びFv断片のような抗原決定基と結合し得るその断
片を意味する。HGFHポリペプチドに結合する抗体は、免疫化の抗原として完
全なポリペプチド又は目的の小ペプチドを含むその断片を用いることによって作
り出すことができる。動物(例えばマウス、ラット、またはウサギ)を免疫化す
るのに用いられるポリペプチドまたはペプチドは、RNAの翻訳に由来するもの
、又は化学的に合成されたものであり得、必要ならば担体タンパク質と結合させ
ることができる。ペプチドに化学的に結合する担体として通常用いられるものと
しては、ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、及びキーホールリンペットヘ
モシアニン(KLH)等が挙げられる。この結合したペプチドを用いて動物を免
疫化する。
【0031】 本明細書において、用語「抗原決定基」は、特定の抗体と結びつく分子の断片
(即ちエピトープ)である。タンパク質又はその断片を用いてホストの動物を免
疫化すると、このタンパク質の様々な領域が、抗原決定基(該タンパク質上の所
定の領域または三次元構造)に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る。抗原
決定基は、抗体への結合について元の抗原(即ち免疫応答を誘導するに用いられ
る免疫原)と競合し得る。
【0032】 本明細書において、用語「アンチセンス」は、特定のDNAまたはRNA配列
に相補的な核酸配列を含む組成物である。用語「アンチセンス鎖」は、「センス
」鎖に相補的な核酸鎖の意味で用いられる。アンチセンス分子は、合成や転写を
含む任意の方法で作り出すことができる。この相補的ヌクレオチドは、一旦細胞
内に導入されると、細胞によって作られた自然の配列と結合して二重鎖を形成し
、これによって更なる転写や翻訳が阻害される。「マイナス(−)」なる表現が
アンチセンス鎖の意味で用いられ、「プラス(+)」はセンス鎖の意味で用いら
れることがある。
【0033】 本明細書において、用語「生物学的に活性」は、自然発生の分子の構造上の機
能、調節の機能、又は生化学的な機能を有するタンパク質である。同様に「免疫
学的に活性」は、天然の、組換え体の、又は合成のHGFH、若しくはそのオリ
ゴペプチドの、適当な動物や細胞における特定の免疫応答を誘発し、特定の抗体
に結合する能力である。
【0034】 本明細書において、用語「相補的」または「相補性」は、許容的な塩濃度及び
温度条件の下で、塩基対を形成してポリヌクレオチド同士が自然に結合すること
である。例えば、配列「A−G−T」は相補的な配列「T−C−A」に結合する
。2本の一本鎖分子間の相補性は、幾つかの核酸のみが結合する「部分的」なも
のであるか、若しくは、一本鎖分子間に完全な相補性が存在する場合は完全に相
補的なものであり得る。核酸鎖同士の相補性の程度は、核酸鎖同士のハイブリダ
イゼーションの効率及び強さに有意な影響を与える。このことは、核酸鎖同士の
結合によって左右される増幅反応や、ペプチド核酸(PNA)分子の設計及び使
用において特に重要である。
【0035】 本明細書において「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」又は「所定の
アミノ酸配列を含む組成物」とは、所定のポリヌクレオチド又はアミノ酸配列を
含むあらゆる物質をさす。この組成物は、粉末製剤、水溶液、又は滅菌組成物の
形態であり得る。HGFH又はHGFHの断片をコードするポリヌクレオチド配
列を含む組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして利用することができ
る。このプローブは凍結乾燥した状態で保存することができ、糖質のような安定
化剤と結合させることができる。ハイブリダイゼーションにおいて、このプロー
ブを、塩(例えばNaCl)、界面活性剤(例えばSDS)及び他の物質(例え
ばデンハート液、粉乳、サケ精子DNA等)を含む水溶液に分散させておくこと
ができる。
【0036】 本明細書において「コンセンサス配列」は、配列決定し直して不要な塩基を分
離し、XL-PCRTM(Perkin Elmer, Norwalk, CT)を用いて5′方向及び/または 3′方向に延長した上で再度配列決定し直した核酸配列か、または、例えばGELV
IEWTM Fragment Assembly system(GCG, Madison WI)のような断片を組み合わ せるためのコンピュータプログラムを用いて2種以上のインサイト社クローンの
重複した配列を組み合わせて導き出した核酸配列である。延長と組み合わせの両
方によってコンセンサス配列が作られることもある。
【0037】 本明細書において、「ポリヌクレオチドの発現と相互関係を有する」なる表現
は、ノーザン法による解析でHGFHをコードする核酸と同一又は近縁関係にあ
る核酸の存在が検出されることが、サンプル内のHGFHをコードするmRNA
の存在を表し、従ってHGFHをコードする遺伝子からの転写物の発現と相互関
係を有している、ということを表している。
【0038】 本明細書において「欠失」は、1個または2個以上のヌクレオチド若しくはア
ミノ酸残基が欠けるような、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における変化
である。
【0039】 本明細書において、用語「誘導体」は、HGFHをコードするポリヌクレオチ
ド配列又はそれに相補的なポリヌクレオチド配列を化学的に修飾したものである
。このようなポリヌクレオチド配列の化学的修飾としては、例えば、水素からア
ルキル基、アシル基、又はアミノ基への置換がある。誘導体ポリヌクレオチドは
、元の分子の生物学的又は免疫学的機能の少なくとも1つを保持しているポリペ
プチドをコードする。誘導体ポリペプチドは、元のポリペプチドの生物学的又は
免疫学的機能の少なくとも1種類を保持しており、グリコシル化、ポリエチレン
グリコール化(PEGylation)、又は他の何らかのプロセスで修飾されたものであ
る。
【0040】 本明細書において、用語「相同性」は、或る程度の相補性を意味する。用語「
(配列)同一性」は、用語「相同性」と置換えることができる。同一の配列が標
的の核酸とハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害する部分的に相補的
な配列を、「実質的に相同」という。完全に相補的な配列と標的配列とのハイブ
リダイゼーションの阻害は、ストリンジェンシー(厳密さ)を低くした条件の下
で、ハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロット法またはノーザンブロッ
ト法、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて調べることができる。実質的に
相同な配列またはプローブは、低いストリンジェンシー条件の下で、標的の配列
と完全に相同な配列またはプローブとの結合(即ちハイブリッド形成)について
競合し、それを阻害する。このことは、低いストリンジェンシー条件が、非特異
的な結合を許容するものであることを意味するわけではない。低いストリンジェ
ンシー条件では、2つの配列の相互の結合が特異的(即ち選択的)相互作用であ
ることが必要だからである。非特異的結合が存在しないことは、部分的な程度の
相補性(即ち約30%未満の相同性即ち同一性)も有していない第2の標的配列
を用いることにより調べることができる。非特異的結合が存在しない場合、プロ
ーブは第2の非相補的標的配列とハイブリダイズしない。
【0041】 「パーセント同一性」或いは「%同一性」という言いまわしは、2以上のアミ
ノ酸または核酸配列を比較した際の配列類似性のパーセンテージである。パーセ
ント同一性は、例えばMegAlignプログラム(DNASTAR, Inc., Madison WI)を用 いることによって電子的に求めることができる。このMegAlignTMプログラムは、
異なる方法、例えばクラスタ法(clustal method)(例えばHiggins, D.G.及びP
.M. Sharp (1988) Gene 73:237-244参照)に従って2以上の配列のアライメント
を作成することができる。このクラスタ法のアルゴリズムでは、配列群を、全て
の配列の対について両配列間の距離を調べることによってクラスタ(集団)にグ
ループ分けする。このクラスタ群について、一対毎にアライメントをとり、次に
グループにおいてアライメントをとる。2つのアミノ酸配列、例えば配列Aと配
列Bの間のパーセント類似性は、(配列Aの長さ−配列Aにおけるギャップ残基
の数−配列Bにおけるギャップ残基の数)/(配列Aと配列Bとの間の残基の一
致の総数)×100で計算する。2つのアミノ酸配列の間の類似性の差が低いか
無いケースは、パーセント類似性の計算に含められない。核酸配列間のパーセン
ト同一性も、他の周知の方法、例えばJotun Hein法(例えばHein J. (1990) Met
hods Enzymol. 183: 626-645参照)によってカウント即ち計算することができる
。配列間の同一性は、他の周知の方法、例えばハイブリダイゼーション条件を変
えることによっても決定することができる。
【0042】 「ヒト人工染色体」(HACs)は約10kb〜10mbのサイズのDNA配
列を含んでいるものであり得、安定した分裂染色体の分離及び維持に必要な全て
の要素を含む線状の小形染色体である(例えばHarrington, J.J.他 (1997) Nat
Genet. 15:345-355参照)。
【0043】 本明細書において、用語「ヒト化抗体」は、その元の結合能をそのまま保持し
つつ、ヒトの抗体により近づくように非抗原結合領域のアミノ酸配列を改変した
抗体分子である。
【0044】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション(ハイブリッド形成)」は
、核酸の鎖が塩基対の形成によって相補鎖と結合する過程である。
【0045】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的なG塩
基とC塩基の間及び相補的なA塩基とT塩基の間での水素結合の形成によって、
2つの核酸配列で形成された複合体である。ハイブリダイゼーション複合体は、
溶液中で形成されるか(例えばC0t又はR0t解析の場合)、或いは核酸は溶液
中に存在する一方の核酸と、固体支持体(例えば細胞やその核酸が固定される紙
、メンブラン、フィルター、ピン、またはスライドガラスまたは他の適切な基板
)に固定されたもう一方の核酸との間で形成され得る。
【0046】 本明細書において、用語「挿入」或いは「付加」は、自然発生の分子と比較し
て、1個または2個以上のヌクレオチド、アミノ酸残基がそれぞれ加わるような
、ヌクレオチド配列或いはアミノ酸配列の変化を指す。
【0047】 「免疫応答」は、炎症、外傷、免疫疾患、又は感染症や遺伝病等と関連のある
状態を指すものであり得る。これらの状態は、細胞や全身の防御系を活性化する
様々な因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、及び他のシグナル伝達分子の産
生によって特性化され得る。
【0048】 本明細書において、用語「マイクロアレイ」は、個々のポリヌクレオチド又は
オリゴヌクレオチドを基板上に高密度で配列したものである。基板としては、例
えば紙、ナイロン又は他の種類のメンブラン、濾紙、チップ、スライドガラス、
又は他の任意の適切な固体支持体等がある。
【0049】 本明細書において、用語「変調」は、HGFHの活性の変化である。例えば、
変調によって、タンパク質の活性の増加や減少、結合特性の変化、又は他のHG
FHの生物学的、機能的、免疫学的特性の変化がもたらされる。
【0050】 本明細書において「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、又は
ポリヌクレオチド、及びその断片、一本鎖か二本鎖であり、またセンス鎖又はア
ンチセンス鎖である、ゲノム起源の若しくは合成したDNA又はRNA、ペプチ
ド核酸(PNA)、又は、DNA様又はRNA様物質である。この文脈において
、「断片(フラグメント)」は、長さが60ヌクレオチド以上の核酸配列であり
、最も好ましくは、長さが100ヌクレオチド以上又は1000ヌクレオチド以
上、及び10000ヌクレオチド以上の断片である。
【0051】 本明細書において、用語「機能的に関連する」又は「機能的に結びついた」は
、機能的に関連する核酸配列を表す。プロモーターは、そのプロモーターが、コ
ードされるポリペプチドの転写を調節している場合、コード配列の機能的に関連
又は機能的に結びついている。機能的に関連した、又は機能的に結びついた核酸
配列は近接し読み枠にあり得るが、ある種のゲノムの配列、例えばリプレッサー
遺伝子は、コードされるポリペプチドに近接していないが、やはりそのポリペプ
チドの発現を調節するオペレーター配列に結合する。
【0052】 本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」は、PCR増幅又はハイブリ
ダイゼーションアッセイ、若しくはマイクロアレイで用いることができる核酸配
列であって、長さが約6ヌクレオチド以上、最大60ヌクレオチド程度、好適に
は15〜30ヌクレオチド、より好適には20〜25ヌクレオチドであるものを
指す。本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」は、当分野において一般
に定義されているような用語「アンブリマー」、「プライマー」、「オリゴマー
」、及び「プローブ」と実質的に同義である。
【0053】 本明細書において「ペプチド核酸」(PNA)は、末端がリジンであるアミノ
酸残基のペプチドバックボーンに結合した5ヌクレオチド以上の長さのオリゴヌ
クレオチドを含むアンチセンス分子即ち抗遺伝子剤を意味する。末端のリジンが
この物質に溶解性を与えている。PNAは、相補的な一本鎖DNAやRNAに優
先的に結合して転写物の伸長を止め、かつPNAをポリエチレングリコール化す
ることにより、細胞でのその寿命を延ばすことができる(例えばNielsen, P.E. 他(1993) Anticancer Drug Des. 8:53-63参照)。
【0054】 本明細書において、用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられている
。HGFHをコードする核酸またはその断片またはHGFH自体を含む疑いのあ
る生物学的サンプルには、体液や、細胞から単離された染色体、細胞小器官、又
は細胞膜からの抽出物や、細胞や、(溶液中の、または固体支持体に結合した)
ゲノムのDNA、RNA、またはcDNAや、組織や、組織プリント(tissue p
rint)その他が含まれる。
【0055】 本明細書において、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、タン
パク質又はペプチドと、アゴニスト、抗体、及びアンタゴニストとの相互作用で
ある。この相互作用は、結合する分子によって認識されるタンパク質上の特定の
構造(即ち抗原決定基、即ちエピトープ)の存在に左右される。例えば、抗体が
エピトープ「A」に対して特異的である場合、標識した「A」及びその抗体を含
む反応において、エピトープA(つまり結合していない、非標識のA)を含むタ
ンパク質が存在すると、抗体が結合した標識したAの量が低下する。
【0056】 本明細書において、用語「ストリンジェントな(厳密な)条件」は、ポリヌク
レオチド配列と、特許請求の範囲に記載されたポリヌクレオチド配列との間のハ
イブリダイゼーションを許容する条件を指す。適切なレベルのストリンジェント
な条件は、例えば、プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション領
域における塩又はホルムアミドの濃度、又はハイブリダイゼーション温度によっ
て決定することができ、当分野でよく知られている。詳述すると、ストリンジェ
ンシー(厳密さ)は、塩の濃度を低下させること、ホルムアミドの濃度を上昇さ
せること、又はハイブリダイゼーション温度を高めることによって高めることが
できる。
【0057】 例えば、高いレベルのストリンジェントな条件の下でのハイブリダイゼーショ
ンは、約37℃〜42℃における約50%のホルムアミド濃度で生じ得る。低い
レベルのストリンジェントな条件の下でのハイブリダイゼーションは、約30℃
〜35℃の温度での約35%〜25%のホルムアミド濃度で生じ得る。詳述する
と、高いストリンジェンシーの条件の下でのハイブリダイゼーションは、50%
のホルムアミド濃度、5X SSPE、0.3%SDS、及び200μg/ml
の同じ長さに切り揃え変性させたサケ精子DNAを用いて42℃で生じ得る。低
いストリンジェンシーの条件の下でのハイブリダイゼーションは、上述の条件で
、温度を35℃に下げ、ホルムアミド濃度を35%にした時に生じ得る。特定の
レベルのストリンジェンシーに対応する温度範囲は、目的の核酸のプリン対ピリ
ミジン比を計算し、それに従って温度を調節することによって更に狭めることが
できる。上述の温度範囲及び条件の変更については当分野で周知である。
【0058】 本明細書において、用語「実質的に精製」は、天然の環境から取り除かれ、単
離または分離されて、自然にはそれが結合して存在する他の構成要素が60%以
上、好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上除去された核酸配列又は
アミノ酸配列である。
【0059】 本明細書において「置換」は、1個または2個以上のヌクレオチド或いはアミ
ノ酸を、それぞれ異なるヌクレオチド或いはアミノ酸に置き換えることである。
【0060】 本明細書の定義では、「形質転換」は、外来DNAが入ってレシピエント細胞
を変化させるプロセスを意味する。このプロセスは、よく知られた様々な方法を
用いて、自然または人工の条件の下で生じ得る。形質転換は、外来核酸配列を原
核生物または真核生物の宿主細胞に挿入するための既知の方法によって行うこと
ができる。この方法は形質転換される宿主細胞の型に基づいて選択され、以下に
限定するものではないが、ウイルスを感染させる方法、電気穿孔法(エレクトロ
ポレーション)、熱ショック、リポフェクション、及び微粒子銃を用いる方法等
があり得る。用語「形質転換された」細胞は、そのなかで挿入されたDNAが、
自律的に複製するプラスミドか、または宿主の染色体の一部として複製できる、
安定的に形質転換された細胞等である。またこのような細胞には、限られた時間
での挿入されたDNAやRNAの一過性の発現が起こる細胞もある。
【0061】 本明細書においてHGFHの「変異体」は、1又は2箇所以上のアミノ酸が変
化したアミノ酸配列である。この変異体は「保存的」変化を含むものであり得、
この保存的変化の場合は、例えばロイシンをイソロイシンで置き換える場合のよ
うに置換されるアミノ酸が類似な構造的及び化学的特性を有する。稀に、変異体
が「非保存的」に変化する場合もあり、この非保存的変化の場合は、例えばグリ
シンがトリプトファンで置換される。類似した小さな変化として、アミノ酸の欠
失か挿入、若しくはその両方が含まれる。生物学的或いは免疫学的活性を損なわ
ずに置換、挿入、又は欠失させることができるアミノ酸は何れかということは、
例えばDNASTARソフトウエアのような周知のコンピュータプログラムを用いて決 定することができる。
【0062】 (発明) 本発明は、新規なヒト・成長因子ホモログ(HGFH)、HGFHをコードす
るポリヌクレオチド、及び細胞増殖及び発達の障害に診断、処置、又は予防のた
めのそれらの組成物の使用法の発見に基づくものである。
【0063】 本発明のHGFH−1をコードする核酸は、脳腫瘍cDNAライブラリー(BR
AITUT03)を起源とするインサイト社クローンNo. 862403において、アミノ酸配 列アライメントのコンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配
列の配列番号:2は、以下の重複した及び/又は延長された核酸配列、即ちイン
サイト社クローンNo. 862403及び560725(BRAITUT03が起源)及びショットガン 配列SAAB00148、SAAC00081、SAAB00364、SAAB00198、及びSZZZ00645から導き出 されたものである。
【0064】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:1のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを包含する。HGFH−1は446個のアミノ酸からなる長さを有し、N(1
06番)、N(228番)、N(247番)、N(260番)、及びN(330
番)に5個のNグリコシル化可能部位を有し、S(280番)に1個のcAMP
−及びcGMP依存性プロテインキナーゼリン酸化可能部位を有し、S(28番
)、T(148番)、及びS(193番)に3個のカゼインキナーゼIIリン酸化
可能部位を有し、S(76番)、S(105番)、T(113番)、S(178
番)、S(218番)、及びT(444番)に6個のプロテインキナーゼCリン
酸化可能部位を有し、M(1番)乃至P(20番)にシグナルペプチド可能部位
を有し、かつI(363番)乃至C(446番)にTGF−βファミリーシグネ
チャを有する。HGFH−1のC(345番)乃至R(446番)の領域も、T
GF−βタンパク質ドメインに対する類似性を示す。図1A、図1B、及び図1
Cに示すように、HGFH−1は、TGF−βタンパク質ドメインのメンバーで
あるマウス成長/分化因子9(GDF9)(GI 567206;配列番号:9)との化 学的及び構造的相同性を有する。詳述すると、HGFH−1とマウスGDF−9
とは全体で66%の配列同一性を有し、HGFH−1のA(327番)乃至R(
446番)に相当するそれらのC末端領域では95%の配列同一性を有する。こ
の領域では、GDF−9における分子内ジスルフィド結合のために重要なシステ
インは、HGFH−1のC(345番)、C(374番)、C(378番)、C
(411番)、C(443番)、及びC(445番)において保存される。GD
F−9のS(405番)は、その位置にシステインを有する他のTGF−β様タ
ンパク質からGDF−9を区別するものであり、HGFH−1においてS(41
0番)に保存されている。加えて、HGFH−1のN(228番)、N(260
番)、及びN(330番)におけるNグリコシル化可能部位、S(28番)、S
(76番)、T(113番)、T(148番)、S(178番)、及びT(44
4番)におけるリン酸化可能部位、及びシグナルペプチドの可能性のある配列が
、GDF−9において保存されている。概ねヌクレオチド535番乃至ヌクレオ
チド570番にわたる配列番号:2の断片は、オリゴヌクレオチドの設計や、或
いはハイブリダイゼーションプローブとして直接用いるために役立つ。ノーザン
法による解析の結果から、腫瘍性脳組織に由来するcDNAライブラリーにおけ
るこの配列の発現がわかる。
【0065】 本発明のHGFH−2をコードする核酸は、腎臓cDNAライブラリー(KIDN
NOT19)を起源とするインサイト社クローンNo. 2676869において、アミノ酸配列
アライメントのコンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列
の配列番号:4は、以下の重複する及び/又は延長された核酸配列、即ちインサ
イト社クローンNo. 2676869(KIDNNOT19が起源)、488482(HNT2AGT01が起源) 、2571655(HIPOAZT01が起源)、2150727(BRAINOT09が起源)、899636(BRASTT
UT03が起源)、2311937(NGANNOT01が起源)、2613941(THYRNOT09が起源)、77
6810(COLNNOT05が起源)、968484(BRSTNOT05が起源)、1292885(PGANNOT03が
起源)、及び2288692(BRAINON01が起源)から導き出されたものである。
【0066】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:3のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを包含する。HGFH−2は230個のアミノ酸からなる長さを有し、N(1
76番)、N(187番)、及びN(191番)に3個のNグリコシル化可能部
位を有し、S(149番)及びS(156番)に2個のcAMP−及びcGMP
依存性プロテインキナーゼリン酸化可能部位を有し、S(106番)、S(10
8番)、T(110番)、S(121番)、S(122番)、S(162番)、
S(178番)、及びT(192番)に8個のカゼインキナーゼIIリン酸化可能
部位を有し、かつ、S(75番)、S(144番)、T(151番)、S(15
2番)、S(155番)、及びS(159番)に6個のプロテインキナーゼCリ
ン酸化可能部位を有する。図2A及び図2Bに示すように、HGFH−2は、ヒ
ト・肝細胞腫由来成長因子(HDGF)(GI 598956;配列番号:10)との化 学的及び構造的相同性を有する。詳述すると、HGFH−2とHDGFとは49
%の配列同一性を有する。加えて、HGFH−2のS(106番)、S(122
番)、S(152番)、及びS(178番)におけるリン酸化可能部位は、HD
GFにおいて保存されている。概ねヌクレオチド124番乃至ヌクレオチド15
6番にわたる配列番号:4の断片は、オリゴヌクレオチドを設計するため、又は
ハイブリダイゼーションプローブとして直接用いるために役立つ。ノーザン法に
よる解析の結果から、様々なライブラリーにおけるこの配列の発現がわかる。そ
のようなライブラリーの少なくとも44%は、不死化又は癌性組織関連のもので
ある。特に注目すべきは、神経組織におけるHGFH−2の発現である。
【0067】 本発明のHGFH−3をコードする核酸は、子宮cDNAライブラリー(UTRS
NOT05)を起源とするインサイト社クローンNo. 1568019において、アミノ酸配列
アライメントのコンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列
の配列番号:6は、以下の重複する及び/又は延長された核酸配列、即ちインサ
イト社クローンNo. 1568019(UTRSNOT05が起源)、2504437(CONUTUT01が起源)
、136194(SYNORAB01が起源)、1849286(LUNGFET03が起源)、及びショットガ ン配列SAEA0289、SAEA0437、及びSAFC02217から導き出されたものである。
【0068】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:5のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを包含する。HGFH−3は706個のアミノ酸からなる長さを有し、N(1
98番)、N(251番)、N(422番)、及びN(677番)に4個のNグ
リコシル化可能部位を有し、T(6番)にcAMP−及びcGMP−依存性プロ
テインキナーゼリン酸化可能部位を有し、T(151番)、T(211番)、S
(262番)、S(308番)、S(327番)、S(382番)、T(401
番)、S(423番)、S(474番)、T(527番)、S(532番)、S
(543番)、S(584番)、T(586番)、T(594番)、及びS(6
63番)に16個のカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位を有し、T(220番
)、S(280番)、S(286番)、T(462番)、S(474番)、及び
T(628番)に6個のプロテインキナーゼCリン酸化可能部位を有する。図3
A、図3B、図3C、及び図3Dに示すように、HGFH−3は、原核生物の芽
胞形成増殖因子Bに類似したオープンリーディングフレームである酵母菌Yhr
074wp(GI 500832;配列番号:11)と化学的及び構造的相同性を有する 。詳述すると、HGFH−3とYhr074wpとは57%の配列同一性を有す
る。加えて、HGFH−3のN(198番)、N(251番)、及びN(422
番)のNグリコシル化可能部位、及びT(220番)、S(262番)、S(2
80番)、S(327番)、S(423番)、T(462番)、S(474番)
、T(527番)、S(532番)、S(543番)、T(594番)、T(6
28番)、及びS(663番)のリン酸化可能部位は、Yhr074wpで保存
されている。概ねヌクレオチド30番乃至ヌクレオチド62番にわたる配列番号
:6の断片は、オリゴヌクレオチドを設計するため、又はハイブリダイゼーショ
ンプローブとして直接用いるのに役立つ。ノーザン法による解析の結果から、様
々なcDNAライブラリーにおけるこの配列の発現が分かる。そのようなライブ
ラリーの少なくとも39%は、癌性又は不死化組織関連のものであり、少なくと
も31%は、免疫応答関連のものである。特に注目すべきは、生殖器及び胃腸管
組織におけるHGFH−3の発現である。
【0069】 本発明のHGFH−4をコードする核酸は、気管支組織cDNAライブラリー
(BRONNOT01)を起源とするインサイト社クローンNo. 3577857において、アミノ
酸配列アライメントのコンピュータ検索によって初めに特定された。コンセンサ
ス配列の配列番号:8は、以下の重複する及び/又は延長された核酸配列、即ち
、インサイト社クローンNo. 3577857(BRONNOT01が起源)、2799484(NPOLNOT01
が起源)、1685583(PROSNOT15が起源)、1210438(BRSTNOT02が起源)、360107
4(DRGTNOT01が起源)、3279304(STOMFET02が起源)、及びショットガン配列SA
FC00098、SAYA00353、及びSAFC00552から導き出されたものである。
【0070】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:7のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを包含する。HGFH−4は223個のアミノ酸からなる長さを有し、N(5
2番)、N(81番)、及びN(147番)に3個のNグリコシル化可能部位を
有し、S(91番)、T(92番)、T(108番)、S(128番)、S(1
35番)、及びS(161番)に6個のカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位を
有し、T(88番)、S(161番)、及びT(215番)に3個のプロテイン
キナーゼCリン酸化可能部位を有し、かつM(1番)乃至S(25番)にわたる
シグナルペプチドの可能性のある配列を有する。図4A及び図4Bに示すように
、HGFH−4は、ショウジョウバエのねじれ原腸形成タンパク質(Twisted Ga
strulation)(TSG)(GI 529900;配列番号:12)と化学的及び構造的相 同性を有する。詳述すると、HGFH−4とTSGとは、29%のアミノ酸配列
同一性を有する。加えて、HGFH−4における24個のシステイン残基の全て
は、TSGにおいて保存されている。TSGのシグナルペプチドの可能性のある
配列、酸性の等電点、及び高いシステイン含量(〜10%)は、HGFH−4に
おいて保存されている。HGFH−4のT(88番)及びT(108番)のリン
酸化可能部位はTSGにおいて保存されている。概ねヌクレオチド147番乃至
ヌクレオチド182にわたる配列番号:8の断片は、オリゴヌクレオチドを設計
するため、若しくはハイブリダイゼーションプローブとして直接用いるために役
立つ。ノーザン法による解析の結果から、様々なライブラリーにおけるHGFH
−4の発現が分かる。そのようなライブラリーの少なくとも45%は、癌性又は
不死化組織関連のものであり、少なくとも24%は免疫応答関連のものである。
特に注目すべきは、生殖器及び神経組織におけるHGFH−4の発現である。
【0071】 また本発明は、HGFHの変異体を包含する。好ましいHGFH変異体は、H
GFHの機能的又は構造的特徴の少なくとも1種類を有し、HGFHアミノ酸配
列との、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好まし
くは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有するものである。
【0072】 また本発明は、HGFHをコードするポリヌクレオチドを包含する。特定の実
施態様では、本発明は、HGFH−1をコードする、配列番号:2の配列を含む
ポリヌクレオチド配列を包含する。別の実施態様では、本発明は、HGFH−2
をコードする、配列番号:4の配列を含むポリヌクレオチド配列を包含する。更
に別の実施態様では、本発明は、HGFH−3をコードする、配列番号:6の配
列を含むポリヌクレオチド配列を包含する。更に別の実施態様では、本発明は、
HGFH−4をコードする、配列番号:8の配列を含むポリヌクレオチド配列を
包含する。
【0073】 また本発明は、HGFHをコードするポリヌクレオチド配列の変異体を包含す
る。詳述すると、そのような変異体ポリヌクレオチド配列は、HGFHをコード
するポリヌクレオチド配列との、少なくとも約80%、より好ましくは少なくと
も約90%、最も好ましくは少なくとも約95%のポリヌクレオチド配列同一性
を有する。本発明の特定の実施態様は、配列番号:2との、少なくとも約80%
、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%のポ
リヌクレオチド配列同一性を有する配列番号:2の変異体を包含する。更に本発
明は、配列番号:4との、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約9
0%、最も好ましくは少なくとも約95%のポリヌクレオチド配列同一性を有す
る配列番号:4の変異体を包含する。更に本発明は、配列番号:6との、少なく
とも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも
約95%のポリヌクレオチド配列同一性を有する配列番号:6の変異体を包含す
る。更に本発明は、配列番号:8との、少なくとも約80%、より好ましくは少
なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%のポリヌクレオチド配列
同一性を有する配列番号:8の変異体を包含する。上述のポリヌクレオチド変異
体の何れか1つは、HGFHの機能的又は構造的特徴の少なくとも1種類を有す
るアミノ酸配列をコードし得る。
【0074】 当業者には理解されるように、遺伝暗号の縮重の結果、任意の既知の自然発生
遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の相同性しか有していないものも含めて、多
種のHGFHをコードするヌクレオチド配列が作り出され得る。従って本発明は
、可能なコドン選択に基づく組み合わせを選択することによって作り出されるあ
らゆる可能な核酸配列の変異をその範囲に含んでいる。それらの組み合わせは、
自然発生のHGFHのヌクレオチド配列に適用されるような標準的なトリプレッ
ト遺伝暗号に基づいて作り出されるものであり、このような変異は全てここに具
体的に開示されたものと考えられたい。
【0075】 HGFHをコードするヌクレオチド配列及びその変異体は、適切に選択された
ストリンジェンシーの条件の下で自然発生配列のヌクレオチド配列とハイブリダ
イズ可能であるのが好ましいが、実質的に異なるコドンを有しているHGFH又
はその誘導体をコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る。
コドンの選択においては、特定のコドンが宿主によって使用される頻度に従って
、特定の原核細胞又は真核細胞の発現宿主におけるペプチド発現の発生率を高め
るように選択することができる。HGFH及びその誘導体をコードするヌクレオ
チド配列を、コードされるアミノ酸配列が変わらないように実質的に改変する他
の理由として、例えば自然発生配列から作られる転写物より長い半減期のような
、より望ましい特性を有するRNA転写物を作り出すことが挙げられる。
【0076】 本発明の範囲には、HGFH又はその誘導体をコードするDNA配列又はその
断片の、完全な合成ケミストリによる作製も含まれる。作製した後、この合成遺
伝子を、周知の試薬を用いて入手可能な様々な発現ベクター及び細胞系に挿入す
ることができる。更に、合成ケミストリを用いてHGFHをコードする配列又は
その任意の断片に突然変異を導入することができる。
【0077】 また本発明の範囲に含まれるものとして、様々なストリンジェンシーの条件の
下で特許請求の範囲に記載のポリヌクレオチド配列、特に配列番号:2、配列番
号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:2の断片、配列番号:4の断
片、配列番号:6の断片、又は配列番号:8の断片のヌクレオチド配列とハイブ
リダイズし得るポリヌクレオチド配列がある(例えばWahl, G.M. 及びS.L.Berge
r (1987) Methods Enzymol. 152:399-407; 及びKimmel, A.R. (1987) Methods i
n Enzymol. 152:507-511参照)。
【0078】 DNAシークエンシングの方法は、周知で当業者が通常利用可能であり、本発
明の実施例の何れかの実施のために用いることができる。この方法では、例えば
DNAポリメラーゼIのKlenowフラグメントであるSequenase(US Biochemical
Corp. Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer)、熱安定性T7ポリメ ラーゼ(Amersham, Chicago IL)、或いはGibco BRL(Gaithersburg MD)から発
売されているELONGASE Amplification Systemに見られるもののような校正エキ ソヌクレアーゼと組換え体ポリメラーゼとの組み合わせたもののような酵素を用
いることができる。このプロセスは、Hamilton Micro Lab2200(Hamilton, Reno
, NV)、Peltier Thermal Cycler(PTC200;MJ Reserch, Watertown MA)並びに
ABI Catalyst及びABI377及び377 DNAシーケンサ(Perkin Elmer)のような装置 を用いて自動化するのが好ましい。
【0079】 HGFHをコードする核酸配列を、部分的なヌクレオチド配列を利用して、周
知の様々な方法を用いて伸長させ、プロモーター及び調節エレメントのような上
流の配列を検出することができる。例えば、使用可能な方法の一つである制限部
位PCR法では、汎用プライマーを用いて既知の位置に隣接する未知の配列を得
る(例えばSarkar, G. (1993) PCR Methods Applic 2:318-322参照)。詳述する
と、まずゲノムDNAを、既知の領域に特異的なプライマー及びリンカー配列に
対するプライマーの存在の下で増幅する。増幅された配列を、同じリンカープラ
イマーと最初のプライマーの内に含まれる別の特異的プライマーを用いてPCR
の2回目を実施する。各回のPCRの産物を、適切なRNAポリメラーゼを用い
て転写させ、逆転写酵素を用いて配列決定する。
【0080】 既知の領域に基づく多様なプライマーを利用した配列の増幅、または延長のた
めに、逆PCR法を用いることもできる(例えばTriglia, T.他(1988)Nucleic
Acids Res 16:8186参照)。プライマーは、OLIGO 4.06 Primer Analysis softw
are(National Biosciences Inc., Plymouth MN)のような市販のソフトウェア や他の適切なプログラムを用いて、長さが22〜30ヌクレオチド、GC含量が
50%以上、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニールするように設計す
る。この方法では数種の制限酵素を用いて遺伝子の既知の領域の適当な断片を作
り出す。次にこの断片を分子内ライゲーションにより環状にし、PCR用の鋳型
として使用する。
【0081】 使用できる別の方法にキャプチャPCR法があり、この方法ではヒト及び酵母
菌人工染色体DNA内の既知の配列に隣接するDNA断片をPCRによって増幅
する(例えばLagerstrom, M.他(1991)PCR Methods Applic 1:111-119参照)。
この方法では、PCRを行う前に、複数の制限酵素による消化及び連結によって
そのDNA分子の未知の断片のなかに、組換え二本鎖配列を組み入れておくこと
もできる。未知の配列を得るために別の方法を用いることができる(例えばPark
er, J.D.他 (1991) Nucleic Acids Res 19:3055-3060参照)。更に、PCR、入
れ子プライマー、PromoterFinderTMライブラリーを用いて、ゲノムDNA内歩行
を行うことができる(Clontech, Palo Alto CA)。このプロセスは、ライブラリ
ーをスクリーニングする必要がなく、イントロン/エクソン接合部を探し出すの
に有用である。
【0082】 完全長cDNAをスクリーニングするときには、より大きなcDNAを含むよ
うにサイズ選択されたライブラリーを用いるのが好ましい。またランダムプライ
ミングした(random primed)ライブラリーは、遺伝子の5′領域を含む配列を より多く含むという点で好適である。ランダムプライミングしたライブラリーを
用いることは、オリゴd(T)ライブラリーでは完全長cDNAが得られない場
合に特に好ましい。またゲノムライブラリーは、転写されない5′調節領域まで
配列を延長するために有用であり得る。
【0083】 シークエンシングやPCRの産物のヌクレオチド配列をサイズ分析したりその
存在を確認するために、市販のキャピラリー電気泳動システムを用いることがで
きる。特に、キャピラリーシークエンシングでは、電気泳動による分離のための
流動性ポリマー、レーザーで活性化される4種の異なる蛍光色素(各ヌクレオチ
ドに対して1種類)を使用し、CCDカメラを用いて放射された波長の検出を行
う。出力/光強度は適切なソフトウエア(例えばPerkin Elmer製のGenotyperTM 及びSequence NavigatorTM)を用いて電気信号に変換され、サンプルの負荷から
コンピュータ解析及び電子データ表示までの全過程がコンピュータ制御される。
キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプル内に少量しか存在しないようなDN
Aの小片の配列決定に特に適している。
【0084】 本発明の別の実施例では、HGFHをコードするポリヌクレオチド配列または
その断片を組換えDNA分子に組み入れることにより、適切な宿主細胞内でのH
GFH、その断片または機能的等価物の発現を誘導することができる。遺伝暗号
固有の縮重のために、実質的に同一即ち機能的に等価なアミノ酸配列をコードす
る他のDNA配列も作り出され得、これらの配列をHGFHのクローン化や発現
のために用いることができる。
【0085】 当業者には理解されるように、非自然発生コドンを有するHGFHをコードす
るヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る。例えば、特定の原核細胞
或いは真核細胞の宿主において選好されるコドンを選択して、タンパク質の発現
率を増大させたり、或いは自然発生配列から生成された転写物より長い半減期の
ような望ましい特性を有するRNA転写物を作り出すことができる。
【0086】 本発明のヌクレオチド配列は、様々な目的でHGFHをコードする配列を改変
するために、周知の方法を用いて組換えることができる。この配列改変の目的と
しては、限定するものではないが、例えば遺伝子産物のクローニング、プロセシ
ング及び/又は発現を変えること等が挙げられる。無作為断片によるDNA再編
成や遺伝子断片及び合成オリゴヌクレオチドのPCRによる再構成(reassembly
)によって、ヌクレオチド配列を組換えることができる。例えば、特定部位突然
変異誘発によって、新しい制限部位の挿入、グリコシル化パターンの変更、コド
ン選好の変化、スプライスバリアントの作出、突然変異の導入その他を達成する
ことができる。
【0087】 本発明の別の実施例では、元のHGFHコーディング配列、改変したHGFH
コーディング配列、或いは組換えHGFHコーディング配列を異種の配列に結合
して、融合タンパク質をコードする配列にすることができる。例えば、HGFH
活性のインヒビターをペプチドライブラリーからスクリーニングするために、市
販の抗体により認識されるキメラHGFHタンパク質をコードすることが役立つ
ことがある。融合タンパク質はHGFHをコードする配列と異種のタンパク質配
列との間の位置に切断部位を有する形に設計することもでき、これによってHG
FHを切断して、異種の部分から分けて精製することが可能となる。
【0088】 本発明の別の実施例では、周知の化学的方法(例えばCaruthers. M.H.他(198
0)Nucl. Acids Res. Symp. Ser. 7:215-223; Horn, T.他(1980)Nucl. Acids
Res. Symp. Ser. 225-232参照)を用いて、HGFHをコードする配列の全体、 或いはその一部を合成することができる。或いは、化学的方法を用いてタンパク
質自体を作り出して、HGFHのアミノ酸配列またはその断片を合成することが
できる。例えば、様々な固相技術(例えばRoberge, J.Y.他(1995) Science 269:
202-204参照)でペプチド合成を行うことができ、合成の自動化は、例えばABI 4
31Aペプチド合成機(Perkin Elmer)を用いることにより達成することができる 。
【0089】 この新たに合成されたペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィーにより
実質的に精製することができる(例えば、Chiez, R.M.及びF.Z. Regnier (1990)
Methods Enzymol. 182:392-421参照)。合成されたペプチドの組成は、アミノ 酸解析或いはシークエンシングにより確認することができる(例えばCreighton
T.(1983)Proteins Structure and Molecular Principles, WH Freeman and Co
., New York, NY参照)。さらにHGFHのアミノ酸配列或いはその任意の一部 分を、その直接の合成の際の改変することにより、及び/又は化学的方法を用い
て他のタンパク質或いはその任意の部分に由来する配列と結合させることにより
、変異体ポリペプチドを作り出すことができる。
【0090】 生物学的に活性なHGFHを発現させるためには、HGFHをコードするヌク
レオチド配列或いはその機能的等価物を、適切な発現ベクター、すなわち挿入さ
れたコーディング配列の転写及び翻訳に必要な配列を含むベクターに挿入する。
【0091】 HGFHをコードする配列及び適切な転写や翻訳の調節領域を含む発現ベクタ
ーを作製するために当業者に周知の方法を用いることができる。これらの方法と
しては、in vitro組換えDNA技術、合成技術、並びにin vivo遺伝子組換え技 術が挙げられる(例えば、Sambrook, J.他(1989)Molecular Cloning, A Labor atory Manual , Cold Spring Harbor Press, Planview NY及びAusubel, F.M.他Cu rrent Protocol in Molecular Biology , John Wiley &Sons, New York, NY参照 )。
【0092】 HGFHコーディング配列の保持、発現のために様々な発現ベクター/宿主系
を用いることができる。このようなものとしては、限定するものではないが、組
換えバクテリオファージ、プラスミド或いはコスミドDNA発現ベクターで形質
転換した細菌のような微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転換した酵母菌や、
ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系や、
ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルスCaMV、タバコモザ
イクウイルスTMV)或いは細菌の発現ベクター(例えばTi、或いはpBR322プラス ミド)で形質転換した植物細胞系や、或いは動物細胞系等が挙げられる。本発明
は、使用される宿主細胞によって限定されるものではない。
【0093】 「調節領域」或いは「制御配列」とは、転写及び翻訳を行うために宿主細胞の
タンパク質と相互作用するベクターの非翻訳領域、即ちエンハンサー、プロモー
ター及び3′非翻訳領域である。このようなエレメントの作用の強さや特異性は
様々に異なったものであり得る。使用されるベクター系及び宿主に応じて、構成
的及び誘導的プロモーターを含む適切な転写及び翻訳エレメントを任意の数だけ
用いることができる。例えば、細菌系にクローン化する際には、Bluescript フ ァージミド(Stratagene, LaJolla CA)またはpSportITMプラスミド(Gibco BRL
)等のハイブリッドlacZプロモーターのような誘導的プロモーターを用いること
ができる。昆虫細胞では、バキュロウイルスポリヘドリンプロモーターを用いる
ことができる。植物細胞のゲノムに由来するプロモーター或いはエンハンサー(
例えば熱ショック RUBISCO及び貯蔵タンパク質遺伝子)、若しくは植物ウイルス
に由来するプロモーター或いはエンハンサー(例えばウイルス性プロモータ或い
はリーダー配列)を、ベクターにクローン化してもよい。哺乳動物の細胞系では
、哺乳動物の遺伝子或いは哺乳動物ウイルス由来のプロモーターが適している。
HGFHをコードする配列の複数のコピーを含む細胞系を作る必要がある場合に
は、SV40またはEBVをベースにしたベクターを適切な選択マーカーと共に
用いることができる。
【0094】 細菌系では、HGFHの用途に応じて多くの発現ベクターを選択することがで
きる。例えば抗体の誘発のために大量のHGFHが必要な場合には、精製が容易
であり得る融合タンパク質を高レベルで発現できるベクターを用いることができ
る。そのようなベクターとしては、限定するものではないが、多機能の大腸菌ク
ローニング・発現ベクターである、Bluescript(Stratagene)(このベクターで
は、HGFHをコードする配列を、アミノ末端メチオニン及び後続のβ−ガラク
トシダーゼの7個の残基からなる配列を備えたベクターのフレーム内に結合して
ハイブリッドタンパク質を生成できる)や、pINベクター(例えばVan Heeke, G.
及びS.M. Schuster(1989)J. Biol. Chem. 264:5503-5509参照)等が挙げられ る。また、グルタチオンS−トランスファーゼ(GST)との融合タンパク質として
外来ポリペプチドを発現させるために、pGEXベクター(Promage、Madison WI) を用いることもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グ
ルタチオンアガロースビーズに吸着させた後、フリーのグルタチオンの存在下で
溶出させることによって溶解した細胞から容易に精製できる。そのような系にお
いて作り出されるタンパク質は、ヘパリン、トロンビン或いはXa因子プロテア
ーゼ切断部位を含むように設計し、目的のクローン化ポリペプチドをGST部分か ら随意に放出させられるようにすることができる。
【0095】 酵母菌、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)では、α因
子、アルコールオキシダーゼ及びPGHのような構成的或いは誘導的プロモーター を含む多種のベクターを用いることができる(例えば、Ausubel,(前出)及びGr
ant他(1987)Methods Enzymol 153:516-544を参照)。
【0096】 植物の発現ベクターを用いる場合、HGFHをコードする配列の発現は、多数
のプロモーターの何れかによって促進され得る。例えばCaMVの35S及び19Sプ
ロモーターのようなウイルスのプロモーターを、単独で、或いはTMV(Takama
tsu,N.他(1987)EMBO J 6:307-311)由来のオメガリーダー配列と組み合わせて
用いることができる。或いは、RUBISCOの小サブユニット、熱ショックプロモー ターのような植物のプロモーターを用いてもよい(例えばCoruzzi, G.他 (1984)
EMBO J 3:1671-1680; Broglie, R.他 (1984) Science 224:838-843; 及びWinte
r, J.他 (1991) Results Probl. Cell Differ. 17:85-105参照)。これらの作製
物は、直接のDNA形質転換或いは病原体を介したトランスフェクションにより
植物細胞内に導入できる。このような技術は、様々な一般に入手できる文献に記
載されている(例えばMcGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992
)McGraw Hill NY, pp191-196に記載のHobbs, S.又はMurry, L.E.を参照)。
【0097】 HGFHの発現のために昆虫系も用いることができる。例えば、そのような系
の一つでは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞或いはイラクサキンウワ バ(Trichoplusia)幼虫において外来遺伝子を発現するためのベクターとして、 Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)を用いる。HGFHをコ ードする配列は、ポリヘドリン(polyhedrin)遺伝子のようなウイルスの非必須
領域にクローン化して、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置くことができる
。HGFHコーディング配列の挿入が成功すると、ポリヘドリン遺伝子が失活し
、コートタンパク質膜を欠く変異体ウイルスが生成される。次に、この変異体ウ
イルスを、ヨトウガ(S.frugiperda)細胞或いはイラクサキンウワバ(Trichopl usia )幼虫へ感染させ、その中でHGFHを発現させることができる(例えば、
Engelhard, E.K.他 (1994) Proc. Nat. Acad. Sci. 91:3224-3227参照)。
【0098】 哺乳動物の宿主細胞では、様々なウイルスをベースにした発現系を利用するこ
とができる。発現ベクターとしてアデノウイルスが用いられる場合には、HGF
Hをコードする配列は、後期プロモータ及び三連リーダー配列からなるアデノウ
イルス転写/翻訳コンプレックス(transcription/translation complex)のな かに結合することが可能である。ウイルスのゲノムにおける必須でないE1又はE3
領域へ挿入することにより、感染した宿主細胞でHGFHを発現できる生ウイル
スが得られる(例えば、Logan, J.及びShenk, T.(1984)Proc. Natl. Acad. Sc
i. 81:3655-3659参照)。加えて、哺乳類宿主細胞内の発現を増加させるために ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーのような転写エンハンサーを用いるこ とができる。
【0099】 また、ヒト人工染色体(HACs)を用いることにより、プラスミドに含めて
発現させることができるDNA断片より大きいDNAの断片を供給することもで
きる。治療上の目的で、6kb〜10MbのHACsを構築し、それを従来のデ
リバリー方法(リポソーム、ポリカチオンのアミノポリマー、又は小胞)を利用
して供給することができる。
【0100】 また、HGFHをコードする配列のより効率的な翻訳のためには、特定の開始
シグナルも必要である。このようなシグナルとしては、ATG開始コドン及び隣
接する配列が挙げられる。HGFH及びその開始コドン及び上流配列が適切な発
現ベクター内に挿入される場合には、他の転写または翻訳の制御シグナルは不要
である。しかし、コーディング配列又はその断片のみが挿入される場合には、AT
G開始コドンを含む外来の翻訳制御シグナルを与えなければならない。さらに、 全インサートの転写が確実に行われるようにするために、開始コドンは正しい読
み枠に存在しなければならない。外来転写エレメント及び開始コドンは、自然及
び合成両方の様々な起源に由来するものであり得る。使用される特定の細胞系に
適切なエンハンサーを含めることにより、発現の効率を高めることができる(例
えば、Scharf,D.他(1994)Results Probl. Cell Differ. 20:125-162参照)。
【0101】 加えて、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節するその能力、若しくは
発現したタンパク質を望ましい形にプロセシングするその能力ついて選択するこ
とができる。このようなポリペプチドの修飾としては、以下のものに限定はしな
いが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(lipida
tion)並びにアシル化等が挙げられる。またタンパク質の「プレプロ」部分を切
り離す翻訳後プロセシングも、正しい挿入、折り畳み、及び/又は機能の発揮の
ために重要である。そのような翻訳後の作用のための特定の細胞装置及び特徴的
な機構を有している種々の宿主細胞(例えばCHO、HeLa、MDCK、HEK293、及びWI3
8)は、American Type Culture Collection(ATCC; Bethesda, MD)より入手で き、導入される外来タンパク質の正しい修飾やプロセシングが確実に行われるよ
うに、このなかから選択することができる。
【0102】 長期間にわたって組換えタンパク質の高収率の産生を確保するためには安定し
た発現が望ましい。例えば、ウイルスの複製起点及び/または内在性発現エレメ
ント及び選択マーカー遺伝子を同一のベクター上、或いは別のベクター上に含む
発現ベクターを用いることにより、HGFHを安定的に発現する細胞系を形質転
換することができる。ベクターの導入の後、細胞は、選択培地に切り替える前に
濃縮培地内で1〜2日間増殖させる。選択マーカーの目的は、選択のための耐性
を与え、その存在に基づいて導入された配列を発現する細胞を増殖、回収できる
ようにすることである。安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細
胞の型に適した組織培養技術を用いて増殖することができる。
【0103】 形質転換された株細胞を回収するために任意の数の選択系を用いることができ
る。選択系としては、以下のものに限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミ
ジンキナーゼ(tk)及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(aprt)遺
伝子等があり、それぞれtk-又はaprt-細胞において用いられる(例えば、Wigler
, M.他(1977)Cell 11:223-232; Lowy, I.他(1980)Cell 22:817-823参照)。
また代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択の基礎として用いるこ
とができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、nptはアミノ 配糖体のネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え、als或いはpatはクロルス ルフロン(chlorsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ (phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(例えば、Wigle
r, M.他(1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567; Colberre-Garapin, F.他(19
81)J. Mol. Biol. 150:1-14; Murry, (前出)参照)。選択に利用できる別の遺 伝子として、例えば細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用できるよ
うにするtrpB、細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノール(histinol)を利用で
きるようにするhisDが文献に記載されている(例えば、Hartman, S.C.及びR.C.
Mulligan(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. 85:8047-51参照)。最近になって、 例えばアントシアニン、β−グルクロニダーゼ及びその基質であるGUS、及びル シフェラーゼ及びその基質であるルシフェリンのような可視マーカーが頻用され
るようになってきた。また、緑色蛍光タンパク質(GFP)(Clonetech, Palo
Alto, CA)を用いることもできる(例えば、Chalfie, M他 (1994) Science 263:
802-805参照)。これらのマーカーは、形質転換体を特定するためばかりではな く、特定ベクター系による一過性の或いは安定的なタンパク質発現の量を定量す
るために用いることができる(例えば、Rhodes, C.A.他(1995)Methods Mol. B
iol. 55:121-131参照)。
【0104】 マーカー遺伝子の発現の存在/不存在が目的の遺伝子の存在をも示唆するが、
その存在及び発現を確認する必要がある場合がある。例えばHGFHをコードす
る配列がマーカー遺伝子配列内に挿入される場合は、HGFHをコードする配列
を含む形質転換された細胞を、マーカー遺伝子の機能を欠いていることで確認で
きる。或いは、マーカー遺伝子が、HGFHをコードする配列と直列に配置され
て、両者が単一のプロモータの制御下となり得る。誘導または選択に応じてのマ
ーカー遺伝子の発現は、通常、直列に配置された配列の発現をも同時に示すこと
になる。
【0105】 或いは、当業者には周知の様々な方法により、HGFHをコードする核酸配列
を含みHGFHを発現する宿主細胞を特定できる。このような方法としては、以
下に限定するものではないが、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダ
イゼーションや、核酸及びタンパク質を検出及び/又は定量するための膜、溶液
、或いはチップを用いる技術を含むタンパク質バイオアッセイ或いはイムノアッ
セイ等が挙げられる HGFHをコードする配列のプローブ、一部分、或いは断片を用いるDNA−
DNA又はDNA−RNAハイブリダイゼーションまたは増幅により、HGFH
をコードするポリヌクレオチド配列の存在を検出することができる。核酸増幅を
利用するアッセイでは、HGFHをコードするDNA或いはRNAを含む形質転
換体を検出するために、HGFHをコードする配列をベースにしたオリゴヌクレ
オチドまたはオリゴマーを用いる。
【0106】 HGFHの発現を検出、測定するための、このタンパク質に特異的なポリクロ
ーナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれかを用いる様々なプロトコルが周知
である。このようなプロトコルの例としては、酵素結合免疫検定法(ELISA
)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光表示式細胞分取器法(FACS)
が挙げられる。HGFHポリペプチド上で2種の非干渉なエピトープに対して反
応するモノクローナル抗体を利用する二部位モノクローナルベースイムノアッセ
イ(two-site, monoclonal-based immunoassay)が好適であるが、競合的結合ア
ッセイも用いることができる。これらアッセイの並びに他のアッセイは、文献に
記載されている(例えば、Hampton, R.他 (1990) Serological Methods, a Labo ratory Manual , APS Press, St. Paul MN及びMaddox, D.E.他 (1983) J. Exp. M
ed. 158:1211-1216)。
【0107】 さらに様々な標識・結合技術が周知であり、様々な核酸及びアミノ酸のアッセ
イにおいて用いることができる。近縁な配列を検出するための、標識されたハイ
ブリダイゼーションプローブやPCRプローブを作製するための手段としては、
オリゴ標識、ニックトランスレーション法、末端標識、或いは標識したヌクレオ
チドを用いるPCR増幅等が挙げられる。或いは、HGFHをコードする配列ま
たはその任意の断片を、mRNAプローブの作製のためベクターにクローン化す
る。そのようなベクターは周知で、市販されており、これを用いてT7、T3、或い
はSP6のような適切なRNAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドを加える ことによって、in vitroでRNAプローブを合成することができる。このような
方法は、種々の市販のキット(Pharmacia & Upjohn(Kalamazoo, MI);Promega
(Madison WI);及びU.S. Biochemical Corp.(Cleveland OH))を用いて実施
することができる。検出を容易にするために用いられる適切なリポーター分子、
即ち標識としては、放射性核種、酵素、フルオレセント(蛍光剤)、化学発光剤
或いは色素剤のほか、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子等が挙げられる
【0108】 HGFHをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、このタ
ンパク質を細胞培地で発現させ、そこから回収するのに適した条件の下で培養す
ることができる。形質転換された細胞により産生されるタンパク質は、用いられ
る配列及び/またはベクターに応じて、分泌されるか、或いは細胞内に含められ
る。当業者には理解されるように、HGFHをコードするポリヌクレオチドを含
む発現ベクターを、原核細胞か真核細胞の細胞膜を通してのHGFHの分泌を誘
導するシグナル配列を含むように設計することができる。また他の構築物を用い
て、HGFHをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を容易にするポリペ
プチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合することができる。そのよ
うな精製を容易にするドメインとしては、限定するものではないが、固定化金属
上での精製を可能にするヒスチジントリプトファンモジュールのような金属キレ
ートペプチド、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメ
イン、並びにFLAGS 延長/アフィニティ精製システム(Immunex Corp., Seattle
WA)において用いられるドメイン等が挙げられる。精製ドメインとHGFHの 間に、例えばXa因子またはエンテロキナーゼに特異的な配列(Invitrogen, Sa
n Diego CA)のような切断可能なリンカー配列を含めることによって、精製を促
進することができる。このような発現ベクターの1つは、HGFHをコードする
配列とともに、6個のヒスチジン残基をコードする核酸配列、それに続くチオレ
ドキシン及びエンテロキナーゼ切断部位をコードする配列を発現させて、融合タ
ンパク質を作り出す。ヒスチジン残基が固定化金属イオンアフィニティクロマト
グラフィー(IMIAC)(例えば、Porath, J.他(1992)Prot. Exp. Purif. 3: 26
3-281参照)での精製を容易にするとともに、エンテロキナーゼ切断部位が融合 タンパク質からHGFHを精製するための手段となる(例えば、Kroll, D.J.他
(1993) DNA Cell Biol. 12:441-453参照)。
【0109】 HGFHの断片は、組換え体の作製による方法のみならず、固相技術を用いた
直接的なペプチド合成によってもを作り出すことができる(例えば、Creighton,
T.E. (1984) Protein: Structures and Molecular Properties, pp. 50-60, W.
H. Freeman and Co., New York, NY参照)。タンパク質合成は手作業で行えるが
、自動化することもできる。自動的な合成は、例えば、Applied Biosystem 431A
ペプチドシンセサイザ(Perkin Elmer)を用いて行うことができる。様々なHG
FHの断片を個別に化学的に合成し、それを化学的方法で結合して完全長分子を
作り出すことも可能である。
【0110】 (治療) HGFH−1とマウスのGDF−9(GI 567206)との間に化学的及び構造的 相同性が存在する。加えて、HGFH−1は癌性組織において発現される。従っ
て、HGFH−1は、細胞増殖及び発達の障害において一定の役割を果たしてい
ると考えられる。
【0111】 HGFH−2とヒトのHDGF(GI 598956)との間に化学的及び構造的相同 性が存在する。加えて、HGFH−2は癌性組織において発現される。従って、
HGFH−2は、細胞増殖及び発達の障害において一定の役割を果たしていると
考えられる。
【0112】 HGFH−3と酵母菌のYhr074wp(GI 500832)との間に化学的及び 構造的相同性が存在する。加えて、HGFH−3は癌性組織において発現される
。従って、HGFH−3は、細胞増殖及び発達の障害において一定の役割を果た
していると考えられる。
【0113】 HGFH−4とショウジョウバエのTSG(GI 529900)との間に化学的及び 構造的相同性が存在する。加えて、HGFH−4は癌性組織において発現される
。従って、HGFH−4は、細胞増殖及び発達の障害において一定の役割を果た
していると考えられる。
【0114】 従って、或る実施態様では、細胞増殖の障害に処置又は予防のために、HGF
Hのアンタゴニストを患者に投与し得る。そのような障害としては、以下に限定
するものではないが、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、滑液嚢炎、肝硬変
、肝炎、混合型結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間血色素尿症、
真正赤血球増加症、乾癬、原発性血小板血症、及び腺癌、白血病、リンパ腫、黒
色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌腫のような癌、具体的には、副腎、膀胱、骨、骨髄
、脳、乳房、軟骨、子宮頚、胆嚢、神経節、胃腸管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋
肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、
甲状腺、及び子宮の癌等を挙げることができる。或る実施態様では、HGFHに
特異的に結合する抗体を、アンタゴニストとして直接的に用いるか、或いはHG
FHを発現する細胞又は組織に薬物を送達するためのターゲティング又はデリバ
リー機構として間接的に用いることができる。
【0115】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む細胞増
殖の障害の処置又は予防のために、HGFHをコードするポリヌクレオチドに相
補的な分子を発現するベクターを患者に投与し得る。
【0116】 別の実施態様では、発達障害の処置又は予防のために、HGFH又はその断片
若しくは誘導体を患者に投与し得る。そのような障害としては、以下に限定する
ものではないが、尿細管性アシドーシス、貧血症、クッシング症候群、軟骨形成
不全性小人症、デュシェンヌ・ベッカー型筋ジストロフィー、てんかん、性腺形
成異常症、WAGR症候群、Smith−Magenis症候群、脊髄形成異常
症候群、遺伝性粘膜上皮形成異常、遺伝性角皮症、例えばシャルコー・マリー・
ツース病や神経線維腫症のような遺伝性神経病、甲状腺機能低下症、水頭症、例
えばシドナム舞踏病や脳性小児麻痺のような発作障害、2分脊椎、及び先天性緑
内障、白内障、又は感覚神経性聴力損失等を挙げることができる。
【0117】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む発達障
害の処置又は予防のために、HGFH又はその断片若しくは誘導体を発現するベ
クターを患者に投与し得る。
【0118】 更に別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む発
達障害の処置又は予防のために、実質的に精製されたHGFHを適切な医薬用担
体と共に含む医薬品組成物を患者に投与し得る。
【0119】 更に別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む発
達障害の処置又は予防のために、HGFHの活性を変調するアゴニストを患者に
投与し得る。
【0120】 別の実施例では、本発明のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニスト、
相補的配列、又はベクターの何れかを、他の適切な薬剤と組み合わせて投与する
ことができる。当業者であれば、従来の薬学上の原理に基づいて併用療法で用い
るための適切な薬剤を選択することができよう。治療薬を組み合わせることによ
り、上述の様々な疾患の治療又は予防に効果を奏する相乗作用が得られる。この
方法を用いることにより、より低い用量の各薬剤で治療効果を上げることができ
、副作用が生ずる可能性を低下させることができる。
【0121】 HGFHのアンタゴニストは、周知の方法を用いて製造することができる。詳
述すると、精製されたHGFHを用いることによって、抗体を作り出したり、或
いはHGFHに特異的に結合するものを同定するために薬物のライブラリーをス
クリーニングすることができる。HGFHに対する抗体も、周知の方法を用いて
作り出すことができる。このような抗体としては、限定するものではないが、ポ
リクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラ
グメント、及びFab発現ライブラリーから作られたフラグメントが含まれる。
中和抗体(即ち二量体形成を阻害するもの)は治療の用途に特に好適である。
【0122】 抗体を作り出すため、HGFHか、免疫学的特性を有するその断片或いはオリ
ゴペプチドを注射することによって、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス等の様々な
ホストを免疫化することができる。免疫学的反応を増強するために、ホストの種
に応じた様々なアジュバントを用いることができる。そのようなアジュバントと
しては、限定するものではないが、フロイントのアジュバント、水酸化アルミニ
ウムのような無機質ゲル、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニックポ
リオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホー ルリンペットヘモシアニン、並びにジニトロフェノール等が挙げられる。ヒトで
使用するアジュバントのなかでは、BCG(カルメット‐ゲラン杆菌)及びコリ
ネバクテリウム−パルヴム(Corynebacterium parvum)が特に好適である。
【0123】 HGFHに対する抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプチド
、またはその断片は、好ましくは5個以上のアミノ酸、より好ましくは10個以
上のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有する。またこれらの配列は、元のタンパ
ク質のアミノ酸配列の一部と同一であり、小形の自然発生の分子の全アミノ酸配
列を含んでいるのが好ましい。HGFHアミノ酸の短いストレッチを、キーホー
ルリンペットヘモシアニンのような他のタンパク質のストレッチと融合し、その
キメラ分子に対する抗体を産生させることができる。
【0124】 HGFHのモノクローナル抗体は、培地内の無制限増殖性細胞系(continuous
cell line)に抗体分子を産生させる技術を用いて作製できる。このような技術
として、限定するものではないが、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリド
ーマ技術、及びEBV−ハイブリドーマ技術等が挙げられる(例えば、Kohler,
G.他(1975) Nature 256:495-497;Kozbor, D.他 (1985) J. Immunol. Methods 8
1 :31-42;Cote, R.J.他 (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-2030;Cole,
S.P.他 (1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120参照)。
【0125】 加えて、適切な抗原特異性並びに生物活性を有する分子を得るための、マウス
抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子にスプライシングする技術のような「キメラ抗体」
の産生のために開発された技術を用いることができる(例えば、Morrison,S.L. 他(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:6851-6855;Neuberger, M.S.他(1984)
Nature 312:604-608;Takeda, S.他(1985)Nature 314:452-454参照)。或いは
、一本鎖抗体の生成のための周知技術を適用して、周知の方法によりHGFHに
特異的な一本鎖抗体を作り出すことができる。関連する特異性を有しているがイ
ディオタイプの構成が異なる抗体は、無作為組み合わせ免疫グロブリンライブラ
リーからの鎖再編成(chain shuffling)によって作り出すことができる(例え ば、Burton D.R.(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. 88:11120-3参照)。
【0126】 また、文献(例えば、Orlandi, R.他(1989), Proc. Natl. Acad. Sci. 86:383
3-3837;Winter, G.他 (1991) Nature 349:293-299参照)に開示されているよう
に、高度に特異的な結合試薬のパネルや組換え免疫グロブリンライブラリーをス
クリーニングすることによって、或いはリンパ球集団でのin vivoの産生を誘導 することによって抗体を作り出すこともできる。
【0127】 HGFHに対する特異結合部位を含む抗体断片を作り出すこともできる。この
ような断片としては、以下に限定するものではないが、抗体分子のペプシンによ
る消化で生成することができるF(ab′)2フラグメントや、F(ab′)2
ラグメントのジスルフィド架橋を減らすことにより作り出すことができるFab
フラグメント等が挙げられる。或いは、所望の特異性を有するモノクローナルF
abフラグメントを迅速かつ容易に同定できるように、Fab発現ライブラリー
を作製してもよい(例えば、Huse, W.D.他(1989)Science 256:1275-1281参照 )。
【0128】 様々なイムノアッセイを、所望の特異性を有する抗体を同定するためのスクリ
ーニングに利用することができる。確立された特異性を有するモノクローナル抗
体或いはポリクローナル抗体のいずれかを用いる競合的結合アッセイ或いはラジ
オイムノアッセイの、様々なプロトコルが当分野で周知である。このようなイム
ノアッセイでは、HGFHとその特異的抗体との複合体の形成量の測定を行う。
2つの互いに非干渉なエピトープに反応するモノクローナル抗体を用いる二部位
モノクローナル抗体ベースイムノアッセイ(two sites monoclonal based immun
oassay)が好適であるが、競合的結合アッセイを用いてもよい(Maddox , 前出 )。
【0129】 本発明の別の実施例では、HGFHをコードするポリヌクレオチド、またはそ
の任意の断片や相補配列を、治療上の目的で用いることができる。或る実施態様
では、mRNAの転写を阻害することが望ましいような状況において、HGFH
をコードするポリヌクレオチドに対する相補配列を用いることができる。詳述す
ると、HGFHをコードするポリヌクレオチドに相補的な配列で細胞を形質転換
することができる。従って、相補的分子または断片を用いて、HGFHの活性を
変調、即ち遺伝子の機能を調節することができる。このような技術は現在周知で
あり、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド、若しくはより大きな断片は
、HGFHコーディング配列のコード領域や調節領域の様々な位置から設計する
ことができる。
【0130】 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス或いはワクシニアウイルス由来の
発現ベクター、或いは種々の細菌性プラスミドに由来する発現ベクターを、標的
の器官、組織、または細胞群へのヌクレオチド配列の送達のために用いることが
できる。HGFHをコードする遺伝子のポリヌクレオチドに相補的な核酸配列を
発現するベクターは、当業者に周知の方法を用いて作製することができる(例え
ば、Sambrook他(前出)及びAusubel他(前出)参照)。
【0131】 HGFHをコードするポリヌクレオチドまたはその断片を高レベルで発現する
発現ベクターで細胞または組織を形質転換することにより、HGFHをコードす
る遺伝子を機能停止させることができる。このような作製物を用いて、翻訳不可
能なセンス配列或いはアンチセンス配列を細胞に導入することができる。このよ
うなベクターは、DNAへ組み入れられない場合でも、そのベクターが内在性ヌ
クレアーゼにより破壊されるまでRNA分子の転写を続ける。このような一過性
の発現は、非複製ベクターでも1ヶ月以上、適当な複製エレメントがベクター系
の一部である場合には更に長い期間継続し得る。
【0132】 上述のように、HGFHをコードする遺伝子の制御領域、5′領域、または調
節領域(シグナル配列、プロモーター、エンハンサー、及びイントロン)に相補
的な配列、即ちアンチセンス分子(DNA、RNAまたはPNA)を設計するこ
とにより遺伝子の発現の仕方を変えることができる。転写開始部位、例えば開始
部位の概ね+10〜−10の間の位置にある領域に由来するオリゴヌクレオチド
が好適である。同様に、三重らせん塩基対合法を用いて阻害を達成することがで
きる。三重らせん対合が有用なのは、二重らせんがポリメラーゼ、転写因子、或
いは調節分子の結合のために十分にほどける能力を、それが阻害するからである
。三重らせんDNAを用いた最近の治療上の進歩については、文献に記載されて
いる(例えば、Huber, B.E.及びB.I. Carr, Molecular and Immunologic Approa ches , Futura Publishing Co, Mt Kisco NYにおけるGee, J.E.他(1994)参照)。
また、転写物のリボソームへの結合を妨げてmRNAの転写を阻害するために、
相補的配列、即ちアンチセンス分子を設計することもできる。
【0133】 酵素性RNA分子であるリボザイムを、RNAの特異的切断を触媒するために
用いることもできる。リボザイムの作用機構では、リボザイム分子が相補的標的
RNAに配列特異的にハイブリダイズし、その後エンドヌクレアーゼによる切断
(endonucleolytic cleavage)がなされる。使用できるリボザイムの例として、
HGFHをコードする配列のエンドヌクレアーゼによる切断を特異的かつ効果的
に触媒し得る人工合成のハンマーヘッド型リボザイム分子がある。
【0134】 標的となり得るRNA内の特異的なリボザイム切断部位を、初めに、標的の分
子における配列GUA、GUU並びにGUCを含むリボザイム切断部位をスキャンするこ とによって同定する。一旦同定されれば、切断部位を含む標的遺伝子の領域に対
応する15〜20個のリボヌクレオチドからなる短いRNA配列について、その
オリゴヌクレオチドの機能を停止させる2次構造の特徴を評価することができる
。候補の標的の適切性も、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ(ribonucl
ease protection assay)によって、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリ ダイゼーションについての接触性(accessibility)を測定することにより評価 することができる。
【0135】 本発明の相補的リボ核酸分子及びリボザイムは、核酸分子の合成のための周知
の方法により作製することができる。これらの技術としては、固相ホスホラミダ
イト化学合成法のようなオリゴヌクレオチドの化学合成技術等がある。或いは、
RNA分子は、in vivo及びin vitroでのHGFHをコードするDNA配列の転 写により作り出すことができる。このようなDNA配列は、T7或いはSP6の
ような適切なRNAポリメラーゼプロモーターを有する様々なベクターに組み入
れることができる。或いは、構成的RNAを合成するcDNA作製物を、細胞系
、細胞或いは組織内に導入することができる。
【0136】 RNA分子はその細胞内での安定性を高めたり、半減期を長くするために修飾
することができる。可能な修飾としては、限定するものではないが、その分子の
5′末端か3′末端、或いはその両方へのフランキング配列の付加や、分子のバ
ックボーン内でホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオネート(phosph
orothioate)或いは2′O−メチルを使用すること等が挙げられる。この方式(
concept)は本来PNAの作製において用いられるもので、以下のようにこれら の分子全てに拡張することができる。即ち、内在性エンドヌクレアーゼにより容
易に認識されないアデニン、グアニン、シチジン、チミン、及びウリジンの、ア
セチル−、メチル−、チオ−形態、及び類似の形態の修飾によるだけでなく、イ
ノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(wybutosine)のような
従来あまり用いられなかった塩基を含めることによって、これら分子全てにこの
方式を拡張することができる。
【0137】 細胞或いは組織内にベクターを導入するための多くの方法が利用可能であり、
それらの方法は、in vivoin vitro、及びex vivoでの使用についても同様に適
している。ex vivo治療の場合には、患者から採取された幹細胞にベクターを導 入し、自家移植用にクローンとして増殖して同じ患者に戻す方法がある。またト
ランスフェクションによるデリバリー、リポソーム注入またはポリカチオンアミ
ノポリマーによるデリバリー(Goldman, C.K.他(1997) Nature Biotechnology 1
5:462-66; 引用により本明細書の一部とする)は、当分野で周知の方法を用いて
実施することができる。
【0138】 上述の治療法の何れも、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、及び
最も好ましくはヒトのような哺乳動物を含む、任意の適切な被験体に適用するこ
とができる。
【0139】 本発明の更に別の実施例では、上述の治療効果をあげるために、医薬品組成物
を医薬上許容される担体とともに投与する。このような医薬品組成物は、HGF
H、HGFHに対する抗体、HGFHの模擬体(mimetics)、アゴニスト、アン
タゴニスト、又はインヒビターからなるものであり得る。この医薬品組成物は、
単独で、或いは例えば安定化剤のような1種以上の他の薬剤とともに、滅菌した
生体適合性の医薬用担体を用いて投与する。このような担体としては、限定はし
ないが、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖或いは水等が挙げられる。このよう
な組成物は、単体で、或いは他の薬剤やホルモンと組み合わせた形で患者に投与
することができる。
【0140】 本発明で用いられる医薬品組成物の投与経路としては、以下に限定するもので
はないが、経口投与、静脈内投与、筋内投与、動脈内投与、髄内投与、髄腔内投
与、心室内投与、経皮投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、経腸投与、局
所投与、舌下投与、或いは直腸内投与等が挙げられる。
【0141】 これらの医薬品組成物は、主成分に加えて、作用物質を医薬上使用可能な製剤
にするための処理を容易にする、賦形剤及び添加剤のような適切な医薬上許容さ
れる担体を含み得る。調合或いは投与に関する技術の詳細は、Remington's Phar maceutical Sciences (Maack Publishing Co, Easton PA)の最新版において見 ることができる。
【0142】 経口投与用の医薬品組成物は、当分野で周知の医薬上に許容される担体を用い
て適切な剤形に製剤することができる。このような担体により、この医薬品組成
物を、患者が服用するための、錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤
、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等に製剤することができる。
【0143】 経口投与するための医薬製剤は、主成分と固形の賦形剤とを組み合わせた上で
、所望に応じて得られた混合物を粉砕し、錠剤或いは糖衣剤コア(dragee core )を作るために必要ならば適切な添加剤を添加した後、顆粒の混合物を加工する
ことによって得られる。適切な添加剤としては、ラクトース、スクロース、マン
ニトール或いはソルビトールを含む砂糖のような糖質或いはタンパク質の賦形剤
(filler)、トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモ等のデンプン、メチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース或いはカルボキシルメチルセル
ロースナトリウムのようなセルロース、アラビアゴム或いはトラガカントのよう
なゴム、並びにゼラチン或いはコラーゲンのようなタンパク質がある。必要なら
ば、崩壊剤または可溶化剤、或いは橋かけ結合したポリビニルピロリドン、寒天
、アルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸或いはアルギン酸ナトリウムのよう
なその塩を加えてもよい。
【0144】 糖衣剤コアは、濃縮砂糖溶液等により適切な錠皮を塗布して用いられる。錠皮
を作るための溶液としては、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カ
ルボポルゲル剤、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカ
ー溶液及び適切な有機溶剤或いは溶剤混合物等が挙げられる。錠剤の識別のため
、或いは主成分の量即ち投与量を表示するために染料或いは色素を錠剤或いは錠
皮に加えてもよい。
【0145】 経口投与可能な製剤は、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル、ゼラチ
ンからなる柔軟な密封されたカプセル、並びにグリセロール或いはソルビトール
のような錠皮を有する。プッシュフィットカプセルは、ラクトース或いはでんぷ
んのような賦形剤或いは結合剤、タルク或いはステアリン酸マグネシウムのよう
な潤滑剤、並びに所望に応じて安定化剤と混合された主成分を含み得る。柔軟な
カプセルでは、主成分が、安定化剤とともに或いは安定化剤なしで、脂肪油、液
体パラフィン、液体ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解或いは懸
濁されている。
【0146】 非経口投与用の医薬製剤は、水溶液、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液
或いは生理緩衝食塩水のような生理学的に適合性の緩衝液において配合すること
ができる。水性の注射用懸濁剤には、 例えばカルボキシルメチルセルロースナ トリウム、ソルビトール或いはデキストランのような懸濁剤の粘性を高める物質
を含めることができる。更に、主成分の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁剤とし
て調製することができる。適切な親油性の溶媒或いは担体としては、胡麻油のよ
うな脂肪油や、オレイン酸エチル、トリグリセリド或いはリポソームのような合
成脂肪酸エステルがある。脂質でないポリカチオンのアミノポリマーをデリバリ
ーのために用いることもできる。懸濁剤には、溶解度を高め濃縮度の高い溶液の
調製を可能にする適切な薬剤または安定剤を、所望に応じて加えることができる
【0147】 局所適用または経鼻粘膜投与用には、浸透される特定の障壁に対して適切な浸
透剤を用いて製する。このような浸透剤は、当技術分野において周知である。
【0148】 本発明の医薬品組成物は周知の方法、例えば従来通りの混合、溶解、顆粒化、
糖衣形成、微粒子化(levigating)、乳化、カプセル化、捕捉(entrapping)、
或いは凍結乾燥により製造される。
【0149】 この医薬品組成物は塩として提供することもでき、限定するものではないが塩
酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等を含む種々の酸とともに
形成することができる。塩は、水性或いはプロトニック溶剤において、対応する
フリーの塩基形態より可溶性が高くなる傾向がある。この他、好ましい製剤には
、pH4.5〜5.5の範囲にあって、使用前に緩衝剤を配合した、1mM〜5
0mMのヒスチジン、0.1%〜2%のショ糖、及び2%〜7%のマンニトール
の全てまたは何れかを含む凍結乾燥粉末がある。
【0150】 医薬品組成物は、調製した後に適切な容器内に入れ、さらに提示した状態の処
置に用いられるようにラベル付けすることができる。HGFHの投与の場合、こ
のようなラベルには、投与の量、頻度、及び方法が表示される。
【0151】 本発明において使用するために適切な医薬品組成物は、有効成分を所望の目的
を達成するために有効な量含む組成物である。有効な量の決定は、当業者の能力
の範囲内で十分行うことができる。
【0152】 あらゆる化合物について、治療上有効な量は、初めに、新生物細胞、或いは通
常マウス、ウサギ、イヌ、ブタのような動物モデルの何れかの細胞培地のアッセ
イから推定することができる。この動物モデルを、適切な濃度範囲や投与経路を
決定するために用いることもできる。次に、このような情報を利用して、ヒトに
おける有効な量や投与経路を決定することができる。
【0153】 治療上有効な量とは、症状や状態を改善する有効成分、例えばHGFHまたは
その断片、HGFHの抗体、HGFHのアゴニスト、アンタゴニスト、またはイ
ンヒビターの量である。そのような化合物の治療上の有効性及び毒性は、細胞培
地における或いは実験動物を用いた標準的な薬学的手順によって、例えばED5
0(集団の50%における治療上の有効量、50%有効量)及びLD50(集団
の50%の致死投与量)として決定することができる。毒性と治療有効性との間
の投与量の比は治療指数であり、LD50/ED50の比として表すことができ
る。大きな治療指数を示す医薬品組成物が好ましい。これらの細胞培地のアッセ
イ及び動物研究から得られるデータは、ヒトでの使用における投与量の範囲を決
める際に利用することができる。そのような化合物の投与量は、毒性がほとんど
或いは全くなく、ED50を達成する循環濃度の範囲内にあることが望ましい。
投与量は、用いられる剤形、患者の感受性並びに投与経路に応じてこの範囲内で
変わってくる。
【0154】 正確な投与量は、処置が必要な患者に関連する要因を考慮して担当医師が選択
する。用量及び投与は、主成分を十分なレベルだけ与え、かつ所望の効果を維持
するべく調節する。考慮すべき要素としては、疾病状態の重症度、患者の全身の
健康状態、患者の年齢、体重、並びに性別、食事、投与の時間及び頻度、併用す
る薬剤、反応感受性、並びに治療に対する耐性/反応等が挙げられる。長期的に
作用する医薬品組成物は、その特定の製剤のクリアランス率に応じて、3〜4日
毎に、1週間毎に、或いは2週間に1度投与することができる。
【0155】 通常の投与量は0.1〜100,000μgの範囲にあって、全投与量は最大
約1gであり、投与経路に応じて変わってくる。特定の投与量或いはデリバリー
方法に関する手引きは、当分野の実施者が通常入手できる文献に見出すことがで
きる。当業者であれば、ヌクレオチドでは、タンパク質やインヒビター用の剤形
とは異なる剤形を採用するであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドのデリバリーの方式は、特定の細胞、状態、位置等によって決まってくる。
【0156】 (診断) 別の実施例では、HGFHに特異的に結合する抗体を、HGFHの発現によっ
て特性化される疾病の診断、或いは、HGFHやHGFHのアゴニスト、アンタ
ゴニスト、またはインヒビターで治療を受けている患者のモニタリングのための
アッセイにおいて用いることができる。診断のために有用な抗体は、上述の治療
用のものと同一の方法で作り出すことができる。HGFHの診断アッセイとして
、ヒトの体液、細胞或いは組織の抽出物においてHGFHを検出するために抗体
或いは標識を利用する方法がある。この抗体は、修飾して用いても、修飾なしで
用いてもよく、共有結合または非共有結合の何れかでリポーター分子と結合させ
ることにより標識することができる。その幾つかについては上記した種々のリポ
ーター分子が知られており、それを用いることができる。
【0157】 例えばELISA(酵素結合免疫測定法)、RIA(ラジオイムノアッセイ)
並びにFACS(蛍光表示式細胞分取器法)のようなHGFHを測定するための
種々のプロトコルが当分野では周知であり、これによってHGFH発現の変化や
異常を診断するための基礎が得られる。HGFHの発現の正常値、即ち標準値は
、哺乳動物、好ましくはヒトの正常な被験者から得られる体液或いは細胞抽出物
とHGFHの抗体とを、複合体形成に適した条件の下で結合させることによって
確立する。標準の複合体形成量は、様々な方法、好ましくは測光手段を用いるこ
とにより定量することができる。被験者の生検組織の患部組織サンプル及び対照
サンプルにおいて発現されたHGFHの量を、標準値と比較する。標準値と被験
者の値との偏差から、疾病の診断のためのパラメータを確立する。
【0158】 本発明の別の実施例では、HGFHをコードするポリヌクレオチドを診断目的
で用いることができる。使用できるポリヌクレオチドとしては、オリゴヌクレオ
チド配列、相補的RNA及びDNA分子、及びPNA等がある。このポリヌクレ
オチドは、HGFHの発現が疾病と関係がある可能性がある生検組織における遺
伝子発現を検出し、定量するために用いられる。診断アッセイは、HGFHが存
在する状態か、存在しない状態か、過剰発現している状態の何れの状態にあるか
を区別したり、治療的な介入においてHGFHレベルの調節をモニタリングする
ために利用することができる。
【0159】 或る実施態様では、HGFHまたは近縁な分子をコードする、ゲノム配列を含
むポリヌクレオチド配列を検出できるPCRプローブとのハイブリダイゼーショ
ンを利用して、HGFHをコードする核酸配列を同定することができる。そのプ
ローブの特異性、即ちそのプローブが非常に高度に特異的な領域(例えば5′調
節領域における10個の独特のヌクレオチド)、或いは特異性の低い領域(例え
ば特に3′コーディング領域)の何れに由来するのかということ、及びハイブリ
ダイゼーション或いは増幅の(高い、中程度の或いは低い)ストリンジェンシー
により、そのプローブが自然発生HGFHのみを同定するものであるか、或いは
アレル配列や近縁な配列も同定するものであるかが決まる。
【0160】 プローブは、近縁な配列を検出するためにも用いることができ、好ましくは、
HGFHをコードする任意の配列に基づくヌクレオチドを少なくとも50%含む
べきである。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、配列番号:2、配列
番号:4、配列番号:6、配列番号:8のヌクレオチド配列か、自然発生HGF
Hのイントロン、プロモータ、及びエンハンサーエレメントを含むゲノムの配列
に由来するものであり得る。
【0161】 HGFHをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプロー
ブを作製するための手段としては、HGFHやHGFH誘導体をコードする核酸
配列を、mRNAプローブ生成のためのベクターにクローン化する方法がある。
このようなベクターは周知で市販されており、適切なRNAポリメラーゼや適切
な標識ヌクレオチドを付加することによりin vitroでのRNAプローブ合成のた
めに用いることができる。ハイブリダイゼーションプローブは様々なリポータ分
子により標識することができる。例えば、32Pや35Sのような放射性核種により
、アビジン/ビオチン結合系を介してプローブに結合するアルカリホスファター
ゼのような酵素標識等により標識することができる。
【0162】 HGFHをコードするポリヌクレオチド配列を、HGFHの発現に関連する疾
患の診断のために用いることができる。そのような疾患の例としては、以下に限
定するものではないが、 例えば、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、滑液嚢炎、肝硬変、肝炎、混
合型結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間血色素尿症、真正赤血球
増加症、乾癬、原発性血小板血症、及び腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄
腫、肉腫、奇形癌腫のような癌、具体的には、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房
、軟骨、子宮頚、胆嚢、神経節、胃腸管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、
膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、及
び子宮の癌等の細胞増殖の障害や、 例えば、尿細管性アシドーシス、貧血症、クッシング症候群、軟骨形成不全性
小人症、デュシェンヌ・ベッカー型筋ジストロフィー、てんかん、性腺形成異常
症、WAGR症候群、Smith−Magenis症候群、脊髄形成異常症候群
、遺伝性粘膜上皮形成異常、遺伝性角皮症、例えばシャルコー・マリー・ツース
病や神経線維腫症のような遺伝性神経病、甲状腺機能低下症、水頭症、例えばシ
ドナム舞踏病や脳性小児麻痺のような発作障害、2分脊椎、及び先天性緑内障、
白内障、又は感覚神経性聴力損失等の発達障害などが挙げられる。HGFHをコ
ードするポリヌクレオチド配列を、患者の組織や体液を利用する、サザンブロッ
ト法或いはノーザンブロット法、ドットブロット法或いは他の膜をベースにした
技術や、PCR技術、ディップスティック試験法(試験紙法)、ピン技術、及び
ELISAアッセイや、マイクロアレイにおいて用いることによって、HGFH
発現の変化を検出することができる。このような定性的或いは定量的試験法は当
分野では周知である。
【0163】 特定の実施態様では、種々の癌、特に上に列挙した癌の活性化即ち誘発を検出
するアッセイにおいてHGFHをコードするヌクレオチド配列が有用であり得る
。HGFHをコードするヌクレオチド配列を標準的な方法で標識し、ハイブリダ
イゼーション複合体の形成に適した条件の下で患者の体液や組織サンプルに加え
ることができる。適当なインキュベーション時間の経過後、このサンプルを洗浄
し、シグナルを定量して標準値と比較する。生検サンプルまたは抽出サンプルに
おけるシグナルの量が、比較できる対照サンプルのシグナル量と有意に異なって
いる場合、このヌクレオチド配列はサンプルのヌクレオチド配列とハイブリダイ
ズしており、サンプルのなかのHGFHをコードするヌクレオチド配列のレベル
の変化が生じていることは、関連する疾患の存在を示している。このようなアッ
セイは、動物実験、臨床試験、または個々の患者の治療のモニタリングにおいて
特定の治療上の処置の有効性を評価するために用いることもできる。
【0164】 HGFHの発現に関連する疾病の診断の基礎とするために、正常な、即ち標準
の発現プロフィールを確立する。この標準プロフィールは、動物或いはヒト何れ
かの正常な被験者から採取された体液或いは細胞の抽出物を、ハイブリダイゼー
ション或いは増幅に適した条件下でHGFHをコードする配列又はその断片と結
合することにより確立し得る。標準のハイブリッド形成量は、既知の量の実質的
に精製されたHGFHが用いられる実験で得られる値と、正常被験者で得られる
値とを比較することにより定量することができる。正常なサンプルから得られた
標準値は、疾病の症状を呈する患者のサンプルから得られる値と比較することが
できる。標準値と被験者値との偏差を用いて疾病の存在を確認する。
【0165】 一旦疾患が確認され、治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーショ
ンアッセイを定期的に反復して行って、患者における発現のレベルが正常な患者
において観察されるレベルに近づき始めたか否かを評価することができる。継続
的なアッセイから得られる結果を用いて、数日間或いは数ヶ月にわたる期間での
治療の効果を知ることができる。
【0166】 癌については、患者の生検組織において転写物が比較的多量に存在することが
、疾病の発生の素因を示す。つまり実際の臨床的症状が現れる前に疾病を検出す
る手段となり得る。このタイプの確定診断により、医療従事者が予防的処置を講
じたり、より早期に積極的な治療を開始し、癌の発生や更なる進行を予防するこ
とが可能となる。
【0167】 HGFHをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドの別の診断目的
の使用法では、PCR法での利用があり得る。このようなオリゴマーは化学的に
合成したり、酵素を用いて作製したり、或いはin vitroで作製することができる
。オリゴマーは、好ましくは、HGFHをコードするポリヌクレオチドの断片、
又はHGFHをコードするポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドの断片
を含み、かつ特定の遺伝子或いは状態を特定するために最適な条件下で用いられ
る。また、オリゴマーを、低いストリンジェンシーの条件の下で用いて、近縁な
DNAまたはRNA配列の検出及び/または定量を行うこともできる。
【0168】 HGFHの発現を定量するために用いることができる方法として、放射標識(
radiolabeling)或いはビオチン標識したヌクレオチドの利用、対照の核酸の同 時増幅(coamplification)の利用、並びに実験結果を補完して引かれた標準の グラフ曲線の利用等がある(例えば、Melby, P.C.他(1993) J. Immunol. Method
s, 159:235-44;Duplaa, C.他(1993) Anal. Biochem. 229-236参照)。多数のサ
ンプルの定量では、目的のオリゴマーが複数の希釈溶液中に存在し、分光光度計
を用いたり比色定量により迅速に定量することができるようなELISA形式の
アッセイを行うことによって一層定量のスピードを上げることができる。
【0169】 別の実施例では、ここに開示するポリヌクレオチド配列の何れかに由来するオ
リゴヌクレオチドまたはより大形の断片を、マイクロアレイにおけるターゲット
(標的)として用いることができる。マイクロアレイを用いることにより、多く
の遺伝子の発現レベルを同時にモニタし(転写物イメージを生成する)、また遺
伝子の変異体、変異及び多型を同定することができる。この情報は、遺伝子の機
能の決定や、疾病の遺伝的な基礎の理解、疾病の診断、及び治療薬の開発やその
活性のモニタリングのために利用することができる。
【0170】 マイクロアレイは、周知の方法により、準備し、使用し、かつ解析することが
できる(例えば、Brennan, T.M.ら (1995)米国特許第5,474,796号; Schena, M. ら (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. 93:10614-10619; Baldeschweilerら (1995)
PCT出願WO95/251116; Shalon, D.ら (1995) PCT出願WO95/35505; Heller, R.A.
ら (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2150-2155; 及びHeller, M.J.ら (1997)
米国特許第5,605,662号)。
【0171】 本発明の別の実施例では、HGFHをコードする核酸配列を用いて、自然発生
のゲノム配列マッピングのために有用なハイブリダイゼーションプローブを作り
出すこともできる。この配列は、特定の染色体、染色体の特定の領域、又は人工
染色体作製物にマッピングし得る。人工染色体作製物としては、例えばヒト人工
染色体(HACs)、酵母菌人工染色体(YACs)、細菌人工染色体(BAC
s)、細菌性P1作製物又は単染色体cDNAライブラリー等がある(例えば、
Price, C.M. (1993) Blood Rev. 7:127-134, 及びTrask, B.J. (1991) Trends G
enet. 7:149-154参照)。
【0172】 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的染色体マッ ピング技術及び遺伝子地図データと相互関係を有し得る(Meyers, R. A. (ed.)
Molecular Biology and Biotechnology, VCH Publishers New York, NY, pp. 96
5-968に記載のHeinz-Ulrichら (1995)参照)。遺伝子地図データの例は、種々の
科学誌や、Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)に見ることができる 。物理的染色体地図上でのHGFHをコードする配列の位置と特定の疾病(また
は特定の疾病の素因)との相関関係を助けとして、或る遺伝病に関連するDNA
の領域を決定することができる。本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者、
キャリア、または患者の遺伝子配列の違いを検出することができる。
【0173】 染色体調製物のin situハイブリダイゼーションや、確立された染色体マーカ ーを用いる連鎖解析のような物理的マッピング技術を、遺伝子地図を拡大するた
めに用いることができる。多くの場合、特定のヒト染色体の数やアームが未知で
あっても、マウスのような別の哺乳動物の染色体上の遺伝子配置から、関連する
マーカーがわかる。新たな配列は、物理的マッピングにより染色体のアームまた
はその一部へ割当てることができる。これにより、位置クローニング或いは他の
遺伝子発見技術を用いて疾病遺伝子を調査する研究者に貴重な情報を提供するこ
とができる。例えば毛細血管拡張性運動失調(AT)が11q22-23に位置決定された
ように(例えば、Gatti, R.A.他(1988)Nature 336:577-580参照)、一旦疾患 或いは症候群が特定のゲノム領域に粗く位置決定されたならば、その領域にマッ
ピングされる任意の配列は、さらなる研究のための関連する遺伝子、或いは調節
遺伝子を表し得ることになる。本発明のヌクレオチド配列を、転座、逆位等によ
って生じた、正常者、キャリア、及び患者の間の染色体の位置の違いを検出する
ために用いることもできる。
【0174】 本発明の別の実施例では、HGFHや、その触媒作用性または免疫原性断片、
オリゴペプチドを、様々な薬物スクリーニング技術において化合物のスクリーニ
ングのために用いることができる。このようなスクリーニングにおいて用いられ
る断片は、溶液に遊離した形態で存在するか、固体支持体へ付着した形態で存在
するか、細胞表面へ付着した形態で存在するか、或いは細胞内に存在するもので
あり得る。HGFHと試験対象の薬剤との結合複合体形成を測定することができ
る。
【0175】 別の薬物スクリーニング技術によって、対象のタンパク質に対する適切な結合
親和性を有する化合物の高スループットのスクリーニングを行うことができる(
例えば、Geysenら (1984) PCT出願WO84/03564参照)。この方法では、HGFH に適用する場合、多数の異なる小形の試験対象の化合物を、プラスチックピン或
いは他の表面のような固体基板上で合成する。この試験対象の化合物をHGFH
又はその断片と反応させ、洗浄する。次に結合したHGFHを当分野で周知の方
法により検出する。また、前述の薬物スクリーニング技術において使用するため
に、精製したHGFHをプレート上に直接コーティングすることもできる。或い
は、非中和抗体を用いてペプチドを捕捉し、固体基板上に固定することができる
【0176】 別の実施例では、HGFHに結合し得る中和抗体が、HGFHとの結合につい
て試験対象の化合物と特異的に競合する競合的薬物スクリーニングアッセイを用
いることができる。この方法では、抗体を用いて、HGFHの1または2以上の
抗原決定基を共通に有する任意のペプチドの存在を検出することができる。
【0177】 更に別の実施例では、現在までに開発されていない分子生物学上の技術であっ
ても、その新技術がヌクレオチド配列の現在までに知られている特性(例えば、
以下に限らないが、トリプレット遺伝暗号及び特異的塩基対合のような特性)に
基づく技術であるならば、その技術においてHGFHをコードするヌクレオチド
配列を用いることができる。
【0178】 以下の実施例は、本発明の単なる例示であり、本発明をこの実施例に限定しよ
うとするものではない。
【0179】
【実施例】
1 cDNAライブラリーの作製 BRAITUT03 BRAITUT03 cDNAライブラリーを、年齢17歳の白人女性の左前葉から脳髄
膜病変の切除の際に採取された脳腫瘍組織から作製した。冷凍組織を、Brinkman
n Homogenizer Polytron-PT 3000(Brinkmann Instruments, Westbury, NY)を 用いて、グアニジウムイソチオシアネート中でホモジナイズし溶解した。この溶
解産物を酸性フェノールで1回抽出し、Stratagene社のプロトコル(Stratagene
, La Jolla, CA)に従ってRNAを単離した。このRNAを、酸性フェノールで
2回抽出し、酢酸ナトリウム及びエタノールで沈殿させて、RNAの無い水に再
懸濁し、DNアーゼで処理した。
【0180】 UTRSNOT05 UTRSNOT05 cDNAライブラリーは、年齢45歳の白人女性から、腹式子宮全
摘出術及び全結腸切除術の際に採取された非腫瘍性子宮組織から作製した。冷凍
組織を、Brinkmann Homogenizer Polytron-PT 3000(Brinkmann Instruments, W
estbury, NY)を用いて、グアニジニウムイソチオシアネート中でホモジナイズ し溶解した。この溶解産物を、CsCl密度勾配遠心分離法により遠心分離し、
RNAを単離した。このRNAを、酸性フェノールで抽出し、酢酸ナトリウム及
びエタノールで沈殿させて、RNAの無い水に再懸濁し、DNアーゼで処理した
。更にこのRNAを上述と同様に再抽出し、再沈殿させた。
【0181】 KIDNNOT19及びBRONNOT01 KIDNNOT19 cDNAライブラリーは、年齢65歳の白人男性から、試験的開腹
術及び腎尿管切除術の際に採取された非腫瘍性腎臓組織から作製した。BRONNOT0
1 cDNAライブラリーは、事故死した、アルコール、タバコ、及びマリワナ使
用の既往症のある年齢15歳の白人男子から採取された気管支組織から作製した
。各ライブラリーについて、冷凍組織を、Brinkmann Homogenizer Polytron-PT
3000(Brinkmann Instruments)を用いて、TRIzol試薬(1gの組織/10mlのTRIzo
l;品番10296-028, Gibco/BRL, Gaithersburg, MD)即ちフェノール及びグアニ ジニウムイソチオシアネートの単一組成細胞溶液(monoplastic solution)にお
いてホモジナイズし溶解した。短時間インキュベートした後、クロロホルムを加
え(1:5 v/v)、この混合物を遠心分離した。上清を取り出して新たな試験管に 移し、イソプロパノールでRNAを沈殿させて、RNアーゼの無い水に再懸濁し
、DNアーゼで処理した。このRNAを酢酸ナトリウムとエタノールを用いて沈
殿させた。BRONNOT01については、この最後の沈殿過程の前に、酸性フェノール による抽出を行った。
【0182】 BRAITUT03、UTRSNOT05、KIDNNOT19、及びBRONNOT01 Qiagen Oligotex kit(QIAGEN Inc, Chatworth, CA)を用いて、上述の4種類
のRNA調製物のそれぞれからポリ(A+)RNAを単離した。SuperScript Pl
asmid System(品番18248-013, Gibco/BRL, Gaithersburg, MD)の推奨プロトコ
ルに従って、ポリ(A+)RNAを用いて各cDNAライブラリーを作製した。
cDNAをSepharose CL4Bカラム(品番275105, Pharmacia, Piscataway, NJ) において分画化する。BRAITUT03については、400bpを超えるcDNAをpSp
ort Iプラスミド(Gibco/BRL)に連結した。UTRSNOT05、KIDNNOT19、及びBRONNO
T01については、400bpを超えるcDNAを、pSPORT Iの誘導体プラスミド であるpINCY 1プラスミド(Incyte)に連結した。次にこれらのプラスミドを全 て、DH5αTMコンピテント細胞(品番18258-012, Gibco/BRL)に形質転換した。
【0183】 2 cDNAクローンの単離及び配列決定 プラスミドDNAはこの細胞から放出され、これをREAL Prep 96 Plasmid Kit
(Catalog #26173,QIAGEN, Inc., Chatsworth, CA)を用いて精製した。推奨プ ロトコルを採用したが、以下の点を変更した。(1)25mg/Lのカルベニシ
リン及び0.4%のグリセロールを含む1mlの滅菌Terrific Broth (品番227
11, Gibco/BRL)において細菌を培養した。(2)播種の後、培溶液を19時間 インキュベートし、インキュベーションの終了時に、この細胞を0.3mlの溶
解バッファーに溶解した。(3)イソプロパノール沈殿を行った後、プラスミド
DNAのペレットを0.1mlの蒸留水に再懸濁した。プラスミドDNAのサン
プルは、4℃で保管した。
【0184】 このcDNAの配列決定は、Peltier Thermal Cyclers (MJ Research, Water
town, MA製のPTC200)及びApplied Biosystems社製の377 DNA Sequencing Syste
msと組み合わせてHamilton Micro Lab 2200 (Hamilton, Reno, NV)を用いて、
Sangerらの方法(1975, J. Mol. Biol.94:441f)により行い、読み枠を決定した
【0185】 3 cDNAクローン及びそれらの類推されるタンパク質の相同性検索 配列表のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を問い合わせ配列として用いて、
例えばGenBank、SwissProt、BLOCKS、及びPima IIのようなデータベースを検索 した。これらのデータベースには既に同定された配列が注釈付きで含められてお
り、BLAST(Basic Local Alignment Toolを表す)を用いて相同性(類似性)を 有する領域をこのデータベースのなかから検索した(例えば、Altschul. S.F. (
1993) J. Mol. Evol. 36:290-300; Altschul他(1990) J. Mol. Biol. 215:403-4
10参照)。
【0186】 BLASTは、ヌクレオチド及びアミノ酸配列の両方のアライメントを作成して配 列の類似性を決定する。そのアライメントの局所的性質のために、BLASTは正確 な一致、すなわち原核生物(細菌)や真核生物(動物、菌類、又は植物)を起源
とするホモログを特定する際に特に有効である。一次配列パターンや二次構造の
ギャップペナルティを処理する場合には、他のアルゴリズムを用いることができ
る(例えば、Smith Tら (1992) Protein Engineering 5:35-51参照)。本明細書
に開示された配列の長さは少なくとも49ヌクレオチドであり、不必要な塩基は
12%以下である(ここでNはA、C、G、又はT以外と記録されたものである
)。
【0187】 BLAST法は、問い合わせ配列とデータベースの配列の一致を検索し、発見した あらゆる配列の一致の統計的有意性を評価して、ユーザが選択した有意性の閾値
を満たす一致のみを報告する。本出願での閾値は、ヌクレオチドで10-25、ペ プチドで10-8に設定した。
【0188】 インサイト社のヌクレオチド配列を、霊長類(pri)、げっ歯類(rod)、及び
他の哺乳類配列(mam)のGenBankデータベースで検索し、次に同じクローンから
類推されるアミノ酸配列を、GenBankの機能性タンパク質データベース、哺乳類 (mamp)、脊椎動物(vrtp)、及び真核生物(eukp)で、相同性について検索し
た。
【0189】 4 ノーザン法による解析 ノーザン法解析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験技
術であり、標識されたヌクレオチド配列と、特定の細胞タイプまたは組織のRN
Aが結合しているメンブランとのハイブリダイゼーションを行う(例えば、Samb
rook, 前出, ch. 7; 及びAusubel, F.M.ら 前出, ch. 4及び16参照)。
【0190】 BLASTを利用する類似のコンピュータ技術を用いて、GenBank又はLIFESEQTMデ ータベースのようなヌクレオチドデータベースにおいて同一の又は近縁な分子を
検索する。この解析にかかる時間は、複数回の膜をベースにしたハイブリダイゼ
ーションより非常に短時間である。加えて、特定の一致が正確な一致に分類され
るか、或いは相同なものに分類されるかを決定するべく、コンピュータ検索の感
度を変えることができる。
【0191】 検索の基準値は、積スコア(product score)であり、これは以下の式で定義 されるものである。 (配列の一致(%)×最大BLASTスコア(%))/100 この積スコアでは、2つの配列間の類似性の程度、及び配列の長さの一致の双方
が考慮される。例えば、積スコアが40の場合は、一致は誤差が1〜2%の範囲
で正確であり、スコアが70の場合は正確に一致している。相同な分子は、通常
積スコアとして15〜40を示すものを選択することにより同定されるが、これ
よりスコアの低いものは近縁な分子として同定される。
【0192】 ノーザン法による解析の結果は、HGFHをコードする転写物が発生するライ
ブラリーのリストとして報告される。存在量(abundance)及びパーセント存在 率(percent abundance)も報告される。存在量は、cDNAライブラリーに特 定の転写物が存在する回数を直接的に反映し、パーセント存在率は、存在量をc
DNAライブラリーにおいて検出された配列の総数で除したものである。
【0193】 5 HGFHをコードする配列の延長 インサイト社クローンNo. 862403、2676869、1568019、及び3577857の核酸配 列を用いて、部分的ヌクレオチド配列を完全長まで伸長させるためのオリゴヌク
レオチドプライマーを設計した。一方のプライマーはアンチセンス方向の延長を
開始するために合成し、他方のプライマーはセンス方向に配列を延長するために
合成した。これらのプライマーを用いて、既知のHGFH配列を「外側に」延長
し、興味の対象の領域の新しい未知のヌクレオチド配列を含むアンプリコンを生
成した。初めのプライマーは、OLIGO 4.06(National Biosciences社)、或いは
他の適切なプログラムを用いて設計したもので、約22個から約30個のヌクレ
オチドからなる長さで、50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜約72℃の
温度で標的配列にアニールするように設計した。ヘアピン構造及びプライマー−
プライマー二量体化を生じるようなあらゆるヌクレオチドのストレッチは除いた
【0194】 選択されたヒトcDNAライブラリー(Gibco/BRL)を用いて、この配列を延 長した。2段階以上の延長が必要または望ましい場合は、既知領域をさらに延長
するための追加のプライマーの組を設計する。
【0195】 XL-PCRキット(Perkin Elmer)の説明書の指示に従って、酵素と反応混合物と
を徹底的に混合することにより、高い忠実度の増幅がなされる。40pmolの
各プライマーと、推奨された濃度のキットの他の全ての成分とから増幅を開始す
る場合、Peltier Thermal Cycler(PTC200;M.J. Reserch, Watertown MA)を用
いて、以下のパラメータ、即ち ステップ1 94℃で1分間(初期変性) ステップ2 65℃で1分間 ステップ3 68℃で6分間 ステップ4 94℃で15秒間 ステップ5 65℃で1分間 ステップ6 68℃で7分間 ステップ7 ステップ4〜6をさらに15サイクル反復 ステップ8 94℃で15秒間 ステップ9 65℃で1分間 ステップ10 68℃で7分15秒間 ステップ11 ステップ8〜10を12サイクル反復 ステップ12 72℃で8分間 ステップ13 4℃(その温度を保持) でPCRを行った。
【0196】 反応混合物の5〜10μlのアリコットを、低濃度(約0.6〜0.8%)ア
ガロースミニゲル上での電気泳動で解析して、配列を延長する反応が成功したか
否かを決定した。最も大きな生成物即ちバンドを選択して、ゲルから切り出し、
QIAQuickTM(QIAGEN Inc., Chatsworth, CA)を用いて精製し、Klenow酵素を用 いて一本鎖ヌクレオチドの延び出し(overhang)を切り取って、再結合及びクロ
ーニングを容易にする平滑末端を作った。
【0197】 エタノール沈殿の後、生成物を13μlの連結バッファーに再溶解し、1μl
のT4−DNAリガーゼ(15単位)及び1μlのT4ポリヌクレオチドキナー
ゼを加えて、その混合物を室温で2〜3時間、或いは16℃で終夜インキュベー
トした。コンピテントな大腸菌細胞(40μlの適切な培養液内にある)を、3
μlのライゲーション混合物を用いて形質転換し、80μlのSOC培地で培養
した(例えば、Sembrook他, 前出, Appendix A, p. 1)。37℃で1時間のイン
キュベーションの後、全ての形質転換混合物を、2xCarbを含むLuria Bertani(L
B)寒天(例えば、Sembrook他, 前出, Appendix A, p. 2)上にのせた。後日、 いくつかのコロニーを各プレートから無作為に選択し、適切な市販の無菌の96
穴マイクロタイタープレートの各のウェル内に入れられた150μlの液状LB
/2xCarb培地で培養した。さらに後日、各5μlの終夜の培養物を非滅菌
96穴プレート内に移し、水で1:10に希釈した後、それぞれ5μlのサンプ
ルをPCRアレイに移した。
【0198】 PCR増幅のため、4単位のrTth DNAポリメラーゼを含む18μlの濃縮 PCR反応混合物(3.3x)、ベクタープライマー、並びに延長反応に用いら
れる遺伝子に特異的なプライマーの一方或いは両方を各ウェルに加えた。増幅は
、以下の条件、即ち ステップ1 94℃で60秒間 ステップ2 94℃で20秒間 ステップ3 55℃で30秒間 ステップ4 72℃で90秒間 ステップ5 ステップ2〜4をさらに29サイクル反復 ステップ6 72℃で180秒間 ステップ7 4℃(そのまま保持) で行った。
【0199】 PCR反応物のアリコットを、分子量マーカーと共にアガロースゲル上を走ら
せた。PCR生成物のサイズを元の部分的cDNAと比較して、適切なクローン
を選択し、プラスミドに結合して、配列決定を行った。
【0200】 同様に、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、及び配列番号:8のヌ
クレオチド配列を用いて、上述の手順を用いて5′調節配列を得ること、5′方
向の延長のために設計されたオリゴヌクレオチドを得ること、及び適切なゲノム
ライブラリーを得ることが可能である。
【0201】 6 ハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、及び配列番号:8の配列から作
られたハイブリダイゼーションプローブを用いて、cDNA、mRNA並びにゲ
ノムDNAをスクリーニングする。約20の塩基対からなるオリゴヌクレオチド
の標識について特に記すが、より大きなcDNAフラグメントの場合でも概ね同
じ手順を用いる。OLIGO4.06(National Bioscience)のような最新式のソフトウ
ェアを用いてオリゴヌクレオチドを設計し、それぞれ50pmolのオリゴマー
と、250μCiの[γ‐32P]アデノシン三リン酸(Amersham, Chicago, IL) 及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN、Boston MA)とを結合するこ とによって標識する。標識されたオリゴヌクレオチドを、Sephadex G-25超微粒
子樹脂カラム(Pharmacia & Upjohn)を用いて精製する。毎分107カウントの 標識されたプローブを含むアリコットを、エンドヌクレアーゼAseI,Bgl II,Ec
oRI,Pst I,Xba1或いはPvuII;DuPont NENの1つを用いて消化したヒトゲノム DNAの一般的な膜を用いるハイブリダイゼーション解析において用いる。
【0202】 各消化物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画化して、ナイロン
膜(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)にトランスファーする。
ハイブリダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取
り除くため、ブロットを、0.1xクエン酸ナトリウム水及び0.5%ドデシル
硫酸ナトリウムまでの、段階的にストリンジェンシーが増す条件下で室温にて順
次洗浄する。XOMAT ARTMフィルム(Kodak, Rochester, NY)を、Phosphoimager カセット(Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA)においてブロットに数時間露 光した後、ハイブリダイゼーションパターンを視覚的に比較する。
【0203】 7 マイクロアレイ 化学結合プロシージャ及びインクジェット装置を用いて、基板の表面上でアレ
イのエレメントを合成する(例えば、Baldeschweiler他, 前出, 参照)。ドット
ブロット又はスロットブロットに類似したアレイを使用し、真空システム、熱、
UV、機械的又は化学的結合プロシージャを利用してエレメントを基板の表面上
に配置し結合させることができる。一般的なアレイは、手作業で製作するか、或
いは利用可能な方法及び装置を用いることにより製作することができ、このアレ
イは、任意の適切な数のエレメントを含む。ハイブリダイゼーションの後、ハイ
ブリダイズしていないプローブを除去し、スキャナーを用いて蛍光のレベル及び
パターンを求める。スキャンされた画像を調べて、マイクロアレイ上の各オリゴ
ヌクレオチド配列の相補性の程度及び相対的な存在量を求める。
【0204】 別の実施形態では、完全長cDNAまたは発現される配列タグ(ESTs)が
、マイクロアレイのエレメントを含む。本発明のヌクレオチド配列の1つに対応
する、又は本発明に関連するcDNAライブラリーから無作為に選択された完全
長cDNA又はESTsを、適切な基板、例えばスライドガラス上に配置する。
そのcDNAは、例えば、UV架橋処理の後に熱及び化学薬品による処理を行っ
て乾燥することによってスライドガラス上に固定する(例えば、Schena. Mら (1
995) Science 270:467-470; 及びShalon, D.ら (1996) Genome Res. 6:639-645 )。基板上のエレメントへのハイブリダイゼーションのために蛍光プローブを作
製して使用する。この基板を、上述の手順によって解析する。
【0205】 ポリペプチドを含むシグナル配列をコードする遺伝子に共通な保存タンパク質
モチーフを有する配列を見つけるために、様々なcDNAライブラリーから多数
のクローンをスクリーニングすることによってマイクロアレイ用のプローブの配
列を選択することができる。或る実施態様では、適切な解析用プログラム、例え
ばBlock 2 Bioanalysisプログラム(Incyte, Palo Alto, CA)を用いて、cDN
Aライブラリーから特定された配列を解析して、保存タンパク質モチーフを有す
る遺伝子配列を特定する。このモチーフ解析プログラムは、Swiss-Protデータベ
ース及びPROSITEに含められた配列情報に基づいており、ゲノムの又は cDNAの配列から翻訳された、特性化されていないタンパク質の機能を決定す
るメソッドである(例えば、Bairoch, A.ら (1997) Nucleic Acids Res. 25:217
-221; 及びAttwood, T. K.ら (1997) J. Chem. Inf. Comput. Sci. 37:417-424 参照)。著しい配列の相違のために保存モチーフを用いて検出することができな
い機能的又は構造的ドメインを特定するために、PROSITEを用いることができる 。この方法は、加重マトリクスに基づくものである。次に、この方法によって特
定されたモチーフを、SWISS-PROTデータベースに対して較正して、一致の可能性
の分布の測定値を得る。
【0206】 別の実施態様では、隠れマルコフモデル(HMMs;Hidden Markov models)
を用いて、共通のモチーフ、特にコンセンサス配列を見出すことができる(例え
ば、Pearson, W.R.及びD.J. Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. 85:2444-2
448;及びSmith, T.F.及びM.S. Waterman (1981) J. Mol. Biol. 147:195-197参
照)。HMMsは、当初は音声認識パターンを調べるために開発されたが、現在
では生物学的な面でタンパク質や核酸の配列解析や、タンパク質の構造のモデリ
ングのために用いられている(例えば、Krogh, A.ら (1994) J. Mol. Biol. 235
:1501-1531;及びCollin, M.ら (1993) Protein Sci. 2:305-314参照)。HMM
sは、形式的確率論に基づいており、アミノ酸又はヌクレオチドについての位置
特異的なスコアを用いる。このアルゴリズムは、継続的に新規に特定された配列
からの情報を組み込んで、そのモチーフ解析能を高める。
【0207】 8 相補的ポリヌクレオチド HGFHをコードする配列或いはその任意の一部分に相補的な配列は、自然発
生のHGFHの発現を低下、即ち阻害するために用られる。約15〜約30塩基
対からなるオリゴヌクレオチドの使用について特に記すが、より小さな或いはよ
り大きな配列フラグメントの場合でも基本的に同じ方法を用いることができる。
Oligo4.06ソフトウェア及びHGFHのコーディング配列を用いて、適切なオリ ゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害するためには、最も独特な5′配列から
相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、これを用いてプロモーターが結合しない
ようにする。翻訳を阻害するためには、相補的なオリゴヌクレオチドを設計して
、リボソームがHGFHをコードする転写物に結合しないようにする。
【0208】 9 HGFHの発現 HGFHの発現は、cDNAを適切なベクター内にサブクローニングし、その
ベクターを宿主細胞に形質転換することによって達成される。このベクターは、
例えばクローニング部位の上流のβガラクトシダーゼのような、目的のcDNA
と機能的に結びついた適切なプロモーターを有する(例えば、Sambrook, 前出,
pp. 404-433;及びRosenburg, M.ら (1983) Methods Enzymol. 101:1232-138参 照)。
【0209】 単離され、形質転換された細菌株を、標準的な方法を用いてイソプロピル−1
−チオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)で誘導すると、βガラクトシダーゼの第
1の8個の残基、概ね5個乃至15個の残基からなるリンカー、及び完全長タン
パク質からなる融合タンパク質が得られる。シグナル残基群は、培地へのHGF
Hの分泌を誘導し、この培地は次の活性のアッセイにおいて直接用いることがで
きる。
【0210】 10 HGFHの活性の立証 成長因子の活性についてのプロトタイプのアッセイによって、スイスマウス3
T3細胞におけるDNA合成の刺激を測定する(McKay及びLeigh, 前出)。DN
Aの合成の開始は、細胞が分裂周期に入ったこと、及び後に分割することになる
ことを意味する。3T3細胞は、分裂促進的なものだけでなく胚誘導に関与する
ものも含めた大抵の成長因子に対する応答についてコンピテントである。このコ
ンピテンシー(適格性)が可能となるのは、幾つかの成長因子によって立証され
るin vinoでの特異性は必ずしも固有のものであるとは限らないが、応答する組 織によって決定されるからである。従って、このアッセイは、通常HGFHに対
して適用することができる。このアッセイでは、[3H]チミジン、放射性DNA前
駆体の存在下で静止状態の3T3培養細胞に、様々な量のHGFHを添加する。
このアッセイのためのHGFHは、組換え手段によって、又は生化学的調製物か
ら得られる。酸で沈殿させることが可能なDNAへの[3H]チミジンの組み入れを
適切な時間間隔で測定し、組み入れられた量は新たに合成されたDNAの量と正
比例する。少なくとも100倍のHGFHの濃度範囲において添加量−応答線が
直線的になることが、成長因子の活性を示す。1ミリリットル当たりの1単位の
活性は、50%の応答レベルを生じさせるHGFHの濃度として定義される。こ
こで、100%の応答レベルは、酸で沈殿させることができるDNAへの[3H]チ
ミジンの最大組み入れ量を表す。
【0211】 11 HGFH特異的抗体の製造 PAGE電気泳動法(例えば、Harrington, M.G. (1990) Methods Enzymol. 1
82:488-495参照)、又は他の精製技術を用いて実質的に精製したHGFHを用い
て、標準的なプロトコルに従ってウサギを免疫化し、抗体を作り出す。HGFH
のアミノ酸配列をDNASTARソフトウエア(DNASTAR Inc.)を用いて解析して免疫 原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを合成し、当業者に周知の方
法でこれを用いて抗体を産生させる。適切なペプチド配列の選択及び抗体の産生
の技術は当業者に周知である。C末端付近のエピトープ或いは親水性領域内のエ
ピトープのような適切なエピトープの選択については、文献に記載されている(
例えば、Ausubel他 (前出), ch. 11参照)。
【0212】 一般的に、15残基の長さを有するオリゴペプチドを、Applied Biosystemsの
ペプチドシンセサイザModel 431Aを用いてfmoc法のケミストリにより合成し
、M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS
)を用いる反応によってキーホールリンペットヘモシニアン(KLH、Sigma, S
t. Louis, MO)に結合する(例えば、Ausubel他 (前出)参照)。フロイントの完
全アジュバント中のオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫化する
。得られた抗血清の抗ペプチド活性を試験するには、例えばペプチドをプラスチ
ックに結合し、1%BSAでブロックし、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、さ
らに放射性ヨウ素標識したヤギ抗ウサギIgGと反応させる。
【0213】 12 特異的抗体を用いる自然発生HGFHの精製 自然発生のHGFH或いは組換えHGFHを、HGFHに特異的な抗体を用い
るイムノアフィニティークロマトグラフィにより実質的に精製する。イムノアフ
ィニティーカラムは、CnBr-活性化 Sepharose(Pharmacia & Upjohn)のような 活性化クロマトグラフィーレジンとHGFH抗体とを共有結合で結合させること
により構築する。結合の後、そのレジンを使用説明書の指示に従って、ブロック
し洗浄する。
【0214】 HGFHを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、そのカラムをH
GFHを優先的に吸着できる条件下で(例えば界面活性剤の存在下において高イ
オン強度バッファーで)洗浄する。このカラムを、抗体とHGFHとの結合を切
るような条件下(例えばpH2〜3のバッファー、或いは高濃度の尿素またはチ
オシアン酸塩イオンのようなカオトロピックイオン)で溶出させ、HGFHを回
収する。
【0215】 13 HGFHと相互作用する分子の同定 HGFH又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬(例 えば、Bolton 他 (1973) Biochem. J. 133:529参照)で標識する。マルチウェル
プレートのウェルに予め配列しておいた候補の分子を、標識したHGFHととも
にインキュベートし、洗浄して、標識HGFH複合体を有するウェルをアッセイ
する。異なる濃度のHGFHを用いて得られたデータを用いて、候補の分子とH
GFHの会合、親和性、数の数値を計算する。
【0216】 上記のすべての刊行物及び特許明細書は、引用により本明細書の一部とする。
本発明の範囲及び精神から逸脱しない本明細書に記載した本発明の方法及びシス
テムの様々な改変は、当業者には明らかであろう。本発明は、特に好適な実施例
に関連して説明されているが、本発明の真の範囲は、そのような特定の実施例に
不当に制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或いは
関連分野の専門家には明らかな本発明の実施形態の様々な改変は、請求の範囲内
に含まれるものである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 HGFH−1(862403;配列番号:1)とマウス成長/分化因子9(GI 56720
6; 配列番号:9)とのアミノ酸配列アライメントの一部を示す図。配列のアラ イメントは、DNASTARTMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチシー
ケンスアライメントプログラムを用いて作成した。
【図1B】 HGFH−1(862403;配列番号:1)とマウス成長/分化因子9(GI 56720
6; 配列番号:9)とのアミノ酸配列アライメントの一部を示す図。配列のアラ イメントは、DNASTARTMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチシー
ケンスアライメントプログラムを用いて作成した。
【図1C】 HGFH−1(862403;配列番号:1)とマウス成長/分化因子9(GI 56720
6; 配列番号:9)とのアミノ酸配列アライメントの一部を示す図。配列のアラ イメントは、DNASTARTMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチシー
ケンスアライメントプログラムを用いて作成した。
【図2A】 HGFH−2(2676869;配列番号:3)とヒト肝細胞腫由来成長因子(GI 59
8956;配列番号:10)とのアミノ酸配列アライメントの一部を示す図。配列の
アライメントは、DNASTARTMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチ
シーケンスアライメントプログラムを用いて作成した。
【図2B】 HGFH−2(2676869;配列番号:3)とヒト肝細胞腫由来成長因子(GI 59
8956;配列番号:10)とのアミノ酸配列アライメントの一部を示す図。配列の
アライメントは、DNASTARTMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチ
シーケンスアライメントプログラムを用いて作成した。
【図3A】 HGFH−3(1568019;配列番号:5)と酵母菌Yhr074wp(GI 5008
32;配列番号:11)とのアミノ酸配列アライメントを示す図。配列のアライメ
ントは、DNASTARTMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチシーケン
スアライメントプログラムを用いて作成した。
【図3B】 HGFH−3(1568019;配列番号:5)と酵母菌Yhr074wp(GI 5008
32;配列番号:11)とのアミノ酸配列アライメントを示す図。配列のアライメ
ントは、DNASTARTMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチシーケン
スアライメントプログラムを用いて作成した。
【図3C】 HGFH−3(1568019;配列番号:5)と酵母菌Yhr074wp(GI 5008
32;配列番号:11)とのアミノ酸配列アライメントを示す図。配列のアライメ
ントは、DNASTARTMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチシーケン
スアライメントプログラムを用いて作成した。
【図3D】 HGFH−3(1568019;配列番号:5)と酵母菌Yhr074wp(GI 5008
32;配列番号:11)とのアミノ酸配列アライメントを示す図。配列のアライメ
ントは、DNASTARTMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチシーケン
スアライメントプログラムを用いて作成した。
【図4A】 HGFH−4(3577857;配列番号:7)とショウジョウバエねじれ原腸形成 タンパク質(Twisted Gastrulation)(GI 529900;配列番号:12)とのアミ ノ酸配列アライメントを示す図。配列のアライメントは、DNASTARTMソフトウェ ア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアライメントプログラムを 用いて作成した。
【図4B】 HGFH−4(3577857;配列番号:7)とショウジョウバエねじれ原腸形成 タンパク質(Twisted Gastrulation)(GI 529900;配列番号:12)とのアミ ノ酸配列アライメントを示す図。配列のアライメントは、DNASTARTMソフトウェ ア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアライメントプログラムを 用いて作成した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 C07K 14/475 4C085 111 16/22 4H045 C07K 14/475 C12N 1/15 16/22 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 G01N 33/53 D C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA C12Q 1/68 A61K 37/02 G01N 33/53 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ラル、プリーティ アメリカ合衆国カリフォルニア州95054・ サンタクララ・ラスドライブ 2382 (72)発明者 コーレイ、ニール・シー アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・#30・デールアベニュ ー 1240 (72)発明者 ボーグン、マライア アメリカ合衆国カリフォルニア州94577・ サンレアンドロ・サンチアゴロード 14244 (72)発明者 ゲグラー、カール・ジェイ アメリカ合衆国カリフォルニア州94025・ メンロパーク・オークランドアベニュー 1048 (72)発明者 タング、ワイ・トム アメリカ合衆国カリフォルニア州95118・ サンノゼ・ランウィックコート 4230 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA12 BA03 BA21 CA04 CA09 DA05 EA04 GA11 GA19 HA01 HA04 HA12 HA15 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ20 QQ42 QQ52 QR56 QR62 QR84 QS03 QS14 QS25 QS34 QX02 QX07 4B064 AG13 AG27 CA02 CA19 CC24 CE12 DA01 DA05 DA13 DA14 4B065 AA01X AA93Y AB01 AC14 BA02 BA25 CA24 CA44 CA46 4C084 AA01 AA16 DB52 NA14 ZA061 ZA062 ZA221 ZA222 ZA451 ZA452 ZA551 ZA552 ZA751 ZA752 ZA941 ZA942 ZB211 ZB212 ZB261 ZB262 ZC061 ZC062 4C085 AA13 AA14 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA01 DA30 EA23 EA28 EA51 FA74 GA26

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:
    7、配列番号:1の断片、配列番号:3の断片、配列番号:5の断片、及び配列
    番号:7の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、実質的に精製さ
    れたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%のアミ
    ノ酸配列同一性を有する、実質的に精製された変異体。
  3. 【請求項3】 請求項1のHGFHをコードする、単離され精製されたポ
    リヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項3のポリヌクレオチドに対して少なくとも90%の
    ポリヌクレオチド配列同一性を有する、単離され精製されたポリヌクレオチド変
    異体。
  5. 【請求項5】 請求項3のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件の
    下でハイブリダイズする、単離され精製されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチドに相補的な配列を有する、単
    離され精製されたポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:
    8、配列番号:2の断片、配列番号:4の断片、配列番号:6の断片、及び配列
    番号:8の断片からなる群から選択されたポリヌクレオチド配列を含む、単離さ
    れ精製されたポリヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 請求項7のポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌ
    クレオチド配列同一性を有する、単離され精製されたポリヌクレオチド変異体。
  9. 【請求項9】 請求項7のポリヌクレオチドに相補的な配列を有する、単
    離され精製されたポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 配列番号:2のヌクレオチド535番乃至570番、配
    列番号:4のヌクレオチド124番乃至156番、配列番号:6のヌクレオチド
    30番乃至62番、及び配列番号:8のヌクレオチド147番乃至182番から
    なる群から選択されたポリヌクレオチド配列を含む、請求項7のポリヌクレオチ
    ドの断片。
  11. 【請求項11】 請求項3のポリヌクレオチドの少なくとも断片を含む発
    現ベクター。
  12. 【請求項12】 請求項11の発現ベクターを含む宿主細胞。
  13. 【請求項13】 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号
    :7、配列番号:1の断片、配列番号:3の断片、配列番号:5の断片、又は配
    列番号:7の断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドの製造方法であって、 (a)前記ポリペプチドの発現に適した条件の下で請求項12の宿主細胞を培
    養する過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むこと
    を特徴とする配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列
    番号:1の断片、配列番号:3の断片、配列番号:5の断片、又は配列番号:7
    の断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1のポリペプチドを、適切な医薬用担体と共に含
    む医薬品組成物。
  15. 【請求項15】 請求項1のポリペプチドに特異的に結合する、精製され
    た抗体。
  16. 【請求項16】 請求項1のポリペプチドの、精製されたアゴニスト。
  17. 【請求項17】 請求項1のポリペプチドの、精製されたアンタゴニスト
  18. 【請求項18】 細胞増殖の障害の処置又は予防方法であって、 そのような処置が必要な患者に、請求項17のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む、細胞増殖の障害の処置又は予防方法。
  19. 【請求項19】 発達障害の処置又は予防方法であって、 そのような処置が必要な患者に、請求項14の医薬品組成物を有効な量投与す
    る過程を含む、発達障害の処置又は予防方法。
  20. 【請求項20】 生物学的サンプルにおける、配列番号:1、配列番号:
    3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:1の断片、配列番号:3の断片、
    配列番号:5の断片、又は配列番号:7の断片のアミノ酸配列を含むポリペプチ
    ドをコードするポリヌクレオチドの検出方法であって、 (a)請求項6のポリヌクレオチドと、前記生物学的サンプルにおける核酸の
    少なくとも1種類とをハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形
    成する過程と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記ハイ
    ブリダイゼーション複合体の存在が、前記生物学的サンプルにおける前記ポリペ
    プチドをコードするポリヌクレオチドの存在と相互関係を有する、該過程とを含
    むことを特徴とする生物学的サンプルにおける、配列番号:1、配列番号:3、
    配列番号:5、配列番号:7、配列番号:1の断片、配列番号:3の断片、配列
    番号:5の断片、又は配列番号:7の断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドを
    コードするポリヌクレオチドの検出方法。
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